JP4174955B2 - 転がり軸受のラジアル隙間を測定する装置 - Google Patents

転がり軸受のラジアル隙間を測定する装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明に係る転がり軸受のラジアル隙間を測定する装置は、玉軸受、ころ軸受等の転がり軸受の内部隙間を測定する為に利用する。特に本発明に係る転がり軸受のラジアル隙間を測定する装置は、自動調心ころ軸受の様な、比較的複雑な構造を有し、従来方法では測定作業が面倒であった、転がり軸受のラジアル隙間の測定を容易且つ迅速に行なえる様にするものである。
【0002】
【従来の技術】
産業機械の圧延ロール等、各種機械装置の回転支持部に、図10に示す様な自動調心ころ軸受1が使用されている。この自動調心ころ軸受1は、互いに同心に組み合わされた外輪2と内輪3との間に、それぞれが転動体である複数の球面ころ4、4を、転動自在に配列して成る。尚、これら各球面ころ4、4は、それぞれ保持器5、5により、分離防止を図っている。
【0003】
上記外輪2の内周面には、単一の中心を有する球状凹面である外輪軌道6を形成している。又、上記内輪3の外周面の幅方向(図10の左右方向)両側には、それぞれが上記外輪軌道6と対向する、1対の内輪軌道7、7を形成している。又、上記各球面ころ4、4は、その最大径部がこれら各球面ころ4、4の軸方向長さの中央部にある対称形で、上記外輪軌道6と上記1対の内輪軌道7、7との間に、2列に亙って転動自在に配列されている。尚、上記各球面ころ4、4として、非対称ころが用いられる事もある。
【0004】
上述の様に構成される自動調心ころ軸受1により、例えばハウジングの内側に回転軸を支持する場合、上記外輪2をこのハウジングに内嵌固定し、上記内輪3をこの回転軸に外嵌固定する。この回転軸と共にこの内輪3が回転する場合には、上記各球面ころ4、4が転動して、この回転を許容する。上記ハウジングの軸心と上記回転軸の軸心とが不一致の場合、上記外輪2の内側で上記内輪3が調心する(外輪2の中心軸に対し内輪3の中心軸を傾斜させる)事で、この不一致を補償する。この場合に於いて、上記外輪軌道6は単一球面状に、上記各内輪軌道7、7の断面形状は、上記各球面ころ4、4の中心軸に関して上記外輪軌道6と対称に、それぞれ形成されている為、上記各球面ころ4、4の転動は、不一致補償後に於いても、円滑に行なわれる。
【0005】
上述の様な自動調心ころ軸受1の内部には、焼き付き等の損傷を防止して円滑な運転を可能にする為、所定のラジアル隙間が設けられている。従って、上記外輪2と上記内輪3とは、このラジアル隙間分だけ、ラジアル方向に関して相対変位自在である。従って、上記自動調心ころ軸受1が、精密圧延装置等の回転支持部に組み込むものである場合には、上記ラジアル隙間の大きさを厳密に規制する必要がある。このラジアル隙間は、上記外輪軌道6、上記各内輪軌道7、7、上記各球面ころ4、4の直径及び母線形状を精密に測定する事で算出可能である。但し、総ての自動調心ころ軸受1に関してこれら測定作業と算出作業とを行なう事は非常に面倒であり、現実的ではない。この為従来から、組み立てられた自動調心ころ軸受1内に隙間ゲージ(シックネスゲージ)を挿入し、この自動調心ころ軸受1のラジアル隙間の測定作業を行なっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した様な従来の測定方法では、測定作業が面倒なだけでなく、ラジアル隙間の具体的な値を正確に知る事は難しかった。この理由は、次の通りである。
先ず、自動調心ころ軸受1の場合、上記ラジアル隙間を測定する為には、外輪2の中心軸と内輪3の中心軸とを平行(一致する場合を含む。本明細書全体で同じ。)にし、しかも外輪軌道6と内輪軌道7、7との間で複数の球面ころ4、4の姿勢を安定させる(中立位置にする)必要がある。この作業は、上記外輪2の中心軸と上記内輪3の中心軸とを平行にしたまま、これら外輪2と内輪3とを相当量相対回転又は揺動させる必要がある為、面倒でしかも熟練を要する作業であった。
【0007】
又、隙間ゲージを何れか1個の球面ころ4の転動面と上記外輪軌道6又は何れかの内輪軌道7との間に挿入する為、各球面ころ4、4の外径の相互差や上記各内輪軌道7、7の真円からのずれ(楕円成分)は、そのまま誤差になる。しかも、隙間ゲージを挿入できるか否かで上記ラジアル隙間の大きさを判定する為、隙間ゲージを挿通できない程の小さなラジアル隙間の値を測定する事はできない。この為、このラジアル隙間の絶対値を測定すると言うよりも、このラジアル隙間が所定の等級に合格しているか否かを確認すると言った面が大きかった。
本発明は、この様な事情に鑑みて、自動調心ころ軸受を含む各種転がり軸受のラジアル隙間の測定を、熟練を要する事なく、迅速且つ正確に行なえる転がり軸受のラジアル隙間を測定する装置を実現すべく発明したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の転がり軸受のラジアル隙間を測定する装置は、内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備えた転がり軸受の内部に存在するラジアル隙間を測定するのに利用する。
【0009】
特に本発明の転がり軸受のラジアル隙間を測定する装置は、回転軸と、ホルダと、ラジアル荷重付与手段と、支持手段と、変位測定手段とを備える。このうちの回転軸は、水平方向に配置され、上記内輪を支持した状態で回転駆動される。又、上記ホルダは、上記外輪を、その中心軸と上記内輪の中心軸とを実質的に平行に保ったままこの外輪の中心軸が水平方向になる様に、且つ、ラジアル方向に関する変位を自在に支持する。又、上記ラジアル荷重付与手段は、上記外輪に、鉛直方向で、且つ、当該外輪の直径方向に関して互いに反対方向である第一、第二のラジアル荷重を付与自在である。又、上記支持手段は、上記回転軸の先端部に固定され、上記内輪をラジアル方向の変位を抑えた状態で支持する。更に、上記変位測定手段は、これら第一、第二のラジアル荷重に基づく上記外輪のラジアル方向の変位を測定する為のもので、接触型の変位計を含み、各種のものを使用できるが、好ましくは、レーザ式等の、非接触型の精密測定器(変位計)を使用する。又、上記変位測定手段は、鉛直方向に関し上記外輪の下部と上部とにそれぞれ存在し、この外輪の外周面の上下両端部の鉛直方向の変位を同時に測定する下部変位計及び上部変位計と、鉛直方向に関しこれら両変位計同士の間に存在し、上記回転軸に固定された上記支持手段の鉛直方向の変位を測定する中間部変位計とにより構成されている。そして、上記回転軸に支持された上記内輪を回転させた状態で、上記変位測定手段による上記外輪及び支持手段の鉛直方向の変位の測定を行なう。
【0010】
【作用】
上述の様な本発明の転がり軸受のラジアル隙間を測定する装置によれば、自動調心ころ軸受を含む各種転がり軸受のラジアル隙間の測定を、熟練を要する事なく、迅速且つ正確に行なえる。
即ち、回転軸により内輪を回転させる事で、外輪軌道と内輪軌道との間で複数の転動体の姿勢を安定させる作業を、容易に且つ迅速に行なえる。
具体的には、上記内輪を回転させつつ測定作業を行なうので、上記各転動体がこの内輪の軌道面の底部に当接しつつ馴染み、これに伴い、これら各転動体の姿勢が均一になる作業が、自動的に且つ短時間で行なわれる。又、測定作業の間中、上記各転動体の姿勢を安定化させる(均一にする)力が作用し、人手による測定の場合の様にこれら各転動体の転動面を上記軌道面の底部に当接させて馴染ませる作業をうまく行なえず、ラジアル隙間を過小評価すると言った不都合が生じないので、信頼性の高い測定を行なえる。更に、上記各転動体の径差や各軌道面の回転方向(円周方向)に関する形状誤差を平均化した状態で、使用状態に即したラジアル隙間を求める事ができ、繰り返し精度も向上する。
又、測定作業に熟練を要する事がなく、しかも連続的な測定精度を得られる(隙間ゲージの様に、測定精度が段階的になる事はない)。又、隙間ゲージの厚さにより測定限界が規制される事がなく、小さなラジアル隙間の測定も可能である。
更に、ラジアル荷重付与手段で外輪に、この外輪の直径方向に関して逆方向のラジアル荷重を付与しつつこの外輪の変位を測定する事で、上記転がり軸受全体としてのラジアル隙間の測定を行なえる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1〜6は、本発明の実施の形態の1例を示している。先ず、図1〜4により、測定装置の構成に就いて説明する。基板8の片半部(図1の左半部)上方に回転軸9を、高精度軸受である静圧気体軸受10により、ラジアル方向に関する変位を抑えられた状態で、回転自在に支持している。この状態で、上記回転軸9は、鉛直方向(図1〜6の上下方向)に対し直角な方向(水平方向)に配置される。上記回転軸9の両端部は、上記静圧気体軸受10から突出している。このうちの基端部(図1の左端部)には従動プーリ11を固定し、この従動プーリ11と図示しない駆動モータの出力軸に固定した駆動プーリとの間に無端ベルト12を掛け渡す事により、上記回転軸9を回転駆動自在としている。尚、上記静圧気体軸受10の代わりに転がり軸受スピンドルを用いる場合もあり、上記回転軸9の支持剛性及び回転精度の要求から、どちらを使用するかを決定する。
【0012】
又、この回転軸9の先端部(図1の右端部)には、自動調心ころ軸受1を構成する外輪2と内輪3とのうちの内輪3を外嵌固定する為の、保持筒13を固定している。請求項1に記載した支持手段としての機能を兼ね備える、この保持筒13の外周面は、上記回転軸9の中心軸をその中心とするもので、その基端部(図1の左端部)には外向フランジ状の係止鍔部14を、その先端部(図1の右端部)には雄ねじ部15を、それぞれ有する。そして、この雄ねじ部15に、抑えナット16を螺着自在としている。又、上記保持筒13の中間部でこの抑えナット16と上記係止鍔部14との間部分の外径は、上記内輪3の内径に対する隙間嵌めの公差を持たせた大きさとしている。従ってこの内輪3を上記保持筒13に、ラジアル方向の偏心を小さく抑えた状態で外嵌自在である。更に、上記雄ねじ部15に上記抑えナット16を螺着した状態で上記内輪3は、ラジアル方向及びアキシアル方向の変位を共に抑えられた状態となる。
【0013】
又、前記基板8の他半部(図1の右半部)上方にホルダ17を、前記静圧気体軸受10に対する遠近動自在(図1、3の左右方向、図2の表裏方向の移動自在)に設けている。上記ホルダ17は、前記自動調心ころ軸受1を構成する外輪2と内輪3とのうちの外輪2を、その中心軸と上記内輪3の中心軸とを平行に保ったまま、この外輪2の中心軸が水平方向になる様に、且つ、ラジアル方向に関する変位を自在に支持するものである。
【0014】
この様なホルダ17は、移動台18により、上記自動調心ころ軸受1の軸方向(図1、3の左右方向、図2の表裏方向)の変位を自在として、上記基板8の上方に支持している。即ち、この基板8の他半部上面に配設したガイドレール19、19を含んで構成したリニアガイド20により上記移動台18を、上記軸方向の変位自在に支持すると共に、この移動台18の上端部にその基端部を固定した支持腕21a、21bの先端部に、上記ホルダ17を構成する保持腕22を結合固定している。この保持腕22は、略三つ星形に形成したもので、前記回転軸9の中心軸に対し直交する方向に存在する仮想平面上に配置している。
【0015】
この様な保持腕22の先端部3個所位置には、それぞれ受ブロック23、23を、前記静圧気体軸受10側に突出する状態で結合固定している。これら各受ブロック23、23には、上記自動調心ころ軸受1の軸方向に亙って貫通孔24を形成している。そして、この貫通孔24のうち、上記静圧気体軸受10側の先半部をねじ孔部25とし、逆側の基半部を、このねじ孔部25よりも大径の大径部26としている。そして、このうちのねじ孔部25に、受スタッド27を螺着している。
【0016】
又、上記保持腕22の径方向に関して、上記各受ブロック23、23の外方には、抑えロッド28、28を、上記自動調心ころ軸受1の軸方向の変位自在に支持している。即ち、上記各受ブロック23、23の外周側面と基端面(図1、3の右端面)とに固定したガイドブロック29、29とガイドプレート30、30とにそれぞれ形成した円孔に上記各抑えロッド28、28を、回転及び軸方向移動自在に挿通している。そして、これら各抑えロッド28、28の基端部(図1、3の右端部)に装着したストップリング31と上記ガイドプレート30、30との間に圧縮コイルばね32、32を設けて、上記各抑えロッド28、28に、上記静圧気体軸受10から離れる方向の弾力を付与している。又、これら各抑えロッド28、28の先端部(図1、3の左端部)に抑え腕33、33の基端部(図3の上端部)を固定している。そして、これら各抑え腕33、33の先端部で上記保持腕22に対向する側面、並びに上記各受スタッド27の先端部に形成した凹孔に、鋼球34、34を支持している。これら各鋼球34、34は回転自在に支持されており、後述する様に外輪2を支持した状態で、この外輪2のラジアル方向の変位を妨げない様にしている。上記各抑え腕33、33を上記保持腕22と平行に(上記自動調心ころ軸受1の直径方向に)配置した状態で、上記各抑え腕33、33の先端部に支持した鋼球34と上記各受スタッド27の先端部に支持した鋼球34とは、上記自動調心ころ軸受1の中心軸と平行な仮想直線上に配置される。この様に各鋼球34、34を配置する作業は、実際の測定作業を行なう前に、その形状及び寸法並びに重量を上記自動調心ころ軸受1に合わせつつ平行度を出して作成した、一体型のマスターリングを使用して、上記各鋼球34、34の平行合わせを行なう事により行なえる。即ち、上記マスターリングを前記保持筒13に取り付け、上記各受スタッド27、27が3本とも、このマスターリングの端面に均等に接触する様にする。
【0017】
又、前記基板8の中間部上面で上述の様なホルダ17に保持された自動調心ころ軸受1を囲む部分には、ラジアル荷重付与手段35を設けている。このラジアル荷重付与手段35は、上記自動調心ころ軸受1を構成する外輪2に、上向きのラジアル荷重と下向きのラジアル荷重とを選択的に付与する為のもので、次の様に構成している。
【0018】
上記基板8の中間部上面で上記自動調心ころ軸受1を囲む部分に、門型の支持枠36を設けている。そして、この支持枠36を利用して上記外輪2に、重錘37の重量に応じた、上向き又は下向きのラジアル荷重を付与自在としている。先ず、上向きのラジアル荷重を付与する機構に就いて説明する。
【0019】
上記支持枠36の上辺の一端部(図2の左端部)上面に上部ガイドプーリ38、38を、横軸を中心とする回転自在に支持している。又、上記支持枠36の上辺の中間部他端寄り(図2の右寄り)部分に、第一のワイヤ39の一端部を係止している。更に、上記外輪2の外周面中央部には凹溝40を、全周に亙って形成している。上記第一のワイヤ39は、その中間部をこの凹溝40に係合させた状態で上記外輪2の下半部に巻き掛け、上記各上部ガイドプーリ38、38で案内して、その他端部を上記支持枠36の側方に導出している。上記外輪2に上向きのラジアル荷重を付与する際には、上記第一のワイヤ39の他端部に上記重錘37を係止する。この状態で上記外輪2には、上記各上部ガイドプーリ38、38部分の抵抗や上記第一のワイヤ39自身の重量を無視すれば、上記重錘37の重量の約2倍の、上向きのラジアル荷重が付与される。
【0020】
次に、下向きのラジアル荷重を付与する機構に就いて説明する。前記基板8の上面片側(図2の左側)部分に下部ガイドプーリ41を、横軸を中心とする回転自在に支持している。又、上記基板8の上面他側(図2の右側)部分に、第二のワイヤ42の一端部を係止している。この第二のワイヤ42は、その中間部を上記凹溝40に係合させた状態で上記外輪2の上半部に巻き掛け、上記下部ガイドプーリ41及び上記各上部ガイドプーリ38、38で案内して、その他端部を上記支持枠36の側方に導出している。上記外輪2に下向きのラジアル荷重を付与する際には、上記第二のワイヤ42の他端部に上記重錘37を係止する。この状態で上記外輪2には、上記上部、下部各ガイドプーリ38、41部分の抵抗や上記第二のワイヤ42自身の重量を無視すれば、上記重錘37の重量の約2倍の、下向きのラジアル荷重が付与される。尚、上記第一、第二のワイヤ39、42の他端部を、荷重負荷用のシリンダの両端部に結合し、一方のワイヤを引っ張る場合に他方のワイヤが緩む様にして、上記重錘37の付け替え作業を省略できる様にしても良い。
【0021】
尚、上記各ワイヤ39、42を鉛直方向に掛け渡した場合には、上記外輪2に上記重錘37の重量の2倍のラジアル荷重が付与される事になり、同じく鉛直方向に掛け渡されていない(鉛直方向に対し角度を持って掛け渡されている)場合には、上記外輪2にその分力に応じたラジアル荷重が付与される事になる。上記外輪2に付与されるラジアル荷重は荷重校正により求める事ができ、上記各ワイヤ39、42の角度から計算により推定する事も可能である。上向きのラジアル荷重を付与する第一のワイヤ39と下向きのラジアル荷重を付与する第二のワイヤ42の角度が異なる場合には、その角度を考慮した重錘を、それぞれのワイヤ39、42に取り付ける。そして、上述の様に1個の重錘37を上記各ワイヤ39、42の他端部に付け替える代わりに、何れか一方のワイヤからのラジアル荷重のみを上記外輪2に対して選択的に付与できる機構を採用する。これにより、この外輪2に付与する上向きのラジアル荷重と下向きのラジアル荷重とを等しくでき、上記外輪2及び前記内輪3の弾性変形量や、これら外輪2及び内輪3と前記各球面ころ4、4との接触部の弾性接近量の補正を正確に行える。
【0022】
更に、上記基板8の上方及び前記支持枠36の上辺の下方には、それぞれが変位測定手段を構成する、下部変位計43及び上部変位計44を設けている。そして、このうちの下部変位計43により、上記外輪2の下端部外周面の変位を測定自在とし、上部変位計44により、この外輪2の上端部外周面の変位を測定自在としている。この様に変位計を2個設ける理由は、測定精度の向上を図る為である。尚、上述の様に外輪2にラジアル荷重を付与すると、この外輪2及び上記内輪3が弾性変形すると共に、これら外輪2及び内輪3と上記各球面ころ4、4との接触部が弾性接近する。この際に、図1に示す様に下部変位計43と上部変位計44との2個の変位計により、上記外輪2の外周面の変位を同時に測定し、上記ラジアル荷重を負荷する前の上記外輪2の外径と、同じく負荷した後の外輪2の外径とを比較する事により、自動調心ころ軸受1のラジアル隙間を測定する。この様にして測定した隙間は、上記外輪2及び内輪3の弾性変形量や、これら外輪2及び内輪3と上記各球面ころ4、4との弾性接近量を含んだ値として、上記外輪2の変位量から計算される。
【0023】
又、前記移動台18上には中間部変位計45を支持し、この中間部変位計45により、前記保持筒13の下端部内周面の変位を測定自在としている。この中間部変位計45は、前記静圧気体軸受10により支持された前記回転軸9のラジアル方向の変位を測定し、この回転軸9のラジアル方向の変位を補正する為に設けている。尚、図示の例では、上記各変位計43〜45として、接触式のものを使用しているが、好ましくはこれら各変位計43〜45として、レーザ式等の、非接触型の精密測定器を使用する。
【0024】
次に、上述の様な測定装置により、自動調心ころ軸受1のラジアル隙間の測定を行なう際の手順に就いて、図1〜4に図5〜6を加えて説明する。
先ず、その形状及び寸法並びに重量を、測定対象となる自動調心ころ軸受1に合わせて製作した一体型のマスターリングを使用して、前記各抑え腕33、33の先端部に支持した鋼球34と前記各受スタッド27の先端部に支持した鋼球34とが、上記マスターリングの端面に均等に接触する様に、各部の調整作業を行なう。この調整作業に基づき、次述する様に自動調心ころ軸受1を支持した場合に、この自動調心ころ軸受1を構成する外輪2と内輪3とを、互いの中心軸同士が平行となる様に保持できる様にする。尚、上記各受スタッド27の先端部の各鋼球34の先端を上記マスターリングの端面に均等に接触させる作業は、これら各受スタッド27、27を前記ねじ孔部25内で回転させる事により行なう。
【0025】
次に、図5(A)(B)に示す様にして、そのラジアル隙間を測定すべき上記自動調心ころ軸受1を構成する内輪3を、前記保持筒13にがたつきなく外嵌固定する。即ち、図5(A)に示す様に、前記抑えナット16を外した状態で、前記保持筒13に上記内輪3を外嵌する。次いで、図5(B)に示す様に、この保持筒13の雄ねじ部15に上記抑えナット16を螺合し更に緊締して、この保持筒13に上記内輪3を外嵌固定する。又、この状態で、上記自動調心ころ軸受1を構成する外輪2の外周面に設けた前記凹溝40に、前記第一、第二のワイヤ39、42を掛け渡す。これらの作業は、前記移動台18を前記静圧気体軸受10から離れる方向に退避させた状態で行なう。
【0026】
次いで、図5(C)に示す様に、上記移動台18を上記静圧気体軸受10に向け前進させて、前記ホルダ17により上記外輪2を保持する。上記移動台18を前進させる際には、前記各抑えロッド28、28を回動させる事により、これら各抑えロッド28、28の先端部に固定した前記各抑え腕33、33を上記外輪2の径方向外方に退避させて、これら各抑え腕33、33と外輪2とが干渉しない様にしておく。そして、上記移動台18を十分に前進させた後、上記各抑えロッド28、28を回動させて、図1、3、4に示す様に、上記各抑え腕33、33の先端部を上記外輪2の外周面よりも径方向内方に位置させる。又、この際、測定作業時に上記各抑えロッド28、28が回転しない様に、これら各抑えロッド28、28と前記各ガイドブロック29、29との間に回転防止ピンを掛け渡す。この状態でこの外輪2は、上記各抑え腕33、33の先端部内側面に固定された前記各鋼球34と、前記各受スタッド27の先端部に固定された前記各鋼球34、34との間で、前記圧縮コイルばね32、32の弾力により、弾性的に挟持される。又、上記各受スタッド27の先端部に固定された上記各鋼球34、34の先端は、前記回転軸9の中心軸に対し直交する、単一の仮想平面上に位置する。従って、この状態で上記外輪2は、その中心軸と上記保持筒13に外嵌固定された上記内輪3の中心軸とを平行に保ったまま上記外輪2の中心軸が鉛直方向に対し直角になる様に、且つ、ラジアル方向に関する変位を自在に支持される。
【0027】
この様に上記外輪2を支持したならば、前記第二のワイヤ42の他端部に前記重錘37を係止し、図5(D)に示す様に、この外輪2に下向きのラジアル荷重を付与した状態で、上記内輪3を回転させる。即ち、前記図示しない電動モータにより、前記無端ベルト12、上記回転軸9及び上記保持筒13を介して、上記内輪3を回転させる。
【0028】
この様に内輪3を回転駆動すると、その初期段階で、図5(E)に示す様に、外輪軌道6と内輪軌道7、7との間に配置した複数の球面ころ4、4の姿勢が安定する。即ち、組み立てたばかりの自動調心ころ軸受1は、図5(E)の左半部及び図6(A)に示す様に、外輪2と内輪3とが軸方向にずれて、上記各球面ころ4、4の姿勢が不均一である事が殆どである。この様な状態のまま上記自動調心ころ軸受1のラジアル隙間を測定しても正確な値を得る事はできない。これに対して、上記外輪2にラジアル荷重を付与しつつ上記内輪3を回転させると、図5(E)の右半部及び図6(B)に示す様に、上記各球面ころ4、4の姿勢が均一になる。言い換えれば、これら各球面ころ4、4の姿勢が安定しない時に、これら各球面ころ4、4に上記ラジアル荷重に対するアキシアル分力が働き、これら各球面ころ4、4と外輪、内輪両軌道6、7とが相対的にアキシアル方向に移動する。そして、上記アキシアル分力が接触角とバランスした状態で、これら各球面ころ4、4の転動面が各内輪軌道7、7の底部に当接する状態となる。尚、この時の各球面ころ4、4の姿勢には、これら各球面ころ4、4のスキュ−の影響も含まれている。そして、上記外輪2と内輪3との間の軸方向のずれも解消される。
【0029】
この様にして、上記自動調心ころ軸受1の構成各部材2、3、4の姿勢を安定させた(使用状態の姿勢とした)ならば、図5(F)に示す様に、上記ラジアル荷重を付与しつつ上記内輪3の回転を継続した状態のまま、前記下部、上部両変位計43、44により上記外輪2の外周面の上下両端部の変位を、前記中間部変位計45により前記保持筒13の内周面の変位を、それぞれ測定する。この状態で上記自動調心ころ軸受1の構成各部材2、3、4は、図7(A)に誇張して示す様になる。即ち、上記内輪3の中心軸に対し上記外輪2の中心軸が下方に片寄った状態となり、ラジアル隙間46は上記自動調心ころ軸受1の下端部に存在する状態となる。そして、上記下部変位計43が上記外輪2の外周面の下端部位置を、上記上部変位計44がこの外輪2の外周面の上端部位置を、それぞれ測定する。又、上記中間部変位計45は、上記保持筒13の内周面下端部位置の変位に基づいて、前記静圧気体軸受10のラジアル方向の振れのうち、上下方向成分を測定する。これら各変位計43〜45の測定値は、互いに同期させた状態で、図示しないマイクロコンピュータ等の演算処理器のメモリに、「変位記録1」として記憶させる。
【0030】
次いで、一度前記電動モータを停止させてから、前記重錘37を前記第二のワイヤ42の他端部から前記第一のワイヤ39の他端部に付け替え、図5(G)に示す様に、上記外輪2に上向きのラジアル荷重を付与する。そして、この状態で上記内輪3を回転させつつ、上記下部、上部両変位計43、44により上記外輪2の外周面の上下両端部の変位を、上記中間部変位計45により前記保持筒13の内周面の変位を、それぞれ測定する。この状態で上記自動調心ころ軸受1の構成各部材2、3、4は、図7(B)に誇張して示す様になる。即ち、上記内輪3の中心軸に対し上記外輪2の中心軸が上方に片寄った状態となり、ラジアル隙間46は上記自動調心ころ軸受1の上端部に存在する状態となる。この状態での上記各変位計43〜45の測定値も、互いに同期させた状態で、図示しないマイクロコンピュータ等の演算処理器のメモリに、「変位記録2」として記憶させる。尚、本発明を実施する場合、上記第一のワイヤ39と上記第二のワイヤ42との他端部に、それぞれ1個ずつ重錘を付け、上記電動モータを回転させたまま、下向きのラジアル荷重を付与する為の重錘と、上向きのラジアル荷重を付与する為の重錘とを、選択的に切り替える構造を採用しても良い。ラジアル荷重付与に用いない重錘は、支持枠36上に載置する等により、当該重錘を結合したワイヤを弛ませておく。
【0031】
この様にして、上記外輪2に下向きのラジアル荷重を付与した状態で行なう測定作業により「変位記録1」を、同じく上向きのラジアル荷重を付与した状態で行なう測定作業により「変位記録2」を、それぞれ求めたならば、図5(H)に示す様に、これら「変位記録1」と「変位記録2」とに基づいて、上記自動調心ころ軸受1のラジアル隙間を求める。このラジアル隙間は、基本的には上記「変位記録1」と「変位記録2」との差で求められる。この際、下部変位計43、上部変位計44、中間部変位計45の合計3個の変位計の位相を合わせて、同一平面上に設置すれば、上向きのラジアル荷重の負荷時に於ける上記各変位計43〜45の(3個の)測定値と、下向きのラジアル荷重の負荷時に於ける上記各変位計43〜45の(3個の)測定値との、合計6個の測定値を用いて、上記各ラジアル荷重の負荷に基づく上記外輪2の変位、並びにこの外輪2と前記内輪3との弾性変形を考慮した、上記ラジアル隙間の測定が可能となる。そして、この様にして得られたラジアル隙間の測定値と実際のラジアル隙間とがより近い値となり、補正の分離が容易となる。更に、より高精度のラジアル隙間を求める必要があれば、上記自動調心ころ軸受1の構成各部材2、3、4の弾性接近量を求め、この弾性接近量に基づく補正を行なう。尚、この弾性接近量を求めてラジアル隙間を補正する方法は、ラジアル荷重の負荷時と無負荷時との変位差や、ヘルツの弾性接触理論を適用した計算から求まり、転がり軸受の分野では周知である為、詳しい説明は省略する。
【0032】
この様にしてそのラジアル隙間を測定した、上記自動調心ころ軸受1は、図5(I)に示す様に前記保持筒13から取り外す。この取り外し作業は、前述した装着作業と逆の手順で行なう。
【0033】
前述した様な測定装置を使用して上述の様にして行なう転がり軸受のラジアル隙間を測定する方法の場合には、前述した様な隙間ゲージを使用する従来方法に比べて、次の(1) (5) の様な利点がある。
(1) 内輪3を回転させつつ測定作業を行なうので、各球面ころ4、4の転動面が各内輪軌道の底部に当接しつつ馴染み、これに伴い、これら各球面ころ4、4の姿勢が均一になる作業が、自動的に且つ短時間で行なわれる。
(2) 内輪3を回転させつつ測定作業を行なうので、測定作業の間中、上記各球面ころ4、4の姿勢を安定化させる(均一にする)力が作用し、人手による測定の場合の様にこれら各球面ころ4、4の転動面を上記各内輪軌道7、7の底部に当接させて馴染ませる作業をうまく行なえず、ラジアル隙間を過小評価すると言った不都合が生じないので、信頼性の高い測定を行なえる。
(3) 内輪3を回転させつつ測定作業を行なうので、各球面ころ4、4の径差や外輪、内輪各軌道6、7の回転方向(円周方向)に関する形状誤差等を平均化した状態で、使用状態に即したラジアル隙間を求める事ができ、繰り返し精度も向上する。
(4) 測定作業に熟練を要する事なく、しかも連続的な測定精度を得られる(隙間ゲージの様に、測定精度が段階的になる事はない)。
(5) 隙間ゲージの厚さにより測定限界が規制される事がなく、小さなラジアル隙間の測定も可能である。
【0034】
【実施例】
次に、実際に本発明を利用して転がり軸受のラジアル隙間の測定を行なった実験に就いて説明する。実験には、呼び番号が「21309」である自動調心ころ軸受(内径=45mm、外径=100mm、幅=25mm、基本動定格荷重Cr =103000N、許容回転速度=3200min-1 )を使用した。この自動調心ころ軸受を、外輪と内輪と複数個の球面ころとに分解し、これら各球面ころの最大径、外輪軌道の直径及び断面の曲率半径、各内輪軌道の直径、断面の曲率半径、互いの溝底間の距離(溝底ピッチ)を測定した結果、各球面ころの最大径の平均値と他の測定値とから上記自動調心ころ軸受のラジアル隙間(幾何隙間)を求めたところ、64.5μmであった。
【0035】
一方、上記自動調心ころ軸受を組み立てて、前述した本発明の測定装置により、そのラジアル隙間を測定したところ、測定条件を適切に規制すれば、測定値に基づく補正値が62.5〜65.1μmとなり、上記幾何隙間とほぼ一致する事が確認できた。
次に、本発明の方法により測定作業を行なう場合に於ける、好ましい測定条件に就いて説明する。
【0036】
先ず、測定時に静止側の軌道輪(図示の例では外輪2)に加えるラジアル荷重は、転がり軸受の基本動定格荷重Cr の0.0005〜0.04倍(呼び番号が「21309」である自動調心ころ軸受で50〜400N)、より好ましくは0.0007〜0.04倍(この自動調心ころ軸受で70〜400N)程度にする事が好ましい。この様な条件を求める為に行なった実験の結果に就いて、以下に説明する。
【0037】
実験では、上記ラジアル荷重を22〜128Nの間で6通りに変化させ、このラジアル荷重の大きさがラジアル隙間の測定結果に及ぼす影響を調べた。測定作業は、各ラジアル荷重の値毎に10回ずつ、合計60回行なった。この様な条件で行なった実験の結果を、次の表1及び図8に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004174955
【0039】
これら表1及び図8にその条件と結果とを示した実験から明らかな通り、ラジアル荷重が小さ過ぎた場合(22Nの場合)には、測定値のばらつき(最大値と最小値との差)が大きくなるだけでなく、測定値が過小となり、信頼性の高いラジアル隙間を求められない。これに対して、上記ラジアル荷重が50N以上の場合(51Nの場合)には、測定値のばらつきが小さくなり、信頼性の高いラジアル隙間を求められる。特に、ラジアル荷重を70N以上にすれば、上記ばらつきをより小さくできる。尚、このラジアル荷重の上限値は、このラジアル荷重を支承する球面ころの数が複数個にならない範囲で規制する。即ち、このラジアル荷重が大きくなり過ぎて、構成各部材の弾性変形量が大きくなると、上記ラジアル荷重の作用点に最も近い球面ころだけでなく、円周方向に関して隣接する球面ころも、このラジアル荷重を支承する様になる。この様な状態では、構成各部材の弾性変形を考慮したとしても、正確なラジアル隙間を算出する事が難しくなる。そこで、上記ラジアル荷重の最大値を、基本動定格荷重Cr の0.04倍(呼び番号が「21309」である自動調心ころ軸受で400N)とした。
【0040】
次に、測定時に回転側の軌道輪(図示の例では内輪3)を回転させる速度に就いて説明する。この回転速度に就いては、勿論、転がり軸受の許容回転速度(呼び番号が「21309」である自動調心ころ軸受で3200min-1 )以下にする。但し、上部、下部、中間部、各変位計43〜45として電気マイクロメータ等の接触式のものを使用した場合には、これら各変位計43〜45のプローブの追従性を考慮して、1200min-1 以下とした。この条件で行なう限り、回転速度の差は、ラジアル隙間の測定値にあまり影響を及ぼさない。この事を確認する為に行なった実験に就いて、次の表2と図9とにより説明する。
【0041】
【表2】
Figure 0004174955
【0042】
これら表2と図9とにその条件と結果とを示した実験の結果から明らかな通り、回転速度の差がラジアル隙間の測定値に及ぼす影響は小さい。但し、回転速度が速い程、自動調心ころ軸受を構成する各球面ころを中立位置に移動させる為に要する時間の短縮により、測定作業の能率化を図れる。従って、上記回転速度は、好ましくは120min-1 以上、より好ましくは240min-1 以上とする。
【0043】
次に、測定作業時に於ける、自動調心ころ軸受を構成する外輪或は内輪等の軌道輪の傾きが、ラジアル隙間の測定値に及ぼす影響に就いて説明する。これら各軌道輪の傾きがこの測定値に及ぼす影響のうち、外輪の傾斜の影響を知る為に、前述の測定装置のホルダ17に設けた受スタッド27(図3)を調節する事で、上記外輪の円周方向一部を軸方向に50μm移動させ、この外輪の中心軸を約0.02度傾斜させたところ、上記ラジアル隙間の測定値に及ぼす影響は僅少であった。又、内輪の端面と前述の保持筒13の係止鍔部14との間に、厚さが100μmのシムを挟持する事で、この内輪の中心軸を約0.1度傾斜させたところ、上記ラジアル隙間の測定値に及ぼす影響は僅少であった。これらの実験から、自動調心ころ軸受に関する限り、上記外輪及び内輪の中心軸の傾斜を(自動調心ころ軸受本来の機能を発揮できる程度に)小さく抑えれば、十分に信頼性の高いラジアル隙間の測定を行なえる事が分かる。
【0044】
【発明の効果】
本発明の転がり軸受のラジアル隙間を測定する方法及び装置は、以上に述べた通り構成され作用するので、自動調心ころ軸受を含む各種転がり軸受のラジアル隙間を、熟練を要する事なく、容易且つ迅速に、しかも正確に測定できる。この為、転がり軸受を組み込んだ回転支持部を有する、各種機械装置の性能向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の1例を示す、測定装置の部分縦断側面図。
【図2】 図1の右方から見た図。
【図3】 図1のX部拡大図。
【図4】ホルダ部分を取り出して示す斜視図。
【図5】 測定作業を工程順に示す略側面図。
【図6】 内外輪の相対回転に伴って球面ころの姿勢が修正される状態を示す、自動調心ころ軸受の部分断面図。
【図7】 ラジアル隙間測定時に於ける、自動調心ころ軸受を構成する外輪と内輪と球面ころとの位置関係を説明する為、(A)は下向きのラジアル荷重を付与した状態で、(B)は上向きのラジアル荷重を付与した状態で、それぞれ誇張して示す模式図。
【図8】 測定時に付与するラジアル荷重の大きさがラジアル隙間の測定値に及ぼす影響を知る為に行なった実験の結果を示す線図。
【図9】 測定時に於ける回転軸の回転速度がラジアル隙間の測定値に及ぼす影響を知る為に行なった実験の結果を示す線図。
【図10】 転がり軸受の一種である自動調心ころ軸受の1例を示す部分断面図。
【符号の説明】
1 自動調心ころ軸受
2 外輪
3 内輪
4 球面ころ
5 保持器
6 外輪軌道
7 内輪軌道
8 基板
9 回転軸
10 静圧気体軸受
11 従動プーリ
12 無端ベルト
13 保持筒
14 係止鍔部
15 雄ねじ部
16 抑えナット
17 ホルダ
18 移動台
19 ガイドレール
20 リニアガイド
21a、21b 支持腕
22 保持腕
23 受ブロック
24 貫通孔
25 ねじ孔部
26 大径部
27 受スタッド
28 抑えロッド
29 ガイドブロック
30 ガイドプレート
31 ストップリング
32 圧縮コイルばね
33 抑え腕
34 鋼球
35 ラジアル荷重付与手段
36 支持枠
37 重錘
38 上部ガイドプーリ
39 第一のワイヤ
40 凹溝
41 下部ガイドプーリ
42 第二のワイヤ
43 下部変位計
44 上部変位計
45 中間部変位計
46 ラジアル隙間

Claims (2)

  1. 内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備えた転がり軸受の内部に存在するラジアル隙間を測定する装置であって、水平方向に配置され、上記内輪を支持した状態で回転駆動される回転軸と、上記外輪を、その中心軸とこの内輪の中心軸とを実質的に平行に保ったままこの外輪の中心軸が水平方向になる様に、且つ、ラジアル方向に関する変位を自在に支持するホルダと、上記外輪に、鉛直方向で、且つ、当該外輪の直径方向に関して互いに反対方向である第一、第二のラジアル荷重を付与自在なラジアル荷重付与手段と、上記回転軸の先端部に固定され、上記内輪をラジアル方向の変位を抑えた状態で支持する支持手段と、これら第一、第二のラジアル荷重に基づく上記外輪のラジアル方向の変位を測定する為の変位測定手段とを備え、この変位測定手段は、鉛直方向に関し上記外輪の下部と上部とにそれぞれ存在し、この外輪の外周面の上下両端部の鉛直方向の変位を同時に測定する下部変位計及び上部変位計と、鉛直方向に関しこれら両変位計同士の間に存在し、上記回転軸に固定された上記支持手段の鉛直方向の変位を測定する中間部変位計とにより構成されており、上記回転軸に支持された上記内輪を回転させた状態で、上記変位測定手段による上記外輪及び支持手段の鉛直方向の変位の測定を行なう、転がり軸受のラジアル隙間を測定する装置。
  2. 転がり軸受が自動調心ころ軸受である、請求項1に記載した転がり軸受のラジアル隙間を測定する装置。
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