JP4173544B2 - 治療剤としての、または診断におけるrac−プロテインキナーゼ - Google Patents
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Description
タンパク質リン酸化および脱リン酸化は、細胞機能調節の基本的プロセスである。タンパク質リン酸化は、タンパク質リン酸化および脱リン酸化のカスケードにより細胞外シグナルを伝搬し増幅するシグナル伝達に大きく関わる。最も詳しく解析されている2つのシグナル伝達経路は、c−AMP−依存性プロテインキナーゼ(PKA)およびプロテインキナーゼC(PKC)を伴う。各経路は、異なる第2のメッセンジャー分子を使用してプロテインキナーゼを活性化し、次に特定の標的分子をリン酸化する。
セリン/トレオニンキナーゼの新規サブファミリーが最近同定され、クローニングされており、ここではRACキナーゼと呼ぶ(RAC-PK;Jones,et al.(1991)Proc,Natl,Acad.Sci.USA 88,4171-4175;Jones,et al.(1991)Cell Regulation 2,1001-1009)が、PKBまたはAktとしても知られている。RACキナーゼは、2種の近縁のアイソフォーム、RACαとRACβで同定されており、これらは、遺伝子配列にして90%の相同性を共有している。マウスRACα(c−akt)は、AKT8レトロウイルス由来のGagタンパク質をネズミc−aktのN−末端に融合させることにより作製された、ウイルス癌遺伝子v−aktの細胞性相同物である。ヒトRACβは、卵巣癌のおよそ10%に含まれることが分かっており、これは細胞増殖調節におけるRACキナーゼの関わりを示唆するものである。
RACキナーゼは、アミノ末端プレクストリン相同(PH)ドメインを含有する[Haslam,et al.(1993)Nature 363,309-310]。PHドメインは、元々、活性化された血小板中の主要PKC基質である47kDaのタンパク質、プレクストリンのアミノおよびカルボキシ末端に存在する内部反復配列として同定された[Tyers,et al.(1988)Nature333,470-473]。PHドメイン含有分子のスーパーファミリーは、90以上のメンバーからなり、セリン/トレオニンプロテインキナーゼ(RAC、Nrk、βARK、PKCμ)、チロシンプロテインキナーゼ(Btk、Tec、Itk)、GTPアーゼレギュレーター(ras−GAP、ras−GRF、Vav、SOS、BCR)、既知の哺乳動物ホスホリパーゼC全て、細胞骨格タンパク質(β−スペクトリン、AFAP−110、シントロフィン)、“アダプター”タンパク質(GRB−7、3BP2)およびキナーゼ基質(プレクストリン、IRS−1)を含む。
β−スペクトリン、ダイナミンおよびプレクストリンのアミノ末端ドメインについてPHドメイン構造が解明されたにもかかわらず、その正確な機能は依然不明である。多くのシグナル形成タンパク質および細胞骨格タンパク質中のPHドメインの存在は、タンパク質−タンパク質および膜相互作用を媒介することに関係している。実際に、β−アドレナリン受容体キナーゼ(βARK)のPHドメインは、β−アドレナリン受容体と結合したヘテロ三量体G−タンパク質のβγサブユニットとの結合を部分的に担うようであるが、一方で、バートンチロシンキナーゼ(Btk)のPHドメインは、PKCとの相互作用を媒介するようである。幾つかのPHドメインは、弱くではあるが、インビトロでホスファチジル−イノシトール−4−5−ビホスフェートと結合できることが示されている。
IMPDHは、グアニン生合成の律速段階に関わる高度保存酵素(細菌と哺乳動物の配列間で41%のアミノ酸が同一)である。哺乳動物には、区別して発現されるI型およびII型と呼ばれる84%同一の2つのアイソフォームがある[Natsumeda,et al.(1990)J.Biol.CHem.265,5292-5295]。I型は低レベルで構成的発現するのに対し、II型のmRNAおよびタンパク質レベルは細胞増殖中に増大する。IMPDH活性レベルもまた、多くの細胞において迅速な増殖中に上昇する[Collart,F.R.,and Huberman,E.(1988)J.Biol.Chem.263,15769-15772]。
代謝流動を測定することにより、無傷癌細胞の増殖指標は、IMPのグアニレート生合成への優先チャネリングと連携していることが示されている。細胞IMPDH活性の阻害は、G1−S中間でのDNA合成の急な停止と細胞循環遮断をもたらす。チアゾフリンによるIMPDHの特異的阻害と続くGTPプールの低下は、G−タンパク質rasのダウンレギュレーションをもたらし、これは細胞増殖を導く多くのシグナル伝達経路に関わる(概説についてはAvruch,et al.(1994)Trends Biochem.Sci.19,279-283参照)。
興味深いことに、p53はIMPDH活性レベルを調節するのに関係している[Sherley,J.L.(1991)J.Biol.Chem.266,24815-24828]。ここで、p53の中度過剰発現(3〜6倍)は、深刻な増殖停止状態を誘導し、その停止状態はプリンヌクレオチド前駆体により解放される。実際に、p53過剰発現は、IMPからXMPへの変換における特異的遮断およびIMPDH活性レベルの低下を誘導する。p53遮断は、RNA合成速度に影響せず、またデオキシヌクレオチドにより解放される表現型でもないのでDNA合成のための前駆体の欠乏が遮断の原因でもないことを示している。この作用は、おそらく、rasなどのGタンパク質に必要とされるGTPプールのダウンレギュレーションにより媒介されるようである。
上記観測は、II型IMPDHが主に、rasなどのシグナル伝達にかかわるGタンパク質の調節に非常に重要なGTPプールにチャネルされるXMPの生産に関与していることを示す。I型酵素は、RNAおよびDNA合成に必要とされるGTP/dGTPプールにチャネルされるXMPの基礎レベルを提供するのかもしれない。II型IMPDH活性が変化すると、GTP成分が特異的に変わるのでGTP/GDP比率が変わり、このことはrasがGTP/GDP比率の僅かな変化に感受性であるので、rasシグナル形成経路に大きく影響し得る。
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)は、グリコーゲン代謝を含む哺乳動物細胞生理機能にとって重要な幾つかのプロセスの制御およびインシュリンによるタンパク質合成の制御、並びにAP−1およびCREBなどの幾つかの転写因子の活性の変調に関与する。GSK3は、MAPキナーゼおよび別個のインシュリン刺激シグナル形成経路に存在するキナーゼであるp70S6Kにより引き起こされるセリンリン酸化によりインビトロで阻害される。
GSK3は、グリコーゲンシンターゼにおけるセリンリン酸化を担い、その脱リン酸化は、筋肉によるグリコーゲン合成の刺激の基礎となる。従って、GSK3はグリコーゲンシンターゼを不活性化し、血中糖レベルの増大をもたらす。インシュリンは、GSK3の作用を阻害し、グリコーゲンシンターゼを脱リン酸化するホスファターゼの同時活性化と併せて、グリコーゲンシンターゼの活性化および血中糖レベルの低下を導く。
ここで、我々は、RAC−PKがGSK3の不活性化とIMPDHの活性化に直接関与することを測定した。
酵母ツーハイブリッドシステム[Fields,S.and Song,O-K.(1989)Nature 340,245-246;Chien,et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88,9578-9582]を用いて、RAC−PKが他のタンパク質と特異的相互作用を形成することによって機能し得るかどうかを測定した。我々はRAC−PKを、ヒトII型イノシン−5’モノホスフェートデヒドロゲナーゼ(IMPDH)およびRAC−PKカルボキシ末端結合タンパク質(CTBP)と命名した新規タンパク質と相互作用すると同定した。RAC−PKはII型IMPDH活性を刺激する。我々の発見は、GTP生合成におけるIMPDHの既知の役割と共に、細胞増殖の調節におけるRAC−PKの役割を示すものである。
更に、GSK3由来のペプチドおよびGSK3自身を用いて、RAC−PKがGSK3と相互作用し、リン酸化し、更に不活性化することを示すことができた。このことは、RAC−PKと、細胞増殖を制御するインシュリン依存性シグナル形成経路の調節とを関連付けるものである。これらの結果をまとめ合わせると、RAC−PKがインシュリン作用の制御に主要な関わりを持つことが示される。
発明の概要
本発明により、RAC−PKプロテインキナーゼおよびそのフラグメント、並びに、特にインシュリンにより変調されるプロセスの異常、例えば、細胞増殖、インシュリン欠乏症および/または過剰血中糖レベルに関連する疾患の処置における薬物として使用するRAC−PKプロテインキナーゼのアクチベーターおよびインヒビターを提供する。また、本発明は、潜在的模擬体またはそのモデュレーターをスクリーニングするのに使用するRAC−PKプロテインキナーゼを提供する。本発明は更に、RAC−PKを活性成分として含むスクリーニングキット、および候補化合物とRAC−PKとの特異的相互作用を検出することからなる、RAC−PK活性の模擬体またはモデュレーター候補である化合物のスクリーニング法を提供する。
発明の詳細な説明
第1の態様では、本発明は、薬物として使用するためのRACプロテインキナーゼまたはそのフラグメント、またはバナジウム酸塩およびウォルトマンニンを除くそのモデュレーターを提供する。
バナジウム酸塩は、本明細書で使用する場合、オルソおよびメタバナジウム酸塩、ペルバナジウム酸塩およびその他の関連バナジウムイオンなどの様々な形態を含み、糖尿病の処置における治療剤として知られているものである。例えば、米国特許第5,421,125号、ヨーロッパ特許出願第0 521 787号、ヨーロッパ特許出願第0 264 278号およびヨーロッパ特許出願第0 245 979号参照。1995年12月15日に出願した英国特許出願第9525702.8号(Ciba-Geigy AG)には、バナジウム酸塩がインシュリン刺激シグナル形成経路のキナーゼおよび特にRAC−PKの強力なアクチベーターであることが開示されている。従って、バナジウム酸塩は、GSK3をリン酸化して、それを不活性化するRACを刺激し、血中糖レベルの低下を導くことにより、その治療効果を糖尿病にて発揮する。
そのため、RAC−PKおよびそのアクチベーターは、糖尿病や血中糖レベルが過剰なその他の疾患の処置に有用である。逆に、ウォルトマンニンやオカダ酸などのRAC−PKのインヒビターは、血中糖レベル不全に関連する疾患の処置に有用である。
本発明では、RACプロテインキナーゼは、文献に記載のようにどの種類のどのアイソフォームのRACキナーゼであってもよい。ヒトRAC−PKが好ましい。ヒトRAC−PKαは、配列番号3に表す。RACキナーゼのドメインは、PHドメイン、触媒ドメインおよびC末端ドメインなどのその個々の機能的部分である。RACのドメインを含むRACのフラグメントは、本発明においてRACの代わりに使用できるRACキナーゼタンパク質の機能的に活性な部分である。RAC−PKのフラグメントは、好ましくはそのドメイン、有利にはPHドメイン、触媒ドメインおよびC末端ドメインである。それぞれの場合で、使用した用語はRAC−PKの変異体や誘導体、および利用可能な技術に従い天然タンパク質から作製または誘導できるそのフラグメントを包含する。例えば、RAC−PKをコードする核酸は、アミノ酸コードの縮重により、それがコードするペプチドの性質に影響を与えることなく変異させることができる。また、RAC−PKまたはそのフラグメントにおいて、その機能を実質的に変化させることなく、保存アミノ酸置換を行うこともできる。更に、RAC−PKまたはそのフラグメントの機能を改善または変更する付加、欠失および/または置換も発明の範囲内に認識および包含される。
本発明はまた、糖尿病などの血中糖レベルの異常に関わる疾患の処置に使用する薬物を製造するための、RACプロテインキナーゼまたはそのフラグメント、またはバナジウム酸塩を除くRACプロテインキナーゼ活性のモデュレーターの使用を提供する。
更に、本発明は、細胞増殖の異常の処置に使用する薬物を製造するための、RACプロテインキナーゼまたはそのフラグメント、またはウォルトマンニンを除くRACプロテインキナーゼ活性のモデュレーターの使用を提供する。
抗生物質ウォルトマンニンは、ホスファチジルイノシトール3−OHキナーゼ(PI−3K)活性化を阻害することが知られており、シグナル伝達を標的とし、とりわけRACをおそらくPI−3Kを介して間接的に不活性化する。ウォルトマンニンは、新生物腫瘍症状の処置に必要とされてきた。
しかしながら、RAC−PKの様々なアイソフォームが有糸***促進性シグナル伝達、並びにインシュリン依存性シグナル形成において広範囲に関与することは、これまで知られていなかった。この度、我々は、RAC−PKが増殖制御にかかわる一因子であるGSK3とIMPDHの両方の調節に関与することを示した。従って、RAC−PKは、増殖制御における中心的役割を果たすと結論できる。
本発明の治療剤は、薬剤の種類によって常法により製剤化できる。薬剤がバナジウム酸塩などの塩である場合、適宜、中性pHの水溶液にて製剤化し、室温で経口投与する。RAC−PK自身などのペプチド薬の場合、ペプチドを標的細胞へ導入するためにリポソーム送達などのより精巧な送達技術を必要とすることもある。ペプチド治療剤の送達システムは、当分野で詳細に報告されている。
増殖制御における主要メディエーターとしてのRAC−PKの同定により、増殖制御異常を処置するのに使用するための推定治療剤を同定するスクリーニングシステムの設計が可能になる。そのため、本発明の第2の態様では、細胞内シグナル形成の潜在的モデュレーターのスクリーニング法を提供し、その方法は:
(a)RAC−PKまたはそのフラグメントを、スクリーニングする化合物とともにインキュベーションし;
(b)その化合物とRACとの相互作用を検出する
工程を含む。
スクリーニングは、完全なRACキナーゼまたはそのフラグメントを用いて実施できる。例えば1995年12月15日に出願した英国特許出願9525703.6(Ciba-Geigy AG)に記載のように、特にRACキナーゼのPHドメインがその作用の多くを媒介するのに重要であることが示されている。更に、下記に開示のとおり、RAC−PKはPHドメインを介してIMPDHと相互作用する。この相互作用は、完全なRAC−PKを使用するならば、酵母ツーハイブリッドシステムでは観察できないが、インビトロではRAC−PKのIMPDHへの結合が起こる。
RAC−PKの他のフラグメントとその生理学的標的やレギュレーターとの間にも相互作用が起こる。例えば、RACによるGSK3のリン酸化により証明されるように、GSK3は触媒ドメインを介してRAC−PKに結合する。一方、CTBPは、触媒またはPHドメインに結合しないが、RACのカルボキシ末端ドメインには特異的に結合する。
そのため、好ましくは、本発明は、スクリーニングする化合物をRACのフラグメント、有利にはPHドメイン、触媒ドメインまたはカルボキシ末端ドメイン、と共にインキュベーションすることを含む。
本発明の方法に使用するRAC−PKフラグメントは、単離フラグメントの形態または更なるポリペプチドと複合体形成したフラグメントの形態であってもよい。例えば、ツーハイブリッドシステムの場合、フラグメントは、酵母活性化物質GAL4などの他のタンパク質に由来するDNA結合ドメインまたは転写活性化ドメインと複合体形成する。
更に、本発明の方法で使用したRAC−PKは、その変異体の形態、例えば構成的に活性化されたキナーゼであってもよい。重要な活性化残基は、キナーゼのサブドメイン7と8の間のいわゆるT−ループに存在するT308である。キナーゼ構造に関する一般的指針は、Woodgett(1994),Protein Kinases,IRL Press,UKに与えられている。T308をアスパラギン酸と置換すると、キナーゼの基本活性は明らかに増大するが、これは、更に活性化される可能性を残している。故に、本発明は、Thr308をAspに変異させたRACキナーゼタンパク質を提供する。
好ましくは、Ser473を更にAspに変異させる。この残基のリン酸化は、インビボでRAC−PKを完全に活性化するのに必要であり、T308/S473二重変異(Aspに変換される両方の残基)は、天然のRAC−PKよりも18倍高い構成的活性を示す。二重変異は、更なる活性化を受けにくい。
変異は、適切な技術によって実施できる。しかしながら、好ましくは、RACをコードするヌクレオチド配列のインビトロ部位指向性突然変異誘発および続く組換えDNA発現システムにおけるRACの発現である。この方法は、クローン化DNAの領域内の所定の部位を変更できるインビトロ突然変異誘発法である(比較、M.J.Zoller and M.Smith,Methods Enzymol.(1983),100,468;D.Botstein and D.Shortle,Science(1985),229,1193の概説論文)。部位指向性突然変異誘発法は、Sambrook(1989):Molecular Cloning - A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY,USAや多くの市販のインビトロ突然変異誘発キットに例示のように、当業者にはよく知られている。
スクリーニングする化合物は、実質的に純粋な複合体形成していない形態で存在してもよく、または化学基または更なるポリペプチドと複合体形成していてもよい。ツーハイブリッドシステムの場合、PHドメインを補足するために、DNA結合ドメインまたは転写活性化ドメインと複合体形成している。
本発明で使用する単離pHドメインは、1995年12月15日に出願した英国特許出願第9525705.1号(Ciba-Geigy AG)に記載のようにして製造できる。しかしながら、少量のPHドメインで十分である場合、PHドメインは、それをコードする核酸配列を細菌細胞培養において当分野で既知の技術に従い実質的に切断した融合タンパク質の形で発現させることにより得ることができる。例えば、PHドメインをコードするRACのアミノ酸1〜131は、有利にはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)を用いて融合タンパク質として発現させることができ、続いて、その融合タンパク質をトロンビンで切断し、FPLCなどのタンパク質精製技術によりそのドメインを単離できる。この方法では、比較的少量の純粋な可溶性PHドメインが得られる。
カルボキシおよびキナーゼドメインも同様に、融合タンパク質として、例えばGST融合物として有利に合成される。
本発明で使用するRAC−PKまたはそのフラグメントは、英国特許出願第9525702.8号に記載のようにして製造できる。あるいは、RAC−PKは、組換え細胞培養にて発現させてもよい。昆虫細胞培養によく利用されるバキュロウイルスベクターが特に好ましく、市販のものから広く入手できる(例えば、Invitrogen and Clontech)。その他にも昆虫細胞に感染する能力のあるウイルスベクターは知られており、例えばシンドビス(Sindbis)ウイルスである(Hahn et al.,(1992)PNAS(USA)89,2679-2683)。選択したバキュロウイルスベクター(Miller(1988)Ann.Rev.Microbiol.42,177-199に概説)はオートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)多発性核多角体病ウイルス、AcMNPVである。
典型的には、ポリヘドリンfウイルス生産に必要とされないため、AcMNPVのポリヘドリン遺伝子の少なくとも一部を異種遺伝子で置換する。異種遺伝子を挿入するには、トランスファーベクターが有利に使用される。トランスファーベクターをE.コリ宿主にて調製し、次いで、DNA挿入物を相同的組換え法によりAcMNPVに移す。本発明に有用なバキュロウイルス技術は、当分野で標準的なよく知られたものであり、O’Reilley et al.,(1994)Baculovirus expression vectors;A laboratory manual,Oxford University Press Inc.,NY,USAや市販のバキュロウイルスキットの供給元(例えば、Pharmingen)により出版された文献に概説されている。
インキュベーション条件は、PHドメインとスクリーニングした化合物との相互作用を検出するために使用する実際の方法によって変わる。酵母ツーハイブリッドシステムなどの転写活性化検出システムの場合、インキュベーション条件は、遺伝子転写に適した、生存細胞内部に効果のあるようなものである。しかしながら、その他の検出システムは異なるインキュベーション条件を必要とする。例えば、相互作用の検出が、例えば、アフィニティークロマトグラフィーで知られているようなクロマトグラフィーアッセイにおける相対的な親和性に基づくならば、結合を容易にするように条件を調整し、次いで、これを徐々に変化させて、スクリーニングした化合物がRAC−PK PHドメインにもはや結合しない時点を測定できるようにする。
検出手段として、RAC−PK PHドメインにおけるTrp22の自然蛍光を採用でき、これは、英国特許出願第9525703.6号に記載のように、そのドメインとのある種の相互作用により阻害される。要約すると、適切な周波数で蛍光を発するように分子を励起し、発光を監視することにより、ある種のPHドメイン含有タンパク質のPHドメイン中のアミノ末端Trp残基の蛍光を検出できる。例えば、RACのN−末端Trp22は、290nmで励起させた場合345nmで蛍光を発する。タンパク質蛍光を監視する技術は、当分野では広く知られている。我々は、RAC−PKのPHドメインが高親和性でリン脂質に結合することを示しており、これは、RAC−PKがPHドメインを介してインビボで膜結合できることを示唆するものである。リン脂質がRAC−PK PHドメインへ結合すると、22位のN−末端トリプトファン(Trp22)の自然蛍光が消える。PHドメインと細胞膜との相互作用は、RAC−PKがシグナル形成経路における膜結合相手と適切に相互作用するのに重要であると考えられるため、この相互作用の撹乱は、シグナル形成分子の細胞膜からの解離によりシグナル形成作用の変調を導く。この変調は、例えば、シグナル形成分子と膜結合相手との別の適切な相互作用が刺激性相互作用であるならば、ダウンレギュレーションであるか、または相互作用が阻害性相互作用である場合はアップレギュレーションであるかのいずれかであり得る。従って、シグナル応答のモデュレーター候補は:
(a)化合物を、蛍光発光能力のあるシグナル形成分子のPHドメインと共にインキュベーションし、
(b)その化合物の存在下でPHドメインの蛍光のリン脂質誘導化変調、即ち、化合物とPHドメインとの機能的相互作用の指標である蛍光変化を検出する、
工程を含む方法によりスクリーニングできる。
この場合、インキュベーション条件は、PHドメインが290nmの周波数で励起する場合、345nmで蛍光を容易に検出できるように調整する。
本発明によるインキュベーションは多くの手段により達成できるが、基本的な要件は、RAC−PKまたはそのフラグメントとスクリーニングした化合物がお互いに接触できるようにすることである。これは、RAC−PKまたはそのフラグメントと化合物を混合するか、またはそれらをコードする核酸を発現させるなど、インシツ(in situ)でそれらを産生することにより達成できる。RAC−PKまたはRAC−PKフラグメントおよび/または化合物が他のポリペプチドとの融合形である場合、それらは、例えば、インシツで発現させることができる。
好ましくは、本発明の方法は、ツーハイブリッドシステムに基づく。このようなシステムは、酵母GAL4アクチベーターなどの分離可能なDNA結合および転写活性化ドメインをもつ転写アクチベーターを利用することにより、特異的なタンパク質:タンパク質相互作用を検出する。使用する転写アクチベーターに応答するエレメントにレポーター遺伝子を作動可能に連結させて、RAC−PKまたはそのフラグメントおよびスクリーニングした化合物にさらすが、この内の1つは転写アクチベーターの転写活性化ドメインと複合体形成しており、その他はDNA結合ドメインとつながっている。RAC−PKまたはそのフラグメントと化合物との特異的相互作用があるならば、転写アクチベーターのDNA結合ドメインと転写活性化ドメインが並列することになり、レポーター遺伝子の転写が活性化される。
あるいは、RAC−PKまたはそのフラグメント、例えばそのPHドメインまたはその触媒ドメインと、スクリーニングした化合物またはそのフラグメントとの間にみられた結合に基づいて検出してもよい。例えば、RAC−PKとインシュリンメディエーターGSK3との相互作用は、下記では、その不活性化を担うことが知られているGSK3の主要リン酸化部位周辺のペプチドとRACキナーゼとの相互作用を監視することにより検出する。同様にして、特定の化合物の活性化または不活性化におけるRAC−PKの関わりは、変調事象に関与することが知られているその化合物の一部とRACとの相互作用を監視することによりスクリーニングできる。
RAC−PKまたはそのフラグメントは、それとスクリーニングする化合物とをインキュベーションし、続いて、RAC−特異的抗体によりRAC−PK複合体を“取り出す(プル−ダウン;pulling down)”ことにより、RAC−PKまたはそのフラグメントに結合する化合物をスクリーニングするのに使用することもできる。免疫沈降またはイムノ−アフィニティークロマトグラフィーに適した抗体は、当業者に知られている常用技術に従い調製してもよく、現存のモノクローナルまたはポリクローナル抗体であってもよい。例えば、Lane,et al.,(1992)EMBO J.,11,1743-1749参照。RAC−化合物複合体を親和性によって単離した後、化合物をRAC−PK抗体から解離させ、常用技術により特性化できる。
RAC−PKまたはそのフラグメントとスクリーニングした化合物との相互作用もまた、間接的に観測できる。例えば、RAC−PK機能のインヒビターまたはアクチベーターは、その化合物の存在下または不在下で基質に対するRAC−PKの作用を観測することにより検出できる。
RAC−PKの活性またはその触媒ドメインは、キナーゼの基質を用いるキナーゼ活性アッセイにより評価できる。例えば、確立されたアッセイ法によると、ミエリン塩基性タンパク質が使用できる。GSK3などの生理学的基質を用いてもよい。あるいは、RAC−PK活性は、RAC−PK自身のリン酸化の活性化度合いを測定することにより評価してもよい。キナーゼ活性化に通常関与する残基のリン酸化を評価するのが都合よい。RAC−PKは、英国特許出願第9525702.8号に開示されているとおり、セリンおよびトレオニン残基でリン酸化することにより優先的に活性化される。
本発明のアッセイは、候補化合物のRACに対する直接的な作用を測定するのに使用することができ、または、シグナル形成経路において、RACの上流で働くキナーゼに対する化合物の作用を測定するのに使用することもできる。後者の場合、RAC−PKは上流キナーゼの基質として働き、上流キナーゼの活性は、リン酸化状態またはRAC−PKの活性を測定することにより評価される。
有意義な結果を得るには、免疫抑制または抗増殖剤候補にさらしたRAC−PKの活性をその薬剤にさらしていないRAC−PKの活性と比較すべきであり、RACキナーゼ活性の変調は、細胞増殖および/またはインシュリンシグナル伝達モデュレーターの可能性があることを示す。
この場合、見込みのある化合物は、例えば、細胞増殖アッセイによりその特性を直接測定することによって、更に評価できる。このようなアッセイは、好ましくは、ホスファターゼインヒビターによりキナーゼ活性化を受け、RAC−PKモデュレーター候補にさらされ、所望により、続いて成長因子、IL−2またはPMAなどの有糸***促進物質で刺激された細胞の増殖を物理的に測定することを含む。より簡単には、このアッセイは、非刺激細胞を候補モデュレーターにさらし、その後ホスファターゼインヒビターで刺激する必要がある場合もある。
本発明は更に、スクリーニングシステムにおけるRAC−PKまたはそのフラグメントの使用を含む。このスクリーニングシステムは、好ましくは、特に、その活性がグリコーゲン代謝または細胞増殖に関連する場合、インシュリン活性のモデュレーターである化合物をスクリーニングするために使用する。
このような化合物をスクリーニングするのに有用なキットは調製することができ、またRAC−PKとスクリーニングした化合物との相互作用を検出するための手段と共に、実質的にRAC−PKまたはそのフラグメントを含む。故に、好ましくは、このスクリーニングキットは、下記の検出システムの1種を含む。
本発明のキットに使用するためのRAC−PKは、タンパク質の形態、例えば溶液、懸濁液または凍結乾燥状態、または発現システムにおいて、所望によりインシツでRAC−PKまたはそのフラグメントを産生可能な核酸配列の形態で提供できる。好ましくは、RAC−PKまたはそのフラグメントをコードする核酸は、融合タンパク質、例えばGST融合物の形態でそれをコードしている。
更に別の実施態様では、本発明は、直接的または間接的にRAC−PKまたはそのフラグメントと相互作用する化合物を提供する。直接作用する化合物の場合、インシュリンやウォルトマンニンなどの薬剤は除く。このような化合物は、無機または有機物、例えば抗生物質であってもよく、好ましくは細胞内シグナル形成に関わるタンパク質性化合物である。例えば、その化合物はCTBP(配列番号1および2)であり得る。
本発明の化合物は、下記の技術を用いるスクリーニングにより同定でき、確立された方法により天然源から抽出するか、または低分子量化学的化合物の場合、特に合成により調製する。タンパク質性化合物は、組換え発現システム、例えば下記のバキュロウイルスシステムにて、または例えば英国特許出願第9525705.1号に記載の細菌システムにて発現させて調製できる。タンパク質性化合物は、主にシグナル形成経路の機能の研究に有用であるが、治療的応用を有することもある。
一方、低分子量化合物は、好ましくは確立された方法に従い化学合成により製造する。それらは主に治療剤として必要とされる。一般に低分子量化合物と有機化合物は、インシュリン模擬体または抗増殖剤として有用であり得る。
下記実施例において、本発明を単なる例示の目的で更に説明する。
実施例1
RAC−PKとIMPDHとの特異的相互作用
(a)細菌および酵母株
ツーハイブリッド実験用の酵母株およびプラスミドは全てClontech社(Palo Alto,CA)からMATCHMAKERツーハイブリッドシステムの成分として、またはD.ナザン博士(Howard Hughes Medical Institute,Baltimore,ML)から入手する。酵母株SFY526(MATa、ura3−52、his3−200、ade2−101、lys2−801、trp1−901、leu2−3、112、canr、gal4−542、gal80−538、URA3::GAL1−lacZ)、HF7c(MATa、ura3−52、his3−200、lys2−801、ade2−101、trp1−901、leu2−3、112、gal4−542、gal80−538、LYS2::GAL1−HIS3、URA3::(GAL4 17mer)3−CYC1−lacZ)およびPCY2[Chevray and Nathans,1992](MATα、his3−200、ade2−101、lys2−801、trp1−63、leu2−3、gal4−542、gal80−538、URA3::GAL1−lacZ)を用いて、タンパク質−タンパク質相互作用についてアッセイする。酵母株HF7cは、ライブラリースクリーニング用に使用する。SFY526とPCY2は、lacZ遺伝子と融合したGAL1プロモーターの上流活性化配列とTATA配列を持つ。HF7cの場合、HIS3をGAL1プロモーター配列に融合させ、LacZを17量体GAL4コンセンサス配列3コピー足すCYC1プロモーターのTATA配列に融合させる。HIS3とLacZは、両方とも、GAL4活性化に反応しやすい。形質転換を含む酵母技術は、MATCHMAKERツーハイブリッドシステム中の説明書に従い、またAusubel,et al.,(1994)Current Protocols in Molecur Biology.John Wiley and Sons,New York,NYに記載のようにして実施する。細菌株XL−1ブルー(Stratagene)およびJM109は、プラスミドのクローニングおよびGST融合タンパク質の製造に使用する。細菌株JM109(DE3)、BL21(DE3)pLysSおよびBL21(DE3)pLysE(Invitrogen)は、(HIS)6−タグ付タンパク質の製造に使用する。一般的な分子生物学的技術は既に記載のようにして実施する[Sambrook,et al.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual.,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbot,NY;Davis,et al.(1986)Basic Methods in Molecular Biology.Elsevier Science Publishing Co.,New York,NY]。
(b)プラスミド構築
GAL4 DNA結合ドメイン(アミノ酸1−147、pGBT9)およびGAL4活性化ドメイン(アミノ酸768−881、pGAD424)を含有する酵母ベクタープラスミド、並びに対照プラスミドpCL1(全長GAL4遺伝子)、pVA3(p53遺伝子)、pTD1(SV40ラージT抗原)およびpLAM5’(ヒトラミンC遺伝子)はClontech社のものである。GAL4 DNA結合ドメインを含有する酵母ベクターpPC62はD.ナザン博士から得る。グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合ベクターpGEX−2TはPhrmacia社のものである。バキュロウイルストランスファーベクター(pVL1392)および(HIS)6−タグベクター(pRSET−A)はInvitrogen社のものである。pGBT−PH127、pGBT−PH150、pGBT−PHI−IIIおよびpGBT−PHIII−VIは、ヒトRACα PHドメインのアミノ酸1−127、1−150、1−47、47−127それぞれとGAL4 DNA結合ドメインとのフレーム内融合物を含有する。これらは、特定のオリゴヌクレオチドで作ったPCRフラグメントをpGBT9のEcoRI−BamHI部位にサブクローニングすることにより構築する。pGEX−PH131、pGEX−PH−KIN、pGEX−PH−KIN−CT、pGEX−KIN−CT、pGEX−KINおよびpGEX−CTは、ヒトRACαのアミノ酸1−131、1−411、1−480、147−480、147−411、411−480それぞれとGSTとのフレーム内融合物を含有する。これらは、特定のオリゴヌクレオチドで作ったPCRフラグメントをpGEX−2TのBamHI−EcoRI部位にサブクローニングすることにより構築する。pGBT−PH−KIN、pGBT−PH−KIN−CT、pGBT−KIN−CT、pGBT−KINおよびpGBT−CTは、ヒトRACαのアミノ酸1−411、1−480、147−480、147−411、411−480それぞれとGAL4 DNA結合ドメインとのフレーム内融合物を含有する。これらは、対応するpGEX構築物由来の適切なBamHI−EcoRIフラグメントをPstI−BamHIおよびEcoRI−XbaIアダプターを用いてPstI−XbaI部位にサブクローニングすることにより構築する。次いで、得られたpPC62プラスミド由来のXhoI−XbaIフラグメントを単離し、XbaI−EcoRIアダプターを用いてpGBT9のXhoI−EcoRI部位にサブクローンする。pGAD−IMPDH1−481、pGAD−IMPDH1−427、pGAD−IMPDH1−325、pGAD−IMPDH28−514、pGAD−IMPDH70−514、pGAD−IMPDH1−40およびpGAD−IMPDH428−514は、ヒトII型IMPDHのアミノ酸1−481、1−427、1−325、28−514、70−514、1−40、428−514それぞれとGAL4活性化ドメインとのフレーム内融合物を含有する。これらは、特定のオリゴヌクレオチドで作ったPCRフラグメントをpGAD424のBamHI−SalI部位にサブクローニングすることにより構築する。pGEX−IMPDHは、完全なヒトII型IMPDHとGSTとのフレーム内融合物を含有する。これは、pGADGH−IMPDH由来のSmaI−XhoI IMPDHフラグメントを、XhoI−SmaIアダプターを用いてpGEX−2TのSmaI部位にサブクローニングすることにより構築する。pVL1392−hRACαはヒトRACαの全コード領域を包含するWI38xRAC71[Jones,et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88,4171-4175]由来のEcoRIフラグメントを含有した。pRSET−PHQKKKは、ヒトRACαのアミノ酸1−116とアミノ末端(HIS)6−タグとのフレーム内融合物を含有し、カルボキシ末端に3つのリジンを付加したものである。これは、pRK−RAC[Jones,et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88,4171-4175]由来のNdeI−PflMIフラグメントを、BamHI−NdeIおよびPflMI−EcoRIアダプターを用いてpRSET−AのBamHI−EcoRI部位にサブクローニングすることにより構築する。プラスミドは全て、制限フラグメント分析および配列決定により確認する。
(c)ライブラリースクリーニング
RACのPHドメインがその他のタンパク質と相互作用するかどうかを測定するために、そのドメインをGAL4 DNA結合ドメインと融合させ、酵母レポーター株HF7cにおいてGAL4転写活性化ドメインと融合させたヒーラーcDNAライブラリーをスクリーニングする。ヒトのヒーラーS3 MATCHMAKER cDNAライブラリーは、Clontech社から購入する。pGBT−PH127は、対照プラスミド(pGAD424、pCL1、pTD1)を用いる場合と用いない場合とでHF7cに形質転換させる。この形質転換由来のコロニーをHIS3とLacZ発現について試験して、PHドメイン単独では転写を活性化しないことを確認する。次いで、pGBT−PH127だけを含有するHF7c形質転換体を、ツーハイブリッド活性化ベクターpGADGHに挿入した十分なヒーラーS3 cDNAライブラリーで形質転換させて、1.0×106酵母Leu+/Trp+形質転換体を産生する。二重に形質転換させた細胞をLeu-、Trp-、His-プレートにまき、30℃で3〜8日間インキュベーションする。陽性コロニーを選出し、三重マイナスプレートにて再度画線培養し、フィルターアッセイによりLacZ活性についてアッセイした。その後、His+でLacZ+のライブラリークローンからpGBT−PH127プラスミドをキュアリング(除去)し、His栄養要求性とLacZ活性について試験する。次いで、両アッセイにおいて陰性のキュアリング済みクローンを、pGBT9、pGBT−PH127、PLAM5’またはpTD1のいずれかを含有するPCY2の形質転換体に接合させる。pGBT−PH127の存在下でのみHis栄養要求性とLacZ活性の両方について陽性になる二倍体に相当する活性化クローンを配列決定用に選択する。
一次形質転換体1.0×106のスクリーニングでは、我々は、His栄養要求性とLacZ活性のレポーターを活性化することにより、RACのPHドメインとの特異的相互作用を示す37クローンを同定する。これらのクローンは、cDNA挿入物のサイズに基づき、更に6種の異なるcDNAクラスに分けることができる。配列決定すると、全てのクローンが、イニシエーターメチオニンから既にクローニングしたcDNAの終止コドン[Collart,F.R.,and Huberman,E.(1988)J.Biol.Chem.263,15769-15772]までを含むヒトII型IMPDHをコードすることが分かった。
サブドメインI−III(アミノ酸1−47)またはサブドメインIV−VI(アミノ酸47−127)のいずれかを含有する構築物単独では、IMPDHと何の相互作用も示さないので、相互作用には完全なPHドメインが必要である。サブドメインIV−VIとの相互作用の欠如は、この領域がヘテロ三量対Gタンパク質のβγ−サブユニットと弱く相互作用することが既に示されているので、重大である。しかしながら、IMPDHとRACのPHドメインとのこの相互作用は、その自然の状況で起こるとおり、RACのPHドメインに並列したRACのキナーゼドメインを含有する構築物を伴うツーハイブリッドシステムでは阻害される。これは、RACのPHドメインどうしの、またはRACのPHドメインと他の領域との分子内相互作用に原因があると思えた。しかしながら、PHとキナーゼドメインとの間にアミノ酸(キナーゼドメインの最初の4アミノ酸を含む)を封入しても、相互作用を阻害しなかった。我々は、RACのPHドメインとGAL4活性化ドメインを融合させ、ヒトRACαGAL4 DNA結合構築物のいずれかと相互作用できるかどうかを試験する。そのような相互作用はなんら検出できず、これは、このシステムではPHドメインが自己会合せず、またRAC−PK分子の他の領域とも複合体形成しないことを示している。よって、上記で観測された相互作用の阻害は、立体障害が原因のようである。
我々は、RACのPHドメインとの相互作用を担う分子の領域を測定するために、IMPDHの入れ子状アミノおよびカルボキシ末端欠失物を構築する。これは、殆ど無傷のIMPDH分子が相互作用には必要であることを示している。PH相互作用ドメインのアミノ末端境界がアミノ酸28と70の間にあり、一方、カルボキシ末端境界はアミノ酸427と482の間にあることが分かっている。
(d)インビトロ結合研究
IMPDHがRACのPHドメインと直接相互作用できるかどうかを試験するために、GST融合物を用いるインビトロ結合アッセイシステムを採用する。プラスミドpGEX−2T、pGEX−PH311およびpGEX−IMPDHから作ったGST融合物は、0.1mMIPTGを用いて24℃で2時間誘導させることによりE.コリXL−1ブルー細胞中で発現させる。この融合タンパク質は、細胞をFrench Press中で溶解させる以外は[Smith,D.B.,and Johnson,K.S.(1988)Gene 67,31-40]に記載のようにして精製する。pRSET−PHQKKKで形質転換したBl21(DE3)pLysS細胞により産生されたヒトRACαPHドメイン(HIS)6タグ付き融合物は、英国特許出願第9525705.1号に記載のようにして発現させ精製する。要約すると、回収前に細胞を0.2mMIPTGを用いて24℃で2時間誘導させる。細胞ペレットをFrench Pressにて溶解し、続いて可溶性PHドメインをNi(II)アフィニティー、カチオン交換およびゲル濾過カラムにて精製する。結合研究は、(HIS)6−タグ付きPHドメインまたはバキュロウイルス産生ヒトRACα 2.5μgを含有する総容量100μlの結合緩衝液(20mMホスフェート緩衝液、pH7.2、150mMNaCl、1%トリトンX−100、5mM DTT)中グルタチオン−アガロースビーズに結合させたGST融合物(2.5μg)を用いて実施する。試料を5分毎に撹拌しながら4℃で1〜2時間インキュベーションする。次いで、ビーズを緩衝液(20mMホスフェート緩衝液、pH7.2、150mM NaCl)で3回洗浄し、その後、SDS−PAGEで分析し、((HIS)6−タグ付きPHドメイン結合について)クマシーブルーR−250で染色するか、またはSDS−PAGEに続いて(ヒトRACα結合について)ヒトRACα特異的抗血清を用いてウェスタン・ブロット分析する[Jones et al.,前掲引用]。第2の抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗ウサギ抗体(Amersham)であり、オートラジオグラフィーによるECL法(Amersham)を用いて検出する。このアッセイでは、(HIS)6−タグ付きPHドメインがGST−IMPDH融合物には結合できるがGST単独には結合できないことが分かる。
我々は、全長バキュロウイルス精製ヒトRACαがIMPDHと直接相互作用できるかどうかを試験するのにもこのアッセイシステムを採用する。全長ヒトRACαは、英国特許出願第9525702.8号に記載のようにしてバキュロウイルスシステムから発現させて精製する。要約すると、バキュロウイルスは、pVL1392−hRACαと野生型バキュロウイルスAcMNPV DNAによるSf9細胞の同時トランスフェクションにより構築し、制限希釈により精製し、ドット−ブロットハイブリダイゼーションにより検出する。この精製ウイルスはSf9細胞にてヒトRACαを産生するのに使用する。ヒトRACαは、連続アニオン交換、ホスホ−セルロースおよびゲル濾過クロマトグラフィーにより精製する。ここで、全長RAC−PK分子はGST−IMPDHとの特異的相互作用するが、GST単独またはGST−PH融合物とは相互作用しないことがわかる。
(e)インビボプル−ダウン(Pull-down)アッセイ
MCF−7細胞抽出物でのプル−ダウンアッセイにおいてGST−IMPDHを用いると、RACαとGST−IMPDHとの特異的結合が見られるが、GSTでは見られない。MCF−7細胞は、12ストロークのダウンス(dounce)ホモジナイザーを用いて、緩衝液(50mMトリス−HCl、pH8.0、120mM NaCl、1%NP−40、1mM EDTA、1mMEGTA、30mM pNPP、25mM β−グリセロールホスフェート、15mM PPi、25mM NaF、1mMバナジウム酸塩、20μM PAO、1mMベンズアミジン、0.1mM PMSF)に溶解させる。14,000×g、4℃で15分間遠心した溶解物上清由来の可溶性タンパク質を、グルタチオンビーズに結合させたGST、GST−PHまたはGST−IMPDHタンパク質(5μg)に加え、4℃で2時間連続的に撹拌しながらインキュベーションする。次いで、ビーズを溶解緩衝液で4回洗浄し、その後上記のように、ヒトRACα特異的抗血清[Jones et al.,前掲引用;(1991)Cell Reg.2,1001-1009]またはIMPDH特異的抗血清[Collart,F.R.,and Huberman,E.(1988)J.Biol.Chem.263,15769-15772]を用いるウエスタン・ブロットにより分析する。GST−PHドメイン融合タンパク質を用いて細胞溶解物からIMPDHを取り出す逆実験を実施してもよい。こうして、3種の異種システムにおいてヒトRACαとヒトII型IMPDHとの結合の存在を示す。
(f)酵素アッセイ
次いで、IMPDH活性に対するこの相互作用の影響をアッセイする。GST融合物はIMPDHの活性化を引き起こすので、可溶性PHドメインの付加とGST単独の付加とを比較した。IMPDH活性についてのアッセイは、286nmでの吸光度によりXMPの生産を追跡しながら、実質的に[Antonio,L.C.,and Wu,J.C.(1994)Biochem.33,1753-1759]に記載のようにして実施する。IMPDHは、グルタチオンビーズにて精製したGST融合物のようにして製造し、次いで、還元グルタチオンを用いて可溶性タンパク質として溶出させる。IMPDH活性は、可溶性GST(pGEX−2T)またはPHドメイン(pGEX−PH131から産生)のいずれかの存在下、GST/PHドメインに対するIMPDHのモル比率1:5で試験する。さまざまな基質(ミエリン塩基性タンパク質、GSTまたはGST−IMPDH)を用いる、バキュロウイルス産生ヒトRACαでのRACキナーゼアッセイは、実質的に[Jones et al.,前掲引用]に記載のようにして実施する。IMPDHが基質であるかどうかを調べるために、バキュロウイルス産生ヒトRACαを用いてRACキナーゼアッセイでIMPDHを試験したところ、IMPDHの有意なリン酸化はなんら検出できなかった。
実施例2
GSK3の阻害
インシュリン依存性シグナル形成経路の調節に関わることが知られている2種の主要なキナーゼは、MAPKAPキナーゼ−1とp70S6Kである。これらのキナーゼは、それぞれPD98059とラパマイシンによって阻害される。これらの薬剤は両方とも、GSK3のリン酸化を阻害できず、これは、GSK3活性化を担うキナーゼがMAPKAPキナーゼ−1またはp70S6Kでないことを示している。
下記のように、L6筋管細胞を両方の化合物とインキュベーションし、インシュリンで刺激する。L6細胞の単層を6cmペトリ皿にて筋管細胞の段階まで生育させ、血清を一晩使わせず、次いで、50μM PD98059または100μM LY294002の存在下または不在下、20mM Hepes/NaOH(pH7.4)/0.14M NaCl/5mM KCl/2.5mM MgSO4/1mM CaCl2/25mMグルコース(HBS緩衝液)中で1時間インキュベーションする。2mM 8−Br−cAMPまたは0.1μMラパマイシンを添加する場合は、最後15分間に含める。細胞を0.1μMインシュリンで5分間、または10分までの時間経過で刺激する。培地を吸引除去し、細胞を氷上に置き、氷冷緩衝液A[50mMトリス−HCl(pH7.5、20℃)/1mM EDTA/1mM EGTA/1%(w/v)トリトンX−100/1mMオルソバナジウム酸ナトリウム/10mMグリセロリン酸ナトリウム/50mMフッ化ナトリウム/5mMピロリン酸ナトリウム/2μMミクロシスチン/0.1%(v/v)2−メルカプトエタノール/ロイペプチド4μg/ml、1mMベンズアミジン、1mMフェニルメタンスルホニルフルオリド、30μg/mlアプロチニン、30μg/mlアンチパイン、10μg/mlペプスタチン]0.2mlに溶解させる。
免疫沈降による細胞溶解物からのp42MAPK、MAPKAPキナーゼ−1またはGSK3の沈殿および特定のタンパク質またはペプチド基質によるその活性の分析(Cross et al.,(1994)Biochem.J.303,21-26)は、GSK3のインシュリン不活性化が、典型的なMAPキナーゼまたはp70S6Kシグナル形成経路を阻害する薬剤(2mM 8−Br−cAMPまたは0.1μMラパマイシン)に影響されないことを示す。
ラパマイシンおよびPD98059の存在下でGSK3を阻害するキナーゼを同定するために、緩衝液が更に1mM EGTA、0.1mMオルソバナジウム酸ナトリウムおよび0.5%(w/v)トリトンX−100を含有する以外は上記のようにして細胞を溶解し、細胞溶解物(0.3mg)をMono Q(Sutherland et al.,(1994)FEBS Lett.338,37-42)の5×0.16cmカラムでクロマトグラフィーにかける。
このフラクション(0.05ml)を、リン酸化がGSK3α(Ser21)とGSK3β(Ser9)の不活性化を誘発するセリン(下線)周辺のGSK3の配列に対応する合成ペプチドGRPRTSSFAEGでアッセイした。このペプチドのリン酸化をもたらす3つの活性ピークが溶出した。これらのピークは、インシュリン刺激を与えなかったり、細胞をインシュリン刺激の前に0.1μMウォルトマンニンと共にインキュベーションすると、現れない。GSK3に対するインシュリンの不活性化作用は、この濃度のウォルトマンニンまたは構造的に関連のないPI−3Kのインヒビターである100μM LY294002を投与することにより妨げられることが知られている。
リン酸化活性の3つのピークは全て、ウサギにペプチドを皮下注射することにより生じるペプチドFPQFSYSASSTAに対するポリクローナルウサギ抗血清を用いる抗RAC抗体により免疫沈降させることができ、50%(NH4)2SO4を用いて沈殿させ、続いてRAC−ペプチド結合アフィゲル(登録商標)10カラム(Bio-Rad)でのアフィニティークロマトグラフィーにより精製できる。
反対に、抗MAPKAPキナーゼ−1抗体で免疫沈降させると、Mono Qカラムからはいかなるペプチドリン酸化活性も取り出すことができない。
完全なGSK3がRACによって不活性化され得ることを測定するために、GSK3αおよびGSK3βをウサギ骨格筋から部分的に精製し(Sutherland et al.,前掲引用)、特定のペプチド基質(Cross et al.,前掲引用)でアッセイする。各GSK3アイソフォームを15U/mlまで希釈し、RACの存在下または不在下、MgATPで20分間インキュベーション後GSK3活性を測定する。このインキュベーションはキナーゼ反応を止めるためにEDTA中20mMで行い、GSK3を再活性化するために5mU/mlPP2A1と共に20分間インキュベーションし、PP2A1を不活性化するためにオカダ酸中2μMにし、次いで、GSK3活性についてアッセイする。
RACの不在下では、実験中GSK3は安定して活性である。しかしながら、それ以外では、RAC−PKは首尾よくGSK3活性を阻害し、この不活性化はPP2A1に対して感受性であって、GSK3活性を回復した。インシュリン刺激なしの場合、ウォルトマンニンが存在する場合、または抗RAC抗体をペプチド免疫原と共にインキュベーションすることによりRAC−PK免疫沈降が混乱する場合は全て、この実験ではGSK3不活性化はみられない。
実施例3
カルボキシ末端伸長したRACのキナーゼドメインが他のタンパク質と相互作用できるかどうかを測定するために、そのドメインをGAL4 DNA結合ドメインに融合させ、実施例1に従い、酵母レポーター株HF7c中のGAL4転写活性化ドメインに融合させたヒーラーcDNAライブラリーをスクリーニングした。要約すると、RACαのアミノ酸147−480を発現ベクターpGEX−2Tにおいてフレーム内でGSTに融合させる(実施例1参照)。次いで、PstI−BamHIおよびEcoRI−XbaIリンカーを用いて適当なBamHI−EcoRIフラグメントを酵母ベクターpPC62(D.ナザン博士)のPstI−XbaI部位にてサブクローニングして、GAL4 DNA結合ドメイン−RACキナーゼおよびC末端ドメイン融合物を作る。それから、XhoI−XbaIフラグメントをpGBT9(Clontech)にてサブクローニングする。ヒーラーS3 MATCHMAKER cDNAライブラリーを前述のように使用する。
一次形質転換体1.5×106のスクリーニングにおいて、His栄養要求性およびLacZ活性のレポーターを活性化することにより、カルボキシ末端伸長したRACのキナーゼドメインとの特異的相互作用を示す7つのコロニーを同定する。クローンが相互作用するRAC−PKの特定領域についての詳細な分析は、その相互作用を与えるのに必要なのはカルボキシ末端69アミノ酸のみであることを示している。そこで、我々はこの分子をカルボキシ末端結合タンパク質(Carboxy-Terminal Binding Protein)CTBPと示す。どのクローンもキナーゼドメイン単独とは相互作用を示さない。この相互作用は全長RAC−PK構築物を含むカルボキシ末端伸長した全ての構築物で見られ、このことは、相互作用がRAC−PK分子の他の領域では阻害されないことを示している。興味深いことに、RAC−PKのC末端ドメインはインシュリン活性化に応答してリン酸化され、これは、CTBPがインシュリン作用のモデュレーターとしての役割を持つことを示唆するものである。
7つの特異的相互作用クローンは全て、3’末端に〜300ntのALU反復配列を持つ長さ1.3kbの同一のcDNA挿入物を含有する(配列番号1)。ALU反復配列なしのcDNA配列を用いるFASTAプログラム(GCG Package)でのジーン−EMBLヌクレオチドデータベース研究からは、有意な相同性はなんら同定されていない。CTBP cDNAのアミノ酸配列を推定すると、アラニン(21%)とアルギニン(21%)に富む短い47残基のポリペプチドである。RIP、スイス−Protと、FASTA(GCG Package)を用いるGPタンパク質データベースおよびTFASTA(GCG Package)を用いるジーン−EMBLヌクレオチドデータベースの研究からは、CTBPタンパク質配列との相同性はなんら明らかになっていない。
同定されたCTBPの配列は、完全なCTBP分子の3’末端を表していると考えられる。
新規タンパク質CTBPがRAC−PKと直接相互作用するかどうかを試験するために、実施例1に記載のように、GST融合物を用いるインビトロ結合アッセイシステムを採用する。このアッセイでは、バキュロウイルスシステムにて製造した全長RACとGST−CTBPとは特異的相互作用するが、GST単独とは相互作用しないことが分かる。
この相互作用がインビボで起こるかどうかを試験するために、実施例1に記載のようにGST−CTBP融合タンパク質とMCF−7細胞抽出物を用いるプル−ダウンアッセイを採用する。ここでは、MCF−7 RACαとGST−CT−BPとは特異的結合するが、GST単独とは結合しないことが分かる。
配列表
(1) 一般的情報:
(i) 特許出願人:
(A) 名称:チバ−ガイギー・アクチエンゲゼルシャフト
(B) 通り:クライベックストリート141番
(C) 市:バーゼル
(E) 国:スイス連邦
(F) 郵便番号(ZIP):4002
(G) 電話番号:+41 61 69 11 11
(H) ファックス番号:+41 61 696 79 76
(I) テレックス番号:962 991
(ii) 発明の名称:治療剤としての、または診断におけるRAC−プロテインキナーゼ
(iii) 配列の数:4
(v) コンピューター解読書式:
(A) 媒体型:フロッピー・ディスク
(B) コンピューター:IBM PCコンパティブル
(C) オペレーティング・システム:PC−DOS/MS−DOS
(D) ソフトウエア:PatentIn Release #1.0、Version #1.30(EPO)
(2) 配列番号1の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 配列の長さ:1302塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA to mRNA
(iii) ハイポセティカル:NO
(iv) アンチセンス:NO
(v) フラグメント型:C末端
(ix) 配列の特徴:
(A)名称/記号:CDS
(B)存在位置:2..145
(ix) 配列の特徴:
(A)名称/記号:repeat region
(B)存在位置:981..1279
(xi) 配列:配列番号1:
(2) 配列番号2の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 配列の長さ:48アミノ酸
(B) 配列の型:アミノ酸
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:タンパク質
(xi) 配列:配列番号2:
(2) 配列番号3の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 配列の長さ:2610塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA to mRNA
(iii) ハイポセティカル:NO
(iv) アンチセンス:NO
(vi) 起源:
(A) 生物名:ホモ・サピエンス
(vii) 直接の起源:
(B) クローン名:ヒトRACアルファ
(ix) 配列の特徴:
(A)名称/記号:CDS
(B)存在位置:199..1641
(ix) 配列の特徴:
(A)名称/記号:mat peptide
(B)存在位置:199..1641
(xi) 配列:配列番号3:
(2) 配列番号4の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 配列の長さ:481アミノ酸
(B) 配列の型:アミノ酸
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:タンパク質
(xi) 配列:配列番号4:
Claims (9)
- RACプロテインキナーゼ(RAC−PK)のモデュレーターをスクリーニングする方法であって、
(a)RAC−PKまたはRAC−PKの触媒ドメインを含むフラグメントを、スクリーニングされるべき化合物とともにインキュベートすること
(b)グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)を基質として使用して、RAC−PKまたはRAC−PKの触媒ドメインを含むフラグメントのキナーゼ活性を測定すること、そして
(c)該基質なしの対照反応と比較して、該基質が異なる量のリン酸化残基を有するとき、化合物を選択すること
の工程を含んでなる方法。 - ヒトRAC−PKまたはRAC−PKの触媒ドメインを含むフラグメントを使用する、請求項1に記載の方法。
- 工程(b)における基質がペプチドGRPRTSSFAEGを含み、そして該ペプチドのC末端近くのセリン残基がリン酸化されている請求項1または2に記載の方法。
- 工程(c)において該基質のリン酸化残基の量が増加するとき、化合物を選択する請求項1から3のいずれかに記載のRAC−PK機能のアクチベーターをスクリーニングする方法。
- 工程(c)において該基質のリン酸化残基の量が減少するとき、化合物を選択する請求項1から3のいずれかに記載のRAC−PK機能のインヒビターをスクリーニングする方法。
- 血糖量が過剰である疾患の処置に有用な化合物をスクリーニングするための請求項4に記載の方法。
- 血糖量が不足する疾患の処置に有用な化合物をスクリーニングするための請求項5に記載の方法。
- 糖尿病の処置に有用な化合物をスクリーニングするための請求項6に記載の方法。
- 変異T308→DおよびS473→Dの一方または両方を有するRAC−PKを使用する、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
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