JP4187916B2 - 電子透かし埋め込み装置および検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像や音声などのデジタル著作物の不正コピーを防止するための著作権などの情報をいわゆる電子透かしとして埋め込む電子透かしシステムにおいて、画像や音声などのデータの一部が切り取られ欠けている場合にも、その欠けているデータから埋め込まれた著作権情報を抽出することができるようにした電子透かし埋め込み装置および検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像や音声などのマルチメディアデータ(通常、デジタルデータにて構成される)の著作権を保護するために、著作権に関する情報をいわゆる電子透かし(digital watermarking) としてデータに埋め込むことが行われている。データの違法コピーが行われた場合には、電子透かしによってデータの著作権の所在を明らかにすることができる。
【0003】
通信や放送では、著作権に関する情報は送信側において電子透かしとして埋め込まれる。送信側における画像データへの電子透かしの埋め込み方式には、大別して2つの方式がある。1つの方式は、画素データの値を変化させることにより直接的に電子透かしをデータに埋め込む方式である。もう1つの方式は、画素に対してDCT(Discrete Cosine Transform)、ウェーブレット変換(Wavelet Transform) などの変換を行った後の係数値を変更して電子透かしを埋め込み、逆変換を行い、結果として電子透かしが埋め込まれた画素データを生成する方式である。
上記各方式については、文献「電子透かしの基礎」(松井甲子雄著、森北出版より1998年8月発行)に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の電子透かしシステムにおいては、画面データの一部が切り取られ欠けている場合に、電子透かしの埋め込みを行うための基準位置や、DCT、ウェーブレット変換を行うためのブロックの基準位置が不明になるという問題があった。この対策として、本願人の出願に係る「画像への電子透かし埋め込み装置」(特願平11−297334号)による方式では、ブロックの基準位置確認用のマークを埋め込むことにより一部切り取られ欠けている画像からも電子透かしの検出を可能にしている。
【0005】
従って、この特許出願による方式を使用すれば、画面の一部が切り取られ欠けている場合にも、ブロックの基準位置を検知し、電子透かしの検出を行うことができる。
【0006】
しかし、これまでの電子透かしの埋め込み手法では、電子透かしは画像の一部にしか埋め込まれていないため、MPEG2圧縮などの画像処理を行うと、マークが検出できなくなるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、画像や音声などのデータに著作権に関する情報を埋め込む電子透かしシステムにおいて、画像や音声の一部が切り取られ欠けている場合にも、その欠けているデータから電子透かしの検出が可能となり、それにより、正常な著作権に関する情報を抽出することができるような電子透かし埋め込み装置および検出装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明電子透かし埋め込み装置は、オリジナル画像信号に電子透かしの情報を埋め込む電子透かし埋め込み装置であって、前記オリジナル画像情報に第1の乱数系列を埋め込む手段と、前記第1の乱数系列を埋め込んだオリジナル画像情報に、著作権情報に従って埋め込み位置をずらして第2の乱数系列を埋め込む手段とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明電子透かし検出装置は、請求項1に記載の電子透かし埋め込み装置によって埋め込まれた電子透かしの情報を検出する電子透かし検出装置であって、前記著作権情報に従って埋め込まれた第2の乱数系列を検出する手段と、前記オリジナル情報に埋め込まれた第1の乱数系列を検出する手段と、前記2つの乱数系列の埋め込み位置のずれから当該埋め込まれている電子透かしの情報を抽出する手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照し、発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の発明による電子透かし埋め込み装置の一実施形態をブロック図にて示している。
図1において、1は著作権用電子透かし埋め込み回路、および2は位置決め用電子透かし埋め込み回路である。
【0013】
動作につき説明する。
図1において、著作権用電子透かし埋め込み回路1には、図に示すように、電子透かしが埋め込まれるオリジナル画像信号(ベースバンド信号)と著作権情報とが入力され、著作権情報が埋め込まれた画像信号(以下、著作権入り画像信号と言う)を出力する。著作権入り画像信号は位置決め用電子透かし埋め込み回路2に送られ、当該回路において、著作権情報が画面上でどの位置に埋め込まれているかを決める位置決め用電子透かしを埋め込み、著作権・位置情報入り画像信号を出力する。著作権・位置情報入り画像信号は、放送やインターネットを通じて配布される。
なお、本実施形態では、著作権用電子透かし、位置決め用電子透かしの順に電子透かしの埋め込みを行ったが、逆の順序で埋め込みを行うこともできる。
【0014】
また、著作権用電子透かし埋め込み回路1としては、著作権用電子透かしの埋め込み方式として、任意の方式を用いた回路を使用することができる。一例として、上述した本願人の出願に係る「画像への電子透かし埋め込み装置」(特願平11−297334号)による方式を用いた回路を使用することができる。この方式では、入力画像をm×n(m,nは1以上の整数)の大きさのブロックに分割し、各ブロック毎に、著作権情報に応じたブロック符号を埋め込むものとする。
【0015】
図2は、本発明の第1の発明による電子透かし検出装置の一実施形態をブロック図にて示している。
図2において、3は著作権用電子透かし検出回路、および4は位置決め用電子透かし検出回路である。
【0016】
動作につき説明する。
図2において、電子透かしの埋め込み側から放送やインターネットを通じて配付された著作権・位置情報入り画像信号が著作権用電子透かし検出回路3に入力されるとともに、位置決め用電子透かし検出回路4にも入力され、その位置決め用電子透かし検出回路において、画面上で著作権情報が埋め込まれている位置を決める基準位置を検出して、これを位置情報信号として出力する。
【0017】
また、著作権用電子透かし検出回路3においては、入力された上記著作権・位置情報入り画像信号についいて、位置決め用電子透かし検出回路4から送られてくる位置情報信号が示す基準位置をもとに著作権用電子透かしを検出し、これをもとに著作権情報を抽出する。
上記において、電子透かしの埋め込み側から出力される著作権・位置情報入り画像信号は、その一部が切り取られ欠けていても埋め込まれた著作権情報を抽出することができる。
【0018】
図3は、図1中の位置決め用電子透かし埋め込み回路2の一構成例をブロック図にて示している。
図3において、5は埋め込み用フィルタ回路、6は乱数系列乗算回路、7は乱数系列発生回路、および8は乱数系列埋め込み回路である。
【0019】
動作につき説明する。
図3において、著作権用電子透かし埋め込み回路1(図1参照)から出力される著作権入り画像信号は2分岐され、その一方は埋め込み用フィルタ回路5に入力される。このフィルタ回路5の特性は、位置決め用電子透かしの埋め込みを行う者が任意に設定することができるものである。フィルタ回路5においてフィルタ処理が行われた埋め込み用フィルタ画像信号は乱数系列乗算回路6に送られる。乱数系列乗算回路6においては、埋め込み用フィルタ画像信号と乱数系列発生回路7で発生した乱数系列信号との乗算を行う。
【0020】
乱数系列発生回路7は、1フレーム分の大きさの乱数系列信号を発生する。乱数系列信号の各要素は1または−1をとり、各要素がとる値の平均値が0となるものである。乱数系列乗算回路6においては、この乱数系列信号と上述の埋め込み用フィルタ画像信号との乗算の結果を埋め込み用乱数画像信号として出力する。乱数系列埋め込み回路8は、上記2分岐された他方の著作権入り画像信号に乱数系列乗算回路6から送られる埋め込み用乱数画像信号を加算することにより、位置情報の埋め込みを行い、著作権・位置情報入り画像信号として出力する。
【0021】
図4は、図2中の位置決め用電子透かし検出回路4の一構成例をブロック図にて示している。
図4において、9は検出用フィルタ回路、10は乱数系列乗算回路、11は乱数系列発生回路、12は位置決め制御回路、13は乱数系列位置制御回路、および14は乱数系列位置決め回路である。
【0022】
動作につき説明する。
図4において、電子透かしの埋め込み側から出力された著作権・位置情報入り画像信号は検出用フィルタ回路9に入力される。この検出用フィルタ回路9の特性は、位置決め用電子透かしの検出を行う者が任意に設定することができるものである。検出用フィルタ回路9においてフィルタ処理が行われた検出用フィルタ画像信号は乱数系列乗算回路10に送られる。乱数系列乗算回路10においては、検出用フィルタ画像信号と以下に説明する乱数系列位置制御回路13で発生した位置ずらし乱数系列との乗算を行う。
【0023】
乱数系列発生回路11は、電子透かしの埋め込み側で発生した乱数系列信号と同一の1フレーム分の大きさの乱数系列信号を発生する。また、位置決め制御回路12は、乱数系列発生回路11で発生した乱数系列信号の位置をずらすために2つの整数i(水平方向)とj(垂直方向)を順次発生させ、これを位置決め制御信号(i,j)として出力する。乱数系列位置制御回路13は、乱数系列発生回路11で発生した乱数系列信号の位置を、位置決め制御回路12からの位置決め制御信号(i,j)により、水平方向にi画素、垂直方向にj画素だけずらし、これを位置ずらし乱数系列として出力する。乱数系列乗算回路10においては、この位置ずらし乱数系列と上述の検出用フィルタ画像信号との乗算結果を検出用乱数画像信号として出力する。
【0024】
出力された検出用乱数画像信号は乱数系列位置決め回路14に送られ、検出用乱数画像信号の要素の総和を計算する。具体的には、位置決め制御回路12からの位置決め制御信号(i,j)を取り込み、位置決め制御信号(i,j)の全ての組み合わせに対して検出用乱数画像信号の要素の総和をそれぞれ求め、最大の総和が出現したときの位置決め制御信号(i,j)を位置情報信号として出力する。
すなわち、この方法においては、埋め込まれている検出用乱数画像信号(乱数系列)と同一の乱数系列を位置をずらしながら発生させ、その発生させた乱数系列と埋め込まれている乱数系列との相関が最大となる位置を検出している。
【0025】
次に、2種類の乱数系列を位置をずらして埋め込み、その埋め込んだ2種類の乱数系列の位置関係から著作権などの情報を検出し得るようにした、本発明の第2の発明による電子透かし埋め込み装置および検出装置について説明する。
【0026】
まず、電子透かし埋め込み装置について説明する。
図5は、本発明の第2の発明による電子透かし埋め込み装置の一実施形態をブロック図にて示している。
図5において、15は乱数A埋め込み回路、16は乱数B埋め込み回路、および17は埋め込み位置制御回路である。
【0027】
動作につき説明する。
図5において、乱数A埋め込み回路15には電子透かしが埋め込まれるオリジナル画像信号が入力され、乱数A入り画像信号を出力する。
ここに、乱数A埋め込み回路15の回路構成は、図3にて説明した位置決め用電子透かし埋め込み回路の回路構成(図1中、符号2で示す回路部分)と同じであり、オリジナル画像信号(ただし、著作権入りではない)が入力され、乱数系列発生回路7(図3参照)相当の回路で予め発生させておいた乱数系列信号を埋め込み、乱数A入り画像信号として出力する。
【0028】
出力された乱数A入り画像信号は乱数B埋め込み回路16に送られ、当該回路においては、乱数Aとは異なる乱数Bを予め発生させておき、その埋め込み位置を、次に説明する埋め込み位置制御回路17から送られる埋め込み位置制御信号(i,j)に従って、水平方向にi画素、垂直方向にj画素だけずらし、位置をずらした乱数系列信号を当該回路の入力である乱数A入り画像信号に埋め込み、乱数AB入り画像信号として出力する。
【0029】
上記において、埋め込み位置制御回路17は、当該回路に入力される著作権情報に従って、乱数Bの位置をずらすための2つの整数i(水平方向)とj(垂直方向)を埋め込み位置制御信号として乱数B埋め込み回路16に出力する。例えば、8ビットの著作権情報として0〜255の数値を埋め込む場合、数値を16で割ったときの商をi、剰余をjとして出力する。
【0030】
次に、電子透かし検出装置について説明する。
図6は、本発明の第2の発明による電子透かし検出装置の一実施形態をブロック図にて示している。
図6において、18は乱数A検出回路、19は乱数B検出回路、および20は情報復号回路である。
【0031】
動作につき説明する。
図6において、電子透かしの埋め込み側から出力された乱数AB入り画像信号は、乱数A検出回路18と乱数B検出回路19に入力される。乱数A検出回路18と乱数B検出回路19の回路構成はともに、図4にて説明した位置決め用電子透かし検出回路(図2中、符号4で示す回路部分)と同じである。乱数A検出回路18は、当該回路で検出される位置情報を乱数A位置情報として出力し、また乱数B検出回路19は、当該回路で検出される位置情報を乱数B位置情報として出力する。
【0032】
これら両位置情報はともに情報復号回路20に送られ、当該回路において、乱数A位置情報と乱数B位置情報の位置のずれを、埋め込まれている透かし情報に換算し著作権情報として出力する。
上記(本発明の第2の発明による電子透かしの検出)においても、電子透かしの埋め込み側から出力される著作権・位置情報入り画像信号は、その一部が切り取られ欠けていても埋め込まれた著作権情報を抽出することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、埋め込み側で、画像信号に乱数系列を埋め込み、検出側でその乱数系列を検出することにより、画像の一部が切り取られ欠けている場合にも著作権などの埋め込まれた情報を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の発明による電子透かし埋め込み装置の一実施形態をブロック図にて示している。
【図2】 本発明の第1の発明による電子透かし検出装置の一実施形態をブロック図にて示している。
【図3】 図1中の位置決め用電子透かし埋め込み回路の一構成例をブロック図にて示している。
【図4】 図2中の位置決め用電子透かし検出回路の一構成例をブロック図にて示している。
【図5】 本発明の第2の発明による電子透かし埋め込み装置の一実施形態をブロック図にて示している。
【図6】 本発明の第2の発明による電子透かし検出装置の一実施形態をブロック図にて示している。
【符号の説明】
1 著作権用電子透かし埋め込み回路
2 位置決め用電子透かし埋め込み回路
3 著作権用電子透かし検出回路
4 位置決め用電子透かし検出回路
5 埋め込み用フィルタ回路
6 乱数系列乗算回路
7 乱数系列発生回路
8 乱数系列埋め込み回路
9 検出用フィルタ回路
10 乱数系列乗算回路
11 乱数系列発生回路
12 位置決め制御回路
13 乱数系列位置制御回路
14 乱数系列位置決め回路
15 乱数A埋め込み回路
16 乱数B埋め込み回路
17 埋め込み位置制御回路
18 乱数A検出回路
19 乱数B検出回路
20 情報復号回路
Claims (2)
- オリジナル画像信号に電子透かしの情報を埋め込む電子透かし埋め込み装置であって、
前記オリジナル画像情報に第1の乱数系列を埋め込む手段と
前記第1の乱数系列を埋め込んだオリジナル画像情報に、著作権情報に従って埋め込み位置をずらして第2の乱数系列を埋め込む手段とを備えることを特徴とする電子透かし埋め込み装置。 - 請求項1に記載の電子透かし埋め込み装置によって埋め込まれた電子透かしの情報を検出する電子透かし検出装置であって、
前記著作権情報に従って埋め込まれた第2の乱数系列を検出する手段と、
前記オリジナル情報に埋め込まれた第1の乱数系列を検出する手段と、
前記2つの乱数系列の埋め込み位置のずれから当該埋め込まれている電子透かしの情報を抽出する手段と、
を備えることを特徴とする電子透かし検出装置。
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