JP4165818B2 - 水素製造ハイブリッドシステム - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタンや天然ガス等の低級炭化水素燃料を触媒により改質し、二酸化炭素を有用なカーボンナノフィラメント(CNF)や芳香族化合物として固定化すると同時に水素を効率よく製造する二酸化炭素固定化水素製造ハイブリッドシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水素発生方法として代表的なものに水蒸気改質法がある。図4に水蒸気改質装置50の概略図を示した。
図において、51は触媒、52は原料ガス、53はチューブ形状の反応容器、54は加熱用バーナー、55は加熱炉、56は生成ガスである。
触媒51は多数の反応容器53内に充填されており、該反応容器53が加熱炉55内に並列配置されている。加熱炉55の該部には、加熱炉55内を加熱する加熱用バーナー54が反応容器53に温度分布が生じないように複数配置されている。
この装置では、反応容器53に、水蒸気と原料炭化水素とを導入し、上記加熱用バーナー54で加熱炉55内を加熱することで触媒51を加熱して反応容器53内で導入ガスを改質する。反応後のガスは主に水素と二酸化炭素、未反応のメタンとなり、反応容器53から排出される。
【0003】
この水蒸気改質法による水素発生方法の一例を説明する。
水蒸気改質法は触媒としてニッケル等を使用し、原料の炭化水素であるメタンに、出口のガス組成に応じてS/C(スチームモル数/原料炭化水素のカーボンモル数、一般的には3〜5)の割合で水蒸気を添加し、温度:450〜900(℃),圧力:0〜3.4(MPaG),GHSV:500〜5000(1/hr)条件で反応させる事で水素と二酸化炭素を製造するものである(例えば、ズードケミー触媒(株)製のSC11−9等を使用した場合の条件)。
反応としてはCH+2HO→CO+4Hで表され,転化率は〜80%程度である。
【0004】
また、メタンを改質してプロセス上二酸化炭素が発生する事なく、有用な芳香族製造するシステムとして特許文献1、カーボンナノチューブ様の炭素を製造するシステムとしてそ特許文献2に代表される方法がある。
特許文献1に示すように低級炭化水素から直接芳香族(主にベンゼン)を製造するプロセスでは、ZSM5型ゼオライトにモリブデンを担持した触媒が代表的であり、反応は6CH→C+9Hで表され、転化率は800℃で20%程度である。この反応は一般的に温度:650〜800(℃),圧力:0〜1(MPaG),GHSV:500〜10000(1/hr)の条件下で進行する。
さらに、特許文献2に示すように低級炭化水素から水素とカーボンナノチューブ様の炭素を製造するプロセスは触媒としてニッケルや酸化鉄等を使用し、反応はCH→C+2Hで表され、転化率は800℃で90%程度にも達する。一般的に温度:400〜800(℃),圧力:0〜1(MPaG),GHSV:500〜10000(1/hr)の条件下で反応は進行する。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−334151号公報
【特許文献2】
特許2838192号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の水蒸気改質装置は以上の様に構成されているので、水素と同時に地球温暖化ガスである二酸化炭素が大量に製造される事になる。このため、将来の究極のクリーン発電システムと言われる燃料電池へ供給するための水素製造システムとして水蒸気改質装置を使用すると、地球環境に対する負荷は現在の石油依存性社会と何ら変わらないと言う欠点がある。
【0007】
また、低級炭化水素から芳香族と水素を製造するプロセスでは平衡転化率が低い事から未反応ガスを回収して再度芳香族製造型直接改質する必要があり、プロセス上の二酸化炭素排出は無いが、この時の反応熱を燃料を燃焼させて得ようとした場合のシステムとしては加熱用二酸化炭素排出量が、水蒸気改質法以上になる事も考えられる。さらに、回収するガスは副生成物を減らしメタン純度を高くしなければ安定的に触媒性能を発揮する事が出来ないし、天然ガス等を直接原料にする事が難しいという欠点がある。
【0008】
また、低級炭化水素から水素と固体炭素を製造するプロセスでは、転化率を上げようとして余り高温で改質を行うと、有用なCNFがグラファイト化し製品としての価値を失ってしまう欠点があった。このCNF炭素を効率良く得るための温度は500℃〜600℃程度と考えられ、この時のメタン転化率は50〜60%程度である。
【0009】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、メタンや天然ガス等の低級炭化水素燃料を触媒により改質し水素を発生すると同時に、従来その燃料を燃焼してエネルギーを得る場合に二酸化炭素として排出されるはずの炭素成分を有用な芳香族化合物やカーボンナノチューブ様炭素などとして固定化し、従来の水蒸気改質法に比べてプロセス上二酸化炭素排出を抑えた高効率な水素発生システムを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の水素製造ハイブリッドシステムのうち請求項1記載の発明は、低級炭化水素ガスを原料として芳香族化合物と水素とが生成される芳香族製造型直接改質器と、芳香族製造型直接改質器の後段にあって低級炭化水素ガスから水素と二酸化炭素とが生成される水蒸気改質器とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の水素製造ハイブリッドシステムの製造方法は、低級炭化水素ガスを原料として芳香族化合物と水素とが生成される芳香族製造型直接改質器と、該芳香族製造型直接改質器の前段または後段にあって低級炭化水素ガスから水素と炭素とが生成される炭素製造型直接改質器とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の水素製造ハイブリッドシステムの製造方法は、低級炭化水素ガスを原料として芳香族化合物と水素とが生成される芳香族製造型直接改質器と、芳香族製造型直接改質器の後段にあって低級炭化水素ガスから水素と二酸化炭素とが生成される水蒸気改質器と、前記芳香族製造型直接改質器の前段または後段にあって低級炭化水素ガスから水素と炭素とが生成される炭素製造型直接改質器とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の水素製造ハイブリッドシステムの製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記芳香族製造型直接改質器から送出されるガスから芳香族化合物を分離する芳香族分離手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の水素製造ハイブリッドシステムの製造方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前段の改質器で改質されたガスから未反応の原料低級炭化水素ガスを分離してその一部または全部を前段の改質器に還流させる未反応原料分離手段を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の水素製造ハイブリッドシステムの製造方法は、請求項5記載の発明において、前記未反応原料分離手段は、分離した未反応の原料低級炭化水素ガスの一部を前段の改質器に還流させるとともに、分離した原料低級ガスの一部を後段の改質器に供給可能としたことを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の水素製造ハイブリッドシステムは、請求項6記載の発明において、前記した還流させる未反応原料低級炭化水素ガス量と後段の改質器に供給する未反応原料低級炭化水素ガス量とを調整可能としたことを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の水素製造ハイブリッドシステムの製造方法は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、最終段の改質器の後段に水素精製手段を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項9記載の水素製造ハイブリッドシステムの製造方法は、請求項2記載の発明において、前記芳香族製造型直接改質器の余熱を前記炭素製造型直接改質器の加熱に利用可能としたことを特徴とする。
【0019】
すなわち、本発明は、芳香族製造型直接改質器と、水蒸気改質器および炭素製造型直接改質器の少なくとも1つとを備えるので、炭化水素中の炭素の一部を化学工業原料として有用な芳香族化合物、またCNFとして固定化し、さらに、メタンなどの未反応低級炭化水素を水蒸気改質法や炭素製造型直接改質法により水素と炭素に改質する事で、プロセス上、二酸化炭素の排出を抑え、原料を熱的・物質的に高効率で改質して水素を製造出来、同時に有用な炭化水素を芳香族と炭素として固定化する事を可能としたものである。
【0020】
なお本発明は、低級炭化水素を原料ガスとして使用する。その種別は特定のものに限定されないが、代表的にはメタンが挙げられる。また、原料となる低級炭化水素は単一種の他、複数種からなるものであってもよい。
なお、芳香族製造型直接改質器は、原料となる低級炭化水素ガスから芳香族化合物と水素とが主として製造されるものであり、その構成については特定のものに限定されない。通常は、一種または複数の金属を触媒材料として担体に担持した触媒を用いたものが例示される。改質では、低級炭化水素を原料として芳香族化合物と水素とが生成され、その他に、エタン、エチレン等が副生成物として生成される。改質されたガスには、この他に未反応の原料低級炭化水素が残存する。
【0021】
また、水蒸気改質器は、一般に水蒸気と原料低級炭化水とを触媒に接触させて反応を生じさせるもので、主として水素と一酸化炭素または二酸化炭素が生成される。また、この他に副生成物の生成があり、改質されたガスには、この他に未反応の原料低級炭化水素が残存する。水蒸気改質器では、水蒸気発生器を付設する場合もある。
【0022】
前記炭素製造型直接改質器は、水素と固体炭素(例えばカーボンナノチューブ様)が生成されるものであり、通常は適宜の触媒を用いて原料低級炭化水素を反応させる。この反応ではその他に副生成物が生成されることがある。なお、改質されたガスには、この他に未反応の原料低級炭化水素が残存する。
【0023】
本発明では、上記芳香族製造型直接改質器を必須として、水蒸気改質器と炭素製造型直接改質器の少なくとも一方を備える。水蒸気改質器は芳香族製造型直接改質器の後段に配置され、芳香族製造型直接改質器によって原料低級炭化水素の一部の元素を有用な芳香族化合物として固定化した後に、蒸気改質がなされる。これにより、システム全体で発生する二酸化炭素量を抑制して水素を効率よく製造する。また、このシステムによれば、香族製造型直接改質器で改質され不純物を含んだ未反応ガスを香族製造型直接改質器に還流させることが不要になるので、不純ガスの還流によって香族製造型直接改質器の性質が劣化するのを防止できる。
【0024】
また、炭素製造型直接改質器は、通常は二酸化炭素の生成を前提としないので、芳香族製造型直接改質器の前段、後段のいずれに設置しても良い。このシステムでは、原料低級炭化水素中の炭素が有用なCNFおよび芳香族化合物として固定化され、二酸化炭素の生成を抑制する。なお、炭素製造型直接改質器を芳香族製造型直接改質器の前段に設置する場合、原料低級炭化水素の前処理が炭素製造型直接改質器によってなされることになり、より純度の高い原料低級炭化水を芳香族製造型直接改質器に供給することが可能になる。
【0025】
なお、前記芳香族製造型直接改質器から送出されるガスから芳香族化合物を分離する芳香族分離手段を設けて系外に取り出すことで、芳香族化合物の有効利用を図ることができるとともに、芳香族化合物が後段に悪影響を与えるのを防止できる。
【0026】
また、改質されたガスには未反応の原料低級炭化水素が含まれており、この原料低級炭化水素は後段に供給されて処理されるが、改質されたガスから未反応原料低級炭化水を分離して前段の改質器に供給する分離手段を設けることができる。分離手段で分離した未反応原料の一部は燃料などとして系外に取り出すことも可能である。また、分離した未反応原料の一部を後段の改質器に割り振ることもできる。分離手段によって還流させる量と後段の改質器に供給する量を調整することで芳香族化合物製造量および水素製造量を調整することができる。
【0027】
また、炭素製造型直接改質器を配置するシステムではその反応の温度が芳香族製造型直接改質器の反応温度より低く設定出来る事から、芳香族製造型直接改質器の余熱を有効に利用する事で、既存の水蒸気改質システムより効率よく水素と芳香族および炭素を製造することが出来る。
【0028】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、この発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。なお、従来装置と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。
この実施形態のシステムは、原料低級炭化水素としてバイオガス原料を使用するものとしており、その成分は、60%CH、40%COからなる。
本システムでは、上記原料を導入して硫黄分を除く脱硫装置10と二酸化炭素を除去するためのCO除去前処理装置11が直列に配置されている。脱硫装置10の構成は特に限定されないが、例えば鉄系触媒等の使用によってHSを除去する。CO除去前処理装置11も本発明としては特定の構成に限定されないが、例えば、MEA吸収やPSA、膜分離によって構成することができ、この装置によって原料に含まれるCOがほぼ除去される。
【0029】
CO除去前処理装置11の後段には、芳香族製造型直接改質器12が接続されている。芳香族製造型直接改質器12は、例えば、5Å程度の細孔系を持つZSM5型のゼオライトにモリブデンの様な金属を担持した触媒を充填した直接改質器により構成することができる。芳香族製造型直接改質器12の後段には、芳香族製造型直接改質器12で生成された芳香族化合物を分離する、芳香族分離手段13が接続されている。芳香族分離手段13は、前記直接改質部2で生成した水素と未反応ガスを含むガスから芳香族(ベンゼン、トルエン、キシレン:BTX,及びナフタレン)を分離する分離精製装置であり、例えば分留などによって芳香族化合物を分離することができる。芳香族分離部13の後段には、芳香族除去部14が設置されている。該芳香族除去部14は、活性炭吸着等によって芳香族化合物(以下BTXという)を除去するものである。BTX分離後に分離し切れなかった微量BTXは後段のシステムに影響を与える可能性があるので、芳香族除去部14で完全に除去される。芳香族除去部14の後段には、コンプレッサ15が配置されておりメタン分離に要求される圧力までガスを昇圧して膜等の分離装置16へガスを導入する。
【0030】
上記コンプレッサ15の後段には、未反応原料分離部としてCH分離部16が接続されている。CH分離部16は、PSAや分離膜を備えており、原料メタンを分離することができる。CH分離部16の分離側は、コンプレッサ17aを備える還流路17に接続され、スルー側のガスは水蒸気改質器50と系外に供給されるように構成されている。また、CH分離部16の分離側CHは、還流路17側と水蒸気改質器50側と系外とで割り振るようにしてもよい。系外に供給されるスルーガス(例えばCH50%、H他50%)は燃料などして使用される。還流路17は、芳香族製造型直接改質器12のガス導入側に接続されている。上記水蒸気改質器50の後段側には水素精製装置18に接続されている。該水素精製装置18における分離方法は本発明としては特に限定されるものではなく、例えば、PSAや水素を透過させる膜分離方法などの適宜の方法を採用することができる。
【0031】
次に、このシステムの動作について説明する。
原料バイオガスは、脱硫装置12で脱硫され、CO除去前処理装置11で脱COがされて芳香族製造型直接改質器12に供給される。芳香族製造型直接改質器12では、例えば、750〜800℃、5気圧の条件下で触媒反応がなされ、水素と芳香族化合物とエタンなどの副生成物を生成する。また、一部の原料低級炭化水素は反応することなく未反応のままとなる。これらのガスは芳香族製造型直接改質器12から排出されて芳香族分離部13に導入される。芳香族分離部13では、ベンゼン等の芳香族化合物(BTX)が分離されて系外に取り出される。これにより、例えば、20〜40%のメタンがBTXとして固定化される。芳香族化合物を分離した残余は、芳香族除去部14によってさらに微量のBTXが除去され、さらに、水分除去装置15で水分が除去されてCH分離部16に供給される。CH分離部16では、未反応のCH(例えば純度98%以上、回収率80%)が分離され、一部が還流路17に供給され、他部が水蒸気改質器50と系外に割り振られる。スルーガスは、系外と水蒸気改質器50に供給される。系外のガスは燃料などに利用される。なお、CH分離部16では、還流路17に供給する分離ガス量と水蒸気改質器50に供給するガス量を調整できるようにしてもよい。該調整は、例えばバルブの配置および開度調整によって行うことができる。還流路17に送出されたCHは、芳香族製造型直接改質器12に供給され、芳香族直接改質反応に利用され、実働転化率を向上させる。
【0032】
水蒸気改質器50では、CHとともに水蒸気が供給され、例えば、500〜800℃、4気圧の条件で改質することによって水素と二酸化炭素、一酸化炭素が精製される。これらのガスは、水素精製装置18に供給され、ここで、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気が除去され水素が分離されて製造水素として利用される。
このシステムによれば、原料メタン中の約20〜40%の炭素を芳香族として固定化すると同時に水素を製造する事ができる。
【0033】
なお、従来の芳香族製造型直接改質器のみからなるシステムでは、原料低級炭化水素芳香族製造型直接改質器で水素とベンゼンなどを主とする芳香族化合物に改質される。しかし、ここで改質温度を例えば800℃とすると理論平衡転化率は約20%なので、未反応メタンが80%オフガスとして排出される事になる。このプロセスを単独で水素発生装置として使用した場合、原料を100%水素と芳香族に改質するためには、この未反応ガスを5回反応器に通す必要がある。しかし、既存の技術では反応を進めるためには芳香族製造型直接改質器を出た未反応ガスを冷却して生成物の水素を分離器で分離する必要があり、その後また未反応メタンを800℃に加熱せねばならないので熱効率が悪い。さらに、生成物分離の際微量の副生成物が循環ガス中に戻り、原料ガス中に蓄積する危険性があり改質性能が安定性を欠く可能性がある。しかし、本発明の構成によって、このメタン精製後の不純物を含んだ未反応ガス(例えばメタン50%,水素やC+その他50%)を後段に配置した水蒸気改質器で改質して水素を発生させれば、芳香族製造型直接改質器に性能の安定性に影響を与える不純ガスを含んだ未反応メタンを再度通す必要は無く、効率的に原料のほとんどを処理でき、かつ二酸化炭素排出を抑制して水素を製造出来、さらに化学工業原料として有用な芳香族化合物を同時に製造出来るシステムとする事が出来る。
【0034】
(実施形態2)
次に、他の実施形態を図2に基づいて説明する。
なお、この実施形態は、上記実施形態における水蒸気改質器50を炭素製造型直接改質器20に変更した以外は上記実施形態と同様であり、それら構成は同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。
炭素製造型直接改質器20は、例えばシリカ、アルミナなどの多孔質担体にニッケルや酸化鉄等などの触媒金属を担持させた触媒を備えるもので構成することができる。
上記実施形態と同様にして原料メタンの改質を芳香族製造型直接改質器12で行い、未反応メタンを含むガスを炭素製造型直接改質器20に導入して改質を行う。改質は、例えば500〜800℃、4気圧で行う。この反応によって水素と固体炭素が生成される。このシステムでは、このシステムでは、原料メタン中の約50〜90%の炭素を芳香族や炭素として固定化することと同時に水素を製造することができる。
【0035】
なお、前記実施形態で示した、芳香族製造型直接改質器と水蒸気改質器のハイブリッドシステムでは、二酸化炭素を固定化すると言う観点からメタンは前段の芳香族製造型直接改質器で芳香族として固定化されるのみである。しかし、この実施形態では、芳香族製造型直接改質器と炭素製造方直接改質器をメタン分離装置を介してハイブリッド化する事でプロセス上排出される二酸化炭素はゼロとなり、さらに前段の熱を反応温度が低い後段(炭素製造型直接改質器)に利用する事が出来、不足分をメタン分離精製装置の一部を燃料にする事で加熱用の二酸化炭素排出を抑制できる高効率システムを構築する事が出来る。
【0036】
(実施形態3)
次に、他の実施形態を図3に基づいて説明する。なお、前記各実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。
この実施形態では、芳香族製造型直接改質器12の前段に炭素製造型直接改質器20を設置したものであり、原料低級炭化水素として天然ガスを用いている。このため、このシステムでは、上記実施形態と異なり脱硫装置10、CO除去前処理装置11は省いている。原料ガスは、例えば、85%CH、15%C+を含んでいる。炭素製造型直接改質器20では、前記実施形態と同様に原料ガスから水素と固体炭素とが生成され、生成ガスと未反応の原料ガスとが排出される。この炭素製造型直接改質器20によって50〜90%のメタンが炭素として固定化される。
【0037】
炭素製造型直接改質器20の後段にはCH分離部16が設置されており、該分離部14で分離された98%程度(回収率80%程度)の未反応のCHは、還流路17を通って前記炭素製造型直接改質器20に還流され転化率向上に用いられる。CH分離部16のスルーガスおよび分離された未反応のCHが振り分けられて芳香族製造型直接改質器12に供給される。このCH分離部16におけるスルーガスの一部は、燃料にして炭素製造型直接改質器20の反応に必要な熱に利用することで従来必然的に排出されていたCOを高効率で固定化出来る。該芳香族製造型直接改質器12では、前記実施形態と同様に水素とBTXが生成される。なお、芳香族製造型直接改質器12で発生する余熱を前記炭素製造型直接改質器20の加熱源として利用することもできる。
【0038】
芳香族製造型直接改質器12の後段には芳香族分離部13が接続されており、生成されたBTXが分離される。この分離部13によって20〜40%のメタンがBTXとして固定化されることになる。分離部13でBTXを分離した残余のガスは、水素精製装置18によって水素が分離され、製造水素として供給される。水素精製装置18における残余のガスは、加熱用燃料として使用することができ、また、残余のガスから未反応原料ガスを取りだして還流路19を通して前記した炭素製造型直接改質器20に還流させてもよい。
【0039】
この実施形態によれば、原料を天然ガスとした場合、C+の成分は芳香族改質型直接改質触媒の劣化を促進させる影響がある。炭素製造型直接改質器20はC+成分でも問題なく反応が促進される事から、炭素製造型直接改質器20はC+除去の前処理装置としても効果が期待出来、このプロセスを芳香族製造型直接改質器の前段に入れる事で天然ガス中のC+成分を除去する必要が無くなる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば芳香族製造型直接改質器と水蒸気改質器または炭素製造型直接改質器を直列に配置する事で、芳香族製造型直接改質器の平衡転化率が低く、C2+等の不純ガスに触媒の寿命が影響される点を補い、二酸化炭素排出を抑えて炭化水素を芳香族と炭素に固定化し、かつ熱的・物質的に効率が良いシステムを構成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態であって、前段の芳香族製造型直接改質器と後段の水蒸気改質器とを備えるシステムのシステムフロー図である。
【図2】 同じく他の実施形態であって、前段の芳香族製造型直接改質器と後段の炭素製造型直接改質器とを備えるシステムのシステムフロー図である。
【図3】 同じく他の実施形態であって、前段の炭素製造型直接改質器と後段の芳香族製造型直接改質器とを備えるシステムのシステムフロー図である。
【図4】 従来の水蒸気改質装置を示す概略図であり、(A)は斜視図、(B)は、(A)図のB部拡大図である。
【符号の説明】
12 芳香族製造型直接改質器
13 芳香族分離部
16 CH分離部
17 還流路
18 水素精製装置
20 炭素製造型直接改質器
50 水蒸気改質器

Claims (9)

  1. 低級炭化水素ガスを原料として芳香族化合物と水素とが生成される芳香族製造型直接改質器と、芳香族製造型直接改質器の後段にあって低級炭化水素ガスから水素と二酸化炭素とが生成される水蒸気改質器とを備えることを特徴とする水素製造ハイブリッドシステム。
  2. 低級炭化水素ガスを原料として芳香族化合物と水素とが生成される芳香族製造型直接改質器と、該芳香族製造型直接改質器の前段または後段にあって低級炭化水素ガスから水素と炭素とが生成される炭素製造型直接改質器とを備えることを特徴とする水素製造ハイブリッドシステム。
  3. 低級炭化水素ガスを原料として芳香族化合物と水素とが生成される芳香族製造型直接改質器と、芳香族製造型直接改質器の後段にあって低級炭化水素ガスから水素と二酸化炭素とが生成される水蒸気改質器と、前記芳香族製造型直接改質器の前段または後段にあって低級炭化水素ガスから水素と炭素とが生成される炭素製造型直接改質器とを備えることを特徴とする水素製造ハイブリッドシステム。
  4. 前記芳香族製造型直接改質器から送出されるガスから芳香族化合物を分離する芳香族分離手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水素製造ハイブリッドシステム。
  5. 前段の改質器で改質されたガスから未反応の原料低級炭化水素ガスを分離してその一部または全部を前段の改質器に還流させる未反応原料分離手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水素製造ハイブリッドシステム。
  6. 前記未反応原料分離手段は、分離した未反応の原料低級炭化水素ガスの一部を前段の改質器に還流させるとともに、分離された原料低級ガスの一部を後段の改質器に供給可能としたことを特徴とする請求項5記載の水素製造ハイブリッドシステム。
  7. 還流させる未反応原料低級炭化水素ガス量と後段の改質器に供給する未反応原料低級炭化水素ガス量とを調整可能としたことを特徴とする請求項6記載の水素製造ハイブリッドシステム。
  8. 最終段の改質器の後段に水素精製手段を備えることを特徴とする請求1〜7のいずれかに記載の水素製造ハイブリッドシステム。
  9. 前記芳香族製造型直接改質器の余熱を前記炭素製造型直接改質器の加熱に利用可能としたことを特徴とする請求項2記載の水素製造ハイブリッドシステム。
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