JP4203878B2 - モノクローナル抗体を用いるヒト血漿型paf−ahの検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体内の脂質代謝に関連する特定成分の、モノクローナル抗体を用いる検出方法に関する発明である。当該検出方法を行うことにより、高脂血症又は糖尿病の検出を行うことができる。
【0002】
【従来の技術】
脂質代謝において、高密度リポ蛋白質(HDL)は抗動脈硬化的作用を有し、冠動脈疾患に対して予防的に働いていると考えられている。HDLの抗動脈硬化的作用は、HDLを構成しているアポリポ蛋白質〔例えば、アポリポ蛋白質AI(apoAI)〕などのリポ蛋白質構成蛋白質や血液中でHDLに結合している蛋白質〔例えば、アポリポ蛋白質E(apoE)、アポリポ蛋白質F(apoF)、アポリポ蛋白質J(apoJ)、paraoxonase (PON)など〕、あるいはHDLに結合または作用し、HDLの粒子サイズ、構造、機能を変化させる作用をもつ蛋白質(例えば、lecithin:cholesterol acyltransferase(LCAT)、lipoprotein lipase(LPL)、hepatic lipase(HTGL)、phospholipid transfer protein (PLTP)など)の働きによると考えられている。すなわち、前者のHDL結合蛋白質は脂質の抗酸化作用を有し、後者のHDLに作用する蛋白質は末梢細胞から余剰のコレステロールを引き抜き、肝臓へ戻すコレステロール逆転送に関与していると考えられている。
【0003】
このような、脂質代謝に関連する要素のうちのいくかは、自覚症状として認められ難い、動脈硬化の進行等を検出するための指標として用いられている。特に、血清脂質の検査は、以前より、一般的に行われているが、さらに一歩突っ込んだ、動脈硬化等に関する知見を得るために、種々の要素を、動脈硬化等を検出するための指標として用いる試みがなされている(例えば、特開2000−333674号公報等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
動脈硬化やこれに関連する生活習慣病は、脂質代謝に深く係わっており、脂質代謝の複雑性が明らかになるにつれて、動脈硬化等を、さらに多面的にとらえるために、新たな動脈硬化等に関連する指標が必要となっている。
【0005】
本発明が解決すべき課題は、脂質代謝に関連する要素のうち、動脈硬化等に対する新たな指標となり得るものを見出し、この指標による、動脈硬化等の検出手段を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討の結果、脂質代謝に関連する要素のうち、血漿型Platelet-activating factor acetylhydrolase(本件明細書において、PAF−AHともいう)に着目し、これを指標として利用する、高脂血症又は糖尿病に対する新たな検出手段を提供するに至った。
【0007】
つまり、本発明者は、ヒト血漿型PAF−AHに対するモノクローナル抗体を提供し、さらに、このモノクローナル抗体を用いたヒト血漿型PAF−AHの検出方法により、血漿型PAF−AHの異常が関係していると考えられている疾患である、高脂血症又は糖尿病の診断に用いることが可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、ヒト血漿型PAF−AHに対するモノクローナル抗体(以下、本モノクローナル抗体ともいう)を用いて、血液検体中のヒト血漿型PAF−AH蛋白質を酵素免疫定量法に従い定量検出し、アポリポ蛋白質Bを免疫学的定量法に従い定量検出し、これらの定量値を基に血液検体中のアポリポ蛋白質B量当たりのヒト血漿型PAF−AH蛋白質量を算出し、当該算出値が健常者に対して低値であることを、検体提供者における、高脂血症又は糖尿病の指標とすることを特徴とする、PAF−AHの検出方法(これを「本検出方法」ともいう)、を提供する発明である。
【0009】
なお、本明細書において、血漿型PAF−AHまたはPAF−AHは、特に断わらない限り、ヒト血漿型PAF−AHを意味するものとする。
血漿型PAF−AHは、PAF(1-O-alkyl-2-acetyl- sn-glycero-3-phosphocholine)のsn-2位のアセチル基を加水分解するホスホリパーゼA2活性を有し、PAFの有する生理活性、すなわち細胞活性化、炎症アレルギー反応、血管収縮、喘息、アポトーシスなどを不活性化することが知られている(Ho YS et al., Nature, 385:89-93, 1997 )。また、PAF−AHは、カルシウム非依存性の酵素活性を示し、中性リパーゼやセリンエステラーゼ同様、Gly-X-Ser-X-Gly モチーフを有している。
【0010】
血漿型PAF−AHは、肝臓と単球由来マクロファージで合成され、その産生はインターフェロン(INF)−γ、lipopolysaccharide(LPS)により合成が抑制されるが、他のサイトカイン〔例えば、INF−α、インターロイキン(IL)−1a、IL−4、IL−6、tumor necrosis factor (TNF)−α、granurocyte/macrophage colony-stimulating factor(G/M−CSF)、M−CSF〕は影響されない特徴をもつことが知られている(Cao et al., J.Biol Chem, 273:4012-4020, 1998)。
【0011】
血漿型PAF−AH活性は、血中の低密度リポ蛋白質(LDL)コレステロール濃度と正相関し、スタチン系高脂血症治療薬の服用により、LDLコレステロールの低下に比例して、PAF−AH活性も低下が認められることが知られている(Guerra et al., J Lipid Res, 38:2281-2288, 1997)。また、血漿型PAF−AH活性は、家族性高コレステロール血症において、LDLコレステロールと正相関するが、家族性低ベータリポ蛋白質欠損症では相関が認められないことから、PAF−AH活性は、血中におけるLDLの代謝回転率を示していると考えられる。さらに、家族性高コレステロール血症において、LDL中のリゾホスファチジルコリン(lysoPC)/スフィンゴミエリン比は、血漿型PAF−AH活性と、lysoPCの上昇と正相関し、さらに低HDLコレステロール血症では、HDL中のPAF−AH活性の低下が認められることから、家族性高コレステロール血症における動脈硬化促進作用、あるいは冠動脈疾患へのハイリスクはHDLのPAF−AH活性の低下によるHDLの抗動脈硬化作用、あるいは抗酸化作用の低下に起因することが考えられる(Karabina et al., Eur J Clin Invest, 27:595-602, 1997)。
【0012】
血漿型PAF−AH欠損症は、常染色体優性遺伝形式をとり、日本人の重症喘息患者に発見されている(Stafforini et al, J Clin Invest, 97:2784-2791, 1996 )。後天性PAF−AH欠損症は、重篤な炎症を伴ういくつかの疾患で発見されている。日本人においては、約4%がホモ型欠損症で、約27%のへテロ型欠損症が存在すると考えられる。
【0013】
血漿型PAF−AHは、sn-2位にエステル結合した短鎖脂肪酸、特に、酸化修飾によりフラグメント化したリン脂質のアシル結合脂肪酸を加水分解する。Minimally modified LDL (MM−LDL) にPAF−AHを作用させると、MM−LDLが誘導する単球の内皮細胞への結合が阻害される。これは同様の現象が、HDLを作用させても生じることから、PAF−AHが酸化修飾されたリン脂質をリゾリン脂質にすることにより、MM−LDL中の生物学的活性を有する脂質を、除去あるいは不活性化することによる(Stremler et al, J Biol Chem, 266:11095-11103, 1991; Watson et al, J Clin Invest, 95:774-782, 1995 )と考えられる。
【0014】
しかしながら、血漿型PAF−AHが、直接的な高脂血症又は糖尿病の臨床的な指標となり得ることについては、未だ知られておらず、特に驚くべきことに、本検出方法を用いることにより、血液検体中のアポリポ蛋白質B量当たりの血漿型PAF−AHの蛋白質量が健常者に対して低値であることを、高脂血症又は糖尿病の直接的な臨床的指標として用いることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本モノクローナル抗体とハイブリドーマ:
本モノクローナル抗体は、上述のように、ヒト血漿型PAF−AHに対するモノクローナル抗体である。
【0016】
このようなモノクローナル抗体を得るための前提条件として、適切な免疫抗原を選択して用いることが必要である。本発明においては、免疫抗原として、ヒト血漿型PAF−AHを用いることが好適である。
【0017】
ヒト血漿型PAF−AHは、天然のヒト血漿型PAF−AHを、単離・精製して用いることも可能であり、組換えヒト血漿型PAF−AHを製造して用いることも可能である。これらのヒト血漿型PAF−AHは、ヒト血漿型PAF−AHについての基礎的な知見を基に、常法を行うことにより得ることができる。
【0018】
天然のヒト血漿型PAF−AHの単離・精製は、例えば、ヒトの血漿画分を、さらに分画を行い、その中から、PAF−AH活性〔活性測定法は、例えば、Tew et al.,Arterioscler Thromb Vasc Biol.,vol.16,pp591-599(1996)〕を伴う画分を、単離・精製することにより行うことができる。
【0019】
また、組換えヒト血漿型PAF−AHは、既に知られている、ヒト血漿型PAF−AH蛋白質遺伝子の塩基配列(Tjoelker LW,et al.,Anti-inflammatory properties of a platelet-activating factor acetylhydrolase.Nature,374,549-533)を基にして、例えば、ヒトゲノムDNAを鋳型としたRT−PCR法等の遺伝子増幅法を、常法により行い、ヒト血漿型PAF−AH遺伝子を入手して、これを基に製造することが可能である。
【0020】
まず、ヒト血漿型PAF−AH遺伝子は、例えば、ゲノムDNAを鋳型とし、ヒト血漿型PAF−AH遺伝子の5’末端側と3’末端側の配列を含むDNA断片をプライマーとして、RT−PCR法等の遺伝子増幅法を行うことにより、ヒト血漿型PAF−AH遺伝子を大量に増幅させて入手することができる。さらに、ホスファイト−トリエステル法[Ikehara,M.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,81,5956(1984)] 等の公知の方法を用いて、ヒト血漿型PAF−AH遺伝子を化学合成することも可能であり、このような化学合成法を応用したDNAシンセサイザーを用いて、ヒト血漿型PAF−AH遺伝子を合成することもできる。
【0021】
このようにして調製することができるヒト血漿型PAF−AH遺伝子を、この遺伝子を発現可能な遺伝子発現用ベクターに組み込み、このベクターに対応する宿主に、この組換えベクターを導入して形質転換を行い、この形質転換体を培養して生産させることによって、組換えヒト血漿型PAF−AHを入手することができる。
【0022】
本モノクローナル抗体の免疫抗原としては、上述のようにして得られるヒト血漿型PAF−AHの全部または一部を用いることができる。特に、ヒト血漿型PAF−AHの一部を、免疫抗原として用いる場合には、これをペプチド合成法、例えば、固相法や液相法により、容易に合成することができる。また、ペプチドシンセサイザーを用いて合成することも、勿論可能である。また、他の方法、例えば、上述のようにして得られたヒト血漿型PAF−AHに対して、酵素処理等を施して所望するペプチドを得る方法や、所望するアミノ酸配列をコードする遺伝子を組み込んだ遺伝子組換え体から、そのアミノ酸配列のペプチドを得る方法等を用いることも可能である。また、このような他の方法により得られるペプチドにおいても、所望する抗原決定基としての特性を失わない範囲で、必要に応じてアミノ酸配列を改変することも可能である。
【0023】
さらに、特に、小分子量のペプチドにおいては、モノクローナル抗体の免疫反応性を向上させるために、ハプテンを結合させてることができる。
このハプテンとしては、通常、ハプテンとして用いられ得る物質を任意に選択することが可能であり、例えば、傘貝ヘモシアニン(KLH)、ニワトリ卵アルブミン(OVA)、牛血清アルブミン(BSA)等をハプテンとして選択することができる。
【0024】
上記のペプチドとハプテンを結合させるために、架橋剤を用いることができる。かかる架橋剤は、選択するハプテンの種類に応じて適宜選択することができる。例えば、後述する実施例のように、ハプテンとして、傘貝ヘモシアニンを選択する場合には、m−マレイニミドベンジル−N−ハイドロキシサクシンイミドエステル(MBS)等を用いることができる。なお、選択する架橋剤の種類に応じて、必要な処理を、上記のペプチドに施すことができる。例えば、上記のMBSを架橋剤として用いる場合には、結合反応に必要なスルフィド結合を有するシステイン残基を、上記ペプチドの両末端のいずれかに付加することが必要である。また、選択したペプチドにおけるシステイン残基は、これを他のアミノ酸に置換するか、保護基を結合させることによって保護することが好ましい。
【0025】
本モノクローナル抗体を製造するために、上述のようにして得られる免疫抗原で免疫される動物も、特に限定されるものではなく、マウス、ラット等を広く用いることが可能であり、細胞融合に用いる骨髄腫細胞との適合性を考慮して選択することが望ましい。
【0026】
免疫は一般的方法により、例えば上記免疫抗原を免疫の対象とする動物に静脈内、皮内、皮下、腹腔内等で投与することにより行うことができる。
より、具体的には、上記免疫抗原を所望により通常のアジュバントと併用して、免疫の対象とする動物に、2週間程度毎に、上記手法により数回投与し、本モノクローナル抗体製造のための免疫細胞、例えば免疫後の脾臓細胞を得ることができる。
【0027】
モノクローナル抗体を製造する場合、この免疫細胞と細胞融合する他方の親細胞としての骨髄腫細胞としては、既に公知のもの、例えばSP2/0−Ag14,P3−NS1−1−Ag4−1,MPC11−45,6.TG1.7(以上、マウス由来);210.RCY.Ag1.2.3(ラット由来);SKO−007,GM15006TG−A12(以上、ヒト由来)等を用いることができる。
【0028】
上記免疫細胞とこの骨髄腫細胞との細胞融合は、通常公知の方法、例えばケーラーとミルシュタインの方法(Kohler,G. and Milstein,C.,Nature,256,495(1975))等に準じて行うことができる。
【0029】
より具体的には、この細胞融合は、通常公知の融合促進剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)又はセンダイウイルス(HVJ)等の存在下において、融合効率を向上させるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を必要に応じて添加した通常の培養培地中で行い、ハイブリドーマを調製する。
【0030】
所望のハイブリドーマの分離は、通常の選別用培地、例えばHAT(ヒポキサンチン,アミノプテリン及びチミジン)培地で培養することにより行うことができる。すなわち、この選別用培地において目的とするハイブリドーマ以外の細胞が死滅するのに十分な時間をかけて培養することによりハイブリドーマの分離を行うことができる。このようにして得られるハイブリドーマは、通常の限界希釈法により目的とするモノクローナル抗体の検索及び単一クローン化に供することができる。
【0031】
目的とするモノクローナル抗体産生株の検索は、例えばELISA法、プラーク法、スポット法、凝集反応法、オクタロニー法、RIA法等の一般的な検索法に従い行うことができる。
【0032】
このようにして得られるヒト血漿型PAF−AHに対する、本モノクローナル抗体を産生する本ハイブリドーマは、通常の培地で継代培養することが可能であり、さらに液体窒素中で長時間保存することもできる。
【0033】
本ハイブリドーマからの本モノクローナル抗体の採取は、このハイブリドーマを常法に従って培養して、その培養上清として得る方法や、ハイブリドーマをこのハイブリドーマに適合性が認められる動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法等を用いることができる。
【0034】
なお、インビトロで免疫細胞を、ヒト血漿型PAF−AH、または、その一部の存在下で培養し、一定期間後に上記細胞融合手段を用いて、この免疫細胞と骨髄腫細胞とのハイブリドーマを調製し、抗体産生ハイブリドーマをスクリーニングすることで本モノクローナル抗体を得ることもできる(Reading,C.L.,J.Immunol.Meth.,53: 261(1982);Pardue,R.L.,et al.,J.Cell Biol.,96:1149(1983))。
【0035】
また、上記のようにして得られるモノクローナル抗体は、更に塩析、ゲル濾過法、アフィニティクロマトグラフィー等の通常の手段により精製することができる。
【0036】
このようにして得られる本モノクローナル抗体は、ヒト血漿型PAF−AHに対して特異反応性を有する抗体である。
この、「ヒト血漿型PAF−AHに対して特異反応性を有する」とは、本モノクローナル抗体は、少なくとも、ヒト血漿型PAF−AHに対しては交差反応性を示す、という意味である。
【0037】
このような性質の本モノクローナル抗体は、後述するように、臨床において用い得ることは勿論のこと、ヒト血漿型PAF−AH自体の分離・精製のための試薬としても極めて有用である。
【0038】
本モノクローナル抗体の、より具体的な内容は、実施例において後述する。
このようにして得られる本モノクローナル抗体を、必要に応じて標識物質で標識して、後述する本発明に係わる測定方法等において用いることができる。
【0039】
かかる標識物質は、その標識物質単独で又はその標識物質と他の物質とを反応させることにより、検出可能なシグナルをもたらす標識物質であり、具体的には、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、アルコール脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ペニシリナーゼ、カタラーゼ、アポグルコースオキシダーゼ、ウレアーゼ、ルシフェラーゼ若しくはアセチルコリンエステラーゼ等の酵素、フルオレスセインイソチオシアネート、フィコビリタンパク、希土類金属キレート、ダンシルクロライド若しくはテトラメチルローダミンイソチオシアネート等の蛍光物質、125I、14C、3H等の放射性同位体、ビオチン、アビジン若しくはジゴケシゲニン等の化学物質、又は化学発光物質等を挙げることができる。
【0040】
これらの標識物質による、本モノクローナル抗体の標識方法は、選択すべき標識物質の種類に応じて、既に公知となっている標識方法を適宜用いることができる。
【0041】
また、本モノクローナル抗体(標識されたものを含む)を、不溶性担体に固定化した、固定化モノクローナル抗体として、後述する本検出方法等に用いることもできる。
【0042】
本モノクローナル抗体は、必要に応じて、不溶性担体に固定化して用いることができる。かかる不溶性担体としては、抗体の不溶性担体として既に用いられている各種の不溶性担体を用いることができる。具体的には、例えば、マイクロプレートに代表されるプレート、試験管、チューブ、ビーズ、ボール、フィルター、メンブレン、あるいはセルロース系担体、アガロース系担体、ポリアクリルアミド系担体、デキストラン系担体、ポリスチレン系担体、ポリビニルアルコール系担体、ポリアミノ酸系担体、あるいは多孔性シリカ系担体等のアフィニティークロマトグラフィーにおいて用いられる不溶性担体等が挙げられる。
【0043】
これらの不溶性担体における、本モノクローナル抗体の固定化方法は、各種の不溶性担体において既に確立している抗体の固定化方法を、選択すべき不溶性担体の種類に応じて、適宜選択することができる。
【0044】
本検出方法
本検出方法は、上述したように、本モノクローナル抗体を利用して、血液検体中のヒト血漿型PAF−AHを、酵素免疫定量法に従い定量検出することを含む、PAF−AHの検出方法である。
【0046】
酵素免疫定量法(エンザイムイムノアッセイ法ともいい、以下、このように称する)は、標識イムノアッセイ法のうち、酵素を標識物質として用いる検出方法である。エンザイムイムノアッセイ法には、いわゆるB/F分離を必要とする”heterogeneous enzyme assay”と、このB/F分離を必要としない”homogeneous enzyme assay”とに大別される。本検出方法においては、これらのうち、一般的に測定感度が高いといわれる、前者の”heterogeneous enzyme assay”を選択するのが好適であり、イムノソルベントを用いる、”enzyme−linked immunosorbent assay(ELISA)” を選択するのが、特に好適である。
【0047】
ELISAの、典型的な検出態様として、いわゆるサンドイッチ法による、エンザイムイムノアッセイ法(以下、サンドイッチ法ともいう)を例示することができる。サンドイッチ法は、特に、操作の簡便性、経済上な利便性、とりわけ臨床検査における汎用性を考慮すると、特に好適に検出態様の一つとして挙げられる。
【0048】
サンドイッチ法を行うに際しては、本モノクローナル抗体が、96穴マイクロプレートに代表される、多数のウエルを有するマイクロプレートに固定化された、固定化モノクローナル抗体と、西洋ワサビペルオキシダーゼ等の酵素やビオチン等により標識された本モノクローナル抗体を用いることが好適である。
【0049】
サンドイッチ法は、少なくとも、下記(a) および(b) の工程を含む、エンザイムイムノアッセイ法である。
(a) 不溶性抗体に、本モノクローナル抗体(第1抗体)を固定化した、固定化モノクローナル抗体に、血液検体等の検体を反応させる工程。
【0050】
この工程(a) においては、通常は、反応後、用いたマイクロプレートを洗浄し、未反応の検体は、固定化モノクローナル抗体から除去される。
(b) 固定化モノクローナル抗体と、検体中のヒト血漿型PAF−AHとの結合により形成される、抗原抗体複合体に、西洋ワサビペルオキシダーゼ等の酵素やビオチン等に標識された本モノクローナル抗体(第2抗体)を反応させる工程。
【0051】
この工程(b) においては、反応させた第2抗体における標識物質の種類に応じた標識シグナルの発現手段を用いて、標識シグナルを顕在化させることができる。例えば、標識物質として、ビオチンを選択した場合には、アビジンやストレプトアビジンを用いて、標識シグナルを顕在化させることができる。また、標識物質として、西洋ワサビペルオキシダーゼを選択した場合には、その酵素の基質を発色物質と共に添加して、標識シグナルを顕在化させることができる。
【0052】
このようにして、顕在化させた発色シグナルを、その発色シグナルの種類に応じた、シグナルの特定手段を用いて検出することで、検体中のヒト血漿型PAF−AHの検出を行うことができる。
【0053】
なお、本検出方法において用いられる血液検体は、特に限定されないが、血漿、血清、全血等である。
【0054】
本検出方法においては、本モノクローナル抗体により検出される、検体中のPAF−AHを指標として、冠動脈疾患、すなわち、心筋梗塞や狭心症のリスクとなり得る高脂血症又は糖尿病を検出することができる。特に、検体(特に、血液検体)中の、PAF−AHとアポリポ蛋白質B(apoB)とを関連付けた複合指標を用いることで、的確に高脂血症又は糖尿病を検出することが可能である。この複合指標は、血中のPAF−AHが結合して局在するLDL量に対応する指標であると考えられ、好適な態様として、後述する実施例において示すように、例えば、apoB量当たりのヒト血漿型PAF−AH蛋白質量比(PAF−AH/apoB比)等を挙げることができる。
【0055】
実施例において示すように、一般に、高脂血症又は糖尿病が認められると判断すべき場合には、apoB量当たりのヒト血漿型PAF−AH蛋白質量比が、相対的に減少する傾向が認められる。
【0057】
本発明においては、本モノクローナル抗体を、本検出方法において用いるための、本モノクローナル抗体を含む、PAF−AH検出用キットも提供される〔以下、本検出用キットともいう〕。
【0058】
本検出用キットにおいては、本モノクローナル抗体を、検体中のヒト血漿型PAF−AHを検出のために供するための要素、例えば、前記の標識された本モノクローナル抗体や固定化された本モノクローナル抗体等が含まれ得る。
【0059】
また、高脂血症又は糖尿病を検出するために、PAF−AHとapoBとの複合指標を用いる場合には、検体中のapoBを検出するための要素、例えば、apoBに対する抗体(モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、また、標識抗体や固定化抗体を含む)を、本検出用キットの構成要素とすることが可能である。
【0060】
本検出用キットも、本検出方法に対応して、ELISA、特に、サンドイッチ法による検出を容易に行い得る構成のキットであることが好ましい。
なお、後述する実施例において示すように、本検出用キットに、希釈液を構成要素として含める場合で、かつ、希釈液中に界面活性剤を含有させる場合には、界面活性剤として、Tween20 を用いることが好適であり、さらに、緩衝液としてPBSを用いることが好適である。
【0061】
【実施例】
以下に、本発明を、実施例により、さらに具体的に説明する。ただし、この実施例は、本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではない。
【0062】
1.PAF−AH活性の測定
PAF−AH活性測定は、Tew ら(Arterioscler Thromb Vasc Biol. 1996;16:591-599)の方法に準じ、改良した変法により行った。
【0063】
〔基質溶液の調製〕
[3H-acetyl] PAF (NEN:NET-910) 4.7μCiと、クロロホルムに溶解したPAF - C16 (Cayman: 60900)400nmol を、各々N2 気流下で乾固する。これに、HEPES 緩衝液 (0.1M HEPES/KOH, pH 7.2) 4mL を加え、氷中で、ソニケーション(5分、3 回) を行い、これを基質溶液とする。調製した基質溶液は-20 ℃で保存し、使用前に溶解して使用する。
【0064】
〔活性測定〕
HEPES 緩衝液で希釈したヒト血漿、または、精製PAF−AH 10 μL を反応液(40μL 基質溶液を150 μL HEPES 緩衝液に添加した混合液)に加え、37℃で、30分間反応させる。反応後、クロロホルム/ メタノール混合液(2:1 = v/v) 600 μL を加え、1分間撹拌した。遠心 (15000 RPM 、4 ℃、10分間) 後、上層の水相を、新しい遠心チューブに分取し、さらにクロロホルム500 μL を加え、1分間撹拌した後、再び遠心する。あらかじめ、ASCII(Amersham Pharmacia社製) 5mL を入れたシンチレーションバイアルに上層の水相を加え、シンチレーションカウンターで、放射活性を測定する。得られた放射活性値から、PAF−AH活性を算出する。PAF−AH活性は、以下の式(I)より算出する。
【0065】
式(I):
〔PAF−AH活性(nmol/h/mL) 〕=
[( 被検体の放射活性(cpm)/基質1nmol 当たりの放射活性(cpm) ×希釈倍率)]/[(測定に用いたサンプル量(mL)×反応時間(h))]
〔ウエスタンブロット法〕
後述する例において、得られた画分等が、所望するヒト血漿型PAF−AHであるか等を確認するために、ウエスタンブロット法を行った。このウエスタンブロット法は、下記の要領に従って行った。
【0066】
まず、10%SDSポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)で、溶出画分を分離した後、PVDF膜(Millipore社製) に転写する。転写した膜は、5%スキムミルクを含むPBSにおいて、4℃下で、一晩静置する。静置後、0.1%Tween20 を含むPBS(洗浄液) で、2回洗浄後、ヒト血漿型PAF−AHに対する抗体〔penta-His 抗体(Qiagen 社製) 〕を、1 μg/mLの濃度に、洗浄液で希釈した抗体溶液を、室温下、2時間反応させる。反応後、洗浄液で、5回洗浄した後、西洋わさびペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG 抗体(Zymed社製) または西洋わさびペルオキシダーゼ標識抗マウス抗体(Zymed社製) を、洗浄液で0.05μg/mLに希釈したものを、室温下、2時間反応させる。反応後、洗浄液で、5回洗浄した後、化学発光試薬(NEN) と添付の取り扱い説明書に従い、反応させた後、暗室で、X線フィルム(Kodak社製) を感光させ、現像して、血漿型PAF−AHに対するシグナルを検出する。
【0067】
2.ヒト血漿型PAF−AHの精製
ヒト血漿型PAF−AHは、Tew ら〔 Arterioscler Thromb Vasc Biol.,vol.16,pp591-599(1996)〕の方法を参考にし、精製を行った。原材料は、高コレステロール血症患者に行われる、LDLアフェレーシス後のカラムに吸着した、血漿画分を用いた。
【0068】
上記の血漿画分に、MES 、CHAPS 、および、NaClを、終濃度50mM MES/NaOH, pH6.0、10mM CHAPS、0.5M NaCl になるように加え、LDLに結合している、ヒト血漿型PAF−AHを可溶化した。可溶化画分を、上記緩衝液で平衡化した、AF-Blue トヨパール(東ソー社製) カラム(2.6 x 40 cm) に添加した。同緩衝液で、流速1 mL/minでカラムを洗い、緩衝液の吸光度(λ=280nm )が、0.3 以下になるまで洗浄した。続いて、約600 mLのMOPS緩衝液(50mM MOPS/NaOH ,pH7.4 ,0.5M NaCl ,10mM CHAPS) で洗浄した。次いで、トリス緩衝液(50 mM Tris/HCl pH 8.0, 1.5 M NaCl, 10mM CHAPS) で溶出し、溶出液を、10mL毎に分取した。分取した各画分のPAF−AH活性を測定し、PAF−AH活性が認められる画分を集めて、AF-Blue 画分とした。
【0069】
得られたAF-Blue 画分を、YM-30(分画サイズ30000, Millipore社製) を用いて限外ろ過法にて濃縮した。濃縮したAF-Blue 画分を、20mM Tris/HCl,pH7.4, 10mM CHAPS 溶液2Lで、4 ℃で、約16時間透析を行った。透析溶液は、3 回交換した。透析したAF-Blue 画分を、予めトリス緩衝液で平衡化したHiTrap Qカラム(Amersham Pharmacia)にアプライし、同トリス緩衝液にて非吸着蛋白質を除いた。次いで、0〜1M NaCl の濃度勾配にて溶出を行い、溶出液を10mLずつ分取し、分取した画分のPAF−AH活性を測定し、PAF−AH活性を含む画分を集めてHiTrap Q画分とした。
【0070】
次に、HiTrap Q画分を、2LのMES 緩衝液において透析(4 ℃、約16時間)を行った。透析溶液は、3 回交換した。透析したHiTrap Q画分を、予め、MES 緩衝液で平衡化したHiTrap Blue カラム(Amersham Pharmacia)にアプライし、同MES 緩衝液で、吸光度が0.3 以下になるまで洗浄した。続いて、約3mL のMOPS緩衝液で洗浄後、トリス緩衝液で溶出し、溶出液を1 mLずつ分取した。分取した各画分のPAF−AH活性を測定し、PAF−AH活性が認められる分画を、精製ヒト血漿型PAF−AH画分とした。精製ヒト血漿型PAF−AH画分の、SDS−PAGEの結果を、第1図(レーン2)に示した。
【0071】
なお、レーン3は、本モノクローナル抗体である、抗体8B1における、精製ヒト血漿PAF−AHに対する優れた特異性を示している(後述する)。
3.大腸菌由来および動物細胞由来組換えヒト血漿型PAF−AH (rh PAF−AH ) の調製
1)大腸菌由来組換えヒト血漿型PAF−AH (rh PAF−AH ) の調製
ヒト末梢血単球由来マクロファージから、mRNAを精製し、RT−PCR法で、PAF−AHcDNAを増幅し、クローニングした。得られたPAF−AHcDNAの塩基配列については、シーケンスを行ない、ヒト血漿型PAF−AHcDNA(アクセッション番号: U20157)と相違ないことを確認した。得られたPAF−AHcDNAを、発現ベクターpQE30(Qiagen社製) に挿入し、ベクターpQE-30/ PAF−AHを得た。ベクターpQE-30/ PAF−AHを、大腸菌株M-15(pREP4) に導入し、大腸菌M-15/PAF−AHを得た。大腸菌M-15/PAF−AHを、100 μg/mLアンピシリン、25μg/mLカナマイシンを含む、TB培地で培養し、1 mM IPTG により誘導し、rhPAF−AHを発現させた。培養液を、遠心(5000rpm, 5分, 4 ℃)し、沈殿した菌体を10mM CHAPS、10mM 2- メルカプトエタノール、0.5M NaCl 、および、10mM imidazole含有50mMリン酸緩衝液(pH8.0) に懸濁後、氷上で、ソニケーションにより破砕し、遠心(15000rpm, 30分, 4 ℃)を行い、rhPAF−AHを含む上清を得た。上清は、同緩衝液で、予め平衡化した、Ni-NAT agarose(Qiagen社製)に結合させた。溶出は、10mM CHAPS、10mM 2- メルカプトエタノール、0.5M NaCl および250mM imidazole 含有、50mM MES緩衝液(pH6.0) で行った。溶出画分を10mM CHAPS、10mM 2- メルカプトエタノール、および0.5 M NaCl含有50mM MES緩衝液(pH6.0) で、予め平衡化したCibacron Blue agarose(Sigma 社製) に結合させた。溶出は、10mM CHAPS、10mM 2- メルカプトエタノール、および1.5 M NaCl含有50 mM トリス緩衝液(pH8.0) で行った。次いで、溶出画分を、同緩衝液で、予め平衡化したNi-NAT agarose(Qiagen社製)に結合させた。溶出は、10mM 2- メルカプトエタノール、1.5M NaCl 、および250mM imidazole 含有50 mM リン酸緩衝液(pH8.0) で行った。溶出画分を、PBS において透析し、大腸菌由来精製rhPAF−AHを得た。得られた大腸菌由来精製rhPAF−AHは、PAF−AH活性、およびSDS−PAGEにより確認した。大腸菌由来精製rhPAF−AHの、SDS−PAGEの結果を、第2図(レーン2)に示した。
【0072】
なお、レーン3は、本モノクローナル抗体である、抗体A7Gにおける、大腸菌由来精製rhPAF−AHに対する優れた特異性を示している(後述する)。
2)動物細胞由来組換えヒト血漿型PAF−AH (rh PAF−AH ) の調製
ヒト血漿型PAF−AHcDNAを、常法により、動物細胞発現ベクターpEF321-3.1.1に挿入し、ベクターpEF321-3.1.1/ PAF−AHを得た。なお、動物細胞発現ベクターpEF321-3.1.1は、ヒトEF1 αプロモーターを有するpEF321 (kim DG et al, Gene 91; 217-223, 1990) に、組換え蛋白質を細胞外に分泌させるためのインヒビンαシグナルシークエンス、および、リコンビナント蛋白質の精製を容易にするためのヒスチジンタッグを付加したものである。リン酸カルシウム法を用いて、pEF321-3.1.1/ PAF−AHとpEF321/neo (pEF321ベクターにネオマイシンの1種ゲネチシン耐性遺伝子を挿入したもの) を、同時にCHO細胞に導入し、ゲネチシン耐性を指標に導入した遺伝子が安定に組み込まれた細胞を選別し、その結果、rhPAF−AH/CHO細胞を得た。CHO細胞およびrhPAF−AH/CHO細胞の培養上清のPAF−AH活性を測定したところ、培養上清にのみ、PAF−AH活性が検出され、rhPAF/CHO細胞が、rhPAF−AHを培地中に分泌することが確認された。
【0073】
rhPAF−AH/CHO細胞を、CHO-S-SFMII 培地(Gibco社製) で培養し、rhPAF−AHを含む培養上清を得た。得られた培養上清は、YM-30 膜(Millipore社製) を用いた限外ろ過法により濃縮し、トリス緩衝液(20mM Tris/HCl,pH7.4, 1mM EDTA )で、予め平衡化したHiTrap Qカラムに添加した。同緩衝液で、非吸着物質を取り除き、溶出はO 〜1M NaCl による濃度勾配により溶出し、溶出液を10mLずつ分取した。分取した画分のPAF−AH活性を測定し、PAF−AH活性を含む画分を回収し、HiTrap Q画分とした。
【0074】
次いで、HiTrap Q画分を、MES 緩衝液で透析(2L で3回、4 ℃、約16時間)し、MES 緩衝液で、予め平衡化したHiTrap Blue カラムに添加した。HiTrap Blue カラムをMOPS緩衝液 3mLで洗浄後、トリス緩衝液にて各1mL ずつの溶出画分を得た。溶出した画分のPAF−AH活性を測定し、PAF−AH活性を含む画分を回収し、HiTrap Blue 画分とした。
【0075】
さらに、HiTrap Blue 画分を、トリス緩衝液(20mM Tris/HCl, pH7.4, 0.5M NaCl )で透析(2L、4 ℃、約16時間)後、Wheat germ lectin Sepharose ( ゲル容積 3mL) に添加した。同トリス緩衝液にて非吸着物質を取り除き、0.5 M N-acetyl-D(+)glucosamineを含むトリス緩衝液(20mM Tris/HCl, pH7.4, 0.5M NaCl )で、1mL ずつ溶出した。得られた溶出画分を、動物細胞由来精製rhPAF−AHとし、PAF−AH活性を確認して、適切な画分を選別した。この画分のSDS−PAGEの結果を、第3図(レーン2)に示した。
【0076】
なお、レーン3は、本モノクローナル抗体である、抗体8B1における、動物細胞由来精製rhPAF−AHに対する優れた特異性を示している(後述する)。
4.モノクローナル抗体の調製
精製rhPAF−AH(25 μg)、または、rhPAF−AH(25 μg)を、それぞれ、等量のフロイント完全アジュバンドと混和し、7週齢のBalb/cマウス(雌) の腹腔に免役した。2 週間後、フロイント不完全アジュバンドを用いて、同様に追加免疫を行い、それ以降は2週間に1回、計4回免疫した。最終免疫3日後のマウスの脾細胞を、マウスミエローマ細胞(SP2 / 0-Ag14)と混和し、50%ポリエチレングリコール(平均分子量1500) 含有PBS 溶液を用いて細胞融合を行った。融合後、細胞を、RPMI1640培地に、ウェル当たり5x 105 個の割合になるように浮遊させ、96ウェルプレートに播いた。翌日から、各々のウエルにHAT 試薬を添加し、7日間選択培養を行った。各ハイブリドーマの培養上清中の、ヒト血清型PAF−AHに対する特異的モノクローナル抗体の産生は、精製rhPAF−AHまたはrhPAF−AHを固相化した抗体を用いたELISA法を行うことで、確認した。すなわち、各ウェル当たりに、50 ng の精製rhPAF−AH、または、rhPAF−AHを、常法により固相化し、100 μL の各ハイブリドーマの培養上清を添加し、室温下で2時間反応した。反応後、各ウェルを洗浄液(0.1% Tween 20 / PBS) で洗浄し、洗浄液で希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ標識抗ウサギ抗マウスIgG 抗体を加えて、室温下で1時間反応した。反応後、同洗浄液にてウェルを洗浄し、100 μL の発色溶液(0.012% 過酸化水素、0.4mg/mL OPD (o-phenylenediamine dihydrochloride、シグマ社製) 含有クエン酸・リン酸緩衝液、pH 5.0) を添加後、室温下で30分反応させた後、2N硫酸を添加し、反応を停止した。波長492nm の吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。1.0 以上の吸光度を示すハイブリドーマ培養上清を陽性とした。また、陽性のハイブリドーマ培養上清はウエスタンブロット法で、精製rhPAF−AH、または、rhPAF−AHに対する反応性を確認し、両方法にて特異性が認められたクローンを選別した。
【0077】
さらに、選別したハイブリドーマは、HAT試薬を添加したRPMI1640培地で、各ウェル0.5 個の細胞になるように調整して、96ウェルプレートに播き、同様のスクリーニングによる選別操作を3回繰り返し、精製rhPAF−AHまたはrhPAF−AHに対する特異的モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを得た。
【0078】
最終的に、精製rhPAF−AHまたはrhPAF−AHを固相化したマイクロプレートを用いたELISA法、および、ヒト血漿、精製rhPAF−AH若しくはrhPAF−AH対するウェスタンブロット法により選別し、陽性クローンは、精製rhPAF−AHに対するモノクローナル抗体産生クローンが10個、および、rhPAF−AHに対するモノクローナル抗体産生クローンが4個認められた。
【0079】
得られたモノクローナル抗体産生ハイブリドーマからの抗体の調製、および、精製は以下の要領で行った。
すなわち、Balb/cマウス(雌) に、一匹あたりハイブリドーマ(106 〜107 個/0.5mL )を、腹腔内に注入した。注入10日後、マウスを開腹し腹水を採取した。得られた腹水は、遠心により得られた上清に、等量の氷冷した飽和硫酸アンモニウム溶液を加えて混和し、氷冷し2時間放置した。さらに、4℃下で、10000 x g で10分間遠心後、上清を捨て、沈殿を結合溶液(3M塩化ナトリウム、1.5Mグリシン溶液、pH8.9)に溶解し、プロテインAセファロースと混和し、4℃で一晩転倒混和した。結合させたプロテインAセファロースを、カラムに充填し、結合溶液(6倍容量)で洗浄後、溶出溶液(0.1 Mクエン酸溶液、pH4.0)で1mLずつ溶出した。溶出された画分は、2Mトリス溶液 (pH10.0) 0.1mL で中和した。各溶出画分の吸光度(280nm) を測定し、モノクローナル抗体の溶出画分を回収し、PBSで透析し(4℃、一晩) 、精製モノクローナル抗体を得た。
【0080】
得られたモノクローナル抗体のアイソタイプは、マウスモノクローナル抗体アイソタイプ決定用キット(ベーリンガー社製)を用い、キットに添付されている操作手順に準じて測定した。精製rhPAF−AHに対するモノクローナル抗体産生クローンが産生した抗体は、全てIgG1、rhPAF−AHに対するモノクローナル抗体産生クローンが産生した抗体は、IgG2b またはIgG1であった。
【0081】
精製rhPAF−AHに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのうち、1つを「mouse hybridoma PAF-AH 8B1」として、独立行政法人産業技術総合研究所に寄託を行い(受託番号:FERM P−18816)、rhPAF−AHに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのうち、1つを「mouse hybridoma PAF-AH A7G」として、独立行政法人産業技術総合研究所に寄託を行った(受託番号:FERM P−18815)。
【0082】
これらのハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体〔mouse hybridoma PAF-AH 8B1が産生した抗体は、「8B1」を付して表現し、mouse hybridoma PAF-AH A7Gが産生した抗体は、「A7G」を付して表現する〕の特異性は、抗原に対するウエスタンブロット法で(第1図〜第3図のレーン3)、および、抗原を固相化したプレートを用いたELISA法にて確認した(第4図)。
【0083】
これらの結果から、これらの本モノクローナル抗体における、PAF−AHに対する特異性は、PAF−AHの出所にかかわらず認められることが明らかになった。
【0084】
なお、抗体8B1は、Cayman Chemicals社から販売されている、PAF Acetylhydrolase Blocking Peptide(Catalog No.360603) 配列:Thr Asn Ile Asn Thr Thr Asn Gln His Ile Met Leu Gln Asn Ser Ser Gly Ile Glu Lys Tyr Asn (PAF−AHのアミノ酸配列の420〜441番目のアミノ酸残基に相当する)と反応することが確認された。このPAF Acetylhydrolase Blocking Peptideは、同社で販売されているPAF Acetylhydrolase (human)polyclonal antiserum(Catalog No.160603)の抗原として用いられたものであり、このPAF Acetylhydrolase (human)polyclonal antiserum は、PAF−AH活性を阻害することから、この上記のアミノ酸配列は、PAF−AHの活性部位、または、その近傍に位置する、PAF−AHにおいて本質的なアミノ酸配列であると考えられる。従って、同様に、上記の PAF Acetylhydrolase Blocking Peptide を認識する、抗体8B1は、PAF−AHの本質部分を特異的に認識するモノクローナル抗体であり、本モノクローナル抗体として、特に、有用であることが明らかとなった。
【0085】
また、抗体A7Gは、上記のPAF Acetylhydrolase Blocking Peptideに対しては、反応が認められなかった。よって、抗体A7Gのエピトープは、PAF−AHの他の部位であることが判明した。
【0086】
5.ビオチン化モノクローナル抗体の調製
精製モノクローナル抗体(1mg) を、0.1M NaHCO3 (pH8.3) 溶液で、4℃下、16時間の透析を行った。60μg のNHS-biotin(ピアス社製)を、DMSOに溶解したものを加えて撹拌し、室温で、4時間反応させた。PBS(5L)で、4℃下、約16時間の透析を行い、ビオチン化モノクローナル抗体を得た。
【0087】
6.サンドウィッチELISA法による血漿型PAF−AH蛋白質量測定系の構築
マイクロプレートに、0.05%NaN3含有PBSで希釈した各固相化抗体溶液(2.5μg/mL) を、各ウェル100 μL ずつ加え、4℃下で、一晩静置し固相化した。各ウェルの溶液を捨て、ペーパータオルなどで液を完全に除いた。BSA(Sigma社製)を、PBSで溶解した溶液を、各ウェル200μL ずつ加えて、室温下、2時間静置した。各ウェルを、洗浄液(0.1% Tween20/PBS)300μL で2回洗浄した。洗浄液で、あらかじめ希釈した測定試料(精製rhPAF−AHもしくはrhPAF−AH、rhPAF−AH培養上清、コントロール血漿および測定血漿検体) を100 μL ずつ加えて、室温下、2時間静置した。洗浄液で、各ウェルを5回洗浄した。洗浄液で希釈したビオチン標識抗体溶液(0.5μg/mL) を、各ウエルに100 μL ずつ加え、室温下、2時間静置した。洗浄液で、各ウエルを、5回洗浄後、洗浄液にて希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ標識アビジン溶液(0.05 μg/mL) 100 μL を加えて、室温下、1 時間静置した。反応後、洗浄液で、各ウエルを5回洗浄後、使用直前に調整した発色溶液(0.012% 過酸化水素/0.4 mg/mL OPD (O-phenylenediamine dihydrochloride)/ クエン酸・リン酸緩衝液 pH 5.0)を、各ウエルに100 μL ずつ加え、室温下、0.5 時間発色し、反応停止液(2N H2SO4 溶液) 25μL を各ウェルに加え、反応を停止した。波長492nm の吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
【0088】
rhPAF−AHを用いた標準曲線を第5図に示す。また、精製rhPAF−AH、および、ヒト血漿に対する反応性を、第6図に示す。これらの結果より、本モノクローナル抗体を用いたサンドウィッチELISAにおける反応性は、精製rhPAF−AHと、検体として用い得るヒト血漿においても同等であり、定量測定が可能であることが示された。
【0089】
7.界面活性剤の影響の検討
次いで、サンドイッチELISA法を用いた、本検出方法における界面活性剤の影響を検討した。精製rhPAF−AH(▲1▼)、血漿検体の希釈溶液(▲2▼)、および、rhPAF−AH培養上清(▲3▼)に、界面活性剤Tween20 (和光純薬社製)(A)、PBS(B)、Triton X-100(和光純薬社製)(C)、Nonidet P-40(ナカライテスク社製)(D)、SDS(ナカライテスク社製)(E)、および、CHAPS (同仁化学社製)(F)、Sodium cholate(和光純薬社製)(G)を、最終濃度0.1%になるように、PBS溶液で調製し、上述のサンドウィッチELISA法を用いる本検出方法によるPAF−AH蛋白質定量を行なった。この結果を、第1表に示す。なお、第1表中の数字は、0.1%Tween20 を含むPBS希釈溶液(A)における反応性を100%としたときの、各希釈溶液での血漿等の検体の反応性を表す数値(%)である。
【0090】
第1表に示すように、精製rhPAF−AHに対しては、Tween 20が最も反応性が良く、PBSでは、やや反応性の低下が観察され、SDSでは測定をすることが実質的にできなかった。また、rhPAF−AH培養上清も同様の傾向であった。一方、血漿では、Tween 20、Triton X-100、Nonidet P-40で反応性が良く、PBSとSDSでは、実質的に測定をすることができなかった。以上の結果より、スタンダード、および血漿検体の測定は、0.1% Tween20を含むPBS溶液を、希釈溶液として用いるのが好適であることが判明した。
【0091】
8.ヒト血漿におけるPAF−AH蛋白質量とPAF−AH活性の相関
日本人193名について、血漿中PAF−AH蛋白質量、およびPAF−AH活性を測定した(第7図)。血漿中PAF−AH蛋白質量およびPAF−AH活性は、非常に強い正相関(r=0.87, p<0.0001)を示したことから、PAF−AH蛋白質量測定が、血漿中のPAF−AH量を測定するために用いることが可能であることが示された。
【0092】
上述の実施例により、本モノクローナル抗体を用いた本検出方法、特に、好適には、サンドイッチELISA法を用いた本検出方法により、ヒト血漿型PAF−AHの蛋白質量の検出法が確立された。本検出方法は、ヒト血漿型PAF−AHの活性値と非常に良く正相関することから、血漿等の検体中のヒト血漿型PAF−AHの活性値を反映するものと考えられる。
【0093】
9.本検出方法の有用性についての検討
(1)冠動脈疾患に関連する有用性の検討
非糖尿病の高脂血症患者(総コレステロール値が、200mg/dL 以上:TC>200)、および、糖尿病患者(DM)について、血漿中のPAF−AH蛋白質量の測定を行った。血漿中のPAF−AH蛋白質量は、日本人において高頻度で検出される、PAF−AH蛋白質の第279アミノ酸残基であるバリン(V)が、フェニエルアラニン(F)に変異している、「V279F変異」を有する者の群(V279F変異群)と、有さない者の群(V279F非変異群または野生型)に分類し、検討した(第8図)。なお、本検討における協力者は、健常者96名(野生型60名、V279F変異群36名)、非糖尿病の高脂血症患者39名(野生型27名、V279F変異群12名)、糖尿病患者39名(野生型28名、V279F変異群11名)、冠動脈疾患患者8名(野生型5名、V279F変異群3名)、喘息患者36名(野生型とV279F変異群の別に関する情報なし)である。
【0094】
非糖尿病の高脂血症、糖尿病、および、健常者において、V279F変異群と非変異群間における、血漿中のPAF−AHの蛋白質量の有意差は認められなかった。しかしながら、血漿中のapoB量当たりのヒト血漿型PAF−AH蛋白質量比(PAF−AH/apoB比)に換算すると、第8図に示すように、このPAF−AH/apoB比は、野生型の健常者においては、18.6±3.67であったのに対し、野生型の非糖尿病の高脂血症患者においては、13.9±4.03(p<0.01)、同糖尿病患者においては、13.5±4.16(p<0.01)と、有意な低下が認められた。V279F変異群(ヘテロ接合体)における、PAF−AH/apoB比は、健常者が、9.49±1.87であったのに対し、高脂血症患者においては、5.64±2.19(p<0.01)、糖尿病患者においては、7.23±1.55(p<0.01)と、有意な低下が認められた。
【0095】
さらに、冠動脈疾患(CHD)を罹患した症例においても、野生型は、15.1±2.75(p<0.05)、ヘテロ接合体は、4.86±1.17(p<0.01)と、有意な低下が認められた。
【0096】
このように、冠動脈疾患のリスクを有する、高脂血症患者と糖尿病患者において、PAF−AH/apoB比の低下が認められ、かつ、冠動脈疾患罹患者においても、同比の低下が、PAF−AH蛋白質の変異にかかわらず認められた。
【0097】
(2)喘息に関連する有用性の検討
喘息患者において、血漿中PAF−AH蛋白質量の分布について検討を行ったところ、健常者の血漿中PAF−AH蛋白質量のモードが、1.7〜1.8であるのに対して、喘息患者における同モードは、1.1〜1.2であり、血漿中PAF−AH蛋白質量は、喘息患者においては低下していた(第9図)。これは、喘息患者では、炎症反応のメディエーターの一つであるPAFの産生量が増加することにより、その不活性化酵素であるPAF−AHの消費が増大し、血漿中PAF−AH蛋白質量が低下したために現れた現象であると考えられる。
【0098】
すなわち、血漿中PAF−AH蛋白質量は、喘息患者における炎症反応の指標となり得る、PAFの産生量を把握する上での好適な指標となり得ることが見出された。
【0099】
上記のごとく、PAF−AH蛋白質量の測定は、冠動脈疾患をはじめとする動脈硬化症のリスクを把握する上で好適な指標となるばかりでなく、喘息においても、炎症反応の指標となることが明らかとなった。近年、血漿中のレシチンアシルトランスファーゼ(LCAT)、あるいは、パラオキソナーゼ(PON1)の酵素が、PAFの加水分解活性を有することが報告されており、血漿中のPAF−AH活性が、必ずしもPAF−AHの蛋白質量を反映しないこことが示されている(LiU M & Subbaiah PV.Hydrolysis and transesterification of platelet-activating factor by lecithin-cholesterol acyltransferase.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91;6035-6039,1994;Rodrigo L et al.,Hydrolysis of platelet-activating factor by human serum paraoxonase. Biochem J,354;1-7,2001)。このことからも、PAF−AHの蛋白質量を指標として、PAF−AHの検出を行う本検出方法は、PAF−AH活性を検出するPAF−AHの検出方法よりも、PAF−AHに関連する冠動脈疾患や喘息との関わりにおいて、特異性が強い方法である。
【0100】
【発明の効果】
本発明により、ヒト血漿型PAF−AHに対するモノクローナル抗体を用いた、高脂血症又は糖尿病の指標となるPAF−AHの検出方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】精製ヒト血漿型PAF−AHの電気泳動の結果と、本モノクローナル抗体(8B1)の精製ヒト血漿型PAF−AHに対する反応性を検討したウエスタンブロットの結果を示す図面である。
【図2】大腸菌由来組換えヒト血漿型PAF−AHの電気泳動の結果と、本モノクローナル抗体(A7G)の大腸菌由来組換えヒト血漿型PAF−AHに対する反応性を検討したウエスタンブロットの結果を示す図面である。
【図3】動物細胞由来組換えヒト血漿型PAF−AHの電気泳動の結果と、本モノクローナル抗体(8B1)の動物細胞由来組換えヒト血漿型PAF−AHに対する反応性を検討したウエスタンブロットの結果を示す図面である。
【図4】2種類の本モノクローナル抗体の精製ヒト血漿型PAF−AHに対する反応性を検討した図面である。
【図5】本モノクローナル抗体の組換えヒト血漿型PAF−AHに対する標準曲線である。
【図6】本検出方法により、組換えヒト血漿型PAF−AHとヒト血漿における、ヒト血漿型PAF−AHの検出を行った結果を示す図面である。
【図7】ヒト血漿におけるPAF−AH蛋白質量とPAF−AH活性の相関を示した図面である。
【図8】種々の対象におけるPAF−AH蛋白質量/apoB比に関する比較を行った結果を示す図面である。
【図9】健常者および喘息患者におけるPAF−AH蛋白質量の分布を示した図面である。
Claims (3)
- ヒト血漿型PAF−AH(PAF−AHは、Platelet-activating factor acetylhydrolaseの略称である)に対するモノクローナル抗体を用いて、血液検体中のヒト血漿型PAF−AH蛋白質を酵素免疫定量法に従い定量検出し、アポリポ蛋白質Bを免疫学的定量法に従い定量検出し、これらの定量値を基に血液検体中のアポリポ蛋白質B量当たりのヒト血漿型PAF−AH蛋白質量を算出し、当該算出値が健常者に対して低値であることを、検体提供者における、高脂血症又は糖尿病の指標とすることを特徴とする、PAF−AHの検出方法。
- ヒト血漿型PAF−AHに対するモノクローナル抗体を用いた、血液検体中のヒト血漿型PAF−AH蛋白質の定量検出が、サンドイッチELISA法により行われることを特徴とする、請求項1に記載のPAF−AHの検出方法。
- ヒト血漿型PAF−AHに対するモノクローナル抗体及びアポリポ蛋白質Bに対する抗体を構成要素として含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のPAF−AHの検出方法を行うための検出用キット。
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