JP4186590B2 - 芳香族ポリマー組成物および絶縁膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子デバイスに用いられる絶縁膜は、配線間の微細化が進むにつれて、さらに高い絶縁性能が要求されている。絶縁性能を高くするためには、比誘電率を低くすることが必要であることから、比誘電率の低い有機ポリマーが絶縁膜の材料として注目されている。
近年、さらに比誘電率を低くすることが求められており、有機ポリマーを架橋して多孔質化することが試みられている。
【0003】
例えば、末端に架橋基として−C≡CH基を有する芳香族ポリエーテルケトン類と末端に架橋基として−C≡CH基を2個有する低分子量化合物との組成物が知られているが(特許文献1参照)、芳香族ポリエーテルケトン類がその末端にのみ架橋基を有しているため、架橋密度が十分でなく、比誘電率が低い絶縁膜を形成できないという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−310619号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高い架橋密度で架橋することが可能で、比誘電率が低い絶縁膜を製造し得る芳香族ポリマー組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した問題を解決し得る芳香族ポリマー組成物を見出すべく、鋭意検討を重ねた結果、繰り返し単位内に架橋可能な不飽和結合を有する芳香族ポリマーとC≡C結合を分子内に2個以上有する架橋剤とを含有してなる芳香族ポリマー組成物が、高い架橋密度で架橋することが可能であり、比誘電率の低い絶縁膜を製造し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、下記の(A)および(B)を含有してなることを特徴とする芳香族ポリマー組成物を提供するものである。
(A)繰り返し単位内に架橋可能な不飽和結合を有する芳香族ポリマー。
(B)C≡C結合を分子内に2個以上有する架橋剤。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の芳香族ポリマーは、(A)下記式(1)または(2)で示される繰り返し単位を有する芳香族ポリマーと(B)C≡C結合を分子内に2個以上有する架橋剤とを含有してなる。
(式中、R 1 〜R 3 は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、または任意の置換基を表わし、R 1 〜R 3 のいずれか2つの基が結合して環を形成していてもよく、R 4 は、水素原子を表わすか、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜14のアリール基、置換基を有していてもよいトリアルキルシリル基、または置換基を有していてもよいヒドロキシアルキル基を表わし、Ar 1 〜Ar 4 は、芳香族環を有する2価の基を表わす。)
【0009】
(A)繰り返し単位内に架橋可能な不飽和結合を有する芳香族ポリマーの架橋可能な不飽和結合は、熱、電子線、光などによって架橋可能な結合であり、具体的には、−C≡C−、−CH=CH−、−C≡Nなどの不飽和基を挙げることができる。これらのうち−C≡C−、−CH=CH−は、主鎖、側鎖のいずれにあってもよいが、側鎖にある場合は一方の結合手には任意の基が結合可能である。また、−C≡Nは側鎖にのみ結合することができる。中でも、架橋温度や得られる絶縁膜の耐熱性、比誘電率などの観点から、−C≡C−であることが好ましい。
【0010】
芳香族ポリマーとしては、例えば、ポリアリーレンエーテル、ポリフェニレン、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリアリーレンエーテルアミドなどが挙げられる。誘電率および耐熱性の観点から架橋可能な部位を有するポリフェニレン、ポリアリーレンエーテルが好ましく、中でも溶媒への溶解性などの観点からポリアリーレンエーテルが好ましい。
ポリアリーレンエーテルとしては、例えば、フェノール類の酸化重合により得られたポリアリーレンエーテル、ジハロゲン化物とビスフェノール類との縮重合により得られたポリアリーレンエーテルなどが挙げられる。
【0011】
本発明の芳香族ポリマーは、繰り返し単位内に架橋可能な不飽和結合を少なくとも1つ有している。ここで繰り返し単位内とは、ポリマー末端以外の繰り返し単位の主鎖内、側鎖を意味する。
【0012】
(A)芳香族ポリマーは、下記式(1)または(2)で示される繰り返し単位を有するポリマーであることが好ましい。
式中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、または任意の置換基を表わし、R1〜R3のいずれか2つの基が結合して環を形成していてもよい。
R4は、水素原子を表わすか、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜14のアリール基、置換基を有していてもよいトリアルキルシリル基、または置換基を有していてもよいヒドロキシアルキル基を表わす。
また、Ar1〜Ar4は、芳香族環を有する2価の基を表わす。
【0013】
ここで、任意の置換基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜14のアリール基、置換基を有していてもよいトリアルキルシリル基、または置換基を有していてもよいヒドロキシアルキル基などが挙げられる。
炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、へキシル基等が挙げられる。
炭素数4〜10のシクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。
炭素数6〜14のアリール基としては、例えば、フェニル基、ジフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基等が挙げられる。
トリアルキルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基などが挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基などが挙げられる。
【0014】
炭素数1〜10のアルキル基の置換基としては、例えば、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、芳香族基などが挙げられる。
炭素数4〜10のシクロアルキル基の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、芳香族基などが挙げられる。
炭素数6〜14のアリール基の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基などが挙げられる。
トリアルキルシリル基の置換基としては、例えば、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、芳香族基などが挙げられる。
ここで、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、へキシル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基などが挙げられる。
芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0015】
芳香族環を有する2価の基としては、例えば、ベンゼン環、ジフェニル環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環を有する2価の基等が挙げられる。
Ar1〜Ar4としては、例えば、以下の基などが挙げられる。
(上記式において、ベンゼン環は任意の置換基で置換されていてもよい。)、
(上記式において、各ベンゼン環は任意の置換基で置換されていてもよく、Pは、直接結合、炭素数1〜20の炭化水素基、−O−、−CO−のいずれかを表わす。)、
、または
【0016】
これらの中で、製造が容易であることから、Ar2、Ar3は
であることが好ましく、耐熱性の点から、Ar1、Ar4は、下記の基であることが好ましい。
、または
【0017】
ここで、Pは、直接結合、−O−、
を表わす。
【0018】
(A)芳香族ポリマーのGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、分子量と略する)は、1000以上50000以下であることが好ましく、2000以上30000以下であることがより好ましい。分子量が1000未満では、組成物の塗布性が低下する傾向があり、分子量が50000を超えると、組成物の粘性が著しく上昇し、塗布が困難となる傾向がある。
【0019】
本発明に使用される(B)C≡C結合を分子内に2つ以上含有する架橋剤のC≡C結合は、分子の末端にあってもよい。
(B)架橋剤のC≡C結合としては、例えば、−C≡CH、−C≡C−Ar5(Ar5は、置換基を有していてもよい芳香族基を表わす)、−C≡C−R18(R18は、置換基を有していてもよいアルキル基を表わす)、−C≡C−SiR19R20R21(R19、R20、R21は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基を表わす)などが挙げられる。
ここで、芳香族基としては、例えば、フェニル基、ジフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基等が挙げられる。
また、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、へキシル基等が挙げられる。
芳香族基の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基などが挙げられる。
アルキル基の置換基としては、例えば、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、芳香族基などが挙げられる。
置換基であるアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、芳香族基としては、前記と同じものが挙げられる。
【0020】
(B)架橋剤は、耐熱性を向上させる観点から、C≡C結合を分子内に3つ以上含有することが好ましい。
(B)架橋剤の分子量は、3000以下であることが好ましく、1500以下であることがより好ましい。分子量が3000を超えると架橋時の分子の可動性が低下し、低温での架橋が困難となる傾向がある。
【0021】
(B)架橋剤は、下記式(3)〜(5)のいずれかの構造を有する架橋剤であることが好ましい。
【0022】
式中、R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、トリアルキルシリル基、ヒドロキシアルキル基、またはC≡C結合を有する基を表わし、これらのうち少なくとも1つがC≡C結合を有する基であり、R9はC≡C結合を有する基を表わし、R10〜R13は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、トリアルキルシリル基、ヒドロキシアルキル基、またはC≡C結合を有する基を表わし、これらのうち少なくとも1つがC≡C結合を有する基であり、R14〜R16は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、トリアルキルシリル基、ヒドロキシアルキル基、またはC≡C結合を有する基を表わし、R14〜R16はいずれか2つまたは3つが互いに結合していてもよく、R10〜R16のうち少なくとも2つがC≡C結合を有する基であり、R17はn価の有機基を表わし、Qは、水素原子を表わすか、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、トリアルキルシリル基、またはヒドロキシアルキル基を表わし、複数あるQは互いに異なっていてもよく、nは2以上10以下の整数を表わす。
【0023】
ここで、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、トリアルキルシリル基、およびヒドロキシアルキル基としては、前記と同じものが挙げられる。
【0024】
C≡C結合を有する基は、特に限定されないが、例えば、下記式(6)または(7)で示されるものなどが挙げられる。
式中QaおよびQbは、前記R4と同じ意味を表わす。naは1〜5の整数を表わす。Raは直接結合、エーテル結合、または2価の有機基を表わす。
2価の有機基は、特に限定はされないが、製造の容易さや耐熱性などから、アリーレン基、エーテル基、カルボニル基、脂環構造を有する基、またはこれらを組み合わせた構造を有する基であることが好ましい。
また、製造の容易さなどから、naは1または2であることが好ましい。
同様に、製造の容易さなどから、R5〜R8およびR10〜R13としては、式(6)で示される基であることが好ましく、R9およびR14〜R16としては、式(7)で示される基が好ましい。
【0025】
n価の有機基は、特に限定されないが、製造の容易さや耐熱性などから、アリーレン基、エーテル基、カルボニル基、脂環構造を有する基、またはこれらを組み合わせた構造を有する基であることが好ましい。
また、溶媒への溶解性の観点から、複数あるQは互いに異なっていることが好ましい。
【0026】
芳香族ポリマー組成物を架橋して得られる絶縁膜の誘電率をより低くするという観点からは、上記式(4)においてR14〜R16はいずれか2つまたは3つの基が互いに結合していることが好ましく、脂環を形成していることがより好ましく、アダマンタン骨格やノルボルネン骨格を形成していることがさらに好ましい。同様に、R17も誘電率の面から、脂環を含んでいることが好ましい。とりわけ、アダマンタン骨格やノルボルネン骨格を含んでいることがさらに好ましい。
【0027】
本発明の芳香族ポリマー組成物は、さらに(C)熱分解性化合物を含有していてもよい。該熱分解性化合物は、その熱分解開始温度TCが(A)芳香族ポリマーの熱分解開始温度以下である化合物である。
(C)熱分解性化合物は、熱分解開始温度TCの温度範囲から、付加重合型高分子であることが好ましい。中でも、(A)芳香族ポリマーや(B)架橋剤との相溶性から、ポリスチレンやポリα−メチルスチレンなどの芳香族環を含有する付加重合型高分子が好ましく使用される。
該付加重合型高分子の分子量としては、100000以下であることが好ましく、30000以下であることがより好ましく、10000以下であることがさらに好ましい。分子量が100000を超えると、(A)芳香族ポリマーや(B)架橋剤との相溶性を低下させ、ポーラス径が大きくなる傾向がある。
【0028】
また、本発明の芳香族ポリマー組成物は、有機溶剤を含有していてもよい。
有機溶剤は、特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、2−エトキシエタノール、3−メトキシプロパノール等のアルコール系溶剤;アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン系溶剤;酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル系溶剤;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤などが挙げられる。
工業的に入手が容易であること、(A)芳香族ポリマーと(B)架橋剤の溶解性などから、芳香族炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤が好ましく使用される。
【0029】
(A)芳香族ポリマーと(B)架橋剤との重量比は、特に限定されないが、1:99〜99:1であることが好ましく、5:95〜95:5であることがより好ましい。この範囲からはずれると塗布時の膜均一性に問題が生じたり、低温での架橋に問題が生じる傾向がある。
【0030】
(A)芳香族ポリマーおよび(B)架橋剤の合計重量と、(C)熱分解性化合物の重量との比は、特に限定されないが、30:70〜99:1であることが好ましく、50:50〜98:2であることがより好ましい。この範囲からはずれると塗布時の塗布性が悪化したり、十分に低い比誘電率が得られない傾向がある。
【0031】
(A)芳香族ポリマーおよび(B)架橋剤の合計重量と、有機溶剤の重量との比は、特に限定されないが、1:99〜50:50であることが好ましく、3:97〜30:70であることがより好ましい。この範囲からはずれると、塗布時の膜厚が極端に薄くなったり、粘性が極端に上昇し、塗布性が悪化したりする傾向がある。
【0032】
本発明の芳香族ポリマー組成物は、通常の方法により、基板などに塗布し、塗布後、任意の方法で硬化させることにより、絶縁膜を製造することができる。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ローラーコート法、ディップコート法などが挙げられる。
基板としては、例えば、ガラス、石英、金属、セラミック、シリコン、SiO2、SiN、SiC、GaAs等の基板が挙げられる。
硬化の方法としては、例えば、熱、電子線、光などによって硬化する方法が挙げられる。
また、芳香族ポリマー組成物が(C)熱分解性化合物を含有する場合には、該熱分解性化合物を熱分解せしめることにより、より微細な空孔を有する絶縁膜を製造することが可能となる。
【0033】
本発明の芳香族ポリマー組成物は、比較的低温で架橋が可能であり、かつ、架橋密度が高いことから、多孔質膜を製造することが可能である。該多孔質膜は、比誘電率が低く、耐熱性、耐薬品性に優れているため、微細な配線を有する電子デバイスの絶縁膜として好適に使用し得る。
本発明の芳香族ポリマー組成物を用いて得られる絶縁膜は、その比誘電率が2.4以下であることが好ましく、2.25以下であることがより好ましく、2.15以下であることがさらに好ましく、2.0以下であることが特に好ましい。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないことは言うまでもない。
【0035】
製造例1
芳香族ポリマーA1の合成
窒素気流下にて、500mL4ツ口フラスコに4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール(9.6g)、炭酸カリウム(10.4g)、1−フェニルエチニル−3,5−ジフルオロベンゼン(5.4g)、ジメチルスルホキシド150g、およびトルエン80gを仕込み、150℃/4時間の保温攪拌を行った。反応マスをメタノール/酢酸溶液にジスチャージし、析出物をろ過し、大量のメタノールで洗浄し、減圧乾燥させ芳香族ポリマーA1を得た。
【0036】
製造例2
芳香族ポリマーA2の合成
窒素気流下にて、500mL4ツ口フラスコに4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール(9.6g)、炭酸カリウム(10.4g)、4,4‘−ジフルオロジフェニルアセチレン(5.4g)、ジメチルスルホキシド150g、およびトルエン80gを仕込み、150℃/4時間の保温攪拌を行った。反応マスをメタノール/酢酸溶液にジスチャージし、析出物をろ過し、大量のメタノールで洗浄し、減圧乾燥させ芳香族ポリマーA2を得た。
【0037】
製造例3
架橋剤B1の合成
トリフェニルメタンのヨウ素化
500mL4つ口フラスコにトリフェニルメタン(24.4g)、四塩化炭素400gを仕込み、窒素気流下、室温にて〔ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード〕ベンゼン(68.8g)およびヨウ素(20.3g)を投入した。室温にて5時間攪拌を行なった。反応終了後、溶媒等を留去した後、トルエンを加え、亜硫酸ナトリウム水溶液にて残留ヨウ素をつぶし、さらに水洗を行なった。トルエン溶媒にて再結晶を行ない、白色結晶を得た。
エチニル基の導入
500mL4つ口フラスコに上記の白色結晶(15.6g)、トリエチルアミン250g、および、Cu(I)I(0.4g)を仕込み、Ar気流下で1hr放置した。Pd(0)(TPP)4(1.2g)、トリメチルシリルアセチレン(7.9g)を仕込み、80℃/6hr保温攪拌を行なった後、室温/終夜攪拌を行なった。ろ過を行ない、溶媒などを留去後、トルエン溶媒によりカラム処理を行ない、濃縮によりエチニル化物を得た。
保護基の脱離
これにメタノール50g、トルエン50gを加え溶解し、さらに炭酸カリウム(2.07g)を加えて終夜攪拌を行なった。酢酸により中和を行ない、水洗を行なった後、濃縮し、架橋剤B1を得た。
【0038】
製造例4
架橋剤B2の合成
エチニル基の導入
500mL4つ口フラスコに1,2,4,5-テトラブロモベンゼン(19.7g)、トリエチルアミン(250g)、および、Cu(I)I(1.1g)を仕込み、Ar気流下で1hr放置した。Pd(0)(TPP)4(3.3g)、トリメチルシリルアセチレン(10.8g)、フェニルアセチレン(11.3g)を仕込み、80℃/6hr保温攪拌を行なった後、室温/終夜攪拌を行なった。ろ過を行ない、溶媒などを留去後、トルエン溶媒によりカラム処理を行ない、濃縮によりエチニル化物を得た。
保護基の脱離
これにメタノール100g、トルエン50gを加え溶解し、さらに炭酸カリウム(41.5g)を加えて終夜攪拌を行なった。酢酸により中和を行ない、水洗を行なった後、濃縮して架橋剤B2を得た。
【0039】
製造例5
架橋剤B3の合成
(テトラブロモ体の合成)
500mL4つ口フラスコに2,4-ジブロモフェノール(25.2g)、ジフルオロベンゾフェノン(10.9g)、炭酸カリウム(20.7g)、ジメチルスルホキシド(150g)、トルエン(80g)を仕込み、窒素気流下で150℃/6hr加熱攪拌を行なった。反応マスにトルエンを加え水洗を行ない、溶媒留去によりテトラブロモ体を得た。
(フェニルエチニル化)
500mL4つ口フラスコに、上記テトラブロモ体(17.0g)、トリエチルアミン200g、Cu(I)I(0.6g)を仕込み、アルゴン気流下で1hr放置した。Pd(0)(TPP)4(1.7g)、エチニルベンゼン(12.4g)を仕込み、80℃/6hr保温攪拌を行なった後、室温/終夜攪拌を行なった。ろ過を行ない、溶媒などを留去後、トルエン溶媒によりカラム処理を行ない、濃縮により架橋剤B3を得た。
【0040】
製造例6
架橋剤B4の合成
(ヨウ素化反応)
合成例B1と同様の操作により、トリフェニルメタンのヨウ素化物を得た。
(フェニルエチニル化)
500mL4つ口フラスコに上記のヨウ素化物、トリエチルアミン(250g)およびCu(I)I(0.8g)を仕込み、アルゴン気流下で1hr放置した。Pd(0)(TPP)4(2.4g)、エチニルベンゼン(15.7g)を仕込み、80℃/6hr保温攪拌を行なった後、室温/終夜攪拌を行なった。ろ過を行ない、溶媒などを留去後、トルエン溶媒によりカラム処理を行ない、濃縮により架橋剤B4を得た。
【0041】
成分Cの説明
C1 カチオン重合法により重合して得られたポリα−メチルスチレン(重量平均分子量4600)
C2 ラジカル重合法より重合して得られたポリスチレン(重量平均分子量4600)
塗布液の調製
塗布液は以下に示したように調製した。
表1に示した重量比のA、B、Cの各成分を適量のアニソールを用いて溶解させることによって、固形分重量を表1に示した値とし、0.1μmPTFEフィルターで濾過し、塗布液を調製した。
【0042】
【表1】
【0043】
硬化膜形成方法
各々の塗布液を用いた硬化膜形成方法は以下の通りである。
調製された各々の塗布液は、4インチシリコンウェハー上に約1ml滴下した後、このウェハーを500rpmで3秒間スピンさせてから、2000rpmの速度で15秒間スピンさせた。コーティングしたウェハーは150℃で1分間焼き付けた。次いで、その焼き付けたウェハーを炉内で、窒素雰囲気中で以下に示すレシピにて焼成し、硬化膜を得た。
焼成レシピ
焼成レシピは以下に示した通りである。
レシピ1:250℃/60分、350℃/10分、400℃/30分
レシピ2:350℃/60分、400℃/30分
レシピ3:300℃/60分、350℃/10分、400℃/30分
レシピ4:400℃に30分
比誘電率の測定
得られた硬化膜の比誘電率は、水銀プローブ法で、動作周波数1MHzのC―V測定(エス・エス・エム社製、SSM495型)を用い測定した。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、高い架橋密度で架橋することが可能で、比誘電率が低い絶縁膜を製造し得る芳香族ポリマー組成物を提供することが可能となる。
Claims (6)
- 下記の(A)および(B)を含有してなり、(A)と(B)との重量比が1:99〜99:1であることを特徴とする芳香族ポリマー組成物。
(A)下記式(1)または(2)で示される繰り返し単位を有し、ポリスチレン換算重量平均分子量が2000以上30000以下である芳香族ポリマー。
(B)C≡C結合を分子内に2個以上有し、分子量が1500以下である架橋剤。
(式中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、または任意の置換基を表わし、R1〜R3のいずれか2つの基が結合して環を形成していてもよく、R4は、水素原子を表わすか、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜14のアリール基、置換基を有していてもよいトリアルキルシリル基、または置換基を有していてもよいヒドロキシアルキル基を表わし、Ar1〜Ar4は、芳香族環を有する2価の基を表わす。) - さらに下記(C)を含有してなる請求項1記載の組成物。
(C)熱分解性化合物であって、該化合物の熱分解開始温度TCが、(A)芳香族ポリマーの熱分解開始温度TA以下である。 - (B)架橋剤の有するC≡C結合の少なくとも1つが、−C≡CHである請求項1または2に記載の組成物。
- (B)架橋剤が、下記式(3)〜(5)のいずれかの構造を有する架橋剤である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
(式中、R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、トリアルキルシリル基、ヒドロキシアルキル基、またはC≡C結合を有する基を表わし、これらのうち少なくとも1つがC≡C結合を有する基であり、R9はC≡C結合を有する基を表わし、R10〜R13は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、トリアルキルシリル基、ヒドロキシアルキル基、またはC≡C結合を有する基を表わし、これらのうち少なくとも1つがC≡C結合を有する基であり、R14〜R16は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、トリアルキルシリル基、ヒドロキシアルキル基、またはC≡C結合を有する基を表わし、R 14 〜R 16 はいずれか2つまたは3つが互いに結合していてもよく、R10〜R16のうち少なくとも2つはC≡C結合を有する基であり、R17はn価の有機基を表わし、Qは、水素原子を表わすか、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、トリアルキルシリル基、またはヒドロキシアルキル基を表わし、複数あるQは互いに異なっていてもよく、nは2以上10以下の整数を表わす。) - (C)熱分解性化合物が、付加重合型高分子である請求項2〜4のいずれかに記載の組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の組成物を用いて得られる絶縁膜。
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