JP4201649B2 - 高濃度アルキルエーテルサルフェートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高品質で、かつ、ハンドリングに有利な高濃度アルキルエーテルサルフェートの効率的な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アルキルエーテルサルフェートは、油に対する洗浄力が高く、生分解性が良好であることから、主たる洗浄成分として台所洗剤やシャンプー等に幅広く使用されている。
【0003】
このアルキルエーテルサルフェートは、通常20〜30%のハンドリングし易い濃度で製造され取り扱われているが、近年、台所洗剤等において濃縮型製品が主流となってきており、その高濃度化が求められている。
【0004】
アルキルエーテルサルフェートの高濃度化における課題としては、アルキルエーテルを常法である槽型あるいは薄膜流下型反応器による硫酸化時、または、微量の未反応SO3やSO2を気液分離するサイクロンにおいて、気体を巻き込むことで中和工程において粘度上昇を引き起こすことである。
【0005】
この課題を解決するため、例えば、高濃度化のために、一般的なアニオン活性剤に見られる比較的低粘度領域であるニ−ト相(活性剤濃度55〜75%)を有効に活用し、
(1)高級アルコール又は高級アルコールエトキシレート硫酸の中和工程時もしくは中和後に平均分子量300〜6000のポリエチレングリコールを該硫酸化物の有効成分に対して0.1〜25質量%以下添加することを特徴とする低粘度界面活性剤の製造方法(特許文献1参照)が知られ、また、エチレンオキサイド付加モル数の異なる複数の分子種を含む混合物からなるアルキルエーテルサルフェートにおいて、エチレンオキサイド付加モル数が最も多く存在する分子種の閉める割合が55〜75質量%で、更に上記混合物中の1,4−ジオキサン含有量が30ppm以下となるアルキルエーテルサルフェートの製造方法等(特許文献2参照)が知られ、
(2)中和の必要量に対し、過剰なアルカリ物質を添加することにより、10Pa・s以下の粘度であるスラリーを得る製造方法(特許文献3参照)が知られ、(3)中和時に硫酸あるいは硫酸ナトリウムを添加することにより、粘度を低減する製造方法(特許文献4参照)が知られている。
また、低ジオキサン含量のアルキルエーテルサルフェート等の製造方法として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを常法により硫酸化し、得られた反応生成物を50℃以下、減圧なしし不活性ガス気流下に薄膜蒸発させた後、中和することを特徴とする製造方法(特許文献5参照)などが知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭50−116383号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】
特開2001−316352号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】
特開昭52−80285号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献4】
特開昭53−5089号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献5】
特開昭63−246357号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載される製造方法では、配合時に他の成分が含まれることは、配合組成物に制約を加えることになるという課題があり、また、上記特許文献2に記載される製造方法等では、特に平均EO付加モル数が1〜3のように少ない場合や、あるいは、EO付加モル分布が非常に狭いアルキルエーテルサルフェートの場合には、液晶構造が密になるために、減粘剤がミセル構造の中に十分に入りこめず、粘度低下効果(2〜5Pa・s)はあるものの二相分離など、安定性に課題がある。
【0008】
更に、上記特許文献3に記載される製造方法では、配合時に過剰なアルカリ物質を中和することが求められる場合には、副生物として芒硝などが多量に生成し、製品の安定性を損なう場合があるなどの課題があり、また、上記特許文献4に記載される製造方法では、低温時には硫酸ナトリウムが晶析し、スラリー粘度が著しく上昇するため、品質劣化が懸念される高温での取り扱いや保管管理が要求される点に課題がある。
また、上記特許文献5に記載される製造方法は、副生するジオキサン低減のための高真空(1〜20torr)、長時間処理するものであり、本願発明とはその目的、技術思想が相違するものであり、更に、単に硫酸化物中の気体を除去するだけでは、本願発明の高品質で、かつ、ハンドリングに有利な高濃度アルキルエーテルサルフェートが得られないものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、減粘剤等を添加することなしに、ハンドリング可能な高濃度のアルキルエーテルサルフェート、特に、特定のEO付加モル分布をもつアルキルエーテルサルフェートを効率的に製造する高濃度のアルキルエーテルサルフェートの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の課題について鋭意研究を行った結果、55〜75%に存在するニート相と呼ばれる比較的粘度の低い領域を活用しても、種々の添加剤(減粘剤)を使用せざるを得なかった原因が、中和に持ち込まれる気体(泡)にあることに着目し、この量をコントロールすることにより、ハンドリング可能な物性にある領域を有効に活用できることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
本発明は、次の(1)〜(5)に存する。
(1) 下記一般式(I)で表されるアルキルエーテルサルフェートを製造する方法であって、アルキルエーテルの硫酸化後、減圧下で含有する気体を除去(脱泡)した後、外部冷却装置を備えた密閉型連続方式で中和することを特徴とする高濃度アルキルエーテルサルフェートの製造方法。
【化2】
(2) 減圧下で含有する気体を除去した後の硫酸化物の見かけ比重を0.95以上とする上記(1)記載の高濃度アルキルエーテルサルフェートの製造方法。
(3) 得られるアルキルエーテルサルフェートの見かけ比重は1.0以上であり、かつ、粘度は10Pa・s以下となる上記(1)又は(2)記載の高濃度アルキルエーテルサルフェートの製造方法。
(4) 得られるアルキルエーテルサルフェートは、最も多く存在する分子種のEO付加モル数をnA(1以上の整数、すなわちnA≠0)としたとき、EO付加モル数が(nA−1)〜(nA+1)の範囲である分子種の占める割合が55〜75質量%である上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の高濃度アルキルエーテルサルフェートの製造方法。
(5) 上記(4)記載のアルキルエーテルサルフェートにおいて、nAの分子種の占める割合が、19〜35重量%である高濃度アルキルエーテルサルフェートの製造方法。
【0011】
【発明の実施形態】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の高濃度アルキルエーテルサルフェートの製造方法は、下記一般式(I)で表されるアルキルエーテルサルフェートを製造する方法であって、アルキルエーテルの硫酸化後、減圧下で含有する気体を除去した後、外部冷却装置を備えた密閉型連続方式で中和することを特徴とするものである。
【化3】
【0012】
本発明方法では、上述の如く、上記一般式(I)で表されるアルキルエーテルサルフェートを製造する方法に際し、アルキルエーテルの硫酸化後、減圧下で含有する気体を除去(脱泡)した後、外部冷却装置を備えた密閉型連続方式で中和することを特徴とするものであり、上記除去(脱泡)工程、密閉型連続方式での中和工程以外の製造条件等は常法又は本願出願人による先行出願となる特開2001−316352号公報に準拠するものである。従って、以下に、本願発明の特徴を中心に詳述する。
【0013】
本発明方法において、原料となるアルキルエーテル〔R1O(CH2CH2O)nH、R1及びnは上記(I)と同じ〕としては、▲1▼入手可能な高級アルコール、例えば、商品名「ダイアドール」(三菱化学社製)、「ドバノール」(三菱化学社製)、「ネオドール」(シェル社製)や「サフォール」(サソール社製)などの合成アルコールなどが挙げられ、また、▲2▼天然アルコールである、例えば、商品名「コノール20P」(新日本理化社製)、「C1214」(P&G社製)、「CO1270A」(P&G社製)などが使用できる。
また、上記▲1▼及び/又は▲2▼の混合物をアルカリ触媒、あるいは、特に限定されないが特開2000−61304号公報等の複合金属酸化物である固体触媒、例えば、アルコキシル化触媒の存在下で、EO(エチレンオキサイド)又はPO(プロピレンオキサイド)を平均1〜6モル、好ましくは、2〜3モル付加して得られるものも用いることができる。
【0014】
本発明方法では、まず、上記原料となるアルキルエーテルの硫酸化を行う。
硫酸化反応器としては、特に限定されるものではないが、薄膜流下型反応器を用いることが色調等品質の面で好適である。
この硫酸化反応後のサイクロンから出た直後の比重は、多量の気体を巻き込んでいるため、通常、比重は0.65〜0.75(硫酸化物の真比重は、約1.0〜1.04であるのに対し)である。
得られた硫酸化物は、直ちに品温30℃以下で冷却することにより、副生成物であるジオキサンの生成量を抑制できるため、硫酸化物の一部を冷却し、反応器下部へ戻すリサイクル冷却方法を採用し、こうして得られた硫酸化物についても、その比重は0.65〜0.75であった。
【0015】
本発明方法では、高品質で、かつ、ハンドリング可能な高濃度のアルキルエーテルサルフェートを得るために、上記で得られた硫酸化物は、減圧下で含有する気体を除去(脱泡)することが必要である。
減圧下で含有する気体を除去(脱泡)しない場合は、目的の高品質で、かつ、ハンドリング可能な高濃度アルキルエーテルサルフェートは得られないものである。
得られた硫酸化物を減圧下で含有する気体を除去(脱泡)する手段としては、真空脱泡装置を通過させることにより行うことができる。
用いることができる真空脱泡装置は、特に限定しないが、例えば、真空式連続脱気装置(宇野澤組鐵工所社製)、真空式脱泡装置(ターボ工業社製)等の市販の装置を用いることができる。
【0016】
真空脱泡装置を使用する場合には、真空度は水封式の真空ポンプを用い、例えば、温度25℃下で、20〜50torr(20〜50mmHg)程度の圧力条件(減圧下)で2〜5分程度行うことで目的の脱泡は可能であり、大掛かりな装置を必要としない点で好ましい。
上記手段等で減圧下で含有する気体を除去(脱泡)した後の硫酸化物の見かけ比重は、本発明の効果を更に発揮せしめる点から、0.95以上とすることが好ましく、より好ましくは、1.0以上にすることが望ましい。
見かけ比重を0.95以上とするためには、上記圧力条件、温度、時間、脱泡装置内ディスク回転数などを好適に組合わせることにより調整することができる。
上記条件下で真空脱泡装置を使用した場合による通過後の見かけ比重は、0.95〜1.04であった。
【0017】
本発明方法では、上記脱泡後の硫酸化物を、高濃度のアルカリ水溶液を用い、外部冷却装置を備えた密閉型連続中和方式(以下、「クローズド中和」という)を用いて中和を行うことが必要である。
このクローズド中和を上記脱泡後の硫酸化物に対して連続して行うことにより、目的の高品質で、かつ、ハンドリング可能な高濃度アルキルエーテルサルフェートは得られることとなる。なお、クローズド中和以外の方式、例えば、撹拌槽が開口したオープン撹拌槽では、本発明の効果を発揮する高濃度アルキルエーテルサルフェートは得られないものである。
この外部冷却装置を備えた密閉型連続中和装置としては、例えば、図1に示すような、酸及びアルカリ供給ポンプ、ミキシングポンプ、熱交換機、抜き出しポンプからなる装置等を用いることができる。
中和温度は、中和物の分解及び臭気の点から、100℃以下、より好ましくは80℃以下である。また、中和温度の下限は、特に限定されないが、20℃である。
【0018】
このように構成される本発明方法では、上述の如く、硫酸化した後の硫酸化物を減圧下で含有する気体を除去(脱泡)すること、好ましくは更に見かけ比重を0.95以上に調整した後、続いて、外部冷却装置を備えた密閉型連続方式での中和を併用することにより、はじめて、見かけ比重が1.0以上となり、かつ、粘度が(50℃)10Pa・s以下となるハンドリング可能な活性剤濃度55%以上の高濃度のアルキルエーテルサルフェートを効率的に製造することができるものとなる。
なお、硫酸化で混入した気体を除去しない場合には、外部冷却装置を備えた密閉型連続方式での中和を行っても、中和物スラリーの粘度は、15Pa・s以上になり、目的のハンドリング可能な高濃度のアルキルエーテルサルフェートは得られないものである。
【0019】
また、本発明方法で得られるアルキルエーテルサルフェートは、EO付加モル数の異なる複数の分子種を含む混合物であるが、好ましくは、最も多く存在する分子種のEO付加モル数をnA(1以上の整数、すなわちnA≠0)としたとき、EO付加モル数が(nA−1)〜(nA+1)の範囲である分子種の占める割合が55〜75重量%であること、更に好ましくは、nAの分子種の占める割合が、19〜35重量%であることを満足するシャープなEO付加モル分布をもつものとすることが望ましい。
【0020】
このようなシャープなEO付加モル分布をもつアルキルエーテルサルフェートでは、泡質が良好となり、また、皮膚刺激性が低い点で好ましい。このシャープなEO付加モル分布をもつアルキルエーテルサルフェートの調整は、例えば、上述の高級アルコール、天然アルコールを特定の触媒の存在下で、EOを平均1〜6モル、好ましくは、2〜3モル付加して得られる原料を用いることにより製造することができ、KOH等のアルカリ触媒を用いるとEO付加モル分布は、ブロードとなるが、複合金属酸化物触媒である固体触媒、例えば、アルコキシル化触媒を用いるとEO付加モル分布は、非常にシャープとなるものが得られる。
このシャープなEO付加モル分布をもつアルキルエーテルサルフェートは、洗浄剤組成物に配合した際に、洗浄力、泡性能、保存安定性及びマイルド性等の全ての機能で、同EO付加モル数のアルカリ触媒で製造したブロードなEO付加モル分布をもつものと比較し、格段に優れたものとなる。
【0021】
本発明によれば、気体(空気)を除去し、かつ、クローズド中和を併用して行うことにより、初めて、有効成分の濃度の高い(55重量%以上)アルキルエーテルサルフェート(スラリー)を、ハンドリングの比較的容易な10Pa・s以下、4〜9Pa・s(使用ベースアルコール種、EO付加モル数により変化)で取り扱うことが可能となり、これにより、貯槽効率、移送効率を大幅に改善できると共に、高品質の高濃度アルキルエーテルサルフェートを効率的に製造することができることとなる。
【0022】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的かつ詳細に説明するが本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
【0023】
〔実施例1〜4及び比較例1〜3〕
(実施例1)
下記に記載の方法により製造した。すなわち、下記〔(1)〕に記載のアルコキシル化触媒を調製した後、この触媒の存在下で天然アルコールにEO付加し〔下記(2)参照〕、次いで、反応生成物(反応粗製物)から触媒を分離して〔下記(3)参照〕、得たアルキルエーテルを硫酸化し〔下記(4)参照〕、次いで、この硫酸化物の脱泡〔下記(5)参照〕、中和〔下記(6)参照〕して高濃度アルキルエーテルサルフェートを得た。
【0024】
(1)アルコキシル化触媒
硝酸マグネシウム6水和物68.03g、硝酸アルミニウム9水和物47.69gおよび硝酸マンガン6水和物24.33gを、450gの脱イオン水に溶解し、これを溶液Aとした。一方、炭酸ナトリウム13.47gを450gの脱イオン水で溶解し、これを溶液Bとした。前記溶液Aと溶液Bとを、予め1800gの脱イオン水を仕込んだ触媒調製槽に、2mol/リットル(L)のNaOH水溶液によりpHを9、温度を40℃に保ちながら1時間で滴下し、滴下終了後、1時間熟成させた。母液を濾過により除き、沈殿を6000gの脱イオン水で洗浄し、噴霧乾燥することにより30gの複合水酸化物を得た。この複合水酸化物を、窒素雰囲気下800℃で3時間焼成して、Mg、Al、Mnの複合酸化物触媒(アルコキシル化触媒)19gを得た。
【0025】
(2)EO付加
前記触媒0.5g、直鎖ドデカノール(新日本理化社製、商品名「コノール20P」)207.9gおよび直鎖/分岐混合トリデカノール(三菱化学社製、商品名「ダイアドール13」;直鎖率49%)831.5gを、オートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ内を窒素ガスで置換した。攪拌しながら100℃まで昇温し減圧下(6.65kPa到達)で脱水した後、オートクレーブ内に窒素ガスを導入して常圧まで戻し、160℃まで昇温した。続いて、温度を180℃、圧力を0.5MPaaに維持しながら、EO460.6g(平均EO付加モル数2相当)を導入し、同温度で平衡圧に達するまで攪拌を継続して反応を完結させた。その後、80℃に冷却して反応生成物(反応粗製物)を得た。
【0026】
(3)反応生成物(反応粗製物)からの触媒の分離
撹拌機を備えた1Lの四つ口フラスコに、上記反応生成物400gを入れ45℃に加温した。ついで、ボディフィード用濾過助剤(商品名:KCフロックW−50S、日本製紙株式会社製)2g(反応生成物に対し0.5%)を添加し、45℃で30分間撹拌し、混合液Aを得た。
この混合液Aからプレコート用液として100gを別の四つ口フラスコ(500mL;撹拌機付き)に移し、45℃に加温した。上記プレコート用液にプレコート用濾過助剤として0.625g(0.5kg/cm2相当)の商品名KCフロックW−50Sと0.625g(0.5kg/cm2相当)の商品名ハイフロスーパーセル(Celite社製)とを添加し、45℃で30分間撹拌し、プレコート用液Bを得た。
セルロースとポリエステルの2層フィルターを濾材とする加圧濾過器(内径4cm)を用いて45℃、窒素圧0.2MPaで前記プレコート用液Bを濾過し、プレコート層を形成させた。但し、最初に出てくる分の約20mLの濾液については、若干の濾過助剤の漏れが見られたため再度濾過器を通過させた。前記プレコート用液Bの濾液が十分な清澄度を持つことを確認後、前記混合液Aを、前記濾過器にかけたところ、十分な清澄度を持つ濾液が得られた。
以上の操作により得られたろ液(前記プレコート用液Bの濾液および前記混合液Aの濾液を合わせたもの)を、精製アルキルエーテルとした。
【0027】
(4)アルキルエーテルの硫酸化
前記精製アルキルエーテルを、薄膜型流下式スルホン化反応器(内径10mm×2.5m、外部ジャケット付き:30〜40℃温水を通水)内部に、温度45℃および供給速度約146〜149g/minの条件で供給し、前記反応器内部を薄膜状に流下させた。続いて、50℃に加温したSO3ガス(濃度約7〜8%、窒素ガス希釈)を、SO3として40g/minの供給速度で前記反応器内に導入し硫酸化を行った。さらに、この硫酸化物はサイクロンを通すことで、未反応のSO3とSO2を気液分離し、熱交換器を通しながら、リサイクル冷却を行った。
【0028】
(5)硫酸化物の脱泡
上記硫酸化物を市販の真空遠心脱泡器(宇野澤組鐵工所社製)に連続で通液し、温度25℃、圧力20〜50torr、時間5分で脱泡を行った。
【0029】
(6)中和
上記脱泡された硫酸化物を外部冷却装置を備えた密閉型連続中和装置(図1参照)で50℃以下を保ちながら、19.3%の苛性ソーダで中和を行うことによって、66%の高濃度アルキルエーテルサルフェートを得た。
【0030】
(実施例2)
上記実施例1のEO付加のところで、平均EO付加モル数を3にした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
(実施例3)
上記実施例1のEO付加のところで、触媒としてKOHを対アルコール0.05%使用する以外は、実施例1と同様の方法で行った。
(実施例4)
上記実施例3のEO付加のところで、平均EO付加モル数を3にする以外は、上記実施例3と同様の方法で行った。
【0031】
(比較例1)
上記実施例1で硫酸化物を脱泡器に通さず、オープン攪拌槽装置で中和を行う以外は、上記実施例1と同様の方法で行った。
(比較例2)
上記実施例1でオープン攪拌槽装置で中和を行う以外は、上記実施例1と同様の方法で行った。
(比較例3)
上記実施例1の脱泡器を通さない以外は、上記実施例1と同様の方法で行った。
【0032】
上記実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた高濃度アルキルエーテルサルフェートにおいて、途中の硫酸化後の比重、脱泡器の有無、脱泡後の比重、中和方式の有無、中和後の比重、得られたアルキルエーテルサルフェートの粘度及び流動性について、下記表1に示す。
上記(1)硫酸化後の比重、脱泡後の比重、中和後の比重、(2)得られたアルキルエーテルサルフェートの粘度、(3)流動性の評価は、下記方法により行った。
また、上記実施例1〜4及び比較例1〜3で得られたアルキルエーテルサルフェートの付加モル分布を、高速液体クロマトグラフィー(HLPC)により測定した。この付加モル分布を下記表2に示す。
【0033】
(1)硫酸化後の比重、脱泡後の比重、中和後の比重は、予め水を満たして重量を測定した計量カップを用い、各サンプルの重量比より見かけ比重を測定した。
(2)得られたアルキルエーテルサルフェートの粘度は、50℃において、東機会産業社製、BH型粘度計(NO.6ローター、20rpm、1分)を用いて測定した。
(3)流動性は、粘度、中和圧力、抜き出しポンプ圧などにより、下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:粘度が10Pa・s以下で、かつ、圧力上昇が見られない。
△:粘度が15Pa・s以下で、かつ、圧力上昇が少ない。
×:粘度が15Pa・s以上で、かつ、圧力上昇が認められる。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜4は、本発明の範囲外となる比較例1〜3に較べて、高品質で、かつ、ハンドリングに有利な高濃度アルキルエーテルサルフェートを効率的に製造できることが判明した。
これに対して、比較例1の脱泡器を使用せず、オープン撹拌槽で中和を行ったもの、比較例2の脱泡器を使用しても、オープン撹拌槽で中和を行ったもの、比較例3の脱泡器を使用せず、密閉型連続中和方式で行ったものは、粘度が15Pa・s以上となるので、流動性が悪く目的のハンドリング可能な高濃度のアルキルエーテルサルフェートが得られないことが判った。
【0037】
【発明の効果】
本発明方法によれば、高品質で、かつ、ハンドリングに有利な高濃度アルキルエーテルサルフェートの効率的に製造することができる製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】外部冷却装置を備えた密閉型連続中和装置の一例を示す概略図である。
Claims (5)
- 減圧下で含有する気体を除去した後の硫酸化物の見かけ比重を0.95以上とする請求項1記載の高濃度アルキルエーテルサルフェートの製造方法。
- 得られるアルキルエーテルサルフェートの見かけ比重は1.0以上であり、かつ、粘度は10Pa・s以下となる請求項1又は2記載の高濃度アルキルエーテルサルフェートの製造方法。
- 得られるアルキルエーテルサルフェートは、最も多く存在する分子種のEO付加モル数をnA(1以上の整数、すなわちnA≠0)としたとき、EO付加モル数が(nA−1)〜(nA+1)の範囲である分子種の占める割合が55〜75質量%である請求項1〜3の何れか一つに記載の高濃度アルキルエーテルサルフェートの製造方法。
- 請求項4記載のアルキルエーテルサルフェートにおいて、nAの分子種の占める割合が、19〜35重量%である高濃度アルキルエーテルサルフェートの製造方法。
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CN107253924A (zh) * | 2017-06-09 | 2017-10-17 | 常州大学 | 一种mes粉剂表面活性剂的制备方法 |
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