JP4194226B2 - インクジェット記録装置および画像データ補正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録装置および画像データ補正方法に関し、詳しくは記録ヘッドの走査に対応して形成される記録領域の境界またはその近傍に生じる濃度むらを低減することが可能なインクジェット記録装置および画像データ補正方法に関するものである。
【0002】
なお、本発明は紙や布、不織布、OHP用紙等の記録媒体を用いてインクジェット方式により記録を行う機器全てに適用でき、具体的にそのような機器としては、プリンタ、複写機、ファクシミリなど事務機器や捺染機等の大量生産機器等を挙げることができる。
【0003】
【従来の技術】
従来、紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の記録媒体に対して記録を行うことができるインクジェット記録装置は、高密度かつ高速な記録が可能であることから、情報処理装置における情報出力装置として良く用いられている。例えば複写機、ファクシミリ、電子タイプライタ、ワードプロセッサ、ワークステーション等の記録部として、またパーソナルコンピュータまたはネットワークを介して接続するホストコンピュータで処理した情報を出録するためのプリンタとして用いられている。さらには光ディスク装置、ビデオ装置等に備えられるハンディまたはポータブルプリンタとしても用いられ、また商品化されている。
【0004】
この場合、インクジェット記録装置はこれら用いられる装置に固有の機能、使用形態に対応した構成をとることは勿論であるが、インクジェット記録装置は、一般に記録ヘッドまたはこれとインクタンクとを搭載するキャリッジと、記録媒体としての記録用紙を搬送する搬送機構とこれらを制御するための制御回路とを有する。そして、キャリッジに搭載した記録ヘッドを記録用紙に対し、その搬送方向(以下、副走査方向ともいう)と直交する方向(以下、主走査方向ともいう)に走査(以下、スキャンともいう)させるとともに、この走査の間に記録用紙を記録ヘッドの走査における記録幅に応じて搬送することにより記録用紙に順次記録を行うものである。
【0005】
この方法は、画像データに基づく記録信号に応じて記録ヘッドのノズルから記録用紙にインクを吐出して記録を行うものであり、ランニングコストが低廉であり、また記録に伴なって発生する騒音も比較的小さい記録方式として広く用いられている。また、ノズルを副走査方向に多数配列した記録ヘッドを用いることにより、一回の走査で記録できる記録領域の記録幅を大きくでき、これにより記録の高速化を達成することも可能となる。さらに最近では、このような記録ヘツドを3ないし4色分のインクについて搭載し、フルカラー記録を行うことが可能な装置も提供されている。このようなインクジェット記録装置は、一般にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3原色またはこれらにブラック(Bk)を含めた4色のインクにそれぞれ対応した記録ヘッドおよびインクタンクを備えたものである。
【0006】
この様な構成を有するインクジェット記録装置は、記録ヘッドにおけるノズルからのインクの吐出精度、あるいは記録ヘッドの走査に対応して行われる紙送り量の精度がある程度要求される。すなわち、記録ヘッドの吐出量や吐出方向のばらつきは記録画像における濃度むらとなって現れ、また、紙送り量のばらつきは走査毎の記録領域間の境界およびその近傍であるつなぎ部に、黒スジや白スジといった濃度むらを生じることがある。
【0007】
これらの要因を記録ヘッドや装置の製造段階で完全に除去することは難しく、特に要求される画質が高くなるにつれその困難性は増すばかりである。この点から濃度むらの要因を完全に除去するのではなく、多少の濃度むらがあってもこれらを目立たなくする記録方法が提案されている。
【0008】
また、普通紙やコート紙、更にはOHP用紙等、特性の異なる種々の記録媒体に記録を行なう機会も増え、濃度むらに関してそれぞれの記録媒体に適した記録方法も必要とされてきている。例えばコート紙や普通紙のように比較的速やかにインクが吸収される記録媒体では、濃度むらの一つであるつなぎスジは黒スジとして現れる場合が多い。特に著しい場合として、記録ヘッドの走査による記録領域問のつなぎ部に発生する黒すじが上げられる。これについては以下のように説明することができる。
【0009】
図1は、記録ヘッドの二回の走査で記録が行なわれたときの記録用紙におけるインクの状態について紙の厚さ方向の断面を模式的に示し、また、その状態によって実現される光学反射濃度を示すものである。先行する走査で吐出されたインクは、用紙において符号Aで示されるように浸透しそれによる濃度を示す。記録幅に応じて記録用紙を搬送した後、後続の走査で吐出されたインクは図中Bに示すように浸透する。この際、浸透領域Aに隣接する部分ではこの浸透領域Aの方に引きつけられる状態の浸透を生じて領域Cのような部分を生じる。これは、先行する走査において吐出され記録用紙に浸透したインクによって記録用紙への浸透力が強くなった状態にあり、その結果、先行する走査の浸透インクに次の走査のインクが引きよせられるような状態になると考えられる。このようなインク浸透の偏りによってこのつなぎ部の濃度は高くなり、黒スジを発生することになる。なお、上述の説明は各記録領域に対し一回の走査のみを行って記録を行なう方式に関するものである。
【0010】
以上のような濃度むらを解消するため、例えば特開平5−220977号公報では、記録の際記録ヘッドの各ノズルが対応する、画像データのそれぞれのラスター(データ)毎に濃度むらに関する補正を施すことにより、濃度むらを低減する、いわゆるヘッドシェーディング方法が提案されている。
【0011】
さらに本願の出願人は、走査による記録領域間の境界に隣接する所定の領域であるそれぞれのつなぎ領域のうち、少なくとも一方のつなぎ領域の記録を行うために記録ヘッドに供給される記録信号値のトータルを算出し、この記録信号値のトータルの大小に応じてそのつなぎ領域の記録を行うための記録信号値の大小について補正する方法を提案している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような構成によってつなぎ目に発生する濃度むらを低減することができるが、実装する上での問題があった。
【0013】
すなわち、ネットワークを介して構成されるシステムを含め、インクジェット記録装置がホストコンピュータに接続されて用いられる場合、記録すべき画像データの色処理などの画像処理等、負荷の大きい処理はホストコンピュータ側で行い、この処理によって記録装置の記録ヘッドでインクを吐出するか否かをそのまま表わす形態の画像データ、多くは2値の形態の画像データとしてそれを記録装置側に送る構成が広く用いられている。一方、記録装置側では例えば特開平8−207399号公報に開示されているように、記録速度の高速化のために画像データの空白部分をスキップして記録を行うといった、特殊な記録ヘッドの動きや記録媒体の搬送を行うことがある。このため、ホストコンピュータ側では、画像処理によって最終的に2値の画像データを作成する際、予め記録ヘッドの走査によって形成される各記録領域間のつなぎ部を判定するため記録装置における記録ヘッドや記録媒体の動作を考慮しなければならず、その処理によって処理速度を低下させてしまう問題がある。これに対し、記録装置側で記録領域間のつなぎ部を補正することも考慮されるが、ホストコンピュータから送られる2値化された画像データは濃度むらに関する情報量が少ないため、正確な補正量を算出することは比較的困難となる。
【0014】
本発明は上述した従来の問題点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、記録走査によるつなぎスジの発生を低減し、高品位の画像を記録することが可能なインクジェット記録装置および画像データ補正方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明では、インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して走査させながら、インクの吐出を示す2値データに基づいて前記記録ヘッドから前記記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドの連続する走査によって記録可能な、隣接する記録領域のつなぎ部を区画してなる複数の小領域毎に、当該小領域に対応する2値データの数をカウントするためのカウント手段と、前記小領域毎に、前記カウント手段によりカウントされた2値データの数に応じて得られる間引き数に基づいて前記2値データを間引く処理を行う間引き手段とを具え、前記小領域は、前記隣接する2つの記録領域に跨る領域であり、前記間引き手段は、第1の小領域についてカウントされた2値データの数に応じて得られる間引き数と前記第1の小領域における2値データの実際の間引き数との誤差を、第2の小領域についてカウントされた2値データの数に応じて得られる間引き数に加算し、当該誤差が加算された間引き数に基づいて前記第2の小領域における2値データを間引くことを特徴とする。
【0016】
別の形態では、インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して走査させながら、インクの吐出を示す2値データに基づいて前記記録ヘッドから前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録装置において使用される前記2値データを補正する方法であって、前記記録ヘッドの連続する走査によって記録可能な、隣接する記録領域のつなぎ部を区画してなる複数の小領域毎に、当該小領域に対応する2値データの数をカウントするカウント工程と、前記小領域毎に、前記カウント手段によりカウントされた2値データの数に応じて得られる間引き数に基づいて前記2値データを間引く処理を行う間引き工程とを有し、前記間引き工程では、ある小領域についてカウントされた2値データの数に応じて得られる間引き数と前記ある小領域における2値データの実際の間引き数との誤差を、他の小領域についてカウントされた2値データの数に応じて得られる間引き数に加算し、当該誤差が加算された間引き数に基づいて前記他の小領域における2値データを間引くことを特徴とする。
【0017】
以上の構成によれば、例えば記録ヘッドの走査と記録媒体の搬送によって順次走査ごとの記録領域が隣接して形成されることにより記録媒体に記録が行なわれて行くとき、各記録領域境界の近傍の所定領域であるつなぎ部の画像データについてインクを吐出する旨のデータ数を計数し、その計数値に応じてつなぎ部の画像データにおけるインクを吐出する旨のデータ数を減じる補正を行うので、つなぎ部における吐出インク量を減らすことができ、これにより、記録領域間の境で生じるインク浸透の違いによる濃度むらを低減することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
(実施形態1)
本発明の第一の実施形態について図2〜図6を参照して説明する。
【0020】
<記録装置概要>
図2は本実施形態にかかるインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視説明図である。
【0021】
図2において、1は紙あるいはプラスチックシートよりなる記録媒体としての記録シートであり、不図示のカセット等に複数枚積層されたシート1は給紙ローラ(不図示)によって一枚ずつ供給される。この給紙された記録シート1は、一定間隔を隔てて配置され夫々個々のステッピングモータ(図示せず)によって駆動される第1搬送ローラ対3および第2搬送ローラ対4によって図中矢印A方向に搬送される。
【0022】
C、M、Y、Bkそれぞれのインクについて用意される記録ヘッド5は個々の記録ヘッド毎にキャリッジ6に着脱自在に搭載され、その搭載された状態でそれぞれ記録シートの搬送方向(副走査方向)に所定数、例えば256個のインク吐出口(ノズル)を配設している。それぞれの記録ヘッド5で用いるインクは、同様にキャリッジ6に搭載される不図示のそれぞれ対応するインクカートリッジより供給され、これにより、各ノズルから記録信号に応じてインクを吐出することができる。それぞれの記録ヘッドは各ノズルに対応するインク路に電気熱変換素子を具え、この電気熱変換素子が記録信号に応じた電気パルスの印加によって発生する熱エネルギーを利用してインクに気泡を生じさせ、この気泡の生成圧力によってインクを吐出するものである。キャリッジ6にはベルト7の一部が接合し、これによりこのベルトおよびプーリ8a,8bを介してキャリッジモータ23の駆動力が伝達され、キャリッジ6の移動が可能となる。一方、キャリッジ6はガイドシャフト9と摺動可能に係合し、これに沿って往復移動できるように構成されている。以上のキャリッジの構成により、記録ヘッド5が図中矢印B方向に移動しながら記録信号に応じてインクを記録シート1に吐出して記録を行なう、記録のための走査が可能となる。
【0023】
記録ヘッド5は必要に応じてホームポジションに移動し吐出回復装置2によって所定の回復動作を行なう。例えば回復装置2のキャップによって各記録ヘッドのノズルが設けられた面を覆い、ノズル内から強制的にインクを排出させる、吸引回復や記録ヘッドの各ノズルから記録に関与しない吐出を行なう予備吐出等を行なうことができる。この回復動作によって各ノズルに生じている可能性のある増粘インクによる目づまり等を解消することが可能となる。
【0024】
以上の構成において、記録ヘッド5による走査およびその走査によって記録される記録領域の幅に応じた量の記録シート1の搬送を繰り返すことによって、記録シート1に画像データに応じた記録を行うことができる。
【0025】
図3は上記インクジェット記録装置における制御系の構成を示すブロック図である。
【0026】
本実施形態の制御系は図3に示すように、例えばマイクロプロセッサ等のCPU20a、CPU20aの制御プログラムや各種データを格納するROM20b、およびCPU20aのワークエリアとして使用されると共に、画像データなどの各種データの一時保管等を行うRAM20c等を有した制御系20、インターフェイス21、操作パネル22、各モータ(キャリッジ駆動用のモータ23、給紙ローラ駆動用のモータ24、第1搬送ーラ対駆動用のモータ25、第2搬送ローラ対駆動用のモータ26)を駆動するためのドライバ27、および記録ヘッド駆動ドライバ28を具えている。
【0027】
制御部20はインターフェイス21を介して、操作パネル22からの各種情報(例えば文字ピッチ、文字種類等)や、パーソナルコンピュータ等のホスト装置である外部装置29との画像データなどのI/O(情報の入出力)を行う。また、制御部20はインターフェイス21を介して各モータ23〜26を駆動させるためのON、OFF信号を出力し、また、ヘッドドライバ28に対して、各種制御信号や各ヘッド毎の記録信号を出力して各記録ヘッドの走査に応じたインク吐出を制御する。
【0028】
制御部20は、上記画像データの出力に際して後述するようにつなぎ部か否かの判定を行い、つなぎ部では画像データに対し後述するつなぎ処理を施した後、つなぎ部でない部分についてはホストコンピュータからの画像データに従った画像データを記録ヘッドヘ送る。
【0029】
本実施形態で用いるインクの組成を以下に示す。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
以上のようなインクジェット記録装置において実施される、黒スジの低減に関する画像データ補正方法について以下に具体的に説明する。
【0035】
<つなぎ補正方法>
本実施形態のつなぎ補正は、各走査で記録する画像データについて、記録ヘッドのノズル配列における上端部の5ノズルに対応した5画素分の画像データ、およびその走査の直前の走査における下端部の3ノズルに対応した3画素分の画像データをつなぎ部のデータとし、このデータに含まれる吐出する旨のデータ(以下では簡単にドットという)の数に応じて得られる数だけその走査の画像データからドットを間引く処理を行なうものである。なお、つなぎ部以外の画像データについてはホスト装置である外部装置から送られた画像データをそのまま用いる。
【0036】
図4はこの間引き処理の手順を示すフローチャート、図5は吐出データの数に応じて間引きドット数を定めるためのテーブルを模式的に示す図および図6は間引き処理を画像データバッファにおける画像データによって説明する図である。
【0037】
外部装置であるホストコンピュータから転送された画像データはRAM20bの画像データバッファに展開されるが、そのうちつなぎ部のデータを構成する記録ヘッドのノズル配列における上端部の5ノズルの画像データは、図6のデータD0に示すように、その前の走査の同様にノズル配列における下端部の3ノズルの画像データとともに展開されこれらに間引き処理が施される。図6において、1つの格子は1つの画素に対応しており、黒く示される格子は吐出する旨のデータ(ドット)を表わしている。本実施形態では、このバッファに展開される画像データはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色について2値の2次元画像プレーンを構成している。
【0038】
具体的には、画像データバッファは1走査にかかる1ライン分の画素領域よりも3ラスター分大きくとられており、図6のD0に示すように、バッファにおける最上位の行(ラスター)のデータは、直前の走査にかかる254番目目、すなわち最下端から3番目のノズルに対応する画像データである。また、バッファの上位から2番目のラスターは、255番目のノズルに対応し、3番目のラスターは256番目、すなわち、ノズル配列における最下端のノズルに対応した画像データである。
【0039】
そして、4番目のラスター以降が、その処理にかかる走査で用いられる画像データであり、4番目のラスターはノズル配列における最上位、すなわち1番目のノズルに対応した画像データを示している。同様に5番目のラスターは2番目のノズルに対応し、以降順次6〜8番目のラスターは3〜5番目のノズルに対応する画像データであり、これらが間引き処理にかかるつなぎ部の画像データを構成する。
【0040】
図4において、まずステップS41で、図6のD1に示すように各色の画像データについて第一列の8画素分の画像データに含まれるドット(吐出する旨のデータ)の数カウントしその合計値を得る。なお、本実施形態では、この8画素におけるドットの合計にかかるカウント値、つまり4色について8画素中に含まれるドット数は、4色×画素数なので、0〜32の範囲となる。
【0041】
次に、ステップS42で、このカウント値によって図5に示すテーブルを参照し、何ドット間引くかについて決定する。なお、本実施形態のテーブルは、その間引きドット数をインク色に無関係に設定するものであるが、このテーブルの内容はインク色に応じて変化させても良いことは勿論である。
【0042】
ステップS43、S44およびS45では、誤差の加算、その加算された誤差に基づく間引き処理およびその処理で生じた誤差の次の列への伝播を行なう。
【0043】
ドットの間引き方の規則は、各色の画像データについて境界bに近い画素のドットを優先して間引くとともに、異なる色間で境界bからの近さが同じ場合はその近さとそれぞれの8画素に含まれるドット数を考慮していずれの色のドットを間引くかを定める。具体的には、図6のD1に示すように、処理にかかる各色8画素のドットカウントの合計は14であり、このカウント値14によってテーブルを参照し、間引きドット数5.5を得る。そして、図6のD2に示すように、間引き数5.5のうち、境界bに最も近い1番目のノズルに対応する画素にそれぞれドットが存在するシアン、マゼンタ、イエローからドットを間引く。次に、2番目以降のノズルに対応する画素についても上述の間引きの規則に従ってドットを間引き、結果としてシアンが1ドット、マゼンタが1ドット、イエローが3ドットの合計5ドット間引く。
【0044】
ここで、間引きの誤差、すなわち、Δ=0.5は誤差バッファに蓄積されて次の列の処理において加算される。なお、間引く量の方が、ドット数より多い場合、間引くことができなかった数も誤差バッファに蓄積される。図6に示すように、同図のD2からD3への間引き処理では、カウント値11によってテーブルから得られる間引き量3.6にその前の列の処理にかかる誤差0.5を加算して4.1が間引き量となる。
【0045】
8画素の列ごとに以上の処理を繰り返すことにより、走査にかかる1ライン分についてつなぎ部の補正処理を行なうことができ、さらに走査ごとに上述の1ライン分の補正処理を行なうことにより、記録される画像全体において走査毎に形成される記録領域のつなぎ部に生じ得るすじ状の濃度むらを低減させることができる。
【0046】
なお、上記説明では、ドットの数をカウントする画像データとして直前の走査のものも含む構成としたが、本発明の効果を得る上でこのような構成に限られないことは勿論である。すなわち、直前に行なわれた走査の画像データを考慮せず、その走査にかかる画像データにおけるつなぎ部のデータ、上述の例では1番目〜5番目のノズルに対応する画素のデータについてドットをカウントしても良い。
【0047】
以上説明した本実施形態の間引き処理についてその詳細な手順をまとめると次のようになる。
【0048】
i)間引くエリア(列)の吐出ドット数を各色ごとにカウントし順位付けを行ない、また上記カウント値の合計によってテーブルを参照して間引くドット数を求める。
【0049】
図6に示す例の場合、(イエロー=6)>(シアン=5)>(マゼンタ=3)>(ブラック=0)のカウント値、順位付けおよびとなり、間引くドット数は図5に示すテーブルより5.5となる。
【0050】
ii)各色の境界から最も近い画素の吐出ドット数と上記で求めた間引くドット数とを比較し、間引くドット数が多ければすべて間引く。一方、間引くドット数が少なければ、上記順位に従って吐出ドット数の多い色から間引きを行なう。
【0051】
図6に示す例では、境界から最も近い画素、つまり各色の第1ノズルに対応する画素で吐出ドットはシアン、マゼンタ、イエローについて存在するから、(境界から最も近い画素の吐出ドット数=3)<(間引くドット数=5.5)となり、従って、これらの画素の吐出ドットは全てを間引く。これにより、シアン、マゼンタ、イエロ−についてそれぞれつなぎ部から最も近い画素(一番目の画素)から1ドット、合計3ドットが間引かれる。
【0052】
iii)上記ii)の処理で間引いた数だけ間引くドット数を減じる。その結果、間引くドット数が1以上である場合は、上記ii)の処理を繰り返す。一方、間引くドット数が1以下となった場合はその間引くドット数を誤差バッファに加えて次のエリア(列)の処理へ移行する。
【0053】
図6に示す例では、ii)の処理で間引いた数(3)減じると間引くドット数は2.5となり、(境界から最も近い画素の吐出ドット数=3)>(間引くドット数=2.5)であるから、上記i)で求めた順位に従い、イエロ−の二番目の画素、次にシアンの二番目の画素それぞれのドットを間引く。その結果、誤差が0.5となる。
【0054】
以上により、シアン、マゼンタ、イエローについて、それぞれ2、1、2ドットが間引かれることになる。そして最終的な誤差は0.5となり、これ誤差バッファに加え次の列の処理に移る。
【0055】
(実施形態2)
上述の実施形態1では、全ての色について間引きの仕方もしくは間引きの量を同じものとした。これに対し、本実施形態では、インク種類もしくは色に応じて間引く量を異ならせる。
【0056】
つなぎ目に発生し得るすじ状の濃度むらは、インクの記録媒体への浸透の仕方に起因して発生することは前述の通りである。しかし、インクの記録媒体に対する浸透性を全てのインクについて等しくすることは、インクの染料等の違いやインクとして満足するべき保存性や吐出の安定性を考慮すると比較的困難である。一方で、走査のつなぎ目に発生するすじ状の濃度むらは全ての色の合計吐出インク量に依存するという事実もある。このため、インクごとに補正テーブルを設定しこれに応じてインクごとに間引き量を定めたのでは適正な補正を行うことは困難である。そこで、本実施形態ではドット数をカウントする際にインク(の浸透性)ごとに重み付けを行うものとする。
【0057】
本実施形態で使用するインクの組成を以下に示す。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
本実施形態では、上記イエローインクの浸透性が弱いために、イエローに関するドットカウントの値を重み付けとして0.5倍する。これにより、走査のつなぎ部に発生するすじ状の濃度むらを低減させることができた。
【0063】
(その他の実施形態)
一つのノズルから吐出されるインクの量を変調できる記録ヘッドを用いる場合、この特性を利用してつなぎ部のインク量を補正してもよい。
【0064】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば例えば記録ヘッドの走査と記録媒体の搬送によって順次走査ごとの記録領域が隣接して形成されることにより記録媒体に記録が行なわれて行くとき、各記録領域境界の近傍の所定領域であるつなぎ部の画像データについてインクを吐出する旨のデータ数を計数し、その計数値に応じてつなぎ部の画像データにおけるインクを吐出する旨のデータ数を減じる補正を行うので、つなぎ部における吐出インク量を減らすことができ、これにより、記録領域間の境で生じるインク浸透の違いによる濃度むらを低減することが可能となる。
【0065】
この結果、ホスト装置での処理を必要とせず簡易な構成で黒スジ等の濃度むらの低減された高品位な記録を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】記録ヘッドの走査毎の記録領域のつなぎ部に発生する濃度むらを説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】上記記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるつなぎ部の間引き処理を示すフローチャートである。
【図5】上記間引き処理に用いられるテーブルを模式的に示す図である。
【図6】上記間引き処理をバッファにおける画像データの形態で説明する図である。
【符号の説明】
5 記録ヘッド
6 キャリッジ
20 制御部
20a CPU
20b RAM
20c ROM
21 インターフェース
22 操作パネル
23 キャリッジモータ
24 給紙モータ
25 第1搬送ローラ駆動モータ
26 第2搬送ローラ駆動モータ
27 ドライバ
28 ドライバ
29 外部装置
Claims (5)
- インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して走査させながら、インクの吐出を示す2値データに基づいて前記記録ヘッドから前記記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
前記記録ヘッドの連続する走査によって記録可能な、隣接する記録領域のつなぎ部を区画してなる複数の小領域毎に、当該小領域に対応する2値データの数をカウントするためのカウント手段と、
前記小領域毎に、前記カウント手段によりカウントされた2値データの数に応じて得られる間引き数に基づいて前記2値データを間引く処理を行う間引き手段とを具え、
前記小領域は、前記隣接する2つの記録領域に跨る領域であり、
前記間引き手段は、第1の小領域についてカウントされた2値データの数に応じて得られる間引き数と前記第1の小領域における2値データの実際の間引き数との誤差を、第2の小領域についてカウントされた2値データの数に応じて得られる間引き数に加算し、当該誤差が加算された間引き数に基づいて前記第2の小領域における2値データを間引くことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記記録領域のそれぞれは複数のラスタで構成され、前記つなぎ部は前記隣接する記録領域の境界の近傍のラスタで構成され、当該つなぎ部を構成する近傍のラスタは前記隣接する記録領域の両方のラスタを含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記間引き手段は、前記境界から相対的に近いラスタに対応した前記インクの吐出を示す2値データを、前記境界から相対的に遠いラスタに対応した前記インクの吐出を示す2値データよりも優先して間引くことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記間引き手段は、前記インクの色に応じて前記データの間引き数を異ならせることを特徴とする請求項1乃至3に記載のインクジェット記録装置。
- インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して走査させながら、インクの吐出を示す2値データに基づいて前記記録ヘッドから前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録装置において使用される前記2値データを補正する方法であって、
前記記録ヘッドの連続する走査によって記録可能な、隣接する記録領域のつなぎ部を区画してなる複数の小領域毎に、当該小領域に対応する2値データの数をカウントするカウント工程と、
前記小領域毎に、前記カウント手段によりカウントされた2値データの数に応じて得られる間引き数に基づいて前記2値データを間引く処理を行う間引き工程とを有し、
前記間引き工程では、ある小領域についてカウントされた2値データの数に応じて得られる間引き数と前記ある小領域における2値データの実際の間引き数との誤差を、他の小領域についてカウントされた2値データの数に応じて得られる間引き数に加算し、当該誤差が加算された間引き数に基づいて前記他の小領域における2値データを間引くことを特徴とするデータ補正方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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