JP4167774B2 - 竪型衝撃式破砕機 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野 】
本発明は竪型衝撃式破砕機に係り、特にロータ外周のデッドストック部をコンクリート又はモルタルで形成した竪型衝撃式破砕機に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然岩石等の塊状物は、例えばコンクリート用骨材、敷石、路床材などの各種の用途に応じて破砕される。このような破砕を行なう破砕機の1つに竪型衝撃式破砕機がある。この竪型衝撃式破砕機は、岩石を高速で加速し、衝突面にぶつけて岩石を破砕するという原理に基づいて動作する。この衝撃式破砕機は、岩石の破砕形式からアンビル方式と、デッドストック方式とに大別される。
【0003】
アンビル方式の衝撃式破砕機は、ロータを高速回転させ、ケーシングに投入された原料原石を加速し、遠心力によってロータの周囲に配置されたアンビルに衝突させて破砕するものである。このアンビル方式は、主として原石のサイズを小さくする目的として使用される。
【0004】
一方、デッドストック方式は、すでに所望のサイズに破砕された原石の表面を滑らかにし、粒形を整えるために使用され、このデッドストック方式は、原石をロータによって加速する点においてはアンビル方式と同様であるが、ロータの周囲に破砕された原石によってデッドストックを形成し、かつ、そのデッドストック面を転がり「整形」をする構成としている。
【0005】
更に詳しくは、アンビル方式は、正四角筒に形成されたケーシング内部に破砕室として形成される4辺の内周壁面中央に4組のアンビルが配置されている。これらのアンビルは、硬度が極めて高い耐摩耗性を有する高Cr鋳鋼で作られた一体物である。
【0006】
硬度が極めて高い耐摩耗性を有する材料であるが、摩耗や破壊が発生した時点では新品と交換されることとなる。また、アンビル方式であっても四角形状に形成されるが破砕室の4隅はデッドストック部となり、破砕された原石が堆積し、この部分ではデッドストック方式と同様に原石同士の衝突となる部分が共存している。従って、このようなアンビル方式では、アンビルが配置されている部分では原石を有効に破砕することができるが、配置外の破砕室の内壁部では原石との衝突によって破損されるため定期的な補修作業が必要となる。
【0007】
アンビルを内周面に広く配置するには、アンビル材料がコスト高のところから使用範囲が限られ、低価格で破砕効率が良く、メンテナンスの容易な衝撃式破砕機が要望されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような技術的背景に基づいてなされたもので、下記の目的を達成するものである。
本発明の目的は、低価格で構成され、且つ破砕効率が良くメンテナンスを容易に行なうことができる破砕壁を備えた竪型衝撃式破砕機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために次のような手段を採る。
本発明の竪型衝撃式破砕機は、内部に破砕室を備えたケーシングと、前記破砕室内に配置され投入された破砕物に遠心力を付与するロータとを備えた竪型衝撃式破砕機において、前記破砕室内周のデッドストック部がコンクリートを流し込んで形成された破砕壁を備えている。前記破砕壁は、モルタルを流し込んで形成されたものであっても良い。
【0010】
また、前記破砕壁は、前記破砕室内に略環状の枠体を前記ロータと同芯となるよう着脱可能に取付け、前記枠体内周にコンクリート又はモルタルを流し込んで形成されると良い。なお、コンクリート又はモルタルの流し込みは、前記枠体を高速度で回転させておいて、その表面にモルタル又はコンクリートを吹き付け、又は流し込んで遠心力で付着させる遠心力ライニング法であっても良い。
【0011】
前記略環状の枠体は、コンクリート又はモルタルが流し込まれる内周壁に複数の凹凸部が形成されていると破砕効率が良い。前記内周壁に形成される複数の凹凸部の内少なくとも凸部は、尖端状に形成したボルトの頭部であって、枠体を貫通したボルトのネジ軸が枠体の外側からナットによって固定すると良い。
【0012】
前記破砕壁は、平面視で多角形状の内周壁として形成されて成ると、この多角形の各面に破砕物が衝突するときに破砕効率が良い。即ち、破砕物が略垂直に多角形の各面に衝突するように配置されていると良い。前記コンクリートは、シリカ(SiO2)70%の骨材を含むものから成ると破砕効率が良い。
【0013】
【発明の実施の形態】
[第1実施の形態]
次に、本発明の第1実施の形態を説明する。図1は本発明の第1実施の形態を示す竪型衝撃式破砕機の水平方向の断面図、図2は同実施の形態の中心を通る縦断面図、図3(a),(b)は破砕室内周のデッドストック部にコンクリートまたはモルタルによって形成された破砕壁の断面図である。先ず、竪型衝撃式破砕機につき説明する。すなわち、図1及び図2に示すように、ケーシング1は、ケーシング本体1aと、その上部に止め具9を介して着脱自在に固定された蓋体1bとからなっている。
【0014】
蓋体1bは、油圧シリンダ4によって昇降しかつ旋回軸3によって旋回するレバー5によって、ケーシング本体1aに対して開閉するようになっている。蓋体1bは、原石の投入口2を有し、その下方に案内シュート7、8が上下二段に配置されており、下部の案内シュート8は、全体に環状になるように配置された複数の縦リブ8aの下端に設けられている。
【0015】
案内シュートの下方にはロータ10が配置されており、このロータ10は、ケーシング本体1a下方に回転自在に軸支された垂直回転軸11の上端に設けられ、ロータ10は図示しない正逆回転可能なモータによって回転駆動されるようになっている。ロータ10は、垂直回転軸11に固定されたロータ本体21と、ロータ本体21の上面中央に設けられた円形の分配板22と、周方向に等配された3つの翼23と、該翼23、23の間に配置されたライナーとからなっている。
【0016】
ケーシング1は、この実施の形態では正四角筒からなっており、内面に保護ライナー40が設けられている。ケーシング本体1aの内部にはデッドストック形成プレート30が水平に配置されており、このデッドストック形成プレート30は、ケーシング1の断面形状と同様の正四角形板体からなり、その周縁部がケーシング本体1aの内面に固着されている。
【0017】
デッドストック形成プレート30には、ロータ10よりも大径でかつロータ10と同心の貫通穴31が形成されている。デッドストック形成プレート30によって上下が仕切られるケーシング1の上部には平面視で略環状枠12で、環状枠12の断面がコ字形からなる破砕室Rを構成している。この破砕室Rの環状枠12は、円周上の4箇所にブラケット13が等配されており、これらのブラケット13は、正四角筒からなケーシング本体1a内面の四隅にボルトで外側から固定されている。
【0018】
環状枠12にブラケット13が取付けられる以外の部分はケーシング本体1aの4辺の内壁に接触可能な平面状に形成されている。従って、ブラケット13を取付けている各ボルトを外すことで、環状枠12は上方から容易に取り出すことができる。環状枠12の円周面内壁には複数のアンカーボルト15が環状枠12の内側に向けて半径方向に所定長さ突出しており、環状枠12の外壁を貫通したネジ軸Sは環状枠12の外側でダブルナットNによって固定されている。
【0019】
このように構成された環状枠12内には、図3に示されるように、コンクリートまたはモルタルが流し込まれ、図のように上方から下方にかけて断面逆三角形状の傾斜となる破砕壁14が形成される。この環状枠12内に流し込まれたコンクリートまたはモルタルは、複数のアンカーボルト15によって、環状枠12内に強固に保持することができ、コンクリートまたはモルタルが原石との衝突で破壊され削られてくると、アンカーボルト15の先端が露呈し、この露呈したアンカーボルト15が硬い材料で作られたものであればこの衝突によって原石を破砕することもできる。
【0020】
尚、この実施の形態で使用されるコンクリートは、シリカ(SiO2)70%の骨材を含むものから構成される。上記のように構成された竪型衝撃式破砕機によれば、ケーシング1に供給される原料原石は、高速回転されるロータ10の外周から遠心力によって接線方向に高速で飛び出してコンクリートまたはモルタルで形成された図3(a)に示す破砕壁14に衝突する。
【0021】
この原石との衝突によって、長期的には図3(b)に示すように破砕壁14は徐々に破壊されてくる。この破壊によって表面が削られてくると、内部に埋設されていたアンカーボルト15の先端が露呈してくる。削られた破砕壁14は、破壊された破砕片14aは最初は大きい塊であるが、徐々に細かい粒子となって破砕室R内底面に堆積し、従来のデッドストックと同様な作用を行なう。
【0022】
このようにすることによって、破砕壁14がコンクリートまたはモルタルによって形成されるので、低価格で構成することができる。また、シリカ(SiO2)70%の骨材を含む強度の高いコンクリートが使用され、且つ表面が破壊されても露呈するアンカーボルトによって原石を破砕することができと共に、破砕された破片の塊はデッドストックと同様な作用を行なうので、破砕効率を向上させることができる。さらに、環状枠12が外部に取外し可能に構成されているので、環状枠12を外部に取り出すことによってコンクリートの補修等のメンテナンス作業を容易に行なうことができる。
【0023】
[第2実施の形態]
次に、本発明の第2実施の形態につき説明する。図4(a),(b)は本発明の第2実施の形態としての破砕室の断面図である。なお、前述した実施の形態の構成部分と同一構成部分については同一符号を付して詳細な説明は省略する。本実施の形態では、図4に示されるように、環状枠12内にコンクリートまたはモルタルを流し込んで第1実施の形態のような破砕壁16が形成されるが、この破砕壁16は垂直な壁面に形成される。
【0024】
従って、この垂直な破砕壁16に原石が衝突すると、略中央部分から削られ、落下した破片は徐々に細粒化されて破砕室Rの底面に堆積し、前述同様にデッドストックとして作用することとなり、前記実施の形態と同様な効果を有する。
【0025】
[第3実施の形態]
次に、第3実施の形態につき説明する。図5は本発明の第3実施の形態としての破砕室の断面図である。本実施の形態の環状枠17は、コンクリートが流し込まれる内壁面18には凹凸部が形成されており、例えば縞鋼板等で構成されている。この環状枠17内にコンクリートまたはモルタルを流し込んで第1実施の形態と同様な破砕壁14が形成され、上方から下方にかけて断面逆三角形状の傾斜となるように形成される。
【0026】
また、作用、効果は前記実施の形態と同一であり、その説明は省略する。尚、この破砕壁14は断面逆三角形状の傾斜に限らず垂直な壁面として形成しても良く、壁面形状は自由に選択することができる。
【0027】
[第4実施の形態]
次に、第4実施の形態につき説明する。図6は本発明の第4実施の形態としての破砕室の平面断面図である。図6に示されるように、環状枠12は、第1実施の形態の構成と同一構成となっており、この環状枠12内にコンクリートまたはモルタルを流し込んで第1実施の形態と同様な断面形状の破砕壁19が形成されるが、この破砕壁19は、内周壁20が平面視多角形状の内周壁として形成される。
【0028】
このようにすることにより、高速回転されるロータ10の外周から遠心力によって略接線方向に高速で飛び出してきた原料原石は、多角形状の内周壁20に当接するので、効率良く破砕することができる。また、このような形状の破砕壁19は、コンクリートまたはモルタルを流し込んで形成されているため、衝撃壁の形状に合せた型を用いることにより部分的に破壊されても、容易に補修することができる。
【0029】
[その他の実施の形態]
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれら実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。前記実施の形態では、環状枠12にコンクリート又はモルタルの流し込み、又は塗り込みで付着させている。
【0030】
この付着力を高めるには、環状枠12を高速度で回転させておいて、その内部表面にモルタル又はコンクリートを吹き付け、又は流し込んで遠心力で付着させる遠心力ライニング法であっても良い。また、前記破砕壁14に埋め込まれるものはアンカーボルト15であったが、建築物のようにマトリックス状に鉄筋を埋め込んだものであっても良い。
【0031】
【発明の効果】
本発明は次の効果を奏する。
本発明によれば、破砕壁をコンクリートによって形成することにより、内部に細かい砕石等の骨材が混合されているので、徐々に破砕壁が岩石の衝突によって削られても露呈する骨材によって効率良く原石の破砕を行なうことができ、低価格で構成することができる。
【0032】
本発明によれば、破砕壁がモルタルによって形成されるので、破砕室内への付着性が良く、岩石が衝突しても一時に大きく剥離されることがない。
【0033】
本発明によれば、破砕室内の枠体が環状に形成されるので、従来のような四隅のデッドストック部がなくなり、効率良く破砕を行なうことができると共に、着脱可能な構成なため、外部に取り出して破砕壁の補修ができメンテナンスの向上を図ることができる。
【0034】
本発明によれば、破砕室の内壁に複数の凹凸部が形成されているので、破砕室内への付着性が良く、岩石が衝突しても一時に大きく剥離されることがない。
【0035】
本発明によれば、内周壁に形成される尖端状のボルト頭部が取付けられるので、コンクリートまたはモルタルが剥離、または削り取られても尖端状のボルト頭部によって原石を破砕することができ、ボルト頭部が損傷しても枠体の外部から取り外し交換することも可能である。
【0036】
本発明によれば、平面視多角形状の内周壁が形成されるので、効率良く原石を破砕することができる。
【0037】
本発明によれば、コンクリートがシリカ(SiO2)70%の骨材を含んだものであるため、強度があり原石との衝突によっても簡単には削り取られることがなく、長期的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施の形態を示す竪型衝撃式破砕機の水平方向の断面図である。
【図2】図2は、第1実施の形態の中心を通る縦断面図である。
【図3】図3(a),(b)は、破砕室内周のデッドストック部にコンクリートまたはモルタルによって形成された破砕壁の断面図である。図1のB矢視図である。
【図4】図4は(a),(b)は、本発明の第2実施の形態としての破砕室の断面図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施の形態としての破砕室の断面図である。
【図6】図6は、本発明の第4実施の形態としての破砕室の平面断面図である。
【符号の説明】
1…ケーシング
1a…ケーシング本体
10…ロータ
12…環状枠
13…ブラケット
14…破砕壁
15…アンカーボルト
16…破砕壁
17…環状枠
19…破砕壁
20…内周壁
R …破砕室
Claims (7)
- 内部に破砕室を備えたケーシングと、前記破砕室内に配置され投入された破砕物に遠心力を付与するロータとを備えた竪型衝撃式破砕機において、
前記破砕室内周のデッドストック部がコンクリートを流し込んで形成された破砕壁を備えている
ことを特徴とする竪型衝撃式破砕機。 - 内部に破砕室を備えたケーシングと、前記破砕室内に配置され投入された破砕物に遠心力を付与するロータとを備えた竪型衝撃式破砕機において、
前記破砕室内周のデッドストック部がモルタルを流し込んで形成された破砕壁を備えている
ことを特徴とする竪型衝撃式破砕機。 - 請求項1又は2に記載の竪型衝撃式破砕機において、
前記破砕壁は、前記破砕室内に略環状の枠体を前記ロータと同芯となるように着脱可能に取付け、前記枠体内周にコンクリート又はモルタルを流し込んで形成される
ことを特徴とする竪型衝撃式破砕機。 - 請求項1〜3の何れかの1項に記載の竪型衝撃式破砕機において、
前記略環状の枠体は、コンクリート又はモルタルが流し込まれる内周壁に複数の凹凸部が形成されている
ことを特徴とする竪型衝撃式破砕機。 - 請求項4に記載の竪型衝撃式破砕機において、
前記内周壁に形成される複数の凹凸部の内少なくとも凸部は、尖端状に形成したボルトの頭部であって、前記枠体を貫通したボルトのネジ軸が前記枠体の外側からナットによって固定されている
ことを特徴とする竪型衝撃式破砕機。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の竪型衝撃式破砕機において、
前記破砕壁は、平面視で多角形状の内周壁として形成され、前記多角形の各面で前記破砕物を受け止める
ことを特徴とする竪型衝撃式破砕機。 - 請求項1に記載の竪型衝撃式破砕機において、
前記コンクリートは、シリカ(SiO2)70%の骨材を含むものから成る
ことを特徴とする竪型衝撃式破砕機。
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JP06267099A Expired - Lifetime JP4167774B2 (ja) | 1999-03-10 | 1999-03-10 | 竪型衝撃式破砕機 |
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