JP4192822B2 - 磁気特性および被膜特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性および被膜特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気特性および被膜特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法に関し、特に、均一なフォルステライト被膜を工業的に安定して得ることができる方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
変圧器や発電機の鉄心材料として使用される方向性電磁鋼板は、磁束密度が高く、鉄損が低いことが求められる。そこで今日に至るまで、方向性電磁鋼板の低鉄損化を実現するために、種々の研究開発が行なわれてきた。中でも最も重視されてきた開発課題は、最終仕上焼鈍後の鋼板の結晶方位を、ゴス方位と呼ばれる{110}<001>方位に高度に集積させることである。というのは、鉄結晶の磁化容易軸方向である結晶方位<001>を圧延方向に高度に集積させることにより、圧延方向への磁化に要する磁化力が小さくなり、保磁力が低下する結果、ヒステリシス損が低下し、鉄損が低減されるからである。
方向性電磁鋼板に求められる他の重要な特性としては、磁化した際の騒音が小さいことが挙げられる。しかしこの特性も、結晶方位をゴス方位に揃えることにより改善される。すなわち、変圧器から生じる騒音は、鉄心素材の磁歪振動や電磁振動に起因することが知られているが、結晶方位のゴス方位への集積度を高めることにより、磁歪振動の原因となる90°磁区の生成が抑制され、励磁電流が低下して電磁振動が抑制される結果、騒音が低減される。
上記のように、方向性電磁鋼板にとって、結晶方位<001>の圧延方向への集積度を高めることは、最も重要な開発課題である。結晶方位の集積度の指標としては、B8(磁化力800A/mにおける磁束密度)が用いられる場合が多く、方向性電磁鋼板の開発はB8の向上を大きな目標として推進されていると言っても過言ではない。また、鉄損の代表的な値としては、励磁磁束密度1.7T、励磁周波数50Hzの場合のエネルギー損失であるW17/50が一般的に使用されている。
上記のような{110}<001>方位に高度に集積した結晶組織は、最終仕上焼鈍中に起こる二次再結晶と呼ばれる現象を通じて形成される。即ち、上記二次再結晶によってゴス方位の結晶粒を優先的に巨大成長させることにより、所望の磁気特性を有する製品を得ることができる。
二次再結晶粒のゴス方位への集積を効果的に促進するためには、一次再結晶粒の成長を選択的に抑制するインヒビターと呼ばれる析出分散相を、均一かつ適正なサイズで形成させることが重要である。このインヒビターの存在によって、一次再結晶粒の正常粒成長が抑制され、最終仕上焼鈍中に高温まで細かい一次再結晶粒の状態が維持されるとともに、磁気特性にとって好ましい方位の結晶粒成長に対する選択性が高まる結果、高磁束密度が実現される。一般に、インヒビターが強力で正常粒成長に対する抑制力が強いほど、高いゴス方位集積度が得られると考えられている。
このような働きを有するインヒビターとしては、AlN,BN,MnS,MnSe,Cu2-XS,Cu2-XSe等、鋼への溶解度の小さい物質が用いられる。例えば、特許文献1や特許文献2には、素材中にAlを含有させ、最終冷延圧下率を81〜95%の高圧下とするとともに、最終冷延前の焼鈍で強力なインヒビターであるAlNを析出させる技術が開示されている。
また、上記のインヒビター成分に加えてさらに、Ni,Sn,Sb,P,Cr,Te,Bi,Pb等を補助的に添加することが、二次再結晶粒の方位集積度の向上に対して有効であることが知られている。これらの補助的なインヒビター元素は、結晶粒界や鋼板表面に偏析することで、析出型の主インヒビターであるAlN,BN,MnS,MnSe,Cu2-XS,Cu2-XSe等と共同して正常粒成長の抑制力を強化し、磁気特性を高める働きを有する。
しかしながら、これらの偏析型の補助的なインヒビター(以下、「副インヒビター」と称する)を鋼中に含有する素材を用いた方向性電磁鋼板の製造において、最終仕上焼鈍中に鋼板表面に生じるフォルステライト被膜の形成が不良となったり、あるいは、製品の被膜外観や絶縁被膜の密着性が劣化したりすることが知られている。
このようなフォルステライト被膜の形成不良に対する対策に対しては数多くの改善策が提案されている。例えば、特許文献3には、最終仕上焼鈍の際に用いる焼鈍分離剤の含水率を0.3〜3%の範囲に調節する方法が、特許文献4には、脱炭焼鈍板の酸素目付量を550〜850ppmの範囲に調整する方法が、また、特許文献5には、焼鈍分離剤に用いるMgOのIg−Loss値を0.4〜1.5%に調整する方法が、さらに特許文献6には、最終仕上焼鈍における雰囲気ガス流量を適正に調整する方法などが提案されている。しかし、これらの技術はいずれも、従前の方向性電磁鋼板における製造条件を最適化するに留まるものであり、被膜の改善効果が必ずしも高いとは言えない。
一方、上記の技術とは別に、焼鈍分離剤の主剤であるMgOに種々の添加物を添加することにより、従来技術の問題点を解決しようとすることが検討されている。例えば、特許文献7には、添加物としてアルカリ金属化合物を用いることにより、被膜外観や被膜密着性がある程度の改善されることが開示されている。
特公昭33−004710号公報 特公昭40−015644号公報 特開平11−229036号公報 特開平10−152725号公報 特開平10−025516号公報 特開平09−003542号公報 特開2003−342642号公報
しかし、最終仕上焼鈍においては、鋼板は、焼鈍分離剤を塗布・乾燥してコイル状に巻き取った状態で、かつ鋼板の幅方向の片側側面を下にした状態で焼鈍される。そのため、最終仕上焼鈍中におけるコイルの内巻、中巻、外巻およびコイル幅方向で、温度や鋼板と接する雰囲気等の熱処理条件に違いが発生する。例えば、コイルの内巻や外巻は、焼鈍雰囲気の影響を受けやすく、一方、コイルの中巻は、焼鈍分離剤に含まれる水分が抜けにくいため、部分的に高露点になったりする。そのためコイルの長手方向もしくは幅方向の位置によって、磁気特性や被膜特性にばらつきを生じる。この様な焼鈍条件のばらつきに対しては、添加物の量を精度良くコントロールする必要がある。しかし、これだけでは、磁気特性や被膜外観、被膜密着性のばらつきを解消することはできない。
さらに近年では、方向性電磁鋼板は、自動車部品や小型モータの分野でも使用されるようになり、従来の鋼板以上に強加工がされるようになった。すなわち、従来、トランスに使用される場合には、スリットで切断される程度の軽度の加工であったのに対し、上記用途においては、20mmφ以下の曲げ加工やプレス加工などの強加工が行われるようになってきた。そのため、従来にも増して被膜密着性向上への要求が強まりつつある。
これらの課題に対しては、上記従来技術を適用することでいくらかの改善は可能である。しかし、副インヒビターを使用することにより被膜形成が阻害されるという弊害を完全に払拭するには至っておらず、被膜密着性の良好な製品を歩留まり良く製造するには多くの課題が残されているのが現状である。
本発明の目的は、副インヒビターを含有する素材において生じる上記のような被膜欠陥の発生を防止し、もって、外観および被膜密着性に優れるフォルステライト被膜を有し、かつ磁気特性にも優れる方向性電磁鋼板を有利に製造する方法を提案することにある。
発明者らは、従来技術が抱える上記問題点の解決に向けて鋭意検討を重ねた。その結果、最終仕上焼鈍の前に塗布される焼鈍分離剤スラリーの調製方法を適正化する、すなわち、マグネシアを主剤とする焼鈍分離剤スラリーを調製するに際して、添加物として水溶性化合物を添加する場合には、その添加方法を適正化することにより、副インヒビターを含有する素材における問題点を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、C:0.01〜0.10mass%、Si:1.0〜5.0mass%を含み、さらに主インヒビター成分と副インヒビター成分とを含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる珪素鋼スラブを熱間圧延し、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚とし、次いで、一次再結晶焼鈍した後、マグネシアを主剤とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布して最終仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
上記主インヒビター成分は、AlN,BN,MnS,MnSe,Cu 2−x SおよびCu 2−x Seのうちのいずれか1種以上で、かつ、MnS,MnSe,Cu 2−x SおよびCu 2−x Seを用いる場合には、CuとMnの合計量:0.03〜0.30mass%、SとSeの合計量:0.01〜0.03mass%であり、AlNを用いる場合には、Al:0.004〜0.04mass%、N:0.0030〜0.0120mass%であり、BNを用いる場合には、B:0.0010〜0.015mass%、N:0.0030〜0.0120mass%であり、
上記副インヒビター成分は、Ni:0.01〜1.50mass%、Sb:0.005〜0.50mass%、P:0.005〜0.50mass%、Cr:0.01〜1.50mass%、Te:0.003〜1.50mass%、Bi:0.003〜1.50mass%、Sn:0.01〜0.50mass%およびPb:0.003〜1.50mass%の中から選ばれる1種または2種以上であり、
上記焼鈍分離剤は、下記;
A群:水酸化ストロンチウム:マグネシア100質量部に対して0.1〜10質量部
B群:水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのうちの1種または2種以上:マグネシア100質量部に対して合計0.001〜1.5質量部
C群:塩化マグネシウム:マグネシア100質量部に対して0.001〜0.1質量部
のうちの少なくとも1群の水溶性化合物水溶液としてマグネシア100質量部に対して合計で0.001〜10質量部添加したものであることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法である。
また、本発明において、上記水溶性化合物を添加する場合には、マグネシアと前記水溶性化合物以外の添加物と純水とを混合して得たスラリーに、水溶性化合物の水溶液を添加することを特徴とする。
さらに、本発明において、上記水溶性化合物を添加する場合には、水溶性化合物の水溶液と前記水溶性化合物以外の添加物とマグネシアと純水とを同時に混合することを特徴とする。
本発明によれば、被膜特性に優れかつ高い磁束密度を有する方向性電磁鋼板を安定的に製造すること可能であり、品質の向上、ひいては生産性の向上に大いに寄与する。
本発明を開発する契機となった実験について説明する。
表1に示したA〜Hの成分組成を有する鋼塊を素材とし、常法により製造した板厚0.23mmの冷延板を、加熱領域の雰囲気の露点を58℃、酸化性(PH2O/PH2)を0.38、均熱領域の雰囲気の露点を60℃、酸化性(PH2O/PH2)を0.41とし、840℃×2分の脱炭焼鈍を行った。この鋼板に、マグネシア(MgO)100質量部に対して、水に不溶な添加物として酸化チタン3質量部と、水に可溶な添加物として水酸化ストロンチウムを種々の量に変化させて添加して、水和を20℃×30分間行った焼鈍分離剤スラリーを、目付量12g/m2(両面)で塗布・乾燥し、その後、最終仕上焼鈍として、830℃までを46時間かけて昇温し、830℃で43時間保定したのち830〜1150℃を平均昇温速度25℃/hrで昇温し、1150℃〜1200℃の滞留時間を20時間とするヒートパターンの焼鈍を施した。
Figure 0004192822
このようにして得た最終仕上焼鈍後の鋼板について、被膜の曲げ密着性と磁束密度B8を測定した。なお、曲げ密着性は、鋼板の表面にリン酸マグネシウムとコロイダルシリカを主成分とする絶縁被膜を形成した後、該鋼板を5mm間隔で直径を変化させた丸棒に巻き付け、被膜が剥離しない最小径(直径)を各鋼板3ヶ所の表裏面で調査し、その平均値で評価した。また、磁束密度B8は、エプスタイン試験法により測定した。図1は、被膜の曲げ密着性と磁束密度B8に及ぼす水酸化ストロンチウムの添加量の影響について示したものである。図1から、水酸化ストロンチウムの添加量によって被膜の密着性は変化し、ある範囲において被膜の密着性は良好となるが、その適正範囲は、鋼板ごと、即ち、成分組成によって異なること、また、その適正範囲においても、得られる被膜密着性は大きくばらついていることがわかる。
そこで、被膜の密着性がばらつく原因について、水酸化ストロンチウムの添加量以外の要因について再度検討したところ、焼鈍分離剤の混合条件に差があることがわかった。すなわち、マグネシアと酸化チタンと水酸化ストロンチウムとを混合する際、その混合の順序により被膜密着性が異なる、具体的には、(1) 水酸化ストロンチウムを純水と混合し、その後、マグネシアを投入した場合、(2) マグネシアと純水とを混合し、その後、水酸化ストロンチウムを投入した場合、(3) マグネシアと水酸化ストロンチウムとを同時に純水を加えて混合した場合とでは、水酸化ストロンチウムの最適な添加量が異なること、特に、上記(3)の場合には、被膜密着性と磁気特性のバラツキが大きくなることが明らかになった。
上記のような結果が得られた原因について、発明者らは、以下のように考えている。
主インヒビターおよび副インヒビターは、最終仕上焼鈍中における結晶粒界の移動度を低下させることにより、二次再結晶によるゴス方位の優先成長を促し、集積度を高めて磁束密度を向上させる。しかし、最終仕上焼鈍時には、マグネシアの水和水により露点が上昇し、高酸化性雰囲気下で鋼板が焼鈍されるため、鋼板表層ではインヒビターが酸化してしまい、この酸化物が脱炭焼鈍時に生成した内部酸化層中のSiO2を地鉄−被膜界面に凝集させてしまう。これにより、地鉄−被膜間の凹凸がなくなり、被膜が剥落し易くなり被膜の密着性の低下を引き起こすものと考えられる。
上記実験結果では、焼鈍分離剤に水酸化ストロンチウムを添加した場合、被膜の密着性の改善効果には大きなバラツキがあった。従来、水酸化ストロンチウムは、被膜の凹凸を増加させ密着性を改善する効果を有することが知られているが、その効果にバラツキが有る原因については不明であった。しかし、本発明の知見によって、焼鈍分離剤のスラリーを調製する際の作業手順により、水酸化ストロンチウムの最適添加量が変化し、また被膜密着性の改善効果も大きく変化することが明らかとなった。
スラリー調製手順により被膜密着性の改善効果に違いがでる理由は、次にように考えられる。まず、水酸化ストロンチウムは、一旦、水に溶解することで、スラリー乾燥時に鋼板表面に微細に析出し、最終仕上焼鈍における鋼板への被膜形成に寄与しやすくなる。ここで、マグネシアに純水を加えて攪拌しスラリーとすると、マグネシアの表面が水酸化マグネシウムに変化するとともに、水分子が水酸化マグネシウム表面に配位し、スラリー溶液はアルカリ性に変化する。一方、水酸化ストロンチウムは、純水には容易に溶けるが、アルカリ溶液には溶けにくく、また、水酸化マグネシウムに配位している水分子には溶けにくい。その結果、水酸化ストロンチウムの溶解が不十分となる。つまり、焼鈍分離剤のスラリーを調製する手順が変化すると、水酸化ストロンチウムの溶解量が変化し、その溶解量の差が最適添加量の変化として現れたものと考えられる。
工業的に焼鈍分離剤スラリーを調製する手順は、攪拌容器に、主剤である粉体のマグネシアをホッパーから切り出し、次いで、必要な添加物を粉体の状態でホッパーから切り出し、最後に純水を投入し、その後、所定時間攪拌して水和し、スラリーとするのが一般的である。しかし、この方法では、投入された純水が、マグネシアと水酸化ストロンチウムとに同時に触れるため、純水が投入される際の水勢や攪拌条件、その他条件によって微妙に水酸化ストロンチウムの溶解量が異なってしまう。そのため、最適添加量がスラリーを調整するごとに異なることになり、製品の磁気特性、被膜特性の安定性を損ねることになる。
鋼板に塗布した焼鈍分離剤スラリーは、その後、乾燥されるので、従来、上記のような水酸化ストロンチウムの微妙な溶解量の差は、方向性電磁鋼板の特性には影響しないものと考えられていた。しかし、乾燥後の焼鈍分離剤中に存在する水酸化ストロンチウムを観察したところ、水に一旦溶解した水酸化ストロンチウムの一部が炭酸ストロンチウムに変化していることが新たにわかった。つまり、スラリーの乾燥過程で、水酸化ストロンチウムの一部が、空気中の二酸化炭素と反応して炭酸ストロンチウムを形成し、被膜形成に有効な水酸化ストロンチウムの溶解量が実質的に少なくなってしまう。そのため、スラリー化したときの水酸化ストロンチウムの溶解量が、最終仕上焼鈍中のストロンチウムの被膜形成作用により強く影響したものと考えられる。なお、炭酸ストロンチウムは、それ自体は被膜改善効果を有するものの、最終仕上焼鈍中にその効果が発揮される温度域が水酸化ストロンチウムとは異なるため、炭酸ストロンチウムの比率が高くなると不安定要因となる。
以上の知見から、焼鈍分離剤に添加される水溶性化合物として、水酸化ストロンチウム以外の水酸化物についても、スラリーの混合手順が被膜特性・磁気特性に及ぼす影響について調査した。先ず、アルカリ金属の水酸化物として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムについての実験を行った。これらの水酸化物はいずれも、マグネシアへの微量の添加により緻密なフォルステライトを主体とする被膜形成を促進すること、一方、過剰な添加は、フォルステライトが部分的に過剰に生成することによって引き起こされる点状の被膜欠陥を引き起こすこと、さらに、多量の添加により、フォルステライト被膜を最終的に全面剥離させることにも利用できることが知られている。このように微妙な添加量の差が被膜特性に大きな影響を与えることから、これらの水酸化物を利用するに際しては、鋼板の組成や脱炭工程で形成される内部酸化層の違い等に応じて、添加量を微妙に変化させる必要があると考えられるからである。
C:0.07mass%、Si:3.35mass%、Mn:0.07mass%、S:0.018mass%、Al:0.024mass%、N:0.0088mass%、Cu:0.15mass%および副インヒビター元素としてSn:0.080mass%、Mo:0.035%を含有し、残部が実質的にFeからなる成分組成を有する鋼塊を素材とし、常法により製造した板厚0.23mmの冷延板を、加熱および均熱領域の雰囲気の露点を60℃、酸化性(PH2O/PH2)を加熱帯0.40、均熱帯0.41とし、820℃×2分間の脱炭焼鈍を行った。その後、上記脱炭後の鋼板表面に、表2のA1〜F2に示す条件で、マグネシア100質量部に対するアルカリ金属水酸化物の添加量を変えて調製した焼鈍分離剤スラリーを、両面の目付量12g/m2で塗布、乾燥した。その後、860℃までを46時間かけて昇温し、860℃で20時間保定した後、860〜1150℃を平均昇温速度25℃/hrで昇温し、1150℃〜1200℃の滞留時間を20時間とするヒートパターンからなる最終仕上焼鈍を施した。
Figure 0004192822
図2は、最終仕上焼鈍後の鋼板における被膜の曲げ密着性と磁束密度に及ぼすスラリー調製方法の影響を示したものである。この図2から、アルカリ金属の水酸化物を、水で溶解して水溶液としてから添加することで、被膜密着性と磁気特性が共に良好となる添加量の範囲が広がることがわかる。なお、アルカリ土類金属の水酸化物としては、前記水酸化ストロンチウムの他に、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
上記のような結果が得られた原因については、以下のように考えている。鋼板の素材中に、被膜の形成を阻害するような副インヒビター成分を添加した場合には、この副インヒビター成分の影響によってSiO2が地鉄−被膜界面に濃化し、粗雑な被膜が形成されやすくなる。そこで従来は、これを防止するために、焼鈍分離剤中にアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物を微量添加しているが、この効果を安定的に発揮させるためには、スラリー中および乾燥後の焼鈍分離剤中に存在するアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物の形態が安定しかつ均一、すなわち、マグネシアの表面等に析出する形状や粒度、量が所定の範囲であることが必要であるためと考えられる。
上記アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物とよく似た働きをするものに、塩化物がある。特に、塩化マグネシウムは水溶性であるため、この塩化マグネシウムに対しても同様の実験を下記の要領で行った。
C:0.09mass%、Si:3.80mass%、Mn:0.08mass%、Se:0.024mass%、Al:0.027mass%、N:0.0082mass%、Cu:0.15mass%および副インヒビター元素として、Bi:0.020mass%、Ni:0.08%を含有し、残部が実質的にFeからなる成分組成を有する鋼塊を素材とし、常法により得た板厚0.30mmの冷延板を、加熱帯の雰囲気の露点を60℃、均熱帯の雰囲気の露点61℃とし、雰囲気酸化性(PH2O/PH2)を加熱帯0.40、均熱帯0.41として850℃×100秒の脱炭焼鈍を行い、その後、表2のG〜Iに示す条件で、マグネシア100質量部に対する塩化マグネシウムの添加量を変えて調製した焼鈍分離剤スラリーを両面目付量12g/m2として鋼板表面に塗布、乾燥した。その後、860℃までを46時間かけて昇温し、860℃で20時間保定した後、860〜1150℃を平均昇温速度25℃/hrで昇温し、1150℃〜1200℃の滞留時間を20時間とするヒートパターンで最終仕上焼鈍を施した。
図3は、最終仕上焼鈍後の鋼板における被膜の曲げ密着性と磁束密度に及ぼすスラリー調製方法の影響を示したものである。この図3から、塩化マグネシウム場合も、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物と同様に、水で溶解して水溶液としてから添加することで、被膜密着性と磁気特性がともに良好となる、すなわち、純水で塩化物を溶解させてからスラリーに添加することで、その効果が少量で現れるとともに磁気特性と被膜特性の安定性が増すことがわかる。なお、従来から、主剤のマグネシアには塩素が不純物として存在し、それが被膜の形成に影響を及ぼすことが知られているが、その挙動は明確ではない。したがって、上記結果が得られる理由は十分解明されていないが、鋼板に塗布したスラリーの乾燥時における塩化マグネシウムのマグネシア表面への析出状態が、スラリー調製手順の違いによって大きく変化するためと考えられる。
本発明は、上記のような知見に基づき開発したものである。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の素材が有すべき好適な成分組成について説明する。
C:0.01〜0.10mass%
Cは、変態を利用して熱延組織を改善するのに有用な元素であるとともに、ゴス方位の結晶粒の発生に有用な元素であり、0.01%以上含有させる必要がある。しかし、0.10%を超えると、脱炭焼鈍において脱炭不良を起こす。よって、Cは、0.01〜0.10mass%の範囲に限定する。好ましくは、0.03〜0.08mass%である。
Si:1.0〜5.0mass%
Siは、電気抵抗を高めて鉄損を低下させるとともに、鉄のα相を安定化させて高温の熱処理を可能とするために必要な元素であり、少なくとも1.0mass%を必要とする。しかし、5.0mass%を超す添加は、硬質化して冷間圧延が困難となる。よって、Siは1.0〜5.0mass%に限定する。好ましくは、2.0〜4.0mass%である。
主インヒビター
C,Siの他に、インヒビターを構成する成分を添加する必要がある。析出型である主インヒビターとしては、窒化物、硫化物もしくはセレン化物であるAlN,BN,MnS,MnSe,Cu2-XS,Cu2-XSe等がよく知られているが、これらのいずれを用いてもよく、また、これらの2種以上を複合して用いてもよい。主インヒビターに、MnS,MnSe,Cu2-XS,Cu2-XSeを用いる場合には、CuとMnの合計量:0.03〜0.30mass%、SとSeの合計量:0.01〜0.03mass%の範囲とするのが好ましい。また、AlNを主インヒビターに用いる場合には、Al:0.004〜0.04mass%、N:0.0030〜0.0120mass%、BNを主インヒビターに用いる場合には、B:0.0010〜0.015mass%、N:0.0030〜0.0120mass%にするのが好ましい。いずれの成分も、上記範囲よりも含有量が少ないと、インヒビターとして効果が得られず、逆に、高いと二次再結晶が不安定になる。
副インヒビター
主インヒビターの他に、副インヒビターとして、Ni:0.01〜1.50mass%、Sn:0.01〜0.50mass%、Sb:0.005〜0.50mass%、P:0.005〜0.50mass%、Cr:0.02〜1.50mass%、Te:0.003〜1.50mass%、Bi:0.003〜1.50mass%、Pb:0.003〜1.50mass%の中から選ばれる1種または2種以上を添加する必要がある。これらの副インヒビターは、一次再結晶粒の粒界に優先的に濃化して、焼鈍中の粒界の移動度を低下し二次再結晶開始温度を上昇させるので、磁束密度を向上させる作用がある。そこで、これらの成分を、AlN,BN,MnS,MnSe,Cu2-XS,Cu2-XSeのような析出型の主インヒビターと同時に鋼中に存在させることにより、相乗的に磁気特性の向上に有効に作用する。これらの副インヒビター成分の添加量が上記の量に満たないと、粒界への濃化による正常粒成長を抑制する効果が発揮されず、逆に、上記範囲を超える含有量では、本発明の技術をもってしても被膜外観の劣化を防止することができなくなる。なお、これら副インヒビターは、単独添加あるいは複合添加のいずれでも構わない。
なお、上述した主インヒビター、副インヒビター成分の他に、さらに磁気特性、被膜特性を改善するために、Mo,V,Nb等を添加してもよい。これらの元素の添加量が0.005mass%を下回ると、上記改善効果は得られず、一方、0.5mass%を超えて添加すると、却って製品の磁気特性、被膜特性の劣化を招く。よって、これらの元素はそれぞれ0.005〜0.50mass%の範囲で添加することが好ましい。
次に、本発明に係る方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
上記成分組成に調整された鋼スラブを、インヒビター成分の固溶温度以上の高温に加熱してから熱間圧延し、焼鈍処理と冷間圧延とを組み合わせて最終板厚とし、その後、脱炭焼鈍と最終仕上焼鈍を施した後、絶縁張力被膜を焼き付けて方向性電磁鋼板の製品とする。ここで、最終板厚とする方法には、1) 熱間圧延後、熱延板焼鈍を施してから中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延で最終板厚とする方法、2) 熱間圧延後、熱延板焼鈍を施してから1回の冷間圧延で最終板厚とする方法、3) 熱間圧延後、熱延板焼鈍を施すことなく中間焼鈍を含む2回の冷間圧延で最終板厚とする方法等があるが、本発明では、これらのいずれの方法を用いてもよい。また、熱延板焼鈍や中間焼鈍において焼鈍雰囲気を酸化性にして表層を弱脱炭処理したり、焼鈍の冷却過程で急冷して鋼中の固溶Cを増加させてから低温保持する処理を施して、鋼中に微細炭化物を析出させたり、さらには、冷間圧延を100〜300℃の温間で行ったり、圧延パス間で時効処理を施したりすることも、圧延での変形帯の量を増やしてゴス方位粒を増加させるので磁気特性の向上に有効である。さらに、最終冷延後、鋼板表面に圧延方向とほぼ直交する線状の溝を形成し磁区細分化することによって、鉄損の低減を図ることもできる。
また、脱炭・一次再結晶焼鈍後から二次再結晶開始までの間に、鋼中に300ppm以下の範囲でNを含ませる窒化処理を施すことも、正常粒成長の抑制力を補強して磁気特性の向上を図るには有効な技術であり、本発明に適用することができる。なお、窒化処理を行う場合には、素材中にNを含有させておく必要はなく、0.0030mass%以下でも構わない。
脱炭焼鈍工程は、水蒸気、H2を含む雰囲気中で行うことが好ましい。このとき、加熱領域の昇温速度は、室温から700℃までを5〜80℃/secとすることが好ましい。5℃/secより低いと、脱炭が加熱領域で進行しすぎて望ましい集合組織を得にくく、逆に、80℃/secより早いと、初期酸化が不安定となり良好な被膜が形成されにくくなる。また、加熱領域の雰囲気は、露点と酸化性(PH2O/PH2)とをそれぞれ別個に管理し、露点を40〜70℃、酸化性(PH2O/PH2)を0.25〜0.70とすることにより、磁気特性と被膜特性を効果的に改善することができる。露点や酸化性(PH2O/PH2)を上記の下限値よりも低下させると、初期酸化膜が粗雑となり、その後の均熱領域でこれがさらに助長される結果、良好な酸化被膜が得難くなる。一方、これらが上限値を超えると、酸化鉄を主体とする過酸化な被膜が形成され、却って被膜が粗雑となる。
加熱領域に続く均熱領域の温度は750℃〜900℃の範囲が望ましい。900℃を超えると、一次再結晶粒の粒成長が進行しすぎて二次再結晶不良を起こしやすく、一方、750℃未満では、逆に一次再結晶粒の粒成長が進まず、二次再結晶粒方位が不安定になりやすい。均熱時間は20〜240秒が好ましい。20秒未満では脱炭不足となりやすく、一方、240秒以上では一次再結晶粒成長が進行し過ぎるため、いずれの場合も磁気特性を劣化させる可能性がある。均熱領域の雰囲気の酸化性(PH2O/PH2)は、0.3〜0.85とすることが好ましい。0.3未満では脱炭不良となって磁気特性が劣化しやすく、0.85以上ではFeOを主体とする過酸化な膜が形成されて、被膜劣化を引き起こす可能性がある。また、雰囲気の露点は、40〜80℃とすることが好ましい。40℃未満では脱炭不良となりやすく、80℃を超えると被膜不良となりやすい。均熱領域の露点と雰囲気酸化性(PH2O/PH2)を別々に管理することは、加熱領域の場合ほど大きい影響はないが、効果は認められるため、行うことが好ましい。
なお、脱炭焼鈍の均熱段階を2つの領域に分けて、前段に比べて後段を低露点および/または高温にして内部酸化層をより緻密化することにより、より良好な被膜が得られることが知られている。本発明においても、この方法は有効であり適用してもよい。このときの焼鈍前段の条件は、前述した条件とするのが好ましく、一方、後段は、前段よりも温度を高める場合には、前段よりも10〜100℃高くするのが好ましい。10℃より低いと被膜改善効果がなく、100℃より高いと一時再結晶が進行しすぎる。また、前段に比べ後段をより低露点にする場合には、雰囲気酸化性(PH2O/PH2)を0.3以下とするのが好ましい。これより大きいと被膜改善効果が得られない。いずれの場合においても、後段の均熱時間は5〜60秒であるのが好ましい。5秒未満では効果がなく、60秒を超えると一次粒成長が進みすぎて二次再結晶不良となる。
脱炭焼鈍の後、焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布する。本発明で用いる焼鈍分離剤は、マグネシア(MgO)を主成分とし、このマグネシア100質量部に対して添加物として水溶性化合物を0.001〜10質量部含有させたスラリーとして鋼板に塗布する。なお、添加物には、水に溶解する水溶性化合物とそれ以外の水に可溶でない化合物があるが、本発明は、上記スラリーを調製するに際して、水溶性化合物の少なくとも1種を水に一旦溶解して水溶液としたのちマグネシアと混合させるところに最大の特徴がある。具体的なスラリーの調製方法としては、水溶性化合物を純水に溶解させた水溶液を、マグネシアと前記水溶性化合物以外の添加物と純水とを混合して得たスラリーに添加する方法、あるいは、水溶性化合物の水溶液とマグネシアと前記水溶性化合物以外の添加物と純水とを同時に混合してスラリーとする方法があり、いずれの方法を用いてもよい。
水溶性化合物の具体的な添加量は、水溶性化合物が水酸化ストロンチウムである場合には、マグネシア100質量部に対して0.1〜10質量部、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである場合には0.001〜1.5質量部、また、塩化マグネシウムである場合には0.001〜0.1質量部とするのが好適である。なお、水溶性化合物は、単独あるいは複合して添加してもよい。上記の水溶性化合物を適量添加することにより、緻密なフォルステライトを主体とする被膜を形成することができる。しかし、添加量が上記下限値を外れると被膜改善効果がなく、一方、上記上限値を外れると、これらの金属を含む被膜が仕上焼鈍途中に形成され、副インヒビター成分によってこの被膜が損傷を受ける結果、点状の被膜欠陥や被膜密着性の低下などの不良が発生する。さらに、仕上焼鈍途中で粗雑な被膜となる結果、鋼板が雰囲気の影響を受けやすくなり、磁気特性についても改善効果は失われる。
本発明の焼鈍分離剤に用いるマグネシアの粉体特性は、CaO含有量が0.2〜1.2mass%、ハロゲン元素含有量が合計で0.005〜0.10mass%、活性度分布CAA20%が20〜50sec、CAA40%が50〜110sec、CAA60%が70〜200secであることが好ましい。CaO含有量が0.2mass%未満では、過酸化な被膜が形成され、一方、1.2mass%を超えると被膜形成量が低下し、いずれの場合も被膜不良を起こし易い。また、活性度分布を上記範囲に制御することにより、被膜改善効果をさらに高めることが出来る。CAA20%、CAA40%が上記下限値よりも低いと、水と懸濁してスラリーとしたときの水和が進行しすぎて、最終仕上焼鈍中に水蒸気が発生し、被膜が損傷しやすい。一方、CAA20%、CAA40%が上記上限値より高いと、反応性が低下して、被膜形成が十分に行われにくい。さらに、CAA60%が上記上限値より高いと、焼結が進行し過ぎた粗大なMgO粒子がコイルに塗布される結果、押し疵や点状被膜欠陥のような外観不良が発生しやすく、逆に、CAA60%が上記下限値より低いと、水和が進行し過ぎて、上述したように被膜不良を起こしやすい。
なお、焼鈍分離剤に含有させることができる前記水溶性化合物以外の添加物としては、水に可溶でないMg,Ca,Sr,Ti,Mn,Fe,Cu,Sn,Sb,Zn,SiおよびAl等の化合物が挙げられ、公知の範囲で焼鈍分離剤に添加して用いることができる。それらの添加量は、マグネシア100質量部に対して0.5〜15質量部が適当である。なお、焼鈍分離剤の塗布量や水和量は、従来公知の5〜15g/m2(両面)、0.5〜5%程度の範囲であることが好ましい。
上記のようにして調製した焼鈍分離剤スラリーを鋼板表面に塗布・乾燥し、公知の方法で最終仕上焼鈍を行ったのち、必要に応じて張力付与被膜や絶縁被膜を塗布し、焼き付けを兼ねた平坦化焼鈍を施して方向性電磁鋼板の製品とする。また、絶縁被膜形成後、磁区細分化による鉄損低減を目的として、平坦化焼鈍後の鋼板にプラズマジェットやレーザー照射を線状に施したり、突起ロールにより線状に凹みを設けたりする処理を施してもよい。また、最終仕上焼鈍後、ゾルゲル法やTiN蒸着などにより張力被膜を形成させる技術を組み合わせることも鉄損低減のためには有効である。
C:0.08mass%、Si:3.15mass%、Mn:0.075mass%、P:0.003mass%、S:0.003mass%、Al:0.023mass%、Se:0.016mass%、Cu:0.05mass%、N:0.0085mass%および副インヒビターとしてNi:0.020mass%、Sb:0.030mass%を含有し、残部が主としてFeからなる鋼スラブを、ガス加熱炉に装入して1230℃まで加熱し、20分間保定してから、さらに誘導加熱により1400℃で30分間加熱した後、熱間圧延して板厚2.5mmの熱延板とした。その後、この熱延板を1000℃×20秒の均熱後、室温まで30℃/secで冷却する熱延板焼鈍を施し、酸洗し、一次冷間圧延して厚さ1.6mmとし、さらに、1000℃×1分間の均熱後、室温まで25℃/secで冷却する中間焼鈍をしてから酸洗し、最高到達温度220℃の二次冷間圧延により最終板厚0.23mmの冷延板とした。続いて、加熱領域の雰囲気の露点を58℃、酸化性(PH2O/PH2)を0.40とし、また均熱領域の雰囲気の露点を60℃、酸化性(PH2O/PH2)を0.45として、850℃×100秒の脱炭焼鈍をしたのち、焼鈍分離剤を鋼板表面に両面の塗布量14g/m2で塗布し、コイルに巻き取った。このときの焼鈍分離剤には、主剤としてマグネシアを用い、さらにマグネシア100質量部に対して、酸化チタンを4質量部、水溶性の水酸化ストロンチウムを5質量部含有させたものを用いた。その際、水酸化ストロンチウムの添加を、(a) 水酸化ストロンチウムの水溶液を、マグネシアと酸化チタンとを純水で混合したスラリーに添加する、(b) 水酸化ストロンチウムの粉体を、そのままマグネシアと酸化チタンと同時に純水に添加してスラリーにする、(c) 水酸化ストロンチウムの水溶液を、マグネシアと酸化チタンと純水と同時に混合してスラリーにする、の3方法で行った。焼鈍分離剤を塗布した鋼板は、続いて、800℃までを46時間かけて昇温し、20時間保定した後、800〜1150℃を平均昇温速度25℃/hrで昇温し、1150℃〜1200℃で20時間滞留してから炉冷する最終仕上焼鈍を行い、その後、未反応の焼鈍分離剤を水洗して除去した後、コロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムを主成分とする絶縁張力被膜を塗布し、平坦化焼鈍して方向性電磁鋼板とした。
上記のようにして得た方向性電磁鋼板について、被膜外観と曲げ密着性の評価とエプスタイン試験法による磁束密度B8の測定および鉄損W17/50の測定を行い、結果を図4に示した。図4から、水酸化ストロンチウムの水溶液をマグネシアと酸化チタンと純水で混合したスラリーに添加した場合(a)と水酸化ストロンチウム水溶液とマグネシアと酸化チタンと純水とを混合しスラリーにした場合(c)にのみ、被膜外観、密着性および磁気特性が共に優れた製品を安定して得られることがわかる。
C:0.05mass%、Si:3.45mass%、Mn:0.06mass%、P:0.002mass%、S:0.027mass%、Al:0.025mass%、Cu:0.10mass%、N:0.0082mass%および副インヒビターとしてCr:0.06mass%、Pb:0.010mass%、Sn:0.23mass%を含有し、残部が主としてFeからなる珪素鋼スラブを、ガス加熱炉で1270℃×30分加熱した後、誘導加熱により1430℃×45分加熱してから熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、950℃×60秒の均熱後、室温まで40℃/secで冷却する熱延板焼鈍を施した。この熱延板を、酸洗し、一次冷間圧延して板厚1.5mmとした後、1120℃×45秒の均熱後、室温まで35℃/secで冷却する中間焼鈍を施してから酸洗し、最高板温185℃の二次冷間圧延により最終板厚0.23mmの冷延板とした。次に、レジストエッチング処理により圧延方向との角度75°、圧延方向の間隔3.5mm、深さ18μm、幅70μmの線状溝を形成する磁区細分化処理を施した後、加熱領域の雰囲気の露点を59℃、酸化性(PH2O/PH2)を0.44、均熱領域の雰囲気の露点を62℃、酸化性(PH2O/PH2)を0.46として820℃×100秒間保定し、引き続き、雰囲気の酸化性(PH2O/PH2)を0.15として880℃×20秒間保定する脱炭焼鈍を行った。その後、この鋼板表面に、主剤としてマグネシアを用い、他の添加物を表3のJ〜Oの6条件で投入して調整した焼鈍分離剤のスラリーを、目付量14g/m2(両面)で塗布し乾燥した後、700℃までを40時間かけて昇温し、700〜1150℃を平均昇温速度25℃/hrで昇温し、1150℃〜1200℃の滞留時間を20時間とする最終仕上焼鈍を施し、続いて、未反応の分離剤を水洗により除去した後、コロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムを主成分とする絶縁張力被膜を塗布し、平坦化焼鈍して方向性電磁鋼板とした。
Figure 0004192822
上記のようにして得た方向性電磁鋼板について、被膜外観と曲げ密着性の評価とエプスタイン試験法による磁束密度B8の測定および鉄損W17/50の測定を行い、結果を図5に示した。図5から、水酸化物を純水に溶解し、水溶液にしてから混ぜることで、被膜外観・密着性および磁気特性が共に優れる製品が得られることがわかる。
C:0.08mass%、Si:3.35mass%、Mn:0.08mass%、S:0.003mass%、B:0.008mass%、Se:0.020mass%、N:0.0082mass%および副インヒビターとして、Bi:0.022mass%、P:0.08mass%、Sn:0.03%を含有し、残部が主としてFeからなる珪素鋼スラブを、ガス加熱炉で1430℃×60分間加熱した後、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とした後、1150℃×35秒の均熱後、室温まで35℃/secで冷却する熱延板焼鈍を施した。次いで、酸洗し、最高温度220℃の冷間圧延を施して最終板厚0.27mmの冷延板とした後、加熱領域の雰囲気の露点を55℃、酸化性(PH2O/PH2)を0.37、均熱領域の雰囲気の露点を61℃、酸化性(PH2O/PH2)を0.43とする条件で、845℃×120秒間保定する脱炭焼鈍を行った。この鋼板に対し、主剤としてマグネシアを用いて、表3のP〜Rの3条件で調製した焼鈍分離剤スラリーを、両面目付量14g/m2として塗布・乾燥し、その後、800℃までを46時間かけて昇温し、800℃で20時間保定したのち、800〜1150℃を平均昇温速度25℃/hrで昇温し、1150℃〜1200℃の滞留時間を20時間とする最終仕上焼鈍を施した。続いて、未反応の分離剤を水洗により除去してから、コロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムを主成分とする絶縁張力被膜を塗布し、平坦化焼鈍し、方向性電磁鋼板とした。
上記のようにして得た方向性電磁鋼板について、被膜外観と曲げ密着性の評価と、エプスタイン試験法による磁束密度B8の測定および鉄損W17/50の測定を行い、結果を図6に示した。図6から、水酸化物を純水に溶解して水溶液にしてから混ぜることで、被膜外観・密着性および磁気特性が共に優れる製品が得られることがわかる。
鋼板Aにおける被膜の曲げ密着性と磁束密度に及ぼす水酸化ストロンチウムの添加量の影響を示すグラフである。 鋼板B,Cにおける被膜の曲げ密着性と磁束密度に及ぼす水酸化ストロンチウムの添加量の影響を示すグラフである。 鋼板D,Eにおける被膜の曲げ密着性と磁束密度に及ぼす水酸化ストロンチウムの添加量の影響を示すグラフである。 鋼板F,Gにおける被膜の曲げ密着性と磁束密度に及ぼす水酸化ストロンチウムの添加量の影響を示すグラフである。 鋼板Hにおける被膜の曲げ密着性と磁束密度に及ぼす水酸化ストロンチウムの添加量の影響を示すグラフである。 最終仕上焼鈍後の被膜の曲げ密着性と磁束密度に及ぼすスラリー調製方法の影響を示すグラフである。 最終仕上焼鈍後の被膜の曲げ密着性と磁束密度に及ぼすスラリー調製方法の影響を示すグラフである。 被膜の外観と曲げ密着性、磁束密度B8および鉄損W17/50に及ぼすスラリー調製方法の影響を示すグラフである。 被膜の曲げ密着性、磁束密度B8および鉄損W17/50に及ぼすスラリー調製方法の影響を示すグラフである。 被膜の曲げ密着性、磁束密度B8および鉄損W17/50に及ぼすスラリー調製方法の影響を示すグラフである。

Claims (3)

  1. C:0.01〜0.10mass%、Si:1.0〜5.0mass%を含み、さらに主インヒビター成分と副インヒビター成分とを含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる珪素鋼スラブを熱間圧延し、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚とし、次いで、一次再結晶焼鈍した後、マグネシアを主剤とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布して最終仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    上記主インヒビター成分は、AlN,BN,MnS,MnSe,Cu 2−x SおよびCu 2−x Seのうちのいずれか1種以上で、かつ、MnS,MnSe,Cu 2−x SおよびCu 2−x Seを用いる場合には、CuとMnの合計量:0.03〜0.30mass%、SとSeの合計量:0.01〜0.03mass%、AlNを用いる場合には、Al:0.004〜0.04mass%、N:0.0030〜0.0120mass%、BNを用いる場合には、B:0.0010〜0.015mass%、N:0.0030〜0.0120mass%であり、
    上記副インヒビター成分は、Ni:0.01〜1.50mass%、Sb:0.005〜0.50mass%、P:0.005〜0.50mass%、Cr:0.01〜1.50mass%、Te:0.003〜1.50mass%、Bi:0.003〜1.50mass%、Sn:0.01〜0.50mass%およびPb:0.003〜1.50mass%の中から選ばれる1種または2種以上であり、
    上記焼鈍分離剤は、下記A〜C群のうちの少なくとも1群の水溶性化合物水溶液としてマグネシア100質量部に対して合計で0.001〜10質量部添加したものであることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。

    A群:水酸化ストロンチウム:マグネシア100質量部に対して0.1〜10質量部
    B群:水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのうちの1種または2種以上:マグネシア100質量部に対して合計0.001〜1.5質量部
    C群:塩化マグネシウム:マグネシア100質量部に対して0.001〜0.1質量部
  2. 上記水溶性化合物を添加する場合には、マグネシアと前記水溶性化合物以外の添加物と純水とを混合して得たスラリーに、水溶性化合物の水溶液を添加することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 上記水溶性化合物を添加する場合には、水溶性化合物の水溶液と前記水溶性化合物以外の添加物とマグネシアと純水とを同時に混合することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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