JP4167123B2 - 炭化水素流動接触分解用触媒組成物およびそれを用いた重質炭化水素の流動接触分解法 - Google Patents

炭化水素流動接触分解用触媒組成物およびそれを用いた重質炭化水素の流動接触分解法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素流動接触分解用触媒組成物に関し、さらに詳しくは結晶性アルミノシリケートゼオライトと炭酸ランタンを含有する炭化水素流動接触分解用触媒組成物およびそれを用いた重質炭化水素の流動接触分解法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の石油供給事情より、残渣油などの重質炭化水素を接触分解の原料油として用いるケースが増加している。
原料油の重質炭化水素中には、バナジウムやニッケルなどの金属化合物が含まれているため、これらの金属化合物は接触分解反応において種々の悪影響を及ぼすことが知られている。触媒組成物に沈着したバナジウムは活性成分である結晶性アルミノシリケートゼオライトを破壊して触媒活性の低下を起こし、また、ニッケルは脱水素反応を促進するため水素およびコークの生成が多くなる問題があった。
【0003】
これらの問題については、プロセス面からの改良や炭化水素接触分解用触媒組成物の開発によりある程度解決されて来ている。残渣油などの重質炭化水素の接触分解に使用して、バナジウムやニッケルに対する耐メタル性が高く、残渣油の分解能に優れ、水素、コークなどの生成量が少なく、ガソリンや灯軽油留分(LCO)の収率の高い触媒組成物が種々提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、希土類の酸化物、酸塩化物およびこれらの混合物よりなるグループから選択した希土化合物を酸と反応させたメタカオリン基剤中に分散させたばらばらの粒子を含有する組成物および該組成物と混合したゼオライト含有クラッキング触媒を含有する接触クラッキング触媒について記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、不活性または触媒的固体流動性粒子の上に蓄積したバナジウムを不働態化する方法として、例えば触媒または吸収剤物質の上にランタンおよび/またはランタン分の多い稀土類の非イオン性沈着させた粒状物質を使用することが記載されている。
【0006】
さらに、特許文献3にはギブサイトおよび稀土類酸化物を配合したメソ細孔性流動接触分解触媒が開示されており、特許文献4にはFCC法における金属不動態化のためのLa/Nd−スピネル組成物が、また、特許文献5には炭化水素の接触クラッキングにおける金属混在物の不動態化に関して、接触的に活性な成分並びに接触的に活性な成分から離れた酸化ランタンを含む分離した粒子を含むクラッキング触媒組成物が開示されている。
しかし、従来の酸化ランタンなどの稀土類酸化物を含有する炭化水素流動接触分解用触媒組成物(FCC触媒)では金属不動態化能が十分ではなく、更に金属不動態化能に優れたFCC触媒が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】
特公平8−23022号公報
【特許文献2】
特公昭63−35197号公報
【特許文献3】
特開平10−146529号公報
【特許文献4】
特表平11−505280号公報
【特許文献5】
特表平5−505408号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、バナジウム、ニッケルや鉄などの金属化合物を含有する重質炭化水素の流動接触分解に使用して耐メタル性に優れ、分解活性が高くしかも水素、ガスおよびコークの生成が少なく、ガソリンや灯軽油留分が高収率で得られる炭化水素流動接触分解用触媒組成物およびそれを用いた重質炭化水素の流動接触分解法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、耐メタル性に優れたFCC触媒の改善について鋭意研究した結果、炭酸ランタンを含有したFCC触媒が従来の酸化ランタンを含有したFCC触媒よりも格段に優れた耐メタル性を示すことを見出し本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の第1は、結晶性アルミノシリケートゼオライトおよび炭酸ランタンを含有することを特徴とする炭化水素流動接触分解用触媒組成物に関する。
本発明の第2は、前記炭酸ランタンは、平均粒子径が10μm以下の微粒子であることを特徴とする請求項1記載の炭化水素流動接触分解用触媒組成物に関する。
本発明の第3は、前記結晶性アルミノシリケートゼオライトと炭酸ランタンとが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散してなることを特徴とする請求項1または2記載の炭化水素流動接触分解用触媒組成物に関する。
本発明の第4は、前記結晶性アルミノシリケートゼオライトが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した接触分解触媒粒子(A)と、前記炭酸ランタンが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した粒子(B)との混合物からなることを特徴とする請求項1または2記載の炭化水素流動接触分解用触媒組成物に関する。
本発明の第5は、前記結晶性アルミノシリケートゼオライトが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した接触分解触媒粒子(A)と前記炭酸ランタンが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した粒子(B)との混合割合(A)/(B)が99/1〜80/20重量比の範囲であることを特徴とする請求項4記載の炭化水素流動接触分解用触媒組成物に関する。
本発明の第6は、重質炭化水素の流動接触分解法において、触媒として請求項1〜5の何れかに記載された炭化水素流動接触分解用触媒組成物を用いることを特徴とする重質炭化水素の流動接触分解法に関する。
【0011】
本発明に係わる炭化水素流動接触分解用触媒組成物は、結晶性アルミノシリケートゼオライトおよび炭酸ランタンを含有することを特徴としている。
本発明での結晶性アルミノシリケートゼオライト(以下、ゼオライトという)としては、通常の炭化水素接触分解用触媒組成物に使用されるゼオライトが使用可能であり、例えば、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト、ZSM型ゼオライトなどの合成ゼオライトおよび天然ゼオライトなどが挙げられる。
これらのゼオライトは通常の接触分解用触媒組成物に使用される場合と同様に、水素、アンモニウムおよび多価金属から選ばれるカチオンでイオン交換された形で使用される。Y型ゼオライト、特に超安定性Y型ゼオライト(USY)は耐水熱安定性に優れているので好適である。
【0012】
本発明における炭酸ランタンとしては、一般に市販されている炭酸ランタンを使用することができる。
本発明における炭酸ランタンは、特に、平均粒子径が10μm以下の微粒子であることが好ましい。
粒子状の炭酸ランタンは、触媒の製造過程で使用するゼオライト中にイオン交換して組み込まれることがないので、得られた触媒組成物は炭化水素の接触分解反応に使用してガソリン生成物のオクタン価(RON)を低下することがない。炭酸ランタンの平均粒子径が10μmを越える場合には、得られた触媒組成物の耐摩耗性が悪くなることがある。本発明での炭酸ランタンは、更に好ましくは平均粒子径が0.1〜5μmの範囲にある微粒子である。
【0013】
本発明での炭化水素流動接触分解用触媒組成物は、通常の接触分解用触媒組成物と同様に多孔性無機酸化物マトリックスが使用される。
多孔性無機酸化物マトリックスとしては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、アルミナ−マグネシア、リン−アルミナ、シリカ−ジルコニア、シリカ−マグネシア−アルミナなど結合剤として作用する通常の接触分解用触媒組成物に使用される慣用のマトリックス成分が採用可能である。
また、多孔性無機酸化物マトリックスにはカオリン、ハロイサイト、モンモリナイトなどの粘土鉱物のほか、二酸化マンガンやアルミナ粒子などの硫黄酸化物捕捉剤などをも併用して含有することができる。
【0014】
本発明の第3に係わる炭化水素流動接触分解用触媒組成物は、前記ゼオライトと前記炭酸ランタンとが前記多孔性無機酸化物マトリックス中に分散してなることを特徴とするものである。
該炭化水素流動接触分解用触媒組成物では、前述のゼオライトは5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲で、また、前述の炭酸ランタンがLaとしては0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲で前述の多孔性無機酸化物マトリックス中に均一に分散していることが望ましい。
該ゼオライトの含有量が5重量%未満では、得られる触媒組成物は分解活性が低くなることがあり、また50重量%より多い場合には分解活性が高すぎて水素、ガスおよびコークの生成が増加するためにガソリン収率が低くなることがある。また、前記炭酸ランタンの含有量がLaとして0.1重量%未満では所望の効果が得られないことがあり、また40重量%より多い場合には触媒組成物の耐摩耗性(Attr.Res.)が低下することがある。
また、該炭化水素流動接触分解用触媒組成物では、前述の多孔性無機酸化物マトリックスを10〜94.9重量%、好ましくは30〜90重量%の範囲で含んでいることが望ましい。なお、該触媒組成物の各成分の重量%は合計で100重量%となるようにそれぞれの範囲内で決められる。
【0015】
前述の炭化水素流動接触分解用触媒組成物は、前述の多孔性無機酸化物マトリックス前駆物質、例えばシリカゾル、アルミナ水和物、シリカ−アルミナヒドロゲルなどに前述のゼオライトを加えて均一に分散させ、得られた混合物スラリーに前述の炭酸ランタンを加えて均一に分散させた混合物スラリーを常法通り噴霧乾燥することによって製造することができる。
炭酸ランタンは酸性水溶液に溶解するため、酸性の多孔性無機酸化物マトリックス前駆物質と混合すると溶解して粒子状炭酸ランタンが触媒組成物中に保持されないことがある。従って、多孔性無機酸化物マトリックス前駆物質スラリーと前述のゼオライトとの混合物スラリーのpHが6以下である場合には、前述の粒子状炭酸ランタンを混合してから2分間以内に、得られた混合物スラリーを噴霧乾燥することが好ましい。
前記混合してから噴霧乾燥までの時間が2分間より長くなると炭酸ランタンは溶解して粒子状態を維持出来ないことがあり、得られた触媒組成物を接触分解に使用した場合に所望の効果が得られないことがある。
本発明での前記混合してから噴霧乾燥までの時間は更に好ましくは5秒〜1分間であることが望ましい。噴霧乾燥により得られた微小球状粒子は、通常通り必要に応じて洗浄され、洗浄後は再び乾燥または乾燥、焼成される。
【0016】
また、本発明の第4に係わる炭化水素流動接触分解用触媒組成物は、前記結晶性アルミノシリケートゼオライトが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した接触分解触媒粒子(A)と、前記炭酸ランタンが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した粒子(B)(以下、アディティブ粒子ということがある)との混合物からなることを特徴とするものである。
本発明での結晶性アルミノシリケートゼオライトが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した接触分解触媒粒子(A)としては、市販されている通常のゼオライト含有流動接触用触媒組成物を使用することが可能である。最も一般的には、前述の多孔性無機酸化物マトリックス中に、水素イオン、アンモニウムイオンまたは希土類イオン交換されたY型ゼオライト(USYを含む)を分散させた触媒組成物が使用される。多孔性無機酸化物マトリックス中に分散せしめるゼオライトの量は、従来触媒組成物では5〜50重量%、より一般的には10〜40重量%程度である。
しかし、本発明では、結晶性アルミノシリケートゼオライトが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した接触分解触媒粒子(A)と共に前記炭酸ランタンが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した粒子(B)を使用する関係上、両者の混合比を考慮して、結晶性アルミノシリケートゼオライトの量が、接触分解触媒粒子(A)と粒子(B)の混合物基準で、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%になるように、予め接触分解触媒粒子(A)中の結晶性アルミノシリケートゼオライト量を調整しておくと良い。
【0017】
本発明での炭酸ランタンが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した粒子(B)は、前述の炭酸ランタンを前述の多孔性無機酸化物マトリックス中に均一に分散せしめたものであり、炭酸ランタンの含有量がLaとして10〜80重量%の範囲であることが好ましい。
炭酸ランタンの含有量がLaとして10重量%より少ない場合には、所望の効果を得るためには該粒子(B)の混合割合を多くすることが必要となるため分解活性やガソリン、灯軽油留分の収率が低下することがある。また、炭酸ランタンの含有量がLaとして80重量%より多くなると該粒子(B)の耐摩耗性が悪くなることがある。該粒子(B)中の炭酸ランタンの含有量は更に好ましくはLaとして15〜60重量%の範囲であることが望ましい。
該粒子(B)は、前述の触媒組成物の製造方法と同様の方法で、前述の多孔性無機酸化物マトリックス前駆物質スラリーに前述の炭酸ランタンを加えて均一に分散させ、得られた混合物スラリーを噴霧乾燥することによって製造される。なお、前述の理由から、該多孔性無機酸化物マトリックス前駆物質スラリーのpHが6以下である場合には、該炭酸ランタンを混合してから2分間以内に噴霧乾燥することが好ましい。
【0018】
本発明での前記接触分解触媒粒子(A)と前記粒子(B)との混合割合(A)/(B)は99/1〜80/20重量比の範囲であることが好ましい。
該粒子(B)の混合割合が前記範囲よりも少ない場合には、原料油中の金属化合物を当該粒子(B)によって優先的に十分捕捉することができず、また、逆に該接触分解触媒粒子(A)の混合割合が前記範囲よりも少ない場合には、原料油を十分に接触分解することができず、分解活性やガソリン、灯軽油留分の収率が低下することがある。本発明での該接触分解触媒粒子(A)と該粒子(B)との混合割合(A)/(B)は、更に好ましくは95/5〜85/15重量比の範囲であることが望ましい。
【0019】
本発明の炭化水素流動接触分解用触媒組成物は、従来の炭化水素流動接触分解法に使用でき、従来の流動接触分解条件が採用可能である。また、本発明の触媒組成物は、任意の従来の炭化水素供給原料油の流動接触分解に使用できるが、特にニッケルやバナジウムなどを含む重質炭化水素の流動接触分解に好適に使用される。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0021】
実施例1(炭酸ランタンの触媒組込み品−シリカバインダー)
25重量%の硫酸溶液4.0kgを激しく攪拌しながら15重量%SiO濃度のJIS3号水硝子溶液を8.2kg加え、pH1.6のケイ酸液を調製した。
このケイ酸液をSiO基準で500g計り取り、攪拌しながらカオリンを乾燥基準で950g、活性アルミナとしてギブサイト由来の瞬間焼成アルミナを乾燥基準で250g、特開2001−212462号公報の実施例1に記載されている方法と同様にして調製したアルミナ水和物で被覆した超安定性Y型ゼオライト(USY)を乾燥基準で750g加えた。この時の混合スラリーの固形分濃度は30重量%でpHは3.1であった。該混合スラリーをホモジナイザーに通して均一化した全容量6700mlの混合スラリー(a)を調製した。
別途、La基準で50gの炭酸ランタン{La(CO・8HO}を純水に懸濁して全容量を250mlに調製した後、湿式粉砕機にて平均粒子径2.5μmの炭酸ランタン粒子を含有するスラリー(b)を準備した。
前記混合スラリー(a)をポンプにて内容積約50mlのインラインホモジナイザー(ハイドロフ社製:DIAX−900)に毎分670mlの流量で送り、前記スラリー(b)をポンプにてインラインホモジナイザーに毎分25mlの流量で送り、所定の割合で混合された混合物スラリーは直ちに噴霧乾燥機に供して噴霧乾燥した。前記混合スラリー(a)と前記スラリー(b)との全量を噴霧乾燥するに要した時間は10分間であった。
噴霧乾燥で得られた球状微粒子は水に懸濁すると酸性を呈するため、該球状微粒子と15重量%アンモニア水とを、攪拌しつつ60℃に維持した純水5リットル中にpH6.5に調整しながら加え、更に5分間攪拌した後、ブフナーロートで濾過分離し、更に60℃の純水5リットルを掛け水して洗浄して造粒粒子を得た。
次いで、前記造粒粒子を60℃の5重量%硫安水に再度懸濁し、15重量%アンモニア水にてpH6.5に調整後20分間攪拌した後、ブフナーロートで濾過分離し、更に60℃の純水を掛け水して洗浄した。この操作を2回繰り返した後、得られた造粒粒子を130℃で1晩乾燥して触媒Vを調製した。触媒Vの性状を[表1]に示す。
なお、インラインホモジナイザーの使用は、前記混合スラリー(a)と前記スラリー(b)とを混合してから噴霧乾燥するまでの時間を短くして、多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した炭酸ランタンが粒子状態を維持した触媒を調製するためである。
【0022】
実施例2(炭酸ランタンの触媒組込み品−アルミナバインダー)
スティームジャケット付きの70リットルタンクに純水33.7kgを計量し、塩化アルミニウム6水塩(関東化学社製:試薬1級)7245gを攪拌しながら加え95℃まで昇温した。この塩化アルミニウム溶液に家庭用の金属アルミ箔4050gを6時間かけて溶かした後、30℃まで冷却してAl2濃度で20.5重量%、pH3.9の塩基性塩化アルミニウム溶液を得た。この塩基性塩化アルミニウム溶液をAl2基準で250g計り取り、カオリンを乾燥基準で1200g、活性アルミナとしてギブサイト由来の瞬間焼成アルミナを乾燥基準で250g加えた。ついで特開2001−212462号公報の実施例1に記載されている方法と同様にして調製したアルミナ水和物で被覆した超安定性Y型ゼオライト(USY)を乾燥基準で750g加えて混合スラリーとした。更に40℃の純水を加え混合スラリーの全重量を4800mlにした。この混合スラリーpHは4.6であった。この混合スラリーをホモジナイザーに通し均一化した混合スラリー(c)を調製した。
別途調製した平均粒子径2.5μmの炭酸ランタンのスラリーをLa2基準で50g計り取り、これに純水を加え全容量を250mlに調整したスラリー(d)を準備した。
前記混合スラリー(c)をポンプにてインラインホモジナイザーに毎分480mlの流量で送り、前記スラリー(d)をポンプにてインラインホモジナイザーに毎分25mlの流量で送り、所定の割合で混合された混合スラリーは直ぐに噴霧乾燥機に供して噴霧乾燥した。前混合スラリー(c)と前記スラリー(d)との全量を噴霧乾燥するに要した時間は10分間であった。
得られた造粒状粒子は洗浄時の粒子トロケを防止するために230℃で1時間、回転式焼成炉で焼成した後、60℃に維持した純水5リットルに造粒状粒子と15%アンモニア水とを攪拌しながら加え、pHを6.5に調整した。5分間攪拌した後、ブフナーロートで濾過分離し更に5リットルの60℃純水を掛けた。次いで、60℃の5%硫安水に脱水ケーキを再度スラリー化し、15%アンモニア水にてpHを6.5に調整後20分攪拌した。ブフナーロートにより濾過分離した後、60℃の純水を掛け水した。
この操作を2回繰り返した後、ケーキを130℃で1晩乾燥し触媒(W)を得た。触媒Wの性状を[表1]に示す。
【0023】
実施例3(炭酸ランタンのアディティブ粒子−シリカバインダー)
実施例1と同じくpH1.6のケイ酸液を調製した。このケイ酸液をSiO基準で500g計り取り、攪拌しながらカオリンを乾燥基準で750g、活性アルミナとしてギブサイト由来の瞬間焼成アルミナを乾燥基準で250g加えた。この時の混合スラリーの固形分濃度は33%でpHは2.8であった。該混合スラリー(e)はホモジナイザーを通し均一化した後、ポンプにてハイドルフ社のインラインホモジナイザーに毎分350mlの流量で送った。
別途、平均粒子径2.5μmの炭酸ランタンをLa基準で1000g、純水に懸濁し容量を4000mlにしたスラリー(f)を準備し、インラインホモジナイザーに毎分400mlの流量で送りながら、前記混合スラリー(e)とスラリー(f)との全量をスプレー乾燥機に10分間で供した。
噴霧乾燥で得られた造粒状粒子は洗浄時の粒子トロケを防止するために230℃で1時間、回転式焼成炉で焼成した後、60℃に維持した純水5リットルに造粒状粒子と15%アンモニア水とを攪拌しながら加え、pHを6.5に調整した。5分間攪拌した後、ブフナーロートで濾過分離し更に5リットルの60℃純水を掛けた。
次いで、60℃の5%硫安水に脱水ケーキを再度スラリー化し15%アンモニア水にてpHを6.5に調整後20分攪拌した。ブフナーロートにより濾過分離した後、60℃の純水を掛け水した。この操作を2回繰り返した後、ケーキを130℃で1晩乾燥し、アディティブ粒子αを得た。アディティブ粒子αの性状を[表1]に示す。
【0024】
実施例4(炭酸ランタンのアディティブ粒子−アルミナバインダー)
実施例2において調製した塩基性塩化アルミニウム溶液をAl2基準で250g計り取り、カオリンを乾燥基準で1000g、活性アルミナとしてギブサイト由来の瞬間焼成アルミナを乾燥基準で250g加え、更に40℃の純水を加えて混合スラリーの容量を2800mlとした。該混合スラリーのpHは4.9であった。この混合スラリーをホモジナイザーに通し均一化した混合スラリー(g)を調製した。
別途調製した平均粒子径2.5μmの炭酸ランタンスラリーをLa2基準で1000g計り取り、これに純水を加え全容量を4000mlに調整したスラリー(h)を準備した。
前記混合スラリー(g)をポンプにてインラインホモジナイザーに毎分280mlの流量で送り、前記スラリー(h)をポンプにてインラインホモジナイザーに毎分400mlの流量で送り、所定の割合で混合された混合スラリーは直ぐに噴霧乾燥機に供して噴霧乾燥した。前記混合スラリー(g)と前記スラリー(h)との全量を噴霧乾燥するに要した時間は10分間であった。
噴霧乾燥に供した後、得られた造粒状粒子は洗浄時の粒子トロケを防止するために230℃で1時間、回転式焼成炉で焼成した後、60℃に維持した純水5リットルに造粒状粒子と15%アンモニア水とを攪拌しながら加え、pHを6.5に調整した。5分間攪拌した後、ブフナーロートで濾過分離し更に5リットルの60℃純水を掛けた。
次いで60℃の5%硫安水に脱水ケーキを再度スラリー化し15%アンモニア水にてpHを6.5に調整後20分攪拌した。ブフナーロートにより濾過分離した後、60℃の純水を掛け水した。この操作を2回繰り返した後、ケーキを130℃で1晩乾燥しアディティブ粒子βを得た。アディティブ粒子βの性状を[表1]に示す。
【0025】
比較例1(ランタン化合物の入らない触媒)
実施例1の方法で調製した混合スラリー(a)に炭酸ランタンを加えなかったこと以外は実施例1と全く同様にして触媒Xを調製した。触媒Xの性状を[表1]に示す。
【0026】
比較例2(酸化ランタンの触媒組込み品−シリカバインダー)
実施例1において、炭酸ランタンの代わりに2.8μmの酸化ランタンを使用したこと以外は実施例1と全く同様にして触媒Yを調製した。触媒Yの性状を[表1]に示す。
【0027】
比較例3(酸化ランタンの触媒組込み品−アルミナバインダー)
実施例2において、炭酸ランタンの代わりに2.8μmの酸化ランタンを使用したこと以外は実施例2と全く同様にして触媒Zを調製した。
触媒Zの性状を[表1]に示す。
【0028】
比較例4(酸化ランタンのアディティブ粒子−アルミナバインダー)
実施例4において、炭酸ランタンの代わりに2.8μmの酸化ランタンを使用したこと以外は実施例4と全く同様にしてアディティブ粒子γを調製した。
アディティブ粒子γの性状を[表1]に示す。
【0029】
比較例5(酸化ランタンのアディティブ粒子−シリカバインダー)
実施例3の方法で調製した混合スラリー(e)と、平均粒子径2. 5μmの酸化ランタンをLa基準で1000g、純水に懸濁し容量を4000mlにしたスラリーを10リットルのタンクで撹拌混合したところ、およそ2分後に混合物スラリーの粘度が高くなり強固にゲル化したため、該混合物スラリーは噴霧乾燥することができなかった。
【0030】
【表1】
Figure 0004167123
【0031】
実施例5(活性試験)
実施例および比較例の各触媒V、W、X、Y、Zおよびアディティブ粒子α、β、γは600℃で2時間、空気中で焼成して活性試験に供した。なお、アディティブ粒子α、β、γはそれぞれ触媒Xと乾燥基準で5%となるように混合して活性試験を行った。
各触媒は、活性試験を行うにあたって、ナフテン酸ニッケルとナフテン酸バナジウムをベンゼンに溶解した溶液を触媒に対してNi/V=2000/4000ppmとなるようにミッチェル法で含浸し、次いで、加熱して有機物を除いた後、流動床反応管にて750℃で6時間、100%スティーム雰囲気にて擬似平衡化処理を行った。
擬似平衡化処理した触媒は、マット試験装置(ZAYTEL社:ACE−MAT R+)を用いて下記の試験条件で活性試験した。
活性試験条件
原料油 : 50%DSAR
反応温度 : 520℃
空間速度(WHSV): 8hr―1
触媒量 : 9g
触媒/油 重量比: 4〜8
各触媒の活性試験結果を[表2]に示す。
【0032】
【表2】
Figure 0004167123
【0033】
[表2]から分かるように、本発明の実施例1および2の触媒およびアディティブ粒子α(実施例3)、アディティブ粒子β(実施例4)を含んだ触媒は、ランタンを含まない触媒Xおよび酸化ランタンを含んだ触媒Y、Zおよびアディティブ粒子γ(比較例4)を含んだ触媒に比べて、バナジウム被毒に対する耐メタル性が高く、分解率も高いことが明らかである。
さらに本発明の触媒は、比較例として示した触媒に比して、水素、ドライガス、コーク収率が低く、ガソリン留分を高収率で得ることが出来る上に、ガソリンのオクタン価の高い性能を有したことが明らかである。
【0034】
【発明の効果】
本発明により、バナジウム、ニッケルや鉄などの金属化合物を含有する重質炭化水素の流動接触分解に使用して耐メタル性に優れ、分解活性が高くしかも水素、ガスおよびコークの生成が少なく、ガソリンや灯軽油留分が高収率で得られる炭化水素流動接触分解用触媒組成物およびそれを用いた重質炭化水素の流動接触分解法を提供することができた。

Claims (6)

  1. 結晶性アルミノシリケートゼオライトおよび炭酸ランタンを含有することを特徴とする炭化水素流動接触分解用触媒組成物。
  2. 前記炭酸ランタンは、平均粒子径が10μm以下の微粒子であることを特徴とする請求項1記載の炭化水素流動接触分解用触媒組成物。
  3. 前記結晶性アルミノシリケートゼオライトと炭酸ランタンとが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散してなることを特徴とする請求項1または2記載の炭化水素流動接触分解用触媒組成物。
  4. 前記結晶性アルミノシリケートゼオライトが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した接触分解触媒粒子(A)と、前記炭酸ランタンが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した粒子(B)との混合物からなることを特徴とする請求項1または2記載の炭化水素流動接触分解用触媒組成物。
  5. 前記結晶性アルミノシリケートゼオライトが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した接触分解触媒粒子(A)と前記炭酸ランタンが多孔性無機酸化物マトリックス中に分散した粒子(B)との混合割合(A)/(B)が99/1〜80/20重量比の範囲であることを特徴とする請求項4記載の炭化水素流動接触分解用触媒組成物。
  6. 重質炭化水素の流動接触分解法において、触媒として請求項1〜5の何れかに記載された炭化水素流動接触分解用触媒組成物を用いることを特徴とする重質炭化水素の流動接触分解法。
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