JP4190562B2 - 遺伝子配列検査法 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は臨床医学、法医学、薬物化学、生化学、食品化学、農芸化学などの分野における、主として遺伝子解析方法に関するものであり、ゲノム遺伝子、ウイルス又は細菌等の遺伝子の変異又は多型の解析に用いられる。
【背景技術】
【0002】
遺伝子多型(以下、「多型」)とは、全個体中1%以上の頻度で存在するゲノムの多様性のことであり、1塩基多型(single nucleotide polymorphism;SNP)の他、1〜数十塩基の欠損もしくは挿入、数塩基〜数十塩基からなる繰り返し配列(マイクロサテライト)における繰り返し回数の違いなどが含まれる。
【0003】
遺伝子配列の変異や多型を解析することは、臨床医学、法医学、薬物化学、生化学、食品化学、農芸化学などの多岐にわたる分野で重要である。ヒトの場合を挙げれば、遺伝子の変異(一般的には出現頻度が1%未満のものを指す)は、遺伝病、癌などと深く関わりのあることが示されているし、多型(一般的には出現頻度が1%以上のものを指す)は、疾患の発症リスク、薬剤感受性、薬剤代謝速度などとの関わりが示されている。また、ウイルスや細菌の場合、薬剤耐性、病原性などとの関わりのあることが知られている。さらに、個人及び個体識別や農産物の品種同定などにも利用される。
【0004】
現在、遺伝子配列の変異や多型を最も精度よく解析するために、主にサンガー法による塩基配列の決定が行われている。近年では、塩基配列決定の手順の一部が自動化されているが、なお操作が煩雑であり、解析に長時間を要し、高価な装置と試薬とを必要とする。
【0005】
より簡便、迅速、安価な多型解析の方法として、サンガー法による塩基配列決定以外の方法が開発されており、なかでもハイブリダイゼーションを基盤とした方法は広く利用されている一般的なものである。ハイブリダイゼーションを基盤とした方法は、主にマイクロプレート、メンブレン、ビーズ、スライドガラスなどの固相に、一般的には15〜25塩基長程度のプローブを固定させ、これに標的核酸をハイブリダイズさせることによってヘテロディプレックスを形成させる。そして、該ヘテロディプレックス中に塩基対のミスマッチのある場合とない場合との融解温度(以下、Tmという)の差異(以下、ΔTm)を利用し、ハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション後の洗浄操作においてpH、塩濃度、温度などを適切に調整することによって、ミスマッチのあるヘテロディプレックスのみを選択的に解離させ除去する、いわゆるB/F分離と呼ばれる手法に基づいている。この際、プローブの鎖長が長くなるとTmが高くなり、ΔTmが全体のTmに占める割合が小さくなるため、この微小なΔTmを利用してミスマッチのある標的核酸とミスマッチのない標的核酸とを洗浄条件の調整によって分離することが困難となる。また鎖長が短くなるとハイブリダイゼーションの特異性が低くなるだけでなく、全体のTmも低くなるため、プローブと標的核酸との結合の親和性も下がり、プローブが効率よくハイブリダイズしないことがある。そのため、たとえ穏やかな条件下でハイブリダイズさせたとしても、親和性が低いためにマッチした標的核酸とミスマッチのある標的核酸がともに除去されてしまい、結果としてマッチとミスマッチを区別することが困難となることが多い。
【0006】
他の方法としては、被検DNAを鋳型として、プライマー伸長法によって一塩基または数塩基のヌクレオチドの取り込みを行い、鋳型DNAの配列に応じて取り込まれたヌクレオチドの種類を同定することによって多型を解析する、ミニシークエンスと呼ばれる方法がある。ミニシークエンス法では、しばしばPCRによって増幅されたDNAが鋳型として用いられるが、プライマー伸長を行う前に残存するPCRプライマーやヌクレオチドの除去、反応液の交換などのためにPCR産物の精製が不可欠であり、操作が煩雑である。また、取り込まれたヌクレオチドの種類を同定するための最新の方法として質量分析法が使用されることがあるが、非常に高価な装置を必要とする。このように、ミニシークエンス法においては、経済性、迅速性の点での問題を指摘することができる。
【特許文献1】
特開平6−327499
【特許文献2】
国際公開公報WO2002/077282
【特許文献3】
国際公開公報WO2003/035864
【特許文献4】
国際公開公報WO01/23583
【非特許文献1】
BioTecniques,13,888−892,1992
【非特許文献2】
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,58(2),719−726(1967)
【非特許文献3】
Biochemistry,37,10156−10163(1998)
【非特許文献4】
Tetrahedron Lett.,22,1859(1981)
【非特許文献5】
Biochemistry,38、3468−3477(1999)
【非特許文献6】
Nucleic Acids Res.28,e63(2000)
【非特許文献7】
臨床病理 50、528−532(2002)
【非特許文献8】
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92(10),4641−4645(1995)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、エキソヌクレアーゼを用いた遺伝子配列の検査法に関して、簡便、迅速且つ高精度な均一測定法であり、従来困難であった標的核酸とプローブとの間のミスマッチによって生じるTmの差に基づく遺伝子配列の差異の検出において、感度及び特異性を著しく向上させ得る技術を提供する。また、本発明は、その実施において必要とされる材料及び試薬類がすべて容易に入手でき、且つ極めて安価なものばかりであり、経済性に優れる検出技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
二本鎖DNAを特異的に消化するλエキソヌクレアーゼ (非特許文献1)やエキソヌクレアーゼIII(特許文献1)を用いたサイクリングアッセイ法では、放射性物質を標識したオリゴヌクレオチドプローブが相補的な配列とハイブリダイズして形成された二本鎖DNAにエキソヌクレアーゼを作用させ、消化に伴って短くなったプローブが標的核酸から解離した後、新たなプローブがハイブリダイズし、さらにこれが消化される行程が繰り返されることによってサイクリング反応が成立する。該プローブの分解産物をオートラジオグラフィやシンチレーションカウンターなどで検出することにより、標的核酸の有無あるいは量の判定が可能であることが示されている。
【0009】
さらに、放射性物質を用いないエキソヌクレアーゼサイクリングアッセイの均一測定系が報告されている(特許文献2および3)。当該測定系は、蛍光物質及びクエンチング物質(クエンチャー)を標識したオリゴヌクレオチドプローブを用いたもので、プローブが消化を受けていないときは蛍光物質から発せられる蛍光エネルギーはクエンチャーによって吸収されているため、蛍光を発しないか微弱な蛍光しか発しない。プローブがエキソヌクレアーゼによって分解されると、蛍光物質がプローブから遊離してクエンチャーとの距離が広がり、蛍光エネルギーを吸収することができなくなる。その結果、蛍光物質がその固有の波長の蛍光を発するようになり、該蛍光を検出することによって、プローブの分解量を測定することができる。このような蛍光物質およびその蛍光エネルギーを効率的に吸収することのできるクエンチャーを標識物質として用いる手法は、一般的に蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)として公知である(非特許文献2)。
【0010】
上記のように、エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイによって特定の標的配列を定量的に検出できることは公知であるが、エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイによって遺伝子多型の検出が可能なことは示されていない。本発明者は鋭意研究を重ねた結果、エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイの均一測定系によって、標的遺伝子上のわずか1塩基あるいは2塩基以上の塩基配列の差異を簡便、迅速、安価且つ高精度に識別できることを見出した。
【0011】
プローブのハイブリダイゼーションの特異性を高めるには、プローブの塩基長は十分に長い方が好ましい。しかし、長鎖のプローブ、例えば25塩基以上の長いプローブを用いた場合、該プローブと標的核酸との間のミスマッチ(以下、特に示さない限り「ミスマッチ」には非相補的な塩基対およびループ構造が含まれる)の有無を、ハイブリダイゼーションの有無で感度及び特異性良く区別することは概して困難である。なぜなら、長いプローブを用いた場合、ミスマッチのあるときとないときのTmの差(ΔTm)は、それらをB/F分離のための洗浄条件の調整によって区別するにはあまりにも小さすぎるからである。本発明は、ハイブリダイゼーションに基づく方法でありながら、十分に長い、例えば25塩基以上のプローブを用いることが可能であり、多型の存否に関わらず、標的となる核酸配列に非常に親和性の高いハイブリダイゼーションが可能である。さらに、条件によって変化するため一概には言えないが、エキソヌクレアーゼによる分解作用でプローブが短くなったときに多型を検出する場合、本発明は5〜15塩基程度に短くなったときのミスマッチの有無によって生じるTmの差(ΔTm)を利用しているため、全体のTmに占めるΔTmの割合が大きくなり、従来のより長いプローブを用いたハイブリダイゼーション法に比べて、多型識別の感度と特異性がともに高いことが特徴である。
[0012]
また、本発明は、操作が簡便で、従来のハイブリダイゼーション法のように標的核酸とのミスマッチを有するプローブ、またはプローブとのミスマッチを有する標的核酸を除くための洗浄操作、いわゆるB/F分離の操作を必要としない。また、本発明は、遺伝子増幅法で増幅した産物を精製することなく、直ちにエキソムクレアーゼサイクリングアッセイに用いることができ、二本鎖DNAを披検資料としたときも変性操作を必要とせず、極めて迅速性と簡便性に優れる。さらに、本発明に必要な試薬は全て商業的に安価に入手可能なものであり、遺伝子解析で最も一般的に用いられる器具及び装置のみを必要とするため、極めて経済性と汎用性に優れるものである。
[0013]
すなわち本発明は、以下よりなる。
1.標識物質を含むオリゴヌクレオチドプローブが標的核酸の所定の部位との間で完全に相補的な塩基対を形成するときは、該オリゴヌクレオチドプローブが5’→3’エキソヌクレアーゼまたは3’→5’エキソヌクレアーゼによる消化を受けるため、標識物質を含むモノヌクレオチドが該オリゴヌクレオチドプローブから遊離して、その結果有意なシグナルの上昇が起こることを検出すること、および、標識物質を含むオリゴヌクレオチドプローブが標的核酸の所定の部位との間で少なくとも1塩基以上の相補的でない塩基対を形成するとき、あるいは標的核酸における1塩基以上の挿入または欠損によってオリゴヌクレオチドプローブとの間でループ構造を形成するときに、該オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸とハイブリダイズしないため5’→3’エキソヌクレアーゼまたは3’→5’エキソヌクレアーゼによる消化を受けないか、ハイブリダイズした後5’→3’エキソヌクレアーゼまたは3’→5’エキソヌクレアーゼによる消化によって該オリゴヌクレオチドプローブに含まれる標識物質が遊離する前に、該オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸から離脱するために標識物質の遊離が起こらず、その結果有意なシグナルの上昇が起こらないことを検出することにより、標的核酸を、該標的核酸とは1塩基以上の置換または1塩基以上の挿入あるいは欠損を含む核酸と区別して検出する方法。
2.エキソヌクレアーゼが5’→3’エキソヌクレアーゼであって、オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸の所定の部位との間で形成し得る少なくとも1塩基以上の相補的でない塩基対部分またはループ構造部分がオリゴヌクレオチドプローブの3’末端と標識物質が標識された部位との間に位置するように設計された上記1に記載の方法。
3.エキソヌクレアーゼが3’→5’エキソヌクレアーゼであって、オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸の所定の部位との間で形成し得る少なくとも1塩基以上の相補的でない塩基対部分またはループ構造部分がオリゴヌクレオチドプローブの5’末端と標識物質が標識された部位との間に位置するように設計された上記1に記載の方法。
4.標識物質が蛍光物質であって、該蛍光物質が発する蛍光を有効に減弱する効果を有するクエンチング物質が蛍光物質の3’側に標識された上記2に記載の方法に使用するオリゴヌクレオチドプローブ。
5.標識物質がクエンチング物質であって、該クエンチング物質によって有効に蛍光が減弱され得る蛍光物質がクエンチング物質の3’側に標識された上記2に記載の方法に使用するオリゴヌクレオチドプローブ。
6.標識物質が蛍光物質であって、該蛍光物質が発する蛍光を有効に減弱する効果を有するクエンチング物質が蛍光物質の5’側に標識された上記3に記載の方法に使用するオリゴヌクレオチドプローブ。
7.標識物質がクエンチング物質であって、該クエンチング物質によって有効に蛍光が減弱され得る蛍光物質がクエンチング物質の5’側に標識された上記3に記載の方法に使用するオリゴヌクレオチドプローブ。
8.標識物質が標的DNA中のグアニン、アデニン、チミン、シトシンのいずれかとワトソン―クリックの法則に従った塩基対を形成し得る蛍光性ヌクレオチドアナログである上記2または3に記載の方法に使用するオリゴヌクレオチドプローブ。
9.蛍光性ヌクレオチドアナログが2−アミノプリンである上記8に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
10.5’→3’エキソヌクレアーゼがλエキソヌクレアーゼまたはT7 Gene6エキソヌクレアーゼである上記2に記載の方法。
11.3’→5’エキソヌクレアーゼがエキソヌクレアーゼIIIである上記3に記載の方法。
12.エキソヌクレアーゼが耐熱性酵素である上記1から3のいずれか1に記載の方法。
13.耐熱性酵素がArchaeoglobus fulgidusに由来する上記12に記載の方法。
14.RNAより逆転写反応により合成したcDNA、ポリメラーゼ・チェイン・リアクション法(PCR法)または逆転写PCR法(RT−PCR法)にて増幅した産物を精製することなく被検試料として用いる上記1から3のいずれか1に記載の方法。
15.オリゴヌクレオチドプローブと標的核酸との間に相補的でない塩基対またはループ構造を形成させるために、一つ以上の塩基の置換、挿入または欠損を意図的に導入することによって、該標的核酸と、該標的核酸とは少なくとも1塩基以上の置換を含む核酸、または1塩基以上の挿入あるいは欠損を含む核酸との識別能力を向上させることのできる上記4から9のいずれか1に記載のオリゴヌクレオチドプローブを利用した上記1から3及び10から14のいずれか1に記載の方法。
16.上記1から3及び10から15のいずれか1に記載の方法に使用する測定試薬またはキット。
[発明の効果]
[0014]
本発明によれば、特定の塩基配列を有する標的核酸を、その標的核酸とは一塩基以上の置換、挿入あるいは欠損配列を有する核酸と区別して定量的に検出することが可能である。また、高価な試薬原料を必要としないためランニングコストが安価である。さらに、操作は極めて簡便で、PCR反応後の産物の精製および変性操作も不要であり、シグナルのリアルタイム測定も可能であり、極めて迅速な検査方法を提供することができる。
[発明を実施するための最良の形態]
[0015]
本発明は標的核酸配列を定量的に測定し、さらに標的核酸配列中の多型または変異を識別するための方法である。本発明は、標識物質を結合させたオリゴヌクレオチドプローブ(以下「プローブ」という)を標的核酸配列に特異的にハイブリダイゼーションさせて、標的核酸配列中の多型部位または変異部位周辺の配列が、原則としてプローブ配列と完全に相補的である場合のみに、標的核酸に結合したプローブからエキソヌクレアーゼの作用によって標識物質が遊離することによりシグナルが得られる機構を利用している。
【0016】
本発明の標識物質とは、シグナルの発生またはその制御に関わるものであり、より具体的には、蛍光を発する物質または別の物質が発する蛍光を減弱させる物質である。1分子のプローブDNAは1個ないし2個の標識物質が含まれる。
【0017】
1個の標識物質のみを用いる場合、標識物質として蛍光性のヌクレオチドアナログが使用できる。蛍光性のヌクレオチドアナログの中には、モノヌクレオチドのときは強い蛍光を発するが、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの中に含まれるときにはその蛍光が減弱され、さらに他の塩基とワトソン−クリックの法則に合致した塩基対を形成するものがある。そのようなヌクレオチドアナログとして、特にこれに限定されないが、2−アミノプリンを例示することができる。2−アミノプリンはアデニンと置き換えることによってチミンと塩基対を形成し、さらに2−アミノプリンを含む核酸はエキソヌクレアーゼの基質となり得る(非特許文献3)。したがって、2−アミノプリンを含むプローブを用いてエキソヌクレアーゼサイクリングアッセイを行うと、標的核酸と結合した2−アミノプリンを含むプローブがエキソヌクレアーゼによって分解され、プローブから遊離した2−アミノプリンが発する蛍光を検出することによって、特定核酸配列の均一測定が可能となる。
【0018】
2個の標識物質を用いる場合、標識物質として蛍光物質及びその蛍光を有効に減弱させる性質を有する物質(以下、クエンチャー)が使用できる。蛍光物質およびその蛍光を有効に減弱させるクエンチャーの組み合わせは、このような機能を有する組み合わせであればよく、さらにプローブDNAと標的核酸とのハイブリダイゼーション及びエキソヌクレアーゼによる消化を実質的に妨害しないものであれば特に限定されない。具体的にはfluorescein、FITC、FAM、TAMRA、Cy3、Cy5、ユウロピウムなどの蛍光性物質とその蛍光波長と一致した吸収波長、もしくは近傍に吸収波長を有している、より長波長の蛍光を発する別の蛍光性物質がクエンチャーとして組み合わせて用いられることは、一般的に蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)として公知である(非特許文献2)。また、吸収エネルギーを蛍光ではなく熱として放出する非蛍光性の物質をクエンチャーとして使用することもできる。これらはダーククエンチャーと呼ばれ、蛍光の減弱効率に優れるものが多い。具体的にはDabcyl、EclipseやBHQ(Black Hole Quencher)を例示することができる。
【0019】
2個の標識物質のうち、エキソヌクレアーゼ反応によってプローブから遊離させられるものは蛍光物質またはクエンチャーのいずれでもよい。ただし、いずれの場合もプローブ上で蛍光物質の蛍光を有効に減弱するようにクエンチャーを配置させ、蛍光物質またはクエンチャーのいずれか一方がプローブから遊離した場合に、それを蛍光強度の上昇として検出できようにする必要がある。
【0020】
プローブとして利用される一本鎖DNAは、一般的にはアミダイト法で有機化学的に合成される(非特許文献4)。蛍光物質及びクエンチャー標識プローブも、各標識アミダイト試薬と自動合成装置を用いて容易に合成されることは当業者に広く知られるところである。また、アミノ化を施したアミダイト試薬を用いてDNAを合成した後に、スクシンイミドなどの活性エステルを導入した標識物質とカップリングさせることもできる。これらの方法による標識DNAは、商業的サービスを利用して入手することができる。
【0021】
1個ないし2個の標識物質を用いるいずれの場合においても、標的核酸中の特定領域の配列がプローブ配列と完全に相補的である場合のみ標識物質(2個の標識物質を用いる場合は少なくともいずれか一方の標識物質)がエキソヌクレアーゼの作用によって遊離する(図1左)。また、標的核酸配列の特定領域に存在する多型または変異によってプローブ配列と一塩基または二塩基以上のミスマッチ、またはループ構造を形成する場合には、標的核酸とプローブのTmが完全に相補的な場合より低くなるため、プローブが標的核酸にハイブリダイズすることができない(図1右)。あるいは、ハイブリダイズした後にエキソヌクレアーゼによる分解に伴ってプローブの鎖長が短くなると、Tmの低下によって標的核酸とプローブが二本鎖を維持できなくなり、エキソヌクレアーゼが標識物質を遊離する前にプローブが標的核酸から離脱し、その結果、蛍光の発生がないか、あるいは最小限となる(図1中央)。本発明の方法は、これらのことを利用して標的核酸中の多型または変異を識別することを特徴としている。
【0022】
プローブの設計は、エキソヌクレアーゼが5´→3´エキソヌクレアーゼの場合には、第一標識物質(以下、2個の標識物質のうち、エキソヌクレアーゼ反応によってプローブから最初に遊離される標識物質を「第一標識物質」と呼ぶ。プローブが1個の標識物質のみを含む場合は、「第一標識物質」とはその標識物質を表す)の標識部位とプローブの3´末端と間に標的核酸の多型または変異部位が相当するように行う。一方、エキソヌクレアーゼが3´→5´エキソヌクレアーゼの場合には、第一標識物質の標識部位とプローブの5´末端との間に標的核酸の多型または変異部位が相当するように行う。
【0023】
プローブと標的核酸のハイブリッド中のミスマッチがプローブの末端近傍に存在している場合、ミスマッチがプローブの中央付近に存在するときに比べて、ミスマッチが標的核酸とプローブのハイブリッドの安定性に及ぼす影響が少ない。したがって、プローブの鎖長を十分に長くすればミスマッチの有無に関わらずプローブを標的核酸に効率的にハイブリダイズさせることができる。次いで、標的核酸にハイブリダイズしたプローブがエキソヌクレアーゼの作用による分解で短縮されるにしたがってTmが下がり、ハイブリッド形成が不安定となる。その際に、プローブと標的核酸との間に一塩基以上のミスマッチがあると、ミスマッチがない場合と比較してさらにTmが小さくなり、ハイブリッドの安定性がさらに低下する。その結果、エキソヌクレアーゼが第一標識物質を遊離させる前にプローブが標的核酸から離脱することになる(図1)。
【0024】
第一標識物質の標識部位は、エキソヌクレアーゼによって短縮されたプローブの残存部が標的核酸から離脱するときの鎖長を考慮して決定されなければならない。すなわち、プローブの残存部と標的核酸の間にミスマッチがない場合、エキソヌクレアーゼによって第一標識物質が遊離された後にプローブの残存部が標的核酸から離脱する。また、ミスマッチがある場合、第一標識物質が遊離される前にプローブの残存部が標的核酸から離脱するか、あるいはプローブが全くハイブリダイズしない。その結果として第一標識物質が遊離しないよう、第一標識物質の標識部位を決定する必要がある。
【0025】
標的核酸に完全に相補的なプローブが標的核酸から離脱する際の鎖長は、プローブ残存部の塩基組成、反応温度、溶液のpH、塩濃度の影響を受ける。一般に、グアニンとシトシンの含量が高く、反応温度が低く、pHが低く、また塩濃度が高いほど、標的核酸から離脱する際の鎖長は短くなる。そのため、これに限定されないが、本技術の一般的な実施条件の範囲内(反応温度が25℃〜45℃、pHが7.0〜10.0、塩濃度が10mM〜200mM)では、プローブDNAが標的DNAから離脱するときの鎖長は、5〜15塩基程度である。したがって、第一標識物質のプローブ上の標識部位は、エキソヌクレアーゼが5´→3´エキソヌクレアーゼの場合は3´末端から数えて6塩基目から16塩基目、エキソヌクレアーゼが3´→5´エキソヌクレアーゼの場合は5´末端から数えて6塩基目から16塩基目のヌクレオチドに標識するのが好適である。そして、プローブと標的核酸の間にミスマッチが存在する場合、プローブが標的核酸から離脱するときの鎖長が、ミスマッチの存在しない場合に離脱するときの鎖長より有意に長くなるように反応条件を設定する必要がある。
【0026】
しかしながら、多型の存在する部位周辺の塩基配列によっては、エキソヌクレアーゼによって分解を受けたプローブが標的核酸から離脱するときの長さが、ミスマッチのある場合とない場合とで顕著に変化しないこともある。特に、GC含量の高い領域の場合、比較的Tmが高くなるため、わずか1塩基のミスマッチが存在してもΔTmの影響は概して大きくないことが多い。また、ミスマッチ塩基対の中でも、G/Gペア及びG/Tペアの水素結合は他のミスマッチ塩基対に対して比較的安定であり(非特許文献5)、GC含量の高い領域内の該ミスマッチ塩基対をΔTmによって識別することは、従来のハイブリダイゼーションを基盤とした方法でも概して困難である。そのような場合には、標的核酸との間に別のミスマッチを生じさせるように、意図的にプローブの一部の塩基を置換、挿入または欠損させることで改善できる。人為的ミスマッチの導入部位及び導入の仕方(置換、挿入または欠損させる塩基の種類など)は、標的核酸の多型に由来するミスマッチのあるときとないときで、エキソヌクレアーゼによって消化を受けたプローブの残存部が標的核酸から離脱するときの長さに有意な差を生じればよく、特に限定されない。例えば、GC含量の高い領域において一部のG/C塩基対をG/G、G/TまたはG/Aミスマッチとなるようにプローブの塩基を置換することで、多型存在部位周辺のプローブと標的核酸のTmを下げ、ミスマッチの有無によるΔTmの差の影響を大きくすることができる。また、このようなプローブへの人為的ミスマッチの導入によって、多型部位と完全にマッチしたときだけプローブを標的核酸にハイブリダイズさせ、マッチしないときにはハイブリダイズさせないようにすることも可能である。
【0027】
本発明の利点の一つは、ハイブリダイゼーションを基盤にした多型または変異の検出方法でありながら、使用するプローブの鎖長に特に制限がないことである。例えば、4種類の塩基からランダムな順列組合せで作製される16塩基長のプローブは約43億通りある。したがって、ヒトの塩基数は約30億塩基対であるので、ヒトのゲノムに対して特異性の高いプローブを作製するには16塩基以上の鎖長が必要であり、高い特異性が要求されるハイブリダイゼーション法やPCR法では、20〜30塩基長のプローブやプライマーが用いられるのが一般的である。しかし、従来のハイブリダイゼーションの後に洗浄によるB/F分離によって塩基の差異を識別する方法では、プローブ長に制限がある。すなわち、プローブの鎖長が長くなるほどマッチのTmに対するΔTmの占める割合が小さくなり、ミスマッチとの識別が困難となるため、できる限りプローブは短い方が好ましい。しかし、前述した通り、Tmに対するΔTmの占める割合を大きくするためにプローブの鎖長を短くすると、標的核酸に対する特異性と親和性が低下するという問題が生じる。
【0028】
本発明によれば、プローブの鎖長は、エキソヌクレアーゼの作用によって標的配列特異的に遊離させることのできるシグナル発生物質、すなわち第一標識物質をプローブ上の好適な部位に標識できる最小限の鎖長を確保している限りその長さに特に制限はない。したがって、ゲノムサイズの大きな生物を解析対象とする場合も、プローブの塩基長を長くすることによって、十分な特異性と親和性を確保することができる。一般的な合成装置では100塩基以上のオリゴマーDNAの作製も可能であるが、鎖長が長くなるほど完全長のDNAの合成効率が下がるため、過剰に長鎖のプローブを使用することは経済上有利ではない。また、鎖長が長くなることによって、エキソヌクレアーゼによる消化に時間を要し、サイクリング反応が効率的に行われなくなる恐れがある。したがって、本発明の方法では、18塩基から50塩基ほどのプローブが好適に使用されるが、この範囲外でも使用可能である。
【0029】
プローブにおける第二標識物質(以下、プローブに2個の標識物質が含まれる場合に、第一標識物質と対を成してFRET現象を成立させるもう一つの標識物質を「第二標識物質」と呼称する)の標識部位は、エキソヌクレアーゼによって第一標識物質より先に遊離されず、且つ第一標識物質の蛍光を有効に減弱することができれば特に限定されない。例えば、エキソヌクレアーゼが5´→3´エキソヌクレアーゼの場合は3´末端に、エキソヌクレアーゼが3´→5´エキソヌクレアーゼの場合は5´末端に第二標識物質を標識したプローブを使用することができる。
【0030】
ただし、第一標識物質と第二標識物質の距離が離れると、クエンチャーによる蛍光の減弱効果が弱まり、バックグラウンドの蛍光シグナルが増大することがある。そのような場合には、両標識物質の距離を短くするために第二標識物質をプローブの鎖内に標識することも可能である。すなわち、エキソヌクレアーゼが5´→3´エキソヌクレアーゼの場合には3´末端と第一標識物質の間のヌクレオチドに、エキソヌクレアーゼが3´→5´エキソヌクレアーゼの場合には5´末端と第一標識物質の間のヌクレオチドに鎖内標識することが可能である。このことにより、第二標識物質が第一標識物質より先にエキソヌクレアーゼによって遊離されることはなく、また両標識物質の距離の短縮によりクエンチング効果を向上させ、バックグラウンド・シグナルを低減させることができる。
【0031】
核酸配列の検出法において使用されるエキソヌクレアーゼとしては、標的核酸にハイブリダイズしたプローブ中の第一標識物質が標識されたヌクレオチドを該プローブDNA鎖から遊離することのできるものであれば良く、特に限定されない。例えば、5´エキソヌクレアーゼとしてλエキソヌクレアーゼ、T7 Gene6 エキソヌクレアーゼを挙げることができる。また、3´エキソヌクレアーゼとして大腸菌エキソヌクレアーゼIIIを挙げることができる。これらはいずれも商業的に入手可能である。また、エキソヌクレアーゼによっては蛍光物質またはクエンチャーの標識による立体障害によって、標識部位のヌクレオチドを遊離できない可能性がある。しかしながら、そのような場合でも蛍光性ヌクレオチドアナログを標識物質として用いれば、いかなるエキソヌクレアーゼの基質ともなり得るので、効果的にプローブから遊離させることができる。
【0032】
本発明による方法において完全マッチとミスマッチとの判別が困難な場合、より高い温度で反応させて、ミスマッチを含む標的核酸とプローブとのハイブリッド形成を不安定化することにより、完全マッチとミスマッチとの判別を容易にすることができる。例えば、37℃の反応で完全マッチとミスマッチとの間で十分なシグナル差あるいはS/N比が確保できない場合は、例えば37℃から45℃までの間で反応を行うことで改善できることがある。しかし、一般の酵素は37℃付近が至適反応温度であり、それ以上温度を上昇させると酵素活性そのものが低下することにより十分なシグナルが得られなくなることがある。そのような場合、より至適反応温度の高い耐熱性酵素を使用することが好ましい。例えば、好熱性細菌のArchaeoglobus fulgidus(Afu)から二本鎖DNA特異的3´→5´エキソヌクレアーゼが単離されている(特許文献4)。このような耐熱性エキソヌクレアーゼの利用によって、本発明における反応温度の設定範囲を拡大し、種々の配列のターゲットについてより好適な反応条件の設定を可能にすることができる。
【0033】
さらに、本発明の実施条件について詳細に説明するが、これらは例示的に示すものであり、限定されるものではない。
【0034】
検体としては、使用されるエキソヌクレアーゼの基質となり得る核酸であり、例示したλエキソヌクレアーゼ、T7 Gene6 エキソヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼIII、Afu由来3´→5´エキソヌクレアーゼの場合にはDNAが使用される。生物試料から抽出されたDNAを直接用いることもできるが、解析に用いるには量が不十分なことが多い。そのような場合には、生物試料から抽出された核酸をPCR法などによって増幅したDNA産物を本発明による遺伝子変異解析に用いることができる。また、逆転写反応後にDNAとして増幅する技術(RT−PCRなど)によってRNAをDNAに変換して増幅することができ、そのような増幅産物を解析することもできる。
【0035】
PCR法以外では、LAMP法(非特許文献6)、ICAN法(非特許文献7)、Rolling Circle法(非特許文献8)などで増幅されたDNAも本発明の方法の検体として使用できる。これらの方法による増幅産物のように末端を有する直鎖状DNAであれば、当該DNAとハイブリダイズしたプローブがエキソヌクレアーゼの基質となり得るからである。また、標的核酸が環状であっても、エキソヌクレアーゼIIIなどは環状一本鎖DNAにハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプローブを基質とし得るので、本発明による方法にサンプルとして使用できる。増幅された核酸以外では、RNAから逆転写されたcDNAを使用できる。逆転写反応後はRNAとcDNAのハイブリッドが得られる。したがって変性操作の後にプローブのハイブリダイゼーションを行うか、あるいはRNaseHによってRNAのみを分解することで一本鎖のcDNAを得て当該cDNAにプローブをハイブリダイズさせることにより、エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイを実施することが可能であり、RNAの定量的検出と多型解析が可能である。また、エキソヌクレアーゼIIIはRNaseH活性を有するので、特に別のRNaseH活性を有する酵素を作用させることなしにエキソヌクレアーゼサイクリングアッセイを実施することも可能である。
【0036】
サンガー法による塩基配列決定法やミニシークエンス法などのように、酵素反応を利用した多型解析法の多くが、PCRなどによる増幅産物を検体とする場合には、残存する酵素、プライマー、デオキシヌクレオチド、塩類、あるいはpHなどの影響を受けることがある。これらの影響を除くために増幅産物の精製が不可欠である場合が多く、これらの方法の操作は非常に煩雑となっている。本発明では、反応液成分の過剰な持込によってエキソヌクレアーゼ反応やプローブのハイブリダイゼーションが著しく阻害されない範囲に限って、PCR産物や逆転写反応産物の精製を行うことなく解析に使用することができるため、極めて簡便且つ迅速である。
【0037】
本発明における標的核酸とプローブとのハイブリダイゼーションは、通常は該標的核酸が二本鎖DNAの場合は変性により一本鎖とした後に行われる。該標的核酸が一本鎖であれば変性の必要はなく、そのままプローブDNAとハイブリダイゼーションさせることが可能である。本発明における変性の方法は通常行われる方法に従えば良い。例えば熱変性によるものと化学的変性によるものが例示される。具体的な方法として、熱変性による方法は、通常90℃以上に加熱することにより行われる。好ましくは、94℃〜98℃で約1〜5分間加熱することにより変性が行われる。化学的変性による方法は尿素、ホルムアルデヒド等の変性剤の作用により、またはpHを上昇させることにより行われる。pHは0.1〜1mol/l NaOHを用いることにより上昇させることができるが、操作の簡便性などの点からから熱変性による方法が好適に用いられる。
【0038】
ハイブリダイゼーションを行う場合、ハイブリダイゼーションの方法は通常行われる方法に従えば良いが、その条件はプローブ又は変性標的核酸の鎖長、塩基配列、Tmにより異なる。一般的にはpH6.5〜9.5で、10〜1000mMのナトリウムまたはカリウムイオン存在下にて室温〜70℃の温度下でハイブリダイゼーションが行われる。ただし、過剰のナトリウムまたはカリウムイオン存在下ではエキソヌクレアーゼ活性が阻害されることがあるため、10〜1000mMの範囲内で十分なシグナル対ノイズ比(S/N比)を得るような条件を見出す必要がある。
【0039】
エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイ法に使用するエキソヌクレアーゼの作用によって、標的核酸であるPCR産物などの直鎖状二本鎖DNAの標的配列部位が一本鎖化される場合は、必ずしも変性操作を必要としない。例えば、3´→5´エキソヌクレアーゼとしてエキソヌクレアーゼIIIを用いた場合、標的PCR産物はエキソヌクレアーゼIIIの触媒活性によって両鎖の3´末端からの消化を受け、部分的に一本鎖となる。この一本鎖化された領域を標的配列としたプローブを用いれば、変性操作を行うことなく、該PCR産物にエキソヌクレアーゼIII及びプローブを含んだ試薬を添加して、一定温度で反応を実施するだけでエキソヌクレアーゼサイクリング反応が成立することから、本発明の方法は簡便性及び迅速性の点で大いに利点がある。
【0040】
他のエキソヌクレアーゼ、例えばλエキソヌクレアーゼを用いる場合、PCRプライマーの一方のみを5´末端リン酸化したプライマーセットで増幅したDNAを標的核酸として用いれば、λエキソヌクレアーゼによって5´末端がリン酸化された鎖のみが消化され、リン酸化されていない鎖が残り、その結果、標的DNAは一本鎖化される。当該一本鎖DNAに対して相補的な配列を有し、5´末端がリン酸化されたプローブを用いれば、やはり変性操作を行うことなくλエキソヌクレアーゼを利用したエキソヌクレアーゼサイクリングアッセイが可能となる。このように、本発明によればエキソヌクレアーゼサイクリングアッセイを完全に一定の温度で実施することが可能であり、複雑な温度制御を行う機器を必要としない。
【0041】
例示したエキソヌクレアーゼのうち、λエキソヌクレアーゼ、T7 Gene6 エキソヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼIIIを使用する場合、25℃〜45℃の間で反応を行うのが好適である。一般的にはこれらいずれの酵素も37℃で使用されることが多いが、本発明によりミスマッチを識別する場合には、マッチとミスマッチのシグナル比が十分大きくなるように反応温度が設定されるので、必ずしも37℃が好適とは限らない。しかし、これらの酵素を37℃以上で使用すると、反応温度の上昇に伴って酵素活性は低下するため、過剰に高い温度、例えば50℃以上の温度でサイクリングアッセイを行う場合には適さない。このような場合には、耐熱性の酵素を用いるのが好ましい。耐熱性のエキソヌクレアーゼとしては、Afu由来の3´→5´エキソヌクレアーゼ(特許文献4)が報告されており、このような酵素を用いることで、より高温、すなわち50℃以上でも好適なエキソヌクレアーゼサイクリング反応を実施することが可能となる。
【0042】
酵素濃度とプローブ濃度は、標的核酸特異的なシグナル及びバックグラウンド・シグナルの両方に影響を及ぼす。好適な酵素濃度とプローブ濃度の組合せは、酵素の種類、使用される標的核酸及びプローブの配列毎に異なり、それぞれの場合において高いS/N比を得るような条件を見出す必要がある。
【0043】
FRETの場合の蛍光の検出条件として、例えばプローブの5´末端にDabcyl修飾、鎖内にFITC修飾の場合、3´→5´エキソヌクレアーゼの作用によりプローブが3´末端より分解されるに伴って発せられる蛍光は、最大励起波長494nm、最大蛍光波長518nmの条件で蛍光光度計を用いて検出される。本発明による方法は、操作が簡便であるために、自動化システムの構築も容易である。特にハイスループットなシステムを構築するには、マイクロプレートを用いるのが便利である。マイクロプレートを用いた場合の蛍光の検出には、マイクロプレートに対応した蛍光測定装置が使用される。このような装置としては、特に限定されないが、CytoFluor Series 4000(PerSeptive Biosystems社)やWallac Arvo HTS 1420 Multilabel Counter(パーキンエルマーライフサイエンス社)などを例示することができる。このような装置を使用する場合、励起波長及び蛍光測定波長の選択は、装置に装備されたフィルターの種類によって限定されるが、蛍光物質の励起及び蛍光波長から適切なフィルターを選択して使用する。例えば、Wallac Arvo HTS 1420 Multilabel Counterの場合、485nmの励起用フィルターと535nmの蛍光測定用フィルターを使用して、好適に測定することができる。
【0044】
エキソヌクレアーゼによるプローブの分解によって生じるシグナルは、プローブのサイクル反応によって増幅され、反応の進行中にそのシグナルの推移を測定することが可能であり、適切な反応時間を選択することにより、再現性並びに定量性の向上及び測定時間の短縮が図れる。反応時間は数秒から60分の間が好ましい。シグナルのリアルタイムモニターについては、リアルタイムPCR装置を用いて、それぞれの装置に対応した蛍光物質を標識したプローブを用いて実施できる。リアルタイムPCR装置としては、PRISM 7700 Sequence Detection System(ABI社)、LightCycler(ロシュ・ダイアグノスティックス社)、Smart Cycler II System(宝バイオ社)などが挙げられる。これらの装置は、いずれも4℃から100℃の間での厳密な反応温度の制御が可能であり、さらに種々の波長の蛍光測定に対応しており、本発明において好適に使用される。
【0045】
さらに本発明によれば、特定部位の多型だけでなく、連続する数塩基の領域に存在する1個または複数の変異を識別することができる。例えば、K−ras遺伝子は、12番目のコドン(GGT)にアミノ酸置換、特にグリシンからバリン、アスパラギン酸あるいはアルギニンへの置換を伴う変異が生じた場合に発癌遺伝子として働くことが知られている。K−ras遺伝子の変異は大腸癌の約40%、肺癌の約20%、膵癌の約80〜90%で検出されており、臨床検体からの検査にも利用されている。コドン12の3番目の塩基であるチミンは、他のいずれの塩基に置き換わってもアミノ酸の置換はないが、1番目及び2番目の塩基はいずれの塩基に換わってもアミノ酸の置換を伴う。したがって、部位特異的な一塩基多型検査技術を利用した場合、野生型配列に加えて1番目及び2番目の塩基置換に対応した計7組のプローブを用意することが不可欠である。しかし、本発明によれば、連続する3塩基以上の領域のいずれかに塩基置換があった場合においても蛍光強度の著しい低下を引き起こし、特定の配列との区別を可能としており、一塩基多型のみならず癌関連遺伝子の変異検出にも有効である。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
実施例1
(1)標的核酸の調製
ヒトゲノムDNAからK−ras遺伝子の一部をPCRにて増幅した産物を標的核酸とした。上流及び下流プライマーの配列は以下の通りである。なお、以下に示す全てのオリゴマーDNAの合成は、日本バイオサービスに依頼した。
【0048】
配列番号1:GAGAGGCCTGCTGAAAATG
配列番号2:CCTCTATTGTTGGATCATATTC
PCRの条件は、1.25UのEx Taq DNA Polymerase(宝バイオ)、1X Ex Taq緩衝液(宝バイオ)、200μMの各dNTP、200nMの各プライマー、10〜100ngのヒトゲノムDNAを含む50μlの反応液を調製し、94℃/20秒、55℃/20秒、72℃/20秒のサイクル反応を40回行った。また、ヒトゲノムDNAを含まない反応液で同様にサイクル反応を行い、陰性コントロールとした。
【0049】
(2)プローブDNA
5´末端にDabcyl、鎖内にFITCを標識したプローブの配列は、ヒトK−ras遺伝子の一部の塩基配列を有しており、以下の通りである。ただし、配列中の“Z”はFITC標識デオキシチミジン(FITC−dT)を表す。
【0050】
配列番号3:5´−GCTCCAACZACCACAAGTTTATATTCAGTC
【0051】
(3)エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイ
上記(1)のK−ras遺伝子の増幅産物をPicoGreen dsDNA Quantitation Kit(Molecular Probe社)で定量した後、陰性コントロールで2倍段階希釈を行った。この2倍希釈系列及び陰性検体を、配列番号3によって示された配列を有し、5´末端にDabcylが標識されたプローブを用いてエキソヌクレアーゼサイクリングアッセイ法で測定を行った。すなわち、2X エキソヌクレアーゼIII Buffer(宝バイオ)、75mM NaCl、750nMプローブDNA、2μlの検体DNA(PCR産物)を含む10μlの反応液を調製し、Mastercycler ep(エッペンドルフ社)を用いて95℃で2分間加熱した後、37℃で5秒間加温した。直ちに10μlの1.35U/μl エキソヌクレアーゼIIIを添加して37℃にてさらに30分間保温した。次いで70℃にて10分間加温して酵素を失活させた後、30μlのTE緩衝液(10mM Tris−HCl、1mM EDTA、pH8.0)を加え、全量を蛍光測定用の96穴マイクロプレート(Corning社)に移し、プレートリーダーWallac Arvo HTS 1420 Multilabel Counter(パーキンエルマーライフサイエンス社)にて励起波長485nm、蛍光波長535nmで蛍光を測定した。
【0052】
その結果、図2に示した通り、その標準曲線は非常に直線性に優れ、最低検出感度は3fmol/assay以下であった。
【0053】
実施例2
(1)変性操作工程の有無
上記実施例1(3)で示した方法では、エキソヌクレアーゼの添加の前に、標的二本鎖DNAの熱変性の工程が含まれている。この工程が必須であるか検証するため、上記実施例1(1)で調製した170fmolのK−ras PCR産物と陰性検体を上記実施例1(3)の熱変性の工程を含む方法と熱変性の工程を含まない方法とで比較した。熱変性の工程を含まない方法は、1X Exonuclease III Buffer(宝バイオ)、37.5mM NaCl、375nMプローブ、2μlの検体DNA(170fmolのPCR反応液)及び0.675U/μlのエキソヌクレアーゼIIIを含む20μlの反応液を調製し、37℃にて30分間保温した後、さらに70℃で10分間加温して酵素を失活させ、プレートリーダーWallac Arvo HTS 1420 Multilabel Counter(パーキンエルマーライフサイエンス社)にて励起波長485nm、蛍光波長535nmで蛍光を測定することによって実施した。その結果、図3に示した通り、熱変性の工程を含まない方法では、標的核酸を含まないPCR反応液のシグナル及び170fmolの標的配列を含むPCR反応液のシグナルともに、熱変性の工程を含む方法によるシグナルとほぼ同程度であった。このことから、熱変性の工程は必須でないことが分かった。
【0054】
実施例3
(1)合成標的核酸
エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイ法の一塩基の置換を識別する能力を検証するため、標的核酸として13種の化学合成DNAを用いた。各化学合成標的DNAの塩基配列は以下の通りである。
【0055】
配列番号4:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTTGGAGCTTGT
配列番号5:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTTGTAGTTGGAGCTTGT
配列番号6:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGTTAGTTGGAGCTTGT
配列番号7:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGCAGTTGGAGCTTGT
配列番号8:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTCGTTGGAGCTTGT
配列番号9:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTATTTGGAGCTTGT
配列番号10:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGCTGGAGCTTGT
配列番号11:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTCGGAGCTTGT
配列番号12:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTTTGAGCTTGT
配列番号13:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTTGTAGCTTGT
配列番号14:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTTGGCGCTTGT
配列番号15:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTTGGATCTTGT
配列番号16:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTTGGAGATTGT
【0056】
ここで、配列番号4はヒトK−ras遺伝子の野生型の配列であり、配列番号3で示されたプローブDNAの塩基配列と完全に相補的な配列を含む。一方、配列番号5から配列番号16は配列番号4のいずれかの一塩基を他の塩基に置換したものであり、それぞれを配列番号3で示されたプローブDNAとハイブリダイゼーションさせた場合、形成された二本鎖DNA中には一塩基のミスマッチを含む。それらのミスマッチの位置を図4に示した。図4において下線のある塩基は、配列番号3で示されたプローブDNAとハイブリダイズしたときにミスマッチを形成する塩基である。
【0057】
(2)合成標的核酸を用いた一塩基ミスマッチの検出
本発明による一塩基ミスマッチの識別能力を、合成標的核酸を用いて検証するため、以下のような条件でエキソヌクレアーゼサイクリングアッセイを実施した。すなわち、1X Exonuclease III Buffer(宝バイオ)、37.5mM NaCl、375nMプローブDNA、0.675U/μl エキソヌクレアーゼIII(宝バイオ)、100fmol合成標的DNAまたはその代わりに精製水を含む20μlの反応液をPCR反応チューブに調製し、Mastercycler ep(エッペンドルフ社)を用いて直ちに37℃または41℃にて30分間加温した。酵素を失活させるため70℃にて10分間加熱した後、30μlのTE緩衝液を加え、全量を蛍光測定用の96穴マイクロプレート(Corning社)に移し、プレートリーダーWallac Arvo HTS 1420 Multilabel Counter(パーキンエルマーライフサイエンス社)にて励起波長485nm、蛍光波長535nmで蛍光を測定し、各合成標的核酸をサンプルとしたときの相対蛍光強度(RFU)から精製水をサンプルとして測定したときのRFUを減じた値(ΔRFU)を求めた。
【0058】
その結果、37℃での反応では、配列番号7及び9から16で示された標的核酸において、配列番号4で示された完全マッチの標的核酸と比べてある程度のシグナルの低下が認められた(図5)。次いで、反応温度を41℃とすると、配列番号9から15で示された標的核酸で顕著なシグナルの低下が認められ、バックグラウンド・シグナル、すなわち標的核酸を含まないときとほぼ同程度のシグナルを示し、プローブとミスマッチを形成するこれらの標的核酸と、プローブと完全に相補的な配列を有する標的核酸とを明確に識別できることが示された(図6)。このことは、本発明によって、1箇所の特定の部位だけでなく、近傍の数塩基に渡る領域の遺伝子変異をも検出し得ることを示している。
【0059】
実施例4
(1)合成標的核酸
エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイ法の一塩基以上の挿入又は欠損配列を識別する能力を検証するため、標的核酸として4種の化学合成DNAを用いた。各化学合成標的DNAの塩基配列は以下の通りである。
【0060】
配列番号17:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTGGAGCTTGT
配列番号18:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGGAGCTTGT
配列番号19:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTGTGGAGCTTGT
配列番号20:5´−GAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTGAATGGAGCTTGT
【0061】
図7において、配列番号4はヒトK−ras遺伝子の野生型の配列であり、配列番号3で示されたプローブDNAの塩基配列と完全に相補的な配列を含む。一方、配列番号17から配列番号20は、それぞれ配列番号4に一塩基又は三塩基の挿入又は欠損を含むものであり、それぞれを配列番号3で示されたプローブDNAとハイブリダイゼーションさせた場合、形成された二本鎖DNAのいずれかのDNA鎖がループ構造を形成する。図7においてハイフンで示した部分は塩基の欠損部分であり、下線を付した塩基は挿入配列である。
【0062】
(2)合成標的核酸を用いた挿入及び欠損配列の検出
本発明による挿入及び欠損配列の識別能力を、合成標的核酸を用いて検証するため、以下のような条件でエキソヌクレアーゼサイクリングアッセイを実施した。すなわち、1X Exonuclease III Buffer(宝バイオ)、37.5mM NaCl、375nMプローブDNA、0.675U/μl エキソヌクレアーゼIII(宝バイオ)、300fmol合成標的DNAまたは精製水を含む20μlの反応液を蛍光測定用PCRプレートに調製し、Mastercycler ep(エッペンドルフ社)を用いて直ちに41℃にて30分間加温した。酵素を失活させるため70℃にて10分間加熱した後、30μlのTE緩衝液を加え、全量を蛍光測定用の96穴マイクロプレート(Corning社)に移し、プレートリーダーWallac Arvo HTS 1420 Multilabel Counter(パーキンエルマーライフサイエンス社)にて励起波長485nm、蛍光波長535nmで蛍光を測定し、各合成標的核酸をサンプルとしたときの相対蛍光強度(RFU)から精製水をサンプルとして測定したときのRFUを減じた値(ΔRFU)を求めた。
【0063】
その結果、一塩基の置換を有する配列番号11で示された合成標的DNA及び挿入又は欠損を含む配列番号17から20で示されたいずれの合成標的DNAにおいても、配列番号4で示された合成標的核酸よりも顕著に低い蛍光強度が観察された(図8)。このことから、本発明による方法によって、特定の配列を有する標的核酸を、一塩基以上の挿入または欠損配列を有する標的核酸とも明確に識別して検出できることが示された。
【0064】
実施例5
(1)ヒトアルデヒド脱水素酵素2遺伝子のPCR
化学合成したDNAを標的核酸とした場合のみならず、実際の生体試料の多型解析が可能であることを示すため、ヒトのアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)遺伝子の多型検出系を構築した。ALDH2遺伝子のエクソン12には正常型の「G」と変異型「A」の一塩基多型が存在する。この多型をエキソヌクレアーゼサイクリングアッセイ法によって識別するため、ALDH2の遺伝子型が既知の検体DNAから、PCRによってこの多型部位を含む領域を増幅した。PCRに用いたプライマーの配列は以下の通りである。
【0065】
配列番号21:GTGGCCGGGAGTTGGGCGAG
配列番号22:GCCCCCAACAGACCCCAATC
【0066】
PCRの条件は、1X Ex Taq Buffer(宝バイオ)、200μMの各dNTP、200nMの各プライマー、0.625UのEx Taq DNA polymerase(宝バイオ)、10〜50ngのヒトゲノムDNAを含む25μlの反応液を調製し、GeneAmp PCR System 9700(ABI社)を用いて、94℃/2分の変性処理の後、94℃/20秒、63℃/20秒、72℃/20秒を40サイクル、さらに72℃/2分の伸長反応を行った。増幅の成否は、2%アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色することによって確認した。
【0067】
(2)エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイ法による野生型ALDH2遺伝子配列の特異的検出
1X Exonuclease III Buffer(宝バイオ)、40mM NaCl、150nMプローブDNA、0.4U/μl エキソヌクレアーゼIII(宝バイオ)、5μlの上記PCR反応液または精製水を含む20μlの反応液をPCR反応チューブに調製し、Mastercycler ep(エッペンドルフ社)を用いて直ちに37℃にて30分間加温した。酵素を失活させるため70℃にて10分間加熱した後、30μlのTE緩衝液を加え、全量を蛍光測定用の96穴マイクロプレート(Corning社)に移し、プレートリーダーWallac Arvo HTS 1420 Multilabel Counter(パーキンエルマーライフサイエンス社)にて励起波長485nm、蛍光波長535nmで蛍光を測定した。このときに用いたプローブDNAは正常型の「G」を有する標的核酸と完全マッチする配列からなり、その配列は以下の通りである。
【0068】
配列番号23:TTTCACTTCAGZGTATGCCTGCAGCC
【0069】
ここで、ZはFITC標識dTを示しており、該プローブの5´末端にはダーククエンチャーであるDabcylが標識されている(図9)。その結果、A/A型では、G/G型及びG/A型に比べて著しく低いRFU値を示した(図10)。このことから、本発明による方法は、生体試料中の一塩基の置換の有無を明確に識別できることが示された。
【0070】
実施例6
(1)人為的ミスマッチを導入したプローブ
ミスマッチ塩基対のうちでも、G/GやG/T塩基対は比較的水素結合が強く、そのため通常のハイブリダイゼーション法では、他のミスマッチ塩基対に比べて完全マッチの塩基対と区別して検出することは比較的困難である。本発明においても同様の傾向があるが、プローブ配列の一部を意図的に置換し、標的配列との間でミスマッチを形成するようにすることで、この問題を回避することができる。その一例を示すために変異型ALDH2に含まれる「A」と野生型に含まれる「G」を識別して検出するための2種のプローブを以下に示す通り設計した。
【0071】
配列番号24:CACTTTAGTGZATGCCTGCAGCCCGTA
配列番号25:CACTTTAGTGZATGTCTGCAGCCCGTA
【0072】
ここで、ZはFITC標識dTを示しており、該プローブの5´末端にはダーククエンチャーであるDabcylが標識されている。
【0073】
また、標的核酸として野生型及び変異型ALDH2の配列からなる以下に示すオリゴマーDNAを合成した。
【0074】
配列番号26:GAGTACGGGCTGCAGGCATACACTGAAGTGAAAACTGT
配列番号27:GAGTACGGGCTGCAGGCATACACTAAAGTGAAAACTGT
【0075】
これらのプローブと標的DNAの関係を図11に示した。配列番号24からなるプローブは配列番号27からなる変異型標的DNAと完全に相補的であるが、配列番号26からなる野生型標的DNAとは、多型部位でG/Tミスマッチ塩基対を形成する。一方、配列番号25からなるプローブは、配列番号24のFITC標識部位から3’側に数えて4番目の塩基をCからTに置換しており(下線)、野生型及び変異型標的DNAともにこの部位でミスマッチ塩基対を形成するように設計した。
【0076】
(2)プローブへの人為的ミスマッチ導入による多型識別能の向上
これらのDNAを用いて、1X Exonuclease III Buffer(宝バイオ)、40mM NaCl、250nMプローブDNA、0.05U/μlエキソヌクレアーゼIII(宝バイオ)、100fmolの合成標的DNAを含む20μlの反応液を96穴の蛍光測定用PCRプレートに調製し、Mastercycler ep(エッペンドルフ社)を用いて直ちに37℃にて30分間加温し、次いで酵素を失活させるため70℃にて5分間加熱した後、プレートリーダーWallac Arvo HTS 1420 Multilabel Counter(パーキンエルマーライフサイエンス社)にて励起波長485nm、蛍光波長535nmで蛍光を測定した。また、盲検として標的DNAを添加せずに反応及び蛍光測定を行った。
【0077】
その結果を図12に示す。野生型配列に完全マッチするプローブを用いたときは、野生型及び変異型標的DNAに対するRFU値ともに盲検に比べて顕著に上昇し、シグナル値から両者を区別することは困難であった。しかしながら、人為的ミスマッチを導入したプローブを用いたときは、野生型及び変異型標的DNAに対するRFU値に顕著な差が認められ、一塩基多型の判別の特異性を向上させることができた。
【0078】
実施例7
(1)生体試料のALDH2遺伝子型判定
ALDH2遺伝子の野生型及び変異型をそれぞれ特異的に検出するためのプローブのデザインを最適化し、それらを用いたエキソヌクレアーゼサイクリングアッセイによる測定条件を至適化して、ヒト由来サンプルのALDH2遺伝子の遺伝子型判定を試みた。
【0079】
23検体のヒトゲノムDNA1〜50ng及び陰性検体としてDNAの代わりに精製水から、実施例5と同じ方法でALDH2遺伝子の多型存在部位を含む領域を増幅し、それぞれ5μlをALDH2遺伝子の野生型検出系及び変異型検出系を用いてアッセイした。すなわち、4℃に保ったサーマルサイクラー上で蛍光測定用PCRプレートに1X Exonuclease III Buffer(宝バイオ)、40mM NaCl、150nMのプローブDNA、5μlのPCR産物、0.2U/μl(野生型検出系)または0.0375U/μl(変異型検出系)のエキソヌクレアーゼIII(宝バイオ)を含む20μlの反応液を調製し、37℃/30分、次いで70℃/5分間インキュベートし、プレートリーダーWallac Arvo HTS 1420 Multilabel Counter(パーキンエルマーライフサイエンス社)にて励起波長485nm、蛍光波長535nmで蛍光を測定した。このとき用いた野生型及び変異型をそれぞれ特異的に検出するためのプローブの配列を配列番号23および25に示す。
【0080】
野生型検出系のRFU値を横軸(Gアレル)、変異型検出系のRFU値を縦軸(Aアレル)とし、各試料の蛍光シグナルの分布を示したのが図13である。蛍光シグナルの分布は明確に3つのグループに分けられ、それぞれのグループがサンガー法で遺伝子型が決定されたG/Gホモ、G/Aヘテロ、A/Aホモの3つの検体群と完全に一致した。このことから、本発明が実際の生体試料の遺伝子型判定において極めて有用であることが示された。
【0081】
実施例8
(1)混合試料のアレル含有率の定量
ALDH2の遺伝子型がG/GホモのゲノムDNA及びA/AホモのゲノムDNAを混合し、G/GホモのゲノムDNAの含有率が100%、75%、50%、25%、0%となるように試料を調製した。これらの混合試料10ngを請求項5と同じ方法でPCRを行った。それらのPCR産物5μlを実施例7と同じ方法でALDH2遺伝子の野生型検出系及び変異型検出系を用いて2回ずつアッセイした。
【0082】
その結果、混合比の異なるそれぞれの試料のシグナルはそれぞれに独立した分布を示し、それぞれのアレルの含有率を定量可能であることが示された(図14)。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】遺伝子多型または遺伝子変異の均一測定を可能にするエキソヌクレアーゼサイクリングアッセイの原理を示す図である。
【図2】エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイの均一測定系の標準曲線を示す図である。(実施例1)
【図3】エキソヌクレアーゼ添加前のDNAの熱変性工程の有無による測定結果を示す図である。(実施例2)
【図4】プローブと合成標的核酸の配列を示す図である。(実施例3)
【図5】反応温度37℃で実施したエキソヌクレアーゼサイクリングアッセイの均一測定系によってミスマッチの検出を試みた結果を示す図である。(実施例3)
【図6】反応温度41℃で実施したエキソヌクレアーゼサイクリングアッセイの均一測定系によってミスマッチの検出を試みた結果を示す図である。(実施例3)
【図7】プローブと合成標的核酸の配列を示す図である。(実施例4)
【図8】エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイの均一測定系によって挿入及び欠損配列の検出を試みた結果を示す図である。(実施例4)
【図9】ALDH2遺伝子の一塩基多型を含む領域の配列と野生型ALDH2遺伝子特異的プローブDNAの配列を示す図である。(実施例5)
【図10】エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイの均一測定系によるALDH2遺伝子の多型検出の結果を示す図である。(実施例5)
【図11】プローブと合成標的核酸の配列を示す図である。(実施例6)
【図12】エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイにおいて、人為的ミスマッチ導入プローブを用いることによって一塩基置換の検出の特異性の改善を試みた結果を示す図である。(実施例6)
【図13】エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイによって、生体試料からALDH2の遺伝子型の判定を実施した結果を示す図である。(実施例7)
【図14】ALDH2の遺伝子型が異なる2種のヒトゲノムDNAを異なる比で混合して調製した試料を、エキソヌクレアーゼサイクリングアッセイによってアッセイした結果を示す図である。(実施例8)
Claims (7)
- 標的核酸を、該標的核酸とは1塩基以上の置換、1塩基以上の挿入、及び/又は1塩基以上の欠損を含む核酸と区別して検出する方法であって、標識物質を含むオリゴヌクレオチドプローブが、標的核酸との間に1塩基以上の相補的でない塩基対を形成する場合において、並びに/又は1塩基以上の挿入及び/若しくは1塩基以上の欠損によって該標的核酸との間でループ構造を形成する場合において、該相補的でない塩基対及び/又は該ループ構造の形成により、
(1)該標的核酸と該オリゴヌクレオチドプローブ間のハイブリダイズが行われない場合には、該オリゴヌクレオチドプローブはエキソヌクレアーゼによる消化を受けないので該標識物質が該オリゴヌクレオチドプローブから遊離せず、又は
(2)該標的核酸と該オリゴヌクレオチドプローブ間のハイブリダイズが行われた場合には、エキソヌクレアーゼによる消化に伴って該オリゴヌクレオチドプローブの鎖長が短くなり、該オリゴヌクレオチドプローブは該標的核酸との二本鎖を維持できなくなり、該標識物質が該オリゴヌクレオチドプローブから遊離する前に、該オリゴヌクレオチドプローブが該標的核酸から離脱するために該標識物質が該オリゴヌクレオチドプローブから遊離せず、
その結果、該標識物質が遊離しないことによる有意なシグナル上昇が起こらないことを検出すること、並びに
(A)該エキソヌクレアーゼが5´→3´エキソヌクレアーゼの場合には、オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸との間で形成し得る少なくとも1塩基以上の相補的でない塩基対部分またはループ構造部分がオリゴヌクレオチドプローブの3´末端と標識物質が標識された部位との間に位置するように設計されていること、又は
(B)該エキソヌクレアーゼが3´→5´エキソヌクレアーゼの場合には、オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸との間で形成し得る少なくとも1塩基以上の相補的でない塩基対部分またはループ構造部分がオリゴヌクレオチドプローブの5´末端と標識物質が標識された部位との間に位置するように設計されていること、
を特徴とする方法。 - 5´→3´エキソヌクレアーゼがλエキソヌクレアーゼまたはT7 Gene6 エキソヌクレアーゼである請求項1に記載の方法。
- 3´→5´エキソヌクレアーゼがエキソヌクレアーゼIIIである請求項1に記載の方法。
- エキソヌクレアーゼが耐熱性酵素である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 耐熱性酵素がアーキオグロバス フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)に由来する請求項4に記載の方法。
- RNAより逆転写反応により合成したcDNA、ポリメラーゼ・チェイン・リアクション法(PCR法)または逆転写PCR(RT−PCR)法にて増幅した産物を精製することなく被検試料として用いる請求項1〜5のいずれか1に記載の方法。
- 標的核酸を、該標的核酸とは1塩基以上の置換、1塩基以上の挿入、及び/又は1塩基以上の欠損を含む核酸と区別して検出する能力を向上させるために、1塩基以上の置換、1塩基以上の挿入、及び/又は1塩基以上の欠損をオリゴヌクレオチドプローブに意図的に導入する請求項1〜6のいずれか1に記載の方法。
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