JP4167538B2 - 自動販売機の温度制御ユニット取付け構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動販売機の温度制御ユニット取付け構造に関し、とくに、冷却また／および加温ユニットを自動販売機の前部側から簡単な操作で容易に所定形態に着脱できるようにした自動販売機の温度制御ユニット取付け構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
清涼飲料等の商品を冷却や加温して販売する自動販売機においては、通常、温度制御ユニットが内部下方に設けられる。とくに、メンテナンス性等を重視した自動販売機では、自動販売機の内部上方の商品庫室と下方の機械室とを天板で区画し、この機械室に、冷却や加温用の機器を一式ユニット化し、該温度制御ユニットを自動販売機の前部側から出し入れ可能に取り付けられていることが多い（たとえば、特許文献１）。
【０００３】
また、冷却ユニットの機械室への出し入れを容易に行うために、冷却ユニットを着脱方向に案内するガイド部材を設けた構造も知られている（たとえば、特許文献２）。
【０００４】
【特許文献１】
特開平３−２３５１９６号公報（特許請求の範囲）
【特許文献２】
特開２００１−３５１１６２号公報（特許請求の範囲）
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような温度制御ユニットのメンテナンス時等における着脱には、通常、多くの締結ねじや、ガスケット等のシール用部品、その他の部品を脱着することが要求される。この作業には、多くの部品や各締結ねじの脱着に加え、ユニットのバリエーション等によっては複雑な組み付け方法が必要な場合もあり、多大な作業時間や、専門知識を有する煩雑な作業が要求されることとなっていた。したがって、より容易にユニットの着脱作業を行えるようにすることが望まれている。
【０００６】
とくに、商品庫室と機械室とを天板で区画し、該機械室に対して、機器一式が組み込まれた温度制御ユニットを着脱する構造の場合には、天板とユニットとの接合部は、熱漏洩又は侵入を防ぎ、ユニット機器の運転の省エネルギー化を図る必要がある。そのため、該接合部は、密着させて良好なシール性を確保する必要があるため、単に機械室への出し入れだけではなく、機械室内においてユニットを移動調整するために必要な作業の容易化まで望まれている。自動販売機の場合には、設置場所等の関係から、ほとんどの作業を自動販売機前部側から行わなければならないが、機械室内で複雑な作業が要求されると、その作業を実質的に行うことができないか、あるいは非常にやりにくい作業となることがある。
【０００７】
そこで本発明の課題は、上記のような問題点に着目し、温度制御ユニットを自動販売機の前部側から機械室内に出し入れ可能に取り付けるに際し、機械室内において温度制御ユニットを所定の形態に取り付けたり脱着したりするために要求される作業、とくに温度制御ユニットを昇降させる動作を容易に行えるようにし、メンテナンス性を向上するとともに、簡単な作業でユニットと天板との間の良好な密着性を確保できるようにした、自動販売機の温度制御ユニット取付け構造を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造は、自動販売機の内部上方の商品庫室と下方の機械室とを天板で区画し、温度制御ユニットを自動販売機の前部側から前記機械室内に出し入れ可能に取り付ける構造において、前記温度制御ユニットの前端部および後端部の少なくとも一方に係合するテーパ面を有し、前記温度制御ユニットの前端部および後端部の少なくとも一方を昇降可能に支持する可動支持手段と、該可動支持手段を自動販売機の前部側における操作のみで動作させる操作手段を有するとともに、前記可動支持手段を該可動支持手段の水平方向移動により前記テーパ面を介して温度制御ユニットを昇降させる構造に構成したことを特徴とするものからなる。
【０００９】
温度制御ユニットとしては、冷却ユニットの他、加温ユニットも可能であり、両機能を備えたユニットも可能である。また、この温度制御ユニットとしては、商品庫室内の温度を制御するための各機器を一体的に取扱い可能に組み込んだカセット式ユニットからなることが好ましい。たとえば、冷凍機、放熱および吸熱のための熱交換器、熱交換促進用のファン等の機器が一式、一体的に取扱い可能にアセンブリされたカセット式ユニットからなることが好ましい。
【００１０】
上記可動支持手段は、たとえば、上記温度制御ユニットの前端部および後端部の少なくとも一方を昇降可能に支持する手段から構成することができる。もちろん、温度制御ユニットの前端部および後端部の両方を同時に、あるいは個別に昇降可能に支持する手段から構成することもできる。
【００１１】
より具体的には、たとえば、可動支持手段として、温度制御ユニットの前端部および後端部の少なくとも一方に係合するテーパ面を有し、該可動支持手段の水平方向移動により前記テーパ面を介して温度制御ユニットを昇降させる構造に構成することができる。
【００１２】
あるいは、可動支持手段を、温度制御ユニットの前端部および後端部の少なくとも一方への係合部を有し、該可動支持手段の上下方向移動により前記係合部を介して温度制御ユニットを昇降させる構造に構成することもできる。
【００１３】
また、これらの構造を組み合わせて可動支持手段を構成してもよい。たとえば温度制御ユニットの後端部に対しては上記テーパ面を有する構造を採用し、前端部に対しては上記係合部を有する構造を採用することが可能である。
【００１４】
上記操作手段としては、たとえば、自動販売機の前部側に設けられ、前記可動支持手段を動作させる操作ねじを有する構造に構成することができる。このような操作ねじを有する構造の場合、たとえば、該操作ねじと前記可動支持手段との間に、該操作ねじの動作を前記可動支持手段の動作に変換する作動力伝達手段が介装されている構造とすることができる。作動力伝達手段としては、ワイヤーやシャフト構造を採用できる。あるいは、上記操作ねじと前記可動支持手段が直接連結された構造とし、操作ねじを回転操作することにより、可動支持手段に自身の昇降等の動作を直接行わせることも可能である。また、これら作動力伝達手段を介装した構造と、可動支持手段に直接連結する構造とを組み合わせることも可能である。
【００１５】
このような本発明に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造においては、温度制御ユニットを機械室に挿入した後、基本的に自動販売機の前部側に設けられた操作手段を操作するだけで温度制御ユニットに必要な昇降動作を行わせることができ、必要な上下方向の位置調整作業を極めて容易に行うことができるようになる。したがって、このような作業を行うに際して、多数の締結ねじやガスケット等の部品を着脱する必要がなくなり、作業が大幅に容易化される。さらに、容易に温度制御ユニットの上下方向位置調整を行うことができることから、温度制御ユニットの天板に対する望ましい密着性、シール性が容易にかつ確実に達成されるようになる。その結果、温度制御ユニットやその各構成機器の点検、修理、交換等のメンテナンス作業の容易化とともに、そのメンテナンス作業に伴ってシール不良等の不都合が発生することも確実に防止でき、安定して所望の性能を維持できるようになる。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図１は、本発明の一実施態様に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造を示している。図１において、１は自動販売機全体を示しており、該自動販売機１の内部上方には、商品を収納する商品庫室２が形成され、下方には、温度制御ユニットを収納する機械室３が形成されている。商品庫室２と機械室３とは、天板４で区画されており、天板４には冷風や温風循環のために必要な開口（図示略）が設けられている。本実施態様では、温度制御ユニットは、冷凍機、放熱および吸熱のための熱交換器、熱交換促進用のファン等の機器が一式、一体的に取扱い可能にアセンブリされたカセット式冷却ユニット５に構成されている。冷却ユニット５は、自動販売機１の前部側から機械室３内に出し入れ可能に取り付けられる。
【００１７】
この冷却ユニット５に対して、本発明に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造が適用されている。本実施態様では、図２にも拡大して示すように、冷却ユニット５に対し、その後端部側に、冷却ユニット５を昇降可能に支持する可動支持手段として、該後端部に係合するテーパ面６を備えたステー７が設けられている。ステー７は、ベース部材８に水平方向に移動可能に設けられており、該水平移動により、テーパ面６を介して冷却ユニット５の後端部を昇降させることができるようになっている。
【００１８】
また、自動販売機１の前部側には、本実施態様ではベース部材８の自動販売機１の前部側部分に、上記ステー７を水平移動動作させることが可能な操作手段としての操作ねじ９が設けられている。操作ねじ９は、ワイヤー１０によりステー７と連結されており、操作ねじ９を一方向に回転させることにより、ワイヤー１０を巻き込んでステー７を手前側に引き寄せ、それによって上述の如く、テーパ面６を介して冷却ユニット５の後端部を上方に移動調整できるようになっている。冷却ユニット５の後端部を下降させる場合には、操作ねじ９を反対方向に回転させ、冷却ユニット５の重量を利用して、ワイヤー１０で連結されているステー７を徐々に所定量後退させ、それによってテーパ面６を介し冷却ユニット５の後端部を所定量下降させることができる。
【００１９】
冷却ユニット５の前端部は、手前側から挿入される所定サイズのステー１１によって支持されるようになっている。ステー１１は適当な手段によって固定されればよい。
【００２０】
このように構成された本実施態様に係る冷却ユニット５の取付け構造においては、冷却ユニット５が機械室３に挿入された後、冷却ユニット５の前端部側にステー１１が挿入され、冷却ユニット５の前端部側が固定される。次に、操作ねじ９が回転されることにより、ワイヤー１０が操作ねじ９に巻き込まれ、該ワイヤー１０が連結されているステー７が水平方向手前側に引き寄せられる。ステー７はテーパ面６を有しており、該テーパ面６は冷却ユニット５の後端コーナー部に係合しているので、ステー７の引き寄せ動作に伴って、冷却ユニット５の後端部が上方に移動される。この移動動作は、冷却ユニット５が天板４に密着するまで行われ、適切な上下方向移動調整により、冷却ユニット５と天板４との間の必要なシール性が確実に達成される。冷却ユニット５を取り外す場合には、操作ねじ９を逆方向に回転させて密着状態を解放し、ステー１１を外して冷却ユニット５を手前側に引き出せばよい。
【００２１】
上記冷却ユニット５の昇降を伴う作業は、実質的に単に自動販売機１の前部側に設けられている操作ねじ９を回転させるだけでよいので、極めて簡単な操作となり、従来構造に比べて作業が大幅に簡略化される。自動販売機１が狭いスペースに設置されている場合にあっても、その前部側における操作のみでよいので、作業は極めて容易に行われる。したがって、優れたメンテナンス性を発揮でき、しかも冷却ユニット５と天板４との良好なシール性を確保して、安定した性能を維持できる。
【００２２】
図３は、本発明の別の実施態様に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造を示している。本実施態様においては、冷却ユニット５の後端部側の昇降動作については、実質的に上記図２に示したのと同じ構造が適用されているが、冷却ユニット５の前端部側に対しても、昇降可能な構造が採用されている。すなわち、冷却ユニット５の前端部を昇降可能に支持する可動支持手段として、ステー２１が設けられ、ステー２１の下部は操作手段としての操作ねじ２２に直接螺合されており、操作ねじ２２の回転動作に伴って、ステー２１自体がベース部材２３に対して昇降できるようになっている。冷却ユニット５の後端部側に設けられたテーパ面６を備えたステー７は、図２に示した構造と同様、ワイヤー１０を介して操作ねじ２２に連結されている。
【００２３】
本実施態様においては、操作ねじ２２を回転操作することにより、ワイヤー１０が操作ねじ２２に巻き込まれ、該ワイヤー１０が連結されているステー７が水平方向手前側に引き寄せられて、冷却ユニット５の後端部が上方に移動される。同時に、操作ねじ２２に直接螺合しているステー２１自体が上方に移動され、冷却ユニット５の前端部も上方に移動される。したがって、冷却ユニット５は所定の水平姿勢を保ったまま、上方に移動されることになり、より確実に天板４に密着され、適切な上下方向移動調整により、冷却ユニット５と天板４との間の必要なシール性がより確実に達成される。なお、ステー２１は、冷却ユニット５の機械室３への出し入れ時に邪魔にならないよう、その上部側が適宜退避できる構造になっていることが好ましい。
【００２４】
図４は、本発明のさらに別の実施態様に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造を示している。本実施態様においては、図２に示した構造に比べ、冷却ユニット５の後端部側に対して設けられたテーパ面６を備えたステー７への動作力伝達に、ワイヤーではなく連結シャフト３１が使用されている。連結シャフト３１は、ステー７と、ベース部材３２の前端部に設けられた操作手段としての操作ねじ３３とを連結しており、操作ねじ３３の回転動作に伴って、連結シャフト３１を介してステー７を水平方向に移動させることができるようになっている。つまり、操作ねじ３３を回転させることにより、それに螺合している連結シャフト３１が水平方向手前側に移動され、それに伴って、ステー７が水平方向手前側に引き寄せられて、冷却ユニット５の後端部がテーパ面６を介して上方に移動される。このような構造においても、実質的に図２に示した構造と同等の作用、効果が得られる。
【００２５】
図５は、本発明のさらに別の実施態様に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造を示している。本実施態様においては、図４に示した構造に比べ、冷却ユニット５の前端部側に対しても、テーパ面４１を備えた可動支持手段としてのステー４２が設けられている。ベース部材４６の前端側から操作可能に設けられた操作手段としての操作ねじ４３は、図４に示した構造よりも長く延び、ステー７に連結された連結シャフト４４に螺合されている。また、この操作ねじ４３のねじ部の途中部分は、逆ねじ部４５に構成されており、該逆ねじ部４５が、ステー４２を貫通するように螺合されている。したがって、操作ねじ４３を回転させて連結シャフト４４を水平方向手前側に移動させ、それに伴って、ステー７を水平方向手前側に引き寄せて、冷却ユニット５の後端部をステー７のテーパ面６を介して上方に移動させるとき、同時に、逆ねじ部４５を介して、ステー４２が水平方向反対側に移動され、そのテーパ面４１を介して冷却ユニット５の前端部が上方に移動される。したがって、冷却ユニット５は所定の水平姿勢を保ったまま、上方に移動されることになり、より確実に天板４に密着され、適切な上下方向移動調整により、冷却ユニット５と天板４との間の必要なシール性がより確実に達成される。
【００２６】
なお、上記各実施態様は冷却ユニット５に対する取付け構造として説明したが、本発明は、加温ユニットあるいは冷却と加温の両機能を備えたユニットに対しても適用可能であることは言うまでもない。
【００２７】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動販売機の温度制御ユニット取付け構造によれば、温度制御ユニットを自動販売機の前部側から機械室内に所定形態に取り付けるに際し、実質的に自動販売機の前部側における操作のみにより、機械室内において温度制御ユニットを極めて簡単に昇降させることができるようになり、温度制御ユニットの所定形態への取付け作業を容易に行うことができる。同時に、その簡単な作業を介して、温度制御ユニットと天板との間の良好な密着性を確保することができる。したがって、メンテナンス作業の大幅な容易化とともに、自動販売機の性能の安定化をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施態様に係る温度制御ユニット取付け構造を適用した自動販売機の概略縦断面図である。
【図２】図１の温度制御ユニット取付け構造の拡大概略構成図である。
【図３】本発明の別の実施態様に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造の概略構成図である。
【図４】本発明のさらに別の実施態様に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造の概略構成図である。
【図５】本発明のさらに別の実施態様に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造の概略構成図である。
【符号の説明】
１ 自動販売機
２ 商品庫室
３ 機械室
４ 天板
５ 温度制御ユニットとしての冷却ユニット
６ テーパ面
７ 可動支持手段としてのステー
８ ベース部材
９ 操作手段としての操作ねじ
１０ ワイヤー
１１ ステー
２１ 可動支持手段としてのステー
２２ 操作手段としての操作ねじ
２３ ベース部材
３１ 連結シャフト
３２ ベース部材
３３ 操作手段としての操作ねじ
４１ テーパ面
４２ 可動支持手段としてのステー
４３ 操作手段としての操作ねじ
４４ 連結シャフト
４５ 逆ねじ部
４６ ベース部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動販売機の温度制御ユニット取付け構造に関し、とくに、冷却また／および加温ユニットを自動販売機の前部側から簡単な操作で容易に所定形態に着脱できるようにした自動販売機の温度制御ユニット取付け構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
清涼飲料等の商品を冷却や加温して販売する自動販売機においては、通常、温度制御ユニットが内部下方に設けられる。とくに、メンテナンス性等を重視した自動販売機では、自動販売機の内部上方の商品庫室と下方の機械室とを天板で区画し、この機械室に、冷却や加温用の機器を一式ユニット化し、該温度制御ユニットを自動販売機の前部側から出し入れ可能に取り付けられていることが多い（たとえば、特許文献１）。
【０００３】
また、冷却ユニットの機械室への出し入れを容易に行うために、冷却ユニットを着脱方向に案内するガイド部材を設けた構造も知られている（たとえば、特許文献２）。
【０００４】
【特許文献１】
特開平３−２３５１９６号公報（特許請求の範囲）
【特許文献２】
特開２００１−３５１１６２号公報（特許請求の範囲）
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような温度制御ユニットのメンテナンス時等における着脱には、通常、多くの締結ねじや、ガスケット等のシール用部品、その他の部品を脱着することが要求される。この作業には、多くの部品や各締結ねじの脱着に加え、ユニットのバリエーション等によっては複雑な組み付け方法が必要な場合もあり、多大な作業時間や、専門知識を有する煩雑な作業が要求されることとなっていた。したがって、より容易にユニットの着脱作業を行えるようにすることが望まれている。
【０００６】
とくに、商品庫室と機械室とを天板で区画し、該機械室に対して、機器一式が組み込まれた温度制御ユニットを着脱する構造の場合には、天板とユニットとの接合部は、熱漏洩又は侵入を防ぎ、ユニット機器の運転の省エネルギー化を図る必要がある。そのため、該接合部は、密着させて良好なシール性を確保する必要があるため、単に機械室への出し入れだけではなく、機械室内においてユニットを移動調整するために必要な作業の容易化まで望まれている。自動販売機の場合には、設置場所等の関係から、ほとんどの作業を自動販売機前部側から行わなければならないが、機械室内で複雑な作業が要求されると、その作業を実質的に行うことができないか、あるいは非常にやりにくい作業となることがある。
【０００７】
そこで本発明の課題は、上記のような問題点に着目し、温度制御ユニットを自動販売機の前部側から機械室内に出し入れ可能に取り付けるに際し、機械室内において温度制御ユニットを所定の形態に取り付けたり脱着したりするために要求される作業、とくに温度制御ユニットを昇降させる動作を容易に行えるようにし、メンテナンス性を向上するとともに、簡単な作業でユニットと天板との間の良好な密着性を確保できるようにした、自動販売機の温度制御ユニット取付け構造を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造は、自動販売機の内部上方の商品庫室と下方の機械室とを天板で区画し、温度制御ユニットを自動販売機の前部側から前記機械室内に出し入れ可能に取り付ける構造において、前記温度制御ユニットの前端部および後端部の少なくとも一方に係合するテーパ面を有し、前記温度制御ユニットの前端部および後端部の少なくとも一方を昇降可能に支持する可動支持手段と、該可動支持手段を自動販売機の前部側における操作のみで動作させる操作手段を有するとともに、前記可動支持手段を該可動支持手段の水平方向移動により前記テーパ面を介して温度制御ユニットを昇降させる構造に構成したことを特徴とするものからなる。
【０００９】
温度制御ユニットとしては、冷却ユニットの他、加温ユニットも可能であり、両機能を備えたユニットも可能である。また、この温度制御ユニットとしては、商品庫室内の温度を制御するための各機器を一体的に取扱い可能に組み込んだカセット式ユニットからなることが好ましい。たとえば、冷凍機、放熱および吸熱のための熱交換器、熱交換促進用のファン等の機器が一式、一体的に取扱い可能にアセンブリされたカセット式ユニットからなることが好ましい。
【００１０】
上記可動支持手段は、たとえば、上記温度制御ユニットの前端部および後端部の少なくとも一方を昇降可能に支持する手段から構成することができる。もちろん、温度制御ユニットの前端部および後端部の両方を同時に、あるいは個別に昇降可能に支持する手段から構成することもできる。
【００１１】
より具体的には、たとえば、可動支持手段として、温度制御ユニットの前端部および後端部の少なくとも一方に係合するテーパ面を有し、該可動支持手段の水平方向移動により前記テーパ面を介して温度制御ユニットを昇降させる構造に構成することができる。
【００１２】
あるいは、可動支持手段を、温度制御ユニットの前端部および後端部の少なくとも一方への係合部を有し、該可動支持手段の上下方向移動により前記係合部を介して温度制御ユニットを昇降させる構造に構成することもできる。
【００１３】
また、これらの構造を組み合わせて可動支持手段を構成してもよい。たとえば温度制御ユニットの後端部に対しては上記テーパ面を有する構造を採用し、前端部に対しては上記係合部を有する構造を採用することが可能である。
【００１４】
上記操作手段としては、たとえば、自動販売機の前部側に設けられ、前記可動支持手段を動作させる操作ねじを有する構造に構成することができる。このような操作ねじを有する構造の場合、たとえば、該操作ねじと前記可動支持手段との間に、該操作ねじの動作を前記可動支持手段の動作に変換する作動力伝達手段が介装されている構造とすることができる。作動力伝達手段としては、ワイヤーやシャフト構造を採用できる。あるいは、上記操作ねじと前記可動支持手段が直接連結された構造とし、操作ねじを回転操作することにより、可動支持手段に自身の昇降等の動作を直接行わせることも可能である。また、これら作動力伝達手段を介装した構造と、可動支持手段に直接連結する構造とを組み合わせることも可能である。
【００１５】
このような本発明に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造においては、温度制御ユニットを機械室に挿入した後、基本的に自動販売機の前部側に設けられた操作手段を操作するだけで温度制御ユニットに必要な昇降動作を行わせることができ、必要な上下方向の位置調整作業を極めて容易に行うことができるようになる。したがって、このような作業を行うに際して、多数の締結ねじやガスケット等の部品を着脱する必要がなくなり、作業が大幅に容易化される。さらに、容易に温度制御ユニットの上下方向位置調整を行うことができることから、温度制御ユニットの天板に対する望ましい密着性、シール性が容易にかつ確実に達成されるようになる。その結果、温度制御ユニットやその各構成機器の点検、修理、交換等のメンテナンス作業の容易化とともに、そのメンテナンス作業に伴ってシール不良等の不都合が発生することも確実に防止でき、安定して所望の性能を維持できるようになる。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図１は、本発明の一実施態様に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造を示している。図１において、１は自動販売機全体を示しており、該自動販売機１の内部上方には、商品を収納する商品庫室２が形成され、下方には、温度制御ユニットを収納する機械室３が形成されている。商品庫室２と機械室３とは、天板４で区画されており、天板４には冷風や温風循環のために必要な開口（図示略）が設けられている。本実施態様では、温度制御ユニットは、冷凍機、放熱および吸熱のための熱交換器、熱交換促進用のファン等の機器が一式、一体的に取扱い可能にアセンブリされたカセット式冷却ユニット５に構成されている。冷却ユニット５は、自動販売機１の前部側から機械室３内に出し入れ可能に取り付けられる。
【００１７】
この冷却ユニット５に対して、本発明に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造が適用されている。本実施態様では、図２にも拡大して示すように、冷却ユニット５に対し、その後端部側に、冷却ユニット５を昇降可能に支持する可動支持手段として、該後端部に係合するテーパ面６を備えたステー７が設けられている。ステー７は、ベース部材８に水平方向に移動可能に設けられており、該水平移動により、テーパ面６を介して冷却ユニット５の後端部を昇降させることができるようになっている。
【００１８】
また、自動販売機１の前部側には、本実施態様ではベース部材８の自動販売機１の前部側部分に、上記ステー７を水平移動動作させることが可能な操作手段としての操作ねじ９が設けられている。操作ねじ９は、ワイヤー１０によりステー７と連結されており、操作ねじ９を一方向に回転させることにより、ワイヤー１０を巻き込んでステー７を手前側に引き寄せ、それによって上述の如く、テーパ面６を介して冷却ユニット５の後端部を上方に移動調整できるようになっている。冷却ユニット５の後端部を下降させる場合には、操作ねじ９を反対方向に回転させ、冷却ユニット５の重量を利用して、ワイヤー１０で連結されているステー７を徐々に所定量後退させ、それによってテーパ面６を介し冷却ユニット５の後端部を所定量下降させることができる。
【００１９】
冷却ユニット５の前端部は、手前側から挿入される所定サイズのステー１１によって支持されるようになっている。ステー１１は適当な手段によって固定されればよい。
【００２０】
このように構成された本実施態様に係る冷却ユニット５の取付け構造においては、冷却ユニット５が機械室３に挿入された後、冷却ユニット５の前端部側にステー１１が挿入され、冷却ユニット５の前端部側が固定される。次に、操作ねじ９が回転されることにより、ワイヤー１０が操作ねじ９に巻き込まれ、該ワイヤー１０が連結されているステー７が水平方向手前側に引き寄せられる。ステー７はテーパ面６を有しており、該テーパ面６は冷却ユニット５の後端コーナー部に係合しているので、ステー７の引き寄せ動作に伴って、冷却ユニット５の後端部が上方に移動される。この移動動作は、冷却ユニット５が天板４に密着するまで行われ、適切な上下方向移動調整により、冷却ユニット５と天板４との間の必要なシール性が確実に達成される。冷却ユニット５を取り外す場合には、操作ねじ９を逆方向に回転させて密着状態を解放し、ステー１１を外して冷却ユニット５を手前側に引き出せばよい。
【００２１】
上記冷却ユニット５の昇降を伴う作業は、実質的に単に自動販売機１の前部側に設けられている操作ねじ９を回転させるだけでよいので、極めて簡単な操作となり、従来構造に比べて作業が大幅に簡略化される。自動販売機１が狭いスペースに設置されている場合にあっても、その前部側における操作のみでよいので、作業は極めて容易に行われる。したがって、優れたメンテナンス性を発揮でき、しかも冷却ユニット５と天板４との良好なシール性を確保して、安定した性能を維持できる。
【００２２】
図３は、本発明の別の実施態様に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造を示している。本実施態様においては、冷却ユニット５の後端部側の昇降動作については、実質的に上記図２に示したのと同じ構造が適用されているが、冷却ユニット５の前端部側に対しても、昇降可能な構造が採用されている。すなわち、冷却ユニット５の前端部を昇降可能に支持する可動支持手段として、ステー２１が設けられ、ステー２１の下部は操作手段としての操作ねじ２２に直接螺合されており、操作ねじ２２の回転動作に伴って、ステー２１自体がベース部材２３に対して昇降できるようになっている。冷却ユニット５の後端部側に設けられたテーパ面６を備えたステー７は、図２に示した構造と同様、ワイヤー１０を介して操作ねじ２２に連結されている。
【００２３】
本実施態様においては、操作ねじ２２を回転操作することにより、ワイヤー１０が操作ねじ２２に巻き込まれ、該ワイヤー１０が連結されているステー７が水平方向手前側に引き寄せられて、冷却ユニット５の後端部が上方に移動される。同時に、操作ねじ２２に直接螺合しているステー２１自体が上方に移動され、冷却ユニット５の前端部も上方に移動される。したがって、冷却ユニット５は所定の水平姿勢を保ったまま、上方に移動されることになり、より確実に天板４に密着され、適切な上下方向移動調整により、冷却ユニット５と天板４との間の必要なシール性がより確実に達成される。なお、ステー２１は、冷却ユニット５の機械室３への出し入れ時に邪魔にならないよう、その上部側が適宜退避できる構造になっていることが好ましい。
【００２４】
図４は、本発明のさらに別の実施態様に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造を示している。本実施態様においては、図２に示した構造に比べ、冷却ユニット５の後端部側に対して設けられたテーパ面６を備えたステー７への動作力伝達に、ワイヤーではなく連結シャフト３１が使用されている。連結シャフト３１は、ステー７と、ベース部材３２の前端部に設けられた操作手段としての操作ねじ３３とを連結しており、操作ねじ３３の回転動作に伴って、連結シャフト３１を介してステー７を水平方向に移動させることができるようになっている。つまり、操作ねじ３３を回転させることにより、それに螺合している連結シャフト３１が水平方向手前側に移動され、それに伴って、ステー７が水平方向手前側に引き寄せられて、冷却ユニット５の後端部がテーパ面６を介して上方に移動される。このような構造においても、実質的に図２に示した構造と同等の作用、効果が得られる。
【００２５】
図５は、本発明のさらに別の実施態様に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造を示している。本実施態様においては、図４に示した構造に比べ、冷却ユニット５の前端部側に対しても、テーパ面４１を備えた可動支持手段としてのステー４２が設けられている。ベース部材４６の前端側から操作可能に設けられた操作手段としての操作ねじ４３は、図４に示した構造よりも長く延び、ステー７に連結された連結シャフト４４に螺合されている。また、この操作ねじ４３のねじ部の途中部分は、逆ねじ部４５に構成されており、該逆ねじ部４５が、ステー４２を貫通するように螺合されている。したがって、操作ねじ４３を回転させて連結シャフト４４を水平方向手前側に移動させ、それに伴って、ステー７を水平方向手前側に引き寄せて、冷却ユニット５の後端部をステー７のテーパ面６を介して上方に移動させるとき、同時に、逆ねじ部４５を介して、ステー４２が水平方向反対側に移動され、そのテーパ面４１を介して冷却ユニット５の前端部が上方に移動される。したがって、冷却ユニット５は所定の水平姿勢を保ったまま、上方に移動されることになり、より確実に天板４に密着され、適切な上下方向移動調整により、冷却ユニット５と天板４との間の必要なシール性がより確実に達成される。
【００２６】
なお、上記各実施態様は冷却ユニット５に対する取付け構造として説明したが、本発明は、加温ユニットあるいは冷却と加温の両機能を備えたユニットに対しても適用可能であることは言うまでもない。
【００２７】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動販売機の温度制御ユニット取付け構造によれば、温度制御ユニットを自動販売機の前部側から機械室内に所定形態に取り付けるに際し、実質的に自動販売機の前部側における操作のみにより、機械室内において温度制御ユニットを極めて簡単に昇降させることができるようになり、温度制御ユニットの所定形態への取付け作業を容易に行うことができる。同時に、その簡単な作業を介して、温度制御ユニットと天板との間の良好な密着性を確保することができる。したがって、メンテナンス作業の大幅な容易化とともに、自動販売機の性能の安定化をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施態様に係る温度制御ユニット取付け構造を適用した自動販売機の概略縦断面図である。
【図２】図１の温度制御ユニット取付け構造の拡大概略構成図である。
【図３】本発明の別の実施態様に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造の概略構成図である。
【図４】本発明のさらに別の実施態様に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造の概略構成図である。
【図５】本発明のさらに別の実施態様に係る自動販売機の温度制御ユニット取付け構造の概略構成図である。
【符号の説明】
１ 自動販売機
２ 商品庫室
３ 機械室
４ 天板
５ 温度制御ユニットとしての冷却ユニット
６ テーパ面
７ 可動支持手段としてのステー
８ ベース部材
９ 操作手段としての操作ねじ
１０ ワイヤー
１１ ステー
２１ 可動支持手段としてのステー
２２ 操作手段としての操作ねじ
２３ ベース部材
３１ 連結シャフト
３２ ベース部材
３３ 操作手段としての操作ねじ
４１ テーパ面
４２ 可動支持手段としてのステー
４３ 操作手段としての操作ねじ
４４ 連結シャフト
４５ 逆ねじ部
４６ ベース部材
Claims (6)
- 自動販売機の内部上方の商品庫室と下方の機械室とを天板で区画し、温度制御ユニットを自動販売機の前部側から前記機械室内に出し入れ可能に取り付ける構造において、前記温度制御ユニットの前端部および後端部の少なくとも一方に係合するテーパ面を有し、前記温度制御ユニットの前端部および後端部の少なくとも一方を昇降可能に支持する可動支持手段と、該可動支持手段を自動販売機の前部側における操作のみで動作させる操作手段を有するとともに、前記可動支持手段を該可動支持手段の水平方向移動により前記テーパ面を介して温度制御ユニットを昇降させる構造に構成したことを特徴とする、自動販売機の温度制御ユニット取付け構造。
- 前記温度制御ユニットが冷却ユニットからなる、請求項１の自動販売機の温度制御ユニット取付け構造。
- 前記温度制御ユニットが、前記商品庫室内の温度を制御するための各機器を一体的に取扱い可能に組み込んだカセット式ユニットからなる、請求項１または２の自動販売機の温度制御ユニット取付け構造。
- 前記操作手段が、自動販売機の前部側に設けられ、前記可動支持手段を動作させる操作ねじを有する、請求項１〜３のいずれかに記載の自動販売機の温度制御ユニット取付け構造。
- 前記操作ねじと前記可動支持手段との間に、該操作ねじの動作を前記可動支持手段の動作に変換する作動力伝達手段が介装されている、請求項４の自動販売機の温度制御ユニット取付け構造。
- 前記操作ねじと前記可動支持手段が直接連結されている、請求項５の自動販売機の温度制御ユニット取付け構造。
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