JP4162631B2 - データ記憶装置及びこれを備えた移動体通信端末 - Google Patents
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Description
しかし、このディスク記憶装置では、衝撃を検知してからデータ書き込みを停止するので、衝撃が発生してから実際にデータの書き込みが停止するまでにタイムラグが存在する。そのため、衝撃が発生してから実際にデータの書き込みが停止するまでの間に、その衝撃によってヘッドが移動して、例えばヘッドがディスクに接触してディスク面を傷けたり、誤った位置にデータを書き込んだりするおそれがある。したがって、上記特許文献1に開示のディスク記憶装置のように、衝撃を検知してからデータの書き込みを停止するのでは、データの書き込み中や読み出し中に衝撃を受けることで発生する不具合を確実に回避することは困難である。
このように、上記特許文献2によれば、携帯電子機器が落下して衝撃を受ける前にデータ書き込みが停止するので、上記特許文献1に開示のディスク記憶装置のようなタイムラグは生じない。したがって、データの書き込み中に衝撃を受けることで発生する不具合を確実に回避することが可能である。
また、上記特許文献2には、利用者が机上に置かれた携帯電子機器を持ち上げたことを制御部が認識するために、上記開閉スイッチと同様の構成を有する補助スイッチを携帯電子機器のグリップ部分に設けた例も開示されている。この例によれば、利用者が机上に置かれた携帯電子機器を持ち上げる際にそのグリップ部分を握っていれば補助スイッチがオフとなり、上記開閉スイッチがオンであっても携帯電子機器が落下していないと制御部が認識して、データ書き込みを停止させない。しかし、例えば利用者が携帯電子機器のグリップ部分を握らずに把持したときには、やはり携帯電子機器が落下していると制御部が誤認識してしまい、データ書き込みを停止させてしまう。したがって、この例であっても、上述した問題が依然として存在する。
データ記憶装置が静止した状態から、その姿勢のまま自由落下すると、本データ記憶装置には、重力加速度に等しい加速度が生じる。しかし、実際にデータ記憶装置が自由落下する際には、その姿勢のまま自由落下する場合よりも、データ記憶装置が回転(自転)しながら落下する場合の方がはるかに多い。回転しながら落下する場合、加速度計測手段の計測位置がその回転中心からズレていると、その加速度計測手段により計測される加速度の絶対値は、重力加速度の絶対値を中心としてその回転周期で変動する。また、加速度計測手段の計測精度によっては多少の計測誤差が生じることも考慮しなければならない。よって、本請求項のデータ記憶装置においては、データの書き込み又は読み出しを停止させるのは、加速度計測手段により計測した加速度の絶対値が重力加速度の絶対値を中心とした上記規定範囲内であるという第1の条件を満たす場合に限っている。この規定範囲は、本データ記憶装置の利用態様に応じて予測される自由落下時の回転速度、加速度計測手段の計測精度などを考慮して、適宜設定される。
一方で、データ記憶装置が自由落下していない場合でも、例えば、利用者が本データ記憶装置を鉛直方向下方に向かって移動させたり、本データ記憶装置が鉛直方向上下に振動したりすると、重力加速度の絶対値を中心とした規定範囲内にある加速度が。加速度計測手段により瞬間的に計測されることもある。そのため、上記第1の条件だけでは、データ記憶装置が自由落下しているか否かを正確に認識することはできない。ここで、データの書き込み中や読み出し中に衝撃を受けたときに発生し得る上述した不具合の発生確率は、一般に、その衝撃の大きさが大きいほど高まる傾向にある。よって、不具合の発生確率が高い大きな衝撃を効果的に抑制できれば、その不具合の発生を大幅に抑制することができる。そして、このような大きな衝撃は、ある程度高い位置から落下したときに生じる。したがって、落下を開始してから地面や床等に衝突するまでの時間が比較的長い自由落下さえ認識できれば、上記不具合の発生を大幅に抑制できる。
そこで、本請求項のデータ記憶装置においては、上記第1の条件に加え、この第1の条件を満たす期間が一定時間継続するという第2の条件を用い、これらの条件を満たしたときにはじめてデータの書き込み又は読み出しを停止させる。これにより、上記既定範囲及び上記一定期間を適宜設定することで、データ記憶装置が自由落下していないにもかかわらず加速度が規定値以下のゼロに近い値であると瞬間的に計測される場合を排除できる。なお、上記一定期間は、データの書き込み又は読み出しに関して採用する装置構成などによって決まる衝撃耐性に応じて適宜設定される。例えば、10cmまでの高さからならデータ書き込み時又はデータ読み出し時に自由落下してもその衝撃に耐えられる装置構成であれば、上記一定期間を0.14秒程度に設定すればよい。この設定により、10cmを越える高さからの自由落下をその衝撃前に精度よく認識することが可能である。
この移動体通信端末としては、PDC(Personal Digital Cellular)方式、GSM(Global System for Mobile Communication)方式、TIA(Telecommunications Industry Association)方式等の携帯電話機、IMT(International Mobile Telecommunications)−2000で標準化された携帯電話機、TD−SCDMA(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access)方式の一つであるTD−SCDMA(MC:Multi Carrier)方式の携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、自動車電話機等の電話機が挙げられる。また、この移動体通信端末としては、表示手段を有し、利用者に把持された状態で使用されるものであればよく、上記電話機のほか、電話機能を有しないPDA(Personal Digital Assistance)等の移動型の移動体通信端末なども含まれる。
また、本発明によれば、データ記憶装置が回転しながら落下する場合でも、その衝撃前により精度よく自由落下を認識することができ、上記事態の発生を効果的に抑制することができるという優れた効果が奏される。
図2は、上記携帯電話機20の外観を示す正面図であり、図3は、その携帯電話機20のハードウェア構成を示す概略構成図である。
この携帯電話機20は、クラムシェル(折り畳み)タイプの携帯電話機であり、システムバス200、CPU201、RAM202やROM203等からなる内部制御装置、入力装置204、出力装置205、携帯電話用通信装置206、加速度センサ207、地磁気センサ208を備えている。CPU201やRAM202等の構成要素は、システムバス200を介して、互いに各種データや後述のプログラムの命令等のやり取りを行っている。上記入力装置204は、データ入力キー(テンキー、*キー、#キー)21、通話開始キー22、終話キー23、スクロールキー24、多機能キー25、マイク26などから構成されている。上記出力装置205は、表示手段としての液晶ディスプレイ(LCD)27、スピーカ28等から構成されている。上記携帯電話用通信装置206は、携帯電話通信網10を介して他の携帯電話機やインターネット上のサーバ装置と通信するためのものである。
また、上記地磁気センサ208は、上記X軸、Y軸、Z軸からなる3次元座標上における地磁気の磁界強度成分(磁束密度成分)を検知する3軸のセンサである。そして、本実施形態では、この地磁気センサ208の検知結果を利用して、X軸、Y軸及びZ軸のまわりの角度θX,θY,θZを検出する。具体的には、地磁気の方向が、基準となる地磁気の方向(基準方向)に対して変化したときの変化量を、X軸、Y軸及びZ軸のまわりの角度θX,θY,θZを用いて検出する。これにより、地磁気の方向が基準方向にあるときの姿勢から携帯電話機がその姿勢を変化させたとき、その変化後の姿勢を各角度θX,θY,θZによって特定することができる。なお、以下の説明では、X軸まわりの角度θXをピッチ角といい、Y軸まわりの角度θYをロール角といい、Z軸まわりの角度θZをヨー角という。また、ここでいうヨー角θZは、上記Y軸を水平面上に投影した水平投影Y軸と北方位との角度を示すものである。よって、このヨー角θZにより、携帯電話機20の水平投影Y軸が向いている方位を把握することができる。この地磁気センサ208も、携帯電話機20の内部に設けられた図示しない回路基板上に実装されている。
なお、上記加速度センサ207及び上記地磁気センサ208は、携帯電話機20の本体とは別体の装置として構成してもよい。この場合、上記加速度センサ207及び上記地磁気センサ208については、これらのセンサ207,208を備えた外部装置を、携帯電話機20の本体と一体になるように接続する。
この携帯電話機20は、無線通信手段としての電話通信部211及びデータ通信部212、操作手段としての操作部213、データ処理手段及びデータとしての主制御部215、出力部216、センサ検知部217、データ記憶手段としての記憶部218等を備えている。
上記データ通信部212は、上記電話通信部211と同様に、上述のハードウェア構成上の携帯電話用通信装置206等に対応する。このデータ通信部212は、携帯電話機通信網10を介して他の携帯電話機とメールのやり取りを行ったり、携帯電話機通信網10からゲートウェイサーバを介して、インターネット等の外部の通信ネットワークに接続し、インターネット上での電子メールのやり取りやWebページの閲覧等を行ったりするためのものである。
上記操作部213は、ユーザー1により操作される上述のテンキー21、通話開始キー22、終話キー23等で構成されている。この操作部213を操作することにより、ユーザーは、携帯電話機20に対してURL等のデータを入力したり、電話着信の際に通話の開始及び終了を行ったりすることができる。
また、携帯電話機20の姿勢が変わると、その姿勢の変化後における磁界強度成分(磁束密度成分)がセンサ検知部217を構成する地磁気センサ208によって検知される。センサ検知部217は、地磁気センサ208で検知された検出信号から姿勢変化後のそれぞれの角度θx,θY,θZを算出する。算出した各角度θx,θY,θZのデータは、加速度αx,αY,αZの場合と同様に、主制御部215へ出力され、主制御部215によってRAM202内に保存される。
また、携帯電話機20の向きが変わると、その向きの変化後における磁界強度成分(磁束密度成分)がセンサ検知部217を構成する地磁気センサ208によって検知される。センサ検知部217は、地磁気センサ208で検知された検出信号から向きの変化後におけるヨー角θZを算出する。算出したヨー角θZのデータも、同様に、主制御部215へ出力され、主制御部215によってRAM202内に保存される。
例えば、ユーザー1が携帯電話通信網10を介して画像データやアプリケーションプログラム等のデータをダウンロードしたとする。このような場合、主制御部215では、そのダウンロードしたデータを記憶部218のRAM202へ保存するためにデータ書込処理が発生する(S1)。データ書込処理が発生すると、主制御部215は、まず、センサ検知部217によって検知される加速度αX,αY,αZのデータを連続的に取得するサンプリング処理を開始する(S2)。その後、主制御部215は、加速度αX,αY,αZのデータを1組として予め決められた組数をサンプリングしたら、各組について、加速度αX,αY,αZのデータにより特定されるX軸、Y軸、Z軸の加速度成分を合成した加速度の絶対値を算出する(S3)。そして、主制御部215は、算出した加速度の絶対値のすべてが予め決められた既定範囲内であるか否かを判断する(S4)。この判断において既定範囲内であると判断すると、主制御部215は、携帯電話機20が自由落下していると認識する。これにより、主制御部215は、データ書込処理を停止するとともに(S10)、液晶ディスプレイ27上にデータ書込処理を停止した旨の通知画面を表示させるべく、出力部216に対して表示命令を出力する(S11)。これにより、落下の衝撃による不具合発生を防止するためにデータ書込処理を停止した旨が、ユーザー1に報知される。
また、携帯電話機20が回転しながら落下する場合、その回転の向きを予測することは不可能であり、また、自由落下中の携帯電話機20に生じる加速度の向きはその回転周期で変化する。そのため、1方向の加速度しか計測できないものや、互いに直交する2方向の加速度しか計測できない加速度センサを用いたのでは、自由落下中の携帯電話機20に生じる加速度の絶対値を正確に計測することができない。よって、本実施形態では、互いに直交する3軸方向の加速度成分をそれぞれ計測する加速度センサ207を用いている。そして、計測した各加速度成分を合成したものの絶対値を、携帯電話機20に生じる加速度の絶対値として認識する。これにより、データ記憶装置が回転しながら自由落下する場合でも、その自由落下を精度よく認識することができる。
また、1回のサンプリング処理においてサンプリングされる加速度データの組数、すなわち、加速度のサンプリング期間(一定期間)は、データの書込対象となるRAM202の構成や書込方式などの装置構成によって決まる衝撃耐性に応じて設定される。本実施形態においては、データの書込対象であるRAM202は広く利用されている半導体メモリであり、おおよそ30cmまでの高さからならデータ書き込み時又はデータ読み出し時に自由落下してもその衝撃に耐えられる装置構成になっている。30cmの高さから自由落下したときにその携帯電話機20が床や地面に衝突するまでに要する時間は約0.25秒であるので、本実施形態では、サンプリング処理が終了してからデータ書込処理が実際に停止するまでの処理時間を考慮して、上記サンプリング期間を0.2秒に設定している。そして、本実施形態では、センサ検知部217からの加速度データの出力間隔は0.02秒であるため、1回のサンプリング処理においてサンプリングされる加速度データの組数は、10個に設定されている。
また、本実施形態では、半導体メモリからなるRAM202に対するデータ書込処理又はデータ読出処理を例に挙げたが、データの書き込み中や読み出し中に自然落下による衝撃を受けると不具合が生じ得るデータ記憶手段であれば、他のデータ記憶手段に対するデータ書込処理又はデータ読出処理においても同様の効果を得ることができる。また、このデータ記憶手段としては、本実施形態のRAM202にように本体に対して固定的に設けられる内部記憶装置であっても、本体に対して着脱可能なメモリーカード等の外部記憶装置であってもよい。この外部記憶装置の具体例としては、SDメモリーカード、CF(コンパクトフラッシュ:登録商標)メモリーカード、スマートメディア、メモリースティック、MMC(マルチメディアカード)等が挙げられる。内部記憶装置としては、ハードディスク装置や、CD−ROMやDVD−ROMなどの光ディスク装置などが挙げられる。なお、ハードディスク装置のようにヘッドを記録面(ディスク面)に近接させてデータの書き込みや読み出しを行う装置構成においては、単にデータ書込処理を停止するだけでなく、ヘッドを支持するアームを固定したり、ヘッドを記録面から外れた位置へ待避させたりするのが望ましい。
また、本発明は、上述した携帯電話機20に限らず、広く、データの書き込み中や読み出し中に自然落下による衝撃を受けると不具合が生じ得るデータ記憶手段を備えたデータ記憶装置に対して有用である。特に、ユーザー1が持ち歩いたり手に持って取り扱ったりする移動体通信端末においては、ユーザー1の不注意等によって自由落下してしまう事態が多いので、これに適用するのが有益である。
207 加速度センサ(加速度計測手段)
215 主制御部
217 センサ検知部
218 記憶部
Claims (2)
- データを記憶するデータ記憶手段と、
該データ記憶手段に対してデータの書き込み及び読み出しを行うデータ処理手段とを備えたデータ記憶装置において、
互いに直交する3軸方向の加速度成分を計測する加速度計測手段を有し、
上記データ処理手段は、データの書き込み又は読み出しのデータ処理が発生したら、該加速度計測手段が計測した各加速度成分を取得して、該加速度計測手段により計測した各加速度成分を合成したものの絶対値が、重力加速度の絶対値を中心に落下中の回転運動により生じ得る当該絶対値の周期的な変動の分と該加速度計測手段の計測誤差の分を広げた規定範囲内であるか否かを判断するという取得判断処理を、該データ処理が終了するまで繰り返し行い、該取得判断処理で規定範囲内であると判断した期間が一定時間継続したとき、上記データ記憶手段に対するデータの書き込み又は読み出しを停止するものであり、
上記データ処理手段が該取得判断処理の判断結果に基づいてデータの書き込み又は読み出しを停止したときに、その旨をユーザーに報知する報知手段を有することを特徴とするデータ記憶装置。 - 請求項1のデータ記憶装置を有することを特徴とする移動体通信端末。
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