JP4191690B2 - 再熱蒸気温度制御方法、制御装置およびこれを用いたボイラプラント - Google Patents
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Description
また、ボイラプラントには、煙道に再熱器を備えた再熱通路と過熱器を備えた過熱通路とが並列に設けられているものがある。これらのボイラプラントでは、各通路の出口に設けられた再熱通路ガスダンパおよび過熱通路ガスダンパの各開度を調節し、再熱通路を流れる燃焼ガスの流量を調節して再熱蒸気温度が所定値となるように制御している。
すなわち、ダンパの開度が大きいほど抵抗が少なくなるので、再熱蒸気温度制御が行なえる範囲で最大の開度に設定すれば、誘引通風機の動力は少なくて済むことになる。しかし、ボイラで発生する燃焼ガス量は使用する燃料によって異なる。例えば、石炭でも、産地毎に異なるし、同じボイラで石炭と油を混焼したり、油専焼となったりしても異なるし、油の種類によっても異なる。
このため、再熱蒸気温度制御が行なえる範囲で最大の開度に設定することは、現実的に困難であり、行なわれていないのが実情である。
すなわち、本発明にかかる再熱蒸気温度制御方法は、再熱器を包囲するように煙道に配置された再熱通路と、前記煙道に該再熱通路と並列して配置された過熱通路と、前記再熱通路の出口に設けられた再熱通路ガスダンパと、前記過熱通路の出口に設けられた過熱通路ガスダンパと、前記再熱通路および前記過熱通路からの燃焼ガスを誘引して排出する誘引通風機とが備えられ、前記再熱通路ガスダンパおよび前記過熱通路ガスダンパの合計開度を所定値とし、前記再熱通路ガスダンパの開度と前記過熱通路ガスダンパの開度とを、再熱蒸気温度が所定値になるように調節する再熱蒸気温度制御方法において、前記再熱蒸気温度が所定値に安定した後、前記再熱通路ガスダンパの開度および前記過熱通路ガスダンパの開度を同時に漸増させ、前記再熱蒸気温度が前記所定値から変動すると前記再熱通路ガスダンパの開度および前記過熱通路ガスダンパの開度を同時に漸減させることを特徴とする。
また、再熱通路ガスダンパの開度と過熱通路ガスダンパの開度とは、同時に増加させられるようにしているので、再熱通路と過熱通路とを通る燃焼ガスの比率は大きく変動しないこととなる。そして、開度は漸増されるので、再熱蒸気温度制御に対して大きな影響を与えない、すなわち大きな外乱とならない。したがって、再熱蒸気温度が所定値に安定した状態で、誘引通風機の動力を低減させることができる。
さらに、再熱蒸気温度が所定値から変動すると再熱通路ガスダンパの開度および過熱通路ガスダンパの開度を同時に漸減させるので、再熱通路ガスダンパの開度および過熱通路ガスダンパの開度を再熱蒸気温度が所定値に安定する値に戻すことができる。言い換えると、再熱通路ガスダンパおよび過熱通路ガスダンパが制御裕度を確保できる開度まで漸減されることができる。
したがって、このような漸増、漸減を繰り返すことによってその時の燃料に対する再熱通路ガスダンパの開度および過熱通路ガスダンパの開度の最大値の近くで運転できるので、誘引通風機は最適の条件で駆動されることとなり、その動力を低減させることができる。
このようにすると、再熱通路と過熱通路とを通る燃焼ガスの比率はほとんど変動しないこととなるので、再熱蒸気温度が所定値に安定した状態で、一層開度を増加させることができる。
また、この時再熱通路ガスダンパの開度と過熱通路ガスダンパの開度とは、同時に増加させられるようにしているので、再熱通路と過熱通路とを通る燃焼ガスの比率は大きく変動しないこととなる。そして、開度は漸増されるので、再熱蒸気温度制御に対して大きな影響を与えない、すなわち大きな外乱とならない。したがって、再熱蒸気温度が所定値に安定した状態で、誘引通風機の動力を低減させることができる。
さらに、最適開度設定モードは再熱蒸気温度が所定値から変動すると再熱通路ガスダンパの開度および過熱通路ガスダンパの開度を同時に漸減させるので、再熱通路ガスダンパの開度および過熱通路ガスダンパの開度を再熱蒸気温度が所定値に安定する値に戻すことができる。
したがって、このような漸増、漸減を繰り返すことによってその時の燃料に対する再熱通路ガスダンパの開度および過熱通路ガスダンパの開度の最大値の近くで運転できるので、誘引通風機は最適の条件で駆動されることとなり、その動力を低減させることができる。
このようにすると、最適開度設定モードによる漸増中、再熱通路と過熱通路とを通る燃焼ガスの比率はほとんど変動しないこととなるので、再熱蒸気温度が所定値に安定した状態で、一層開度を増加させることができる。
また、この時再熱通路ガスダンパの開度と過熱通路ガスダンパの開度とは、同時に増加させられるようにしているので、再熱通路と過熱通路とを通る燃焼ガスの比率は大きく変動しないこととなる。そして、開度は漸増されるので、再熱蒸気温度制御に対して大きな影響を与えない、すなわち外乱とならない。したがって、再熱蒸気温度が所定値に安定した状態で、誘引通風機の動力を低減させることができる。
さらに、最適開度設定モードは再熱蒸気温度が所定値から変動すると再熱通路ガスダンパの開度および過熱通路ガスダンパの開度を同時に漸減させるので、再熱通路ガスダンパの開度および過熱通路ガスダンパの開度を再熱蒸気温度が所定値に安定する値に戻すことができる。
したがって、このような漸増、漸減を繰り返すことによってその時の燃料に対する再熱通路ガスダンパの開度および過熱通路ガスダンパの開度の最大値の近くで運転できるので、誘引通風機は最適の条件で駆動されることとなり、その動力を低減させることができる。
このようにすると、再熱通路と過熱通路とを通る燃焼ガスの比率はほとんど変動しないこととなるので、再熱蒸気温度が所定値に安定した状態で、一層開度を増加させることができる。
図1は、本実施形態にかかるボイラプラント1の全体概略構成を示すブロック図である。
ボイラプラント1には、鉛直方向に設置された火炉3と、火炉3の火炉壁5の下部に設置された燃焼装置7と、火炉3の出口に連結された煙道9と、煙道9に設けられた二次過熱器11と、二次再熱器13と、一次再熱器(再熱器)15と、一次過熱器(過熱器)17と、節炭器19と、火炉3の上方に設けられた蒸気ドラム21と、煙道9に設けられた誘引通風機23と、煙突25と、制御装置27と、が備えられている。
煙道9における火炉3と並列に配置された部分は、仕切板29によって火炉側の再熱通路31と外側の過熱通路33とに分割されている。再熱通路31には、一次再熱器15が設置されている。再熱通路31の出口部には、再熱通路ガスダンパ35が設けられている。再熱通路ガスダンパ35は、再熱アクチュエータ39によって開度が調節されるように構成されている。
過熱通路33には、上から下に向かい一次過熱器17と節炭器19とが設置されている。過熱通路33の出口部には、過熱通路ガスダンパ37が設けられている。過熱通路ガスダンパ37は、過熱アクチュエータ41によって開度が調節されるように構成されている。
微粉炭供給手段45には、図示しない給炭機および計量器を経て供給された石炭を燃焼に適した大きさ(例えば、数μm〜数百μm)まで粉砕する図示しない微粉炭機と、微粉炭機で生成された微粉炭を図示しない空気源から供給される加圧された搬送空気によって微粉炭混合気として微粉炭バーナ43へ気流搬送する給炭管47とが備えられている。
空気供給手段47には、空気を加圧して供給する押込通風機49と、火炉3外壁に設けられた風箱51と、押込通風機49と風箱51とを接続する空気管53とが備えられている。回転再生式熱交換器55が空気管53と煙道9とにまたがって、二次空気と燃焼ガスとを熱交換させるように設置されている。
なお、本実施形態のボイラプラント1では、燃料として微粉炭(石炭)を用いているが、油等の液体燃料でも、LNG、LPG等のガス燃料でも、あるいはこれらの混合であってもよい。
図示しない微粉炭機で生成された微粉炭は、加圧された搬送空気と混合されて微粉炭混合気を形成され、給炭管47を通って微粉炭バーナ43へ送られる。
一方、押込通風機49で加圧されて供給される二次空気は、回転再生式熱交換器55によって燃焼ガスから熱量を供給され、昇温されて空気管53を経て風箱51へ供給される。二次空気は風箱51から微粉炭バーナ43へ送られる。
微粉炭バーナ43から火炉3内へ微粉炭混合気と二次空気とが供給され、着火されると火炉内に火炎が生じる。
煙道9に入った燃焼ガスは、再熱通路31および過熱通路33に分流される。
この時、給水ポンプ59から供給された水は、節炭器19によって予熱された後、蒸気ドラム21に供給される。蒸気ドラム21から火炉壁5の各蒸発管(図示せず)に供給された水は、蒸発管を下から上に流れる間に加熱されて飽和蒸気となり、蒸気ドラム21に送り込まれる。
一方、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、一次再熱器15に、次いで二次再熱器13導入し、再度過熱しタービンに戻される。
そして、節炭器19を通過した燃焼ガスは、回転再生式熱交換器55にて空気管53を通過する二次空気に熱量を供給し、脱硫、脱硝、除塵等の処理を施されて、煙突から大気中に排出される。
一次再熱器15で受取る熱量は再熱通路31を通る燃焼ガス量によって変動するので、この燃焼ガス量を調節すると再熱蒸気温度が調節することができる。
例えば、再熱通路ガスダンパ35の開度を増加させると、再熱通路31における燃焼ガスに対する抵抗が小さくなるので、燃焼ガスはより多く流れる。一方、その開度を減少させると、再熱通路31における燃焼ガスに対する抵抗が大きくなって燃焼ガスの流量は減少する。
過熱通路33を流れる燃焼ガスおよび過熱通路ガスダンパ37も同様な関係にある。
したがって、再熱通路ガスダンパ35の開度を調節して、再熱通路31を通る燃焼ガス量を増減させると、一次再熱器15が受取る熱量が増減するので、再熱蒸気温度を制御することができる。
したがって、再熱通路ガスダンパ35の開度を増加させると、過熱通路ガスダンパ37の開度を減少させるように調節される。
図2には、再熱通路ガスダンパ35の開度と過熱通路ガスダンパ37の開度とを合計した合計開度を130%とした時の再熱通路ガスダンパ35の開度RHと過熱通路ガスダンパ37の開度SHとの関係が示されている。これは、再熱通路ガスダンパ35の開度RHが開度指令に対応して変化した時の、過熱通路ガスダンパ37の開度SHとの関係が示されている。
再熱通路ガスダンパ35の開度RHには、最低開度として30%の開度が設定されている。この最低開度は、過熱通路ガスダンパ37にも設定されている。そして、最低開度の値は、合計開度の大きさに対応して適宜な値に設定される。
温度計59の検出値が所定値よりも高い場合には、開度を減少させる信号を再熱アクチュエータ39に送り、再熱通路ガスダンパ35の開度を減少させ、一方、開度を増加させる信号を過熱アクチュエータ41に送り、過熱通路ガスダンパ37の開度を増加させる。
これを繰り返すことで、再熱蒸気温度は所定値になるように制御される。
最適開度設定モードWMでは、まず、開度制御モードCMにおいて行われる開度制御が安定したか否かを判定する(ステップS)。
これは、例えば、所定時間内における再熱蒸気温度の所定値からの偏差が所定範囲に納まっている(安定)か否(不安定)かを判定するもので、随時行なわれている。
この制御安定性判定の結果、安定(Yes)の場合には、再熱通路ガスダンパ35および過熱通路ガスダンパ37の開度を所定割合で増加させるワイドオープンを行う(ステップS2)。
所定割合は、再熱蒸気温度制御の外乱とならないような変化量、例えば、再熱通路ガスダンパ35および過熱通路ガスダンパ37の開度をそれぞれ毎分5%ずつ増加に設定される。
それ以外の場合には、随時所定時間内における再熱蒸気温度の所定値からの偏差が所定範囲に納まっている(安定)か否(不安定)かを判定する(ステップS4)。
この制御安定性判定の結果、安定(Yes)の場合には、ステップ2のワイドオープンを続行する。
この制御安定性判定の結果、不安定(No)の場合には、ワイドオープンを解除し、再熱通路ガスダンパ35および過熱通路ガスダンパ37の開度を所定割合で減少させる(ステップS5)。この時も、随時、ステップ4の制御の安定性をチェックし、制御が安定すると、ステップS2に戻り、ワイドオープンを開始する。
合計開度が増加すると、燃焼ガスに対する抵抗が減少するので、再熱蒸気温度制御装置57は、誘引通風機23のファン回転数を低減させ、排出される燃焼ガス量が増加しないようにする。
このように、開度制御モードCMによって再熱蒸気温度が所定値に安定した後、最適開度設定モードWMによって再熱通路ガスダンパ35の開度および過熱通路ガスダンパ37の開度を同時に所定割合ずつ増加させるので、再熱通路ガスダンパ35の開度および過熱通路ガスダンパ37の開度が増加し、それらを合計した合計開度が増加することになる。合計開度が増加すると、その増加分だけ燃焼ガスに作用する抵抗が減少するので、その抵抗減少分だけ燃焼ガスの圧力損失は低減する。
このため、燃焼ガスの流量を略同一とすれば、誘引通風機23での誘引力を小さくでき、その動力を低減させることができる。
さらに、最適開度設定モードWMは再熱蒸気温度が所定値から変動すると再熱通路ガスダンパ35の開度および過熱通路ガスダンパ37の開度を同時に漸減させるので、再熱通路ガスダンパ35の開度および過熱通路ガスダンパ37の開度を再熱蒸気温度が所定値に安定する値に戻すことができる。
したがって、このような漸増、漸減を繰り返すことによってその時の燃料に対する再熱通路ガスダンパ35の開度および過熱通路ガスダンパ37の開度の最大値の近くで運転できるので、誘引通風機23は最適の条件で駆動されることとなり、その動力を低減させることができる。
9 煙道
15 一次再熱器
23 誘引通風機
31 再熱通路
33 過熱通路
35 再熱通路ガスダンパ
37 過熱通路ガスダンパ
57 再熱蒸気温度制御装置
CM 開度制御モード
WM 最適開度設定モード
Claims (6)
- 再熱器を包囲するように煙道に配置された再熱通路と、前記煙道に該再熱通路と並列して配置された過熱通路と、前記再熱通路の出口に設けられた再熱通路ガスダンパと、前記過熱通路の出口に設けられた過熱通路ガスダンパと、前記再熱通路および前記過熱通路からの燃焼ガスを誘引して排出する誘引通風機とが備えられ、
前記再熱通路ガスダンパおよび前記過熱通路ガスダンパの合計開度を所定値とし、前記再熱通路ガスダンパの開度と前記過熱通路ガスダンパの開度とを、再熱蒸気温度が所定値になるように調節する再熱蒸気温度制御方法において、
前記再熱蒸気温度が所定値に安定した後、前記再熱通路ガスダンパの開度および前記過熱通路ガスダンパの開度を同時に漸増させ、前記再熱蒸気温度が前記所定値から変動すると前記再熱通路ガスダンパの開度および前記過熱通路ガスダンパの開度を同時に漸減させることを特徴とする再熱蒸気温度制御方法。 - 前記再熱通路ガスダンパの開度および前記過熱通路ガスダンパの開度の漸増は、前記各開度に対して同じ割合で増加させることを特徴とする請求項1に記載の再熱蒸気温度制御方法。
- 再熱器を包囲するように煙道に配置された再熱通路と、前記煙道に該再熱通路と並列して配置された過熱通路と、前記再熱通路の出口に設けられた再熱通路ガスダンパと、前記過熱通路の出口に設けられた過熱通路ガスダンパと、前記再熱通路および前記過熱通路からの燃焼ガスを誘引して排出する誘引通風機とが備えられ、
前記再熱通路ガスダンパおよび前記過熱通路ガスダンパの合計開度を所定値とし、前記再熱通路ガスダンパの開度と前記過熱通路ガスダンパの開度とを、再熱蒸気温度が所定値になるように制御する開度制御モードが備えられた再熱蒸気温度制御装置において、
前記開度制御モードによって前記再熱蒸気温度が所定値に安定した後、前記再熱通路ガスダンパの開度および前記過熱通路ガスダンパの開度を同時に漸増させ、前記再熱蒸気温度が前記所定値から変動すると前記再熱通路ガスダンパの開度および前記過熱通路ガスダンパの開度を同時に漸減させる最適開度設定モードが備えられていることを特徴とする再熱蒸気温度制御装置。 - 前記最適開度設定モードは、前記再熱通路ガスダンパの開度および前記過熱通路ガスダンパの開度を、前記各開度に対して同じ割合で増加させることを特徴とする請求項3に記載の再熱蒸気温度制御装置。
- 再熱器を包囲するように煙道に配置された再熱通路と、
前記煙道に該再熱通路と並列して配置された過熱通路と、
前記再熱通路の出口に設けられた再熱通路ガスダンパと、
前記過熱通路の出口に設けられた過熱通路ガスダンパと、
前記再熱通路および前記過熱通路からの燃焼ガスを誘引して排出する誘引通風機と、
前記再熱通路ガスダンパおよび前記過熱通路ガスダンパの合計開度を所定値とし、前記再熱通路ガスダンパの開度と前記過熱通路ガスダンパの開度とを、再熱蒸気温度が所定値になるように制御する再熱蒸気温度制御装置と、が備えられたボイラプラントにおいて、
前記再熱蒸気温度制御装置には、前記再熱蒸気温度が所定値に安定した後、前記合計開度を漸増させるように前記再熱通路ガスダンパの開度および前記過熱通路ガスダンパの開度を同時に漸増させ、前記再熱蒸気温度が前記所定値から変動すると前記再熱通路ガスダンパの開度および前記過熱通路ガスダンパの開度を同時に漸減させる最適開度設定モードが備えられていることを特徴とするボイラプラント。 - 前記最適開度設定モードは、前記再熱通路ガスダンパの開度および前記過熱通路ガスダンパの開度を、前記各開度に対して同じ割合で増加させることを特徴とする請求項5に記載のボイラプラント。
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