JP4211799B2 - 有機el用化合物および有機elデバイス - Google Patents
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Description
(1)ホスト材料は、ホールと電子の両方を流すことができる材料。
(2)発光層中に発光ドーパントを併用しない有機ELデバイスにおいては、ホスト材料からの発光が観察されるが、発光ドーパントとホスト材料とを併用した場合には、ホスト材料からの発光はほとんど観察されなくなり、発光ドーパントが主として発光するようになる。
(3)ホスト材料と発光ドーパントとを併用したEL素子において観察されるEL発光のスペクトルは発光ドーパント中の発光中心の蛍光または燐光である。ここで言う発光中心とは、発光ドーパントの一部分を指し、強い蛍光/燐光を発することが可能な有機分子骨格を意味する。
(1)ホストと発光ドーパントの混合溶液を塗布した際に、発光ドーパントがブリーディングしてくる現象が見られる。これは一般的に、ポリマー中に低分子材料の混合溶液を塗布/乾燥すると、乾燥する際に低分子材料が表層に出てくる現象が見られることに起因する。
(2)発光ドーパント材料のホール、電子をトラップする機能が低い。これは、ホストが共役系ポリマーの場合に顕著である。共役系ポリマーの場合にはホストポリマー分子内をホールと電子が優先的に流れてしまうため、発光ドーパントがホールおよび電子をトラップし難いと予想される。
(3)発光ドーパント材料の開発が遅れていた。これは、高分子塗布型有機ELデバイスの世界においては、ホスト+発光ドーパントの系が蒸着型EL(低分子EL)に比べて、効果が薄かったためである。
上記(1)に示した課題に対しては、以下のような解決策を採ることができる。
・発光ドーパントを高分子量化することにより、塗布/乾燥時に発光ドーパントがブリーディングしないようにすることができる。ドーパント全体がπ共役(一般的なπ共役に加え、N原子を介在とした共役も含める)であることが望ましいが、塗布型有機ELにおいては適当な溶剤に対して溶解することが必要であるため、設計によっては適当な分子量にて非共役系の連結基で高分子量化することもできる。
・上記(1)の解決策において高分子量化する際に、分子設計の方針として、ホールまたは電子を優先的にトラップし得る官能基を発光ドーパント分子内に組み込むことにより、ドーパントの機能を向上させる。特に、ホールトラップ機能を有する官能基を分子内に組み込むことにより、ドーパントとしての機能を向上させる。
・ドーパント中の発光中心とホールトラップ機能を有する官能基とは、π共役系で連結していることが好ましい。これは、π共役させることにより、発光中心が直接ホールトラップしたことと同じ効果が得られるためである。
・ホールトラップ性を向上させる目安としては、ホスト材料のIP(イオン化ポテンシャル)値であり、ホスト材料と同等以上に酸化され易いことが必要である。
そして、本発明者はこのような知見の基にさらに研究を重ねた結果、本発明を完成させた。
すなわち、上記の「励起状態」から「基底状態」への緩和する過程において放出されるエネルギーが、EL発光として観測されるのである。
このような構成のもとに、該ポリマー分子を有機ELデバイスに使用することにより、特に高効率で長寿命なシアン〜青緑色を得ることができる。
なお、上記式(6)中のrは、該ポリマー分子を構成するオリゴマーユニット(式(1)〜式(4)および式(5)で構成される最低ユニットを意味する)の重合度を表す整数である。
また、上記式(6)中においてはq=0が望ましいが、塗布用インクの溶媒種によっては溶解性が落ちたり、q、rの値によっても溶解性が悪くなるため、q=1〜4の整数となることもある。
このように構成された上記オリゴマーは、上記式(6)においてr=1を意味するようになる。したがって、このようなオリゴマーの分子設計により、十分なEL発光輝度を得ることができる。
このようなオリゴマーユニットの分子設計により、十分なEL発光輝度を得ることができる。
このようなオリゴマーユニットの分子設計により、溶媒に対する溶解性を向上させることが可能になる。また、電子の流れをコントロールすることが可能になり、発光効率の最適化を図ることが可能になる。
このようなオリゴマーユニットの分子設計により、ホールのトラップ性が向上し、発光効率、輝度半減寿命の向上を図ることが可能になる。
上記の有機EL用化合物を使用することにより、良好な有機ELデバイスが得られる。
上記の有機EL用化合物を発光層に使用することにより、材料の特性を引き出すことが可能となり、発光効率、輝度半減寿命特性が良好なデバイスを得ることが可能になる。
ここで、上記の発光層とは、有機ELデバイスに電圧を印加し、電流が流れた際にEL発光する部位(層)を意味している。塗布型有機ELの場合、該発光層を構成する材料は通常1種類のみの場合が多い。役割としては、電子、ホールの注入/輸送に加え、EL発光の3つの機能を持ち合わせている。
上記の有機EL用化合物を発光層中において発光ドーパント材料として使用することにより材料の特性を引き出すことが可能となり、シアン〜青緑色の発光の機能を有し、発光効率、輝度半減寿命特性が良好なデバイスを得ることが可能になる。
上記発光層中における上記発光ドーパントと上記ホスト材料とは、下記式(7)で示される重量%表示のk値が、0.5重量%以上、10.0重量%以下となるような割合で含有されているのが好ましい。
k=(a/(b+c))×100 …式(7)
(ただし、上記式(7)中のaは、上記発光ドーパント材料中での、上記式(1)で示されるユニットが占める重量であり、bは使用された発光ドーパント材料の重量であり、cは使用されたホスト材料の重量である。)
上記ホスト材料には、その性能として、ホールと電子とを良好に輸送する特性が望まれている。また、分子軌道におけるHOMO (最高占有分子軌道)とLUMO(最低非占有分子軌道)とのエネルギーギャップが、上記ポリマー分子中の上記式(1)に示すユニットよりも大きいことも望まれている。さらには、LUMO(最低非占有分子軌道)の真空準位が、上記式(6)に示されるポリマーよりも高いことが望まれている。
このような性能を満たすことにより、ホールと電子との両方がホスト材料から発光ドーパントに良好に注入され、発光効率、寿命が向上するようになる。
このようにすれば、発光層中へのホールの注入性がより向上し、発光効率の向上が図られる。
また、HOMO(最高占有分子軌道)とLUMO(最低非占有分子軌道)とのエネルギーギャップについては、使用するホスト材料の薄膜吸収スペクトルを用いて測定することができ、一般的には吸収スペクトルの最大長波長での吸収端をエネルギーギャップとして用いている。さらに、LUMOの真空準位については、上記HOMOの真空準位とHOMO−LUMOのギャップより簡単に求めることができる。
このように、上記の有機EL用化合物がスピンコート法もしくは液滴吐出法により塗布されて発光層が作製されていることにより、この有機ELデバイスは良好な発光効率、輝度半減寿命特性を有するものとなる。
ここで、上記の有機EL用化合物はオリゴマーまたはポリマー分子であるため、ホスト材料のポリマーとの相溶性が良好である。したがって、発光層中において、ホスト材料と発光ドーパント材料とを均一に分散させることが可能になる。
なお、上記の有機EL用化合物は分子量が大きいため、蒸着成膜法では一部または全部が蒸着時に分解してしまい、得られる有機ELデバイスの特性を損なってしまう。
まず、本発明の有機EL用化合物の実施形態について、その合成例に基づき説明する。
本発明の有機EL化合物の第1実施形態として、下記式(8)に示すポリマー分子を、以下の合成例に基づく合成法によって作製した。
5,6−ジフェニルアセナフチレン(中間体)を、図1に示す合成方法で以下のようにして合成した。
まず、Ar置換した200cm3のシュレンク管に、5,6−ジブロモアセナフチレン5g(1.61E−2mol)、および市販のフェニルボロン酸を4.13g(3.4E−2mol)を計量投入した。次に、そこへ蒸留エタノール50cm3、蒸留トルエン100cm3を加えて溶液とした。さらに、そこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム錯体(Pd(PPh3)4 )1.1g、および炭酸ナトリウムの飽和水溶液を30cm3添加し、80℃にて10時間反応させた。
反応後、反応液を室温まで冷却させ1リットルの分液ロートに移し、トルエン抽出をすると共に、蒸留水で十分に洗浄を行った。分液ロート中のトルエン層を硫酸マグネシウムで十分に乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーおよび再沈殿法を用いて精製を行った。
シリカゲルクロマトグラフの展開溶媒としては、ヘキサンとトルエンの混合溶媒を用いた。再沈殿精製では、溶媒としてジクロロメタン/ヘキサンを用いた。
これにより、黄色固体3g(回収量として、収率60%)を得た。また、MS+:304が確認された。
3,4,7,12−テトラフェニルベンゾ[k]フルオランテン誘導体を、図2に示す合成方法で以下のようにして合成した。
まず、Ar置換した200cm3のシュレンク管に、先に合成した5,6−ジフェニルアセナフチレン3g(9.9E−3mol)、および1,3−ビス(4−ブロモフェニル)イソベンゾフラン4.2g(9.9E−3mol)を計量投入した。次に、溶媒として蒸留乾燥させたキシレン100cm3を加え、130℃にて24時間反応させた。
反応後、目的中間体をクロロホルムで抽出した。精製はシリカゲルクロマトグラフィーおよび再沈殿法で行った。シリカゲルクロマトグラフィーではトルエンを展開溶媒として使用した。再沈殿精製では、溶媒としてジクロロメタン/ヘキサンを用いた。
これにより、中間体として、白色固体3.2g(収率44%)を得た。
固形分を蒸留水、メタノールで十分洗浄した後、目的物の分離精製を、シリカゲルクロマトグラフィーおよび再沈殿法を用いて行った。シリカゲルクロマトグラフィーではトルエンとヘキサンの混合溶媒を展開溶媒として使用した。再沈殿法には溶媒としてジクロロメタン/ヘキサンを使用した。
これにより、黒紫色固体2.2g(収率76%)を得た。また、M+:714が確認された。
2−ブロモ−9,9−ジ−n−オクチルフルオレニル−7−ボロン酸を、図3に示す合成方法で以下のようにして合成した。
まず、Ar置換した200cm3のシュレンク管に、2,7−ジブロモ−9,9−ジ−n−オクチルフルオレン4g(7.3E−3mol)、およびナトリウム乾燥させたTHF100cm3を加えて溶液とした。この溶液を−70℃に冷却した。そこへ1.5mol/lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液4.9cm3を添加し、1時間放置した。冷却を保持したままボロン酸トリエチル1.1g(7.5E−3mol)を添加し1.5時間反応させた。反応後、反応液を5℃において40%HCl水溶液5cm3を添加した。1時間後、飽和炭酸ナトリウム水溶液を用いてpHが7になるように中和した。
次に、分液ロートを使用して有機層(THF層)を分離した。分離したTHF溶液に硫酸マグネシウムを適量加えて水分を除去した。ろ紙を用いて硫酸マグネシウムを除いた後、ヘキサンを加えて目的物を析出させた。精製は再沈殿法にて行った。溶媒としてはTHFとヘキサンとを使用した。
4−ブロモ−トリフェニルアミノボロン酸を、図4に示す合成方法で以下のようにして合成した。
まず、Ar置換した200cm3のシュレンク管に、市販の4,4’ −ジブロモ−トリフェニルアミン4g(9.9E−3mol)、およびナトリウム乾燥させたTHF100cm3を加えて溶液とした。次に、この溶液を−70℃に冷却した。そこへ、1.5mol/lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液9.9cm3(1.48E−2mol)を添加し、1時間放置した。次いで、冷却状態を保持したままボロン酸トリエチル1.9g(1.3E−2mol)を添加し、1.5時間反応させた。反応後、反応液を5℃において40%HCl水溶液5cm3を添加した。1時間後、飽和炭酸ナトリウム水溶液を用いてpHが7になるように中和した。
次に、分液ロートを使用して有機層(THF層)を分離した。続いて、分離したTHF溶液に硫酸マグネシウムを適量加えて水分を除去した。ろ紙を用いて硫酸マグネシウムを除いた後、ヘキサンを加えて目的物を析出させた。精製は再沈殿法にて行った。また、溶媒としてはTHFとヘキサンとを使用した。
これにより、白色(薄緑色に着色)固体1.4g(収率40%)を得た。
1−(4−ブロモベンジル)−4−フェニルボロン酸を、図5に示す合成方法で以下のようにして合成した。
まず、Ar置換した200cm3のシュレンク管に、4,4’−ビスブロモフェニルメタン5g(1.5E−2mol)、およびナトリウム乾燥させたTHF50cm3を加えて溶液とした。次に、この溶液を−70℃に冷却した。そこへ、1.5mol/lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液10.2cm3(1.5E−2mol)を添加し、1時間放置した。次いで、冷却状態を保持したままボロン酸トリエチル2.2g(1.5E−2mol)を添加し1.5時間反応させた。反応後、反応液を5℃において40%HCl水溶液5cm3を添加した。1時間後、飽和炭酸ナトリウム水溶液を用いてpHが7になるように中和した。
次に、分液ロートを使用して有機層(THF層)を分離した。続いて、分離したTHF溶液に硫酸マグネシウムを適量加えて水分を除去した。ろ紙を用いて硫酸マグネシウムを除いた後、エバポレーターを使用して溶媒を除去した。
これにより、透明粘稠体4gを得た。また、この状態で次反応に使用するようにした。
合成例2〜4で得た合成物を用い、図6に示す合成ルートによって上記式(8)に示すEL材料(EL材料1)、すなわち本発明の有機EL化合物の第1実施形態を合成した。
まず、Ar置換した200cm3のシュレンク管に、先に合成した3,4,7,12−テトラフェニルベンゾ[k]フルオランテン誘導体0.37g(5.2E−mol)、4−ブロモ−トリフェニルアミノボロン酸0.38g(1.04E−3mol)を投入し、そこへ蒸留エタノール50cm3、蒸留トルエン100cm3を加えて溶液とした。さらに、そこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム錯体(Pd(PPh3)4)0.06gおよび炭酸ナトリウムの飽和水溶液を30cm3添加し、80℃にて加熱した。1時間後、2−ブロモ−9,9−ジ−n−オクチルフルオレニル−7−ボロン酸1.1g(2.1E−3mol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム錯体(Pd(PPh3)4)0.06gを加えて5時間反応させた。
次いで、市販のフェニルボロン酸0.12g(1.04E−3mol)を加えてさらに5時間反応させた。反応後、加熱下で空気を反応液にバブリングにて30分間送入した。
次に、反応液を室温まで冷却後、1リットルの分液ロートに移しトルエン抽出をすると共に、蒸留水で十分に洗浄を行った。分液ロート中のトルエン層を硫酸マグネシウムで十分に乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーおよび再沈殿法を用いて精製を行った。
再沈殿精製に用いた溶媒は、ジクロロメタン/ヘキサンを用いた系、およびジクロロメタン/メタノールを用いた系である。
これにより、黄色固体0.6g(収率43%)を得た。(ただし、分子量を2746として計算した。)
合成例2〜5で得た合成物を用い、図7に示す合成ルートによって上記式(9)に示すEL材料(EL材料2)を合成した。
まず、Ar置換した200cm3のシュレンク管に、先に合成した3,4,7,12−テトラフェニルベンゾ[k]フルオランテン誘導体0.37g(5.2E−mol)、4−ブロモ−トリフェニルアミノボロン酸0.38g(1.04E−3mol)を投入し、そこへ蒸留エタノール50cm3、蒸留トルエン100cm3を加えて溶液とした。さらに、そこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム錯体(Pd(PPh3)4)0.06gおよび炭酸ナトリウムの飽和水溶液を30cm3添加し、80℃にて加熱した。1時間後、1−(4−ブロモベンジル)−4−フェニルボロン酸0.3g(1.04E−3mol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム錯体(Pd(PPh3)4)0.06gを加えて反応させた。2時間後、さらに2−ブロモ−9,9−ジ−n−オクチルフルオレニル−7−ボロン酸1.1g(2.1E−3mol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム錯体(Pd(PPh3)4)0.06gを加えて5時間反応させた。
次いで、市販のフェニルボロン酸0.12g(1.04E−3mol)を加えてさらに5時間反応させた。反応後、加熱下で空気を反応液にバブリングにて30分間送入した。
次に、反応液を室温まで冷却後、1リットルの分液ロートに移しトルエン抽出をすると共に、蒸留水で十分に洗浄を行った。分液ロート中のトルエン層を硫酸マグネシウムで十分に乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーおよび再沈殿法を用いて精製を行った。
再沈殿精製に用いた溶媒は、ジクロロメタン/ヘキサンを用いた系、およびジクロロメタン/メタノールを用いた系である。
これにより、黄色固体0.4g(収率25%)を得た。(ただし、分子量を3078として計算した。)
まず、ホスト1として、下記式(10)に示すポリマー分子を、以下の合成例に基づく合成法によって作製した。
EL用ホスト材料(ホスト1)として、上記式(10)に示すポリフルオレンを、図8に示す合成方法に基づき、以下のようにして合成した。
まず、Ar置換した200cm3のシュレンク管に、先に示した合成方法により合成した、2−ブロモ−9,9−ジ−n−オクチルフルオレニル−7−ボロン酸5g(9.7E−3mol)、および市販のフェニルボロン酸0.008g(6.6E−5mol)、ブロモベンゼン0.01g(6.6E−5mol)を計量投入した。そこへ、蒸留エタノール50cm3、蒸留トルエン100cm3を加えて溶液とした。さらに、そこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム錯体(Pd(PPh3)4)0.56g、および炭酸ナトリウムの飽和水溶液を30cm3添加し、80℃にて10時間反応させた。
反応後、反応液を室温まで冷却し、1リットルの分液ロートに移してトルエン抽出を行うと共に、蒸留水で十分に洗浄を行った。分液ロート中のトルエン層を硫酸マグネシウムで十分に乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーおよび再沈殿法を用いて精製を行った。
再沈殿精製に用いた溶媒は、ジクロロメタン/ヘキサンを用いた系、およびジクロロメタン/メタノールを用いた系である。
これにより、白色固体2g(回収量として、収率52%)を得た。
EL用ホスト材料(ホスト2)として、上記式(11)に示すフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体を、図9に示す合成方法に基づき、以下のようにして合成した。
まず、Ar置換した200cm3のシュレンク管に、先に示した合成方法により合成した、2−ブロモ−9,9−ジ−n−オクチルフルオレニル−7−ボロン酸5g(9.7E−3mol)、4−ブロモ−トリフェニルアミノボロン酸1.2g(3.2E−3mol)、および市販のフェニルボロン酸0.008g(6.6E−5mol)、ブロモベンゼン0.01g(6.6E−5mol)を計量投入した。そこへ、蒸留エタノール50cm3、蒸留トルエン100cm3を加えて溶液とした。さらに、そこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム錯体(Pd(PPh3)4)0.56g、および炭酸ナトリウムの飽和水溶液を30cm3添加し、80℃にて5時間反応させた。
反応後、反応液を室温まで冷却し、1リットルの分液ロートに移してトルエン抽出を行うと共に、蒸留水で十分に洗浄を行った。分液ロート中のトルエン層を硫酸マグネシウムで十分に乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーおよび再沈殿法を用いて精製を行った。
再沈殿精製に用いた溶媒は、ジクロロメタン/ヘキサンを用いた系、およびジクロロメタン/メタノールを用いた系である。
これにより、白色固体1.5g(回収量として、収率33%)を得た。
EL用ホスト材料(ホスト3)として、上記式(12)に示すフルオレンとトリフェニルアミンとアントラセンとの共重合体を、図10に示す原料合成方法、図11に示すホスト材料の合成方法に基づき、以下のようにして合成した。
まず、Ar置換した200cm3のシュレンク管に、9,10−ジブロモアントラセン2g(5.9E−3mol)、およびナトリウム乾燥させたTHF50cm3を加えて分散溶液とした。次に、この溶液を−70℃に冷却した。そこへ、1.5mol/lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液4cm3(5.9E−3mol)を添加し、1時間放置した。冷却を保持したままボロン酸トリエチル0.87g(5.9E−3mol)を添加し、1.5時間反応させた。反応後、反応液を5℃において40%HCl水溶液5cm3を添加した。1時間後、THFを100cm3添加して完全に溶解させた後、飽和炭酸ナトリウム水溶液を用いてpHが7になるように中和した。
次に、分液ロートを使用して有機層(THF層)を分離した。分離したTHF溶液に硫酸マグネシウムを適量加えて水分を除去した。ろ紙を用いて硫酸マグネシウムを除いた後、エバポレーターを使用して溶媒を除去し、ヘキサンを加えて目的物を析出させた。
精製は再沈殿法によって行った。また、溶媒としてはTHFとヘキサンとを使用した。
これにより、淡黄白色(薄緑色に着色)固体1g(収率56%)を得た。
まず、Ar置換した200cm3のシュレンク管に、先に示した合成方法により合成した、2−ブロモ−9,9−ジ−n−オクチルフルオレニル−7−ボロン酸5g(9.7E−3mol)、4−ブロモ-トリフェニルアミノボロン酸1.2g(3.2E−3mol)、9−ブロモアントラセ−10イル-ボロン酸0.96g(3.2E−3mol)、および市販のフェニルボロン酸0.008g(6.6E−5mol)、ブロモベンゼン0.01g(6.6E−5mol)を計量投入した。そこへ、蒸留エタノール50cm3、蒸留トルエン100cm3を加えて溶液とした。さらに、そこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム錯体(Pd(PPh3)4)0.7gおよび炭酸ナトリウムの飽和水溶液を30cm3添加し、80℃にて5時間反応させた。
5時間後、フェニルボロン酸0.2g(1.65E−3mol)を加え、さらに1時間反応させた。1時間後、反応液を室温まで冷却し、1リットルの分液ロートに移してトルエン抽出をすると共に、蒸留水で十分に洗浄を行った。分液ロート中のトルエン層を硫酸マグネシウムで十分に乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーおよび再沈殿法を用いて精製を行った。
再沈殿精製に用いた溶媒はジクロロメタン/ヘキサンを用いた系およびジクロロメタン/メタノールを用いた系である。
これにより、淡黄白色固体2.1g(回収量として、収率41%)を得た。
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次に、本発明の有機ELデバイスの一実施形態について、図12を参照して説明する。
図12において符号100は有機ELデバイスであり、この有機ELデバイス100は、透光性基板101上に透光性の陽極(第1電極)102と、陰極(第2電極)105とを有し、これら陽極102と陰極105との間に、機能層を備えたものである。機能層は、正孔注入/輸送層103と、発光層104とが積層されて構成されている。このような構成からなる有機ELデバイス100は、発光層104で発光した光を透光性基板101側から出射するボトムエミッション方式となっている。
ガラス等からなる透明基板(図示せず)を用意し、該透明基板上に図示しない薄膜トランジスタ(TFT)素子や各種配線等を公知の方法により形成した。さらに、層間絶縁層や平坦化膜を形成した後、蒸着法によりインジウム錫酸化物(ITO)を全面成膜し、これをフォトリソグラフィ法により画素毎にパターニングすることで画素電極(陽極)102を得た。なお、画素電極102としては、透光性の導電材料であれば良く、ITO以外にもインジウム亜鉛酸化物等を用いて形成することもできる。
上記の陽極(画素電極)102を形成したガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。次に、この透明電極表面を大気圧において酸素プラズマ処理を行い、基板表面を親水性に改質した後、大気下において基板をスピンコートホルダーにセットした。
次に、陽極(画素電極)102が形成された基板に、正孔注入/輸送層の形成材料として、H.C.Starck社製品のPEDOT/PSS(重量比で1:2.5)(BAYTRON(登録商標)P)の水分散液を大気下にてスピンコーティングし、その後、窒素下にて100℃で30分の乾燥を行い、ホール注入/輸送層103を形成した。乾燥後の膜厚は50nmであった。
発光層104の形成材料として、上記実施形態1で作製した本発明の有機EL用化合物であるEL材料1,2(発光ドーパント材料)と、EL用ホスト材料1、2、3(ホスト材料)とからなる材料を作製した。これらEL材料1,2(発光ドーパント材料)とEL用ホスト材料1、2、3(ホスト材料)との組み合わせによって得られた形成材料を、以下の表に示すように実施例1〜実施例6とする。また、比較のため、EL用ホスト材料1、2、3(ホスト材料)のみからなる形成材料を比較例1〜3とする。
そして、上記EL材料1,2(発光ドーパント材料)とEL用ホスト材料1、2、3(ホスト材料)とを適宜比で混合し、さらに溶媒に溶解させて溶液(インク)を形成し、この溶液をスピンコート法で上記正孔注入/輸送層103の表面上に例えば100nmの膜厚で成膜し、発光層104を形成した。この際、塗布成膜後、窒素下にて100℃で30分間乾燥を行った。また、上記溶液を成膜した際、正孔注入/輸送層103は相溶することがなかった。
なお、上記の溶液を用い、スピンコート法に代えて液滴吐出法(インクジェット法)で成膜することもできる。
発光層104形成後、真空蒸着装置にて、その真空到達度を10−7〜10−8Torrとして、LiFを4nm、Caを10nm、Alを200nmと順に積層し、陰極105を形成した。
[封止工程]
最後に封止工程では、陰極105上の全面に熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂からなる封止材200を塗布し、封止層を形成した。さらに、封止層(封止材200)上に封止基板201を貼設した。この封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
この有機ELデバイス100において、上記した本発明の有機EL用化合物を用いて発光層104を形成したものでは、後述する実験結果より発光特性(輝度)及び信頼性(輝度半減寿命)に優れたものとなり、したがって、従来に比べ発光の高効率化、長寿命化が図られたものとなる。
上記したように発光層104の形成材料について、以下の表1に示す材料を用いた。
実施例2おいては、上記式(9)で示す(EL材料2)と上記式(10)で示す(ホスト1)とを1:17の混合比(重量比)で使用し、これをクロロホルムに溶解させて固形分が1.5wt%の溶液(インク)を得た。そして、この溶液(インク)を用いて上記したように発光層104を形成し、実施例品としての有機ELデバイスを得た。
実施例3おいては、上記式(8)で示す(EL材料1)と上記式(11)で示す(ホスト2)とを1:17の混合比(重量比)で使用し、これをクロロホルムに溶解させて固形分が1.5wt%の溶液(インク)を得た。そして、この溶液(インク)を用いて上記したように発光層104を形成し、実施例品としての有機ELデバイスを得た。
実施例4おいては、上記式(9)で示す(EL材料2)と上記式(11)で示す(ホスト2)とを1:17の混合比(重量比)で使用し、これをクロロホルムに溶解させて固形分が1.5wt%の溶液(インク)を得た。そして、この溶液(インク)を用いて上記したように発光層104を形成し、実施例品としての有機ELデバイスを得た。
実施例5おいては、上記式(8)で示す(EL材料1)と上記式(12)で示す(ホスト3)とを1:17の混合比(重量比)で使用し、これをクロロホルムに溶解させて固形分が1.5wt%の溶液(インク)を得た。そして、この溶液(インク)を用いて上記したように発光層104を形成し、実施例品としての有機ELデバイスを得た。
実施例6おいては、上記式(9)で示す(EL材料2)と上記式(12)で示す(ホスト3)とを1:17の混合比(重量比)で使用し、これをクロロホルムに溶解させて固形分が1.5wt%の溶液(インク)を得た。そして、この溶液(インク)を用いて上記したように発光層104を形成し、実施例品としての有機ELデバイスを得た。
また、比較例2においては、上記式(11)で示す(ホスト2)のみを使用し、これをクロロホルムに溶解させて固形分が1.5wt%の溶液(インク)を得た。そして、この溶液(インク)を用いて上記したように発光層104を形成し、比較例品としての有機ELデバイスを得た。
また、比較例3においては、上記式(12)で示す(ホスト3)のみを使用し、これをクロロホルムに溶解させて固形分が1.5wt%の溶液(インク)を得た。そして、この溶液(インク)を用いて上記したように発光層104を形成し、比較例品としての有機ELデバイスを得た。
上記の各有機ELデバイスに対し、その発光層104に直流100mA/cm2の電流が流れるように電圧を印加し、発光させた。
得られたEL波形を図13〜図17に示す。なお、図13には実施例1、実施例3、実施例5のEL波形を示し、図14には実施例2、実施例4、実施例6のEL波形を示し、図15には比較例1のEL波形を示し、図16には比較例2のEL波形を示し、図17には比較例3のEL波形を示す。
なお、実施例1において、上記電流を得るための印加電圧は5.7Vであった。
同様に、実施例2においては印加電圧は5.7V、実施例3においては印加電圧は5.5V、実施例4においては印加電圧は5.5V、実施例5においては印加電圧は5.4V、実施例6においては印加電圧は5.4V、比較例1においては印加電圧は6.0V、比較例2においては印加電圧は5.8V、比較例3においては印加電圧は5.5Vであった。
Claims (12)
- 上記式(6)で示されるオリゴマーユニットにおいて、発光ユニットである上記式(1)で示されるユニットの数を表す整数mが1または2であることを特徴とする請求項1記載の有機EL用化合物。
- 上記式(6)で示されるオリゴマーユニットにおいて、ホールトラップ機能を有するユニットである上記式(2)で示されるユニットの数を表す整数nが2以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL用化合物。
- 上記式(6)で示されるオリゴマーユニットにおいて、高分子量化のための連結ユニットとして機能するとともに電子トラップとしての機能を有するユニットである上記式(3)で示されるユニットの数を表す整数pが1ないし4であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機EL用化合物。
- 上記式(6)で示されるオリゴマーユニットの構成において上記式(1)で示されるユニットと上記式(2)で示されるユニットとが最低1箇所直接連結していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機EL用化合物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機EL用化合物を使用した有機ELデバイス。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機EL用化合物を発光層に使用した有機ELデバイス。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機EL用化合物を発光層中において発光ドーパント材料として使用した有機ELデバイス。
- 上記発光層は、上記発光ドーパント材料とホスト材料とによって形成されてなり、
上記発光層中における上記発光ドーパントと上記ホスト材料とは、下記式(7)で示される重量%表示のk値が、0.5重量%以上、10.0重量%以下となるような割合で含有されていることを特徴とする請求項8記載の有機ELデバイス。
k=(a/(b+c))×100 …式(7)
(ただし、上記式(7)中のaは、上記発光ドーパント材料中での、上記式(1)で示されるユニットが占める重量であり、bは使用された発光ドーパント材料の重量であり、cは使用されたホスト材料の重量である。) - 上記発光層は、上記発光ドーパント材料とホスト材料とによって形成されてなり、
上記ホスト材料が、フルオレン、アリールアミン、アントラセンより選ばれた少なくとも1種の材料からなるホモポリマーまたは共重合ポリマーであることを特徴とする請求項8又は9に記載の有機ELデバイス。 - 上記発光層と陽極との間に少なくとも1層のホール注入層またはホール輸送層を設けたことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の有機ELデバイス。
- 上記発光層が、スピンコート法もしくは液滴吐出法により塗布されて作製されたことを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の有機ELデバイス。
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