JP4186043B2 - 細胞分化誘導方法および細胞培養物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞培養、組織培養等の分野において利用される未分化細胞の分化誘導方法に関する。特に、未分化な細胞を効率良く分化誘導できる未分化細胞の分化誘導方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ヒトの体内に存在する再生能力を持つ細胞を利用して細胞移植治療を行う再生医療に注目が集まっており、この再生医療により機能不全に陥った生体組織・臓器の機能再生を行なうことが期待されている。
【0003】
再生医療においては、細胞の分化制御を行なうことが必須であり、細胞の分化機構が破綻すると腫瘍性疾患等の原因となることが知られている。このため、再生医療においては、未分化な細胞群を一定の分化方向に効率良く誘導する分化制御を行う技術が求められている。
【0004】
従来行われている単層培養(2次元培養)のような細胞培養方法では、種々の細胞を効率良く一定の分化方向に分化誘導することは困難である。例えば軟骨細胞を単層培養する場合、分化誘導がおきる培養条件において培養を実施しても、一部の細胞は軟骨細胞特有の基質を分泌し形態的にも多角形を示すが、その他の多くの細胞は軟骨細胞としての形質を失った繊維芽細胞様の形態を示すことが知られている。
【0005】
また、容器内のヒト間葉幹細胞に遠心力をかけることによりこの細胞を三次元形態に結合して得られる遠心ペレットに、ある種の軟骨誘導剤又は因子を接触させると、軟骨形成経路に沿って分化することが報告されている(例えば特許文献1参照)。しかし、この方法では、均質な分化機能を有する細胞の集合体を得ることはできない。
【0006】
【特許文献1】
特表2000-516802号公報(第7頁第12〜14行)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、未分化な細胞を効率良く一定の方向に分化誘導することができる細胞分化誘導方法、均一に分化した細胞培養物又は組織体、及び、この細胞培養物又は組織体を生体に移植する方法を提供することを主目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明者は研究を重ね、未分化細胞に、透過性膜を介して遠心力又は圧力をかけることにより透過性膜に密着した細胞凝集体を形成し、この凝集体を培養することにより、未分化細胞群の全体を、効率良く、一定の方向に均一に分化させることができることを見出した。また、凝集体培養環境に細胞分化を誘導する成分を添加することにより、一層効率よく一定方向への分化を誘導できることを見出した。
【0009】
ここで、一定の方向に分化することには、以下の▲1▼〜▲3▼の場合が含まれる。
▲1▼ 未分化細胞では同じ方向に分化する場合でもその速度が異なるために結果として異なる分化機能を有する細胞群が形成されるのに対して、細胞群の全体を同じ速度で分化させることができるため結果として均一な分化機能を有する細胞群が形成される場合。
▲2▼ 未分化細胞では異なる方向に分化しているのに対して同じ方向に分化が進行する場合。
▲3▼ ガン化せずに正常な分化方向に向かう場合。
【0010】
この分化誘導の詳細な機序は完全に明らかではないが、例えば中空糸内に分化ポテンシャルを持つ細胞を高密度に充填し、更に遠心力や圧力を加えることで細胞同士の接触頻度が高まり、その結果として細胞間情報伝達の亢進、細胞位置情報の獲得等の現象が起こり易くなり、細胞が正常に分化する微小環境が整うためであると、本発明者は推察している。
【0011】
本発明は前記知見に基づき完成されたものであり、以下の各項の細胞分化誘導方法及び細胞培養物又は組織体などを提供する。
【0012】
項1. 透過性膜からなる中空糸の内腔に1種または複数種の未分化細胞を入れた状態で、この未分化細胞に遠心力又は圧力をかけることにより細胞の凝集体を形成する工程と;この細胞凝集体を培養することにより未分化細胞を分化誘導する工程とを含む細胞分化誘導方法。
【0013】
項2. 透過性膜からなる中空糸束と中空糸束を覆うシェルとを備える構造物のシェルと中空糸との間隙に1種または複数種の未分化細胞を入れた状態で、この未分化細胞に遠心力又は圧力をかけることにより細胞の凝集体を形成する工程と;この細胞凝集体を培養することにより未分化細胞を分化誘導する工程とを含む細胞分化誘導方法。
【0014】
項3. 内部に透過性膜を備えた容器の透過性膜上に1種または複数種の未分化細胞を載せた状態で、この未分化細胞に遠心力又は圧力をかけることにより細胞の凝集体を形成する工程と;この細胞凝集体を培養することにより未分化細胞を分化誘導する工程とを含む細胞分化誘導方法。
【0015】
項4. 凝集体培養工程において、細胞凝集体を細胞分化誘導成分とともに培養する項1、2又は3に記載の細胞分化誘導方法。
【0016】
項5. 凝集体培養工程において、細胞凝集体を動物生体内に移植した状態で培養する項1、2又は3に記載の細胞分化誘導方法。
【0017】
項6. 凝集体形成工程において、細胞の種類が同一又は互いに異なる複数の細胞凝集体を形成し、凝集体培養工程において、これら複数の細胞凝集体を同一培養系内で共培養する項1から5のいずれかに記載の細胞分化誘導方法。
【0018】
項7. 未分化細胞が、胚性幹細胞、外胚葉幹細胞、中胚葉幹細胞、内胚葉幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、筋幹細胞、膵幹細胞、皮膚幹細胞、網膜幹細胞、毛包幹細胞、骨前駆細胞、脂肪前駆細胞、軟骨細胞、毛母細胞、上皮細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞、ガン細胞、及びこれらの細胞からの分化系譜内の細胞からなる群より選ばれる細胞である項1から6のいずれかに記載の細胞分化誘導方法。
【0019】
項8. 項1から7のいずれかに記載の方法により得られる細胞培養物又は組織体。
【0020】
項9. 項8に記載の細胞培養物又は組織体からなる医用生体材料。
【0021】
項10. 項9に記載の細胞培養物又は組織体を動物生体に移植する細胞培養物又は組織の移植方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)細胞培養方法
本発明の第1の細胞分化誘導方法は、透過性膜からなる中空糸の内腔に1種または複数種の未分化細胞を入れた状態で、この未分化細胞に遠心力又は圧力をかけることにより細胞の凝集体を形成する工程と;この細胞凝集体を培養することにより未分化細胞を分化誘導する工程とを含む方法である。
【0023】
本発明の第2の細胞分化誘導方法は、透過性膜からなる中空糸束と中空糸束を覆うシェルとを備える構造物のシェルと中空糸との間隙に1種または複数種の未分化細胞を入れた状態で、この未分化細胞に遠心力又は圧力をかけることにより細胞の凝集体を形成する工程と;この細胞凝集体を培養することにより未分化細胞を分化誘導する工程とを含む方法である。
【0024】
本発明の第3の細胞分化誘導方法は、内部に透過性膜を備えた容器の透過性膜上に1種または複数種の未分化細胞を載せた状態で、この未分化細胞に遠心力又は圧力をかけることにより細胞の凝集体を形成する工程と;この細胞凝集体を培養することにより未分化細胞を分化誘導する工程とを含む方法である。
【0025】
未分化細胞
本発明方法において、細胞の分化とは、未分化な細胞から特定機能を有する細胞へと変化していく現象をいう。全く分化していない又は分化レベルが極めて低い未分化細胞(例えば幹細胞)から最終的に機能する細胞が作り出される過程、及び、すでに分化し特定機能を有する細胞が外部からの刺激に応じて新しい機能を獲得する過程のいずれもが分化に含まれる。
【0026】
本発明方法の対象となる未分化細胞とは、最終分化に至っていない細胞をいう。未分化細胞としては、特に限定はされないが、例えば胚性幹細胞、外胚葉幹細胞、中胚葉幹細胞、内胚葉幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、筋幹細胞、膵幹細胞、皮膚幹細胞、網膜幹細胞、毛包幹細胞、骨前駆細胞、脂肪前駆細胞、軟骨細胞、毛母細胞、上皮細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞などの細胞及びこれらの細胞の分化系譜内の細胞が挙げられる。
【0027】
また、分化ポテンシャルを持つ点で、ガン細胞も未分化細胞に含まれる。このようなガン細胞として、例えば、MC3T3-E1細胞(骨芽細胞に分化して骨を作る細胞株)、MC3T3-G2/PA6細胞(脂肪細胞に分化)などが挙げられる。このように、分化途中にあって最終分化に至っていない細胞、すなわち外部からの刺激に応じて新たな機能を獲得し得る細胞も未分化細胞に含まれる。
【0028】
また細胞の由来は特に限定されないが、動物、特に哺乳動物に由来するものであることが好ましい。哺乳動物の種類は特に限定されず、本発明の未分化細胞としては、ヒト、マウス、ラット等のいずれの動物由来のものも使用できる。特に、ヒト由来の細胞を用いることが好ましい。
【0029】
未分化細胞は、1種を単独で又は複数種を混合して使用できる。
【0030】
細胞凝集体
本発明において細胞凝集体とは、分散された細胞による自発的な凝集ではなし得ない程度に、細胞同士が高度に接着した状態又は高頻度に接着した状態の細胞群をいう。
【0031】
凝集体形成方法
このような細胞凝集体は、具体的には、1種又は複数種の未分化細胞を例えば適当な液体培地又はバッファーなどに懸濁した状態で、細胞の種類に応じて細胞に傷害を与えない範囲の遠心力又は圧力をかけることにより形成することができる。
【0032】
また、未分化細胞の凝集体を形成する際に、未分化細胞の分化を制御し得る補助的な細胞を混在させた状態で凝集体を形成することができる。このような補助的な細胞は、細胞間の接触によるシグナル伝達や、その細胞が分泌する液性因子等により未分化細胞の分化を制御できると考えられる。
【0033】
遠心力の大きさは、細胞の種類によっても異なるが、概ね2〜2000×G程度、特に4〜500×G程度とすることが好ましい。例えばヒト軟骨細胞の場合には、通常1500×G以下、特に10〜400×G程度の遠心力をかけることが好ましい。遠心時間は、細胞凝集体を形成できる範囲で適宜設定すればよく特に限定されない。遠心力は、例えば市販の遠心機を使用してかけることができる。
【0034】
また、圧力の大きさは、細胞の種類によって異なるが、概ね5〜50kg重/cm2程度、特に5〜35kg重/cm2程度、さらに特に10〜20kg重/cm2程度が好ましい。圧力は、例えば注射器、アスピレーター(水流ポンプ)、電動ポンプなどを用いてかけることができる。圧力は凝集体を形成できる限り陰圧又は陽圧のいずれであってもよい。
【0035】
本発明の第1の方法により中空糸内に細胞凝集体を形成するにあたっては、例えば注射器などを用いてアダプターを介して複数の中空糸内に一度に細胞懸濁液等を注入することができる。また、例えば特開2001-128660号公報に記載されているような円筒形のシェル内に毛細血管に見立てた多数の中空糸を微小間隔で規則的に配置した細胞培養用モジュールを用い、モジュールの注入口から複数中空糸内に一度に細胞懸濁液等を注入することもできる。
【0036】
また、本発明の第2の方法により中空糸間に細胞凝集体を形成するにあたっては、例えば特開2001-128660号公報に記載されているような円筒形のシェル内に毛細血管に見立てた多数の中空糸を微小間隔で規則的に配置した細胞培養用モジュールを採用でき、この細胞培養用モジュールの注入口から細胞懸濁液等を注入することができる。
【0037】
また、本発明の第3の方法により透過性膜上に細胞凝集体を形成するにあたっては、内部に透過性膜を備えた容器のその透過性膜上に、未分化細胞の懸濁液等を載せた状態で細胞に遠心力又は圧力をかけることによりこの透過性膜上に細胞凝集体を形成することができる。このような容器としては、底面の一部又は全部が透過性膜で構成された容器、底面の他に側面の全部又は一部も透過性膜で構成された容器、複数ウェルを有し各ウェルの底面の一部又は全部が透過性膜で構成された容器、複数ウェルを有し各ウェルの底面の他に側面の全部又は一部も透過性膜で構成された容器等を採用できる。具体的には、例えば、複数ウェルを有し各ウェルの底面が透過性膜で構成されたいわゆるカルチャーインサートを採用できる。このようなカルチャーインサートは、例えばメンブレンカルチャーインサート(イワキガラス株式会社製)等の商品名で、6ウェル、12ウェル、24ウェルなどの複数ウェルを有するものが市販されている。
【0038】
透過性膜
透過性膜は、細胞は通過させないが水、塩類、蛋白質などの培養液成分は通過させる通孔を多数有する膜であり、通常0.1〜5μm程度、特に0.2〜3μm程度の通孔を有するものであることが好ましい。透過性膜の厚さは、膜の適度の強度及び良好な物質透過性が保たれる範囲であればよく、特に限定されないが、通常10〜200μm程度、特に20〜100μm程度のものが好適に採用される。
【0039】
透過性膜の材料は、細胞毒性を有さず、滅菌、洗浄、培養液との接触などにより変質、分解しない材料であればよく、特に限定されない。例えばセルロース系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂等からなる透過性膜を利用できる。この他、生分解性樹脂からなる透過性膜を採用することもでき、この場合は、凝集体形成後にその透過性膜ごと生体に移植することができる。
【0040】
透過性膜からなる中空糸を採用する場合は、中空糸の大きさは、特に限定されないが、内部の細胞に効率よく栄養分を供給するためには、内径が通常20〜1000μm程度、特に50〜500μm程度、さらに特に100〜300μm程度であることが好ましい。前記範囲であれば、中空糸中心部の細胞の物質交換を十分に行えるとともに、実用上十分な数の細胞を入れることができる。中空糸の長さは、特に限定されないが、例えば0.5〜20cm程度、特に1〜10cm程度とすることができる。
【0041】
細胞凝集体の培養
< in vitro >
得られた細胞凝集体を培養するにあたっては、細胞培養用培地中で培養することができる。細胞培養用培地は、特に限定されず、例えばダルベッコの改変イーグル培地、ウィリアムズE培地、ハムのF−10培地、F−12培地、RPMI−1640培地、MCDB153培地、199培地など従来より細胞培養用基礎培地として知られている培地を使用できる。培地成分を適宜調整することにより、未分化細胞を所望する細胞に分化させることができる。
【0042】
また、培地には分化誘導成分を添加することができ、これにより一層効率よく、未分化細胞を所望の分化細胞に誘導することができるようになる。分化誘導成分としては、未分化細胞の種類及び目的とする分化細胞の種類に応じて、従来公知の分化誘導成分を加えることができる。
【0043】
このような成分として、例えば造血幹細胞に対する分化誘導成分であるインターロイキン(IL)、幹細胞増殖因子(SCF)、エリスロポイエチン(EPO)、インターフェロン(IFN)、トロンボポイエチン(TPO)、腫瘍壊死因子(TNF)、コロニー刺激因子(CSF)等が挙げられる。また、間葉系幹細胞から骨への分化誘導因子としては、デキサメタゾン、β-リン酸グリセロール、アスコルビン酸等が挙げられる。間葉系幹細胞から軟骨細胞への分化誘導因子としてはTGF−β(transforming growth factor-β)が好ましい。また、間葉系幹細胞から脂肪細胞への分化誘導成分としてはデキサメタゾン、ホスホジエステラーゼ阻害剤 の1−メチル−3−イソブチルキサンチン(1−methyl−3−isobutylxanthine)、インスリン、インドメタシン等が挙げられる。
【0044】
培養温度は、未分化細胞及び目的とする分化細胞の種類によって適した温度とすればよい。培養時間は、未分化細胞及び目的とする分化細胞の種類によって異なるが、24時間〜6ヶ月程度とすればよい。
【0045】
例えば、間葉系幹細胞細胞を軟骨細胞に分化させようとする場合には、培地としてダルベッコの改変イーグル培地を含有する液体培地を用い、分化誘導成分としてTGF-β、インスリン、トランスフェリン及びデキサメタゾン等を適量添加して37℃程度で2〜4週間程度培養すればよい。
【0046】
また、間葉系幹細胞を脂肪前駆細胞に分化させようとする場合には、培地としてダルベッコの改変イーグル培地を含有する液体培地を用い、分化誘導成分としてデキサメタゾン、インシュリン及びインドメタシン等を適量添加して培養すればよい。また、間葉系幹細胞を骨格筋細胞に分化させようとする場合には、培地としてダルベッコの改変イーグル培地を含有する液体培地を用い、分化誘導成分として5−アザシチジン等を適量添加して培養すればよい。
【0047】
また、未分化細胞が分化して細胞Aを経て細胞Bになる場合には、細胞Aにまで分化した後に分化誘導成分を含まない培地に変換することにより、細胞群全体を細胞Aの状態にすることができる。
【0048】
中空糸内に凝集体を形成した場合は、中空糸ごと液体培地に浸漬して培養すればよい。また、シェル内に中空糸束を備えた構造物の中空糸内に凝集体を形成した場合は、シェル内の中空糸間隙に細胞培養用液体培地を環流することにより培養することもできる。また、このような構造物の中空糸束間に凝集体を形成した場合は、中空糸内を細胞培養用液体培地を環流することにより、培養すればよい。
【0049】
中空糸を利用する場合は、透過性膜からなる中空糸を介して細胞に効率よく分化に必要な成分、その他の栄養分及び酸素などを供給できるとともに、効率よく老廃物を排出することができる。
【0050】
また、例えばカルチャーインサートのような透過性膜上に細胞凝集体を形成した場合は、例えばカルチャーインサートをウェルどうしが適合するマルチウェルプレートに装着し、ウェル内に細胞培養用培地を入れた状態で培養することができる。
< in situ ・ in vivo >
また、細胞凝集体を動物生体内に移植した状態で培養することによっても未分化細胞の凝集体を分化誘導することができる。この場合は、例えば、内部に細胞凝集体が形成された中空糸をマウス、ラットなどの動物の腹腔内や肝臓等の組織の被膜内に移植し、24時間程度以上この動物を飼育すればよい。これにより、未分化細胞凝集体を分化細胞に誘導できる。
【0051】
細胞凝集体を特定組織の近辺に移植することにより、その近辺にある(組織)細胞が放出する分化因子や、凝集体が接する細胞から受け取るシグナルにより、その特定組織の細胞へと分化誘導できる。例えば、未分化な神経細胞の凝集体を脊髄内に移植する場合には神経繊維が形成される。
【0052】
この他、細胞凝集体を生体内(in vivo)に移植することによりin vitroでは再現できないような分化環境が得られる。この場合は必ずしも、分化により得ようとする組織と同じ組織の近辺に凝集体を移植しなくてもよい。たとえば、軟骨に分化するポテンシャルをもつ未分化細胞を筋肉組織の付近に移植することにより軟骨に分化する。
<共培養>
いずれの培養方法を採用する場合も、同一培養系内で細胞凝集体を別の細胞とともに培養することができる。例えば細胞Aを分化させようとする場合に、細胞Aの凝集体とその分化を誘導する因子を放出する細胞Bとを同じ培養容器内で培養することにより、細胞Aの分化が促進され得る。この場合、細胞Bは、例えば中空糸内に充填されていてもよく、又は、透過性膜を介さずに容器内で培養してもよい。細胞Bを透過性膜を介さずに培養する場合は、例えば容器底面に単層培養すればよい。細胞Bは細胞凝集体を形成していてもよい。
(2)細胞培養物又は組織体
前述した本発明の細胞培養方法により、一定方向に均一に分化した細胞群である細胞培養物又は組織体が得られる。
【0053】
この細胞培養物又は組織体は、医用生体材料として利用できる。特に、失われた組織、臓器などを代替する材料として好適に利用できる。具体的には、例えば人工肝臓、人工膵臓、人工腎臓、人工心臓のような人工臓器;人工消化管;人工血管;人工皮膚、人工神経;人工骨;人工軟骨;人工内耳;人工水晶体;人工角膜、人工脂肪などとして利用できる。
【0054】
例えば内部に多数の中空糸束を備えた細胞培養用モジュールの中空糸内で肝幹細胞の凝集体を培養することより肝細胞群を得た場合は、肝細胞群が充填されたモジュールをそのまま人工肝臓として用いることができる。このモジュールは、例えば血液の体外循環系に組み入れることによって体外人工肝臓として利用できる。
(3)移植方法
本発明の移植方法は、上記説明した本発明の細胞培養物又は組織体を動物生体に移植する方法である。例えば透過性膜からなる中空糸内に未分化細胞を遠心力を利用して充填して凝集体とし、この細胞凝集体が充填された中空糸を動物生体内に移植すればよい。例えば中空糸内に形成した脂肪前駆細胞の凝集体を、中空糸ごと腹腔内に移植することにより効率良く脂肪細胞に分化させることができる。あるいは、生分解性をもつ透過性膜からなる中空糸内に充填して凝集体とした神経幹細胞を、中空糸ごと脊髄内に移植することにより神経繊維の形成を期待することができる。この方法は脊髄損傷の有功な治療法となると考えられる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例及び試験例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0056】
実施例1
フラスコにて培養した初代ヒト軟骨細胞をトリプシン消化し、7.5×106個/mlの細胞分散液を調製した。これをセルローストリアセテート製の血漿分離用中空糸(東洋紡績社製AP250N15タイプ;内径285μm、外径387μm)内腔に注入した後、60×Gの遠心力を90秒間加えることにより、中空糸内腔に細胞凝集体を形成させた。
【0057】
軟骨細胞の凝集体が封入された状態の長さ3cmの中空糸6本を作成し、直径35mmの培養ディッシュ(ファルコン製)に入れ、Dulbecco's modified eagle medium(DMEM;ギブコ製)に、ウシ胎児血清5%、インシュリン(シグマ製)、TGF−β、トランスフェリン、ペニシリンGカリウム(ナカライテスク製)、ストレプトマイシン硫酸塩(ナカライテスク製)、炭酸水素ナトリウム(ナカライテスク製)を添加した分化誘導培地にて、5%炭酸ガス、95%大気の雰囲気下、振盪器上で37℃で1ヶ月間の振盪培養を行い分化誘導を行なった。
【0058】
中空糸内の細胞を経日的にホルマリン固定およびパラフィン包埋し、薄切片を作製しトルイジンブルー染色を実施することにより細胞の分化の様子を調べた。
【0059】
比較例1
実施例1において調製したヒト軟骨細胞の分散液を分化誘導培地にて0.2×106個/mlになるよう希釈し、培養面積が25cm2のフラスコ(ファルコン社製)に播種し、実施例1で用いたのと同様の分化誘導培地5mlを入れ実施例1と同じ環境下にて単層培養を行った。経日的に細胞をメタノール固定し、トルイジンブルー染色を行ない顕微鏡で観察した。
【0060】
実施例1及び比較例1により観察された細胞のトルイジンブルー染色像をそれぞれ図1及び図2に示す。図1及び図2において、(A)は培養開始1週間目の様子を示し、(B)は培養開始2週間目の様子を示し、培養開始4週間目の様子を示す。
【0061】
図1から明らかなように、実施例1により得られた中空糸内の軟骨細胞培養物は分化誘導培養開始後1週間目(A)には軟骨基質形成を示すトルイジンブルーによる異染性が認められないが、培養開始後2週間目(B)より細胞に異染性が認められるようになり、培養開始後4週間目(C)には細胞組織体全体にわたり異染性が顕著に認められた。培養開始4週間目には、組織体は均質な分化機能をもった細胞群から形成されていると考えられる。
【0062】
実施例1では、最終分化していない即ち分化ポテンシャルを有する軟骨細胞が、本発明の分化誘導法により最終分化形態である軟骨組織形成へと近づいた。
【0063】
これに対し比較例1の単層培養により得られた軟骨細胞培養物は、実施例1と同様に培養開始後1週間目(A)にはトルイジンブルーによる異染性を示していないが、培養開始後2週間目(B)より細胞に異染性が認められるようになり、培養開始後4週間目(C)には異染性を示す細胞が認められた。しかし、培養開始後4週間目においても、異染性を示す細胞は細胞密度の高い部分に限定されており、培養された細胞全体が分化誘導されることはなかった。
実施例2
フラスコにて培養した初代ヒト前駆脂肪細胞をトリプシン消化し、7.5×106個/mlの細胞分散液を調製した。これをセルローストリアセテート製の血漿分離用中空糸(東洋紡績社製AP250N15タイプ;内径285μm、外径387μm)内腔に注入した後、60×Gの遠心力を90秒間加えることにより、中空糸内腔に細胞凝集体を形成させた。
【0064】
ヒト前駆脂肪細胞の凝集体が封入された状態の長さ3cmの中空糸6本を作成し、直径35mmの培養ディッシュ(ファルコン製)に入れ、Dulbecco's modified eagle medium(DMEM)に、ウシ胎児血清2%、インシュリン、トランスフェリン、トリヨードサイロニン、上皮成長因子、デキサメタゾン、インドメタシン、ペニシリンGカリウム、ストレプトマイシン硫酸塩、炭酸水素ナトリウムを添加した分化誘導培地にて、5%炭酸ガス、95%大気の雰囲気下、振盪器上で37℃で振盪培養を行い分化誘導を行なった。2週間培養後、中空糸をPBS(phosphate buffer-saline)で洗浄し、中性脂肪測定用診断薬にて細胞内に蓄積した中性脂肪量を測定した。
【0065】
比較例2
実施例2において調製したヒト前駆脂肪細胞の分散液を分化誘導培地にて0.2×106個/mlになるよう希釈し、直径35mmの培養ディッシュに播種し、実施例2で用いたのと同様の分化誘導培地5mlを入れ実施例1と同じ環境下にて単層培養を行った。2週間培養後、細胞をPBSで洗浄し、中性脂肪測定用診断薬にて細胞内に蓄積した中性脂肪量を測定した。
【0066】
実施例2及び比較例2における細胞内の中性脂肪蓄積量を図3に示す。図3から明らかなように、実施例2においては、細胞内に蓄積された中性脂肪量は比較例2のそれに比べ、著しく多いものであった。このことから、本発明の分化誘導法により前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化が効率よく行われたことが示唆された。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、未分化な細胞を効率良く一定の方向に分化誘導することができる細胞分化誘導方法、均一に分化した細胞培養物又は組織体、及び、この細胞培養物又は組織体を生体に移植する方法を提供することができる。
【0068】
従来の単層培養法により未分化細胞を培養する場合は、細胞群の全体を一定の方向に分化誘導することが困難で、すなわち一部の細胞が分化して一部の細胞が未分化のまま残ったり、互いに異なる機能を備える複数種の細胞の混合物となったり、細胞が正常に分化しなかったりする。この点、本発明方法では、未分化細胞に遠心力又は圧力をかけることにより透過性膜上に細胞の凝集体を形成し、この凝集体を培養することにより、未分化細胞群の全体を、効率良く、一定の方向に均一に分化させることができる。
【0069】
さらに、凝集体培養環境に細胞分化を誘導する成分を添加することにより、一層効率よく一定方向への分化を誘導できる。
【0070】
また、本発明方法により、均質な分化機能を持った3次元構造の細胞組織体が簡便に効率良く得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分化誘導方法の1実施例において分化誘導することにより得られた軟骨細胞培養物のトルイジンブルー染色像である。
【図2】従来の単層培養法で分化誘導することにより得られた軟骨細胞培養物のトルイジンブルー染色像である。
【図3】実施例2及び比較例2において得られた細胞内蓄積中性脂肪量を示すグラフである。
Claims (7)
- 透過性膜からなる中空糸の内腔に1種または複数種の未分化細胞を入れた状態で、この未分化細胞に遠心力又は圧力をかけることにより細胞の凝集体を形成する工程と;この細胞凝集体を培養することにより未分化細胞を分化誘導する工程とを含む細胞分化誘導方法。
- 透過性膜からなる中空糸束と中空糸束を覆うシェルとを備える構造物のシェルと中空糸との間隙に1種または複数種の未分化細胞を入れた状態で、この未分化細胞に遠心力又は圧力をかけることにより細胞の凝集体を形成する工程と;この細胞凝集体を培養することにより未分化細胞を分化誘導する工程とを含む細胞分化誘導方法。
- 内部に透過性膜を備えた容器の透過性膜上に1種または複数種の未分化細胞を載せた状態で、この未分化細胞に遠心力又は圧力をかけることにより細胞の凝集体を形成する工程と;この細胞凝集体を培養することにより未分化細胞を分化誘導する工程とを含む細胞分化誘導方法。
- 凝集体培養工程において、細胞凝集体を細胞分化誘導成分とともに培養する請求項1、2又は3に記載の細胞分化誘導方法。
- 凝集体培養工程において、細胞凝集体を動物生体内に移植した状態で培養する請求項1、2又は3に記載の細胞分化誘導方法(ただし、ヒトを除く)。
- 凝集体形成工程において、細胞の種類が同一又は互いに異なる複数の細胞凝集体を形成し、凝集体培養工程において、これら複数の細胞凝集体を同一培養系内で共培養する請求項1から5のいずれかに記載の細胞分化誘導方法。
- 未分化細胞が、胚性幹細胞、外胚葉幹細胞、中胚葉幹細胞、内胚葉幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、筋幹細胞、膵幹細胞、皮膚幹細胞、網膜幹細胞、毛包幹細胞、骨前駆細胞、脂肪前駆細胞、軟骨細胞、毛母細胞、上皮細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞、ガン細胞、及びこれらの細胞からの分化系譜内の細胞からなる群より選ばれる細胞である請求項1から6のいずれかに記載の細胞分化誘導方法。
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