JP4183516B2 - 直動ダンパ - Google Patents

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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16FSPRINGS; SHOCK-ABSORBERS; MEANS FOR DAMPING VIBRATION
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    • F16F7/08Vibration-dampers; Shock-absorbers with friction surfaces rectilinearly movable along each other

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、流体を用いることなく効果的なダンピング力を発揮する直動ダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】
軸方向の移動に対してダンピング効果を発揮する直動ダンパとして、図57に示したものが従来から知られている。
この従来の直動ダンパは、円筒形のケーシング1と、このケーシング1内を摺動するピストン2と、ピストン2に接続するロッド3とを備えている。上記ケーシング1は、その一端1aを開口し、他端1bを閉塞している。上記開口した一端1aにはキャップ4を被せ、この開口を閉じている。
上記密閉されたケーシング1内は、ピストン2によって、一方の室5aと他方の室5bとに分割され、この室5aおよび5bには粘性流体を入れている。
【0003】
さらに、上記ケーシング1の内周面には、溝6を形成している。このように溝6を形成することによって、このケーシング1とピストン2との摺動面に、粘性流体が通る流通路が形成される。
また、上記キャップ4にはロッド3を支持するロッド孔4aを設け、ロッド3をケーシング1の外側に突出させて支持している。
そして、外力によってこのロッド3がスプリング7のバネ力に抗して押されると、上記ピストン2がケーシング1内を下降する。また、この押す力が開放されると、ピストン2はスプリング7のバネ力でケーシング1内を上昇する。
【0004】
上記のようにピストン2が下降することによって、溝6を介して一方の室5aから他方の室5bへと粘性流体が移動するが、このときの粘性流体の抵抗によってダンピング効果を発揮するようにしている。
なお、上記他方の室5bにはアキュムレータ8を備えている。このアキュムレータ8は、ロッド3の体積分に相当する流体を吸収するためのものである。
【0005】
上記のような従来例では、ケーシング1内に粘性流体を入れているので、この流体が漏れないように、ロッド3とロッド孔4aとの間を図示しないシール部材でシールしなければならない。
また、上記ロッド3は、その一端をピストン2に固定された状態で、ロッド孔4a内を摺動する。したがって、このロッド3がロッド孔4aをスムーズに摺動するように、それらの寸法精度を性格に定めなければならない。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−277839号公報(第2頁、図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の直動ダンパは、オイルダンパとしてケーシング1内に粘性流体を入れ、この粘性流体の流動抵抗によってダンピング効果を得るようにしていたので、どうしてもオイルを必要とする。このようにオイルを必要とするということは、流体漏れを防止するためのシール部材が必要になる。しかし、どんなにシールを密にしても、ロッドに付着したオイルなどが必ず外部に漏れてしまう。そのためにオイル漏れを完全にゼロにすることは、現実にはほとんど不可能に近い。このようなオイルダンパの特性から、食品など、オイルが付着するのを絶対に避けなければならない使用条件下では使えないという問題があった。
【0008】
また、オイル漏れをゼロにすることは現実に不可能に近いが、限りなくゼロに近づけるためには、シール構造の精度を上げなければならない。しかし、シール構造の精度を上げれば上げるほど、その分、コストアップになってしまうという問題があった。
もし、シールの精度を上げずにシール機能を満足させようとすれば、当該シールの締め付け力を大きくしなければならない。しかし、シールの締め付け力を大きくすればするほど、そのフリクションが大きくなるので、今度は、ロッドの摺動性を損ない、ダンパ効果にも悪影響を及ぼしてしまう。
【0009】
しかも、シール部材を備えるためには、シール溝を形成してこれを保持するようにしなければならないが、シール溝を形成すること自体、手間がかかり、それもコストアップの要因になってしまう。
【0010】
さらに、ロッド3は、オイル漏れを防止したり、摺動抵抗を最小限に抑えたりするために、その表面の加工精度を高く保たなければならない。このように加工精度を高くしようとすれば、当然のこととして、その分、コストが高くなってしまう。しかも、金属の加工は樹脂などの加工に比べると、時間や手間がかるので、高精度の加工が要求されればされるほど、一層のコストアップになってしまうという問題があった。
いずれにしても、従来のオイルダンパでは、その用途が限定されるだけでなく、その製造コストが大幅にアップしてしまうという問題を避けて通れなかった。
【0011】
一方、上記のようなオイルダンパの欠点、すなわちオイル漏れを補うものとして、シリンダ内にガスを封入したエアーダンパが従来から知られている。しかし、このエアーダンパも、ガスが漏れてしまえば、ダンパ効果はほとんど期待できなくなる。ところが、粒子が極端に小さいガスなどの漏れを完全に防止することは、オイル漏れを阻止するよりもさらに難しくなる。
そのために、このエアーダンパは、構造的に全く問題がなくても、ガスが漏れてしまったために、機能的には使い物にならなくなってしまうという問題があった。
しかも、エアーダンパは、ガスなどの圧縮性が大きいなどの理由から、オイルダンパよりも応答性に劣るといった特性を持っている。
【0012】
つまり、オイルダンパは、寿命もある程度長く保てるし、大きなダンピング力を期待できるが、オイル漏れが許されない用途には使えないという問題を抱え、エアーダンパは、オイル漏れはないが、寿命が短く、しかも、応答性にも多少の問題があるというのが現状である。
この発明の目的は、オイルやガスを必要とせず、しかも、期待したダンピング力も得られるというように、オイルダンパやエアーダンパの欠点を補い、しかも、それらの長所をそのまま生かせる直動ダンパを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、ケーシング内にそれと相対移動する摺動体を組み込むとともに、これらケーシングあるいは摺動体の何れか一方に制動溝を設け、何れか他方にこの制動溝に摺動自在にはまる制動部を設ける。上記制動溝は、その側面の対向間隔を深さ方向あるいは開口方向に徐々に狭くするテーパー面を形成するとともに、制動部にもこのテーパー面に対向するテーパー面を形成する一方、上記摺動体には、制動溝あるいは制動部以外に作用部を設ける。そして、この作用部に力が作用して摺動体が軸方向に移動したとき、その制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける押し付け力を発揮し、この押し付け力によって上記制動部が上記制動溝のテーパー面間に食い込む構成にしたことを特徴とする。
なお、上記テーパー面とは、制動溝の両側面が傾斜しているものだけでなく、何れか一方の側面だけが傾斜しているものも含む。要するに、制動溝の側面の対向間隔を深さ方向あるいは開口方向に徐々に狭くするものであればよい。
【0014】
第2の発明の摺動体は、作用部を設けた第1移動体と、制動溝あるいは制動部を設けた第2移動体とを別体に設けるとともに、上記第1移動体の軸方向の移動にともなって第2移動体を移動させ、制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける押し付け力を発揮する点に特徴を有する。
【0015】
第3の発明の第2移動体は、制動溝の深さ方向にがたつき可能に設け、変換構造は、第1移動体と第2移動体との何れか一方に傾斜面を備え、何れか他方にこの傾斜面に当接する当接部を備え、上記傾斜面を介して第1移動体の移動力を上記第2移動体に作用させる構造にしてなり、上記第1移動体の移動力が第2移動体に作用したとき、この第2移動体が制動溝の深さ方向に移動して、制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける点に特徴を有する。
なお、第3の発明における当接部は、その当接面を傾斜させていてもよいものである。
【0016】
第4の発明は、変換構造と、制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける押し付け力を解放する解放構造とを備え、この解放構造は、第1移動体と第2移動体との少なくとも何れか一方に傾斜面を備え、何れか他方にこの傾斜面に当接する当接部を備えてなり、この解放構造の傾斜面の傾斜方向は、変換構造の傾斜面の傾斜方向と同方向にした点に特徴を有する。
なお、上記変換構造の傾斜面と解放構造の傾斜面とは、それら面が平行になるようにしてもよいし、平行にならないようにしてもよいこと当然である。上記各傾斜面の傾斜角度によって、押し付け力や押し付け力の解放速度などを調整することができ、必ずしも、上記各傾斜面を平行にする必要はない。
また、上記当接部は、その当接面を傾斜させていてもよいものである。
【0017】
第5の発明の変換構造は、第1移動体が軸方向の何れか一方に移動したとき、第2移動体が制動溝の深さ方向に移動して、制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける押し付け力を発揮し、解放構造は、第1移動体が軸方向の何れか他方に移動したとき、制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける押し付け力を解放するとともに、上記第1移動体に上記押し付け力を解放する方向にバネ力を作用させるスプリングを設けた点に特徴を有する。
【0018】
第6の発明は、第1移動体の周囲に第2移動体を複数配置し、第1移動体あるいは第2移動体の何れか一方に傾斜面を設け、何れか他方にこの傾斜面に当接する当接部を設け、上記第2移動体の傾斜面あるいは当接部と、第1移動体の傾斜面あるいは当接部とを対向させてなる点に特徴を有する。
【0019】
第7の発明の摺動体は、作用部と制動部あるいは制動溝とを一体的に形成する一方作用部の軸線と、制動部あるいは制動溝の軸線とを偏心させてなる点に特徴を有する。
なお、上記作用部と制動部あるいは制動溝とは、実質的に一体であればよく、厳密に一体的に形成されることを意味するものではない。すなわち、上記作用部と制動部あるいは制動溝とが一体的に移動可能であれば、厳密な意味での一体でなくても構わない。
【0020】
第8の発明は、ケーシングに制動溝であるアリ溝を設け、摺動体にはこのアリ溝に対して摺動自在にはまる制動部を設けた点に特徴を有する。
第9の発明は、摺動体の作用部に軸部を設けるとともに、ケーシングにはこの軸部が貫通する軸穴を設ける一方、上記軸部が制動部とは反対方向に移動可能にするすき間を保持した点に特徴を有する。
【0021】
第10の発明の変換構造は、摺動体が軸方向の何れか一方に移動したとき、制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける押し付け力を発揮するとともに、上記制動部に対して、制動部をノーマル位置に復帰させる方向バネ力を作用させるスプリングを設けた点に特徴を有する。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1〜6はこの発明の第1実施形態を示したものである。
図示したように、一端を閉塞した筒状のケーシング本体10は、その他端側である開口部にキャップ11をかぶせているが、これらケーシング本体10とキャップ11とによって、この発明のケーシングを構成している。
上記のようにケーシングを構成するキャップ11には、その両側面に一対の引っ掛け片11aを設け、この引っ掛け片11aの先端に爪部11bを形成している。
【0023】
また、ケーシング本体10の開口部の両側には、キャップ11をケーシング本体10にかぶせたとき、上記引っ掛け片11aが、ぴったりとはまる一対の溝12を形成している。そして、この溝12には掛け止め凹部13を形成し、上記のように引っ掛け片11aを溝12にぴったりとはめたとき、掛け止め凹部13に爪部11bがはまる構成にしている。このように引っ掛け片11aの爪部11bを、掛け止め凹部13にはめることによって、キャップ11がケーシング本体10の開口部から外れないようにしている。
【0024】
上記のようにしたケーシング本体10内には、図1からも明らかなように、その軸線方向に筒部14と制動溝15とを備えているが、これら筒部14と制動溝15とは、その軸線を平行にして、筒部14に対して制動溝15の軸線を偏心させている。また、これら筒部14および制動溝15は、その上下方向において互いに連続させている。
【0025】
上記のようにした筒部14は、制動溝15との対向面である底部の内面形状を円弧にしている。また、制動溝15は、筒部14との対向面である天井面16を平坦にするとともに、この制動溝15の両側面をテーパー面17,17とするとともに、これらテーパー面17,17は、筒部14側すなわち制動溝15の開口側に向かってそれらの対向間隔が徐々に広くなるようにしている。言い換えると、制動溝15は、その天井面16に向かって溝幅が徐々に狭くなるようにして、その断面形状を台形にしている。
【0026】
このようにしたケーシング本体10内には摺動体18を摺動可能に組み込むが、この摺動体18は、第1移動体19と第2移動体20とからなる。
上記第1移動体19は、連結部19aと力が作用する作用部19bとを備えているが、これら連結部19aと作用部19bとは、一体的な一本の軸からなり、当然のこととしてそれらの軸線を同じくしている。そして、上記作用部19bは、この第1移動体19をケーシング本体10に組み込んだとき、図3、4に示すように、キャップ11に形成した軸孔21からその外方に突出するようにしている。
【0027】
また、図1に示すように、上記連結部19aには軸線に沿って伸びる板状凸部22を設けるとともに、この板状凸部22の面を平坦な摺動面22aとしている。さらに、この板状凸部22の両側には、一対の突部23,23を設けているが、この突部23,23の頂部23a,23aを、上記摺動面22aよりも上方、すなわち第2移動体20方向に突出させている。さらに、この突部23,23には、上記頂部23a,23aから連続する傾斜面24,24を形成しているが、この傾斜面24,24は連結部19aの端部に向かって徐々に低くなるようにしている。
【0028】
また、第2移動体20には、図6に示すように、摺動面26を備えているが、この摺動面26はその幅を上記第1移動体19の摺動面22aと同じにしている。そして、この摺動面26の両側に一対のガイド部27,27を突出させている。この一対のガイド部27,27の対向間隔は、第1移動体19の板状凸部22の幅とほぼ一致させている。言い換えると、図2に示すように、摺動面22a,26をぴったり一致させて第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、上記板状凸部22がガイド部27,27間に摺動自在にはめ込まれるようにしている。したがって、両移動体19,20の相対移動時に、それらの位置関係がずれたりしない。言い換えると、両移動体19,20の相対移動時に、両者の軸線が摺動面22aおよび摺動面26の幅方向にずれたりしない。
【0029】
また、上記ガイド部27,27のそれぞれには、上記のように第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、第1移動体19に形成した傾斜面24,24に対向する傾斜面28,28を形成し、両傾斜面24,28が正対して接触できる構造にしている。したがって、図2に示すように、第1移動体19に矢印x1方向の力を作用させ、第2移動体20に矢印x2方向の力を作用させると、両移動体19,20の傾斜面24,28には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用し、この垂直方向の分力が、両移動体19,20を分離する方向の力y(図2参照)となる。
【0030】
さらに、上記第2移動体20には、ケーシング本体10に形成したテーパー面17,17に対向するテーパー面29,29と、上記ケーシング本体10に形成した天井面16に対向する対向面30とを備え、この第2移動体20の断面形状を前記制動溝15に対応する台形にしている。ただし、この第2移動体20を制動溝15に組み込んだとき、図5に示すように、上記天井面16と対向面30との間にわずかな間隔31が形成される関係にしている。したがって、この間隔31を形成した状態において、前記した力yが作用すると、この第2移動体20が、制動溝15により強く食い込むことになり、第2移動体20のテーパー面29と、制動溝15のテーパー面17との摩擦力がより大きくなる。このようにしたテーパー面29,29および対向面30とによって、この発明の制動部を構成している。
【0031】
なお、上記第2移動体20には、図3,4に示すように、その軸線に沿ってスプリング受け穴32を形成し、この穴32内にスプリング33を組み込むようにしている。そして、スプリング受け穴32に組み込まれたスプリング33は、その一端をケーシング本体10の底部に形成した凹部34に一致させ、第2移動体20をキャップ11側に押す初期荷重を作用させるものである。
【0032】
一方、上記ケーシング本体10に形成した筒部14の円弧状の底部には、上記第1移動体19の連結部19aおよび作用部19bと曲率を同じくした円弧状の支持部35を設けている。このようにした支持部35には、上記連結部19aおよび作用部19bを載せるが、これによって、ケーシング本体10と第1移動体19との接触面積が少なくなり、その分、両者間の摺動抵抗が小さくなる。
【0033】
上記のようにした第1移動体19および第2移動体20を、ケーシング本体10に組み込むためには、両移動体19,20の摺動面22a,26を一致させるとともに、両移動体19,20の傾斜面24と28とを正対させた状態で、両移動体19,20を組み合わせる(図2参照)。なお、両移動体19,20を上記のように組み合わせることによって、この発明の摺動体18が構成される。
このようにして構成された摺動体18には、その第2移動体20に形成したスプリング受け穴32にスプリング33をあらかじめ組み込んでおく。
【0034】
そして、摺動体18は、その第1移動体19の連結部19aおよび作用部19bをケーシング本体10の筒部14に組み込み、第2移動体20をケーシング本体10の制動溝15に組み込むが、このときスプリング受け穴32に組み込んだスプリング33をたわませる。
上記のようにして摺動体18をケーシング本体10に組み込んだら、ケーシング本体10をキャップ11でふさぐ。このときキャップ11の軸孔21から作用部19bを突出させるとともに、引っ掛け片11a,11aの爪部11b,11bを掛け止め凹部13にはめる。そして、図3に示すノーマル位置において、板状凸部22の端部が、上記キャップ11に当たって、第1移動体19がケーシング本体10から抜け出ないようにしている。
【0035】
前記したように、ケーシング本体10に摺動体18を組み込むと、第2移動体20に組み込んだスプリング33のバネ力は第2移動体20に対して、前記矢印x2方向の力として作用する。そして、この第2移動体20に作用する力は、前記したように第1移動体19にも作用するので、第1移動体19および第2移動体20のそれぞれは、スプリング33のバネ力の作用で、図3,4に示すノーマル位置を保つ。すなわち、このノーマル位置において、第2移動体20が、キャップ11に接するとともに、作用部19bがキャップ11に形成した軸孔21から外方に突出する。
【0036】
なお、前記スプリング受け穴32を、第2移動体20側に形成したのは、第1移動体19と第2移動体20の両方をノーマル状態に戻すようにするためである。もし、上記スプリング受け穴32を第1移動体19に形成し、スプリングのバネ力がこの第1移動体19に作用するようにしたら、このバネ力によって第1移動体19はノーマル状態に復帰できるが、第2移動体20は移動位置に残されたままになってしまうからである。
【0037】
また、上記のようにケーシング本体10に摺動体18を組み込むだとき、これらケーシング本体10と摺動体18の各構成要素との相対関係は次の通りである。
すなわち、摺動体18を上記のようにしてケーシング本体10に組み込んだときには、図3に示す位置関係において、第2移動体20が、傾斜面28を、第1移動体19に形成した傾斜面24に接触させるとともに、上記第2移動体20のテーパー面29,29を、ケーシング本体10に形成したテーパー面17,17に接触させる。
【0038】
そして、上記のように第2移動体20をケーシング本体10の制動溝15に組み込んで、それらのテーパー面29,29および17,17を接触させた状態では、その制動溝15に形成した天井面16と、第2移動体20に形成した対向面30との間には、図3〜5に示すように、間隔31が形成されること前記したとおりである。このように間隔31を形成することによって、第2移動体20が制動溝15の深さ方向に移動が可能になる。
また、筒部14はその底部に支持部35を形成し、その支持部35の曲率を、連結部19aおよび作用部19bの曲率と同じにしているので、連結部19aおよび作用部19bはこの支持部35に支持されながら摺動することになる。
【0039】
次に、この第1実施形態の作用を説明する。
今、図3に示すノーマル位置から、作用部19bに矢印x1方向の力が作用すると、第1移動体19全体が、上記力の方向である矢印x1方向に移動する。第1移動体19が移動すれば、その移動力は、傾斜面24,28を介して第2移動体20にも伝達され、第2移動体20もスプリング33のバネ力に抗して移動する。したがって、第2移動体20には、第1移動体19の移動力である矢印x1方向の力と、スプリング33のバネ力である矢印x2方向の力とが作用する。
【0040】
ただし、この両力矢印x1および矢印x2は、それらの方向が反対なので、傾斜面24と傾斜面28との間では、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。このように第2移動体20に垂直方向の分力が作用すると、第2移動体20はケーシング本体10の制動溝15側に押し付けられる。なぜなら、第1移動体19は支持部35に支持されてそれ以上軸に直交する方向に移動できないからである。
【0041】
上記第2移動体20に上記のように制動溝15側に押し上げる力が作用すれば、特に、第2移動体20はくさびを打ち込むと同様の原理で、第2移動体20のテーパー面29,29を制動溝15のテーパー面17,17に押し込むことになる。このときの押し込み力が、第2移動体20の摺動抵抗になるが、この第2移動体20の摺動抵抗は、第1移動体19に対しても摺動抵抗として作用する。したがって、このときの摺動抵抗が制動力となって、ダンパ効果が発揮される。
【0042】
ただし、このときのダンピング力は、第1移動体19に作用する力の大きさと、その移動速度とによって異なる。すなわち、力が大きく、かつ、移動速度が速ければ、第2移動体20は制動溝15に一気に強く押し付けられるので、短時間で大きな制動力すなわちダンピング力が発揮される。しかし、第1移動体19に作用する力が小さく、しかも、その移動速度が遅ければ、第2移動体20は制動溝15に徐々にゆっくりと押し付けられるので、その制動力すなわちダンピング力はストロークに対応して徐々に大きくなっていく。
【0043】
上記のように力の大きさや移動速度に応じてダンピング力の発揮状況が異なるということは、その用途や使用状況に応じて、常に、適切なダンピング力を得ることができることを意味する。
【0044】
一方、摺動体18がダンパ効果を発揮しながらケーシング本体10内を移動した後に、作用部19bに作用していた力がスプリング33のバネ力よりも小さくなれば、今度は、第2移動体20および第1移動体19は、スプリング33のバネ力で図3、4に示すノーマル位置に復帰する方向に移動する。このとき、傾斜面24と28との間には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用するので、復帰時にも制動力が発揮されることになる。ただし、このときには、摺動体18が、スプリング33のバネ力だけでノーマル位置に復帰するので、そのときの移動力も移動速度もスプリング33のバネ力に依存することになる。したがって、スプリング33のバネ定数などを変えることによって、その復帰スピードを自由に設定することができる。
【0045】
このようにスプリング33のバネ力で、摺動体18の復帰スピードを自由に定めることができるが、このスプリング33のバネ力は、摺動体18の制動力から発揮されるダンピング力にも影響を及ぼすので、摺動体18の復帰スピードを設定するためのスプリング33のバネ力は、求めるダンピング力との相対関係の中で決めるべきものであることは当然である。
【0046】
なお、上記のようにした第1実施形態の直動ダンパを組み立てる際に、ケーシング本体10の内側にグリースを塗って、摺動体18がある程度摺動できるようにしてもよい。例えば、摺動体18を直接ケーシング本体10に組み込んだのでは、そのフリクションが大きすぎて摺動体18が摺動できなくなる場合には、上記のようにグリースを用いて、摺動体18をある程度摺動できるようにするとよい。ただし、グリースを用いるかどうか、あるいはどの程度のグリースを塗るかは、ケーシング本体10と摺動体18との材質や、力の大きさ等に応じて決められるものである。
【0047】
上記した第1実施形態によれば、従来のオイルダンパのような粘性流体を必要としないので、オイルを嫌うような食品を扱う場所でも使用することができる。また、従来、エアーダンパを使用した場合にはガス漏れの可能性があり、オイルダンパを使用した場合にはオイル漏れの可能性があったが、この第1実施形態では、エアーもオイルも使用しないので、これらが漏れることもない。そのために漏れを防止するためのシール部材を必要とせず、その分、コストの低減が可能となる。
【0048】
さらに、シール部材を必要としないので、シールの締め付け力によってダンパ効果が低減するという、ダンパ効果への悪影響も回避することができる。しかも、上記のようにガスやオイルの漏れがないので、この漏れによるダンピング効果の低減という問題も発生しない。
さらに、上記ガスやオイルの漏れ防止のための精密な加工精度も必要ないので、より一層コストを低減することができる。
【0049】
また、この第1実施形態では、制動部を制動溝に押し付けることによって制動力を得ているので、エアーダンパのようにガスの圧縮性が問題にならない。このように圧縮性が問題にならない分、応答性も向上することになる。
つまり、この実施形態の直動ダンパは、オイルやガスを必要としないもので、従来には全くない新規のダンパであり、しかも、期待したダンピング力を確実に得ることができる画期的なものである。
【0050】
なお、上記第1実施形態では、ケーシング本体10に制動溝15を設け、摺動体18側に制動部を設けるようにしているが、ケーシング本体10に制動部を設けて、摺動体18に制動溝を設けるようにしてもよい。このように、ケーシング本体10に制動部を設け、摺動体18に制動溝15を設けるようにしたのが、図7,8に示した第2実施形態である。この第2実施形態は、第2移動体20にV字型の制動溝36を設けたもので、その制動溝36の両側をテーパー面37,37としている。このテーパー面37,37は、制動溝36の開口側に向かってその対向間隔が広くなるようにして、上記したように制動溝36の断面形状をV字型にしている。
【0051】
一方、ケーシング本体10には制動部38を形成しているが、この制動部38は、制動溝36に対応する凸部としている。したがって、この制動部38には、制動溝36のテーパー面37,37に対応するテーパー面39,39を形成している。また、この第2実施形態においても、制動部38の頂と、制動溝36の底部との間に、間隔41を形成するとともに、第2移動体20とケーシング本体10との間に間隔40を形成している。したがって、第2移動体20が制動部側に押し付けられれば、相対的には、凸部からなる制動部38がこの制動溝36内に押し込められることになる。
【0052】
上記以外の構成は、第1実施形態と同様である。なお、第1実施形態と同一要素については、同一符号を用いて説明する。すなわち、摺動体18は、第1移動体19と第2移動体20とからなり、第1移動体19は、連結部19aと作用部19bとを備えている。そして、連結部19aには、板状凸部22を設けるとともに、この板状凸部22の両側に傾斜面24,24を形成した一対の突部23,23を設けている。また、第2移動体20には、摺動面26の両側にガイド部27,27を設けるとともに、このガイド部27,27に傾斜面28,28を形成している。ただし、この第2移動体20に組み込むべきスプリングは、第1実施形態と異なり、制動溝36の両側に形成した2つのスプリング受け穴42,42のそれぞれに一本ずつ、合計2本のスプリング43,43を設けている。
【0053】
また、上記のようにした第1,2移動体19,20の組み合わせ方およびそれのケーシング本体10への組み込み方も第1実施形態と同様である。つまり、連結部19aおよび作用部19bを支持部35に載せるようにして、当該摺動体18をケーシング本体10に組み込むとともに、ケーシング本体10の開口部分をキャップ11でふさぐ。そして、このキャップ11の軸孔21から作用部19bが突出するが、摺動体18がノーマル位置にあるとき、その板状凸部22がキャップに当たって、第1移動体19がケーシング本体10から抜け出ないようにしている。
【0054】
今、第1移動体19に、第1実施形態と同様に矢印x1方向の力が作用すれば、傾斜面24,28に作用する垂直方向の分力によって、第2移動体20が図7の上方に押し付けられ、上記テーパー面37,37とテーパー面39,39との間の摺動抵抗が大きくなる。この第2移動体20の摺動抵抗は、第1移動体19に対しても摺動抵抗として作用する。したがって、このときの摺動抵抗が制動力となって、ダンピング力が発揮される。
【0055】
なお、上記第1実施形態および第2実施形態のいずれの場合にも、制動溝内の両側をテーパー面としているが、そのいずれか一方の面だけをテーパー面としてもよい。言い換えると、制動溝の深さ方向あるいは開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなっていればよく、要は、制動部が制動溝に押し付けられたとき、くさび効果が発揮される構成であればよい。ただし、この場合には、制動部の形状も、その制動溝の形状に対応させる必要がある。
【0056】
さらに、第1,2実施形態において、第1移動体19と第2移動体20との両方に傾斜面24と28とを備え、これら傾斜面24と28とを互いに接触させるようにしているが、何れか一方だけを傾斜面にしておけばよい。いずれか一方だけを傾斜面としたときには、上記一方の傾斜面に接触する他方側は直角であっても、円弧であってもかまわない。つまり、傾斜面に対して、垂直方向の分力が発生する構成であれば、両移動体19,20のいずれか一方に傾斜面を形成すれば足り、いずれか他方は、いずれか一方の傾斜面に当接する機能を有する当接部を構成するだけでよい。ただし、両移動体19,20の両方に傾斜面を形成した方が、それら両移動体19,20が安定して移動できること当然である。
また、この第2実施形態においても、第1実施形態と全く同じ効果を期待できること当然である。
【0057】
図9〜16はこの発明の第3実施形態を示したものである。
図示したように、一端を閉塞した筒状のケーシング本体10は、その他端側である開口部にキャップ11をかぶせているが、これらケーシング本体10とキャップ11とによって、この発明のケーシングを構成している。
上記のようにケーシングを構成するキャップ11には、その両側面に一対の引っ掛け片11aを設け、この引っ掛け片11aの先端に爪部11bを形成している。また、ケーシング本体10の開口部の両側には、キャップ11をケーシング本体10にかぶせたとき、上記引っ掛け片11aが、ぴったりとはまる一対の溝12を形成している。そして、この溝12には掛け止め凹部13を形成し、上記のように引っ掛け片11aを溝12にぴったりとはめたとき、掛け止め凹部13に爪部11bがはまる構成にしている。このように引っ掛け片11aの爪部11bを、掛け止め凹部13にはめることによって、キャップ11がケーシング本体10の開口部から外れないようにしている。
【0058】
上記のようにしたケーシング本体10内には、図9からも明らかなように、その軸線方向に筒部14と制動溝15とを備えているが、これら筒部14と制動溝15とは、その軸線を平行にして、筒部14に対して制動溝15の軸線を偏心させている。また、これら筒部14および制動溝15は、その上下方向において互いに連続させている。
【0059】
上記のようにした筒部14は、制動溝15との対向面である底部の内面形状を円弧にしている。また、制動溝15は、筒部14との対向面である天井面16を平坦にするとともに、この制動溝15の両側面をテーパー面17,17とするとともに、これらテーパー面17,17は、筒部14側すなわち制動溝15の開口側に向かってそれらの対向間隔が徐々に広くなるようにしている。言い換えると、制動溝15は、その天井面16に向かって溝幅が徐々に狭くなるようにして、その断面形状を台形にしている。
【0060】
このようにしたケーシング本体10内には摺動体18を摺動可能に組み込むが、この摺動体18は、第1移動体19と第2移動体20とからなる。
上記第1移動体19は、連結部19aと、力が作用する作用部19bとを備えているが、これら連結部19aと作用部19bとは、一体的な一本の軸からなり、当然のこととしてそれらの軸線を同じくしている。そして、上記作用部19bは、この第1移動体19をケーシング本体10に組み込んだとき、図10,11に示すように、キャップ11に形成した軸孔21からその外方に突出するようにしている。
【0061】
また、図9に示すように、上記連結部19aには軸線に沿って伸びる板状凸部22を設けるとともに、この板状凸部22の面を平坦な摺動面22aとしている。さらに、この板状凸部22の両側には、一対の突部23,23を設けているが、この突部23,23の頂部23a,23aを、上記摺動面22aよりも上方、すなわち第2移動体20方向に突出させている。
【0062】
さらに、この突部23,23には、上記頂部23a,23aから連続する第1傾斜面24,24を形成しているが、この第1傾斜面24,24は連結部19aの端部に向かって徐々に低くなるようにしている。また、この第1傾斜面24,24とは反対側にも、この傾斜面24,24と平行な第2傾斜面44,44を形成している。
【0063】
なお、上記第1移動体19には、その軸線に沿ってスプリング受け穴32を形成し、この穴32内にスプリング33を組み込むようにしている。そして、スプリング受け穴32に組み込まれたスプリング33は、その一端をケーシング本体10の底部に形成した凹部34に一致させ、第1移動体19をキャップ11側に押す初期荷重を作用させるものである。この点は、第1,2実施形態と相違する。
【0064】
一方、第2移動体20には、図12に示すように摺動面26を備えているが、この摺動面26はその幅を上記第1移動体19の摺動面22aと同じにしている。そして、この摺動面26の両側に一対のガイド部27,27を突出させている。この一対のガイド部27,27の対向間隔は、第1移動体19の板状凸部22の幅とほぼ一致させている。言い換えると、図13に示すように、摺動面22a,26をぴったり一致させて第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、上記板状凸部22がガイド部27,27間に摺動自在にはめ込まれるようにしている。したがって、両移動体19,20の相対移動時に、それらの位置関係がずれたりしない。言い換えると、両移動体19,20の相対移動時に、両者の軸線が摺動面22aおよび摺動面26の幅方向にずれたりしない。
【0065】
また、上記ガイド部27,27のそれぞれには、上記のように第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、第1移動体19に形成した第1傾斜面24,24に対向する第3傾斜面28,28を形成し、これら第1,3傾斜面24,28が正対して接触できる構造にしている。さらに、上記ガイド部27,27には、第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、第1移動体19に形成した第2傾斜面44,44に対向する第4傾斜面45,45を形成しているが、この第4傾斜面45,45は、上記第3傾斜面28,28と平行にしている。そして、この第4傾斜面45,45も、第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、第1移動体19の第2傾斜面44と正対して接触できる構造にしている。
【0066】
ただし、上記第1,3傾斜面24,28と第2,4傾斜面44,45とは図14に示すような関係にしている。すなわち、上記第1,3傾斜面24,28が接触しているときには、第2,4傾斜面44,45間に間隔が維持され、上記第2,4傾斜面44,45が接触しているときには、第1,3傾斜面24,28間に間隔が維持される関係にしている。そして、両移動体19,20が図10に示すノーマル位置にあるときには、第2,4傾斜面44,45が接触し、第1,3傾斜面24,28間に間隔が維持される関係にしている。
【0067】
そして、図10に示すように、第1移動体19に矢印x1方向の力を作用させると、両移動体19,20の第1,3傾斜面24,28が接触して、そこには、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用し、その垂直方向の分力が、両移動体19,20を分離する方向の力y(図10参照)となる。したがって、上記第2移動体20が移動すると、上記力yによって、第2移動体20がケーシング本体10に形成した制動溝15側に押し付けられながら摺動する。このときに発生する、第2移動体20とケーシング本体10との摺動抵抗によって矢印x2方向の力が第2移動体に作用することになる。
【0068】
また、図10に示す矢印x1方向の力が開放され、摺動体18がスプリング33のバネ力でノーマル位置に復帰するときには、両移動体19,20の第1,3傾斜面24,28は離れ、第2,4傾斜面44,45が接触する。この接触した第2,4傾斜面44,45には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。ただし、この垂直方向の分力は、両移動体19,20を互いに引き寄せる力、すなわち力y(図10参照)とは反対方向の力となる。
【0069】
さらに、上記第2移動体20には、ケーシング本体10に形成したテーパー面17,17に対向するテーパー面29,29と、上記ケーシング本体10に形成した天井面16に対向する対向面30とを備え、この第2移動体20の断面形状を前記制動溝15に対応する台形にしている。ただし、この第2移動体20を制動溝15に組み込んだとき、図15に示すように、上記天井面16と対向面30との間にわずかな間隔31が形成される関係にしている。したがって、この間隔31を形成した状態において、前記した力yが作用すると、この第2移動体20が、制動溝15により強く食い込むことになり、第2移動体20のテーパー面29と、制動溝15のテーパー面17との摩擦力がより大きくなる。このようにしたテーパー面29,29および対向面30とによって、この発明の制動部を構成している。
【0070】
一方、上記ケーシング本体10に形成した筒部14の円弧状の底部には、上記第1移動体19の連結部19aおよび作用部19bと曲率を同じくした円弧状の支持部35を設けている。このようにした支持部35には、上記連結部19aおよび作用部19bを載せるが、これによって、ケーシング本体10と第1移動体19との接触面積が少なくなり、その分、両者間の摺動抵抗が小さくなる。
【0071】
上記のようにした第1移動体19および第2移動体20を、ケーシング本体10に組み込むためには、両移動体19,20の摺動面22a,26を一致させるとともに、両移動体19,20の第1,3傾斜面24と28および第2,4傾斜面44と45とを正対させた状態で、両移動体19,20を組み合わせる(図13参照)。なお、両移動体19,20を上記のように組み合わせることによって、この発明の摺動体18が構成される。
このようにして構成された摺動体18には、その第1移動体19に形成したスプリング受け穴32にスプリング33をあらかじめ組み込んでおく。
【0072】
そして、摺動体18は、その第1移動体19の連結部19aおよび作用部19bをケーシング本体10の筒部14に組み込み、第2移動体20をケーシング本体10の制動溝15に組み込むが、このときスプリング受け穴32に組み込んだスプリング33をたわませる。
上記のようにして摺動体18をケーシング本体10に組み込んだら、ケーシング本体10をキャップ11でふさぐ。このときキャップ11の軸孔21から作用部19bを突出させるとともに、引っ掛け片11a,11aの爪部11b,11bを掛け止め凹部13にはめる。そして、図10,11に示すように、摺動体18がノーマル位置にあるとき、その板状凸部22がキャップ11に当たって、第1移動体19がケーシング本体10から抜け出ないようにしている。
【0073】
しかも、前記したように第1移動体19に組み込んだスプリング33をたわませているので、そのバネ力は、第2,4傾斜面44,45を介して第2移動体20にも作用する。したがって、第1移動体19および第2移動体20のそれぞれは、スプリング33のバネ力の作用で、図10,11に示すノーマル位置を保つ。すなわち、このノーマル位置において、第2移動体20が、キャップ11に接するとともに、作用部19bがキャップ11に形成した軸孔21から外方に突出する。
【0074】
上記のようにケーシング本体10に摺動体18を組み込むが、これらケーシング本体10と摺動体18の各構成要素との相対関係は次の通りである。
すなわち、摺動体18を上記のようにしてケーシング本体10に組み込んだときには、図10に示すノーマル位置において、第2移動体20が、その第4傾斜面45を、第1移動体19に形成した第2傾斜面44に接触させるとともに、上記第2移動体20のテーパー面29,29を、ケーシング本体10に形成したテーパー面17,17に接触させる。
【0075】
そして、上記のように第2移動体20をケーシング本体10の制動溝15に組み込んで、それらのテーパー面29,29および17,17を接触させた状態では、その制動溝15に形成した天井面16と、第2移動体20に形成した対向面30との間には、図10〜15に示すように、間隔31が形成されること前記したとおりである。このように間隔31を形成することによって、第2移動体20が制動溝15の深さ方向に移動が可能になる。
また、筒部14はその底部に支持部35を形成し、その支持部35の曲率を、連結部19aおよび作用部19bの曲率と同じにしているので、連結部19aおよび作用部19bはこの支持部35に支持されながら摺動することになる。
【0076】
次に、この第3実施形態の作用を説明する。
今、図10に示すノーマル位置にあれば、第2,4傾斜面44,45が接触し、第1,3傾斜面24,28間に間隔が維持された状態にある。この状態から、作用部19bに矢印x1方向の力が作用すると、第1移動体19がスプリング33のバネ力に抗して矢印x1方向に移動する。このように第1移動体19が移動を始めると、今度は、第1,3傾斜面24,28が接触し、第2,4傾斜面44,45間に間隔が維持された状態になる。
【0077】
このように第1,3傾斜面24,28を接触させた状態で、第1移動体19がさらに矢印x1方向に移動すれば、その移動力は、第1,3傾斜面24,28を介して第2移動体20にも伝達され、第2移動体20が共に移動する。このとき第2移動体20には、制動部と制動溝15との間での摺動抵抗が作用するので、第1移動体19の移動力である矢印x1方向の力と、上記摺動抵抗による矢印x2方向の力とが作用する。ただし、この両力矢印x1および矢印x2は、それらの方向が反対なので、第1傾斜面24と第3傾斜面28との間では、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。このように第2移動体20に垂直方向の分力が作用すると、第2移動体20はケーシング本体10の制動溝15側に押し付けられる。なぜなら、第1移動体19は支持部35に支持されて、それ以上軸に直交する方向に移動できないからである。
【0078】
上記第2移動体20に上記のように制動溝15側に押し上げる力が作用すれば、特に、第2移動体20の上記移動方向前方は、くさびを打ち込むと同様の原理で、第2移動体20のテーパー面29,29を制動溝15のテーパー面17,17に押し込むことになる。このときの押し込み力が、第2移動体20の摺動抵抗になるが、この第2移動体20の摺動抵抗は、第1移動体19に対しても摺動抵抗として作用する。したがって、このときの摺動抵抗が制動力となって、ダンピング力が発揮される。
【0079】
ただし、このときのダンピング力は、第1移動体19に作用する力の大きさと、その移動速度とによって異なる。すなわち、力が大きく、かつ、移動速度が速ければ、第2移動体20は制動溝15に一気に強く押し付けられるので、短時間で大きな制動力すなわちダンピング力が発揮される。しかし、第1移動体19に作用する力が小さく、しかも、その移動速度が遅ければ、第2移動体20は制動溝15に徐々にゆっくりと押し付けられるので、その制動力すなわちダンピング力はストロークに対応して徐々に大きくなっていく。
【0080】
上記のように力の大きさや移動速度に応じてダンピング力の発揮状況が異なるということは、その用途や使用状況に応じて、常に、適切なダンピング力を得ることができることを意味する。
【0081】
一方、摺動体18がダンパ効果を発揮しながらケーシング本体10内を移動した後に、作用部19bに作用していた力が、スプリング33のバネ力よりも小さくなれば、今度は、第1移動体19が、スプリング33のバネ力で図10,11に示すノーマル位置に復帰する方向に移動する。このとき、図16に示すように、第1傾斜面24と第3傾斜面28とは離れ、第2傾斜面44と第4傾斜面45とが接触する。したがって、第2,4傾斜面44,45の間には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。ただし、この垂直方向の分力は、図10に示すy方向とは反対になる。
【0082】
このようにスプリング33のバネ力で、摺動体18が復帰するときには、第2移動体20には、それを第1移動体19側に引きつける力が作用するが、この力は、第2移動体20を制動溝15から引き離す方向の力になるので、前記した第2移動体20と制動溝15との押し付け力が小さくなり、その分、制動力も小さくなる。したがって、摺動体18はスプリング33のバネ力でスムーズにノーマル位置に復帰することができる。
【0083】
上記した第3実施形態によれば、第1実施形態と全く同じ効果を期待できるのは当然として、それ以外に、復帰時に制動部を制動溝15から引き離して、摺動体18をスムーズに移動できるという効果を発揮させることができる。つまり、その復帰速度を速くして、衝撃力の受け容れ体勢を速やかに整えることができる。
【0084】
なお、上記第3実施形態では、ケーシング本体10に制動溝15を設け、摺動体18側に制動部を設けるようにしているが、第2実施形態のように、ケーシング本体10に制動部を設けて、摺動体18に制動溝を設けるようにしてもよい。また、第3実施形態においては、制動溝15には一対のテーパー面17,17を設けたが、何れか一方のみをテーパー面とし、他方を例えば垂直面にしてもよい。いずれにしても、制動溝15の深さ方向あるいは開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなればよい。ただし、この場合には、第2移動体20の制動部の形状も、その制動溝15の形状に対応させる必要がある。
【0085】
さらに、第1移動体19の第1傾斜面24と、第2移動体20の第3傾斜面28とで、この発明でいう変換構造を構成しているが、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけを傾斜面にしておけばよい。この点は、第1、2実施形態と全く同様である。
また、上記第1傾斜面24,24と第2傾斜面44,44とを平行にして、さらに第3傾斜面28,28と第4傾斜面45,45とを平行にしているが、必ずしもこれらを平行にする必要はない。要するに、第1傾斜面24,24が第3傾斜面28に正対し、これら第1および第3傾斜面24,28によって、第2移動体20を制動溝15に押し付ける力を発揮できればよい。また、第2傾斜面44,44が第4傾斜面45,45に正対し、これら第2および第4傾斜面44,45によって、上記押し付け力を解除できるような構成であればよい。
また、この第3実施形態においても、第1実施形態と全く同じ効果を期待できること当然である。
【0086】
さらに、第1移動体19の第2傾斜面44と、第2移動体20の第4傾斜面45とで、この発明の解放構造を構成しているが、上記変換構造の場合と同様に、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけが傾斜面になっていればよい。この関係は、変換構造を構成する第1傾斜面24と第3傾斜面28と全く同じである。
【0087】
図17,18は、この発明の第4実施形態を示したもので、この第4実施形態の最大の特徴は、第1移動体19および第2移動体20の両方に、制動部を備えるとともに、これら各制動部に対応した2つの制動溝をケーシング本体10に形成した点である。すなわち、図17に示したように、ケーシング本体10の筒部14にテーパー面91,91を形成し、これを第2の制動溝92としている。また、この制動溝92に対応する第1移動体19の連結部19aにもテーパー面93,93を形成し、これを第2の制動部としている。また、当然のこととして、上記連結部19aに形成された制動部の面と、ケーシング本体10との間には、間隔31と同様の機能を果たす間隔94を形成している。
一方、第2移動体20には第1の制動部を備え、ケーシング本体10にはこの第1の制動部に対応する第1の制動溝15を備えたもので、この第2移動体の構成は、上記第3実施形態とまったく同様である。
【0088】
さらに、図18に示したように、第1移動体19と第2移動体20とを組み合わせることによって摺動体18としているが、この摺動体18は、それをケーシング本体10に組み込んだとき、微少ながたつきを保ちながら、制動溝15と92との対向部間に摺動自在に支持される。また、キャップ11に形成した軸孔21は、第1移動体19が上記間隔方向に移動できるように、上記第1移動体19の作用部19bの直径よりも大きくしている。
【0089】
今、図18の位置にある状態から、作用部19bに矢印x1方向の力が作用すると、第1移動体19が図18の矢印x1方向に移動する。このように第1移動体19が移動を始めると、第1,3傾斜面24,28が接触し、その移動力は第1,3傾斜面24,28を介して第2移動体20にも伝達され、第2移動体20が共に移動する。このとき第2移動体20には、制動部と制動溝15との間での摺動抵抗が作用するので、第1移動体19の移動力である矢印x1方向の力と、上記摺動抵抗による矢印x2方向の力とが作用する。
【0090】
ただし、この両力矢印x1および矢印x2は、それらの方向が反対なので、第1傾斜面24と第3傾斜面28との間では、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。このように第2移動体20に垂直方向の分力が作用すると、第2移動体20はケーシング本体10の制動溝15側に押し付けられるとともに、第2移動体20を押し付ける斥力によって、第1移動体19にも制動溝92側に押し付ける力が作用する。
しかも、上記第1移動体19を支持している軸孔21の直径が作用部19bの直径よりも大きいので、第1移動体19に上記のような押し付け力が作用すれば、第1移動体19が制動溝92側に押し付けられる。
【0091】
上記第2移動体20が制動溝15に押し付けられ、第1移動体19が第2の制動溝92に押し付けられれば、上記第1移動体19および第2移動体20は、くさびを打ち込むのと同様の原理で、第1移動体19のテーパー面93,93を第2の制動溝92のテーパー面91,91に押し込み、第2移動体20のテーパー面29,29を第1の制動溝15のテーパー面17,17に押し込むことになる。
このときの押し込み力が第1移動体19および第2移動体20の摺動抵抗になり、この摺動抵抗が制動力となって、ダンピング力が発揮される。
したがって、この第4実施形態では、2つの制動溝および制動部で摺動抵抗を得ることができるので、第1実施形態のように1つの制動溝および制動部でダンピング効果を発揮するものより、大きなダンピング効果を発揮させることができる。
また、この第4実施形態においても、第1実施形態と全く同じ効果を期待できること当然である。
【0092】
なお、上記以外の構成は、前記第3実施形態と全く同じである。したがって、上記第3実施形態と同じ構成要素については、この第3実施形態と同じ符号を用いて説明している。
また、上記第4実施形態では、ケーシング本体10に第1の制動溝15と第2の制動溝92とを設け、摺動体18側に制動部を設けるようにしているが、第2実施形態のように、ケーシング本体10に制動部を設けて、摺動体18に制動溝を設けるようにしてもよい。
さらに、第4実施形態においては、制動溝15に一対のテーパー面17,17を設けたが、何れか一方のみをテーパー面とし、他方を例えば垂直面にしてもよい。いずれにしても、制動溝15の深さ方向あるいは開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなればよい。ただし、この場合には、第2移動体20の制動部の形状も、その制動溝15の形状に対応させる必要がある。
【0093】
さらに、第1移動体19の第1傾斜面24と、第2移動体20の第3傾斜面28とで、この発明でいう変換構造を構成しているが、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけを傾斜面にしておけばよい。この点は、第1、2実施形態と全く同様である。
【0094】
さらに、第1移動体19の第2傾斜面44と、第2移動体20の第4傾斜面45とで、この発明の解放構造を構成しているが、上記変換構造の場合と同様に、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけが傾斜面になっていればよい。この関係は、変換構造を構成する第1傾斜面24と第3傾斜面28と全く同じである。
また、上記第1傾斜面24,24と第2傾斜面44,44とを平行にして、さらに第3傾斜面28,28と第4傾斜面45,45とを平行にしているが、必ずしもこれらを平行にする必要はない。要するに、第1傾斜面24,24が第3傾斜面28に正対し、これら第1および第3傾斜面24,28によって、第2移動体20を制動溝15に押し付ける力を発揮できればよい。また、第2傾斜面44,44が第4傾斜面45,45に正対し、これら第2および第4傾斜面44,45によって、上記押し付け力を解除できるような構成であればよい。
【0095】
図19〜23はこの発明の第5実施形態を示したものである。
図示したように、一端を閉塞した筒状のケーシング本体10は、その他端側である開口部にキャップ11をかぶせているが、これらケーシング本体10とキャップ11とによって、この発明のケーシングを構成している。
【0096】
上記のようにしたケーシング本体10内には、第1実施形態と同様に、その軸線方向に筒部14と制動溝15とを備えているが、これら筒部14と制動溝15とは、その軸線を平行にして、筒部14に対して制動溝15の軸線を偏心させている。また、これら筒部14および制動溝15は、その上下方向において互いに連続させている。
【0097】
上記のようにした筒部14は、図20に示すように、制動溝15との対向面である底部の内面形状を円弧にしている。また、制動溝15は、筒部14との対向面である天井面16を平坦にするとともに、この制動溝15の両側面をテーパー面17,17とし、かつ、これらテーパー面17,17は、筒部14側すなわち制動溝15の開口側に向かってそれらの対向間隔が徐々に広くなるようにしている。言い換えると、制動溝15は、その天井面16に向かって溝幅が徐々に狭くなるようにして、その断面形状を台形にしている。
【0098】
このようにしたケーシング本体10内には、図19に示すように、摺動体18を摺動可能に組み込むが、この摺動体18は、第1移動体19と第2移動体20とからなる。
上記第1移動体19は、連結部19aと、力が作用する作用部19bとを備えているが、これら連結部19aと作用部19bとは、一体的な一本の軸からなり、当然のこととしてそれらの軸線を同じくしている。そして、上記作用部19bは、この第1移動体19をケーシング本体10に組み込んだとき、キャップ11に形成した軸孔21からその外方に突出するようにしている。
【0099】
また、上記連結部19aには軸線に沿って伸びる板状凸部22を設けるとともに、図20に示すように、この板状凸部22の面を平坦な摺動面22aとしている。さらに、図19に示すように、この板状凸部22の両側には、板状凸部22を挟んで互いに対向する一対の突部を一組として二組の突部46,46および47,47を設けている。そして第1組の突部46,46と第2組の突部47,47との間には間隔を保っている。
第1組の突部46,46は、作用部19bに隣接して設けるとともに、図19,21に示すように、その頂部46a,46aを、上記摺動面22aよりも上方、すなわち第2移動体20方向に突出させている。さらに、この突部46,46には、上記頂部46a,46aから連続する傾斜面48,48を形成しているが、この傾斜面48,48は連結部19aの端部に向かって徐々に低くなるようにしている。
【0100】
一方、第2組の突部47,47は、上記第1組の突部46,46よりも連結部19aの端部側に設けるとともに、第1組の突部46,46と同様に、その頂部47a,47aを、上記摺動面22aよりも上方、すなわち第2移動体20方向に突出させている。さらに、この突部47,47には、上記頂部47a,47aから連続する傾斜面49,49を形成しているが、この傾斜面49,49は、上記第1組の突部46,46の傾斜面48,48と平行にしている。
【0101】
なお、図22に示すように、上記第1移動体19には、第3実施形態と同様に、その軸線に沿ってスプリング受け穴32を形成し、この穴32内にスプリング33を組み込むようにしている。そして、スプリング受け穴32に組み込まれたスプリング33は、その一端をケーシング本体10の底部に形成した凹部34に一致させ、第1移動体19をキャップ11側に押す初期荷重を作用させるものである。
【0102】
一方、第2移動体20には図20に示すように、摺動面26を備えているが、この摺動面26はその幅を上記第1移動体19の摺動面22aと同じにしている。そして、この摺動面26の両側に一対のガイド部27,27を突出させている。この一対のガイド部27,27の対向間隔は、前記した各実施形態と同様に第1移動体19の板状凸部22の幅とほぼ一致させている。したがって、この第5実施形態においても、両移動体19,20の相対移動時に、それらの位置関係がずれたりしない。言い換えると、両移動体19,20の相対移動時に、両者の軸線が摺動面22aおよび摺動面26の幅方向にずれたりしない。
【0103】
また、図21に示すように、上記ガイド部27,27は、その軸方向長さを、第1移動体19の第1組の突部46,46と第2組の突部47,47間の長さよりもほんのわずか短くしている。そして、その軸方向両側には、傾斜面50,51を形成している。この一方の傾斜面50は、前記各実施形態と同様にして、第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、上記第1組の突部46,46に形成した傾斜面48,48と平行になり、他方の傾斜面51は、上記第2組の突部47,47に形成した傾斜面49,49と平行になる関係にしている。
【0104】
上記のようにしたガイド部27,27は、上記のように第1移動体19と第2移動体20とを組み合わせたとき、第1組の突部46,46と第2組の突部47,47との間に位置するとともに、それらの傾斜面50,51を、突部46,47側の傾斜面48,49に正対させる。ただし、上記したようにガイド部27,27の長さは、2組の突部46,47間の長さよりもほんのわずか短くしているので、例えば、一方の傾斜面50,50が、突部46の傾斜面48,48に接触しているときは、他方の傾斜面51,51が、突部47の傾斜面49,49から離れて間隔を維持する。反対に、他方の傾斜面51,51が、突部47の傾斜面49,49に接触しているときは、一方の傾斜面50,50が、突部46の傾斜面48,48から離れて間隔を維持する。
【0105】
そして、図19に示すように、第1移動体19に矢印x1方向の力を作用させると、両移動体19,20の傾斜面48,50が接触する。そして、その接触部には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用し、その垂直方向の分力が、両移動体19,20を分離する方向の力y(図19参照)となる。したがって、上記第2移動体20が移動すると、この力yによって、上記第2移動体20がケーシング本体10に形成した制動溝15側に押し付けられながら摺動する。このときに発生する、第2移動体20とケーシング本体10との摺動抵抗によって矢印x2方向の力が第2移動体に作用することになる。
【0106】
また、図19に示す矢印x1方向の力が開放され、摺動体18がスプリング33のバネ力でノーマル位置に復帰するときには、両移動体19,20の傾斜面48,50は離れて、傾斜面49,51が接触する。この接触した傾斜面49,51には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。ただし、この垂直方向の分力は、両移動体19,20を互いに引き寄せる力、すなわち上記力yとは反対方向の力となる。
【0107】
さらに、図20に示すように、上記第2移動体20には、ケーシング本体10に形成したテーパー面17,17に対向するテーパー面29,29と、上記ケーシング本体10に形成した天井面16に対向する対向面30とを備え、この第2移動体20の断面形状を前記制動溝15に対応する台形にしている。ただし、この第2移動体20を制動溝15に組み込んだとき、上記天井面16と対向面30との間にわずかな間隔31が形成される関係にしている。したがって、この間隔31を形成した状態において、前記した力yが作用すると、この第2移動体20が、制動溝15により強く食い込むことになり、第2移動体20のテーパー面29と、制動溝15のテーパー面17との摩擦力がより大きくなる。このようにしたテーパー面29,29および対向面30とによって、この発明の制動部を構成している。
【0108】
一方、上記ケーシング本体10に形成した筒部14の円弧状の底部には、上記各実施形態と同様に、上記第1移動体19の連結部19aおよび作用部19bと曲率を同じくした円弧状の支持部35を設けている。このようにした支持部35には、上記連結部19aおよび作用部19bを載せるが、これによって、ケーシング本体10と第1移動体19との接触面積が少なくなり、その分、両者間の摺動抵抗が小さくなる。
【0109】
上記のようにした第1移動体19および第2移動体20を、ケーシング本体10に組み込むためには、図19,20に示すように、両移動体19,20の摺動面22a,26を一致させるとともに、両移動体19,20の傾斜面48と50および傾斜面49と51とを正対させた状態で、両移動体19,20を組み合わせる。なお、両移動体19,20を上記のように組み合わせることによって、この発明の摺動体18が構成される。
このようにして構成された摺動体18には、図22に示すように、その第1移動体19に形成したスプリング受け穴32にスプリング33をあらかじめ組み込んでおく。
【0110】
そして、摺動体18は、その第1移動体19の連結部19aおよび作用部19bをケーシング本体10の筒部14に組み込み、第2移動体20をケーシング本体10の制動溝15に組み込むが、このときスプリング受け穴32に組み込んだスプリング33をたわませる。
上記のようにして摺動体18をケーシング本体10に組み込んだら、ケーシング本体10をキャップ11でふさぐ。このときキャップ11の軸孔21から作用部19bを突出させるとともに、キャップ11の図示しない引っ掛け片の爪部を、ケーシング本体10の図示しない掛け止め凹部にはめる。これによって、摺動体18がケーシング本体10から抜け出ないようにしている。
【0111】
しかも、前記したように第1移動体19に組み込んだスプリング33をたわませているので、そのバネ力は、傾斜面49,51を介して第2移動体20にも作用する。したがって、第1移動体19および第2移動体20のそれぞれは、スプリング33のバネ力の作用で、図19,22に示すノーマル位置を保つ。すなわち、このノーマル位置において、第2移動体20が、キャップ11に接するとともに、作用部19bがキャップ11に形成した軸孔21から外方に突出する。このとき、板状凸部22がキャップ11に当たって、第1移動体19がケーシング本体10から抜け出ないようにしている。
【0112】
上記のようにケーシング本体10に摺動体18を組み込むが、これらケーシング本体10と摺動体18の各構成要素との相対関係は次の通りである。
すなわち、摺動体18を上記のようにしてケーシング本体10に組み込んだときには、図19に示すノーマル位置において、第2移動体20が、その傾斜面51を、第1移動体19に形成した傾斜面49に接触させるとともに、上記第2移動体20のテーパー面29,29を、ケーシング本体10に形成したテーパー面17,17に接触させる。
【0113】
そして、上記のように第2移動体20をケーシング本体10の制動溝15に組み込んで、それらのテーパー面29,29および17,17を接触させた状態では、その制動溝15に形成した天井面16と、第2移動体20に形成した対向面30との間には、図20に示すように、間隔31が形成されること前記したとおりである。このように間隔31を形成することによって、第2移動体20が制動溝15の深さ方向に移動が可能になる。
また、筒部14はその底部に支持部35を形成し、その支持部35の曲率を、連結部19aおよび作用部19bの曲率と同じにしているので、連結部19aおよび作用部19bはこの支持部35に支持されながら摺動することになる。
【0114】
次に、この第5実施形態の作用を説明する。
今、摺動体18が、図19に示すノーマル位置にあれば、傾斜面49,51が接触し、傾斜面48,50間に間隔が維持される。この状態から、作用部19bに矢印x1方向の力が作用すると、第1移動体19がスプリング33のバネ力に抗して移動する。このように第1移動体19が移動を始めると、今度は、傾斜面48,50が接触し、傾斜面49,51間に間隔が維持された状態になる。
【0115】
このように傾斜面48,50を接触させた状態で、第1移動体19がさらに矢印x1方向に移動すれば、その移動力は、傾斜面48,50を介して第2移動体20にも伝達され、第2移動体20が共に移動する。このとき第2移動体20には、制動部と制動溝15との間での摺動抵抗が作用するので、第1移動体19の移動力である矢印x1方向の力と、上記摺動抵抗による矢印x2方向の力とが作用する。ただし、この両力矢印x1および矢印x2は、それらの方向が反対なので、傾斜面48,50の間では、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。このように第2移動体20に垂直方向の分力が作用すると、第2移動体20はケーシング本体10の制動溝15側に押し付けられる。なぜなら、第1移動体19は支持部35に支持されて、それ以上軸に直交する方向に移動できないからである。
【0116】
上記第2移動体20に上記のように制動溝15側に押し上げる力が作用すれば、特に、第2移動体20は、くさびを打ち込むと同様の原理で、第2移動体20のテーパー面29,29を制動溝15のテーパー面17,17に押し込むことになる。このときの押し込み力が、第2移動体20の摺動抵抗になるが、この第2移動体20の摺動抵抗は、第1移動体19に対しても摺動抵抗として作用する。したがって、このときの摺動抵抗が制動力となって、ダンピング力が発揮される。
【0117】
ただし、このときのダンピング力は、第1移動体19に作用する力の大きさと、その移動速度とによって異なる。すなわち、力が大きく、かつ、移動速度が速ければ、第2移動体20は制動溝15に一気に強く押し付けられるので、短時間で大きな制動力すなわちダンピング力が発揮される。しかし、第1移動体19に作用する力が小さく、しかも、その移動速度が遅ければ、第2移動体20は制動溝15に徐々にゆっくりと押し付けられるので、その制動力すなわちダンピング力はストロークに対応して徐々に大きくなっていく。
【0118】
上記のように力の大きさや移動速度に応じてダンピング力の発揮状況が異なるということは、その用途や使用状況に応じて、常に、適切なダンピング力を得ることができることを意味する。
【0119】
一方、摺動体18がダンパ効果を発揮しながらケーシング本体10内を移動した後に、作用部19bに作用していた力が、スプリング33のバネ力よりも小さくなれば、今度は、図23に示したように、第1移動体19が、スプリング33のバネ力でノーマル位置に復帰する方向に移動する。このとき、傾斜面48,50は離れ、傾斜面49,51が接触する。したがって、傾斜面49,51の間には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。ただし、この垂直方向の分力は、前記y方向とは反対になる。
【0120】
このようにスプリング33のバネ力で、摺動体18が復帰するときには、第2移動体20には、それを第1移動体19側に引きつける力が作用するが、この力は、第2移動体20を制動溝15から引き離す方向の力になるので、前記した第2移動体20と制動溝15との押し付け力が小さくなり、その分、制動力も小さくなる。したがって、摺動体18はスプリング33のバネ力でスムーズにノーマル位置に復帰することができる。
【0121】
上記した第5実施形態によれば、第1実施形態と全く同じ効果を期待できるのは、当然のこととして、それ以外に、復帰時に制動部を制動溝15から積極的に引き離して、摺動体18をスムーズに移動できるという効果を発揮させることができる。これによって、摺動体18の復帰速度を速くして、衝撃力の受け容れ体勢を速やかに整えることができる。
なお、上記第5実施形態では、ケーシング本体10に制動溝15を設け、摺動体18側に制動部を設けるようにしているが、第2実施形態のように、ケーシング本体10に制動部を設けて、摺動体18に制動溝を設けるようにしてもよい。また、第5実施形態においては、制動溝15には一対のテーパー面17,17を設けたが、何れか一方のみをテーパー面とし、他方を例えば垂直面にしてもよい。いずれにしても、制動溝15の深さ方向あるいは開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなればよい。ただし、この場合には、第2移動体20の制動部の形状も、その制動溝15の形状に対応させる必要がある。
【0122】
さらに、第1移動体19の傾斜面48と、第2移動体20の傾斜面50とで、この発明でいう変換構造を構成しているが、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけを傾斜面にしておけばよい。この点は、第1の実施形態と全く同様である。
また、第1移動体19の傾斜面49と、第2移動体20の傾斜面51とで、この発明の解放構造を構成しているが、上記変換構造の場合と同様に、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけが傾斜面になっていればよい。この関係は、変換構造を構成する傾斜面48および傾斜面50の場合と全く同じである。
また、上記傾斜面48,49とを平行にして、さらに傾斜面50,51とを平行にしているが、必ずしもこれらを平行にする必要はない。要するに、傾斜面48が傾斜面50に正対し、これら傾斜面48,50によって、第2移動体20を制動溝15に押し付ける力を発揮できればよい。また、傾斜面49が傾斜面51に正対し、これら傾斜面49,51によって、上記押し付け力を解除できるような構成であればよい。
【0123】
図24〜29はこの発明の第6実施形態を示したものである。
図示したように、一端を閉塞した筒状のケーシング本体10は、その他端側である開口部にキャップ11をかぶせているが、これらケーシング本体10とキャップ11とによって、この発明のケーシングを構成している。
【0124】
上記のようにしたケーシング本体10内には、その軸線方向に筒部14を備え、この筒部14に対向する天井面には制動部52を設けているが、これら筒部14と制動部52とは、その軸線を平行にして、筒部14に対して制動部52の軸線を偏心させている。このようにした筒部14は、図25に示すように、制動部52との対向面である底部の内面形状を円弧にしている。
【0125】
また、制動部52は、図25からも明らかなように、ケーシング本体10の天井部分から吊り下げた状態の突部からなるものである。そして、図26に示したように、その両側面にテーパー面53,53を形成している。このテーパー面53,53は、制動部52の断面形状において、両テーパー面の対向間隔が筒部14側に向かって徐々に広くなるようにしている。
【0126】
上記のようにしたケーシング本体10内には、図24に示すように、摺動体18を摺動可能に組み込むが、この摺動体18は、第1移動体19と第2移動体20とからなる。
上記第1移動体19は、連結部19aと、力が作用する作用部19bとを備えているが、これら連結部19aと作用部19bとは、一体的な一本の軸からなり、当然のこととしてそれらの軸線を同じくしている。そして、上記作用部19bは、この第1移動体19をケーシング本体10に組み込んだとき、キャップ11に形成した軸孔21からその外方に突出するようにしている。
【0127】
また、上記連結部19aには、前記した各実施形態と全く同様に、軸線に沿って伸びる板状凸部22を設けるとともに、図25に示すように、この板状凸部22の面を平坦な摺動面22aとしている。さらに、この板状凸部22の両側には、板状凸部22を挟んで互いに対向する一対の突部を一組として二組の突部46,46および47,47を設けている。そして第1組の突部46,46と第2組の突部47,47との間には間隔を保っている。
【0128】
第1組の突部46,46は、作用部19bに隣接して設けるとともに、図24,27に示すように、その頂部46a,46aを、上記摺動面22aよりも上方、すなわち第2移動体20方向に突出させている。さらに、図27に示すようにこの突部46,46には、上記頂部46a,46aから連続する傾斜面48,48を形成しているが、この傾斜面48,48は、連結部19aの端部側に対応する上記頂部46a,46aの縁との間で鋭角をなす構成にしている。
【0129】
一方、第2組の突部47,47は、上記第1組の突部46,46よりも連結部19aの端部側に設けるとともに、第1組の突部46と同様に、その頂部47a,47aを、上記摺動面22aよりも上方、すなわち第2移動体20方向に突出させている。さらに、この突部47,47には、上記頂部47a,47aから連続する傾斜面49,49を形成しているが、この傾斜面49,49は、上記第1組の突部46,46の傾斜面48,48と平行にしている。
【0130】
なお、図28に示すように、上記第1移動体19には、その軸線に沿ってシャフト穴54を形成し、この穴54内にはケーシング本体10の底部に固定的に設けた支持シャフト55が相対移動可能に挿入される構成にしている。このように支持シャフト55をシャフト穴54に挿入することによって、第1移動体19が、第2移動体20方向に浮き上がらないようにしている。なお、上記支持シャフト55の周囲には、スプリング56を設けているが、このスプリング56は、第1移動体19をキャップ11側に押す初期荷重を作用させるものである。
【0131】
一方、図25に示すように、第2移動体20には摺動面26を備えているが、この摺動面26は、前記各実施形態と同様に、その幅を上記第1移動体19の摺動面22aと同じにしている。そして、この摺動面26の両側に一対のガイド部27,27を突出させている。この一対のガイド部27,27の対向間隔は、前記した各実施形態と同様に第1移動体19の板状凸部22の幅とほぼ一致させている。したがって、この第6実施形態においても、両移動体19,20の相対移動時に、それらの位置関係がずれたりしない。言い換えると、両移動体19,20の相対移動時に、両者の軸線が摺動面22aおよび摺動面26の幅方向にずれたりしない。
【0132】
また、図27に示したように、上記ガイド部27,27は、その軸方向長さを、第1移動体19の第1組の突部46,46と第2組の突部47,47間の長さよりもほんのわずか短くしている。そして、その軸方向両側には、傾斜面50,51を形成している。この一方の傾斜面50は、前記各実施形態と同様にして、第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、上記第1組の突部46,46に形成した傾斜面48,48と平行になり、他方の傾斜面51は、上記第2組の突部47,47に形成した傾斜面49,49と平行になる関係にしている。
【0133】
上記のようにしたガイド部27,27は、上記のように第1移動体19と第2移動体20とを組み合わせたとき、第1組の突部46,46と第2組の突部47,47との間に位置するとともに、それらの傾斜面50,51を、突部側の傾斜面48,49に正対させる。ただし、上記したようにガイド部27,27の長さは、2組の突部47,48間の長さよりもほんのわずか短くしているので、例えば、一方の傾斜面50,50が、突部46の傾斜面48,48に接触しているときは、他方の傾斜面51,51が、突部47の傾斜面49,49から離れて間隔を維持する。反対に、他方の傾斜面51,51が、突部47の傾斜面49,49に接触しているときは、一方の傾斜面50,50が、突部46の傾斜面48,48から離れて間隔を維持する。
【0134】
そして、第1移動体19に矢印x1方向の力を作用させると、両移動体19,20の傾斜面48,50が接触する。その接触部には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用し、その垂直方向の分力が、第2移動体20を第1移動体19側に引きつける力となる。したがって、第2移動体20は第1移動体19側に引きつけられながら摺動するが、このときの第2移動体20の摺動抵抗によって矢印x2方向の力が第2移動体に作用することになる。
なお、上記したように第1移動体19のシャフト穴54には支持シャフト55を挿入しているので、第2移動体20を第1移動体19側に引きつける力が作用したとしても、この第1移動体19が浮き上がったりしない。
【0135】
また、図24に示す矢印x1方向の力が開放され、摺動体18がスプリング56のバネ力でノーマル位置に復帰するときには、両移動体19,20の傾斜面48,50は離れて、傾斜面49,51が接触する。この接触した傾斜面49,51には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。ただし、この垂直方向の分力は、両移動体19,20を互いに引き離す方向の力となる。
【0136】
さらに、上記第2移動体20には、図25,26に示すように、制動溝57を形成しているが、この制動溝57は前記制動部52とその断面形状を対応させている。すなわち、制動溝57の両側にはテーパー面58,58を形成しているが、このテーパー面58,58は、制動溝57の断面形状において、その開口側に向かって互いの対向間隔を狭くする形状にしたいわゆるアリ溝にしている。
【0137】
ただし、この第2移動体20の制動溝57に制動部52を組み込んだときには、図25に示すように、制動溝57の底面と制動部52の対向面との間にわずかな間隔59が形成される関係にしている。また、第2移動体20とケーシング本体10の天井面との間にも間隔60が形成される関係にしている。したがって、第2移動体20は、上記間隔59および60の範囲内で移動できることになる。
【0138】
上記のようにした第1移動体19および第2移動体20を、ケーシング本体10に組み込むためには、両移動体19,20の摺動面22a,26を一致させるとともに、両移動体19,20の傾斜面48と50および傾斜面49と51とを正対させる。なお、両移動体19,20を上記のように組み合わせることによって、この発明の摺動体18が構成される。また、摺動体18を上記のようにケーシング本体10に組み込む際には、スプリング56はあらかじめ組み付けておく。
【0139】
そして、摺動体18は、その第1移動体19の連結部19aおよび作用部19bをケーシング本体10の筒部14に組み込み、第2移動体20は、その制動溝57に制動部52を嵌合するが、このときスプリング56をたわませる。
上記のようにして摺動体18をケーシング本体10に組み込んだら、ケーシング本体10をキャップ11でふさぐ。このときキャップ11の軸孔21から作用部19bを突出させるとともに、キャップ11の図示しない爪部を、ケーシング本体10の図示しない掛け止め凹部にはめる。そして、摺動体18がノーマル位置にあるとき、板状凸部22がキャップ11に当たって、ケーシング本体10から抜け出ないようにしている。
【0140】
しかも、前記したようにスプリング56をたわませているので、そのバネ力は、傾斜面49,51を介して第2移動体20にも作用する。したがって、第1移動体19および第2移動体20のそれぞれは、スプリング56のバネ力の作用で、図24に示すノーマル位置を保つ。すなわち、このノーマル位置において、第2移動体20が、キャップ11に接するとともに、作用部19bがキャップ11に形成した軸孔21から外方に突出する。
【0141】
さらに、第1移動体19は、上記軸孔21と支持シャフト55によって支持されるので、この第1移動体19ががたついたりすることがなく、安定して支持される。
【0142】
上記のようにケーシング本体10に摺動体18を組み込むが、これらケーシング本体10と摺動体18の各構成要素との相対関係は次の通りである。
すなわち、摺動体18を上記のようにしてケーシング本体10に組み込んだときには、図24に示すノーマル位置において、第2移動体20が、その傾斜面51を、第1移動体19に形成した傾斜面49に接触させるとともに、上記第2移動体20の制動溝57のテーパー面58,58を、制動部52のテーパー面53,53に接触させる。
【0143】
そして、上記のように第2移動体20をケーシング本体10に組み込んで、それらのテーパー面58,58および53,53を接触させた状態では、前記したように間隔59,60が形成される。このように間隔59,60を形成することによって、第2移動体20がその間隔59,60の範囲内で移動が可能になる。
【0144】
次に、この第6実施形態の作用を説明する。
今、摺動体18が、図24に示すノーマル位置にあれば、傾斜面49,51が接触し、傾斜面48,50間に間隔が維持される。この状態から、作用部19bに矢印x1方向の力が作用すると、第1移動体19がスプリング56のバネ力に抗して移動する。このように第1移動体19が移動を始めると、今度は、傾斜面48,50が接触し、傾斜面49,51間に間隔が維持された状態になる。
【0145】
このように傾斜面48,50を接触させた状態で、第1移動体19がさらに矢印x1方向に移動すれば、その移動力は、傾斜面48,50を介して第2移動体20にも伝達され、第2移動体20が共に移動する。このとき第2移動体20には、その制動溝57と制動部52との間での摺動抵抗が作用するので、第1移動体19の移動力である矢印x1方向の力と、上記摺動抵抗による矢印x2方向の力とが作用する。ただし、この両力矢印x1および矢印x2は、それらの方向が反対なので、傾斜面48,50の間では、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。このように第2移動体20に垂直方向の分力が作用すると、第2移動体20は第1移動体19方向に引き寄せられる。このとき、第1移動体19は支持シャフト55で支持されているので、浮き上がったりしない。
【0146】
上記のように第2移動体20が第1移動体19側に引き寄せられると、制動部52のテーパー面53,53と、制動溝57のテーパー面58,58との接触力がより強くなるので、このときの接触力が、第2移動体20の摺動抵抗になる。この第2移動体20の摺動抵抗は、第1移動体19に対しても摺動抵抗として作用する。したがって、このときの摺動抵抗が制動力となって、ダンピング力が発揮される。
【0147】
ただし、このときのダンピング力は、第1移動体19に作用する力の大きさと、その移動速度とによって異なる。すなわち、力が大きく、かつ、移動速度が速ければ、制動部52のテーパー面53,53と制動溝57のテーパー面58,58とが一気に強く押し付けられるので、短時間で大きな制動力すなわちダンピング力が発揮される。しかし、第1移動体19に作用する力が小さく、しかも、その移動速度が遅ければ、制動部52のテーパー面53,53と制動溝57のテーパー面58,58とは、徐々にゆっくりと押し付けられるので、その制動力すなわちダンピング力はストロークに対応して徐々に大きくなっていく。
【0148】
上記のように力の大きさや移動速度に応じてダンピング力の発揮状況が異なるということは、その用途や使用状況に応じて、常に、適切なダンピング力を得ることができることを意味する。
【0149】
一方、摺動体18がダンパ効果を発揮しながらケーシング本体10内を移動して図29に示す位置に到達した後に、作用部19bに作用していた力が、スプリング56のバネ力よりも小さくなれば、今度は、第1移動体19が、スプリング56のバネ力で図24に示すノーマル位置に復帰する方向に移動する。このとき、傾斜面48,50は離れ、傾斜面49,51が接触する。したがって、傾斜面49,51の間には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。ただし、この垂直方向の分力は前記の場合と反対になる。すなわち、第2移動体20を、第1移動体19から離す方向の力が作用する。
【0150】
このように第2移動体20を、第1移動体19から離す方向の力が作用すると、制動部52のテーパー面53,53と、制動溝57のテーパー面58,58との接触力がより弱くなるので、その分、制動力も小さくなる。したがって、摺動体18はスプリング56のバネ力でスムーズにノーマル位置に復帰することができる。
【0151】
上記した第6実施形態によれば、第1実施形態と全く同じ効果を期待できるのは当然として、それ以外に、復帰時に制動部を制動溝15から引き離して、摺動体18をスムーズに移動できるという効果を発揮させることができる。つまり、その復帰速度を速くして、衝撃力の受け容れ体勢を速やかに整えることができる。
なお、上記第6実施形態においても、制動溝57に一対のテーパー面58,58を設けたが、何れか一方のみをテーパー面とし、他方を例えば垂直面にしてもよい。いずれにしても、制動溝57の開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなればよい。ただし、この場合には、制動部52の形状も、その制動溝57の形状に対応させる必要がある。
【0152】
さらに、第1移動体19の傾斜面48と,第2移動体20の傾斜面50とで、この発明でいう変換構造を構成しているが、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけを傾斜面にしておけばよい。この点は、第1実施形態と全く同様である。
また、第1移動体19の傾斜面49と、第2移動体20の傾斜面51とで、この発明の解放構造を構成しているが、上記変換構造の場合と同様に、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけが傾斜面になっていればよい。この関係は、変換構造を構成する傾斜面48および傾斜面50の場合と全く同じである。
さらに、上記傾斜面48と傾斜面50とを平行にして、さらに傾斜面49と傾斜面51とを平行にしているが、必ずしもこれらを平行にする必要はない。要するに、傾斜面48が傾斜面50に正対し、これら傾斜面48,50によって、制動部52を制動溝57側に押し付ける力を発揮できればよい。また、傾斜面49,が傾斜面51に正対し、これら傾斜面49,51によって、上記押し付け力を解除できるような構成であればよい。
【0153】
図30〜33はこの発明の第7実施形態を示したものである。
図30に示したように、一端を閉塞した筒状のケーシング本体10は、その他端側である開口部にキャップ11をかぶせているが、これらケーシング本体10とキャップ11とによって、この発明のケーシングを構成している。
【0154】
上記のようにしたケーシング本体10内には、第3実施形態と同様に、その軸線方向に筒部14と制動溝15とを備えているが、これら筒部14と制動溝15とは、その軸線を平行にして、筒部14に対して制動溝15の軸線を偏心させている。また、これら筒部14および制動溝15は、その上下方向において互いに連続させている。
【0155】
上記のようにした筒部14は、制動溝15との対向面である底部の内面形状を円弧にしている。また、制動溝15は、筒部14との対向面である天井面16を平坦にするとともに、この制動溝15の両側面をテーパー面17,17とし、かつ、これらテーパー面17,17は、筒部14側すなわち制動溝15の開口側に向かってそれらの対向間隔が徐々に広くなるようにしている。言い換えると、制動溝15は、その天井面16に向かって溝幅が徐々に狭くなるようにして、その断面形状を台形にしている。
【0156】
このようにしたケーシング本体10内には摺動体18を摺動可能に組み込むが、この摺動体18は、第1移動体19と第2移動体20とからなる。
上記第1移動体19は、連結部19aと、力が作用する作用部19bとを備えているが、これら連結部19aと作用部19bとは、一体的な一本の軸からなり、当然のこととしてそれらの軸線を同じくしている。ただし、連結部19aに対して作用部19bの直径を小さくし、それらの境界部分に段差が形成されるようにしている。そして、上記作用部19bは、この第1移動体19をケーシング本体10に組み込んだとき、キャップ11に形成した軸孔21からその外方に突出するようにしている。
【0157】
また、図31に示すように、上記連結部19aには軸線に沿って伸びる板状凸部22を設けるとともに、この板状凸部22の面を平坦な摺動面22aとしている。さらに、この板状凸部22の両側には、一対の突部23,23を設けているが、この突部23,23の頂部23a,23aを、上記摺動面22aよりも上方、すなわち第2移動体20方向に突出させている。
【0158】
さらに、図32に示すようにこの突部23,23には、上記頂部23a,23aから連続する第1傾斜面24,24を形成しているが、この第1傾斜面24,24は、図31に示した上記頂部23a,23aから作用部19bに向かって徐々に低くなるようにしている。また、この第1傾斜面24,24とは反対側にも、この傾斜面24,24と平行な第2傾斜面61,61を形成している。
なお、上記第1移動体19における作用部19bの周囲にはスプリング33を設けているが、このスプリング33は、キャップ11と連結部19aとの間にあって、当該摺動体18をケーシング本体10の底部に押し付ける方向の力を作用させている。したがって、摺動体18は、そのノーマル位置において、図30に示すように、ケーシング本体10の底部に接触することになる。
【0159】
一方、図31に示すように、第2移動体20には摺動面26を備えているが、この摺動面26はその幅を上記第1移動体19の摺動面22aと同じにしている。そして、この摺動面26の両側に一対のガイド部27,27を突出させている。この一対のガイド部27,27の対向間隔は、第1移動体19の板状凸部22の幅とほぼ一致させている。言い換えると、図31に示すように、摺動面22a,26をぴったり一致させて第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、上記板状凸部22がガイド部27,27間に摺動自在にはめ込まれるようにしている。したがって、両移動体19,20の相対移動時に、それらの位置関係がずれたりしない。言い換えると、両移動体19,20の相対移動時に、両者の軸線が摺動面22aおよび摺動面26の幅方向にずれたりしない。
【0160】
また、上記ガイド部27,27のそれぞれには、上記のように第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、第1移動体19に形成した第1傾斜面24,24に対向する第3傾斜面28,28を形成し、これら第1,3傾斜面24,28が正対する構造にしている。さらに、上記ガイド部27,27には、第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、図32に示すように、第1移動体19に形成した第2傾斜面61,61に対向する第4傾斜面62,62を形成しているが、この第4傾斜面62,62は、上記第3傾斜面28,28と平行にしている。そして、この第4傾斜面62,62も、第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、第1移動体19の第2傾斜面61と正対する構造にしている。
【0161】
ただし、上記第1,3傾斜面24,28が接触しているときには、第2,4傾斜面61,62間に間隔が維持され、上記第2,4傾斜面61,62が接触しているときには、第1,3傾斜面24,28間に間隔が維持される関係にしている。そして、両移動体19,20が図30に示すノーマル位置にあるときには、第2,4傾斜面61,62が接触し、第1,3傾斜面24,28間に間隔が維持される関係にしている。
いずれにしても、両移動体19,20が相まって摺動体18を構成することになる。
【0162】
そして、上記ノーマル位置にある状態から、第1移動体19に矢印x1方向の力すなわち第1移動体19をケーシング本体10から引き出す方向の力を作用させると、第1,3傾斜面24,28が接触し、第2,4傾斜面61,62が離れる。したがって、第1移動体19の移動力は、上記第1,3傾斜面24,28を介して第2移動体20にも伝達され、摺動体18が矢印x1方向に移動する。
【0163】
上記のようにして第1移動体19および第2移動体20が矢印x1方向に移動すると、第1,3傾斜面24,28には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用し、その垂直方向の分力が、両移動体19,20を分離する方向の力yとなる。上記第2移動体20が力yによって移動すれば、この第2移動体20はケーシング本体10との間で摺動する。この摺動抵抗が矢印x2方向の力となる。
【0164】
また、図30に示す矢印x1方向の力が開放され、摺動体18がスプリング33のバネ力でノーマル位置に復帰するときには、図33に示すように、両移動体19,20の第1,3傾斜面24,28は離れ、第2,4傾斜面61,62が接触する。この接触した第2,4傾斜面61,62には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。ただし、この垂直方向の分力は、両移動体19,20を互いに引き寄せる力、すなわち力yとは反対方向の力となる。
【0165】
さらに、上記第2移動体20には、ケーシング本体10に形成したテーパー面17,17に対向するテーパー面29,29と、上記ケーシング本体10に形成した天井面16に対向する対向面30とを備え、この第2移動体20の断面形状を前記制動溝15に対応する台形にしている。ただし、この第2移動体20を制動溝15に組み込んだとき、上記天井面16と対向面30との間にわずかな間隔31が形成される関係にしている。したがって、この間隔31を形成した状態において、前記した力yが作用すると、この第2移動体20が、制動溝15により強く食い込むことになり、第2移動体20のテーパー面29と、制動溝15のテーパー面17との摩擦力がより大きくなる。このようにしたテーパー面29,29および対向面30とによって、この発明の制動部を構成している。
【0166】
一方、上記ケーシング本体10に形成した筒部14の円弧状の底部には、上記第1移動体19の連結部19aおよび作用部19bと曲率を同じくした円弧状の支持部35を設けている。このようにした支持部35には、上記連結部19aおよび作用部19bを載せるが、これによって、ケーシング本体10と第1移動体19との接触面積が少なくなり、その分、両者間の摺動抵抗が小さくなる。
【0167】
そして、摺動体18は、その第1移動体19の連結部19aおよび作用部19bをケーシング本体10の筒部14に組み込み、第2移動体20をケーシング本体10の制動溝15に組み込む。
上記のようにして摺動体18をケーシング本体10に組み込んだら、ケーシング本体10をキャップ11でふさぎ、このキャップ11に形成した図示しない爪部を、ケーシング本体10に形成した図示しない掛け止め凹部にはめる。このようにキャップ11の爪部を、ケーシング本体10の掛け止め凹部にはめることによって、キャップ11がケーシング本体10の開口部から外れないようにしている。なお、このときにスプリング33を多少たわませて、摺動体18に初期荷重を作用させておくが、この初期荷重によって、摺動体18は図30に示すノーマル位置に保たれることになる。
【0168】
しかも、前記したように第1移動体19に組み込んだスプリング33をたわませているので、そのバネ力は、第2,4傾斜面61,62を介して第2移動体20にも作用する。したがって、第1移動体19および第2移動体20のそれぞれは、スプリング33のバネ力の作用で、前記したノーマル位置を保つ。すなわち、このノーマル位置において、第2移動体20が、ケーシング本体10の底部に接するとともに、作用部19bがキャップ11に形成した軸孔21から外方に突出する。
【0169】
上記のようにケーシング本体10に摺動体18を組み込むが、これらケーシング本体10と摺動体18の各構成要素との相対関係は次の通りである。
すなわち、摺動体18を上記のようにしてケーシング本体10に組み込んだときには、図30,31に示すノーマル位置において、第2移動体20の第4傾斜面62を、第1移動体19の第2傾斜面61に接触させるとともに、上記第2移動体20のテーパー面29,29を、ケーシング本体10に形成したテーパー面17,17に接触させる。
【0170】
そして、上記のように第2移動体20をケーシング本体10の制動溝15に組み込んで、それらのテーパー面29,29および17,17を接触させた状態では、その制動溝15に形成した天井面16と、第2移動体20に形成した対向面30との間には間隔31が形成されること前記したとおりである。このように間隔31を形成することによって、第2移動体20が制動溝15の深さ方向に移動可能になる。
また、筒部14はその底部に支持部35を形成し、その支持部35の曲率を、連結部19aおよび作用部19bの曲率と同じにしているので、連結部19aおよび作用部19bはこの支持部35に支持されながら摺動することになる。
【0171】
次に、この第7実施形態の作用を説明する。
今、摺動体18が、図30に示すノーマル位置にあれば、第2,4傾斜面61,62が接触し、第1,3傾斜面24,28間に間隔が維持される。この状態から、作用部19bに矢印x1方向の力が作用すると、第1移動体19がスプリング33のバネ力に抗して矢印x1方向に移動する。このように第1移動体19が移動を始めると、今度は、第1,3傾斜面24,28が接触し、第2,4傾斜面61,62間に間隔が維持された状態になる。
【0172】
このように第1,3傾斜面24,28を接触させた状態で、第1移動体19がさらに矢印x1方向に移動すれば、その移動力は、第1,3傾斜面24,28を介して第2移動体20にも伝達され、第2移動体20が共に移動する。このとき第2移動体20には、制動部と制動溝15との間での摺動抵抗が作用するので、第1移動体19の移動力である矢印x1方向の力と、上記摺動抵抗による矢印x2方向の力とが作用する。ただし、この両力矢印x1および矢印x2は、それらの方向が反対なので、第1傾斜面24と第3傾斜面28との間では、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。このように第2移動体20に垂直方向の分力が作用すると、第2移動体20は力yの作用によって、ケーシング本体10の制動溝15側に押し付けられる。なぜなら、第1移動体19は支持部35に支持されて、それ以上軸に直交する方向に移動できないからである。
【0173】
第2移動体20に上記のように制動溝15側に押し上げる力が作用すれば、特に、第2移動体20は、くさびを打ち込むと同様の原理で、第2移動体20のテーパー面29,29を制動溝15のテーパー面17,17に押し込むことになる。このときの押し込み力が、第2移動体20の摺動抵抗になるが、この第2移動体20の摺動抵抗は、第1移動体19に対しても摺動抵抗として作用する。したがって、このときの摺動抵抗が制動力となって、ダンピング力が発揮される。
【0174】
ただし、このときのダンピング力は、第1移動体19に作用する力の大きさと、その移動速度とによって異なる。すなわち、力が大きく、かつ、移動速度が速ければ、第2移動体20は制動溝15に一気に強く押し付けられるので、短時間で大きな制動力すなわちダンピング力が発揮される。しかし、第1移動体19に作用する力が小さく、しかも、その移動速度が遅ければ、第2移動体20は制動溝15に徐々にゆっくりと押し付けられるので、その制動力すなわちダンピング力はストロークに対応して徐々に大きくなっていく。
【0175】
上記のように力の大きさや移動速度に応じてダンピング力の発揮状況が異なるということは、その用途や使用状況に応じて、常に、適切なダンピング力を得ることができることを意味する。
【0176】
一方、摺動体18がダンパ効果を発揮しながらケーシング本体10内を移動した後に、作用部19bに作用していた力が、スプリング33のバネ力よりも小さくなれば、今度は、第1移動体19が、スプリング33のバネ力でノーマル位置に復帰する方向に移動する。このとき、第1傾斜面24と第3傾斜面28とは離れ、第2傾斜面61と第4傾斜面62とが接触する。したがって、第2,4傾斜面61,62の間には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。ただし、この垂直方向の分力は上記y方向とは反対になる。
【0177】
このようにスプリング33のバネ力で、摺動体18が復帰するとき、第2移動体20には、それを第1移動体19側に引きつける力が作用するが、この力は、第2移動体20を制動溝15から引き離す方向の力になるので、前記した第2移動体20と制動溝15との押し付け力が小さくなり、その分、制動力も小さくなる。したがって、摺動体18はスプリング33のバネ力でスムーズにノーマル位置に復帰することができる。
【0178】
上記した第7実施形態によれば、第1実施形態と全く同じ効果を期待できるのは当然として、それ以外に、復帰時に制動部を制動溝15から引き離して、摺動体18をスムーズに移動できるという効果を発揮させることができる。つまり、その復帰速度を速くして、衝撃力の受け容れ体勢を速やかに整えることができる。
【0179】
なお、上記第7実施形態では、ケーシング本体10に制動溝15を設け、摺動体18側に制動部を設けるようにしているが、第2実施形態のように、ケーシング本体10に制動部を設けて、摺動体18に制動溝を設けるようにしてもよい。また、第7実施形態においては、制動溝15には一対のテーパー面17,17を設けたが、何れか一方のみをテーパー面とし、他方を例えば垂直面にしてもよい。いずれにしても、制動溝15の深さ方向あるいは開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなればよい。ただし、この場合には、第2移動体20の制動部の形状も、その制動溝15の形状に対応させる必要がある。
【0180】
さらに、第1移動体19の第1傾斜面24と、第2移動体20の第3傾斜面28とで、この発明でいう変換構造を構成しているが、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけを傾斜面にしておけばよい。この点は、第1実施形態と全く同様である。
また、この第7実施形態においても、第1実施形態と全く同じ効果を期待できること当然である。
【0181】
さらに、第1移動体19の第2傾斜面61と、第2移動体20の第4傾斜面62とで、この発明の解放構造を構成しているが、上記変換構造の場合と同様に、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけが傾斜面になっていればよい。この関係は、変換構造を構成する第1傾斜面24と第3傾斜面28と全く同じである。
また、上記第1傾斜面24,24と第2傾斜面61,61とを平行にして、さらに第3傾斜面28,28と第4傾斜面62,62とを平行にしているが、必ずしもこれらを平行にする必要はない。要するに、第1傾斜面24,24が第3傾斜面28に正対し、これら第1および第3傾斜面24,28によって、第2移動体20を制動溝15に押し付ける力を発揮できればよい。また、第2傾斜面61,61が第4傾斜面62,62に正対し、これら第2および第4傾斜面61,62によって、上記押し付け力を解除できるような構成であればよい。
【0182】
図34,35はこの発明の第8実施形態を示したものである。
図34に示したように、一端を閉塞した筒状のケーシング本体10は、その他端側である開口部にキャップ11をかぶせているが、これらケーシング本体10とキャップ11とによって、この発明のケーシングを構成している。
【0183】
上記のようにしたケーシング本体10内には、その軸線方向に筒部14と制動溝15とを備えているが、これら筒部14と制動溝15とは、その軸線を平行にして、筒部14に対して制動溝15の軸線を偏心させている。また、これら筒部14および制動溝15は、その上下方向において互いに連続させている。
【0184】
上記のようにした筒部14は、図35に示すように、制動溝15との対向面である底部の内面形状を円弧にしている。また、制動溝15は、筒部14との対向面である天井面16を平坦にするとともに、この制動溝15の両側面をテーパー面17,17とし、かつ、これらテーパー面17,17は、筒部14側すなわち制動溝15の開口側に向かってそれらの対向間隔が徐々に広くなるようにしている。言い換えると、制動溝15は、その天井面16に向かって溝幅が徐々に狭くなるようにして、その断面形状を台形にしている。
【0185】
このようにしたケーシング本体10内には、図34に示すように、摺動体18を摺動可能に組み込むが、この摺動体18は、第1移動体19と第2移動体20とからなる。
上記第1移動体19は、連結部19aと、力が作用する作用部19bとを備えているが、これら連結部19aと作用部19bとは、一体的な一本の軸からなり、当然のこととしてそれらの軸線を同じくしている。ただし、連結部19aに対して作用部19bの直径を小さくし、それらの境界部分に段差が形成されるようにしている。そして、上記作用部19bは、この第1移動体19をケーシング本体10に組み込んだとき、キャップ11に形成した軸孔21からその外方に突出するようにしている。
【0186】
また、図34に示すように、上記連結部19aには軸線に沿って伸びる板状凸部22を設けるとともに、上記した他の各実施形態と同様に、板状凸部22の面を平坦な摺動面22aとしている。さらに、この板状凸部22の両側には、一対の突部23,23を設けているが、この突部23,23の頂部23a,23aを、上記摺動面22aよりも上方、すなわち第2移動体20方向に突出させている。
【0187】
さらに、この突部23,23には、上記頂部23a,23aから連続する第1傾斜面24,24を形成しているが、この第1傾斜面24,24は上記頂部23a,23aから作用部19bに向かって徐々に低くなるようにしている。また、この第1傾斜面24,24とは反対側にも、この傾斜面24,24と線対称にした第2傾斜面63,63を形成している。
【0188】
一方、図35に示すように、第2移動体20には摺動面26を備えているが、この摺動面26はその幅を上記第1移動体19の摺動面22aと同じにしている。そして、この摺動面26の両側に一対のガイド部27,27を突出させている。この一対のガイド部27,27の対向間隔は、第1移動体19の板状凸部22の幅とほぼ一致させている。言い換えると、摺動面22a,26をぴったり一致させて第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、上記板状凸部22がガイド部27,27間に摺動自在にはめ込まれるようにしている。したがって、両移動体19,20の相対移動時に、それらの位置関係がずれたりしない。言い換えると、両移動体19,20の相対移動時に、両者の軸線が摺動面22aおよび摺動面26の幅方向にずれたりしない。
【0189】
また、図34に示すように、上記ガイド部27,27のそれぞれには、上記のように第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、第1移動体19に形成した第1傾斜面24,24に対向する第3傾斜面28,28を形成し、これら第1,3傾斜面24,28が正対する構造にしている。さらに、上記ガイド部27,27には、第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、第1移動体19に形成した第2傾斜面63,63に対向する第4傾斜面64,64を形成しているが、この第4傾斜面64,64は、上記第3傾斜面28,28と線対称にしている。そして、この第4傾斜面64,64も、第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、第1移動体19の第2傾斜面63と正対する構造にしている。
【0190】
ただし、上記第1,3傾斜面24,28が接触しているときには、第2,4傾斜面63,64間に間隔が維持され、上記第2,4傾斜面63,64が接触しているときには、第1,3傾斜面24,28間に間隔が維持される関係にしている。いずれにしても、両移動体19,20が相まって摺動体18を構成することになる。
【0191】
そして、図34の位置にある状態から、第1移動体19に矢印x1方向の力すなわち第1移動体19をケーシング本体10から引き出す方向の力を作用させ、第2移動体20には、矢印x1と反対方向の力矢印x2を作用させると、第1,3傾斜面24,28が接触し、第2,4傾斜面63,64が間隔を維持する。したがって、第1移動体19の移動力は、上記第1,3傾斜面24,28を介して第2移動体20に伝達され、摺動体18が矢印x1方向に移動する。
【0192】
上記のようにして第1移動体19および第2移動体20が矢印x1方向に移動すると、第1,3傾斜面24,28には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用し、その垂直方向の分力が、両移動体19,20を分離する方向の力yとなる。ただし、この第8実施形態においては、第2移動体20に作用する矢印x2方向の力は、その摺動抵抗ということになる。
【0193】
一方、第1移動体19に、上記した引き出し方向とは反対方向の力を作用させると、次のようになる。すなわち、第1移動体19には、矢印x1と反対方向の力である第1移動体19をケーシング本体10に押し込む方向の力を作用させ、第2移動体20には、矢印x2と反対方向の力を作用させると、第1,3傾斜面24,28に間隔が維持され、第2,4傾斜面63,64が接触する。したがって、第1移動体19の移動力は、上記第2,4傾斜面63,64を介して第2移動体20にも伝達され、摺動体18が矢印x1とは反対方向に移動する。
【0194】
上記のようにして第1移動体19および第2移動体20が矢印x1とは反対方向に移動すると、引き出す方向の力が作用したときと同様に、第2,4傾斜面63,64には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用し、その垂直方向の分力が、両移動体19,20を分離する方向の力yとなる。ただし、第2移動体20に作用する矢印x2と反対方向の力は、その摺動抵抗である。
つまり、引き出す方向に力が作用した場合にも、押し込む方向に力が作用した場合にも、第1移動体19および第2移動体20を分離する力yが作用する。
【0195】
さらに、上記第2移動体20には、ケーシング本体10に形成したテーパー面17,17に対向するテーパー面29,29と、上記ケーシング本体10に形成した天井面16に対向する対向面30とを備え、この第2移動体20の断面形状を前記制動溝15に対応する台形にしている。ただし、この第2移動体20を制動溝15に組み込んだとき、図35に示すように、上記天井面16と対向面30との間にわずかな間隔31が形成される関係にしている。このように間隔31を形成することによって、第2移動体20が制動溝15の深さ方向に移動可能になる。
この間隔31を形成した状態において、前記した力yが作用すると、この第2移動体20が、制動溝15により強く食い込むことになり、第2移動体20のテーパー面29と、制動溝15のテーパー面17との摩擦力がより大きくなる。このようにしたテーパー面29,29および対向面30とによって、この発明の制動部を構成している。
【0196】
一方、上記ケーシング本体10に形成した筒部14の円弧状の底部には、上記第1移動体19の連結部19aおよび作用部19bと曲率を同じくした円弧状の支持部35を設けている。このようにした支持部35には、上記連結部19aおよび作用部19bを載せるが、これによって、ケーシング本体10と第1移動体19との接触面積が少なくなり、その分、両者間の摺動抵抗が小さくなる。
【0197】
そして、摺動体18は、その第1移動体19の連結部19aおよび作用部19bをケーシング本体10の筒部14に組み込み、第2移動体20をケーシング本体10の制動溝15に組み込む。
上記のようにして摺動体18をケーシング本体10に組み込んだら、ケーシング本体10をキャップ11でふさぎ、このキャップ11に形成した図示しない爪部を、ケーシング本体10に形成した図示しない掛け止め凹部にはめる。このようにキャップ11の爪部を、ケーシング本体10の掛け止め凹部にはめることによって、キャップ11がケーシング本体10の開口部から外れないようにしている。
【0198】
上記ケーシング本体10に摺動体18を組み込むととともに、作用部19bをキャップ11に形成した軸孔21から外方に突出させる。
また、筒部14はその底部に支持部35を形成し、その支持部35の曲率を、連結部19aおよび作用部19bの曲率と同じにしているので、連結部19aおよび作用部19bはこの支持部35に支持されながら摺動することになる。
【0199】
次に、この第8実施形態の作用を説明する。
今、図34の位置にある状態から、作用部19bに矢印x1方向の力が作用すると、第1移動体19がケーシング本体10から引き出される方向に移動する。このように第1移動体19が移動を始めると、第1,3傾斜面24,28が接触し、第2,4傾斜面63,64間に間隔が維持された状態になる。
【0200】
このように第1,3傾斜面24,28を接触させた状態で、第1移動体19がさらに矢印x1方向に移動すれば、その移動力は、第1,3傾斜面24,28を介して第2移動体20にも伝達され、第2移動体20が共に移動する。このとき第2移動体20には、制動部と制動溝15との間での摺動抵抗が作用するので、第1移動体19の移動力である矢印x1方向の力と、上記摺動抵抗による矢印x2方向の力とが作用する。ただし、この両力矢印x1および矢印x2は、それらの方向が反対なので、第1傾斜面24と第3傾斜面28との間では、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。このように第2移動体20に垂直方向の分力が作用すると、第2移動体20はケーシング本体10の制動溝15側に押し付けられる。なぜなら、第1移動体19は支持部35に支持されて、それ以上軸に直交する方向に移動できないからである。
【0201】
一方、図34の位置にある状態から、作用部19bに矢印x1とは反対方向の力が作用すると、第1移動体19がケーシング本体10に押し込まれる方向に移動する。第1移動体19が移動を始めると、第1,3傾斜面24,28間に間隔が維持され、第2,4傾斜面63,64が接触した状態になる。
【0202】
このように第2,4傾斜面63,64を接触させた状態で、第1移動体19がさらに矢印x1の反対方向に移動すれば、その移動力は、第2,4傾斜面63,64を介して第2移動体20にも伝達され、第2移動体20が共に移動する。このとき第2移動体20には、制動部と制動溝15との間での摺動抵抗が作用するので、第1移動体19の移動力である矢印x1の反対方向の力と、上記摺動抵抗による矢印x2の反対方向の力とが作用する。
ただし、この両力矢印x1および矢印x2は、それらの方向が反対なので、第1傾斜面24と第3傾斜面28との間では、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。このように第2移動体20に垂直方向の分力が作用すると、第2移動体20はケーシング本体10の制動溝15側に押し付けられる。
【0203】
第2移動体20に上記のように制動溝15側に押し上げる力が作用すれば、特に、第2移動体20は、くさびを打ち込むと同様の原理で、第2移動体20のテーパー面29,29を制動溝15のテーパー面17,17に押し込むことになる。このときの押し込み力が、第2移動体20の摺動抵抗になるが、この第2移動体20の摺動抵抗は、第1移動体19に対しても摺動抵抗として作用する。したがって、このときの摺動抵抗が制動力となって、ダンピング力が発揮される。
すなわち、この第8実施形態では、摺動体18がケーシング本体10内から引き出される方向でも、押し込まれる方向でも、その両方向においてダンピング効果が発揮される。
【0204】
ただし、このときのダンピング力は、第1移動体19に作用する力の大きさと、その移動速度とによって異なる。すなわち、力が大きく、かつ、移動速度が速ければ、第2移動体20は制動溝15に一気に強く押し付けられるので、短時間で大きな制動力すなわちダンピング力が発揮される。しかし、第1移動体19に作用する力が小さく、しかも、その移動速度が遅ければ、第2移動体20は制動溝15に徐々にゆっくりと押し付けられるので、その制動力すなわちダンピング力はストロークに対応して徐々に大きくなっていく。
【0205】
上記のように力の大きさや移動速度に応じてダンピング力の発揮状況が異なるということは、その用途や使用状況に応じて、常に、適切なダンピング力を得ることができることを意味する。
【0206】
上記した第8実施形態によれば、第1実施形態と全く同じ効果を期待できるのは当然として、それ以外に、摺動体18の引き抜き方向でも、押し込み方向でも、どちらであってもダンピング効果を得ることができる。
【0207】
なお、上記第8実施形態では、ケーシング本体10に制動溝15を設け、摺動体18側に制動部を設けるようにしているが、第2実施形態のように、ケーシング本体10に制動部を設けて、摺動体18に制動溝を設けるようにしてもよい。また、第8実施形態においては、制動溝15には一対のテーパー面17,17を設けたが、何れか一方のみをテーパー面とし、他方を例えば垂直面にしてもよい。いずれにしても、制動溝15の深さ方向あるいは開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなればよい。ただし、この場合には、第2移動体20の制動部の形状も、その制動溝15の形状に対応させる必要がある。
さらに、第1傾斜面24,24と第2傾斜面63,63とを線対称にするとともに、第3傾斜面28と第4傾斜面64とを線対称にしているが、必ずしもそれらを線対称にする必要はない。要するに、上記第1,3傾斜面24,28が正対して、これらが接触することによって第2移動体20を押し付ける力を発揮することができ、第2,4傾斜面63,64が正対し、これらが接触したときに第2移動体20を押し付ける力を発揮できればよい。また、上記第1傾斜面24と第2傾斜面63あるいは第3傾斜面28と第4傾斜面64とを線対称にしなければ、第1移動体19の押し込み時と、引き抜き時では異なるダンピング効果を得ることができる。
【0208】
さらに、第1移動体19の第1傾斜面24と、第2移動体20の第3傾斜面28とで、この発明でいう変換構造を構成しているが、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけを傾斜面にしておけばよい。この点は、第1実施形態と全く同様である。
【0209】
図36は、この発明の第9実施形態を示したものである。この第9実施形態では、第1移動体19において、連結部19aの両側に作用部19b、19cを設けたものである。そして、作用部19cは、ケーシング本体10の底部に形成した軸孔65から外方に突出させている。その他は、前記第8実施形態と全く同じである。また、第8実施形態で用いた図35は、この第9実施形態と共通である。
【0210】
したがって、今、図36の位置にある状態から、作用部19bあるいは作用部19cに矢印x1方向の力が作用すると、第1移動体19が図36の矢印x1方向に移動する。このように第1移動体19が移動を始めると、第1,3傾斜面24,28が接触し、第2,4傾斜面63,64間に間隔が維持された状態になる。
【0211】
このように第1,3傾斜面24,28を接触させた状態で、第1移動体19がさらに矢印x1方向に移動すれば、その移動力は、第1,3傾斜面24,28を介して第2移動体20にも伝達され、第2移動体20が共に移動する。このとき第2移動体20には、制動部と制動溝15との間での摺動抵抗が作用するので、第1移動体19の移動力である矢印x1方向の力と、上記摺動抵抗による矢印x2方向の力とが作用する。
【0212】
ただし、この両力矢印x1の反対方向および矢印x2の反対方向は、それらの方向が反対なので、第1傾斜面24と第3傾斜面28との間では、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。このように第2移動体20に垂直方向の分力が作用すると、第2移動体20はケーシング本体10の制動溝15側に押し付けられる。なぜなら、第1移動体19は支持部35に支持されて、それ以上軸に直交する方向に移動できないからである。
【0213】
一方、図36の位置にある状態から、作用部19bあるいは19cに矢印x1とは反対方向の力が作用すると、第1移動体19が矢印x1とは反対方向に移動する。第1移動体19が移動を始めると、第1,3傾斜面24,28間に間隔が維持され、第2,4傾斜面63,64が接触した状態になる。
【0214】
このように第2,4傾斜面63,64を接触させた状態で、第1移動体19がさらに矢印x1の反対方向に移動すれば、その移動力は、第2,4傾斜面63,64を介して第2移動体20にも伝達され、第2移動体20が共に移動する。このとき第2移動体20には、制動部と制動溝15との間での摺動抵抗が作用するので、第1移動体19の移動力である矢印x1の反対方向の力と、上記摺動抵抗による矢印x2の反対方向の力とが作用する。
ただし、この両力矢印x1および矢印x2は、それらの方向が反対なので、第1傾斜面24と第3傾斜面28との間では、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。このように第2移動体20に垂直方向の分力が作用すると、第2移動体20はケーシング本体10の制動溝15側に押し付けられる。
【0215】
第2移動体20に上記のように制動溝15側に押し上げる力が作用すれば、特に、第2移動体20は、くさびを打ち込むと同様の原理で、第2移動体20のテーパー面29,29を制動溝15のテーパー面17,17に押し込むことになる。このときの押し込み力が、第2移動体20の摺動抵抗になるが、この第2移動体20の摺動抵抗は、第1移動体19に対しても摺動抵抗として作用する。したがって、このときの摺動抵抗が制動力となって、ダンピング力が発揮される。
すなわち、この第9実施形態では、摺動体18が矢印x1方向あるいはその反対方向のいずれに移動する場合にも、ダンピング効果が発揮される。
【0216】
上記した第9実施形態によれば、第1実施形態と全く同じ効果を期待できるのは当然として、それ以外に、摺動体18の引き抜き方向でも、押し込み方向でも、どちらであってもダンピング効果を得ることができる。
【0217】
なお、上記第9実施形態では、ケーシング本体10に制動溝15を設け、摺動体18側に制動部を設けるようにしているが、第2実施形態のように、ケーシング本体10に制動部を設けて、摺動体18に制動溝を設けるようにしてもよい。また、第9実施形態においては、制動溝15には一対のテーパー面17,17を設けたが、何れか一方のみをテーパー面とし、他方を例えば垂直面にしてもよい。いずれにしても、制動溝15の深さ方向あるいは開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなればよい。ただし、この場合には、第2移動体20の制動部の形状も、その制動溝15の形状に対応させる必要がある。
さらに、第1傾斜面24,24と第2傾斜面63,63とを線対称にするとともに、第3傾斜面28と第4傾斜面64とを線対称にしているが、必ずしも線対称にする必要はない。要するに、上記第1,3傾斜面24,28が正対して、これらが接触することによって第2移動体20を押し付ける力を発揮することができ、第2,4傾斜面63,64が正対し、これらが接触したときに第2移動体20を押し付ける力を発揮できればよい。また、上記第1傾斜面24と第2傾斜面63あるいは第3傾斜面28と第4傾斜面64とを線対称にしなければ、第1移動体19の押し込み時と、引き抜き時では異なるダンピング効果を得ることができる。
【0218】
さらに、第1移動体19の第1傾斜面24と第2移動体20の第3傾斜面28、第1移動体19の第傾斜面63と第2移動体20の第4傾斜面64のそれぞれで、この発明でいう変換構造を構成しているが、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけを傾斜面にしておけばよい。この点は、第1実施形態と全く同様である。
また、この第9実施形態においても、第1実施形態と全く同じ効果を期待できること当然である。
なお、第9実施形態を示した図36において、第8実施形態と同一の構成要素については、その第8実施形態と同一符号を用いている。
【0219】
図37〜39はこの発明の第10実施形態を示したものである。
この第10実施形態は、図示したように、一端を閉塞した筒状のケーシング本体10に、その他端側である開口部にキャップ11をかぶせているが、これらケーシング本体10とキャップ11とによって、この発明のケーシングを構成している。
【0220】
上記のようにしたケーシング本体10内には、その軸線方向に筒部14を備え、この筒部14に対向する天井面には制動部52を設けているが、これら筒部14と制動部52とは、その軸線を平行にして、筒部14に対して制動部52の軸線を偏心させている。このようにした筒部14は、制動部52との対向面である底部の内面形状を円弧にしている。
【0221】
また、制動部52は、図38からも明らかなように、ケーシング本体10の天井部分から吊り下げた状態の突部からなるものである。そして、その両側面にテーパー面53,53を形成している。このテーパー面53,53は、制動部52の断面形状において、両テーパー面の対向間隔が筒部14側に向かって徐々に広くなるようにしている。
【0222】
上記のようにしたケーシング本体10内には、図37に示すように、摺動体18を摺動可能に組み込むが、この摺動体18は、第1移動体19と第2移動体20とからなる。
上記第1移動体19は、連結部19aと、力が作用する作用部19bとを備えているが、これら連結部19aと作用部19bとは、一体的な一本の軸からなり、当然のこととしてそれらの軸線を同じくしている。そして、上記作用部19bは、この第1移動体19をケーシング本体10に組み込んだとき、キャップ11に形成した軸孔21からその外方に突出するようにしている。
【0223】
上記のようにした第1移動体19の連結部19aであって、第2移動体20に対向する側面に凸状部97を設けるとともに、この凸状部97には凹部98を形成している。この凹部98は、軸線に直交する方向において凸状部97を貫通させている。このようにした凹部97は、凸状部97の上側面(第2移動体20との対向面)および貫通側面を開口させるとともに、その貫通側面の開口形状を、第1傾斜面24と第2傾斜面63とを備えた台形にしている。そして、これら第1,2傾斜面24,63は、第2移動体20側に向かって、その対向間隔が狭くなるように傾斜させたもので、これら第1,2傾斜面24,63とは、その形状をほぼ線対称にしている。
【0224】
なお、図39に示すように、上記第1移動体19には、その軸線に沿ってシャフト穴54を形成し、この穴54内にはケーシング本体10の底部に固定的に設けた支持シャフト55が相対移動可能に挿入される構成にしている。このように支持シャフト55をシャフト穴54に挿入することによって、第1移動体19が、第2移動体20方向に浮き上がらないようにしている。
【0225】
一方、第2移動体20であって、第1移動体19との対向面には、図37に示したように、側面形状を台形にした台形突部95を設けているが、この台形突部95には第3傾斜面28と第4傾斜面64とを備えている。そして、これら第3傾斜面28と第4傾斜面64とは、第1移動体19側に向かってその対向間隔が拡がるように傾斜しているとともに、これら第3傾斜面28と第4傾斜面64とをほぼ線対称にしている。
【0226】
上記のようにした台形突部95は、上記凹部98の台形よりもやや小さい相似形とし、図37,39に示すように、台形突部95を凹部98にはめたとき、台形突部95の回りに間隔が保たれるとともに、上記第1傾斜面24と第3傾斜面28とが平行になり、第2傾斜面63と第4傾斜面64とが平行になる関係にしている。
【0227】
さらに、上記第2移動体20には、図38に示すように、制動溝57を形成しているが、この制動溝57は、ケーシング本体10の天井部に形成した制動部52とその断面形状を対応させている。すなわち、制動溝57の両側にはテーパー面58,58を形成しているが、このテーパー面58,58は、制動溝57の断面形状において、その開口側に向かって互いの対向間隔を狭くする形状にしたいわゆるアリ溝にしている。
【0228】
ただし、この第2移動体20の制動溝57に制動部52を組み込んだときには、図38に示すように、制動溝57の底面と制動部52の対向面との間にわずかな間隔59が形成される関係にしている。また、第2移動体20とケーシング本体10の天井面との間にも間隔60が形成される関係にしている。したがって、第2移動体20は、上記間隔59および60の範囲内で移動できることになる。
【0229】
一方、上記ケーシング本体10に形成した筒部14の円弧状の底部と、上記第1移動体19の連結部19aおよび作用部19bとの間には、間隔96が形成されるが、このように間隔96を形成しても、この第1移動体19を支持シャフト55と軸孔21によって確実に支持することができる。
【0230】
上記のようにした第1移動体19および第2移動体20を、ケーシング本体10に組み込むときには、第1移動体19の第1傾斜面24と第2移動体20の第3傾斜面28とを正対させるとともに、第1移動体19の第3傾斜面63と第2移動体20の第4傾斜面64とを正対させる。両移動体19,20をこのように組み合わせることによって、この発明の摺動体18が構成される。
【0231】
そして、摺動体18は、その第1移動体19の連結部19aおよび作用部19bをケーシング本体10の筒部14に組み込み、第2移動体20は、その制動溝57に制動部52を嵌合する。
上記のようにして摺動体18をケーシング本体10に組み込んだら、ケーシング本体10をキャップ11でふさぐ。このときキャップ11の軸孔21から作用部19bを突出させるとともに、キャップ11の図示しない爪部を、ケーシング本体10の図示しない掛け止め凹部にはめて、キャップ11がケーシング本体10から外れないようにする。
【0232】
次に、この第10実施形態の作用を説明する。
今、摺動体18が、図37に示す位置にある場合には、第2傾斜面63と第4傾斜面64とが接触し、第1傾斜面24と第3傾斜面28との間に間隔が維持される。この状態から、作用部19bに矢印x1方向の力が作用すると、第1移動体19が矢印x1方向に移動する。第1移動体19が矢印x1方向に移動を始めると、今度は、第1傾斜面24と第3傾斜面28とが接触し、第2傾斜面63と第4傾斜面64との間に間隔が維持された状態になる。
【0233】
このように第1傾斜面24と第3傾斜面28とを接触させた状態で、第1移動体19がさらに矢印x1方向に移動すれば、その移動力は、第1傾斜面24および第3傾斜面28を介して第2移動体20にも伝達され、第2移動体20が共に移動する。このとき第2移動体20には、その制動溝57と制動部52との間での摺動抵抗が作用するので、第1移動体19の移動力である矢印x1方向の力と、上記摺動抵抗による矢印x2方向の力とが作用する。
【0234】
ただし、この両矢印方向の力x1およびx2は、反対方向になるので、第1傾斜面24および第3傾斜面28の間では、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。このように第2移動体20に垂直方向の分力が作用すると、第2移動体20は第1移動体19方向に引き寄せられる。このとき、第1移動体19は支持シャフト55で支持されているので、浮き上がったりしない。
【0235】
上記のように第2移動体20が第1移動体19側に引き寄せられると、制動部52のテーパー面53,53と、制動溝57のテーパー面58,58との接触力がより強くなるので、このときの接触力が、第2移動体20の摺動抵抗になる。この第2移動体20の摺動抵抗は、第1移動体19に対しても摺動抵抗として作用する。言い換えると、この摺動抵抗が制動力となって、ダンピング力が発揮されることになる。
【0236】
ただし、このときのダンピング力は、第1移動体19に作用する力の大きさと、その移動速度とによって異なる。すなわち、力が大きく、かつ、移動速度が速ければ、制動部52のテーパー面53,53と制動溝57のテーパー面58,58とが一気に強く押し付けられるので、短時間で大きな制動力すなわちダンピング力が発揮される。しかし、第1移動体19に作用する力が小さく、しかも、その移動速度が遅ければ、制動部52のテーパー面53,53と制動溝57のテーパー面58,58とは、徐々にゆっくりと押し付けられるので、その制動力すなわちダンピング力はストロークに対応して徐々に大きくなっていく。
【0237】
上記のように力の大きさや移動速度に応じてダンピング力の発揮状況が異なるということは、その用途や使用状況に応じて、常に、適切なダンピング力を得ることができることを意味する。
【0238】
一方、摺動体18が上記のように矢印x1方向に移動した後に、今度は、矢印x1とは反対の方向に移動した場合、接触していた第1傾斜面24と第3傾斜面28とが離れ、第2傾斜面63と第4傾斜面64とが接触する。
このように第2,4傾斜面63,64を接触させた状態で、第1移動体19がさらに矢印x1の反対方向に移動すれば、その移動力は、第2,4傾斜面63,64を介して第2移動体20にも伝達され、第2移動体20が共に移動する。このとき第2移動体20には、制動部と制動溝57との間での摺動抵抗が作用するので、第1移動体19の移動力である矢印x1の反対方向の力と、上記摺動抵抗による矢印x2の反対方向の力とが作用する。
ただし、この両矢印方向の力x1およびx2は、反対方向になるので、第傾斜面63と第傾斜面64との間では、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。このように第2移動体20に垂直方向の分力が作用すると、第2移動体20は第1移動体19方向に引き寄せられる。
【0239】
上記のように第2移動体20が第1移動体19側に引き寄せられると、制動部52のテーパー面53,53と、制動溝57のテーパー面58,58との接触力がより強くなるので、このときの接触力が、第2移動体20の摺動抵抗になる。この第2移動体20の摺動抵抗は、第1移動体19に対しても摺動抵抗として作用する。言い換えると、このときの摺動抵抗が制動力となって、ダンピング力が発揮されることになる。
すなわち、この第10実施形態では、摺動体18が矢印x1方向あるいはその反対方向のいずれに移動する場合にも、ダンピング効果が発揮される。
また、この第10実施形態では、第1実施形態と全く同じ効果を期待できるのは当然である。
【0240】
なお、上記第10実施形態において、制動溝57に一対のテーパー面58,58を設けたが、何れか一方のみをテーパー面とし、他方を例えば垂直面にしてもよい。いずれにしても、制動溝57の開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなればよい。ただし、この場合には、制動部52の形状も、その制動溝57の形状に対応させる必要がある。
さらに、第1傾斜面24,24と第2傾斜面63,63とを線対称にして、第3傾斜面28と第4傾斜面64とを線対称にしているが、必ずしも線対称にする必要はない。要するに、上記第1,3傾斜面24,28が正対して、これらが接触することによって第2移動体20を第1移動体19側に押し付ける力を発揮することができ、第2,4傾斜面63,64が正対し、これらが接触したときに第2移動体20を第1移動体19側に押し付ける力を発揮できればよい。また、上記第1傾斜面24と第2傾斜面63あるいは第3傾斜面28と第4傾斜面64とを線対称にしなかった場合には、第1移動体19の押し込み時と、引き抜き時では異なるダンピング効果を得ることができる。
【0241】
さらに、第1移動体19の第1傾斜面24と、第2移動体20の第3傾斜面28、あるいは、第1移動体19の第傾斜面63と、第2移動体20の第4傾斜面64とで、この発明でいう変換構造を構成しているが、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけを傾斜面にしておけばよい。この点は、第1実施形態と全く同様である。
【0242】
図40〜42はこの発明の第11実施形態を示したものである。
この第11実施形態は、図40に示したように、一端を閉塞した筒状のケーシング本体10は、その他端側である開口部にキャップ11をかぶせているが、これらケーシング本体10とキャップ11とによって、この発明のケーシングを構成している。
【0243】
上記のようにしたケーシング本体10内には、図41に示すように、その軸中心線上に、断面形状をほぼ四角形にした筒部14を形成し、この四角形の向かい合う辺に対応する位置に制動溝15,15を形成している。これら筒部14と制動溝15,15とは、その軸線を平行にして、筒部14に対して制動溝15,15の軸線を偏心させている。また、これら筒部14および制動溝15,15は、その上下方向において互いに連続させている。
【0244】
上記各制動溝15は、その構成が同じなので、一方の制動溝15についてのみ説明する。図41に示したように、筒部14との上下方向の対向面である天井面16を平坦にするとともに、この制動溝15の両側面をテーパー面17,17とし、かつ、これらテーパー面17,17は、筒部14側すなわち制動溝15の開口側に向かってそれらの対向間隔が徐々に広くなるようにしている。言い換えると、制動溝15は、その天井面16に向かって溝幅が徐々に狭くなるようにして、その断面形状を台形にしている。
【0245】
このようにしたケーシング本体10内には摺動体18を摺動可能に組み込むが、この摺動体18は、図40に示したように、第1移動体19と第2移動体20,20とからなる。
上記第1移動体19は、連結部19aと、力が作用する作用部19bとを備えているが、その連結部19aは、図41に示したようにその断面形状を四角形にしている。そして、この連結部19aの左右方向に対向する辺に対応する面66上に図40に示した突部23を設けている。
【0246】
また、図41に示すように、上記連結部19aの上下方向に対向する面を平坦な摺動面22aとしている。さらに、この摺動面22aの両側に、図40に示した一対の突部23,23が位置するようにしている。そして、この突部23,23の頂部23a,23aを、上記摺動面22aよりも上方、すなわち第2移動体20方向に突出させている。
【0247】
さらに、この突部23,23には、上記頂部23a,23aから連続する第1傾斜面24,24を形成しているが、この第1傾斜面24,24は連結部19aの端部に向かって徐々に低くなるようにしている。また、この第1傾斜面24,24とは反対側にも、この傾斜面24,24と平行な第2傾斜面44,44を形成している。
【0248】
なお、上記第1移動体19には、図42に示すように、その軸線に沿ってスプリング受け穴32を形成し、この穴32内にスプリング33を組み込むようにしている。そして、スプリング受け穴32に組み込まれたスプリング33は、その一端をケーシング本体10の底部に形成した凹部34に一致させ、第1移動体19をキャップ11側に押す初期荷重を作用させるものである。
【0249】
また、上記作用部19bは、丸棒状の軸からなり、図40に示したように、この作用部19bをキャップ11に形成した軸孔21からケーシング本体10の外方に突出させている。
【0250】
一方、第2移動体20には、図41に示すように摺動面26を備えているが、この各摺動面26はその幅を上記第1移動体19の各摺動面22aと同じにしている。そして、この各摺動面26の両側に、一対のガイド部27,27を突出させている。この一対のガイド部27,27の対向間隔は、第1移動体19の摺動面22aの幅とほぼ一致させている。言い換えると、摺動面22a,26をぴったり一致させて第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、上記摺動面22aがガイド部27,27間に摺動自在にはめ込まれるようにしている。したがって、両移動体19,20の相対移動時に、それらの位置関係がずれたりしない。言い換えると、両移動体19,20の相対移動時に、両者の軸線が各摺動面22aおよび摺動面26の幅方向にずれたりしない。
【0251】
また、上記ガイド部27,27のそれぞれには、上記のように第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、第1移動体19に形成した第1傾斜面24,24に対向する第3傾斜面28,28を形成し、これら各第1,3傾斜面24,28が正対して接触できる構造にしている。さらに、上記ガイド部27,27には、第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、第1移動体19に形成した各第2傾斜面44,44に対向する第4傾斜面45,45を形成しているが、各第4傾斜面45,45は、上記各第3傾斜面28,28と平行にしている。そして、各第4傾斜面45,45も、第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、第1移動体19の第2傾斜面44と正対して接触できる構造にしている。
【0252】
ただし、上記各第1,3傾斜面24,28と第2,4傾斜面44,45とは図40に示すような関係にしている。すなわち、上記各第1,3傾斜面24,28が接触しているときには、各第2,4傾斜面44,45間に間隔が維持され、上記第2,4傾斜面44,45が接触しているときには、第1,3傾斜面24,28間に間隔が維持される関係にしている。そして、両移動体19,20が図40に示すノーマル位置にあるときには、各第2,4傾斜面44,45が接触し、第1,3傾斜面24,28間に間隔が維持される関係にしている。
【0253】
さらに、図41に示したように、上記第2移動体20には、ケーシング本体10に形成したテーパー面17,17に対向するテーパー面29,29と、上記ケーシング本体10に形成した天井面16に対向する対向面30とを備え、この第2移動体20の断面形状を前記制動溝15に対応する台形にしている。ただし、この第2移動体20を制動溝15に組み込んだとき、上記天井面16と対向面30との間にわずかな間隔31が形成される関係にしている。
また、このようにしたテーパー面29,29および対向面30とによって、この発明の制動部を構成している。
【0254】
上記のようにした第1移動体19および第2移動体20を、ケーシング本体10に組み込むためには、両移動体19,20の摺動面22a,26を一致させるとともに、両移動体19,20の第1,3傾斜面24と28および第2,4傾斜面44と45とを正対させた状態で、両移動体19,20を組み合わせる(図40参照)。なお、両移動体19,20を上記のように組み合わせることによって、この発明の摺動体18が構成される。
このようにして構成された摺動体18には、図42に示すように、その第1移動体19に形成したスプリング受け穴32にスプリング33をあらかじめ組み込んでおく。
【0255】
そして、摺動体18は、その第1移動体19の連結部19aおよび作用部19bをケーシング本体10の筒部14に組み込み、第2移動体20をケーシング本体10の制動溝15に組み込むが、このときスプリング受け穴32に組み込んだスプリング33をたわませる。
上記のようにして摺動体18をケーシング本体10に組み込んだら、ケーシング本体10をキャップ11でふさぐ。このときキャップ11の軸孔21から作用部19bを突出させるようにしている。
【0256】
しかも、前記したように第1移動体19に組み込んだスプリング33をたわませているので、そのバネ力は、第2,4傾斜面44,45を介して第2移動体20にも作用する。したがって、第1移動体19および第2移動体20のそれぞれは、スプリング33のバネ力の作用で、図40に示すノーマル位置を保つ。すなわち、このノーマル位置において、第2移動体20が、キャップ11に接するとともに、作用部19bがキャップ11に形成した軸孔21から外方に突出する。
【0257】
上記のようにケーシング本体10に摺動体18を組み込むが、これらケーシング本体10と摺動体18の各構成要素との相対関係は次の通りである。
すなわち、摺動体18を上記のようにしてケーシング本体10に組み込んだときには、図40に示すノーマル位置において、第2移動体20が、その第4傾斜面45を、第1移動体19に形成した第2傾斜面44に接触させるとともに、図41に示すように、上記第2移動体20のテーパー面29,29を、ケーシング本体10に形成したテーパー面17,17に接触させる。
【0258】
そして、上記のように第2移動体20をケーシング本体10の制動溝15に組み込んで、それらのテーパー面29,29および17,17を接触させた状態では、その制動溝15に形成した天井面16と、第2移動体20に形成した対向面30との間には、間隔31が形成されること前記したとおりである。このように間隔31を形成することによって、第2移動体20が制動溝15の深さ方向に移動が可能になる。
【0259】
次に、この第11実施形態の作用を説明する。
今、図40に示すノーマル位置にあれば、各第2,4傾斜面44,45が接触し、第1,3傾斜面24,28間に間隔が維持された状態にある。この状態から、作用部19bに矢印x1方向の力が作用すると、第1移動体19がスプリング33のバネ力に抗して矢印x1方向に移動する。このように第1移動体19が移動を始めると、今度は、各第1,3傾斜面24,28が接触し、第2,4傾斜面44,45間に間隔が維持された状態になる。
【0260】
このように各第1,3傾斜面24,28を接触させた状態で、第1移動体19がさらに矢印x1方向に移動すれば、その移動力は、各第1,3傾斜面24,28を介して第2移動体20にも伝達され、各第2移動体20が共に移動する。このとき各第2移動体20には、制動部と制動溝15との間での摺動抵抗が作用するので、第1移動体19の移動力である矢印x1方向の力と、摺動抵抗による矢印x2方向の力とが作用する。
【0261】
ただし、この両力矢印x1および矢印x2は、それらの方向が反対なので、各第1傾斜面24と第3傾斜面28との間では、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。このように第2移動体20に垂直方向の分力が作用すると、各第2移動体20は、力yの作用によってケーシング本体10の制動溝15側に押し付けられる。
【0262】
上記第2移動体20に上記のように制動溝15側に押し付ける力が作用すれば、特に、各第2移動体20の上記移動方向前方は、くさびを打ち込むと同様の原理で、第2移動体20のテーパー面29,29を制動溝15のテーパー面17,17に押し込むことになる。このときの押し込み力が、第2移動体20の摺動抵抗になるが、この第2移動体20の摺動抵抗は、第1移動体19に対しても摺動抵抗として作用する。したがって、このときの摺動抵抗が制動力となって、ダンピング力が発揮される。
このとき、2つの各第2移動体20でダンピング力が発揮されるので、この第2移動体20がひとつの場合に比べて大きなダンピング力が発揮されることになる。
【0263】
ただし、このときのダンピング力は、第1移動体19に作用する力の大きさと、その移動速度とによって異なる。すなわち、力が大きく、かつ、移動速度が速ければ、各第2移動体20は制動溝15に一気に強く押し付けられるので、短時間で大きな制動力すなわちダンピング力が発揮される。しかし、第1移動体19に作用する力が小さく、しかも、その移動速度が遅ければ、各第2移動体20は制動溝15に徐々にゆっくりと押し付けられるので、その制動力すなわちダンピング力はストロークに対応して徐々に大きくなっていく。
【0264】
上記のように力の大きさや移動速度に応じてダンピング力の発揮状況が異なるということは、その用途や使用状況に応じて、常に、適切なダンピング力を得ることができることを意味する。
【0265】
一方、摺動体18がダンパ効果を発揮しながらケーシング本体10内を移動した後に、作用部19bに作用していた力が、スプリング33のバネ力よりも小さくなれば、今度は、第1移動体19が、スプリング33のバネ力で図40に示すノーマル位置に復帰する方向に移動する。このとき、第1傾斜面24と第3傾斜面28とは離れ、第2傾斜面44と第4傾斜面45とが接触する。したがって、第2,4傾斜面44,45の間には、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。ただし、この垂直方向の分力は、図40に示すy方向とは反対になる。
【0266】
このようにスプリング33のバネ力で、摺動体18が復帰するときには、各第2移動体20には、それを第1移動体19側に引きつける力が作用するが、この力は、各第2移動体20を制動溝15から引き離す方向の力になるので、前記した第2移動体20と制動溝15との押し付け力が小さくなり、その分、制動力も小さくなる。したがって、摺動体18はスプリング33のバネ力でスムーズにノーマル位置に復帰することができる。
【0267】
上記した第11実施形態によれば、第1実施形態と全く同じ効果を期待できるのは当然として、それ以外に、復帰時に制動部を制動溝15から引き離して、摺動体18をスムーズに移動できるという効果を発揮させることができる。つまり、その復帰速度を速くして、衝撃力の受け容れ体勢を速やかに整えることができる。
さらに、制動部および制動溝15を2組設けることとしたので、その分、大きなダンピング効果を得ることができる。
【0268】
なお、上記第11実施形態では、ケーシング本体10に制動溝15を設け、摺動体18側に制動部を設けるようにしているが、第2実施形態のように、ケーシング本体10に制動部を設けて、摺動体18に制動溝を設けるようにしてもよい。
また、第11実施形態においては、制動溝15には一対のテーパー面17,17を設けたが、何れか一方のみをテーパー面とし、他方を例えば垂直面にしてもよい。いずれにしても、制動溝15の深さ方向あるいは開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなればよい。ただし、この場合には、第2移動体20の制動部の形状も、その制動溝15の形状に対応させる必要がある。
【0269】
さらに、第1移動体19の第1傾斜面24と、第2移動体20の第3傾斜面28とで、この発明でいう変換構造を構成しているが、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけを傾斜面にしておけばよい。この点は、第1、2実施形態と全く同様である。
さらに、第1移動体19の第2傾斜面44と、第2移動体20の第4傾斜面45とで、この発明の解放構造を構成しているが、上記変換構造の場合と同様に、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけが傾斜面になっていればよい。この関係は、変換構造を構成する第1傾斜面24と第3傾斜面28と全く同じである。
【0270】
また、上記第1傾斜面24,24と第2傾斜面44,44とを平行にして、さらに第3傾斜面28,28と第4傾斜面45,45とを平行にしているが、必ずしもこれらを平行にする必要はない。要するに、第1傾斜面24,24が第3傾斜面28に正対し、これら第1および第3傾斜面24,28によって、第2移動体20を制動溝15に押し付ける力を発揮できればよい。また、第2傾斜面44,44が第4傾斜面45,45に正対し、これら第2および第4傾斜面44,45によって、上記押し付け力を解除できるような構成であればよい。
【0271】
図43、44はこの発明の第12実施形態を示したものである。
図43に示したように、一端を閉塞した筒状のケーシング本体10は、その他端側である開口部にキャップ11をかぶせているが、これらケーシング本体10とキャップ11とによって、この発明のケーシングを構成している。
【0272】
上記のようにしたケーシング本体10内には、その軸中心線上に、断面形状を四角形にした筒部14を形成し、この四角形の各辺に対応する位置に制動溝15を形成している。これら筒部14と制動溝15とは、その軸線を平行にして、筒部14に対して制動溝15の軸線を偏心させている。また、これら筒部14および制動溝15は、その図43中の上下方向において互いに連続させている。
【0273】
上記制動溝15は、図44に示したように、筒部14との対向面である天井面16を平坦にするとともに、この制動溝15の両側面をテーパー面17,17とし、かつ、これらテーパー面17,17は、筒部14側すなわち制動溝15の開口側に向かってそれらの対向間隔が徐々に広くなるようにしている。言い換えると、制動溝15は、その天井面16に向かって溝幅が徐々に狭くなるようにして、その断面形状を台形にしている。
【0274】
このようにしたケーシング本体10内には摺動体18を摺動可能に組み込むが、この摺動体18は、第1移動体19と第2移動体20とからなる。
上記第1移動体19は、連結部19aと、力が作用する作用部19bとを備えているが、その連結部19aは断面形状を四角形にしている。そして、この連結部19aの各辺に対応する面66上には突部23を設け、その幅は、上記面66の幅と一致させている。
また、連結部19aに形成した各突部23には制動溝15側に位置する頂部23aから連続する傾斜面24を形成しているが、これら各傾斜面24は上記頂部23aから連結部19aの端部に向かって徐々に低くなるようにしている。
【0275】
このようにした連結部19aには、その軸中心線上にシャフト穴54を形成しているが、このシャフト穴54はケーシング本体10の底部側に開口させている。また、このシャフト穴54に対応したケーシング本体10の底部には、支持シャフト55を設け、この支持シャフト55を上記シャフト穴54に挿入し、支持シャフト55に対して連結部19aを移動可能にしている。
【0276】
一方、上記作用部19bは、丸棒状の軸からなり、シャフト穴54の開口とは反対側に設けている。この作用部19bはキャップ11に形成した軸孔21からケーシング本体10の外方に突出させている。
したがって、摺動体18は軸孔21と支持シャフト55によって移動可能に支持される。
【0277】
上記のようにした摺動体18の連結部19aと作用部19bとを一体にし、それらの軸線を同じくしている。ただし、連結部19aと作用部19bとの境界部分には、両者の異形によって段差部67が形成される。この段差部67は摺動体18が図43に示したノーマル位置にあるとき、キャップ11に当たり、連結部19aがキャップ11外に抜け出るのを防止している。また、段差部67がキャップ11に当たった状態において、支持シャフト55の先端がシャフト穴54の開口部分に挿入される寸法関係を維持している。
【0278】
一方、図44に示すように、上記第2移動体20には、ケーシング本体10に形成したテーパー面17,17に対向するテーパー面29,29と、上記ケーシング本体10に形成した天井面16に対向する対向面30とを備え、この第2移動体20の断面形状を前記制動溝15に対応する台形にしている。ただし、この第2移動体20を制動溝15に組み込んだとき、上記天井面16と対向面30との間にわずかな間隔31が形成される関係にしている。
【0279】
上記のようにした第2移動体20であって、第1移動体19の面66と対向する面68には、支持突部69を形成している。この支持突部69は、第1,2移動体19,20を重ね合わせたとき、支持突部69に形成した頂部70が第1移動体19の面66に接する関係にしている。
さらに、この支持突部69には、上記のように第1,2移動体19,20を重ね合わせたときに、第1移動体19の傾斜面24と点対称となる傾斜面71を形成するとともに、これら傾斜面24と71とが正対する構造にしている。
【0280】
また、上記各第2移動体20には、その軸線に沿ってスプリング受け穴32を形成し、この各穴32内にスプリング33を組み込むようにしている。そして、各スプリング受け穴32に組み込まれたスプリング33は、その一端をケーシング本体10の底部に形成した凹部34に一致させ、第2移動体20をキャップ11側に押す初期荷重を作用させるものである。
【0281】
上記スプリング33の作用で、摺動体18が図43に示すノーマル位置にあるとき、前記段差部67がキャップ11に当たり、支持シャフト55の先端がシャフト穴54の開口部分に挿入される。また、この状態において、第2移動体20がキャップ11に接触するとともに、すべての傾斜面24と71とが接触した状態を保つ関係にしている。
【0282】
次に、この第12実施形態の作用を説明する。
今、図43に示すノーマル位置から、作用部19bに矢印x1方向の力が作用すると、第1移動体19全体が、上記力の方向である矢印x1方向に移動する。第1移動体19が移動すれば、その移動力は、各傾斜面24,71を介して第2移動体20にも伝達され、第2移動体20もスプリング33のバネ力に抗して移動する。したがって、第2移動体20には、第1移動体19の移動力である矢印x1方向の力と、スプリング33のバネ力である矢印x2方向の力とが作用する。
【0283】
ただし、この両力矢印x1および矢印x2は、それらの方向が反対なので、各傾斜面24と傾斜面71との間では、垂直方向の分力と水平方向の分力とが作用する。このように第2移動体20に垂直方向の分力が作用すると、第2移動体20はケーシング本体10の制動溝15側に押し付けられる。なぜなら、第1移動体19は軸孔21と支持シャフト55とに支持されてそれ以上軸に直交する方向に移動できないからである。
【0284】
上記各第2移動体20に上記のように制動溝15側に押し上げる力が作用すれば、第2移動体20はくさびを打ち込むと同様の原理で、第2移動体20のテーパー面29,29を制動溝15のテーパー面17,17に押し込むことになる。このときの押し込み力が、第2移動体20の摺動抵抗になるが、この第2移動体20の摺動抵抗は、第1移動体19に対しても摺動抵抗として作用する。したがって、このときの摺動抵抗が制動力となって、ダンパ効果が発揮される。
【0285】
ただし、このときのダンピング力は、第1移動体19に作用する力の大きさと、その移動速度とによって異なる。すなわち、力が大きく、かつ、移動速度が速ければ、第2移動体20は制動溝15に一気に強く押し付けられるので、短時間で大きな制動力すなわちダンピング力が発揮される。しかし、第1移動体19に作用する力が小さく、しかも、その移動速度が遅ければ、第2移動体20は制動溝15に徐々にゆっくりと押し付けられるので、その制動力すなわちダンピング力はストロークに対応して徐々に大きくなっていく。
【0286】
上記のように力の大きさや移動速度に応じてダンピング力の発揮状況が異なるということは、その用途や使用状況に応じて、常に、適切なダンピング力を得ることができることを意味する。
【0287】
上記した第12実施形態によれば、第1実施形態と全く同じ効果を期待できるのは当然として、それ以外に、上記第1移動体19が軸孔21と、支持シャフト55とで支持されるので、この第1移動体19の中心がぶれることがない。したがって、この第1移動体19は安定して移動することができる。
【0288】
このように第1移動体19が安定して移動することができるので、この第1移動体19に関連して移動するすべての第2移動体20の動きも安定化させることができる。したがって、すべての第2移動体20の制動力を一定に保つことができるし、各第2移動体20の制動力を等しくすることもできる。このように各第2移動体20の制動力を等しくできるので、目的とするダンピング力を確実に得ることができる。
また、当然のこととして、第1移動体19の周囲に放射状に複数の第2移動体20を設けたので、この第2移動体20の数分だけ、全体のダンピング力を大きくすることができる。
【0289】
なお、上記第12実施形態では、ケーシング本体10に制動溝15を設け、摺動体18側に制動部を設けるようにしているが、第2実施形態のように、ケーシング本体10に制動部を設けて、摺動体18に制動溝を設けるようにしてもよい。
また、第12実施形態においては、制動溝15には一対のテーパー面17,17を設けたが、何れか一方のみをテーパー面とし、他方を例えば垂直面にしてもよい。いずれにしても、制動溝15の深さ方向あるいは開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなればよい。ただし、この場合には、第2移動体20の制動部の形状も、その制動溝15の形状に対応させる必要がある。
【0290】
さらに、第1移動体19の傾斜面24と、第2移動体20の傾斜面71とで、この発明でいう変換構造を構成しているが、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけを傾斜面にしておけばよい。この点は、第1実施形態と全く同様である。
【0291】
図45に示した第13実施形態は、放射状に複数の第2移動体20を設けた点は、第12実施形態と全く同様である。ただし、図示のノーマル位置において接触する傾斜面と、接触せずに離れた関係を保つ傾斜面を備えた点が、第12実施形態と相違する。なお、一対の傾斜面24,71を一組として、上記接触する傾斜面あるいは接触しない傾斜面としている。
【0292】
すなわち、この第13実施形態では、ノーマル位置にある第1移動体19がスプリング33のバネ力に抗して移動する過程で、離れていた傾斜面24,71同士が接触する構成にしている。このようにすることによって、ストロークに対応して制動力を大きくしていくことができる。例えば、一組の傾斜面24,71だけをノーマル位置で接触させておき、その他の組の傾斜面24,71は、第1移動体19のストロークに応じて順次接触させる。このようにした場合には、摺動体18の移動ストロークに応じて、ダンピング力は4段階を経て順次大きくなる。
【0293】
また、対角線上に位置する二組の傾斜面24,71をノーマル位置で接触させておき、他の二組の傾斜面24,71をあらかじめ離しておくこともできる。このようにした場合には、ダンピング力は2段階で大きくなる。なお、上記離れている二組の傾斜面24,71同士あるいは、接触している二組の傾斜面24,71同士を必ずしも対角線上に位置させる必要はない。ただし、対角線上に位置させた方が全体のバランスがよくなるという利点がある。
上記以外は、第12実施形態と全く同じ効果を期待することができる。
また、上記第12実施形態と同様の構成要素について、この第12実施形態と同じ符号を用いている。
【0294】
なお、上記第13実施形態では、ケーシング本体10に制動溝15を設け、摺動体18側に制動部を設けるようにしているが、第2実施形態のように、ケーシング本体10に制動部を設けて、摺動体18に制動溝を設けるようにしてもよい。
また、第13実施形態においては、制動溝15には一対のテーパー面17,17を設けたが、何れか一方のみをテーパー面とし、他方を例えば垂直面にしてもよい。いずれにしても、制動溝15の深さ方向あるいは開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなればよい。ただし、この場合には、第2移動体20の制動部の形状も、その制動溝15の形状に対応させる必要がある。
【0295】
さらに、第1移動体19の傾斜面24と、第2移動体20の傾斜面71とで、この発明でいう変換構造を構成しているが、上記第1移動体19と第2移動体20との何れか一方だけを傾斜面にしておけばよい。この点は、第1実施形態と全く同様である。
また、上記第1〜第13実施形態において、第1移動体19の突部および第2移動体20のガイド部にそれぞれ傾斜面を設け、これら傾斜面を接触させるようにしているが、要するに、第1移動体19の移動力を第2移動体20に伝達することができれば、上記のような構成でなくてもよい。すなわち、上記第1移動体19と第2移動体20とが相対移動するときの接触面に、互いが離反するような、あるいは、互いに接近するような傾斜面を設ければよい。例えば、上記第1移動体19の摺動面を傾斜面にして、第2移動体20の摺動面を傾斜面にすれば、上記突部あるいはガイド部を特別に設ける必要はない。
【0296】
図46〜49はこの発明の第14実施形態を示したものである。
図示したように、一端を閉塞した筒状のケーシング本体10と、開口した他端に被せるキャップ11とによって、この発明でいうケーシングを形成している。上記のようにケーシングを構成するキャップ11には、その両側面に一対の引っ掛け片11aを設け、この引っ掛け片11aの先端に爪部11bを形成している。
【0297】
また、ケーシング本体10の開口部の両側には、キャップ11をケーシング本体10にかぶせたとき、上記引っ掛け片11aが、ぴったりとはまる一対の溝12を形成している。そして、この溝12には掛け止め凹部13を形成し、上記のように引っ掛け片11aを溝12にぴったりとはめたとき、掛け止め凹部13に爪部11bがはまる構成にしている。このように引っ掛け片11aの爪部11bを、掛け止め凹部13にはめることによって、キャップ11がケーシング本体10の開口部から外れないようにしている。
【0298】
上記のようにしたケーシング本体10は、図からも明らかなように、筒部14と制動溝15とを備えるとともに、これら筒部14と制動溝15との間にガイド溝72,72を設けている。そして、上記筒部14と制動溝15との軸線を平行にし、筒部14に対して制動溝15を偏心させている。また、これら筒部14と制動溝15とは、ガイド溝72,72を介して連続させている。
【0299】
上記のようにした筒部14は、制動溝15との対向面である底部の内面形状を円弧にしている。また、制動溝15は、筒部14との対向面である天井面16を平坦にするとともに、この制動溝15の両側面をテーパー面73,73としている。そして、このテーパー面73,73は、筒部14側すなわち制動溝15の開口に向かってそれらの対向間隔が徐々に狭くなるように傾斜させている。
【0300】
このようにしたケーシング本体10内には摺動体18を摺動可能に組み込むが、この摺動体18は、連結部18aと、軸部18bと、制動部74とを備えるとともに、上記連結部18aと制動部74との間に突条部75,75を設けている。
【0301】
上記連結部18aと軸部18bとは同一軸線上に一体に設けているが、これら連結部18aおよび軸部18bとが相まって、この発明の作用部を構成する。また、上記連結部18aには、制動部74を連接しているが、これら連結部18aと制動部74とは、その軸線が平行になるようにして、制動部74を連結部18aおよび軸部18bに対して偏心させている。
【0302】
さらに上記制動部74には、その両側に上記制動溝15のテーパー面73,73に対応するテーパー面76,76を備えるとともに、天井面16に対向する上面77を備えている。
【0303】
このようにした摺動体18は、その連結部18aを筒部14に組み込み、突条部75をガイド溝72に組み込み、制動部74を制動溝15に組み込んでいるが、これら摺動体18の各構成要素と、ケーシング本体10との相対関係は次の通りである。
【0304】
すなわち、摺動体18を上記のようにしてケーシング本体10に組み込んだときには、図47,48に示す位置関係において、摺動体18のテーパー面76,76が、ケーシング本体10に形成したテーパー面73,73に対向する関係にしている。また、この状態において、制動部74の上面77が、制動溝15の天井面16側に対向する関係にしている。
そして、上記のように制動部74を制動溝15に組み込んで、それらのテーパー面76,76および73,73を接触させた状態では、その制動部74の上面77と、制動溝15に形成した天井面16との間に、間隔31が形成される構成にしている。
【0305】
また、筒部14はその底部の内面形状を円弧にしているが、連結部18aの底部の形状も、この筒部14の内面形状に対応させて円弧にしている。ただし、上記のように摺動体18をケーシング本体10に組み込んだ状態においては、これら連結部18aと筒部14の底部との間に間隔78が形成される関係にしている。
【0306】
そして、軸部18bに、図47に示す軸方向の力Fが作用すると、前記したように軸部18bに対して制動部74が偏心しているので、制動部74に対しては、上記力Fは、偏荷重として作用する。つまり、制動部74には、軸部18bとは反対端の突条部75とガイド溝72との接触点を支点にした矢印f1方向の偏荷重が作用する。
【0307】
上記f1方向の偏荷重によって、制動部74が上記接触点を支点にして若干傾斜するとともに、上記接触点とは反対側には、それを図48に示す矢印f2方向に押し下げる力が作用する。一方、上記支点側には、それを矢印f2とは反対方向に押し上げる力が作用する。そして、上記押し下げ力は、くさびを打ち込むと同様の原理で、制動部74のテーパー面76,76を制動溝15のテーパー面73,73に押し込むことになる。このときの押し込み力が、摺動抵抗になって制動部74すなわち連結部18aに対してダンパ効果を発揮することになる。
【0308】
さらに、図47に示すように、上記制動部74には、その軸中心線上にスプリング33を支持するスプリング受け穴32を形成している。このようにしたスプリング受け穴32には、スプリング33を挿入するが、その挿入端とは反対端を、ケーシング本体10の閉塞側に形成した凹部34に支持させている。
【0309】
上記のようにスプリング33を設けることによって、摺動体18は、そのノーマル位置において、図47に示す位置を保つ。すなわち、このノーマル位置において、連結部18aおよび制動部74が、キャップ11に接するとともに、軸部18bがキャップ11に形成した軸孔21から外方に突出する。
なお、上記軸孔21は、図49からも明らかなように、楕円形状にしている。すなわち、真円の軸部18bが、軸線に直交する下方向に移動できるだけのすき間79が確保されるようにしている。このようにすき間79を確保することによって、軸部18bに力が作用したとき、摺動体18全体を、前記したように軸方向に傾かせることができる。
【0310】
また、上記のようにした第14実施形態の直動ダンパを組み立てる際は、まず、ケーシング本体10の内側にグリースを塗り、そこに摺動体18を挿入する。このようにあらかじめグリースを塗っておくのは、摺動体18がある程度摺動できるようにするためである。
もし、このグリースがなければ、フリクションが大きすぎて摺動体18がスムーズに摺動できなくなる。もし、摺動体18が摺動できなければ、ダンパ効果を発揮することができなくなる。それは、制動部74のテーパー面76,76が、制動溝15のテーパー面73,73にがっちり食い込んでしまったときを想定すれば、容易に理解できることである。
【0311】
なお、前記スプリング受け穴32を、制動部74の軸中心線上に形成したのは、スプリング33のバネ力が、制動部74の中心に作用し、ノーマル状態において制動部74を傾かせないようにするためである。ただし、このスプリング受け穴32は、必ずしも制動部74の軸中心線上に形成しなくてもよい。要は、摺動体18の全体のバランスを考慮し、そのノーマル位置において、制動部74が傾かない関係位置にスプリング受け穴を形成すればよい。
【0312】
上記のような第14実施形態によれば、従来のオイルダンパのような粘性流体を必要としないので、オイルを嫌うような食品を扱う場所でも使用することができ、広い条件下での使用が可能になる。
また、従来、エアーダンパを使用した場合にはガス漏れの可能性があり、オイルダンパを使用した場合にはオイル漏れの可能性があったが、この第14実施形態では、エアーもオイルも使用しないので、これらが漏れることもない。つまり、漏れを防止するためのシール部材を必要としないので、その分コストの低減が可能となる。さらに、シール部材を必要としないので、シールの締め付け力によってダンパ効果が低減するという、ダンパ効果への悪影響も回避することができる。
【0313】
さらに、上記ガスやオイルの漏れ防止のための精密な加工精度も必要ないので、より一層コストを低減することができる。
しかも、上記ガスやオイルの漏れがないので、この漏れによるダンピング効果の低減という問題も発生しない。
【0314】
さらに、この第14実施形態では、制動部を制動溝に押し付けることによって制動力を得ているので、エアーダンパのように圧縮性が高いガスを使用しているものに比べて応答性を向上させることができる。
つまり、この実施形態の直動ダンパは、オイルやガスを必要としないもので、従来には全くない新規のダンパであり、しかも、期待したダンピング力を確実に得ることができる画期的なものである。
【0315】
なお、上記第14実施形態では、ケーシング本体10に制動溝15を設け、摺動体18側に制動部を設けるようにしているが、ケーシング本体10に制動部を設けて、摺動体18に制動溝を設けるようにしてもよい。
また、制動溝15のテーパー面73,73の両方が傾斜するようにしているが、何れか一方のみが傾斜するようにしてもよい。いずれにしても、制動溝15の深さ方向あるいは開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなればよい。ただし、この場合には、摺動体18の制動部74の形状も、その制動溝15の形状に対応させる必要がある。
【0316】
図50〜53はこの発明の第15実施形態を示したものである。
図示したように、一端を閉塞した筒状のケーシング本体10と、開口した他端に被せるキャップ11とによって、この発明でいうケーシングを形成している。上記のようにケーシングを構成するキャップ11には、その両側面に一対の引っ掛け片11aを設け、この引っ掛け片11aの先端に爪部11bを形成している。
【0317】
また、ケーシング本体10の開口部の両側には、キャップ11をケーシング本体10にかぶせたとき、上記引っ掛け片11aが、ぴったりとはまる一対の溝12を形成している。そして、この溝12には掛け止め凹部13を形成し、上記のように引っ掛け片11aを溝12にぴったりとはめたとき、掛け止め凹部13に爪部11bがはまる構成にしている。このように引っ掛け片11aの爪部11bを、掛け止め凹部13にはめることによって、キャップ11がケーシング本体10の開口部から外れないようにしている。
【0318】
上記のようにしたケーシング本体10は、図からも明らかなように、筒部14と制動溝15とを備える。そして、上記筒部14と制動溝15との軸線を平行にし、筒部14に対して制動溝15を偏心させている。また、これら筒部14と制動溝15とを、ガイド部80を介して連続させている。
【0319】
上記のようにした筒部14は、制動溝15との対向面である底部の内面形状を円弧にしている。また、制動溝15は、筒部14との対向面である天井面16を平坦にするとともに、この制動溝15の両側面をテーパー面73,73とした、いわゆるアリ溝である。そして、このテーパー面73,73は、筒部14側すなわち制動溝15の開口に向かってそれらの対向間隔が徐々に狭くなるように傾斜させている。
さらに、上記ガイド部80は、上記制動溝15の開口間隔とほぼ同じ間隔を維持させている。
【0320】
このようにしたケーシング本体10内には摺動体18を摺動可能に組み込むが、この摺動体18は、連結部18aと、軸部18bと、制動部74とを備えるとともに、上記連結部18aと制動部74との間にフラット部81を設けている。
【0321】
上記連結部18aと軸部18bとは同一軸線上に一体に設けているが、これら連結部18aおよび軸部18bとが相まって、この発明の作用部を構成する。また、上記連結部18aには、制動部74を連接しているが、これら連結部18aと制動部74とは、その軸線が平行になるようにして、制動部74を連結部18aおよび軸部18bに対して偏心させている。
【0322】
さらに上記制動部74には、その両側に上記制動溝15のテーパー面73,73に対応するテーパー面76,76を備えるとともに、天井面16に対向する上面77を備えている。
【0323】
このようにした摺動体18は、その連結部18aを筒部14に組み込み、フラット部81をガイド部80に組み込み、制動部74を制動溝15に組み込んでいるが、これら摺動体18の各構成要素と、ケーシング本体10との相対関係は次の通りである。
【0324】
すなわち、摺動体18を上記のようにしてケーシング本体10に組み込んだときには、図51,52に示す位置関係において、摺動体18が、その自重の作用で、テーパー面76,76を、ケーシング本体10に形成したテーパー面73,73に接触させる。また、この状態において、制動部74の上面77が、制動溝15の天井面16側に対向する関係にしている。
そして、上記のように制動部74を制動溝15に組み込んで、それらのテーパー面76,76および73,73を接触させた状態では、その制動部74の上面77と、制動溝15に形成した天井面16との間に、間隔31が形成される構成にしている。
【0325】
また、筒部14はその底部の内面形状を円弧にしているが、連結部18aの底部の形状も、この筒部14の内面形状に対応させて円弧にしている。ただし、上記のように摺動体18をケーシング本体10に組み込んだ状態においては、これら連結部18aと筒部14の底部との間に間隔78が形成される関係にしている。
【0326】
そして、軸部18bに、図51に示す軸方向の力Fが作用すると、前記したように軸部18bに対して制動部74が偏心しているので、制動部74に対しては、上記力Fは、偏荷重として作用する。つまり、制動部74には、軸部18bとは反対端の上面77と天井面16との接触点を支点にした矢印f1方向の偏荷重が作用する。
【0327】
上記f1方向の偏荷重によって、制動部74が上記接触点を支点にして若干傾斜するとともに、上記接触点とは反対側には、それを図52に示す矢印f2方向に押し下げる力が作用する。一方、上記支点側には、それを矢印f2とは反対方向に押し上げる力が作用する。そして、上記押し下げ力は、くさびを打ち込むと同様の原理で、制動部74のテーパー面76,76を制動溝15のテーパー面73,73に押し込むことになる。このときの押し込み力が、摺動抵抗になって制動部74すなわち連結部18aに対してダンパ効果を発揮することになる。
【0328】
さらに、図51に示すように、上記制動部74には、その軸中心線上にスプリング33を支持するスプリング受け穴32を形成している。このようにしたスプリング受け穴32には、スプリング33を挿入するが、その挿入端とは反対端を、ケーシング本体10の閉塞側に形成した凹部34に支持させている。
【0329】
上記のようにスプリング33を設けることによって、摺動体18は、そのノーマル位置において、図51に示す位置を保つ。すなわち、このノーマル位置において、連結部18aおよび制動部74が、キャップ11に接するとともに、軸部18bがキャップ11に形成した軸穴21から外方に突出する。
なお、上記軸穴21は、図53からも明らかなように、楕円形状にしている。すなわち、真円の軸部18bが、軸線に直交する下方向に移動できるだけのすき間79が確保されるようにしている。このようにすき間79を確保することによって、軸部18bに力が作用したとき、摺動体18全体を、前記したように軸方向において傾かせることができる。
【0330】
また、上記のようにした第15実施形態の直動ダンパを組み立てる際は、まず、ケーシング本体10の内側にグリースを塗り、そこに摺動体18を挿入する。このようにあらかじめグリースを塗っておくのは、摺動体18がある程度摺動できるようにするためである。
もし、このグリースがなければ、フリクションが大きすぎて摺動体18がスムーズに摺動できなくなる。もし、摺動体18が摺動できなければ、ダンパ効果を発揮することができなくなる。それは、制動部74のテーパー面76,76が、制動溝15のテーパー面73,73にがっちり食い込んでしまったときを想定すれば、容易に理解できることである。
【0331】
なお、前記スプリング受け穴32を、制動部74の軸中心線上に形成したのは、スプリング33のバネ力が、制動部74の中心に作用し、ノーマル状態において制動部74を傾かせないようにするためである。ただし、このスプリング受け穴32は、必ずしも制動部74の軸中心線上に形成しなくてもよい。要は、摺動体18の全体のバランスを考慮し、そノーマル位置において、制動部74が傾かない関係位置にスプリング受け穴を形成すればよい。
【0332】
上記のような第15実施形態によれば、第14実施形態と全く同じ効果を得ることができる。
なお、この第15実施形態では制動溝15のテーパー面73,73の両方が傾斜するようにしているが、何れか一方のみが傾斜するようにしてもよい。いずれにしても、制動溝15の深さ方向あるいは開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなればよい。ただし、この場合には、制動部74の形状も、その制動溝15の形状に対応させる必要がある。
【0333】
図54〜56はこの発明の第16実施形態を示したものである。
この第16実施形態では、一端を閉塞した筒状のケーシング本体10に図56に示したキャップ11を被せて、この発明でいうケーシングを形成している。
このケーシング本体10を筒状にした点、キャップ11がケーシング本体10から外れない構成にした点は、第14実施形態と同様である。
【0334】
上記のようにしたケーシング本体10内には、図54に示したように、その軸線方向に筒部14を備え、この筒部14に対向する天井面には制動部82を設けているが、これら筒部14と制動部82とは、その軸線を平行にして、筒部14に対して制動部82の軸線を偏心させている。このようにした筒部14は、制動部82との対向面である底部の内面形状を円弧にしている。
【0335】
また、制動部82は、図54からも明らかなように、ケーシング本体10の天井部分から吊り下げた状態の突部からなるものである。そして、図55に示したように、その両側面にテーパー面83,83を形成している。このテーパー面83,83は、制動部82の断面形状において、両テーパー面83,83の対向間隔が筒部14側に向かって徐々に広くなるようにしている。
【0336】
このようにしたケーシング本体10内には摺動体18を摺動可能に組み込むが、この摺動体18には、連結部18aと、軸部18bと、制動溝形成部84とを設けている。
上記連結部18aと軸部18bとは同一軸線上に一体に設けているが、これら連結部18aおよび軸部18bとが相まって、この発明の作用部を構成する。
また、上記連結部18aには、制動溝形成部84を連接しているが、これら連結部18aと制動溝形成部84とは、その軸線が平行になるようにして、制動溝形成部84を連結部18aおよび軸部18bに対して偏心させている。
【0337】
さらに上記制動溝形成部84には、図55に示すように、制動溝85を形成しているが、この制動溝85は前記制動部82とその断面形状を対応させている。すなわち、制動溝85の両側にはテーパー面86,86を形成しているが、このテーパー面86,86は、制動溝85の断面形状において、その開口側に向かって互いの対向間隔を狭くする形状にしたいわゆるアリ溝にしている。
【0338】
ただし、この摺動体18の制動溝85に制動部82を組み込んだときには、図55に示すように、制動溝85の底面87と制動部82の対向面90との間にわずかな間隔88が形成される関係にしている。また、上記摺動体18とケーシング本体10の天井面との間にも間隔89が形成される関係にしている。したがって、摺動体18は、上記間隔88および89の範囲内で移動できることになる。
【0339】
このようにした摺動体18は、その連結部18aを筒部14に組み込み、制動溝85に制動部82を組み込んでいるが、これら摺動体18の各構成要素と、ケーシング本体10との相対関係は次の通りである。
【0340】
すなわち、摺動体18を上記のようにしてケーシング本体10に組み込んだときには、図54に示す位置関係において、摺動体18が、その自重の作用で、テーパー面86,86を、ケーシング本体10に形成したテーパー面83,83に接触させる。また、この状態において、制動溝85の底面87と制動部82の対向面90とが対向し、上記摺動体18とケーシング本体10の天井面とが対向する関係にしている。
そして、上記のように制動部82を制動溝85に組み込んで、それらのテーパー面83,83および86,86を接触させた状態では、制動溝85の底面87と制動部82の対向面90との間、および、摺動体18とケーシング本体10の天井面との間に、間隔88,89が形成される構成にしている。
【0341】
また、筒部14はその底部の内面形状を円弧にしているが、連結部18aの底部の形状も、この筒部14の内面形状に対応させて円弧にしている。ただし、上記のように摺動体18をケーシング本体10に組み込んだ状態においては、これら連結部18aと筒部14の底部との間に間隔78が形成される関係にしている。
【0342】
そして、軸部18bに、軸方向の力Fが作用すると、前記したように軸部18bに対して制動部82が偏心しているので、制動部82に対しては、上記力Fは、偏荷重として作用する。つまり、上記偏荷重によって、制動溝85の底部87の端部と、制動部82の対向面90の端部との接触点を支点にして、上記摺動体18が若干傾斜する。
上記偏荷重によって、摺動体18が若干傾斜すれば、上記接触点とは反対側の制動溝85には、それを図54に示す矢印f2方向に押し下げる力が作用する。一方、上記支点側には、それを矢印f2とは反対方向に押し上げる力が作用する。
【0343】
上記のように制動溝85に押し下げ力が作用すると、制動部82のテーパー面83,83と、制動溝85のテーパー面86,86との接触力がより強くなるので、このときの接触力が、摺動体18の摺動抵抗になる。したがって、このときの摺動抵抗が制動力となって、ダンピング力が発揮される。
【0344】
さらに、上記摺動体18には、連結部18aと制動溝形成部84との連接部分であって、その軸中心線上にスプリング33を支持するスプリング受け穴32を形成している。このようにしたスプリング受け穴32には、スプリング33を挿入するが、その挿入端とは反対端を、ケーシング本体10の閉塞側に形成した図示しない凹部に支持させている。
【0345】
上記のようにスプリング33を設けることによって、摺動体18は、そのノーマル位置を保つ。すなわち、このノーマル位置において、連結部18aおよび制動部82が、キャップ11に接するとともに、軸部18bがキャップ11に形成した軸孔21から外方に突出する。
なお、上記軸孔21は、図56からも明らかなように、楕円形状にしている。すなわち、真円の軸部18bが、軸線に直交する下方向に移動できるだけのすき間79が確保されるようにしている。このようにすき間79を確保することによって、軸部18bに力が作用したとき、摺動体18全体を、前記したように軸方向に傾かせることができる。
【0346】
また、上記のようにした第16実施形態の直動ダンパを組み立てる際は、まず、ケーシング本体10の内側にグリースを塗り、そこに摺動体18を挿入する。このようにあらかじめグリースを塗っておくのは、摺動体18がある程度摺動できるようにするためである。
もし、このグリースがなければ、フリクションが大きすぎて摺動体18がスムーズに摺動できなくなる。もし、摺動体18が摺動できなければ、ダンパ効果を発揮することができなくなる。それは、制動部82のテーパー面83,83が、制動溝85のテーパー面86,86にがっちり食い込んでしまったときを想定すれば、容易に理解できることである。
【0347】
なお、前記スプリング受け穴32を、摺動体18の軸中心線上に形成したのは、スプリング33のバネ力が、摺動体18の中心に作用し、ノーマル状態において制動溝85を傾かせないようにするためである。ただし、このスプリング受け穴32は、必ずしも摺動体18の軸中心線上に形成しなくてもよい。要は、摺動体18の全体のバランスを考慮し、そのノーマル位置において、制動溝85が傾かない関係位置にスプリング受け穴を形成すればよい。
【0348】
上記した第16実施形態によれば、前記した第14実施形態と全く同じ効果を期待できる。
なお、上記第16実施形態においても、制動溝85に一対のテーパー面86,86を設けたが、何れか一方のみをテーパー面とし、他方を例えば垂直面にしてもよい。いずれにしても、制動溝85の開口方向にその対向間隔が徐々に狭くなればよい。ただし、この場合には、制動部82の形状も、その制動溝85の形状に対応させる必要がある。
【0349】
また、上記第14〜16実施形態では、摺動体18を剛性の高い金属製にしても、ある程度の弾性を有する樹脂製にしてもよい。上記樹脂製にした場合には、摺動体18全体が多少たわむことができるようになる。このように全体が多少でもたわめば、この摺動体18がケーシング本体10側に押し付けられたとき、摺動体18がたわみながら制動溝15に接触する。したがって、摺動体18が一点を支点にしてただ傾斜するよりは、摺動体18と制動溝15との接触面積を大きくすることができる。このように、摺動体18と制動溝15との接触面積が大きくなれば、その分、大きなダンピング効果を発揮することができる。
【0350】
さらに、上記第1〜第16実施形態では、作用部を軸で構成したが、摺動体に移動力を直接作用させることができれば、この作用部は軸でなくてもよい。例えば、制御対象側にピンを形成し、このピンで摺動体を押し付けるようにすれば、上記軸がなくても摺動体に移動力を作用させることができ、この場合には、連結部が作用部を兼ねることになる。
【0351】
【発明の効果】
第1〜10の発明によれば、制動部と制動溝によってダンパ効果を発揮することができる。したがって、従来のオイルダンパのような粘性流体を必要としないので、オイルを嫌うような食品を扱う場所でも使用することができ、広い条件下での使用が可能になる。エアーもオイルも使用しないので、これらが漏れることもなく、漏れを防止するためのシール部材を必要としないので、その分コストの低減が可能となる。さらに、シール部材を必要としないので、シールの締め付け力によってダンパ効果が低減するという、ダンパ効果への悪影響も回避することができる。
さらに、制動部を制動溝に押し付けることによって制動力を得ているので、エアーダンパのように圧縮性が高いガスを使用しているものとは異なり、より応答性の高いダンパを得ることができる。
【0352】
特に第5の発明によれば、制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける押し付け力を解放する解放構造を備えることとし、第1移動体に上記押し付け力を解放する方向にバネ力を作用させるスプリングを設けたので、この第1移動体は素早くノーマル位置に復帰することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の組み付け図である。
【図2】第1実施形態の摺動体の斜視図である。
【図3】第1実施形態の部分断面図である。
【図4】図5のIV-IV線断面図である。
【図5】図3のV-V線断面図である。
【図6】第1実施形態の第2移動体を図1の裏側から見たときの斜視図である。
【図7】第2実施形態の断面図である。
【図8】第2実施形態の制動部と制動溝とを説明するための説明図である。
【図9】第3実施形態の組み付け図である。
【図10】第3実施形態の部分断面図である。
【図11】図15のXI-XI線断面図である。
【図12】第3実施形態の第2移動体を図9の裏側から見たときの斜視図である。
【図13】第3実施形態の摺動体の斜視図である。
【図14】第3実施形態の突部とガイド部を説明するための説明図である。
【図15】図10のXV-XV線断面図である。
【図16】図10から摺動体が移動したときの部分断面図である。
【図17】第4実施形態の断面図であり、図18のXVII-XVII線断面図である。
【図18】図17のXVIII-XVIII線断面図である。
【図19】第5実施形態の部分断面図である。
【図20】図19のXX-XX線断面図である。
【図21】第5実施形態の突部とガイド部とを説明するための説明図である。
【図22】図20のXXII-XXII線断面図である。
【図23】図19から摺動体が移動したときの部分断面図である。
【図24】第6実施形態の部分断面図である。
【図25】図24のXXV-XXV線断面図である。
【図26】第6実施形態の制動部と制動溝とを説明するための説明図である。
【図27】第6実施形態の突部とガイド部とを説明するための説明図である。
【図28】図25のXXVIII-XXVIII線断面図である。
【図29】図24から摺動体が移動したときの部分断面図である。
【図30】第7実施形態の部分断面図である。
【図31】図30のXXXI-XXXI線断面図である。
【図32】第7実施形態の突部とガイド部とを説明するための説明図である。
【図33】図30から摺動体が移動したときの部分断面図である。
【図34】第8実施形態の部分断面図である。
【図35】図34のXXXV-XXXV線断面図である。
【図36】第9実施形態の部分断面図である。
【図37】第10実施形態の部分断面図である。
【図38】図37のXXXVIII-XXXVIII線断面図である。
【図39】図38のXXXIX-XXXIX線断面図である。
【図40】第11実施形態の部分断面図である。
【図41】図40のXLI-XLI線断面図である。
【図42】図41のXLII-XLII線断面図である。
【図43】第12実施形態の断面図であり、図44のXLIII-XLIII線断面図である。
【図44】図43のXLIV-XLIV線断面図である。
【図45】第13実施形態の断面図である。
【図46】第14実施形態の組み付け図である。
【図47】第14実施形態の断面図である。
【図48】図47のXLVIII-XLVIII線断面図である。
【図49】図47をキャップ側から見た図である。
【図50】第15実施形態の組み付け図である。
【図51】第15実施形態の断面図である。
【図52】図51のLII-LII線断面図である。
【図53】図51をキャップ側から見た図である。
【図54】第16実施形態の断面図である。
【図55】第16実施形態の制動部と制動溝とを説明するための説明図である。
【図56】第16実施形態のキャップ側から見た図である。
【図57】従来例を示した図である。
【符号の説明】
10 ケーシング本体
11 キャップ
15 制動溝
17 テーパー面
18 摺動体
19 第1移動体
19b 作用部
20 第2移動体
21 軸孔
24 傾斜面
28 傾斜面
29 テーパー面
31 間隔
33 スプリング
36 制動溝
37 テーパー面
38 制動部
39 テーパー面
40 間隔
41 間隔
43 スプリング
44 第2傾斜面
45 第4傾斜面
48 傾斜面
49 傾斜面
50 傾斜面
51 傾斜面
52 制動部
53 テーパー面
56 スプリング
57 制動溝
58 テーパー面
59 間隔
60 間隔
61 第2傾斜面
62 第4傾斜面
63 第2傾斜面
64 第4傾斜面
19c 作用部
65 軸孔
71 傾斜面
18b 軸部
73 テーパー面
74 制動部
76 テーパー面
78 間隔
79 すき間
82 制動部
83 テーパー面
85 制動溝
86 テーパー面
88 間隔
89 間隔
91 テーパー面
92 制動溝
93 テーパー面
94 間隔
96 間隔

Claims (10)

  1. ケーシング内にそれと相対移動する摺動体を組み込むとともに、これらケーシングあるいは摺動体の何れか一方に制動溝を設け、何れか他方にこの制動溝に摺動自在にはまる制動部を設け、上記制動溝は、その側面の対向間隔を深さ方向あるいは開口方向に徐々に狭くするテーパー面を形成するとともに、制動部にもこのテーパー面に対向するテーパー面を形成する一方、上記摺動体には、制動溝あるいは制動部以外に作用部を設け、この作用部に力が作用して摺動体が軸方向に移動したとき、その制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける押し付け力を発揮する変換構造を設け、この押し付け力によって上記制動部が上記制動溝のテーパー面間に食い込む構成にした直動ダンパ。
  2. 摺動体は、作用部を設けた第1移動体と、制動溝あるいは制動部を設けた第2移動体とを別体に設けるとともに、上記第1移動体の軸方向の移動にともなって第2移動体を移動させ、制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける押し付け力を発揮する変換構造を設けた請求項1記載の直動ダンパ。
  3. 第2移動体は、制動溝の深さ方向にがたつき可能に設け、変換構造は、第1移動体と第2移動体との何れか一方に傾斜面を備え、何れか他方にこの傾斜面に当接する当接部を備え、上記傾斜面を介して第1移動体の移動力を上記第2移動体に作用させる構造にしてなり、上記第1移動体の移動力が第2移動体に作用したとき、この第2移動体が制動溝の深さ方向に移動して、制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける請求項2記載の直動ダンパ。
  4. 変換構造と、制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける押し付け力を解放する解放構造とを備え、この解放構造は、第1移動体と第2移動体との少なくとも何れか一方に傾斜面を備え、何れか他方にこの傾斜面に当接する当接部を備えてなり、この解放構造の傾斜面の傾斜方向は、変換構造の傾斜面の傾斜方向と同方向にした請求項2または3記載の直動ダンパ。
  5. 変換構造は、第1移動体が軸方向の何れか一方に移動したとき、第2移動体が制動溝の深さ方向に移動して、制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける押し付け力を発揮し、解放構造は、第1移動体が軸方向の何れか他方に移動したとき、制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける押し付け力を解放するとともに、上記第1移動体に上記押し付け力を解放する方向にバネ力を作用させるスプリングを設けた請求項4記載の直動ダンパ。
  6. 第1移動体の周囲に第2移動体を複数配置し、第1移動体あるいは第2移動体の何れか一方に傾斜面を設け、何れか他方にこの傾斜面に当接する当接部を設け、上記第2移動体の傾斜面あるいは当接部と、第1移動体の傾斜面あるいは当接部とを対向させてなる請求項2,3,4の何れか1に記載の直動ダンパ。
  7. 摺動体は、作用部と制動部あるいは制動溝とを一体的に形成する一方作用部の軸線と、制動部あるいは制動溝の軸線とを偏心させてなる請求項1記載の直動ダンパ。
  8. ケーシングに制動溝であるアリ溝を設け、摺動体にはこのアリ溝に対して摺動自在にはまる制動部を設けた請求項7記載の直動ダンパ。
  9. 摺動体の作用部に軸部を設けるとともに、ケーシングにはこの軸部が貫通する軸穴を設ける一方、上記軸部が制動部とは反対方向に移動可能にするすき間を保持した請求項8記載の直動ダンパ。
  10. 変換構造は、摺動体が軸方向の何れか一方に移動したとき、制動部を制動溝の対向間隔が狭くなる方向に押し付ける押し付け力を発揮するとともに、上記制動部に対し、制動部をノーマル位置に復帰させる方向バネ力を作用させるスプリングを設けた請求項8または9記載の直動ダンパ。
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