JP4168556B2 - 電気泳動表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電圧の印加により媒体中の電気泳動粒子が移動することを利用して文字、記号、図形などの表示を行う電気泳動表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気泳動表示装置は、対向して配設された電極間に導入されている有機顔料および/または無機顔料などの着色粒子が、溶液中で電位差により高分子やコロイド粒子が移動する電気泳動現象を利用し、対向する電極間に電圧を印加して分散剤内の電気泳動粒子の分布状態を変化させて、光学的反射特性に変化を与えて情報の表示を行う表示装置である。
【0003】
電気泳動表示装置についてはこれまで、種々の性能改善方法が提案されてきた。
電気泳動表示装置としては、当初、平板状の透明電極を2枚対向させて配置し、それらの間に有孔性スペーサで仕切り、スペーサは仕切られた対向する電極間に電気泳動粒子、分散媒、染料および分散剤から構成される分散溶液を導入し、電極間に電圧を印加する構成をしたスペーサ型電気泳動表示装置が提案されていた。
【0004】
これに対して、本願出願人は、表示性能を高めるため、たとえば、特許第2551783号に記載したマイクロカプセル型電気泳動表示装置を提案している。マイクロカプセル型電気泳動表示装置は、上記スペーサ型電気泳動表示装置における電気泳動粒子、分散媒、染料および分散剤から構成される分散溶液(これらを分散系とも呼ぶ)をマイクロカプセルに収容し(内包し)、スペーサを排除した構造をしている。このようなマイクロカプセルを用いると、マイクロカプセル化した分散系の組成が一様に保持されて均一かつ安定した表示動作が実現できる(表示ムラがなくなる)、表示色をマイクロカプセルごとに異ならせることができるので1台の電気泳動表示装置において各種の色表示が可能になる、マイクロカプセルに収容されているので、困難な作業であった分散溶液の封入処理が容易になる、スペーサを設ける必要がないので構造が簡単になり表示の有効面積が拡大するなどの効果を奏する。
【0005】
上述したマイクロカプセルを用いた電気泳動表示装置は、表示目的を充分達成しているが、電気泳動表示装置の用途によっては長期間の表示保持(記憶)特性、すなわち、表示した文字、記号および図形などの情報を長期間にわたって、電圧を印加することなく、保持することが要求されている。
【0006】
そのような要求を達成するには、電気泳動粒子、分散媒、染料および分散剤から構成される分散溶液自体を、表示保持状態において、固体化させるなどの方法(手段)が必要となる。そのような手段を用いた技術は、たとえば、特公昭50−15115号公報に開示されている。
この刊行物に開示されている方法の概要を下記に述べる。分散媒として常温では固体であるが加熱すると軟化して液体になる、または、溶剤を適用すると軟化して液体になる材料を用いている。そのような材料としては、たとえば、樹脂、ゴム、密ロウ、植物ロウ、鉱物ロウ(パラフィン)などのロウ剤、合成ワックス等がある。これらの材料を電気泳動を行わせるとき加熱して、または溶剤を適用して軟化させると、特に、表示内容を保持(記憶)するのに適しているとされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記刊行物に記載された方法は、分散媒が液体と固体との2つの状態で変化するためこれら2つの状態によって染料の分散媒への溶解性、および、電気泳動粒子の分散特性が変化するという不具合を見いだした。
【0008】
前者の不具合、すなわち、染料の分散媒への溶解性の不具合について述べる。分散媒が、加熱されて液体状態にあるとき染料は分散媒に溶解しているが、分散媒が常温環境下で固体状態にあるときは染料は溶解性を失って分散媒から析出する。その結果、分散溶液の染料色が脱色するという問題が発生する。この問題は、そのような分散媒を用いた電気泳動表示装置を繰り返し使用した際における表示色の安定性が低いということを示している。
【0009】
後者の不具合、すなわち、電気泳動粒子の分散特性が変化するという不具合について考察する。分散特性の変化は電気泳動粒子を電気泳動させるための条件が変化することを意味する。その結果として、そのような分散媒を用いた電気泳動表示装置を数回程度使用すると表示特性が変化してしまい、表示内容の低下、換言すれば、実質的に電気泳動表示装置の寿命がつきることを意味する。すなわち、分散特性の変化は、電気泳動表示装置を長期間使用することができず、電気泳動表示装置の寿命が実質的に短いことを示している。
【0010】
以上の事情から、これまで、電気泳動粒子を用いた電気泳動表示装置として、長期間、安定して表示保持(記憶)特性を示し、繰り返して使用可能な、長寿命なものは開発されていない。
【0011】
本発明の目的は、通常の表示状態において高い表示品質を示しながら、高い表示保持特性を示す電気泳動表示装置を提供することにある。特に、本発明は、表示保持状態において、長期間、安定して表示保持(記憶)特性を示し、繰り返して使用可能である長寿命な電気泳動表示装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は、電気泳動粒子、分散媒、染料および分散剤から構成される分散溶液について、分散媒として常温では固体であり、加熱すると液体になる材料を用いた場合における上述した不具合を考慮し、長期間にわたる表示保持特性を示し、繰り返し使用可能な電気泳動粒子について研究した結果、分散媒として室温(常温)では液体と固体との2つの相に共存し、電気泳動時(表示時)加熱すると1つの均一な液体相となる混合溶媒を用いると、通常の表示状態における表示品質を損ねることなく、表示保持状態において、(1)液体としての流動性がないので高い表示保持特性を示し、(2)しかも、染料の分散媒への溶解状態および電気泳動粒子の分散状態がほとんど変化せず表示特性の変化が起きないという効果を奏することを見いだした。
したがって、本発明の電気泳動表示装置には、そのような分散媒を用いる。
なお、そのような分散媒は、特許第2551783号に記載したマイクロカプセル型電気泳動表示装置に適用することもできるし、スペーサ型電気泳動表示装置にも適用できることを確認した。
【0013】
したがって、本発明の電気泳動表示装置は、所定の間隙を隔てて対向して配置された、少なくとも一方が透明電極である1組の対向電極と、前記対向電極の間の間隙に収容された、電気泳動粒子、分散媒、染料および分散剤を含む分散溶液と、前記対向電極間に電圧を印加する電圧印加手段とを有し、前記対向電極間に電圧を印加する際の電圧方向によって前記電気泳動粒子を対向電極間のどちらか一方へと電気泳動させることにより前記電気泳動粒子の色または前記分散媒に溶解している前記染料の色のいずれかの色を表示させる電気泳動表示装置であり、前記分散媒は常温では液体と固体との2つの相が共存し、電気泳動時、固体の相の部分が溶解して均一な液体の相となる性質を持ち、常温で前記染料を溶解する混合溶媒であることを特徴とする。
【0014】
前記混合溶媒は、常温で液体であり、電気泳動粒子の電気泳動特性を示する第1有機溶媒と、常温では固体であり電気泳動時に加熱する温度付近に融点を持ち、かつ、前記第1の有機溶媒に溶解して均一な液体状態になる第2有機溶媒とを混合したものである。
前記第1の有機溶媒は、飽和炭化水素、不飽和炭化水素、または、油であり、前記第2の有機溶媒は、ロウ類、該ロウ類を主成分にするワックス、高級アルコール、または、芳香族炭化水素である。
【0015】
また、電気泳動表示装置において、前記電気泳動粒子、分散媒、染料および分散剤を含む分散溶液がマイクロカプセル化されて、前記対向電極間に嵌挿されている。
あるいは、電気泳動表示装置において、前記電気泳動粒子、分散媒、染料および分散剤を含む分散溶液が、前記対向電極間に設置されたスペースで仕切られた空間に嵌挿されている。
【0016】
【発明の実施の形態】
第1実施の形態
本発明の電気泳動表示装置の第1実施の形態として、図1を参照してマイクロカプセル型電気泳動表示装置1について述べる。
【0017】
図1に図解したマイクロカプセル型電気泳動表示装置1は、所定間隔dだけ隔てて対向して配設された、第1の透明電極14と第2の透明電極15と、これら透明電極14、15の背面に位置する背面基板12と透明基板13と、透明電極14、15との間隙に嵌挿されたマイクロカプセル16と、マイクロカプセル16の周囲に介在するバインダ18を有する。
【0018】
バインダ18は、透明であり、マイクロカプセル16の配置を固定している。
マイクロカプセル16は、分散媒19と、電気泳動粒子17と、染料(図示せず)と、分散剤を含む分散溶液とがマイクロカプセル化されている。
【0019】
マイクロカプセル型電気泳動表示装置1には、図解を省略した、電圧印加手段が、透明電極14と透明電極15との所定の電圧を印加するように設けられている。
なお、マイクロカプセル型電気泳動表示装置1としては、透明電極14と透明電極15のいずれか一方が透明電極であればよく、上記実施の形態のように両者が透明電極である必要はない。
【0020】
マイクロカプセル型電気泳動表示装置1の動作を簡単に説明する。
電圧印加手段から透明電極14と透明電極15との表示内容に応じて、電圧を印加すると、電気泳動粒子17は電圧印加の向き(方向)に応じて電気泳動粒子17内をいずれかの透明電極の向かって移動する。この現象を電気泳動現象という。その結果、電気泳動粒子17の色または分散媒19に溶解している染料の色のいずれかの色が表示される。
【0021】
このように、マイクロカプセル16に内包された、分散溶液は、電気泳動粒子17、染料、分散媒19および混合溶媒から構成されている。
以下、これらの詳細について述べる。
【0022】
電気泳動粒子
電気泳動粒子17としては、通常、有機および無機の有色顔料の粒子を用いる。
そのような電気泳動粒子の白色粒子としては、たとえば、二酸化チタン、硫化亜鉛、チタン酸バリウムが使用できる。
そのような電気泳動粒子の黒色粒子としては、たとえば、カーボンブラック、黒色酸化鉄が使用できる。
そのような電気泳動粒子の赤色粒子としては、たとえば、レーキレッド、リソールレッドなどの呼称で知られる顔料が使用できる。
そのような電気泳動粒子の黄色粒子としては、たとえば、ベンジンイエロー、ハンザイエローなどの呼称で知られる有機顔料が使用できる。
そのような電気泳動粒子の青色粒子としては、たとえば、フタロシアニンブルー、コバルトブルーなどの呼称で知られる無機顔料が使用できる。
本実施の形態においては、1つのマイクロカプセル16ごとに色を異ならせて表示することができるから、上述した色粒子の電気泳動粒子を適宜選択して、透明電極14と透明電極15との間に配設すると、電気泳動表示装置をカラー表示可能な電気泳動表示装置として構成できる。
【0023】
上述した電気泳動粒子の粒径は、0.1〜5μm程度のものを使用する。望ましくは、電気泳動粒子の粒径は、0.2〜2μmが好ましい。このような粒径の粒子を用いるのは0.1μm以上とすることで視認性の効果が顕著となること、また、5μm以下で電気泳動性が確保できるためである。
【0024】
染料
染料は、混合溶媒に溶解させ、電気泳動粒子の色と対になる溶媒色を決定する役目を持つ。
そのような染料としては、詳細を後述する混合溶媒に溶解できる全ての染料を用いることができる。特に、そのような染料として、有機溶媒に対して化学的な親和性を持つアゾ系染料が好ましい。
【0025】
分散剤
分散剤の役割は、電気泳動粒子17の分散性の経時安定性を持たせること、および、電気泳動粒子17が後述する混合溶媒中で自発するゼータ電位を増大させることである。なお、ゼータ電位の詳細は、上述した特公昭50−15115号公報に記載されている。分散剤を用いてゼータ電位を増大させることにより、電圧を印加した際の電気泳動粒子の泳動速度を増大できる。その結果、表示速度を迅速にすることができる。
そのような分散剤としては、上述した2つの役割を発揮するものならば種々のものを用いることができる。たとえば、そのような分散剤としては、界面活性剤を用いることができる。そのような界面活性剤の中で特に、ドデシル硫酸ナトリウム、エアロジルOT、オレイン酸などの極性基を持つものが好ましい。しかしながら、分散剤としては、上述した界面活性剤に限らず、上述した2つの役割を発揮する、カップリング剤、または高分子などを用いることができる。そのようなカップリング剤としては、チタネート系カップリング剤、シリカ系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などが例示できる。そのような高分子とし
ては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリゴールなどが例示できる。
【0026】
混合溶媒
混合溶媒は、常温(室温)で液体である有機溶媒(以下、第1の有機溶媒、または、液体有機溶媒という)と、常温ではほとんど固体であり、電気泳動時に加熱する温度で溶解する有機溶媒(以下、第2の有機溶媒、または、固体有機溶媒という)とを混合したものを用いる。
【0027】
上記第1の有機溶媒としては、常温で液体であり、電気泳動粒子の電気泳動特性を示す溶媒である。
そのような溶媒としては、たとえば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、ドデカンなどの飽和炭化水素、トルエン、キシレン、ドデシルベンゼンなどの不飽和炭化水素、さらに、植物性油、動物性油、鉱物性油または合成油などの油を用いることができる。
【0028】
上記第2の有機溶媒としては、電気泳動時に加熱する温度付近に融点を持ち、かつ、上記第1の有機溶媒に対して溶解度の依存性の大きなもの、すなわち、常温ではほとんど溶解せずに固体として存在するが、電気泳動時に加熱する温度付近では上記第1の有機溶媒に完全に溶解して均一な液体状態になるものが望ましい。
そのような溶媒としては、たとえば、植物ロウ、鉱物ロウなどのロウ類、および、これらのロウ類を主成分にするパラフィンワックス、合成ワックスを用いることができる。さらに、そのような溶媒としては、たとえば、ドデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコールなどの高級アルコール、または、ベンゾフェノン、ナフタリンなどの芳香族炭化水素などを用いることができる。
【0029】
本明細書において、常温、室温という用語の意味は、自然環境における室内温度、または、通常の空調が行われている温度であって、電気泳動現象を起こす温度、たとえば、55°Cより低い温度状態を意味する。換言すれば、電気泳動現象が起きない温度を意味しており、たとえば、常温とは、0〜30°Cである。この常温において、電気泳動表示装置に表示された内容を保持するので、表示保持温度とも言える。
【0030】
混合溶媒の製造方法
まず、混合溶媒における第1の有機溶媒と第2の有機溶媒との混合比率について述べる。
第1の有機溶媒は、上述したように、常温で液体であり、電気泳動粒子の電気泳動性、染料の溶解性が確保できるものである。これに対して、第2の有機溶媒は第1の有機溶媒に常温ではほとんど溶解しない固体であり、電気泳動時の加熱温度付近に融点を持ち、電気泳動時の加熱温度で溶解して第1の有機溶媒に溶解して均一な液体となる性質をもつものである。つまり、第2の有機溶媒自身は常温で固体であるため、常温での染料溶解性は低い。したがって、染料の混合溶媒への溶解性を維持するためには、第2の有機溶媒の重量を第1の有機溶媒の重量に対して約25%以下にする必要がある。また、混合溶媒を固化させた際、液体としての流動性をもたないためには第2の有機溶媒の重量を第1の有機溶媒の重量に対して約3%以上とする必要がある。ゆえに、第2の有機溶媒の重量を第1の有機溶媒の重量に対して約3〜25%程度で混合して混合溶媒を調製すると上述した特性を示す。なお、この比率の最適な値は、第1の有機溶媒の具体的な材料と第2の有機溶媒の具体的な材料との組合せ条件により決定される。
【0031】
すなわち、このような方法で調製された混合溶媒は、電気泳動時に加熱する温度以上で均一な液体となり電気泳動粒子について所望の泳動特性を示す。したがって、通常の表示状態では、高い表示品質を示す。その後、電圧の印加を停止して、たとえば、常温まで冷却させると、第2の有機溶媒は固体化し、混合溶媒は液体としての流動性を失うためそのままの状態が維持されるので、結果として、電気泳動表示装置の表示内容はそのまま保持される。すなわち、電気泳動表示装置は常温状態において高い表示保持特性を示す。
たとえば、透明電極14、透明電極15への電圧印加を解除して、この常温まで冷却させた状態において、混合溶媒は部分的には液体状態が存在するので、電気泳動粒子および染料は液体状態になっている有機溶媒中(たとえば、第1の有機溶媒中)に存在することができる。その結果、染料の分散媒への溶解性および電気泳動粒子の分散性はほとんど変化しない。したがって、そのような混合溶媒を電気泳動表示装置に用いると、電気泳動表示装置は通常状態における表示性能を維持しながら、常温状態においても、長期間、高い表示保持特性が維持される。そのような電気泳動表示装置を多数回の繰り返し使用しても、表示保持特性および表示特性の変化は少なく、寿命も長い。
【0032】
分散溶媒
上述した電気泳動粒子、染料、分散剤および混合溶液を混合して分散溶媒を調製する。
これらの比率を、たとえば、次のようにする。
【0033】
【表1】
表1
電気泳動粒子の重量分率 5〜20%
染料の重量分率 0.5〜3%
分散剤の重量分率 0.2〜2%
混合溶媒の重量分率 75〜93%
【0034】
これらの重量分率について説明する。電気泳動粒子の重量分率については、粒子色と染料色のコントラストを最大にするため、染料の重量分率については、混合溶媒への溶解性を維持するため、分散剤の重量分率については、ゼータ電位を最大にするための重量分率範囲である。しかし、これらの最適値は各構成要素の具体的な組合せ条件により決定される。
なお実験によれば、好ましい比率としては、たとえば、下記表の数値であった。
【0035】
【表2】
表2
電気泳動粒子の重量分率 10〜17%
染料の重量分率 1〜2%
分散剤の重量分率 0.5〜1%
混合溶媒の重量分率 80〜90%
【0036】
分散溶媒の調製方法としては、上述した重量分率で、電気泳動粒子、染料、分散剤および混合溶液を、混合溶媒の融点以上の温度で、ボールミル、ホモナイザーなどの混合装置を用いて所定時間、混合して分散溶媒を調製する。
混合溶媒の融点以上の温度としては、好ましくは、150〜250°Cである。混合する時間としては、たとえば、1〜2時間である。
【0037】
マイクロカプセルへの内包
上述した形成された分散溶液を、マイクロカプセル16に内包して(収容して)、図1に図解した電気泳動表示装置1に組み込む。
そのようなマイクロカプセルとしては、界面重合法、界面析出法、相分離法、界面沈殿法などの方法で製造することができる。
マイクロカプセルの大きさは、たとえば、平均粒径は20〜80μmである。マイクロカプセルの粒径は表示ムラを防止するため、均一なものが望ましい。粒径が20μm以下になると、表面保護効果および表示安定性に欠ける。粒径が80μm以上になると透明度が低下し、表示安定性が低下する。実験によれば、望ましくは、40〜60μmの均一な粒径を持つものがよい。
【0038】
ウレタン樹脂被覆
なお、必須ではないが、マイクロカプセル16として、ウレタン樹脂を膜材質として被覆したマイクロカプセル16を生成すると、常温における静電気などに起因する外部電場による帯電が防止され、表示の乱れが防止でき、表示保持特性が向上する。
【0039】
電気泳動表示装置への組み込み
以上によって製造された分散溶媒および分散溶液を内包するマイクロカプセル16を、少なくとも、透明電極14と透明電極15との1組の対向電極間に嵌挿した電気泳動表示装置を構成する。
【0040】
上述した電気泳動表示装置を動作させると、通常の表示特性を維持しながら、常温に戻せば表示内容を固定することができる。この表示保持状態においては電極に電圧を印加する必要がないから、電気泳動表示装置を省電力で動作させることができる。
【0041】
【実施例】
本発明の実施例を述べる。
電気泳動粒子として二酸化チタン15g、染料としてアゾ系青色染料1g、分散剤としてオレイン酸0.5gを用いた。混合溶媒としてドデデシベンゼン85gと、パラフィンワックス(融点50°C)5gを用意した。
すなわち、この実施例においては、電気泳動粒子として二酸化チタンの重量分率は15/106.5=14%、染料としてアゾ系青色染料の重量分率は1/106.5=0.9%、分散剤としてオレイン酸の重量分率は0.5/106.5=0.47%、混合溶媒の重量分率は(85+5)/106.5=84.5%である。
これらをハーモナイザーで200°C、1時間加熱しながら混合して分散溶液を生成した。
【0042】
この分散溶液を内包するマイクロカプセルを界面析出法によりウレタン樹脂を膜材質として平均粒径50μmのものを生成した。
【0043】
透明電極14および透明電極15となる導電性の透明電極膜(ITO)が形成されている透明シートを2枚用意し、2枚の透明電極面を対向させ、これらの透明電極膜面の間に上記調製したマイクロカプセルを、マイクロカプセルを破壊しないようにしてローラーで圧延して、約50μmの厚さとなるように平面配列させて、図1に図解したマイクロカプセル型電気泳動表示装置1を作製した。
【0044】
上述した作製したマイクロカプセル型電気泳動表示装置1について動作試験を行った。図解しない電圧印加手段から透明電極14と透明電極15との電圧を印加して、55°C以上の温度で所望の文字、数字、記号、図形などの情報を表示させることができた。その後、透明電極14と透明電極15への電圧の印加を停止し、常温(室温、たとえば、25°C)まで電気泳動表示装置1を冷却させたまま1年間放置したところ、電気泳動表示装置1に表示された情報は、当初の表示品質でその表示状態が維持された。すなわち、本実施例の電気泳動表示装置おいては、粒子色(染料色)の褪色は認められなかった。さらに、55°C以上での電気泳動表示装置1の表示動作、常温までの冷却を繰り返し動作を1000回以上行ったが、電気泳動時における表示品質は維持され、表示保持のための常温冷却期間においても表示内容の改変、および、粒子色(染料色)の褪色などの表示品質の低下は認められなかった。
すなわち、上述した実施例の電気泳動表示装置は、電気泳動時の表示品質は維持されており、電気泳動を行わない状態における表示保持特性の低下および反復動作に起因する表示特性の低下も起きなかった。
【0045】
第2実施の形態
図2に本発明の電気泳動表示装置の第2実施の形態としてのマイクロカプセル型電気泳動表示装置1Aを示す。
図2は、図1に図解したマイクロカプセル型電気泳動表示装置1に代えて、透明電極14と透明電極15の間隔を狭めて、マイクロカプセル16を偏平にして偏平マイクロカプセル16aとし、マイクロカプセル16a内の電気泳動粒子17が透明電極14または透明電極15へ移動したとき、電気泳動粒子17の密度がほぼ均一になるようにしたものである。
このような偏平マイクロカプセル16aを用いると、表示品質が向上し、表示むらがなくなる、透明電極14と透明電極15との間隔が狭まるので、電圧印加手段(図示せず)から透明電極14と透明電極15に印加する電圧を低くすることができる。
なお、マイクロカプセル16a内の混合溶媒の条件は第1実施の形態と同様である。したがって、第2実施の形態においても、上記混合溶媒を用いた第1実施の形態と同様の効果、すなわち、表示保持特性を実現できる。
【0046】
第3実施の形態
図3に本発明の電気泳動表示装置の第3実施の形態としてのスペーサ型電気泳動表示装置を示す。
図3に図解したスペーサ型電気泳動表示装置2は、図1〜図2に図解したと同様、所定間隔dだけ隔てて対向して配設された、第1の透明電極14と第2の透明電極15と、これら透明電極14、15の背面に位置する背面基板12と透明基板13とを有する。
【0047】
透明電極14と透明電極15との間にはスペーサ21が所定間隔で配設されて、複数のマイクロカプセル16が収容される空間を規定している。すなわち、透明電極14、15面を対向させた間の電気泳動表示装置の長手方向に沿って、所定間隔で、たとえば、厚さ50μmのポリエステルのスペーサ21を嵌挿させ、分散溶液を溶解させて導入した。
【0048】
図1および図2に図解したマイクロカプセル型電気泳動表示装置1、1Aにおいては、マイクロカプセル16の内部に収容された電気泳動粒子17が透明電極14、透明電極15に印加された電圧に応じて、マイクロカプセル16の内部でいずれかの電極側に移動したが、図3のスペーサ型電気泳動表示装置2においては、スペーサ21と透明電極14、透明電極15との間に仕切られた空間内で、電気泳動粒子17が透明電極14側か透明電極15側に移動する。上述したスペーサ21を用いてマイクロカプセル16を用いない構造の相違と、電気泳動粒子17の挙動の相違を除けば、スペーサ型電気泳動表示装置2もマイクロカプセル型電気泳動表示装置1と実質的に同じ原理で動作する。
【0049】
上記スペーサ21と透明電極14、透明電極15との間の空間に導入される、分散溶液、すなわち、電気泳動粒子17、染料、分散媒19および混合溶媒から構成されている分散溶液は、マイクロカプセル16に内包された分散溶液と同様である。
【0050】
本願発明者は、図3に図解したスペーサ型電気泳動表示装置2についても実験を行った。その結果、マイクロカプセル型電気泳動表示装置と同様、長期間にわたって高い表示保持特性を示し、繰り返し使用しても特性変化が起きないことを確認した。
【0051】
以上、本発明の電気泳動表示装置の1実施例について述べたが、本発明は上述した実施例に限らず、上述した実施の形態において、上述した実施例におけると同等の効果を奏する。
【0052】
なお本発明の電気泳動表示装置は、上述した本発明の実施の形態は例示にすぎず、分散媒は室温では液体と固体との2つの相に共存し、加熱すると1つの均一な液体相となる混合溶媒を用いることにより、(1)液体としての流動性がないので表示保持期間において高い表示保持(記憶)特性を示し、(2)しかも、染料の分散媒への溶解状態および電気泳動粒子の分散状態がほとんど変化しないものを使用し、さらに、そのような分散溶液と、電気泳動粒子と、分散媒と、染料とを所定の比率、たとえば、所定の重量分率で混合するという構想に基づく、混合溶媒を用いる他の種々の実施の形態をとることができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明の電気泳動表示装置は、通常表示動作時は高い表示品質を示し、さらに、表示保持状態において、長期間、安定して高い表示保持特性を示し、多数回の繰り返し使用も可能であり、長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の電気泳動表示装置の第1実施の形態としてのマイクロカプセル型電気泳動表示装置を示す図である。
【図2】図2は本発明の電気泳動表示装置の第2実施の形態としてのマイクロカプセル型電気泳動表示装置を示す図である。
【図3】図3に本発明の電気泳動表示装置の第3実施の形態としてのスペーサ型電気泳動表示装置を示す。
【符号の説明】
1・・マイクロカプセル型電気泳動表示装置
12・・背面基板
13・・透明基板
14・・透明電極
15・・透明電極
16・・マイクロカプセル
17・・電気泳動粒子
18・・バインダ
19・・分散媒
2・・スペーサ型電気泳動表示装置
21・・スペーサ

Claims (7)

  1. 所定の間隙を隔てて対向して配置された、少なくとも一方が透明電極である1組の対向電極と、
    前記対向電極の間の間隙に収容された、電気泳動粒子、分散媒、染料および分散剤を含む分散溶液と、
    前記対向電極間に電圧を印加する電圧印加手段と
    を有し、前記対向電極間に電圧を印加する際の電圧方向によって前記電気泳動粒子を対向電極間のどちらか一方へと電気泳動させることにより前記電気泳動粒子の色または前記分散媒に溶解している前記染料の色のいずれかの色を表示させる電気泳動表示装置において、
    前記分散媒は常温では液体と固体との2つの相が共存し、電気泳動時、固体の相の部分が溶解して均一な液体の相となる性質を持ち、常温で前記染料を溶解する混合溶媒であることを特徴とする
    電気泳動表示装置。
  2. 前記混合溶媒は、
    常温で液体であり前記電気泳動粒子の電気泳動特性を示す第1有機溶媒と、
    常温では固体であり電気泳動時に加熱する温度付近に融点を持ち、かつ、前記第1の有機溶媒に溶解して均一な液体状態になる第2有機溶媒と
    を混合したものである、
    請求項1記載の電気泳動表示装置。
  3. 前記第1の有機溶媒は、飽和炭化水素、不飽和炭化水素、または、油であり、 前記第2の有機溶媒は、ロウ類、該ロウ類を主成分にするワックス、高級アルコール、または、芳香族炭化水素である
    請求項2記載の電気泳動表示装置。
  4. 前記電気泳動粒子、前記分散媒、前記染料および前記分散剤を含む前記分散溶液がマイクロカプセル化されて前記対向電極間に嵌挿されている、
    請求項1〜3いずれか記載の電気泳動表示装置。
  5. 前記電気泳動粒子、前記分散媒、前記染料および前記分散剤を含む前記分散溶液が、前記対向電極間に設置されたスペースで仕切られた空間に嵌挿されている、
    請求項1〜3いずれか記載の電気泳動表示装置。
  6. 前記マイクロカプセル化されたものの表面に透明な樹脂被覆を施した、
    請求項4記載の電気泳動表示装置。
  7. 前記マイクロカプセル化されたものが、前記対向電極の間でほぼ同じ厚さに偏平にされている、
    請求項4または6記載の電気泳動表示装置。
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