JP4192781B2 - アンテナ装置及び高周波センサ - Google Patents

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Description

本発明は、高周波の電波を放射して、その電波の反射情報から対象物の移動情報や画像情報を得るアンテナ装置及びこのアンテナ装置を用いた高周波アンテナに関し、特に、人体などの動きを有する移動体の情報を検知することができる、ドップラーセンサとして好適なアンテナ装置及び高周波センサに関する。
高周波の電波を用いて測定や対象物検知を行なう高周波センサの一例として、ドップラーセンサが知られている。このドップラーセンサは、所定の周波数にて発振させる発振部と、発振部にて得られた高周波信号を電波として送信するための送信アンテナと、被測定物にて反射して戻ってきた電波を受信する受信アンテナと、アンテナから送信した電波と受信した電波の位相の変化量を低周波信号に変換するミキサ部と、発振部と送信アンテナ、発振部とミキサ部、受信アンテナとミキサ部を各々接続する伝送線路とを有して構成され、それらの構成要素が同一基板上に配置されている。また、アンテナは所定の間隔にて複数配置することで、必要とする検知範囲、距離を任意に変えることができる(例えば、特許文献1参照)。
近年、ドップラーセンサを浴室の壁面や天井に配置し、人体検知用センサとして使用できることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
このようなドップラーセンサ(高周波センサ)は平面状のアンテナを用いているので、センサを薄く形成できる。このため、センサの基板に直交する方向に電波を放射することが一般的である。この場合、しかしながら、ドップラーセンサを取り付ける位置(例えば防犯を目的とする場合には、壁面や陶器の裏面)の如何によっては、床面に対して垂直な姿勢で取り付けることができないことがある。かかる状況では、床面に平行に電波を放射したくても、それができなかったり、検知したいターゲットがドップラーセンサの基板にほぼ垂直な方向に沿って移動するだけではなく、ドップラーセンサの基板にほぼ垂直な方向以外の方向に沿って移動したり、ドップラーセンサの基板に水平な方向に移動したりするような場合、そのような動き方向のターゲットを確実に捕捉することが困難になり、かかる動き情報を正確に検知することができないという問題があった。
そこで、電波の放射方向をターゲットの動きの方向に合わせるには、その動き方向に沿った特定の方向に傾けることも必要になる。そのように電波の放射方向の傾斜を実現させるには、1つの方法としては、複数のアンテナを基板上に配置し、それぞれのアンテナに供給する高周波信号(すなわち放射される高周波電波)に位相差を与えるという手法が多用されている。
この位相差を与える手法の1つは、発振器で出力された高周波信号を各アンテナに供給する伝送線路の長さをアンテナ毎に変えることで、最も簡単な手法である。また別の手法として、各アンテナへの伝送線路の途中に容量成分(コンデンサ)を介挿させ、この容量成分の誘電率に基づく波長短縮効果を利用して位相差を得ている。この波長短縮の例として、周波数=10GHzの場合、空中では30mm/波長に、アルミナの場合では(誘電率10のとき)、9.5mm/波長になる。したがって、この場合、同じ線路長の場合、アルミナの方が約3倍の伝送時間を要することになる。さらに、特許文献3に見られるように、各アンテナへの給電経路に位相器を挿入する構造のレーダ装置も知られている。
このように位相差を与えると、各アンテナから放射される電波が強調し合う方向と打ち消し合う方向が単一のアンテナからの放射方向からずれるため、全体として電波の放射方向がそのずれに応じて傾くことになる。
特開平11−326505号公報(第2−3頁、第1図) 特開2002−24958号公報(第3−4頁、第4図) 特開平7−128435号公報(第3頁、第1,3図)
しかしながら、上述した位相差を与える手法のうち、伝送線路の長さをアンテナ毎に変える手法は、伝送線路を引き回すための基板に、それだけの面積が必要になることから、基板のサイズが大きくなり、センサ自体も大形化せざるを得ないという問題に直面している。一方、各アンテナへの伝送線路の途中にコンデンサを介挿させる手法の場合、コンデンサの静電容量のばらつきが電波の傾斜角度のばらつきに直接に影響することが多くなるという問題のほか、周波数が高くなるほど、高周波損失が多くなって、設定した位相差を確保できず、これにより、電波の放射方向を精度良く制御することは困難になるという問題もあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、センサのコンパクトさを維持しつつ、予め設定した、電波の放射方向(角度)や放射パターンなどの放射特性を得ることができるアンテナ装置及び高周波センサを提供することを、その目的とする。
上述した第1の目的を達成するために、本発明に係るアンテナ装置によれば、基板と、この基板の表面に複数個配置された、高周波電波の送受信の少なくとも一方を担う層状のアンテナと、この複数のアンテナのうちの少なくとも1つのアンテナに対向するように前記基板に設けられた複数の金属部材と、前記複数のアンテナに対向するように前記基板に設けられた接地部材と、この接地部材と前記少なくとも1つの金属部材とを電気的に接続して導通させる接続手段と、を備えたアンテナ装置であって、前記複数の金属部材のうちの少なくとも1つの金属部材は、そのほかの金属部材と比較して、当該金属部材のアンテナ側の界面から当該アンテナの金属部材側の界面までの距離が異なることを特徴とする。
また、この構成を有するアンテナ装置を備えた高周波センサが提供される。
本発明に係るアンテナ装置及び高周波センサによれば、接続手段により接地部材と少なくとも1つの金属部材が電気的に接続されるので、この接続された金属部材に対向するアンテナが、その金属部材を介して接地電位に電磁結合される。これにより、複数のアンテナから放射される電波の間で、電波の強弱が発生して、高周波センサの全体から放射される電波の方向は基板に対する直交方向からずれたものにある。すなわち、アンテナに供給する電力をオン・オフ制御しない状態で、電波は基板に対する直交方向から傾いて放射される。どの方向に電波を傾けるか、及び、どのような放射パターンの電波にするかについては、基板に形成される複数のアンテナのどのアンテナに金属部材を介して接地電位を供給するか(すなわち、接続手段がどのアンテナに対向する金属部材を接地部材に接続してあるか)に拠って決まる。
これにより、従来の放射電波の傾きのための位相制御とは異なり、位相制御のために伝送線路を引き回したり、コンデンサを介挿させたりする必要も無いので、センサを小形化できる。また、所望のアンテナに対向させた金属部材を、接続手段を介して接地部材に固定的に接続しておけばよいので、高周波スイッチ素子などを用いた高周波回路によるオン・オフ制御も不要になる。このため、従来のように、伝送線路に介挿したコンデンサの静電容量のばらつきなど、高周波回路の不安定性に起因した電波の放射特性の制御精度の低下をも確実に防止することができる。
以下、本発明にかかる高周波センサの実施の形態を図面により詳細に説明する。なお、各層の厚みやパターン寸法は説明の都合上、実際の形状とは異なる。
図1〜10を参照して、本発明に係る高周波センサとしてのドップラーセンサの1つの実施の形態を説明する。このドップラーセンサは、検出対象の空間をスキャンするように電波を放射する機能を備えたことを特徴とする。
図1及び2に、本実施形態に係るドップラーセンサ1は、電気的絶縁性を有する基板に形成された、例えば4列4行のマトリクス状配置のセンサユニット2a〜2pを有している。
このセンサユニット2a〜2pは、以下に説明するように、このドップラーセンサ1の駆動時において、高周波電波の放射を担う(放射電波:オン)タイプのセンサユニットから成る第1のユニット群Aと、高周波電波の放射を担わない(放射電波:オフ)タイプのセンサユニットから成る第2のユニット群Bとから成る。具体的には、本実施形態にあっては、図1に示す4列4行の配置に係るセンサユニット2a〜2pのうち、右隅の4つのセンサユニット2k、2l、2o、2pが第2のユニット群Bを構成し、一方、その残りのセンサユニット2a,2b,…,2j,2m,2nが第1のユニット群Aを構成している。なお、どのセンサユニットをどっちのユニット群に属させるかについては、この例に限られず、製造前に選択的に設定できる。
第1のユニット群Aに属するセンサユニットと第2のユニット群Bに属するそれとの構造上の相違は、平面状のアンテナに対向配置させた金属層を接地するか否かである。
最初に、両ユニット群A,Bに共通の構造を説明する。センサユニット2a〜2pのそれぞれは、基板11上に配置された平面状のアンテナ12a(〜12p)と、このアンテナ12a(〜12p)の上に形成された絶縁層13とを備える。また、基板11の内部には、図2に示すように、各センサユニット2a(〜2p)の金属層14a1,14a2(〜14r1,14r2)を接地するための接地部材としてのGND(接地)層15が形成されている。なお、基板11の裏面はカバー21で覆われている。
なお、以下の説明では、図2において基板11から絶縁層13を向かう方向、すなわち電波の放射方向に沿った方向を「上方」と呼び、この「上方」と反対の方向を「下方」と呼ぶことにする。また、この説明において、基板11の側から絶縁層13の側を見ることを「上視」と呼ぶことにする。
基板11には、アルミナが主材料であるセラミック材、フッ素系、ガラスエポキシ材等の何れの材料を使用してもよいが、使用する周波数が高い場合、また要求する検知性能が高い場合には、セラミック材を用いることが望ましい。この基板11について更に説明すると、アンテナとして電波を外部に放射するには、GND(接地)との電磁結合が弱い方が良いため、基板の厚みは厚い方がよい。一般に、基板の厚み、すなわちアンテナと基板との界面からGNDのアンテナ側の界面までの距離は、0.5〜1.5mmが好ましく、0.8〜1.0mmがより好ましい。また、基板の厚みが厚くなると損失が大きくなるため、基板は誘電正接(tanδ)が0.001以下の誘電体を用いることが望ましく、前述した材料を好適に利用できる。
絶縁層13の厚みは、例えば、0.5〜100μmである。絶縁層13の厚みが厚くなるほど、アンテナ12から送信される電波の放射強度が低下するため、絶縁層13は薄い方が好ましく、好適には、0.5〜100μmの厚さに設定される。尚、絶縁層にフッ素樹脂を用いる場合には、形成方法としてスピンコートやスプレーコート、ディッピング等の製造方法が挙げられ、防水性を保持するには、厚みは40μm以上、放射強度の低下を考慮すると100μm以下が好ましい。また、セラミック材料を用いる場合は、セラミック粒子を直接、基板11に吹き付け絶縁層13を形成するスパッタリング方法や基板11となる未焼結のセラミックシート表面にアンテナパターンをスクリーン印刷し、そのアンテナ表面に絶縁層13となる未焼結のセラミックシートを積層した後、焼成し、基板11と導体層であるアンテナ12と絶縁層13を一体焼結する等の方法があり、形成方法により緻密度が異なるものの、0.5〜50μmの厚みに設定すれば確実に防水性が得られ、フッ素樹脂よりも放射強度を抑制できる。特に、生産効率(製造時のバラツキによる緻密度の変化)やアンテナ設計の簡素化を考慮すると、誘電正接が低いセラミック材料を使用し、1〜10μmの厚みに設定するのが好ましい。
なお、アンテナ12a〜12rのそれぞれは、受信用のアンテナを兼ねるように送受信用の一体アンテナとして形成されているが、送信及び受信の別に機能分担したアンテナを機能別に配置してもよい。
第2のユニット群Bを構成する4つのセンサユニット2k、2l、2o、2pの場合、上述した絶縁層13の上に更に形成された金属層14k1,14k2(〜14p1,14p2)を備えている。本実施形態にあっては、図1からも分かるように、第1のユニット群Aを構成するセンサユニット2a,2b,…,2j,2m,2nには、金属層は設けていないが、製造の効率化などの観点から、場合によっては、かかる金属層を一体に形成してもよい。ただし、その場合の金属層は、絶縁層13の上に形成しているだけであって、アンテナが送受信する電磁波に関与する要素にはならないように放置される。
ここで、第2のユニット群Bを構成する4つのセンサユニット2k、2l、2o、2pに特有の構造について説明する。
この4つのセンサユニット2k、2l、2o、2pそれぞれの積層構造における金属層14k1,14k2〜14p1,14p2の配置の仕方は、対向した両辺部それぞれの全体に沿って配置する手法(図4(a)参照)に基づいている。これについては、説明が長くなるので、後で項を分けて説明する。
また、基板11の裏面には、接続手段の一部として機能する伝送線路17k(17l,17o,17p)とが形成されている。この伝送線路17k(17l,17o,17p)には、内部導体18k(18l,18o,18p)を介して前述したGND層15が接続されている。これにより、GND層15と各内部導体18k(18l,18o,18p)とが電気的に接続され、金属層14k1,14k2,14l1,14l2,14o1,14o2,14p1,14p2に接地電位が付与される(アースされる)ようになっている。
この伝送線路17k,17l,17o,17pのそれぞれの両端部は、図1及び2に示すように、基板11の厚さ方向に貫通して形成した2本のスルーホールに充填配置された導体19k1,19k2(19l1,19l2,19o1,19o2,19p1,19p2)を介して、センサの上面に位置する金属層14k1,14k2(14l1,14l2,14o1,14o2,14p1,14p2)に電気的に接続されている。このため、図1に示すように、金属層14k1,14k2(14l1,14l2,14o1,14o2,14p1,14p2)の対のそれぞれにおいて、導体19k1,19k2(19l1,19l2,19o1,19o2,19p1,19p2)の位置(接地点)は、アンテナ12k(12l,12o,12p)の対向する2辺それぞれの中央部に存在するようになっている。この中央部の位置は、前述したように、基板上を伝わる波長λgの1/4に相当する。
このように第2のユニット群Bに属する4つのセンサユニット2k、2l、2o、2pそれぞれの金属層14k1,14k2(14l1,14l2,14o1,14o2,14p1,14p2)に接地電位が与えられる(つまり、接地される)。この接地された金属層14k1,14k2,14l1,14l2,14o1,14o2,14p1,14p2を有する4つのセンサユニット2k、2l、2o、2pは、電源が供給されているにも関わらず、アンテナ12k,12l,12o,12pからの電波の放射が止められる(電波放射のオフ)。つまり、本実施形態のように、マトリクス状に配置した複数のセンサユニットのうち、任意の1以上のセンサユニットを指定し、このセンサユニットそれぞれにアンテナに金属層をほぼ対向配置し、この金属層を接地させるための構造を製造時に与えておくことで、ドップラーセンサを成す複数のセンサユニットのうちの所望のセンサユニットからの電波放射を選択的にオフに制御することができる。
なお、基板11の裏面には、図1に示さないが、高周波信号を出力してアンテナ12を駆動する発振器31と、送信電波と受信電波の両高周波信号を合成して当該信号の位相差を低周波信号に変換するミキサ32と、この低周波信号に基づいてターゲットの移動状態を示す情報を演算するコントローラ33とが配置されており(図3参照)、これらの回路要素を含む裏面スペースの全体がカバー21でシールドされている。
コントローラ33は、増幅、A/D変換などの処理を行うインターフェース33A,ターゲットの移動情報を演算する演算部33B、及び演算結果の出力を制御する出力制御部33Cを備える。増幅部33Aは、検出信号を増幅するとともにデジタルデータに変換して演算部33Bに渡すようになっている。演算部33Bは、デジタル化された検出データ、すなわちドップラーデータに基づいて放射電波を反射させたターゲットの移動情報を演算するように構成されている。出力制御部33Cは、このように演算された移動情報をLED表示器やブザーなどの出力器34に渡し、出力器34を介して移動情報を表示及び/又は出力させるようになっている。
なお、本実施形態にあっては、コントローラ33は内蔵されているが、受信信号は検波回路により低周波信号に変換されていることから、コントローラ33を外付けにする構造を採用してもよい。
図3に、上述したセンサユニット2a〜2pに対する電気的な接続関係を説明するブロック図を示す。このセンサユニット2a〜2pの送受信用の一体アンテナであるアンテナ12a〜12pは、それぞれ、上述した発振器31及びミキサ32に電気的に接続されている。また、センサユニット2a〜2pのうち、第2のユニット群Bに属する4つのセンサユニット2k、2l、2o、2pの金属層14k、14l、14o、14pは、接地部材15に電気的に接続される。発振器31の発振信号はまた、ミキサ32に参照波信号として送出されるようになっている。
(金属層及びその接地構造)
次に、図4〜7を参照して、第2のユニット群Bを構成する4つのセンサユニット2k、2l、2o、2pについて、その金属層14k1,14k2,14l1,14l2,14o1,14o2,14p1,14p2及びその接地の構造を説明する。ここで、部材に付す符号を簡略化し、アンテナを単に12と、金属層を単に14と、内部導体を単に18と、伝送線路を単に17と、導体を単に19として説明する。
上述の説明では、各センサユニット2k(2l、2o、2p)の金属層(金属部材)14は、各内部導体18、伝送線路17、及び導体19を介してGND(接地)層15(接地部材)に接続されるとしたが、この金属層14及びその接地構造は特に重要であるので、ここで改めて説明する。
この金属層14については、各アンテナ12の電界強度の高い箇所に配設して、そのような配設状態でGND層15に接続することが要求される。これにより、各アンテナ12から放射される電波がより確実に遮断される(放射電波がオフ状態となる)。
本発明者によると、この接地構造を実現するためには、図2の例で説明するとき、センサ1の電波放射面に垂直な方向Zで見た場合(アンテナ12を上視した場合)、金属層14はアンテナ12に被さるように位置することが重要である。これは、図2の例のように、アンテナ12を用いる場合、その電界分布はエッジ部分に集中するためである。逆に言えば、金属層(金属部材)14は必ずしもアンテナ12の全面を被うように、その大きさを設定する必要は無い。金属層14はアンテナ12のエッジ部を少なくとも覆うように(オーバーラップするように)当該金属層14を配置するだけでもよく、この金属層14を、アンテナ12の周囲の相互に対向する2辺それぞれの中央部に相当する位置で設置することで、より確実な接地効果が得られる。
この例を図4(a)〜(c)に示す。同図(a)〜(c)のそれぞれは、前述した図2に示した第2のユニット群に属する4つのセンサユニット2k、2l、2o、2pのうちの1つのセンサユニットの積層構造を示しており、それぞれ図のA1−A1´線に沿った断面構造を同図(d)に示す。
図4(d)に示すように、上から順に、金属層14、14、絶縁層13、アンテナ12、及び絶縁層で成る基板11を備える。基板11の上面にアンテナ12が配置され、これを絶縁層13が被うようになっている。基板11の内部の途中位置には、接地手段の一部を成すGND(グランド)層15が埋設されている。このGND層15は、基板11の下面に設けた伝送線路17に接続されており、この伝送線路17が2本のスルーホールそれぞれに貫通状態で設けた導体19,19を通して金属層14,14にそれぞれ接続されている。なお、アンテナ12の導体19,19を貫通させる部分は、この導体19,19を回避するように部分的に矩形状に切除されている。この積層構造により、金属層14,14はGND層15に電気的に固定接続され、この結果、常時接地されている。
図4(a)〜(c)それぞれに示す金属層14,14は、アンテナ12の面の全体を被う構造を採用してはおらず、このアンテナ12の対向する2辺のエッジ部分の全体又は一部のみを被うように形成されている。勿論、この金属層14は、アンテナ13の全体を被う1枚の層状体であってもよいのであるが、前述したように、電界分布がアンテナ12のエッジ部分に集中することを考慮して、このように2辺のみに配置した分割構造になっている。図4(a)に示す金属層14,14は、アンテナ12の対向する2辺それぞれのエッジ部全体を被うように積層されている。また、図4(b)に示す金属層14,14はアンテナ12の対向する2辺それぞれのエッジ部分を部分的に被うように積層されている。さらに、図4(c)に示す金属層14,14はアンテナ13の対向する2辺それぞれの中央部のみをスポット的に被うように積層されている。
しかしながら、図4(a)〜(c)に示す何れの金属層14,14も、対向辺のそれぞれに垂直な方向(Y軸方向)においてアンテナ12とオーバーラップする(被さる)ように形成されている。このとき、金属層14がアンテナ13からはみ出す量Dは、設計上、少なくとも0.1mmとすることが望ましい。
上述のオーバーラップが無い場合、金属層14が接地されたとしても、アンテナ13から放射される電波をオフ状態(電波の放射遮断)にすることはできない。このことは、本発明者により確認されている。このようにオーバーラップ(被さり部分)が無い場合の例(図6(a),(b))、及び、オーバーラップがあった場合でも、金属層14から外側に一体にパターンを延ばしてアンテナ12の外側にて金属層14及びGND層15を相互に接続した例(図6(c))、すなわち放射電波をオフ状態にできない場合の例を図6(a)〜(c)にそれぞれ示す。これらの図において、上段に示す平面図のB1−B1´線に沿った断面図を下段にそれぞれ示す。
図4に戻って、金属層14,14をそれぞれGND層15と接続する接地点の位置(すなわち、導体19,19の位置)は、アンテナ12の金属層14それぞれにオーバーラップした各対向辺に沿った方向(X軸方向)の中央位置であることが望ましい。これは、通常、アンテナ13の係る対向辺に沿った方向(X軸方向)の長さLは、送信電波の波長λ、基板の誘電率εrとすると、λ/(2√(εr))に設定するため、その中央位置は振幅の最も高いλ/(4(εr))に相当し、この高振幅の位置で接地することが接地上、とくに有効なためである。
このように接地点を決めることで、高周波電波に対して、金属層14,14をより確実に接地でき、したがって、電波の放射をより確実に遮断できることが検証されている。
なお、アンテナ13に導体19,19を回避する切除部を形成した場合でも、接地性能は低下しないことも検証されている。
以上説明した金属層の配置及び接地点の位置に対する要件を満足させる、図4に示した構造以外の様々な例を5(a)〜(f)に示す。アンテナ13の配置角度、形状を様々に設定できるとともに、そのアンテナ13の全周囲を金属層が被っていてもよいし、部分的に被っていてもよい。なお、図4及び5において、符号SPはアンテナ13に対する給電点を示す。
(作用効果)
次に、本実施形態に係るドップラーセンサ1の作用効果を説明する。
このドップラーセンサ1において、発振器31から常に出力された高周波パルスによりセンサユニット2a〜2pのアンテナ12が励起される。この励起に応答してアンテナ12とGND層15との間で電磁界が発生し、これにより、各アンテナ12から電波が放射しようとする。
しかしながら、本実施形態の場合、センサ全体のマトリクス状配列のセンサユニット2a〜2pのうち、図1における右隅に位置する第2のユニット群Bに属する4つのセンサユニット2k、2l、2o,2pにあっては、その金属層14,14がGND層15に前もって接続されている。このため、金属層14、14の電位はGNDと同電位になって(接地されて)、アンテナ12と金属層14、14との間の電磁界結合が強固になり、外部に漏れる電磁力線、すなわち空間への電波の放出が大幅に制限される。つまり、この4つのセンサユニット2k、2l、2o,2pからの電波の放射は、それらのユニットに電源が供給されている状態でありながら、実質的に遮断されて、電波放射のオフ状態となる(図7(A)の斜線部参照)。これに対して、残りの第1のユニット群Aに属するセンサユニット2a,2b,…,2j,2m,2nは、上述した金属層による接地構造を採っていないので、電波を放射できる(電波の放射:オン)。
全センサユニット2a〜2pのうち、上述のように一部のセンサユニットを接地して実質的な電波放射のオフ状態にすることで、ドップラーセンサ1の全体から放射される電波(各センサユニットから放射される電波の合成電波)の放射パターン及び放射角度を制御することができる。
例えば、図7(A)に示すように、右隅の4つのセンサユニット2k、2l、2o,2pからの放射電波を実質的にオフにした場合、合成電波の放射パターンは、所定の指向幅になり、かつ、その合成電波の強度の最も強い中心方向(放射方向)が電波放射:オン(つまり、オン・オフスイッチをオフにして金属層を接地していない)の残りのセンサユニット2a,2b,…,2j,2m,2nの第1のユニット群A(図7(A)中の白抜きのユニット)の側にある角度だけ傾く。
図8と図9には、電波の放射を実質的にオフ状態にするセンサユニットの数とセンサ全体から放射される電波の放射パターン(指向幅)の定性的な関係を説明する。図8の状態N1からN4に進むにつれて、電波の放射状態を実質的にオフにするセンサユニット(図中の斜線で示す)の数が少なくなるようにした場合、これに伴って、図9に示すように指向幅が狭くなる。図9では、横軸に指向幅,縦軸に放射強度を示す。
一般にアンテナの絶対利得Gaは、アンテナ有効面積をA、アンテナから送信される電波の波長をλとすると、次式により表され、送信するアンテナの個数が増加するとアンテナ有効面積が増加し、アンテナから放射される電波の放射強度が強くなる。
[数1]
Ga=A×4π/(λ×λ)
また、アンテナの絶対利得Gaと指向性利得Gdとの間には次式の関係があり、損失の無視できるアンテナの絶対利得は指向性利得(無指向性アンテナに対する利得)に等しく、指向性の形状(指向角度)で決まる。
[数2]
Ga=ηrad×Gd
従って、図8のように電波を放射しているアンテナ面積がN4>N3>N2>N1となっている場合は、図9に示すように、N4,N3,N2,N1の順に放射強度は小さくなり、指向幅、即ち指向角度は広がる。また、電波放射を実質的にオフ状態にしているセンサユニットが在るときに、電波の放射方向(角度)は基板に垂直な方向からずれて、電波放射状態(金属層への接地電位の供給:オフ)にあるセンサユニット側に斜めに傾く。この傾き具合は、電波放射状態にあるセンサユニットと電波非放射状態にあるセンサユニットとの数、位置などに関連して決まることが判明している。
このため、所望の放射パターン(指向幅)及び放射角度が要求されているのかという条件に応じて、全体の複数のセンサユニットの中で、どこの部位に存在する何個のセンサユニットからの電波放射を実質的にオフにすればよいのかについて決めることができる。この条件が決まると、例えば製造段階で、かかるセンサユニットについて、前述したように、例えば、センサユニット2k、2l、2o,2pに対する接地が施される。
なお、第2のユニット群Bを前述した図7(A)以外のユニット位置に設定することで、上述した以外の放射方向を得ることができる。例えば、図7において、同図(A)以外には、その隣の中央部の4つのセンサユニット2j、2k、2n,2oを実質的に電波放射:オフに設定できる(図7(B)参照)。また、その隣の左端寄り4つのセンサユニット2i、2j、2m,2nを実質的に電波放射:オフに設定できる(図7(C)参照)。また、別の4つのセンサユニット2g、2h、2k,2lを実質的に電波放射:オフに設定してもよい(図7(D)参照)。以下、同様にして、実質的な電波放射:オフとするセンサユニットの第2のユニット群Bを適宜な位置に配置することができる(図7(E)〜(I)参照)。
図7(A)〜(I)に示す矢印AR1〜AR9は、第2のユニット群Bがそれぞれの異なる位置になるよう設定することで、放射電波の方向が互いに違う方向に傾けられることを模式的に示している。図7(A)〜(I)に示すセンサユニットの配列を東西南北の方位にたとえると、ドップラーセンサ1からの電波放射方向は、同図(A)の位置状態にて斜め北西方向となり、同図(B)の位置状態にて斜め北方向となり、同図(C)の位置状態にて斜め北東方向となり、同図(D)の位置状態にて斜め西方向となり、といった具合に制御される。
上述したように、ドップラーセンサ1から所定の放射パターン(指向幅)をもって所定の斜め方向に放射された電波(合成電波)はターゲットを含む種々の物体に反射し、その反射波(高周波電波)が生じる。この反射波のうち、ドップラーセンサ1の方向に反射した成分がドップラーセンサ1に戻って、アンテナ2a〜2pに到達する。このとき、第2のユニット群Bに属するセンサユニット2k、2l、2o,2p(金属層が接地されている)は、受信信号の生成には関与せず、残りの第1のユニット群Aに属するセンサユニット2a,2b,…,2j,2m,2nにより受信信号が生成される。
そこで、ミキサ32は、そのセンサユニット2a,2b,…,2j,2m,2nからの受信信号と参照波信号とを用いて、送信した高周波信号(放射電波)と受信した高周波信号(受信電波)の位相差を検出し、この位相差に対応した低周波の検出信号を生成する。この検出信号は、コントローラ33に送られる。コントローラ33では、増幅部33Aにより、検出信号が増幅されるとともにデジタルデータに変換されて演算部33Bに送られる。演算部33Bでは、デジタル化された検出データ、すなわちドップラーデータに基づいて放射電波を反射したターゲットの移動情報が演算される。この演算された移動情報は、出力制御部33Cにより、出力器34に送られ表示又は音として出力される。
本実施形態に係るドップラーセンサ1は、以上にように構成されて機能する。このため、放射電波をドップラーセンサ1の電波放射面に対して傾け、センサ正面以外の放射角度に沿ったある方向に放射電波を傾ける際、複数のアンテナに供給する駆動用の高周波信号に位相差を与えるために従来行なっていた手法を採用する必要がない。すなわち、各アンテナに接続する伝送線路の長さを変える必要もなければ、伝送線路の途中にコンデンサを介挿させる必要もない。ドップラーセンサ1のサイズの大形化に殆ど影響しない層状の金属部材を所望のセンサユニットのみに形成し、この金属部材を接地するように形成しておくだけで済む。このため、基板のサイズもそれほど大きくしなくても済み、したがって、ドップラーセンサ1もそのサイズ面での大形化を回避できる。また、コンデンサのように静電容量のばらつきが放射電波の角度制御を不安定にするということもなく、高周波損失も少ないことから、電波の放射方向を精度良く制御することができる。
このようにセンサ正面以外の斜めの所望方向に高周波電波を確実に放射できることから、その反射信号から、ドップラーセンサ1の基板11(電波放射面)にほぼ垂直な方向以外の方向に沿って移動したり、その基板11に水平な方向に移動したりするターゲットの移動情報を的確に検知することができる。この結果、ドップラーセンサ1のスキャン範囲をその正面以外の広い範囲まで広げることができことから、所望のスキャン方向(電波の放射方向)を有するドップラーセンサ1を用いることができる。例えば、取り付ける壁の面が一定の方向に傾いている場合、その傾きを打ち消す斜め方向に電波を放射するドップラーセンサ1を用いることで、元来の正面方向において移動するターゲットを確実に細くすることができる。これにより、センサの取り付け位置の制限が無くなり、非常に汎用性の高くかつ使い易い、高周波電波によるセンシング装置を提供することができる。
さらに、本実施形態に係るドップラーセンサ1の場合、各センサユニットにおいて、その送信アンテナ12に供給する電力をオン・オフさせることなく、電波の放射状態を設定できる。つまり、高周波回路の制御を行わずに、金属層14への接地電位の供給の有無を担うDC回路を用いることで、放射させる電波の特性(放射パターン及び放射方向)を簡単に制御することができる。
なお、送信アンテナ12、金属層14、及びGND層15の位置関係は、必ずしも、図1に示したように、基板11の電波放射面側に送信アンテナ12を配置するという構成には限定されない。つまり、本発明の高周波センサにあっては、電波の放射状態のオン・オフ動作は金属層14と送信アンテナ12の間の電磁界結合度に起因しているため、図1、2の構成とは反対に、金属層14が基板11の内部又は基板11の電波放射面とは反対の裏面側に配置されていてもよく、これにGND層15の採り得る位置の例と組み合わせて、様々な位置関係を採ることができる。これらの変形例の一部を、図11〜17に示す。
なお、センサユニットの数は複数であることを代表する2個又はそれ以上の場合について説明するとともに、構造に若干の差異はあるが、対比及び理解の容易さを優先して、前述した図9,10の説明において採用した参照符号を用いる。
<第1の変形例>
図11(a)、(b)に、第1の変形例に係る高周波センサとしてのドップラーセンサ1を示す。このドップラーセンサ1は、複数のセンサユニット2a,2bのうち、一部のセンサユニット2bに対してのみ電波放射を実質的にオフにする手段を設けたものである。同図(b)は、同図(a)のE−E´線に沿った断面構造を模式的に示している。
同図から分かるように、絶縁層13の上面に、センサユニット2bについてのみ、1枚の金属層(金属部材)14を配置し、この金属層14が、導体19,19を介して、基板11の裏面に配設してあるGND層15に接続されている。このため、金属層14は常時接地され、その結果、センサユニット2bからの電波放射を実質的に常にオフさせることができる。この結果、ドップラーセンサ1から放射される電波の放射パターン及び放射方向を所定のパターン及び方向に設定できる。放射方向は、放射電波:オフの構造を持たないもう一方のセンサユニット2aの側に傾いたオブリーク方向となる。
<第2の変形例>
図12(a)、(b)に、第2の変形例に係る高周波センサとしてのドップラーセンサ1を示す。このドップラーセンサ1は、第1の変形例と同様に、複数のセンサユニット2a,2bのうち、一部のセンサユニット2bに対してのみ電波放射を実質的にオフにする手段を設けたものである。同図(b)は、同図(a)のAX−AX´線に沿った断面構造を模式的に示している。
同図から分かるように、センサユニット2bについてのみ、対応するアンテナ12bを上視するように1枚の金属層(金属部材)14を絶縁層13の内部に配置し、この金属層14が、内部導体18を介して、基板11の裏面に配設してあるGND層15に接続されている。このため、金属層14は常時接地され、その結果、センサユニット2bからの電波放射を実質的に常にオフさせることができ、第1の変形例と同等の作用効果を発揮させることができる。
<第3の変形例>
図13(a)、(b)に、第3の変形例に係る高周波センサとしてのドップラーセンサ1を示す。このドップラーセンサ1は、第1、第2の変形例と同様に、複数のセンサユニット2a,2bのうち、一部のセンサユニット2bに対してのみ電波放射を実質的にオフにする手段を設けたものである。同図(b)は、同図(a)のAY−AY´線に沿った断面構造を模式的に示している。
第2の変形例との違いは、金属層14とGND層15の位置関係が反対になっていることである。つまり、基板11の内部にGND層15が埋設される一方で、基板11の裏面に金属層14が配設されている。これによっても、金属層14は常時接地され、その結果、センサユニット2bからの電波放射を実質的に常にオフさせることができ、第1、第2の変形例と同等の作用効果を発揮させることができる。
<第4の変形例>
図14(a)〜(c)に、第4の変形例に係る高周波センサとしてのドップラーセンサ1を示す。このドップラーセンサ1は、上述した各変形例と同様に、複数のセンサユニット2a,2bのうち、一部のセンサユニット2bに対してのみ電波放射を実質的にオフにする手段を設けたものである。同図(b)は同図(a)のC−C´線に沿った断面構造を、同図(c)は同図(a)のD−D´線に沿った断面構造を夫々模式的に示している。第1の変形例の積層構造との主な違いは、金属層14を基板11の中であって、GND層15の下方における一方のセンサユニット2bのアンテナ12を上視する位置に設けていることである。この金属層14は、内部導体18a、伝送線路17、及び内部導体18bを介してGND層15に接続されている。これによっても、前述した各変形例と同様の動作を発揮させることができる。
<第5の変形例>
図15(a)、(b)に、第5の変形例に係る高周波センサとしてのドップラーセンサ1を示す。このドップラーセンサ1は、上述した各変形例と同様に、複数のセンサユニット2a,2bのうち、一部のセンサユニット2bに対してのみ電波放射を実質的にオフにする手段を設けたものである。同図(b)は同図(a)のC−C´線に沿った断面構造を模式的に示している。第4の変形例の積層構造との主な違いは、金属層14を基板11の中であって、GND層15の上方における一方のセンサユニット2bのアンテナ12を上視する位置に設けていることである。この金属層14は、内部導体18a、伝送線路17、及び内部導体18bを介してGND層15に接続されている。これによっても、前述した各変形例と同様の動作を発揮させることができる。
<第6の変形例>
図16(a)〜(c)に、第6の変形例に係る高周波センサとしてのドップラーセンサ1を示す。このドップラーセンサ1は、3個以上のセンサユニット2a,2b,…,2nのうち、2個のセンサユニット2a,2bに対して電波放射を実質的にオフにする手段を設けたものである。同図(b)は同図(a)のG−G´線に沿った断面構造を、同図(c)は同図(a)のH−H´線に沿った断面構造を夫々模式的に示している。第5の変形例に係る積層構造との主な違いは、金属層14a,14bを、両方のセンサユニット2a、2bのアンテナ12a,12bをそれぞれ上視する位置に設けていることである。この金属層14a,14bは、内部導体18a,18b、伝送線路17、及び別の内部導体18cを介してGND層15に接続されている。これによっても、前述した第1〜第5の変形例と同様の動作を発揮させることができる。
また、金属部材14a,14bの大きさ、すなわち、アンテナ(一体アンテナ)12a、12bを夫々、上視したときのアンテナ面に対するサイズが金属部材相互間で異なるように形成している。これにより、厚み方向には製造上、セラミック(部材)の厚みに規制されるために細かくは制御できないが、パターン面積は設計の自由度が大きいため、アンテナとGND間の電磁界結合状態を細かく設定できることから、電波の方向を要求に応じて設定できるという更なる作用効果を得ることもできる。
<第7の変形例>
図17(a),(b)に、第7の変形例に係る高周波センサとしてのドップラーセンサ1を示す。このドップラーセンサ1は、上述の各変形例と同様に、3個以上のセンサユニット2a,2b,…,2nのうち、2個のセンサユニット2a,2bに対して電波放射を実質的にオフにする手段を設けたものである。同図(b)は同図(a)のJ−J´線に沿った断面構造を模式的に示している。第6の変形例に係る積層構造との主な違いは、金属部材14a,14bを、基板11の内部の、相互に異なる厚さ方向の位置に設けていることである。これによっても、前述した第1〜第6の変形例と同様の動作を発揮させることができる。
とくに、一方の金属部材14aに対して、もう一方の金属部材14bの基板厚さ方向の位置は、距離dだけ深くなっている。これにより、電波の傾き度の設計の自由度が上がるなどのという更なる作用効果を得ることができる。
一般に、基板の誘電率εrが大きくなるほど、アンテナとGNDとの間の電磁結合は強くなるので、基板の誘電率が大きいほど、上述した電波の傾き度の設計に関する作用効果が顕著になる。このため、一般にセラミック基板の誘電率の方が樹脂基板のそれよりも大きいので、基板にはセラミック材を使用する方が好ましい。このセラミック材を基板に使用することの利点は、前述した第2及び第5の変形例についても言えることである。
上述した各変形例では金属層の接地位置の構造については特に言及しなかったが、前述した実施形態のときと同様に、前述した図9,10で説明した接地位置の何れかの構造が実施されるものである。
なお、放射される電波を実質的にオフ状態にしないセンサユニットにも金属層を設ける場合(すなわち、かかる金属層に接地電位を付与しないセンサユニットの場合)、金属層14はアンテナの一部として作用するため、その金属層のサイズはアンテナよりも小さく形成することが望ましい。
さらに、本発明は、電波放射を実質的にオフ状態にするセンサユニットの数が、高周波センサを成す複数のセンサユニットの全数よりも少ない場合に実施することができる。
さらに、前述した実施形態及びその変形例に係る高周波センサでは、図1〜3に示したように、センサユニット2a〜2pを形成した積層体、発振器31、ミキサ32、及びコントローラ33を一体に形成していたが、本発明に係る高周波センサは必ずしもこの構造に限定されるものではない。例えば、それらの構成要素の少なくとも一部とその残りの構成要素とを互いに別々に形成し、電気信号を相互に送受可能なように構成することもできる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。本実施形態においては、アンテナ形状を四角形として説明しているが、その形状は菱形でも円形でも良く同様の効果を得ることができる、など様々な形態が考えられる。
さらに、本実施形態においては、基板形状を平板状として説明しているが、その形状は曲面状でも円筒状でも良い。そして、基材の表面に平滑層を介して配置されるアンテナの形状も、基材の形状に応じて曲面状や円筒状にすれば良い。
本発明に係る高周波センサとしてのドップラーセンサの1つの実施形態の概略構成を示す平面図。 図1に示すドップラーセンサのB1−B1´線に沿った概略断面図。 第1の実施形態のドップラーセンサの電気的な構成を示すブロック図。 金属層(金属部材)の接地構造の好適な態様を説明する図。 金属層(金属部材)の接地構造の好適な例を説明する図。 金属層(金属部材)の接地構造として不適な例を参考のために説明する図。 実施形態に係るドップラーセンサを用いた電波の放射方向の制御の概念を説明する図。 センサユニットを様々な態様(アンテナ面積)で放射電波:オフに設定した状態を説明する図。 図8に示すアンテナ面積の様々な態様に応じた放射パターンを定性的に説明する図。 ドップラーセンサの電波放射面から傾いて放射される電波の状態を模式的に説明する図。 ドップラーセンサとして実施可能な、基板、平面状のアンテナ、金属層(金属部材)、及びGND層の積層構造の第1の変形例を模式的に説明する図。 ドップラーセンサとして実施可能な上述した積層構造の第2の変形例を模式的に説明する図。 ドップラーセンサとして実施可能な上述した積層構造の第3の変形例を模式的に説明する図。 ドップラーセンサとして実施可能な上述した積層構造の第4の変形例を模式的に説明する図。 ドップラーセンサとして実施可能な上述した積層構造の第5の変形例を模式的に説明する図。 ドップラーセンサとして実施可能な上述した積層構造の第6の変形例を模式的に説明する図。 ドップラーセンサとして実施可能な上述した積層構造の第7の変形例を模式的に説明する図。
符号の説明
1 高周波センサとしてのドップラーセンサ
2a,2b,…2n センサユニット
11 絶縁性の基板
12,12a,12b アンテナ(一体アンテナ)
13 絶縁層
14,14a,14b,14a1,14a2,…14p1,14p2 金属層(金属部材)
15 GND(接地)層(接地部材)
18,18a,18b,18c,19 導体(接続手段)
17 伝送線路(接続手段)
31 発振器
32 ミキサ
33 コントローラ

Claims (6)

  1. 基板と、
    この基板の表面に複数個配置された、高周波電波の送受信の少なくとも一方を担う層状のアンテナと、
    この複数のアンテナのうちの少なくとも1つのアンテナに対向するように前記基板に設けられた複数の金属部材と、
    前記複数のアンテナに対向するように前記基板に設けられた接地部材と、
    この接地部材と前記少なくとも1つの金属部材とを電気的に接続して導通させる接続手段と、を備えたアンテナ装置であって、
    前記複数の金属部材のうちの少なくとも1つの金属部材は、そのほかの金属部材と比較して、当該金属部材のアンテナ側の界面から当該アンテナの金属部材側の界面までの距離が異なることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記複数の金属部材は、前記アンテナの電波放射側に位置するように前記基板から別の絶縁層を介して配置したことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記複数の金属部材は、前記アンテナの電波放射側とは反対側にて前記基板に配置したことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  4. 前記複数の金属部材は、前記基板の前記アンテナと前記接地部材との間の位置に配置したことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ装置。
  5. 前記複数の金属部材は、前記アンテナの上に別の絶縁層を介して配置した部材と、前記基板の前記アンテナと前記接地部材との間の位置に配置した部材とから成ることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  6. 請求項1〜の何れか一項に記載のアンテナ装置と、
    このアンテナ装置の複数のアンテナそれぞれに接続され且つ高周波の駆動信号を当該アンテナそれぞれに供給して当該アンテナから電波を放射させる発振手段と、
    前記複数のアンテナそれぞれに接続され且つ当該アンテナがそれぞれ受信した高周波の受信信号を受けて検波する検波手段と、を備えたことを特徴とする高周波センサ。
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