JP4172073B2 - 熱現像銀塩感光材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像により画像を形成する熱現像感光材料(以下、単に「感材」ということもある。)に関し、さらに詳しくは、耐ブロッキング性が良好な熱現像感光材料に関する。
【0002】
【発明の背景】
支持体上に感光層を有し、画像露光することで画像形成を行う感光材料は、数多く知られている。それらの中でも、環境保全や画像形成手段が簡易化できるシステムとして、熱現像により、画像を形成する技術が挙げられる。
【0003】
熱現像感光材料の詳細は、例えば、米国特許第3,152,904号明細書、同第3,457,075号明細書及び「ドライシルバー写真材料(Dry Silver Photographic Material)」(D.モーガン(Morgan))、「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」(D.モーガン(Morgan)、B.シェリー(Shely)著)、「イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)」Neblette 第8版(スタージ(Sturge)、V.ウォールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集)(1969年)第2頁等に開示されている。
【0004】
熱現像感光材料において、処理を簡素化するために、熱現像後の定着処理を省略すると、未露光部にはハロゲン化銀や有機銀塩が残留し、これら未露光部に残留したハロゲン化銀や有機銀塩は、画像保存性を劣化させてしまう。この画像保存性の劣化を防止するために、カブリ防止剤が使用されるが、カブリ防止剤を使用するとフィルム同士のくっつきが起こりやすくなってしまう。
【0005】
従来、フィルム同志のくっつきを防止するためにマット剤を使用する技術はよく知られているが、その効果を発揮せしめるのに必要な量を添加すると失透してフィルムとしては使用できなくなるという問題がある。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、耐ブロッキング性が改善された熱現像銀塩感光材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、
(1)非感光性の少なくとも1層に平均粒径の異なる2種類以上のマット剤を含有し、一方のマット剤の平均粒径が2μm〜10μm、他方のマット剤の平均粒径が0.3μm〜1.3μmであり、かつバッキング層に滑り剤を含有することを特徴とする熱現像銀塩感光材料。(第1発明)
(2)非感光層の少なくとも1層に平均粒径の±10%以内に粒子体積の80%以上が入るような単分散マット剤を含有することを特徴とする上記(1)に記載の熱現像銀塩感光材料。(第2発明)
(3)バッキング層の最外層に滑り剤を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の熱現像銀塩感光材料。(第3発明)
(4)滑り剤が、下記一般式(I)表される化合物であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の熱現像銀塩感光材料。(第4発明)
一般式(I) (R1)p−(COO)q−(R2)r
[式中、R1は炭素数6〜60の、置換もしくは無置換の、直鎖、分岐、環状の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及び、置換もしくは無置換のアリール基を表し、R2は炭素数1〜60の、置換もしくは無置換の、直鎖、分岐、環状の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及び、置換もしくは無置換のアリール基を表す。p、q、rはそれぞれ1〜6の整数を表す。]
によって達成される。
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明において用いるマット剤は、無機化合物、有機化合物のどちらでもよい。無機化合物のマット剤としては、例えば、硫酸バリウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウムなどの微粉末が挙げられる。二酸化ケイ素としては、乾式法によって得られた二酸化ケイ素、湿式法、即ち、ケイ酸塩のゲル化により得られる合成シリカ等の二酸化ケイ素が挙げられ、二酸化チタンとしては、チタンスラッグと硫酸により生成する二酸化チタン(ルチル型やアナタース型)等が挙げられる。また、マット剤は、粒径の比較的大きい、例えば、20μm以上の無機物から粉砕した後、分級してもよい。
【0010】
有機化合物のマット剤としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ゴム系樹脂(例えば、SBRゴム、NBRゴム)、酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、澱粉等の高分子化合物などの粉砕分級物が挙げられる。また、有機化合物のマット剤は、懸濁重合法で合成した高分子化合物、スプレードライ法あるいは分散法等により球型にした高分子化合物も用いることができる。
【0011】
樹脂は、単一のモノマーを重合したホモポリマーでもよいし、2種以上のポリマーを重合したコポリマーでもよい。ポリマーは直鎖状でも枝分かれしたものでもよい。さらに架橋されているものでもよい。
【0012】
次に、有機化合物のマット剤に用いられるポリマーの具体例を示す。
【0013】
−MMA(100)−
−MMA(95)−AA(5)−
−2EHA(30)−MMA(50)−St(15)−MAA(5)−
−BR(50)−St(47)−AA(3)−
−BR(40)−DVB(10)−St(45)−MAA(5)−
−VC(70)−MMA(25)−AA(5)−
−VDC(60)−MMA(35)−MAA(5)−
上記において、MMAはメチルメタクリレート、AAはアクリル酸、2EHAは2−エチルヘキシルアクリレート、Stはスチレン、MAAはメタクリル酸、BRはブタジエン、DVBはジビニルベンゼン、VCは塩化ビニル、VDCは塩化ビニリデンから誘導される構成単位を表し、括弧内の数値は重量%である。
【0014】
本発明では平均粒径の異なるマット剤を少なくとも2種含有する。この2種のマット剤の一方は、平均粒径が2μm〜10μm、好ましくは平均粒径が2.5μm〜7μmであるマット剤であり、もう一方は、平均粒径が0.3μm〜1.3μm、好ましくは平均粒径が0.3μm〜0.8μmであるマット剤である。
粒度分布の異なるマット剤は、それぞれ平均粒径の異なる2種類以上のマット剤を混合して得られる。
第2発明では、非感光層の少なくとも1層に、平均粒径の±10%以内に粒子体積の80%以上が入るような粒度分布を有するマット剤を含有するが、該マット剤としては、平均粒径の±10%以内に粒子体積の90%以上が入るような粒度分布を有するマット剤が特に好ましい。
なお、本発明でいう粒径とは、試料を電子顕微鏡で撮影し、個々の粒子の直径を測定したものである。
【0015】
以下、平均粒径の±10%以内に入る粒子の割合(%)を「分散揃度」と定義する。
【0020】
マット剤の粒子の形状は、定形、不定形どちらでもよいが、好ましくは、定形であり、球形が好ましい。
【0021】
本発明のマット剤は、予め塗布液中に分散させ、これを塗布することにより非感光層に含有させてもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧して非感光層に含有させてもよい。また、複数の種類のマット剤を含有させる場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0022】
本発明のマット剤は、乳剤層側の全バインダーに対し、重量比で0.5〜30%含有することが好ましい。
【0023】
本発明において、バッキング層とは、支持体を挟んで感光性層側とは反対側に設けられた層をいう。バッキング層は下塗り層を設けた上に塗設された層であってもよく、表面処理された支持体上に直接塗設された層であってもよい。下塗り層は、支持体とバッキング層の接着性を向上するために2層以上からなっていてもよい。
【0024】
パッキング層の全乾燥膜厚は、0.2〜20μmの範囲が好ましく、更に好ましくは0.5〜10μmの範囲である。
【0025】
次に、本発明に用いる滑り剤について説明する。本発明において滑り剤としては、公知の滑り剤を使用することができる。これら滑り剤としては、例えば、リサーチ・ディスクロージャーNo.307105、第XII章に記載の文献に挙げてある化合物が挙げられる。
【0026】
本発明で用いる滑り剤は、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
【0027】
一般式(I) (R1)p−(COO)q−(R2)r
[式中、R1は炭素数6〜60の、置換もしくは無置換の、直鎖、分岐、環状の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及び、置換もしくは無置換のアリール基を表し、R2は炭素数1〜60の、置換もしくは無置換の、直鎖、分岐、環状の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及び、置換もしくは無置換のアリール基を表す。p、q、rはそれぞれ1〜6の整数を表す。]
本発明で用いる滑り剤としては、R1とR2の炭素数の総和が20以上であることが好ましい。更に、30以上であることが好ましい。また、p及びrが2〜6の場合には、(R1)pと(R2)rの炭素数の総和は30以上が好ましく、40以上がより好ましい。
【0028】
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、アリール基、アルキル基を挙げることができる。これらの基はさらに置換基を有してもよい。
【0029】
本発明において好ましい置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アシル基、アルキル基である。
【0030】
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が好ましい。アルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基におけるアルキル基にはアルケニル基、アルキニル基も含まれ、これらとしては、先にR2の説明の説明で示したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。アシルアミノ基、スルホニルアミノ基におけるアミノ基は、N置換アミノ基であってもよく、置換基としてはアルキル基(アルケニル基、アルキニル基も含まれる。)が好ましい。アシルアミノ基、アシル基のカルボニル基及びスルホニルアミノ基のスルホニル基に結合する基としては、アルキル基(アルケニル基、アルキニル基も含まれる。)、アリール基挙げられるが、アルキル基が好ましい。
【0031】
好ましいR1及びR2の例としては、ブチル基、オクチル基、t−オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、Cn2n-1(nは20〜60を表す)、エイコシル基、ドコサニル基、メリシニル基、オクテニル基、ミリストレイル基、オレイル基、エルシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、ノニルフェニル基、ジペンチルフェニル基、シクロヘキシル基が挙げられる。これらの基は、更に置換基を有していてもよい。さらに、R1及びR2は、エチレン、プロピレン、フェニレン等の2価の基、あるいは、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等からの基を連結基として有していてもよい。
【0032】
一般式(I)で表される化合物は、天然物であっても合成物であってもよい。天然物、あるいは、天然物の高級脂肪酸やアルコールを原料とした合成物は、炭素数の異なるものや、直鎖のもの、分岐のものを含み、これらの混合物となるが、一般式(I)で表される化合物は、これらの混合物であっても差し支えない。
【0033】
以下に、好ましい一般式(I)で表される化合物の具体例を示す。
【0034】
【化1】
Figure 0004172073
好ましい滑り剤としては、上記化合物に加え、天然物であるモンタン酸エステル、カルナウバWAX、オレオストックなども挙げることができる。
【0035】
一般式(I)で表される化合物は、他の公知の他の滑り剤と併用することもできる。公知の滑り剤として好ましいものは、一般式(I)で表される化合物に類似する、例えば、米国特許第4,275,146号明細書に記載の高級脂肪族アミド類、米国特許第3,933,516号明細書に記載の高級脂肪酸もしくはその金属塩類、その他、高級アルコールおよびその誘導体類、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオキシエチレン(重合度5〜60)アルキルフェニルエーテル化合物等を挙げることができる。また、天然物の油脂、ワックス、オイル、例えば、蜜蝋などとも併用することができる。
【0036】
更に、併用できる好ましい公知の滑り剤として、市販または合成によって入手可能なシリコーン系化合物を挙げることができる。シリコーン系化合物としてはポリオルガノシロキサン類が好ましい。これらの化合物及びその合成法については、独国特許第1,938,959号明細書、米国特許第2,694,637号明細書、米国特許第3,042,522号明細書、特公昭51-33600号公報、特公昭52-22040号公報、特開昭59-31543号公報、特開昭62-203152号公報、特開昭62-269139号公報、特開昭60-54015号公報、特開平2-301750号公報、特開平2-115836号公報、特公平3-2285号公報、特開平6-102615号公報等に詳しい記載がある。
【0037】
シリコーン系化合物は、米国ダウコーニング社、独国BYKケミー社、信越化学(株)、東芝シリコーン(株)、東レシリコーン(株)、日本ユニカー(株)、チッソ(株)より種々の構造のものが市販されており、容易に入手可能である。また、これらの市販のシリコーンを原料として通常の化学反応により容易に誘導体化することも可能である。
【0038】
本発明においては、滑り剤はバッキング層の最外層(支持体より最も遠い側の層)に含有させるのが好ましい(第3発明)。好ましくは、上記一般式(I)で表される滑り剤を少なくとも1種含有する。また、2種以上を併用することもできる。
【0039】
滑り剤の塗設量は1〜100mg/m2の範囲が好ましい。更に好ましくは2〜60mg/m2の範囲であり、特に好ましくは5〜40mg/m2の範囲である。
【0040】
一般式(I)で表される化合物とそれ以外の滑り剤を併用する場合、一般式(I)で表される化合物は、全滑り剤の30重量%以上あることが望ましい。特に、50重量%以上が好ましい。
【0041】
次に、本発明の熱現像銀塩感光材料について説明する。
【0042】
本発明の熱現像銀塩感光材料は、熱現像処理にて写真画像を形成する感光材料であり、還元可能な銀源(有機銀塩)、感光性ハロゲン化銀、還元剤及び必要に応じて銀の色調を抑制する色調剤を、通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有している熱現像銀塩感光材料が好ましい。
【0043】
熱現像銀塩感光材料は、常温で安定であるが、露光後、高温(例えば、80℃〜140℃)に加熱することで現像される。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間で起こる酸化還元反応によって銀を生成する。この酸化還元反応は、露光でハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は、黒色画像を提供し、画像の形成がなされる。この反応過程は、外部から水等の処理液を供給することなしで進行することができる。
【0044】
本発明の熱現像銀塩感光材料は、支持体上に少なくとも一層の感光性層とその上に少なくとも1層の非感光性層を有している。熱現像銀塩感光材料には、感光性層に到達する光の量や波長分布を制御するために感光性層と同じ側にフィルター染料層を、また、ハレーションを防止するためのアンチハレーション染料層を形成してもよい。また、感光性層やバッキング層に染料または顔料を含ませてもよい。用いられる染料または顔料としては所望の波長範囲で目的の吸収を有するものであればいかなる化合物でもよいが、例えば、特開昭59-6481号、特開昭59-182436号公報、米国特許第4,271,263号明細書、米国特許第4,594,312号明細書、欧州特許公開533008号明細書、欧州特許公開652473号明細書、特開平2-216140号公報、特開平4-348339号公報、特開平7-191432号公報、特開平7-301890号公報などに記載の化合物が好ましく用いられる。
【0045】
熱現像銀塩のハロゲン化銀粒子は光センサーとして機能するものである。ハロゲン化銀粒子は、画像形成後の白濁を低く抑え、良好な画質を得るために平均粒子サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイズは0.1μm以下が好ましく、より好ましくは0.01μm〜0.1μmであり、特に好ましくは0.02μm〜0.08μmである。
【0046】
ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、正常晶でない場合、例えば、球状、棒状あるいは平板状の粒子である場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な体積を有する球の直径をいう。また、ハロゲン化銀粒子は単分散粒子であることが好ましい。ここでいう単分散粒子とは、下記式で求められる単分散度が40以下の粒子をいう。更に好ましい単分散度は30以下であり、特に好ましくは0.1以上20以下である。
【0047】
単分散度=〔(粒径分布の標準偏差)/(粒径の平均値)〕×100
本発明においては、ハロゲン化銀粒子は、平均粒径0.1μm以下でかつ単分散粒子であることがより好ましく、この範囲にすることで画像の粒状性も向上する。
【0048】
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数(100)面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数(100)面の比率は、増感色素の吸着における(111)面と(100)面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985)により求めることができる。
【0049】
また、もう一つの好ましいハロゲン化銀粒子の形状は、平板粒子である。ここでいう平板粒子とは、投影面積の平方根を粒径rμmとし、垂直方向の厚みをhμmした場合のアスペクト比=r/hが3以上のものをいう。その中でも好ましいアスペクト比は3以上50以下である。また、粒径は0.1μm以下であることが好ましく、更に0.01μm〜0.08μmが好ましい。これらは米国特許第5,264,337号明細書、同第5,314,798号明細書、同第5,320,958号明細書等に記載されており、容易に所望の平板状粒子を得ることができる。本発明においてこれらの平板状粒子を用いた場合、さらに画像の鮮鋭性も向上する。
【0050】
ハロゲン化銀粒子におけるハロゲン組成には特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著 Chimie et Physique Photographique(Pau1 Monte1社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et a1著 Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等を用いて調製することができる。また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよい。
【0051】
このハロゲン化銀は、いかなる方法で画像形成層に添加されてもよく、このときハロゲン化銀は還元可能な銀源に近接するように配置する。また、ハロゲン化銀は、有機酸銀とハロゲンイオンとの反応によって、有機酸銀中の銀の一部をハロゲン化銀に変換することによって調製してもよいし、ハロゲン化銀を予め調製しておき、これを有機銀塩を調製するための溶液に添加して調製してもよく、また、これらの方法の組み合わせもよいが、ハロゲン化銀を予め調製しておき、これを有機銀塩を調製するための溶液に添加して調製するのが好ましい。一般にハロゲン化銀は有機銀塩に対して0.75〜30重量%の量で含有することが好ましい。
【0052】
ハロゲン化銀は、元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオンまたは錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。
【0053】
これらの金属は錯体の形でハロゲン化銀に導入できるが、用いる金属錯体イオンとしては、下記一般式で表される6配位錯体イオンが好ましい。
【0054】
一般式 〔ML6m
[式中、Mは元素周期表の6〜10族の元素から選ばれる遷移金属を表し、Lは配位子を表し、mは0、1−、2−または3−を表す。]
Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましい配位子は、アコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つまたは二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また、異なっていてもよい。
【0055】
Mで表される遷移金属の好ましい具体例は、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)である。
【0056】
以下に、遷移金属錯体イオンの具体例を示す。
【0057】
1:〔RhCl63-
2:〔RuCl63-
3:〔ReCl63-
4:〔RuBr63-
5:〔OsCl63-
6:〔IrCl64-
7:〔Ru(NO)Cl52-
8:〔RuBr4(H2O)〕2-
9:〔Ru(NO)(H2O)Cl4-
10:〔RhCl5(H2O)〕2-
11:〔Re(NO)Cl52-
12:〔Re(NO)(CN)52-
13:〔Re(NO)Cl(CN)42-
14:〔Rh(NO)2Cl4-
15:〔Rh(NO)(H2O)Cl4-
16:〔Ru(NO)(CN)52-
17:〔Fe(CN)63-
18:〔Rh(NS)Cl52-
19:〔Os(NO)Cl52-
20:〔Cr(NO)Cl52-
21:〔Re(NO)Cl5-
22:〔Os(NS)Cl4(TeCN)〕2-
23:〔Ru(NS)Cl52-
24:〔Re(NS)Cl4(SeCN)〕2-
25:〔Os(NS)Cl(SCN)42-
26:〔Ir(NO)Cl52-
27:〔Ir(NS)Cl52-
【0058】
用いる金属のイオンまたは錯体イオンは一種類でもよいし、同種の金属及び異種の金属を二種以上併用してもよい。これらの金属のイオン又は錯体イオンは、一般的には、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-9〜1×10-2モル含有させるが適当であり、1×10-8〜1×10-4モル含有させるのが好ましい。
【0059】
ハロゲン化銀に金属のイオンまたは錯体イオンを含有させるには、これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物(以下、遷移金属化合物ということもある。)が用いられる。これらの遷移金属化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、金属のイオンまたは錯体イオンハロゲン化銀粒子中に導入することが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製の段階、即ち、核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、核形成、成長の段階で添加するのが更に好ましく、核形成の段階で添加するのが最も好ましい。
【0060】
遷移金属化合物は、分割して数回にわたって添加してもよい。また、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号公報、特開平2−306236号公報、同3−167545号公報、同4−76534号公報、同6−110146号公報、同5−273683号公報等に記載されているように粒子内に分布を持たせて含有させることもできるが、粒子内部に分布をもたせて含有させることが好ましくい。
【0061】
これらの遷移金属化合物は、水あるいは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができる。
【0062】
これら添加方法としては、例えば、遷移金属化合物の水溶液もしくは遷移金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液または水溶性ハライド溶液に添加しておき添加する方法、第3の水溶液として準備し、銀塩溶液とハライド溶液を混合するとき、3液を同時に混合することによりハロゲン化銀粒子に添加する方法、粒子形成中に必要量の遷移金属化合物の水溶液を反応容器に投入し添加する方法、ハロゲン化調製時に予め金属のイオンまたは錯体イオンをドープした別のハロゲン化銀粒子を添加することにより添加する方法等がある。特に、遷移金属化合物の水溶液もしくは遷移金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加しておき添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する場合には、粒子形成直後または物理熟成途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の遷移金属化合物の水溶液を反応容器に没入することもできる。
【0063】
得られたハロゲン化銀粒子は、ヌードル法、フロキュレーション法など当業界で知られている方法により水洗し脱塩することができる。本発明においては、脱塩は行っても、行わなくてもよい。
【0064】
ハロゲン化銀粒子は化学増感することが好ましい。化学増感法としては、当業界でよく知られている硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法が挙げられる。また、金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等を用いる貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。
【0065】
硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法には公知の化合物を用いることができる。特開平7−128768号公報等に記載の化合物も使用することができる。
【0066】
テルル増感剤としては、例えば、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P−Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。
【0067】
貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては、例えば、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイドあるいは米国特許第2,448,060号明細書、英国特許第618,061号明細書などに記載されている化合物を好ましく用いることができる。
【0068】
還元増感法に用いる化合物としては、例えば、アスコルビン酸、二酸化チオ尿素を用いることができる。また、その他、例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、還元増感は、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより行うこともできる。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
【0069】
本発明において有機銀塩は還元可能な銀源であり、これら銀源としては、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩が挙げられる。有機酸としては、長鎖(10〜30、好ましくは15〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸が好ましく、ヘテロ有機酸としては、含窒素複素環を有するヘテロ有機酸が好ましい。配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機または無機の銀塩錯体も有用である。本発明に好適な銀塩の例は、リサーチ・ディスクロージャーNo.17029及びNo.29963に記載されており、有機酸の銀塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩(例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等との銀塩);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀錯体(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等のアルデヒド類と、例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸ヒドロキシ置換酸類等とのポリマー反応生成物の銀錯体);チオエン類の銀塩または錯体(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾリン−2−チオエン、3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオエンの銀塩または錯体);イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール、1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体また塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;メルカプチド類の銀塩が挙げられる。好ましい銀源は、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀および/またはステアリン酸銀である。
【0070】
有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することによって得ることができる。水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物との混合には、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載されているようなコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作成した後に、コントロールダブルジェットにより、有機酸アルカリ金属塩ソープと硝酸銀などを添加することにより有機銀塩の結晶を作成することができる。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0071】
有機銀塩は、平均粒径が1μm以下であり、かつ、単分散の有機銀塩粒子であることが好ましく、この範囲にすることで濃度の高い画像が得られる。ここでいう有機銀塩粒子の平均粒径とは、有機銀塩の粒子が、例えば、球状、棒状の粒子の場合には、有機銀塩粒子の体積と同等な体積の球の直径をいう。平均粒径は好ましくは0.01μm〜0.8μmであり、特に0.05μm〜0.5μmが好ましい。
【0072】
単分散の有機銀塩粒子とは、下記式で求められる単分散度が40以下の粒子をいう。更に好ましい単分散度は1〜30以下である。
【0073】
単分散度=〔(粒径分布の標準偏差)/(粒径の平均値)〕×100
さらに、有機銀塩は、平板状粒子を全有機銀の60%以上有する有機銀塩であることが好ましい。平板状粒子とは、粒径と厚さの比、アスペクト比が3以上のものをいう。
【0074】
本発明においてアスペクト比とは、粒径と厚さの比をいい、下記式により表される。
【0075】
アスペクト比=粒径/粒子厚さ
ここで、粒径は、表面を形成する平面の中で最も広い面積を有する面(主平面)に対して垂直な投影面積に等しい面積を有する円の直径で表される。平板状粒子の場合の粒子の厚さとは、主平面に垂直な方向での粒子の厚さであり、一般に2つの主平面間の距離に一致する。
【0076】
粒径と厚さは以下の方法で求められる。支持体上に内部標準となる粒径既知のラテックスボールと主平面が平行に配向するように有機銀塩粒子を塗布した試料を作成し、ある角度からカーボン蒸着法により粒子に影(シャドー)を施した後、通常のレプリカ法によってレプリカ試料を作成する。同試料の電子顕微鏡写真を撮影し、画像処理装置等を用いて個々の粒子の投影面積と厚さを求める。この場合、粒子の投影面積は、内部標準となる粒径既知のラテックスボールの投影面積を基準として、粒子の厚さは、内部標準となる粒径既知のラテックスボールの粒子のシャドーの長さを基準として算出することができる。
【0077】
有機銀塩をこれらの形状にするためには、前記有機銀塩結晶をバインダーや界面活性剤などを用いボールミルなどで分散粉砕することで得られる。
【0078】
本発明においては未露光現像試料の透明性の低下を防ぐためには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量を、銀量に換算して1m2当たり0.5g以上2.2g以下とすることが好ましい。また、この範囲にすることで硬調な画像が得られる。また、銀総量に対するハロゲン化銀の量は、重量比で50%以下であり、好ましくは25%以下、更に好ましくは0.1%〜15%の間である。
【0079】
本発明の熱現像銀塩感光材料には還元剤を内蔵させることが好ましい。好適な還元剤の例は、米国特許第3,770,448号明細書、同第3,773,512号明細書、同第3,593,863号明細書及びリサーチ・ディスクロージャーNo.17029及びNo.29963に記載されており、具体的には、アミノヒドロキシシクロアルケノン化合物(例えば、2−ヒドロキシピペリジノ−2−シクロヘキセノン);還元剤の前駆体としてアミノレダクトン類のエステル(例えば、ピペリジノヘキソースレダクトンモノアセテート);N−ヒドロキシ尿素誘導体(例えば、N−p−メチルフェニル−N−ヒドロキシ尿素);アルデヒド又はケトンのヒドラゾン類(例えば、アントラセンアルデヒドフェニルヒドラゾン);ホスファーアミドフェノール類;ホスファーアミドアニリン類;ポリヒドロキシベンゼン類(例えば、ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン、イソプロピルヒドロキノン及び(2,5−ジヒドロキシ−フェニル)メチルスルホン);スルフヒドロキサム酸類(例えば、ベンゼンスルフヒドロキサム酸);スルホンアミドアニリン類(例えば、4−(N−メタンスルホンアミド)アニリン);2−テトラゾリルチオヒドロキノン類(例えば、2−メチル−5−(1−フェニル−5−テトラゾリルチオ)ヒドロキノン);テトラヒドロキノキサリン類(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン);アミドオキシン類;アジン類;脂肪族カルボン酸アリールヒドラザイド類とアスコルビン酸の組み合わせ;ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミンの組み合わせ;レダクトン及び/またはヒドラジン;ヒドロキサン酸類;アジン類とスルホンアミドフェノール類の組み合わせ;α−シアノフェニル酢酸誘導体;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体の組み合わせ;5−ピラゾロン類;スルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオン等;クロマン;1,4−ジヒドロピリジン類(例えば、2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン);ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリル)メシトール、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,5−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチル)フェノール)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体及び3−ピラゾリドン類が挙げられる。これらの中でも特に好ましい還元剤はヒンダードフェノール類である。ヒンダードフェノール類としては下記一般式(A)で表される化合物が挙げられる。
【0080】
【化2】
Figure 0004172073
[式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、R′及びR″は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。]
Rで表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、ブチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基が挙げられ、R′及びR″で表される炭素原子数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル基が挙げられる。
【0081】
以下に、一般式(A)で表される化合物の具体例を示すが、本発明で用いられる一般式(A)で表される化合物はこれら化合物に限定されるものではない。
【0082】
【化3】
Figure 0004172073
【0083】
【化4】
Figure 0004172073
【0084】
これら一般式(A)で表される化合物を含め、熱現像銀塩感光材料への還元剤の使用量は、銀1モル当り1×10-2〜10モルが好ましく、特に好ましくは1×10-2〜1.5モルである。
【0085】
本発明の熱現像銀塩感光材料の感光性層に用いるのに好適なバインダーは、透明または半透明で、無色であるものが好ましい。これら好ましいバインダーとしては、例えば、天然ポリマー、合成ポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルピロリドン、カゼイン、デンプン、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリビニルアセタール類(例えば、ポリビニルホルマール及びポリビニルブチラール)、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエポキシド類、ボリカーボネート類、ポリビニルアセテート、セルロースエステル類、ポリアミド類が挙げられる。これらバインダーは親水性であっても非親水性であってもよい。
【0086】
熱現像銀塩感光材料には、その表面を保護し、擦り傷が付くのを防止するために感光性層の外側に非感光性の保護層を形成することができる。これらの非感光性の保護層に用いるバインダーは、上述の感光性層に用いられるバインダーと同じ種類であっても異なった種類であってもよい。
【0087】
本発明においては、熱現像の速度を速めるために感光性層のバインダー量は1.5〜10g/m2であることが好ましい。さらに好ましくは1.7〜8g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0088】
感光性層は単層であっても複数層であってもよい。複数層とする場合、階調の調節のため高感層/低感層あるいは低感層/高感層としてもよい。
【0089】
本発明の熱現像銀塩感光材料には、現像後の銀色調を改良する目的で色調剤を添加することが好ましい。好適な色調剤の例は、リサーチ・ディスクロージャーNo.17029に開示されており、例えば、イミド類(例えば、フタルイミド);環状イミド類、ピラゾリン−5−オン類及びキナゾリノン(例えば、スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン、2,4−チアゾリジンジオン);コバルト錯体(例えば、コバルトのヘキサミントリフルオロアセテート);メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(例えば、N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド);ブロックされたピラゾール類、イソチウロニウム誘導体及びある種の光漂白剤の組み合わせ(例えば、N,N′−ヘキサメチレン(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジオキサオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)、2−(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾールの組み合わせ);メロシアニン染料(例えば、3−エチル−5−((3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン(ベンゾチアゾリニリデン))−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン);フタラジノン、フタラジノン誘導体またはこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノンとスルフィン酸誘導体の組み合わせ(例えば、6−クロロフタラジノンとベンゼンスルフィン酸ナトリウムの組み合わせ、8−メチルフタラジノンとp−トリスルホン酸ナトリウムの組み合わせ);フタラジンとフタル酸の組み合わせ;フタラジン(フタラジンの付加物を含む)と、マレイン酸無水物、フタル酸、2,3−ナフタリンジカルボン酸、o−フェニレン酸誘導体またはその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、テトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナフトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン);ピリミジン類、不斉−トリアジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン);テトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)が挙げられる。好ましい色調剤はフタラゾンまたはフタラジンである。
【0090】
本発明の熱現像銀塩感光材料には、現像を抑制あるいは促進させ現像を制御する、分光増感効率を向上させる、現像前後の保存性を向上させるなどを目的として、メルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。
【0091】
本発明に使用するメルカプト化合物、ジスルフィド化合物は、いかなる構造のものでもよいが、Ar−SM、Ar−S−S−Ar(式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子を表し、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環を表す。)で表される化合物が好ましい。好ましい芳香環または縮合芳香環は、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノンである。
【0092】
これら芳香環または縮合芳香環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、臭素原子、塩素原子)、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、アルキル基(1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)、アルコキシ基(1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基)を置換基として有していてもよい。
【0093】
メルカプト置換複素芳香族化合物の具体例としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾチアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発明で用いることができるメルカプト置換複素芳香族化合物はこれらに限定されるものではない。
【0094】
本発明の熱現像銀塩感光材料には、かぶり防止剤を含有させることができる。最も有効なかぶり防止剤として知られているものは水銀イオンである。かぶり防止剤として水銀化合物を使用することについては、例えば、米国特許第3,589,903号明細書に開示されている。しかし、かぶり防止剤として水銀化合物を使用することは環境的に好ましくない。非水銀かぶり防止剤としては、例えば、米国特許第4,546,075号明細書及び同第4,452,885号明細書及び特開昭59−57234号公報に開示されているかぶり防止剤が好ましい。
【0095】
特に好ましい非水銀かぶり防止剤は、米国特許第3,874,946号明細書及び同第4,756,999号明細書に開示されている−C(X1)(X2)(X3)(式中、X1及びX2はハロゲン原子を表し、X3は水素原子又はハロゲン原子を表す。)で表される1以上の置換基を有するヘテロ環状化合物である。また、好適なかぶり防止剤の例としては、特開平9−288328号公報の段落番号〔0030〕〜〔0036〕に記載されている化合物が挙げられる。また、もう一つの好ましいかぶり防止剤の例としては、特開平9−90550号公報の段落番号〔0062〕〜〔0063〕に記載されている化合物が挙げられる。さらにその他の好適なかぶり防止剤としては、米国特許第5,028,523号明細書及び英国特許出願第92221383.4号明細書、同第9300147.7号明細書、同第9311790.1号明細書に開示されている化合物が挙げられる。
【0096】
本発明の熱現像銀塩感光材料には、例えば、特開昭63−159841号公報、同60−140335号公報、同63−231437号公報、同63−259651号公報、同63−304242号公報、同63−15245号公報、米国特許第4,639,414号明細書、同第4,740,455号明細書、同第4,741,966号明細書、同第4,751,175号明細書、同第4,835,096号明細書に記載された増感色素を使用することができる。
【0097】
また、本発明に使用される有用な増感色素の例は、リサーチ・ディスクロージャーNo.17643 IV−A項(1978年12月 23頁)、同No.1831 X項(1978年8月 437頁)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
【0098】
スキャナーを用いて露光するとき、スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を選択することが有利である。この場合、増感色素としては、例えば、特開平9−34078号公報、同9−54409号公報、同9−80679号公報に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0099】
また、本発明の熱現像銀塩感光材料には、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いてもよい。これらの添加剤及び上述したその他の添加剤は、リサーチ・ディスクロージャーNo.17029(1978年6月 9〜15頁)に記載されている。
【0100】
本発明の熱現像銀塩感光材料に用いる各種の添加剤は、感光性層、非感光性層、その他の形成層のいずれに添加してもよい。
【0101】
本発明の熱現像銀塩感光材料に用いられる支持体は、現像処理後の画像の変形を防ぐために、プラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ナイロン、セルローストリアセテート、ポリエチレンナフタレート)が好ましい。
【0102】
これらの中でも好ましい支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略すことがある。)、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を含むプラスチック(以下、SPSと略すことがある。)を用いた支持体が挙げられる。
【0103】
PETは、ポリエステルの成分が全てポリエチレンテレフタレートからなるものあってもよいが、酸成分として、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、イソフタル酸、ブチレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸等、グリコール成分として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の変性ポリエステル成分を全ポリエステルの10モル%以下含むポリエステルであってもよい。
【0104】
SPSは、通常のポリスチレン(アタクチックポリスチレン)と異なり、立体的に規則性を有するポリスチレンである。規則的な立体規則性構造部分をラセモ連鎖といい、2連鎖、3連鎖、5連鎖、更にはそれ以上と規則的な部分がより多くあることが好ましく、本発明において、ラセモ連鎖は、2連鎖で85%以上、3連鎖で75%以上、5連鎖で50%以上、それ以上の連鎖で30%以上であることが好ましい。SPSは、特開平3−131843号公報に記載の方法に準じて合成することができる。
【0105】
本発明に係る支持体の製膜及び下引の製造には公知の方法を用いることができるが、好ましくは、特開平9−50094号公報の段落番号〔0030〕〜〔0070〕に記載された方法を用いることである。
【0106】
支持体の厚みは、50〜300μmが好ましく、更に好ましくは70〜180μmである。
【0107】
支持体には、熱処理したプラスチックフィルムを用いることもできる。プラスチックフィルムの熱処理とは、製膜後、感光性層が塗布されるまでの間に、そのガラス転移点より30℃以上高い温度から融点までの間の温度で、好ましくは35℃以上高い温度から融点までの間の温度で、更に好ましくは40℃以上高い温度から融点までの間の温度で加熱処理することである。
【0108】
また、本発明においては、帯電性を改良するために、金属酸化物及び/または導電性ポリマーなどの導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、下引層、バッキング層、感光性層と下引の間の層などに含有させることが好ましい。これら導電性化合物としては、米国特許5,244,773号明細書カラム14〜20に記載された導電性化合物が好ましく用いられる。
【0109】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0110】
実施例1
熱現像銀塩感光材料試料 No. 19、20、23及び24の作製
〈ハロゲン化銀粒子Aの調製〉
水700mlにフタル化ゼラチン22gおよび臭化カリウム30mgを溶解し、温度35℃にてpHを5.0に調整した後、硝酸銀18.6gを含む水溶液159mlと臭化カリウムと沃化カリウムを92:8のモル比で含む水溶液を、pAg7.7に保ちながらコントロ−ルダブルジェット法で10分間かけて添加した。次いで、硝酸銀55.4gを含む水溶液476mlと、六塩化イリジウム酸二カリウムを9μモル/リットル、臭化カリウムを1モル/リットルの割合で含む水溶液30mlを、pAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で30分かけて添加した。その後、pHを下げて凝集沈降させ脱塩処理をし、フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg8.2に調整し、沃臭化銀粒子(沃素含量、コア8モル%、平均2モル%、平均粒径0.05μm、変動係数8%、(100)面比率79%の立方体粒子)を調製した。
【0111】
得られた沃臭化銀粒子を60℃に昇温し、銀1モル当たり、チオ硫酸ナトリウムを85μモル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルジフェニルフォスフィンセレニドを11μモル、テルル化合物1を15μモル、塩化金酸を3.4μモル、チオシアン酸を260μモル添加し、120分間熟成した後、30℃に急冷し、ハロゲン化銀粒子Aを調製した。
【0112】
〈有機酸銀乳剤Aの調製〉
ステアリン酸1.3g、アラキジン酸0.5g、ベヘン酸8.5g、蒸留水300mlを90℃で15分間混合し、激しく撹拌しながら1N−NaOH水溶液31.1mlを15分かけて添加した後、30℃に降温した。次に、1N−リン酸水溶液7mlを添加し、より激しく撹拌しながらN−ブロモスクシンイミド0.02gを添加した後、上述のハロゲン化銀粒子Aをハロゲン化銀量が2.5mモルとなるように添加した。更に、1N−硝酸銀水溶液25mlを2分かけて添加し、そのまま90分間撹拌し続けた。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。
【0113】
その後、真空乾燥してハロゲン化銀/有機酸銀の固体を得た。この固体10gに10重量%のヒドロキシプロピルセルロース水溶液40gを添加し、更に、過臭化ピリジニウム0.1mモルと、臭化カルシウム2水和物0.15モルを添加してホモジナイザーで分散し、平均粒径約1μmのハロゲン化銀/有機酸銀の水分散物(有機酸銀乳剤A)を得た。
【0114】
〈感光層塗布液の調製〉
10mgのフェニルチオスルホン酸、60mgの色素1、30mgの色素2、2gの2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール、21.5gの4−クロロベンゾフェノン−2−カルボン酸、8gの5−トリブロモメチルスルホニル−2−メチルチアジアゾール、6gの2−トリブロモメチルスルホニルベンゾチアゾール、150gの1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン、5gの4,6−ジトリクロロメチル−2−フェニルトリアジン、2gのジスルフィド化合物1、5gのテトラクロロフタル酸に、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液(10重量%)250gを混合し、ホモジナイザーで分散して上記化合物の水分散物を得た。
【0115】
この水分散物10.3gを50gの有機酸銀乳剤Aと混合して、更にバインダー(MMA−EA−AA共重合体のラテックス、MMA:EA:AA=50:45:5(重量比))10g、p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3mg加え、そこに蒸留水を加え200mlの感光層塗布液を調製した。
【0116】
なお、MMAはメチルメタクリレート、EAはアクリル酸エチル、AAはアクリル酸である。
【0117】
〈表面保護層塗布液の調製〉
下記組成の表面保護層塗布液を調製した。
石灰処理ゼラチン 4g
フタラジン(5重量%溶液(水/メタノール=1/1(重量比))で添加)480mg
4−メチルフタル酸ナトリウム塩(4%水溶液で添加) 240mg
マット剤(表1に示す。) (表1に示す。)
715COONa 20mg
p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 20mg
蒸留水を加えて100mlにした。
【0118】
〈バッキング層塗布液の調製〉
下記組成の分散液を調製した。
バインダー(MMA−EA−AA共重合体のラテックス、MMA:EA:AA=50:45:5(重量比)) 15g
蒸留水 1000g
p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 30mg
デイナコールEX313(ナガセ化成工業(株)製エポキシ化合物) 100mg
染料a 50mg
染料b 110mg
染料c 40mg
染料d 50mg
マット剤(表1に示す。) (表1に示す。)
滑り剤(表1に示す。) (表1に示す。)
以下に、上記において用いた化合物を示す。
【0119】
【化5】
Figure 0004172073
【0120】
【化6】
Figure 0004172073
〈試料の作製〉
2軸延伸した厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート支持体の一方の面に、バッキング層塗布液をバインダーの塗布量が1.5g/m2になるように塗布し、50℃で20分間乾燥した。このようにして1.5μm厚(乾燥膜厚)のバッキング層を形成した。
【0121】
さらにこの反対の面に、感光層塗布液を塗布銀量が2.3g/m2になるように塗布し、50℃で20分間乾燥した。このようにして20μm厚(乾燥膜厚)の感光層を形成した。
【0122】
続いて、感光層の上に、表面保護層塗布液をバインダーの塗布量が2g/m2になるように塗布し、50℃で20分間乾燥した。このようにして1.6μm厚(乾燥膜厚)の表面保護層を形成し、試料No.1〜6を作製した。
【0123】
得られた試料No.19、20、23及び24について、以下のようにして写真性能、ブロッキング性、透明性及び接着性を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0124】
〈写真性能の評価〉
25℃、60%RHの雰囲気下で24時間保存した試料を、25℃、60%RHの雰囲気下で、810nmダイオードを備えたレーザー感光計で試料を露光した後、120℃で25秒間加熱処理(現像)を行い、カブリ+0.3の濃度が得られる露光量(E)を求め、−logEで感度を評価した。なお、感度は、試料 No. 19の感度を100とする相対値で表1に示した。また、試料の露光面と露光レーザー光の角度は80度とした。
【0125】
〈ブロッキング性〉
直径50mmのコアに、2枚のフィルム(巾35mm、長さ100mm)を感光面同士を重合わせ、1kgの荷重をかけて巻きつけた。23℃、RH55%の雰囲気下で24時間放置後、剥離し、その剥離の状況を下記評価基準で5段階評価した。
【0126】
(評価基準)
○ :全く抵抗なく剥離できる。
○△:軽い音がして剥離できる。
△ :剥離できるが押され様の跡が残る。
△×:剥離できるが部分的に粘着している。
× :粘着して剥離不能。
【0127】
〈透明性〉
未露光の試料を現像し、東京電色社製TURBIDIMETER MODELT−2600DAでヘイズを測定した。ヘイズ値の小さいほど透明性がよいことを示している。
【0128】
〈接着性〉
試料の表面保護層に45℃の傾きの切り傷を剃刀で入れ、セロテープを圧着し、急激に引き剥し、剥離した表面保護層の面積を求め、下記の5段階で評価した。
【0129】
(評価基準)
× :完全に剥離される(接着力は非常に弱い)
△×:50%以上剥離
△ :10〜50%剥離
○△:剥離10%未満(接着力はかなり強い)
○ :剥離0%(接着力は非常に強い)
【0130】
○△以上と評価されるならば実用上充分な接着性を有しているといえる。
【0140】
【表1】
Figure 0004172073
【0141】
実施例2
試料 No. 43,44,47及び48の作製
《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解し、温度を35℃、pHを3.0に調整した後、pAg7.7に保ちながら、硝酸銀74gを含む水溶液370ml、臭化カリウムと沃化カリウム(モル比で98:2)を含む水溶液、及び、銀1モル当たり1×10-6モルの〔Ir(NO)Cl5〕塩及び銀1モル当たり1×10-4モルの塩化ロジウム塩をコントロールドダブルジェット法で添加した。その後、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを添加し、NaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、単分散度10%、(100)面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を有するハロゲン化銀乳剤を得た。
【0142】
得られた乳剤をゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理した後、フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整し、更に塩化金酸及び無機硫黄で化学増感を行い、ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0143】
《ベヘン酸ナトリウム溶液の調製》
945mlの純水にベヘン酸32.4g、アラキジン酸9.9g、ステアリン酸5.6gを90℃で溶解し、高速で撹拌しながら、1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液98mlを添加した。次に、濃硝酸0.93mlを加えた後、55℃に冷却して30分撹拌させてベヘン酸ナトリウム溶液を得た。
【0144】
《ベヘン酸銀とハロゲン化銀Aのプレフォーム乳剤の調製》
上記のベヘン酸ナトリウム溶液に前記ハロゲン化銀乳剤Aを15.1g添加し、水酸化ナトリウム溶液でpH8.1に調整した後に、1Mの硝酸銀溶液147mlを7分間かけて加え、更に20分撹拌し、限外濾過により水溶性塩類を除去した。得られたプレフォーム乳剤において、ベヘン酸銀は平均粒子サイズ0.8μm、単分散度8%の粒子であった。分散物のフロックを形成後、水を取り除き、更に6回の水洗と水の除去を行った後、乾燥させた。
【0145】
〈感光性乳剤の調製〉
得られたプレフォーム乳剤に、ポリビニルブチラール(平均分子量3000)のメチルエチルケトン溶液(17重量%)544gとトルエン107gを徐々に添加して分散させた。
【0146】
《熱現像銀塩感光材料試料の作製》
2軸延伸した厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート支持体の一方の面に、バッキング層塗布液をバインダーの塗布量が1.5g/m2になるように塗布し、60℃で15分間乾燥した。このようにして1.5μm厚(乾燥膜厚)のバッキング層を形成した。
【0147】
さらにこの反対の面に、感光層塗布液を塗布銀量が2.1g/m2になるように塗布し、60℃で15分間乾燥した。このようにして20μm厚(乾燥膜厚)の感光層を形成した。
【0148】
続いて、この上に表面保護層塗布液をバインダーの塗布量が2g/m2になるように塗布して、60℃で15分間乾燥した。このようにして1.6μm厚(乾燥膜厚)の表面保護層を形成し、試料 No. 43,44,47及び48を作成した。
【0149】
〈バッキング層〉
酢酸セルロース(10%メチルエチルケトン溶液) 15ml/m2
染料−B 7mg/m2
染料−C 7mg/m2
マット剤(表2に示す。) (表2に示す。
滑り剤(表2に示す。) (表2に示す。)
917−C64−SO3Na 10mg/m2
【0150】
〈感光層〉
(塗布銀量が2.1g/m2になるように塗布した。)
プレフォーム乳剤 240g
増感色素−1(0.1%メタノール溶液) 1.7ml
ピリジニウムブロミドペルブロミド(6%メタノール溶液) 3ml
臭化カルシウム(0.1%メタノール溶液) 1.7ml
カブリ防止剤−2(10%メタノール溶液) 1.2ml
2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸(12%メタノール溶液)9.2ml
2−メルカプトベンズイミダゾール(1%メタノール溶液) 11ml
トリブロモメチルスルホキノリン(5%メタノール溶液) 17ml
現像剤−1(20%メタノール溶液) 29.5ml
【0151】
〈表面保護層〉
アセトン 35ml/m2
メチルエチルケトン 17ml/m2
酢酸セルロース 2.3g/m2
メタノール 7ml/m2
フタラジン 250mg/m2
4−メチルフタル酸 180mg/m2
テトラクロロフタル酸 150mg/m2
テトラクロロフタル酸無水物 170mg/m2
マット剤(表2に示す。) (表2に示す。
917−C64−SO3Na 10mg/m2
【0152】
【化7】
Figure 0004172073
【0153】
【化8】
Figure 0004172073
得られた試料について実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表2に示す。
なお、感度は、試料 No. 43の感度を100とする相対値で表2に示した。
【0164】
【表2】
Figure 0004172073
【0165】
表1及び2より、本発明の熱現像銀塩感光材料は、水系での塗布、溶剤系での塗布ともに、透明性、ブロッキング性が良好で、しかも、保護層の膜付きが良好であることが分かる。
【0166】
【発明の効果】
本発明の熱現像銀塩感光材料は、透明性、ブロッキング性が良好で、しかも、保護層の膜付きが良好である。上記の効果は、水系で塗布した場合であっても、溶剤系で塗布した場合であっても奏することができる。

Claims (4)

  1. 非感光性の少なくとも1層に平均粒径の異なる2種類以上のマット剤を含有し、一方のマット剤の平均粒径が2μm〜10μm、他方のマット剤の平均粒径が0.3μm〜1.3μmであり、かつバッキング層に滑り剤を含有することを特徴とする熱現像銀塩感光材料。
  2. 非感光層の少なくとも1層に平均粒径の±10%以内に粒子体積の80%以上が入るような単分散マット剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱現像銀塩感光材料。
  3. バッキング層の最外層に滑り剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像銀塩感光材料。
  4. 滑り剤が、下記一般式(I)表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱現像銀塩感光材料。
    一般式(I) (R1)p−(COO)q−(R2)r
    [式中、R1は炭素数6〜60の、置換もしくは無置換の、直鎖、分岐、環状の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及び、置換もしくは無置換のアリール基を表し、R2は炭素数1〜60の、置換もしくは無置換の、直鎖、分岐、環状の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及び、置換もしくは無置換のアリール基を表す。p、q、rはそれぞれ1〜6の整数を表す。]
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