JP4177790B2 - 熱電変換素子とその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明はゼーベック効果による温度差発電(熱発電)およびペルチェ効果による電子冷却と発熱を可能とする熱電変換素子とその製造方法に関する。
熱電変換素子は金属などの電気伝導性の電極を介して、P型熱電材料とN型熱電材料とを接合し、PN接合対を形成することにより作製される。この熱電変換素子は接合対間に温度差を与えることによりゼーベック効果に基づく熱起電力を発生することから発電装置として、また逆に素子に電流を流すことにより接合部の一方で冷却、他方で発熱が起こるいわゆるペルチェ効果を利用した冷却装置や精密温度制御装置などとしての用途がある。
一般に熱電変換素子は、その性能を向上するために複数個のPN接合対が直列につながれたモジュールとして用いられる。このモジュールの構造は、一辺が数百μmから数mmの直方体の形状を有するP型及びN型熱電材料片(熱電材料チップと呼ぶ)が2枚のアルミナや窒化アルミニウムなどの電気絶縁性の基板で挟み込まれており、P型熱電材料チップとN型熱電材料チップが、基板上に形成された金属などの導電性物質からなる電極でPN接合されると同時に、この接合により熱電材料チップが直列につながれている。
図15は、このような構造を有する従来の熱電変換素子(上述の複数の熱電材料チップを配置したモジュールを含めて、以下熱電変換素子と呼ぶ)の、基板に平行方向における断面と基板に垂直な各部の断面における基板の電極と熱電材料チップの配置を示した図である。図15(a)は従来の熱電変換素子の基板に平行方向の断面における基板上の電極配線と熱電材料チップの配置を示した図であり、いいかえれば、基板上部より電極と熱電材料チップの配置を示すために透視した図である。
実線で示した電極パターンは上部基板の電極配線151、点線で示した電極パターンは下部基板の電極配線152を示している。また、上部基板電極配線151と下部基板電極配線152とが交差している部分の内側にある斜線を施した四角形はP型熱電材料チップ153とN型熱電材料チップ154が配置してある部分を示している。図15(b)、(c),(d)は図15(a)におけるX1−X1’、X2−X2’およびY1−Y1’における各々の縦断面を示す図である。図15からも分かるように従来の熱電変換素子における熱電材料チップの配置は基板上で格子状に配列されており、この格子を構成する各辺(図15(a)におけるX方向とY方向)においてP型熱電材料チップとN型熱電材料チップが常に交互に現われるように並んでいた。
このような複数個の熱電材料チップからなる従来の熱電変換素子の製造方法の概要を以下に説明する。
図16は従来の熱電変換素子の製造における熱電材料の加工の概要をその縦断面により示した図である。図16(a)は、板状または棒状に加工された熱電材料161の断面を示してある。この熱電材料の基板と接合されるべき面の両面に、めっき法によりNi等のはんだ付けを行うための層162を形成する(図16(b))。次いで、この熱電材料を切断することにより両面にはんだ付けのための層162を有する熱電材料チップ163をP型およびN型について作製する(図16(c))。
次ぎに、このようにして作製された熱電材料チップの一つ一つを基板上の所定の電極配線上に治具等を用いて配置し、接合を行い、熱電変換素子を作製する。
図17は熱電材料チップと配線を施した基板を用いて熱電変換素子を作製する従来の作製方法を示した図である。図17(a)は接合前の基板171と熱電材料チップ172の状態を示したものである。基板171にはPN接合を行うための電極配線173とその表面に熱電材料チップ172を接合するための接合材料174が層状に形成されている。各部を接合して熱電変換素子175として作り上げたものの縦断面図が図17(b)である。
熱電変換素子として用いる個々の熱電材料チップの大きさは、一辺が数百μmから数mmの直方体であるが、近年では室温付近で数十度の温度差のもとで使用する素子では、大きさと厚さが数十から数百μmのものがより高性能であるといわれるようになってきている。たとえば、電子情報通信学会論文誌C−II、Vol.J75−C−II、No.8、pp.416−424などにこの内容が記載されており、一方で熱に対する設計の重要性についても同時に説いている。
また、一つの熱電変換素子内における熱電材料チップ対の数は高々数百個であり、その密度も数十対/cm2 程度までであったが、熱電材料チップ対の数を多くすることが性能向上とその用途拡大を図るうえで非常に重要な要素の一つとなっている。とくに小さな温度差を利用した発電では、発生する起電力が熱電材料チップ対の数に比例することから、高い電圧を取り出すために、熱電変換素子内の直列につなぐ熱電材料チップ数をできるだけ多くすることが望まれている。さらに、冷却素子や温度制御用の素子として熱電変換素子を用いる場合においても、直列に並べた熱電材料チップの数が少ないと素子に流す電流が大きくなって、配線を大きくしたり、電源を大きくしたりする必要があるため、できるだけ多くの熱電材料チップを直列に並べることが望まれている。
以上のように小型化、薄型化、熱設計、さらに1つの熱電変換素子内で直列につながれる熱電材料チップ対の数の増大が熱電変換素子の高性能化につながり、同時に用途の拡大のポイントとなってきている。
しかしながら、図15に示した従来の構造の熱電変換素子を図16および図17に示した製造方法で作製する場合、熱電材料チップを1つ1つ扱う必要があり、作業性、加工精度などを考えるとチップの大きさ及び素子の大きさを小さくするには限度があった。とくに性能が良い熱電材料であるBi−Te系材料やFe−Si系材料等をはじめとする材料は機械的強度が低い物質であるため、熱電材料チップの大きさが数百μm以下であったり、チップ数が極端に多くなるような熱電変換素子を作製する場合、熱電材料の取扱いが難しくなり、従来の構造の熱電変換素子を従来の製造方法で作製することは困難であった。
そこで、本発明の目的は、熱電材料チップの大きさを小さくし、かつ、単位面積当たりの熱電材料チップ数(チップ密度)を多くすることにより、小型で高性能な熱電変換素子とその製造方法を提供することにある。
そこで本発明は、従来の熱電変換素子における熱電材料チップの基板上における配置を変えることにより、新たな作製方法を採用するこができ、熱電材料のチップの大きさを小さくして、チップ密度を高くした熱電変換素子を得るものである。
すなわち、本発明の熱電変換素子は、電極配線された2枚の基板と、これらに挟まれ、電極配線を介してPN接合された少なくとも一対以上のチップ状のP型およびN型熱電材料から構成される熱電変換素子であって、熱電材料チップの形状が基板に平行な面での断面形状が四角形であり、電気的な対をなすP型及びN型熱電材料チップの該四角形の中心を結ぶ直線と、このPN接合対を形成する各々の熱電材料チップの該四角形を作る4辺との位置・方向関係が、いずれも直交あるいは平行の関係にないように熱電材料チップと基板上に形成されたPN接合用の電極とが配置されている。
そのため、P型熱電材料チップとN型熱電材料チップの位置関係と、並びに、P型及びN型熱電材料チップとPN接合用電極との方向関係によって、複数個のPN接合を有する熱電変換素子の設計自由度を高めると同時に、製造方法の自由度を広げることが出来るので、数百・壕ネ下の熱電材料チップからなる熱電変換素子を製造することができる。
さらに、本発明の熱電変換素子は、この素子を構成するPN接合を有する熱電材料チップの他に、電気的に接続されないダミーの熱電材料チップが素子内に接合・配置されている。
すなわち、電気的に遊離した熱電材料チップが基板と接合されていることによって、熱電変換素子の機械的強度を高めることが出来る。
また、本発明の熱電変換素子は、基板上に形成されたPN接合対を形成するための電極のうち、一つの電極上で複数の同型の熱電材料チップが接合されている電極を有しているものである。
すなわち、同型の熱電材料チップが一つのPN接合のための電極に接合されていることによって、機械的強度が高まるとともに、一つが破損しても素子としての機能を果たすことが出来る。
あるいは、本発明の熱電変換素子は電極配線された2枚の基板と、これらに挟まれ、電極配線を介してPN接合された少なくとも一対以上のチップ状のP型およびN型熱電材料から構成される熱電変換素子であって、熱電材料チップの形状が、基板に平行な面での断面形状が四角形であると同時に、この熱電材料チップが基板上で熱電材料チップの断面形状である四角形の辺方向に格子状に並んでおり、この格子状の並びの一辺を構成するチップの配置が、P型熱電材料チップとN型熱電材料チップが交互に並び、かつ、他辺でP型熱電材料チップのみが配置された列とN型熱電材料チップのみが配置された列が交互に配列されている。
すなわち、P型熱電材料チップとN型熱電材料チップの位置関係とこれらの配列の関係によって、複数個のPN接合を有する熱電変換素子の設計自由度を高めると同時に、製造方法の自由度を広げることが出来るので、数百・壕ネ下の熱電材料チップからなる熱電変換素子を製造することができる。
さらに、この素子を構成するPN接合を有する熱電材料チップの他に、電気的に接続されないダミーの熱電材料チップが素子内に接合・配置されている。
また、基板上に形成されたPN接合対を形成するための電極のうち、一つの電極上で複数の同型の熱電材料チップが接合されている電極を有しているものである。
すなわち、電気的に遊離した熱電材料チップが基板と接合されていることによって、熱電変換素子の機械的強度を高めることが出来る。
また、同型の熱電材料チップが一つのPN接合のための電極に接合されていることによって、機械的強度が高まるとともに、一つが破損しても素子としての機能を果たすことが出来る。
あるいは、本発明の熱電変換素子は、電極配線された2枚の基板と、これらに挟まれ、電極配線を介してPN接合された少なくとも一対以上のチップ状のP型およびN型熱電材料から構成される熱電変換素子であって、熱電材料チップの断面形状が、基板に垂直な方向について、その幅が変化している。
したがって、断面形状によって、ペルチェ効果を利用する場合において、通電によるジュール熱の発生場所を規定することが出来る。また、この熱電変換素子の製造方法において、数百・壕ネ下の熱電材料チップからなる熱電変換素子を製造することが出来、かつ、歩留りの向上を図ることが出来る。
あるいは、本発明の熱電変換素子は電極配線された2枚の基板とこれらに挟まれ、電極配線を介してPN接合された少なくとも一対以上のチップ状のP型およびN型熱電材料から構成される熱電変換素子であって、熱電材料チップと基板が接合される部分のうち、少なくとも1枚の基板の表面で、その近傍のすべてまたは一部に構造体を設けてある。
すなわち、基板上の接合部の近傍の構造体によって、基板と熱電材料の接合時におけるはんだ等の接合材の流れを防ぐと同時に基板への熱電材料の位置合わせを容易にする。
さらに、この基板上に設けられた構造体が、少なくとも一方の基板でP型熱電材料チップとN型熱電材料チップが配置される部分において、大きさ、または形状が異なっている。
すなわち、1枚の基板上の接合部の近傍の構造体の大きさ、形状がP型熱電材料チップとN型熱電材料チップの配置される部分で異なっていることにより、熱電材料の型を間違えることなく接合することができる。また、P型熱電材料チップとN型熱電材料チップを最初に各々別の基板に接合した後、各々を向かい合わせてPN接合を行う工程により熱電変換素子を製造する場合、最初の接合で位置決めに使う構造体を小さくすることにより接合の位置精度を高めることができ、2回目の接合(PN接合)で位置決めに使う構造体を大きくすることにより、位置決めに余裕を持たせることができると同時に、接合材の流れを防ぐことができる。
また、この基板上に設けられた構造体が、同一の熱電材料チップについて、熱電変換素子を構成する2枚の基板で、大きさ、または形状が異なっている。
すなわち、基板上に設けられた構造体が、同一の熱電材料チップについて、熱電変換素子を構成する2枚の基板で、大きさ、または形状が異なっていることにより、熱電材料の型を間違えることなく接合することができる。また、P型熱電材料チップとN型熱電材料チップを最初に各々別の基板に接合した後、各々を向かい合わせてPN接合を行う工程により熱電変換素子を製造する場合、最初の接合で位置決めに使う構造体を小さくすることにより接合の位置精度を高めることができ、2回目の接合(PN接合)で位置決めに使う構造体を大きくすることにより、位置決めに余裕を持たせることができると同時に接合材の流れを防ぐことができる。
また、この基板上に設けられた構造体の材質を高分子材料とした。
すなわち、基板上の接合部の近傍の構造体が高分子材料であるので、熱伝導が悪いため、熱電変換素子の高温端から低温端への熱の流れを抑えられ、素子の性能を低下させることがない。
また、この基板上に設けられた構造体は、感光性樹脂材料を硬化して形成された。
すなわち、基板上の接合部の近傍の構造体が感光性樹脂を硬化させたものであるので、フォトリソグラフィー法により微細化が可能であることから、数百・壕ネ下の熱電材料チップからなる熱電変換素子を製造するに当たり、構造体として有効に働く。
また、熱電変換素子を構成する2枚の基板のうち、少なくとも1枚をシリコンで構成した。
すなわち、基板にシリコンを使用することにより、微細加工が出来るので、数百・壕ネ下の熱電材料チップからなる熱電変換素子の製造を可能にすることが出来る。また、シリコンの熱伝導率はアルミナなどのセラミックスと比べ熱伝導率が高いだけでなく、低温ではアルミニウムなどの金属よりも熱伝導率が高いために、基板からの吸放熱を効率よくすることが出来るので熱電変換素子の性能を高めることができる。
さらに、この素子を構成するシリコン基板の表面全体または一部は絶縁膜で覆われている。
すなわち、基板のシリコンに絶縁層を設けることにより、基板と熱電材料チップの電気的な絶縁を完全にすることが出来る。
また、熱電変換素子の少なくとも1枚の基板上での接合において、熱電材料チップと基板上に形成された電極とを接合するための接合材料の組成が、異種型熱電材料チップで異なっていることとした。
すなわち、P型熱電材料チップとN型熱電材料チップを各々別々の基板に接合した後に、PN接合対を形成するための接合において、接合を容易に行うことが出来る。
また、熱電材料チップと基板上に形成されたPN接合を形成するための電極を突起状の電極を介して接合した。
すなわち、突起状の電極によりPN接合を容易に形成することが出来るので、数百・高フ大きさの熱電材料チップからなる熱電変換素子を作製する方法を採用することができる。
さらに、熱電材料チップと基板に形成された電極とを接合する突起状の電極が熱電材料チップ上に形成されている。
すなわち、突起状の電極が熱電材料上に形成されているので、PN接合を作製するための基板との位置合わせを容易に行うことが出来るので、数百・高フ大きさの熱電材料チップからなる熱電変換素子を容易に作製することが出来る。
また、熱電材料チップと基板に形成された電極とを接合する突起状の電極が熱電材料チップ上に形成された、はんだバンプ構造を有する突起状電極である。
すなわち、突起状の電極が熱電材料上に形成されたはんだバンプ構造を有するので、接合時にはんだが溶融するためP型熱電材料チップとN型熱電材料チップの高さが異なっていても、高さの違いをはんだで相殺することができ、熱電変換素子を容易に作製することが出来る。
また、本発明による熱電変換素子の製造方法は、以下のような工程を含んでいる。板状または棒状のP型及びN型熱電材料(以下、板状または棒状の熱電材料をウェハ状熱電材料または熱電材料ウェハと呼ぶ)をPN接合するための所定の電極配線を施した2枚の基板に、各々、別々に接合する。
次に、お互いに異種の型の熱電材料チップが接合されるべき電極が現れるように、接合された熱電材料ウェハを必要に応じて切断・除去する。このとき、必要に応じて基板あるいは電極配線の一部も切断する。これらの工程により、P型熱電材料チップが所定の電極に接合され、かつ、N型熱電材料チップが接合されるべき電極が表面に現れている基板と、N型熱電材料チップが所定の電極に接合され、かつ、P型熱電材料チップが接合されるべき電極が表面に現れている2枚の基板が作製される。
次ぎに、これらの2枚の基板について、熱電材料チップが接合されている面を向かい合わせ、相互の熱電材料チップと基板電極を所定の位置に合わせて、相互の熱電材料チップの先端と基板上のPN接合用電極とを接合することによって、金属等の電極を介するPN接合対を形成し、熱電変換素子を形成する。
このような製造方法では、P型およびN型熱電材料ウェハを予めPN接合を形成するために所定の電極配線を施してある2枚の基板に各々、別々に接合したのち、接合された熱電材料ウェハの所定の部分を切断・削除することにより、基板に接合された熱電材料チップとする。この際、異種の型の熱電材料チップが接合されるべき電極が現れるようにする。
これにより作製されたP型熱電材料チップが接合された状態の基板とN型熱電材料チップが接合された状態の基板を向かい合わせ、所定の位置で合わせて接合することにより、熱電変換素子を作製することができる。
また、熱電材料ウェハと基板との接合に際し、熱電材料ウェハと基板との間に間隙を設けておき、次工程である不要部分の熱電材料の切断・削除する工程でこの間隙を利用して基板や電極に損傷を与えずに熱電材料ウェハのみを切断・削除し、熱電材料チップが接合されている基板を作成する。
このような製造方法では、基板と接合された熱電材料ウェハとの間に間隙があるので、切断・削除に用いる機器による熱電材料の所定部分の切断・削除において、この間隙を境に行うことが出来る。これにより、基板上の電極配線を断線したり、破損したりすることなく熱電材料の不要部分の切断・削除を行うことが出来る。
また、基板表面上に所定の電極配線を行う工程と、熱電材料ウェハの表面のうち、基板と接合する面のうち少なくとも1面に所定の形状と配置パターンを有する、はんだ、金、銀、銅、ニッケルなどのバンプを形成する工程と、基板と熱電材料の接合をこのバンプを介して行う工程を、さらに備える熱電変換素子の製造方法とした。
このような製造方法では、基板にPN接合を行うための電極を形成し、熱電材料ウェハの少なくとも1面にはんだ、金、銀、銅、ニッケル等のバンプを形成する工程とを有し、バンプを介して基板と熱電材料を接合する工程により、微細化を行うことができるので、数百・壕ネ下の大きさの熱電材料チップとなるような配列・間隔の熱電変換素子を製造することが出来る。
また、熱電材料ウェハと基板との接合において、接合された熱電材料ウェハと基板との間に間隙を設け、その間隙がバンプにより作られる熱電変換素子の製造方法とした。
このような製造方法では、熱電材料チップの表面に形成されたバンプにより、基板と熱電材料ウェハとの間に間隙を設けるので、基板上の電極配線を断線したり、破損したりすることなく熱電材料の不要部分の切断・削除を行うことが出来る。
また、熱電材料ウェハと基板との接合において、接合された熱電材料ウェハと基板との間に間隙を設け、その間隙が基板上に設けられた構造体により作られる熱電変換素子の製造方法とした。
このような製造方法では、基板上に設けた構造体により、接合された基板と熱電材料ウェハの間に、間隙を作るようにするので、基板上の電極配線を断線したり、破損したりすることなく熱電材料の不要部分の切断・削除を行うことが出来る。
また、熱電材料ウェハと基板との接合後、基板に接合されている熱電材料ウェハの表面のうち基板と接合されている面と反対側の面に、バンプを形成することにより作られる熱電変換素子の製造方法とした。
このような製造方法によれば、基板に接合された熱電材料の表面にバンプを形成するので、熱電材料ウェハの両面にバンプを同時に形成することに比べ、バンプを容易に形成することができる。
また、熱電材料ウェハと基板との接合の前に、熱電材料ウェハの表面のうち少なくとも1面の全部または一部に基板との接合部または接合部の近傍となる部分が凸となる加工を施しておく熱電変換素子の製造方法とした。
このような製造方法によれば、基板との接合に使われる熱電材料ウェハの接合されるべき面の全てまたは一部の接合部分あるいは接合部分近傍が凸となるように加工されているので、基板と熱電材料ウェハの接合後、基板と熱電材料ウェハとの間に、間隙を作ることが出来る。また、切断・削除の幅と凸部の形状により、熱電材料チップの断面形状を熱電材料チップの高さ方向で変えることが出来る。
また、熱電材料ウェハと基板との接合の前に、熱電材料ウェハの表面のうち少なくとも1面の全部または一部に溝入れを行う工程を有する熱電変換素子の製造方法とした。
このような製造方法によれば、熱電材料ウェハの表面のうち、基板と接合する面の少なくとも1面の全面または一部に物理的あるいは化学的な手段を用いて、溝入れ加工を行うことにより、接合部分または接合部分近傍に凸部を作ることができる。この凸部により、接合後の熱電材料ウェハと基板との間に、間隙を設けることができる。この間隙を利用することにより、基板上の電極配線を断線したり、破損したりすることなく熱電材料の不要部分の切断・削除を行うことが出来る。また、切断・削除の幅と凸部の形状により、熱電材料チップの断面形状を熱電材料チップの高さ方向で変えることが出来る。
また、熱電材料ウェハと基板との接合の前に、基板との接合を行うための接合材または接合を補助するための材料の層が少なくとも1面に形成されている熱電材料ウェハの少なくとも1面の全部または一部に溝入れを行う工程を有する熱電変換素子の製造法とした。
このような製造方法によれば、接合材層または接合を補助するための層が設けられた熱電材料ウェハの表面のうち、基板と接合する面の少なくとも1面の全面または一部に物理的あるいは化学的な手段を用いて、たとえば、図6(b)の溝67のような溝入れ加工を行うことにより、接合部分または接合部分近傍に凸部を作ることができるので、接合後の熱電材料ウェハと基板との間に、間隙を設けることができることから、基板上の電極配線を断線したり、破損したりすることなく熱電材料の不要部分の切断・削除を行うことが出来る。
また、切断・削除の幅と凸部の形状を考慮することにより、出来上がった熱電変換素子の熱電材料チップの基板に垂直な面での断面形状において、基板近傍と熱電材料チップ中央部分とでその幅を変えることが出来る。
また、熱電材料ウェハと基板との最初の接合の前に、基板との接合を行うためのバンプが表面に形成されている熱電材料ウェハの表面のうち少なくとも1面の全部または一部に溝入れを行う工程を有しており、この溝入れがバンプとバンプの間で行われる熱電変換素子の製造方法とした。
このような製造方法によれば、基板との接合をするためのバンプを形成した熱電材料ウェハの表面のうち、バンプが形成されている少なくとも1面の全面または一部に物理的あるいは化学的な手段を用いて、バンプとバンプの間に溝入れ加工を行うことにより、接合部分または接合部分近傍に凸部を作ることができるので、接合後の熱電材料ウェハと基板との間に、間隙を設けることができることから、基板上の電極配線を断線したり、破損したりすることなく熱電材料の不要部分の切断・削除を行うことが出来る。さらに、切断・削除の幅と凸部の形状により、熱電材料チップの断面形状を、熱電材料チップの高さ方向で変えることが出来る。
また、熱電材料ウェハと基板との最初の接合の前に、熱電材料ウェハの少なくとも1面の全部または一部に溝入れを行う工程を有しており、この溝入れにより熱電材料ウェハに出来る溝の幅と、後工程である熱電材料ウェハの不要部の切断・除去を行う工程における切断・削除される部分の幅が異なることによる熱電変換素子の製造方法とした。
このような製造方法によれば、熱電材料ウェハの表面のうち、基板と接合する面の少なくとも1面の全面または一部に物理的あるいは化学的な手段を用いて、例えば、図9の溝93および94のような溝入れ加工を行うことにより、接合部分または接合部分近傍に凸部を作ることができる。この凸部により、接合後の熱電材料ウェハと基板との間に、間隙を設けることができる。この間隙を利用することにより、基板上の電極配線を断線したり、破損したりすることなく熱電材料の不要部分の切断・削除を行うことができる。また、切断・削除の幅と溝の幅とを異なったものとすることで、熱電材料チップの断面形状を、高さ方向で変えることが出来る。さらに、溝入れ加工により作られる接合時の間隙の幅を大きくすることにより、切断工程に使用する刃具の位置合わせや精度の自由度が大きくなるので加工性が良くなる。
以上説明したように本発明によれば、熱電材料チップとPN接合用電極の位置関係から、熱電材料ウェハと基板上のPN接合用電極とを接合してから、熱電材料の不要部を切断・削除することにより、基板上に接合された熱電材料チップを作製したのち、各々異種型熱電材料チップが接合された基板を向かい合わせて、熱電材料チップの先端と基板上のPN接合用電極を接合することによりPN接合を形成するようにしたので、熱電材料チップのサイズが小さく、単位面積あたりの熱電材料チップ数の密度が高い熱電変換素子を製造出来るという効果がある。
また、熱電材料チップの配置、さらに、熱電材料チップとPN接合用電極の位置・配置関係から、熱電材料のチップ化を基板に接合した後に行う方法を採用することが可能になるので、取扱いが難しい熱電材料チップ単体を扱うことがなくなる。そのため、熱電材料チップのサイズが小さい、単位面積あたりの熱電材料チップ数の密度が高い小型の熱電変換素子を提供することができる。
また、外部から機械的な衝撃を受け易い熱電変換素子の外周部にあたる部分にダミーの熱電材料チップが2枚の基板の間に固定されているので、素子の機械的強度が上がり、信頼性が増すという効果がある。
また、熱電材料チップの基板に垂直方向の断面形状を変えることにより、熱電変換素子のペルチェ効果を利用する場合に、通電によるジュール熱の発生場所を限定することが出来るので冷却面における冷却効率を高める効果がある。また、断面形状を変えることにより、組み立て工程における位置合わせ精度を上げることができるので、数百・壕ネ下の熱電材料チップからなる熱電変換素子を製造することが出来、かつ、歩留りの向上を図ることが出来るという効果がある。
また、基板上において、熱電材料が接合されるべき位置の近傍(回り)に構造体が設けられているので、接合時における位置合わせ精度の向上と接合材の流れを防ぐことができるという効果がある。
また、基板材料にシリコンを使用するので、フォトリソグラフィー法による表面加工を容易に行うことができ、小型の熱電変換素子の作製を容易にすることができるという効果がある。また、シリコンの熱伝導率は、非常に高く、とくに低温においてはアルミニウムなどの金属よりも高くなるので、作製された熱電変換素子における吸放熱の効率が上がるため、熱電変換素子としての性能が上がるという効果がある。
また、異種の熱電材料チップを別々の基板に接合し、これらを向かい合わせて、相互の熱電材料チップと基板とを接合する方法において、最初の接合に使用する接合材と二回目に使用する接合材の組成を変えることにより、二回目の接合温度を最初の接合温度より下げることができるので最初の接合部に損傷を与えることなく熱電変換素子を製造することができるという効果がある。
また、バンプ等の突起状の電極を介して接合を行うことにより、熱電材料ウェハと基板との接合における接合材の役割を果たす効果に加えて、接合後の切断・削除工程において、基板上の電極配線に損傷を与えないための間隙を作ることをも兼ねるという効果がある。
さらに、熱電材料側にニッケル等の突起状の電極を設けて置くことにより、はんだ等の接合材と熱電材料との拡散反応を抑えることができるので、作製された熱電変換素子の信頼性を高めることができる。この効果は、はんだとの拡散反応が著しいBi−Te系材料のはんだによる接合の場合に著しい効果がある。
また、熱電材料のチップ化を基板に接合した後に行う方法を採用することができるので、熱電材料チップのサイズが小さくなると、取扱いが難しくなる熱電材料チップ単体を扱うことがないので、熱電材料チップのサイズが小さく、単位面積あたりの熱電材料チップ数の密度が高い小型の熱電変換素子を提供することができる。
また、接合された熱電材料ウェハと基板との間に、間隙を設けたので、切断・削除に用いる刃具等の刃先をこの間隙におさめることにより、基板や基板に設けられた電極配線に損傷を与えることなく、基板に接合された熱電材料チップを作製することができるという効果がある。
また、基板上に設けられた構造体を利用して、接合された熱電材料ウェハと基板との間に、間隙を作ることができるので、切断・削除に用いる刃具等の刃先をこの間隙におさめることにより、基板や基板に設けられた電極配線に損傷を与えることなく、基板に接合された熱電材料チップを作製することができるという効果がある。また、この構造体そのものが間隙の役割を果たしても良い。
また、予め熱電材料ウェハの両面に接合層を設けて置く必要がなく、片面のみに形成された接合層を利用して、最初の接合を行い、その後であれば、印刷等の方法、切断・削除後にチップ化された後であるならば、熱電材料チップの先端にスタンピング法といった簡単な方法で、もう一方の面に接合材層を形成することができるという効果がある。
また、熱電材料ウェハの少なくとも最初の接合を行う面のうち、基板上の電極と接合される部分とその近傍を凸とすることにより、接合された熱電材料ウェハと基板との間に、間隙を作ることができるので、切断・削除に用いる刃具等の刃先をこの間隙におさめることにより、基板や基板に設けられた電極配線に損傷を与えるとなく、基板に接合された熱電材料チップを容易に作製することができるという効果がある。なお、凸部を形成する方法については、刃具等による物理的な方法、エッチング等の化学的な方法に加え、熱電材料が焼結体の場合には焼結時に所望の凸型の形状となるような型を用いて作製する方法も挙げられる。
また、基板との接合を行うための接合材料層または接合を補助するための層が表面に形成された熱電材料ウェハに溝を入れることにより、基板と接合される部分とその近傍に凸部を形成する。これにより、凸部がバンプに相当する突起状の電極となり、その先端に形成されている層が接合に直接関与する層となる。
したがって、請求項19に記載の熱電変換素子の製造方法において、パターニングされた接合層が形成されるとともに、接合された熱電材料ウェハと基板との間に、間隙を作ることができるので、切断・削除に用いる刃具等の刃先をこの間隙におさめることにより、基板や基板に設けられた電極配線に損傷を与えることなく、基板に接合された熱電材料チップを容易に作製することができるという効果がある。
また、基板との接合を行うためのバンプを表面に形成した熱電材料ウェハのバンプとバンプの間に溝を入れることにより、バンプを凸部の上部に位置させる。したがって、バンプが小さいために、接合後、基板と熱電材料との間に切断・削除に必要な間隙を作れない場合に、接合された熱電材料ウェハと基板との間に、凸部とバンプにより十分な広さの間隙を作ることができる。これにより、切断・削除に用いる刃具等の刃先をこの間隙におさめることができ、基板や基板に設けられた電極配線に損傷を与えることなく、基板に接合された熱電材料チップを容易に作製できるという効果がある。
また、最初の接合の前に入れた溝の幅と切断・削除の幅を変えることにより、基板に垂直な方向における熱電材料チップの断面形状が基板近傍と中央部で異なっている熱電変換素子を作製することができるので性能が優れた熱電変換素子を提供することができるという効果がある。
さらに、このようにして作製される小型、薄型で多数の熱電材料チップのPN接合対を有する熱電変換素子は、小温度差における発電において、大きな効果を発揮する。実施例−1では、1V程度以上の出力を出せる数のPN接合対を有する熱電変換素子を用いて、電子式腕時計を駆動させた例を示したが、昇圧回路などを取り付けたり、CMOS−ICの低電圧駆動化を図るなどすれば、素子数を大幅に減らすことができるので、電子式腕時計だけでなく多くの携帯電子機器への熱電変換素子の応用展開を図ることができる。また、本発明によって作られる小型の熱電変換素子を冷却素子として用いることにおいても、絶大なる効果を有する。
たとえば、冷却性能を同じにするために、一つの熱電材料チップ当たりに流す電流密度を一定にした場合、熱電材料チップの断面積が小さく、多くの熱電材料チップを直列に並べることができるので、電圧を上昇させることで冷却能力を上げることが出来る。たとえば、冷却性能は熱電変換素子に入力する電力によって決まるが、従来の熱電変換素子では、熱電材料チップの断面積が大きいため、電力の供給が低電圧・大電流となる。
これに対して、本発明の熱電変換素子では、熱電材料チップの断面積を小さくすることができるので、電力の供給を低電流で供給することが可能となる。これにより、入出力用の配線を太くしたり、使用する電源を電流型の大きなものにする必要がなくなる。さらに、電気配線を細く出来るので、いわゆるカスケード型と呼ばれる多段型の素子も容易に作製することができるようになり、極低温を達成することもできる。
なお、実施例では、熱電材料チップの大きさを500μm以下としたが、大きさについては、一般的なおおきさである数百μmからミリオーダーのものについても本発明が適用出来ることはいうまでもない。さらに、実施例では、個々の熱電変換素子の作製について記したが、大型の基板や熱電材料ウェハを用いることにより、複数個の素子をまとめて作製することができるので、小型の熱電変換素子を作製する場合、コスト面においても、本発明は多大なる効果を有するものである。
以下、本発明を実施例に基づいて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明に関わる熱電変換素子の外観を示す図である。図1に示した熱電変換素子11の基本的な構成は、基板12、P型熱電材料チップ13、N型熱電材料チップ14及びPN接合用電極15からなっている。図2(a)及び図2(b)はそれぞれ図1に示した熱電変換素子の外観を示す図に示したA−A’及びB−B’における主要部の断面を示す図である。
図2に示した断面図では、熱電変換素子の主要部に加え、本発明の構造体23を接合部周囲で基板21上に形成したものを示してある。図1A−A’の断面図である図2(a)では、P型熱電材料チップとN型熱電材料チップが交互に現れている一方で、図1B−B’の断面図である図2(b)では、P型熱電材料チップまたはN型熱電材料チップのみが現れている。図3は図1の熱電変換素子を上部から基板上の電極配線パターンと熱電材料チップの位置関係を透視した図である。(図1、図2および図3では概略・概念を示したものであり、寸法や熱電材料チップの数などは、その目的によって決定されるものである。)
図3では電極配線を表す線のうち、実線は上部基板の電極配線パターン32、点線は下部基板の電極配線パターン33を示したものである。なお、ここでいう上部基板、下部基板という表現は説明上便宜的なもので、熱電変換素子では、どちらの基板も上下となりえることはいうまでもない。また、2種類の斜線を施した四角形は、それぞれP型熱電材料チップ34とN型熱電材料チップ35を表してる。
このような構造を有する本発明の熱電変換素子とその製造方法に関する実施例を、熱電材料チップの大きさが100μmの小型熱電変換素子について説明する。
熱電材料としては、室温付近で性能が優れている材料であるBi−Te系材料の焼結体を使用した。この熱電材料の主な特性は、P型ではゼーベック係数205μV/deg、比抵抗率0.95mΩcm、熱伝導率1.5W/m・deg、N型ではゼーベック係数170μV/deg、比抵抗率0.75mΩcm、熱伝導率1.5W/m・degであった。
基板材料としては、表面を熱酸化することによって、電気的に絶縁を行った厚さ300μmのシリコンウェハを用いた。素子の大きさ等については、熱電材料チップの高さが500μm、熱電材料チップの基板に平行な断面での形状が正方形で一辺の長さが上述のごとく100μmとし、図3における最近接の同種型熱電材料チップ間の距離を200μm(中心間距離では、300μm)、最近接の異種型熱電材料チップ間の距離を70μm(中心間距離では、300/√2=約210μm)とし、1素子内に並べる素子対数を直列に125対とした。
図4は、本実施例の熱電変換素子を製造するための工程の概要を示した図である。図4に示したように、この製造方法は大きく分けて5つの工程から構成されている。これを順を追って説明する。
バンプ形成工程(a)では、厚さ500μmのBi−Te系焼結体からなるP型及びN型の各々の熱電材料ウェハ40の両面に50μmの厚さのフォトレジストを塗布する。このフォトレジストを露光・現像することにより、開口径90μmの円形であり、その配列が所望とするパターンとなるような開口部を有するレジスト層を形成する。なお、ここでいう所望のパターンとは、図3における熱電材料チップの配置になるように、上述の寸法に基づき決められるものである。つぎに、この開口部に、酸等で洗浄した後、電気めっき法により、まず40μmのニッケルめっきを施し、いわゆるニッケルバンプを形成する。
次に、同様に電気めっき法により、ニッケル上にはんだめっきを行い、はんだ層を30μm形成した。ここで、はんだめっきは錫と鉛の組成比が6:4のはんだとなるように行った。次に、フォトレジストを剥離した後、ロジン系フラックスをはんだめっき層に塗布し、230℃でリフロー処理を行ったところ、直径約100μmの球状のはんだバンプ41を熱電材料ウェハ40の両面に形成することができた。
電極配線工程(b)では、熱酸化により、表面に0.5μmの酸化層を設けた厚さ300μmのシリコンウェハ基板42の表面にスパッタリング法により、基板側より、クロム、ニッケル、金の順にそれぞれ0.1μm、3μm、1μmの厚みで膜を形成した。次に、上下の基板に、フォトリソグラフィー法により、図3の電極配線パターンとなるように、電極配線43を形成した。さらに、P型熱電材料とN型熱電材料がはんだバンプで接合される部分の周囲にポリイミド系のフォトレジストにより、2種類のドーナツ型の構造体44をフォトリソグラフィー法により作製した。
このポリイミド系フォトレジストにより構成される構造体44の大きさは、熱電変換素子を構成する2枚の基板のうち、一方の基板でP型熱電材料チップが配置される位置でドーナツ形状の大きさを内径120μm、外径150μm、高さ30μm、N型熱電材料チップが配置される位置で内径140μm、外径170μm、高さ30μmとし、他方の基板でP型熱電材料チップが配置される位置で内径140μm、外径170μm、高さ30μmとし、N型熱電材料チップが配置される位置で内径120μm、外径150μm、高さ30μmとした。
接合工程(c)では、バンプ形成工程(a)で作製したはんだバンプ41付きの熱電材料ウェハ40と電極配線工程(b)で作製した電極配線43および接合部近傍のドーナツ型構造体44を形成した基板42とを対向させて所定の位置合わせを行った後、はんだを溶融させ、熱電材料ウェハ40と、基板42を接合した。なお、P型熱電材料ウェハと基板との接合では、P型熱電材料ウェハ表面に形成されているはんだバンプを、基板上に形成された内径120μm、外径150μm、高さ30μmの小さい方のドーナツ型の構造体の内側に入れることによって、熱電材料ウェハ40と基板42との位置合わせを行った。
同様に、N型熱電材料ウェハの基板との接合では、N型熱電材料ウェハの表面に形成されているはんだバンプを、基板上に形成された内径120μm、外径150μm、高さ30μmの小さいドーナツ型の構造体の内側に入れることによって、熱電材料ウェハ40と基板42との位置合わせを行った。ここで熱電材料ウェハ40と基板42との接合に基板上に形成した2種類の大きさのドーナツ型の構造体のうち小さい方の構造体を用いたのは、接合位置を間違いなくすることと、相互の位置合わせ精度を高めるところにある。
切断・削除工程(d)では、基板42に接合された熱電材料ウェハ40を熱電材料ウェハの一部を切断・削除することにより、基板42に接合された熱電材料チップ45とする。この時、必要に応じて基板42あるいは電極配線43の一部も同時に切断・削除することもある。本実施例では、シリコン半導体などの切断で用いられるダイシングソーを用いて、この切断・削除工程(d)を行った。切断・削除に用いた刃は厚さ200μmのものを使用した。この刃の厚さは、本実施例の正方形を有する熱電材料チップ45の一辺の長さが100μmで最近接の同種熱電材料チップ中心間距離が300μmであり、異種の熱電材料チップが図3の位置関係に接合されることから選定した。
熱電材料の不要部分の切断・削除は、はんだバンプ41間の中心で行うと同時に、40μmの高さを有するニッケルバンプで出来た熱電材料ウェハ40と基板42との隙間を利用して、基板上の電極配線43を破損しないように刃の高さを調整することによって行った。縦横にダイシングソーの刃で切断・削除することにより、各型の熱電材料について、実質的に125本の熱電材料チップ45が接合されている基板42を作製した。
ここで実質的に125本の熱電材料チップ45が接合されている基板42というのは、図3における熱電材料チップの配置・構成で、長方形の熱電材料ウェハを用い、はんだバンプを縦方向11列×横方向12列(合計132個)として形成した場合、配列の関係上、実質的にPN接合に関与するのは125個となるからである。この場合、不必要となる一部の外周部のチップについては、何らかの接合するための手段をとらなければ、切断・削除工程で削除されてしまい何等問題とならないが、この不要となるチップを基板に接合し、残しておくことにより、作製される熱電変換素子の機械的な補強や電気的な信頼性を高めることが出来るので、何等かの手段により、基板に接合し、残しておくこともよい。
この場合、作製される熱電変換素子の強度を高めることを目的とする場合には、あらかじめ基板上に電気的に孤立したにダミーの接合パッドを電極配線作製時に作製しておき、他のバンプと同様に接合しておけば工程上何等支障をきたすことなく熱電変換素子を作製することができる。また、不必要なチップとなる部分のバンプを予め近くの電極と短絡するように配線したパッドを形成した基板に接合することにより、このチップを残し、最外周部の熱電材料チップの機械的補強と電気的な接合の信頼性の向上を図ることができる。
組み立て工程(e)では、各々異種の型の熱電材料チップ45が接合されている2枚の基板42を向かい合わせて、各々のチップ先端に形成されているはんだバンプ41と基板に形成されている電極配線43とを接合されるべき位置に合わせて、加圧しながら加熱することにより、はんだを溶融し、熱電材料チップ45と基板42上の電極配線43との接合を行い、上下の基板上でPN接合を有する熱電変換素子を完成することができた。
なお、接合時の位置合わせは、各々の型の熱電材料チップ45の先端に形成されているはんだバンプ41を接合すべき他方の型の基板上に形成されている構造体44のうち、残っている大きな方(内径140μm、外径170μm、高さ30μm)のドーナツ型の構造体の内側に入れることにより行った。この位置合わせの際にドーナツ型の構造体を大きな方としたのは、熱電材料チップと基板電極の位置合わせを容易にすることと、はんだの流れを抑えるためであり、本実施例では、接合工程(c)における小さなドーナツ型の構造体と併せて、これらの効果が十分得られた。
このようにして作製した熱電変換素子の最終的な外形寸法は、厚さが約1.2mm(厚さの構成は、熱電材料チップの厚さが0.5mm、上下基板の厚みが各0.3mm、上下接合部における接合材およびニッケルバンプの高さを合わせて各0.05mm)、大きさは入出力電極を設けてある下部基板の大きさで、4mm×4mmであり、電気的には内部抵抗が120Ωであった。
この製造方法により作製された図3に示した熱電材料チップとPN接合用電極の位置・配置関係を有する本実施例の熱電変換素子の大きさは、従来の製造方法である熱電材料チップを作製したのち、上下の基板に挟み込んで熱電変換素子を作りあげる方法では作ることが出来ない大きさである。
このような熱電変換素子に入出力用電極にリード線を接続し、各特性を調べたところ、以下の結果が得られた。
ゼーベック効果に基づく発電性能は、基板間の温度差2℃における解放電圧は、90mVであり、外部に1KΩの負荷抵抗を付け、基板間に温度差2℃を与えたところ、80mV−70μAの出力が得られた。また、このPN接合125対の熱電変換素子を16個直列に繋ぎ、水晶振動子式電子腕時計内に入れて携帯したところ、室温が20℃の状態で時計を駆動することが出来た。
ペルチェ効果に基づく冷却・発熱素子としての性能については、発熱側の基板にアルミニウム製の放熱板を高熱伝導性のシリコーン密着剤で接着し、入力電極間に6Vの電圧を印加したところ、約50mAの電流が流れ、吸熱側となる基板の表面では、空気中の水分が瞬間的に凍結する現象が起こり、この熱電変換素子のペルチェ素子としての性能が非常に優れていることが実証された。
図5は実施例2に係わる熱電変換素子の基板上の電極配線と熱電材料チップの配置の概要を説明するために、上部基板から透視した図である。図5では電極配線を表す線のうち、実線は上部基板の電極配線パターン50、点線は下部基板の電極配線パターン51を示したものである。なお、ここでいう上部基板、下部基板という表現は説明上便宜的なもので、熱電変換素子では、どちらの基板も上下となりえることはいうまでもない。また、2種類の斜線を施した四角形は、それぞれP型電材料チップ52とN型熱電材料チップ53を表してる。また、熱電変換素子外周部に存在するPN接合に関係ない熱電材料チップ(以下、ダミーチップと呼ぶ)は、上部基板ダミー電極54および下部基板ダミー電極55により、上部基板と下部基板に接合され固定されている。
図5では、ダミーチップは一方の基板でダミー電極と接合され、他方の基板では、PN接合を行う電極上に接合されているが、両方の基板においてダミー電極であってもよい。
いずれの場合においても、ダミーチップは本実施例で作製した小型の熱電材料チップから構成される熱電変換素子の機械的な補強をなすものである。図5に示したように本実施例の熱電変換素子における熱電材料チップの配列は、X方向では、ある1列を見た場合、P型熱電材料チップあるいはN型熱電材料チップのみが列をなしており、このP型熱電材料チップの列とN型熱電材料チップの列が交互に並んでいる。一方、Y方向では、ある1列を見た場合、P型熱電材料チップとN型熱電材料チップが配列して並んでいる。
本実施例では、この構造および熱電材料チップの配置を有する熱電変換素子を基板に平行な断面における熱電材料チップの大きさが500μm、高さが500μm、最近接の熱電材料チップの中心間距離が1000μm、熱電材料チップ数(ダミーチップも含む)がP型およびN型を合わせて64個のものについて作製した。
熱電材料としては、実施例−1と同じ室温付近で性能が優れている材料であるBi−Te系材料の焼結体を使用した。この熱電材料の主な特性は、P型ではゼーベック係数205μV/deg、比抵抗率0.95mΩcm、熱伝導率1.5W/m・deg、N型ではゼーベック係数170μV/deg、比抵抗率0.75mΩcm、熱伝導率1.5W/m・degであった。基板材料としては、熱伝導率が20W/m・degのアルミナを用いた。
図6は、この熱電変換素子の作製するための工程の概要を示した図である。以下、図6に従って各工程について説明する。
接合層形成工程(a)では、厚さ500μmの熱電材料ウェハ60の表面のうち基板と接合されるべき面の両面に湿式めっき法によりニッケルめっきを施し、厚さ10μmのニッケル層61を形成する。つぎに、ニッケル層が形成されている一方の面をマスキングし、他方の面に湿式めっき法により錫:鉛=1:9の組成のはんだめっきを施し、厚さ30μmのはんだ層62を形成する。
つぎに、このめっきマスクを外し、錫:鉛=1:9の組成のはんだ層62をマスクキングを行い、もう一方のニッケル層61上に湿式めっき法により錫:鉛=6:4の組成のはんだめっきを施すことにより、厚さ30μmのはんだ層63を形成し、めっきマスクを取り除くことにより、一方の面に錫:鉛=1:9の組成のはんだ層62を有し、他方の面に錫:鉛=6:4の組成のはんだ層63を有する熱電材料ウェハを作製する。つぎに、両面のはんだ層62および63にロジン系フラックスを塗布し、350℃にはんだをリフローすることにより、はんだ層の均質化と表面の清浄化を図った。なお、リフロー処理は、工程の関係上、この後の工程である溝入れ工程の後に行っても良い。
溝入れ工程(b)では、ダイシングソーを用いたが、刃幅1.5mmの刃により、錫:鉛=1:9の組成のはんだ層62側にニッケル層61表面より90μmの深さまで、縦横に溝入れを行う。このときの刃の溝間のおくりは2mm、すなわち、溝と溝との間に出来る凸部の間隔が熱電材料チップの大きさである0.5mmになるように行った。
ここで、溝入れの深さをはんだの表層より90μmとしたのは、後工程の接合で隣接する凸部どうしが短絡しないようにするための溝の深さであり、また、この溝により、後工程である切断・削除によるチップ化で必要なとなる熱電材料ウェハと基板との間の間隙ともなる。
電極配線工程(c)では、厚さ0.1mmの銅板が張り合わせてある厚さ0.5mmのアルミナ基板64のうち銅板をフォトエッチングにより、図5に示した上部基板および下部基板のパターンの電極配線65として加工した。
接合工程(d)では、溝入れにより出来た凸部を有する熱電材料ウェハ60の凸部68と基板上の電極配線65とを位置合わせし、ついで凸部の錫:鉛=1:9の組成のはんだ層62を溶融し、電極配線62と熱電材料ウェハ60とを接合した。このときの接合温度は340℃とした。
切断工程(e)では、図5に示したX方向の切断については、ダイシングソーを用いて、刃幅が1.5mmの刃により、また、Y方向の切断については、刃幅が0.5mmの刃により、基板64上の電極配線65に損傷を与えずに切断・削除を行うため、溝入れ工程で出来た溝(凹部)67に刃先がくるようにして不要部の切断・削除を行い、熱電材料チップ66を作製した。
組み立て工程(f)では、各々異種の型の熱電材料チップ66が接合されている2枚の基板64を向かい合わせて、各々のチップ先端に形成されている錫:鉛=6:4の組成のはんだ層63と基板64に形成されている電極配線65とを接合されるべき位置に合わせて、加圧しながら加熱することにより、はんだを溶融し、熱電材料チップ66と基板64上の電極配線65との接合を行い、上下の基板上でPN接合を有する熱電変換素子を完成することができた。なお、接合時の温度は、先に接合を行った錫:鉛=1:9の組成のはんだが溶融しない温度である230℃とした。このため、接合部周囲に構造体を設けなくとも熱電材料チップが倒れたり、ずれを起こさずにで組立て工程を行うことができた。
本実施例の熱電変換素子も実施例−1に記した熱電変換素子と本質的には、同様な作製方法をとっているが、熱電材料チップが極端に小さい場合には、実施例−1による熱電材料チップの位置・配列とPN接合用電極配置が好ましいが、熱電変換素子内の熱電材料チップ密度を高めるためには、本実施例の熱電材料チップの位置・配列とPN接合用電極配置が好ましい。また、切断・削除により、除去される熱電材料の量を抑えるには、本実施例による熱電変換素子とその製造方法が好ましい。
このようにして作製した熱電変換素子の最終的な外形寸法は、厚さが約1.5mm、大きさは入出力電極を設けてある下部基板の大きさで、9mm×8mmであり、電気的には内部抵抗が1Ωであった。このような熱電変換素子に入力用電極にリード線を接続し、ペルチェ効果に基づく冷却・発熱素子としての性能について調べた。発熱側の基板にアルミニウム製の放熱板を高熱伝導性のシリコーン密着剤で接着し、入力電極間に1Vの電圧を印加したところ、約1Aの電流が流れ、吸熱基板側で急激な冷却が起こった。この入力電力に対する吸熱量の比率、いわゆるCOP(成績係数)が温度差20℃のとき、0.55となっており、この熱電変換素子が優れた性能を有していることが実証された。
実施例−1と同様な電極配線構造の熱電変換素子において、熱電材料チップの大きさが50μmの小型熱電変換素子の作製について説明する。
熱電材料としては、実施例−1と同じ室温付近で性能が優れている材料であるBi−Te系材料の焼結体を使用した。この熱電材料の主な特性は、P型ではゼーベック係数205μV/deg、比抵抗率0.95mΩcm、熱伝導率1.5W/m・deg、N型ではゼーベック係数170μV/deg、比抵抗率0.75mΩcm、熱伝導率1.5W/m・degであった。
基板材料としては、表面を熱酸化することによって、電気的に絶縁を行った厚さ300μmのシリコンウェハを用いた。素子の大きさ等については、熱電材料チップの高さが500μm、熱電材料チップの基板に平行な断面での形状が正方形で一辺の長さが上述のごとく50μmとし、図3における最近接の同種型熱電材料チップ間の距離を100μm(中心間距離では、150μm)、最近接の異種型熱電材料チップ間の距離を35μm(中心間距離では、150/√2=約110μm)とし、1素子内に並べる素子対数を直列に51対とした。
図7は、本実施例の熱電変換素子を製造するための工程の概要を示した図である。図7に示したように、この製造方法は大きく分けて5つの工程から構成されている。これを順を追って説明する。
バンプ形成工程(a)では、厚さ500μmのBi−Te系焼結体からなるP型及びN型の各々の熱電材料ウェハ70の両面に20μmの厚さのフォトレジストを塗布する。このフォトレジストを露光・現像することにより、開口径45μmが円形であり、その配列が所望とするパターンとなるようにレジストのパターンを形成する。なお、ここでいう所望のパターンとは、図3における熱電材料チップの配置になるように、上述の寸法に基づき決められるものである。つぎに、この開口部に、酸等で洗浄した後、電気めっき法により、まず20μmのニッケルめっきを施し、いわゆるニッケルバンプを形成する。
次に、同様に電気めっき法により、ニッケル上にはんだめっきを行い、はんだ層を30μm形成した。ここで、はんだめっきは錫と鉛の比が6:4となるように行った。次に、フォトレジストを剥離した後、ロジン系フラックスをはんだめっき層に塗布し、230℃でリフロー処理を行ったところ、直径約50μmの球状のはんだバンプ71を熱電材料ウェハ70の両面に形成することができた。
電極配線工程(b)では、熱酸化により、表面に0.5μmの酸化層を設けた厚さ300μmのシリコンウェハ基板72の表面にスパッタリング法により、基板側より、クロム、ニッケル、金の順にそれぞれ0.1μm、2μm、1μmの厚みで膜を形成した。次に、上下の基板についてフォトリソグラフィー法により、図3の電極配線パターンとなるように、電極配線73を形成した。さらに、P型熱電材料とN型熱電材料がはんだバンプで接合される部分の周囲に厚膜フォトレジストにより、2種類の円形状に接合部を抜いた構造体74をフォトリソグラフィー法により作製した。
この厚膜フォトレジストにより構成される構造体74の形状・大きさは、熱電変換素子を構成する2枚の基板のうち、一方の基板でP型熱電材料チップが配置される位置で円形状に抜く部分の大きさを直径60μm、N型熱電材料チップが配置される位置で直径70μmとし、それ以外の部分を厚さ40μmのレジストで覆うような構造体とした。他方の基板でP型熱電材料チップが配置される位置で直径70μm、N型熱電材料チップが配置される位置で直径60μmとし、その他の部分を40μmの厚みのレジストで覆うような構造体を形成した。
ここで、レジストの厚みを40μmとしたのは、これによる構造体を熱電材料ウェハ70と基板72とを接合する次工程(c)と熱電材料ウェハ70を切断・削除する次々工程(d)における間隙として用いるためである。実施例−1では、この間隙をニッケルバンプにより作ったが、本実施例−4では、切断・削除工程(d)で必要とする熱電材料ウェハ70と基板72との間隙が30μm以上であるのに対し、前工程で熱電材料ウェハ70上にバンプ71を形成するにあたり、フォトリソグラフィー技術とめっき技術の限界から、間隙を作るニッケルバンプの高さを20μm以上とすることが困難なためである。
接合工程(c)では、バンプ形成工程(a)で作製したはんだバンプ71付きの熱電材料ウェハ70と電極配線工程(b)で作製した電極配線73さらに接合部近傍の構造体74を形成した基板72とを所定の位置合わせを行った後、はんだを溶融させ、熱電材料ウェハ70と基板72を接合する。なお、P型熱電材料ウェハと基板との接合では、P型熱電材料ウェハ表面に形成されているはんだバンプを、基板上に形成された直径60μmの構造体74の接合用開口部の内側に入れることによって、熱電材料ウェハ70と基板72との位置合わせを行った。
同様に、N型熱電材料ウェハと基板との接合では、N型熱電材料ウェハの表面に形成されているはんだバンプを、基板上に形成された直径60μmの構造体74の接合用開口部の内側に入れることによって、熱電材料ウェハ70と基板72との位置合わせを行った。ここで熱電材料ウェハ70と基板72との接合に基板上に形成した2つの構造体74の接合用開口部のうち小さい方の接合用開口部を用いたのは、接合位置を間違いなくすることと、相互の位置合わせ精度を高めるところにある。
切断・削除工程(d)では、基板72に接合された熱電材料ウェハ70を熱電材料ウェハの一部を切断・削除することにより、基板72に接合された熱電材料チップ75とする。
この時、必要に応じて基板72の一部も同時に切断・削除することもある。本実施例では、シリコン半導体などの切断で用いられるダイシングソーを用いて、この切断・削除工程(d)を行った。切断・削除に用いた刃は厚さ100μmのものを使用した。この刃の厚さは、本実施例の正方形を有する熱電材料チップ75に一辺の長さが50μmで最近接の同種熱電材料チップの中心間距離が100μmであり、異種の熱電材料チップが図3の位置関係に接合されることから選定した。
熱電材料の不要部分の切断・削除は、はんだバンプ71間の中心で行うと同時に、40μmの高さを有する構造体74で出来た熱電材料ウェハ70と基板72との隙間を利用して、基板上の電極配線73を破損しないように刃の高さを調整することによって行った。縦横にダイシングソーの刃で切断・削除することにより、各型の熱電材料について、実質的に51本の熱電材料チップ75が接合されている基板72を作製した。
ここで実質的に51本の熱電材料チップ75が接合されている基板72というのは、図3における熱電材料チップの配置・構成で、長方形の熱電材料ウェハを用い、はんだバンプを縦方向7列×横方向8列(合計56個)として形成した場合、配列の関係上、実質的にPN接合に関与するのは、それぞれ51個となるからである。この場合、不必要となる一部の外周部のチップについては、何らかの接合するための手段をとらなければ、切断・削除工程で削除されてしまい何等問題とならないが、この不要となるチップを基板に接合し、残しておくことにより、作製される熱電変換素子の機械的な補強や電気的な信頼性を高めることが出来るので、何等かの手段により、基板に接合し、残しておくこともよい。
この場合、作製される熱電変換素子の強度を高めることを目的とする場合には、あらかじめ基板上に電気的に孤立したダミーの接合パッドを電極配線作製時に作製しておき、他のバンプと同様に接合しておけば、工程上何等支障をきたすことなく熱電変換素子を作製することができる。また、不必要なチップとなる部分のバンプを予め近くの電極と短絡するように配線したパッドを形成した基板に接合することにより、このチップを残し、最外周部の熱電材料チップの機械的補強と電気的な接合の信頼性の向上を図ることができる。
組み立て工程(e)では、各々異種の型の熱電材料チップ75が接合されている2枚の基板72を向かい合わせて、各々のチップの先端に形成されているはんだバンプ71と基板に形成されている電極配線73とを接合されるべき位置に合わせて、加圧しながら加熱することにより、はんだを溶融し、熱電材料チップ75と基板72上の電極配線73との接合を行い、上下の基板上でPN接合を有する熱電変換素子を完成することができた。
なお、接合時の位置合わせは、各々の型の熱電材料チップ75の先端に形成されているはんだバンプ71を接合すべき他方の型の基板上に形成されている構造体74の接合用開口部のうち、残っている大きな方(直径70μm)の内側に入れることにより行った。この位置合わせの際に構造体74の接合用開口部を大きな方としたのは、熱電材料チップと基板電極の位置合わせを容易にすることと、はんだの流れを抑えるためであり、本実施例では、接合工程(c)における構造体74の小さな接合用開口部と併せて、これらの効果が十分得られた。
このようにして作製した熱電変換素子の最終的な外形寸法は、厚さが約1.2mm、大きさは入出力電極を設けてある下部基板の大きさで、2mm×2mmであり、電気的には内部抵抗が180Ωであった。このような熱電変換素子の入出力用電極にリード線を接続し、各特性を調べたところ、以下の結果が得られた。
ゼーベック効果に基づく発電性能は、基板間の温度差2℃における解放電圧は、35mVであり、外部に1KΩの負荷抵抗を付け、基板間に温度差2℃を与えたところ、30mV−30μAの出力が得られた。また、このPN接合51対を有する熱電変換素子を49個直列に繋ぎ、腕時計内に入れて携帯したところ、室温が20℃の状態で時計を駆動することが出来た。
ペルチェ効果に基づく冷却・発熱素子としての性能については、発熱側の基板にアルミニウム製の放熱板を高熱伝導性のシリコーン密着剤で接着し、入力電極間に2Vの電圧を印加したところ、約10mAの電流が流れ、吸熱側となる基板の表面では、空気中の水分が瞬間的に凍結する現象が起こり、この熱電変換素子のペルチェ素子としての性能が非常に優れていることが実証された。
実施例−1と同様な電極配線構造の熱電変換素子において、熱電材料チップの断面形状が、一方基板の基板側で太く(70μm)、他方の基板側で細い(50μm)構造を有する小型熱電変換素子の作製について説明する。
熱電材料としては、同じくBi−Te系材料の焼結体を使用した。基板材料としては、表面を熱酸化することによって、電気的に絶縁を行った厚さ300μmのシリコンウェハを用いた。素子の大きさ等については、熱電材料チップの高さが500μm、熱電材料チップの基板に平行な断面での形状が正方形で一辺の長さが上述のごとく50μmとし、一方の接合部近傍で70μmとした。図3における最近接の同種型熱電材料チップ間の中心間距離を270μm)、最近接の異種型熱電材料チップ間の中心間距離を270/√2=約190μm)とし、1素子内に並べる素子対数を直列に51対とした。(この距離の計算はチップの大きさを70μmとして行った。)
図8は、本実施例−4の熱電変換素子を製造するための工程の概要を示した図である。図3に示したように、この製造方法は大きく分けて6つの工程から構成されている。これを順を追って説明する。
バンプ形成工程(a)では、厚さ500μmのBi−Te系焼結体からなるP型及びN型の各々の熱電材料ウェハ40の両面に10μmの厚さのフォトレジストを塗布する。このフォトレジストを露光・現像することにより、一方の面に開口径40μm、他方の面が開口径60μmの円形であり、かつ、その配列が所望とするパターンとなるような開口部を有するレジスト層を形成する。なお、ここでいう所望のパターンとは、図3における熱電材料チップの配置になるように、上述の寸法に基づき決められるものである。
つぎに、この開口部に、酸等で洗浄した後、電気めっき法により、まず両面に10μmのニッケルめっきを施し、いわゆるニッケルバンプを形成する。次に、同様に電気めっき法により、ニッケル上にはんだめっきを行い、はんだ層を30μm形成した。ここで、はんだめっきは錫と鉛の比が6:4となるように行った。次に、フォトレジストを剥離した後、ロジン系フラックスをはんだめっき層に塗布し、230℃でリフロー処理を行ったところ、一方の面では直径約50μm、他方の面では直径70μmの球状のはんだバンプ81を熱電材料ウェハ80の両面に形成することができた。
溝入れ工程(b)では、P型熱電材料ウェハとN型熱電材料ウェハで異なった溝入れを行った。
図9は、本実施例の溝入れ工程における溝入れの幅および深さを示した図である。
図9に示したように、まず、P型熱電材料ウェハでは直径70μmのはんだバンプが形成されている面に、刃幅160μmの刃を取り付けたダイシングソーにより、縦横に深さ150μmの溝入れをはんだバンプ間の中央で行った。これにより、幅160μm、深さ150μmが溝ができるので、一辺の長さが70μm、溝の底からの高さが150μmの凸部の上に直径約70μmのはんだバンプが形成されているP型熱電材料ウェハを形成することが出来る。
N型熱電材料ウェハでは直径50μmのはんだバンプが形成されている面に、刃幅180μmの刃を取り付けたダイシングソーにより、縦横に深さ350μmの溝入れをはんだバンプ間の中央で行った。これにより、幅180μm、深さ350μmが溝ができるので、一辺の長さが50μm、溝の底からの高さが350μmの凸部の上に直径約50μmのはんだバンプが形成されているN型熱電材料ウェハを形成することが出来る。
このような、溝入れを行ったのは、あと工程である図8の接合工程(d)と切断・削除工程(e)で必要となる熱電材料ウェハと基板との間の間隙を形成するために加え、熱電材料チップの基板に垂直な方向での断面形状を変えることにより、作製された熱電変換素子をペルチェ素子として使用する場合、通電によるジュール熱を出来る限り放熱基板側で発生させ、吸熱基板側への放熱を防ぐためである。
図8の電極配線工程(c)では、熱酸化により、表面に0.5μmの酸化層を設けた厚さ300μmのシリコンウェハ基板82の表面にスパッタリング法により、基板側より、クロム、ニッケル、金の順にそれぞれ0.1μm、1μm、0.1μmの厚みで膜を形成した。次に、上下の基板についてフォトリソグラフィー法により、図3の電極配線パターンとなるように、電極配線83を形成した。一方の基板上には、はんだバンプで接合される部分の周囲にフォトリソフラフィーにより、内径80μm、外形110μm、高さ30μmのドーナツ型の構造体84を厚膜フォトレジストを硬化したものにより作製した。
他方の基板上には、はんだバンプで接合される部分の周囲にフォトリソフラフィーにより、内径60μm、外形90μm、高さ30μmのドーナツ型の構造体84を厚膜フォトレジストを硬化したものにより作製した。
図8の接合工程(d)では、バンプ形成工程(a)で作製したはんだバンプ81の付きの熱電材料ウェハ80と電極配線工程(c)で作製した電極配線83さらに接合部近傍のドーナツ型構造体84を形成した基板82とを所定の位置合わせを行った後、はんだを溶融させ、熱電材料ウェハ80と基板82を接合する。この接合に際しては、熱電材料ウェハ80の溝入れを行った面上のはんだバンプと基板82上のドーナツ型の構造体84とを併せ、基板82を外部から加圧しながら加熱・接合を行うが、P型熱電材料ウェハは、溝入れがなされている面に形成されている直径70μmのはんだバンプにより、内径80μm、外形110μm、高さ30μmの構造体が形成されている基板と接合を行い、N型熱電材料ウェハは溝入れがなされている面に形成されている直径50μmのはんだバンプにより、内径60μm、外形90μm、高さ30μmの構造体が形成されている基板と接合することになる。
図8の切断・削除工程(e)では、基板82に接合された熱電材料ウェハ80を熱電材料ウェハの一部を切断・削除することにより、基板82に接合された熱電材料チップ85に形成する。この時、必要に応じて基板82の一部も同時に切断・削除することもある。
本実施例でも、実施例−1と同様に、シリコン半導体などの切断で用いられるダイシングソーを用いて、この切断・削除工程(e)を行った。切断・削除に用いた刃は、P型熱電材料ウェハの切断・削除には、刃厚180μmのものを、N型熱電材料ウェハの切断・削除には刃厚160μmのものを使用した。P型熱電材料ウェハでは、すでに、溝入れ工程により160μm幅の溝が基板側から150μm入っているので、この切断・削除工程(e)では、刃厚180μmの刃で残りの部分である前記の幅160μm、深さ150μmの溝を入れた時とは反対側の熱電材料ウェハの表面から350μmの深さまで切断・削除を行う。
N型熱電材料ウェハでは、すでに、溝入れ工程により180μm幅の溝が基板側から350μm入っているので、この切断・削除工程(e)では、160μmの刃で残りの部分である150μmを前記の幅180μm、深さ350μmの溝を入れた時とは反対側の熱電材料ウェハ表面から切断・削除を行う。図10はこの操作で作製された熱電材料チップが接合されている基板の基板に垂直方向の断面図を示したものである。この図10に示したように、P型熱電材料チップでは、基板側から、150μmまでが一辺が70μmで、残りの150μmから500μmまでが一辺が50μmの大きさとなっており、N型熱電材料チップでは、基板側から、350μmまでが一辺が50μmで、残りの350μmから500μmまでが一辺が70μmの大きさとなっている。
図8の組み立て工程(f)では、各々異種の型の熱電材料チップ85が接合されている2枚の基板82を向かい合わせて、各々のチップ先端に形成されているはんだバンプ81と基板に形成されている電極配線83とを接合されるべき位置に合わせて、加圧しながら加熱することにより、はんだを溶融し、熱電材料チップ85と基板82上の電極配線83との接合を行い、上下の基板上でPN接合を有する熱電変換素子を完成することができた。
なお、接合時の位置合わせは、各々の型の熱電材料チップ85の先端に形成されているはんだバンプ81を接合すべき他方の型の基板上に形成されている構造体84により行った。
図11は、この一連の工程により作製された熱電変換素子の概要を表す断面図を示した図である。素子の構成は、実施例−1で作製した素子と同様であるが、P型熱電材料チップ110およびN型熱電材料チップ111の断面形状が、単なる長方形でなく、P型、N型とも一方の基板116側で太く、他方の基板113側で細くなっている。
本実施例−4の熱電変換素子の性能を調べるため、熱電材料チップサイズが50μmと70μmについて、同じPN接合数、外形寸法の熱電変換素子をそれぞれ作製し、ペルチェ素子としての性能を3者で比較したところ、同じ入力電力において本実施例の素子が、いずれの比較試料に対してもCOPで約10%上回る値を示し、最も優れた性能を示した。
ペルチェ素子では、ペルチェ効果による熱の移動による放熱基板側の発熱に加え、通電によるジュール発熱が生じる。ジュール発熱は周知のごとく通電される物質の断面が均一である場合、その中央部が最も加熱・発熱する。本実施例の熱電変換素子は、熱電材料チップが細くなっている側の基板を放熱基板となるように通電することにより、ジュール発熱が熱電材料チップが細くなっている部分を中心におこるようになるので、この発生した熱は、より近い基板、すなわち、放熱基板からスムーズに行われるので、反対側の吸熱基板への熱の流れを防ぐことができ、熱電変換素子の高性能化をもたらした。
なお、図11では、本実施例−4の熱電変換素子の概要の断面図を示したが、熱電変換素子の製造の容易さ、とくに組み立て工程における位置合わせや熱電材料チップと基板との接合を考えると図12に示した断面形状も有効である。
実施例−1と同様な電極配線構造の熱電変換素子において、熱電材料と基板との接合をはんだバンプ法以外の方法で小型熱電変換素子を作製した例について説明する。熱電材料チップの大きさ、PN接合対数や使用した材料等については、実施例−1と同じとした。
図13は、本実施例の熱電変換素子を製造するための工程の概要を示した図である。図13に示したように、この製造方法は大きく分けて5つの工程から構成されている。これを順を追って説明する。
突起状電極作成工程(a)では、厚さ500μmのBi−Te系焼結体からなるP型及びN型の各々の熱電材料ウェハ130の両面に50μmの厚さのフォトレジストを塗布する。このフォトレジストを露光・現像することにより、開口径90μmの円形であり、その配列が所望とするパターンとなるような開口部を有するレジスト層を形成する。
なお、ここでいう所望のパターンとは、図3における熱電材料チップの配置になるように、上述の寸法に基づき決められるものである。つぎに、この開口部に、酸等で洗浄した後、電気めっき法により、まず50μmのニッケルめっきを施し、突起状のニッケル層を形成する。次に、同様に電気めっき法により、ニッケル上に金めっきを行い、金層を1μm形成した。つぎに、レジストを剥離することにより、ニッケル−金からなる突起状電極131を形成した。ここで、金層を設けたのはニッケルの表面の酸化を防ぎ、あと工程のはんだ付けを容易にするためであるので、酸化の恐れがない場合には、この金層は必ずしも必要としない。
電極配線工程(b)では、熱酸化により、表面に0.5μmの酸化層を設けた厚さ300μmのシリコンウェハ基板132の表面にスパッタリング法により、基板側より、クロム、ニッケル、金の順にそれぞれ0.1μm、1μm、0.1μmの厚みで膜を形成した。次に、上下の基板についてフォトリソグラフィー法により、図3の電極配線パターンとなるように、電極配線133を形成し、さらに、はんだペーストをこの電極配線133上に印刷することにより、電極配線133を完成した。
接合工程(c)では、突起状電極形成工程(a)で作製した突起状電極131の付きの熱電材料ウェハ130と電極配線工程(b)で作製した電極配線133を形成した基板132とを所定の位置合わせを行った後、はんだを溶融させ、熱電材料ウェハ130と基板132を接合する。(ただし、上部、下部とは前記のように便宜的な表現であり、熱電変換素子の基板に上下はない。)
切断・削除工程(d)では、基板132に接合された熱電材料ウェハ130を熱電材料ウェハ130の一部を切断・削除することにより、基板132に接合された熱電材料チップ134を形成する。この時、必要に応じて基板132の一部も同時に切断・削除することもある。本実施例では、シリコン半導体などの切断で用いられるダイシングソーを用いて、この切断・削除工程(d)を行った。切断・削除に用いた刃は厚さ200μmのものを使用した。
この刃の厚さは、本実施例の正方形を有する熱電材料チップ134の一辺の長さが100μmで最近接の同種熱電材料チップ中心間距離が300μmであり、異種型の熱電材料チップが図3の位置関係に接合されることから選定した。熱電材料の不要部分の切断・削除は、突起状電極131間の中心で行うと同時に、50μmの高さを有するこの突起状電極131で出来た熱電材料ウェハ130と基板132との隙間を利用して、基板上の電極配線133を破損しないように刃の高さを調整することによって行った。縦横にダイシングソーの刃で切断・削除することにより、各型の熱電材料について、実質的に125本の熱電材料チップ134が接合されている基板132を作製した。
組み立て工程(e)では、各々異種の型の熱電材料チップ134が接合されている2枚の基板132を向かい合わせて、各々のチップ先端に形成されている突起状電極131と基板に形成されているはんだ層からなる電極配線133とを接合されるべき位置に合わせて、加圧しながら加熱することにより、はんだを溶融し、熱電材料チップ134と基板132上の電極配線133との接合を行い、上下の基板上でPN接合を有する熱電変換素子を完成することができた。
このようにして作製した熱電変換素子の最終的な外形寸法は、厚さが約1.2mm、大きさは入出力電極を設けてある下部基板の大きさで4mm×4mm、電気的には内部抵抗が120Ωであり、基本的な特性は実施例−1で作製した熱電変換素子と同じであった。
実施例−1と同様な電極配線構造の熱電変換素子において、熱電材料と基板との接合をはんだバンプ法と導電性接着剤による方法で小型熱電変換素子を作製した例について説明する。熱電材料チップの大きさ、PN接合対数や使用した材料等については、実施例−1と同じとした。
図14は、本実施例の熱電変換素子を製造するための工程の概要を示した図である。図14に示したように、この製造方法は大きく分けて5つの工程から構成されている。これを順を追って説明する。
バンプ形成工程(a)では、厚さ500μmのBi−Te系焼結体からなるP型及びN型の各々の熱電材料ウェハ140の片面に50μmの厚さのフォトレジストを塗布する。このフォトレジストを露光・現像することにより、開口径90μmの円形であり、その配列が所望とするパターンとなるような開口部を有するレジスト層を形成する。なお、ここでいう所望のパターンとは、図3における熱電材料チップの配置になるように、上述の寸法に基づき決められるものである。また、フォトレジストを塗布しなかった面には、めっきレジストをコーティングしておく。
つぎに、この開口部に、酸等で洗浄した後、電気めっき法により、まず40μmのニッケルめっきを施し、いわゆるニッケルバンプを形成する。次に、同様に電気めっき法により、ニッケル上にはんだめっきを行い、はんだ層を30μm形成した。ここで、はんだめっきは錫と鉛の比が6:4となるように行った。次に、フォトレジストとめっきレジストを剥離した後、ロジン系フラックスをはんだめっき層に塗布し、230℃でリフロー処理を行ったところ、直径約100μmの球状のはんだバンプ141を熱電材料ウェハ140の片面に形成することができた。
電極配線工程(b)では、熱酸化により、表面に0.5μmの酸化層を設けた厚さ300μmのシリコンウェハを基板142の表面にスパッタリング法により、基板側より、クロム、ニッケル、金の順にそれぞれ0.1μm、1μm、0.1μmの厚みで膜を形成した。次に、上下の基板についてフォトリソグラフィー法により、図3と同じ電極配線パターンとなるように、電極配線143を形成した。さらに、P型熱電材料とN型熱電材料がはんだバンプで接合される部分の周囲にポリイミド系のフォトレジストにより、2種類のドーナツ型の構造体144をフォトリソグラフィー法により作製した。
このポリイミド系フォトレジストにより構成される構造体144は、熱電変換素子を構成する2枚の基板のうち、一方の基板ではP型熱電材料チップが配置される位置で内径120μm、外径150μm、高さ30μm、N型熱電材料チップが配置される位置で内径140μm、外径170μm、高さ30μmのドーナツ形状とし、他方の基板ではP型熱電材料チップが配置される位置で内径140μm、外径170μm、高さ30μm、N型熱電材料チップが配置される位置で内径120μm、外径150μm、高さ30μmのドーナツ形状とした。
接合工程(c)では、バンプ形成工程(a)で作製したはんだバンプ141付きの熱電材料ウェハ140と電極配線工程(b)で作製した電極配線143および接合部近傍のドーナツ型構造体144を形成した基板142とを対向させて所定の位置合わせを行った後、はんだを溶融させ、熱電材料ウェハ140と基板142を接合した。なお、P型熱電材料ウェハと基板との接合では、P型熱電材料ウェハ表面に形成されているはんだバンプを、基板上に形成された内径120μm、外径150μm、高さ30μmの小さい方のドーナツ型の構造体144の内側に入れることによって、熱電材料ウェハ140と基板142との位置合わせを行った。
同様に、N型熱電材料ウェハの基板との接合では、N型熱電材料ウェハの表面に形成されているはんだバンプを、基板上に形成された内径120μm、外径150μm、高さ30μmの小さいドーナツ型の構造体144の内側に入れることによって、熱電材料ウェハ140と基板142との位置合わせを行った。ここで熱電材料ウェハ140と基板142との接合に基板上に形成した2つの大きさのドーナツ型の構造体のうち小さい方の構造体を用いたのは、接合位置を間違いなくすることと、相互の位置合わせ精度を高めるところにある。
切断・削除工程(d)では、基板142に接合された熱電材料ウェハ140を熱電材料ウェハの一部を切断・削除することにより、基板142に接合された熱電材料チップ145を形成する。この時、必要に応じて基板142の一部も同時に切断・削除することもある。本実施例では、シリコン半導体などの切断で用いられるダイシングソーを用いて、この切断・削除工程(d)を行った。切断・削除に用いた刃は厚さ200μmのものを使用した。この刃の厚さは、本実施例の正方形を有する熱電材料チップ145の一辺の長さが100μmで最近接の同種熱電材料チップ中心間距離が300μmであり、異種の熱電材料チップが図3の位置関係に接合されることから選定した。
熱電材料の不要部分の切断・削除は、はんだバンプ141間の中心で行うと同時に、40μmの高さを有するニッケルバンプで出来た熱電材料ウェハ140と基板142との隙間を利用して、基板上の電極配線143を破損しないように刃の高さを調整することによって行った。縦横にダイシングソーの刃で切断・削除することにより、各型の熱電材料について、実質的に125本の熱電材料チップ145が接合されている基板142を作製した。
組み立て工程(e)では、各々異種の型の熱電材料チップ145が接合されている2枚の基板142について、熱電材料チップ145の先端に、銀粒子とエポキシ樹脂を主成分とする導電性接着剤をスタンピングにより付着させ、これらを向かい合わせて、熱電材料チップ145の先端と基板142に形成されている電極配線143とを接合されるべき位置で合わせて、加圧しながら加熱することにより、導電性接着剤を硬化させ、熱電材料チップ145と基板142上の電極配線143との接合を行い、上下の基板上でPN接合を有する熱電変換素子を完成することができた。なお、この接合は、残ったドーナツ型の構造体144の内部でおこなったが、このドーナツ型の構造体144により、接合時の導電性接着剤のはみ出しを防ぐことができた。
このようにして作製した熱電変換素子の最終的な外形寸法は、厚さが約1.2mm、大きさは入出力電極を設けてある下部基板の大きさで4mm×4mm、電気的には内部抵抗が120Ωであり、基本的な特性は実施例−1で作製した熱電変換素子と同じであった。
本実施例では、熱電材料上にバンプを形成する工程で、両面にフォトリソグラフィーによるめっきレジストの形成がないので、両面にフォトレジストを塗布したり、両面アライナー・露光機を使用する必要が無く、設備面や工程の簡略化を図ることができる。
以上、実施例により本発明を説明したが、本発明は上記各実施例に限定されず、幅広い応用が考えられる。たとえば、各実施例では、熱電材料として、Bi−Te系熱電材料の焼結体を使用したが、この熱電材料に限定されることがないことはいうまでもなく、Fe−Si系材料、Si−Ge系材料、Co−Sb系材料等の各種熱電材料にも適用することできる。また、各実施例では、小型の熱電変換素子とその製造方法について述べたが、本発明の熱電変換素子とその製造方法によれば、熱電材料チップの作製後、2枚の基板に挟み込むという従来の方法で作製される比較的大きな熱電変換素子に対しても適用することができる。
本発明に係わる熱電変換素子の外観を示す図である。 図1に示したA−A’およびB−B’における主要部の断面を示す図である。 本発明の実施例−1で示した熱電変換素子の熱電材料チップの配置と電極配線の関係を示した図である。 本発明の実施例−1に係わる熱電変換素子を製造するための工程の概要を示した図である。 本発明の実施例−2に係わる熱電変換素子の熱電材料チップの配置と電極配線の関係を示した図である。 本発明の実施例−2に係わる熱電変換素子を製造するための工程の概要を示した図である。 本発明の実施例−3に係わる熱電変換素子を製造するための工程の概要を示した図である。 本発明の実施例−4に係わる熱電変換素子を製造するための工程の概要を示した図である。 本発明の実施例−4に係わる熱電変換素子を製造するための工程のうち、溝入れ工程後の熱電材料ウェハの断面を表す図である。 本発明の実施例−4に係わる熱電変換素子を製造するための工程のうち、切断・削除工程後の主要部の断面を表す図である。 本発明の実施例−4に係わる熱電変換素子の完成断面を示した図である 本発明の実施例−4の熱電変換素子に関連する構造の熱電変換素子の断面図である。 本発明の実施例−5に係わる熱電変換素子を製造するための工程の概要を示した図である。 本発明の実施例−6に係わる熱電変換素子を製造するための工程の概要を示した図である。 従来の熱電変換素子の熱電材料チップの配置と電極配線の関係を示した図である。 従来の熱電変換素子の製造における熱電材料の加工の概要をその縦断面図で示した図である。 熱電材料チップと電極配線を施した基板とを用いて、熱電変換素子を作製する従来の熱電変換素子の製造方法を示した図である。
符号の説明
11、175 熱電変換素子
12、21、31、42、56、72、82、102、113、116、122、123、132、142、、150、171 基板
13、34、52、110、120、153 P型熱電材料チップ
14、35、53、111、121、154 N型熱電材料チップ
15 PN接合用電極
22 接合材
23、44、74、84、104、115、144 構造体
32、50 上部基板電極配線パターン
33、51 下部基板電極配線パターン
40、60、70、80、130、140 熱電材料ウェハ
41、81、71、91、101、112、141 はんだバンプ
43、65、73、83、103、114、133、143、173 電極配線
45、66、75、85、134、145、163、172 熱電材料チップ
54 上部基板ダミー電極
55 下部基板ダミー電極
61 ニッケル層
62、63 はんだ層
64 アルミナ基板
67 溝
68 凸部
90 P型熱電材料ウェハ
92 N型熱電材料ウェハ
105 N型熱電材料
131 突起状電極
151 上部基板電極配線
152 下部基板電極配線
161 熱電材料
162 はんだ付けを行うための層
174 接合材料

Claims (6)

  1. 複数の電極がそれぞれに設けられた第一および第二の基板と、
    前記第一の基板と前記第二の基板との間に格子状に配列されるとともに、前記電極によりPN接合された複数のP型熱電材料チップおよび複数のN型熱電材料チップと、を備えた熱電変換素子において、
    この格子状の並びを構成する一辺ではP型熱電材料チップとN型熱電材料チップとが交互に並び、かつ、前記一辺と直交する辺ではP型熱電材料チップのみが配置されている並びとN型熱電材料チップのみ配置されている並びが交互に配列されているとともに、
    前記P型熱電材料チップと前記N型熱電材料チップのうちいずれかに、少なくとも一つの前記PN接合に関係しないダミーチップを有することを特徴とする熱電変換素子。
  2. 前記ダミーチップは、前記第一又は前記第二の基板のうち少なくとも一つの基板に設けられたダミー電極と接合されていることを特徴とする請求項1に記載の熱電変換素子。
  3. 前記ダミーチップは、配列の外周部に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱電変換素子。
  4. 前記ダミーチップのうち少なくとも一つは前記第一又は前記第二の基板のうち少なくとも一つの基板の角部に配置されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  5. 前記複数の電極には、同型の熱電材料チップが複数個接続された電極を含むことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  6. 前記P型熱電材料チップまたは前記N型熱電材料チップの幅がその熱電材料チップの高さ方向で変わっていることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の熱電変換素子。
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