JP4159682B2 - 止血材 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は止血材に関する。本発明の止血材は、患部において血液を吸収し、出血部位に付着したゲルを形成して物理的止血効果を発現することから、外科用の止血材、特に外科手術用の止血材として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、外科手術用の止血材として下記のようなものが知られている。
代表的なものとしては、フィブリノーゲン、血液凝固第XIII因子およびトロンビンからなる、いわゆるフィブリン糊が挙げられる。現在、数社から市販されているが、いずれもヒト血漿由来のフィブリノーゲンを用いているため、ウィルス等の病原体に感染する可能性を否定できないという問題点がある。さらに、使用直前に数種類の材料を混合する必要があり、操作性の点でも問題が残されている。
【0003】
また、繊維状コラーゲンからなる止血材も市販されているが、コラーゲンの抗原性によりアレルギー反応を起こす場合があるという問題点がある。
【0004】
その他、酸化セルロ−ス粉末を用いた止血材が市販されているが、生体内での吸収速度が遅く、溶血反応や異物反応を惹起するという問題点が指摘されている。
【0005】
以上のように、従来の止血材には、感染性、感作性、毒性などの生物学的安全性の問題や、操作性の問題が残されている。
【0006】
一方、ポリカチオン性物質とポリアニオン性物質を水の共存化で混合すると、速やかにポリイオンコンプレックスが形成されることはよく知られており、ポリイオンコンプレックスは医薬品、医療用具をはじめ広い分野で利用されている。
【0007】
例えば、特開昭53−110693号公報には、デキストランの陰イオン性部分置換体と多糖類の陽イオン性部分置換体を反応させて得た高分子複合体を粉末、粒状または錠剤とした止血剤が開示されているが、この止血剤は血液凝固を促進する効果はあっても、出血部位に付着することによる物理的止血効果が期待できない。
【0008】
また、特開昭61−73665号公報には、カルシウム塩水溶液を添加したポリアニオン性材料水溶液とポリカチオン性材料水溶液を傷口に噴霧して皮膜を形成する傷口保護材が開示されている。しかしこの方法では、ポリアニオン性物質とポリカチオン性物質が水溶液として供給されるため、血液を吸収する効果が期待できない。また、2種類の溶液を患部に滴下し、混合する必要があるため、操作が煩わしいという問題があった。
【0009】
また、特開平3−278538号公報には、歯周ポケット内に注入する、高分子電解質錯体を有効成分とする歯周組織再生促進用薬剤が開示されているが、ポリカチオン性物質の粉末およびポリアニオン性物質の粉末からなる止血材は記載されていない。
【0010】
さらに、特開平8−224293号公報には、キトサン、アルギン酸、キチン及び支持体を順次重ね合わせた構造を有する創傷治療用多層体が開示されているが、この創傷治療用多層体はアルミガーゼ等を支持体として用いており、体内に埋め込まれる外科用止血材には適さない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、感染性、感作性などの心配がなく生体安全性に優れ、患部に散布または塗布した時に患部組織に付着してゲル化する、操作性に優れた止血材を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、ポリカチオン性物質の粉末およびポリアニオン性物質の粉末からなる止血材を提供することによって達成される。
また、上記の目的は、ポリカチオン性物質の粉末およびポリアニオン性物質の粉末を水溶性の液体分散媒に懸濁してなる止血材を提供することによって達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリカチオン性物質は、その分子中に複数個のカチオン性基を有し、水の存在下に後記ポリアニオン性物質とゲル状のポリイオンコンプレックスを形成することができ、該ポリイオンコンプレックスが生体組織に付着して止血作用を発揮することができ、生体に対して有害反応の少ないものであれば特に制限はなく、患部の組織が治癒した後に分解して生体内に吸収されるように、生体吸収性を有する物質であるのが好ましい。
そして、ポリカチオン性物質は、水に溶解または膨潤することが可能な程度の親水性を有し、水中でカチオン性基がプラスの電荷を帯びるという特性を有するものが好ましく使用される。
【0014】
カチオン性基としては、例えばアミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基等のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;イミノ基;グアニジノ基などが挙げられ、ポリカチオン性物質としては、1分子中に2個以上のアミノ基を有する物質が好ましい。
【0015】
ポリカチオン性物質としては、キトサン、部分脱アセチル化キチン、アミノ化セルロース等の塩基性多糖類;ポリリジン、ポリアルギニン、リジンとアルギニンの共重合体等の塩基性アミノ酸の単独重合体または共重合体;ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の塩基性ビニルポリマー、およびこれらの塩類(塩酸塩、酢酸塩等)などのポリカチオン性ポリマーを挙げることができ、生体に対する安全性の観点から、塩基性多糖類またはその塩が好ましく、キトサンまたはその塩がより好ましい。さらに、これらのポリカチオン性ポリマーを架橋することによって得られる架橋ポリマーを用いることもできる。ポリカチオン性ポリマーを架橋する方法としては、公知の方法のいずれも用いることができる。ポリカチオン性ポリマーがアミノ基を有する場合には、ポリカチオン性ポリマーのアミノ基をジカルボン酸またはジカルボン酸無水物と縮合反応させることにより架橋する方法が好ましい。
【0016】
ポリカチオン性物質の分子量は特に制限されないが、分子量が大きくなるにしたがって水溶液の粘度が高くなり、粉末の製造が困難となる傾向があることから、ポリカチオン性物質の粘度(1%水溶液を20℃で測定)は10,000cp以下であるのが好ましく、5,000cp以下であるのがより好ましい。
【0017】
さらに、本発明の止血材では、2種類以上のポリカチオン性物質を用いることもできる。
【0018】
本発明におけるポリアニオン性物質としては、その分子中に複数個のアニオン性基を有し、水の存在下に前記ポリカチオン性物質とゲル状のポリイオンコンプレックスを形成することができ、該ポリイオンコンプレックスが生体組織に付着して止血作用を発揮することができ、生体に対して有害反応の少ないものであれば特に制限はなく、患部の組織が治癒した後に分解して生体内に吸収されるように、生体吸収性を有する物質であるのが好ましい。
そして、ポリアニオン性物質は、水に溶解または膨潤することが可能な程度の親水性を有し、水中でアニオン性基が解離することによりマイナスの電荷を帯びるという特性を有するものが好ましく使用される。
【0019】
アニオン性基としては、例えばカルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられ、ポリアニオン性物質としては、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する物質が好ましく、酸性多糖類がより好ましい。
【0020】
酸性多糖類としては、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン硫酸、ペクチン等のカルボキシル基、硫酸基等のアニオン性基を有する天然酸性多糖類;セルロース、デキストラン、デンプンなどの天然ではカルボキシル基、硫酸基等のアニオン性基を有しない多糖類にアニオン性基を導入することにより人工的に合成された酸性多糖類、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルキトサン、硫酸化セルロース、硫酸化デキストラン等を挙げることができ、生体に対する安全性の観点から、アルギン酸またはその誘導体が好ましい。
【0021】
また、酸性多糖類としては、それが有する水酸基の一部または全部を酢酸、硝酸、硫酸、リン酸などと反応させたもの;カルボキシル基を有する酸性多糖類のカルボキシル基の一部をエチレングリコール、プロピレングリコール等の低分子アルコールでエステル化した化合物等を用いることもできる。具体的には、カルボキシメチルセルロース酢酸エステル、カルボキシメチルデキストラン酢酸エステル、アルギン酸エチレングリコールエステル、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ヒアルロン酸エチレングリコールエステル、ヒアルロン酸プロピレングリコールエステル等が挙げられる。これらの酸性多糖類におけるエステル化度は特に制限されないが、エステル化度が高くなりすぎると、カルボキシル基の割合、すなわちアニオン性が低下し、前記ポリカチオン性物質との間に形成されるポリイオンコンプレックスの機械的強度が低下する傾向にあるため、エステル化度は80%以下であるのが好ましく、30%以下であるのがより好ましい。
【0022】
また、ポリアニオン性物質として、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、グルタミン酸とアスパラギン酸との共重合体等の酸性アミノ酸の単独重合体または共重合体;ポリアクリル酸等の酸性ビニルポリマーなどを用いることもできる。さらにこれらのポリアニオン性物質を架橋することによって得られる架橋ポリマーを用いることもできる。ポリアニオン性物質を架橋する方法としては、公知の方法のいずれも用いることができる。ポリアニオン性物質がカルボキシル基を有する場合には、ポリアニオン性物質のカルボキシル基をジアミンと縮合反応させることにより架橋する方法が好ましい。
【0023】
これらのポリアニオン性物質は、1価のイオンとの塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩などの形で用いることもできる。
【0024】
ポリアニオン性物質の分子量は特に制限されないが、分子量が大きくなるにしたがって、水溶液の粘度が高くなり、粉末の製造が困難となることから、ポリアニオン性物質の粘度(1%水溶液を20℃で測定)は10,000cp以下であるのが好ましく、5,000cp以下であるのがより好ましい。
【0025】
さらに、本発明の止血材では、2種類以上のポリアニオン性物質を用いることもできる。
【0026】
本発明に用いるポリカチオン性物質とポリアニオン性物質の組合せは、水の共存下で混合した場合に、ポリイオンコンプレックスを形成してゲル化するものであれば、いずれの組合せでもよく、安全性の観点から、ポリカチオン性物質およびポリアニオン性物質のうちの少なくとも1種が生体吸収性物質であるのが好ましい。
【0027】
また、ポリカチオン性物質とポリアニオン性物質の混合比は、ポリカチオン性物質の粉末とポリアニオン性物質の粉末を混合した粉末、またはポリカチオン性物質の粉末とポリアニオン性物質の粉末を水溶性の液体分散媒に懸濁した懸濁液に水を加えた場合に、ポリイオンコンプレックスを形成してゲル化する混合比であれば、どのような混合比でもよい。
【0028】
ポリカチオン性物質の粉末およびポリアニオン性物質の粉末は、両者を混合した際に実質的にゲル状のポリイオンコンプレックスを形成しない程度に水を含んでいてもよく、組織への付着性を高める観点から、水分含量は40%以下であるのが好ましく、20%以下であるのがより好ましい。
【0029】
本発明の止血材は、ポリカチオン性物質の粉末とポリアニオン性物質の粉末を個別に作製し、混合することにより製造することができる。
ポリカチオン性物質またはポリアニオン性物質の粉末は、乾燥したポリカチオン性物質またはポリアニオン性物質を破砕するか、ポリカチオン性物質またはポリアニオン性物質の溶液を微粒子化して乾燥させることにより調製することができる。ポリカチオン性物質とポリアニオン性物質の乾燥方法としては、ポリカチオン性物質とポリアニオン性物質の変質などを生じない方法であればいずれも採用することができ、例えば、凍結乾燥法、減圧乾燥法、加温乾燥法、温風乾燥法、スプレードライ(噴霧乾燥)法、溶媒置換乾燥法などを用いることができる。なかでも、スプレードライ法によりポリカチオン性物質またはポリアニオン性物質の溶液を微粒子化して乾燥させる方法、ポリカチオン性物質またはポリアニオン性物質の水溶液を界面活性剤を用いて水に不溶な有機溶媒中でエマルジョン化し、必要に応じて不溶化剤を添加してエマルジョンの微粒子を不溶化した後、溶媒置換乾燥法により水、有機溶媒および界面活性剤を除去し、必要に応じてさらに乾燥することにより、ポリカチオン性物質またはポリアニオン性物質の微粒子を得る方法を用いるのが好ましい。ポリカチオン性物質またはポリアニオン性物質を溶解する溶媒としては、ポリカチオン性物質またはポリアニオン性物質が溶解する溶媒であれば特に制限はないが、水または塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム等の無機塩類の水溶液が好ましい。エマルジョンの微粒子を安定化する作用を有する上記の不溶化剤としては、ポリカチオン性物質の微粒子を得る場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性物質、ポリアニオン性物質の微粒子を得る場合は、塩酸、硫酸、酢酸等の酸性物質が好ましい。これらの不溶化剤は水溶液として用いるのが好ましい。ポリカチオン性物質とポリアニオン性物質を乾燥させる時の溶液中の濃度は、特に制限されず、使用目的に応じて適宜設定すればよい。
【0030】
ポリカチオン性物質およびポリアニオン性物質の粉末の大きさは、特に制限されないが、粒子径が大きくなるにしたがって、ゲル化するときのポリイオンコンプレックスの密度が低下してゲルの機械的強度が低下する傾向にあることから、粉末の粒子径は100μm以下であるのが好ましく、20μm以下であるのがより好ましい。
【0031】
ポリカチオン性物質の粉末とポリアニオン性物質の粉末を混合する方法としては、患部に散布されるまではポリイオンコンプレックスを形成することなく、患部に散布されて水分を吸収した場合に、速やかにポリイオンコンプレックスを形成してゲル化することを可能とする方法であれば、いずれの方法も採用することができる。例えば、ポリカチオン性物質の粉末とポリアニオン性物質の粉末を撹拌して物理的に混合する方法、ポリカチオン性物質の粉末とポリアニオン性物質の粉末を適当な溶媒に懸濁して混合した後に溶媒を除去する方法を用いることができる。溶媒に懸濁して混合する場合の溶媒としては、ポリカチオン性物質の粉末とポリアニオン性物質の粉末が溶解またはゲル化しない溶媒であればいずれも用いることができるが、混合後に溶媒を除去する必要があるため、揮発性がある溶媒、例えば、エチルエーテル、エタノール、メタノール、アセトン等が好ましい。
【0032】
本発明の止血材は、水分を吸収してゲル化するが、吸水速度を調節するために、適当な水溶性粉末を添加することができる。その場合の粉末としては、ポリイオンコンプレックスの形成を阻害することなく、水分を適当な速度で吸収し、生体に対して有害反応の少ないものであれば特に制限はなく、患部に散布した後に生体内に吸収されるように、生体吸収性を有する物質、例えば、ブドウ糖、乳糖、しょ糖等の糖類が好ましい。
【0033】
本発明の止血材は粉末の状態で用いることができるが、水溶性の液体分散媒に懸濁して用いることにより、患部に塗布した止血材をより速やかに完全にゲル化させることができ、また粉末の飛散が抑制されて操作性も向上する。ポリカチオン性物質の粉末およびポリアニオン性物質の粉末を水溶性の液体分散媒に懸濁してなる止血材は、懸濁液の状態で保存することができることから、使用直前に懸濁操作を行うことなく使用することができる。
【0034】
上記の懸濁液の調製に用いる水溶性の液体分散媒としては、ポリカチオン性物質の粉末とポリアニオン性物質の粉末が溶解またはゲル化せず、水分を適当な速度で吸収するものであれば特に制限はなく、エタノール、メタノール、イソプロパノール、グリセリン、プロピレングリコール等の水溶性アルコールを挙げることができ、生体に対する安全性の観点から、エタノール、グリセリン、プロピレングリコールが好ましい。水溶性の液体分散媒の含水量が多いとポリカチオン性物質の粉末またはポリアニオン性物質の粉末が溶解またはゲル化するため、水溶性の液体分散媒の水分含量は、40%以下であるのが好ましく、20%以下であるのがより好ましい。
【0035】
ポリカチオン性物質の粉末およびポリアニオン性物質の粉末を水溶性の液体分散媒に懸濁してなる止血材は、ポリカチオン性物質の粉末とポリアニオン性物質の粉末の混合粉末を、水溶性の液体分散媒に懸濁することにより製造することができる。また、ポリカチオン性物質の粉末とポリアニオン性物質の粉末を直接水溶性の液体分散媒中で混合する方法によっても製造することができる。
【0036】
本発明の止血材は、実質臓器切開部からの出血や、縫合時の縫合糸穴からの出血などを止める外科用の止血材として有効に用いることができる。
本発明の止血材の使用方法としては、患部に散布または塗布した後に、血液、組織液などの水分を吸収し、ゲル化させることが可能な方法であれば、いずれの方法でも用いることができる。例えば、本発明の止血材を直接止血したい患部に散布または塗布し、患部の血液、組織液などの水分を吸収させることによりゲル化させればよい。
【0037】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はそれによって何ら制限されない。
【0038】
実施例1
ポリアリルアミン(日東紡績株式会社製、L型、分子量1万)1gを0.1N塩酸100mlに溶解し、凍結乾燥を行った後、粉砕し、440メッシュのふるいを通過したものを集めた。
アルギン酸ナトリウム(和光純薬株式会社製、粘度100〜150cp)3gを100mlの蒸留水に溶解した。この溶液をソルビタンモノステアレートのトルエン溶液(30mg/ml)中に加えて超音波処理し、エマルジョン化した後、1N塩酸50mlを加えて再度超音波処理して微粒子を不溶化し、アセトンによる溶媒置換乾燥法により水、トルエンおよびソルビタンモノステアレートを除去して乾燥粉末を得、440メッシュのふるいを通過したものを集めた。
上記のポリアリルアミン塩酸塩およびアルギン酸の乾燥粉末各0.5gを混合し、均一に分散させた。この乾燥状態の混合物に、25kGyのγ線照射を行い滅菌した後、試験例に記載した試験を行った。結果を表1に示す。
【0039】
実施例2
ポリアリルアミン(日東紡績株式会社製、L型、分子量1万)1gを0.1N塩酸100mlに溶解し、凍結乾燥を行った後、粉砕し、440メッシュのふるいを通過したものを集めた。
ヒアルロン酸ナトリウム(和光純薬株式会社製)3gを100mlの蒸留水に溶解し、凍結乾燥を行った後、440メッシュのふるいを通過したものを集めた。
上記のポリアリルアミン塩酸塩乾燥粉末1.0gおよびヒアルロン酸ナトリウム乾燥粉末各0.5gをアセトン存在下に混合し、アセトンを気化除去して乾燥粉末を得た。この乾燥状態の混合物に、25kGyのγ線照射を行い滅菌した後、試験例に記載した試験を行った。結果を表1に示す。
【0040】
実施例3
ポリアリルアミン(日東紡績株式会社製、L型、分子量1万)1gを0.1N塩酸100mlに溶解し、凍結乾燥を行った後、粉砕し、440メッシュのふるいを通過したものを集めた。
メタノール150mlにN−ヒドロキシコハク酸イミド((株)ペプチド研究所製)2.3gを溶解し、この溶液にエチレンジアミン(和光純薬株式会社製)0.6gをメタノール10mlに溶解した溶液を室温で撹拌しながら滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けた。析出した結晶を濾取して、減圧下に乾燥してエチレンジアミン2N−ヒドロキシコハク酸イミド塩2.6g(収率約90%)を得た。
アルギン酸ナトリウム(和光純薬株式会社製、粘度100〜150cp)1gを100mlの蒸留水に溶解し、上記で調製したエチレンジアミン2N−ヒドロキシコハク酸イミド塩220mgおよび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩((株)ペプチド研究所製)1.6gを溶解し、得られた溶液をテフロン被覆トレイに流延し、25℃で48時間静置して、架橋アルギン酸ゲルを形成させた。
この架橋アルギン酸ゲルを、2.5mMの塩化カルシウムと143mMの塩化ナトリウムを溶解した注射用水(大塚製薬製)で洗浄した後、塩化カルシウムおよび塩化ナトリウムを含まない注射用水で洗浄した。洗浄後の架橋アルギン酸ゲルを凍結乾燥した後、粉砕し、440メッシュのふるいを通過したものを集めた。
上記のポリアリルアミン塩酸塩および架橋アルギン酸ゲルの乾燥粉末各0.5gを混合し、均一に分散させた。この乾燥状態の混合物に、25kGyのγ線照射を行い滅菌した後、試験例に記載した試験を行った。結果を表1に示す。
【0041】
実施例4
ポリ−L−リジン(Sigma社製、分子量7万〜15万)1gを0.1N塩酸100mlに溶解し、凍結乾燥を行った後、粉砕し、440メッシュのふるいを通過したものを集めた。
アルギン酸ナトリウム(和光純薬株式会社製、粘度100〜150cp)3gを100mlの蒸留水に溶解し、凍結乾燥を行った後、440メッシュのふるいを通過したものを集めた。
上記のポリ−L−リジン塩酸塩乾燥粉末0.5gおよびアルギン酸ナトリウム乾燥粉末0.5gを混合し、エタノール2mlを加えて均一に懸濁した。この懸濁液について、試験例に記載した試験を行った。結果を表1に示す。
【0042】
実施例5
キトサン(和光純薬株式会社製、キトサン500)1gを0.1N酢酸100mlに溶解し、スプレードライ法により乾燥粉末とした後、440メッシュのふるいを通過したものを集めた。
アルギン酸ナトリウム(和光純薬株式会社製、粘度100〜150cp)1gを100mlの蒸留水に溶解し、スプレードライ法により乾燥粉末とした後、440メッシュのふるいを通過したものを集めた。
上記のキトサン酢酸塩1.0gおよびアルギン酸ナトリウムの乾燥粉末各0.5gを混合し、プロピレングリコール2.5mlを加えて均一に懸濁した。この懸濁液について、試験例に記載した試験を行った。結果を表1に示す。
【0043】
比較例1
ポリアリルアミン(日東紡績株式会社製、L型、分子量1万)1gを0.1N塩酸100mlに溶解し、凍結乾燥を行った後、粉砕し、440メッシュのふるいを通過したものを集めた。この乾燥粉末に、25kGyのγ線照射を行い滅菌した後、試験例に記載した試験を行った。結果を表1に示す。
【0044】
比較例2
アルギン酸ナトリウム(和光純薬株式会社製、粘度100〜150cp)3gを100mlの蒸留水に溶解し、凍結乾燥を行った後、440メッシュのふるいを通過したものを集めた。この乾燥粉末に、25kGyのγ線照射を行い滅菌した後、試験例に記載した試験を行った。結果を表1に示す。
【0045】
比較例3
実施例3と同様にして架橋アルギン酸ゲルを調製し、凍結乾燥した後、粉砕して、440メッシュのふるいを通過したものを集めた。この乾燥粉末に、25kGyのγ線照射を行い滅菌した後、試験例に記載した試験を行った。結果を表1に示す。
【0046】
比較例4
デキストラン硫酸ナトリウム(和光純薬株式会社製、分子量50万)0.13gを100mlの蒸留水に溶解し、塩酸を加えてpH2.8とした。
キトサン(和光純薬株式会社製、キトサン500)0.05gを50mlの蒸留水に分散し、塩酸を添加して溶解しpH2.6とした。
上記のデキストラン硫酸ナトリウム溶液およびキトサン溶液を室温で30分間混合し、遠心分離により反応溶液から白色沈殿を得た。この白色沈殿を水洗後、真空乾燥して白色粉末を得た。この粉末を25kGyのγ線照射により滅菌した後、試験例に記載した試験を行った。結果を表1に示す。
【0047】
比較例5
ポリアリルアミン(日東紡績株式会社製、L型、分子量1万)1gを0.1N塩酸100mlに溶解した。
アルギン酸ナトリウム(和光純薬株式会社製、粘度100〜150cp)3gを100mlの蒸留水に溶解した。
上記のポリアリルアミン塩酸塩水溶液とアルギン酸ナトリウム水溶液を121℃で20分間オートクレーブ滅菌した後、試験例に記載した試験を行った。結果を表1に示す。
【0048】
試験例:止血時間の測定
体重約3kgの日本白色ウサギ(雄性)をペントバルビツールナトリウム麻酔下に開腹し、肝臓を露出させた後、肝臓の表面をメスで1×1cm大に切除した。切除直後に、乾いたガーゼを創面に30秒間当て、出血した血液を吸い取り、切除1分後に実施例1〜3および比較例1〜4の試料200mgを創面に散布し、10秒間指で圧迫した。実施例4および5については、粉末200mg相当量の懸濁液を創面に塗布した。また、比較例5については、ポリアリルアミン塩酸塩水溶液100μlとアルギン酸ナトリウム水溶液100μlを試験部位に同時に噴霧した。その後、20秒間隔で試料の上から乾いたガーゼを当てて、出血の有無を観察し、ガーゼに付着する血液が痕跡となった時点を止血時間とした。10分経過しても止血されない場合には、「止血せず」とした。1試料について、5回測定し、平均値を求めた。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0004159682
【0050】
表1から明らかなように、実施例1〜5の試料を用いた場合には、いずれも3分以内に止血が完了したのに対し、比較例1〜5の試料を用いた場合には、患部に十分に付着せず、10分経過しても止血できなかった
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、患部の組織に付着してゲル化することにより出血部位を良好に閉鎖することができ、生体安全性に優れる止血材が提供される。さらに、本発明の止血材は、患部に散布または塗布されるまではゲル化せず、患部に散布または塗布されてはじめてゲル化するため、使用直前に混合等の処理を必要とせず、操作性に極めて優れている。

Claims (9)

  1. ポリカチオン性物質の粉末およびポリアニオン性物質の粉末からなる止血材。
  2. ポリカチオン性物質の粉末およびポリアニオン性物質の粉末を水溶性の液体分散媒に懸濁してなる止血材。
  3. ポリカチオン性物質が1分子中に2個以上のアミノ基を有する物質である請求項1または2に記載の止血材。
  4. 1分子中に2個以上のアミノ基を有する物質が塩基性多糖類またはその塩である請求項3に記載の止血材。
  5. 塩基性多糖類がキトサンである請求項4に記載の止血材。
  6. ポリアニオン性物質が1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する物質である請求項1〜5のいずれか1項に記載の止血材。
  7. 1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する物質が酸性多糖類またはその塩である請求項6に記載の止血材。
  8. 酸性多糖類がアルギン酸である請求項7に記載の止血材。
  9. ポリカチオン性物質およびポリアニオン性物質のうちの少なくとも1種が生体吸収性物質であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の止血材。
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