JP4209949B2 - 脂肪酸デサチュラーゼおよびその変異配列 - Google Patents
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Description
本発明は、脂肪酸デサチュラーゼおよびデサチュラーゼタンパク質をコードする核酸に関する。さらに詳しくは、本発明は、植物において脂肪酸組成に作用するデルタ-12およびデルタ-15脂肪酸デサチュラーゼタンパク質をコードする核酸、かかる核酸から生成されるポリペプチド、およびかかる核酸を発現する植物体に関する。
発明の背景
ブラシカ(Brassica)品種の脂肪酸プロフィールを向上させるため、多くの育種研究が行われてきた。PleinesおよびFreidt, Fat Sci. Technol., 90(5), 167-171(1988)では、高オレイン酸含量(73〜79%)と組み合わせてC18:3レベル(2.5〜5.8%)を低下させた植物系統が記載されている。RakowおよびMcGregor, J. Amer. Oil. Chem Soc., 50, 400-403(1973年10月)では、リノール酸およびリノレン酸の変異体の選択に伴う問題が考察されている。Can. J. Plant Sci., 68, 509-511(1988年4月)では、3%リノレン酸および28%リノール酸を含む種子油を生成するステラ・サマー・レイプ(Stellar summer rape)が開示されている。RoyおよびTarr, Z. Pflanzenzuchtg, 95(3), 201-209(1985)では、高リノール酸を低リノレン酸含量と組み合わせた再構成系統をもたらすブラシカ・ジュンセア(Brassica juncea)からブラシカ・ナプス(Brassica napus)への種間交配による遺伝子導入を教示している。RoyおよびTarr, Plant Breeding, 98, 89-96(1987)では、リノレン酸およびリノレン酸含量を高めたB.ナプスL.の開発の将来性を考察している。1989年7月12日に公開された欧州特許出願第323,753号では、3.5%未満のリノレン酸と組み合わせた79%を越えるオレイン酸を有する種子および油を開示している。Canvin, Can. J. Botany, 43, 63-69(1965)では、ナタネを含む数種の種子作物由来の油の脂肪酸組成における温度の影響が考察されている。
典型的には、変異は非常に高い放射線量および/または化学的変異原で誘導される(Gaul, H. Radiation Botany(1964)4:155-232)。LD50を超え、かつ典型的にはLD90に達する高い線量レベルは、達成し得る最大変異速度をもたらした。ブラシカ品種の突然変異育種では、高レベルの化学的変異原単独または放射線との組み合わせにより、限られた数の脂肪酸変異しか誘導されなかった(Rakow, G. Z. Pflanzenzuchtg(1973)69: 62-82)。Rakow変異育種プログラムから誘導された低α−リノレン酸変異は種子収量が低いため、商業応用には向かなかった。1973年に誘導された低α−リノレン酸変異を用いる最初の商業用栽培品種は、ステラ品種として1988年に発表された(Scarth, R.ら,Can. J. Plant Sci.,(1988)68, 509-511)。ステラはその発表時の商業用栽培品種より20%低い収量であった。
植物油の脂肪酸組成の変化は特殊な食物および工業用使用に適合させるのに望ましい。例えば、種子油の単不飽和油レベル(オレイン酸)を高めたブラシカ品種、およびかかる油から誘導される生産物は脂質栄養を向上させるであろう。ポリ不飽和脂肪酸が低く、かつ、オレイン酸が高いカノーラ系は、小売食物産業に有用な特性である高い酸化安定性を有する傾向がある。
デルタ-12脂肪酸デサチュラーゼ(オレイン酸デサチュラーゼとしても知られる)は、オレイン酸のリノール酸への酵素的変換に関与する。デルタ-15脂肪酸デサチュラーゼ(リノール酸デサチュラーゼとしても知られる)は、リノール酸のα−リノレン酸への酵素的変換に関与する。ミクロソームデルタ-12デサチュラーゼをクローン化し、T-DNAタグを用いて同定した。Okuley,ら,Plant Cell 6:147-158(1994)。ミクロソームデルタ-12脂肪酸デサチュラーゼをコードする高等植物遺伝子のヌクレオチド配列は、Lightnerら,WO94/11516に記載されている。ミクロソームおよびプラスチドデルタ-15脂肪酸デサチュラーゼをコードする高等植物遺伝子の配列は、Yadav, N.,ら,Plant Physiol., 103: 467-476(1993),WO93/11245およびArondel, V.ら,Science, 258: 1353-1355(1992)で開示されている。しかしながら、植物由来のデルタ-12またはデルタ-15脂肪酸デサチュラーゼコード配列の変異を開示する教示はない。種子の脂肪酸組成に変化を与えるのに有効なデルタ-12またはデルタ-15脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子配列変異を含む植物系統を開発するため、当技術分野においてより効率的な方法が必要である。
発明の概要
本発明はアブラナ科(Brassicaceae)またはヒマワリ属(Helianthus)の種子、植物体および植物中の不飽和脂肪酸レベルを制御する少なくとも1つの突然変異を有する植物系統を含んでなる。本発明の1つの実施形態は、その断片が植物中に存在する場合に種子中の脂肪酸組成に変化を与える、変異型デルタ-12脂肪酸デサチュラーゼから突然変異をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸断片である。好ましい配列は、図2に示されるような変異配列を含んでなる。本発明のもう1つの実施形態は、変異型デルタ-15脂肪酸デサチュラーゼから突然変異をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸断片である。この実施形態の植物は、ダイズ、脂肪種子ブラシカ種、ヒマワリ、トウゴマまたはトウモロコシであってよい。変異配列は例えば、ブラシカ・ナプス、ブラシカ・ラパ(Brassica rapa)、ブラシカ・ジュンセアまたはヒマワリ属デルタ-12もしくはデルタ-15デサチュラーゼ遺伝子に由来してもよい。
本発明のもう1つの実施形態は、
(a)アブラナ科またはヒマワリ属の種の出発品種の細胞で突然変異を誘導し;(b)変異誘発細胞から後代植物を得;(c)デルタ-12またはデルタ-15脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子における変異を含む後代植物を同定し;次いで、(d)自殖または交配により植物系統を生産する工程を含んでなる、アブラナ科またはヒマワリ属植物系統を生産する方法を含む。得られた植物系統を変異誘発させて、デルタ-12デサチュラーゼ変異およびデルタ-15デサチュラーゼ変異の両方を有する系統を得てもよい。
本発明のさらにもう1つの実施形態は、
(a)第1の植物体を変異型デルタ-12またはデルタ-15脂肪酸デサチュラーゼを有する第2の植物体と交配させ;(b)工程(a)の交配から種子を得;(c)かかる種子から稔性植物体を育生し;(d)工程(c)の植物体から後代種子得;次いで、(e)脂肪酸組成が変化した後代の中からそれらの種子を同定する工程を含んでなる、変化した脂肪酸組成を含む植物系統を生産する方法を含む。好適な植物としては、ダイズ、ナタネ、ヒマワリ、ベニバナ、トウゴマまたはトウモロコシがある。好ましい植物はナタネおよびヒマワリである。
本発明はまた、本明細書に開示される植物体から得られる、変化した脂肪酸組成を有する植物油に具体化される。
配列表の簡単な説明
配列番号1は、ブラシカFad2遺伝子の仮定DNA配列を示している。配列番号2は、配列番号1の推定アミノ酸配列である。
配列番号3は、ヌクレオチド316位に突然変異を有するブラシカFad2遺伝子の仮定DNA配列を示している。配列番号4は、配列番号3の推定アミノ酸配列である。
配列番号5は、ブラシカFad2遺伝子の仮定DNA配列を示している。配列番号6は、配列番号5の推定アミノ酸配列である。
配列番号7は、ヌクレオチド515位に突然変異を有するブラシカFad2遺伝子の仮定DNA配列を示している。配列番号8は、配列番号7の推定アミノ酸配列である。
配列番号9は、野生型ブラシカFad2-D遺伝子のコード領域のDNA配列を示している。配列番号10は、配列番号9の推定アミノ酸配列である。
配列番号11は、IMC129変異ブラシカFad2-D遺伝子のコード領域のDNA配列を示している。配列番号12は、配列番号11の推定アミノ酸配列である。
配列番号13は、野生型ブラシカFad2-F遺伝子のコード領域のDNA配列を示している。配列番号14は、配列番号13の推定アミノ酸配列を示している。
配列番号15は、Q508変異ブラシカFad2-F遺伝子のコード領域のDNA配列を示している。配列番号16は、配列番号15の推定アミノ酸配列を示している。
配列番号17は、Q4275変異ブラシカFad2-F遺伝子のコード領域のDNA配列を示している。配列番号18は、配列番号17の推定アミノ酸配列を示している。
配列番号19〜27は、オリゴヌクレオチド配列を示している。
配列番号28は、ブラシカ由来のFad2-U遺伝子のゲノムDNA配列を示している。
配列番号30〜31は、ブラシカFad2-D遺伝子の開始コドンから上流に位置するゲノム配列を示している。
【図面の簡単な説明】
図1は、Q508Xウェスター交配の分離集団における種子油オレイン酸(C18:1)含量の度数分布を示すヒストグラムである。WSGA 1Aと標識した棒はウェスター親のC18:1含量を表している。Q508と標識した棒はQ508親のC18:1含量を表している。
図2は、ブラシカFad2-D野生型遺伝子(Fad2-D wt)、IMC129変異型遺伝子(Fad2-D GA316 IMC129)、Fad2-F野生型遺伝子(Fad2-F wt)、Q508変異型遺伝子(Fad2-F TA515 Q508)およびQ4275変異型遺伝子(Fad2-F GA908 Q4275)のヌクレオチド配列を示している。
図3は、図2のポリヌクレオチドの推定アミノ酸配列を示している。
好ましい実施形態の説明
本明細書中の全ての%脂肪酸は、脂肪酸がその成分である油(oil)中での重量%である。
本明細書中で用いられるように、「系列(line)」は、少なくとも1つの特徴において個体間に遺伝的変異を殆ど示さないか又は全く示さない植物のグループである。そような系列は、何世代かの自家受粉及び選抜若しくは組織培養技術又は細胞培養技術を用いて単一の親からの無性生殖によって生み出される。本明細書中で用いられるように、語句「品種(variety)」は、商業的製造に用いられる系列をいう。
語句「突然変異誘発」は、突然変異誘発試薬(mutagenic agent)を使用し、個体集団(population)内で無作為の遺伝子突然変異を誘導することをいう。そして、処理された集団、又はその集団に続く世代は、突然変異によってもたらされる有用な特徴についてスクリーニングされる。「集団(population)」は、共通の遺伝子プールを共有する個体からなるあらゆるグループである。本明細書中で用いられるように、「M0」は、未処理種子(seed)である。本明細書中で用いられるように、「M1」は、突然変異誘発試薬に暴露された種子(及び得られる植物)であり、一方、「M2」は、自家受粉されたM1植物の子孫(種子及び植物)であり、「M3」は、自家受粉されたM2植物の子孫であり、そして「M4」は、自家受粉されたM3植物の子孫である。「M5」は、自家受粉されたM4植物の子孫である。「M6」、「M7」等は、前の世代の自家受粉された植物のそれぞれの子孫である。本明細書中で用いられる語句「自殖(selfed)」は、自家受粉を意味する。
本明細書中で用いられる「安定性(stability)」又は「安定した(stable)」は、ある脂肪酸成分に関して、その成分が少なくとも2世代、好ましくは少なくとも3世代の間、実質的に同じレベル、例えば、好ましくは±5%で、世代から世代へ維持されることを意味する。本発明の方法は、世代から世代へ±5%までの安定した、改善された脂肪酸組成を有する系列を作出し得る。上記の安定性は、温度、場所、ストレス及び植える時期によって影響され得る。このように、脂肪酸プロフィールの比較は、類似の生育条件下に生産された種子からなされるべきである。安定性は、前の世代の情報に基づいて測定され得る。
集中的(intensive)育種により、その種子の油が2%未満のエルカ酸を含むアブラナ属(Brassica)植物を製造した。同品種はまた、その脱脂ミール(meal)が、30μmol/g未満のグルコシノレート(glucosinolates)を含むように育種されている。本明細書中で用いる「キャノーラ(Canola)」は、2%未満のエルカ酸(C22:1)、及び30μmol/g未満のグルコシノレートを有するミールを含む、植物品種種子又は油をいう。
出願人は、δ−12脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子中に突然変異を有する植物を発見した。これらの植物は、種油の脂肪酸組成の有用な改変を有している。このような突然変異により、例えば、オレイン酸含量の増加、リノール酸含量の減少、安定化、又はオレイン酸の増加及びリノール酸含量の減少、安定化の両者がもたらされる。
出願人は、さらに、δ−15脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子中に突然変異を有する植物を発見した。これらの植物は、種油の脂肪酸組成における有用な改変、例えば、α−リノレン酸含量の減少、安定化を有する。
出願人は、さらに、δ−12又はδ−15脂肪酸デサチュラーゼのコード配列内に突然変異を有する配列を含む、単離された核酸断片(ポリヌクレオチド)を発見した。該突然変異により、その突然変異を有する植物の種油における脂肪酸濃度に望ましい改変がもたらされる。δ−12脂肪酸デサチュラーゼは、ω−6脂肪酸デサチュラーゼとしても知られており、本明細書中でFad2又は12-DESということがある。δ−15脂肪酸デサチュラーゼは、ω−3脂肪酸デサチュラーゼとしても知られており、本明細書中でFad3又は15-DESということがある。
本発明の核酸断片は、RNAの形態又はcDNA、合成DNA若しくはゲノムDNAなどのDNAの形態であり得る。DNAは、二本鎖又は一本鎖であり得、一本鎖ならば、コード鎖又は非コード鎖のいずれかであり得る。RNA類似体は、例えば、mRNA又はリボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドの組み合わせであり得る。本発明の核酸断片の具体例は、図3に示される突然変異配列である。
本発明の核酸断片は、ミクロソームδ−12脂肪酸デサチュラーゼをコードする配列中の突然変異又はミクロソームδ−15脂肪酸デサチュラーゼをコードする配列中の突然変異を含む。そのような突然変異により、得られるデサチュラーゼ遺伝子産物を、野生型配列によってコードされた遺伝子産物の機能に比較して、植物中で非機能性(non-functional)となる。δ−12デサチュラーゼ遺伝子産物の非機能化(non-functionality)は、野生型配列を発現する植物組織中での対応する濃度に比べて、突然変異体配列を発現する植物組織中での反応生成物(リノール酸)の減少した濃度及び基質(オレイン酸)の増加した濃度から推測され得る。δ−15デサチュラーゼ遺伝子産物の非機能化は、野生型配列を発現する植物組織中での対応する濃度に比べて、突然変異体配列を発現する植物組織中での反応生成物(α−リノレン酸)の減少した濃度及び基質(リノール酸)の増加した濃度から推測され得る。
本発明の核酸断片は、コード配列の部分、例えば、少なくとも約10個のヌクレオチドを含み得るが、但し、その断片は、コード配列中に少なくとも1つの突然変異を含む。望ましい断片の長さは、その断片の、例えば、PCRプライマー、部位特異的突然変異誘発等の使用目的に依存する。1つの実施形態においては、本発明の核酸断片は、突然変異δ−12又は突然変異δ−15脂肪酸デサチュラーゼの全長のコード配列、例えば、図3の突然変異配列を含む。他の実施形態においては、核酸断片は、長さ約20個から約50個のヌクレオチド(又は塩基対、bp)、又は約50個から約500個のヌクレオチド、又は約500個から約1200個のヌクレオチドである。
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号30又は配列番号31のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%の配列同一性(identity)を有する、長さ少なくとも50個のヌクレオチドからなる単離された核酸断片に関する。幾つかの実施形態においては、そのような核酸断片は、配列番号30又は配列番号31に対して、少なくとも80%又は90%の配列同一性を有する。これら及び本明細書中に開示された他の核酸の配列同一性は、例えば、Blast 2.0.4(1998年2月24日)を用い、nrデータベース(非重複GenBank、EMBL、DDBT及びPDB)をサーチすることによって決定できる。BLAST2.0.4は、国立生物工学センター(National Center for Biotechnology)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)によって提供される。Altschul, S.F.ら、Nucleic Acids Res.、25:3389-3402(1997)。あるいは、MEGALIGN(登録商標)(DNASTAR、Madison、WI)配列アラインメントソフトウエアが、Clustalアルゴリズムによって配列同一性を決定するのに使用できる。この方法では、配列を、全てのペア(pairs)の間の距離を試験することによってクラスタ(clusters)にグループ分けする。クラスタをペアで一列に並べ、グループとする。Jotun Heinアルゴリズムも、MEGALIGN(登録商標)で使用し得る。配列番号30及び31のヌクレオチド配列は、初期設定のパラメータを有するClustalアルゴリズムを用いて約85%同一である。
配列番号30及び配列番号31のヌクレオチド配列は、Fad2−D遺伝子のATG開始コドンの上流に位置し、それぞれブリッジャー(Bridger)及びウェスター(Westar)キャノーラ植物から単離できる。これらの上流要素(elements)は、イントロン様の特徴を含む。
本発明は、また、少なくとも200個のヌクレオチドからなる配列を含む、単離された核酸断片に関する。該断片は、配列番号28の1番目から約1012番目のヌクレオチドに対して、少なくとも70%の同一性を有する。幾つかの実施形態においては、該断片は、配列番号28の1番目から約1012番目のヌクレオチドに対して、80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する。配列番号28のこの部分は、ATG開始コドンの上流に位置し、イントロン様の特徴を有する。
本発明の核酸断片中の突然変異は、得られる遺伝子産物を非機能性にするコード配列のいずれの部分でもよい。突然変異の好適な種類は、これらに限定されないが、ヌクレオチドの挿入、ヌクレオチドの欠失、又は野生型コード配列中でのトランジション変異及びトランスバージョン変異を含む。このような突然変異は、対応する遺伝子産物中での1個以上のアミノ酸の挿入、1個以上のアミノ酸の欠失、及び非保存的な(non-conservative)アミノ酸置換をもたらす。幾つかの実施形態においては、核酸断片の配列は、1つ以上の突然変異又は1種類以上の突然変異を含み得る。
コード配列中のアミノ酸の挿入又は欠失は、例えば、得られる遺伝子産物の必須のα−螺旋又はβ−プリーツシート領域構造を崩壊させ得る。アミノ酸挿入又は欠失は、遺伝子産物活性に重要な結合部位又は触媒部位をも崩壊させ得る。多数の隣接するアミノ酸の挿入又は欠失は、より少数の挿入されたアミノ酸又は欠失したアミノ酸に比べて、遺伝子産物をより非機能性にしやすいことは当業界で知られている。
非保存的アミノ酸置換は、1つのクラスのアミノ酸を異なるクラスのアミノ酸と置換し得る。非保存的置換は、その遺伝子産物の電荷又は疎水性を実質的に変化させ得る。非保存的アミノ酸置換は、また、残基側鎖の、例えば、アラニン残基をイソロイシン残基と置換することによる、かさ高さ(bulk)を実質的に変化させ得る。
非保存的置換の例は、塩基性アミノ酸の非極性アミノ酸への置換、又は極性アミノ酸の酸性アミノ酸への置換を含む。遺伝子中にコードされるアミノ酸はたった20種なので、非機能性遺伝子産物をもたらす置換は、突然変異のターゲットとされた遺伝子産物の領域中の異なるクラスのアミノ酸を導入する、日常的な実験によって決定できる。
好ましい突然変異は、複数のδ−12脂肪酸デサチュラーゼ又は複数のδ−15脂肪酸デサチュラーゼの間で保存される、His-Xaa-Xaa-Xaa-Hisモチーフ(表1〜3)などの、アミノ酸配列モチーフをコードする核酸の領域中のものである。好適な領域の例は、例えば、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)及びアブラナ属(Brassica)δ−12デサチュラーゼ配列の105番目から109番目のアミノ酸に対応するヌクレオチド中、ダイズδ−12デサチュラーゼ配列の101番目から105番目のアミノ酸に対応するヌクレオチド中及びトウモロコシδ−12デサチュラーゼ配列の111番目から115番目のアミノ酸に対応するヌクレオチド中に見出される、保存されたHECGHモチーフを有する。例えば、国際公開公報第WO94/115116号;Okuleyら、Plant Cell 6:147-158(1994)を参照されたい。本明細書中で用いる1文字アミノ酸表記は、Alberts, B.ら、Molecular Biology of the Cell、第3版、Garland Publishing, New York, 1994に記載されている。このモチーフに隣接するアミノ酸も、δ−12デサチュラーゼ及びδ−15デサチュラーゼ中に非常に保存されやすく、本発明の断片中の突然変異の好適な候補でもある。
本発明の核酸断片中の突然変異の実例となる実施形態は、Dフォーム(form)又はFフォームのいずれかの、アブラナ属ミクロソームδ−12デサチュラーゼ配列のHECGHモチーフ中でのGluのLysへの置換である。この突然変異は、配列番号10(野生型Dフォーム)を配列番号12(突然変異体Dフォーム)と比較することによってわかるように、配列HECGHのHKCGHへの変化をもたらす。他のFad-2における類似の突然変異が意図され、非機能性遺伝子産物をもたらす。(配列番号2と配列番号4とを比較せよ。)
類似のモチーフは、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)ミクロソームδ−15脂肪酸デサチュラーゼの101番目から105番目のアミノ酸において、並びに対応する菜の花デサチュラーゼ及びダイズデサチュラーゼ(表5)中に見出され得る。例えば、国際公開公報第WO93/11245号;Arondel, V.ら、Science, 258:1153-1155(1992);Yadav,N.ら、Plant Physiol., 103:467-476(1993)を参照されたい。プラスチド(Plastid)δ−15脂肪酸は、類似のモチーフ(表5)を有する。
得られる遺伝子産物を非機能性にするHECGHモチーフ中の突然変異の種類の中には、非保存的置換がある。非保存的置換の実例は、グリシン残基の第1又は第2ヒスチジンのいずれかへの置換である。そのような置換は、荷電した残基(ヒスチジン)を非極性残基(グリシン)によって置換する。得られる遺伝子産物を非機能性にするもう1つの種類の突然変異は、挿入突然変異であり、例えば、HECGHモチーフ中のシステイン残基及びグルタミン酸残基の間へのグリシンの挿入である。
好適な保存アミノ酸モチーフを有する他の領域は、表2に示されるHRRHHモチーフ、表6に示されるHRTHHモチーフ及び表3に示されるHVAHHモチーフを含む。例えば、国際公開公報第WO94/115116号;Hitz, W.ら、Plant Physiol., 105:635-641(1994);上記Okuley,J.ら;及び上記Yadav,N.らを参照されたい。表3に示される領域中の突然変異の実例は、グリシン(ブラッシカ・ナプス(セイヨウアブラナ)(B. napus)の303番目のアミノ酸)に対応するコドンに相当するヌクレオチドでの突然変異である。非保存的なGlyからGluへの置換は、アミノ酸配列DRDYGILNKVの配列DRDYEILNKVへの変化をもたらす(図3、配列番号14の野生型Fフォームと配列番号18の突然変異体Q4275とを比較せよ。)。
δ−12デサチュラーゼ配列中の突然変異に好適なもう1つの領域は、アブラナ属デサチュラーゼ配列の171番目から175番目のアミノ酸に対応するヌクレオチドにおけるモチーフKYLNNPを含む。この領域における突然変異の実例は、LeuのHisへの置換であり、アミノ酸配列(表4)KYHNN(配列番号14の野生型Fad2-Fと配列番号16の突然変異体とを比較せよ)をもたらす。他のFad-2アミノ酸配列中の類似の突然変異が意図され、非機能性遺伝子産物をもたらす。(配列番号6と配列番号8とを比較せよ。)
アミノ酸モチーフ及びそれらの対応する位置の保存(conservation)は、1つの種の中で突然変異し、非機能性デサチュラーゼを生成するδ−12又はδ−15脂肪酸デサチュラーゼの領域が、他の種由来の対応する領域中で突然変異し、その種内での非機能性δ−12デサチュラーゼ又はδ−15デサチュラーゼ遺伝子産物を生成し得ることを示す。
表1〜6の領域のいずれかにおける突然変異は、本発明の範囲内に特定的に含まれ、本明細書中に例示されるそれらの突然変異と実質的に同一であるが、但し、上記で考察されたように、その突然変異(又はそれらの突然変異)は、得られるデサチュラーゼ遺伝子産物を非機能性にする。
突然変異配列を含む核酸断片は、当業者に公知の技術によって生産され得る。そのような技術は、これらに限定されないが、野生型配列の部位特異的突然変異誘発及び自動DNA合成装置を用いる直接合成を含む。
突然変異配列を含む核酸断片は、例えば、エチルメタンスルホネート、X線又は他の突然変異原による、植物種子又は再生可能な植物組織の突然変異誘発によっても生産され得る。突然変異誘発によって、種子中に望ましい脂肪酸表現型を有する突然変異植物は、公知技術によって同定され、望ましい突然変異を含む核酸断片は、突然変異系列のゲノムDNA又はRNAから単離される。そして、特異的な突然変異の部位は、δ−12デサチュラーゼ又はδ−15デサチュラーゼ遺伝子のコード領域の配列決定によって決定される。あるいは、所望の突然変異イベントに特異的な、標識された核酸プローブを用いて、突然変異誘発された集団を迅速にスクリーニングすることができる。
開示された方法は、全ての脂肪種子のアブラナ属種に、並びに各種内の春成熟種及び冬成熟種の両者に適用され得る。これらに限定されないが、X線、紫外線及び染色体損傷を引き起こす他の物理的処理を含む、物理的突然変異原、及びこれらに限定されないが、臭化エチジウム、ニトロソグアニジン、ジエポキシブタン等を含む他の化学突然変異原を、突然変異の誘導に使用してもよい。突然変異誘発処理は、これらに限定されないが、細胞培養物、胚(embryos)、小胞子(microspores)及び茎頂(shoot apices)を含む、植物の他の成長段階に適用してもよい。
本明細書中で用いられる「安定突然変異(stable mutations)」は、ひとまとめにされた(bulked together)最少10個の無作為に選択された種子のガスクロマトグラフィー分析によって決定される、畑地条件(field conditions)下で、最少2世代を含み、最少2世代の確立された統計的閾値を超える、最少3世代の選択され、改変された脂肪酸プロフィールを維持する、M5以上に進んだ系列として定義される。あるいは、安定性を、続く世代との比較によって同様に測定してもよい。続く世代において、安定性は、実質的に類似の条件下に生育した前の又は続く世代のものと類似の脂肪酸プロフィールを種子中に有するものとして定義される。
突然変異育種は、対象の特徴に加えて、複合的な、有害な特徴、例えば低下した植物生長力及び低下した繁殖力を有する植物を伝統的に製造してきた。そのような特徴は、脂肪酸組成に間接的に影響して不安定な突然変異を製造し;及び/又は収穫量を低下させ、それによって本発明の商業的有用性を低下させるかもしれない。有害な突然変異の発生を無くし、植物が有する突然変異の負荷を減らすためには、種子処理において、突然変異原の低用量を用い、LD30集団を生成させる。これは、許容可能な収穫量を製造する作物学のバックグラウンドにおける脂肪酸の特徴による単一遺伝子突然変異を迅速に選択することを可能とする。
幾つかの異なる植物系列の種子は、American Type Culture Collectionに寄託され、以下の受託番号を有している。
系列 受託番号 寄託日
A129.5 40811 1990年5月25日
A133.1 40812 1990年5月25日
M3032.1 75021 1991年6月7日
M3062.8 75025 1991年6月7日
M3028.10 75026 1991年6月7日
IMC130 75446 1993年4月16日
Q4275 97569 1996年5月10日
幾つかの植物種又は品種において、内因性のミクロソームδ−12デサチュラーゼの1つ以上の形態が見出され得る。複2倍体においては、各形態は、検討中の(under consideration)種を形成する親ゲノムの1つに由来していてもよい。両方の形態に突然変異を有する植物は、1つの形態のみに突然変異を有する植物とは異なる脂肪酸プロフィールを有する。そのような植物の例は、δ−12デサチュラーゼの突然変異D形態(配列番号11)及びδ−12デサチュラーゼの突然変異F形態(配列番号15)を含む、二重に突然変異誘発された系列であるブラッシカ・ナプス(Brassica napus)系列Q508である。もう1つの例は、系列Q4275であり、そしてそれは、δ−12デサチュラーゼの突然変異D形態(配列番号11)及びδ:−12デサチュラーゼの突然変異F形態(配列番号17)を含む。図2〜3参照。
本発明の核酸断片の導入のための好ましい宿主又は受容生物は、ダイズ(Glycine max)、菜種(例えば、ブラッシカ・ナプス(Brassica napus)、ブラッシカ・ラパ(B. rapa)及びブラッシカ・ジュンシー(B. juncea))、ヒマワリ(Helianthus annus)、トウゴマの種子(castor bean)(トウゴマ(Ricinuscommunis))、トウモロコシ(Zea mays)、及びベニバナ(ベニバナ(Carthamustinctorius))などの油製造(oil-producing)種である。
本発明の核酸断片は、さらに追加の核酸を含んでいてもよい。例えば、分泌又はリーダーアミノ酸配列をコードする核酸は、該分泌又はリーダー配列が突然変異δ−12又はδ−15デサチュラーゼポリペプチドのアミノ末端にフレーム内融合(fused in-frame)されるように突然変異デサチュラーゼ核酸断片に連結することができる。本明細書中に開示される突然変異デサチュラーゼポリペプチドにフレーム内融合するのに有用なアミノ酸配列をコードする、他の核酸断片は当業界で知られている。例えば、引用によって本明細書中に組み込まれる米国第5,629,193号参照。核酸断片は、また、それに機能可能なように連結された1つ以上の調節エレメントを有していてもよい。
本発明は、また、突然変異デサチュラーゼ配列に選択的にハイブリダイズする核酸断片を含む。そのような核酸断片は、典型的に少なくとも15個のヌクレオチドの長さである。ハイブリダイゼーションは、典型的に、サザン分析(サザンブロット)、すなわち標識オリゴヌクレオチド又はDNA断片プローブへのハイブリダイゼーションによって、標的核酸混合物中のDNA配列の存在を同定する方法を含む。サザン分析は、典型的に、アガロースゲル上でのDNA消化物の電気泳動分離、電気泳動分離後のDNAの変性、及びニトロセルロース、ナイロン又はSambrookら、(1989)Molecular Cloning、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Plainview;NYの第9.37-9.52節に記載されている、放射標識された、ビオチン化された、又は酵素標識されたプローブによる分析のためのもう1つの好適な膜支持体へのDNAの移送を含む。
核酸断片は、中程度ストリンジェント条件下又は、好ましくは、高ストリンジェント条件下で、突然変異デサチュラーゼ配列にハイブリダイズできる。高ストリンジェント条件は、プローブと高い相同性を有する核酸を同定するのに使用される。高ストリンジェント条件は、洗浄のための低いイオン強度及び高い温度、例えば、0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム(0.1×SSC);50-65℃で、0.1%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)を使用することを含み得る。あるいは、ハイブリダイゼーションの間、ホルムアミドなどの変性試薬、例えば、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウムバッファー、750mM NaClによるpH6.5、75mMクエン酸ナトリウムと共に、42℃で50%ホルムアミドを用いることができる。もう1つの例は、50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×Denhardtの溶液、超音波分解されたサケの***DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、及び10%硫酸デキストランの42℃での使用(42℃で0.2×SSC及び0.1%SDSで洗浄)である。
中程度ストリンジェント条件は、高ストリンジェント条件下で同定するよりも、プローブへの低い同一性の程度を有する核酸を同定するために使用されるハイブリダイゼーション条件をいう。中程度ストリンジェント条件は、高ストリンジェントハイブリダイゼーションに用いられるイオン強度及び温度に比べて、ハイブリダイゼーション膜の洗浄のための、より高いイオン強度及び/又はより低い温度を使用することを含むことができる。例えば、0.060M塩化ナトリウム/0.0060Mクエン酸ナトリウム(4×SSC)及び0.1%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)を含む洗浄溶液−を50℃で、最後の洗浄では1×SSC、65℃で使用することができる。あるいは、1×SSC、37℃でのハイブリダイゼーション洗浄を使用できる。
ハイブリダイゼーションは、また、ノーザン分析(ノーザンブロット)、すなわちオリゴヌクレオチド、DNA断片、cDNA若しくはその断片、又はRNA断片などの既知のプローブにハイブリダイズするRNA類を同定するのに用いられる方法によって行うこともできる。プローブは、32Pなどの放射性同位体を用いて、ビオチン化によって、又は酵素によって標識される。分析されるRNAは、通常、アガロース又はポリアクリルアミドゲル上で電気泳動によって分離され、ニトロセルロース、ナイロン、又は他の好適な膜に移され、そして上記Sambrookらの第7.39-7.52節に記載されているような、当業界で周知の標準技術を用いて、プローブとハイブリダイズされ得る。
本発明のポリペプチドは、突然変異アミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドだけでなくその誘導体及び類似体を含む。例えば、図3の突然変異アミノ酸配列参照。「単離された」によって意味されるのは、ポリペプチドが天然に発現され製造される環境以外の環境で発現され製造される該ポリペプチドである。例えば、植物ポリペプチドは、細菌類又は真菌類中で発現され製造されたときに単離される。本発明のポリペプチドは、上記で考察したように、本明細書中に開示される突然変異デサチュラーゼポリペプチドの品種をも含む。
請求の範囲に記載した発明の1つの実施態様においては、植物は、δ−12デサチュラーゼ突然変異及びδ−15デサチュラーゼ突然変異の両者を含む。そのような植物は、非常に高いオレイン酸濃度及び非常に低いα−リノレン酸濃度を含む脂肪酸組成を有することができる。δ−12デサチュラーゼ及びδ−15デサチュラーゼ中の突然変異は、δ−12デサチュラーゼ及びδ−15デサチュラーゼの単一突然変異系列の間で遺伝的交雑を為すことによって、植物の中で組み合わされてもよい。δ−12脂肪酸デサチュラーゼ中に突然変異を有する植物は、δ−15脂肪酸デサチュラーゼ中に突然変異を有する第2の植物と交雑され、交配される。交雑によって製造された種子を植え、得られる植物は、子孫種子を得るために自家(受粉)される。そして、これらの子孫種子は、両方の突然変異遺伝子を担う種子を同定するためにスクリーニングされる。
あるいは、δ−12デサチュラーゼ突然変異又はδ−15デサチュラーゼ突然変異のいずれかを有する系列を突然変異誘発に付し、δ−12デサチュラーゼ及びδ−15デサチュラーゼの両者に突然変異を有する植物又は植物系列を生産することができる。例えば、IMC 129系列は、ミクロソームδ−12デサチュラーゼ構造遺伝子のD形態のコード領域中の突然変異(Glu106からLys106への)を有する。この系列の細胞(例えば、種子)は、突然変異誘発され、δ−15デサチュラーゼ遺伝子中の突然変異を誘導し、δ−12脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子中の突然変異及びδ−15脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子中の突然変異を有する植物又は植物系列をもたらすことができる。
子孫は、特定の植物又は植物系列の子孫を含み、例えば、その(instant)植物上に発育した種子は子孫である。その植物の子孫は、F1植物、F2植物、F3植物、及び続く世代の植物上に形成された種子、又はBC1植物、BC2植物、BC3植物及び続く世代の植物上に形成された種子を含む。
本発明による植物は、好ましくは、改変された脂肪酸組成を含む。例えば、そのような植物の種子から得られた油は、その種子の全脂肪酸組成に基づいて、約69〜約90%のオレイン酸を有する。そのような油は、好ましくは、約74%〜約90%のオレイン酸、より好ましくは、約80〜約90%のオレイン酸を有する。幾つかの実施態様においては、本発明の植物によって生産された種子から得られた油は、その種子の全脂肪酸組成に基づいて、約2.0%〜約5.0%の飽和脂肪酸を有していてもよい。幾つかの実施態様においては、本発明の種子から得られた油は、約1.0%〜約14.0%のリノール酸、又は約0.5%〜約10.0%のα−リノレン酸を有していてもよい。
油組成は、一般に、ひとかたまりの(バルク)種子サンプル(例えば、10個の種子)を圧搾し、それから脂肪酸を抽出することによって分析される。種子中の脂肪酸トリグリセリドは、加水分解され、脂肪酸メチルエステルに変換される。改変された脂肪酸組成を有するそれらの種子は、当業者に公知の技術、例えば、バルク種子サンプルの、又は1つの半分の種子(single half-seed)のガス液体クロマトグラフィー(GLC)分析によって同定されてもよい。胚の生存能が維持されており、それ故所望の脂肪酸プロフィールを有するそれらの種子が植えられて、次の世代を形成し得るので、半種子分析が有用であることは当業界において周知である。しかしながら、半種子分析は、また、分析される種子の遺伝子型の不正確な表現であることも知られている。バルク種子分析は、一般に、与えられた遺伝子型の脂肪酸プロフィールのより正確な表現をもたらす。脂肪酸組成は、また、より大量のサンプル、例えば、試験的施設(plant)又は種子中の内因性の油の商業的規模の精製、漂白及び脱臭によって得られる油に関しても決定され得る。
本発明の核酸断片は、植物遺伝子地図及び植物育種プログラムにおけるマーカーとして使用できる。そのようなマーカーは、例えば制限断片長多型(RFLP)、ランダム増幅多型検出(RAPD)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又は自己持続配列複製(3SR)マーカーを含んでいてもよい。マーカー補助による育種技術は、育種過程の間の所望の脂肪酸組成を同定し、追跡するために使用してもよい。マーカー補助による育種技術は、他の種類の同定技術に追加して、又はそれとは異なるものとして使用してもよい。マーカー補助育種の例は、δ−12デサチュラーゼ又はδ−15デサチュラーゼ中の所望の突然変異を含む配列を特異的に増幅するPCRプライマーの使用である。
本発明による方法は、得られる植物及び植物系列が望ましい種子脂肪酸組成だけでなく、改変された種子脂肪酸組成を有する公知の系列と比べてより優れた作物学的特性を有していることにおいて有用である。より優れた作物学的特徴は、例えば、増加した種子発芽パーセンテージ、増加した苗木生長力、苗菌病(seedling fungal diseases)(立枯病、根腐れなど)に対する増加した耐性、増加した収穫量、及び改善された安定性を含む。
本発明は、種々の修飾及び代替形態が可能であるが、そのある特異的な実施態様が、一般的な方法及び以下に述べる実施例において記載されている。例えば、発明は、ブラッシカ・ラパ(B.rapa)、ブラッシカ・ジュンシー(B.juncea)、及びブラッシカ・ヒルタ(B.hirta)を含む全てのアブラナ属(Brassica)種に適用され、実質的に類似の結果を与え得る。しかしながら、これらの実施例は、本発明を、開示された特定の形態に限定することを意図してはおらず、それどころか、本発明は全ての修飾、同等物及び本発明の範囲内に入る改変をカバーすると理解すべきである。これは、ソマクローナル変異;植物部分の物理的又は化学的突然変異誘発;葯、小胞子又は子房培養に続く染色体倍化;又は脂肪酸特性を伝達するための、単独又は他の特性との組み合わせで、新たなアブラナ属系列を発達させるための自家又は交雑受粉の使用を含む。
実施例1
突然変異誘発
カナディアン(ブラッシカ・ナプス)スプリング・キャノーラ(spring canola)品種である、ウェスター(Westar)の種子を、化学突然変異誘発に付した。ウェスターは、キャノーラ品質を有する、登録されたカナディアン・スプリング品種である。畑地生育ウェスターの脂肪酸組成、3.9%C16:0、1.9%C18:0、67.5%C18:1、17.6%C18:2、7.4%C18:3、<2%C20:1+C22:1は、<±10%偏差をもって、1982年から、商業的製造下で安定である。
突然変異誘発前に、ブラッシカ・ナプス シーブイ ウェスター(B.napus cv.Westar)種子30,000個を、300個の種子のロットで、湿った濾紙の上で2時間予め吸湿させ、種皮を柔らかくした。予め吸湿させた種子を、80mMエチルメタンスルホネート(EMS)中に4時間置いた。突然変異誘発に続いて、種子を蒸留水で3回すすいだ。その種子を、Pro-Mixを含む48ウエル平板(48-well flats)中に蒔いた。突然変異誘発された種子の68%が発芽した。その植物を、25℃/15℃、14/10時間・昼/夜の条件で、温室中で維持した。開花期に、各植物を個々に自家受粉させた。
個々の植物由来のM2種子を、個別に分類して保存し、約15,000個のM2系列を、マニトバ州、カーマン(Carman, Manitoba)で、夏の苗床に植えた。各自家植物由来の種子を、6インチの列間隔で、3メートルの列に植えた。ウェスターを、照合基準品種(check variety)として植えた。畑地で選択された系列を、各植物の主総状花序に袋がけすることによって自家させた。成熟期に、自家された植物を、個々に刈り取り、種子を分類して保存し、種子の起源を知る裏付けとした。
自家受粉されたM3種子及びウェスター対照を、10個の種子バルクサンプルで、ガスクロマトグラフィーによる脂肪酸組成を分析した。各脂肪酸成分の統計的閾値を、10,000分の1のストリンジェントレベルでのZ分布を用いて確定した。平均及び標準偏差値を、畑地の突然変異誘発されていないウェスター対照から決定した。各脂肪酸の上位及び下位の統計的閾値を、Z分布によって複合された、集団の平均値±標準偏差から決定した。10,000個の集団規模に基づく信頼区間は、99.99%である。
選択されたM3種子を、、温室中に、ウェスター対照に沿って植えた。種子を、Pro-Mix土を含む4インチのポットに蒔き、その植物を、温室中で25℃/15℃、14/10時間・昼/夜のサイクルに維持した。開花期に、末端の総状花序を、袋がけによって自家受粉させた。成熟期に、自家M4種子を、各植物から個々に刈り取り、標識し、保存して、種子の起源を知る裏付けとした。
M4種子を、10個の種子バルクサンプルで分析した。各脂肪酸成分の統計的閾値を、800分の1のZ分布を用いて259個の対照サンプルから確定した。選択されたM4系列を、6インチの間隔で3メートルの列で、マニトバ州カーマンでの畑地試験場に植えた。各列の10個のM4植物を、自家受粉のために袋がけした。成熟期に、自家植物を、個々に刈り取り、その列の解放受粉された(open pollinated)植物をバルクで刈り取った。単一植物選択由来のM5種子を、10個の種子バルクサンプルで分析し、バルク列刈り取りのものは、50個の種子バルクサンプルで分析した。
選択されたM5系列を、温室中でウェスター対照に沿って植えた。種子を、前記のとおりに育成した。開花期に、末端の総状花序を袋がけによって自家受粉させた。成熟期に、自家M6種子を各植物から個別に刈り取り、10個の種子のバルクサンプルで、脂肪酸組成を分析した。
選択されたM6系列を、東アイダホ(Eastern Idaho)の畑地試験に参加させた(entered)。育成条件の変化性の広い4つの試験場所を選択した。場所は、バーレイ(Burley)、テトニア(Tetonia)、ラモント(Lamont)及びシェリー(Shelley)を含む(表7)。その系列を、8インチ間隔で、4本の3メートルの列に植え、各小区画(plot)を、4回複製した(replicated)。播種デザインを、無作為完全ブロックデザイン(Randomized Complete Block Designed)を用いて決定した。商業的栽培品種(cultivar)のウェスターを照合基準栽培品種として用いた。成熟期に、その小区画を刈り取り、収穫量を決定した。試験に参加したものの収穫量を、4回の複製の統計的平均を採ることによって決定した。最少有意差試験(The Least Significant Difference Test)を用いて、無作為完全ブロックデザインに参加したものをランク付けした。
参加したものの脂肪酸プロフィールを決定するため、各小区画の植物を、自家受粉のために袋がけした。単一植物由来のM7種子を、10個の種子バルクサンプルで脂肪酸分析した。
選択された脂肪酸の遺伝子的関係を決定するため、突然変異体交雑を行った。M6又はそれより後の世代の突然変異の花を、交雑に用いた。F1種子を、刈り取り、脂肪酸組成を分析して、遺伝子動作(action)の様式(mode)を決定した。F1子孫を、温室に植えた。得られた植物を、自家受粉させ、F2種子を刈り取り、対立性(allelism)研究のために脂肪酸組成を分析した。F2種子及び親系列種子を温室内に植え、個々の植物を自家受粉させた。個々の植物のF3種子を、前記の10個の種子バルクサンプルを用いて脂肪酸組成を試験した。
幾つかの遺伝子的関係の分析において、二ゲノム性半数体集団が、F1雑種の小胞子から形成された。二ゲノム性半数体植物由来の自家受粉種子を、前記の方法を用いて脂肪酸分析した。
化学分析のために、10個の種子バルクサンプルを、15mlのポリプロピレンチューブ中でガラス棒ですりつぶし、1:1ジエチルエーテル/メタノール中0.25Nの水酸化カリウム1.2mlで抽出した。そのサンプルを30秒間攪拌し、60℃の温浴中で60秒間加熱した。飽和塩化ナトリウム4ml及びイソ−オクタン2.4mlを加え、混合物を再度攪拌した。層分離後、上部の有機層600μlを、ピペットで個々のバイアルに入れ、−5℃で窒素雰囲気下に保存した。サンプル1μlを、Supelco SP-2330融解シリカ毛細管カラム(0.25mm ID、長さ30M、0.20μm df)中に注入した。
ガスクロマトグラフィーを、180℃、5.5分に設定し、そして2℃/分で212℃まで増加するようプログラムし、この温度に1.5分保持した。全工程時間(total run time)は23分であった。クロマトグラフィーの設定は、カラム頭圧力15psi、カラムフロー(ヘリウム)0.7ml/分、補助(Auxiliary)及びカラムフロー33ml/分、水素フロー33ml/分、エアーフロー400ml/分、注入器温度250℃、検出器温度300℃、分割通風(Split vent)1/15であった。
興味ある各脂肪酸の上位及び下位の統計的閾値を表8に記載する。
実施例2
高オレイン酸キャノーラ系統
実施例1の研究において、M3世代では、31系統がオレイン酸についての統計的上限値を超えていた(≧71.0%)。W7608.3系統は71.2%のオレイン酸を含んでいた。M4世代では、その自殖子孫(W7608.3.5、以後A129.5と呼ぶ)は78.8%のオレイン酸を含むC18:1についての統計的上限値を超え続けた。A129.5系統(ATCC40811)の5つの自家受粉植物のM5種子は平均すると75.0%のオレイン酸を含んでいた。単独植物選択物(single plant selection)A129.5.3は75.6%のオレイン酸を含んでいた。この高オレイン酸突然変異体の脂肪酸組成は、M7世代まで圃場(field)および温室条件下の両方で安定であり、それを表9にまとめる。この系統は、多数の場所における圃場試験においてもM7世代までその突然変異体脂肪酸組成を安定的に維持した。全ての場所において、自家受粉植物(A129)は平均して78.3%のオレイン酸を含んでいた。各アイダホ試験場についてのA129の脂肪酸組成を表10にまとめる。多場所複製収穫量試験(multiple location replicated yield trials)では、A129は親栽培品種Westarと収穫量において有意な差はなかった。
商業的な加工処理後のA129のキャノーラ油は、脂肪安定性についての促進酸素法(Accelerated Oxygen Method, AOM),American Oil Chemist’ Society Official Method Cd 12-57;活性酸素法(1989年改訂)によって測定した場合、Westarと比べて優れた酸化安定性を有することが分かった。WestarのAOMは18 AOM時間であり、A129については30 AOM時間であった。
高オレイン酸突然変異体A129とその他のオレイン酸デサチュラーゼの遺伝子的関係を、市販のキャノーラ栽培品種および低リノレン酸突然変異体になされた交雑において実証した。A129を市販の栽培品種Global(C16:0−4.5%、C18:0−1.5%、C18:1−62.9%、C18:2 20.0%、C18:3−7.3%)と交雑した。約200のF2個体を脂肪酸組成について分析した。その結果を表11にまとめる。単一相互優性(single co-dominant)遺伝子を示唆する分離適合度(segregation fit)比1:2:1は、高オレイン酸表現型の遺伝を制御した。
A129と低リノール酸品種であるIMC01(C16:0−4.1%、C18:0−1.9%、C18:1−66.4%、C18:2 18.1%、C18:3−5.7%)との交雑を行ってオレイン酸デサチュラーゼとリノール酸デサチュラーゼの遺伝を調べた。F1ハイブリッドにおいて、オレイン酸およびリノール酸デサチュラーゼ遺伝子は、相互優性遺伝子作用の指標となる両親の中間値(mid-parent value)に近づいた。F2個体の脂肪酸分析により、2つの別個の相互優性遺伝子の1:2:1:2:4:2:1:2:1分離が確認された(表12)。A129とIMC01の交雑から系統を選択し、米国特許出願No.08/425,108(参照により本明細書に含まれる)に記載されたようにIMC130(ATCC寄託No.75446)と名付けた。
A128.3と呼ばれるその他の高オレイン酸系統も、開示された方法により産生させた。この系統の50-種子バルク分析により下記の脂肪酸組成:C16:0−3.5%、C18:0−1.8%、C18:1−77.3%、C18:2 9.0%、C18:3−5.6%、FDA Sats−5.3%、全Sats−6.4%であることが分かった。この系統も、M7世代までその突然変異体脂肪酸組成を安定的に維持した。多場所複製収穫量試験では、A128はその親栽培品種Westarと収穫量において有意な差はなかった。
A129を対立性研究のためにA128.3と交雑した。F2種子の脂肪酸組成により、2つの系統が対立遺伝子的であることが分かった。A129およびA128.3における突然変異発生が、起源は異なるが、同一遺伝子内にあった。
M3028.-10(ATCC 75026)と呼ばれる別の高オレイン酸系統も、実施例1に開示した方法により産生させた。この系統の10-種子バルク分析により下記の脂肪酸組成:C16:0−3.5%、C18:0−1.8%、C18:1−77.3%、C18:2 9.0%、C18:3−5.6%、FDA飽和物−5.3%、全飽和物−6.4%であることが分かった。単場所(single location)複製収穫量試験では、M3028.10はその親栽培品種Weatarと収穫量において有意な差はなかった。
実施例3
低リノール酸キャノーラ
実施例1の研究において、M3世代では80系統がリノール酸についての統計的下限を超えていた(≦13.2%)。W12638.8系統は9.4%のリノール酸を含んでいた。M4およびM5世代では、その自殖子孫(W12638.8、以後A133.1(ATCC 40812)と呼ぶ)は、リノール酸レベルがそれぞれ10.2%および8.4%の低C18:2についての統計的閾値を超え続けた。この低リノール酸突然変異体の脂肪酸組成は、圃場および温室条件下の両方においてM7世代まで安定であり、それを表13にまとめる。多場所複製収穫量試験では、A133は親栽培品種Westarと収穫量において有意な差はなかった。M3062.8(ATCC 75025)と呼ばれる別の低リノール酸系統も、開示した方法により産生させた。この系統の10-種子バルク分析により下記の脂肪酸組成:C16:0−3.8%、C18:0−2.3%、C18:1−77.1%、C18:2 8.9%、C18:3−4.3%、FDA飽和物−6.1%であることが分かった。この系統も、圃場および温室においてその突然変異体脂肪酸組成を安定的に維持していた。
実施例4
低リノレン酸およびリノール酸キャノーラ
実施例1の研究において、M3世代では、57系統がリノレン酸についての統計的下限値を超えた(≦5.3%)。W14749.8系統は、5.3%のリノレン酸および15.0%のリノール酸を含んでいた。M4およびM5世代では、その自殖子孫(W14749.8、以後M3032(ATCC 75021)と呼ぶ)は、リノレン酸レベルがそれぞれ2.7%および2.3%の低C18:3についての統計的閾値を超え続け、また総量がそれぞれ11.8%および12.5%である少量のリノレン酸およびリノール酸についての統計的閾値を超え続けた。この低リノレン酸+リノール酸突然変異体の脂肪酸組成は、圃場および温室条件下の両方においてM5世代まで安定であり、それを表14にまとめる。単場所複製収穫量試験では、M3032は親栽培品種(Westar)と収穫量において有意な差はなかった。
実施例5
キャノーラ系統Q508およびQ4275
B.napus系統IMC-129の種子を、メチルN-ニトロソグアニジン(MNNG)で突然変異誘発した。MNNG処理は、3つの要素:予備浸漬、突然変異原添加および洗浄から構成された。0.05MのSorenson’sリン酸緩衝液を用いて予備浸漬および突然変異原処理をpH6.1に維持した。200個の種子をペトリ皿(100mm×15mm)内の濾紙(Whatman#3M)上で一度に処理した。種子を、15mlの0.05M Sorenson’s緩衝液中で、pH6.1にて2時間連続攪拌しながら予備浸漬した。予備浸漬期間の終わりに緩衝液を皿から除去した。
使用前に、0.05M Sorenson’s緩衝液にMNNGを10mM濃度で加えた溶液(pH6.1)を調製した。15mlの10m MNNGを各皿内の種子に加えた。種子を暗所にて22℃±3℃で4時間一定攪拌下でインキュベートした。インキュベーション期間の終わりに突然変異原溶液を除去した。
種子を、蒸留水を10分間隔で3回変更することにより洗浄した。4番目の洗浄は30分間行った。この処理養生法によりLD60集団が生じた。
処理種子を標準温室鉢植え用土壌(potting soil)にまいて、環境制御された温室に置いた。光の下で16時間植物を成長させた。花成期に、総状花序を袋に入れて自殖種子を産生させた。成熟期に、M2種子を採取した。各M2系統に識別番号を付した。全MNNG処理種子集団をQ系列と名付けた。
採取したM2種子を温室にまいた。成長条件は以前記載したとおりに維持した。総状花序を花成期に自殖のために袋に入れた。成熟期に、自殖M3種子を採取し、脂肪酸組成について分析した。各M3種子系統について、約10〜15個の種子を実施例1に記載したようなバルクで分析した。
高オレイン酸−低リノール酸M3系統を、>82%オレイン酸および<5.0%リノール酸のカットオフを用いてM3集団から選択した。脂肪酸組成についてスクリーニングした最初の1600のM3系統から、Q508を同定した。Q508 M3世代を温室内でM4世代に進ませた。表15にQ508およびIMC129の脂肪酸組成を示す。M4自殖種子は選択された高オレイン酸−低リノール酸表現型を維持していた(表16)。
M4世代Q508植物は、圃場においてはWestarと比べて作物栽培学的品質が低かった。典型的な植物は、Westarと比べて成長が遅く、早期栄養活力に欠け、背丈が低く、退緑の傾向にあり、さやが短かった。Q508の収穫量はWestarと比べてかなり低かった。
温室内のM4世代Q508植物は、Westarと比べて活力が低い傾向にあった。しかしながら、温室内におけるQ508収穫量は、圃場におけるQ508収穫量よりも高かった。
9個のその他のM4高オレイン酸−低リノール酸系統:Q3603、Q3733、Q4249、Q6284、Q6601、Q6761、Q7415、Q4275、およびQ6676も同定された。これらの系統のいくつかは約80%〜約84%の種子において良好な作物栽培学的特性を有しており、高レベルのオレイン酸を含んでいた。
Q4275を変種Cycloneと交雑した。7世代の自殖後、成熟した種子を、Q4275 Cyclone交雑の子孫系統93GS34-179から採取した。表17によれば、バルク種子試料の脂肪酸組成により、93GS34がQ4275の種子脂肪酸組成を維持していたことが分かる。93GS34-179は作物栽培学的に望ましい特性も維持していた。
7世代以上のQ4275の自殖の後、Q4275、IMC129および93GS34の植物を夏の間圃場成長させた。ランダム化ブロックデザイン(randomized block design)における4つの複製区画(replicated plots)(5フィート×20フィート)にて選択物を試験した。植物を放任受粉させた。自殖種子は産生されなかった。各区画は成熟期に収穫され、各系統から得たバルク採取種子の試料を上記のように脂肪酸組成について分析した。選択した系統の脂肪酸組成を表17に示す。
表17に示した結果から、Q4275は圃場条件下で選択された高オレイン酸−低リノール酸表現型を維持していたことが分かる。Q4275植物の作物栽培学的特性はQ508のものよりも優れていた。
M4世代Q508植物を、雌親として働くWestarとともにWestarの二ゲノム性半数体選択物(dihaploid selection)と交雑させた。得られたF1種子を92EF集団と名付けた。Q508親よりも良好な作物栽培学的特性を有すると思われる約126のF1個体を自殖用に選択した。かかる個体から得られたF2種子の一部を圃場に再びまいた。各F2植物を自殖させ、得られたF3種子の一部を脂肪酸組成について分析した。F3種子のオレイン酸の含量は59〜79%の範囲であった。良好な作物栽培学的タイプの高オレイン酸(>80%)個体は回収されなかった。
92EF集団のF2種子の一部を温室にまいてQ508系統の遺伝学を分析した。380 F2個体から得たF3種子を分析した。温室実験から得たF3種子のC18:1レベルを図1に示す。Q508が半優性であり相加的である2つの突然変異体遺伝子:元のIMC129突然変異ならびに一の追加の突然変異を含むという仮説に対してこのデータを試験した。また、この仮説はホモ接合性Q508がオレイン酸を85%以上含み、ホモ接合性Westarは62〜67%のオレイン酸を含むということも推測するものである。WestarによるQ508の交雑における各遺伝子の可能性のある遺伝子型は、
AA = Westar Fad2a
BB = Westar Fad2b
aa = Q508 Fad2a-
bb = Q508 Fad2b-
と示され得る。独立分離と仮定すると、1:4:6:4:1の割合の表現型が予測される。ヘテロ接合性植物の表現型は区別がつかないと仮定され、よってデータを、1:1:4:1の割合のホモ接合性Westar:ヘテロ接合性植物:ホモ接合性Q508に対する適合性について試験した。
カイ平方分析を用いると、オレイン酸データは1:14:1の割合に適合する。Q508は、半優性で相加的であり、独立に分離する2つの主要な遺伝子によりWestarとは相違するという結論が下された。比べると、IMC129の遺伝子型はaaBBである。
種子油中にオレイン酸を85%以上含む代表的なF3個体の脂肪酸組成を表18に示す。かかる植物においては、飽和脂肪酸のレベルがWestarと比べて低下していることが分かる。
実施例6
キャノーラ系統IMC-129、Q508、およびWestarの葉および根脂肪酸特性
Q508、IMC129およびWestarの植物を温室内で成長させた。成熟葉、一次発達中の葉、葉柄および根を6〜8葉段階で採取し、液体窒素中で凍結させ、−70℃で貯蔵した。実施例1に記載したようにして脂質抽出物をGLCにより分析した。脂肪酸特性データを表19に示す。
表19のデータは、Q508の全葉脂質は、C18:2+C18:3含量よりもC18:1含量が高いということを示すものである。WestarおよびIMC129はその逆である。Q508とIMC129間の全葉脂質の相違は、第2のFad2遺伝子がQ508において突然変異しているという仮説と一致するものである。
全脂質画分におけるC16:3含量は3系統全てについてほぼ同一であり、これは色素体FadC遺伝子産物はQ508突然変異により影響されないということを示唆するものである。FadC遺伝子が突然変異されなかったことを確認するために、葉緑体脂質を分離し、分析した。3つの系統において、葉緑体C16:1、C16:2またはC16:3脂肪酸における変化は検出されなかった。Q508、WestarおよびIMC129の中の色素体葉脂質の類似性は、Q508における第2の突然変異はミクロソームFad2遺伝子に影響を及ぼすが色素体FadC遺伝子には影響を及ぼさないという仮設と一致するものである。
実施例7
B.napus由来の突然変異体および野生型Δ-12脂肪酸デサチュラーゼの配列
FAD2構造遺伝子に特異的なプライマーを用いて逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によってDおよびF Δ-12デサチュラーゼ遺伝子の全オープンリーディングフレーム(ORF)をクローニングした。IMC129、Q508およびWestar植物の種子からRNAを標準的な方法により単離し、鋳型として用いた。RT増幅断片をヌクレオチド配列決定に用いた。各系統由来の各遺伝子のDNA配列を標準ジデオキシ配列決定法によって両方の鎖から決定した。
配列分析により、Westarの配列と比べた場合、IMC129とQ508の両方においてD遺伝子のヌクレオチド316(翻訳開始コドン由来)がGからAにトランスバージョンしていることが判明した。このトランスバージョンによりかかる位置におけるコドンがGAGからAAGに変化し、塩基性残基であるリシンが酸性残基であるグルタミン酸に非保存的置換されることになる。Q508系統はIMC129から誘導されるので、両系統において同一の突然変異の存在が予測された。同一の塩基の変化は、葉組織由来のRNAを鋳型として用いる場合にもQ508およびIMC129において検出された。
ヌクレオチド316におけるGからAへの突然変異は、IMC129およびWestarのゲノムDNAから直接増幅した断片を含むいくつかの独立のクローンを配列決定することにより確認された。これらの結果により、RT-PCRプロトコルにおける逆転写およびPCR中に導入される珍しい突然変異の可能性は排除された。IMC129突然変異体は、菜種ミクロソームΔ-12デサチュラーゼのD遺伝子のコード領域内のヌクレオチド316における1塩基トランスバージョンによるものであるという結論が下された。
F遺伝子のヌクレオチド515におけるTからAへの1塩基変化が、Q508において、Westar配列と比べた場合に検出された。この突然変異によりこの位置におけるコドンがCTCからCACに変化し、得られる遺伝子産物において極性残基ヒスチジンが非極性残基ロイシンに非保存的に置換されることになる。IMC129のF遺伝子配列においては、WestarのF遺伝子配列と比べた場合、突然変異は見出されなかった。
これらのデータは、Δ-12デサチュラーゼ遺伝子配列における突然変異がそのような突然変異遺伝子を含む植物の脂肪酸特性を変更させるという結論を支持するものである。さらに、このデータは、植物系統または種が2個のΔ-12デサチュラーゼ遺伝子座を含む場合、2個の突然変異遺伝子座を有する個体の脂肪酸特性は、1個の突然変異遺伝子座を有する個体の脂肪酸特性とは異なるということを示すものである。
保存アミノ酸モチーフ(His-Xaa-Xaa-Xaa-His)を有する領域にマッピングされたIMC129およびQ508のD遺伝子における突然変異が、クローン化Δ-12およびΔ-15膜結合デサチュラーゼにおいて見出された(表20)。
実施例8
ミクロソームΔ-12脂肪酸デサチュラーゼの転写および翻訳
in vivo転写をII段階およびIII段階発達中の種子および葉組織のRT-PCR分析により分析した。示した組織由来のΔ-12デサチュラーゼF遺伝子RNAを特異的に増幅させるのに用いたプライマーは、センスプライマー5’-GGATATGATGATGGTGAAAGA-3’およびアンチセンスプライマー5’TCTTTCACCATCATCATATCC−3’であった。示した組織由来のΔ-12デサチュラーゼD遺伝子RNAを特異的に増幅させるのに用いたプライマーは、センスプライマー5’-GTTATGAAGCAAAGAAGAAAC−3’およびアンチセンスプライマー5’-GTTTCTTCTTTGCTTCATAAC−3’であった。この結果から、DおよびF遺伝子のmRNAが、IMC129、Q508および野生型Westar植物の種子および葉組織において発現していることが分かった。
in vitro転写および翻訳分析により、約46kDのペプチドが製造されていることが分かった。これは、各遺伝子の推定アミノ酸配列およびミクロソーム膜ペプチドの同時翻訳付加の合計に基づき、D遺伝子産物およびF遺伝子産物両方について予測された大きさである。
これらの結果は、末端切断ポリペプチド遺伝子産物が生じる非センスまたはフレームシフト変異が突然変異体D遺伝子または突然変異体F遺伝子に存在しているという可能性を排除するものである。このデータは、実施例7のデータとともに、Q508およびIMC129における突然変異が、調節遺伝子内ではなく、デサチュラーゼ酵素をコードするΔ-12脂肪酸デサチュラーゼ構造遺伝子内にあるということを支持するものである。
実施例9
遺伝子特異的PCRマーカーの開発
上記のIMC129の突然変異体D遺伝子における1塩基変化に基づき、2個の5’PCRプライマーをデザインした。このプライマーのヌクレオチド配列は、3’末端の塩基(WestarではG、IMC129ではA)のみが異なっていた。このプライマーにより、DNA主体のPCRアッセイにおいて突然変異体fad2-Dと野生型Fad2-D対立遺伝子とを区別することが可能になる。5’PCRプライマーにおいては1個の塩基が異なるのみであるので、PCRアッセイはアニーリング温度、サイクル数、量および用いられるDNA鋳型の純度のようなPCR条件に非常に敏感である。IMC129および野生型植物由来のゲノムDNAを鋳型として用いて、突然変異体遺伝子と野生型遺伝子とを区別するアッセイ条件が確立されている。可変天然DNAサンプルを用いるなどしてPCRパラメーターを変化させると、条件をさらに最適化し得る。IMC129における1塩基突然変異を野生型遺伝子と区別するPCRアッセイは、脂肪酸組成分析とともに、Δ-12脂肪酸デサチュラーゼ突然変異を有する植物を含む遺伝子交雑の分離および選択分析を単純化させるための手段を提供する。
実施例10
突然変異体および野生型Fad3遺伝子による形質転換
B.napus栽培品種Westarを、突然変異体および野生型Fad3遺伝子で形質転換してキャノーラ細胞質リノール酸デサチュラーゼΔ-15デサチュラーゼについての突然変異体Fad3遺伝子が非機能性であることを証明した。形質転換および再生は、本質的にWO94/11516に記載された手順にしたがって安全化(disarmed)Agrobacterium tumefaciensを用いて行った。
2つの安全化Agrobacterium株を、それぞれ、種子特異的プロモーターおよび対応する終結配列に適切に連結された遺伝子を有するTiプラスミドを含むように操作した。第1のプラスミドpIMC110を、安全化Tiベクターに全長野生型Fad3遺伝子をセンス方向(WO93/11245の配列番号6のヌクレオチド208〜1336)に挿入することにより調製した。全長野生型Fad3遺伝子には、Fad3遺伝子の5’に配置したnapinプロモーター配列およびFad3遺伝子の3’に配置したnapin終結配列が隣接していた。菜種napinプロモーターはEP0255378に記載されている。
第2のプラスミド、pIMC205は、突然変異したFad3遺伝子を安全化Tiベクターにセンス方向に挿入することによって調製した。突然変異体配列は、WO93/11245に記載されたミクロソームFad3遺伝子のヌクレオチド411および413に突然変異を含んでおり、したがってコドン96の配列がGACからAAGに変更されていた。よって遺伝子産物のコドン96におけるアミノ酸は、アスパラギン酸からリシンに変更された。表20を参照されたい。5’-TGGTCTTTTGGT-3’で始まる495塩基対の豆(Phaseolus vulgaris)ファゼオリン(7S種子貯蔵タンパク質)プロモーター断片を、突然変異体Fad3遺伝子の5’に配置し、ファゼオリン末端配列を突然変異体Fad3遺伝子の3’に配置した。ファゼオリン配列は、Doyleら,(1986)J. Biol. Chem. 261:9228-9238およびSlightomら,(1983)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:1897-1901に記載されている。
適当なプラスミドをAgrobacterium株LBA4404に別個に操作し、移入した。各操作株を同時培養によるWestar種子由来の胚軸外植体の5mm切片の感染に用いた。感染胚軸をカルス培地に移し、その後再生培地に移した。カルスから識別可能な茎が生じたら、シュートを切除して伸長培地に移した。伸長したシュートを切断し、RootoneTMに浸し、寒天培地に根付かせ、鉢植え用土壌に移植して結実能力のあるT1植物を得た。得られたT1植物を自家受粉させることによりT2種子を得た。
T2種子の脂肪酸分析を上記のようにして行った。結果を表21にまとめる。pIMC110プラスミドを用いて得られた40個の形質転換体の中で、17個の植物が野生型脂肪酸特性を示し、16個は過剰発現を示した。形質転換体の一部は、機能遺伝子が植物にセンス方向に形質転換されている場合、過剰発現表現型を示すものと予測される。
pIMC205遺伝子を有する307個の形質転換植物の中で、過剰発現の指標となる脂肪酸組成を示したものはなかった。形質転換体のいくつかは遺伝子産物が機能的である場合過剰発現表現型を示したので、この結果は突然変異体fad3遺伝子産物は非機能的であるということを示すものである。
代表的な形質転換植物の脂肪酸組成を表22に示す。652−09系統および663-40系統は、pIMC110を含み、それぞれ過剰発現および同時抑制表現型を示す植物の代表例である。205-284系統は、pIMC205を含み、突然変異体fad3遺伝子を有する植物の代表例である。
実施例11
野生型および突然変異体Fad2-DおよびFad2-Fの配列
高分子量ゲノムDNAをQ4275植物の葉(実施例5)ならびにWestarおよびBridgerキャノーラ植物から単離した。このDNAをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるFad2-DおよびFad2-F遺伝子の増幅用の鋳型として用いた。PCR増幅を、0.3μgのゲノムDNA、200μMのデオキシリボヌクレオシド3リン酸、3mMのMgSO4、1〜2単位のDNAポリメラーゼおよび1×緩衝液(DNAポリメラーゼ製造者により供給されたもの)を含む、合計容量100μl中で行った。サイクル条件は、95℃で1分間を1サイクル、次いで94℃で1分間、55℃で2分間および73℃で3分間を30サイクルであった。
Fad2-D遺伝子をElongase(登録商標)(Gibco-BRL)を用いて1回増幅した。PCRプライマーは、遺伝子の5’末端および3’末端に対して、それぞれ、CAUCAUCAUCAUCTTCTTCGTAGGGTTCATCG(配列番号23)およびCUACUACUACUATCATAGAAGAGAAAGGTTCAG(配列番号24)であった。
Fad2-F遺伝子を独立に4回、すなわちElongase(登録商標)で2回およびTaqポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)で2回増幅させた。用いたPCRプライマーは、遺伝子の5’末端および3’末端に対して、それぞれ、5’CAUCAUCAUCAUCATGGGTGCACGTGGAAGAA3’(配列番号25)および5’CUACUACUACUATCTTTCACCATCATCATATCC3’(配列番号26)であった。
増幅DNA産物をアガロースゲル上で分離させ、JetSorb(登録商標)で精製し、その後プライマーの末端にある(CAU)4および(CUA)4配列を介してpAMP1(Gibco-BRL)にアニールし、E.coli DH5αに形質転換した。
Fad2-DおよびFad2-F挿入物を、合成プライマーAmpliTaq(登録商標)DNAポリメラーゼおよび色素ターミネーターを用いて、ABI PRISM310自動シーケンサー(Perkin-Elmer)にて製造業者の指示にしたがって両方の鎖について配列決定した。
Fad2-D遺伝子は、ATG開始コドンの上流にあるイントロン様配列(配列番号30および配列番号31)を有することが分かった。予想したように、IMC129由来の遺伝子のコード配列はヌクレオチド316においてGからAの突然変異を含んでいた(図2)。
ヌクレオチド908におけるGからAへの1塩基トランスバージョンは、野生型F遺伝子配列と比較した場合、Q4275増幅産物のF遺伝子配列において検出された(図2)。この突然変異は、アミノ酸303におけるコドンをGGAからGAAに変化させるものであり、グリシン残基がグルタミン酸残基に非保存的に置換されることになる(表3および図3)。植物における突然変異体Q4275 Fad2-F Δ-12デサチュラーゼ遺伝子の発現は、上記のように、脂肪酸組成を変化させる。
実施例12
野生型Fad2-Uの配列
高分子量ゲノムDNAを標準法によりBridgerおよびWestar Brassica植物の葉から単離した。Fad2-U遺伝子を、各1μgのプライマー、0.3μgのゲノムDNA、200μMのdNTP、3mMのMgSO4、1×緩衝液(DNAポリメラーゼ製造者により供給されたもの)、および1〜2単位のElongaseDNAポリメラーゼ(BRL)を含む、100μlの合計反応液中で増幅させた。増幅条件は、95℃で1分間を1サイクル、94℃で1分間の変性、55℃で2分間のアニーリングおよび72℃で3分間の伸長を30サイクル含んでいた。その後、反応液をさらに10分間72℃でインキュベートした。Fad2U遺伝子を、下記のプライマー:
を用いてWestarから2回、BridgerゲノムDNAから2回増幅させた。
増幅したDNA産物を実施例11に記載したようにして精製し、配列決定した。Fad2-U配列は、ATG開始コドンの上流にイントロン様配列(配列番号28)を含む。
本明細書に記載され、説明された種々の特定の実施態様の任意の一つをまだ示していない範囲まで、さらに変形することにより、その他の特定の実施態様に示された特徴を組み込み得るということは当業者には理解されるであろう。
添付請求の範囲から逸脱することなくいくつかの変形が当業者には明白であるので、上記の詳細な説明は、本発明をより理解するためだけに提供されたものであり、そこから不必要な限定を意図するものではない。
配列表
配列番号:1
配列の長さ:1155塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA
ハイポセティカル:YES
アンチセンス:NO
起源
生物名:Brassica napus
配列の特徴
他の情報:野生型Fad2
配列
配列番号:2
配列の長さ:384アミノ酸
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
配列番号:3
配列の長さ:1155塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA
ハイポセティカル:YES
アンチセンス:NO
起源
生物名:Brassica napus
配列の特徴
他の情報:ヌクレオチド316におけるGからAへのトランスバージョン突然変異
配列
配列番号:4
配列の長さ:384アミノ酸
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
配列番号:5
配列の長さ:1155塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA
ハイポセティカル:YES
アンチセンス:NO
起源
生物名:Brassica napus
配列の特徴
他の情報:野生型Fad2
配列
配列番号:6
配列の長さ:384アミノ酸
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
配列番号:7
配列の長さ:1155塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA
ハイポセティカル:YES
アンチセンス:NO
起源
生物名:Brassica napus
配列の特徴
他の情報:ヌクレオチド515におけるTからAへのトランスバージョン突然変異
配列
配列番号:8
配列の長さ:384アミノ酸
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
配列番号:9
配列の長さ:1155塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
配列の特徴
特徴を表す記号:コード配列(Coding Sequence)
存在位置:1...1152
他の情報:
配列
配列番号:10
配列の長さ:384アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
フラグメント型:中間部フラグメント
配列
配列番号:11
配列の長さ:1155塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
配列の特徴
特徴を表す記号:コード配列(Coding Sequence)
存在位置:1...1152
他の情報:
配列
配列番号:12
配列の長さ:384アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
フラグメント型:中間部フラグメント
配列
配列番号:13
配列の長さ:1155塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
配列の特徴
特徴を表す記号:コード配列(Coding Sequence)
存在位置:1...1152
他の情報:
配列
配列番号:14
配列の長さ:384アミノ酸
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配列の種類:タンパク質
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配列
配列番号:15
配列の長さ:1155塩基対
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配列の特徴
特徴を表す記号:コード配列(Coding Sequence)
存在位置:1...1152
他の情報:
配列
配列番号:16
配列の長さ:384アミノ酸
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配列
配列番号:17
配列の長さ:1155塩基対
配列の型:核酸
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配列の種類:Genomic DNA
配列の特徴
特徴を表す記号:コード配列(Coding Sequence)
存在位置:1...1152
他の情報:
配列
配列番号:18
配列の長さ:384アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
フラグメント型:中間部フラグメント、
配列
配列番号:19
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配列の型:核酸
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配列
配列番号:20
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配列
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配列
配列番号:22
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配列
配列番号:23
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配列
配列番号:24
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配列
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配列
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配列
配列番号:27
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配列
配列番号:28
配列の長さ:2168塩基対
配列の型:核酸
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配列の種類:Genomic DNA
配列の特徴
特徴を表す記号:コード配列(Coding Sequence)
存在位置:1014...2165
他の情報:
配列
配列番号:29
配列の長さ:384アミノ酸
配列の型:アミノ酸
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トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
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配列
配列番号:30
配列の長さ:1132塩基対
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配列
配列番号:31
配列の長さ:1135塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
配列
Claims (5)
- 第1および第2のデルタ-12脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子を含み、前記遺伝子の各々が少なくとも1つの突然変異を有し、その突然変異の少なくとも1つがHis-Glu-Cys-Gly-Hisアミノ酸モチーフをコードする領域にあり、かつその突然変異の各々が植物の種子の脂肪酸組成に変化を与え、ここで変化した脂肪酸組成が約80%〜約90%のオレイン酸含量と、約4%未満のα-リノレン酸含量を含むものである、アブラナ科またはヒマワリ属植物。
- a)アブラナ科種の出発品種の細胞で突然変異を誘発し;
b)前記細胞から1以上の後代植物を得;
c)少なくとも1つの変異を有するデルタ-12脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子を含み、その少なくとも1つの変異がHis-Glu-Cys-Gly-Hisアミノ酸モチーフをコードする領域にある少なくとも1つの後代植物を同定し;
d)自家または交配受粉により、少なくとも1つの前記後代植物から、少なくとも1つのデルタ-12遺伝子変異を有する第1の植物系統を生産し;
e)前記第1の植物系統の細胞に突然変異を誘発し;
f)前記第1の植物系統細胞から1以上の後代植物を得;
g)少なくとも1つの突然変異を有する第2のデルタ-12脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子を含み、その第2の遺伝子変異がHis-Xaa-Xaa-Xaa-Hisアミノ酸モチーフをコードする領域以外の領域にある、少なくとも1つの前記第1の植物系統後代植物を同定し;
h)自家または交配受粉により、前記少なくとも1つの植物系統後代植物から、前記第1のデルタ-12遺伝子変異および前記第2のデルタ-12遺伝子変異を有する第2の植物系統を生産する工程を含んでなり、ここで前記第2の植物系統が約80%〜約90%のオレイン酸含量と、約4%未満のα-リノレン酸含量を有する油をもたらす種子を産生する、アブラナ科植物系統を生産する方法。 - Q4275と命名され、ATCC受託番号97569で表されるカノーラ種子。
- ATCC受託番号97569で表される種子中に存在する変異型デルタ-12脂肪酸デサチュラーゼを有する、請求項3記載の種子の後代。
- 前記後代がブラシカ・ナプス植物である、請求項4記載の後代。
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