JP4191807B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内面にインナーライナーを備えた空気入りタイヤに係り、特に、高温多湿で、タイヤの各部材の劣化度合いが高い地域で使用されるのに適した空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用車、ライトトラック等に装着されるラジアルタイヤでは、通常、内圧保持を十分に行うため、タイヤ内面に耐空気透過性の高いブチル系のゴム配合のシート、いわゆるインナーライナーを配しているが、高温多湿な市場向けのタイヤには、タイヤ劣化を抑えるべく、更にインナーライナーの厚みが厚くなり、コスト面やタイヤ諸性能に影響を及ぼす重量面で不利になる事が多い。
【0003】
また、過酷な使用条件下で、タイヤのたわみが大きくなったとき、インナーライナーに微小なクラックが入り、空気保持が十分行われなくなる場合があるため、前記同様、インナーライナーの厚みが厚くなる傾向にある。
【0004】
即ち、従来の技術では、諸使用条件下での内圧保持特性を上げるため、インナーライナーの厚みを厚くしており、コスト面やタイヤ諸性能に影響を及ぼす重量面で不利になることが多かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、インナ−ライナーの厚みを抑えつつ長期に渡り十分な内圧保持を行うことができる空気入りタイヤを提供することが目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
従来、一般的に行われているインナーライナー(未加硫)の製造方法は、未加硫ゴム組成物の塊をカレンダーロールに通してシート状とするシート加工方法が採用されているが、通常、この様に製造された未加硫ゴムシートを加硫して得られた加硫済みゴムシートの弾性率を測定すると、カレンダーロールからの排出方向とそのラジアル方向の弾性率が異なっていること(以後、これを配向性と呼ぶ。)がわかっている。
【0007】
通常のインナーライナーは、その配向性を一方向に向けたまま、1層または2層で構成されており、タイヤのたわみの方向によっては、その配向性に合致しインナーライナーシートに局所的に大きな歪が生じる場合がある。
【0008】
発明者が種々実験検討を重ねた結果、インナーライナーシートの配向方向をそれぞれ交差させた2層構造とすることにより、タイヤの前後方向、横方向の両方のたわみに対し、均等に歪が生じる様になり、過酷な使用条件下においても、インナーライナーゴムの劣化、クラック等を抑制し、結果的にタイヤの内圧保持機能を高めることができる、とういうことがわかった。
【0009】
請求項1に記載の発明は上記事実に鑑みてなされたものであって、内面にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、 前記インナーライナーは、弾性率に配向性を有した第1層及び第2層を備えた積層構造とされ、前記第1層の弾性率の配向方向と前記第2層の弾性率の配向方向とを交差角度80〜100度で交差させたことを特徴としている。
【0010】
次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
請求項1に記載の空気入りタイヤのインナーライナーは、弾性率に配向性を有した第1層及び第2層を備えた積層構造とされ、第1層の弾性率の配向方向と第2層の弾性率の配向方向とを交差角度80〜100度で交差させたので、タイヤの前後方向、横方向の両方のたわみに対し、均等に歪が生じる様になる。このため、過酷な使用条件下においても、インナーライナーゴムの劣化、クラック等を抑制でき、結果的にタイヤの内圧保持機能を高めることができる。即ち、インナラーライナーの厚みを抑えつつ長期に渡り十分な内圧保持を行うことが可能となる。
【0011】
なお、インナーライナーの材質は、従来と同様に、耐空気透過性に優れたブチル系ゴムを主体としたものが好ましい。
【0013】
また、空気入りタイヤのインナーライナーは、第1層の弾性率の配向方向と第2層の弾性率の配向方向との交差角度を80〜100度の範囲内にしたので、何れの方向のたわみに対しても均等に歪が生じる様になる。なお、交差角度が上記範囲から外れるにしたがって歪が不均一に生じるようになる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記第1層及び前記第2層の厚さを、各々0.2〜1.5mmとしたことを特徴としている。
【0015】
次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
請求項2に記載の空気入りタイヤでは、第1層及び第2層の厚さを各々0.2〜1.5mmとしたので、インナーライナーの厚さを0.4〜3.0mmにすることができる。
【0016】
インナーライナーの厚さが0.4mm未満になると、内圧保持性能が低下する。
インナーライナーの厚さが3.0mmを越えると、重量面で不利になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の空気入りタイヤの一実施形態を図1にしたがって説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、一対のビードコア12(図1では片方のみ図示)と、一対のビードコア12にトロイド状に跨がるカーカスプライ14,16を有している。カーカスプライ14,16はラジアル方向に延びるカーカスプライコード(図示せず)を有している。
【0019】
ビード部18には、ビードコア12に巻き上げられたカーカスプライ14の外側にチェーファー20が設けられている。
【0020】
カーカスプライ14,16のタイヤ半径方向外側には、複数層からなるベルト22が及び補強層24が配置され、さらにタイヤ半径方向外側にはベースゴム26A及びキャップゴム26Bからなるいわゆるキャップ・ベース構造のトレッドゴム26が配置されている。
【0021】
また、カーカスプライ14,16のタイヤ幅方向外側には、サイドウォールゴム28が配置されている。
【0022】
一方、カーカスプライ14のタイヤ内面側には、第1層としての第1インナーライナー30A及び第2層としての第2インナーライナー30Bの2層構造とされたインナーライナー30が配置されている。
【0023】
カーカスプライ14側に配置される第2インナーライナー30Bの端部はチェーファー20のタイヤ内側の端部近傍に配置されており、第1インナーライナー30Aの端部は、ビード・トウ18Aに配置されている。
【0024】
これら第1インナーライナー30A及び第2インナーライナー30Bは、従来と同様の耐空気透過性の高いブチル系のゴムから構成されており、カレンダーロールによってシート状に加工されたものである。
【0025】
ここで、カレンダーロールによってゴム部材(未加硫)をゴムシートに加工すると、カレンダーからの排出方向とそのラジアル方向の弾性率が異なるゴムシートが得られる。
【0026】
なお、特開平8−132512号公報、特開平8−175108号公報等に記載されているゴム部材の押出方法によっても弾性率に配向性を有するゴムシートを得ることができる。
【0027】
第1インナーライナー30Aは、厚さ0.5mmで、弾性率の高い方向(配向方向)をタイヤ周方向に対して0度とした。なお、第1インナーライナー30Aのタイヤ周方向の弾性率ES とラジアル方向(タイヤ周方向と直角方向)の弾性率ER との比率ER /ES は0.95である。
【0028】
一方、第2インナーライナー30Bは、厚さ0.5mmで、弾性率の高い方向(配向方向)をタイヤ周方向に対して90度とした。なお、第2インナーライナー30Bのタイヤ周方向の弾性率ES とラジアル方向(タイヤ周方向と直角方向)の弾性率ER との比率ER /ES は1.05である。
【0029】
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用を説明する。
本実施形態の空気入りタイヤ10では、第1インナーライナー30Aの弾性率の高い方向と、第2インナーライナー30Bの弾性率の高い方向とが90度で交差しているので、空気入りタイヤ10の前後方向、横方向の両方のたわみに対し、インナーライナー30には均等に歪が生じる様になる。
【0030】
このため、過酷な使用条件下においても、インナーライナー30の劣化、クラック等を抑制でき、結果的にタイヤの内圧保持機能を高めることができるようになる。
【0031】
なお、上記実施形態では、第1インナーライナー30A厚さと第2インナーライナー30Bの厚さが同一であったが、図2に示すように第1インナーライナー30Aの厚さと第2インナーライナー30Bの厚さを変えても良い。
【0032】
図2に示す空気入りタイヤ10では、第1インナーライナー30Aは、厚さ1.0mmで、弾性率の高い方向(配向方向)をタイヤ周方向に対して3度とした。
【0033】
なお、第1インナーライナー30Aのタイヤ周方向の弾性率ES とラジアル方向(タイヤ周方向と直角方向)の弾性率ER との比率ER /ES は0.96である。
【0034】
一方、第2インナーライナー30Bは、厚さ0.5mmで、弾性率の高い方向(配向方向)をタイヤ周方向に対して90度とした。なお、第2インナーライナー30Bのタイヤ周方向の弾性率ES とラジアル方向(タイヤ周方向と直角方向)の弾性率ER との比率ER /ES は1.03である。
(試験例)
本発明の適用された実施例のタイヤ(上記実施形態で説明した空気入りタイヤ。図1参照)を装着した乗用車と、従来例のタイヤを装着した乗用車とを用意し、タイ国の一般道を3万Km走行させた後の内圧を比較した。
【0035】
なお、従来例のタイヤは、第1インナーライナーが厚さ0.5mm、第2インナーライナーが厚さ0.5mmであり、両者とも弾性率の高い方向(配向方向)をタイヤ周方向に対して0度とした。
【0036】
何れのタイヤもタイヤサイズはPC175/70R13であり、150KPAの内圧を充填して試験を行った。
【0037】
3万Km走行させた後の内圧を比較した結果、実施例のタイヤの内圧と従来例のタイヤの内圧の比率(従来例のタイヤの内圧/実施例のタイヤの内圧)は=0.92であり、実施例のタイヤは従来のタイヤに対して約8%の内圧保持機能の向上が確認された。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、インナラーライナーの厚みを抑えつつ長期に渡り十分な内圧保持を行うことが可能となる、という優れた効果を有する。
【0039】
また、請求項1に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、何れの方向のたわみに対しても均等に歪が生じる様になる、という優れた効果を有する。
【0040】
請求項2に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、重量増加を抑えつつ長期にわたって内圧保持性能を確実に維持できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの断面図である。
【図2】他の実施形態に係る空気入りタイヤの断面図である。
【符号の説明】
30 インナーライナー
10 空気入りタイヤ
30A 第1インナーライナー(第1層)
30B 第2インナーライナー(第2層)
Claims (2)
- 内面にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、 前記インナーライナーは、弾性率に配向性を有した第1層及び第2層を備えた積層構造とされ、
前記第1層の弾性率の配向方向と前記第2層の弾性率の配向方向とを交差角度80〜100度で交差させたことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記第1層及び前記第2層の厚さを、各々0.2〜1.5mmとしたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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