JP4158331B2 - 油吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材及びそれを含有する食品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品のフライ処理(油ちょう)時に食品に吸収される油分の量を抑制して摂取油脂量を減少させることができる油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材と、該食品添加材を含有することによって油分吸収量が抑えられているフライ食品に関するものである。
さらに、本発明は、フライ食品類にサクサク感を付与することができる前記食品添加材を含有するパン粉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、食生活の多様化に伴い、簡便でかつおいしいフライ食品が数多く市販されている。フライ食品は、油ちょう工程を経ることによって製造される食品であり、ドーナツ、ピロシキ、フライドポテト、フライドチキン、コロッケ及び天ぷら等、その種類は豊富である。なかでも、電子レンジの普及に伴い、電子レンジで再加熱するのみで食べることができる調理済食品の普及は目ざましく、冷凍フライ食品はその代表的な例である。
【0003】
これらの多種多様な油ちょう食品はそれぞれが特徴的な食感を有しており、多くの消費者に受け入れられてきているが、昨今、油脂摂取量を控える傾向が強く、フライ食品についても低油脂化が求められるようになってきている。特に、電子レンジで再加熱するのみで食べることができる調理済食品としての冷凍フライ食品の場合は、電子レンジで加熱調理すると、冷凍中の具材からころも部分のパン粉への水分の移行や電子レンジによる加熱解凍時の水分蒸散によるパン粉への水分移行により、パン粉(ころも部分)に軟化現象が発生し、パン粉ころもに特有のさくみのある食感(サクサク感)が失われ、同時に外観も損なわれるという問題があり、低油脂化に加えてこのような食感及び外観をも満足させなければならないようになってきている。
【0004】
従来、このようなフライ食品等における問題を解決するための種々の改善技術が提案されている。例えば、特開昭60−13054号公報には、カルシウム剤0.005%〜5重量%を生地に添加する方法も提案されているが、この場合、最大量である5%を添加した場合でも油分吸収量は従来品の75%程度まであるとされており、未だ十分に油分吸収量を抑制し得たものとはいえない。また、WO96/38054号には、カルシウム反応性ペクチンの水溶液を利用した油分吸収抑制法も提案されているが、水溶性カルシウムに起因する苦みを抑えなければならないという問題が残る。
外に、特開2000−236821公報に記載されているように、アルギン酸エステルを油ちょう食品に含有せしめる油吸収抑制法も提案されているが、このような多糖類を添加することは食感や外観に悪影響を与える可能性が大きく、十分な解決策とはいえない。
【0005】
また、フライ食品に使用するコンニャク変性物を配合したパン粉(特公平1−48743号公報)、同じくセルロース及びα化澱粉を配合したパン粉(特開平5−316982号公報)も提案されているが、それらの場合には、配合量を多くすると硬い食感となりやすいという問題が残っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
かかる事情に鑑み、本発明は、異風味がなく、食感に悪影響を与えることのない油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材を提供することを目的とするものであり、また、多糖類を使用せずに、油ちょう(フライ処理)した際にフライ油の吸収を抑制することができ、かつフライ食品に求められるさくみのある食感(サクサク感)を長期間保持しており、しかもその外観が損なわれることのない油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材を提供することにある。特に、本発明は、フライ食品、特に冷凍フライ食品に用いた場合に、該食品に好ましいさくみのある食感を与えることができる前記食品添加材を含有するパン粉を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成することができる本発明は、疎水性微粒子からなる油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品素材の発明を基本発明とするものであり、特許請求の範囲記載の発明である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材における疎水性微細粒子は、平均粒径が250μm以下、好ましくは150μm以下で、さらに好ましくは2.5μm以下であり、かつ旧JIS K6223に記載の吸油量の測定法に準じた後記する測定方法によって測定される吸油量の値として定義される表面の吸油量が35g以下、特に25g以下のものである。微細粒子の平均粒径は以下のとおり測定した値である。
微細粒子を特級メタノール中に充分に分散させ、レーザー回折型粒度測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定し、測定後、粒子径のメディアン値を平均粒径とする。
【0017】
本発明で使用できる微細粒子は、「立体形状」を持った微粒子であることが好ましい。ここで、「立体形状」を持った微粒子とは、板状、フィルム状、繊維状、針状の形態の微粒子ではないことを意味する用語として使用されており、その典型的な微粒子の形状は球形である。しかし、完全な球形の微粒子である必要はなく、たとえば、破砕された状態のままの表面凹凸を有している球状の微粒子のような球形に近似する立体形状を持った微粒子であってよいことを意味している。
【0018】
本発明の油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材に使用される疎水性微細粒子は、微細粒子に疎水性物質を付着させることで上記の吸油量の値を示すものである。微細粒子は食品添加物として許容される材質である限り、その種類(材質)に特に制限はない。食品分野で通常使用されている無機物及び有機物のいずれも使用することができるが、無機物のほうが好ましい。炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、炭酸マグネシウムのような水に不溶性の物質が好ましいが、これらを主成分とする卵殼カルシウム、魚骨カルシウム、牛骨カルシウム、貝殻カルシウム、サンゴカルシウム等も本発明の微細粒子として利用できる。これらの微細粒子はそれぞれ単独又は複数種の混合物でもよく、また、混合物の場合の混合割合も適宜選択することができる。
【0019】
これらの微細粒子は、微細粒子の表面の少なくとも一部に疎水性物質を付着させて上記吸油量の粒子が調製される。
【0020】
本発明の油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材に使用される疎水性微細粒子における疎水性物質は食品添加物として許容される材質である限り、その種類(材質)に特に制限はない。食品分野で通常使用されている。たとえば、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、脂肪酸塩、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、リン脂質、糖脂質、シュガーエステル、ポリグリセリンエステルなどが使用でき、これらの中ではステアリン酸が特に好ましい。
【0021】
本発明の疎水性物質を付着させた疎水性微細粒子における「付着」とは、微細粒子担体表面に疎水性物質が付着していることを意味し、この場合、疎水性物質は微細粒子の表面に均一に付着していても、不均一に付着していてもよい。また、微細粒子担体の表面に疎水性物質が物理的、化学的に吸着されている状態であってもよい。微細粒子表面への疎水性物質の付着方法は、特に限定されないが、例えば以下に示すような方法が用いられる。
【0022】
微細粒子を100℃近くまで加熱し、その後、疎水性物質を添加する。その温度を維持しながらヘンシェルミキサーを用いて、20〜30分攪拌することにより、疎水性物質付着微細粒子を得る。
疎水性物質の付着量は、油分吸収量を減少させるために、対微細粒子担体当たり0.2重量%以上、好ましくは1.0重量%以上であることが好ましい。疎水性物質が脂質類である場合は、多量の脂質を付着させることはカロリーの上昇につながるおそれがあるので、微細粒子担体に対して10%未満が好ましい。
【0023】
本発明で使用される疎水性微細粒子の表面の吸油量は、旧JIS K6223の吸油量測定法に準じた方法により測定した値である。微細粒子の表面が疎水性であると流動パラフィンとのなじみがよいことから、少ない油量で凝集が起こり、逆に表面が親水性であると吸油量は多くなる。測定法は以下のとおりである。
【0024】
〔吸油量測定法〕
2g程度の試料を正確に量り取り、約20cm四方のガラス板上に置く。別に流動パラフィン(特級)を10mlビーカーに入れ、ガラス棒と一緒に重量測定を行う。ガラス板上の試料に一滴ずつ流動パラフィンを滴下しながら鉄製のへらでよく練り上げる。凝集固化した試料に一滴の流動パラフィンを加えることで、急に軟化した点を終点とする。用いた油のg数を求め、次式により試料100g当たりの吸油量を算出する。
吸油量=〔用いた油量(g)〕/〔試料の質量(g)〕×100
本発明において用いられる疎水性微細粒子は、このような方法で測定した吸油量が35g以下であることが好ましいが、より好ましくは25g以下、さらに好ましくは20g以下である。
【0025】
吸油量と粒子径の関係については、吸油量は微細粒子の表面積の影響を受ける。表面に脂肪酸を充分に付着させた炭酸カルシウムの平均粒径を変えた場合の吸油量の値の変化を表1に示す。表1に示すように、粒径が小さくなるにしたがって吸油量は若干大きくが、粒径の差が大きくてなってもそれに応じた大きな差は出ていないから、吸油量の値は粒子の表面の性質によって定まるものと推測される。
【0026】
【表1】
【0027】
本発明で使用する疎水性微細粒子は、疎水性微細粒子単独で食用油脂代替物として使用することができるし、また、食用油脂の一部を疎水性微細粒子で置き換えて食用油脂の使用量を低減させる油分吸収抑制剤として使用することもできる。食品中の油脂量を低減する目的からは、できるだけ本発明の疎水性微細粒子からなる油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材の使用割合を多くすることが好ましい。
【0028】
本発明の疎水性微細粒子からなる油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材の使用効果が最も良く発揮される食品の例としては、各種フライ食品が挙げられる。ここでいうフライ食品とは、ドーナツや即席麺のように成形生地を用いる油ちょう食品、フライ、天ぷら、フライドチキン、ナゲット、アメリカンドッグのようにバッター液、パン粉等をコーティングする油ちょう食品等であるが、成形生地を用いる油ちょう食品及びパン粉を用いる油ちょう食品において特に好ましい結果が得られる。
【0029】
ドーナツのような油ちょう時に生地を膨化させることが必須である食品には、ショートニングを添加することが必要であるが、この油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材を用いるとショートニングを全く添加することがなくても生地を膨化させることが可能となるため、フライ油からの油分吸収を抑制するだけでなく、ショートニングを使用していないため、さらに最終製品中の油脂含量を減少させることが可能である。
油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材としての疎水性微細粒子は、生地に弾力を付与し、固体脂中の油脂結晶と同じように、フライ油が生地中にしみこむことを抑制する効果があるのではないかと推測される。
【0030】
本発明のパン粉の製造には、該疎水性微細粒子はそのままパン生地中に混合して使用することができるが、該疎水性微細粒子を食用油脂と任意の割合で混合した状態でパン生地に使用してもよい。疎水性微細粒子のみをパン粉の製造に使用する場合、パン生地中に、小麦粉100部に対して疎水性微細粒子20部以下を添加して用いることが好ましく、より好ましくは10部以下である。このような配合割合で疎水性微細粒子を混合して製造したパンからパン粉を製造してフライ食品に使用すると、油ちょう時に該パン粉中の疎水性微細粒子がフライ油からの油分吸収を抑制して最終フライ食品中の油脂含量を低減させるのみならず、パン粉のサクサク感を長期間保持しているフライ食品を得ることができる。
【0031】
油分吸収抑制剤もしくは油脂代替物としての本発明の疎水性微細粒子がパン粉のサクサク感を維持する作用効果を有することの正確な理由は今後の研究課題であるが、適量で使用される疎水性微細粒子はパンの網状構造を形成しているグルテンの吸水軟化を妨げる作用を有しているものと考えられる。
【0032】
本発明のパン粉の製造に使用される疎水性微細粒子は、その平均粒径が小さい程好ましいが、パン粉との均一混合性、取扱性等の点から、通常平均粒径250μm以下であり、好ましくは150μm以下、より好ましくは2.5μm以下である。250μmを越えて平均粒径が大きくなると、喫食時にざらざら感が残る。
【0033】
なお、「パン粉」とは、公知の方法で製造されているパン粉を意味しており、乾燥度合いにより、生パン粉、セミドライパン粉、ドライパン粉及び着色したカラーパン粉を包含する概念である。
【0034】
【実施例】
以下、実施例に従って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、各実施例及び比較例中の「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示している。
【0035】
実施例1
〔パンの製造〕
縦型ミキサー(愛工舎ミキサー)、フックを用い、後記中種配合材料をボールに入れ、低速3分、高速2分で混捏し、捏ね上げ温度を24℃とし、中種生地を調製した。次に、これを中種発酵温度28℃、中種発酵相対湿度80%、中種発酵時間2時間で発酵(中種発酵)させた。
【0036】
強力小麦粉 70部
生イースト〔旭フーズ(株)製〕 2.5部
イーストフード〔オリエンタル酵母工業(株)製〕 0.1部
水 39部
【0037】
次に、この中種発酵生地に、以下の本捏配合材料を添加し、低速3分、中速4分で混捏した後、疎水性微細粒子1〔対微細粒子当たり1%の量でステアリン酸を添加することによって表面にステアリン酸を付着させた炭酸カルシウム粉末:平均粒径=1.9μm、吸油量=16.7g〕を5%添加し、さらに低速3分、中速4分、高速2.5分で混捏し、実施例1の本捏生地とした。この捏ね上げ生地の温度は27℃とした。
【0038】
強力小麦粉 30部
砂糖 3部
食塩 1.5部
水 22部
疎水性微細粒子1 5部
【0039】
さらに、混捏でダメージを受けた各本捏生地を回復させるためにフロアータイムを20分とり、この後に各本捏生地を230gの生地を分割した。分割でダメージを受けた生地を回復させるためにベンチタイムを室温で15分とり、モルダーで成形した。成形後、2斤用の食パンの型に分割した生地を3本入れ、発酵を行った。ホイロの条件を以下に示す。
【0040】
ホイロ温度 38℃
ホイロ相対湿度 80%
ホイロ時間 70分
このようにして調製した実施例1のパン生地を、上200℃、下240℃のオーブンで40分間焼成した。
【0041】
〔パン粉の製造〕
得られたパンを室温で放冷した後、4℃で冷蔵庫に一夜放置した。翌日ミキサーで粉砕し、篩の目の開きが4.75mmの篩に掛け、本発明のパン粉を製造した。
【0042】
比較例1
上記実施例1の疎水性微細粒子1に代えてショートニング5部を加えた本捏配合材料を用意して、比較例1の本捏生地を調製した。ついで、実施例1と同様に、混捏でダメージを受けた各本捏生地を回復させるためにフロアータイムを20分とり、この後に各本捏生地を230gの生地を分割した。分割でダメージを受けた生地を回復させるためにベンチタイムを室温で15分とり、モルダーで成形した。成形後、2斤用の食パンの型に分割した生地を3本入れ、発酵を行った。ホイロの条件は実施例1の場合と同様である。ついで、得られたパンから実施例1と同様にして比較例1のパン粉を製造した。
【0043】
比較例2
上記実施例1の疎水性微細粒子1に代えて、微細粒子2〔炭酸カルシウム粉末:(平均粒径=1.9μm、吸油量47.8g)〕5部を加えた本捏配合材料を用意して、比較例2の本捏生地を調製した。ついで、実施例1と同様に、混捏でダメージを受けた各本捏生地を回復させるためにフロアータイムを20分とり、この後に各本捏生地を230gの生地を分割した。分割でダメージを受けた生地を回復させるためにベンチタイムを室温で15分とり、モルダーで成形した。成形後、2斤用の食パンの型に分割した生地を3本入れ、発酵を行った。ホイロの条件は実施例1の場合と同様である。ついで、得られたパンから実施例1と同様にして比較例2のパン粉を製造した。
【0044】
〔冷凍食品の製造〕
常法に従って製造したポテトコロッケの中具30gに対し、バッター(薄力粉30部、卵白粉0.5部、グアガム0.2部、水69.2部)8gを付着させ、前記のように調製した実施例1、2及び比較例1、比較例2の生パン粉を各々6g付けてから、180℃、5分間油ちょうした。得られたコロッケを凍結し、−18℃で2ケ月及び4ケ月冷凍保存した後、500Wの電子レンジで2分20秒解凍し、衣のサクサク感の官能評価を行った。
評価は、解凍後2分室温放置したものについて行い、0.5単位からなる、5〔とてもサクサク感がある(良い)〕から、1〔全くサクサク感がない(良くない)〕の9段階で行った。結果を以下に示す。
【0045】
(コロッケのサクサク感)
2ケ月保存 4ケ月保存
実施例1 3.2 2.7
比較例1 2.9 2.1
比較例2 2.3 2.4
【0046】
上記の結果のように、ショートニングや親水性微細粒子を用いて製造したパン粉を使用した場合よりも、上記疎水性微細粒子を用いて製造したパン粉を使用した場合は、特に4ケ月保存品においてサクサク感の維持状態が優れていることが分かった。
【0047】
また、上記のコロッケに関する実施例1と比較例1について、ジエチルエーテルを用いたソックスレー法により、4時間油脂抽出を行った後、油脂含量を計量して、フライ油の吸収量を測定した。結果は、以下のとおりである。
衣部分(g) 中具部分(g) 全体油脂量(g) 減少率(%)
実施例1 3.65 3.01 6.66 87.3
比較例1 4.04 3.58 7.62 100
上記測定結果のうち、減少率は比較例1の全体油脂量を100として計算した値である。
以上のように、パン粉についてフライ油の油分吸収抑制効果が確認された。
【0048】
実施例2及び比較例3
実施例1と同様の中種配合材料から調製した中種発酵生地に、以下の実施例2及び比較例3の本捏配合材料を添加し、低速3分、中速4分で混捏した後、疎水性微細粒子3〔対微細粒子当たり1%の量でステアリン酸を添加することによって表面にステアリン酸を付着させた炭酸カルシウム粉末:平均粒径=1.9μm、吸油量=18.0g〕を1.5%添加し、さらに低速3分、中速4分、高速2.5分で混捏し、実施例1の本捏生地とした。この捏ね上げ生地の温度は27℃とした。
【0049】
(実施例2の本捏生地配合)
強力小麦粉 100部
砂糖 10部
食塩 1.8部
液卵(全卵) 15部
生イースト〔旭フーズ(株)製〕 4部
水 44部
疎水性微細粒子3 1.5部
【0050】
(比較例3の本捏生地配合)
強力小麦粉 100部
砂糖 10部
食塩 1.8部
液卵(全卵) 15部
生イースト〔旭フーズ(株)製〕 4部
水 39部
ショートニング〔味の素(株)製〕 12部
【0051】
さらに、混捏でダメージを受けた各本捏生地を回復させるためにフロアータイムを20分取り、この後に各本捏生地を40gに分割した。
ここにパンの中具となる材料(本例ではカレーフィリング)を25g詰めた。その後、分割と中具詰めでダメージを受けた生地を回復させるためにフロアタイムを10分とり、ついで、180℃で片面3分ずつ油ちょうして揚げパンを製造した。得られた揚げパンを凍結させ、中具を取り除いたパンの部分を粉砕し、前記コロッケの場合と同様の方法によって油脂含量を測定した。
油脂含量は、次の式に基づいて計算した。
油脂含量(%)=油脂量(g)/凍結粉砕前のパン部分の重量(g)×100
【0052】
実施例2及び比較例3の結果を表2に示す。表2から明らかなように、実施例2の揚げパンは、ショートニングを使用して製造した比較例3の揚げパンの場合の60%程度まで油分吸収量が低減されていた。
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材は、フライ食品添加した場合、油分吸収抑制剤もしくは油脂代替物として働く物質であり、該食品添加材を使用して製造したパン粉は、フライ食品に使用した場合、そのフライ食品の油分吸収量を大幅に低減せしめるのみならず、冷凍フライ食品のような長期間の保存フライ食品の食感の劣化防止にも優れた効果を発揮するものである。
Claims (9)
- 炭酸カルシウムの微細粒子の表面にステアリン酸からなる疎水性物質を付着せしめることによって、下記の吸油量測定法による吸油量として定義される表面の吸油量が35g以下に調整されている平均粒子径250μm以下の疎水性微細粒子からなる油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材。
〔吸油量測定法〕
2g程度の試料を正確に量り取り、約20cm四方のガラス板上に置く。別に流動パラフィン(特級)を10mlビーカーに入れ、ガラス棒と一緒に重量測定を行う。ガラス板上の試料に一滴ずつ流動パラフィンを滴下しながら鉄製のへらでよく練り上げる。凝集固化した試料に一滴の流動パラフィンを加えることで、急に軟化した点を終点とする。用いた油のg数を求め、次式により試料100g当たりの吸油量を算出する。
吸油量(g)=〔用いた油量(g)〕/〔試料の質量(g)〕×100 - 前記炭酸カルシウムの微細粒子の前記吸油量測定法による吸油量として定義される表面の吸油量が25g以下である請求項1記載の油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材。
- 前記炭酸カルシウムの微細粒子の平均粒径が2.5μm以下である請求項1又は2に記載の油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材。
- 前記炭酸カルシウムの微細粒子は、卵殼カルシウム、魚骨カルシウム、牛骨カルシウム、貝殻カルシウム、サンゴカルシウムより選ばれる少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材。
- 前記炭酸カルシウムの微細粒子は、立体形状の微細粒子であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材。
- 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材を含有するパン粉。
- 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材を含有するフライ食品。
- 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材を含有するドーナッツ類。
- 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の油分吸収抑制能及び油脂代替能を有する食品添加材を含有する冷凍フライ食品。
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