JP4211450B2 - 偏心レンズアレイの製造方法、この製造方法により製造された偏心レンズアレイ、この偏心レンズアレイを備えた照明光学装置、およびプロジェクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、光軸中心が幾何学中心からずれた位置となる偏心レンズを含む複数の小レンズを、面内でマトリクス状に配列して構成された偏心レンズアレイの製造方法、この製造方法により製造された偏心レンズアレイ、この偏心レンズアレイを備えた照明光学装置、およびプロジェクタに関する。
【0002】
【背景技術】
従来、プロジェクタとしては、光源から射出された光束を、ダイクロイックミラーによりRGBの三色の色光に分離し、三枚の液晶パネル(光変調装置)によって色光毎に画像情報に応じて変調し、変調後の光束をクロスダイクロイックプリズムで合成し、投写レンズを介してカラー画像を拡大投写する、いわゆる三板式のプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなプロジェクタには、光源から射出された光束を液晶パネルの画像形成領域に均一に供給するために、光源から液晶パネルに至る光路中に、光束分割光学素子や集光素子を含む照明光学装置が配置されている。
この光束分割光学素子は、光源から射出された光束を複数の偏心小レンズで複数の部分光束に分割するものであり、集光素子は、光束分割光学素子で分割された部分光束を液晶パネルの矩形状の画像形成領域上に重畳するものである。
このような光束分割光学素子や集光素子としては、複数の偏心小レンズを含む小レンズが照明光軸に直交する面内でマトリクス状に配列されたマルチレンズアレイが知られている。このマルチレンズアレイは、マトリクス状の配列方向のうち一方を、画像形成領域の短辺方向に合わせた状態で配置される。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−287252号公報(図7)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のマルチレンズアレイは、例えば、各小レンズに対応した形状の成形用駒を、金型キャビティ内にマトリクス状に配列した後、このキャビティ内に溶融樹脂や溶融ガラスを挿入することにより製造される。ここで、成形用駒を金型キャビティに円滑に取り付けるため、各成形用駒同士の間には僅かな隙間が形成されている。したがって、金型キャビティで溶融樹脂を成形すると、各成形用駒が樹脂で押圧されて、各成形用駒が僅かにずれることになる。その結果、これら成形用駒の僅かな位置ずれが累積して、成形品であるマルチレンズアレイの端部では、小レンズの位置が大きくずれてしまう可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、高精度な偏心レンズアレイの製造方法、この製造方法により製造された偏心レンズアレイ、この偏心レンズアレイを備えた照明光学装置、およびプロジェクタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の偏心レンズアレイの製造方法は、光源から射出された光束を複数の部分光束に分割し、これら部分光束を集光して矩形状の被照明領域に重畳させる照明光学装置に用いられ、光軸中心が幾何学中心からずれた位置となる偏心レンズを含む複数の小レンズを、面内でマトリクス状に配列して構成された偏心レンズアレイの製造方法であって、前記偏心レンズアレイは、前記マトリクス状の配列方向のうち一方向に隣接する小レンズ同士が連続し、前記マトリクス状の配列方向のうち他方向に隣接する小レンズ同士が段差を有して接続するとともに、前記一方向を、前記被照明領域の短辺方向に合わせた状態で配置され、前記一方向に沿って延びる成形用駒を、金型キャビティ内に前記他方向に複数配列した後、前記キャビティ内に溶融光学材料を挿入し、プレス成形することを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、マトリクス状の配列方向のうち一方に沿って連続する成形用駒を用いたので、小レンズの該配列方向の一方の位置ずれが発生しないから、偏心レンズアレイを高精度に製造できる。
【0009】
本発明の偏心レンズアレイは、上述した偏心レンズアレイの製造方法によって製造されたことを特徴とする。
この発明によれば、上述したように、高精度な偏心レンズアレイを得ることができる。
【0010】
本発明の照明光学装置は、光源から射出された光束を複数の部分光束に分割し、これら部分光束を集光して矩形状の被照明領域に重畳させる照明光学装置であって、上述した偏心レンズアレイを備え、この偏心レンズアレイは、前記マトリクス状の配列方向のうち一方を、該被照明領域の短辺方向に合わせた状態で配置されることを特徴とする。
この発明によれば、上述した偏心レンズアレイと略同様の作用・効果を奏することができる。また、光源から射出された光束を矩形状の被照明領域に確実に重畳できる。
【0011】
本発明のプロジェクタは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、拡大投写するプロジェクタであって、上述した照明光学装置を備えていることを特徴とする。
この発明によれば、上述した照明光学装置と略同様の作用・効果を奏することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るプロジェクタ1を上方前面側から見た斜視図である。図2は、プロジェクタ1を下方背面側から見た斜視図である。
図1または図2に示すように、プロジェクタ1は、射出成形によって成形された略直方体状の外装ケース2を備える。この外装ケース2は、プロジェクタ1の本体部分を収納する合成樹脂製の筐体であり、アッパーケース21と、ロアーケース22とを備え、これらのケース21,22は、互いに着脱自在に構成されている。
【0013】
アッパーケース21は、図1,2に示すように、プロジェクタ1の上面、側面、前面、および背面をそれぞれ構成する上面部21A、側面部21B、前面部21Cおよび背面部21Dを含んで構成される。
同様に、ロアーケース22も、図1,2に示すように、プロジェクタ1の下面、側面、前面、および背面をそれぞれ構成する下面部22A、側面部22B、前面部22C、および背面部22Dを含んで構成される。
【0014】
従って、図1,2に示すように、直方体状の外装ケース2において、アッパーケース21およびロアーケース22の側面部21B,22B同士が連続的に接続されて直方体の側面部分210が構成され、同様に、前面部21C,22C同士の接続で前面部分220が、背面部21D,22D同士の接続で背面部分230が、上面部21Aにより上面部分240が、下面部22Aにより下面部分250がそれぞれ構成される。
【0015】
図1に示すように、上面部分240において、その前方側には操作パネル23が設けられ、この操作パネル23の近傍には音声出力用のスピーカ孔240Aが形成されている。
【0016】
前方から見て右側の側面部分210には、2つの側面部21B,22Bを跨る開口211が形成されている。ここで、外装ケース2内には、上面部分240に沿って、後述するメイン基板51と、インターフェース基板52とが設けられており、この開口211に取り付けられたインターフェースパネル53を介して、メイン基板51に実装された接続部51Bと、インターフェース基板52に実装された接続部52Aとが外部に露出している。これらの接続部51B,52Aにおいて、プロジェクタ1には外部の電子機器等が接続される。
【0017】
前面部分220において、前方から見て右側で、前記操作パネル23の近傍には、2つの前面部21C,22Cを跨ぐ円形状の開口221が形成されている。この開口221に対応するように、外装ケース2内部には、投写レンズ46が配置されている。この際、開口221から投写レンズ46の先端部分が外部に露出しており、この露出部分の一部であるレバー46Aを介して、投写レンズ46のフォーカス操作が手動で行えるようになっている。
前面部分220において、前記開口221の反対側の位置には、排気口222が形成されている。この排気口222には、安全カバー222Aが形成されている。
【0018】
図2に示すように、背面部分230において、背面から見た右側には矩形状の開口231が形成され、この開口231からインレットコネクタ24が露出するようになっている。
【0019】
下面部分250において、下方から見て右端側の中央位置には矩形状の開口251が形成されている。開口251には、この開口251を覆うランプカバー25が着脱自在に設けられている。このランプカバー25を取り外すことにより、図示しない光源ランプの交換が容易に行えるようになっている。
また、下面部分250において、下方から見て左側で背面側の隅部には、一段内側に凹んだ矩形面252が形成されている。この矩形面252には、外部から冷却空気を吸入するための吸気口252Aが形成されている。矩形面252には、この矩形面252を覆う吸気口カバー26が着脱自在に設けられている。吸気口カバー26には、吸気口252Aに対応する開口26Aが形成されている。開口26Aには、図示しないエアフィルタが設けられており、内部への塵埃の侵入が防止されている。
【0020】
さらに、下面部分250において、後方側の略中央位置にはプロジェクタ1の脚部を構成する後脚2Rが形成されている。また、下面部22Aにおける前方側の左右の隅部には、同じくプロジェクタ1の脚部を構成する前脚2Fがそれぞれ設けられている。つまり、プロジェクタ1は、後脚2Rおよび2つ前脚2Fにより3点で支持されている。
2つの前脚2Fは、それぞれ上下方向に進退可能に構成されており、プロジェクタ1の前後方向および左右方向の傾き(姿勢)を調整して、投写画像の位置調整ができるようになっている。
【0021】
また、図1,2に示すように、下面部分250と前面部分220とを跨るように、外装ケース2における前方側の略中央位置には、直方体状の凹部253が形成されている。この凹部253には、カバー部材27が設けられている。カバー部材27の内部には、図1,2では図示しないリモートコントローラ(リモコン)が収納されている。
【0022】
ここで、図3,4は、プロジェクタ1の内部を示す斜視図である。具体的には、図3は、図1の状態からプロジェクタ1のアッパーケース21を外した図である。図4は、図3の状態から制御基板5を外した図である。
【0023】
外装ケース2には、図3,4に示すように、背面部分に沿って配置され、左右方向に延びる電源ユニット3と、この電源ユニット3の前側に配置された平面視略L字状で光学ユニット4と、これらのユニット3,4の上方および右側に配置される制御基板5とを備える。これらの各装置3〜5によりプロジェクタ1の本体が構成されている。
【0024】
電源ユニット3は、電源31と、この電源31の下方に配置された図示しないランプ駆動回路(バラスト)とを含んで構成される。
電源31は、前記インレットコネクタに接続された図示しない電源ケーブルを通して外部から供給された電力を、前記ランプ駆動回路や制御基板5等に供給するものである。
前記ランプ駆動回路は、光学ユニット4を構成する図3,4では図示しない光源ランプに、電源31から供給された電力を供給するものであり、前記光源ランプと電気的に接続されている。このようなランプ駆動回路は、例えば、基板に配線することにより構成できる。
【0025】
電源31および前記ランプ駆動回路は、略平行に上下に並んで配置されており、これらの占有空間は、プロジェクタ1の背面側で左右方向に延びている。
また、電源31はおよび前記ランプ駆動回路は、左右側が開口されたアルミニウム等の金属製のシールド部材31Aによって周囲を覆われている。
シールド部材31Aは、冷却空気を誘導するダクトとしての機能に加えて、電源31や前記ランプ駆動回路で発生する電磁ノイズが、外部へ漏れないようにする機能も有している。
【0026】
制御基板5は、図3に示すように、ユニット3,4の上側を覆うように配置されCPUや接続部51B等を含むメイン基板51と、このメイン基板51の下側に配置され接続部52Aを含むインターフェース基板52とを備える。
この制御基板5では、接続部51B,52Aを介して入力された画像情報に応じて、メイン基板51のCPU等が、後述する光学装置を構成する液晶パネルの制御を行う。
【0027】
メイン基板51は、金属製のシールド部材51Aによって周囲を覆われている。メイン基板51は、図3ではわかり難いが、光学ユニット4を構成する上ライトガイド472の上端部分472A(図4)に当接している。
【0028】
〔1.光学ユニットの詳細な構成〕
ここで、図5は、光学ユニット4を示す分解斜視図である。図6は、光学ユニット4を模式的に示す図である。
光学ユニット4は、図6に示すように、光源装置411を構成する光源としての光源ランプ416から射出された光束を光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成し、この光学像を拡大して投写するユニットであり、照明光学装置としてのインテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、リレー光学系43と、光学装置44と、投写レンズ46と、これらの光学部品41〜44,46を収納する合成樹脂製のライトガイド47(図5)とを備える。
【0029】
インテグレータ照明光学系41は、光学装置44を構成する3枚の液晶パネル441(赤、緑、青の色光毎にそれぞれ液晶パネル441R,441G,441Bとする)の画像形成領域をほぼ均一に照明するための光学系であり、光源装置411と、第1レンズアレイ412と、偏心レンズアレイとしての第2レンズアレイ413と、偏光変換素子414と、重畳レンズ415とを備える。
【0030】
光源装置411は、光源ランプ416と、リフレクタ417とを備え、光源ランプ416から射出された放射状の光線をリフレクタ417で反射して平行光線とし、この平行光線を外部へと射出する。光源ランプ416には、高圧水銀ランプを採用している。なお、高圧水銀ランプ以外に、メタルハライドランプやハロゲンランプ等も採用できる。また、リフレクタ417には、放物面鏡を採用している。なお、放物面鏡の代わりに、平行化凹レンズおよび楕円面鏡を組み合わせたものを採用してもよい。
【0031】
第1レンズアレイ412は、光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列されたマルチレンズアレイである。各小レンズは、光源ランプ416から射出される光束を、複数の部分光束に分割している。詳しくは、後述する。
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様な構成を有しており、小レンズがマトリクス状に配列されたマルチレンズアレイである。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を液晶パネル441上に結像させる機能を有する。詳しくは、後述する。
【0032】
偏光変換素子414は、第2レンズアレイ413と重畳レンズ415との間に配置される。このような偏光変換素子414は、第2レンズアレイ413からの光を1種類の偏光光に変換するものであり、これにより、光学装置44での光の利用効率が高められている。
具体的に、偏光変換素子414によって1種類の偏光光に変換された各部分光は、重畳レンズ415によって最終的に光学装置44の液晶パネル441上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネル441を用いたプロジェクタ1では、1種類の偏光光しか利用できないため、他種類のランダムな偏光光を発する光源ランプ416からの光束の略半分が利用されない。このため、偏光変換素子414を用いることにより、光源ランプ416から射出された光束を全て1種類の偏光光に変換し、光学装置44での光の利用効率を高めている。なお、このような偏光変換素子414は、たとえば特開平8−304739号公報に紹介されている。
【0033】
色分離光学系42は、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421,422によりインテグレータ照明光学系41から射出された複数の部分光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する機能を有している。
【0034】
リレー光学系43は、入射側レンズ431と、リレーレンズ433と、反射ミラー432,434とを備え、色分離光学系42で分離された色光である赤色光を液晶パネル441Rまで導く機能を有している。
この際、色分離光学系42のダイクロイックミラー421では、インテグレータ照明光学系41から射出された光束のうち、赤色光成分と緑色光成分とは透過し、青色光成分は反射する。ダイクロイックミラー421によって反射した青色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ418を通って、青色用の液晶パネル441Bに到達する。このフィールドレンズ418は、第2レンズアレイ413から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル441G,441Rの光入射側に設けられたフィールドレンズ418も同様である。
【0035】
また、ダイクロイックミラー421を透過した赤色光と緑色光のうちで、緑色光は、ダイクロイックミラー422によって反射し、フィールドレンズ418を通って、緑色用の液晶パネル441Gに到達する。一方、赤色光は、ダイクロイックミラー422を透過してリレー光学系43を通り、さらにフィールドレンズ418を通って、赤色光用の液晶パネル441Rに到達する。
ここで、赤色光にリレー光学系43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ418に伝えるためである。なお、リレー光学系43には、3つの色光のうちの赤色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、青色光を通す構成としてもよい。
【0036】
光学装置44は、入射された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、色分離光学系42で分離された各色光が入射される3つの入射側偏光板442と、各入射側偏光板442の後段に配置される液晶パネル441R,441G,441Bと、各液晶パネル441R,441G,441Bの後段に配置される射出側偏光板443と、クロスダイクロイックプリズム444とを備える。
液晶パネル441R,441G,441Bは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものである。
光学装置44において、色分離光学系42で分離された各色光は、これら3枚の液晶パネル441R,441G,441B、入射側偏光板442、および射出側偏光板443によって画像情報に応じて変調されて光学像を形成する。
【0037】
入射側偏光板442は、色分離光学系42で分離された各色光のうち、一定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものであり、サファイアガラス等の基板に偏光膜が貼付されたものである。また、基板を用いずに、偏光膜をフィールドレンズ418に貼り付けてもよい。
射出側偏光板443も、入射側偏光板442と略同様に構成され、液晶パネル441(441R,441G,441B)から射出された光束のうち、所定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。また、基板を用いずに、偏光膜をクロスダイクロイックプリズム444に貼り付けてもよい。
これらの入射側偏光板442および射出側偏光板443は、互いの偏光軸の方向が直交するように設定されている。
【0038】
クロスダイクロイックプリズム444は、射出側偏光板443から射出され、各色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成するものである。
クロスダイクロイックプリズム444には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に設けられ、これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成される。
【0039】
以上説明した液晶パネル441、射出側偏光板443およびクロスダイクロイックプリズム444は、一体的にユニット化された光学装置本体45として構成されている。
【0040】
投写レンズ46は、光学装置44のクロスダイクロイックプリズム444で合成されたカラー画像を拡大して投写するものである。
ライトガイド47は、図5に示すように、各光学部品412〜415,418,421〜423,431〜434,442を上方からスライド式に嵌め込む溝部が形成された下ライトガイド471と、下ライトガイド471の上側開口を閉塞する蓋状の上ライトガイド472とを備えて構成される。
【0041】
図5に示すように、平面視略L字状の下ライトガイド471の一端側には、光源装置411が収容されている。他端側には、下ライトガイド471に形成されたヘッド部473を介して、投写レンズ46がねじ止め固定されている。
また、図5に示すように、下ライトガイド471に収納された光学装置本体45は、2つのばね部材50を挟んだ状態で下ライトガイド471にねじ止め固定される。この2つのばね部材50は、フィールドレンズ418および入射側偏光板442を下方へと付勢して位置を特定する。
【0042】
〔2.インテグレータ照明光学系の構造〕
次に、本発明に係る照明光学装置であるインテグレータ照明光学系41について説明する。
図7は、インテグレータ照明光学系41を示す模式図である。
光源装置411から射出された光束は、第1レンズアレイ412によって複数の部分光束に分割される。この分割された各部分光束は、第2レンズアレイ413により集光され、偏光変換素子414により一定方向の直線偏光光に変換された後に、重畳レンズ415を含む各レンズにより液晶パネル441の被照明領域としての矩形状の画像形成領域448に重畳される。
【0043】
第1レンズアレイ412は、複数の小レンズ12を、光軸に直交する方向にマトリックス状(水平方向を行方向とし、上下方向を列方向とすると、6行×10列)に配列することにより構成されている。光源装置411から射出された平行な光束は、これらの小レンズ12によって複数の部分光束に分割され、これら分割された部分光束は、第2レンズアレイ115の近傍で結像される。
ここで、各小レンズ12の形状は、光軸方向から見て、光学装置44を構成する液晶パネル441R,441G,441Bの画像形成領域448の形状と略相似形となるように設定されている。
【0044】
図8は、第2レンズアレイ413の正面図である。
第2レンズアレイ413は、光軸に直交する面内に複数の小レンズがマトリクス状(6行×10列)に配列されて形成されたレンズ部60と、このレンズ部60の周囲に形成された縁部65とを備えている。
この第2レンズアレイ413は、マトリクス状の配列方向のうちの列方向を液晶パネル441R,441G,441Bの画像形成領域448の短辺方向に合わせた状態で配置されている。
【0045】
ここで、レンズ部60は、第2レンズアレイ413の中心を対称中心として、行方向および列方向に対称な4つのレンズ部分61から構成されている(図8中一点鎖線で対称軸を示す)。したがって、以下、図8中右下に位置するレンズ部分61の構造について説明するが、残るレンズ部分61についても同様の構造である。
レンズ部分61は、第2レンズアレイ413の中央側に配置された小レンズ群62と、この小レンズ群62の行方向外側に配置された小レンズ群63と、小レンズ群63の行方向外側に配置された小レンズ群64とを備えている。
【0046】
図9は、第2レンズアレイ413の部分拡大図である。
小レンズ群64は、平面形状は同一であるが断面形状は互いに異なる小レンズ64A,64B,64C,64D,64Eが、第2レンズアレイ413の中央から列方向端部に向かって順に並んで構成されている。
小レンズ63群は、小レンズ群64と同様に、平面形状は同一であるが断面形状は互いに異なる小レンズ63A,63B,63C,63D,63Eが、第2レンズアレイ413の中央から列方向端部に向かって順に並んで構成されている。
【0047】
小レンズ63A〜63E,64A〜64Eの平面形状は、第1レンズアレイ412を構成する小レンズ12と同様に、光学装置44の液晶パネル441R,441G,441Bの画像形成領域の形状と略相似形となるように設定されている。例えば、液晶パネル441R,441G,441Bのアスペクト比(縦と横の寸法の比)が4:3であれば、小レンズ12のアスペクト比も4:3に設定される。具体的には、小レンズ63A〜63E,64A〜64Eは、行方向の幅寸法P1、列方向の高さ寸法Q1を有している。
【0048】
小レンズ群62は、平面形状および断面形状が互いに異なる小レンズ62A,62B,62C,62D,62Eが、第2レンズアレイ413の中央から列方向端部に向かって順に並んで構成されている。
小レンズ62A〜62Eの平面形状について説明する。小レンズ62A〜62Eは、幅寸法P1よりも小さい幅寸法P2を有している。また、小レンズ64Aは、高さ寸法Q1よりも小さい高さ寸法Q2を有し、小レンズ62Bは、高さ寸法Q1を有し、小レンズ64Cは、高さ寸法Q1よりも大きい高さ寸法Q3を有している。小レンズ64Dは、高さ寸法Q1よりも僅かに大きい高さ寸法Q4を有し、小レンズ64Eは、高さ寸法Q1よりも僅かに小さい高さ寸法Q5を有している。
【0049】
したがって、小レンズ62A〜62Eは、小レンズ63A〜63E,64A〜64Eと異なり、平面形状が光学装置44の液晶パネル441R,441G,441Bの画像形成領域の形状に対して、必ずしも略相似形とはなっていない。この理由は、第2レンズアレイ413は、前述したように、第1レンズアレイ412により分割された複数の部分光束の主光線を、後段の重畳レンズ415の入射面に垂直に入射させるために設けられているため、第1レンズアレイ412と同じ構成とする必要はない。要するに、複数の部分光束が重畳レンズ415の入射面に垂直に入射することができれば、小レンズの形状を種々の形状に設定できる。
【0050】
図10は、小レンズ62A〜62E,63A〜63E,64A〜64Eの断面図である。
以上の小レンズ62A〜62E,63A〜63E,64A〜64Eは、図10にも示されるように、レンズ面Rが断面円弧形状の偏心レンズとされている。
各小レンズ62A〜62E,63A〜63E,64A〜64Eの平面形状における中心を幾何学中心Dとする。この幾何学中心Dは、各小レンズ62A〜62E,63A〜63E,64A〜64Eの光軸中心Aから偏心量Hだけずれている。この小レンズ62A〜62E,63A〜63E,64A〜64Eでは、光軸中心A上に焦点位置Fがあり、幾何学中心Dに沿って入射した光束は、光軸中心A上に結像する。
なお、図9では図示を略したが、互いに隣接する各小レンズ62A〜62E,63A〜63E,64A〜64E同士では、偏心量Lは、列方向中心側よりも列方向端部側の方が大きく、行方向中心側よりも行方向端部側の方が大きい。
また、小レンズ62A〜62E,63A〜63E,64A〜64Eにおいて、列方向に隣接するレンズ面R同士は連続しているが、行方向に隣接するレンズ面R同士は連続しておらず、段差が形成されている。
【0051】
〔3.第2レンズアレイの製造方法〕
図11は、第2レンズアレイ413を製造する製造装置70の断面図である。
第2レンズアレイ413は、製造装置70で溶融光学材料としての溶融ガラスGをプレス成形することによって製造される。
製造装置70は、金型装置71と、型締め装置72とを備えている。
金型装置71は、2つの金型711,712に2分割されている。金型711の内部には、金型キャビティとしてのキャビティ711Aが形成されており、このキャビティ711Aには、成形用駒712,713,714が6行配列されて、成形面S1が形成されている。金型712は、平面状の成形面S2を有している。
型締め装置72は、金型711,712を互いに接離させることにより、金型装置71を開閉するものである。
【0052】
ここで、成形用駒712は、マトリクス状の配列方向のうち一方、つまり列方向に隣接する2つの小レンズ群62に対応した形状に形成されることにより、列方向に沿って延びている。なお、成形用駒713,714も、成形用駒712と同様に、列方向に隣接する2つの小レンズ群63,64に対応した形状に形成されて、列方向に沿って延びている。この成形用駒712〜714は、金型711のキャビティ711A内に、マトリクス状の配列方向のうち他方、つまり行方向に6つ配列されている。具体的には、成形用駒712は、中央に2つ配置されており、成形用駒713は、成形用駒712の外側に各1つずつ配置されており、成形用駒714は、成形用駒713の外側に各1つずつ配置されている。
【0053】
以上のような製造装置70では、まず、金型712の成形面S2上に溶融ガラスGを載置する。次に、型締め装置72を駆動させて、金型装置71を閉じる。これにより、キャビティ711A内に溶融ガラスGが挿入された状態となり、金型711の成形面S1と金型712の成形面S2とでプレス成形され、第2レンズアレイ413が得られる。
【0054】
〔4.本実施形態の効果〕
前述した実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)列方向に沿って延びる成形用駒712〜713を、キャビティ711A内に行方向に6つ配列した後、キャビティ711A内に溶融ガラスGを挿入し、プレス成形したので、小レンズ62A〜62E,63A〜63E,64A〜64Eの列方向の位置ずれが発生しないから、第2レンズアレイ413を高精度に製造できる。
【0055】
(2)インテグレータ照明光学系41に第2レンズアレイ413を設け、この第2レンズアレイ413の列方向を画像形成領域448の短辺方向に合わせた状態で配置したので、光源ランプ416から射出された光束を矩形状の画像形成領域448に確実に重畳できる。
【0056】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、成形用駒712〜714を用いて第2レンズアレイ413のみを製造したが、これに限らず、成形用駒712〜714と同様の成形用駒を用いて第1レンズアレイ412を製造してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るプロジェクタを上方全面側から見た斜視図。
【図2】 前記プロジェクタを下方背面側から見た斜視図。
【図3】 前記プロジェクタの内部を示す斜視図であり、具体的には、図1の状態からアッパーケースを外した図。
【図4】 前記プロジェクタの内部を示す斜視図であり、具体的には、図3の状態から制御基板を外した図。
【図5】 前記プロジェクタを構成する光学ユニットを示す分解斜視図。
【図6】 前記光学ユニットを模式的に示す図。
【図7】 前記光学ユニットを構成する照明光学装置を模式的に示す図。
【図8】 前記照明光学装置を構成する偏心レンズアレイの正面図。
【図9】 前記偏心レンズアレイの部分拡大図。
【図10】 前記偏心レンズアレイを構成する小レンズの断面図。
【図11】 前記偏心レンズアレイを製造する製造装置の断面図。
【符号の説明】
1…プロジェクタ、41…インテグレータ照明光学系(照明光学装置)、62A〜62E,63A〜63E,64A〜64E…小レンズ(偏心レンズ)、413…第2レンズアレイ(偏心レンズアレイ)、416…光源ランプ(光源)、448…画像形成領域(被照明領域)、711A…キャビティ(金型キャビティ)、712,713,714…成形用駒、A…光軸中心、D…幾何学中心、G…溶融ガラス(溶融光学材料)。
Claims (4)
- 光源から射出された光束を複数の部分光束に分割し、これら部分光束を集光して矩形状の被照明領域に重畳させる照明光学装置に用いられ、光軸中心が幾何学中心からずれた位置となる偏心レンズを含む複数の小レンズを、面内でマトリクス状に配列して構成された偏心レンズアレイの製造方法であって、
前記偏心レンズアレイは、前記マトリクス状の配列方向のうち一方向に隣接する小レンズ同士が連続し、前記マトリクス状の配列方向のうち他方向に隣接する小レンズ同士が段差を有して接続するとともに、前記一方向を、前記被照明領域の短辺方向に合わせた状態で配置され、
前記一方向に沿って延びる成形用駒を、金型キャビティ内に前記他方向に複数配列した後、
前記キャビティ内に溶融光学材料を挿入し、プレス成形することを特徴とする偏心レンズアレイの製造方法。 - 請求項1に記載の偏心レンズアレイの製造方法によって製造されたことを特徴とする偏心レンズアレイ。
- 光源から射出された光束を複数の部分光束に分割し、これら部分光束を集光して矩形状の被照明領域に重畳させる照明光学装置であって、
請求項2に記載の偏心レンズアレイを備え、
この偏心レンズアレイは、前記マトリクス状の配列方向のうち一方向を、該被照明領域の短辺方向に合わせた状態で配置されることを特徴とする照明光学装置。 - 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、拡大投写するプロジェクタであって、
請求項3に記載の照明光学装置を備えていることを特徴とするプロジェクタ。
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