JP4200567B2 - 抽出方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抽出操作と逆抽出操作とを有する抽出方法に関する。詳しくは、抽出部において被処理水を抽出剤と接触させて該被処理水中のホウ素等の目的物質を該抽出剤中に抽出した後、逆抽出部において該目的物質を抽出した抽出剤を逆抽出剤と接触させて該目的物質を該逆抽出剤中に逆抽出し、さらに該逆抽出剤中の該目的物質を晶析させて回収する抽出方法に係り、特に、この抽出方法において、逆抽出前後の逆抽出剤のpHを適正に制御することにより、抽出、逆抽出及び晶析回収までを効率的に行えるようにした抽出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホウ素化合物は、医薬、化粧品原料、石鹸工業、電気メッキ等の種々の分野で幅広く利用されており、これらの製造工程からはホウ素化合物を含有する廃水が排出される。また、原子力発電所から発生する放射性廃液、地熱発電廃水、あるいは排煙脱硫又は脱硝廃水、ゴミ焼却洗煙廃水等にもホウ素化合物が含まれている。
【0003】
これらのホウ素含有水の処理方法として、イオン交換樹脂によりホウ素を吸着除去する方法が知られている。そして、このホウ素を吸着したイオン交換樹脂を酸と接触させて再生するに当たり、再生廃液を抽出剤と接触させてホウ素を抽出し、抽残液をアニオン交換樹脂の再生用液として再利用する方法が提案されている(特公平1−50476号公報)。
【0004】
この特公平1−50476号公報では、抽出剤として、オクチレングリコール、2−エチルヘキサノール、4−t−ブチルカテコール等を用いる。また、ホウ素を抽出した抽出剤を、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液等の逆抽出剤と接触させてホウ素を逆抽出し、更に、ホウ素を逆抽出した逆抽出剤からホウ素を晶析して回収する。そして、逆抽出処理後の抽出剤及び晶析処理後の逆抽出剤はそれぞれ循環再使用し、不足分のみを系内に補給する。
【0005】
また、このような方法において、逆抽出条件及び晶析条件を最適化したものとして、特開平9−314130号公報には、ホウ素を含む抽出剤を接触させる逆抽出前の逆抽出剤のpHを12.5以上として逆抽出効率を高め、更に逆抽出剤中のホウ素を晶析により分離する際に、逆抽出後の逆抽出剤に酸を加えて晶析効率を向上させる方法が提案されている。
【0006】
即ち、このようなホウ素の逆抽出及び晶析処理においては、pH条件は極めて重要な因子であり、逆抽出前の逆抽出剤のpHは高い程、逆抽出効率は向上し、また、逆抽出後の逆抽出剤からのホウ素の晶析に際しては、pHを下げた方が晶析効率が向上する。
【0007】
これは、逆抽出機構が、下記式の如く、抽出剤中のホウ酸と、逆抽出剤中のアルカリとの反応よりなり、逆抽出効率は、逆抽出剤のアルカリ濃度が高い程向上するためと推定される。
【0008】
4H3BO3+2NaOH→Na247+7H2
また、このように、高pHの逆抽出剤に逆抽出されたホウ素の溶解度を、酸を添加することで下げることにより、ホウ素化合物の結晶(Na247)を効率的に析出させて回収することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように逆抽出前の逆抽出剤のpHを最適pH値に調整して逆抽出を行っても、被抽出物(原水)のホウ素濃度が変動し、これにより抽出剤のホウ素濃度が変動した場合には、逆抽出後の逆抽出剤のpHが変動することとなるため、特開平9−314130号公報記載の方法では常に最適なpH条件を維持することはできず、逆抽出効率及び晶析効率が低下する場合がある。
【0010】
即ち、前述の反応式でホウ酸とアルカリが反応するとアルカリの消費で逆抽出後の逆抽出剤のpHは低下するが、例えば、抽出剤のホウ素濃度が平常時よりも低くなった場合には、逆抽出されるホウ素量が少ないことから、この逆抽出剤のpHの低下幅が小さいために逆抽出後の逆抽出剤のpHは平常時よりも高くなる。このような高pHの逆抽出剤では、晶析が起こり難く、ホウ素化合物結晶の溶解が起こる。逆に、抽出剤のホウ素濃度が平常時よりも高くなった場合には、逆抽出されるホウ素量が多いことから、逆抽出による逆抽出剤のpHの低下幅が平常時よりも大きくなるために、逆抽出後の逆抽出剤のpHが低くなる。この場合には、逆抽出が不完全となり、抽出剤中にホウ素が残留する。
【0011】
抽出剤のホウ素濃度が低くなった場合の晶析不良は、特開平9−314130号公報記載の方法において、逆抽出後の逆抽出剤に添加する酸の添加量を増加させることで対応することはできる。しかしながら、抽出剤のホウ素濃度が高くなった場合の逆抽出不良には対応し得ず、この場合には、循環使用される抽出剤中の残留ホウ素濃度が高くなることにより抽出効率も低下し、また、逆抽出剤のpHが低下することで、逆抽出剤中でホウ酸ナトリウムのスケールが析出するなどの不具合も生じる。
【0012】
本発明は上記従来の問題点を解決し、抽出部において被処理水を抽出剤と接触させて該被処理水中のホウ素等の目的物質を該抽出剤中に抽出した後、逆抽出部において該目的物質を抽出した抽出剤を逆抽出剤と接触させて該目的物質を該逆抽出剤中に逆抽出し、さらに該逆抽出剤中の該目的物質を晶析させて回収する抽出方法において、逆抽出前後の逆抽出剤のpHを適正に制御することにより、負荷変動、即ち、被処理水中の目的物質濃度の変動に十分対応して抽出、逆抽出及び晶析回収までの一連の処理を安定かつ効率的に行うことができる抽出方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の抽出方法は、抽出部において被処理水を抽出剤と接触させて該被処理水中の目的物質を該抽出剤中に抽出した後、逆抽出部において該目的物質を抽出した抽出剤を逆抽出剤と接触させて該目的物質を該逆抽出剤中に逆抽出し、更に該逆抽出剤中の該目的物質を晶析させて回収する抽出方法において、逆抽出後の逆抽出剤のpH値に基いて、逆抽出前の逆抽出剤のpH値を調整することにより、逆抽出後の逆抽出剤のpHを適正な値に維持することを特徴とする。
【0014】
本発明方法に従って、抽出剤と接触した後の逆抽出剤のpHを測定し、その値に応じて逆抽出部に供給する逆抽出前の逆抽出剤のpHを調整することにより、逆抽出後の逆抽出剤のpHを適正な値に維持することができる。
【0015】
即ち、逆抽出後の逆抽出剤のpHが予め定めたpHよりも低い場合には、抽出剤中のホウ素濃度が高いためであるから、逆抽出部に供給する逆抽出前の逆抽出剤のpHを上げ、逆抽出後の逆抽出剤のpHの低下及びこれによる逆抽出不良を防止する。逆に、この逆抽出後の逆抽出剤のpHが予め定めたpHよりも高い場合には、抽出剤中のホウ素濃度が低いためであるから、逆抽出部に供給する逆抽出前の逆抽出剤のpHを下げ、逆抽出後の逆抽出剤のpHの上昇及びこれによるスケール析出を防止する。
【0016】
このようにして、抽出剤中のホウ素濃度の変動に対して逆抽出後のpHを一定に保つように逆抽出前の逆抽出剤のpHを調整することにより、逆抽出性能及び晶析性能を安定させることができる。
【0017】
本発明において、逆抽出前の逆抽出剤のpH調整は、pH調整剤の添加量制御により容易に行うことができる。この逆抽出剤へのpH調整剤の添加はpH調整槽を設けて行っても良く、逆抽出剤槽に対して直接行っても良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の抽出方法の実施の形態を示すホウ素の逆抽出及び晶析プロセスの系統図であり、1は逆抽出剤槽、2はpH調整槽、3は逆抽出塔、4は晶析槽である。
【0020】
抽出塔(図示せず)で被処理水と接触し、被処理水中のホウ素を抽出して含む抽出剤は、逆抽出塔3に供給され、逆抽出剤と撹拌接触され、ホウ素が逆抽出除去される。逆抽出によりホウ素を除去した抽出剤は、抽出塔に戻され、循環再使用される。
【0021】
この逆抽出塔3に供給する逆抽出剤としては、後述の晶析槽4でホウ素化合物の結晶を晶析回収した後の逆抽出剤に、アルカリを添加して適当なpHに調整したものが用いられる。
【0022】
即ち、図1において、晶析槽4から返送された逆抽出剤は、逆抽出槽1を経てポンプP1によりpH調整槽2に導入され、このpH調整槽2において、逆抽出塔3から晶析槽4に逆抽出剤を送給する配管に設けられたpH計4Aと、pH調整槽2に設けられたpH計2Aとに連動する薬注ポンプP2によりアルカリが添加され、pH調整が行われる。
【0023】
ホウ素の逆抽出において、逆抽出剤としては、NaOH水溶液、Na2CO3水溶液等のアルカリ水溶液が用いられ、一般的には、この逆抽出剤の逆抽出前のpHは12.5以上に調整される。逆抽出前の逆抽出剤の調整pHが12.5未満であると、ホウ素を効率的に逆抽出することができない。逆抽出剤のpHが12.5以上であれば、pH値の上昇に対して逆抽出性能が大きく変わることはないため、逆抽出剤の逆抽出前のpHは12.5〜13.5の範囲で、逆抽出後の逆抽出剤のpHに基いて調整するのが好ましい。
【0024】
なお、逆抽出温度は20℃以上の範囲でよい。
【0025】
pH調整槽2からポンプP3により逆抽出塔3に供給され、逆抽出塔3でホウ素を逆抽出した逆抽出剤は、晶析槽4に導入され、好ましくは逆抽出温度よりも5℃以上低い温度で晶析処理される。晶析槽4で析出したホウ素化合物(ホウ酸ナトリウム)の結晶は、晶析槽4の底部より抜き出され、そのまま、或いは、必要に応じて水洗又は熱水に溶解した後冷却し、再結晶するなどの処理を施して更に純度を上げた後、各種産業分野のホウ素原料として有効に再利用される。
【0026】
一方、逆抽出剤は逆抽出剤槽1に返送され、pH調整槽2でpH調整された後、逆抽出に循環再使用される。
【0027】
本発明では、このような逆抽出、晶析処理に当り、逆抽出後の逆抽出剤のpHを測定し、この測定値に基いて、逆抽出塔3に供給される逆抽出剤のpHを制御する。即ち、図1においては、逆抽出塔3でホウ素を逆抽出した逆抽出剤を晶析槽4へ送給する配管にpH計4Aを設けてpH測定を行い、この結果に基いて、逆抽出後の逆抽出剤のpHが予め定めた設定pH値となるように、逆抽出前の逆抽出剤のpH値が決定され、この結果に基づいて薬注ポンプP2の作動が制御され、pH調整槽2へのアルカリ添加量が調整される
逆抽出後の逆抽出剤のpHが予め定めた設定pH値よりも低い場合は、抽出剤中のホウ素濃度が高いのであるから、逆抽出剤のpHを上げるべくpH調整槽2へのアルカリの供給量を増やす。逆に、逆抽出後の逆抽出剤のpHが予め定めた設定pH値よりも高い場合は、抽出剤中のホウ素濃度が低いのであるから、逆抽出剤のpHを下げるべくpH調整槽2へのアルカリの供給量を減らす。
【0028】
このように、逆抽出後の逆抽出剤のpH測定値に基いて逆抽出剤へのアルカリの供給量を増減して逆抽出前の逆抽出剤のpHを調整することにより、逆抽出後の逆抽出剤のpHを適正なpH値(設定pH値)に維持することができるようになり、逆抽出系内のpHを維持して効率的な逆抽出を行うことができるようになる。また、このように逆抽出後のpHの安定した逆抽出剤であれば、晶析槽4において、結晶の溶解等を起こすことなく効率的な晶析を行える。
【0029】
本発明において、逆抽出後の逆抽出剤の設定pH値は、効率的な逆抽出及び晶析が行えるようなpH値であれば良く、特に制限はないが、通常の場合、12.0〜12.6程度に設定される。
【0030】
このような設定pH値に対する測定pH値に基く逆抽出前の逆抽出剤のpH値の制御基準は、予め計算又は実験等で求めておけば良く、例えば、逆抽出前の逆抽出剤(ホウ素濃度約22000mg/L)のpHとホウ素を逆抽出した後の逆抽出剤のpHについては、図2に示すような関係であり、このようなグラフに基いて後述の実験例1に示す方法によりpH調整を行うことができる。
【0031】
なお、図1において、pH調整槽2は必ずしも必要とされず、逆抽出槽1に直接アルカリを添加してpH調整を行っても良い。また、逆抽出後の逆抽出剤のpHの測定は、晶析槽4又は晶析槽4から逆抽出剤槽1へ逆抽出剤を返送する配管にpH計を設けて行ってもよく、逆抽出前の逆抽出剤のpHの測定は逆抽出塔3へ逆抽出剤を供給する配管にpH計を設けて行っても良い。
【0032】
本実施の形態において、処理対象とするホウ素を含む抽出剤とは、例えば、前述の種々のホウ素利用産業分野から排出されるホウ素含有廃水、原子力発電所から発生する放射性廃液、地熱発電廃水、排煙脱硫又は脱硝廃水、ゴミ焼却洗煙廃水、その他各種のホウ素(通常、BO3 3-の形で含有されている。)を含有する水を、弱塩基性アニオン交換樹脂やN−(置換)グルカミン型キレート樹脂とpH9以上で接触させて処理し、含有されるホウ素を吸着除去した後、このホウ素を吸着したイオン交換樹脂を硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸と接触させて再生処理して得られる再生廃液を抽出処理して得られるものである。この抽出剤としては、2−エチルヘキサノールのみ、又は2−エチルヘキサノールにケロシン(燈油)や、その他、ヘプタン、ノナン、デカン、クロロホルム、四塩化炭素、キシレン、ベンゼン等の抽出溶媒を混合したもの、例えば、ケロシンの場合、2−エチルヘキサノール:ケロシン=1:0.1〜2(容量比)で混合して希釈したものを用いるのが好適である。
【0033】
図1においては、本発明の抽出方法をホウ素の抽出、逆抽出及び晶析に適用した例を示したが、本発明はホウ素に限らず、pHによる溶解度差を利用して逆抽出及び晶析を行う抽出方法であれば、いずれも有効に適用可能であり、このような被抽出物質としては、ホウ素の他、金属、非金属等が挙げられる。
【0034】
【実施例】
以下に実験例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0035】
実験例1
図1に示す逆抽出及び晶析プロセスにおいて、逆抽出後の逆抽出剤のpHを一定にするためには、変動するホウ素濃度に対して逆抽出前の逆抽出剤に適正量のアルカリを添加する必要がある。
【0036】
そこで任意の逆抽出前のpHの逆抽出剤(いずれもホウ素濃度22000mg/LのNaOH水溶液)で逆抽出し、任意の逆抽出後pHになった際のホウ素逆抽出量を実験で求め、図2に示す結果を得た。この結果は、任意の逆抽出pH(逆抽出前の逆抽出剤のpH)で運転を行っているとき、逆抽出後の逆抽出剤pHを測定すれば、その時の逆抽出剤中のホウ素濃度が分かることを示している。そして、ホウ素濃度が分かれば、この濃度に対して逆抽出後pHが設計値になるようにアルカリを添加すれば良いことになる。
【0037】
例えば、図2から逆抽出前の逆抽出剤のpH初期設定値を13.1、逆抽出後の逆抽出剤のpH設定値を12.2とした場合、ホウ素逆抽出量は約1280mg/Lである。なお、この逆抽出量は逆抽出剤中のホウ素増加量であり、抽出剤中のホウ素濃度ではない。従って、例えば、抽出剤と逆抽出剤の容量比を4で逆抽出した場合、抽出剤中のホウ素濃度の低減量は320mg/Lであったことになる。
【0038】
ここで、仮りに抽出剤中のホウ素濃度が低くなり逆抽出量が865mg/Lとなった場合、逆抽出後pHは12.6になると推定される。この逆抽出後の逆抽出剤のpH低下を防止して、逆抽出後の逆抽出剤のpHを12.2に維持するためには、ホウ素865mg/Lを逆抽出することでpH12.2となるような逆抽出前の逆抽出剤pHを設定すれば良い。この値は、図2の横軸(X軸)のpH13.1から、pH12.6の曲線に垂線を引き(即ち、逆抽出量865mg/L)、この交点AからpH12.2の曲線に向けて水平な線を引き、この交点Bから横軸に垂直に下ろした点C、即ち、pH12.92である。この値が逆抽出前の逆抽出剤のpHの設定値となる。
【0039】
このように逆抽出後の逆抽出剤のpHを測定し、その値から適正な逆抽出前の逆抽出剤のpHを設定してpH調整することで逆抽出後の逆抽出剤のpHを逆抽出及び晶析に適当な設定値に維持することができる。
【0040】
なお、この関係は逆抽出前の逆抽出剤中に含まれるホウ素濃度により変わるので、設定条件に合わせて求める必要がある。
【0041】
実施例1
図1に示す逆抽出、晶析装置を用いてホウ素を抽出した抽出剤からのホウ素の逆抽出及び晶析を行った。
【0042】
逆抽出塔としては、ミキサー部容量9L、セトラー部容量48Lの抽出塔を1塔用い、ホウ素を抽出した抽出剤(2−エチルヘキサノールとケロシンとを1:1の容量比で混合したもの)を40L/hrで連続的に供給すると共に、逆抽出剤としてNaOH水溶液(ホウ素濃度22000mg/L)を15L/hrで供給した。なお逆抽出塔のミキサー部の温度は25℃、晶析槽の温度は10℃であった。
【0043】
逆抽出後の逆抽出剤の設定pHは12.3とした。
【0044】
〈Run 1〉
逆抽出塔にホウ素濃度370mg/Lの抽出剤を供給し、逆抽出剤のpH(逆抽出前)13.1で運転を開始したところ、逆抽出後の逆抽出剤のpHが安定した時点で、逆抽出後の逆抽出剤のpHは12.5であったため、pH調整槽2へのNaOH添加量を変えて、逆抽出剤のpH(逆抽出前)を13.0に変更した。その結果、逆抽出後の逆抽出剤のpHは12.24に下がった。
【0045】
〈Run 2〉
Run1に続き、抽出剤をホウ素濃度470mg/Lの抽出剤に変更して逆抽出を行ったところ、逆抽出後のpHが11.95となったので、pH調整槽2へのNaOH添加量を変えて、逆抽出前の逆抽出剤のpHを13.1とした。その結果、逆抽出後の逆抽出剤のpHは12.26に上がった。
【0046】
〈Run 3〉
Run2に続き、抽出剤をホウ素濃度560mg/Lの抽出剤に変更して逆抽出を行ったところ、逆抽出後の逆抽出剤のpHは12.0となったので、pH調整槽2へのNaOH添加量を変えて、逆抽出前の逆抽出剤のpHを13.2とした。その結果、逆抽出後の逆抽出剤のpHは12.28に上がった。
【0047】
このように、逆抽出後の逆抽出剤のpHが約12.3で一定となるように、逆抽出前の逆抽出剤に添加するNaOH量を制御してpH調整を行ったところ、逆抽出剤中には、抽出剤中のホウ素が逆抽出され、この逆抽出されたホウ素は、そのほぼ全量が晶析槽にて析出し、結晶として回収された。
【0048】
比較例1
実施例1のRun1終了後、Run2、Run3と他の条件は同じで逆抽出前の逆抽出剤のpH制御を行わずにpH13.0のままで運転を行った。その結果、逆抽出不良により、逆抽出塔及び逆抽出後の抽出剤の配管等に結晶が析出し、連続運転が困難となった。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の抽出方法によれば、抽出部において被処理水を抽出剤と接触させて該被処理水中のホウ素等の目的物質を該抽出剤中に抽出した後、逆抽出部において該目的物質を抽出した抽出剤を逆抽出剤と接触させて該目的物質を該逆抽出剤中に逆抽出し、さらに該逆抽出剤中の該目的物質を晶析回収する抽出方法において、逆抽出前後の逆抽出剤のpHを適正に制御することにより、負荷変動、即ち被処理水中の目的物質濃度の変動に十分応じて抽出、逆抽出及び晶析回収までの一連の処理を安定かつ効率的に行うことが可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抽出方法の実施の形態を示す系統図である。
【図2】逆抽出剤のpHとホウ素の逆抽出量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 逆抽出剤槽
2 pH調整槽
2A,4A pH計
3 逆抽出塔
4 晶析槽
1,P2,P3 ポンプ

Claims (3)

  1. 抽出部において被処理水を抽出剤と接触させて該被処理水中の目的物質を該抽出剤中に抽出した後、逆抽出部において該目的物質を抽出した抽出剤を逆抽出剤と接触させて該目的物質を該逆抽出剤中に逆抽出し、更に該逆抽出剤中の該目的物質を晶析させて回収する抽出方法において、逆抽出後の逆抽出剤のpH値に基いて、逆抽出前の逆抽出剤のpH値を調整することにより、逆抽出後の逆抽出剤のpHを適正な値に維持することを特徴とする抽出方法。
  2. 請求項1の方法において、逆抽出前の逆抽出剤のpH値は、pH調整剤の添加量により制御することを特徴とする抽出方法。
  3. 請求項1又は2の方法において、逆抽出後の逆抽出剤のpH値に基いて、逆抽出後の逆抽出剤のpHが12.0〜12.6となるように逆抽出前の逆抽出剤のpH値を調整することを特徴とする抽出方法。
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