JP4199511B2 - Egrクーラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンの排気ガスを再循環して窒素酸化物の発生を低減させるEGR装置に付属されて再循環用排気ガスを冷却するEGRクーラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車等のエンジンの排気ガスの一部をエンジンに再循環して窒素酸化物の発生を低減させるEGR装置が知られているが、このようなEGR装置では、エンジンに再循環する排気ガスを冷却すると、該排気ガスの温度が下がり且つその容積が小さくなることによって、エンジンの出力を余り低下させずに燃焼温度を低下して効果的に窒素酸化物の発生を低減させることができる為、エンジンに排気ガスを再循環するラインの途中に、排気ガスを冷却するEGRクーラを装備したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図8及び図9は前述したEGRクーラの一例を示す断面図であって、図中1は円筒状に形成されたシェルを示し、該シェル1の軸心方向両端には、シェル1の端面を閉塞するようプレート2,2が固着されていて、該各プレート2,2には、多数のチューブ3の両端が貫通状態で固着されており、これら多数のチューブ3はシェル1の内部を軸心方向に延びている。
【0004】
そして、シェル1の一方の端部近傍には冷却水入口4が取り付けられ、シェル1の他方の端部近傍には冷却水出口5が取り付けられており、冷却水9が冷却水入口4からシェル1の内部に供給されてチューブ3の外側を流れ、冷却水出口5からシェル1の外部に排出されるようになっている。
【0005】
更に、各プレート2,2の反シェル1側には、椀状に形成されたボンネット6,6が前記各プレート2,2の端面を被包するように固着され、一方のボンネット6の中央にはガス入口7が、他方のボンネット6の中央にはガス出口8が夫々設けられており、エンジンの排気ガス10がガス入口7から一方のボンネット6の内部に入り、多数のチューブ3を通る間に該チューブ3の外側を流れる冷却水9との熱交換により冷却された後に、他方のボンネット6の内部に排出されてガス出口8からエンジンに再循環するようになっている。尚、図8における図中のxもシェル1の軸心延長線を示している。
【0006】
しかしながら、このようなEGRクーラにおいては、冷却水入口4からシェル1の内部に供給された冷却水9が、シェル1の内部断面に対して均等に冷却水出口5に向かって流れないという不具合があるため、経路11で示すように、シェル1内における冷却水入口4及び冷却水出口5に対峙する側の隅部近傍で冷却水9が澱んで冷却水停滞部12を生じ、冷却水停滞部12付近でチューブ3が局部的に高温になって熱変形を起こす虞れがあった。
【0007】
そこで、他の例のEGRクーラが構成されており、他の例のEGRクーラは、図10に示す如く、冷却水入口4に対してシェル1の直径方向で対峙する位置から冷却水出口5までシェル1の外部で延在するバイパス配管14を備えており、バイパス配管14は、冷却水入口4から導入された冷却水9の一部を抜き出し、冷却水入口4に対し直径方向に対峙する位置での冷却水9の澱みを解消して冷却水停滞部12の発生を防止し、チューブ3が局所的に高温になることを抑制している。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−74380号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、他の例のEGRクーラの如く、バイパス配管14をシェル1の外部に設けると、シェル1の周辺機器と干渉するため、車両への搭載性が著しく低下するという問題があった。
【0010】
本発明は、上述の実情に鑑みて成されたもので、冷却水停滞部の発生を防止すると共に車両への搭載性を向上させるEGRクーラを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、チューブと、該チューブを包囲するシェルと、該シェルの一方の端部に取り付けられる冷却水入口と、該冷却水入口に対してシェルの径方向で対峙する位置でシェルの他方の端部に取り付けられる冷却水出口とを備え、該シェルの内部に前記冷却水入口から冷却水を供給し且つ前記冷却水出口からシェルの外部に冷却水を排出し、前記チューブ内にディーゼルエンジンから排気ガスを導いて該排気ガスと前記冷却水とを熱交換するようにしたEGRクーラであって、
前記シェルの内側面に、シェルの軸線方向に沿って配置され且つシェルの径方向で冷却水出口側に位置するバイパス配管を備え、
前記バイパス配管は、冷却水入口に対してシェルの径方向で対峙する位置にバイパス入口を形成すると共に、シェルの軸方向に沿うバイパス本体から屈曲部を介して冷却水出口の内部まで延在してバイパス出口を冷却水出口の内部に配置し、
前記シェル内の冷却水を誘導してシェル内で生じる冷却水の澱みを解消するように構成されたことを特徴とするEGRクーラに係るものである。
【0012】
又、本発明の請求項2は、バイパス配管を、シェルの周面を湾曲して構成した請求項1に記載のEGRクーラに係るものである。
【0013】
【0014】
請求項1又は2に記載の発明によれば、シェル内で生じる冷却水の澱みを解消するよう、バイパス流路により冷却水を誘導するので、冷却水停滞部の発生を防止してチューブの局所的な高温化を抑制することができると共に、バイパス流路をシェルの内部に構成したので、シェルの周辺機器との干渉をなくし、車両への搭載性を向上させることができる。又、バイパス流路のバイパス出口を冷却水出口の内部へ配置すると、バイパス流路内の冷 却水を冷却水出口の負圧で吸引するので、冷却水を一層正確に誘導し、冷却水停滞部の発生を防止してチューブの局所的な高温化を更に確実に抑制することができる。
【0015】
請求項2に記載の如く、バイパス配管を、シェルの周面を湾曲して構成すると、簡単な構成でシェルの周辺機器との干渉を大幅に低減するので、車両への搭載性を容易に向上させることができる。
【0016】
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0018】
図1、図2は本発明の実施する形態の第一例を示すもので、図8〜図10と同一部分については同一符号を付してある。
【0019】
第一例のEGRクーラは、シェル1の内部に配置されるチューブ3の本数を低減して、シェル1の内部上側に、シェル1の内側面1aとプレート2,2とチューブ3で囲まれる所定の内部空間15を形成し、所定の内部空間15に冷却水9のバイパス流路を形成するよう、一本の配管からなるバイパス配管16をシェル1の軸心方向に沿ってシェル1の内側面1aに溶接,ろう付け等その他の固定方法で固定している。
【0020】
バイパス配管16は、冷却水入口4に対してシェル1の径方向で対峙する位置にバイパス入口16aを形成すると共に、シェル1の軸心方向に沿うバイパス本体16bから屈曲部16cを介して冷却水出口5の内部まで延在し、冷却水出口5の中途位置にバイパス出口16dを形成している。ここで、バイパス配管16の流路断面積は、流れ解析及び実機試験等により冷却水全水量の5〜15%が好ましく、バイパス入口16aは下方に向かって入口面積が広くなるよう斜めに形成されている。
【0021】
以下、本発明のEGRクーラを実施する形態の第一例の作用を説明する。
【0022】
排気ガス10との熱交換をし得るよう冷却水入口4からシェル1の内部に冷却水9を供給した際には、冷却水9が冷却水入口4からシェル1の内部を流れることにより、チューブ3を介して排気ガス10と熱交換をして冷却水出口5より排出されており、同時に、冷却水出口5の負圧で冷却水9がバイパス配管16に吸引されることにより、冷却水9の一部が冷却水入口4に対し直径方向に対峙する方向へ流れる。
【0023】
このように、第一例によれば、シェル1内で生じる冷却水9の澱みを解消するよう、バイパス流路により、冷却水9を、冷却水入口4に対し直径方向に対峙する方向へ誘導するので、冷却水停滞部の発生を防止することができる。又、シェル1の外周に存在した部材を排除するよう、バイパス流路をシェル1の内部に構成したので、シェル1の周辺機器との干渉をなくし、車両への搭載性を向上させることができる。
【0024】
バイパス流路を、バイパス配管16により構成すると、冷却水9を適確に誘導するので、冷却水停滞部の発生を確実に防止することができる。又、バイパス流路のバイパス出口16dを冷却水出口5の内部へ配置すると、バイパス流路内の冷却水9を冷却水出口5の負圧で吸引するので、冷却水9を一層適確に誘導し、冷却水停滞部の発生を更に確実に防止することができる。更に、バイパス配管16の流路断面積を冷却水全水量の5〜15%すると、冷却水停滞部の解消と熱交換の効率をバランスよく行うことができる。ここで、バイパス配管16の流路断面積を冷却水全水量の5%より小さくした場合には冷却水停滞部を好適に解消することができない。一方、バイパス配管16の流路断面積を冷却水全水量の15%より大きくした場合には、熱交換の効率が低下して好適に使用することができない。
【0025】
図3は本発明の実施する形態の第二例を示すものであり、図4は本発明の実施する形態の第三例を示すものであり、夫々、図8〜図10と同一部分については同一符号を付してある。
【0026】
第二例のEGRクーラは、シェル1の内部に配置されるチューブ3の本数を低減して、シェル1の内部上側に、シェル1の内側面1aとプレート2,2とチューブ3で囲まれる所定の内部空間15を形成し、所定の内部空間15に冷却水9のバイパス流路を形成するよう、湾曲したバイパス部材17をシェル1の内側面1aに溶接,ろう付け等その他の固定方法で固定して、シェル1の軸心方向に沿うバイパス配管19を構成している。ここで、第二例のバイパス部材17は、シェル1の軸線方向に沿って溝状に形成されると共に、垂直断面形状がV字部17aを備えた形状で上方端部にシェル1の内側面1aへ接する溶接,ろう付け等の固定部17bを形成している。
【0027】
一方、第三例のEGRクーラは、第二例と略同様に、シェル1の内部に配置されるチューブ3の本数を低減して、シェル1の内部上側に、シェル1の内側面1aとプレート2,2とチューブ3で囲まれる所定の内部空間15を形成し、所定の内部空間15に冷却水9のバイパス流路を形成するよう、湾曲したバイパス部材18をシェル1の内側面1aに溶接,ろう付け等その他の固定方法で固定して、シェル1の軸心方向に沿うバイパス配管20を構成している。ここで、第三例のバイパス部材18は、シェル1の軸線方向に沿って溝状に形成されると共に、垂直断面形状が底面18aと両側面18bを備えた形状で両側面の上方端部にシェル1の内側面1aへ接する溶接,ろう付け等の固定部18cを形成している。
【0028】
又、第二例及び第三例のバイパス配管19,20は、第一例と略同様に、冷却水入口4に対してシェル1の径方向で対峙する位置にバイパス入口を形成すると共に、シェル1の軸心方向に沿うバイパス本体から屈曲部を介して冷却水出口5の内部まで延在し、冷却水出口5の中途位置にバイパス出口を形成している。ここで、バイパス配管19,20の流路断面積は、第一例と略同様に、流れ解析及び実機試験等により冷却水全水量の5〜15%が好ましい。
【0029】
以下、本発明のEGRクーラを実施する形態の第二例及び第三例の作用を説明する。
【0030】
このように、第二例及び第三例によれば、バイパス配管19,20を形成する部材の量を低減するので、バイパス配管19,20を安価に形成することができる。又、第二例及び第三例によれば第一例と略同様な作用効果を得ることができる。
【0031】
図5は実施する形態の第一の参考例を示すもので、図8〜図10と同一部分については同一符号を付してある。
【0032】
第一の参考例のEGRクーラは、シェル1の内部に配置されるチューブ3の本数を低減して、シェル1の内部上側に、シェル1の内側面1aとプレート2,2とチューブ3で囲まれる所定の内部空間15を形成し、所定の内部空間15を冷却水9のバイパス流路として構成している。ここで、バイパス流路の流路断面積は、第一例と略同様に、流れ解析及び実機試験等により冷却水全水量の5〜15%が好ましい。
【0033】
以下、本発明のEGRクーラを実施する形態の第一の参考例の作用を説明する。
【0034】
第一の参考例に示す如く、バイパス流路を、チューブ3の本数を低減して形成されるシェル1の内部空間15で構成すると、バイパス流路を簡単に形成するので、冷却水停滞部の発生を容易に防止してチューブ3の局所的な高温化を確実に抑制することができる。又、バイパス流路を形成する部材の量を不要にするので、バイパス流路を一層安価に形成することができる。更に、第一の参考例によれば第一例と略同様な作用効果を得ることができる。
【0035】
図6は実施する形態の第二の参考例を示すものであり、図7は本発明の実施する形態の第四例を示すものであり、夫々、図8〜図10と同一部分については同一符号を付してある。
【0036】
第二の参考例のEGRクーラは、シェル1の上側の周面1bをシェル1の軸心方向に沿って上方に湾曲することによりシェル1の内部空間15を広げると共に、シェル1の内部に配置されるチューブ3の本数を低減して、シェル1の内部上側に、シェル1の内側面1aとプレート2,2とチューブ3で囲まれる所定の内部空間15を形成し、所定の内部空間15を冷却水9のバイパス流路として構成している。ここで、バイパス流路の流路断面積は、第一例と略同様に、流れ解析及び実機試験等により冷却水全水量の5〜15%が好ましい。
【0037】
一方、第四例のEGRクーラは、第二の参考例で形成された所定の内部空間15にバイパス流路を形成するよう、湾曲したバイパス部材21をシェル1の内側面1aに溶接,ろう付け等その他の固定方法で固定して、シェル1の軸心方向に沿うバイパス配管22を構成している。ここで、第四例のバイパス部材21は、第二例のバイパス部材17と略同様に、シェル1の軸線方向に沿って溝状に形成されると共に、垂直断面形状がV字部21aを備えた形状で上方端部にシェル1の内側面1aへ接する溶接,ろう付け等の固定部21bを形成している。又、第四例のバイパス配管22は、第一例と略同様に、冷却水入口4に対してシェル1の径方向で対峙する位置にバイパス入口を形成すると共に、シェル1の軸心方向に沿うバイパス本体から屈曲部を介して冷却水出口5の内部まで延在し、冷却水出口5の中途位置にバイパス出口を形成している。ここで、バイパス配管22の流路断面積は、第一例と略同様に、流れ解析及び実機試験等により冷却水全水量の5〜15%が好ましい。
【0038】
以下、本発明のEGRクーラを実施する形態の第二の参考例及び第四例の作用を説明する。
【0039】
このように、第二の参考例及び第四例に示す如く、バイパス流路を、シェル1の周面1bを湾曲して構成すると、簡単な構成でシェル1の周辺機器との干渉を大幅に低減するので、車両への搭載性を容易に向上させることができる。又、第二の参考例及び第四例によれば第一例と略同様な作用効果を得ることができる。
【0040】
尚、本発明のEGRクーラは、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0041】
【発明の効果】
上記した本発明のEGRクーラによれば、シェル内で生じる冷却水の澱みを解消するよう、バイパス流路により冷却水を誘導するので、冷却水停滞部の発生を防止してチューブの局所的な高温化を抑制することができると共に、バイパス流路をシェルの内部に構成したので、シェルの周辺機器との干渉をなくし、車両への搭載性を向上させることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施する形態の第一例を示す側方断面図である。
【図2】 図1のII−II矢視の断面図である。
【図3】 本発明を実施する形態の第二例を示す断面図である。
【図4】 本発明を実施する形態の第三例を示す断面図である。
【図5】 実施する形態の第一の参考例を示す断面図である。
【図6】 実施する形態の第二の参考例を示す断面図である。
【図7】 本発明を実施する形態の第四例を示す断面図である。
【図8】 従来のEGRクーラの一例を示す側方断面図である。
【図9】 図8のIX−IX矢視の断面図である。
【図10】 従来のEGRクーラの別の例を示す側方断面図である。
【符号の説明】
1 シェル
1b 周面
3 チューブ
4 冷却水入口
5 冷却水出口
9 冷却水
10 排気ガス
15 内部空間(バイパス流路)
16 バイパス配管(バイパス流路)
16c 屈曲部
16d バイパス出口
19 バイパス配管(バイパス流路)
20 バイパス配管(バイパス流路)
22 バイパス配管(バイパス流路)
Claims (2)
- チューブと、該チューブを包囲するシェルと、該シェルの一方の端部に取り付けられる冷却水入口と、該冷却水入口に対してシェルの径方向で対峙する位置でシェルの他方の端部に取り付けられる冷却水出口とを備え、該シェルの内部に前記冷却水入口から冷却水を供給し且つ前記冷却水出口からシェルの外部に冷却水を排出し、前記チューブ内にディーゼルエンジンから排気ガスを導いて該排気ガスと前記冷却水とを熱交換するようにしたEGRクーラであって、
前記シェルの内側面に、シェルの軸線方向に沿って配置され且つシェルの径方向で冷却水出口側に位置するバイパス配管を備え、
前記バイパス配管は、冷却水入口に対してシェルの径方向で対峙する位置にバイパス入口を形成すると共に、シェルの軸方向に沿うバイパス本体から屈曲部を介して冷却水出口の内部まで延在してバイパス出口を冷却水出口の内部に配置し、
前記シェル内の冷却水を誘導してシェル内で生じる冷却水の澱みを解消するように構成されたことを特徴とするEGRクーラ。 - バイパス配管を、シェルの周面を湾曲して構成した請求項1に記載のEGRクーラ。
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