以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態の同時録再の方法を説明するための図である。
本明細書では、「同時録再」とは、リアルタイム・データAを情報記録媒体に記録しながら、その情報記録媒体に記録されたリアルタイム・データBを再生することをいう。同時録再の方法は、図6に示される同時録再モデルに従って実行される。
ここで、「リアルタイム・データ」とは、映像データおよび音声データのうちの少なくとも一方を含むデータをいう。「情報記録媒体」とは、光ディスクなどの任意のタイプの記録媒体をいう。
図1において、W11、W12、W13、W14は、情報記録媒体に対する記録動作を示し、R11、R12、R13は、情報記録媒体に対する再生動作を示し、A11、A12、A13、A14、A15、A16は、ピックアップ64(図6)がアクセスすべき領域間を移動する動作(アクセス動作)を示す。
図1に示される例では、リアルタイム・データAを情報記録媒体上の領域101、102、105、106に記録しながら、情報記録媒体上の領域103、104、107に記録されたリアルタイム・データBを再生する。ここで、領域101、102、105、106は、リアルタイム・データAを記録する領域として割付けられた領域であり、領域103、104、107は、リアルタイム・データBを記録する領域として割付けられた領域であり、かつ、リアルタイム・データBが記録された領域である。領域102と領域105とは連続した領域であり、領域104と領域107とは連続した領域である。図1では、これらの領域は、ピックアップ64のアクセス動作をわかり易く説明するために、便宜的に離れた場所に描かれている。
以下の説明では、「リアルタイム・データAを記録する領域として割付けられた領域」、または、「リアルタイム・データBを記録する領域として割付けられ、かつ、リアルタイム・データBが記録された領域」を「録再領域」という。
録再領域は、情報記録媒体上の連続した領域である。録再領域のサイズを最小サイズY以上とすることにより、同時録再の条件を満たすことができる。録再領域の最小サイズYは、アクセス動作の直前直後の再生動作において読み出される録再領域(もしくは、アクセス動作の直前直後の記録動作において記録される録再領域)に不使用領域(例えば、欠陥領域)が集中するというワーストケースが発生した場合でも同時録再が可能なように決定される。このように、ワーストケースを考慮して録再領域の最小サイズYを決定することにより、ワーストケース以外のケースにおいても同時録再を可能にすることができる。
以下、不使用領域を考慮して、どのようにして録再領域の最小サイズYを決定するかを具体的に説明する。
ここで、ウィンドウ内で許容される不使用領域のサイズをKとし、ウィンドウのサイズは録再領域の最小サイズYと同一であると仮定する。「不使用領域」とは、記録動作または再生動作において使用されない領域をいう。例えば、ピックアップ64(図6)は、不使用領域を通過するか不使用領域をジャンプした後、その次の領域から記録動作または再生動作を再開する。「不使用領域」の典型例は、欠陥領域(例えば、1以上の欠陥ECCブロック)であるが、これに限定されない。例えば、「不使用領域」は、リアルタイム・データ以外のデータが記録された領域であってもよいし、単に使用しない領域であってもよい。「ウィンドウ」とは、所定のサイズを有する不使用領域が許容される録再領域の範囲をいう。
図1に示される例では、同時録再の条件区間は、再生動作R11の開始から再生動作R13の終了までの区間である。この同時録再の条件区間において同時録再の条件を満たすことにより、同時録再の条件区間以外の区間においても同時録再の条件を満たすことができる。同時録再の条件区間以外の区間における動作は、同時録再の条件区間における動作の繰り返しだからである。
ここで、同時録再の条件区間において再生動作R13を考慮する理由は、以下のとおりである。アクセス動作A16の後、再生バッファ63(図5)のデータ量はエンプティに近くなる。このため、もし領域107の先頭付近に不使用領域(例えば、欠陥領域)があると、再生バッファ63がアンダーフローを起こす可能性がある(その可能性は確率的には少ないが)。再生バッファ63におけるアンダーフローの発生を回避するためには同時録再の条件区間において再生動作R13を考慮する必要がある。
図1において、不使用領域は録再領域の斜線部分として示されている。この例では、領域103、104、105、106、107のそれぞれに不使用領域が存在し、各不使用領域はサイズKを有する連続領域であると仮定している。さらに、アクセス動作の直前直後の再生動作において読み出される位置(例えば、領域103の終端から1ECCブロックだけ離れた位置、領域104の先頭から1ECCブロックだけ離れた位置)、または、アクセス動作の直前直後の記録動作において記録される位置(例えば、領域105の終端から1ECCブロックだけ離れた位置、領域106の先頭から1ECCブロックだけ離れた位置)に不使用領域が配置されていると仮定している。このような不使用領域の配置を仮定する理由は、アクセス動作の直前直後の再生動作において読み出される録再領域(もしくは、アクセス動作の直前直後の記録動作において記録される録再領域)に不使用領域が集中するというワーストケースを考慮するためである。
同時録再の条件区間内で、再生映像が途切れることなく連続的に再生可能な時間(T1)が、記録動作、再生動作およびアクセス動作に要する時間(T2)より小さくなると、再生映像が途中で途切れてしまう。従って、T1=T2であることが、同時録再の条件となる。
(Y−2×K+K+3×Secc)÷Vd=2×Y÷Vt+4×Ta+2×K÷Vt+3×Tecc・・・(式4)
(式4)の左辺は時間T1を表し、(式4)の右辺は時間T2を表す。(式4)を変形することにより、録再領域の最小サイズYを求めることができる。
ここで、
Yは、録再領域の最小サイズを示す。
Kは、ウィンドウ内で許容される不使用領域のサイズを示す。
Seccは、ECCブロックのサイズを示す。
Vdは、記録、または、再生されるデータの最大転送レートを示す。
Vtは、光ディスクに対するデータの読み出し、または、記録のレートを示す。
Taは、フルシーク時の最大アクセス時間を示す。
Teccは、1つのECCブロックを読み出すのに要する時間、または、1つのECCブロックを記録するのに要する時間を示す。
同時録再の場合には、ウインドウ内で許容される不使用領域のサイズをKとするとき、アクセス動作の直前直後の再生動作において読み出される2つの録再領域のそれぞれにサイズKを有する不使用領域が存在する場合(もしくは、アクセス動作の直前直後の記録動作において記録される2つの録再領域のそれぞれにサイズKを有する不使用領域が存在する場合)をワーストケースとして考慮することが必要になるので、不使用領域のサイズKの2倍のサイズを考慮しなければならない。これは、(式4)の左辺の(−2×K÷Vd)という項として表現される。
また、再生動作R12から記録動作W13に切り替わり、記録動作W14から再生動作R13に戻る場合において、不使用領域の存在が時間T1に及ぼす影響は、(式4)の左辺の(K+3×Secc)÷Vdという項として表現され、不使用領域の存在が時間T2に及ぼす影響は、(式4)の右辺の(2×K÷Vt+3×Tecc)という項として表現される。
ここで、記録動作から再生動作に戻る場合において、不使用領域の存在が時間T1、T2に及ぼす影響は、Vd、Vtの値に依存するので、(式4)において、(3×Secc)÷Vdと、3×Teccの値は小さく無視できるので、(式4)の左辺を(K÷Vd)とみなしてもよく、(式4)の右辺を(2×K÷Vt)とみなしてもよい。例えば、Vd=24Mbps、Vt=72Mbpsの場合には、(式4)の左辺が大きな値にあるので、記録動作から再生動作に戻る場合における不使用領域の存在が時間T1、T2に及ぼす影響を考慮する必要がなくなる。この場合には、録再領域の最小サイズYは、(式5)により与えられる。
Y=(4×Ta×Vd×Vt+2×K×Vt)÷(Vt−2×Vd)・・・(式5)
(式5)は、同時録再の条件区間を再生動作R11の開始からアクセス動作A16の終了までの区間とした場合(すなわち、再生動作R13を考慮しない場合)の同時録再の条件から得られる。
このように、録再領域の最小サイズYと同一のサイズを有するウィンドウを導入することにより、ウィンドウ内に存在し得る不使用領域のワーストケースを考慮して録再領域の最小サイズYを求めることが可能になる。最小サイズY以上のサイズを有する録再領域をリアルタイム・データを記録するための領域として割付けることより、同時録再の条件を満たすことができる。
図1に示される例では、領域104、107からなる録再領域は、(式4)により求められた最小サイズYに、ウィンドウ内で許容される不使用領域のサイズKと1ECCブロック分のサイズとを加えたサイズを有している。
次に、不使用領域(例えば、欠陥ブロック)を許容する範囲の尺度として、録再領域の最小サイズ内に複数のスケールを設定するモデルを考える。
図2は、本発明の実施の形態の同時録再の方法を説明するための図である。この同時録再の方法は、図6に示される同時録再モデルに従って実行される。
図2に示される例では、録再領域の最小サイズ内に複数のスケールが設定されている。1つのスケール内で許容される不使用領域のサイズが予め決められている。
図2において、W21、W22、W23、W24は、情報記録媒体に対する記録動作を示し、R21、R22、R23は、情報記録媒体に対する再生動作を示し、A21、A22、A23、A24、A25、A26は、ピックアップ64(図6)がアクセスすべき領域間を移動する動作(アクセス動作)を示す。
図2に示される例では、リアルタイム・データAを情報記録媒体上の領域201、202、205、206に記録しながら、情報記録媒体上の領域203、204、207に記録されたリアルタイム・データBを再生する。ここで、領域201、202、205、206は、リアルタイム・データAを記録する領域として割付けられた領域であり、領域203、204、207は、リアルタイム・データBを記録する領域として割付けられた領域であり、かつ、リアルタイム・データBが記録された領域である。領域202と領域205とは連続した領域であり、領域204と領域207とは連続した領域である。図2では、これらの領域は、説明の都合上、離れた場所に描かれている。
以下、不使用領域を考慮して、どのように録再領域の最小サイズYを決定するかを具体的に説明する。
ここで、1つのスケール内で許容される不使用領域のサイズをLとし、各スケールのサイズは録再領域の最小サイズYの1/N以下であると仮定する。ここで、Nは2以上の任意の整数である。「スケール」とは、所定のサイズを有する不使用領域が許容される録再領域の範囲をいう。
図2に示される例では、同時録再の条件区間は、再生動作R21の開始から再生動作R23の終了までの区間である。この同時録再の条件区間において同時録再の条件を満たすことにより、同時録再の条件区間以外の区間においても同時録再の条件を満たすことができる。同時録再の条件区間以外の区間における動作は、同時録再の条件区間における動作の繰り返しだからである。
ここで、同時録再の条件区間において再生動作R23を考慮する理由は、以下のとおりである。アクセス動作A26の後、再生バッファ63(図5)のデータ量はエンプティに近くなる。このため、もし領域207の先頭付近に不使用領域(例えば、欠陥領域)があると、再生バッファ63がアンダーフローを起こす可能性がある(その可能性は確率的には少ないが)。再生バッファ63におけるアンダーフローの発生を回避するためには同時録再の条件区間において再生動作R23を考慮する必要がある。
図2において、不使用領域は録再領域の斜線部分として示されている。この例では、領域203、204、205、206、207の各スケール内に不使用領域が存在し、各不使用領域はサイズLを有する連続領域であると仮定している。さらに、アクセス動作の直前直後の再生動作において読み出される位置(例えば、領域203の終端から1ECCブロックだけ離れた位置、領域204の先頭から1ECCブロックだけ離れた位置)、または、アクセス動作の直前直後の記録動作において記録される位置(例えば、領域205の終端から1ECCブロックだけ離れた位置、領域206の先頭から1ECCブロックだけ離れた位置)に不使用領域が配置されていると仮定している。このような不使用領域の配置を仮定する理由は、アクセス動作の直前直後の再生動作において読み出される録再領域(もしくは、アクセス動作の直前直後の記録動作において記録される録再領域)に不使用領域が集中するというワーストケースを考慮するためである。
同時録再の条件区間内で、再生映像が途切れることなく連続的に再生可能な時間(T1)が、記録動作、再生動作およびアクセス動作に要する時間(T2)より小さくなると、再生映像が途中で途切れてしまう。従って、T1=T2であることが、同時録再の条件となる。
(Y−(1+N)×L+L+3×Secc)÷Vd=2×Y÷Vt+4×Ta+2×L÷Vt+3×Tecc・・・(式6)
(式6)の左辺は時間T1を表し、(式6)の右辺は時間T2を表す。(式6)を変形することにより、録再条件の最小サイズYを求めることができる。
ここで、
Nは、録再領域の最小サイズY内に含まれるスケールの数を示す。Nは、2以上の任意の整数である。
Lは、1つのスケール内で許容される不使用領域サイズを示す。
Y、Secc、Vd、Vt、Ta、Teccの意味は、(式4)について説明したとおりである。
同時録再の場合には、1つのスケール内で許容される不使用領域のサイズをLとするとき、アクセス動作の直前直後の再生動作において読み出される2つの録再領域内にサイズLを有する不使用領域が(N+1)個存在する場合(もしくは、アクセス動作の直前直後の記録動作において記録される2つの録再領域内にサイズLを有する不使用領域が(N+1)個存在する場合)をワーストケースとして考慮することが必要になるので、不使用領域のサイズLの(N+1)倍のサイズを考慮しなければならない。これは、(式6)の左辺の(−(1+N)×L÷Vd)という項として表現される。
録再領域の最小サイズYがウィンドウのサイズと同一である場合には、録再領域間のアクセスで考慮される項は、(式4)の左辺の(−2×K÷Vd)という項であった。仮に、図1における録再領域の最小サイズYと図2における録再領域の最小サイズYとが同一であるとすれば、N×LとKとは同一であると考えることができる。従って、録再領域の最小サイズYをスケールのサイズの2倍以上にすることにより、不使用領域の存在が録再領域間のアクセスに及ぼす影響を小さくすることが可能になる。
また、不使用領域(例えば、欠陥ブロック)が局所的に連続することも防止することができる。例えば、K=60、N=5、L=12の場合には、録再領域の最小サイズYとウィンドウのサイズとが同一であるとすると、60個の不使用領域(例えば、欠陥ブロック)が連続することを許してしまうが、録再領域の最小サイズYをスケールのサイズの5倍であるとすると、不使用領域(例えば、欠陥ブロック)が連続することが許される個数を12個までに制限することができる。このような制限を課すことにより、不使用領域の存在が録再領域間のアクセスに及ぼす影響を小さくすることが可能になる。
また、再生動作R22から記録動作W23に切り替わり、記録動作W24から再生動作R23に戻る場合において、不使用領域の存在が時間T1に及ぼす影響は、(式6)の左辺の(L+3×Secc)÷Vdという項として表現され、不使用領域の存在が時間T2に及ぼす影響は、(式6)の右辺の(2×L÷Vt+3×Tecc)という項として表現される。
ここで、記録動作から再生動作に戻る場合において、不使用領域の存在が時間T1、T2に及ぼす影響は、Vd、Vtの値に依存する。従って、Vd、Vtの値によっては、不使用領域の存在が時間T1、T2に及ぼす影響を考慮しなくてもよい場合がある。この場合には、録再領域の最小サイズYは、(式7)により与えられる。
Y=(4×Ta×Vd×Vt+(1+N)×L×Vt)÷(Vt−2×Vd)・・・(式7)
(式7)は、同時録再の条件区間を再生動作R21の開始からアクセス動作A26の終了までの区間とした場合(すなわち、再生動作R23を考慮しない場合)の同時録再の条件から得られる。
このように、録再領域の最小サイズYの半分以下のサイズを有するスケールを導入することにより、スケール内に存在し得る不使用領域のワーストケースを考慮して録再領域の最小サイズYを求めることが可能になる。このようにして求めた最小サイズYは、ウィンドウ内に存在し得る不使用領域のワーストケースを考慮して求めた最小サイズYよりも小さくすることができる。最小サイズY以上のサイズを有する録再領域をリアルタイム・データを記録するための領域として割付けることにより、同時録再の条件を満たすことができる。
図2に示される例では、領域204、207からなる録再領域は、(式6)により求められた最小サイズYに、スケール内で許容される不使用領域のサイズLと1ECCブロック分のサイズとを加えたサイズを有している。
なお、上述した実施の形態では、録再領域の最小サイズYをスケールのサイズの整数倍にする例を説明したが、必ずしも整数倍でなくてもよい。録再領域の最小サイズYをスケールのサイズの2倍以上にすれば、上述した効果と同様の効果が得られることは自明だからである。
なお、録再領域内で許容される欠陥ブロックについて説明したが、欠陥ブロックに限定しなくてもい。すなわち、上記の条件は、同時録再における録再領域の最小サイズと、録再領域に許容される不使用領域の最大サイズを決める条件としてもよい。
なお、録再領域内の不使用領域を調べる方法として、スケールを1ECCブロックごとに移動しながら調べてもよいし、スケールの半分の距離ごとに、スケールを移動しながら、スケール内に許容される使用しない領域が、所定のサイズ以下となっているかどうかを調べてもよい。この場合には、スケールごとに調べる回数を減らすことができる。
次に、図3、図4を用いて、本発明の実施の形態の情報記録再生装置および同時録再の方法を説明する。
図3は、本発明の実施の形態における情報記録再生装置の構成を示す図である。
情報記録再生装置は、システム制御部301と、I/Oバス321と、光ディスクドライブ331と、記録モードの指定や同時録再の開始を指示する入力手段332と、TV放送を受信するチューナ335と、チューナ335で選曲されたオーディオビデオ信号を符号化するエンコーダ333と、オーディオビデオデータを復号化するデコーダ334と、オーディオビデオ信号を再生するTV336とを含む。
システム制御部301は、例えば、マイコンとメモリとによって実現される。システム制御部301に含まれる各手段は、例えば、マイコンが各種のプログラムを実行することによって実現される。システム制御部301に含まれる各メモリは、例えば、単一のメモリの領域を用途ごとに使い分けることによって実現される。
録再切替手段302は、記録動作と再生動作とをバッファメモリ内のデータ量をチェックしながら切り替える。未割付け領域検索手段303は、未割付け領域から同時録再の条件を満足する録再領域の最小サイズ以上の長さの未割付け領域を検索する。不使用領域検索手段304は、検索された未割付け領域中の不使用領域のサイズを調べ、同時録再の条件を満たす未割付け領域を選択する。ファイル構造処理手段305は、ファイル管理情報を読み出し、ファイル構造を解析する。データ記録手段306は、光ディスクドライブ331にデータの記録を指示する。データ再生手段307は、光ディスクドライブ331にデータの再生を指示する。
割付け領域用メモリ308は、未割付け領域検索手段303で検索された記録可能領域の位置情報を一時的に保持する。ファイル構造用メモリ309は、読み出したファイル管理情報を一旦バッファメモリ上に保持するためのものである。ビットマップ用メモリ310は、ファイルシステムが空き領域を管理するためのスペースビットマップを保持することにより、ディスクへのアクセスを減らすためのものである。記録バッファメモリ311と再生バッファメモリ312とは、それぞれ、同時録再のモデルの記録バッファ62と再生バッファ63とに対応しており、同時録再の条件で算出したサイズ以上のバッファメモリを持つ。
図4は、本発明の実施の形態における同時録再の方法の手順を示す図である。
ユーザは、入力手段332を用いて、同時録再の指示を情報記録再生装置に入力する。同時録再の指示に従って、録再領域の最小サイズYが決定される。録再領域の最小サイズYの求め方は、図1および図2を参照して説明したとおりである。また、映画などの特定の番組を記録する場合には、ユーザが記録時間を設定する。このようにして、記録パラメータが決定される(ステップS401)。
未割付け領域検索手段303は、ステップS401で求められた録再領域の最小サイズY以上のサイズを有する未割付け領域を、ビットマップ用メモリ310に保持されたデータをもとに検索する。ユーザが記録時間を指定した場合には、未割付け領域のサイズの合計が最大レートと記録時間の積以上になるまで、未割付け領域を検索し、少なくとも1つの未割付け領域をリアルタイム・データを記録する領域として割付ける(ステップS402)。
不使用領域検索手段304は、ステップS402で検索された未割付け領域毎に、ウィンドウ、または、スケールを用いて、未割付け領域内の不使用領域のサイズが同時録再の条件を満たす未割付け領域を選択する。選択された未割付け領域の位置情報が、割付け領域用メモリ308に格納される(ステップS403)。従って、リアルタイム・データを記録する領域として割付けられた少なくとも1つの領域のそれぞれは、Y以上のサイズを有し、かつ、これに含まれる不使用領域が所定のサイズ以下になっていることになる。これにより、同時録再の条件を満たすことが可能になる。
データ記録手段306は、記録バッファメモリ311に蓄積されたリアルタイム・データを光ディスクに記録するように光ディスクドライブ331に指示するとともに、記録するリアルタイム・データを光ディスクドライブ331に転送する(ステップS404)。
図1に示される例では、記録動作W11において録再領域101の途中からリアルタイム・データが記録される。後述するステップS406で記録動作を継続するように判定された場合には、アクセス動作A11の後、記録動作W12において録再領域102の先頭からリアルタイム・データが記録される。これは、録再領域101と録再領域102とが離れているためである。
録再切替手段302は、ユーザが、入力手段332を用いて、記録又は再生の終了の指示を情報記録再生装置に入力した場合には、記録動作又は再生動作を終了する(ステップS405)。
録再切替手段302は、記録バッファメモリ311がエンプティか否かを判定し、記録バッファメモリ311がエンプティであると判定された場合には、リアルタイム・データの記録動作を他のリアルタイム・データの再生動作に切り替え、記録バッファメモリ311がエンプティでないと判定された場合には、リアルタイム・データの記録動作を継続する(ステップS406)。
図1に示される例では、記録動作W12において記録バッファメモリ311がエンプティになるため、記録動作から再生動作への切り替えが行われる。その結果、アクセス動作A12の後、再生動作R11において録再領域103の途中からリアルタイム・データが読み出される。録再領域103の途中から再生するのは、編集処理により、再生順番が変わったためである。
なお、録再領域の先頭から再生を開始してもよい。この場合、録再領域のサイズがY以上のため、領域104へのアクセス動作A13は発生せずに、記録動作に切り替わる。
データ再生手段307は、リアルタイム・データを光ディスクから再生するように光ディスクドライブ331に指示するとともに、再生するリアルタイム・データを再生バッファメモリ312に転送する(ステップS407)。
録再切替手段302は、再生バッファメモリ312がフルであるか否かを判定し、再生バッファメモリ312がフルであると判定された場合には、リアルタイム・データの再生動作を他のリアルタイム・データの記録動作に切り替え、再生バッファメモリ312がフルでないと判定された場合には、リアルタイム・データの再生動作を継続する(ステップS408)。
図1に示される例では、再生動作R12において再生バッファメモリ312がフルになるため、再生動作から記録動作への切り替えを行う。その結果、アクセス動作A14の後、記録動作W13において領域105にリアルタイム・データが記録される。ここで、領域102と105とは連続した領域であり、1つの録再領域であるが、説明のために、連続していることは、図示していない。
すべてのデータの記録が終了した場合には、ファイル構造処理手段305は、リアルタイム・データが記録された領域をリアルタイム・エクステントとして管理するために、ファイルエントリを記録する(ステップS409)。
このように、記録バッファメモリ、再生バッファメモリ内のデータの蓄積状態をチェックしながら、リアルタイム・データの記録動作と再生動作とが切り替えられる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の情報記録再生システムの構成を示す図である。情報記録再生システムは、システム制御部1300と記録再生装置1302と、両者でデータや情報を受け渡しするインタフェース1301と、オーディオ・ビデオデータをデコードするデコーダ1310からなる。システム制御部1300は、演算処理を行うCPU1303と演算処理を行う際にデータを保持するメモリ1304を含み、本発明の記録再生のための処理を行うことが出来る。インタフェース1301は本発明の記録再生方式をサポートする記録再生装置とインタフェースするための処理を行うものである。ここで、コンピュータシステムの場合には、システム制御部1300がコンピュータ本体であり、記録再生装置1302は光ディスクドライブである。また、民生用のビデオレコーダの場合には、システム制御部1300がマイコンをもつシステム制御部であり、記録再生装置1302は民生用に専用化した光ディスクドライブである。システム制御部1300の機能は、論理層の処理を受け持ち、アプリケーションからの指示でファイルの記録再生にともなう制御を行うファイルシステム、デバイスドライバの機能を持つ。記録再生装置1302の機能は、光ディスクからデータを読み出してシステム制御部へ転送したり、システム制御部からのデータを光ディスクに記録したりするための物理層の処理機能をもつ。このように、光ディスクの物理的な特性は物理層で処理され、システム制御部1300からは、光ディスクは論理的な1つのアドレス空間として提供される。
リアルタイム・データの連続再生において、データの読み出しが中断されるために連続再生に影響を与える可能性のあるピックアップのシーク動作の要因を、本発明の情報記録再生システムのアーキテクチャの観点から分析した。論理的要因として、ファイルの書換えに伴う空き領域のフラグメンテーション、物理的要因として、物理セクタの書換え疲労による欠陥セクタおよび光ディスク上の傷や汚れによる欠陥セクタとがあり、論理的要因と物理的要因は、互いに独立した事象であることがわかった。そこで、シーク動作の要因を物理的要因と論理的要因とに分類し、それぞれ物理層と論理層で分担して処理する方法を考案した。こうすることで、インタフェース1301における情報の受け渡し方法を簡単化することが出来る。ここで、ファイルの書換えに伴うフラグメンテーションとは、ユーザの指示に従い情報記録媒体上にファイルが記録、消去されることで、利用可能な空き領域が複数の領域に分断されることをいう。一般に、ファイルの記録と消去が繰り返されればされるほど、空き領域の分断化が進む。例えば、空き領域は、ファイルシステムでは、スペースビットマップで管理される。空き領域が複数の領域に分散している光ディスクにデータを記録すれば、記録した領域間でピックアップのシークが必要になる。
図9は複数の未割付け領域から選択されるリアルタイム・データの連続再生が可能な領域を示す図であり、図9(a)に従来の方法、図9(b)に本発明の方法を説明している。
図9(a)において、有効なデータが記録されている領域は、1110,1112,1113,1114であり、欠陥領域は、1111であり、データの記録に利用可能な未割付け領域は、1115,1116,1117,1118.1119である。リアルタイム・データを未割付け領域に記録した場合に、背景技術で説明した再生装置のモデルが未割付け領域からデータを再生すると仮定して、バッファ内に蓄積されるデータ量の推移を演算し、バッファ内のデータがアンダーフローしなければ、記録可能な領域として選択される。しかしながら、リアルタイム・データは、早送り再生などの特殊再生も要求されるため、途中からの連続再生も要求される。このため、バッファ内に蓄積されるデータ量の演算は、領域1115の先頭から行うだけでなく、各未割付け領域の先頭からも行うことが望ましい。例えば、領域1116の先頭から演算した場合には、領域1116のサイズが小さいために、領域1115へアクセスする時にバッファのアンダーフローを起こす。このように、複数の領域の先頭から演算を行うと、演算が複雑になる。
ここで、欠陥領域は、欠陥セクタを含むデータの記録に使用しない領域である。例えば、ECCが複数のセクタに対して行われる場合には、データはECCブロック単位で記録されるので、欠陥セクタを含むECCブロックが欠陥領域になる。例えば、DVDディスクでは、16セクタを1ECCブロックとしている。また、欠陥セクタは、欠陥管理機構をもつ光ディスクの場合には、欠陥リストで管理される。
図9(b)において、有効なデータが記録されている領域と欠陥領域は、図9(a)と同じである。但し、欠陥領域はファイルシステムでは管理されていないので領域1111は未割付け領域とみなされる。連続再生可能な記録領域を選択するに際し、本発明では、最小連続長を予め定め、連続した未割付け領域が最小連続長以上の領域を選択する。このため、未割付け領域が利用可能かどうか、一意に決まるので、演算が容易で、互換性も高くなる。ここで、最小連続長は、フルシークまたは2分の1の距離のシークにおいて消費されるデータをバッファに蓄積することの出来る読み出しサイズにすることで、途中からの再生でも連続再生を保証できるようになる。本発明の方法では、領域1115,1111,1116、1118、1119がリアルタイム・データを記録可能な領域として選択される。
図10は、本発明のリフレッシング処理を行った情報記録媒体へのリアルタイム・データの割り付けを示す図である。図10(a)は、物理空間として、左から物理セクタ毎に物理アドレスが付与された空間を示している。領域1120,1121,1122,1123は、欠陥でない領域、領域1124、1125,1126は欠陥領域である。図10(b)は、論理空間として、左から論理セクタ毎に論理アドレスが付与された空間を示している。リフレッシング処理とは、欠陥領域となって利用できない領域1124、1125,1126を論理空間から除外する処理であり、物理アドレスと論理アドレスとの変換は記録再生装置内で行われる。例えば、この処理は、光ディスクではサーティファイを行うことで実施される。物理アドレスから論理アドレスへの変換情報は、例えば、欠陥リストに記録される。図10(c)は、論理空間における利用可能な領域を示している。領域1130、1131,1132,1133は既に有効なデータが記録された領域であり、領域1134,1135,1136は、未割付け領域である。各未割付け領域1134,1135,1136の途中に、欠陥領域が存在しているが、論理層からは見えない。このため、未割付け領域ごとに、最小連続長以上かどうかをしらべ、最小連続長以上の未割付け領域を、リアルタイム・データを記録する領域として選択する。このようにすれば、論理層は欠陥領域を考慮することなく、容易にリアルタイム・データの記録領域を配置することが出来る。
図11は、連続再生への影響が大きな欠陥領域が存在する場合に、これを回避するリアルタイム・データの記録領域の割り付けを示す図である。欠陥領域のサイズが小さければ、ビックアップがデータを再生できない期間が短く、リアルタイム・データの連続再生に対する影響が大きくはない。また、欠陥領域のサイズが大きければ、データの再生できない期間長くなり、バッファ内のデータがアンダーフローを起こす可能性が高くなるので、影響が大きい。物理空間に存在する欠陥領域は図10(a)と同じパターンであるが、記録再生装置が欠陥領域1125のサイズが大きく連続再生に影響が大きいと判断し、システム制御部に通知する。こうすることで、システム制御部のファイルシステムでは、領域1137と1138の間に不連続領域があることがわかるので、領域1137、1138それぞれに対し、最小連続長以上かどうかを調べて、リアルタイム・データを記録する領域として選択するかどうかを判断する。図示している例では、領域1137のサイズは最小連続長より短く、領域1138のサイズは最小連続長より長いので、領域1137は選択されず、領域1138が選択される。なお、DVD−RAMディスクのようにゾーンCAVフォーマットのディスクの場合には、ゾーン境界をもつ。ゾーン境界を跨いでデータの読み出しが行われる時には、ゾーン境界でデータの読み出しが途切れので、ゾーンCAVフォーマットのディスクの場合には、ゾーン境界がリアルタイム・データの連続再生に大きな影響を与える不連続領域として、システム制御部に通知される。このように、記録再生装置が不連続領域のサイズに応じてリアルタイム・データの再生に影響を与えるかどうかを判断して、システム制御部に通知することで、システム制御部は、これらの不連続領域を回避して、リアルタイム・データを記録する領域を割り付けることが出来、途切れなくリアルタイム・データを再生することが出来るようになる。
本発明では、リアルタイム・データの連続再生に影響を与えるピックアップのシーク動作に関する要因の内、物理的な要因を、さらに2種類の副要因として分類する。この2種類の要因は、論理層がリアルタイム・データを記録する領域を割り付ける際に、リアルタイム・データの連続再生に影響が大きい領域と影響が大きくない領域である。影響が大きい領域をギャップ領域、影響が大きくない領域をカース領域とする。以下にカース領域におけるリアルタイム・データの連続再生に対する影響を吸収する方法について説明する。
図12は、物理空間に存在する欠陥領域を示す図である。カース領域として判断される領域は、予め定められた大きさの範囲をスケールとして、スケールの範囲に存在する欠陥領域などのリアルタイム・データの記録に使用しない領域の比率が一定の値以下となっているものである。領域1140、1141,1142は物理空間内で連続した領域を示しており、スケール150と同じ大きさである。各領域内の点線で表されている領域は物理セクタである。領域1143,1144,1145,1146,1147,1148は欠陥領域である。具体的な数値は後述するが、説明を簡単化するために、ここでは、スケールを20セクタの大きさとし、その範囲内に使用しない領域が10%以下のときに、使用しない領域をカース領域とする。スケール1150を領域1140に合わせた場合に、その領域に1つのセクタが欠陥領域であるので、領域1143をカース領域とする。同様に、スケール1150を、領域1141,1142に、それぞれ、合わせる。使用しない領域の割合が10%としているので、領域1144,1145はカース領域として判断され、領域1146,1147,1148はカース領域ではない(ギャップ領域)と判断される。
図13は、本発明のカース領域による、リアルタイム・データの連続再生を阻害するアクセス要因を吸収するために導入される吸収バッファ内のデータ量の推移を示す図である。これは、ピックアップから読み出されるデータをデコーダへ転送し始めるタイミングを、バッファ内に蓄積されるデータがカース領域におけるアクセス時間に対応するデータ量になるまで遅らせることで可能になる。図12において、A点からデータの再生が必要になるとき、A点から読み出されるデータは、バッファ内のデータ量が、BCで示される量になるまで、デコーダへの転送を開始しないようにする。こうすることで、T1149で示される、A点から領域1144の先頭までのピックアップが読み出し動作を行う時間、ピックアップの読み出しレートで、バッファ内にデータが蓄積される。次に、ピックアップが領域1144の先頭から1145の終端までアクセスする時間T(1144+1145)の間に、バッファ内に蓄積されたデータがデコーダに転送される。このように、データの読み出し開始に対し、デコーダへのデータ転送の開始タイミングを遅らせることで、カース領域によるリアルタイム・データの連続再生の阻害を吸収することが出来る。このように、スケールの範囲内に一定の比率以下で存在するカース領域の影響を吸収するために、吸収バッファを持つことで、読み出し開始位置が、必ずしも、スケールの先頭としなくても良い。これにより、論理層でカース領域の存在を考慮する必要がなくなる。
なお、吸収バッファ量と同じサイズのバッファを記録再生装置内に持っても良い。欠陥リストから、スケールの範囲内に存在する欠陥領域の大きさがわかるので、吸収バッファのサイズ分のデータを蓄積する必要がなく、実際に存在する欠陥領域のサイズに対応するデータだけをバッファに蓄積した後に、デコーダへのデータ転送を開始すればよい。
次に、ギャップ領域として許容されるサイズについての考察について説明する。ユーザの使用状況を考慮したもの、物理フォーマットの能力を考慮したもの、バッファサイズの大きさを考慮したものの3つの観点がある。
ユーザの使用状況において言えば、使用状況に依存するが、DVD−RAMディスクの場合、8%程度にすることで、実際上問題が出ていないので、ユーザの使用状況の観点からこの値を採用することも出来る。
物理フォーマットの能力から言えば、ディスク上に欠陥領域が存在した場合、欠陥リストの管理可能な能力から決めることも出来る。例えば、欠陥管理リストに登録可能な欠陥領域のサイズとディスクの容量との比から決めても良い。一般に、この値は、5%である。
バッファサイズの大きさに対して、吸収バッファを導入することで、機器の負担が大きくならない範囲で決めても良い。例えば、バッファサイズの10分の1程度を吸収バッファに割当てることにしても良い。また、吸収バッファを大きくするとデコードの開始時間が遅くなるので、ユーザにとって気にならない時間に抑えることが有効である。例えば、デコーダへの転送遅延時間を100msec以下になるように吸収バッファのサイズを定めることで、カース領域の比率を定めても良い。また、機器の設計の制約からすれば、吸収バッファのサイズは300KB以下に抑えたいという要求もある。
ここで、スケールを最小連続長より小さくすることで、吸収バッファのサイズを小さくすることが出来る。スケール内に許容されるカース領域のサイズは、スケールのサイズに比例するので、スケールを小さくすればするほど、吸収バッファのサイズを小さく出来る。他方、ディスク上に許容されるカース領域のサイズが、一定サイズ以上の連続領域としたほうが好ましい。例えば、数ECC連続して欠陥となる場合があるので、数ECC連続するカース領域も許容可能なスケールのサイズとすることで、これに対応できる。
次にカース領域の判定方法について説明する。既に図12で説明したように、スケールのサイズを予め決めて、スケールと同じ間隔で調べても良い。図14(a)は、図12の領域1140の終端部にカース領域が配置され、領域1141の先頭部にカース領域が配置された場合の図である。領域1151,1152,1153,1154,1146,1147,1148は欠陥領域である。このような場合に対しても有効となるように、吸収バッファのサイズを決めたほうが良い。この場合、吸収バッファのサイズは、スケールで内に許容されるカース領域の2倍の領域を考慮しなければならない。
図14(b)は、カース領域の偏りを回避するための改善方法である。カース領域の判定において、スケールの半分の距離ごとに、スケールを移動しながら、スケール内に許容される使用しない領域が、所定のサイズ以下となっているかどうかを調べる。すなわち、領域1140,1141,1142に加え、領域1161,1162に対してもスケールを合わせて、カース領域かどうかを判断する。こうすることで、領域151の先頭から領域154の終端までがギャップ領域であると判断されるので、カース領域の偏りを回避することが出来る。
次に、リフレッシング後に発生した欠陥領域への対応方法について説明する。
図15(a)は、物理空間の一部の領域において、リフレッシング後に発生した欠陥領域1160,1161,1162を示している。リフレッシング処理の後で検出された欠陥領域は、論理空間の一部の領域である。記録再生装置は、リフレッシング後に発生した欠陥領域に対して、図14で説明した方法を用いてギャップ領域かどうかを判断し、図15(a)の場合には、領域1161をギャップ領域としてシステム制御部に通知する。図15(b)は、図15(a)の物理空間に対応する論理空間を示しており、領域163の前の領域と領域1164の後ろの領域には、論理的に有効なデータが記録されており、領域1161は、論理空間の一部であるが、ギャップ領域であることがわかるので、領域1163と1164のそれぞれを連続した未使用領域とする。システム制御部は、未使用領域1163と1164に対し、最小連続長以上のサイズの領域かどうかを調べる。図15(b)では、領域1163がリアルタイム・データの記録が可能な領域として選択される。ここで、領域1160は、欠陥領域であるが記録再生装置がシステム制御部に通知しないために、システム制御部は、この領域に対してデータの記録を指示する。そこで、図15(c)では、記録再生装置が、カース領域の位置情報についても、システム制御部に通知する。システム制御部が、リアルタイム・データの記録が可能な領域かどうかを選択する方法は同じであるが、システム制御部は、カース領域にデータを記録しないように、カース領域の部分を選択した領域から除外して領域1166と1167を記録領域とすることで、回避できる。
次に、上述した処理装置の方法についてフローチャートを用いて説明する。
図7は、記録装置のリフレッシング処理とギャップ領域の位置情報の通知方法と、システム制御部のリアルタイム・データを記録するための未割付け領域の選択方法を示す図である。
論理空間内に欠陥領域による使用できない領域が存在し、ユーザがビデオデータの記録品質が劣化すると思われる場合に、システム制御部から記録再生装置に対し、リフレッシング処理が指示される(ステップ1501)。
記録再生装置はリフレッシングの指示を受けて、論理空間から欠陥領域による使用できない領域を除外する(ステップ1601)。
記録再生装置は次に物理空間内のギャップ領域を探索し(ステップ1602)、次に、探索して見つけたギャップ領域の位置情報をシステム制御部へ通知する(ステップ1603)。
システム制御部は、ギャップ領域の位置情報を取得し、ファイルシステムで管理される空き領域の情報から、連続した未割付け領域ごとに、予め定めた最小連続長以上のサイズの領域かどうかを調べ、最小連続長以上の未割付け領域を、リアルタイム・データを記録する領域として確保する(ステップ1502)。
システム制御部は、確保した未割付け領域に対して、リアルタイム・データの記録を記録再生装置に指示する(ステップ1503)。
記録再生装置は、指示された領域にリアルタイム・データを記録する(ステップ1604)。
システム制御部は、リアルタイム・データの記録後、リアルタイム・データをファイルとして管理するために、ファイル管理情報の記録を記録再生装置に指示する(ステップ1504)。
記録再生装置は、指示された領域にファイル管理情報を記録する(ステップ605)。
ここで、リフレッシング処理は記録に先立って常に行われなくても良い。情報記録媒体が様々な環境下で使用され、欠陥領域が増えた場合に行うことが効果的である。また、ギャップ領域の位置情報の通知は、リフレッシング処理が行われた後、または、情報記録媒体が記録再生装置にローディングされた後でよく、データの記録のたびに行われる必要はない。
また、最小連続長以上の連続した未割付け領域の検索は、ファイルを記録する前に行っても良いし、予め、記録するデータより大きな範囲で検索し、検索した未割付け領域が不足した時に行っても良い。
図16は、記録再生装置がギャップ領域とカース領域の位置情報を通知する方法と、システム制御部の未割付け領域からリアルタイム・データの記録領域を選択して、記録領域を決定する方法を示す図である。
システム制御部から記録再生装置に対し、ギャップ領域の有無とその位置情報が問い合わされる。(ステップ1511)。
記録再生装置は、物理空間内の欠陥領域がギャップ領域かどうかスケールを用いて調べ(ステップ1611)、見つけられたギャップ領域の位置情報をシステム制御部へ通知する(ステップ1612)。
システム制御部は、ギャップ領域の位置情報を取得し、ファイルシステムで管理される空き領域の情報から、連続した未割付け領域ごとに、予め定めた最小連続長以上の未割付け領域かどうかを調べ、最小連続長以上の未割付け領域を、リアルタイム・データを記録する領域として確保する(ステップ1512)。
システム制御部は、次に、論理空間内に存在するカース領域の有無とその位置情報を記録再生装置に問い合わせる(ステップ1513)。
記録再生装置は、論理空間内にあるカース領域を探索し(ステップ1613)、見つけられたカース領域の位置情報をシステム制御部へ通知する(ステップ1614)。
システム制御部は、ステップ512で確保したリアルタイム・データを記録する領域のうち、カース領域を記録領域から除外することで、リアルタイム・データを記録する領域を割り当てる(ステップ1514)。
システム制御部は、割り当てたリアルタイム・データを記録する領域に対して、リアルタイム・データの記録を記録再生装置に指示する(ステップ1515)。
記録再生装置は、指示された領域にリアルタイム・データを記録する(ステップ1615)。
システム制御部は、リアルタイム・データの記録後、リアルタイム・データをファイルとして管理するために、ファイル管理情報の記録を記録再生装置に指示する(ステップ1516)。
記録再生装置は、指示された領域にファイル管理情報を記録する(ステップ1616)。
ここで、ギャップ領域は、物理空間に存在し、論理空間から見えない欠陥領域に対して検索されるばかりでなく、論理空間に存在する欠陥領域も含めて検索しても良い。記録再生装置の欠陥管理機構を用いてデータの記録を行う場合に、欠陥領域が検出される場合があるし、データの再生だけであっても、ECCを用いたエラー検出により、その再生データが正しくないと判断される場合には、その領域が欠陥領域であることがわかるからである。このため、リアルタイム・データの記録対象となる領域に対して記録または再生が行われた場合には、新たに欠陥領域が検出される可能性があるので、この場合に、ギャップ領域と論理空間上のカース領域の位置情報を問い合わせたほうが良い。
図17は、吸収バッファを用いたデータのバッファリング方法を示す図である。
システム制御部は、データの読み出しを行うために、読み出すデータの位置情報とともに、データの読み出しを記録再生装置に指示する(ステップ1521)。
記録再生装置は、指示された位置にピックアップをシークし(ステップ1621)、読み出しを開始するセクタを含むスケールの範囲内のカース領域のサイズを調べ(ステップ1622)、データを記録再生装置のメモリをバッファとして、データの読み出しを開始する(ステップ1623)。
記録再生装置は、バッファ内にカース領域に対応するデータが蓄積されるまで、読み出したデータをバッファに蓄積する(ステップ624)。バッファ内に所定の量のデータが蓄積されれば、システム制御部へデータの転送を開始する(ステップ1625)。
システム制御部は、読み出されたデータを受け取る(ステップ1522)。
なお、システム制御部がリアルタイム・データを記録する領域を割付ける際に基準とする最小連続長は、システム制御部が予め持っている値を用いても良いし、リアルタイム・データを記録するアプリケーションが記録するリアルタイム・データのデータレートや光ディスクドライブの読み出しレートを考慮して算出し、システム制御部に対して指示するようにしても良い。
なお、リアルタイム・データが記録された連続領域をリアルタイムエクステントとして、その位置情報を管理するファイル管理情報において、リアルタイム・データが記録された領域が論理空間では連続していても、その連続領域中にギャップ領域があれば、そのギャップ領域でリアルタイムエクステントを分割してファイル管理情報として管理しても良い。この場合は、論理的に連続した領域が2つのリアルタイムエクステントとして管理されることになるので、記録再生装置に問い合わせなくても、ギャップ領域がファイル管理情報だけでわかるようになる。
本発明の実施の形態2の記録方法は、ピックアップがシーク動作を行う領域に関する要因を、物理層での要因と論理層での要因とに分類し、それぞれの要因をそれぞれの層でカバーするように処理することで、リアルタイムデータを記録する際にその配置を決める手順を最適化することが出来る。これにより、記録手順がシンプルになり互換性が向上する。また、連続再生への影響が少ない範囲で欠陥領域を論理空間から除くように情報記録媒体のリフレッシングを行い、バッファメモリの一部を論理層から見えない領域のために使用することで、論理層では情報記録媒体上の欠陥を考慮する必要がなくなる。また、連続再生への影響が大きい欠陥領域が存在する場合には、この位置情報を論理層へ通知することで、論理層は、容易にこの領域を避けて配置を決めることが出来るようになる。
本発明の実施の形態2によれば、リアルタイムデータを記録する際にその配置を決める手順を最適化することが出来るので、パソコンとDVD−RAMドライブを用いたビデオデータの記録に適用することが出来、本発明の効果が得られる。また、青色レーザを用いた将来のパソコン用光ディスクドライブに適用しても、本発明の効果が得られる。