JP4212279B2 - 球状基板、半導体装置、球状半導体装置の製造装置、識別装置、および球状基板の製造方法 - Google Patents

球状基板、半導体装置、球状半導体装置の製造装置、識別装置、および球状基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、球状基板、半導体装置、球状半導体装置の製造装置、識別装置、および球状基板の製造方法に関し、より特定的には、識別マークを有する球状基板、半導体装置、球状半導体装置の製造装置、識別装置、および球状基板の製造方法に関する。なお、この明細書において「球状基板」とは、例えば半導体装置を作成するために用いる半導体基板の形状が球状となっているものをいう。そのため、「球状基板」の基板表面は特に加工を施す前においてはほぼ球面状である。また、球状基板の材質としては半導体に限らずあらゆる材質を適用できる。
【0002】
【従来の技術】
近年、全く新しいシリコン半導体装置として、従来のシリコンウェハを用いず、球状のシリコン単結晶体の表面上に集積回路を形成した球状半導体(ボールセミコンダクター)が提案されている。
【0003】
このような球状半導体は、従来のシリコンウェハを用いた半導体装置に比べて以下のような利点を有している。まず、球状のシリコン球を直径約2mmのチューブ内に流しながら、成膜やエッチングなど全ての製造工程を行うので、従来のようにその製造工程において高価なクリーンルームを必要としない。したがって、従来の半導体装置と比べると、製造設備のコストを1桁以上削減できると考えられている。また、1つの工場の内部において、シリコンの単結晶粒の成長から露光、エッチングなどの処理工程を連続的に行うので、従来のようなバッチ式の生産方式に比べて、半導体装置の製造工期を大幅に短縮することができる。さらに、球状基板の表面に半導体素子を形成するので、半導体チップを搭載する基板の表面上における占有面積当りの素子の集積度を向上させることができる。たとえば縦横の長さがそれぞれ1mmである(1mm平方である)従来の半導体チップに対して、直径が1mmの球状半導体では、素子の数を約3倍にすることができる(素子の集積度を約3倍に向上させることができる)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の球状半導体においては、以下のような問題があった。すなわち、従来の球状半導体では、半導体素子を形成する基板が球状であり、特に識別マークなどが存在しない。そのため、球状基板の表面に形成される半導体素子などは球状基板の結晶方位とは無関係に配置されていた。つまり、図84に示すように、半導体素子の一例としての電界効果トランジスタのチャネルの方向(矢印102で示した方向)は、球状基板101の結晶方位(たとえば<100>方向)と無関係に決定されることになる。
【0005】
このため、球状半導体の製造条件によっては、図85に示すように、電界効果トランジスタのチャネル方向(矢印102で示す方向)が球状基板の<100>方向とほぼ平行になった場合と、図84に示したように<100>方向からずれている場合が発生し得る。図84および図85は、従来の球状半導体の問題点を説明するための模式図である。ここで、チャネル方向が<100>方向とほぼ平行な場合(図85に示したような場合)、電界効果トランジスタのチャネル領域における電子の移動度が大きくなるので、図84に示した場合より電界効果トランジスタの性能が向上することになる。したがって、球状基板101の表面に形成された素子について、球状基板101の結晶方位との位置関係によりその特性にばらつきが発生するという問題があった。また、球状基板101の表面に素子を形成する成膜工程あるいはエッチング工程などにおいて、その処理速度などに結晶方位依存性があるような場合、球状基板101の結晶方位と素子との位置関係によっては形成される膜厚やエッチング量などにばらつきが発生する恐れもあった。この結果、やはり形成された素子に特性ばらつきが発生する。このため、球状半導体の歩留りが低下することになっていた。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、この発明の目的は、結晶方位を精度よく識別することが可能な球状基板およびその製造方法、さらにこの球状基板を用いた半導体装置、球状半導体装置の製造装置、識別装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の1の局面に従った球状基板は識別マークを備え、識別マークは前記球状基板の表面に形成された凸部および凹部の少なくともいずれか一方を含む。識別マークは、球状基板の中央部から見て所定の結晶方位に対応する部分に形成されている。
【0008】
このようにすれば、球状基板が識別マークを有するので、球状基板を利用した半導体装置の製造工程において、球状基板の位置合せを精度良く行うことができる。また、球状基板の表面における凸部または凹部を検出することにより、識別マークを容易かつ確実に認識できる。また、識別マークによって球状基板の結晶方位を検出することができる。したがって、球状基板の表面に電界効果トランジスタなどの素子を形成する場合、球状基板の結晶方位を考慮して当該素子の配置(球状基板の結晶方位に対する当該素子の方向)を決定できる(たとえば、特定の結晶方位に電界効果トランジスタのチャネルの方向を合せるといったことが可能になる)。このため、結晶方位に対する素子の配置がばらつくことを抑制できるので、このような素子の配置のばらつきに起因する素子の特性のばらつきを低減できる。この結果、球状基板を用いた半導体装置の歩留りが素子の特性ばらつきにより低下することを抑制できる。
【0009】
上記1の局面に従った球状基板において、識別マークは球状基板の複数個所に設けられていることが好ましい。
【0010】
また、上記1の局面に従った球状基板において、識別マークは、球状基板の2箇所以上8箇所以下の領域にそれぞれ形成されていてもよい。
【0011】
この場合、複数の識別マークを用いて球状基板の位置合せを行うことができるので、球状基板の位置合せの精度を向上させることができる。
【0012】
この発明に従った球状基板は、識別マークを備える球状基板であって、球状基板の表面において、識別マークとなる領域の曲率半径が識別マークとなる領域以外の領域の曲率半径と異なる。識別マークは、球状基板の中央部から見て所定の結晶方位に対応する部分に形成されている。
【0013】
この場合、球状基板の表面における曲率の違いを検出することにより、識別マークを容易かつ確実に認識できる。
【0014】
この発明に従った球状基板は、識別マークを備える球状基板であって、識別マークは球状基板の表面に形成された磁性体領域を含む。識別マークは、球状基板の中央部から見て所定の結晶方位に対応する部分に形成されている。
【0016】
記球状基板において、凸部および凹部の少なくともいずれか一方は、球状基板における他の領域とは光学的反射率の異なる領域であってもよい。
【0026】
この発明に従った球状基板は、表面の一部が平面化された平面領域を複数個所備え、平面領域上に半導体素子が形成されている。平面領域は、球状基板の中央部から見て点対称となる6箇所に形成されている。
【0027】
このようにすれば、平面領域を球状基板の識別マークとして利用できる。このような平面領域は比較的容易に検出できるので、球状基板の位置合せを容易かつ確実に行うことができる。
【0034】
記球状基板において、球状基板はシリコンからなり、結晶方位は<111>方向であってもよい。
【0035】
この場合、球状基板の表面のうち、法線ベクトルの方向が<100>方向である表面(<100>方向に垂直な表面)には識別マークが存在しないことになる。つまり<100>方向に垂直な表面に素子などを形成することができる。このため、電子の移動度の高い結晶方位にトランジスタなどの素子を形成することができる。したがって、球状基板を用いた半導体装置の特性を向上させることができる。
【0039】
この発明に従った半導体装置は、上記球状基板を用いている。
【0040】
このようにすれば、識別マークを利用して球状基板の位置決めを正確に行なった状態で、半導体装置を構成する素子を球状基板の表面に形成できる。したがって、素子やこれらの素子を用いて構成される集積回路の位置合せを精密に行なうことができる。
【0041】
また、球状基板の特定の結晶方位に対応する位置に識別マークを形成しておけば、球状基板の結晶方位を容易に識別できるので、球状基板の結晶方位を考慮して素子の配置を決定できる。したがって、結晶方位に対する素子あるいは集積回路の配置のばらつきを低減できるので、高性能であってかつ性能ばらつきの小さい素子(機能素子)や集積回路を備える半導体装置を得ることができる。
【0047】
この発明に従った識別装置は、球状基板の識別マークを認識する識別装置であって、球状基板の表面における光の光学的反射率の変化を検出する測定部を備える。
【0051】
この発明に従った製造装置は、球状半導体装置の製造装置であって、球状基板を磁力により保持するための磁場発生装置を備える。磁場発生装置は、球状基板を吸着する吸着部に直接露出している。磁場発生装置において磁場を発生させることにより、吸着部に球状基板を吸着する。
【0055】
この発明のまたその他の局面に従った球状基板の製造方法は、溶融した半導体を冷却して単結晶粒を形成する工程と、単結晶粒の表面を研磨して平坦化する工程と、表面が平坦化された単結晶粒を、無負荷状態で平坦な表面を有すると共に単結晶粒の外形に沿って変形可能な弾力性を有する材料からなる保持パッドに保持する工程と、保持パッドにおいて単結晶粒が保持された表面側から研磨パッドを単結晶粒に押圧する工程と、研磨パッドを保持パッドに対して相対的に移動させて保持パッドに保持された単結晶粒の表面の一部を除去することにより、単結晶粒の表面に平面領域を形成する平面領域形成工程とを備える。また、上記単結晶粒を形成する工程では、半導体はシリコンであってもよい。
【0056】
このようにすれば、球状基板の識別マークとなる平面領域を、研磨法(たとえば、化学機械研磨法(CMP法:Chemical Mechanical Polishing)を用いて容易に形成できる。また、このような研磨工程は、多数の球状基板に対して同時に実施することが可能であるので、識別マークを有する球状基板を安価かつ大量に製造することができる。
【0063】
この発明の他の局面に従った研磨装置は、球状基板を保持するための保持部材を備える研磨装置であって、保持部材は、無負荷状態で平坦な表面を有すると共に球状基板の外形に沿って変形することが可能な弾力性を有する材料からなる保持部を含む。
【0064】
このようにすれば、保持部材の任意の位置で球状基板を保持することができる。したがって、保持部材の表面上に多数の球状基板を配置して、それぞれの球状基板の位置で当該球状基板を保持することができるので、球状基板を大量に一括して研磨することができる。このため、研磨工程の生産性を向上させることができる。
【0069】
この発明に従った球状基板の製造方法は、溶融した半導体を冷却して単結晶粒を形成する工程と、単結晶粒の表面を研磨して平坦化する工程と、平坦化された単結晶粒の表面上に保護膜を形成する工程と、保護膜と単結晶粒の表面層との一部を、異方性エッチングを用いて除去するエッチング工程とを備える。エッチング工程では、異方性エッチングにより除去された単結晶粒の表面層の一部の表面の曲率が、保護膜の表面の曲率を反映することにより、異方性エッチングにより除去されなかった単結晶粒の表面層の他の部分の表面の曲率と異なるようにエッチングが行なわれる。上記単結晶粒を形成する工程では、半導体はシリコンであってもよい。
【0070】
このようにすれば、保護膜の膜質や厚みを変更することにより球状基板となる単結晶粒の表面のうち、エッチングされた部分の曲率を任意に変更できる。これは、エッチングされた部分の曲率が、保護膜の研磨前の表面における曲率や保護膜の材料と単結晶粒の材料とのエッチングレートの差によって変化するためである。したがって、任意の曲率を有する識別マークを備えた球状基板を得ることができる。
【0071】
上記1の局面に従った球状基板の製造方法において、保護膜は、レジスト膜、化学気相成長法により形成された膜、およびスパッタリング法により形成された膜からなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0072】
上記1の局面に従った球状基板の製造方法では、保護膜の厚さをW、保護膜が形成された単結晶粒の平均直径をD、エッチング工程により除去された部分の単結晶粒の表面部分における曲率をCとして表した際、保護膜と単結晶粒を構成する材料とのエッチング工程におけるエッチングレートがほぼ等しい場合W=1/C−D/2という関係を満足し、前記保護膜の材料のエッチングレートが単結晶粒を構成する材料のエッチングレートより大きい場合W≧1/C−D/2という関係を満足し、保護膜の材料のエッチングレートが単結晶粒を構成する材料のエッチングレートより小さい場合W≦1/C−D/2という関係を満足することが好ましい。
【0073】
この場合、保護膜の厚さWを保護膜の材料と単結晶粒の材料とに適合するように決定すれば、保護膜として様々な材料を用いることが可能になる。したがって、保護膜の材料の選択の自由度が大きくなるので、保護膜として従来用いられていた絶縁膜などを流用できる。したがって、球状基板の製造コストを低減できる。
【0074】
上記1の局面に従った球状基板の製造方法において、エッチング工程における保護膜を構成する材料のエッチングレートは、単結晶粒を構成する材料のエッチングレートより大きくてもよい。
【0075】
ここで、保護膜の厚さの均一性が悪い場合、保護膜が相対的に薄く形成された部分では先に単結晶粒の表面が露出する。そして、単結晶粒の露出した表面はエッチングにより除去される。このとき、保護膜を構成する材料のエッチングレートが単結晶粒を構成する材料のエッチングレートより小さい場合、保護膜の残存する部分をエッチングしている時に、単結晶粒において上記先に露出した部分のエッチングが進んでしまう。つまり、保護膜の厚さの不均一性が単結晶粒の表面におけるエッチングされた部分に増幅して反映されることになる。したがって、上述のように保護膜を構成する材料のエッチングレートを、単結晶粒を構成する材料のエッチングレートより大きくしておけば、保護膜の厚さが不均一であっても、その不均一性が単結晶粒の表面に反映される程度を小さくできる。また、単結晶粒のエッチングにより除去される除去厚さを相対的に小さくできる。このため、球状基板の表面の形状が不均一になること(製造ばらつきの発生)を抑制できる。
【0076】
上記1の局面に従った球状基板の製造方法において、エッチング工程における保護膜を構成する材料のエッチングレートは、単結晶粒を構成する材料のエッチングレートより小さくてもよい。
【0077】
この場合、単結晶粒から構成される球状基板の表面に、極めて曲率が小さく平面に近いような曲面、平面、あるいは凹形状部を形成することができる。また、保護膜のエッチングレートが相対的に小さいので、単結晶粒の表面のうち露出した部分がエッチングを受けている時に、このエッチングにより保護膜が除去される度合いを小さくできる。そのため、単結晶粒の表面において保護膜が無くなった部分(露出した部分)の面積が拡大する程度を小さくできる。したがって、球状基板の表面において曲率が異なる部分(エッチングされた部分)の面積を小さくすることができる。このため、球状基板における有効面積の減少を抑制することができる。
【0078】
また、保護膜のエッチングレートが相対的に小さいため、保護膜の厚さを薄くしても単結晶粒の表面の一部のみを充分エッチングすることができる。そのため、保護膜の材料コストを低減できる。また、保護膜を形成するための成膜工程の時間も短縮することができるので、球状基板の製造に要する工期を短縮できる。
【0079】
上記1の局面に従った球状基板の製造方法は、エッチング工程においてエッチングされた単結晶粒の部分の表面層をさらに除去する工程を備えていてもよい。
【0080】
この場合、単結晶粒においてエッチングを受けた表面層に、エッチング工程に起因するダメージなどが発生していても、上記表面層をさらに除去することでダメージの発生した領域を除去することができる。したがって、エッチングを受けた領域(識別マークとなるべき領域)上に素子を形成した際、エッチング工程に起因するダメージにより素子の特性が劣化することを防止できる。つまり、識別マークとなるべき領域上に特性の優れた素子を形成することが可能になる。この結果、球状基板における実効的な有効面積(素子などを形成することが可能な面積)の減少を有効に抑制できる。
【0081】
上記1の局面に従った球状基板の製造方法において、表面層をさらに除去する工程は、エッチングされた単結晶粒の部分の表面層を再研磨することにより除去する工程およびエッチングされた単結晶粒の部分の表面層に対して犠牲酸化を加える工程からなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0082】
この場合、エッチングされた単結晶粒の部分の表面層を容易に除去することができる。
【0083】
この発明に従った球状基板の製造方法は、溶融した半導体を冷却して、表面に突起部を有する単結晶粒を形成する工程と、突起部の少なくとも一部を残存させるように、単結晶粒の表面を研磨して平坦化する工程とを備える。上記単結晶粒を形成する工程では、半導体はシリコンであってもよい。
【0084】
このようにすれば、球状基板となる単結晶粒の表面を、素子形成に適した程度に平坦化できると同時に、工程数を増やすことなく、突起部からなる識別マークを形成できる。
【0085】
この発明の別の局面に従った球状基板の製造方法は、溶融した半導体を冷却して、表面に突起部を有する単結晶粒を形成する工程と、単結晶粒の表面上に、突起部を埋設するように保護膜を形成する工程と、保護膜をエッチングにより部分的に除去することにより、突起部を露出させる工程と、露出した突起部を除去するとともに、単結晶粒の表面において突起部が形成されていた領域に凹部を形成する工程とを備える。上記単結晶粒を形成する工程では、半導体はシリコンであってもよい。
【0086】
このようにすれば、識別マークとしての凹部を容易に形成できる。また、識別マークとして凸部を形成する場合、球状基板を用いた半導体装置の製造工程においてこの凸部が半導体製造装置の構成部材と接触することにより破損する恐れがある。しかし、上記のように識別マークとして凹部を形成すると、このような破損の可能性を低減できる。
【0087】
上記別の局面に従った球状基板の製造方法において、凹部を形成する工程では水酸化カリウムを含む溶液を用いてもよい。
【0088】
この場合、一般的な水酸化カリウムを含む溶液を用いて、単結晶粒の表面の一部を除去することにより容易に識別マークとしての凹部を形成することができる。このため、識別マークを形成するために特別な装置を準備したりする必要がない。
【0089】
上記別の局面に従った球状基板の製造方法において、凹部を形成する工程では異方性エッチングを用いてもよい。
【0090】
この場合、単結晶粒に形成される凹部の占有面積は、保護膜において突起部が露出している面積(保護膜が除去されて下地である単結晶粒の表面が露出している領域の面積)により決定される。つまり、識別マークとしての凹部の面積を精度良く規定することができる。したがって、単結晶粒の表面における凹部以外の領域の面積である有効面積のばらつきを低減できる。また、保護膜において突起部が露出した部分の面積を極力小さくしておけば、識別マークとしての凹部の占有面積を小さくできるので、結果的に単結晶粒からなる球状基板の有効面積の減少を抑制することができる。
【0091】
上記球状基板では、識別マークは球状基板の2箇所以上8箇所以下の領域にそれぞれ形成されていてもよい。
この発明に従った球状基板は、表面の一部が平面化された平面領域を複数個所備える球状基板であって、平面領域を形成する前の球状基板の平均半径をL、球状基板の中心点から平面領域までの最短距離をdとしたとき、d≧L/2という関係を満足するように平面領域が形成され、平面領域は<111>方向に対して垂直な方向に延在する。
この発明に従った球状基板は、表面の一部が平面化された平面領域を複数個所備える球状基板であって、平面領域を形成する前の球状基板の平均半径をL、球状基板の中心点から平面領域までの最短距離をdとしたとき、d≧L/2という関係を満足するように平面領域が形成され、平面領域は<100>方向に対して垂直な方向に延在する。
【0100】
この発明に従った球状基板の製造方法は、溶融した半導体を冷却して、表面に突起部を有する単結晶粒を形成する工程と、単結晶粒の表面上に、突起部を埋設するように保護膜を形成する工程と、保護膜をエッチングにより部分的に除去することにより、突起部を露出させる工程と、突起部が露出した状態で残存する保護膜をマスクとして、突起部下に位置する単結晶粒の表面層に不純物を導入する工程と、不純物を導入する工程の後、保護膜および突起部を研磨により除去することにより、単結晶粒の表面を平坦化する平坦化工程とを備える。上記単結晶粒を形成する工程では、半導体はシリコンであってもよい。
【0101】
このようにすれば、識別マークとしての不純物を導入した領域(不純物拡散領域)を容易に形成できる。また、単結晶粒からなる球状基板の識別マークが形成された部分は、球状基板の他の領域と同様に曲面を構成している。したがって、識別マークとして凸部または凹部を形成した場合のように、この凸部または凹部が他の部材と接触して球状基板に損傷が発生する、あるいは識別マークが認識できなくなる、といった危険性を低減できる。
【0102】
また、保護膜と突起部とを同時に研磨により除去するので、保護膜と突起部とを別々の工程により除去する場合より球状基板の製造工程を簡略化できる。
【0109】
この発明に従った球状基板の製造方法は、溶融した半導体を冷却して、表面に突起部を有する単結晶粒を形成する工程と、単結晶粒の表面上に、突起部を埋設するように保護膜を形成する工程と、保護膜をエッチングにより部分的に除去することにより、突起部を露出させる工程と、突起部が露出した状態で残存する保護膜をマスクとして、突起部下に位置する単結晶粒の表面層に改質領域を形成する工程と、改質領域を形成する工程の後、保護膜を除去する工程と、保護膜を除去した後、単結晶粒の表面から突起部を除去するとともに、単結晶粒の表面を平坦化する平坦化工程とを備える。上記単結晶粒を形成する工程では、半導体はシリコンであってもよい。
【0110】
このようにすれば、改質された領域からなる識別マークを備える球状基板を容易に得ることができる。また、単結晶粒からなる球状基板の識別マークが形成された部分は、球状基板の他の領域と同様に曲面を構成している。したがって、識別マークとして凸部などを形成した場合のように、この凸部などが他の部材と接触して球状基板に損傷が発生する、あるいは凸部が破損することで識別マークが認識できなくなる、といった危険性を低減できる。
【0115】
この発明に従った球状半導体装置の製造装置は、球状基板を保持するホルダを備え、ホルダには球状基板の直径より小さな幅の開口部が形成され、開口部の内部には磁場発生装置が配置されている。
上記球状基板を用いた加速度センサは、中空であって球形状のケースと、ケースの内壁面上に配置された電極と、ケースの内部に保持され、表面の全部または一部にメタル層が形成された球状基板とを備える。
上記球状基板を用いたICカードは、球状基板を保持するマウントと、マウントの内部に保持される球状基板とを備え、マウントは球状基板の形状に沿った形状を有している。
この発明に従った集積回路は、平板状の基板と、基板上に複数個配置された、表面の一部が平面化された平面領域を複数個所有する球状基板とを備える。球状基板では平面領域が球状基板の中心に対して点対称な位置に形成される。平面領域には電極が形成される。複数の球状基板は平板状の基板の表面に沿った方向において平面領域を互いに接触させるように連結している。
この発明に従った半導体装置は、表面に回路が形成された平板状の基板と、基板の表面上に配置された、表面の一部が平面化された平面領域を含む複数の球状基板とを備える。球状基板において、表面には集積回路が形成されるとともに、平面領域には素子と電極とが形成される。球状基板の集積回路と基板の回路とは電極を介して電気的に接続されている。
【0116】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0117】
(実施の形態1)
図1は、本発明による球状基板の実施の形態1を説明するための断面模式図である。図2は、図1に示した球状基板の底面図である。図3は、図1に示した球状基板を斜め下側から見た場合の形状を示す模式図である。図4は、図3の矢印93に示した方向から見た球状基板の側面図である。図1〜4を参照して、本発明による球状基板の実施の形態1を説明する。
【0118】
図1〜4に示すように、球状基板1は球状の半導体基板であって、その表面の一部が平坦化された識別マークとしての平面部2を備える。なお、球状基板1の材料としては、シリコンを用いている。球状基板1の直径は2L(半径はL)であり、球状基板1がほぼ球形状である場合の中心から平面部2までの距離はdとしている。ここで、球状基板1としては、シリコン・オン・インシュレータ基板(SOI基板)を用いてもよく、その他の材料からなる基板、たとえばガリウム砒素、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウムなどからなる基板を用いてもよい。
【0119】
このようにすれば、球状基板1を利用した半導体装置の製造工程において、球状基板1の位置合せを精度良く行うことができる。
【0120】
また、球状基板1の表面における平面領域としての平面部2は比較的容易に検出することができるので、球状基板1における識別マークの検出を容易かつ確実に行うことができる。
【0121】
また、図1〜図4に示した球状基板1では、球状基板1がほぼ球形状であると考えた場合の中心点から平面部2までの最短距離をd(図1参照)とし、球状基板1がほぼ球形状であると考えた場合の球状基板1の平均半径をL(図1参照)とした場合、d≧L/2という関係を満足するように平面部2が形成されていることが好ましい。
【0122】
この場合、平面部2の面積が必要以上に大きくなることを抑制できる。ここで、この平面部2が形成された場合の球状基板1の表面積は、平面部2を形成しない場合の球状基板1の表面積より小さくなる。そして、平面部2の面積が大きくなるほど、球状基板1の表面積の減少の度合いは大きくなる。したがって、平面部2の面積をできるだけ小さくすることにより、球状基板1の表面積の減少の度合いを小さくすることができる。このため、球状基板1において素子を形成することができる有効面積(表面積)の減少を抑制できる。
【0123】
図1〜4に示した球状基板の製造方法を、図5〜9を参照して説明する。図5〜9は、図1〜4に示した球状基板の製造方法を説明するための模式図である。
【0124】
まず、多結晶シリコン粒を溶融した後、この溶融した半導体としての多結晶シリコンを冷却して凝固させることにより、図5に示したような単結晶粒3を作製する。このとき、単結晶粒3は完全な球状というわけではなく、ミラー指数で<111>方向に突起4が形成されている。なお、図5は<110>方向に対して垂直な平面における単結晶粒3の断面を示している。
【0125】
また、単結晶粒3において、<100>方向に対してほぼ垂直な平面における断面について見ると、図6に示すように、単結晶粒3の外形はほぼ円形状となっている。図6は、図5に示した単結晶粒3において、<100>方向に対してほぼ垂直な平面における断面を示す断面模式図である。
【0126】
次に、単結晶粒3の表面を研磨することにより突起4(図5参照)を除去する(単結晶粒3の表面を平坦化する工程を実施する)。この結果、外形がほぼ球形状の球状基板1(図7参照)を得ることができる。このとき、球状基板1の表面の粗度は従来のシリコンウェハの表面粗度と同程度になるように研磨を行なう。
【0127】
次に、図1〜4に示した識別マークとしての平面部2を形成するため、化学機械研磨法(CMP法)を用いて球状基板の一部を除去する。具体的には、まず、図7に示すように、球状基板1を挿入固定するための凹部6が複数個形成された保持部材としての保持パッド5を備えるCMP装置を準備する。球状基板1を保持するための窪みとしての凹部6に、それぞれ球状に研磨された球状基板1を配置する。
【0128】
次に、図8に示すように、保持パッド5において球状基板1が保持された面上に研磨パッド7を配置する。この研磨パッド7と保持パッド5とを相対的に矢印94に示す方向に移動させることにより、研磨パッド7によって球状基板1の上部を研磨する。なお、このとき研磨パッド7と保持パッド5との間には研磨剤などを含むスラリー(研磨液)が供給されている。
【0129】
このような平面領域形成工程としての研磨工程の結果、図9に示すように、球状基板1の上部が研磨されることにより、識別マークとなる平面部2が形成される。
【0130】
このようにすれば、球状基板1においてCMP法を用いて容易に識別マークとしての平面部2を形成できる。また、保持パッド5には複数の凹部6が形成され、それぞれの凹部6に球状基板1を配置するので、複数の球状基板1について同時に平面部2を形成できる。この結果、識別マークとしての平面部2を有する球状基板1を安価かつ大量に製造することができる。
【0131】
また、CMP法を用いて平面部2を形成するので、平坦性に優れた平面部2を得ることができる。
【0132】
なお、この識別マークとしての平面部2を形成するための球状基板1の研磨量は、識別マークとしての平面部2を認識可能な状態にできる範囲内でできるだけ少ないことが好ましい。ただし、平面部2上に集積回路やその他の回路素子などの半導体装置を形成する場合、この平面部2上に形成される半導体装置などのサイズを考慮して球状基板1の研磨量を決定することが好ましい。
【0133】
また、球状基板1において、識別マークとしての平面部2を形成するための研磨工程前の平均半径L(図1参照)と、球状基板1の中心から平面部2までとの距離d(図1参照)とが、d≧L/2という関係を満たすように、図7〜9に示した工程における研磨量を決定することが好ましい。
【0134】
このようにして、図1〜4に示した球状基板を得ることができる。なお、識別マークとしての平面部2は図1〜4に示したように1ヵ所に限らず、球状基板1の表面の数ヵ所を研磨することにより、複数個の平面部(識別マーク)を形成することも可能である。たとえば、球状基板1の表面の2ヵ所を削って、識別マークとしての平面部2を2ヵ所に形成してもよい。ここで、球状基板1は球体であるため、1つの識別マークとしての平面部2によってその位置を固定した場合、平面部2の中央部と球状基板1の中心とを通る中心軸回りに回転する自由度を有することになる。このため、1つの識別マークとしての平面部2によっては球状基板1の配置を確実に決定することは難しい場合もある。したがって、識別マークとしての平面部2を2ヵ所以上形成すれば、球状基板1の位置決めを確実かつ容易に行なうことができる。
【0135】
図10は、図5〜9に示した球状基板の製造方法において用いるCMP装置の構成を説明するための模式図である。図10を参照して、CMP装置は制御手段としての制御部8と、研磨パッド7を保持パッド5に対して相対的に移動させるための駆動部9と、研磨パッド7および保持パッド5の位置などを測定するための研磨量検出手段としての検出部10とを備える。制御部8は検出部10からの研磨量nデータに基づいて駆動部9を制御する。
【0136】
図10に示したCMP装置では、検出部10によって保持パッド5と研磨パッド7との間の距離を測定することにより、球状基板1の研磨量を検出することができる。したがって、所定の研磨量だけ球状基板1が研磨されたかどうかを、検出部10からの情報(データ)に基づいて検出することができる。制御部8は、球状基板1の研磨量が所定の値となったところで駆動部9を制御し、研磨パッド7の運動を停止させる。この結果、球状基板1における研磨量を任意に制御することができる。このため、識別マークとなる平面部2の大きさを任意に変更できる。
【0137】
また、制御手段としての制御部8は、球状基板1の研磨前の平均半径をL(図1参照)とし、球状基板1の研磨前の中心点から研磨された平面までの最短距離をd(図1参照)とした場合、検出部10により検出された研磨量のデータに基づいて上記最短距離dを導出するとともに、d≧L/2という関係を満足するように、球状基板1の研磨を終了することが好ましい。
【0138】
この場合、被研磨領域である平面部2の面積が必要以上に大きくなることを抑制できる。そのため、球状基板1において素子を形成することができる有効面積(表面積)の減少を抑制できる。
【0139】
(実施の形態2)
図11〜図14は、本発明による球状基板の製造方法の実施の形態2を説明するための断面模式図である。図11〜図14を参照して、本発明による球状基板の製造方法の実施の形態2を説明する。
【0140】
まず、本発明による球状基板の製造方法の実施の形態1と同様の工程を用いて、突起部の除去されたほぼ球形状の球状基板1(図11参照)を準備する。そして、図11に示すように、研磨装置としてのCMP装置を構成する保持パッド11上に複数の球状基板1を配置する。このとき、保持部材としての保持パッド11は球状基板1を構成する材料であるシリコンに対して摩擦係数の高い材料で形成されている。また、保持パッド11はある程度の弾力性を有する。
【0141】
次に、図12に示すように、保持パッド11において球状基板1が配置された表面側から研磨パッド7を球状基板1に対して押圧する。このとき、保持パッド11はある程度の弾力性を有していることから、研磨パッド7によって球状基板1が押圧されることにより、保持パッド11の上部表面に凹部12が形成されている。凹部12の形状は、球状基板1の外形に沿った形状となっている。そして、球状基板1はこの凹部12に嵌ったような状態で固定される。この場合、保持パッド11の任意の位置で球状基板1を保持できる。したがって、多数の球状基板1を一括して研磨することができる。
【0142】
次に、図13に示すように、研磨パッド7を保持パッド11に対して相対的に水平方向に移動させることにより、図8に示した工程と同様に球状基板1の上部表面を研磨する。この結果、球状基板1の上部表面側には平坦化された領域である識別マークとしての平面部2が形成される。
【0143】
そして、所定量の研磨が終了した後、研磨を終了する。その後、研磨パッド7を取外すと、図14に示すように、球状基板1の上部表面側に識別マークとしての平面部2が形成されている。また、研磨パッド7により球状基板1が押圧されない状態になるので、保持パッド11の上部表面は図11に示した場合と同様にほぼ平坦な状態に戻っている。このようにして、本発明による球状基板の実施の形態1と同様の球状基板1を得ることができる。
【0144】
このように、保持パッド11がある程度の弾力性を有しているため、研磨パッド7を球状基板1に押圧した際に保持パッド11の上部表面が球状基板1の形状に沿って窪み、凹部12(図12参照)が形成される。球状基板1はこの凹部12の内部に嵌め込まれた状態となることにより保持されている。このようにすれば、保持パッド11において予め球状基板1の外形に沿ったような凹部を形成するといった加工を行なう必要がない。このため、CMP装置の製造コストを低減することができる。
【0145】
また、保持パッド11において予め凹部を形成しないので、保持パッド11の表面上に球状基板1を集積して搭載することができる。したがって、保持部材としての保持パッド11での単位面積当りに配置される球状基板1の数を増大させることができる。すなわち、識別マークとなる平面部2を一度に形成する球状基板1の数を増やすことができるので、球状基板1の生産性を向上させることができる。
【0146】
なお、上述した製造方法においては、保持パッド11として球状基板1を構成する材料との摩擦係数が高い材料でありかつ弾力性を有するものを用いたが、保持パッド11として単に球状基板1を構成する材料との摩擦係数の高い材料であって剛性の高い材料を用いてもよい。この場合、球状基板1を保持パッド11の上部表面に摩擦力により保持することができる。
【0147】
また、保持パッド11の材料として、球状基板1の材料との摩擦係数はそう大きくはないが、弾力性を有するような材料を用いてもよい。この場合、図12に示したように球状基板1が研磨パッド7により押圧される際に、球状基板1が保持パッド11にめり込んだ状態で固定されることになる。この結果、図11〜14に示した工程と同様に球状基板1の上部表面に識別マークとしての平面部2を形成することができる。この結果、本発明による球状基板の実施の形態1と同様の球状基板を得ることができる。
【0148】
(実施の形態3)
図15〜図18は、本発明による球状基板の製造方法の実施の形態3を説明するための断面模式図である。図15〜図18を参照して、本発明による球状基板の製造方法の実施の形態3を説明する。
【0149】
まず、本発明による球状基板の製造方法の実施の形態1と同様に、多結晶シリコン粒を溶融した後、その溶融した多結晶シリコンを冷却して単結晶粒3(図15参照)を作製する。このとき、既に述べたように単結晶粒3は完全な球状ではなく、<111>方向に突起4(図15参照)が形成されている。
【0150】
次に、単結晶粒3の表面の一部をCMP法を用いて研磨することにより平面化する。具体的には、まず図15に示すように、その表面に凹部14が形成された保持パッド13を備えるCMP装置を準備する。保持パッド13の表面に形成された凹部14は、上述の単結晶粒3の表面に形成された突起4が挿入されるような大きさに形成されている。また、この凹部14は、保持パッド13の上部表面に対してほぼ垂直な方向に延在するように形成されている。
【0151】
この保持パッド13の上部表面上に突起4が表面に形成された複数の単結晶粒3を供給する。そして、保持パッド13の上部表面上において複数の単結晶粒3を転がるように移動させることにより、図15に示すように保持パッド13の凹部14に単結晶粒3の突起4の1つが嵌った状態となる。この結果、単結晶粒3の<111>方向に延びる突起4の1つがCMP装置の保持パッド13の上部表面に対してほぼ垂直になった状態で単結晶粒3が保持パッド13に保持される。つまり、単結晶粒3の所定の結晶方位としての<111>方向が保持パッド13の表面に対してほぼ垂直になるように、単結晶粒3が保持パッド13に保持されている。
【0152】
次に、図16に示すように、保持パッド13の単結晶粒3が保持された面上に研磨パッド7を配置する。そして、図8に示した工程と同様に、研磨パッド7と保持パッド13とを相対的に水平方向に移動させることにより、単結晶粒3の上部表面側(保持パッド13により保持された領域とは反対側に位置する領域)を研磨することにより除去する平面領域形成工程を実施する。この結果、図17に示すように、単結晶粒3には識別マークとして作用する平面部2が形成される。なお、この平面部2を形成するための研磨量としては、図17に示した段階で残存している突起4を除去するための研磨工程を考慮して、やや多めに設定しておく。このようにすれば、図17に示した工程の段階で残存している突起4を除去するための研磨を行なった後においても、識別マークとしての平面部2を識別することができる。もちろん、識別マークとしての平面部2上に集積回路やその他の半導体素子などからなる半導体装置を形成してもよい。この場合、これらの半導体装置に必要な領域の面積に応じて研磨量(すなわち、平面部2の面積)を決定することが好ましい。
【0153】
この後、残存する突起4を除去するための研磨工程を実施することにより、図18に示すように、識別マークとしての平面部2が形成された球状基板1を得ることができる。このとき、球状基板1の表面の粗度は、従来のシリコンウェハの表面における粗度と同程度になるように研磨工程を実施する。
【0154】
上述のような工程によって、識別マークとしての平面部2を有する球状基板1を一括して大量に、かつ容易に得ることができる。また、図15〜図18に示した製造方法によって得られる球状基板1においては、識別マークとしての平面部2は<111>方向に対してほぼ垂直な方向に延在する平面部となっている。このため、この識別マークとしての平面部2により球状基板1の結晶方位を識別することができる。
【0155】
なお、図16からもわかるように、保持パッド13はある程度の柔軟性を有しており、研磨パッド7を単結晶粒3へと押圧した際に単結晶粒3は保持パッド13へとめり込んだ状態となる。そして、このとき、保持パッド13の表面には単結晶粒3の外形に沿った凹部15が形成され、この凹部15に単結晶粒3が嵌り込んで固定された状態となっている。この結果、保持パッド13において単結晶粒3を確実に固定することができる。
【0156】
また、識別マークとしての平面部2が位置する部分の結晶方位は、この平面部2を形成するための研磨を行なう際に、単結晶粒3の保持の方法を変更することによりさまざまに変更することが可能である。たとえば、図19〜図21に示した工程を実施すれば、識別マークとなる平面部2が<100>方向にほぼ垂直な方向に延在する平面部であるような球状基板を得ることができる。ここで、図19〜図21は、図15〜図18に示した本発明による球状基板の製造方法の実施の形態3の変形例を説明するための断面模式図である。図19〜図21を参照して、本発明による球状基板の製造方法の実施の形態3の変形例を説明する。
【0157】
まず、表面において<111>方向に延在する突起4(図19参照)を有する単結晶粒3(図19参照)を準備する。単結晶粒3においては、その表面に形成された複数の突起4の長さはほぼ等しくなっていることが好ましい。そして、このような単結晶粒3を図19に示すように保持パッド16の上部表面上に配置する。保持パッド16の上部表面には、特に凹部などは形成されていない。重力以外に特別な力が働かない限り、保持パッド16の上部表面上において単結晶粒3は、単結晶粒3のそれぞれの表面に8個ずつ形成され<111>方向に延びる突起4のうちの4つの突起4によって支持されることになる。
【0158】
次に、図20に示すように、図16に示した工程と同様に研磨パッド7を単結晶粒3の上から押圧する。そして、研磨パッド7を保持パッド16に対して相対的に水平方向に移動させることにより、単結晶粒3の上部表面を研磨する。この結果、単結晶粒3の上部表面が部分的に除去される。また、このとき保持パッド16としてある程度の弾力性を有する材料を用いておけば、研磨パッド7によって単結晶粒3が保持パッド16側へと押圧されたとき、図20に示すように単結晶粒3が部分的に保持パッド16の上部表面に埋込まれたような状態となる。この結果、保持パッド16の上部表面には凹部17が形成され、単結晶粒3はこの凹部17の内部に部分的に埋込まれた状態となる。この結果、単結晶粒3を保持パッド16の上部表面において確実に保持することができる。そして、このように研磨パッド7によって単結晶粒3の研磨を行なうことにより、図21に示すように単結晶粒3の上部表面が部分的に平坦化され識別マークとしての平面部2が形成される。
【0159】
その後、図18に示した工程と同様に、単結晶粒3の表面に残存した他の突起4を除去するための研磨工程を実施することにより、図18に示したような識別マークとしての平面部2を有する球状基板1を得ることができる。このとき、識別マークとしての平面部2は、上述のように<100>方向に対してほぼ垂直な方向に延在する平面となっている。
【0160】
なお、ここでは保持パッド16(図20参照)としてある程度の弾力性を有する材料を用いたが、球状基板1(図18参照)を構成する材料(すなわち単結晶粒3を構成する材料)に対して摩擦係数の高い材料をこの保持パッド16の材料として用いれば、ある程度剛性の高い材料を保持パッド16の材料として用いてもよい。この場合、保持パッド16の上部表面は図20に示した工程においても凹部17を形成するといったことはない。しかしが、この単結晶粒3と保持パッド16との接触部の摩擦によって単結晶粒3を保持することができる。
【0161】
(実施の形態4)
図22は、本発明による球状基板の実施の形態4を示す断面模式図である。図22を参照して、本発明による球状基板の実施の形態4を説明する。
【0162】
図22に示すように、球状基板1はその外形が球形状であって、一部に曲率の異なる部位である識別マークとしての曲面状部18を備える。球状基板1の表面の曲率の違いを検出することにより、識別マークとしての曲面状部18を容易に検出できる。したがって、このような識別マークとしての曲面状部18によっても、本発明の実施の形態1における識別マークとしての平面部2(図1参照)と同様の効果を得ることができる。
【0163】
図23〜図25は、図22に示した球状基板の製造方法を説明するための断面模式図である。図23〜図25を参照して、図22に示した球状基板の製造方法を説明する。
【0164】
まず、本発明の実施の形態1における球状基板の製造方法と同様に、多結晶シリコン粒を溶融した後、この溶融したシリコンを冷却して単結晶粒(図示せず)を作製する。この単結晶粒の表面においては、既に述べたように<111>方向に延在する突起が形成されている。そして、この突起を除去するため、単結晶粒の表面を研磨して平坦化する工程を実施する。この結果、突起が除去されると共に表面の粗度が従来のシリコンウェハの表面と同程度になった球状基板1(図23参照)を得ることができる。なお、球状基板1としては、SOI基板を用いてもよく、その他の材料からなる基板、たとえばガリウム砒素、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウムなどからなる基板を用いてもよい。ここで、球状基板1の直径をDとする。
【0165】
次に、この球状基板1の表面に保護膜19(図23参照)を形成する。保護膜19の厚さWは、識別マークとなる曲面状部18(図22参照)の曲率に合わせて適宜選択することが好ましい。たとえば、曲面状部18の曲率を小さくしたい場合(曲面状部18の曲率半径を大きくしたい場合)には、この保護膜19の厚さWを相対的に厚くする。つまり、保護膜19の厚さWを変更することにより、曲面状部18の曲率を変更することができる。この結果、任意の曲率を有する識別マークとしての曲面状部18を得ることができる。
【0166】
保護膜19の材料としては、たとえばレジストを用いることができる。球状基板1の表面へレジストを塗布する方法としては、霧状のレジストを球状基板1の表面に吹きつけるといった方法を用いることができる。もちろん、他の方法によって球状基板1の表面にレジストを塗布してもよい。また、保護膜19の材料としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)膜やスパッタリング法を用いて形成された膜などを用いてもよい。
【0167】
次に、表面に保護膜19が形成された球状基板1について、異方性エッチングを行なうことによりその一部を除去する。具体的には、図23に示すように、保護膜19が形成された球状基板1を保持パッド20上に配置する。そして、図23中の矢印に示した方向からエッチング種を供給することにより、エッチング工程を実施する。
【0168】
この結果、図24に示すように、球状基板1の上部表面側(エッチング種が供給される側)からまず保護膜19がエッチングされることにより除去される。このとき、保護膜19においてエッチングされた領域の表面の曲率は、図23に示した(エッチング前の)保護膜19の外周面の曲率とほぼ等しくなっている。
【0169】
そして、エッチングが進むにつれ、保護膜19のみではなく球状基板1の上部表面もエッチングにより除去される。この結果、図25に示すように、球状基板1の上部表面側が部分的に除去された状態となる。このとき、球状基板1の上部表面側のエッチングにより除去された部分(曲面状部18)の表面の曲率は、図23において示した保護膜19の外周面の曲率を反映した曲率となっている。このため、曲面状部18の表面の曲率は、球状基板1のエッチングされていない領域における表面の曲率とは異なったものになる。この結果、曲面状部18を他の領域とは区別できるので、曲面状部18を識別マークとして利用することが可能になる。この後、球状基板1の表面から保護膜19を除去することにより、図22に示したような球状基板1を得ることができる。
【0170】
なお、図23および図24に示したエッチング工程におけるエッチング量は、識別マークとしての曲面状部18が後の工程において識別できることを前提として、できる限り少なくすることが好ましい。ただし、識別マークを構成する曲面状部18上に集積回路や半導体素子などの半導体装置を形成する場合、これらの半導体装置が占有する面積を考慮してエッチング条件を決定することが好ましい。
【0171】
また、図23に示した保護膜19の厚さW、エッチング前の球状基板1の直径D、および球状基板1のエッチング後の識別マークを構成する曲面状部18(図22参照)の曲率Cについては、以下のような関係を満たすことが好ましい。すなわち、保護膜19を構成する材料と球状基板1を構成する材料であるシリコンとについて、図23および図24に示したエッチング工程でのエッチングレートがほぼ等しい場合、W=1/C−D/2という関係を満たすことが好ましい。また、保護膜19のエッチングレートがシリコンのエッチングレートよりも大きい場合、W≧1/C−D/2、逆に保護膜19のエッチングレートがシリコンのエッチングレートよりも小さい場合には、W≦1/C−D/2という関係を満足することが好ましい。上記のような関係を満足すれば、保護膜19として様々な材料を用いることが可能である。
【0172】
また、図23および図24に示したエッチング工程において、保護膜19のエッチングレートは球状基板1を構成する材料であるシリコンのエッチングレートよりも大きくなるように、保護膜19の材料を選択してもよい。この場合、図23および図24に示した工程における球状基板1のエッチング速度を相対的に低く抑えることができる。したがって、保護膜19の厚さWの不均一性などが球状基板1の表面における曲面状部18に増幅して反映されることを抑制できるので、識別マークとしての曲面状部18の曲率や大きさなどについて製造ばらつきを抑えることが可能になる。
【0173】
また、識別マークとしての曲面状部18として、極めて曲率の小さい曲面(平面に近いような曲面)、あるいは識別マークとしての曲面状部18をほぼ平坦な面とするような場合、あるいは識別マークとしての曲面状部18として、凹形状となるような表面領域を形成する場合には、保護膜19の材料として、球状基板1を構成するシリコンよりもそのエッチングレートが小さくなるような材料を用いることが好ましい。また、保護膜19のエッチングレートが相対的に小さいので、球状基板1の表面のうち露出した部分がエッチングを受けている時に、このエッチングにより保護膜19が除去される度合いを小さくできる。そのため、球状基板1の表面において保護膜19が無くなった部分の面積が拡大する程度を小さくできる。したがって、曲面状部18の面積を小さくすることができる。このため、球状基板1における有効面積の減少を抑制することができる。
【0174】
また、保護膜19のエッチングレートが相対的に小さいため、保護膜19の厚さを薄くしても球状基板1の表面の一部のみを充分エッチングすることができる。そのため、保護膜19の材料コストを低減できる。また、保護膜19を形成するための成膜工程の時間も短縮することができるので、球状基板1の製造に要する工期を短縮できる。
【0175】
また、図23〜図25に示した工程の後、さらに識別マークを構成する曲面状部18の表面層を再研磨により部分的に除去することにより平坦化してもよい。また、この識別マークを構成する曲面状部18について、犠牲酸化処理を行なってもよい。このようにすれば、識別マークを構成する曲面状部18の表面に存在するエッチングダメージ部分を除去することができる。この結果、識別マークとしての曲面状部18において図23および図24に示したエッチング工程に起因するエッチングダメージ部分が残存することを防止することができる。したがって、曲面状部18上に素子を形成した場合に、その素子が上記エッチングダメージにより動作不良や特性劣化を起こすことを防止できるので、球状基板1を用いた半導体装置の歩留りを向上させることが可能になる。
【0176】
(実施の形態5)
図26は、本発明による球状基板の実施の形態5を示す断面模式図である。図26を参照して、本発明による球状基板の実施の形態5について説明する。
【0177】
図26に示すように、球状基板21は、ほぼ球形状を有しているが、その表面に識別マークとしての複数の(8つの)凸部22が形成されている。凸部22は、<111>方向にそれぞれ突出するように配置されている。また、凸部22が形成された領域以外の球状基板21の表面は、基本的には従来のシリコンウェハの表面と同程度の表面粗度を有している。なお、凸部22は2個所以上8個所以下の領域に形成されることが好ましい。
【0178】
このようにすれば、凸部22が形成された領域以外の領域においては一定の平坦性を維持する一方、複数の凸部22を検出することにより球状基板21の結晶方位を容易に識別することができる。
【0179】
また、凸部22は<111>方向に突出するように配置されているので、球状基板21において容易に<100>方向を特定することができる。また、球状基板21において<100>方向に面した表面には、識別マークとしての凸部22は形成されていない。このため、後述するように球状基板21の表面に電界効果トランジスタなどを形成する場合、<100>方向にチャネル電流の向きを合わせるように電界効果トランジスタを配置することができる。この結果、電界効果トランジスタにおける移動度の値を大きくすることができる。
【0180】
図27は、図26に示した球状基板の製造方法を説明するための断面模式図である。図27を参照して、図26に示した球状基板の製造方法を説明する。
【0181】
まず、本発明による球状基板の製造方法の実施の形態1〜5と同様に、多結晶シリコン粒を溶融した後、溶融した半導体としてのシリコンを冷却して単結晶粒3(図27参照)を作製する。単結晶粒3の表面には、<111>方向に延びる突起部としの突起4が複数個形成されている。
【0182】
そして、図27に示すように、単結晶粒3の表面を研磨することにより、突起4を小さくする。このとき、突起4が形成されていない領域では、研磨によって単結晶粒3の表面の粗度は小さくなる(平坦化される)。この結果、突起4はその先端部が除去されて、凸部22として球状基板21の表面に残存する。一方、凸部22が配置された領域以外の領域においては、その表面の粗度は従来のシリコンウェハの表面粗度とほぼ同等な値となっている。このようにして、図26に示した球状基板を得ることができる。
【0183】
このようにすれば、球状基板21となる単結晶粒3の表面を、素子形成に適した程度に平坦化できると同時に、工程数を増やすことなく突起22からなる識別マークを形成できる。
【0184】
図26に示した球状基板21では、<111>方向に突出するように凸部22が配置されているので、既に述べたように球状基板21の結晶方位を考慮してチャネル電流の向きが決められたような電界効果トランジスタを球状基板21の表面に形成できる。つまり、球状基板21を用いて、特性の優れた電界効果トランジスタを含む半導体装置を得ることができる。
【0185】
図28は、図26に示した球状基板を用いた半導体装置の模式図である。図29は、図28の線分XXIX−XXIXにおける断面模式図である。図30は、図29における領域XXXの部分拡大断面模式図である。図28〜図30を参照して、本発明による球状基板を用いた半導体装置を説明する。
【0186】
図28〜図30に示すように、半導体装置は球状基板21(図26参照)を利用したものであり、球状基板21の表面には<111>方向に突出した識別マークとしての凸部22が配置されている。また、図30に示した矢印27の方向は[100]方向を示す。そして、図30に示すように、球状基板21の表面にはソース領域23およびこのソース領域23とチャネル領域を介して対向するように配置されたドレイン領域24が形成されている。このソース領域23およびドレイン領域24の間のチャネル領域上には、ゲート絶縁膜25が形成されている。ゲート絶縁膜25上にはゲート電極26が形成されている。このソース領域23、ドレイン領域24、ゲート絶縁膜25およびゲート電極26から半導体素子としての電界効果トランジスタが構成される。
【0187】
この電界効果トランジスタは、[100]方向とチャネル電流の向きがほぼ平行になるように配置されている。このような電界効果トランジスタは、移動度の点で特に有利になる。この結果、電界効果トランジスタの電気的特性を改善することができる。なお、電界効果トランジスタのチャネル電流の向きは、[100]方向と等価な方向(<100>方向)であれば、他の方向と平行になるように設定されていてもよい。
【0188】
このようにすれば、識別マークとしての凸部22を利用して球状基板21の位置決めを正確に行なった状態で、半導体装置を構成する素子としての電界効果トランジスタを球状基板21の表面に形成できる。
【0189】
また、球状基板21の特定の結晶方位に対応する位置に識別マークとしての凸部22を形成しているので、球状基板21の結晶方位を容易に識別できる。したがって、球状基板21の結晶方位を考慮して素子としての電界効果トランジスタの配置を決定できる。このため、結晶方位に対する電界効果トランジスタなどの素子あるいは集積回路の配置のばらつきを低減できるので、高性能であってかつ性能ばらつきの小さい機能素子や集積回路を備える半導体装置を得ることができる。
【0190】
(実施の形態6)
図31は、本発明による球状基板の実施の形態6を示す断面模式図である。図31を参照して、本発明による球状基板の実施の形態6を説明する。
【0191】
図31に示すように、球状基板28はその外形がほぼ球形状であり、シリコンからなる球状半導体基板である。球状基板28においては、その表面に<111>方向に向かって開口した識別マークとしての凹部29が形成されている。
【0192】
この結果、図31に示した球状基板28においては、識別マークとしての凹部29を用いて容易に<100>方向を特定できる。また、球状基板28の中心から見た場合の<100>方向においては、球状基板28の表面には突起や凹部などの構造はなく滑らかな表面となっている。このため、図28〜図30に示した半導体装置と同様に、球状基板28の表面においてチャネル電流の向きを[100]方向に合わせたような電界効果トランジスタを有する半導体装置を容易に製造することができる。このような半導体装置における電界効果トランジスタでは、チャネル領域における移動度が改善されるため、電界効果トランジスタの電気的特性を向上させることができる。
【0193】
また、識別マークは凹部29であるため、本発明の実施の形態5のような凸部22(図26参照)を識別マークとして用いる場合とは異なり、この識別マークとしての凹部29が他の部材に引っかかるあるいは破損するといった問題の発生を抑制できる。
【0194】
なお、識別マークとしての凹部29を識別する方法としては、従来のフォトリソグラフィ工程におけるアライメントマークの検出方法と同様の方法を用いることができる。
【0195】
図32〜図34は、図31に示した球状基板の製造方法を説明するための断面模式図である。図32〜図34を参照して、図31に示した球状基板の製造方法を説明する。
【0196】
まず、本発明の実施の形態1における球状基板の製造方法と同様に、多結晶シリコン粒を溶融した後、溶融した半導体としてのシリコンを冷却して単結晶粒3(図32参照)を作製する。このとき、図32に示すように、単結晶粒3の表面には突起4が形成されている。突起4は、<111>方向に延びるように形成されている。
【0197】
次に、球状基板を形成するためには、上述の突起4を除去するような研磨工程を実施する必要がある。そこで、まず単結晶粒3の表面に突起4が残存した状態で、単結晶粒3の表面上に保護膜30(図33参照)を形成する。この結果、図33に示すような構造を得る。なお、保護膜30を形成する場合、突起4を除去するための研磨工程を行なう前に保護膜30を形成してもよいが、突起4を除去するための研磨工程をある程度実施して、突起4を一部除去した後に(突起4が残存した状態で)保護膜30を形成してもよい。保護膜30の厚さとしては、図33に示すように、突起4が保護膜30に埋設される程度の厚さであればよい。
【0198】
なお、保護膜30の外周表面は、できるだけ下地の突起4の影響を受けない程度に平坦化されていることが好ましい。保護膜30としてはたとえばレジスト膜を用いることができる。単結晶粒3の表面にレジストを塗布する方法としては、霧状のレジストを単結晶粒3へと吹きつけるといった方法を用いることができる。ただし、他の方法により単結晶粒3の表面上にレジストを塗布してもよい。なお、この場合も保護膜30としてのレジスト膜の厚さは突起4が完全に埋没する程度の厚さであればよい。また、レジスト膜の外周表面はできるだけ下地の構造である突起4の形状の影響が現われない程度に平坦化されていることが好ましい。あるいは、レジスト膜に対するベーク処理などの後に最終的にレジスト膜の外周表面が平坦化されていればよい。
【0199】
なお、保護膜30の材料としては、他の材料を用いてもよい。たとえば、CVD膜やスパッタリングによって形成された膜などを保護膜30として用いてもよい。この場合も、膜を形成した後に後処理、たとえばアニール処理などを行なうことによって、最終的に保護膜30の外周表面が平坦化されていればよい。
【0200】
次に、保護膜30が形成された保護膜付単結晶粒36(図33参照)に対してエッチング処理を行なう。エッチング条件としては、保護膜30を構成する材料と単結晶粒3を構成するシリコンとのそれぞれに対してエッチングレートの異なるようなエッチング処理を行なう。このとき、保護膜30に対するエッチングレートより単結晶粒3を構成するシリコンに対するエッチングレートが大きくなっていることが好ましい。ここでは、エッチング処理方法としてウェットエッチングを用い、エッチング用の処理液として一般的な水酸化カリウム水溶液を用いた。この結果、保護膜30の表面層がエッチングにより部分的除去されることにより、突起4が露出する。さらに、続けてエッチングを行うことで、突起4および突起4下に位置する単結晶粒3の一部分が除去される。
【0201】
この結果、図34に示すように、保護膜30が部分的に除去されるとともに、突起4が形成されていた領域においては、保護膜30に開口部31が形成された状態になる。そして、この開口部31では、単結晶粒3を構成するシリコンがエッチングにより除去され、表面に凹部が形成される。そして、エッチング処理を続行することにより、開口部31では、保護膜30下に接する単結晶粒3の外周表面よりも凹んだ状態となる凹部29(図31参照)が形成される。この凹部29が識別マークとなる。
【0202】
この後、保護膜30を除去することにより、図31に示したような球状基板28を容易に得ることができる。
【0203】
なお、上述のように保護膜30を除去した後、さらに球状基板1の外周面を再研磨する工程を行なってもよい。また、識別マークとしての凹部29は、最終的に図31のように保護膜30(図34参照)を除去した後においても識別できるような深さおよび占有面積を有するように設定される。
【0204】
(実施の形態7)
図35は、本発明による球状基板の製造方法の実施の形態7を説明するための模式図である。図35を参照して、本発明による球状基板の製造方法の実施の形態7を説明する。
【0205】
本発明による球状基板の製造方法の実施の形態7は、基本的には図32〜図34に示した球状基板の製造方法と同様である。ただし、図34において示したエッチング工程において、ウェットエッチングではなく異方性エッチングであるドライエッチングを用いる点が異なる。以下、具体的に説明する。
【0206】
まず、図32および図33に示した工程と同様の工程を実施する。ただし、単結晶粒3(図33参照)の表面上に形成される保護膜30(図33参照)を構成する材料としては、ドライエッチングのエッチング種に対してエッチング阻止能力の高い材料を用いることが好ましい。たとえば、保護膜30の材料としてシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、あるいはこれらの材料もしくは他の材料のCVD膜やスパッタリングにより形成された膜などを用いることができる。なお、ここでは保護膜30としてレジスト膜を用いる。
【0207】
次に、保護膜30が形成された単結晶粒を、エッチング方向に対して満遍なく回転させながらドライエッチングを行なう工程を実施する。なお、以下説明するドライエッチングの条件としては、レジスト膜からなる保護膜30(図33参照)に対するエッチングレートよりも、単結晶粒3(図33参照)を構成するシリコンに対するエッチングレートの方が大きな条件を選択する。このエッチング工程としては、具体的には図35に示すような工程を実施する。
【0208】
図35に示すように、保護膜30(図33参照)が形成された保護膜付単結晶粒36を、エッチング装置の処理室内部に配置された保持台33上に複数個配置する。そして、この保持台33を矢印34、35に示すように揺動させる。この結果、保持台33上において保護膜付単結晶粒36が転がることになる。この状態で、矢印32に示す方向からエッチング種を処理室内部に導入する。この結果、保護膜付単結晶粒36が転がっているので、矢印32で示したエッチング方向に対して満遍なく回転させながらエッチングを行なうことができる。
【0209】
なお、この時保持台33自体が揺動するようにエッチング装置が構成されていてもよいが、保持台33をエッチング装置に固定する一方で、エッチング装置自体を揺動させてもよい。
【0210】
ここで、保護膜付単結晶粒36の表面から見た場合のエッチング種の入射速度は、図35の矢印32で示したようなエッチング種の入射速度(絶対入射速度)と保護膜付単結晶粒36の回転速度とを合成した速度になる。そして、保護膜付単結晶粒36の回転速度が大きくなった場合には、この保護膜付単結晶粒36の表面から見た場合のエッチング種の速度(相対速度)と、上述のエッチング種の絶対入射速度(図35の矢印32で示されたエッチング種の入射速度)とのずれ量が大きくなる。この場合、保護膜付単結晶粒36の表面に対して、エッチング種が斜めに入射する割合が大きくなる。このため、保護膜付単結晶粒36の表面に対してできるだけ垂直方向にエッチング種を入射させたい場合(エッチングを保護膜付単結晶粒36の表面から保護膜付単結晶粒36の中心に向かってできるだけ垂直方向に行ないたい場合)は、保護膜付単結晶粒36の表面全体がほぼ均一にエッチングされる許容範囲内で、できるだけ保護膜付単結晶粒36の回転速度を小さくすることが好ましい。
【0211】
そして、このようなドライエッチングを行なうことにより、図33に示すように単結晶粒3の突起4が形成されていた領域に凹部29(図31参照)からなる識別マークを形成する。以下、図34に示した工程と同様の工程を実施することにより、図31に示した球状基板と同様の構造を有する球状基板28を得ることができる。
【0212】
この場合、球状基板28(図31参照)に形成される凹部29の占有面積は、保護膜30(図34参照)において突起部4(図33参照)が露出していた面積(保護膜30が除去されて下地である単結晶粒3(図34参照)の表面が露出している領域の面積)により決定される。つまり、識別マークとしての凹部29(図31参照)の面積を精度良く規定することができる。したがって、球状基板28(図31参照)の表面における凹部29以外の領域の面積である有効面積のばらつきを低減できる。また、保護膜30(図34参照)において開口部31(図34参照)の面積を極力小さくしておけば、識別マークとしての凹部4(図31参照)の占有面積を小さくできるので、結果的に球状基板28(図31参照)の有効面積の減少を抑制することができる。
【0213】
なお、上述のようなドライエッチングを行なう際に、保護膜付単結晶粒36を回転させないようにすれば、単結晶粒3(図33参照)の表面に形成された8つの<111>方向に延在する突起4(図33参照)のうちいずれか1つのみをエッチングにより除去することも可能である。この場合、球状基板28(図31参照)において、識別マークとして作用する凹部を1つだけ形成することも可能となる。また、ドライエッチングの方向を調整して、複数の突起4(図33参照)のうちいずれか2つ、または3つのみといったように、複数の突起4のうちの一部のみをエッチングにより除去することもできる。この場合、球状基板28において識別マークとして作用する凹部29(図31参照)を2つあるいは3つと特定の数だけ形成することもできる。
【0214】
この場合、複数の識別マークとしての凹部29(図31参照)を用いて球状基板28(図31参照)の位置合せを行うことができると同時に、球状基板28における有効面積の減少の程度を小さくすることができる。
【0215】
図36は、図35に示したエッチング工程の第1の変形例を説明するための模式図である。図36に示すように、保護膜付単結晶粒36を回転させながらエッチングを行なう工程において、保護膜付単結晶粒36をホルダ37によって保持し、このホルダ37を矢印34、35に示すように揺動、あるいは回転することにより、図35に示した場合と同様に保護膜付単結晶粒36を回転させながらドライエッチングを行なうことができる。この結果、保護膜付単結晶粒36の表面のほぼ全体についてエッチングを行なうことができる。
【0216】
なお、ホルダ37においては、保護膜付単結晶粒36を保持する手段として真空吸着、あるいは静電吸着などの手段を用いることができる。たとえば、図36に示したホルダ37では、その中央部に真空吸着用の吸引用開口部が形成され、この吸引用開口部は吸引用排気ポンプ(図示せず)に接続されている。
【0217】
図37は、図35に示したエッチング工程の第2の変形例を説明するための模式図である。図37を参照して、図35に示したドライエッチング工程の第2の変形例を説明する。
【0218】
図37に示すように、保護膜付単結晶粒36を回転させながらドライエッチングする方法として、チャンバ38の上部から下部へと保護膜付単結晶粒36を回転させながら落下させる。そして、同時に保護膜付単結晶粒36に対して矢印32に示すように異なる方向からエッチング種を吹きつけてもよい。
【0219】
具体的には、チャンバ38には、チャンバ38の内部に異なる方向からエッチング種を導入することが可能なエッチング種導入部95が設置されている。このエッチング種導入部95から矢印32に示すようにチャンバ38の内部にエッチング種が導入される。そして、チャンバ38の上部から下部へと保護膜付単結晶粒36を回転させる際、このエッチング種導入部95から矢印32に示すように保護膜付単結晶粒36へと異なる方向からエッチング種を入射させる。この結果、矢印39に示すようにチャンバ38内部を落下する保護膜付単結晶粒36は、実質的にその表面が満遍なくエッチングされることになる。したがって、図35に示したエッチング装置を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0220】
なお、ここでは保護膜付単結晶粒36を回転させながら矢印39に示すように落下させているが、チャンバ38を含むエッチング装置自体を回転させてもよい。この場合、保護膜付単結晶粒36の表面におけるエッチングの均一性をより向上させることができる。
【0221】
(実施の形態8)
図38〜図40は、本発明による球状基板の製造方法の実施の形態8を説明するための断面模式図である。図38〜図40を参照して、本発明による球状基板の製造方法の実施の形態8を説明する。
【0222】
本発明による球状基板の製造方法の実施の形態8は、図31に示した球状基板28を形成するための球状基板の製造方法であって、まず図32および図33に示した工程と同様の工程を実施することにより、突起4(図33参照)が形成された状態の単結晶粒3(図33参照)の表面に保護膜30(図33参照)を形成する。保護膜30の厚さは、単結晶粒3の表面に形成された突起4が完全に埋設された状態になる程度の厚さとすることが好ましい。また、保護膜30の表面は下地の構造物である突起4の影響をほとんど受けない程度に平坦化されていることが好ましい。保護膜30の材料としては、レジスト、あるいはシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、もしくはその他の材料などのCVD膜やスパッタリングによって形成された膜を用いることができる。ここでは、保護膜30としてレジスト膜を用いる。
【0223】
レジストを単結晶粒3の表面へ塗布する方法は、図33において説明した場合と同様に霧状のレジストを単結晶粒3の表面に吹きつけるといった方法を用いることができる。なお、他の方法を用いてもよい。保護膜30としてのレジスト膜の表面については、上述のように下地の突起4の影響を受けない程度に平坦化することが好ましい。また、保護膜30としてのレジスト膜に対してベーク処理などを行なった後、最終的に平坦化されていればよい。また、CVD膜などにより保護膜30を形成した場合であっても、保護膜30の成膜処理の後にアニール処理などの後処理を行なうことによって、最終的に保護膜30の表面を平坦化していればよい。
【0224】
その後、図33に示したように保護膜が形成された保護膜付単結晶粒36について、エッチングを行なうことにより単結晶粒3の表面に形成された突起4を部分的に露出させる。この結果、図38に示すような構造となる。ここで、エッチングとしては等方性エッチング、たとえばウェットエッチングなどを用いてもよいし、単結晶粒3の表面に形成された保護膜30の表面を満遍なくエッチングできればドライエッチングなどの異方性エッチングを用いてもよい。また、CMP法などの研磨法を用いてもよい。なお、このような研磨を行なう場合には、保護膜30の材料として、ある程度の硬さを有する材料を選択することが好ましい。たとえば、単結晶粒3(図32参照)を構成する材料であるシリコンと同程度の硬さを有する材料を保護膜30(図33参照)の材料として選択することが好ましい。この場合、研磨工程において保護膜30の表面の平坦化をより容易に行なうことができる。
【0225】
次に、保護膜30(図38参照)をマスクとして、保護膜30の開口部31(図38参照)において露出している単結晶粒3の突起部の表面を酸化する酸化工程を実施する。この結果、図39に示すように、保護膜30において開口部31が形成されていた領域では、単結晶粒3を構成するシリコンが酸化された改質領域としての酸化領域40が形成される。この酸化領域40は、突起4が位置していた領域に形成されているので、単結晶粒3において<111>方向に配置された状態となっている。
【0226】
酸化領域40を形成する方法としては、通常の拡散炉を用いて加熱処理する方法を用いることができる。また、酸化領域40を形成する方法としては他の方法を用いてもよい。たとえば、開口部31において露出した単結晶粒3の表面に酸素もしくはその化合物を注入してもよい。また、開口部31において露出した単結晶粒3の表面に窒素もしくはその化合物を注入あるいは導入することにより、酸化領域40が形成された領域に窒化領域を形成してもよい。
【0227】
なお、酸化領域40の大きさ(たとえば単結晶粒3の中心部に向けた浸入深さ)は、最終的に単結晶粒3の表面を研磨して球状基板を形成した場合にも、酸化領域40が形成されていた領域を識別できる程度の深さであればよい。この酸化領域40の大きさを変更することにより、最終的に形成される凹部29(図31参照)のサイズを任意に変更できる。
【0228】
次に、単結晶粒3の表面から保護膜30をエッチングによって除去する。そして、単結晶粒3の表面を研磨する。なお、図39に示したように保護膜30が形成された状態の単結晶粒3に対して直接、平坦化工程である研磨工程を実施してもよい(つまり、保護膜30ごと単結晶粒3を研磨してもよい)。この場合、保護膜30を除去すると同時に、単結晶粒3の表面を平坦化することができるので、製造工程数を削減できる。
【0229】
この結果、図40に示すように、シリコンからなる基部42の表面に、突起4(図32参照)が形成されていた方向に酸化膜41が残存した球状基板28を得ることができる。酸化膜41は、識別マークとなる凹部29に埋め込まれた状態となっている。なお、基部42および酸化膜41の表面はともに上述の研磨工程によって平坦化されている。
【0230】
次に、フッ化水素を含む溶液などを用いたエッチングにより基部42の表面から酸化膜41を除去する。なお、このエッチング工程においては、基部42を構成するシリコンとシリコン酸化膜からなる酸化膜41とについて選択比のあるエッチングであれば、他のエッチング方法を用いてもよい。この結果、図31に示した球状基板28と同様の構造を有する球状基板を得ることができる。
【0231】
なお、上述の製造方法においては、まず保護膜30を除去した後で、識別マークを構成する凹部29の内部から酸化膜41を除去しているが、保護膜30(図39参照)を除去する前に、酸化領域40(図39参照)を構成する酸化膜をウェットエッチングなどによって除去し、その後保護膜30を除去するといった方法を用いてもよい。
【0232】
また、酸化領域40が形成された部分では、シリコンを窒化、あるいは炭化した化合物などのように、シリコン酸化膜とは異なる他のシリコン化合物を形成してもよい。
【0233】
(実施の形態9)
図41は、本発明による球状基板の実施の形態9を示す断面模式図である。図41を参照して、本発明による球状基板の実施の形態9を説明する。
【0234】
図41に示すように、球状基板44はほぼ球形状の外形を有しており、結晶方位の<111>方向において磁性を帯びた領域である磁性体領域43が形成されている。この磁性体を有する領域である磁性体領域43は識別マークとして機能する。磁性体領域43は後述するように磁性を有する不純物を球状基板44の表面に導入することにより形成された領域である。
【0235】
このように磁性体領域43として十分な強さの磁界を発生させることが可能な領域を形成しておけば、この磁性体領域43によって形成される磁界を用いて自己整合的に球状基板44の位置合せを行なうことができる。
【0236】
たとえば、球状基板44を利用して球状の半導体装置を製造する場合を考える。半導体装置の製造工程において用いる処理装置(製造装置)、たとえばステッパ、エッチャ、注入装置、あるいは研磨装置など、には一般的に基板を保持するための基板保持機構が設置されている。この基板保持機構に磁場発生装置を組込んでおく。そして、球状基板44を基板保持機構で保持する際に、磁場発生装置により磁場を発生させれば、その磁場によって球状基板44の識別マークとしての磁性体領域43を基板保持機構の磁場発生装置に吸着することができる。この結果、球状基板44の位置決めを容易に行なうことができる。
【0237】
また、図41に示すように、球状基板44において<111>方向に識別マークとしての磁性体領域43を配置しておけば、基板保持機構の磁場発生装置に球状基板44の磁性体領域43を吸着させることにより、球状基板44の結晶方位を容易に特定できる。たとえば、磁場発生装置に対向する球状基板44の表面領域およびその表面領域とは反対側に位置する球状基板44の表面領域の結晶方位は、それぞれ自動的に<111>方向となる。また、磁気検知装置を用いれば球状基板44の磁性体領域43を非接触状態で容易に検出できる。
【0238】
また、球状基板44の表面形状をほぼ球形状としたままで識別マークとしての磁性体領域43を形成するので、球状基板44に対して従来の球状基板用の製造装置をそのまま適用することができる。したがって、本発明による球状基板44を用いた半導体装置の製造工程において、新たな装置を準備する必要が無いので、半導体装置の製造コストの増大を抑制できる。
【0239】
また、球状基板44の表面には識別マークとしての凸部や凹部が設けられておらず、比較的滑らかであるので、その機械的強度を高く保つことができる。
【0240】
なお、磁性体領域43に変えて、球状基板44の表面層を改質処理することにより得られる領域、あるいは球状基板44の表面上に識別層を塗布した領域を形成しても、同様の効果を得ることができる。
【0241】
図42〜44は、図41に示した球状基板の製造方法を説明するための断面模式図である。図42〜44を参照して、図41に示した球状基板の製造方法を説明する。
【0242】
まず、図32、図33および図38に示した工程と同様の工程を実施することにより、その表面に保護膜30(図38参照)が形成された単結晶粒3(図38参照)を作製する。保護膜30としてはレジスト膜を用いる。なお、保護膜30の材料として他の材料、たとえばBPSG(Boro Phospho Silicate Glass)膜や他のCVD法によって形成される膜(CVD膜)、あるいはスパッタリング法によって形成される膜を用いてもよい。また、保護膜30を部分的に除去するエッチングとしてはドライエッチングあるいはウェットエッチングのいずれの方法を用いてもよい。また、保護膜30を部分的に除去する方法として、CMP法などの研磨方法を用いてもよい。
【0243】
そして、図42に示すように、保護膜30が表面に配置された単結晶粒3の表面上に不純物を含む膜45を堆積する。膜45に含まれる不純物としてはたとえば磁性を有する不純物(磁性体不純物)を用いることができる。
【0244】
次に、不純物を含む膜45から、保護膜30の開口部31において露出した単結晶粒3の部分に不純物を拡散することにより導入する。この結果、特別な注入装置などを用いることなく、図43に示すように磁性体導入部46が形成される。この不純物導入部としての磁性体導入部46の深さ(単結晶粒3の中心方向に向けた深さ)が最終的に球状基板44(図41参照)となった際に残存する程度の深さとなるように、磁性体導入部46を形成する。なお、磁性体導入部46は最終的に磁性体領域43(図41参照)となる。
【0245】
次に、不純物を含む膜45(図43参照)を除去する。その結果、図44に示すような構造を得る。そして、保護膜30をエッチングなどを用いて除去する。その後、露出した単結晶粒3の表面を研磨して平坦化することにより、図41に示すような球状基板44を得ることができる。なお、このとき保護膜30ごと研磨を行なって保護膜30を除去しつつ単結晶粒3の表面を平坦化してもよい。
【0246】
この結果、突起4(図32参照)が存在していた<111>方向において、図41に示すように球状基板44の表面は平坦化されているが磁性体不純物(磁性を有する不純物)が存在する領域である磁性体領域43が形成される。この識別マークとしての磁性体領域43によって、球状基板44の<111>方向を識別することができる。この識別マークとしての磁性体領域43を検知する方法としては、磁性体領域43により形成される磁界を検知するといった方法を用いることができる。
【0247】
なお、識別マークを形成するために単結晶粒3(図43参照)に導入される不純物としては、磁性体不純物以外の不純物であって、球状基板44(図41参照)の基部42(図41参照)を構成するシリコンと物理的特性あるいは化学的特性が異なり、外部から識別することが可能な不純物であれば他の不純物を用いてもよい。
【0248】
(実施の形態10)
図45は、本発明による球状基板を用いた半導体装置(球状半導体装置)の製造工程において用いる製造装置を示す模式図である。図45を参照して、本発明による球状基板を用いた半導体装置の製造装置を説明する。
【0249】
図45に示すように、製造装置は露光装置であって、球状基板44の表面に転写するためのパターンを形成する露光光を準備するイメージングシステム47と、球状基板44の表面へとイメージングシステム47から放出された露光光を投影するためのレンズシステム48と、球状基板44を保持するためのホルダ49とを備える。球状基板44は、図41に示した球状基板と同様の構造を備えている。球状基板44の表面の<111>方向には識別マークとしての磁性体領域43が形成されている。
【0250】
ホルダ49は、磁場発生装置50と、この磁場発生装置50に接続され、球状基板44を保持する部位(ホルダ49の上部表面)にまで磁場を伝達するための磁場伝達部材51とを備える。基板保持機構であるホルダ49の上部表面には、磁場伝達部材51の一方端部が露出した状態になっている。そして、磁場発生装置50において磁場を発生させることにより、磁場伝達部材51の一方端部(ホルダ49の上部表面に露出した側の端部)に球状基板44の磁性体領域43を吸着することができる。この結果、ホルダ49において球状基板44の位置合せを自己整合的に行うことができるとともに、球状基板44を保持、固定することができる。この状態で、イメージングシステム47およびレンズシステム48を用いて球状基板44の表面に所定のパターンを転写することができる。なおこのとき球状基板44の表面にはレジスト膜などが形成されている。
【0251】
図46は、図45に示した露光装置のホルダの第1の変形例を説明するための部分断面模式図である。図46を参照して、露光装置のホルダの第1の変形例を説明する。
【0252】
図46に示すように、第1の変形例としてのホルダ49は、基本的には図45に示した露光装置のホルダ49と同様の構造を備えるが、球状基板44を吸着する吸着部に磁場発生装置52が直接露出した状態となっている。磁場発生装置52としては、コイルや電磁石を用いることができる。
【0253】
この結果、図45に示した露光装置におけるホルダ49と同様に、磁場発生装置52において磁場を発生させることにより、球状基板44の磁性体領域43をホルダ49の上部表面に吸着することができる。この結果、磁場を用いて球状基板44の方向(ホルダ49に対する球状基板44の結晶方位)を決定することができる。
【0254】
図47は、図45に示した露光装置のホルダの第2の変形例を説明するための部分断面模式図である。図47を参照して、ホルダ49の第2の変形例を説明する。
【0255】
図47に示すように、ホルダ49は基本的には図46に示したホルダと同様の構造を備えるが、磁場発生装置52はホルダ49に形成された開口部53の内部に配置されている。開口部53は、図示していないが真空ポンプなどと接続されている。このため、ホルダ49の上部表面において、開口部53からホルダ49の雰囲気ガスを吸引するように真空ポンプを動作させることにより、球状基板44を吸引してホルダ49の上部表面に固定することができる。また、このとき磁場発生装置52において磁場を発生させることにより、識別マークとしての磁性体領域43が磁場発生装置52側に向くように、球状基板44の方向を決定することができる。なお、磁場発生装置52において発生させる磁場の強度を十分大きくすることにより、球状基板44をホルダ49へと吸着するための吸着部材としても磁場発生装置52を利用できる。
【0256】
このようにしても、図45に示した露光装置におけるホルダ49と同様の効果を得ることができる。
【0257】
図48は、図45に示した露光装置のホルダの第3の変形例を説明するための部分断面模式図である。図48を参照して、ホルダ49の第3の変形例を説明する。
【0258】
図48に示すように、ホルダ49は基本的には図47に示したホルダ49と同様の構造を備えるが、電磁石などのような開口部53(図47参照)内部に配置された磁場発生装置52(図47参照)に代えて、開口部53を囲むように配置されたコイル54を備える。このコイル54に電流を供給することにより、図47に示した磁場発生装置52と同様にホルダ49において磁場を発生させることができる。この結果、図47に示したホルダと同様の効果を得ることができる。
【0259】
図49および図50は、図45に示した露光装置におけるホルダの第4の変形例を説明するための部分断面模式図である。図49および図50を参照して、ホルダ49の第4の変形例を説明する。
【0260】
図49および図50に示すように、ホルダ49においては磁場発生装置52が上下方向に移動可能になっている。そして、磁場発生装置52により磁場を発生させることにより、磁場発生装置52の上部表面上に球状基板44の磁性体領域43を吸着させる場合には、磁場発生装置52の上端部がホルダ49の上部表面から突出した状態となるように磁場発生装置52を配置する。そして、磁場発生装置52により磁場を発生させる。この結果、磁場発生装置52の上端に球状基板44の磁性体領域43を吸着させることができる。したがって、図45に示した露光装置のホルダと同様の効果を得ることができる。
【0261】
また、ホルダ49から球状基板44を取外す場合には、磁場発生装置52における磁場の発生を中止するとともに、磁場発生装置52を図50に示すように下側に移動させる。図50からもわかるように、この時、磁場発生装置52はホルダ49に形成された開口部55の内部に引っ込んだ状態となる。磁場発生装置52は開口部55の延在する方向に摺動可能になっている。この結果、ホルダ49から球状基板44を確実に取外すことができる。
【0262】
図51は、図45に示した露光装置におけるホルダの第5の変形例を説明するための分断面模式図である。図51を参照して、ホルダ49の第5の変形例を説明する。
【0263】
図51に示すように、ホルダ49は基本的には図46に示したホルダ49と同様の構造を備えるが、磁場発生装置としてコイル54と、このコイル54の中心軸に沿うように配置された磁性体芯56とを備える。コイル54に電流を供給することにより、磁場を発生させることができる。そして、このとき磁性体芯56の上部表面に、図46に示したホルダ49と同様に球状基板44の磁性体領域43(図46参照)を吸着することができる。この結果、図46に示したホルダと同様の効果を得ることができる。
【0264】
図52は、図45に示した露光装置におけるホルダの第6の変形例を説明するための部分断面模式図である。図52を参照して、ホルダ49の第6の変形例を説明する。
【0265】
図52に示すように、ホルダ49は、基本的には図51に示したホルダと同様の構造を備えるが、コイル54の内周側に開口部53が形成されている。開口部53は図示していない真空ポンプと接続されている。そして、磁性体芯56はこの開口部53の内部に配置されている。
【0266】
この結果、コイル54に電流を供給することにより磁場を発生させ、この磁場によって球状基板44をホルダ49の上部表面に吸着することができる。さらに、真空ポンプを動作させることにより開口部53の上部において球状基板44を真空吸着することが可能となる。この結果、図47に示したホルダ49と同様の効果を得ることができる。
【0267】
なお、球状基板44を保持する方法として、磁場を用いる方法や真空吸着する方法、あるいはこれらを併用する方法などを示したが、球状基板44を物理的に把持部材などで挟み込んで保持するといった方法などを用いてもよい。なお、上述のように磁場を発生させる装置(磁場発生装置50、52およびコイル54など)は、球状基板44を吸着する機能を有するとともに、球状基板44における識別マークとしての磁性体領域43の方向を決定する機能も有する。
【0268】
また、磁場の発生方法としては、コイル54を用いる方法、あるいは磁性体(すなわち磁石)を用いる方法、あるいはこれらを併用する方法などを用いてもよい。また、たとえば図46に示すように磁力で球状基板44を保持する場合、ホルダ49から球状基板44を取外す時(リリースする時)には、発生させる磁場を弱めるような操作を行なえばよい。たとえば、図48に示すようなコイル54を用いる場合には、コイル54に供給する電流を減少させる、あるいは反転させるといった操作を行なえばよい。
【0269】
また、磁場発生装置52として磁石を用いるような場合、図49および図50に示したようにこの磁場発生装置52を移動可能に構成しておけば、図50に示すように磁場発生装置52をホルダ49の内部へと引込めるというような操作を行うことにより、容易に球状基板44をホルダ49から取外すことができる。また、もし磁石とコイルとを併用しているような場合には、球状基板44がホルダ49に吸着される場合とは逆方向の電流をコイルに印加することにより、十分な強度を有する反対方向の磁場を発生させればよい。このようにして、球状基板44をホルダ49から容易に取外すことができる。
【0270】
(実施の形態11)
図53〜図55は、本発明による球状基板の製造方法の実施の形態11を説明するための断面模式図である。図53〜図55に示した球状基板の製造方法は、図41に示した球状基板の製造方法であって、識別マークとしての磁性体領域43(図41参照)を形成するために単結晶粒3(図53参照)へと不純物を導入する導入方法が異なる。すなわち、以下に説明する製造方法においては、識別マークとしての磁性体領域43(図41参照)を形成するために、単結晶粒3の表面に不純物を注入する工程を行なっている。以下具体的に説明する。
【0271】
まず、本発明の球状基板の製造方法の実施の形態1と同様に、単結晶粒を溶融した後、その溶融したシリコンを冷却して図32に示すような単結晶粒3を得る。次に、この単結晶粒3の表面上に2層からなる保護膜を形成する。具体的には、図53に示すように、単結晶粒3の表面上にシリコン酸化膜からなる1層目保護膜57を形成する。さらに、1層目保護膜57上に金属膜からなる2層目保護膜58を形成する。この1層目保護膜57および2層目保護膜58の材料としては、識別マークとしての磁性体領域43を形成するために注入される不純物(注入種)の注入工程において、この不純物の透過を防止する阻止能力の高い材料を用いることが好ましい。
【0272】
次に、2層目保護膜58の一部をエッチングにより除去する。この結果、図54に示すような構造を得る。このエッチングの条件としては、単結晶粒3を構成するシリコンについても除去できるようなエッチング条件を採用する。この結果、図54に示すようにエッチング後の2層目保護膜58の表面と、2層目保護膜58および1層目保護膜57に形成された開口部59において露出する単結晶粒3の部分の上部表面とがほぼ1つの曲面を形成する。
【0273】
この後、図54に示した単結晶粒3を回転させながら不純物(ここでは磁性を有する不純物)を注入する。注入方法としては、具体的には図35〜37に示した装置と同様の構成を備える不純物注入装置を用いることができる。すなわち、図35〜図37は、保護膜付単結晶粒36(図35参照)を回転させながらドライエッチングを行なう装置を示していたが、矢印32(図35参照)に示した方向から導入されるエッチング種に代えて、注入されるべき不純物を矢印32(図5参照)に示した方向から照射する。そして、保護膜付単結晶粒36(図35参照)に代えて保持台33上に図54に示した単結晶粒3を配置する。このようにすれば、図54に示した1層目保護膜57および2層目保護膜58が表面に形成された単結晶粒3の表面全体に満遍なく不純物を照射することができる。
【0274】
この結果、開口部59(図54参照)において露出した単結晶粒3(図54参照)の部分には磁性を有する不純物が注入され、図55に示すように注入部60が形成される。このとき、注入部60は、1層目保護膜57および2層目保護膜58を除去した後においても残存可能なように十分な深さにまで到達するように形成される。ここで、注入部60は最終的に識別マークとしての磁性体領域43(図41参照)となる。
【0275】
なお、この注入工程において、1層目保護膜57および2層目保護膜58が表面に形成された単結晶粒3の回転速度が速過ぎる場合には、注入される不純物が単結晶粒3の表面に対して斜めに入射することになる。したがって、単結晶粒3の表面に対してほぼ垂直な方向(単結晶粒3の中心部に向かう方向)から極力不純物を注入したい場合、許容できる範囲内でできるだけ単結晶粒3の回転速度を小さくすることが好ましい。
【0276】
この後、図44に示した工程と同様に、2層目保護膜58、1層目保護膜57をそれぞれエッチングなどにより除去した後、露出した基部42(図55参照)の表面を研磨などによって平坦化する。この結果、図41に示したような球状基板44を得ることができる。
【0277】
なお、注入部60(図55参照)を形成するための注入工程において、注入エネルギーを適宜選択することにより注入部60の深さ方向の位置や広がりを任意に変更できる。たとえば、注入部60を基部42(図55参照)の表面から十分深い領域(球状基板44(図41参照)の表面上に形成される半導体素子の動作に必要な不純物領域の位置より深い部分に位置する領域)に形成することもできる。そして、この注入部60を、球状基板44(図41参照)の表面における素子などの形成のための不純物領域が形成される領域の深さよりも十分深い領域に形成すれば、この注入部60が形成された領域上にも電界効果トランジスタなどの半導体素子やその他の素子を形成することが可能になる。この結果、球状基板44の表面において素子などを形成することが可能な有効面積を大きくすることができる。
【0278】
また、図54および55において説明した注入工程において、1層目保護膜57および2層目保護膜58が形成された単結晶粒3(図54参照)を回転させることなく1方向から不純物を注入すれば、球状基板44(図41参照)において<111>方向である8つの方向のうちいずれか1つの方向に位置する領域にのみ不純物を注入することができる。すなわち、球状基板44において、識別マークとしての磁性体領域43(図41参照)を1つだけ形成することも可能である。
【0279】
(実施の形態12)
図56は、本発明による球状基板の実施の形態12を示す断面模式図である。図56を参照して、本発明による球状基板の実施の形態12を説明する。
【0280】
図56に示すように、球状基板62はほぼ球形状の外形を有しており、<111>方向において凹部の中に埋込まれた識別マークとしての酸化膜61を有する。すなわち、球状基板62は、シリコンからなるほぼ球形状の基部42と、この基部42の表面に形成された凹部の内部に充填された状態となっている識別マークとしての酸化膜61とを備える。
【0281】
図56に示した球状基板62においては、識別マークとして作用する改質領域である酸化膜61の存在により、球状基板62における<111>方向を検出することができる。たとえば、図57に示すように、球状基板62の表面における光の屈折率の変化を測定することによって、識別マークを構成する酸化膜61の位置を検出することができる。
【0282】
図57は、図56に示した球状基板について、識別マークを検出するとともに球状基板の位置決めを行なう装置(識別装置)の構成を説明するための模式図である。図57に示すように、装置は制御部63と測定部65と位置決め部64とを備える。制御部63は測定部65および位置決め部64を制御する。測定部65は、球状基板62の表面に光を照射し、その反射光を検出することによって球状基板62の表面に形成された識別マークとしての酸化膜61の位置を検出する。なお、測定部65では、照射した光の屈折率の変化を測定することによって、球状基板62の表面における酸化膜厚の変化を識別する。そして、識別マークとしての酸化膜61は、他の領域よりもその酸化膜の厚みが厚くなっているので、容易に酸化膜61を検出することができる。酸化膜61の位置データは測定部65から制御部63へと伝送される。制御部63は、その伝送された位置データに基づいて、位置決め部64に制御信号を伝送する。位置決め部64は、制御部63からの制御信号に基づいて球状基板62の位置を制御する。
【0283】
既に述べたように、識別マークとしての酸化膜61は、球状基板62の<111>方向に形成されている。したがって、図57に示した装置を用いて、球状基板62において結晶方位を正確に把握し、その結晶方位に合せて球状基板62を配置することができる。
【0284】
なお、球状基板62に代えて、図41に示すように識別マークとして磁性体領域43を有する球状基板44を識別する場合には、測定部65(図57参照)に磁場の強さの変化を検出する手段としての磁気検出装置を配置することが好ましい。このようにすれば、磁性体領域43(図41参照)を有する球状基板44(図41参照)について、識別マークとしての磁性体領域43を容易に検出することができる。
【0285】
図56に示した球状基板62の製造方法は、基本的には図38〜図40に示した球状基板の製造方法と同様である。すなわち、図38〜図40に示した球状基板の製造方法では、図40に示した工程において球状基板28(図40参照)の表面から酸化膜41(図40参照)を除去していたが、この酸化膜41(図40参照)を除去することなく残存させれば図56に示した球状基板62を得ることができる。
【0286】
なお、識別マークとして作用する領域は、図56に示したように酸化膜61に限られず、窒化膜、あるいは他のシリコン化合物膜であってもよい。
【0287】
(実施の形態13)
図58は、本発明による球状基板の実施の形態13を説明するための断面模式図である。図58を参照して、本発明による球状基板の実施の形態13を説明する。
【0288】
図58に示すように、球状基板62は、基本的に図56に示した球状基板と同様の構造を備えるが、識別マークを構成する領域の材質が異なる。すなわち、図58に示した球状基板62においては、SOG(Spin On Glass)膜66からなる識別マークが形成されている。識別層としてのSOG膜66は、球状基板62の<111>方向に位置する領域に形成されている。このような球状基板62によっても、本発明による球状基板の実施の形態12と同様の効果を得ることができる。
【0289】
図59および図60は、図58に示した球状基板の製造方法を説明するための断面模式図である。図59および図60を参照して、図58に示した球状基板の製造方法を説明する。
【0290】
まず、図32〜図34に示した工程と同様の工程を実施することにより、図59に示したような球状基板を準備する。図59に示した球状基板においては、シリコンからなる基部42の表面に凹部29が形成されている。この凹部29は<111>方向に位置する領域に形成されている。
【0291】
次に、図59に示した球状基板の表面全体にSOG膜67(図60参照)を形成する。この結果、図60に示したような構造を得る。
【0292】
この後、等方性エッチングを行なうことにより、基部42の表面に形成されたSOG膜67の部分を除去するとともに、凹部29の内部にのみSOG膜66(図58参照)を残存させる。その結果、図58に示したような球状基板62を得ることができる。
【0293】
(実施の形態14)
図61は、本発明による球状基板の実施の形態14を説明するための断面模式図である。図61を参照して本発明による球状基板の実施の形態14を説明する。
【0294】
図61に示すように、球状基板1はほぼ球形状の外形を有し、その<111>方向における表面にはレジスト膜69からなる識別マークが形成されている。また、レジスト膜69が配置された領域以外の表面領域には、球状基板1の表面層が改質された表面改質部68が形成されている。この表面改質部68としては、たとえば親水性の酸化膜を形成してもよい。また、この場合、レジスト膜69を構成する材料としては、疎水性のレジスト膜を用いることが好ましい。
【0295】
このように、図61に示した球状基板1においても、<111>方向に識別マークとして作用するレジスト膜69が配置されているので、図58に示した球状基板と同様の効果を得ることができる。
【0296】
図62および図63は、図61に示した球状基板の製造方法を説明するための断面模式図である。図62および図63を参照して、図61に示した球状基板1の製造方法を説明する。
【0297】
まず、本発明の実施例6における製造方法と同様に、図32に示したような単結晶粒3を準備する。そして、この表面に突起4(図62参照)が形成された単結晶粒3(図62参照)について、その表面を改質する工程を実施する。その結果、図62に示すように、単結晶粒3の表面に表面改質部68が形成される。表面改質部68は、レジスト膜69(図61参照)を構成する材料との親和性が悪くなるような処理を施された領域である。たとえば、表面改質部68として親水性の酸化膜が形成される。
【0298】
その後、突起4(図62参照)を研磨することにより除去する。その結果、図63に示すような構造を得る。このとき、突起4が形成されていた領域においては、疎水性のシリコン表面が露出した露出部70が形成されている。そして、この状態で疎水性のレジストを単結晶粒3の表面上に塗布する。
【0299】
この結果、表面改質部68には親水性の酸化膜が形成されているため、表面改質部68上からは疎水性のレジストがはじかれてしまう。一方、露出部70では疎水性のシリコン表面が露出しているため、この露出部70上に疎水性のレジスト膜が塗布された状態となる。その後、ベーク処理など所定の処理を行なうことにより、図61に示したような球状基板1を得ることができる。
【0300】
なお、疎水性のレジスト膜を用いる代わりに、疎水性の材料であれば識別マークとして露出部70上に配置することが可能である。
【0301】
(実施の形態15)
図64は、本発明による球状基板を利用した測定装置としての加速度センサを示す断面模式図である。図65および図66は、図64に示した加速度センサの動作を説明するための断面模式図である。図64〜図66を参照して、本発明による球状基板を利用した加速度センサを説明する。
【0302】
図64に示すように、加速度センサ75は、中空であって球形状のケース71と、このケース71の内壁面上に配置された電極72a〜72dと、このケース71の内部に保持され、その表面の全部または一部にメタル層73が形成された球状基板1とを備える。球状基板1は、その一部が平坦化された識別マークとしての平面部2を有する。なお、球状基板1として、図64に示すように識別マークとしての平面部2を有するものではなく、たとえば図22に示したような球状基板を用いてもよい。球状基板1は、その表面に形成されたメタル層73と電極72a〜72dとの間に働く静電力によって空隙74を形成した状態でケース71内に保持されている。
【0303】
加速度センサ75においては、この加速度センサ75が静止した状態、あるいは等速度運動状態の場合、図64に示すように球状基板1が識別マークとしての平面部2を鉛直上向きに配置した状態で静止している。
【0304】
次に、図65に示すように、加速度センサ75を図65の矢印の方向(右方向)に加速している状態では、加速度が加えられることによって球状基板1が傾いた状態となる。この結果、球状基板1のメタル層73と電極72a〜72dのそれぞれとの間の位置関係が変化する。そのため、このメタル層73と電極72a〜72dとの間の静電容量が変化することになる。そして、この静電容量の変化によって加速度センサ75に加えられた加速度の大きさを検出することができる。
【0305】
また、図66は、加速度センサ75に対して図66の矢印方向(左方向)に加速度が加えられた状態を示している。この場合も、加速度が加えられることによって球状基板1が傾いている。そのため、図65に示した場合と同様に静電容量の変化から加速度の大きさを検出することができる。
【0306】
図64〜図66に示した加速度センサ75は、球状基板1の配置を決定する際に重力を積極的に利用している。また、構造が簡単であり、かつ静電容量の変化を検出するという比較的簡単な制御を行なうことにより加速度の大きさを検出することができる。また、ケース71は球形状であるため、ケース71と球状基板1との位置合わせを容易に行なうことができる。さらに、図64に示したように、重力によって自己整合的に識別マークとして作用する平面部2が鉛直上方向に位置することになる。そのため、非常に単純な構成で精度の高い加速度センサを実現することができる。
【0307】
図67は、図64〜66に示した加速度センサの変形例を示す断面模式図である。図67を参照して、図64〜図66に示した加速度センサ75の変形を説明する。
【0308】
図67に示すように、加速度センサ75は基本的には図64〜図66に示した加速度センサ75と同様の構造を備えるが、球状基板1にいて、平面部2の外縁部が曲面状に加工された肩部76が形成されている。また、メタル層73においても、肩部76上に位置する領域において表面が曲面状に成形された肩部77が形成されている。このようにすれば、ケース71の内部において電極72a〜72dのいずれかに球状基板1の平面部2の外周部が引っかかるといった不良の発生を抑制できる。また、このように表面を曲面状に形成した肩部76、77を形成しておけば、この肩部77がケース71や電極72a〜72dと衝突したような場合、ケース71や電極72a〜72dにおいて損傷が発生する危険性を低減することができる。
【0309】
(実施の形態16)
図68は、本発明による球状基板を利用した加速度センサを説明するための断面模式図である。図69および図70は、図68に示した加速度センサの動作を説明するための断面模式図である。図68〜図70を参照して、本発明による球状基板を用いた加速度センサを説明する。
【0310】
図68に示すように、加速度センサ75は、球形状であって中空のケース71と、このケース71の内壁面上に配置された磁気センサ78a〜78dと、このケース71の内部に保持された球状基板44とを備える。球状基板44は、図41に示した球状基板44と同様の構成を備え、シリコンからなる基部42と、この基部42の表面の所定領域に形成された識別マークとしての磁性体領域43とを含む。球状基板44は、ケース71の内壁と磁性体領域43との間に働く磁力によって、空隙74を介してケース71中で浮いたような状態で保持されている。
【0311】
図68は、加速度センサ75が静止した状態、あるいは等速度運動中のように加速度が加えられていない状態を示している。そして、図69に示すように、矢印方向(左方向)に加速度が加えられた場合には、図69に示したようにケース71の内部において球状基板44が相対的に右側に寄った状態となる。また、たとえば図70に示すように、加速度センサに矢印方向(下方向)の加速度が加えられた場合には、ケース71の内部において球状基板44は相対的に上方向にずれた領域に位置する。この結果、球状基板44の位置がずれることにより、磁気センサ78a〜78dによって検出される磁界の大きさが変化する。したがって、加速度の大きさをこの磁界の変化により検出することができる。
【0312】
なお、磁気センサ78a〜78dに代えて、磁気センサ78a〜78dと同じ位置に磁場発生装置を設置しておいてもよい。そして、たとえば図69または図70のように球状基板44が所定の位置からずれた場合に、球状基板44の位置ずれを修正するために、磁場発生装置により発生させる磁場の大きさにより加速度を検出してもよい。この場合、図69のように球状基板44が所定の位置からずれた場合に、図68に示したようにケース71内部においてほぼ中央部に位置するように球状基板44の位置を修正するため、磁気センサ78bの位置に形成された磁場発生装置により大きな磁場を発生させる必要がある。したがって、この磁場発生装置にはより大きな電流が流れることになる。この電流値の変化によって球状基板44の変位を検出することができるので、結果的に加速度を検出することができる。
【0313】
なお、このような磁場発生装置をケース71の内部に配置した磁場発生方式の方が、加速度センサ75に大きな加速度が加えられるような場合、磁場発生装置において発生させる磁場の強度をその加速度の大きさに合わせて大きくするので、球状基板44とケース71の内壁や磁場発生装置とが接触するといった現象の発生を抑制することができる。この結果、加速度センサの故障の発生を抑制することができるのでより好ましい。
【0314】
(実施の形態17)
図71は、本発明による球状基板を利用した集積回路を適用したシステムとしてのICカードを示す模式図である。また、図72は、図71の線分LXXII−LXXIIにおける断面模式図である。図71および72を参照して本発明による球状基板を利用した集積回路を適用したICカードを説明する。
【0315】
図71に示すように、本発明による球状基板を利用した集積回路を適用したICカード79は、樹脂シート80と、この樹脂シート上に形成された配線81と、樹脂シート80に形成されたマウント85(図72参照)に収容された、球状基板を利用した集積回路(球状集積回路82(図72参照))とを備える。
【0316】
図72に示すように、球状集積回路82は、その一部が削り取られることにより形成された識別マークとしての平面部2を有する球状基板1の表面上に複数の半導体素子(図しせず)が形成されることにより構成されている。球状基板1の表面において、平面部2の中央部には一方の球状基板側端子84aが形成されている。また、球状基板1において、球状基板側端子84aと反対側に位置する領域における表面上に他の球状基板側端子84bが形成されている。
【0317】
マウント85は、球状基板1の形状に沿うように、平面部2に対向する領域は平面状の壁面を有するように形成されている。そして、マウント85において、上述の球状基板側端子84a、84bと対向する位置にはICカード側の端子83a、83bがそれぞれ球状基板側端子84a、84bと接触するように配置されている。端子83a、83bはそれぞれ配線81と接続されている。球状集積回路82は、球状基板側端子84a、84b、端子83a、83bを介して外部の配線81と電気的に接続されている。
【0318】
このように、本発明による球状基板を利用した球状集積回路82をICカード79(図71参照)に適用しているので、従来のように平板状の半導体装置(集積回路チップ)をICカード79に適用した場合のように、ICカード79が曲げられた場合に集積回路チップが割れるなどの損傷が発生することを防止できる。すなわち、図71に示したICカード79では、ICカード79を曲げたりしたような場合であっても、球状集積回路82が従来の集積回路チップより高い剛性を示すので、この球状集積回路82が割れるといったおそれがほとんどない。
【0319】
また、図72に示すように、球状集積回路82が形成された球状基板1には、識別マークとして作用する平面部2が形成されているので、マウント85へと球状集積回路82を搭載する際位置合わせなどを容易に行なうことができる。
【0320】
図73は、図71および72に示したICカードの変形例を説明するための断面模式図である。図73は図72に対応する。図73を参照して、図71および72に示したICカードの変形例を説明する。
【0321】
図73に示したICカードの変形例において、球状集積回路82は識別マークとしての磁性体領域43がその表面に形成された球状基板44を用いている。そして、マウント85は、球状基板44の外形に適合するようにほぼ球形状に形成されており、マウント85の側壁面においては、球状基板44の識別マークとしての磁性体領域43が配置されるべき領域に磁場発生装置86が配置されている。なお、磁場発生装置86が配置された領域には、磁場発生装置に代えて単純な磁性体を配置しておいてもよい。このようにすれば、マウント85の内部に球状集積回路82を搭載した場合、磁力によって磁性体領域43が自己整合的に磁場発生装置86と対向する領域へと移動する。この結果、球状集積回路82の位置合わせを容易に行なうことができる。
【0322】
なお、球状集積回路82の表面においては、図72に示した球状集積回路82と同様に球状基板側端子84a、84bが形成されている。磁性体領域43と磁場発生装置86とが対向するように球状集積回路82が位置合わせされた際、球状基板側端子84a、84bと対向する領域に位置するように端子83a、83bが形成されている。球状基板側端子84a、84bは端子83a、83bとそれぞれ電気的に接続された状態となる。端子83a、83bは配線81と電気的に接続されている。この結果、球状集積回路82は球状基板側端子84a、84b、端子83a、83bを介して配線81と電気的に接続される。このように、球状集積回路82を用いることにより、マウント作業や位置合わせを容易に行なうことができ、かつ破損しにくいICカードを実現できる。
【0323】
なお、図73に示したように磁力を用いて球状集積回路82を位置合わせしてもよいが、静電力を用いて球状集積回路82を位置合わせすることも考えられる。この場合、識別マークとしては磁性体領域43に代えて金属膜などを磁性体領域43が形成された領域に形成することが好ましい。
【0324】
(実施の形態18)
図74は、本発明による球状基板を利用した集積回路または機能素子を複数個用いて形成された大規模集積回路の構造を示す断面模式図である。図74を参照して、本発明による球状基板を利用したシステムとしての大規模集積回路を説明する。
【0325】
図74に示すように、基板87の表面上に球状基板1a〜1cが搭載されている。球状基板1a〜1cは識別マークとしての平面部2を有する。このとき、平面部2に接続用の電極を設けておけば、特にバンプなどを用いることなく基板87に球状基板1a〜1cを接続することができる。なお、球状基板1a〜1cの表面には半導体素子やその他の機能素子が形成されている。そして、このような半導体素子などを形成する領域として球状基板1a〜1cの表面が利用されているため、基板87上における同一の占有面積において、従来よりもより多くの半導体素子を配置することができる。すなわち、実効的な集積度を向上させることができる。
【0326】
図75は、図74に示した大規模集積回路の第1の変形例を示す断面模式図である。図75を参照して、大規模集積回路の第1の変形例を説明する。
【0327】
図75に示すように、基板87上に配置された球状基板1d〜1fにおいては、平面部2に加えて平面部88が形成されている。このように、球状基板1d〜1fの中心に対して点対称になるような位置に複数の平面部88を形成することにより、図75に示すように球状基板1d〜1fを横方向に連結した集合体を形成することができる。そして、この平面部88において接続用の電極などを形成しておけば、バンプなどを用いることなく球状基板1d〜1fを横方向に連結することができる。また、このような平面部2、88を形成しておけば、球状基板1d〜1fの位置合わせを容易に行なうことができる。この結果、図74に示した大規模集積回路による効果が得られるとともに、球状基板1d〜1fの占有面積をより小さくすることができるので、実効的な集積度をより高めることができる。
【0328】
図76は、図74に示した大規模集積回路の第2の変形例を示す断面模式図である。図76を参照して、図74に示した大規模集積回路の第2の変形例を説明する。
【0329】
図76に示すように、基板87上に球状基板1g〜1iを垂直方向に積層した集合体を形成してもよい。このとき、球状基板1g〜1iには、上部と下部の2ヵ所に(その中心点から見てほぼ点対称となる位置に)平面部89が形成されている。この平面部89に接続用電極などを設けておけば、特にバンプなどを用いることなく球状基板1g〜1iを積層して連結することができる。このようにすれば、基板87における球状基板1g〜1iの占有面積をより小さくすることができるので、実効的な集積度をさらに向上させることができる。
【0330】
図77は、図74に示した大規模集積回路の第3の変形例を示す断面模式図である。図77を参照して、図74に示した大規模集積回路の第3の変形例を説明する。
【0331】
図77に示すように、球状基板1j、1k、1m〜1qのそれぞれにおいて、球状基板の中心部から点対称になるような4ヵ所に平面部88、89をそれぞれ形成する。その結果、図77に示すように、横方向および垂直方向のそれぞれに球状基板1j、1k、1m〜1qを連結、積層した集合体を形成することができる。このようにすれば、球状基板1j、1k、1m〜1qを安定して連結できるので、立体構造の大規模集積回路を容易に構成することができる。また、このように平面部88、89を形成することにより、球状基板1j、1k、1m〜1qをより密に積層配置することができるので、実効的な集積度を向上させることができる。
【0332】
上述した大規模集積回路においては、球状基板1a〜1k、1m〜1qに形成された平面部2、88、89にも半導体素子などを形成する(平面部2、88、89の面積も半導体素子を形成することが可能な有効面積に加えられる)と考えれば、従来のように基板87上に単純に半導体素子などを配置する場合よりも半導体素子の集積度は約3倍程度向上する。
【0333】
また、球状基板において、その中心部から見て点対称となる6ヵ所に平面部を形成しておけば、図77に示したように基板87の表面に平行な方向および基板87に垂直な方向に加えて、図77における紙面に垂直な方向(奥行方向)にも球状基板を積層配置することができる。このようにすれば、さらに大規模な大規模集積回路を容易に構成することができる。
【0334】
このように、本発明による球状基板を用いて、この球状基板の表面に集積回路や機能素子などを形成している場合、この球状基板を横方向に連結するあるいは積上げるといったことができるので、基板に対して垂直方向の積上げ階層や横方向の連結数を増やせる限りにおいて実質的に複雑な大規模集積回路を構成することが可能となる。また、基板に対して垂直方向に球状基板を積上げていけば、基板87の表面における占有面積を一定にした状態で大規模集積回路を構成する素子数を増大することができる。すなわち、実効的な集積度を高めることができる。
【0335】
また、本発明による球状基板1a〜1k、1m〜1qにおいては、平面部2、88、89などからなる識別マークが形成されているので、球状基板の位置合わせが極めて容易である。そのため、図74〜77に示したような大規模集積回路を形成する工程の生産性を向上させることができる。
【0336】
(実施の形態19)
図78は、本発明による球状基板を利用した集積回路を備えるシステムとしての半導体装置の模式図である。図79は、図78に示した半導体装置の部分拡大模式図である。図80は、図78に示した半導体装置を構成する球状基板の側面模式図である。図81は、図80に示した球状基板の底面模式図である。図82は図80に示した球状基板を斜め下から見た模式図である。図83は図82の矢印93側から見た球状基板の側面模式図である。図78〜83を参照して、本発明による集積回路の実施の形態19を説明する。
【0337】
図78に示すように、半導体装置は平板状の基板87と、平板状の基板87上に配置された複数の球状基板90とからなる。そして、基板87の表面上には集積回路を構成する素子91(図79参照)が形成されている。また、球状基板90の表面には、その球面状の表面上に集積回路を構成する素子(図示せず)が形成され、また、識別マークとしての平面部2(図79参照)の表面上にも集積回路を構成する素子92(図79参照)および電極(図示せず)が形成されている。球状基板90の表面に形成された素子を含む回路は、平面部2に形成された接続用の電極(図示せず)において平板状の基板87上に形成された素子91などを含む回路と電気的に接続されている。
【0338】
このように、球状基板90において、曲面部上のみではなく平面領域としての平面部2上にも半導体素子からなる集積回路を形成することにより、平面部2を形成することに伴う球状基板90における素子の形成領域の面積(有効面積)の減少を最小限にとどめることができる。
【0339】
また、平面部2に素子92を形成することは、その平面部2の表面が平坦化されているため、形成される素子92としてのトランジスタなどの面方位を一定方向に揃えたい場合(たとえば、チャネル領域を流れる電流の向きを特定の結晶方位に合せたい場合)などに特に有用である。また、既に述べたように、このような平面部2を形成しておけば、球状基板90を平板状の基板87上に搭載する場合に位置合わせを容易に行なうことができる。また、球状基板90においては、実施の形態18で示したように複数箇所に平面部を設けておけば、球状基板90の上に他の球状基板を積層して配置する、あるいは横方向に連結して球状基板を配置するといったことを容易に行なうことができる。この結果、集積回路を構成する素子の集積度を向上させることができる。
【0340】
なお、上述した実施の形態1〜19においては、球状基板を構成する材料としてシリコンを用いて説明したが、その他の半導体材料を球状基板の材料として用いてもよい。また、さらにその他のあらゆる材料からなる球状基板に対しても、本発明は適用可能である。
【0341】
また、球状基板においては、識別マークを2ヵ所適切な位置に配置すれば、球状基板の位置決めを確実に行なうことができる。たとえば、2つの識別マークを、球状基板の中心を通る回転対称軸上に位置しないように配置しておけば、球状基板の位置決めを確実に行なうことができる。
【0342】
なお、球状基板の位置決めの精度をさらに高める場合には、位置決めの確認を行なうため第3の識別マークを球状基板に形成することが好ましい。この結果、3ヵ所で球状基板の位置決めを行なうことができるとともに球状基板を固定することができる。また、球状基板を立体的に積層固定するためには、球状基板において4ヵ所、あるいは5ヵ所もしくは6ヵ所に識別マークを配置することが好ましい。本発明に示したように、<111>方向の突起を利用して識別マークを形成しておけば、極めて簡単に識別マークを8ヵ所において形成することができる。なお、このように8ヵ所よりも多数の箇所に識別マークを設けた場合には、位置決め精度の向上に対してほとんど寄与することがなく、反対に半導体素子などを形成することが可能な有効面積の減少や球状基板の製造工程数の増加を招くといったデメリットが大きくなる。したがって、識別マークは、1つの球状基板に対して2ヵ所〜8ヵ所程度設けることが好ましい。
【0343】
また、本発明による球状基板では、識別マークを<111>方向に配置することができるので、球状基板における結晶方位を確定することができる。この結果、従来のようにやみくもに球状基板の表面にトランジスタを形成する場合よりも、球状基板の表面において特定の結晶方位にチャネル方向を合わせたようにトランジスタを形成することができる。たとえば、移動度の点で有利な[100]方向にチャネル方向を揃えたトランジスタを最大限設置することができる。
【0344】
また、場合によっては、球状基板に論理回路とその他の素子とを混載する場合などが考えられる。この場合には、結晶方位に対する依存性の強いトランジスタ部、すなわち論理回路を選択的に[100]方向に対してほぼ垂直な方向となる面付近に設けることが好ましい。そして、トランジスタ部を形成した場合には移動度の点で不利となるその他の領域においては、結晶方位に対する依存性の弱いキャパシタや外部接続端子などを設けるといったことが可能になる。すなわち、結晶方位を考慮して論理回路やその他の素子の配置を決定することにより、球状基板を用いた半導体装置の性能の最適化を図ることができる。
【0345】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0346】
【発明の効果】
このように、本発明によれば、球状基板に識別マークを設けることにより、球状基板における結晶方位を精度良く識別することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による球状基板の実施の形態1を説明するための断面模式図である。
【図2】 図1に示した球状基板の底面図である。
【図3】 図1に示した球状基板を斜め下側から見た場合の形状を示す模式図である。
【図4】 図3の矢印93に示した方向から見た球状基板の側面図である。
【図5】 図1〜4に示した球状基板の製造方法の第1工程を説明するための模式図である。
【図6】 図1〜4に示した球状基板の製造方法の第2工程を説明するための模式図である。
【図7】 図1〜4に示した球状基板の製造方法の第3工程を説明するための模式図である。
【図8】 図1〜4に示した球状基板の製造方法の第4工程を説明するための模式図である。
【図9】 図1〜4に示した球状基板の製造方法の第5工程を説明するための模式図である。
【図10】 図5〜9に示した球状基板の製造方法において用いるCMP装置の構成を説明するための模式図である。
【図11】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態2の第1工程を説明するための断面模式図である。
【図12】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態2の第2工程を説明するための断面模式図である。
【図13】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態2の第3工程を説明するための断面模式図である。
【図14】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態2の第4工程を説明するための断面模式図である。
【図15】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態3の第1工程を説明するための断面模式図である。
【図16】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態3の第2工程を説明するための断面模式図である。
【図17】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態3の第3工程を説明するための断面模式図である。
【図18】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態3の第4工程を説明するための断面模式図である。
【図19】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態3の変形例の第1工程を説明するための断面模式図である。
【図20】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態3の変形例の第2工程を説明するための断面模式図である。
【図21】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態3の変形例の第3工程を説明するための断面模式図である。
【図22】 本発明による球状基板の実施の形態4を示す断面模式図である。
【図23】 図22に示した球状基板の製造方法の第1工程を説明するための断面模式図である。
【図24】 図22に示した球状基板の製造方法の第2工程を説明するための断面模式図である。
【図25】 図22に示した球状基板の製造方法の第3工程を説明するための断面模式図である。
【図26】 本発明による球状基板の実施の形態5を示す断面模式図である。
【図27】 図26に示した球状基板の製造方法を説明するための断面模式図である。
【図28】 図26に示した球状基板を用いた半導体装置の模式図である。
【図29】 図28の線分XXIX−XXIXにおける断面模式図である。
【図30】 図29における領域XXXの部分拡大断面模式図である。
【図31】 本発明による球状基板の実施の形態6を示す断面模式図である。
【図32】 図31に示した球状基板の製造方法の第1工程を説明するための断面模式図である。
【図33】 図31に示した球状基板の製造方法の第2工程を説明するための断面模式図である。
【図34】 図31に示した球状基板の製造方法の第3工程を説明するための断面模式図である。
【図35】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態7を説明するための模式図である。
【図36】 図35に示したエッチング工程の第1の変形例を説明するための模式図である。
【図37】 図35に示したエッチング工程の第2の変形例を説明するための模式図である。
【図38】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態8の第1工程を説明するための断面模式図である。
【図39】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態8の第2工程を説明するための断面模式図である。
【図40】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態8の第3工程を説明するための断面模式図である。
【図41】 本発明による球状基板の実施の形態9を示す断面模式図である。
【図42】 図41に示した球状基板の製造方法の第1工程を説明するための断面模式図である。
【図43】 図41に示した球状基板の製造方法の第2工程を説明するための断面模式図である。
【図44】 図41に示した球状基板の製造方法の第3工程を説明するための断面模式図である。
【図45】 本発明による球状基板を用いた半導体装置の製造工程において用いる製造装置を示す模式図である。
【図46】 図45に示した露光装置のホルダの第1の変形例を説明するための部分断面模式図である。
【図47】 図45に示した露光装置のホルダの第2の変形例を説明するための部分断面模式図である。
【図48】 図45に示した露光装置のホルダの第3の変形例を説明するための部分断面模式図である。
【図49】 図45に示した露光装置におけるホルダの第4の変形例を説明するための部分断面模式図である。
【図50】 図45に示した露光装置におけるホルダの第4の変形例を説明するための部分断面模式図である。
【図51】 図45に示した露光装置におけるホルダの第5の変形例を説明するための分断面模式図である。
【図52】 図45に示した露光装置におけるホルダの第6の変形例を説明するための部分断面模式図である。
【図53】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態11の第1工程を説明するための断面模式図である。
【図54】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態11の第2工程を説明するための断面模式図である。
【図55】 本発明による球状基板の製造方法の実施の形態11の第3工程を説明するための断面模式図である。
【図56】 本発明による球状基板の実施の形態12を示す断面模式図である。
【図57】 図56に示した球状基板について、識別マークを検出するとともに球状基板の位置決めを行なう装置の構成を説明するための模式図である。
【図58】 本発明による球状基板の実施の形態13を説明するための断面模式図である。
【図59】 図58に示した球状基板の製造方法の第1工程を説明するための断面模式図である。
【図60】 図58に示した球状基板の製造方法の第2工程を説明するための断面模式図である。
【図61】 本発明による球状基板の実施の形態14を説明するための断面模式図である。
【図62】 図61に示した球状基板の製造方法の第1工程を説明するための断面模式図である。
【図63】 図61に示した球状基板の製造方法の第2工程を説明するための断面模式図である。
【図64】 本発明による球状基板を利用した加速度センサを示す断面模式図である。
【図65】 図64に示した加速度センサの動作を説明するための断面模式図である。
【図66】 図64に示した加速度センサの動作を説明するための断面模式図である。
【図67】 図64〜66に示した加速度センサの変形例を示す断面模式図である。
【図68】 本発明による球状基板を利用した加速度センサを説明するための断面模式図である。
【図69】 図68に示した加速度センサの動作を説明するための断面模式図である。
【図70】 図68に示した加速度センサの動作を説明するための断面模式図である。
【図71】 本発明による球状基板を利用した集積回路を適用したICカードを示す模式図である。
【図72】 図71の線分LXXII−LXXIIにおける断面模式図である。
【図73】 図71および72に示したICカードの変形例を説明するための断面模式図である。
【図74】 本発明による球状基板を利用した集積回路または機能素子を複数個用いて形成された大規模集積回路の構造を示す断面模式図である。
【図75】 図74に示した大規模集積回路の第1の変形例を示す断面模式図である。
【図76】 図74に示した大規模集積回路の第2の変形例を示す断面模式図である。
【図77】 図74に示した大規模集積回路の第3の変形例を示す断面模式図である。
【図78】 本発明による球状基板を利用した集積回路を備える半導体装置の模式図である。
【図79】 図78に示した半導体装置の部分拡大模式図である。
【図80】 図78に示した半導体装置を構成する球状基板の側面模式図である。
【図81】 図80に示した球状基板の底面模式図である。
【図82】 図80に示した球状基板を斜め下から見た模式図である。
【図83】 図82の矢印93側から見た球状基板の側面模式図である。
【図84】 従来の球状半導体の問題点を説明するための模式図である。
【図85】 従来の球状半導体の問題点を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1,1a〜1k,1m〜1q,21,28,44,62,90 球状基板、2,88,89 平面部、3 単結晶粒、4 突起、5 保持パッド、6,12、14,15,17,29 凹部、7 研磨パッド、8,63 制御部、9 駆動部、10 検出部、11,13,16,20 保持パッド、18 曲面状部、19 保護膜、22 凸部、23 ソース領域、24 ドレイン領域、25 ゲート絶縁膜、26 ゲート電極、27 矢印、30 保護膜、31,53,55,59 開口部、32,34,35,39,93,94 矢印、33 保持台、36 保護膜付単結晶粒、37,49 ホルダ、38 チャンバ、40 酸化領域、41,61 酸化膜、42 基部、43 磁性体領域、45 不純物を含む膜、46 磁性体導入部、47 イメージングシステム、48 レンズシステム、50,52,86 磁場発生装置、51 磁場伝達部材、54 コイル、56 磁性体芯、57 1層目保護膜、58 2層目保護膜、60 注入部、64 位置決め部、65 測定部、66,67 SOG膜、68 表面改質部、69 レジスト膜、70 露出部、71 ケース、72a〜72d 電極、73 メタル層、74 空隙、75 加速度センサ、76,77 肩部、78a〜78d 磁気センサ、79 ICカード、80 樹脂シート、81 配線、82 球状集積回路、83a,83b 端子、84a,84b 球状基板側端子、85 マウント、87 基板、91,92 素子、95 エッチング種導入部。

Claims (25)

  1. 識別マークを備える球状基板であって、
    前記識別マークは前記球状基板の表面に形成された凸部および凹部の少なくともいずれか一方を含み、
    前記識別マークは、前記球状基板の中央部から見て所定の結晶方位に対応する部分に形成されている、球状基板。
  2. 識別マークを備える球状基板であって、
    前記球状基板の表面において、前記識別マークとなる領域の曲率半径は、前記識別マークとなる前記領域以外の領域の曲率半径と異なり、
    前記識別マークは、前記球状基板の中央部から見て所定の結晶方位に対応する部分に形成されている、球状基板。
  3. 識別マークを備える球状基板であって、
    前記識別マークは前記球状基板の表面に形成された磁性体領域を含み、
    前記識別マークは、前記球状基板の中央部から見て所定の結晶方位に対応する部分に形成されている、球状基板。
  4. 前記凸部および前記凹部の少なくともいずれか一方は、前記球状基板における他の領域とは光学的反射率の異なる領域である、請求項1に記載の球状基板。
  5. 球状基板であって、
    表面の一部が平面化された平面領域を複数個所備え、
    前記平面領域上に半導体素子が形成され
    前記平面領域は、前記球状基板の中央部から見て点対称となる6箇所に形成されている、球状基板。
  6. 前記識別マークは複数個形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の球状基板。
  7. 前記球状基板はシリコンからなり、
    前記結晶方位は<111>方向である、請求項に記載の球状基板。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の球状基板を用いた半導体装置。
  9. 溶融したシリコンを冷却して単結晶粒を形成する工程と、
    前記単結晶粒の表面を研磨して平坦化する工程と、
    表面が平坦化された前記単結晶粒を、無負荷状態で平坦な表面を有すると共に前記単結晶粒の外形に沿って変形可能な弾力性を有する材料からなる保持パッドに保持する工程と、
    前記保持パッドにおいて前記単結晶粒が保持された表面側から研磨パッドを前記単結晶粒に押圧する工程と、
    前記研磨パッドを前記保持パッドに対して相対的に移動させて、前記保持パッドに保持された前記単結晶粒の表面の一部を除去することにより、前記単結晶粒の表面に平面領域を形成する平面領域形成工程とを備える、球状基板の製造方法。
  10. 球状基板を保持するための保持部材を備える研磨装置であって、
    前記保持部材は、無負荷状態で平坦な表面を有すると共に前記球状基板の外形に沿って変形することが可能な弾力性を有する材料からなる保持部を含む、研磨装置。
  11. 溶融したシリコンを冷却して単結晶粒を形成する工程と、
    前記単結晶粒の表面を研磨して平坦化する工程と、
    前記平坦化された単結晶粒の表面上に保護膜を形成する工程と、
    前記保護膜と前記単結晶粒の表面層との一部を、異方性エッチングを用いて除去するエッチング工程とを備え
    前記エッチング工程では、前記異方性エッチングにより除去された前記単結晶粒の表面層の前記一部の表面の曲率が、前記保護膜の表面の曲率を反映することにより、前記異方性エッチングにより除去されなかった前記単結晶粒の表面層の他の部分の表面の曲率と異なるようにエッチングが行なわれる、球状基板の製造方法。
  12. 溶融したシリコンを冷却して、表面に突起部を有する単結晶粒を形成する工程と、
    前記単結晶粒の表面上に、前記突起部を埋設するように保護膜を形成する工程と、
    前記保護膜をエッチングにより部分的に除去することにより、前記突起部を露出させる工程と、
    露出した前記突起部を除去するとともに、前記単結晶粒の表面において前記突起部が形成されていた領域に凹部を形成する工程とを備える、球状基板の製造方法。
  13. 前記識別マークは前記球状基板の2箇所以上8箇所以下の領域にそれぞれ形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の球状基板。
  14. 表面の一部が平面化された平面領域を複数個所備える球状基板であって、
    前記平面領域を形成する前の前記球状基板の平均半径をL、前記球状基板の中心点から前記平面領域までの最短距離をdとしたとき、d≧L/2という関係を満足するように前記平面領域が形成され、
    前記平面領域は<111>方向に対して垂直な方向に延在する、球状基板。
  15. 表面の一部が平面化された平面領域を複数個所備える球状基板であって、
    前記平面領域を形成する前の前記球状基板の平均半径をL、前記球状基板の中心点から前記平面領域までの最短距離をdとしたとき、d≧L/2という関係を満足するように前記平面領域が形成され、
    前記平面領域は<100>方向に対して垂直な方向に延在する、球状基板。
  16. 請求項4に記載の球状基板の識別装置であって、
    前記球状基板の表面における光の光学的反射率の変化を検出する測定部を備える、識別装置。
  17. 球状半導体装置の製造装置であって、
    球状基板を磁力により保持するための磁場発生装置を備え
    前記磁場発生装置は、前記球状基板を吸着する吸着部に直接露出しており、
    前記磁場発生装置において磁場を発生させることにより、前記吸着部に前記球状基板を吸着する、球状半導体装置の製造装置。
  18. 溶融したシリコンを冷却して、表面に突起部を有する単結晶粒を形成する工程と、
    前記突起部の少なくとも一部を残存させるように、前記単結晶粒の表面を研磨して平坦化する工程とを備える、球状基板の製造方法。
  19. 溶融したシリコンを冷却して、表面に突起部を有する単結晶粒を形成する工程と、
    前記単結晶粒の表面上に、突起部を埋設するように保護膜を形成する工程と、
    前記保護膜をエッチングにより部分的に除去することにより、前記突起部を露出させる工程と、
    前記突起部が露出した状態で残存する前記保護膜をマスクとして、前記突起部下に位置する単結晶粒の表面層に改質領域を形成する工程と、
    前記改質領域を形成する工程の後、前記保護膜を除去する工程と、
    前記保護膜を除去した後、前記単結晶粒の表面から突起部を除去するとともに、前記単結晶粒の表面を平坦化する平坦化工程とを備える、球状基板の製造方法。
  20. 溶融したシリコンを冷却して、表面に突起部を有する単結晶粒を形成する工程と、
    前記単結晶粒の表面上に、前記突起部を埋設するように保護膜を形成する工程と、
    前記保護膜をエッチングにより部分的に除去することにより、前記突起部を露出させる工程と、
    前記突起部が露出した状態で残存する前記保護膜をマスクとして、前記突起部下に位置する単結晶粒の表面層に不純物を導入する工程と、
    前記不純物を導入する工程の後、前記保護膜および前記突起部を研磨により除去することにより、前記単結晶粒の表面を平坦化する平坦化工程とを備える、球状基板の製造方法。
  21. 球状半導体装置の製造装置であって、
    球状基板を保持するホルダを備え、
    前記ホルダには、前記球状基板の直径より小さな幅の開口部が形成され、
    前記開口部の内部には磁場発生装置が配置されている、球状半導体装置の製造装置。
  22. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の球状基板を用いた加速度センサであって、
    中空であって球形状のケースと、
    前記ケースの内壁面上に配置された電極と、
    前記ケースの内部に保持され、表面の全部または一部にメタル層が形成された前記球状基板とを備える、加速度センサ。
  23. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の球状基板を用いたICカードであって、
    前記球状基板を保持するマウントと、
    前記マウントの内部に保持される前記球状基板とを備え、
    前記マウントは前記球状基板の形状に沿った形状を有している、ICカード。
  24. 平板状の基板と、
    前記基板上に複数個配置された、表面の一部が平面化された平面領域を複数個所有する球状基板とを備え、
    前記球状基板では前記平面領域が前記球状基板の中心に対して点対称な位置に形成され、
    前記平面領域には電極が形成され、
    前記複数の球状基板は前記平板状の基板の表面に沿った方向において前記平面領域を互いに接触させるように連結している、集積回路。
  25. 表面に回路が形成された平板状の基板と、
    前記基板の表面上に配置された、表面の一部が平面化された平面領域を含む複数の球状基板とを備え、
    前記球状基板において、表面には集積回路が形成されるとともに、前記平面領域には素子と電極とが形成され、
    前記球状基板の前記集積回路と前記基板の前記回路とは前記電極を介して電気的に接続されている、半導体装置。
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