JP4191419B2 - 計算機ホログラム作成装置および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明光の入射により少なくとも位相が変調された再生光を生じさせて目標再生像を再生する為の計算機ホログラム(位相ホログラムまたは複素振幅ホログラム)を最適化法により作成する装置および方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザマーキング、レーザ加工、光造形および光ピンセットなどの分野では、レーザ光を所望の形状に形成する画像パターン形成技術が求められている。画像パターン形成技術の1つに、計算機ホログラムを用いる技術がある。この技術では、目標とする所望の形状の再生像(目標再生像)を発生し得る計算機ホログラムを計算により求めて作成し、この計算機ホログラムに照明光を照射して目標再生像を形成する。この計算機ホログラムを用いる技術は、ホログラフィ技術を利用するものであるから、自由度が高い。また、計算機ホログラムとして位相ホログラムを用いれば、光のロスが小さいので、光エネルギの利用効率が高い。
【0003】
この計算機ホログラムの作成は、解析的には行うことができず、反復計算に基づく最適化法により行われる。最適化による計算機ホログラムの作成は、或る初期計算機ホログラムから開始して反復計算を行って、この計算により求められた計算機ホログラムから再生される再生像が目標再生像に近づくように計算機ホログラムを逐次更新していく。このような最適化法を用いると、良好な結果が得られる。
【0004】
例えば、文献「A. G. Kirk and T. J. Hall, "Design of binary computer generated holograms by simulated annealing: coding density and reconstruction error," Opt. Comm. Vol.94, pp.491-496 (1992)」に記載された計算機ホログラム作成方法では、最適化法としてシミュレーテッドアニーリング(SA: Simulated Annealing)法が用いられている。Kirkらは、ホログラム値が2値に制限された二値位相型計算機ホログラムの作成にSA法を適用している。その他に計算機ホログラムの作成にSA法を適用した様々な文献があるが、その中でも、Kirkらの上記文献は作成時間を短縮するための工夫について明確に言及している。
【0005】
まず、この文献に基づいて構成したSA法を用いた計算機ホログラム作成方法の一般的な手順を説明する。その手順では、(S1) 計算機ホログラムの初期値を決定するとともに、SA法で用いられるパラメータの初期値を決定し、(S2)計算機ホログラムに含まれる多数の画素のうち1個または複数個の画素を選択し、(S3) その選択した画素の画素値を変化させ、(S4) 画素値を変化させた後の計算機ホログラムにより再生される再生像を計算し、(S5) その計算された再生像と目標再生像との誤差を計算し、(S6) その誤差を評価して、選択した画素の画素値の変化(上記ステップS3)を受け入れるか否かを決定し、(S7) 計算機ホログラムに含まれる全ての画素について上記ステップS2〜S6の処理を行ったか否かを判断して、もし「否」であれば上記ステップS2に戻り、(S8) SA法で用いられるパラメータを更新し、(S9) 計算を終了してよいか否かを判断して、もし「否」であれば上記ステップS2に戻る。
【0006】
このSA法による計算手続は二重のループを有している。そのうちの内側のループ(ステップS2〜S7)では、SA法で用いられるパラメータが一定のまま、計算機ホログラムに含まれる画素をスキャンして当該画素値を最適化する。外側のループ(ステップS2〜S9)では、SA法で用いられるパラメータを更新しつつ最適化を反復して、最適化の度合いを高めていく。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記文献に記載されたSA法による計算機ホログラム作成方法は、繰り返し回数と計算量とが共に大きいため、非常に長い時間を要するという問題点がある。
【0008】
繰り返し回数についていえば、SA法の内側のループは、計算機ホログラムに含まれる全ての画素について行われることから、繰り返し回数が画素数と同一である。一般に画素数は非常に大きくて、例えばVGA規格液晶モニタ用の計算機ホログラムを作成することを考えると、内側のループの繰り返し回数は30万回以上にもなる。さらに、程度の良い解を得るためには、ステップS2〜S9の外側のループを多数回繰り返す必要がある。このように、外側および内側の双方のループの繰り返し回数が大きいため、作成時間が長くなる。
【0009】
画素数が増大するとさらに作成時間が長くなる。近年では、プロセス技術の発展により、ホログラム表示に用いることのできるデバイスの画素数が急激なピッチで増加している。ホログラムの画素数が増加すると、内側のループにおける画素スキャンの為の反復回数も増加する。また、上記ステップS4における再生像計算量も増加する。さらに、自由度が高くなることから、外側のループにおける最適化の為の反復回数が増加する。このように、計算機ホログラムの画素数が増加すると、ホログラム作成時間が急激に増加することになる。
【0010】
ホログラム値が多レベルになっても計算時間が増大する。Kirkらの上記文献では、SA法を用いて2値ホログラムを作成したが、2値ホログラムの場合は、ステップ4の計算量が少ないため、もともと全体の計算量が比較的少ない。また、自由度が低いため、繰り返し回数も比較的少なくて済む。これに対して、ホログラム値が多値の場合は、ステップS4の計算量が2値の場合の2倍以上になる。さらに、自由度が高くなるため、外側ループの繰り返し回数が増大する。この2つの効果から、ホログラム値のレベル数が増えると、ホログラム作成時間が急激に増えることになる。
【0011】
Kirkらの上記文献では、ステップS4における再生像の計算において、不要な計算を排除することと、ルックアップテーブルを利用することの2つの工夫により、再生像計算の高速化を計っている。前者は多値ホログラムにも適用可能である。しかし残念ながら、彼らのルックアップテーブルについては、二値ホログラムを対象として考案されているので、多値のホログラムに適用しても作成時間を大幅に削減することはできない。
【0012】
このように、SA法はもともと計算に時間のかかる手法である上、画素数の増大やホログラム値のレベル数の増大に伴って、作成所要時間が急激に増加する。作成所要時間が長いことは、実用化の際の大きな障害となる。また、多値ホログラムの場合には、Kirkらの文献に記されたルックアップテーブルを用いても、十分な高速化は期待できない。
【0013】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、計算機ホログラムを短時間に作成することができる計算機ホログラム作成装置および方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る計算機ホログラム作成装置は、照明光の入射により少なくとも位相が変調された再生光を生じさせて目標再生像を再生する為のフーリエ変換型の計算機ホログラムを最適化法により作成する装置であって、(1) 入力値q(ただし、0≦q<Q、qおよびQそれぞれは整数。)の入力に対して、関数値 exp(2πiq/Q) が量子化された出力値LUT[q]を出力するルックアップテーブル記憶手段と、(2) 計算機ホログラムに含まれる何れかの画素の位相値の変化に応じて、その変化前の位相値および画素の位置に応じた入力値qに基づいてルックアップテーブル記憶手段から出力値LUT[q]を得るとともに、その変化後の位相値および画素の位置に応じた入力値q'に基づいてルックアップテーブル記憶手段から出力値LUT[q']を得て、これら出力値LUT[q]およびLUT[q']に基づいて、計算機ホログラムにより再生される再生像を計算する再生像計算手段と、(3) 計算機ホログラムに含まれる各画素の位相値を変化させ、この変化に応じて再生像計算手段により計算される再生像と目標再生像とに基づいて、目標再生像を再生する為の計算機ホログラムを最適化法により作成する最適化処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る計算機ホログラム作成方法は、照明光の入射により少なくとも位相が変調された再生光を生じさせて目標再生像を再生する為のフーリエ変換型の計算機ホログラムを最適化法により作成する方法であって、(1) 入力値q(ただし、0≦q<Q、qおよびQそれぞれは整数。)の入力に対して、関数値 exp(2πiq/Q) が量子化された出力値LUT[q]を出力するルックアップテーブルを用意し、(2) 計算機ホログラムに含まれる何れかの画素の位相値の変化に応じて、その変化前の位相値および画素の位置に応じた入力値qに基づいてルックアップテーブルから出力値LUT[q]を得るとともに、その変化後の位相値および画素の位置に応じた入力値q'に基づいてルックアップテーブルから出力値LUT[q']を得て、これら出力値LUT[q]およびLUT[q']に基づいて、計算機ホログラムにより再生される再生像を計算し、(3) 計算機ホログラムに含まれる各画素の位相値を変化させ、この変化に応じて計算される再生像と目標再生像とに基づいて、目標再生像を再生する為の計算機ホログラムを最適化法により作成する、ことを特徴とする。
【0016】
上記の本発明に係る計算機ホログラム作成装置と本発明に係る計算機ホログラム作成方法とは、互いに同一の技術的思想に基づくものである。本発明では、上述したようなルックアップテーブルを用意しておくことにより、再生像を計算する際の演算量が削減され、計算機ホログラムが短時間に作成される。
【0017】
本発明に係る計算機ホログラム作成装置は、再生像計算手段が、(1) 画素の変化前の位相値2πp/Pと変化後の位相値2πp'/Pとの和(2π(p+p')/P)の値がπまたは3πであるときには、変化後の位相値2πp'/Pに応じた入力値に基づいてルックアップテーブル記憶手段から出力値の実数部を得るとともに、画素の位置に応じた入力値に基づいてルックアップテーブル記憶手段から出力値を得て、これらの値に基づいて、計算機ホログラムにより再生される再生像を計算し、(2) 和の値が2πであるときには、変化後の位相値2πp'/Pに応じた入力値に基づいてルックアップテーブル記憶手段から出力値の虚数部を得るとともに、画素の位置に応じた入力値に基づいてルックアップテーブル記憶手段から出力値を得て、これらの値に基づいて、計算機ホログラムにより再生される再生像を計算し、(3) 和の値がπ,2πおよび3πの何れでもないときに、その変化前の位相値2πp/Pおよび画素の位置に応じた入力値qに基づいてルックアップテーブル記憶手段から出力値LUT[q]を得るとともに、その変化後の位相値2πp'/Pおよび画素の位置に応じた入力値q'に基づいてルックアップテーブル記憶手段から出力値LUT[q']を得て、これら出力値LUT[q]およびLUT[q']に基づいて、計算機ホログラムにより再生される再生像を計算する、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る計算機ホログラム作成方法は、計算機ホログラムにより再生される再生像を計算する際に、(1) 画素の変化前の位相値2πp/Pと変化後の位相値2πp'/Pとの和(2π(p+p')/P)の値がπまたは3πであるときには、変化後の位相値2πp'/Pに応じた入力値に基づいてルックアップテーブルから出力値の実数部を得るとともに、画素の位置に応じた入力値に基づいてルックアップテーブルから出力値を得て、これらの値に基づいて、計算機ホログラムにより再生される再生像を計算し、(2) 和の値が2πであるときには、変化後の位相値2πp'/Pに応じた入力値に基づいてルックアップテーブルから出力値の虚数部を得るとともに、画素の位置に応じた入力値に基づいてルックアップテーブルから出力値を得て、これらの値に基づいて、計算機ホログラムにより再生される再生像を計算し、(3) 和の値がπ,2πおよび3πの何れでもないときに、その変化前の位相値2πp/Pおよび画素の位置に応じた入力値qに基づいてルックアップテーブルから出力値LUT[q]を得るとともに、その変化後の位相値2πp'/Pおよび画素の位置に応じた入力値q'に基づいてルックアップテーブルから出力値LUT[q']を得て、これら出力値LUT[q]およびLUT[q']に基づいて、計算機ホログラムにより再生される再生像を計算する、ことを特徴とする。
【0019】
このように、画素の変化前の位相値2πp/Pと変化後の位相値2πp'/Pとの和(2π(p+p')/P)の値がπ,2πおよび3πの何れかの場合には、再生像を計算する際の演算量が更に削減され、計算機ホログラムが更に短時間に作成される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
先ず、本実施形態に係る計算機ホログラム作成装置および方法における再生像計算処理(上記ステップS4の処理)について説明する。計算機ホログラムがフーリエ変換ホログラムである場合には、計算機ホログラムにより再生される再生像は、計算機ホログラムをフーリエ変換することで得られる。このフーリエ変換による計算には、高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)や離散フーリエ変換(DFT: Discrete Fourier Transform)が用いられる。一般に、データ数をVとすると、FFTにより再生像を計算する際の計算量はV・logVに比例するのに対して、DFTにより再生像を計算する際の計算量はV2に比例するので、FFTの方が高速である。
【0025】
しかし、SA法等の最適化法では、上述したように、(S2) 計算機ホログラムに含まれる多数の画素のうち1個または複数個の画素を選択し、(S3) その選択した画素の画素値を変化させ、(S4) 画素値を変化させた後の計算機ホログラムにより再生される再生像をフーリエ変換により計算することから、画素値が変化した画素についてのみ計算すればよい。したがって、この場合には、DFTにより再生像を計算する際の計算量はVに比例するので、DFTの方が高速である。また、DFTによる計算の際にルックアップテーブルを用いることで、再生像を短時間に計算することができる。
【0026】
さらに、FFTでは、再生面上の再生像に含まれる全ての画素が同時に計算されるので、再生像の一部のみが必要である場合であっても、再生像に含まれる全ての画素を計算しなければならない。一方、DFTでは、再生像に含まれる各画素は独立に計算されるので、再生像の一部のみが必要である場合には、その必要な画素についてのみ計算すればよい。すなわち、DFTによる再生像の計算に際しては、再生像のうちの関心領域に含まれる画素についてのみ計算すればよい。再生像の全画素数をVとし、関心領域内の画素数をUとすると、DFTによる関心領域の計算量はUに比例し、内側のループ(ステップS2〜S7)における計算量はV・Uに比例する。なお、再生像のうちの関心領域は、応用によって異なるが、一般には、画素値が0でない領域である。
【0027】
本実施形態に係る計算機ホログラム作成方法は、以上に説明した考えに基づくものであって、ルックアップテーブルを用いてDFTにより再生像を計算し、この計算された再生像と目標再生像とに基づいて、目標再生像を再生する為の計算機ホログラムを最適化法により作成するものである。なお、最適化法として、既述したSA法の他、遺伝的アルゴリズム(GA: Genetic Algorithm)法やフーリエ変換反復法が用いられる。以下では、DFTによる再生像の計算の際に参照されるルックアップテーブルについて主に説明する。
【0028】
作成されるべき計算機ホログラムの画素数をM×Nとする。計算機ホログラムにおける第j行第k列(1≦j≦M,1≦k≦N)に位置する画素(以下では、この画素を「画素(j,k)」と表記する。)の複素振幅をhjkの如く表記する。また、再生面上の再生像における第m行第n列(1≦m≦M,1≦n≦N)に位置する画素(以下では、この画素を「画素(m,n)」と表記する。)の光の複素振幅をHmnの如く表記する。計算機ホログラムの画素(j,k)の複素振幅がhjkからh'jkへ変化すると、再生像上の画素(m,n)の光の複素振幅変化量ΔHmnは、
【0029】
【数1】
なる式で表される。ここで、iは虚数単位を表す。また、Δhjkは、計算機ホログラムの画素(j,k)の複素振幅変化量を表し、
【0030】
【数2】
なる式で表される。
【0031】
上記(1)式から判るように、再生像上の各画素(m,n)の光の複素振幅変化量ΔHmnは、計算機ホログラムの画素(j,k)の複素振幅変化量Δhjkのみに依存している。このような変化の後の再生像上の画素(m,n)の光の複素振幅H'mnは、変化前の複素振幅Hmnに対して、
【0032】
【数3】
なる式で表される。したがって、再生像上の各画素(m,n)の光の複素振幅Hmnは、最初に1回だけ計算しておけば、後は変化量ΔHmnを加算していくだけでよい。
【0033】
SA法等の最適化法では、以上のようにして計算された再生像と目標再生像との誤差Cを計算し、その誤差Cを評価して、選択した画素の画素値の変化を受け入れるか否かを決定する。この誤差Cの計算に際しては、再生像のうちの関心領域Ω内においてのみ、
【0034】
【数4】
なる二乗和を求めればよい。ここで、Fmnは目標再生像上の画素(m,n)の光の複素振幅である。なお、目標再生像のエネルギ(全ての画素の光の複素振幅の二乗和)を入力光のエネルギ(hjkの絶対値の二乗和)と等しくしておけば、上記(4)式のように計算範囲を関心領域Ω内に制限しても、最適化の結果には殆ど影響を与えない。
【0035】
上記(1)式の右辺のexp関数は、実数部がcos関数を用いて計算され、虚数部がsin関数を用いて計算される。これらcos関数およびsin関数それぞれの計算に替えて、予め用意したルックアップテーブルを参照することにより、上記(1)式の右辺のexp関数の値を短時間に求めることができる。整数MおよびNの最小公倍数L(L=dM=eN、dおよびeそれぞれは整数。)を用いると、ここで用いられるルックアップテーブルLUT1は、
【0036】
【数5】
なる式で表される。なお、Kirkらの文献では、(1)式右辺の指数関数部をルックアップテーブル化している。彼らの場合は、ホログラムが2値でありΔhjkが2および−2の2つの値しかもたないので、これで十分に高速化の効果が現れた。しかし、多値の場合には、本実施形態のようにΔhjkの部分も含めてルックアップテーブル化しないと大きな効果が期待できない。
【0037】
計算機ホログラムでは、各画素(j,k)の複素振幅hjkは、強度および位相の双方または何れか一方が標本化され量子化される。したがって、上記(1)式の指数関数部だけでなく複素振幅変化量Δhjkも、予め用意したルックアップテーブルを参照することにより求めることができる。
【0038】
作成しようとする計算機ホログラムが強度ホログラムである場合には、計算機ホログラムの各画素(j,k)の複素振幅hjkおよびh'jkそれぞれは量子化された実数である。したがって、この場合には、複素振幅変化量Δhjkのルックアップテーブルを容易に作成することができる。また、上記(1)式の右辺の計算は、実数と複素数との積となるから、ルックアップテーブルを記憶したメモリの参照が3回であって、実数の乗算が2回であり、演算数が少ない。
【0039】
作成しようとする計算機ホログラムが位相ホログラムである場合には、計算機ホログラムの各画素(j,k)の複素振幅hjkおよびh'jkそれぞれは、振幅強度が一定の実数値であって、位相が量子化されていて、複素数である。計算機ホログラムが複素振幅ホログラムである場合には、計算機ホログラムの各画素(j,k)の複素振幅hjkおよびh'jkそれぞれは、振幅強度および位相の双方が量子化されていて、複素数である。
【0040】
計算機ホログラムが位相ホログラムまたは複素振幅ホログラムである場合に、計算機ホログラムの各画素(j,k)の複素振幅hjkの位相が0〜2πの範囲でP個のレベルで量子化されているものとする。計算機ホログラムの各画素(j,k)の複素振幅hjkの位相レベルがp(ただし、0≦p<P、pおよびPそれぞれは整数。)であるとき、すなわち、位相値が2πp/Pであるとき、その複素振幅hjkは、
【0041】
【数6】
なる式で表される。ここで、Ajkは、実数値であり、計算機ホログラムの画素(j,k)からの再生光の振幅強度を表す。
【0042】
最適化法の過程で計算機ホログラムの画素(j,k)の複素振幅の位相レベルがpからp'へ変化したとすると、上記(2)式の計算機ホログラムの画素(j,k)の複素振幅変化量Δhjkは、
【0043】
【数7】
なる式で表される。この(7)式の右辺の括弧内はルックアップテーブル化が可能である。この場合のルックアップテーブルLUT2は、
【0044】
【数8】
なる式で表される。そして、上記(1)式の再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnは、ルックアップテーブルLUT1およびLUT2を用いて、
【0045】
【数9】
なる式で表される。
【0046】
ルックアップテーブルLUT1およびLUT2それぞれの出力値は複素数であるので、この(9)式の右辺では、複素数と複素数との乗算を行うことになる。また、上記(9)式の右辺を計算するには、Ajkのルックアップテーブルの参照、上記ルックアップテーブルLUT1の実数部および虚数部それぞれの参照、および、上記ルックアップテーブルLUT2の実数部および虚数部それぞれの参照が必要である。したがって、上記(9)式の右辺の計算では、ルックアップテーブルを記憶したメモリの参照が5回であって、実数の乗算が4回であり、実数の加減算が4回である。このように、上記(9)式に従って計算することで、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを短時間に求めることができる。
【0047】
しかし、以下のようにルックアップテーブルを工夫することで、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを更に短時間に求めることができる。すなわち、上記(7)式を上記(1)式に代入すると、
【0048】
【数10】
なる式が得られる。そして、P,MおよびNの最小公倍数をQとして、
【0049】
【数11】
とする。ここで、a,bおよびcそれぞれは整数である。このQを用いると、上記(10)式は、
【0050】
【数12】
と表される。
【0051】
この(12)式の右辺にある2つのexp関数それぞれは、その位相が0〜2πの範囲でQ個のレベルで量子化されており、1つのルックアップテーブルに置き換えることができる。ここで用いられるルックアップテーブルLUT3は、
【0052】
【数13】
なる式で表される。ただし、0≦q<Qでり、qおよびQそれぞれは整数である。このルックアップテーブルLUT3を用いれば、上記(12)式は、
【0053】
【数14】
と表される。
【0054】
上記(14)式の右辺を計算するには、Ajkのルックアップテーブルの参照、および、上記ルックアップテーブルLUT3の実数部および虚数部それぞれの参照が必要である。したがって、上記(14)式の右辺の計算では、ルックアップテーブルを記憶したメモリの参照が5回であって、実数の乗算が2回であり、実数の加減算が2回である。このように、上記(14)式に従って計算することで、上記(9)式に従う場合よりも、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを更に短時間に求めることができる。
【0055】
また、計算機ホログラムの画素(j,k)の複素振幅hjkの位相レベルp,p'それぞれの値の組み合わせによっては、計算機ホログラムの画素(j,k)の複素振幅hjkが実数または虚数になるので、この複素振幅hjkが実数、虚数およびその他の何れであるかによって場合分けして計算することで、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを更に短時間に求めることができる。
【0056】
すなわち、計算機ホログラムの画素(j,k)の複素振幅hjkの位相レベルp,p'それぞれの値は0以上P未満の整数であるから、
【0057】
【数15】
および
【0058】
【数16】
の何れかの関係式が満たされる場合には、計算機ホログラムの画素(j,k)の複素振幅変化量Δhjkは、実数であり、
【0059】
【数17】
なる式で表される。このとき、上記(12)式は、
【0060】
【数18】
と表される。なお、この(18)式においてRe[・]は実数部のみを参照する操作を表す。
【0061】
一方、
【0062】
【数19】
なる関係式が満たされる場合には、計算機ホログラムの画素(j,k)の複素振幅変化量Δhjkは、虚数であり、
【0063】
【数20】
なる式で表される。このとき、上記(12)式は、
【0064】
【数21】
と表される。なお、この(21)式においてIm[・]は虚数部のみを参照する操作を表す。
【0065】
上記(18)式の右辺を計算するには、Ajkのルックアップテーブルの参照、および、上記ルックアップテーブルLUT3の実数部の参照が必要である。また、上記(21)式の右辺を計算するには、Ajkのルックアップテーブルの参照、および、上記ルックアップテーブルLUT3の虚数部の参照が必要である。したがって、上記(19)式または上記(21)式の右辺の計算では、ルックアップテーブルを記憶したメモリの参照が4回であって、実数の乗算が3回であり、実数の加減算が不要である。このように、上記(15)式または上記(16)式が成立するときには上記(18)式に従って計算し、上記(19)式が成立するときには上記(21)式に従って計算することで、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを更に短時間に求めることができる。なお、上記(15)式、上記(16)式および上記(19)式の何れも成立しないときには、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを上記(14)式に従って計算する。
【0066】
さらに、最適化法(特にSA法)において、計算機ホログラムの画素(j,k)の位相レベル変化量Δp(=p'−p)の値が限定されている場合があり、この場合には、以下のようにルックアップテーブルを工夫することで、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを更に短時間に求めることができる。すなわち、この場合には、上記(12)式は、
【0067】
【数22】
なる式で表される。ここで、位相レベルpおよびp'それぞれは0からP−1までの整数であるので、位相レベル変化量Δpは、−P+1からP−1までの整数である。ただし、複素指数関数の性質から exp[-ix]=exp[i(2π-x)] であるので、上記(22)式中の [exp(2πiΔp/P)−1] については、位相レベル変化量Δpに関し0からP−1までの範囲でルックアップテーブルを用意すればよい。
【0068】
したがって、q=ap+bjm+cknと表し(0≦q<Q)、
【0069】
【数23】
なる式で表されるルックアップテーブルLUT4を用意することで、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnは、
【0070】
【数24】
なる式で表される。ただし、sは、Δpが正である場合はΔpであり、Δpが負である場合はP−Δpで計算され、何れの場合にも0からP−1までの整数である。また、LUT4'[・,・]は2次元配列を意味し、LUT4[・]はこれを1次元配列で表したものである。
【0071】
上記(24)式の右辺を計算するには、Ajkのルックアップテーブルの参照、および、上記ルックアップテーブルLUT4の実数部および虚数部それぞれの参照が必要である。したがって、上記(24)式の右辺の計算では、ルックアップテーブルを記憶したメモリの参照が3回であって、実数の乗算が2回であり、実数の加減算が不要である。このように、計算機ホログラムの画素(j,k)の位相レベル変化量Δpの値が限定されている場合には、上記(24)式に従って計算することで、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを更に短時間に求めることができる。
【0072】
なお、各ルックアップテーブルは、実数部および虚数部を含むものであるのであって、実数部がcos関数を用いて計算される値であり、虚数部がsin関数を用いて計算される値である。このことを利用すれば、各ルックアップテーブルのサイズを小さくすることができる。例えば、cos(x)=sin(x−π) なる関係を利用すれば、各ルックアップテーブルは、実数部と虚数部とを統合することができ、サイズが1/2になる。また、cos(x)=−cos(x−π) および cos(x)=cos(−x) なる関係を利用すれば、各ルックアップテーブルはサイズが1/4になる。これらの方法を同時に採用すれば、各ルックアップテーブルはサイズが1/8になる。ただし、この方法はルックアップテーブルLUT4には適用できない。
【0073】
また、SA法では、内側のループ(ステップS2〜S7)における1回の探索操作において、計算機ホログラムにおいて画素値を変化させる画素は1つであるのが通常であるが、同時に複数の画素の画素値を変化させる場合がある。また、GA法では、1回の探索操作において同時に複数の画素の画素値を変化させる。このように1回の探索操作において同時に複数の画素の画素値を変化させる場合には留意を要する。すなわち、本実施形態による再生像の計算時間は、(再生像における関心領域Ωの画素数)×(計算機ホログラムにおいて画素値が変化する画素数)の値に比例する。計算機ホログラムにおいて画素値が変化する画素数が多い場合には、FFTによる計算時間と比べて、本実施形態のDFTによる再生像の計算時間が長くなる場合があり得る。一方、FFTによる計算時間および本実施形態のDFTによる計算時間それぞれは予め測定することができる。したがって、FFTによる計算時間と比べて本実施形態のDFTによる計算時間が長くなると予想される場合には、FFTを用いて再生像を計算し、そうでない場合には、本実施形態のDFTを用いて再生像を計算するようにすればよい。
【0074】
以上では、本実施形態に係る計算機ホログラム作成装置および方法における再生像計算処理の理論面を中心に説明した。次に、本実施形態に係る計算機ホログラム作成装置の構成および動作について説明するとともに、本実施形態に係る計算機ホログラム作成方法について説明する。図1は、本実施形態に係る計算機ホログラム作成装置1の構成図である。
【0075】
本実施形態に係る計算機ホログラム作成装置1は、上述したルックアップテーブルLUT3またはLUT4を参照してDFTにより再生像を計算し、この計算した再生像と目標再生像との誤差を評価し、この誤差に基づいて計算機ホログラムを最適化していって、目標再生像を再生し得る計算機ホログラムを作成するものである。計算機ホログラム作成装置1は、最適化処理部10、再生像計算部20、ルックアップテーブル格納メモリ30、再生領域格納メモリ40および再生像格納メモリ50を備えている。
【0076】
最適化処理部10は、上記ステップS1〜S3,S5〜S9の処理を実行するとともに、再生像計算部20に対して再生像計算(上記ステップS4の処理)を実行するよう指示する。最適化処理部10は、再生像計算部20による再生像計算に必要なルックアップテーブルを、ルックアップテーブル格納メモリ30に格納する。最適化処理部10は、再生像計算部20による再生像計算の際に計算すべき再生像のうちの関心領域Ωに含まれる各画素(m,n)を示す位置情報m,nを、目標再生像に基づいて求めて、再生領域格納メモリ40に格納する。最適化処理部10は、計算機ホログラムの初期値を決定して再生像格納メモリ50に格納する。また、最適化処理部10は、再生像計算の処理が終了した旨を示す終了信号を再生像計算部20から受け取り、再生像格納メモリ50に格納されている更新された計算機ホログラムを受け取って、最適化処理を行う。
【0077】
再生像計算部20は、最適化処理部10からの指示に基づいて上記ステップS4の処理を実行する。このとき、再生像計算部20は、最適化処理部10、ルックアップテーブル格納メモリ30、再生領域格納メモリ40および再生像格納メモリ50それぞれから再生像計算に必要な情報を獲得して、これらの情報に基づいて、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを計算し、変化後の再生像の画素(m,n)の複素振幅H'mnを求める。この再生像計算部20における処理の内容の詳細は後述する。
【0078】
ルックアップテーブル格納メモリ30は、最適化処理部10により計算されたルックアップテーブルLUT3(上記(13)式)を、最適化処理開始の当初より格納している。再生領域格納メモリ40は、再生像のうちの関心領域Ωに含まれる各画素(m,n)を示す位置情報m,nの集合を、最適化処理開始の当初より格納している。なお、再生像のうちの関心領域Ωは、一般には目標再生像のうち画素値が0でない領域であり、目標再生像に基づいて最適化処理部10により求められたものである。再生像格納メモリ50は、最適化処理部10により決定された計算機ホログラムの初期値を最適化処理開始の当初に格納し、また、再生像計算部20により計算された計算機ホログラムを更新記憶する。
【0079】
図2は、本実施形態に係る計算機ホログラム作成装置および方法における再生像計算処理を説明するフローチャートである。図2に示したフローチャートは、上記(14)式を用いて再生像計算部20において行われる再生像計算処理(上記ステップS4の処理)の詳細なフローを示すものである。
【0080】
(S11) 先ず、再生像計算部20は、再生像を計算すべき旨の指示を最適化処理部10から受け取り、さらに、計算機ホログラムに含まれる多数の画素のうち位相レベルが変化する画素(j,k)を示す位置情報j,k、および、その画素(j,k)の複素振幅hjkの変化前後の位相レベルp,p'を、最適化処理部10から受け取る。(S12) また、再生像計算部20は、再生像のうちの関心領域Ωに含まれる各画素(m,n)を示す位置情報m,nを、再生領域格納メモリ40から受け取る。
【0081】
(S13) 再生像計算部20は、これらのパラメータp,p',m,n,jおよびkに基づいて、ルックアップテーブル格納メモリ30に格納されているデータを読み出す為のアドレス値adr1(=ap+bjm+ckn)およびadr2(=ap'+bjm+ckn)を作成する。(S14) 再生像計算部20は、当該アドレスに格納されているデータLUT3[adr1]およびLUT3[adr2]をルックアップテーブル格納メモリ30より読み出す。(S15) そして、再生像計算部20は、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを上記(14)式に従って計算する。
【0082】
(S16) 再生像計算部20は、パラメータmおよびnに基づいて、再生像格納メモリ50に格納されている再生像の画素(m,n)の複素振幅Hmnを読み出す。(S17) 再生像計算部20は、この複素振幅Hmnに上記複素振幅変化量ΔHmnを加算することで、変化後の再生像の画素(m,n)の複素振幅H'mnを求めて、この複素振幅H'mnを再生像格納メモリ50に戻す。(S18) 再生領域格納メモリ40に格納されている関心領域Ω内の全て画素について処理を行ったか否かを判断し、もし「否」であればステップS12に戻る。(S19) 再生領域格納メモリ40に格納されている関心領域Ω内の全て画素について処理が終了すると、再生像計算部20は、最適化処理部10に対して終了信号を出力する。その後、最適化処理部10は、再生像格納メモリ50に格納されている更新された計算機ホログラムを受け取って、最適化処理を行う。
【0083】
位相レベルpとp'との和について上記(15)式、上記(16)式または上記(19)式が成立するか否かを判断して、この判断結果に基づいて、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを、異なる式(上記(18)式または(21)式)で計算する場合には、上記ステップS11,S12およびS16〜S19それぞれにおける処理内容は上記と同様であるが、ステップS13〜S15それぞれにおける処理内容は異なる。
【0084】
位相レベルpとp'との和について上記(15)式または上記(16)式が成立するときには、ステップS13〜S15それぞれにおける処理内容は、以下のステップS23〜S25のように置き換えられる。(S23) 再生像計算部20は、これらのパラメータp',m,n,jおよびkに基づいて、ルックアップテーブル格納メモリ30に格納されているデータを読み出す為のアドレス値adr3(=ap')およびadr4(=bjm+ckn)を作成する。(S24) 再生像計算部20は、当該アドレスに格納されているデータLUT3[adr3]およびLUT3[adr4]をルックアップテーブル格納メモリ30より読み出す。(S25) そして、再生像計算部20は、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを上記(18)式に従って計算する。
【0085】
一方、位相レベルpとp'との和について上記(19)式が成立するときには、ステップS13〜S15それぞれにおける処理内容は、以下のステップS33〜S35のように置き換えられる。(S33) 再生像計算部20は、これらのパラメータp',m,n,jおよびkに基づいて、ルックアップテーブル格納メモリ30に格納されているデータを読み出す為のアドレス値adr3(=ap')およびadr4(=bjm+ckn)を作成する。(S34) 再生像計算部20は、当該アドレスに格納されているデータLUT3[adr3]およびLUT3[adr4]をルックアップテーブル格納メモリ30より読み出す。(S35) そして、再生像計算部20は、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを上記(21)式に従って計算する。
【0086】
また、計算機ホログラムの画素(j,k)の位相レベル変化量Δpの値が限定されている場合に、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを上記(24)式に従って計算するときには、上記(23)式で表されるルックアップテーブルLUT4がルックアップテーブル格納メモリ30に格納される。この場合には、上記ステップS11,S12およびS16〜S19それぞれにおける処理内容は上記と同様であるが、ステップS13〜S15それぞれにおける処理内容は、以下のステップS43〜S45のように置き換えられる。(S43) 再生像計算部20は、これらのパラメータp,p',m,n,jおよびkに基づいて、ルックアップテーブル格納メモリ30に格納されているデータを読み出す為のアドレス値adr5(=Q(p'−p)+ap+bjm+ckn)を作成する。(S44) 再生像計算部20は、当該アドレスに格納されているデータLUT4[adr5]をルックアップテーブル格納メモリ30より読み出す。(S45) そして、再生像計算部20は、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを上記(24)式に従って計算する。
【0087】
図3は、再生像の画素(m,n)の複素振幅変化量ΔHmnを計算する際の計算量を纏めた図表である。ルックアップテーブルLUT1およびLUT2を用いる上記(9)式と比較して、ルックアップテーブルLUT3を用いる上記(14)式は、メモリ参照回数が同じであるものの、実数乗算回数および実数加減算回数それぞれが少ないので、計算時間が短い。また、位相レベルpとp'との和が所定の関係を満たす場合に用いられる上記(18)式および上記(21)式それぞれは、メモリ参照回数、実数乗算回数および実数加減算回数の何れも少ないので、計算時間が更に短い。さらに、計算機ホログラムの画素(j,k)の位相レベル変化量Δpの値が限定されている場合に用いられる上記(24)式は、メモリ参照回数、実数乗算回数および実数加減算回数の何れも更に少ないので、計算時間が更に短い。
【0088】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、入力値q(ただし、0≦q<Q、qおよびQそれぞれは整数。)の入力に対して関数値 exp(2πiq/Q) が量子化された出力値LUT[q]を出力するルックアップテーブルを用いることにより、或いは、入力値sQ+q(ただし、0≦q<Q、0≦s<P、q,Q,sおよびPそれぞれは整数。)の入力に対して関数値 [exp(2πis/P)−1]・exp(2πiq/Q) が量子化された出力値LUT[sQ+q]を出力するルックアップテーブルを用いることにより、再生像を計算する際の演算量が削減され、計算機ホログラムが短時間に作成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る計算機ホログラム作成装置の構成図である。
【図2】本実施形態に係る計算機ホログラム作成装置および方法における再生像計算処理を説明するフローチャートである。
【図3】再生像の画素の複素振幅変化量ΔHmnを計算する際の計算量を纏めた図表である。
【符号の説明】
1…計算機ホログラム作成装置、10…最適化処理部、20…再生像計算部、30…ルックアップテーブル格納メモリ、40…再生領域格納メモリ、50…再生像格納メモリ。
Claims (2)
- 照明光の入射により少なくとも位相が変調された再生光を生じさせて目標再生像を再生する為のフーリエ変換型の計算機ホログラムを最適化法により作成する装置であって、
入力値q(ただし、0≦q<Q、qおよびQそれぞれは整数。)の入力に対して関数値 exp(2πiq/Q) が量子化された出力値LUT[q]を出力するルックアップテーブル記憶手段と、
前記計算機ホログラムに含まれる何れかの画素の位相値の変化に応じて、その変化前の位相値および前記画素の位置に応じた入力値qに基づいて前記ルックアップテーブル記憶手段から出力値LUT[q]を得るとともに、その変化後の位相値および前記画素の位置に応じた入力値q'に基づいて前記ルックアップテーブル記憶手段から出力値LUT[q']を得て、これら出力値LUT[q]およびLUT[q']に基づいて、前記計算機ホログラムにより再生される再生像を計算する再生像計算手段と、
前記計算機ホログラムに含まれる各画素の位相値を変化させ、この変化に応じて前記再生像計算手段により計算される再生像と前記目標再生像とに基づいて、前記目標再生像を再生する為の前記計算機ホログラムを最適化法により作成する最適化処理手段と、
を備え、
前記再生像計算手段は、
前記画素の変化前の位相値2πp/Pと変化後の位相値2πp'/Pとの和(2π(p+p')/P)の値がπまたは3πであるときには、変化後の位相値2πp'/Pに応じた入力値に基づいて前記ルックアップテーブル記憶手段から出力値の実数部を得るとともに、前記画素の位置に応じた入力値に基づいて前記ルックアップテーブル記憶手段から出力値を得て、これらの値に基づいて、前記計算機ホログラムにより再生される再生像を計算し、
前記和の値が2πであるときには、変化後の位相値2πp'/Pに応じた入力値に基づいて前記ルックアップテーブル記憶手段から出力値の虚数部を得るとともに、前記画素の位置に応じた入力値に基づいて前記ルックアップテーブル記憶手段から出力値を得て、これらの値に基づいて、前記計算機ホログラムにより再生される再生像を計算し、
前記和の値がπ,2πおよび3πの何れでもないときに、その変化前の位相値2πp/Pおよび前記画素の位置に応じた入力値qに基づいて前記ルックアップテーブル記憶手段から出力値LUT[q]を得るとともに、その変化後の位相値2πp'/Pおよび前記画素の位置に応じた入力値q'に基づいて前記ルックアップテーブル記憶手段から出力値LUT[q']を得て、これら出力値LUT[q]およびLUT[q']に基づいて、前記計算機ホログラムにより再生される再生像を計算する、
ことを特徴とする計算機ホログラム作成装置。 - 照明光の入射により少なくとも位相が変調された再生光を生じさせて目標再生像を再生する為のフーリエ変換型の計算機ホログラムを最適化法により作成する方法であって、
入力値q(ただし、0≦q<Q、qおよびQそれぞれは整数。)の入力に対して、関数値 exp(2πiq/Q) が量子化された出力値LUT[q]を出力するルックアップテーブルを用意し、
前記計算機ホログラムに含まれる何れかの画素の位相値の変化に応じて、その変化前の位相値および前記画素の位置に応じた入力値qに基づいて前記ルックアップテーブルから出力値LUT[q]を得るとともに、その変化後の位相値および前記画素の位置に応じた入力値q'に基づいて前記ルックアップテーブルから出力値LUT[q']を得て、これら出力値LUT[q]およびLUT[q']に基づいて、前記計算機ホログラムにより再生される再生像を計算し、
前記計算機ホログラムに含まれる各画素の位相値を変化させ、この変化に応じて計算される再生像と前記目標再生像とに基づいて、前記目標再生像を再生する為の前記計算機ホログラムを最適化法により作成するとともに、
前記計算機ホログラムにより再生される再生像を計算する際に、
前記画素の変化前の位相値2πp/Pと変化後の位相値2πp'/Pとの和(2π(p+p')/P)の値がπまたは3πであるときには、変化後の位相値2πp'/Pに応じた入力値に基づいて前記ルックアップテーブルから出力値の実数部を得るとともに、前記画素の位置に応じた入力値に基づいて前記ルックアップテーブルから出力値を得て、これらの値に基づいて、前記計算機ホログラムにより再生される再生像を計算し、
前記和の値が2πであるときには、変化後の位相値2πp'/Pに応じた入力値に基づいて前記ルックアップテーブルから出力値の虚数部を得るとともに、前記画素の位置に応じた入力値に基づいて前記ルックアップテーブルから出力値を得て、これらの値に基づいて、前記計算機ホログラムにより再生される再生像を計算し、
前記和の値がπ,2πおよび3πの何れでもないときに、その変化前の位相値2πp/Pおよび前記画素の位置に応じた入力値qに基づいて前記ルックアップテーブルから出力値LUT[q]を得るとともに、その変化後の位相値2πp'/Pおよび前記画素の位置に応じた入力値q'に基づいて前記ルックアップテーブルから出力値LUT[q']を得て、これら出力値LUT[q]およびLUT[q']に基づいて、前記計算機ホログラムにより再生される再生像を計算する、
ことを特徴とする計算機ホログラム作成方法。
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