JP4210297B2 - 先端羽根付き拡径管及びそれを備えた先端羽根付き鋼管杭 - Google Patents

先端羽根付き拡径管及びそれを備えた先端羽根付き鋼管杭 Download PDF

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Description

本発明は、地中に埋設される杭本体の先端部に連設することにより短時間で施工できると共に、埋設後は大きな先端支持力を得ることができる先端羽根付き拡径管及びそれを備えた先端羽根付き鋼管杭に関するものである。
従来、杭の先端部や側面に翼状板を取付けて、地上に設置した施工機械を用いて回転力を与えることにより、翼状板の作用により地中に埋設するねじ込み杭が、種々提案されており、低振動、低騒音、無排土で施工できると共に、埋設後は翼状板の面積を利用して大きな先端支持力が得られるため、土木、建築の分野で実用化されている。
例えば、(特許文献1)には、「杭体の先端部に拡径部を設け、少なくとも該拡径部の先端部又はその近傍に翼を設けたことを特徴とするねじ込み杭」が開示されている。
また、(特許文献2)には、「杭を鋼管と掘削刃及び羽根からなる拡径せる先端部分と同部分より上方に連結する鋼管による補足部分に分割して、先端と補足の両部分の鋼管を任意に選択できる構造とし、両者を適宜な手段で接続した組立式鋼管杭」が開示されている。
特開2002−348863号公報 特開2004−316411号公報
しかしながら上記従来の技術では、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)のねじ込み杭は、翼の先端面が半径方向に真っ直ぐに伸びたストレート形状であるため、ねじ込み杭を回転させた際に、翼の先端面の全面(半径方向の幅全体)が同時に土砂に侵入するため、施工時の抵抗が大きく、ねじ込みに必要なトルクも大きくなって、施工に時間を要すると共に、負荷の影響によって翼の先端部に変形或いは破損などが発生し易く、施工性に欠けるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)の組立式鋼管杭は、羽根が鋼管の外周のみに配設されているため接地面積が狭く、先端支持力が不足するので、杭径を太くしたり、杭の本数を増やしたりしなければならず、省資源性、施工性に欠けるという課題を有していた。また、鋼管の先端に掘削刃を設けることにより、掘削性を向上させることができるが、部品点数が増え量産性に欠けると共に、(特許文献1)と同様に羽根の先端面が半径方向に真っ直ぐに伸びたストレート形状であるため、施工時に羽根の先端部分に負荷がかかり易く、変形や破損などが発生し易いという課題を有していた。さらに、羽根を補強するために補強板や支柱を設けた場合、部品点数が増え量産性に欠けると共に、先端部分が大型化し、形状が複雑になって土中での抵抗を受け易くなり、取り扱い性、施工性に欠けるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、簡単な構造で部品点数が少なく量産性に優れ、杭本体の先端に取り付けることにより施工時の負荷を低減して破損や変形を防止することができる施工性、信頼性に優れた先端羽根付き拡径管の提供、先端羽根付き拡径管を備えることにより短時間で埋設することができ、施工性に優れると共に、埋設後は大きな先端支持力を得ることができるので、杭本体の管径を小さくすることや使用本数を減らすことができる省資源性、取り扱い性に優れ、埋設時に位置ずれが発生し難く、低振動、低騒音、無排土で施工できる信頼性、環境保護性に優れた先端羽根付き鋼管杭の提供を目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明の先端羽根付き拡径管及びそれを備えた先端羽根付き鋼管杭は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の先端羽根付き拡径管は、中空円筒状に形成された杭本体の下端部に連設される先端羽根付き拡径管であって、上端側から下端側に向かって拡径して形成された拡径部と、前記拡径部の下端部を螺旋状に切り欠いて形成された切り欠き部と、前記切り欠き部の端面に配設され外径が前記拡径部の最大径よりも大きく内径が前記拡径部の最小径よりも小さな螺旋状羽根と、前記螺旋状羽根の下端側の先端部に円弧状に形成された掘削刃と、前記拡径部の上端側から見て前記螺旋状羽根の中央開口部が閉塞されないように略三日月状に形成され前記螺旋状羽根の内側上面と前記拡径部の内周側上端を結ぶ螺旋状で前記螺旋状羽根と同方向に配設された凸状案内板と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)上端側から下端側に向かって拡径して形成された拡径部と、拡径部の下端部を螺旋状に切り欠いて形成された切り欠き部と、切り欠き部の端面に配設され外径が拡径部の最大径よりも大きく内径が拡径部の最小径よりも小さな螺旋状羽根を有するので、杭本体の下端部に拡径部を連設することにより、埋設後の接地面積を拡大して大きな先端支持力を得ることができ、杭本体の管径を小さくすることや使用本数を減らすことができ省資源性、施工性を向上することができる。
(2)拡径部の下端部を螺旋状に切り欠いて形成された切り欠き部の端面に螺旋状羽根が配設されているので、杭本体の下端部に取付けて、地上に設置した施工機械を用いて回転力を与えることにより、螺旋状羽根の作用により容易に地中に埋設することができ施工性に優れる。
(3)拡径部が上端側から下端側に向かって拡径して形成されていることにより、拡径部の下端の外周面から螺旋状羽根の外周までの距離を短くすることができるので、施工時の外力によって発生する曲げモーメントを低減することができ、螺旋状羽根の変形を効果的に防止することができ、耐久性に優れる。
(4)螺旋状羽根の下端側の先端部に円弧状に形成された掘削刃を有することにより、回転時に螺旋状羽根の先端部が地中に侵入し易く、土砂が円弧状に形成された掘削刃に沿って螺旋状羽根の後方に流動し易く、螺旋状羽根にかかる抵抗を低減することができるので、螺旋状羽根の変形や破損を防止することができ、施工性、信頼性に優れる。
(5)螺旋状羽根の内径が拡径部の最小径よりも小さく形成されているので、施工時に螺旋状羽根によってほぐされて流動化した土砂が、螺旋状羽根の上面に沿って移動する際に、拡径部の内部にも侵入し易く、施工時間を短縮することができ、施工性に優れる。
(6)螺旋状羽根の上面と拡径部の上端を結ぶ螺旋状に配設された凸状案内板部を有することにより、拡径部の内部に侵入した土砂を凸状案内板によりほぐして流動化することや、土砂を螺旋状羽根の上面から凸状案内板に沿って拡径部の上端まで案内して移動させることができるので、ねじ込みに必要なトルクを低減することができ、施工時間を短縮することができ、施工性に優れる。
(7)凸状案内板のほとんどが螺旋状羽根と重なり、螺旋状羽根の中央開口部が凸状案内板で閉塞されることがないので、抵抗の増加を防ぐことができ、拡径部の内部への土砂の侵入が妨げられることがなく、施工性に優れる。
(8)凸状案内板を螺旋状羽根と同方向の螺旋状に配置することにより、拡径部の内部に侵入した土砂が、螺旋状羽根の上面から凸状案内板の上面に沿ってスムーズに移動し、拡径部の上端まで確実に案内される。
ここで、拡径部としては、上端側から下端側に向かって拡径して形成されていればよく、上端部と下端部の間の周壁は直線状に形成してもよいし、曲線状に形成してもよい。特に管径の異なる管の接続に用いるレデューサのように上端部と下端部の間の周壁が曲線状に形成された拡径部を用いた場合、短い距離で径を拡大することができると共に、大径部分の領域を広く取って剛性を高めることができ、耐久性及び先端支持力の安定性に優れる。
切り欠き部は、一巻き分の螺旋状羽根に対応させて拡径部の下端部に一周分形成する。螺旋状羽根は、平板状の環状部材の一箇所を半径方向に円弧状に切断することにより容易に形成することができる。円弧状に切断した端面に傾斜状のすくい面を形成することにより、螺旋状羽根の先端部が掘削刃となる。環状部材の切断時に初めから切断面を傾斜させておけば、一回の切断加工のみで円弧状の掘削刃を有する螺旋状羽根を形成することができ、加工が容易で量産性に優れる。
尚、螺旋状羽根は、先端部で切断されているが、平面視では環状のままであるため、接地面積が減少することはなく、先端支持力を確保することができる。
また、螺旋状羽根の外径と内径は必要な先端支持力や杭本体の直径などに応じて、適宜、選択することができる。
凸状案内板の形状は、拡径部の上端側から見た時に略三日月状となるように形成することが好ましい。凸状案内板の幅が広い程、多量の土砂を掻き上げることができ、拡径部の内部に侵入した土砂を細かく切ることができるが、中央開口部の中まで大きくはみ出すと回転時に抵抗となってトルクが増加するので、弦の位置が螺旋状羽根の範囲に収まるか中央開口部に若干はみ出る程度にすることが望ましい。これにより、凸状案内板のほとんどが螺旋状羽根と重なり、螺旋状羽根の中央開口部が凸状案内板で閉塞されることがないので、抵抗の増加を防ぐことができ、拡径部の内部への土砂の侵入が妨げられることがなく、施工性に優れる。
凸状案内板の取り付け角度は、螺旋状羽根の傾きより大きくすることが好ましい。土砂の移動距離を短くすることができ、短時間で土砂を拡径部の上端側まで掻き上げることができ、施工性に優れるためである。具体的には、螺旋状羽根の傾きにもよるが、凸状案内板の取り付け角度は、30度〜50度が好ましい。凸状案内板の取り付け角度が30度より小さくなるにつれ、凸状案内板の全長が長くなり、形状も複雑化して加工や拡径部への取り付けが困難となって量産性が低下し易くなる傾向があり、50度より大きくなるにつれ、土砂が凸状案内板上を滑り易くなり、土砂を拡径部の上端側まで確実に案内することが困難になる傾向があり、いずれも好ましくない。
凸状案内板の数は、拡径部の大きさや凸状案内板の取り付け角度にもよるが、1〜3枚が好ましい。凸状案内板の数が3枚より多くなるにつれ、凸状案内板同士が重なり易くなり、凸状案内板を拡径部に確実に溶接することが困難となって生産性が低下すると共に、埋設施工時に拡径部の内部の抵抗が大きくなり、施工性が低下し易くなる傾向が
あり好ましくない。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の先端羽根付き拡径管であって、前記拡径部の上端部と下端部の間の周壁が曲線状に形成されている構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)上端部と下端部の間の周壁が曲線状に形成された拡径部を用いた場合、短い距離で径を拡大することができると共に、大径部分の領域を広く取って剛性を高めることができ、耐久性及び先端支持力の安定性に優れる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の先端羽根付き拡径管であって、前記凸状案内板と対向し前記拡径部の上端側に傾斜して配設された補助凸状案内部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)凸状案内板と対向し拡径部の上端側に傾斜して配設された補助凸状案内部を有することにより、拡径部の内部における抵抗を増加させることなく、凸状案内板と共に拡径部の内部に侵入した土砂を拡径部の上端まで効率的に移動させることができ、施工時の効率性に優れる。
(2)凸状案内板と補助凸状案内部を対向して配設することにより、凸状案内板及び補助凸状案内部にかかる負荷を分散させることができ、凸状案内板及び補助凸状案内部の変形や破損等を防止することができ信頼性に優れる。
ここで、補助凸状案内部の傾斜の向きは、凸状案内板の傾斜の向きと同じにすることにより、先端羽根付き拡径管の回転に伴って拡径部の内部の土砂が、凸状案内板及び補助凸状案内部に沿ってスムーズに移動することができる。特に、補助凸状案内部の取り付け角度を凸状案内板の取り付け角度と同等にすることにより、土砂が拡径部の内部で凸状案内板及び補助凸状案内部に沿って略一定の傾きで回転しながら上昇するので、土砂の流れがスムーズで施工性に優れる。
補助凸状案内部の幅や長さなどは、回転時の負荷を考慮して適宜、選択することができる。特に、補助凸状案内部の幅が広い程、多量の土砂を案内して掻き上げることができるが、中央開口部まではみ出すと回転時に抵抗となってトルクが増加するので、好ましくない。
また、補助凸状案内部の取り付け範囲は、拡径部の形状や補助凸状案内部の取り付け角度にもよるが、拡径部の上端側から拡径部の全長の1/4〜1/3の範囲に配置することが好ましい。補助凸状案内部の取り付け範囲が拡径部の全長の1/4より狭くなるにつれ、土砂の移動距離が短くなり、土砂を十分に案内することが困難になる傾向があり、1/3より広くなるにつれ、拡径部の内周面に沿わせて補助凸状案内部を取り付けることが困難となり、生産性が低下する傾向があり、いずれも好ましくない。
尚、補助凸状案内部を長手方向に複数に分割し、拡径部の全長の中央部や下端部にも配置した場合、拡径部の下端側から上端側まで確実に土砂を案内することができる。また、補助凸状案内部を分割することにより、容易に拡径部の内周面の形状に沿わせて補助凸状案内部を取り付けることができるので、補助凸状案内部の形状を簡素化することができ加工性、生産性の低下を防ぐことができる。尚、1枚の凸状案内板に対し、複数の補助凸状案内部を並列に配置してもよい。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の先端羽根付き拡径管であって、前記拡径部の内周面に配設された凸条部及び/又は突起部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)拡径部の内周面に配設された凸条部及び/又は突起部を有することにより、拡径部の内部の土砂を案内して拡径部の上端側へ掻き上げることや拡径部の内周面付近の土砂を細かく切りながら回転することができ、ねじ込みに必要なトルクを低減させることができ、施工性を向上させることができる。
(2)拡径部の内周面に凸条部及び/又は突起部を形成することにより、拡径部の内周面の表面積を拡大して土砂との接触面積を増やすことができ、土砂と拡径部の内周面との食い付きをよくして埋設後の先端支持力の安定性に優れる。
ここで、凸条部及び/又は突起部の形状や数、配置は、適宜、選択することができる。例えば、1本の凸条部を螺線状に配置してもよいし、複数本の凸条部及び/又は突起部を規則的或いは不規則的に配置してもよい。凸条部の幅が広い程、多量の土砂を案内して掻き上げることができるが、中央開口部まで大きくはみ出すと回転時に抵抗となってトルクが増加するので、螺旋状羽根の範囲に収まる幅に形成するか中央開口部に若干はみ出る程度に形成することが好ましい。また、長さや傾きは回転時の抵抗や強度などを考慮して決定する。
突起部は、棒状や円錐状、角錐状などの任意の形状に形成することができる。突起部が拡径部の内側に長く突出している程、拡径部の内部の土砂を攪拌して細かく切ることができるが、長くなり過ぎると回転時に抵抗となってトルクが増加すると共に、礫やコンクリート塊など硬い異物により変形などの破損が発生し易くなるので、螺旋状羽根の範囲に収まる長さに形成するか中央開口部に若干はみ出る程度に形成することが好ましい。また、太さは回転時の抵抗や強度などを考慮して決定する。
凸条部の傾きを螺旋状羽根や凸状案内板部と同方向の傾きにした場合は、拡径部の内部の土砂が凸条部に沿って移動し易く、ねじ込みに必要なトルクを低減させることができ、土砂の掻き上げ効果を向上させることができる。また、凸条部の傾きを螺旋状羽根や凸状案内板部と逆方向の傾きにした場合は、拡径部の内部の土砂を効率的にほぐして流動化させることができ、土砂の攪拌効果を向上させることができる。
本発明の請求項5に記載の先端羽根付き鋼管杭は、中空円筒状に形成された杭本体と、前記杭本体の下端部に連設された請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の先端羽根付き拡径管と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)中空円筒状に形成された杭本体の下端部に先端羽根付き拡径管を連設することにより、既存の杭本体を短時間で埋設することができ、施工性に優れると共に、埋設後は大きな先端支持力を得ることができるので、杭本体の管径を小さくすることや使用本数を減らすことができ、省資源性、取り扱い性に優れる。
ここで、先端羽根付き拡径管は、拡径部の上端部の管径(最小径)が異なるものを複数用意することにより、杭本体の管径の違いに対応することができる。予め寸法の異なる先端羽根付き拡径管を用意しておき、必要な時に必要な数だけ杭本体の下端に溶接で固定すればよいので、資材の調達と保管及び搬送に要するコストを大幅に低減できる。
また、杭本体と先端羽根付き拡径管の組合せを適宜、選択することができ、現場で容易に組み立てられるので、作業の進行状況に合わせて先端羽根付き鋼管杭を供給することができ、組み立てや輸送等の納期管理や在庫管理も容易で取り扱い性に優れる。
以上のように、本発明の先端羽根付き拡径管及びそれを備えた先端羽根付き鋼管杭によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)埋設施工時に杭本体を回転させた際に、螺旋状羽根の下端側の先端部に形成された円弧状の掘削刃が地中に侵入し易く、螺旋状羽根にかかる抵抗を低減することができるので、土砂が掘削刃に沿って螺旋状羽根の後方に流動し易く、螺旋状羽根の変形や破損を防止することができる施工性、信頼性に優れた先端羽根付き拡径管を提供することができる。
(2)螺旋状羽根の内径が拡径部の最小径よりも小さく形成されているので、施工時に螺旋状羽根によってほぐされて流動化した土砂が、螺旋状羽根の上面に沿って移動する際に、拡径部の内部にも侵入し易く、施工時間を短縮することができる施工性に優れた先端羽根付き拡径管を提供することができる。
(3)螺旋状羽根の上面と拡径部の上端を結ぶ螺旋状に配設された凸状案内板部により、拡径部の内部に侵入した土砂をほぐして流動化することができ、螺旋状羽根の上面から螺旋状羽根の傾きと同方向の螺旋状に配置された凸状案内板に沿って拡径部の上端まで案内して移動させることができるので、ねじ込みに必要なトルクを低減することができ、施工時間を短縮することができる施工性に優れた先端羽根付き拡径管を提供することができる。
(4)凸状案内板のほとんどが螺旋状羽根と重なり、螺旋状羽根の中央開口部が凸状案内板で閉塞されることがないので、抵抗の増加を防ぐことができ、拡径部の内部への土砂の侵入が妨げられることがなく、施工性に優れる。
(5)凸状案内板を螺旋状羽根と同方向の螺旋状に配置することにより、拡径部の内部に侵入した土砂が、螺旋状羽根の上面から凸状案内板の上面に沿ってスムーズに移動し、拡径部の上端まで確実に案内される。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)上端部と下端部の間の周壁が曲線状に形成された拡径部を用いた場合、短い距離で径を拡大することができると共に、大径部分の領域を広く取って剛性を高めることができ、耐久性及び先端支持力の安定性に優れる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)凸状案内板と対向し拡径部の上端側に傾斜して配設された補助凸状案内部を有することにより、拡径部の内部における抵抗を増加させることなく、凸状案内板と共に拡径部の内部に侵入した土砂を拡径部の上端まで効率的に移動させることができる施工時の効率性に優れた先端羽根付き拡径管を提供することができる。
(2)凸状案内板と補助凸状案内部を対向して配設することにより、凸状案内板及び補助凸状案内部にかかる負荷を分散させることができ、凸状案内板及び補助凸状案内部の変形や破損等を防止することができ信頼性に優れた先端羽根付き拡径管を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、
(1)拡径部の内周面に配設された凸条部及び/又は突起部で拡径部の内部の土砂を案内して拡径部の上端側へ掻き上げることや拡径部の内周面付近の土砂を細かく切りながら回転することができ、ねじ込みに必要なトルクを低減させて施工性を向上させることができる取り扱い性に優れた先端羽根付き拡径管を提供することができる。
(2)拡径部の内周面に形成された凸条部及び/又は突起部により拡径部の内周面の表面積を拡大して土砂との接触面積を増やすことができ、土砂と拡径部の内周面との食い付きをよくして埋設後の先端支持力の安定性を向上させることができる信頼性に優れた先端羽根付き拡径管を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、
(1)既存の杭本体の下端部に先端羽根付き拡径管を連設するだけで短時間で埋設することができ、施工性に優れると共に、埋設後は大きな先端支持力を得ることができ、杭本体の管径を小さくすることや使用本数を減らすことができる省資源性、取り扱い性に優れた先端羽根付き拡径管を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1(a)は本発明の実施の形態1における先端羽根付き拡径管の平面図であり、図1(b)は本発明の実施の形態1における先端羽根付き拡径管の正面図であり、図2は本発明の実施の形態1における先端羽根付き拡径管の側面図であり、図3は本発明の実施の形態1における先端羽根付き拡径管の底面図であり、図4は図1のA−A線矢視断面図である。
図1乃至4中、1は本発明の実施の形態1における先端羽根付き拡径管、2は上端2a側から下端2b側に向かって拡径して形成された先端羽根付き拡径管1の拡径部、3は拡径部2の下端部を螺旋状に切り欠いて形成された先端羽根付き拡径管1の切り欠き部、4は切り欠き部3の端面に配設され外径が拡径部2の最大径よりも大きく内径が拡径部2の最小径よりも小さな先端羽根付き拡径管1の螺旋状羽根、4aは螺旋状羽根4の上面、4bは螺旋状羽根4の中央部に形成された先端羽根付き拡径管1の中央開口部、5は螺旋状羽根4の下端側の先端部に円弧状に形成された先端羽根付き拡径管1の掘削刃、5aは掘削刃5の端面に傾斜状に形成されたすくい面である。
拡径部2として上端2a部と下端2b部の間の周壁が曲線状に形成されたレデューサを使用した。これにより、短い距離で径を拡大することができると共に、大径部分の領域を広く取って剛性を高めることができ、耐久性及び先端支持力の安定性に優れる。また、拡径部2として規格化された既製品を用いることにより、杭本体との寸法合わせが容易で取り扱い性、量産性に優れる。
尚、拡径部2の形状はこれに限定されるものではなく、上端2a部と下端2b部の間の周壁は直線状に形成してもよいし、図1(b)に示した以外の曲線状に形成してもよい。
切り欠き部3は、一巻き分の螺旋状羽根4に対応させて拡径部2の下端2b部に一周分形成した。螺旋状羽根4は、平板状の環状部材の一箇所を半径方向に円弧状に切断することにより形成した。円弧状に切断した端面に傾斜状のすくい面5aを形成することにより、螺旋状羽根4の先端部が掘削刃5となる。環状部材の切断時に初めから切断面を傾斜させておけば、一回の切断加工のみで円弧状の掘削刃5を有する螺旋状羽根4を形成することができ、加工が容易で量産性に優れる。
尚、螺旋状羽根4は、掘削刃5で切断されているが、図1及び3に示すように、平面視では環状のままであるため、埋設時の接地面積が減少することはなく、先端支持力を確保することができる。
以上のように構成された先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭について説明する。
図5は本発明の実施の形態1における先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭を示す正面図である。
図5中、10は実施の形態1における先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭、11は中空円筒状に形成され下端部11aに実施の形態1における先端羽根付き拡径管1が連設された鋼製の杭本体である。
先端羽根付き拡径管1と杭本体11は溶接により固定される。先端羽根付き拡径管1は、拡径部2の上端2a部の管径(最小径)が異なるものを複数用意することにより、杭本体11の管径の違いに対応することができる。予め寸法の異なる先端羽根付き拡径管1を用意しておき、必要な時に必要な数だけ杭本体11の下端部11aに溶接で固定すればよいので、資材の調達と保管及び搬送に要するコストを大幅に低減できる。
また、杭本体11と先端羽根付き拡径管1の組合せを適宜、選択することができ、現場で容易に組み立てられるので、作業の進行状況に合わせて先端羽根付き鋼管杭10を供給することができ、組み立てや輸送等の納期管理や在庫管理も容易で取り扱い性に優れる。
尚、螺旋状羽根4の外径と内径は必要な先端支持力や杭本体11の直径などに応じて、適宜、選択することができる。
以上のように構成された本発明の実施の形態1における先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭について、以下その使用方法を説明する。
図5において、地上に設置した施工機械(図示せず)を用いて杭本体11に回転力を与えることにより、先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭10を地中に埋設する。このとき、螺旋状羽根4の下端側の先端部に円弧状の掘削刃5が形成されているので、螺旋状羽根4が地中に侵入し易く、土砂が掘削刃5から螺旋状羽根4の上面4aに沿ってスムーズに流動する。また、螺旋状羽根4が中央開口部4bを有し、螺旋状羽根4の内径が拡径部2の最小径よりも小さく形成されているので、螺旋状羽根4の上面4aに沿って移動する土砂が、拡径部2の内部にも侵入し易く、螺旋状羽根4にかかる抵抗を低減することができる。その結果、位置ずれが発生し難く、低振動、低騒音、無排土で施工することができ、信頼性、環境保護性に優れる。
以上のように、本発明の実施の形態1における先端羽根付き拡径管は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)上端2a側から下端2b側に向かって拡径して形成された拡径部2と、拡径部2の下端2b部を螺旋状に切り欠いて形成された切り欠き部3と、切り欠き部3の端面に配設され外径が拡径部2の最大径よりも大きく内径が拡径部2の最小径よりも小さな螺旋状羽根4を有するので、杭本体11の下端部11aに拡径部2を連設することにより、埋設後の接地面積を拡大して大きな先端支持力を得ることができ、杭本体11の管径を小さくすることや使用本数を減らすことができ省資源性、施工性を向上することができる。
(2)拡径部2の下端2b部を螺旋状に切り欠いて形成された切り欠き部3の端面に螺旋状羽根4が配設されているので、杭本体11の下端部11aに取付けて、地上に設置した施工機械を用いて回転力を与えることにより、螺旋状羽根4の作用により容易に地中に埋設することができ施工性に優れる。
(3)拡径部2が上端2a側から下端2b側に向かって拡径して形成されていることにより、拡径部2の下端2bの外周面から螺旋状羽根4の外周までの距離を短くすることができるので、施工時の外力によって発生する曲げモーメントを低減することができ、螺旋状羽根4の変形を効果的に防止することができ、耐久性に優れる。
(4)螺旋状羽根4の下端側の先端部に円弧状に形成された掘削刃5を有することにより、回転時に螺旋状羽根4の先端部が地中に侵入し易く、土砂が円弧状に形成された掘削刃5に沿って螺旋状羽根4の後方に流動し易く、螺旋状羽根4にかかる抵抗を低減することができるので、螺旋状羽根4の変形や破損を防止することができ、施工性、信頼性に優れる。
(5)螺旋状羽根4の内径が拡径部2の最小径よりも小さく形成されているので、施工時に螺旋状羽根4によってほぐされて流動化した土砂が、螺旋状羽根4の上面4aに沿って移動する際に、拡径部2の内部にも侵入し易く、施工時間を短縮することができ、施工性に優れる。
以上のように、本発明の実施の形態1における先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)中空円筒状に形成された杭本体11の下端部11aに先端羽根付き拡径管1を連設することにより、既存の杭本体11を短時間で埋設することができ、施工性に優れると共に、埋設後は大きな先端支持力を得ることができるので、杭本体11の管径を小さくすることや使用本数を減らすことができ、省資源性、取り扱い性に優れる。
(実施の形態2)
図6(a)は本発明の実施の形態2における先端羽根付き拡径管の平面図であり、図6(b)は図6(a)のB−B線矢視断面図であり、図6(c)は図6(a)のC−C線矢視部分断面図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図6において、実施の形態2における先端羽根付き拡径管1aが実施の形態1と異なるのは、下端部6aが螺旋状羽根4の上面4aと接し、上端部6bが拡径部2の上端2aに達するように螺旋状に配設された略三日月状の凸状案内板6と、凸状案内板6と対向し拡径部2の上端2a側に傾斜して配設された補助凸状案内部7を備えている点である。
拡径部2の上端2a側から見た時に、凸状案内板6の形状が略三日月状となるように形成した。凸状案内板6の幅が広い程、多量の土砂を掻き上げることができ、拡径部2の内部に侵入した土砂を細かく切ることができるが、中央開口部4bの中まで大きくはみ出すと回転時に抵抗となってトルクが増加するので、その弦の位置が螺旋状羽根4の範囲に収まるか或いは中央開口部4bに若干はみ出る程度にすることが好ましい。凸状案内板6のほとんどが螺旋状羽根4と重なり、螺旋状羽根4の中央開口部4bが凸状案内板6で閉塞されることがないので、抵抗の増加を防ぐことができ、拡径部2の内部への土砂の侵入が妨げられることがなく、施工性に優れる。
尚、凸状案内板6を螺旋状羽根4と同方向の螺旋状に配置することにより、拡径部2の内部に侵入した土砂が、螺旋状羽根4の上面4aから凸状案内板6の上面に沿ってスムーズに移動し、拡径部2の上端2aまで確実に案内される。
凸状案内板6の取り付け角度は、螺旋状羽根4の傾きより大きくなるように、30度〜50度の範囲で選択した。凸状案内板6の取り付け角度が30度より小さくなるにつれ、凸状案内板6の全長が長くなり、形状も複雑化して加工や拡径部2への取り付けが困難となって量産性が低下し易くなる傾向があり、50度より大きくなるにつれ、土砂が凸状案内板6上を滑り易くなり、土砂を拡径部2の上端2a側まで確実に案内することが困難になる傾向があることがわかったためである。また、凸状案内板6の取り付け角度を螺旋状羽根4の傾きより大きくすることにより、土砂の移動距離を短くすることができ、短時間で土砂を拡径部2の上端2a側まで掻き上げることができ、施工性に優れる。
本実施の形態では、凸状案内板6を1枚だけ配設したが、凸状案内板6の数は、拡径部2の大きさや凸状案内板6の取り付け角度によって、1〜3枚の範囲で選択することができる。凸状案内板6の数が3枚より多くなるにつれ、凸状案内板6同士が重なり易くなり、凸状案内板6を拡径部2に確実に溶接することが困難となって生産性が低下すると共に、埋設施工時に拡径部2の内部の抵抗が大きくなり、施工性が低下し易くなる傾向が見られることがわかったためである。
補助凸状案内部7の傾斜の向きは、凸状案内板6の傾斜の向きと同じにすることにより、先端羽根付き拡径管1aの回転に伴って拡径部2の内部の土砂が、凸状案内板6及び補助凸状案内部7に沿ってスムーズに移動することができる。特に、補助凸状案内部7の取り付け角度を凸状案内板6の取り付け角度と同等にすることにより、土砂が拡径部2の内部で凸状案内板4及び補助凸状案内部6に沿って略一定の傾きで回転しながら上昇するので、土砂の流れがスムーズで施工性に優れる。
尚、補助凸状案内部7の幅や長さなどは、回転時の負荷を考慮して適宜、選択することができる。特に、補助凸状案内部7の幅が広い程、多量の土砂を案内して掻き上げることができるが、中央開口部4bまではみ出すと回転時に抵抗となってトルクが増加するので、好ましくない。
また、補助凸状案内部7の取り付け範囲は、拡径部2の形状や補助凸状案内部7の取り付け角度にもよるが、拡径部2の上端2a側から拡径部2の全長の1/4〜1/3の範囲に配置した。補助凸状案内部7の取り付け範囲が拡径部2の全長の1/4より狭くなるにつれ、土砂の移動距離が短くなり、土砂を十分に案内することが困難になる傾向があり、1/3より広くなるにつれ、拡径部2の内周面に沿わせて補助凸状案内部7を取り付けることが困難となり、生産性が低下する傾向があることがわかったためである。尚、1枚の凸状案内板6に対し、複数の補助凸状案内部7を並列に配置してもよい。
実施の形態2における先端羽根付き拡径管1aは、実施の形態1と同様に杭本体11の下端部11aに溶接により固定して先端羽根付き鋼管杭として使用することができる。
また、実施の形態2における先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭の使用方法については、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
以上のように、本発明の実施の形態2における先端羽根付き拡径管は構成されているので、実施の形態1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)螺旋状羽根4の上面4aと拡径部2の上端2aを結ぶ螺旋状に配設された凸状案内板部6を有することにより、拡径部2の内部に侵入した土砂を凸状案内板6によりほぐして流動化することや、土砂を螺旋状羽根4の上面4aから凸状案内板6に沿って拡径部2の上端2aまで案内して移動させることができるので、ねじ込みに必要なトルクを低減することができ、施工時間を短縮することができ、施工性に優れる。
(2)凸状案内板6と対向し拡径部2の上端2a側に傾斜して配設された補助凸状案内部7を有することにより、拡径部2の内部における抵抗を増加させることなく、凸状案内板6と共に拡径部2の内部の土砂を拡径部2の上端2aまで効率的に移動させることができ、施工時の効率性に優れる。
(3)凸状案内板6と補助凸状案内部7を対向して配設することにより、凸状案内板6及び補助凸状案内部7にかかる負荷を分散させることができ、凸状案内板6及び補助凸状案内部7の変形や破損等を防止することができ信頼性に優れる。
以上のように、本発明の実施の形態2における先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭は構成されているので、実施の形態1で得られる作用と同様の作用が得られる。
(実施の形態3)
図7は本発明の実施の形態3における先端羽根付き拡径管の断面図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図7において、実施の形態3における先端羽根付き拡径管1bが実施の形態1と異なるのは、拡径部2の内周面に傾斜して配設された複数の凸条部7aを備えている点である。
凸条部7aの形状や数、配置は、適宜、選択することができる。尚、凸条部7aの傾斜の角度は、螺旋状羽根4の角度と同等か10〜20度程度大きくすることにより、拡径部2の内部の土砂が凸条部7aに沿って移動し易くなり、ねじ込みに必要なトルクを低減させることができる。また、凸条部7aの幅が広い程、多量の土砂を案内して掻き上げることができるが、中央開口部4bまで大きくはみ出すと回転時に抵抗となってトルクが増加するので、螺旋状羽根4の範囲に収まる幅に形成した。
本実施の形態では、複数の凸条部7aを傾斜させて規則的に配置したが、例えば、1本の凸条部を螺線状に配置してもよいし、複数の凸条部を不規則的に配置してもよい。
尚、凸条部7aの断面形状は本実施の形態のような矩形状に限定されるものではなく、半円柱状や三角柱状或いは突起状に形成してもよい。また、凸条部7aの代わりに、棒状や円錐状、角錐状などの任意の形状に形成した突起部を設けた場合、拡径部2の内部の土砂を確実に攪拌して流動化することができる。突起部が拡径部2の内側に長く突出している程、拡径部2の内部の土砂を攪拌して細かく切ることができるが、長くなり過ぎると回転時に抵抗となってトルクが増加すると共に、礫やコンクリート塊など硬い異物により変形などの破損が発生し易くなるので、螺旋状羽根4の範囲に収まる長さに形成するか中央開口部4bに若干はみ出る程度の長さに形成する必要がある。
実施の形態3における先端羽根付き拡径管1bは、実施の形態1と同様に杭本体11の下端部11aに溶接により固定して先端羽根付き鋼管杭として使用することができる。
また、実施の形態3における先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭の使用方法については、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
以上のように、本発明の実施の形態2における先端羽根付き拡径管は構成されているので、実施の形態1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)拡径部2の内周面に配設された凸条部7aを有することにより、拡径部2の内部の土砂を案内して拡径部2の上端2a側へ掻き上げることや拡径部2の内周面付近の土砂を細かく切りながら回転することができ、ねじ込みに必要なトルクを低減させ、施工性を向上させることができる。
(2)拡径部2の内周面に凸条部7aを形成することにより、拡径部2の内周面の表面積を拡大して土砂との接触面積を増やすことができ、土砂と拡径部2の内周面との食い付きをよくして埋設後の先端支持力の安定性に優れる。
以上のように、本発明の実施の形態3における先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭は構成されているので、実施の形態1で得られる作用と同様の作用が得られる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
実施の形態2で説明した先端羽根付き拡径管1aを備えた先端羽根付き鋼管杭を用いて、杭打ち試験を行った。
図8(a)は実施例1で用いた先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭を示す正面図であり、図8(b)は実施例1で用いた先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭を示す底面図である。
図8において、各部の寸法は杭本体11の管径d1=406.4mm、拡径管1aの下端2b部の最大径d2=508mm、螺旋状羽根4の外径d3=1016mm、螺旋状羽根4の内径(中央開口部4bの孔径)d4=250mm、先端羽根付き鋼管杭の全長l=12.55mとした。
まず、ボーリングによる地盤調査を行い、9.3mの深度に支持層があることを確認した。
次に、先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭の杭打ちを行った。杭打ちには日本車両製造製の小型杭打ち機DHJ−25を用いた。
図9(a)は施工時間と深度の関係を示す図であり、図9(b)は施工時間とトルクの関係を示す図である。図9(a)において、縦軸は深度を示し、横軸は経過時間を示している。また、図9(b)において、縦軸は深度を示し、横軸はトルクを示している。
最大深度は9.9mであり、確実に支持層まで埋設することができた。途中、地中に含まれる転石(礫)やコンクリート塊などの障害物の影響によりトルクの増加(図9(b)の2.5m前後)や進入速度の低下(図9(a)の5.5m前後)が見られたが、鋼管杭の回転が停止することはなく、連続して作業を行うことができ、60分程度の施工時間で杭打ちを完了することができた。
(実施例2)
図8において、杭本体11の管径d1=267.4mm、拡径管1aの下端2b部の最大径d2=355.6mm、螺旋状羽根4の外径d3=711mm、螺旋状羽根4の内径(中央開口部4bの孔径)d4=200mm、とした以外は、実施例1と同様の先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭で杭打ちを行った。
尚、このときの支持層の深度は12mであった。
図10(a)は施工時間と深度の関係を示す図であり、図10(b)は施工時間とトルクの関係を示す図である。図10(a)において、縦軸は深度を示し、横軸は経過時間を示している。また、図10(b)において、縦軸は深度を示し、横軸はトルクを示している。
最大深度は12.6mであり、確実に支持層まで埋設することができた。途中、地中に含まれる転石(礫)やコンクリート塊などの障害物の影響によりトルクの増加(図10(b)の3.5m前後、7.5m前後)や進入速度の低下(図10(a)の3.5m前後、7.5m前後、11m前後)が見られたが、鋼管杭の回転が停止することはなく、連続して作業を行うことができ、72分程度の施工時間で杭打ちを完了することができた。
試験終了後、(実施例1)、(実施例2)の杭本体11の内部を確認したところ、全長の半分程度まで土砂が進入しており、凸状案内板6及び補助凸状案内部7が土砂の掻き上げに有効であることがわかった。
また、(実施例1)、(実施例2)の鋼管杭を引き抜いて破損状況を確認したが、いずれも螺旋状羽根4や凸状案内板6、補助凸状案内部7などには変形や欠けなどの破損は見られず、これらの形状が土中で抵抗を受け難く、施工性に優れることがわかった。
以上のように、(実施例1)、(実施例2)の先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭を用いることにより、土中の障害物などの影響を受け難く、連続作業が可能で短時間で埋設することができ、埋設施工時の負荷を低減して螺旋状羽根などの破損や変形を防止することができ、杭打ち作業の施工性、信頼性を向上できることがわかった。
本発明は、簡単な構造で部品点数が少なく量産性に優れ、杭本体の先端に取り付けることにより施工時の負荷を低減して破損や変形を防止することができる施工性、信頼性に優れた先端羽根付き拡径管の提供、先端羽根付き拡径管を備えることにより短時間で埋設することができ、施工性に優れると共に、埋設後は大きな先端支持力を得ることができるので、杭本体の管径を小さくすることや使用本数を減らすことができる省資源性、取り扱い性に優れ、埋設時に位置ずれが発生し難く、低振動、低騒音、無排土で施工できる信頼性、環境保護性に優れた先端羽根付き鋼管杭の提供を目的とし、土木、建築工事に必要なコストを削減し、省資源化、省エネルギー化に貢献することができる。
(a)本発明の実施の形態1における先端羽根付き拡径管の平面図(b)本発明の実施の形態1における先端羽根付き拡径管の正面図 本発明の実施の形態1における先端羽根付き拡径管の側面図 本発明の実施の形態1における先端羽根付き拡径管の底面図 図1のA−A線矢視断面図 本発明の実施の形態1における先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭を示す正面図 (a)本発明の実施の形態2における先端羽根付き拡径管の平面図(b)図6(a)のB−B線矢視断面図(c)図6(a)のC−C線矢視部分断面図 本発明の実施の形態3における先端羽根付き拡径管の断面図 実施例1で用いた先端羽根付き拡径管を備えた先端羽根付き鋼管杭を示す正面図 (a)施工時間と深度の関係を示す図(b)施工時間とトルクの関係を示す図 (a)施工時間と深度の関係を示す図(b)施工時間とトルクの関係を示す図
符号の説明
1,1a 先端羽根付き拡径管
2 拡径部
2a 上端
2b 下端
3 切り欠き部
4 螺旋状羽根
4a 上面
4b 中央開口部
5 掘削刃
5a すくい面
6 凸状案内板
6a 下端部
6b 上端部
7 補助凸状案内部
7a 凸条部
10 先端羽根付き鋼管杭
11 杭本体
11a 下端部

Claims (5)

  1. 中空円筒状に形成された杭本体の下端部に連設される先端羽根付き拡径管であって、上端側から下端側に向かって拡径して形成された拡径部と、前記拡径部の下端部を螺旋状に切り欠いて形成された切り欠き部と、前記切り欠き部の端面に配設され外径が前記拡径部の最大径よりも大きく内径が前記拡径部の最小径よりも小さな螺旋状羽根と、前記螺旋状羽根の下端側の先端部に円弧状に形成された掘削刃と、前記拡径部の上端側から見て前記螺旋状羽根の中央開口部が閉塞されないように略三日月状に形成され前記螺旋状羽根の内側上面と前記拡径部の内周側上端を結ぶ螺旋状で前記螺旋状羽根と同方向に配設された凸状案内板と、を備えたことを特徴とする先端羽根付き拡径管。
  2. 前記拡径部の上端部と下端部の間の周壁が曲線状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の先端羽根付き拡径管。
  3. 前記凸状案内板と対向し前記拡径部の上端側に傾斜して配設された補助凸状案内部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の先端羽根付き拡径管。
  4. 前記拡径部の内周面に配設された凸条部及び/又は突起部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の先端羽根付き拡径管。
  5. 中空円筒状に形成された杭本体と、前記杭本体の下端部に連設された請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の先端羽根付き拡径管と、を備えたことを特徴とする先端羽根付き鋼管杭。
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