JP4155697B2 - ポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物 - Google Patents

ポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の内装部品用に好適に使用できる塗料組成物であり、特にエアバッグカバー等の特殊な環境下(低温度領域)で作動する小型カバー類について、プライマーなしでもポリオレフィン系成形品と強固に密着するとともに、耐磨耗性に優れた高級な艶消し感を与える塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
エアバッグカバー等のポリオレフィン系樹脂からなる自動車用内装部品は、高級感を出すため艶消し塗装が施される。しかしポリオレフィン系樹脂は、塗膜樹脂と結合する官能基を有しないため、直接塗料を塗装しても密着性に乏しく、経時変化による塗膜割れや、低温エアバッグ作動時の塗膜割れに起因するカバー材の飛散が生じるのが現状である。このため、塗料を塗布する前に予め塩素化ポリプロピレン系等のプライマーを塗布する2コート塗装が行われているが、作業性が非常に複雑かつ製造時間もかかり、さらにコストの面でも高価な物となるため、プライマーなしでも塗膜の経時変化を防止できる1コート型の塗料組成物が望まれている。
【0003】
表面を艶消し状態とする場合、塗料にシリカ、珪素土、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アクリル樹脂等の無機微粉末やアクリル樹脂微粉末等の有機微粉末が用いられているが、これらの微粉末はバインダー樹脂と一体となり得る官能基を持たず、機械的な結合状態で保持されているに過ぎないため、高級感や柔らかな触感に乏しい。また、塗装面の摩擦摩耗により、艶消し微粉末剤が脱落し、光沢が増す等の欠点を有している。
【0004】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、ポリオレフィン系成型品へ1コートでも強固に密着し、エアバッグ作動時のカバー材の飛散を防止するとともに、表面に高級な質感(奥行き感、スエード感)を与えるポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【発明を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、鋭意研究の結果、本発明者らは、
(A)少なくとも(a-1) ガラス転移点が-60〜-30℃のアクリルグラフトポリエステル樹脂及び (a-2) ガラス転移点が30〜60℃の塩素化ポリオレフィングラフトアクリル樹脂からなるバインダー樹脂と、
(B)水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末と、
(C)末端にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物とを含有するポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物を用いることにより、ポリオレフィン系成型品へ1コートで付着し、表面に高級な質感(奥行き感、スエード感)を与え、かつ、エアバッグ作動時のカバー材の飛散を防止する塗膜が得られることを見出し、本発明に想到した。
【0006】
すなわち、本発明のポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物は、(A)バインダー樹脂としてガラス転移点の異なる2種類の樹脂を組み合わせて用いたことを特徴とする。これにより、ポリオレフィン系成型品へ1コートで付着するとともに、エアバッグ作動時にも飛散しない塗膜を得ることができる。
【0007】
また本発明においては、艶消し剤として用いる(B)水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末を、水酸基価100〜250とすることが好ましい。本発明の塗料組成物は、その使用に先立って (C) ポリイソシアネート化合物を添加するが、ポリウレタン樹脂微粉末の水酸基が、イソシアネート基と反応して、バインダー樹脂とともに強固で一体的な塗膜となり得るため、得られる塗膜は長期に渡り経時変化のないものとなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物について詳細に説明する。
【0009】
[I]ポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物
本発明のポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物は、
(A)バインダー樹脂と、
(B) 水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末と、
(C)末端にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物とを含有する。
【0010】
以下、本発明のポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物の各構成成分について詳細に説明する。
【0011】
(A)バインダー樹脂
本発明に用いるバインダー樹脂は、ガラス転移点の異なる少なくとも2種類のグラフト重合樹脂を混合したものであり、このうち少なくとも1種を(a-1) ガラス転移点が-60〜-30℃のアクリルグラフトポリエステル樹脂とし、もう1種を(a-2) ガラス転移点が30〜60℃の塩素化ポリオレフィングラフトアクリル樹脂とする。
【0012】
上記グラフト重合樹脂を組み合わせて用いることにより、ポリオレフィン系成型品へ1コートで付着するとともに、エアバッグ作動時にも飛散しない塗膜を得ることができる。以下、バインダー樹脂の必須成分である(a-1)及び(a-2)について詳細に説明する。
【0013】
(a-1)アクリルグラフトポリエステル樹脂
(a-1)は、アクリル樹脂成分をグラフト重合したポリエステル樹脂であり、アクリル樹脂成分を10〜30%とすることが好ましい。アクリル樹脂成分が10%以下である場合は耐溶剤性に乏しくなるおそれがあり、30%以上の場合は可とう性が低下するおそれがあるので好ましくない。
【0014】
本発明においてアクリルグラフトポリエステル樹脂を得るには、ポリエステル樹脂100重量部に対してアクリルモノマーを10〜45重量部の範囲で混合し、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の重合開始剤、好ましくはグラフト化を効率良く進行させるためにベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤の存在下、60〜150℃程度の範囲内で通常1〜10時間程度加熱反応させればよい。
【0015】
ポリエステル樹脂は、多価アルコールと多塩基酸又はその無水物とを重縮合(エステル化)することにより得られる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2-ジメチル-3- ヒドロキシプロピル-2,2- ジメチル-3- ヒドロキシプロピオネート、2,2,4-トリメチル-1,3- ペンタンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカプロラクトンポリオール、グリセリン、ソルビトール、アニソール、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、これらの多量体(2量体、8量体等)等が挙げられ、これらの多価アルコールを2種以上組み合わせて用いることができる。多塩基酸又はその無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメリトット酸、無水トリメリトット酸、ピロメリトット酸、無水ピロメリトット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸等が挙げられ、これらを2種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
アクリルモノマーとしては、例えば、
(1) (メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、N-メチロールアクリルアミン等のヒドロキシル基を有するエチレン性モノマー、
(2) アクリル酸、メタアクリル酸(MAA)、クロトン酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有するエチレン性モノマー、及び
(3) (メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸n-ドデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の化合物を挙げることができる。この他に、これらのモノマーと共重合可能なスチレン、(メタ)アクリロニトリル等のエチレン性モノマーを併用することもできる。
【0017】
また、アクリルグラフトポリエステル樹脂はガラス転移点が-60〜-30℃であることが好ましい。ガラス転移点が-60℃以下である場合、硬化性が乏しくなり、-30℃以上の場合、塗膜が硬く割れやすくなるので好ましくない。
【0018】
また、アクリルグラフトポリエステル樹脂は分子量が15,000〜45,000であることが好ましい。分子量が15,000以下である場合は、油脂汚染性に乏しく、形成された塗膜は脆くなるおそれがあり、45,000以上である場合は、可とう性が低下するおそれがあるので好ましくない。
【0019】
また、アクリルグラフトポリエステル樹脂は水酸基価が2〜15であることが好ましい。水酸基価が2以下である場合、油脂汚染性に乏しくなり、一方、15以上である場合は、耐水性が低下するので好ましくない。
【0020】
(a-2)塩素化ポリオレフィングラフトアクリル樹脂
(a-2)は、塩素化ポリオレフィンをグラフト重合したアクリル樹脂であり、ポリオレフィン系成型品との結合剤としての役割を果たす。このため、1コートでもポリオレフィン系成型品へ強固に密着する塗料組成物が得られる。
【0021】
塩素化ポリオレフィングラフトアクリル樹脂は、塩素化ポリオレフィン成分を10〜30%とすることが好ましい。塩素化ポリオレフィン成分が10%以下である場合はポリオレフィン系成型品への付着性が低下するとともに可とう性が乏しくなり、30%以上の場合は耐溶剤性が乏しくなり形成された塗膜が脆くなるので好ましくない。
【0022】
本発明に用いる塩素化ポリオレフィングラフトアクリル樹脂は、塩素化ポリオレフィンと、上記(a-1)の (1)〜(3)に列挙したエチレン性モノマーの少なくとも1種とを通常の方法により反応させることにより得ることができる。エチレン性モノマーの他に、これらのモノマーと共重合可能なスチレン、(メタ)アクリロニトリル等のエチレン性モノマーを併用することもできる。
【0023】
好ましい合成法の一例を挙げれば、塩素化ポリオレフィン(ハードレン14LLB:東洋化成工業(株)製)の25%トルエン溶液100重量部を95℃に昇温し、メチルメタクリレート49部、iso-ブチルメタクリレート15部、スチレン5部、β-ヒドロキシプロピルメタクリレート5部、メタクリル酸1部、ベンゾイルパーオキサイド1部、アゾビスイソブチロニトリル2.2部の混合溶液を3時間滴下し、1時間後、2時間後にアゾビスイソブチロニトリルをそれぞれ添加する。
【0024】
本発明に用いる塩素化ポリオレフィングラフトアクリル樹脂は、ガラス転移点が30〜60℃であることが好ましい。ガラス転移点が30℃以下である場合、付着性が乏しく、また60℃以上の場合、硬く割れやすくなるので好ましくない。
【0025】
また、塩素化ポリオレフィングラフトアクリル樹脂は分子量が30,000〜45,000であることが好ましい。分子量が30,000以下である場合は耐溶剤性が劣るおそれがあり45,000以上である場合は可とう性が低下するおそれがある。
【0026】
(a-3) バインダー樹脂の混合比
(a-1)アクリルグラフトポリエステル樹脂と (a-2)塩素化ポリオレフィングラフトアクリル樹脂の混合比は重量比で20:80〜60:40であることが好ましい。塩素化ポリオレフィングラフトアクリル樹脂が40%未満の場合、塗膜が柔らかくなり、塗膜強度が低下する。また、80%を超える場合には形成された塗膜は柔軟性に乏しくなり、エアバッグカバー等の低温での作動時に塗膜割れが発生し、飛散するおそれがある。
【0027】
塗膜の物性を著しく阻害しない範囲であれば、(a-1)及び(a-2)以外の他のバインダー樹脂を併用しても良い。この場合、他のバインダー樹脂の混合割合は、バインダー樹脂全体に対して、50%(重量比)以下とする。
【0028】
(B) 水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末
本発明において、水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末は艶消し剤としての役割を有する。水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末は、水酸基価100〜250であることが好ましい。当該水酸基が、硬化剤である(C)ポリイソシアネート化合物とウレタン結合するので、ポリウレタン樹脂微粉末はバインダー樹脂とともに強固な一体塗膜となるため艶消し微粉末剤が脱落しにくくなり、長期に渡って良好な艶消し状態が維持される。
【0029】
ポリウレタン樹脂微粉末の水酸基価が100以下である場合、官能基による結合力が小さく、耐摩擦摩耗性が低下するので好ましくない。また、水酸基価が250以上である場合、樹脂の粘着性が高くなり、感触に違和感を生じるので好ましくない。より好ましくは水酸基価150〜200である。
【0030】
また、水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末は、ガラス転移点(Tg)が0〜30℃であることが好ましい。Tgが0℃以下だと耐薬品性に乏しくなり、30℃以上だと、塗膜が硬く割れやすくなるので好ましくない。
【0031】
水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末は、平均粒子径が10〜100μmであることが好ましく、20〜70μmであることがより好ましい。平均粒子径が10μm以下だと、十分な艶消し感が得られず、平均粒子径が100μm以下だと、塗膜の平滑性が低下するので好ましくない。
【0032】
次に、このような水酸基含有ポリウレタン粉末の製造方法につき説明する。まず、脂肪族二塩基酸の少なくとも一種と、脂肪族二価アルコールの少なくとも一種とを反応させ、分子量500〜3000程度のポリエステルポリオールとなす。脂肪族二塩基酸としては、マロン酸,コハク酸,グルタール酸,アジピン酸,ピメリン酸,コルク酸,アゼライン酸,セバシン酸等が挙げられる。また脂肪族二価アルコールとしては、エチレングリコール,ジエチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0033】
次いで、上記ポリエステルポリオールを更に、上述した脂肪族二価アルコールの少なくとも一種と、ジイソシアネート化合物の少なくとも一種とを用いて鎖延長反応させることにより、分子量4,000〜40,000程度のポリエステルウレタン樹脂を合成する。ジイソシアネート化合物としては、キシレンジイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシアネート,ヘキサメチレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0034】
次に、攪拌機,還流冷却器及び滴下ロートを有する三つ首フラスコを使用し、攪拌しながら上記ポリエステルウレタン樹脂と分散助剤とを、分散媒と共に約70〜90℃に加熱することにより、ポリエステルウレタン樹脂を分散させると共に分散助剤を溶解する。さらに、ポリイソシアネート、反応触媒及び硬化促進剤とを加え、70〜90℃に保持しながら1〜4時間反応させる。これにより10〜100μmの粒子径を有する水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末の懸濁液が得られる。
【0035】
この際、使用できるポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族ポリイソシアネート、及び水添ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート(MDI)、水添MDI等の芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0036】
(C)ポリイソシアネート化合物
本発明の塗料組成物は、その使用に先立って、硬化剤を添加する2液1コート型の塗料であり、ポリイソシアネート化合物は硬化剤としての役割を有する。本発明においては、末端にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物を用いる。このようなポリイソシアネートとしては(B)水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末で例示したポリイソシアネートと同様のものを使用できる。
【0037】
[II]ポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物の調製方法
上記のようにしてそれぞれ調製された(A)バインダー樹脂と(B) 水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末とを、(A)+(B) 100重量部(固形分重量)に対して、(B)が好ましくは20〜80重量部、より好ましくは30〜50重量部となるよう混合する。この混合比率も塗膜の性状に与える影響が大きく、(B)の割合が20重量部未満だと耐薬品性が乏しくなり、80重量部超だと塗膜強度が低下する。
【0038】
なお、この塗料組成物には、必要に応じて、体質顔料、着色顔料、レベリング剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
【0039】
上記割合で(A)及び(B)を溶剤に溶解する。使用可能な溶剤としては、脂肪族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤等の通常の塗料用の有機溶剤が挙げられる。
【0040】
本発明のポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物は、その使用に先立って、硬化剤として(C)ポリイソシアネート化合物を添加する。(C)ポリイソシアネート化合物は、水酸基:イソシアネート基の当量比で50:10〜130:10、好ましくは75:10〜110:10の割合で添加する。
【0041】
本発明のポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物は所定の塗装方法によって塗膜厚さが10〜70μm、好ましくは、20〜30μmとなるよう成形型に対して塗布される。塗装方法としては通常使用されている方法を選択できるが、望ましい方法は、エアースプレー方式、エアレススプレー方式、フローコーター方式等である。塗布後、70〜90℃で30分〜1時間保持することにより、ポリオレフィン系成型品表面に密着性に優れた高級感のある塗膜を形成することができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
実施例1〜8
(I)水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末の作製
まず、ポリエステルポリオール(「デスモーフェン1700」、日本ポリウレタン工業(株)製)200gとエチレングリコール32gを、キシレン1100gに溶解し、80℃で2時間加熱した。
【0044】
次いで、コロネードHL(ヘキサメチレンジイソシアネート:日本ポリウレタン工業(株)製)20gを用いて鎖延長反応させポリエステルポリウレタン樹脂を得た。
【0045】
次に、攪拌機,還流冷却器及び滴下ロートを有する三つ首フラスコを使用し、攪拌しながら上記ポリエステルウレタン樹脂130.5gと、分散助剤の油変性アルキッド樹脂(ヤシ油変性,油長40%)(フタルキッド133−60〔日立化成工業(株)〕製)10.5gとを、分散媒のキシレン743.0gと共に約85℃に加熱する。これにより、ポリエステルウレタン樹脂を分散させると共に油変性アルキッド樹脂を溶解した。
【0046】
次に、イソシアネートとしてコロネードHL(ヘキサメチレンジイソシアネート:日本ポリウレタン工業(株)製)68.5g,反応触媒としてナフテン酸亜鉛3.5g(金属含有量6%)及び硬化促進剤としてジブチル錫ジラウリレートの1%のキシレン溶液12.Ogを加え、85℃にて2時間反応させた。
【0047】
その後、反応停止剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル35.0gを加え、85℃にて1時間維持し、未反応のイソシアネートを除去して、20〜70μmの粒子径を有するポリウレタンビーズの懸濁液450gを得た。
【0048】
上記懸濁液を濾過することにより、水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末を得た。得られたポリウレタン樹脂微粉末の水酸基価は、180であった。
【0049】
(II)ポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物の調製
A:バインダー樹脂
(a-1)アクリルグラフトポリエステル樹脂(「デスモーフェン670」、(株)日本ポリウレタン(株)製)
(a-2)塩素化ポリオレフィングラフトアクリル樹脂(商品名「アクリディック」、大日本インキ化学工業(株)製)
【0050】
B:艶消し剤
(I)で作製した水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末
【0051】
C:硬化剤
ヘキサメチレンジイソシアネートの多量体(商品名「デュラネートE-402-90T」、旭化成工業(株)製)
【0052】
表1に示す組成に従い、Aバインダー樹脂、B艶消し剤を60重量部のキシレン溶媒中に混合分散して、塗料組成物を作製し、塗布直前にC硬化剤を添加した。
【0053】
【表1】
Figure 0004155697
【0054】
(III)塗装
上記艶消し塗料を塗膜厚さが約20〜30μmとなるようポリオレフィン系成型品に塗装し、80℃にて30分間乾燥した。
【0055】
(IV)性能評価
(付着性)
上記条件にて作成した試験片を48時間放置後、碁盤目テープ剥離試験を実施し、塗膜の剥がれを評価する。また、試験片を温水(40℃)中に196時間放置した後、碁盤目テープ剥離試験を実施し、塗膜の剥がれを評価した。
【0056】
【表2】
Figure 0004155697
【0057】
(耐薬品摩耗性)
幅約30mm、長さ200mmの試験片をとり、HSL0849に規定される摩擦試験機II型の試験台に取り付け、表3の薬品に浸積した白綿布(カナキン3号)を摩耗子の接触面にかぶせて固定し、摩耗子の荷重を2N(200gf)として試験片上100mmの間を毎分30回往復する速さで往復摩擦し、白綿布汚染及び材料の摩耗の程度を外観目視判定した。結果を表3に表示する。
【0058】
【表3】
Figure 0004155697
【0059】
(エアバッグ作動テスト)
エアバッグカバーに於ける本発明の塗料による塗装品を、初期状態で-35℃〜85℃にてエアバッグ作動テストをし、塗膜状態を評価した。また、熱老化後(110℃,1000時間)、オゾン劣化後(50pphm,40℃,200時間)、湿劣化後(50℃,95%RH,1000時間)、冷熱サイクル後(-30℃(冷却),50℃,95%RH(温熱),80℃(加熱)を24時間で1サイクル実施し、50サイクル)の各老化テスト後の塗装品を-35℃〜85℃にてエアバッグ作動テストをしたところ、実施例1〜8のすべてについて、初期状態、各劣化試験後とも設定されたテア部が破断し、開口フラップ部が回動しても、塗料が剥がれたり、割れて飛散しないことが確認できた。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物は、1コートでもポリオレフィン系成型品へ強固に密着し、エアバッグ作動時のカバー材の飛散を防止できる。また、得られる塗膜は表面に高級な艶消し感(奥行き感、スエード感)を与えるとともに、当該艶消し状態を長期間保持できるため、エアバッグカバー等の特殊な環境下(低温度領域)で作動するポリオレフィン系成型品の表面塗装に好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. (A)少なくとも(a-1) ガラス転移点が-60〜-30℃のアクリルグラフトポリエステル樹脂及び (a-2) ガラス転移点が30〜60℃の塩素化ポリオレフィングラフトアクリル樹脂からなるバインダー樹脂と、
    (B)水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末と、
    (C)末端にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物とを主成分とすることを特徴とするポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物。
  2. 請求項1に記載のポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物において、前記(a-1)アクリルグラフトポリエステル樹脂は、アクリル樹脂成分が10〜30%、分子量が15,000〜45,000、水酸基価が2〜15であり、前記(a-2)塩素化ポリオレフィングラフトアクリル樹脂は、塩素化ポリオレフィン樹脂成分が10〜30%、分子量30,000〜50,000であり、(a-1):(a-2)は重量比で20:80〜60:40であることを特徴とするポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物において、前記(B) 水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末が、水酸基価100〜250のポリウレタン樹脂からなることを特徴とするポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物において、前記(B) 水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末は、平均粒径20〜70μmであることを特徴とするポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物において、前記(B) 水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末を20〜80重量%(ただし、(A)+(B)=100重量%)含有することを特徴とするポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物において、前記(C)ポリイソシアネート化合物は、水酸基:イソシアネート基の当量比で、50:10〜130:10の割合で含有されることを特徴とするポリオレフィン系成型品用艶消し塗料組成物。
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