JP4180238B2 - 環状フェノール硫化物のスルホン酸化合物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、金属捕捉剤、イオンセンサー、分離膜材料、基質特異性センサー、相間移動触媒、人工酵素、光エネルギー変換材料、あるいはその他イオンや分子の認識を利用した機能性分子の中間体として利用できる新規な環状フェノール硫化物スルホン酸化合物に関する。
また、本発明は、環状アルキルフェノール硫化物を硫酸と反応させることにより、アルキル基を直接スルホン酸基に置換した、環状フェノール硫化物のスルホン酸及びその塩を製造する方法に関する。
さらに、本発明は、生活環境等において有害である有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の回収剤及び回収方法に関し、環状フェノール硫化物を含有する新規な有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類回収剤、及び有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類と該環状フェノール硫化物とを接触させることにより有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類を回収する方法に関する。
本発明は、環状フェノール硫化物を有効成分とする医薬及びそれを含有する組成物に関する。さらに詳しくは、抗ウイルス薬剤に関し、特にHIN(human immunodeficiency virus)などのレトロウイルスに対して活性を有する抗HIV薬剤に関する。
背景技術
従来存在する非環状のフェノール硫化物とは全く異なる新規な環状フェノール硫化物が見出され、また、これらの環状フェノール硫化物群の製造方法も見出されている(特開平9−227553号)。
これらの環状フェノール硫化物群には、水酸基に対してベンゼン環のp位にスルホン酸基を有する化合物も含まれているが、この水酸基に対してベンゼン環のp位にスルホン酸基を導入した環状フェノール硫化物スルホン酸を製造するためには、一度、環状アルキルフェノール硫化物をアルキル基から水素原子へ置き換え、脱アルキル化した後、発煙硫酸等を使用してスルホン化するという、二段階の反応を経ていたため、高い製造収率が望めず、また製造に長時間を要する場合があった。
また、近年、発ガン性が指摘されているトリハロメタン類をはじめとする有機ハロゲン化合物類やフェノールなどの単環芳香族化合物類による環境汚染が問題となっており、これらの効果的な除去方法が求められるようになった。
例えば、1,1,1−トリクロロエタンなどの有機ハロゲン化合物は、主に洗浄剤などとして、自動車、電子、電気、精密機械産業などにおいて広く使用されているが、工場からの排水に混入し河川に入ったり、あるいは空気中に蒸発したものが雨水に混じって地下水や土壌を汚染するなどして、深刻な環境汚染問題を引き起こしている。また、トリハロメタンと呼称されるクロロホルムやジブロモクロロエタンなどは、水道水の消毒副生成物として水道水中に含まれ、前記のように発ガン性物質としてよく知られている。また、大気汚染物質の一つといわれるベンゼンについても発ガン性が指摘されている。
これらの有機ハロゲン化合物類及びベンゼンなどの単環芳香族化合物類に関しては、水質環境基準をはじめとして、水濁法・排水基準、水道法・水道水の水質基準、下水道法・下水道排水基準及び土壌環境基準などによりそれぞれ規制値が決められている。
また、単環芳香族化合物類のうち、例えばフェノールは、主に工場廃水や土壌中の微量のものが地下水などに混入する可能性があり、水質汚濁の一因といえる。
このような環境汚染を解決するための重要な方法のひとつに、汚染物質を回収する方法が挙げられる。このため、膜分離技術や抽出技術など様々な分離回収技術に関する研究や開発が進められているが、より効率的であり、省エネルギー的であり、さらには安価で容易な汚染物質回収方法が求められている。
AIDS(後天性免疫不全症候群)は、現在、世界的に、人間の生命と健康を損なう最大の脅威の一つと考えられている。1994年12月末までにWHO(世界保健機関)に報告されたエイズ患者数は102万人であるが、実際には450万人程度と推定されると言われ、また、感染者数はその4〜5倍にものぼると言われている。
このため、AIDSウイルス、すなわちHIVに関する研究は活発になされており、その対象も、HIVの起源やウイルスの遺伝子構造を含めた構造の解明、感染経路の解明、感染防止、診断、治療、感染予防など多岐にわたっている。
HIVは、遺伝子としてRNAを持ち、宿主に侵入して逆転写酵素によりRNAからDNAへと通常とは逆向きに遺伝子情報を転写するレトロウイルスに属している。HIVの関与する感染サイクルについてはかなり解明されてきている。
したがって、この感染サイクルの各ステップに対して効果を有すると考えられる抗エイズ薬剤の開発が活発に展開されている。すなわち、抗HIV薬剤には吸着阻害剤、脱穀阻害剤、逆転写阻害剤、組み込み阻害剤、転写翻訳阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤などがあり、吸着阻害剤としては中和活性があるといわれるペプチド性高分子物質やウイルス粒子を物理的に被うといわれる硫酸化多糖類、脱穀阻害剤としては環状ポリアミン化合物、及び逆転写阻害剤としてはAZTなどのヌクレオシド化合物やTIBO化合物などの非ヌクレオシド化合物などがそれぞれ開発されている。
しかし、抗HIV薬剤の抱える依然として大きな問題点は、神経障害作用や内蔵機能障害作用などの副作用の強さとその高い発現確率、及び長期投与によるそれぞれの耐性株の出現である。
最近では、プロテアーゼ阻害剤の開発が活発である。逆転写阻害剤がHIV−DNAの形成を阻害するのに対して、プロテアーゼ阻害剤はHIV構成タンパク質のプロセッシングを抑制する。このため、両者併用することにより、逆転写阻害剤では阻害できなかったウイルスの複写をプロテアーゼ阻害剤で阻害することも可能であり、高い併用効果が期待されている。
しかし、プロテアーゼ阻害剤にしても脂肪過剰血症なとの副作用が指摘されるなど、副作用の問題と無縁ではなく、さらに、薬剤として現在非常に高価なものであるという問題を抱えている。
すなわち、抗HIV活性などに優れ、副作用も少なく、しかも簡便な製造法により製造される実質的に安価な薬剤が待たれている。
発明の開示
本発明の目的は、一般式(1)で表される環状フェノール硫化物スルホン酸化合物を提供することである。
更に、本発明の目的は、スルホン化剤として硫酸を用いることにより、環状アルキルフェノールのアルキル基を、直接スルホン酸基に置換した環状フェノール硫化物のスルホン酸及びその塩を収率よく、効率的にしかも容易に製造できる方法を提供することである。
更に、本発明の目的は、環境汚染物質の代表的な物質である有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の回収技術において、従来にない全く新しい構造を有し、優れた回収能力を有する有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の分離回収剤及び分離回収方法を提供することである。
更に、本発明の目的は、抗ウイルス活性を有し、細胞毒性が低く、簡便な方法で製造でき、しかも安価な医薬、特に抗ウイルス薬剤を提供することである。
すなわち、本発明は、一般式(1)
Figure 0004180238
(式中、Xは水素原子、炭化水素基、又はアシル基であり、
Mは水素原子、アルキル基、金属、アンモニウム、低級アルキルアンモニウム、低級アルカノールアンモニウム、窒素含有ヘテロ環基又はアミノ酸残基であり、ZはSm、SO又はSOであり、
mは1〜7の整数であり、
nは4〜12の整数であり、
但し、複数のX、M、及びZは、それぞれ同一であってもよいし、異なってもよいが、複数のMの少なくとも一つは水素原子又はアルキル基ではない)
で表される環状フェノール硫化物のスルホン酸化合物に関する。
更に、本発明は、一般式(2)
Figure 0004180238
(式中、Yはアルキル基であり、Z及びnは上記と同義である。)で表される環状アルキルフェノール硫化物を、硫酸と反応させることにより、一般式(3)
Figure 0004180238
(式中、Z及びnは上記と同義である。)で表される環状フェノール硫化物のスルホン酸又はその塩を製造することを特徴とする環状フェノール硫化物のスルホン酸又はその塩の方法に関する。
更に、本発明は、下記一般式(4)で表される化合物又はその塩、及び担体を含有することを特徴とする有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の分離回収用組成物に関する。
Figure 0004180238
(式中、X、Z及びnは一般式(1)と同義であり、
Yは、水素原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、−COR、−OR、−COOR、−CN、−CONH、−NO、NR、ハロゲン原子、−SO、−SO又は−SOMあり、
〜Rは、水素原子又は炭化水素基であり、
Mは、一般式(1)と同義であり、
但し、複数のX、Y及びZは、それぞれ同一であってもよいし、異なってもよい)
更に、本発明は、一般式(4)で表される化合物又はその塩を有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類と接触させることにより、有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類を分離回収することを特徴とする有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の分離回収方法に関する。
更に、本発明は、一般式(4)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩、及び薬理学的に許容される担体又は希釈剤からなる組成物に関する。
更に、本発明は、一般式(4)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩のウイルス産生に由来する疾患の予防又は治療のための使用に関する。
更に、本発明は、一般式(4)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩の有効量をヒト又は動物(例えば、哺乳類)に投与することによりウイルス産生に由来する疾患の予防又は治療する方法に関する。
更に、本発明は、一般式(4)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩の有効量を細胞群に投与することによりウイルス産生を選択的に阻害する方法に関する。
発明を実施するための最良の様態
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、アルキル基を有するフェノール類を構成単位とする環状フェノール硫化物を、硫酸と反応させ、さらに、反応生成物である環状フェノール硫化物のスルホン酸を塩析することにより、スルホン酸あるいはスルホン酸塩を導入した環状フェノール硫化物を効率的に製造する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
また、上記の有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の効率的な分離回収方法を確立すべく、鋭意検討を重ねた結果、一般式(4)で表される化合物が、有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類との包接化合物を生成することを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明者らは、該環状フェノール硫化物がスルフィド結合を有すること、及びその空孔内に有機化合物を取り込むことに着目し、鋭意検討を重ねた結果、一般式(4)で表される化合物が、抗ウイルス活性、特にHIVなどのレトロウイルスに対する活性を有することを見い出し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明を詳細に説明する。
上記一般式(1)又は(4)中のXは水素原子、炭化水素基、又はアシル基である。
炭化水素基の炭素数は、1以上であれば特に制限されないが、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜18、特に好ましくは1〜8、最も好ましくは1〜6である。これらの炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和炭化水素基、脂環式炭化水素基、脂環式−脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族−脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
飽和脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、tert−オクチル、n−ノニル、イソノニル、n−ドデシルなどのアルキル基、及びエチレンやプロピレン、ブチレンの重合物あるいはそれらの共重合物からなる基などが挙げられる。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のアルキル基を含有する。
不飽和脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、2−ブテニルなどのアルケニル基、アルキニル基、及びアセチレンやブタジエン、イソプレンの重合物あるいはそれらの共重合物からなる基などが挙げられる。
脂環式炭化水素基の適当な具体例としては、例えばシクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシルなどのシクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基などが挙げられる。
脂環式−脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばシクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチルなどのシクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基などで置換されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばフェニル、ナフチルなどのアリール基、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ブチルフェニルなどのアルキルアリール基などが挙げられる。
芳香族−脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、メチルフェニルエチルなどのアラルキル基などが挙げられる。
なお、上記炭化水素基は、−COR11、−OR12、−COOR13、−CN、−CONH、−NO、−NR1415、ハロゲン原子、−SO16又は−SO17などの置換基により置換されてもよい。なお、R11〜R17は、水素原子又は前記炭化水素基と同様の基である。
アシル基の炭素数は、1以上であれば特に制限されないが、好ましくは1〜9、更に好ましくは1〜7である。アシル基の適当な例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、オキサリル、マロニル、サクシニル、ベンゾイル、アクリロイル、メタクリロイル、クロトニルなどが挙げられる。
また、アシル基は、上記炭化水素基で挙げられた置換基で置換されていてもよい。
一般式(1)又は(4)において、Xは1分子中に4〜12個存在するが、それらのXはそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。
一般式(1)又は(4)において、Mは水素原子、アルキル基、金属、アンモニウム、低級アルキルアンモニウム、低級アルカノールアンモニウム、窒素含有ヘテロ環基又はアミノ酸残基などが挙げられる。これらは、上記Xで表される炭化水素基で挙げられた置換基で置換されていてもよい。
アルキル基としては、上記Xで挙げられたアルキル基と同様な基が挙げられる。
金属としては、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
Mの低級アルキルアンモニウムは、好ましくはそのアルキル部分が炭素数1〜12で、例えば、メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、n−プロピルアンモニウム、iso−プロピルアンモニウム、n−ブチルアンモニウム、iso−ブチルアンモニウム、sec−ブチルアンモニウム、tert−ブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ジ−n−プロピルアンモニウム、ジ−iso−プロピルアンモニウム、ジ−n−ブチルアンモニウム、ジ−iso−ブチルアンモニウム、ジ−sec−ブチルアンモニウム、ジ−tert−ブチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、シクロプロピルアンモニウム、シクロペンチルアンモニウム、シクロヘキシルアンモニウム、フェニルメチルアンモニウム、フェニルエチルアンモニウム、フェニルプロピルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、フェニルトリエチルアンモニウムなどが挙げられる。
Mの低級アルカノールアンモニウムは、好ましくはそのアルキル部分が炭素数1〜10で、例えば、エタノールアンモニウム、ジエタアノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウムなどが挙げられる。
Mの窒素含有ヘテロ環基の具体例としては、ピリジニウム、N−メチルピリジニウム等のピリジニウム類塩、ピペリジノ、ピペラジノ、1−メチルピペラジノ、4−エチルモルホリノなどが挙げられる。
Mのアミノ酸残基とは、アミノ酸から誘導される1価の置換基を意味し、具体的には、グリシン、フェニルアラニン、グルタミン酸、リジンなどのアミノ酸のアミノ基に水素原子が付加した置換基などが挙げられる。
一般式(1)において、スルホン酸塩は1分子中に4〜12個存在するが、1分子中にスルホン酸の塩が複数ある場合は、それらのスルホン酸の塩は同一でもよいし、異なってもよい。
一般式(1)又は(4)においてZは、Sm、SO又はSOである。
また、一般式(1)又は(4)において、Zは1分子中に4〜12個存在するが、それらのZはそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。
一般式(1)又は(4)において、mは1〜7の整数であり、好ましくは1〜2である。
一般式(1)又は(4)において、nは4〜12の整数であり、好ましくは4〜8である。
一般式(4)において、Yは水素原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、−COR、−OR、−OOR、−CN、−CONH、−NO、−NR、ハロゲン原子、−SO、−SO又は−SOMであり、複数のYは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
ここで、Yの炭化水素基及び−COR基は、前記のXにおいて説明した炭化水素基及びアシル基と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。また、ハロゲン化炭化水素基は、前記のXにおいて説明した炭化水素基と同様なものにハロゲン原子が置換したものが挙げられ、好ましいものも同様である。また、上記炭化水素基は、上記のXで表される炭化水素基で挙げられた置換基で置換されていてもよい。
〜Rは、水素原子又は炭化水素基である。この炭化水素基は、前記のXにおいて説明した炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。なお、上記炭化水素基は、上記のXで表される炭化水素基で挙げられた置換基で置換されていてもよい。
一般式(4)で表される化合物は、一般式(1)と同様なスルホン酸塩を形成してもよい。更に、一般式(4)で表される化合物は、スルホン酸塩以外の塩又は薬理的に許容される塩を形成しても良く、その塩又は薬理的に許容される塩としては、カルボン酸塩を包含する。カルボン酸塩としては、カルボン酸又はアルキルカルボン酸と上記のMとの塩が挙げられる。アルキルカルボン酸のアルキル基の炭素数は、1以上であれば特に制限はないが、10以下が好ましい。
一般式(1)又は(4)で表される化合物は、位置異性体、立体異性体、光学異性体、互変異性体のような異性体が存在した場合、可能な異性体及びそれらのいかなる比率の混合物も本発明に包含される。
また、一般式(1)又は(4)で表される化合物は、水あるいは各種溶媒との付加物の形で水和物、溶媒和物として存在することもあるが、これら付加物も本発明に包含される。
一般式(2)において、Yはアルキル基である。アルキル基の炭素数は、1以上であれば特に制限はされないが、好ましくは1〜30、特に好ましくは1〜12である。
また、アルキル基としては、3級の炭化水素基が好ましく、特に好ましいのはtert−ブチル基である。
一般式(2)において、Yは1分子中に4〜12個存在するが、それらのYはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
一般式(2)の環状フェノール硫化物のうち、ZがSmである化合物の製造例は、特開平9−227553号明細書に記載されている。適当な製造例としては、先ず一般式(5)
Figure 0004180238
(式中、Yはアルキル基である。)で表される水酸基に対してベンゼン環のp位にアルキル基を有するフェノール類と、適当量の単体硫黄を、適当量のアルカリ金属試薬及びアルカリ土類金属試薬から選ばれる少なくとも一種金属試薬の存在下反応させる方法である。
フェノール類と単体硫黄の原料仕込比は、フェノール類1グラム当量に対し、単体硫黄が0.1グラム当量以上であり、好ましくは0.35グラム当量以上である。単体硫黄の原料仕込比の上限は、特に限定されないが、フェノール類1グラム当量に対し、20グラム当量以下が好ましく、特に10グラム当量以下が好ましい。
アルカリ金属試薬としては、例えばアルカリ金属単体、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属、アルカリ金属アルコキシド、ハロゲン化アルカリ金属などが挙げられる。また、アルカリ土類金属試薬としては、例えばアルカリ土類金属単体、水素化アルカリ土類金属、水酸化アルカリ土類金属、酸化アルカリ土類金属、炭酸アルカリ土類金属、アルカリ土類金属アルコキシド、ハロゲン化アルカリ土類金属などが挙げられる。
アルカリ金属試薬又はアルカリ士類金属試薬の使用量は、フェノール類1グラム当量に対し0.005グラム当量以上であり、好ましくは0.01グラム当量以上である。アルカリ金属試薬又はアルカリ土類金属試薬の使用量の上限は特に制限はないが、好ましくは10グラム当量以下であり、特に好ましくは5グラム当量以下である。
一般式(2)の環状フェノール硫化物のZがSである化合物をZがSO又はSOである化合物に変換する方法については、国際公開WO98/09959号に記載されている方法を用いればよい。すなわち、過酸化水素、有機過酸化物、過酸、ハロゲン酸化物、酸素、オゾン、硝酸、無機酸化物などの適当な酸化物を用いることにより、ZがSO又はSOである化合物に変換することができる。また、ZがSm(mが2以上)の時も、同様に行うことができる。
このようにして製造した一般式(2)で表される環状アルキルフェノール硫化物を硫酸中で懸濁、加熱攪拌することにより、環状フェノール硫化物のスルホン酸を合成することができる。
使用する硫酸の濃度は80%以上にすればよいが、好ましくは90%以上である。
硫酸の使用量は、特に制限はないが、通常環状アルキルフェノール硫化物1g当たり5〜200mlにすればよい。
反応温度は、70℃以上が好ましいが、より好ましくは80℃以上である。反応温度の上限は一般式(2)の化合物が分解しない温度であればよく、好ましくは170℃以下である。
反応時間は特に制限はないが、通常2時間以上30時間以下であれば良い。ただし、この反応では原料の分解反応も同時に進行しているため、あまり長い時間反応させることは好ましくない。
本発明においては、上記反応により得られる環状フェノール硫化物のスルホン酸を生成物として取り出してもよいし、また、環状フェノール硫化物のスルホン酸の塩を生成物として取り出してもよい。
なお、一般式(1)において、ZがSO又はSOである化合物の製造法としては、一般式(2)中のZがSmであるものについて、アルキル基をスルホン基に置換した後に、適当な酸化剤を用いることにより、ZをSO又はSOに変換することも可能である。
本発明における環状フェノール硫化物のスルホン酸の塩としては、環状フェノール硫化物のスルホン酸の無機塩及び環状フェノール硫化物のスルホン酸の有機塩が挙げられる。環状フェノール硫化物のスルホン酸の無機塩としては、環状フェノール硫化物のスルホン酸の金属塩、環状フェノール硫化物のスルホン酸のアンモニウム塩などが挙げられ、環状フェノール硫化物のスルホン酸の金属塩としては、例えば、環状フェノール硫化物のスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。環状フェノール硫化物のスルホン酸の有機塩としては、例えば、環状フェノール硫化物のスルホン酸の低級アルキルアンモニウム塩、低級アルカノールアンモニウム塩、ピリジニウム類塩、アミノ酸塩などが挙げられる。
一般式(3)において、スルホン酸基は1分子中に4〜12個存在するが、環状フェノール硫化物のスルホン酸の塩においては、一般式(3)のスルホン酸基の少なくとも1個がスルホン酸の塩になっておればよく、全てのスルホン酸基がスルホン酸の塩になっていてもよい。1分子中にスルホン酸の塩が複数ある場合は、それらのスルホン酸の塩は同一でもよいし、異なってもよい。
環状フェノール硫化物のスルホン酸の塩の好適な製造方法としては、上記反応終了後、反応生成物である環状フェノール硫化物のスルホン酸を水で希釈し定法に従って、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの金属塩や、アンモニウム塩、低級アルキルアンモニウム塩、低級アルカノールアンモニウム塩又はピリジニウム類塩を用いて塩析することにより、一般式(3)で表される環状フェノール硫化物のスルホン酸の金属塩、アンモニウム塩、低級アルキルアンモニウム塩、低級アルカノールアンモニウム塩又はピリジニウム類塩の結晶を得る方法が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば炭酸アルカリ金属塩、塩化アルカリ金属塩などのハロゲン化アルカリ金属塩等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば炭酸アルカリ金属塩、塩化アルカリ土類金属塩などのハロゲン化アルカリ土類金属塩等が挙げられる。低級アルキルアンモニウム塩の具体例としては、例えばメチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、n−ブチルアミン塩酸塩、iso−ブチルアミン塩酸塩、sec−ブチルアミン塩酸塩、tert−ブチルアミン塩酸塩、n−プロピルアミン塩酸塩、iso−プロピルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、ジ−n−ブチルアミン塩酸塩、ジ−iso−ブチルアミン塩酸塩、ジ−sec−ブチルアミン塩酸塩、ジ−tert−ブチルアミン塩酸塩、ジ−n−プロピルアミン塩酸塩、ジ−iso−プロピルアミン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩、トリ−n−ブチルアミン塩酸塩、トリ−iso−ブチルアミン塩酸塩、トリ−n−プロピルアミン塩酸塩等が挙げられる。低級アルカノールアンモニウム塩の具体例としては、エタノールアミン塩酸塩、ジエタノールアミン塩酸塩、トリエタノールアミン塩酸塩などが挙げられる。ピリジニウム類塩の具体例としては、ピリジン塩酸塩、N−メチルピリジニウムハロゲン化物などが挙げられる。
環状フェノール硫化物のスルホン酸化合物の水酸基の水素原子は、必要に応じて適宜、エーテル化又はアシル化することにより炭化水素基やアシル基に変換することができる。この変換方法としては、特開平9−227553号明細書に記載されており、たとえば、環状フェノール硫化物の水酸基の水素原子をアルカリ金属に置換し、これをハロゲン化炭化水素と反応させるウイリアムソン反応により炭化水素に置換する方法、また、アセチルクロリドや無水酢酸などのアシル化剤によりアシル基に変換する方法が挙げられる。
反応生成物が混合物である場合には、通常の手法により、例えば再結晶や、溶解度の差を利用して分離することができる。
一般式(4)の環状フェノール硫化物も、例えば、特開平9−227553号明細書の記載の方法又は上記記載の方法に従って製造することができる。
本発明の有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の分離回収剤は、上記一般式(4)の化合物を含有する。
本発明の有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の分離回収剤は、一般式(4)で表される化合物のみを含有するものであってもよいし、他の成分を併せて含有するものであってもよい。また、その形態は、固体、液体、溶液などのいずれの形態であってもよい。
本発明の有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の分離回収剤と有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類とを接触させることにより、分離回収剤に含まれる環状フェノール硫化物と有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類との包接化合物が生成し、有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類を回収することができる。
なお、本発明においては、有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の分離回収剤を、有機ハロゲン化合物類及び単環芳香族化合物類の両者と同時に接触させることにより、有機ハロゲン化合物類及び単環芳香族化合物類の両者を同時に分離回収することができる。
本発明の有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の分離回収剤と接触させる有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の形態は、固体、液体、溶液などの種々の形態であることができる。
本発明により回収できる有機ハロゲン化合物類としては、例えば、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム、四塩化炭素、塩化ビニル、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、ジブロモクロロエタン、クロロベンゼン、PCB、1,3−ジクロロプロペンなどが挙げられる。
本発明により回収できる単環芳香族化合物類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、フェノールなどが挙げられる。
有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
本発明の有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の分離回収剤と接触させる有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の形態が溶液である場合、その溶液中に含まれる有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の濃度は、特に制限はない。
本発明の有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の分離回収剤と有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類とを接触させる方法の好適な具体例としては、例えば、有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類又はこれを含む溶液と一般式(4)で表される化合物又はこれを溶解させた溶液とを混合させる方法が挙げられる。
この時、好ましくは、一般式(4)のXは水素であり、Yは−SOMであり、溶媒としては、水が好ましい。
有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類が単独である場合は、そのまま環状フェノール硫化物溶液と混合すればよく、また、有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類が溶液に含まれている場合は、これと環状フェノール硫化物単独、又は環状フェノール硫化物スルホン酸化合物溶液と混合させればよい。
溶液中における一般式(4)で表される化合物の濃度は、該化合物の溶解度によって上限が限定される以外は、特に制限はない。
本発明の有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の分離回収剤と有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類とを混合させる操作は、例えば、環状フェノール硫化物又はこれを溶解させた溶液と有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類又はこれを含む溶液とを、振とう、撹拌など種々の撹拌操作により行うことができる。振とう、撹拌の条件は特に制限はなく、混合した後静置しても構わない。
この混合物から有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類を回収する方法は、種々の方法が適用できるが、例えば、溶媒が水である場合、塩析などにより該環状フェノール硫化物と有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類との包接化合物を沈降分離させる方法などが挙げられる。溶媒が水でない場合、溶媒を留去することにより該環状フェノール硫化物と有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類との包接化合物を取り出すことができる。
本発明の有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の分離回収方法の好適な他の具体例としては、一般式(4)で表される化合物を含む分離回収剤を担体に混合又は担持させ、それに有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類を接触させることにより、有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類を分離回収する方法が挙げられる。この方法としては、例えば、本発明の分離回収剤を担体に混合又は担持させた分離膜やカラムクロマトグラフィー等の分離手段を用いることにより、有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類を分離回収する方法が挙げられる。
また、本発明の有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類の分離回収方法の好適なその他の具体例としては、予め有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類を含む溶液に、該環状フェノール硫化物を含む分離回収剤を溶解させ、その溶液を担体に接触させ、包接化合物を吸着させることによって、有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類を分離回収する方法が挙げられる。
担体としては、例えば、シリカゲル、イオン交換樹脂、ガラス、カーボン、ケイソウ土、セルロースなどの固体の担体などが挙げられ、特に制限はないが、好ましいのはシリカゲル、塩基性の陰イオン交換樹脂である。環状フェノール硫化物を含む分離回収剤を担体に混合又は担持する方法は、公知の方法を用いればよく、例えば、シリカゲルやイオン交換樹脂に化学吸着させて担持する方法が挙げられる。
環状フェノール硫化物又はこれを溶解させた溶液と有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類又はこれを含む溶液とを接触させる温度は、溶媒の沸点以下であれば特に制限はなく、例えば、水の場合、通常室温付近から60℃程度で行えばよい。
なお、環状フェノール硫化物と有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類との包接化合物を吸着した担体は、種々の方法により再生できる。その再生方法としては、例えば、イオン交換樹脂の場合、アルカリ性水溶液で担体を処理する方法、具体的には、カラムの場合、アルカリ性水溶液をカラムに流すことにより、該包接化合物を回収し、担体を再生する方法が挙げられる。
本発明の環状フェノール硫化物を含有する分離回収剤を用いることにより、効率よく有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類を分離回収することができる。
本発明は、種々の用途に適用でき、例えば、水道水、地下水、土壌の水、下水、工場からの排水などに含まれる有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類を分離回収することができる。
本発明の医薬用途において、一般式(4)で表される化合物は、1種又は2種以上を組合せて用いることができ、また、一般式(4)で表される化合物は、単独で使用してもよいし、他の抗ウイルス薬剤(たとえば、抗HIV薬剤であるAZTやネルフィナビル)などの他の成分と併用してもよい。
本発明の組成物は、前記の一般式(4)で表される化合物又は薬理学的に許容される塩、及び薬理学的に許容される担体又は希釈剤を含有する。
この時、好ましくは、Xで表される炭化水素基はアルキル基であり、Yは好ましくは−SOMであり、Mは水素原子、アルキル基、又は薬理学的に許容される塩基である。ここで、薬理学的に許容される塩基としては、上記Mの置換基の中で一般的に薬理学的に許容される塩基を意味する。
また、好ましくは、希釈剤は生理食塩水である。
一般式(4)で表される化合物及び生理食塩水の含有割合は、用法などにより適宜選択されるが、質量比で通常1:100〜100:1の範囲であればよい。
本発明の組成物においては、一般式(4)で表される化合物は、1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
本発明の医薬の投与量は、用法、疾患の程度などにより適宜選択されるが、本発明の有効成分である環状フェノール硫化物は、経口もしくは非経口投与方法により通常成人1ケ月当たり体重1kg当たり10〜1000mgで、1日1回から数回投与するのがよい。投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
本発明の医薬は、通常一般的な医薬製剤の形態で用いられる。医薬製剤としては、各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的なものとして、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤など)、点滴剤などが挙げられる。
製剤は、上記生理食塩水以外に、必要に応じて希釈剤などを用いて調製される。注射剤として調製される場合には、液剤及び懸濁剤は殺菌され、かつ血液と等張であるのが好ましく、これら液剤、乳剤及び懸濁剤の形態に成形するのに際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されているものを使用することができ、たとえば水、注射用蒸留水、エチルアルコール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化インステアリルアルコールなどが挙げられる。
その他、医薬組成物に使用される担体としては、例えばグルコース、フラクトース、白糖、マンニット、ラクトース、澱粉、コーン・スターチ、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸、タルク、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、尿素、シリコーン樹脂、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらは製剤の種類に応じて適宜選択される。
本発明の医薬の患者への投与方法は、特に制限はなく、各種製剤形態、疾患の程度などに応じた方法で投与される。たとえば、錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には、経口投与される。また、注射剤の場合には、単独であるいはブドウ糖、アミノ酸などの通常の補液と混合して静脈内投与される。
次に、本発明を製造例、実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらによってなんら制約されるものではない。
製造例1
5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,14,20−テトラチア[19.3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(28),9,11,13(27),15,17,19(26),21,23−ドデカエン(I)の合成
4−tert−ブチルフェノール45.2gに、単体硫黄14.4g及び水酸化ナトリウム3.0gを加え、窒素雰囲気下攪拌しながら、4時間かけて徐々に230℃に加熱し、更に2時間攪拌した。この間、反応で生成する水及び硫化水素は除去した。反応中に留出した水は約0.8gであり、反応により生成した硫化水素は約6gであった。この反応混合物を室温まで冷却し、エーテル500mlを加え溶解させた後、1規定の硫酸水溶液で加水分解した。分液したエーテル層を水洗し硫酸マグネシウムで乾燥した。エーテルを留去した後に得られる反応混合物を、更にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム)により分割し、粗生成物を得、これをクロロホルム/アセトンから再結晶することにより、無色透明の結晶である5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,14,20−テトラチア[19.3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(28),9,11,13(27),15,17,19(26),21,23−ドデカエン(I)を4.32g得た。
この生成物は一般式(2)中、Y=t−Bu(tert−ブチル)、Z=S、n=4である環状アルキルフェノール硫化物である。
この生成物(I)の物性を以下に示す。
融点:320〜322℃
H−NMR(δ,ppm,CDCl)9.60(s,4H,OH),7.64(s,8H,ArH),1.22(s,36H,C(CH
13C−NMR:(δ,ppm,CDCl3)155.6,144.7,136.4,120.5(Ar),34.2((CH)),31.3(C(
IR:(cm−1,KRS−5)3324(OH),2962(CH)
MS m/z:720(M
元素分析 %:
理論値 for C4048:C,66.62;H,6.71;S,17.79
測定値:C,66.50;H,6.67:S,17.84
製造例2
5,11,17,23,29,35−ヘキサ−tert−ブチル−37,38,39,40,41,42−ヘキサヒドロキシ−2,8,14,20,26,32−ヘキサチア[31.3.1.13,79,1315,1921,2527,31]ドテトラコンタ−1(37),3,5,7(42),9,11,13(41),15,17,19(40),21,23,25(39),27,29,31(38),33,35−オクタデカエン(II)の合成
反応時間を8時間とした以外は、製造例1と同様の方法で反応した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム)により分割し、粗生成物を得、これをクロロホルム/アセトンから再結晶したところ、白色粉末の5,11,17,23,29,35−ヘキサ−tert−ブチル−37,38,39,40,41,42−ヘキサヒドロキシ−2,8,14,20,26,32−ヘキサチア[31.3.1.13,79,1315,1921,2527,31]ドテトラコンタ−(37),3,5,7(42),9,11,13(41),15,17,19(40),21,23,25(39),27,29,31(38),33,35−オクタデカエン(II)を1.09g得た。
この生成物は一般式(2)中、Y=t−Bu(tert−ブチル)、Z=S、n=6である環状アルキルフェノール硫化物である。
この生成物(II)の物性を以下に示す。
H−NMR:(δ,ppm,CDCl)9.18(s,6H,OH),7.59(s,12H,ArH),1.23(s,54H,C(CH
13C−NMR:(δ,ppm,CDCl)155.3,144.4,135.4,120.4(Ar),34.2((CH),31.3(C(
MS m/z :1080(M
元素分析値 %:
理論値 for C6072:C,66.62;H,6.71;S,17.79、
測定値:C,66.20;H,6.57:S,17.12.
実施例1
25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,14,20−テトラチア[19.3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(28),9,11,13(27),15,17,19(26),21,23−ドデカエン−5,11,17,23−テトラスルホン酸ナトリウム塩(III)の合成
一般式(2)中、Y=t−Bu、n=4である製造例1で得られた5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,14,20−テトラチア[19.3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(28),9,11,13(27),15,17,19(26),21,23−ドデカエン(I)200mgを濃硫酸30mlに懸濁させ、80℃に加熱し4時間反応させた。この反応液を放冷後、精製水で100mlに希釈し、未反応原料(I)をろ過した後、塩化ナトリウムを加え塩析を行い、白色粉末(197mg,78%)を得た。更に数回塩析を行い、白色の生成物(III)を141mg得た。収率56%。
この生成物(III)は、一般式(1)において、X=II、Z=S、M=Na、n=4である環状フェノール化合物である。
以下に物性を示す。
融点:370〜390℃(分解点)
H−NMR:(δ,ppm,25mg/0.6ml DO)8.87(s,8H,ArH)
13C−NMR:(δ,ppm,25mg/0.6ml DO)164.27,139.43,138.93,124.85(Ar)
FAB−MS(m/z):903(M)
元素分析値 %:
理論値 for C2412Na16:C,31.86;H,1.34;Na,10.16;S,28.35
測定値:C,31.5;H,1.6;Na,10.1;S,28.7.
実施例2
一般式(2)中、Y=t−Bu、n=4である製造例1で得られた5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,14,20−テトラチア[19.3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(28),9,11,13(27),15,17,19(26),21,23−ドデカエン(1)5.02gを濃硫酸50mlに懸濁させ、80℃に加熱し22時間反応させた。この反応液を放冷後、精製水で500mlに希釈し、未反応原料(I)をろ過した後、塩化ナトリウムを加え塩析を行い、白色粉末(5.35g,85%)を得た。更に数回塩析を行い、白色の生成物(III)を5.02g得た。収率80%。
この生成物(III)は、一般式(1)において、X=H、Z=S、M=Na、n=4である環状フェノール化合物である。
実施例3
37,38,39,40,41,42−ヘキサヒドロキシ−2,8,14,20,26,32−ヘキサチア[31.3.1.13,79,1315,1921,2527,31]ドテトラコンタ−1(37),3,5,7(42),9,11,13(41),15,17,19(40),21,23,25(39),27,29,31(38),33,35−オクタデカエン−5,11,17,23,29,35−ヘキサスルホン酸ナトリウム塩(IV)の合成
一般式(2)中、Y=t−Bu、n=6である製造例2で得られた5,11,17,23,29,35−ヘキサ−tert−ブチル−37,38,39,40,41,42−ヘキサヒドロキシ−2,8,14,20,26,32−ヘキサチア[31.3.1.13,79,1315,1921,2527,31]ドテトラコンタ−1(37),3,5,7(42),9,11,13(41),15,17,19(40),21,23,25(39),−27,29,31(38),33,35−オクタデカエン(II)1.0gを濃硫酸20mlに懸濁させ、95℃に加熱し16時間反応させた。この反応液を放冷後、析出物をろ別し、この析出物を精製水30mlに溶解した。精製水に溶解しない未反応原料(II)をろ過した後、塩化ナトリウムを加え塩析を行い、白色粉末(920mg,73%)を得た。これを精製水−エタノールより再結晶することにより、白色の生成物(IV)を840mg得た。収率67%。
この生成物(IV)は、一般式(1)において、X=H、Z=S、M=Na、n=6である環状フェノール化合物である。
以下に物性を示す。
H−NMR:(δ,ppm,20mg/0.6ml DO)7.63(s,12H,ArH)
13C−NMR:(δ,ppm,20mg/0.6ml DO)159.24,138.38,133.02,124,34(Ar)
FAB−MS(m/z):1357(M+2
元素分析値 %:
理論値 for C3618Na2412:C,31.86;H,1.34;Na,10.16;S,28.35
測定値:C,31.6;H,1.5;Na,10.1;S,28.0.
実施例4
実施例1で得られた、一般式(1)において、X=H、Z=S、M=Na、n=4(一般式(4)において、X=H、Y=SONa、Z=S、n=4)である)環状フェノール硫化物(III)を用いて、有機ハロゲン化合物の沈降分離を行った。
先ず、環状フェノール硫化物(III)を重水に溶解させ、濃度25mMの重水溶液を調製し、この重水溶液にクロロホルム、塩化チレン、1,2−ジクロロエタン及び1,1,2,2−テトラクロロエタンをそれぞれ飽和させた。室温で5時間撹拌した後、塩化ナトリウムで塩析を行い、生じた沈殿物をろ別した。
次に、得られた各沈殿物を重水に溶解させH−NMR測定を行ったところ、いずれの沈殿物も環状フェノール硫化物(III)と各有機ハロゲン化合物とを含むことが確認できた。
沈降分離により得られた環状フェノール硫化物(III)と各有機ハロゲン化合物とのモル比(H−NMRのプロトン比から求めた)を表1に示す。
Figure 0004180238
実施例5
環状フェノール硫化物(III)の溶液中の濃度を変化させ、この時の有機ハロゲン化合物の回収量の変化を求めた。
環状フェノール硫化物(III)を重水に溶解させ、種々の濃度に調製した。それぞれの重水溶液に、実施例4と同様に各有機ハロゲン化合物を飽和させ、室温で5時間撹拌を行った。
重水相と有機ハロゲン化合物相とを分液し、重水相のH−NMR測定を行うことにより、それぞれの重水中に含まれた有機ハロゲン化合物の濃度変化を求めた。比較として環状フェノール硫化物(III)を含まない重水を用いて同様の操作を行い、この際の重水に溶解する有機ハロゲン化合物の量を補正した。
結果を図1a〜図1dに示す。横軸が添加した環状フェノール硫化物(III)の濃度であり、縦軸が撹拌後の重水中の有機ハロゲン化合物の濃度を表す。
重水中の環状フェノール硫化物(III)の濃度を増加させると、環状フェノール硫化物(III)と包接化合物を形成して重水中に存在する有機ハロゲン化合物の量も増加した。なお、図1a〜図1dの傾きから予想できる環状フェノール硫化物(III)と有機ハロゲン化合物とのモル比は、実施例1で求めたものと一致した。すなわち、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン及び1,1,2,2−テトラクロロエタンでは1:1であり、塩化メチレンでは1:2であった。
実施例6
実施例1で得られた環状フェノール硫化物(III)(一般式(1)において、X=H、Z=S、M=Na、n=4(一般式(4)において、X=H、Y=SONa、Z=S、n=4)である)とクロロホルムをそれぞれの濃度が5mMの濃度となるように精製水を加え水溶液を調製した。また、同様に、該環状フェノール硫化物(III)とジクロロメタンをそれぞれの濃度が5mMの濃度となるように精製水を加え水溶液を調製した。これとは別に、クロロホルムのみを5mM含む水溶液を調製し、さらにジクロロメタンのみを5mM含む水溶液も調製した。
次に、ガラス製カラムに、弱塩基性陰イオン交換樹脂20mlを充填したものを4本用意し、それぞれのカラムに上記の4つの水溶液25mlを流速2.0ml/minでそれぞれ通過させた。カラム出口の水溶液中のクロロホルム及びジクロロメタンの濃度をGC−MS測定によりそれぞれ求め、有機ハロゲン化合物濃度の減少率を比較した。
その結果、環状フェノール硫化物(III)とクロロホルムを加えた水溶液では、クロロホルムのみの水溶液の場合に比較して、クロロホルムの濃度が約6×10−5に減少し、また、環状フェノール硫化物(III)とジクロロメタンを加えた水溶液では、ジクロロメタンのみの水溶液の場合に比較して、ジクロロメタンの濃度が、約2×10−5に減少した。
実施例7
実施例6と同様にガラス製カラムに弱塩基性陰イオン交換樹脂20mlを充填し、製造例により製造した環状フェノール硫化物(III)(一般式(1)において、X=H、Z=S、M=Na、n=4(一般式(4)において、X=H、Y=SONa、Z=S、n=4)である)を精製水に加え5mMの濃度となるように調製した水溶液25mlを流速2.0ml/minで通過させた。
次に、有機ハロゲン化合物としてクロロホルム及びジクロロメタンを精製水に加え、それぞれ5mM含む水溶液を調製し、これらの水溶液25mlを流速2.0ml/minで上記のカラムにそれぞれ通過させた。
カラム出口の水溶液中のクロロホルム及びジクロロメタンの濃度をGC−MS測定によりそれぞれ求め、該環状フェノール硫化物(III)で処理していないカラムをそれぞれ通過させた場合の有機ハロゲン化合物濃度と比較して、その減少率を求めた。
その結果、環状フェノール硫化物(III)で処理したカラムを通過させた場合では、クロロホルムについては約8×10−5の濃度に減少し、また、ジクロロメタンの場合では、約3×10−5の濃度に減少した。
実施例8
実施例1により得られた環状フェノール硫化物(III)(一般式(1)において、X=H、Z=S、M=Na、n=4(一般式(4)において、X=H、Y=SONa、Z=S、n=4)である)を用いて、細胞障害試験を行なった。
細胞障害試験
ヒト細胞系における環状フェノール硫化物(III)の細胞毒性を評価するため、MOLT−4(T細胞白血病細胞、理研ジーンバンク 受諾番号RCB0206)を試験に用いた。環状フェノール硫化物(III)を2.5mMの濃度になるように培地(10%FCS(ウシ胎児血清)及びカナマイシン(5000U/ml)、ストレプトマイシン(5mg/ml)を含むRPMI−1640)に溶解し、これを2倍段階希釈していき11段階の濃度の環状フェノール硫化物(III)含有培地を調製した。6穴プレートに各濃度の環状フェノール硫化物(III)含有培地2.5mlずつを加え、そこへ2×10個/mlのMOLT−4培養液を2.5mlずつ添加し、37℃にて5%COを含む湿潤インキュベーターで3日間培養した後、細胞濃度をCelltac MEK−5254(NIHON KOHDEN社製)を用いて測定した。環状フェノール硫化物(I)濃度に対する培養3日間後におけるMOLT−4細胞濃度の関係を図2に示す。この図より、CC50値は700μMであった。
実施例9
実施例1により得られた環状フェノール硫化物(III)(一般式(1)において、X=H、Z=S、M=Na、n=4(一般式(4)において、X=H、Y=SONa、Z=S、n=4)である)を用いて、ウイルス産生阻害試験を行なった。
ウイルス産生阻害試験
環状フェノール硫化物(III)を2.5mMの濃度になるように実施例8で用いた培地に溶解し、これを2倍段階希釈していき11段階の濃度の環状フェノール硫化物(III)含有培地を調製した。6穴プレートに各濃度の環状フェノール硫化物(III)含有培地2.5mlずつを加え、そこへ1.64×10個/mlのMOLT−4と1.82×10個/mlのHIV−1感染MOLT−4を含む培養液を2.5mlずつ添加し、37℃にて5%COを含む湿潤インキュベーターで3日間培養した後、細胞濃度をCelltac MEK−5254(NIHON KOHDEN社製)を用いて測定し、10個の細胞液量を取り、QIAamp Blood Kit(QIAGEN社製)でDNAを精製した。この細胞DNA500ng中に存在するHIV−1DNA数をCompetitive Nested PCRによって決定した。
用いたPrimer及びCompetitorは、J.Albert et al.,J.Clin.Microbiol,28:1560(1990)とS.Kato et al.,J.Virol.Method(1998 in press)に掲載されているJA12、JA9及びJA10とJA11Bを、また、Competitorは、S.Kato et al.,J.Virol.Method(1998 in press)に掲載されているHIV−1DNAクローンNL4−3の塩基番号6201−7118と7242−8805を含むものを使用した。まず、各細胞DNA500ngに1μMのPrimer JA9とJA12、0.2mMのdNTP、50mMのKCl、10mMのTris−HCl(pH8.3)、4mMのMgCl2、5000コピーのCompetitor、2UnitのTaq DNApolymerase(Roche社製)となるように加え、ミリQ水で全量を100μlとした。
これを1回目のPCR(30サイクル、1サイクルは94℃15秒、64℃30秒、72℃60秒)を行なった後、その産物の1/50量に1μMのPrimer JA10とJA11Bを加えて1回目と同様に、2回目のPCR(25サイクル、1サイクルは94℃15秒、64℃30秒、72℃60秒)を行なった。なお、各細胞DNA500ngの代わりに野生型HIV−1DNAを5000コピー使用し、標準既知試料とした。得られたPCR産物を2%アガロースゲルで電気泳動し、臭化エチジウムで染色後、UV写真撮影をした。この画像をBioImage解析ソフト(日本バイオイメージリミテッド社製)を用いて、野生型HIV−1のバンドとCompetitorのバンドの強度比を求め、それをもとに試料中のHIV−1DNA濃度を計算した。
環状フェノール硫化物(III)濃度に対する感染3日後におけるHIV−1DNA濃度の関係を図2に示す。この図より、IC50値は40μMであった。
実施例8及び実施例9の結果から、環状フェノール硫化物(III)の治療係数(=CC50/IC50)は18であった。また、HIV産生をほぼ完全に阻害するが細胞障害性を示さない濃度範囲は、70μM〜300μMであった。
実施例10
環状フェノール硫化物(III)と生理食塩水を質量比で1:9の割合で混合した組成物を製造し、その組成物を用いて実施例8と同様の試験を行なったところ、実施例8と同様の結果が得られた。
産業上の利用可能性
本発明の環状フェノール硫化物は、金属捕捉剤、イオンセンサー、分離膜材料、基質特異性センサー、相聞移動触媒、人工酵素、光エネルギー変換材料、あるいはその他イオンや分子の認識を利用した機能性分子の中間体として利用でき、特に有機ハロゲン化合物類又は単環芳香族化合物類を効率よく分離できる。また、本発明の方法によると、環状アルキルフェノール硫化物を硫酸と反応させることにより、環状フェノール硫化物スルホン酸化合物及びその塩を、効率的にかつ簡便に製造することができる。
本発明の医薬は、抗ウイルス活性、特にHIVなどのレトロウイルスに対する活性を有し、細胞毒性が低く、しかも簡便な方法で製造できる。また、本発明の組成物は、医薬に利用できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、環状フェノール硫化物(III)の重水溶液中の濃度を変化させ、それぞれの重水溶液に、各有機ハロゲン化合物を飽和させ、それぞれの重水中に含まれた有機ハロゲン化合物の濃度変化を示したものである。
図2は、環状フェノール硫化物(III)濃度に対する感染3日後におけるHIV−1DNA濃度の関係を示したものである。◆はHIV−1DNA濃度を、○はMOLT−4濃度を示す。

Claims (2)

  1. 一般式(1)
    Figure 0004180238
    (式中、Xは水素原子、炭化水素基、又はアシル基であり、Mは水素原子、アルキル基、金属、アンモニウム、低級アルキルアンモニウム、低級アルカノールアンモニウム、窒素含有へテロ環基又はアミノ酸残基であり、ZはSm、SO又はSOであり、mは1〜7の整数であり、nは4〜12の整数であり、但し、複数のX、M、及びZは、それぞれ同一であってもよいし、異なってもよいが、複数のMの少なくとも一つは水素原子又はアルキル基ではない。)で表される環状フェノール硫化物のスルホン酸化合物。
  2. 一般式(2)
    Figure 0004180238
    (式中、Yはアルキル基であり、ZはSm、SO又はSOであり、mは1〜7の整数であり、nは4〜12の整数である。)で表される環状アルキルフェノール硫化物を、硫酸と反応させることにより、一般式(3)
    Figure 0004180238
    (式中、Z及びnは上記と同義である。)で表される環状フェノール硫化物のスルホン酸又はその塩を製造することを特徴とする環状フェノール硫化物のスルホン酸又はその塩の製造方法。
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