JP4150185B2 - 媒体感知、識別システムおよび方法に用いられる媒体 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体または他の材料についての情報を感知し、識別するためのシステムおよび方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
市場では数多くのタイプの記録装置が市販されている。このような記録装置とは、コピー機、レーザー、インクジェット、およびドットマトリックスプリンタ、ファクシミリ機、およびオフセット印刷機などである。これらの各記録装置は、シート材料の形態の１種以上のタイプの記録媒体を使用できる。例えば、コピー機は種々のタイプの紙や種々のタイプのプラスチックのトランスペアレンシ上に画像を形成する。さらに、コピー機は種々のサイズの記録媒体上に画像を形成する。例えば、コピー機は、８．５インチ×１１インチ、８．５インチ×１４インチ、およびＡ４サイズ等の種々のサイズの記録媒体を使用できる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
より精巧なコピー機でも、使用している記録媒体のタイプに関する情報はほとんど与えられない。上述のように、ユーザーは記録媒体の種々のサイズから１つを選択して、画像を形成するようにできる。通常、各給紙トレイ内のセンサによってサイズ情報が与えられ、コピー機のコンソールに配置されたディスプレイ上に表示される。さほど精巧でないコピー機の給紙トレイは、ある特定の１つの大きさの記録媒体しか収容できないようになっている。
【０００４】
このように、ユーザーがコピー機のコンソールを見て記録媒体のサイズを判断することが可能である。それ以外の場合、ユーザーが記録媒体に関する他の何らかの情報を確認するためには、ユーザーが自発的にその情報を確認する必要がある。同様に、レーザープリンタ、ファクシミリ機、インクジェットプリンタ等の他の装置も、使用している記録媒体についての情報を自動的に判断する能力は限られている。このような情報には、記録媒体のサイズ、記録媒体を形成する材料、記録媒体の品質、記録媒体上の何らかの表面処理またはコーティング、記録媒体の密度または重量等が含まれる。
【０００５】
同様に、記録媒体上に形成される画像についての情報を埋め込むための様々な技術が知られている。このような既知の技術には、デジタルすき入れ、データグリフ等があるが、これらの各技術は、記録媒体上に画像を形成するのに使用する画像データの操作を必要とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、記録媒体および／または記録媒体上の画像から放出される１つ以上の化学化合物を感知することによって記録媒体および／または記録媒体のシート上の画像についての情報を得るためのシステムおよび方法を提供する。
【０００７】
本発明はさらに、人工嗅覚系センサを用いて記録媒体および／または記録媒体上の画像についての情報を検出するシステムおよび方法を提供する。
【０００８】
本発明はさらに、１つ以上の感知可能な化学化合物で記録媒体にタグを付与するためのシステムおよび方法を提供する。
【０００９】
本発明はさらに、記録媒体に担持される情報に基づいて１つ以上の感知可能な化学化合物で記録媒体にタグを付与するためのシステムおよび方法を提供する。
【００１０】
本発明はさらに、人工嗅覚系システムを利用して検出可能な１つ以上の化学化合物を含むトナー材料を用いて記録媒体にタグを付与するためのシステムおよび方法を提供する。
【００１１】
本発明によるシステムおよび方法の種々の例示的な実施形態において、記録媒体のシートのエッジまたは表面には記録媒体から滲出する１つ以上の化学化合物が付与され、記録媒体からの滲出物は感知および／または検出されることが可能である。種々の例示的な実施形態において、１つ以上の化学化合物は媒体に埋め込まれるか、または記録媒体の表面またはエッジに配置されて、記録媒体および／または記録媒体上の画像についての情報を符号化する。
【００１２】
本発明によるシステムおよび方法の他の種々の例示的な実施形態は、媒体処理装置を含む。この媒体処理装置は、滲出物感知または検出装置とプロセッサを含む。媒体処理装置は、媒体上に画像を形成したり、媒体が担持する画像の電子画像を形成するといった動作を媒体に施す。しかし、媒体に対してまたはこれに関連して行われ得るいかなる既知のまたは後に開発される動作も媒体処理装置によって実行できることを理解されたい。
【００１３】
媒体は、媒体から材料を滲出させる、媒体のエッジまたは表面上にあるかまたは媒体内に埋め込まれた１つ以上の化学化合物を有する。種々の例示的な実施形態において、媒体から滲出される特定の化学化合物は、媒体または媒体上に形成された画像についての情報を提供する。他の種々の例示的な実施形態において、媒体内に埋め込まれた、または媒体の表面もしくはエッジ上にある１つ以上の化学化合物の位置は、媒体および／または媒体に担持される画像についての情報を含むコードを形成する。他の種々の例示的な実施形態において、媒体内に埋め込まれるか、または媒体の表面および／またはエッジ上にある１つ以上の化学化合物の組み合わせとその位置の双方で、媒体および／または媒体によって担持される画像についての情報を符号化する。滲出物感知装置は、媒体から滲出された化学化合物を感知し、かつ／または媒体によって１つ以上の化学化合物が滲出された位置を検出する。
【００１４】
プロセッサは滲出物感知または検出装置と通信し、滲出物感知または検出装置によって生成されたセンサ信号から情報を抽出する。媒体処理装置は、抽出された情報に基づいて媒体を処理する。
【００１５】
本発明のシステムおよび方法の種々の例示的な実施形態は、１つ以上の化学化合物のタイプ、量、および／または空間分布を検出する滲出物感知システム、および／またはユーザーが媒体に情報を符号化および／または媒体から情報を復号化するのを可能にするデスクトップもしくはハンドヘルドスキャナおよび／またはタグ付与器を含む。文書の内容および／または出所に基づいて文書に埋め込まれるかまたは付与された１つ以上の特定の化学化合物を用いることで、文書の著作者を判断できる。種々の例示的な実施形態において、１つ以上の化学化合物は記録媒体の電磁的特性に影響を及ぼさない。そのため、１つ以上の化学化合物を用いて、材料シートの可視光を反射する能力等の材料またはシートの電磁的特性を感知する装置には実質的に見えない一意的な「サイン」を形成することができる。例えば、１つ以上の滲出可能な化学化合物で紙幣をコード化できる。画像および色はある程度まで複写できるものの、埋め込まれ、コード化された化学的サインは複写が困難であろう。
【００１６】
従来のコピーおよび／または印刷システムは、現在のところ、シート供給または蓄積用の束における記録媒体についての情報の光学的な自動検出に限られている。しかし、光学感知は記録シートの非画像領域に限られ、かつ／または見える状態であったり、または記録シートの画像を記録する能力に影響を与えてはならない。あるシステム、例えば大型のプロッタ等については、最適な印刷品質が得られるようにするにはどの類の媒体を使用しているかがわかっていることが必要である。滲出物ベースのシステムは、コピーおよび／または印刷システムが非光学的技術を用いて媒体のタイプを検出するのを可能にする。
本発明のこれらのおよび他の特徴および利点は、本発明によるシステムおよび方法の種々の例示的な実施形態の以下の詳細な説明に説明されるか、またはこれより明らかである。
【００１７】
【発明の実施の形態】
本発明の種々の例示的な実施形態を添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【００１８】
図１は、シート上に画像を印刷するとともに、シートに香り付けをするコンディショナを含む従来の印刷装置１００を示す。例えば、シートは、ある香水の広告が掲載された雑誌のページであってもよい。図１に示されるように、人間が知覚できる香りを含んだ流体が貯蔵器１６０内に入れられる。流体はポンプ１６５、親水性のドナー状ロール１０２によって搬送され、シートが香り付けされる場合にのみ係合するニップを用いてシート５２に付与される。この印刷装置１００では、付与される香りは人間が識別できるものである。この香りに関連する香気以外には、この香りには何の情報も含まれない。すなわち、この香りはそのためだけに付与されるのであり、ある種の情報を表すというわけではない。この装置１００は、Acquavivaに付与された米国特許第5,970,300号により詳細に記載されており、ここにその全体を引用により援用する。
【００１９】
図２および図３に示されるように、記録媒体のシート１２は第１の表面１４と第１の表面１４に対向する第２の表面１６を有する。以下の説明は記録媒体のシートに関するものであるが、以下に説明するシステムおよび方法は、任意の寸法、サイズ、形状、組成、または有用性を持ったいかなる既知のまたはこれから開発される材料にも実用化できることを理解されたい。すなわち、画像形成装置において使用される記録媒体の説明は単に例示的なものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。シート１２は、第１の表面１４と第２の表面１６の間であって、シート１２の周囲に延在するエッジ１８を含む。図２に示されるように、本発明による種々の例示的な実施形態において、シート１２の第１の表面１４の１つ以上の箇所２０は、各々、１つ以上の滲出可能な化学化合物を含む。
【００２０】
シート１２は、また、複数のエッジ１８を含む。図２に示されるように、シート１２は４つのエッジ部分１８Ａ−１８Ｄを含む。図３に示されるように、本発明による種々の例示的な実施形態において、エッジ部分１８Ａ−１８Ｄの各々は、そのエッジ１８Ａ−１８Ｄの１つ以上の部分に形成される１つ以上の滲出物を有してもよい。エッジ部分１８Ａ−１８Ｄの各々が同一の滲出物を含むのが望ましい場合には、それも可能である。しかし、本発明による他の種々の例示的な実施形態では、１つ以上の滲出物の同一のパターンが対向するエッジ部分、例えば対向するエッジ部分１８Ａおよび１８Ｃ、または対向するエッジ部分１８Ｂおよび１８Ｄに形成されてもよい。さらに、本発明による他の種々の例示的な実施形態において、滲出物はエッジ部分１８Ａ−１８Ｄの各々に配置されてもよい。さらに、本発明による種々の例示的な実施形態において、各エッジ１８Ａ−１８Ｄ上の１つ以上の滲出物は、その他のエッジ１８Ａ−１８Ｄ上の１つ以上の滲出物とは異なっていてもよい。
【００２１】
本発明による他の種々の例示的な実施形態において、滲出物は、記録媒体のシート１２を形成する材料に埋め込まれてもよい。図７に示されるように、繊維状の材料４４からなる記録媒体のシート１２は、繊維に埋め込まれた滲出物分子を有する。他の種々の例示的な実施形態において、この分子は、記録媒体のシート１２を形成するのに使用される任意の材料の構造に埋め込まれてもよい。埋め込まれた滲出物は単独で用いられてもよいし、記録媒体のシート１２の表面１４および／または１６上に形成される１つ以上の滲出物と組み合わせて使用されてもよい。
【００２２】
種々の例示的な実施形態において、滲出可能な化学化合物の各々は、記録媒体のシート１２の独特の特徴と関連づけられる。この場合、滲出可能な各化学化合物が配置された記録媒体のシート１２上の特定の箇所２０は、本発明による感知または検出装置が滲出可能な化学化合物の存在を検出できるのであれば、または、滲出可能な化学化合物が検出されない場合に感知装置が滲出可能な化学化合物を検出できないのは滲出可能な化学化合物が記録媒体のシート１２にないからだということが信頼性を持って解釈できるのであれば、比較的重要ではない。または、滲出可能な化学化合物は媒体１２全体に埋め込まれても良い。このように、この場合には、滲出可能な各化学化合物は記録媒体のシート１２のそれぞれに異なる特性と関連づけられる。
【００２３】
他の種々の例示的な実施形態において、各箇所２０は、記録媒体のシート１２のそれぞれに異なる特性と関連づけられる。この場合、このような箇所２０の各々が任意の数の滲出可能な化学化合物の組み合わせを含んでもよい。この場合、特定の箇所２０と関連づけられる特性についての特定の値を、その箇所２０に付与される滲出可能な化学化合物の組み合わせによって符号化してもよい。この場合、滲出可能な化学化合物の組み合わせを用いて、記録媒体のシートおよび／または記録媒体のシート１２に担持される画像のある特定の特性に関する特定の値を直接的にまたは間接的に表すための既知のまたは後に開発される機構を使用することができることが理解されるであろう。例えば、例示的な一実施形態では、実現された滲出可能な各化学化合物が記録媒体のシート１２の特定の箇所２０に存在するかどうかに基づいてソートが行われる２進ソートアルゴリズムに基づいて情報が符号化されてもよい。または、他の種々の例示的な実施形態において、１つ以上の滲出可能な化学化合物の各組み合わせが特定の数値を表してもよい。特定の特性が数値を有してもよい。この場合、１つ以上の滲出可能な化学化合物の特定の組み合わせによって特定の数値が直接表される。特定の特性が数値でない場合には、数値の組み合わせが、特定の箇所２０と関連する特性についての種々の可能な値を含むルックアップテーブルにおけるエントリを指すポインタとして作用してもよい。さらに、他の種々の例示的な実施形態において、１つ以上の滲出可能な化学化合物の各組み合わせが、固定の非数値の値を表してもよい。
【００２４】
他の種々の例示的な実施形態において、記録媒体のシート１２の各特性は、複数の箇所２０と関連づけられる。これにより、独特の滲出可能な化学化合物の総数は削減できるかもしれないが、記録媒体のシート１２および／または記録媒体のシート１２に担持される画像についての情報を符号化するための記録媒体のシート１２の表面積をより多く必要とする可能性がある。ここでも、それぞれが記録媒体のシート１２の各特性と関連づけられることが可能な複数の箇所２０および１つ以上の滲出可能な化学化合物に情報を符号化するのに、いかなる既知のまたは後に開発される符号化機構を用いてもよいことが理解されるであろう。
【００２５】
図２に示されるように、記録媒体のシート１２に担持される用途および／または記録媒体のシート１２の特定の特性についての情報は、箇所２０および箇所２０に付与される特定の滲出可能な化学化合物であってもよいことが理解されるであろう。または、記録媒体のシート１２に担持される画像および／または記録媒体のシート１２の特定の特性についての情報は、記録媒体のシート１２の表面および／またはエッジに沿った１つ以上の方向に１つ以上の滲出可能な化学化合物が付与される特定の箇所２０の範囲に符号化されてもよい。
【００２６】
さらに、滲出可能な化学化合物は肉眼で見えるものであってもよいし、または肉眼では識別できないものであってもよいことが理解されるであろう。または、滲出可能な化学化合物は、偏光、特定の波長の光等の特定の照明条件の下や、暗所視用ゴーグル、赤外線ゴーグル等の１つ以上の視覚補助手段を伴って見ると見えるというものであってもよい。しかし、美的および／または安全上の理由から、滲出可能な化学化合物は少なくとも肉眼では見えないのが一般的にはより望ましいであろう。
【００２７】
同様に、滲出可能な化学化合物は人間の嗅覚系で識別できるものであってもよいし、できないものであってもよいことが理解されるであろう。しかし、滲出可能な各化学化合物は、それが存在するときに少なくとも１つのタイプのセンサで識別でき、高い信頼性でその滲出可能な化学化合物の存在または不在を示す信号をセンサ装置で生成できる必要がある。ここでも、美的および／または安全上の理由から、滲出可能な化学化合物は人間の嗅覚系で容易に識別できないのが一般的である。
【００２８】
例示的な一実施形態において、滲出物は、記録媒体のシート１２および／または記録媒体のシート１２に担持される画像上に配置されるか、または埋め込まれて、記録媒体のシート１２および／または記録媒体のシート１２に担持される画像の特性に関する特定の情報を伝えるようにしてもよい。例えば、記録媒体のシート１２および／または記録媒体のシート１２に担持される画像の種々の特性についての特定の情報を伝える滲出物の空間的配置、滲出物のタイプ、または滲出物の量を利用して、１つ以上の滲出物を記録媒体のシート１２上に配置、または埋め込んでもよい。このような記録媒体のシート１２の特性とは、記録媒体のシート１２の重量、厚さ、品質、剛性、グレイン方向、分類、パンチ穴のパターン、および／または向き等を含んでもよい。
【００２９】
さらに、記録媒体のシート１２は、記録媒体のシート１２の各表面１４および１６に配置されるかまたは埋め込まれる、同じまたは互いに異なる滲出物情報を有してもよいことが理解されるであろう。
【００３０】
図４は、互いに表を合わせて(facial registration)重ねた複数のシート１０、すなわち符号化された記録媒体を示す。図４において、シート１０の種々の箇所２０に配置または埋め込まれた種々の滲出物は、互いに同一であっても異なるものであってもよい。
【００３１】
別の例示的な実施形態において、滲出物は、シート１０上に形成される画像についての情報を与えるように、シート１０上に配置または埋め込まれてもよい。例えば、１つ以上の滲出物がその著作者やデータ情報を与えるようにシート１０上に配置または埋め込まれてもよい。または、１つ以上の滲出物が、シート１０上に担持される画像のファイル名およびディレクトリ位置を与えるようにシート１０上に配置または埋め込まれてもよい。複数の画像、図、表、引用、および参照を含む複雑な文書では、１つ以上のこれらのアイテムの起源を表すソース情報を与えることも可能であろう。
【００３２】
図５は、本発明による滲出物感知装置および滲出物タグ付与装置の一方または両方を組み込む画像形成装置４０のブロック図である。図５に示されるように、画像形成装置４０は、選択されたタイプの記録媒体上に画像を形成する。画像形成装置４０は、第１のタイプの記録媒体４２と、コントローラ２８と、メモリ３０と、ディスプレイ３２と、画像形成エンジン３４とを含む。画像形成装置４０は、画像データソース２２および１つ以上のユーザー入力装置２４に接続可能である。画像形成装置４０は、滲出物タグ付与装置３６および滲出物感知装置３８のいずれか、または双方を含んでもよい。画像形成装置４０で使用できる記録媒体のシート４２は、１つ以上の表面および／または１つ以上のエッジに配置されるとともに、例示的な一実施形態においては紙またはプラスチックのトランスペアレンシ等の特定のタイプの材料として記録媒体４２を識別するコードを形成する１つ以上の滲出物を有する。滲出物感知装置３８は、記録媒体４２上に符号化された１つ以上の滲出物に関連して動作し、異なる滲出物の各々、または１つ以上の滲出物の特定の位置、範囲、および／または組み合わせを感知して、符号化された情報を表す信号を生成する。
【００３３】
この例では、１つ以上のユーザー入力装置２４が、ユーザーが所望する特定のタイプの記録媒体４２を選択するように、ユーザーによって操作される。コントローラ２８は滲出物感知装置３８および１つ以上のユーザー入力装置２４と通信して、この例では、記録媒体４２はユーザーが選択したタイプの記録媒体として識別されるかどうかを判断する。記録媒体４２が、ユーザーが選択したタイプの記録媒体として識別されると判断されると、コントローラ２８は画像形成装置４０に記録媒体のシート４２上に画像を形成させる。
【００３４】
図５に示される画像形成装置４０はまた、ディスプレイ３２を含んでもよい。この例では、コントローラ２８によって記録媒体４２がユーザーが選択したタイプの記録媒体として識別されないと判断されると、コントローラ２８はディスプレイ３２上にメッセージを出させて、選択されたタイプの記録媒体が利用できないことを知らせる。その結果、コントローラ２８は画像形成装置４０が記録媒体のシート４２上に画像を形成しないようにする。
【００３５】
滲出物感知装置３８は、金属酸化物センサ、導電性ポリマーセンサ、水晶マイクロバランスセンサ、マイクロメカニックセンサ、分子センサ、および／または滲出物で符号化された媒体から滲出された滲出物の分子を検出し、感知した滲出物のタイプおよび／または量に依存した信号を発生し、その信号をコントローラ２８に出力することのできる他の適切な既知のまたは後に開発されるセンサを含んでもよい。滲出物感知装置３８は、検出されるべき異なる化学化合物の各々について１つのセンサ、および／またはいくつかの異なる化学化合物をそれぞれが区別して検出できる１つ以上のセンサを含んでもよいことが理解されるであろう。滲出物感知装置３８は、滲出物のタイプ、その濃度、またはそのシート上での箇所に基づいて信号を生成できる。その後、コントローラ２８が、滲出物感知装置３８からの信号を利用できる情報に変換する。
【００３６】
種々の例示的な実施形態において、図５に示される画像形成装置４０は、滲出物タグ付与装置３６を含んでもよい。記録媒体のシート４２は、処理されるたびに、そのシート４２上に情報を符号化するための１つ以上の滲出物でタグを付されてもよい。符号化された情報は、例えば、ユーザーがシート４２に配置したい任意の情報を含んでもよい。滲出物タグ付与装置３６は、シート４２に１つ以上の滲出する化学化合物を付与することができる任意の既知のまたは後に開発される装置であってもよく、例えば、’３００号特許に記載されるようなスポンジベースの付与システムまたはレーザープリンタ等の装置である。
【００３７】
図６に示される例示的な一実施形態において、滲出物タグ付与装置３６はインクジェットプリンタである。滲出物はインクまたはトナー供給カートリッジ７４内に蓄積される。滲出物はインクまたはトナーに含まれてもよいし、または別の材料として受像媒体６４に送られてもよい。受像媒体６４が印刷経路６６を通る際に、１つ以上のノズル６８を通して滲出物が受像媒体６４に付与される。
【００３８】
種々の例示的な実施形態において、滲出物タグ付与装置３６は、画像形成装置４０によって使用されるトナーまたはインクに組み込まれる滲出物を用いてもよい。または、滲出物は、画像を形成する前、またはその後に、別個に付与されてもよい。この場合、画像形成装置４０は、記録媒体のシート４２に付与される滲出物を含む別個の容器を有するであろう。
【００３９】
種々の例示的な実施形態において、１つ以上のユーザー入力装置２４は、滲出物感知装置３８によって読み出されるべき特定のタイプの情報を要求するか、または表示される情報のタイプを変更するのに用いてもよい。従って、ユーザーは特性がわかっていない記録媒体のシート４２を見いだすかもしれず、それを滲出物感知装置３８を用いて記録媒体のシート４２をスキャンし、その媒体のシート４２についての１つ以上の特性を判断することで、記録媒体のシート４２を識別してもよい。ユーザーはまた、滲出物タグ付与装置３６を用いて記録媒体のシート４２にタグを付与すべき特定の情報を入力するのに１つ以上のユーザー入力装置２４を用いてもよい。１つ以上のユーザー入力装置２４はコントローラ２８に信号を送り、コントローラ２８は滲出物タグ付与装置３６に１つ以上の滲出物で記録媒体のシート４２にタグを付与するように信号を送る。例えば、ユーザーは自分が文書の著作者であることを示したいと思った場合、１つ以上のユーザー入力装置２４を用いて自分の名前を入力し、コントローラ２８にその名前を１つ以上の滲出物を用いて記録媒体のシート４２上に符号化するよう命じる。
【００４０】
画像形成装置４０は、コピー機、プリンタ、ファクシミリ機、オフセット印刷機、または、記録媒体のシート４２上に画像を印刷、または形成する他の何らかの既知のまたは後に開発される装置であってもよい。
【００４１】
図５には画像形成装置４０の一部として図示されているが、本発明の滲出物感知および／またはタグ付与システムおよび方法は、例えば、プリンタおよびファクシミリ機などの様々な装置に組み込むことが可能である。種々の例示的な実施形態において，本発明による滲出物タグ付与装置を備えたファクシミリ機は、ファックスを受信した日時をページの上部に見えるように印刷するのではなく、１つ以上の滲出物を用いてこの情報を符号化することができる。本発明による滲出物感知および／またはタグ付与システムおよび方法を備えたファクシミリ機は、記録媒体のシート４２に含まれた滲出物を感知して、受信するファクシミリ機に元の原稿に含まれた情報を伝えるように滲出物で記録媒体４２にタグを付すように命令を送ることができるようにしてもよい。
【００４２】
種々の例示的な実施形態において、本発明の滲出物感知および／またはタグ付与システムおよび方法はデスクトップ装置としてスタンドアローンの形態であってもよい。本発明による滲出物タグ付与装置は滲出物を含むトナーまたはインクを備えてもよいし、またはトナーまたはインクとは別に付与される滲出物を収容した貯蔵器を備えていてもよい。本発明による滲出物感知および／またはタグ付与システムおよび方法は、必要なソフトウェアを備えたコンピュータとしてコントローラが実現されるようなコンピュータと使用されてもよい。
【００４３】
他の種々の例示的な実施形態において、本発明による滲出物感知および／またはタグ付与システムおよび方法は、ユーザーが媒体上のまたはこれに埋め込まれた滲出物を感知するか、またはこの媒体上にタグを付与するハンドヘルド装置である。
【００４４】
本発明による滲出物感知および／またはタグ付与システムおよび方法の例示的な一用途の別の例では、第１の符号化される記録媒体がトランスペアレンシであり、第２の符号化される媒体がボンド紙からなる会社のレターヘッドであり、第３の符号化される記録媒体が左側に３穴を有する通常のコピー紙であり、第４の記録媒体がカード紙である。符号化される各画像媒体は、コントローラとともに滲出物感知装置３８によってそれと識別することのできる一意的な滲出物を有する。ユーザーは１つ以上のユーザー入力装置２４を用いて、１０ページにわたる会社のパンフレットを２０部要求する。ユーザーは、その各々の写しの最初のページはトランスペアレンシに会社のロゴを入れて印刷するように指示する。２ページ目は、前置きのメッセージを印刷した会社のレターヘッドである。３ページから９ページは、会社のサービスを説明した文書である。最後のページは会社名、住所、および電話番号を印刷したバックカバーであり、残りのページを構造的に支持するものである。コントローラ２８はここで、各媒体上の滲出物を読みとって適切な媒体があるかどうかを判断する。必要なタイプの媒体がなければ、ユーザーに警告を出すか、または利用できる媒体の量が不十分であることをユーザーに知らせてもよい。そのジョブに必要な媒体が利用できるとすると、画像形成装置４０は、記録媒体のタイプを手動で変えたり校合したりする必要なく、１０ページにわたる会社のパンフレットの原本の写しを２０部作成できることが理解されるであろう。
【００４５】
さらに、画像形成装置４０は、コントローラ２８と作動的に接続される画像記録パラメータ装置を含んでもよい。コントローラ２８が画像形成装置４０の動作パラメータを変更して、滲出物感知装置によって感知された特定のタイプの記録媒体の印刷または画像形成を簡単にするようにできる。画像形成装置４０は画像記録パラメータに従って動作する。コントローラ２８は、選択された記録媒体のタイプに基づいて画像記録パラメータを調整する。例えば、第４の記録媒体として使用するカード紙はコピー紙よりも厚い。コントローラ２８は画像形成装置４０内のローラを調整して、隣接するローラ間の最適距離の画像処理によってカード紙の動きを促進することができる。
【００４６】
図５は記録媒体のシートに作用する画像形成装置４０を示す。他の例示的な実施形態においては、本発明による滲出物感知および／またはタグ付与システムおよび方法における媒体処理装置は、スキャナ、ソータ、材料切断または形成装置、または材料を処理するもしくは取り扱う他のいかなるタイプの装置であってもよい。
【００４７】
本発明の例示的な一実施形態において、本発明による滲出物感知および／またはタグ付与システムおよび方法における材料処理装置は、給紙トレイ内に配される材料を含む。この材料は、材料に関連する情報を符号化する滲出物を含む。材料処理または取り扱い装置はまた、滲出物感知装置３８および／または滲出物タグ付与装置の少なくとも１つを含む。材料処理および／または取り扱い装置はまた、コントローラ、メモリ、ディスプレイ、ユーザー入力装置の少なくとも１つを含んでもよい。
【００４８】
処理または取り扱い装置は、材料に関連する符号化された情報に基づいてその性能、能力を修正することが理解されるであろう。例えば、材料がある大きさの銅だと識別すると、処理または取り扱い装置は、銅にあけるいかなる穴の大きさおよび位置も調整できる。さらに、処理または取り扱い装置は、材料に関連した符号化情報に基づいてその性能パラメータを最適にできることが理解されるであろう。例えば、材料のタイプと厚さがわかると、処理または取り扱い装置は、その材料において穴をあけるのに必要な衝撃力の強さを調整し、力の消費を減じるとともに穴あけ器の変更の頻度を減じる。
【００４９】
最後に、どのタイプの材料も、滲出物感知装置によって読み出せる１つ以上の滲出物の一意的な独自の組み合わせを有してもよいことが理解されるであろう。コントローラは感知される材料のタイプに基づいて制御信号を生成し、感知した材料のタイプに基づいて種々の動作を制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】 画像形成装置において紙に人間が感知できる香りを付与するための従来の装置を詳細に示す側面図である。
【図２】 本発明による１つ以上の滲出可能な化学化合物を含む表面領域を複数備えた記録媒体の例示的な一実施形態の斜視図である。
【図３】 本発明による１つ以上の滲出可能な化学化合物を含むエッジ領域を複数備えた記録媒体の例示的な一実施形態の側面図である。
【図４】 図２の記録媒体であって、その各々の上面に形成された同一のコードを有する符号化された記録媒体を積み重ねた状態を示す斜視図である。
【図５】 本発明による１つ以上の滲出可能な化学化合物を検出および／または付与するのに使用できる装置を備えた画像形成装置の例示的な一実施形態のブロック図である。
【図６】 本発明による１つ以上の滲出可能な化学化合物を付与するのに使用できるインクジェットプリントヘッドを示す図である。
【図７】 １つ以上の滲出可能な化学化合物を埋め込まれた複数の繊維を有する記録媒体の例示的な一実施形態の側面図である。
【符号の説明】
１０ シート、１２ 記録媒体、１４ 第１の表面、１６ 第２の表面、１８エッジ、３６ 滲出物タグ付与装置、３８ 滲出物感知装置、４０ 画像形成装置、４２ 記録媒体。

Claims (2)

1. ある材料から形成される滲出物を含む媒体であって、
   少なくとも前記媒体の上に付与される少なくとも１つの滲出可能な化学化合物を含み、前記少なくとも１つの滲出可能な化学化合物は、滲出性化学化合物感知装置によって感知可能であり、かつ人間の嗅覚系で識別できないことを特徴とする媒体。
2. ある材料から形成される符号化された滲出物を含む媒体であって、
   少なくとも前記媒体の上に、情報を符号化して付与される少なくとも１つの滲出可能な化学化合物を含み、前記少なくとも１つの滲出可能な化学化合物は、滲出性化学化合物感知装置によって感知可能であることを特徴とする媒体。

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