JP4160244B2 - ボールペンインキ用油性黒色顔料分散液、および油性黒色顔料ボールペンインキ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールペンインキ用油性黒色顔料分散液、および油性黒色顔料ボールペンインキに関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールペンは、書き味が非常に滑らかであることから筆記具として広範に使用されている。ボールペンのペン先(チップ)は、ボール、ボールを支持する受け座、インキ収容管からボールにインキを導くインキ誘導孔等で構成されている。ボールペンで筆記するときには、まずチップの中にあるボールにインキが付着し、そのボールが回転することによりインキが随時紙に転写される。
【0003】
このようなボールペンに特有の筆記機構から、ボールペンチップにおいては、ボールと受け座との間の空間にインキがスムーズに移動することが必要とされる。仮に、この空間でインキのスムーズな移動が妨げられると、ボールへのインキの付着が不均質になったり間欠するため、ボールペンの滑らかな書き味が損なわれ、カスレ等の筆記不良が生じうる。
【0004】
油性ボールペンインキは、一般に、有機溶剤、着色剤、潤滑剤、粘度調整剤、定着性付与剤等を含有する粘性組成物であり、多数の種類のものが知られている。ボールペンインキの着色剤としては、従来から、有機溶剤に溶解するタイプの着色剤、すなわち、染料が従来から主として用いられてきた。
【0005】
これは、顔料のように、有機溶剤に溶解しない着色剤を用いると、顔料が凝集沈降した場合にインキの粘度が変化し、ボールと受け座との間の空間におけるインキのスムーズな流動が阻害される可能性が大きいと考えられるからである。更に顔料の粒子が粗大化した場合は、ボールに衝突することによるボール摩耗という現象によって書き味が悪くなったり、筆記できなくなったりする。
【0006】
つまり、顔料インキでは、着色剤が溶剤に溶解せず分散しているため、着色剤が溶剤に溶解している染料インキと比較して着色剤が凝集沈降し易いという本質的問題を有している。その結果、顔料インキは保存安定性が染料インキよりも低く、経時的に顔料の凝集沈降や増粘が生じ易いため、長期間にわたりインキがスムーズに流動する特性が要求されるボールペンインキとしての用途には不適当と考えられてきた。
【0007】
しかし近年に至り、筆跡に耐光性や耐水性を持たせるために染料の代わりに顔料が着目され始め、油性ボールペンについても顔料を着色剤とする顔料インキが望まれている。例えば、特開平1−135881号公報、同2−233785号公報、および同7−268268号公報には、着色剤としてカーボンブラックを含有するボールペンインキが記載されている。
【0008】
しかしながら、これらのボールペンインキでは、その中に分散されたカーボンブラック粒子が凝集、粗大化、沈降し易く、その結果、インキ自体が増粘し易いため、ボールペンインキとして用いるには経時分散安定性が不十分である。
【0009】
インキの着色剤として顔料を用いる場合、あらかじめ有機溶剤中で各種樹脂、高分子分散剤或いは界面活性剤の存在下で分散機を使用して分散、安定化させる必要がある。しかしこれらには経時的に顔料が沈降凝集したり、或いは顔料インキの粘度が増粘するといった問題が介在しており、優れた分散安定性を付与させることが処方設計上、重要なポイントとなっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来からの問題を解決するものであり、その目的とするところは、黒色顔料としてアルコール系高沸点有機溶剤中で良好な分散安定性を示すカーボンブラックを選択し、これを用いて、経時的に顔料粒子が凝集したり、沈降したりしない黒色顔料分散液を提供することにある。また、その顔料分散液を用いることにより、筆跡が薄かったり、かすれたりせずに筆記性が良好で、インキの増粘や顔料の凝集のない経時分散安定性の優れた油性黒色顔料筆記具インキを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、常圧で150℃以上の沸点を示すアルコール系高沸点有機溶剤と、該高沸点有機溶剤中に溶解させた顔料分散樹脂と、該高沸点有機溶剤中に分散させたカーボンブラックとを含み、該カーボンブラックと該顔料分散樹脂との配合比(カーボンブラック/樹脂)が0.5〜5の範囲であり、そして該カーボンブラックの平均粒子径が130〜180nmである筆記具インキ用油性黒色顔料分散液を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0012】
上記目的を達成する本発明の筆記具インキ用油性黒色顔料分散液は、有機溶剤と、カーボンブラックと、有機溶剤に溶解する顔料分散樹脂とからなる顔料分散液において、前記の有機溶剤が常圧で150℃以上の沸点を示す高沸点有機溶剤を1種又は2種以上含み、カーボンブラックと樹脂との配合比率(カーボンブラック/樹脂)が0.5〜5の範囲であり、かつカーボンブラックの分散直後の初期平均粒子径が130nm〜180nmであり、顔料分散樹脂が軟化点100〜135℃のポリビニルブチラール樹脂等であり、更に顔料分散液中に含有するK量(カリウム量)が200ppm以下であることが好ましい。
【0013】
すなわち、本発明者らは、有機溶剤と、カーボンブラックと、有機溶剤に溶解する顔料分散樹脂とからなる顔料分散液において、前記の有機溶剤が常圧で150℃以上の沸点を示す高沸点有機溶剤を1種又は2種以上含み、特定の平均粒子径のカーボンブラック及び特定種類の顔料分散樹脂を含み、かつカーボンブラックと樹脂との配合比率を特定すること、更に好ましくは分散液中に含有するK量(カリウム量)が200ppm以下することによって、経時的に顔料粒子が凝集したり、沈降したりしないで、良好な分散安定性を示す黒色顔料分散液を得られることを見いだしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の形態は、有機溶剤と有機溶剤中に溶解させた顔料分散樹脂と有機溶剤中に分散させた黒色顔料とを含む筆記具インキ用油性黒色顔料分散液である。
【0015】
筆記具インキ用油性黒色顔料分散液とは、基本的には油性黒色顔料筆記具インキの顔料成分の高濃度組成物である。一般には、筆記具インキ用油性黒色顔料分散液に適当な希釈溶剤や添加剤を加えて公知の方法により油性黒色顔料筆記具インキが調製される。つまり、油性黒色顔料筆記具インキを最終生産物とした場合、筆記具インキ用油性黒色顔料分散液は油性黒色顔料筆記具インキを調製するのに用いる中間組成物である。
【0016】
一般に、筆記具インキ用油性黒色顔料分散液は固形分約15〜50重量%であり、これを固形分20〜50重量%に調整して油性黒色顔料筆記具インキが提供される。
【0017】
有機溶剤としては、筆記具インキで使われるような一般的な有機溶剤を用いることができる。好ましい有機溶剤はボールペンインキで通常使用されるアルコール系有機溶剤である。常圧で150℃以上の沸点を示す高沸点有機溶剤が特に好ましい。
【0018】
例えば、ベンジルアルコール、1−オクタノール、2−オクタノール、α―メチルベンジルアルコール等のアルコール類が挙げられ、
更に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル(フェニルグリコール)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート等グリコール類及びその誘導体が挙げられる。また、上記の有機溶剤は1種又は2種以上混合して用いてもよい。その使用量は黒色顔料分散液全量に対して50〜85重量%が好ましい。
【0019】
黒色顔料としては、カーボンブラックを用いることが好ましい。原料として用いるカーボンブラックの種類は公知の市販されているものであえれば特に限定されない。酸性カーボンブラック、中性カーボンブラック、アルカリ性カーボンブラックのいずれでも使用できるが、好ましいものは、pHが8〜9.5のものである。また、原料となるカーボンブラックをそのまま使用できるが、脱塩精製することができる。脱塩精製方法としては例えば蒸留水に分散し、濾過精製を行ったり、限外濾過法や電気透析法を用いることができる。
【0020】
原料として用いるカーボンブラックはその中に含まれるK量(カリウム量)が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下がよい。一般に、カーボンブラックは製造工程上、アルカリ金属塩、その中でも特にKOH溶液を原材料中に投入しており、そのカリウムイオンが最終製品にまで含有している。そこで、このK量が1000ppmを越えると、分散中それが核となって粒子が解れるのを妨げたり、また分散後もそれが中心となって粒子の凝集が起こり、分散系の安定化が図れなくなってしまう。
【0021】
このカーボンブラックは1次粒子径が20〜40nmであることが好ましい。そして、このカーボンブラックのDBP吸油量と1次粒子径との比率(DBP吸油量/1次粒子径(cm3/100g・nm、10m2/g))は1.0〜3.5であることが好ましい。DBP吸油量/1次粒子径の値が1.0未満になると、インキの色濃度が淡くなり、3.5を超えると、インキ中に粗大粒子が増大し、ボール摩擦が生じ筆記性能が悪くなる。
【0022】
ここで、DBP吸油量とは、所定量のカーボンブラックが、所定の条件において、ジブチルフタレートを吸収する量(cm3/100g)をいう。本発明においては、DBP吸油量の測定方法はJIS−K6221A法を用いる。
【0023】
次にカーボンブラックと樹脂の配合比率(カーボンブラック/樹脂)としては0.5〜5であり、好ましくは1〜3である。カーボンブラックと樹脂の配合比率が0.5未満の場合は少なくとも顔料表面を被覆した以外の余剰な樹脂が存在して、その部分が核となって顔料を被覆した樹脂と結びついて増粘してしまう。また、5を越えると逆に顔料表面を被覆するだけの樹脂が不足するため、樹脂で被覆されていない部分からファンデルワールス力によって接近して、やがては凝集してしまう。従って、この顔料分散液の経時安定性を図るためには、カーボンブラックと樹脂の配合比が0.5〜5の範囲であることが望ましい。
【0024】
顔料分散樹脂としては、通常の油性筆記具インキに慣用されている樹脂を用いることができる。例えばポリビニルブチラール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、テルペン−マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、エステルガム、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ポリビニルピロリドン等が用いられる。好ましくはポリビニルブチラール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、テルペンフェノール樹脂が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。特に好ましい顔料分散樹脂はポリビニルブチラール樹脂である。
【0025】
また顔料分散液の長期保存安定性を考慮すると顔料分散樹脂の軟化点が100〜135℃、好ましくは105〜130℃、105℃〜120℃であることが更に好ましい。顔料分散樹脂の配合量は、分散液全量に対して、5〜30重量%、好ましく10〜20重量%範囲に用いることにより、顔料分散性の向上や良好な粘度が調整される。最も好ましい顔料分散樹脂は軟化点が100〜135℃のポリビニルブチラール樹脂である。
【0026】
ポリビニルブチラール樹脂としては具体的には、積水化学工業社製の商品名BL−1、BL−2、BL−S、BX−10、BX−L、BM−1、BM−2、BM−S、BX−1、BH−3等;あるいは電気化学工業社製の商品名#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−4、#4000−1、#4000−2等が挙げられる。
【0027】
フェノール変性キシレン樹脂としては具体的には、三菱瓦斯化学社製の商品名HP−70、HP−100、HP−120、HP−150、HP−210、GHP−160等が挙げられる。
【0028】
ケトン樹脂としては具体的には、日立化成工業社製の商品名ハイラック111、ハイラック222、荒川化学社製の商品名K−90等が挙げられる。
【0029】
テルペンフェノール樹脂としては具体的には、ヤスハラケミカル社製の商品名YSポリスターT80、YSポリスターT100、YSポリスターT115、YSポリスターT130、YSポリスターT145、YSポリスターS145、マイティエースG125、マイティエースG150等が挙げられる。
【0030】
ロジン変性マレイン酸樹脂としては具体的には、日立化成ポリマー社製の商品名テスポール1101、テスポール1103、テスポール1104、テスポール1105、テスポール1150、テスポール1151、テスポール1152、テスポール1155、テスポール1158、テスポール1161等が挙げられる。
【0031】
本発明の筆記具インキ用油性黒色顔料分散液は、公知の方法により製造できる。一般的な製造方法は、アルコール系有機溶剤と、顔料分散樹脂と、カーボンブラックとを含む混合物を提供する工程;および該混合物を分散させる工程;を包含する方法である。
【0032】
好ましい製造方法は、まず粗分散させてその後、微分散させるという2段階の分散工程を得て製造する方法である。カーボンブラックはかなり硬いため、分散順序としてはまず、多大なエネルギーを要する条件にて顔料を粗めに分散して、その後顔料を細かく分散させる条件にて分散を行うことが好ましいのである。
【0033】
本発明に用いる分散機としてはボールミル、アトライター、フーロジェットミキサー、インペラーミル、コロイダルミル、サンドミル[例えば、ビーズミル、サンドグライダー、スーパーミル、アジテーターミル、ダイノーミル(商品名)]等の分散機を用い、混合、分散、粉砕することができる。このとき、ミル媒体を用いることができる。ミル媒体の材質は特に限定されず、例えば、ガラス製、ステンレス製、ジルコン製、ジルコニア製のビーズを用いうる。ミル媒体は、ミルの容量に対して、60〜95容量%、特に75〜85容量%の量で充填することが好ましい。
【0034】
より好ましい分散方法としては、まず顔料を平均粒子径200nm以下に粗分散する工程、粗分散した顔料分散液平均粒子径150nm以下に微分散する工程を包含する顔料分散を行うことである。粗分散工程と微分散工程とは分散条件を変えて行う。例えば、粗分散は粗分散用の分散機やミル媒体を用い、微分散は微分散用の分散機やミル媒体を用いる。
【0035】
粗分散工程を行うのに好ましい分散機は、ビーズミル、各種のサンドミルであり、ミル媒体は直径2mmのジルコニア製ビーズが好ましい。また、粗分散工程を行うのに好ましい他の条件は、ミル媒体の充填率を75〜80%にすることである。
【0036】
微分散工程を行うのに好ましい分散機は、ビーズミル、各種のサンドミルであり、ミル媒体は直径1.5mmのジルコニア製ビーズが好ましい。また、微分散工程を行うのに好ましい他の条件は、ミル媒体の充填率を80〜85%にすることである。
【0037】
上記の2段階の分散工程は、例えば、1段階目の粗分散においてはビーズ径を例えば2mmにして分散を行い、その後2段階目の分散として1.5mmのビーズに入れ替えて分散を行う。ビーズの入れ替えが容易でない場合は、1段階目の粉砕装置には2mmのビーズを入れておき、2段階目の粉砕装置には1.5mmのビーズを入れておくというように、条件の異なる粉砕装置を連結させて分散を行ってもよい。この2段階目の分散を行わないと、分散液中に粗粒子が残存して、ボールペンの筆記において、ボール摩耗が生じ、滑らかな筆記性能が損なわれてしまう可能性がある。
【0038】
上記方法によって得られた分散液に含まれるカーボンブラックの平均粒子径は、130〜180nmであることが好ましい。更に好ましくは50℃で1ヶ月保存した後の経時平均粒子径が130〜180nmであって、分散直後の平均粒子径との変化率が15%以下であり、より好ましくは10%以下である。
【0039】
元々、カーボンブラックは1次粒子で存在せず、凝集体として存在している。従って、平均粒子径が180nmを越えると凝集体としての径が大きくなり、ボールペン先端部でチップとボールの間隙をインキが通過する際に、顔料粒子即ちこの凝集体によってボール摩耗が生じてしまう。逆に平均粒子径が130nm未満になると、比表面積が増大して粒子同士の凝集力が高まり、増粘が起こる。
【0040】
また、分散直後及び50℃で1ヶ月保存後の平均粒子径が130〜180nmであっても、分散直後の平均粒子径に対してその変化率が15%を越えると、その分散系としては不安定でありまだまだその変化率が増大するか、または増粘という現象が起こる可能性がとても高くなり、ボールペンに充填した時の筆記性能に影響を及ぼしてしまう。
【0041】
上記方法によって得られた分散液の粒度分布としては、1μm以上の粒子が10重量%以下であることが望ましい。ボールペンの設計上、ボールペンインクが先端部から吐出される間隙は、ほんの数μmであり、1μm以上の粗粒子が10重量%より多く存在すれば、粗粒子が重なってボールとチップの間を通過する際に、ボール摩耗が生じてしまう。従って、上記分散方法で分散を行うことによって、1μm以上の粗粒子を10重量%以下、好ましくは5重量%以下に抑えることが重要となってくる。
【0042】
本発明の筆記具インキ用油性黒色顔料分散液は増粘や顔料の凝集沈降が生じ難く、長期間にわたりインキがスムーズに流動する特性が要求される筆記具インキ(例えば、ボールペンインキ)を提供するために十分な経時安定性を示す。例えば、本発明の筆記具用油性黒色顔料分散液は常圧50℃で1ヶ月保存しても殆ど増粘しない。具体的には、その場合の増粘率は、殆ど10%以下であり、増粘率が20%を越えることはない。
【0043】
また、黒色顔料分散液の諸条件における分散安定性をより高める目的で分散剤やレオロジーコントロール剤(増粘剤も含む)を1種もしくは2種以上併用しても良い。これらの添加量は、顔料分散液の物性を低下させない量であれば限定されないが、顔料分散液全体で0〜20重量%が好ましく、0〜10重量%がより好ましい。
【0044】
分散剤の具体例としては、アビシア製の商品名ソルスパース12000、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース27000、ソルスパース28000等;ビックケミー製の商品名ディスパビック160番シリーズ、ディスパビック180番シリーズ、ディスパビック2000、ディスパビック2001等;共栄社化学社製の商品名フローレンG−700、フローレンDOPA−17、フローレンDOPA−17HF、フローレンDOPA−33等が挙げられる。
【0045】
また、脂肪酸塩類、芳香族スルホン酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪酸硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤;デカグリセリン脂肪酸エステル、ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル等の非イオン系界面活性剤等を使用しても良い。
【0046】
レオロジーコントロール剤としては鱗片状、棒(針)状、塊(球)状、液状の何れの形状でも良く、無機系、有機系を問わず使用できる。具体的には、無機系のベントナイト、スメクタイト、シリカ、炭酸カルシウムや有機系の尿素化合物、アマイド化合物、ウレタン化合物、植物油、ポリエチレン、アクリル化合物等が挙げられる。添加量にもよるが、無機系化合物はボールや受け座の摩耗や筆記性能に悪影響を及ぼすおそれがあることから、出来れば有機系化合物が望ましい。
【0047】
本発明の第二の形態は、有機溶剤と有機溶剤中に溶解させた顔料分散樹脂と有機溶剤中に分散させた黒色顔料とを含む油性黒色顔料筆記具インキである。この油性黒色顔料筆記具インキは、上述のように、本発明の筆記具インキ用油性黒色顔料分散液に適当な有機溶剤、樹脂、添加剤等を加えて公知の方法により調製することができる。
【0048】
本発明の油性黒色顔料筆記具インキ中の黒色顔料の量は所望の色相や濃度に適した量であればよいが、添加量が多すぎると、ボールペンインキとして用いた場合に筆記描線のかすれやインキが出なくなって描線が描けなくなる、所謂筆記不能等の問題が発生し、逆に少量の場合は筆跡の着色が劣る等の問題が発生する。好ましい顔料量としては全顔料インキ組成物に対し、5〜30重量%、好ましくは7〜15重量%である。また、所期の目的及び効果を奏す範囲で公知の染料、無機顔料または有機顔料を添加することができる。
【0049】
本発明の油性黒色顔料筆記具インキの好ましい組成は、少なくとも常圧で150℃以上の沸点を示すアルコール系高沸点有機溶剤と、該高沸点有機溶剤中に溶解させた顔料分散樹脂と、該高沸点有機溶剤中に分散させたカーボンブラックとを含み、該カーボンブラックと該顔料分散樹脂との配合比(カーボンブラック/樹脂)が0.5〜5の範囲であり、そして該カーボンブラックの平均粒子径が130〜180nmのものである。
【0050】
顔料分散安定性をより改良するためには、インキ中のカリウム含有量は200ppm以下、好ましくは50ppm以下とする。また、顔料分散樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、ケトン樹脂、或いはテルペンフェノール樹脂から選ばれる樹脂を1又は2以上用いることが好ましい。この顔料分散樹脂は、軟化点が100〜135℃、好ましくは105〜130℃、105〜120℃のものを用いることが特に好ましい。
【0051】
希釈または粘度調整等のために加えられる有機溶剤は前記の顔料分散液に加えた有機溶剤が好ましく、全顔料インキに対し、全有機溶剤は40〜90重量%が好ましく、50〜80重量%が更に好ましい。
【0052】
筆跡の定着性向上、粘度調整、顔料の分散安定の目的で樹脂を添加することができる。例えば、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレンオキサイド、ロジン誘導体、テルペン系樹脂、クマロン―インデン樹脂、ポリビニルブチラ−ル樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、テルペン−マレイン酸樹脂等の一般的な顔料分散用の樹脂やオリゴマーを示すことができる。
【0053】
本発明の油性黒色顔料筆記具インキの調整は、従来公知の筆記具インキの種々の製造方法を適用することができる。即ち、分散混合機によって顔料分散液を他の成分と共に分散させることによって筆記具インキ組成物を得ることができる。
【0054】
分散混合としてはサンドミル、ボールミル、ホモミキサー、ビーズミル、高速ディスパー等の分散機を用い、混合あるいは分散することができる。
【0055】
本発明の油性黒色顔料筆記具インキには必要に応じて上記成分以外に酸化防止剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、分散剤、レオロジーコントロール剤等といった種々の添加剤を必要に応じて適宜選択して使用してもよい。
【0056】
筆記性の改善や顔料の分散安定化のために用いられる分散剤としては、アビシア製の商品名ソルスパース12000、ソルスパース20000、ソルスパース27000、ソルスパース24000、ソルスパース28000等;ビックケミー製の商品名ディスパビック160番シリーズ、ディスパビック180番シリーズ、ディスパビック2000、ディスパビック2001等;共栄社化学社製の商品名フローレンG−700、フローレンDOPA−17、フローレンDOPA−17HF、フローレンDOPA−33等が挙げられる。
【0057】
また、脂肪酸塩類、芳香族スルホン酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪酸硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤;デカグリセリン脂肪酸エステル、ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル等の非イオン系界面活性剤等も用いることが出来る。
【0058】
上記の潤滑剤としては、ひまし油、ひまし油のポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルアミン、二硫化モリブデン等が挙げられる。
【0059】
上記の増粘剤としては、NLケミカルズ社製の商品名ベントンSD−2、ベントン27、日産ガードラー触媒社製の商品名TIXOGEL VZ、TIXOGELEZ、SUD化学社製の商品名EX−0101等の有機ベントナイト系増粘剤;日本アエロジル社製の商品名アエロジル380、アエロジルCOK84、水澤化学社製の商品名ミズカシルP−801等のシリカ系増粘剤;共栄社化学社製の商品名ターレンVA−100、ターレンVA−500、ターレンVA−800、伊藤製油社製の商品名ASA T−1、ASA T−51、ASA T−350F、その他脂肪酸ポリアミド等が挙げられる。
【0060】
【発明の効果】
本発明の黒色顔料分散液は、カーボンブラックと樹脂との配合比率を調整し、カーボンブラックの分散直後の初期平均粒子径が130〜180nm、分散液中のK量(カリウム量)限定することにより、カーボンブラックを均一に安定に分散でき、ボールペンという用途に最適な色調及び流動性を有し、耐候性、耐溶剤性等の諸堅牢性が優れている。並びに本発明に用いる樹脂と相互作用が働き、経時分散安定性に優れているため、経時的に顔料粒子が凝集し粗大な粒子が形成されたり、顔料分散液中で沈降したりすることはない。
【0061】
本発明の黒色顔料分散液を用いるボールペン用油性インキは耐久性に優れ、筆記感も優れているとともに、顔料分散性の良好で経時安定性に優れ、インキ収容管内で顔料が固まってしまったり、筆記先端部を上向きに放置した場合にインキの追従性が乏しくなって、カスレが生じたり、ボール摩耗によって書き味が悪くなる等の筆記不良を起こすことがない。
【0062】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、勿論本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の記述においては、「重量部」を「部」と略す。
【0063】
実施例1〜6並びに比較例1〜6では本発明の黒色顔料分散液の製造例について説明する。
【0064】
実施例1
フェニルグリコール900gとベンジルアルコール324gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−3、積水化学工業社製軟化点:100〜110℃)216gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、カーボンブラック(カリウム量300ppm)360gを入れて約2時間撹拌した。その後、2mmのビーズを充填した横型分散機にて約1時間分散を行い、ボールペンインキ用油性黒色顔料分散液を調整した。得られた分散液は色調、流動性ともに良好であった。
【0065】
▲1▼平均粒子径と粒度分布と平均粒子径の変化率の測定
実施例1で得られた分散液中の顔料粒子の粒子径を、レーザー光散乱方式粒度分布測定装置(商品名:LPA3000/3100、大塚電子社製)を用いて測定を行い(これを初期値とする)、更にこの分散液を50℃下で保温されたオーブンの中に1ヶ月間入れておき、その後同様に測定を行い、経時変化の状態を平均粒子径の変化率として次のように求めた。その結果は表1に示した。
【0066】
【数1】
平均粒子径変化率=(1ヶ月後の値−初期値)÷(初期値)
【0067】
▲2▼粘度の変化率の測定
実施例1で得られた分散液の粘度を、回転型粘度計(EHD型)で25℃下で測定を行った(これを初期値とする)。更にこの分散液を50℃下で保温されたオーブンの中に1ヶ月間入れておき、その後同様に測定を行い、経時変化の状態を粘度の変化率として次のように求め、その結果を表1に示した。
【0068】
【数2】
粘度変化率=(1ヶ月後の値−初期値)÷(初期値)
【0069】
▲3▼分散性の確認
実施例1で得られた分散液を使用した。フェニルグリコールとベンジルアルコールの混合溶媒で2倍希釈した後、少量をプレパラートにスポットした。これにカバーガラスを被せ、室温で1日静置した後に光学顕微鏡で顔料凝集物を確認した。
【0070】
実施例2
フェニルグリコール900gとベンジルアルコール324gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−1、積水化学工業社製軟化点:100〜110℃)216gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、カーボンブラック(カリウム量300ppm)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調、流動性ともに良好であった。
【0071】
上記のボールペンインキ用油性黒色顔料分散液の平均粒子径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の測定結果を表1に示した。
【0072】
実施例3
フェニルグリコール950gとベンジルアルコール310gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−2、積水化学工業社製軟化点:105〜115℃)180gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、カーボンブラック(カリウム量300ppm)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調、流動性ともに良好であった。
【0073】
上記のボールペンインキ用油性黒色顔料分散液の平均粒子径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の測定結果を表1に示した。
【0074】
実施例4
フェニルグリコール970gとベンジルアルコール326gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−1、積水化学工業社製軟化点:110〜120℃)144gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、カーボンブラック(カリウム量300ppm)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調、流動性ともに良好であった。
【0075】
上記のボールペンインキ用油性黒色顔料分散液の平均粒子径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の測定結果を表1に示した。
【0076】
実施例5
フェニルグリコール970gとベンジルアルコール326gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−2、積水化学工業社製軟化点:105〜115℃)144gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、カーボンブラック(カリウム量900ppm)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は、実施例と同様に色調も流動性も良好であった。
【0077】
上記のボールペンインキ用油性黒色顔料分散液の平均粒子径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の測定結果を表1に示した。
【0078】
実施例6
フェニルグリコール900gとベンジルアルコール324gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−3、積水化学工業社製軟化点:100〜110℃)216gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、カーボンブラック(カリウム量300ppm)360gを入れて約2時間撹拌した。その後、2mmのビーズを充填した横型分散機にて約1時間分散を行い、その後更に1.5mmのビーズに入れ替えて約30分間分散を行った。得られた分散液は、実施例1と同様に色調も流動性も良好であった。
【0079】
上記のボールペンインキ用油性黒色顔料分散液の平均粒子径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の測定結果を表1に示した。
【0080】
比較例1
フェニルグリコール900gとベンジルアルコール324gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−3、積水化学工業社製軟化点:100〜110℃)216gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、カーボンブラック(カリウム量1200ppm)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は実施例と同様に色調、流動性は良好であった。
【0081】
上記のボールペンインキ用油性黒色顔料分散液の平均粒子径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の測定結果を表1に示した。
【0082】
比較例2
フェニルグリコール470gとベンジルアルコール160gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−1、積水化学工業社製軟化点:100〜110℃)810gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、カーボンブラック(カリウム量300ppm)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調は問題なかったが、流動性があまり良くなかった。
【0083】
上記のボールペンインキ用油性黒色顔料分散液の平均粒子径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の測定結果を表1に示した。
【0084】
比較例3
フェニルグリコール1000gとベンジルアルコール386gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−1、積水化学工業社製 軟化点:100〜110℃)54gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、カーボンブラック(カリウム量300ppm)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調は問題ないが、分散直後から流動性が悪くやがて増粘した。
【0085】
上記のボールペンインキ用油性黒色顔料分散液の平均粒子径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の測定結果を表1に示した。
【0086】
比較例4
フェニルグリコール800gとベンジルアルコール280gとの混合溶媒中に、フェノール変性キシレン樹脂(商品名:HP−120、三菱瓦斯化学社製 軟化点:125〜135℃)360gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、カーボンブラック(カリウム量300ppm)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調は問題なかったが、流動性がほとんどない状態であった。
【0087】
上記のボールペンインキ用油性黒色顔料分散液の平均粒子径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の測定結果を表1に示した。
【0088】
比較例5
フェニルグリコール860gとベンジルアルコール292gとの混合溶媒中に、テルペンフェノール樹脂(商品名:YSポリスターN125、ヤスハラケミカル社製 軟化点:120〜130℃)288gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、カーボンブラック(カリウム量300ppm)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調は問題なかったが、流動性がほとんどない状態であった。
【0089】
上記のボールペンインキ用油性黒色顔料分散液の平均粒子径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の測定結果を表1に示した。
【0090】
比較例6
フェニルグリコール780gとベンジルアルコール260gとの混合溶媒中に、ケトン樹脂(商品名:ハイラック222、日立化成工業社製 軟化点:100〜120℃)400gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、カーボンブラック(カリウム量300ppm)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調は問題なかったが、流動性がほとんどない状態であった。
【0091】
上記のボールペンインキ用油性黒色顔料分散液の平均粒子径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の測定結果を表1に示した。
【0092】
【表1】
【0093】
実施例7〜12及び比較例7〜12では本発明のボールペンインキ用油性黒色顔料分散液を用いた油性黒色顔料ボールペンインキについて説明する。
【0094】
実施例7
実施例1で得られた黒色顔料分散液50部、フェニルグリコール25部、ベンジルアルコール10部、ロジン変性フェノール樹脂(軟化点:110〜115℃)5部、ケトン樹脂(軟化点:100〜120℃)5部、ポリビニルピロリドン1部、オレイン酸4部を分散混合することにより油性黒色顔料ボールペンインキを調製した。
【0095】
上記で得られたインキを直径0.7mmの超硬ボールとステンレス製チップと収容管からなるボールペンに充填して、油性ボールペンを得た。そのボールペンで筆記するとなめらかで良好な筆記性を示した。そして50℃の恒温槽中に筆記先端部を上向きにして1ヶ月間放置した後、室温にて1日放置して、筆記角度70°、荷重100gで直線筆記して、その時のカスレ長さを測定し、その結果を表2に示した。
【0096】
上記で得られた油性ボールペンを筆記試験機にてJIS S6039に準拠し、荷重100g、筆記角度70°、筆記速度4m/分の条件で筆記を行い、500m筆記後のボール摩耗量を光学顕微鏡を用いて測定し、手書きにて筆記感のテストを行い、その結果を表2に示した。
【0097】
実施例8〜12
実施例8〜12はそれぞれ実施例2〜6で得られた黒色顔料分散液を使って、実施例7と同様に油性黒色顔料ボールペンインキを調製した。得られたインキはそれぞれ良好な色調を示し、顔料の凝集及び沈降せずに、インキの粘度が安定し、初期及び経時において良好な筆記性を示した。
【0098】
比較例7〜8
比較例7〜8はそれぞれ比較例1〜2で得られた黒色顔料分散液を使って、実施例7と同様に油性黒色顔料ボールペンインキを調製した。得られたインキはそれぞれ色調は良好であったが、筆記テストにおいてボールの摩耗により、満足な筆記感を得ることはできなかった。
【0099】
比較例9〜12
比較例9〜12については、それぞれ比較例3〜6で得られた黒色顔料分散液は増粘がひどかったため、実施例7のインキ処方及びその配合比を変更させても、得られた黒色顔料インキは増粘気味であり、ボールペンに充填することができなかった。
【0100】
実施例13〜14では本発明の油性黒色顔料ボールペンインキについて説明する。
【0101】
実施例13
フェニルグリコール600gとベンジルアルコール420gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−1、積水化学工業社製軟化点:100〜110℃)180g、ロジン変性フェノール樹脂(軟化点:110〜115℃)150g、ケトン樹脂(軟化点:100〜120℃)150g、オレイン酸120g、ポリビニルピロリドン30gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、カーボンブラック(カリウム量300ppm)300gを加えて約2時間撹拌した。その後、2mmのビーズを充填した横型分散機にて約30分間分散を行い、その後、フェニルグリコール750g、ベンジルアルコール300gで希釈を行って、油性黒色顔料ボールペンインキを調製した。得られたインキは色調、流動性ともに良好であった。
【0102】
実施例14
フェニルグリコール630gとベンジルアルコール420gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−1、積水化学工業社製軟化点:100〜110℃)150g、ロジン変性フェノール樹脂(軟化点:110〜115℃)150g、ケトン樹脂(軟化点:100〜120℃)150g、オレイン酸120g、ポリビニルピロリドン30gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、カーボンブラック(カリウム量300ppm)300gを加えて約2時間撹拌した。その後、2mmのビーズを充填した横型分散機にて約30分間分散を行い、その後、フェニルグリコール750g、ベンジルアルコール300gで希釈を行って、油性黒色顔料ボールペンインキを調製した。得られたインキは色調、流動性ともに良好であった。
【0103】
上記で得られたインキを直径0.7mmの超硬ボールとステンレス製チップと収容管からなるボールペンに充填して、油性ボールペンを得た。そのボールペンで筆記するとなめらかで良好な筆記性を示した。そして50℃の恒温槽中に筆記先端部を上向きにして1ヶ月間放置した後、室温にて1日放置して、筆記角度70°、荷重100gで直線筆記して、その時のカスレ長さを測定し、その結果を表2に示した。
【0104】
上記で得られた油性ボールペンを筆記試験機にてJIS S6039に準拠し、荷重100g筆記角度70°、筆記速度4m/分の条件で筆記を行い、500m筆記後のボール摩耗量を光学顕微鏡を用いて測定し、手書きにて筆記感のテストを行い、その結果を表2に示した。
【0105】
【表2】
Claims (10)
- 常圧で150℃以上の沸点を示すアルコール系高沸点有機溶剤と、該高沸点有機溶剤中に溶解させた顔料分散樹脂と、該高沸点有機溶剤中に分散させたカーボンブラックとを含み、前記顔料分散樹脂がポリビニルブチラール樹脂であり、該カーボンブラックと該顔料分散樹脂との配合比(カーボンブラック/樹脂)が0.5〜5の範囲であり、そして該カーボンブラックの初期平均粒子径が130〜180nmであるボールペンインキ用油性黒色顔料分散液。
- 前記顔料分散樹脂の軟化点が100〜135℃である請求項1記載の油性黒色顔料分散液。
- 前記カーボンブラックに含まれるカリウム量が1000ppm以下である請求項1記載の油性黒色顔料分散液。
- 前記カーボンブラックの1次粒子径が20〜40nmであり、DBP吸油量と1次粒子径との比率(DBP吸油量/1次粒子径)が1.0〜3.5である請求項1記載の油性黒色顔料分散液。
- 前記カーボンブラックのpHが8〜9.5である請求項1記載の油性黒色顔料分散液。
- カリウム含有量が200ppm以下である請求項1記載の油性黒色顔料分散液。
- 常圧50℃で1ヶ月保存後のカーボンブラックの平均粒子径が130〜180nmであり、分散直後の平均粒子径に対して常圧50℃で1ヶ月保存後の平均粒子径の変化率が15%以下である請求項1〜6のいずれか記載の油性黒色顔料分散液。
- 前記カーボンブラックの粒子径1μm以上の粒子の含有率が10重量%以下である請求項1〜7のいずれか記載の油性黒色顔料分散液。
- 常圧50℃で1ヶ月保存後の増粘率が20%以下である請求項1〜8のいずれか記載の油性黒色顔料分散液。
- 請求項1記載のボールペンインキ用油性黒色顔料分散液と、常圧で150℃以上の沸点を示すアルコール系高沸点有機溶剤とを少なくとも含む油性黒色顔料ボールペンインキ。
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