JP4149285B2 - セラミド含有ゲル組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミドを含有したゲル組成物に関する。さらに詳しくは、セラミドを高配合量で含有した、塗布時の感触が良好であり透明な外観を有する水系ゲル組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
セラミドは、角質層内の角質細胞間脂質の主要な構成要素であり、人の表皮に対して安全性が高く、その水分保持能力や角質層の荒れを改善する作用からクリームなどの化粧料に配合されている(例えば特許文献1〜3参照)。
最近では、このように優れた性質をもつセラミドを高配合した化粧料が求められている。また、化粧料においては塗布時の使用感や、その外観が品質に要求される重要な要素であり、セラミドを配合した化粧料の中でも例えばさっぱりとした使用感をもつ水系の透明なゲルを基材として選択できれば化粧料としての品質上特に好ましい。
【0003】
しかしながら、一般的にセラミドは水および油に対する溶解性が著しく低いため、その利用は通常困難が伴う。このため、製剤中に安定に配合するためには、例えばセラミドを高温で油相成分中に溶解して、それを乳化するなど特定の方法による必要がある。特に、セラミドを高配合した化粧料を得ようとすれば、例えばクリームのような白色状の基材に懸濁させて用いるなどその剤型は特定の種類に限られる。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−192686号公報
【特許文献2】
特公平6−86373号公報
【特許文献3】
特許第3280408号公報
【0005】
【発明の目的】
本発明は、セラミドを高配合した透明な水系ゲル組成物を提供することを目的としている。
【0006】
【発明の概要】
本発明者は、水系の透明なゲルを基材としてセラミドをこれに直接溶解させてゲル組成物を得ることを試みたが、この方法ではセラミドの配合量は組成物全量に対して0.2質量%が限度であり、これを超えて配合するとゲル基材の使用感や透明性が失われてしまった。特に1質量%も配合すれば白色カマボコ状の状態となり化粧料としては使用できない状態となってしまう。
【0007】
ところが、セラミドをガーベットアルコールに熱時溶解して得られた組成物を水溶性外殻で被覆してカプセル状の粒体を形成し、これを水系ゲルである粘チョウ基材中に分散させることにより、基材の透明な外観およびさっぱりとした使用感を損なうことなくセラミドを例えば組成物全量に対して1質量%と高配合することができることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のセラミド含有ゲル組成物は、ガーベットアルコールにセラミドを熱時溶解して得たセラミド芯材と、該芯材の外周を被覆する水溶性外殻とからなる粒体が、B型粘度計で4型ローターで30rpm条件で測定した粘度が5000〜35000mPa・sの範囲内にある粘チョウ基材中に分散されていることを特徴とする。
【0009】
水溶性の粒体に関する技術としては、例えば特開平1−193216号公報、特開2002−159838号公報に記載された技術が知られているが、特開2002−159838号公報の段落[0004]にも記載されているように、粒体の外殻を形成する水溶性外殻材として例えば寒天を用いた場合などにおいて、粒体を肌上で潰して延ばした際に寒天外殻のカスが皮膚上に残留して違和感を生じる場合がある。ところが、粘チョウ基材を形成する増粘材として、該水溶性外殻材と共通する分子構造を有するものを用い、かつこれらのゼリー強度が特定の関係であるときに、上記のゲル組成物を肌上に塗布した際に、潰して延ばした粒体の外殻によるカスの発生が抑えられ、違和感なく塗布することができることを見出し本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明のセラミド含有ゲル組成物は、上記の本発明において粒体の外殻を形成する水溶性外殻材と、粘チョウ基材を形成する増粘材とが、同じ材質であり、かつ外殻材を形成する水溶性外殻材よりも、粘チョウ基材を形成する増粘材のゼリー強度が少なくとも450g/cm2低いことを特徴とする。
【0011】
【発明の具体的説明】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明では、セラミドを芯材とその外周を被覆する水溶性外殻とからなる粒体の芯材中に溶解させている。該芯材は、セラミドをガーベットアルコール中に熱時溶解して得られるものである。
【0012】
使用するセラミドとしては特に限定されないが、例えば天然または合成のタイプI〜タイプVIセラミドの他、これらと類似の化学構造を有する合成セラミドも本明細書におけるセラミドに含まれ、このような合成セラミドとしては例えばN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド、N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルデカナミドなどのように下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0013】
【化1】
【0014】
(式(1)中、R1 は分岐していてもよく且つ不飽和結合を有していてもよい炭素数10〜26の炭化水素基を、R2 は分岐していてもよく且つ不飽和結合を有していてもよい炭素数9〜25の炭化水素基を示す。)
ガーベットアルコール(分岐型高級アルコール)としては、下記式(2)で表されるものが使用される。
【0015】
【化2】
【0016】
(式(2)中、R3およびR4は、それぞれ独立に、分岐していてもよく且つ不飽和結合を有していてもよい炭素数3〜20の炭化水素基を表し、nは0または1〜5の整数を表す。)
このようなガーベットアルコール中にセラミドを添加し、攪拌して溶解することにより芯材を構成する組成物が得られる。セラミドは通常、常温ではきわめて溶けにくいので、加熱しながら熱時溶解する。溶解時の加熱温度は、ガーベットアルコールの沸点未満の温度であれば任意に設定することができるが、通常は70〜100℃であり、好ましくは75〜90℃である。セラミドの含有量は、芯材を構成する組成物全量に対して好ましくは0.1〜60質量%、さらに好ましくは1〜30質量%である。
【0017】
芯材の外周を被覆する水溶性外殻は、水に水溶性外殻材を分散して形成される。このような外殻材としては、例えば寒天、ゼラチンなどのようにゾルーゲルの熱可逆性によりゲルを形成する水溶性ゲル化剤が使用される。中でも、化粧料として使用することを考慮すれば、ゲルの性質、安定性、使用感などの点から、寒天が好ましく、特にそのゼリー強度が500〜650g/cm2であるものが好ましく、580〜620g/cm2であるものがさらに好ましい。なお、本明細書でいうゼリー強度とは、JIS K8263に記載された日寒水式法により測定したものである。すなわち、ゲル化剤の1.5質量%水溶液を調製し、その水溶液を20℃で15時間放置して凝固させたゲルに、日寒水式ゼリー強度測定器により荷重をかけ、20℃においてゲルが20秒間その荷重に耐えるときの表面積1cm2あたりの最大重量(g)である。
【0018】
上記の芯材を構成する組成物と、水溶性外殻を構成する組成物とから粒体を製造する方法としては、いわゆる滴下法が用いられる。すなわち、水溶性外殻を構成する組成物を加熱した皮膜液および芯材を構成する組成物を加熱した内容液からなる二層性の液流を、二重オリフィスから冷却油液中へ滴下し、一定間隔で切断すると、皮膜液が内容液を隙間なく包み、球状のカプセルに成形されて硬化する。これにより、芯材と、該芯材の外周を被覆する水溶性外殻とからなる粒体を得ることができる。
【0019】
このようにして得られる粒体の粒子径は、セラミドを肌上へ均一に塗布する観点および製造技術上の観点から好ましくは1〜5mm、さらに好ましくは2〜4mmである。
粒体を分散する粘チョウ基材は、水に増粘材を分散したゲル組成物からなる。増粘材としては、例えばキサンタンガム、グアーガム、ローストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、デンプン、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、寒天、ゼラチン、アルブミン、コラーゲン等の天然高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド・プロピレンオキサイドブロック共重合体等の合成高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩等の半合成高分子;のような水溶性ゲル化剤が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
なお、この粘チョウ基材における増粘材のゼリー強度は、0〜50g/cm2、好ましくは1〜30g/cm2と、特にゼリー強度が弱いものが好適に使用され、これにより粒体を確実に粘チョウ基材中に分散させるとともに、皮膚に塗布した際の使用感を高めることができる。
粘チョウ基材の粘度は、B型粘度計で測定した値(4型ローター、30rpm条件)で5000〜35000mPa・s、好ましくは6000〜20000mPa・sの範囲内である。粘度があまり高い場合、または粘度があまり低い場合には化粧料としての使用感を損なうことがあり好ましくない。
【0021】
粘チョウ基材は、化粧料としての外観の点から透明であることが特に好ましい。また、粘チョウ基材には化粧料に通常用いられる成分、例えば保湿剤、可溶化剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。特に、粘チョウ基材は例えばpH調整剤を用いてそのpHが4.0〜6.3、好ましくは5.0〜6.0の弱酸性とすることが、肌への負担を低減する点から好ましい。
【0022】
保湿剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオールグリコール、グルコース、マルトース、マルチトール、ショ糖、フラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール、デンプン分解糖還元アルコール、ソルビトールおよびマジョラムエキスが挙げられる。
【0023】
可溶化剤としては、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンオレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン界面活性剤や、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム等のアニオン界面活性剤が挙げられる。
【0024】
キレート剤としては、例えばメタリン酸ナトリウムおよびEDTAが挙げられる。
pH調整剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、尿素、ε−アミノカプロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、グリシンベタイン、リジンベタインが挙げられる。
【0025】
防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸アルキルエステル(パラベン類)およびフェノキシエタノールが挙げられる。
本発明のゲル組成物は、上記の粒体を粘チョウ基材中へ、攪拌などの適当な手段で混合分散させることにより得られる。粒体は、所望量のセラミドがゲル組成物中へ含まれる量を添加する。本発明ではセラミドを本発明のゲル組成物全量に対して0.1〜3質量%配合することができる。特に本発明では0.1質量%以上、さらには1質量%以上のセラミドを配合した透明な外観を有する水系ゲル組成物を提供することが可能である。
【0026】
このようにして得られた本発明のセラミド含有ゲル組成物は、肌上へ適用される。この際、粘チョウ基材が肌上へ塗布されるとともに、粘チョウ基材中に分散している粒体が潰され肌上に延ばされる。これにより粒体内部のセラミドを含む内容物が露出して肌上へ均一に延ばされる。
さらに、該組成物を肌へ塗布した際の使用感についてさらに鋭意検討した結果、粘チョウ基材を形成する増粘材として、粒体の外殻を形成する外殻材と共通する分子構造を有するものを用い、かつこれらのゼリー強度を特定の関係とすることで、ゲル組成物を肌上に塗布した際に粒体の外殻によるカスの発生が抑えられ、違和感なく塗布することができることを見出した。
【0027】
すなわち、例えば粒体の外殻を形成する外殻材として寒天を用いた場合には粘チョウ基材の増粘材としても寒天を用い、あるいは外殻材としてゼラチンを用いた場合には粘チョウ基材の増粘材としてもゼラチンを用いる。このように共通する分子構造を有するものをゲル化剤に使用することで、外殻と同質の粘チョウ基材がカスの発生を抑え、違和感なく水系ゲルである粘チョウ基材のさっぱりとした良好な使用感そのままの使用感を付与することができる。
【0028】
そして、このように外殻の水溶性外殻材と、粘チョウ基材の増粘材とに共通する分子構造を有するものを使用する場合であっても、上記の効果を得るためには、外殻を形成する水溶性外殻材よりも、粘チョウ基材を形成する増粘材のゼリー強度が少なくとも450g/cm2低い必要がある。この場合、外殻を形成する水溶性外殻材よりも、粘チョウ基材を形成する増粘材のゼリー強度が450〜650g/cm2の範囲内で低いことが好ましく、特に好ましくは500〜600g/cm2の範囲内である。
【0029】
また、粘チョウ基材の増粘材としては、水溶性外殻材と共通する分子構造を有する増粘材とともに、これ以外の他の増粘材を、上記の効果を損なわない範囲であれば併用することもできる。この場合であっても、上記の効果を得るためには、水溶性外殻材と共通する分子構造を有する増粘材のゼリー強度は、該水溶性外殻材のそれと上記の関係を有している必要がある。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、セラミドを例えば組成物全量あたり1質量%以上と高配合した、透明な外観を有する水系ゲル剤型の組成物を提供することができる。
さらに本発明によれば、粘チョウ基材を形成する増粘材として、粒体の外殻を形成する外殻材と共通する分子構造を有するものを用い、かつこれらのゼリー強度を特定の関係とすることで、ゲル組成物を肌上に塗布した際に粒体の外殻によるカスの発生が抑えられ、違和感なく塗布することができる。
【0031】
[実施例]
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
以下の実施例1〜3ならびに比較例1および2のゲル組成物を肌上へ塗布した際の使用感について、専門パネル10名により以下の基準で官能評価を行った。
評価基準
◎ 寒天のカスがほとんど発生せず、違和感がなかったと評価したパネルが8名以上
○ 寒天のカスがほとんど発生せず、違和感がなかったと評価したパネルが3名以上8名未満
△ 寒天のカスがほとんど発生せず、違和感がなかったと評価したパネルが3名未満
【0032】
【実施例1】
粒体の調製
20質量部のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドと80質量部のオクチルドデカノールとを85℃で加熱溶解して芯材を構成する組成物を調製した。
【0033】
また、1質量部の寒天(寒天A:ゼリー強度580g/cm2)を99質量部の精製水に加熱溶解して水溶性外殻を構成する組成物を調製した。
次いで上記の両組成物を加熱して溶液状とし、滴下法により粒体を製造した。すなわち、水溶性外殻を構成する組成物を加熱した皮膜液および芯材を構成する組成物を加熱した内容液からなる二層性の液流を、二重オリフィスから冷却油液中へ滴下し、一定間隔で切断することにより粒体状に成形して硬化し、これにより、芯材と、該芯材の外周を被覆する水溶性外殻とからなる粒体(平均粒子径
3mm)を得た。なお、このようにして得られた粒体の組成は、芯材のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドが10質量部、およびオクチルドデカノールが40質量部であり、水溶性外殻が50質量部である。
粘チョウ基材の調製
寒天B(ゼリー強度3g/cm2)0.1質量部およびカルボキシビニルポリマーを精製水に80℃で加熱溶解して分散した。得られた溶液を45℃に冷却した後、pH調整剤を適量の精製水に溶解した水溶液を添加し、次いで室温に冷却して粘度20000mPa・s(B型粘度計:4型ローター、30rpm)の粘チョウ基材100質量部を得た。
【0034】
このようにして調製した粘チョウ基材中へ、上記の粒体を質量比が粘チョウ基材:粒体=9:1となるように添加して攪拌混合することによりゲル組成物を得た。
実施例1のゲル組成物は、セラミドを1質量%と高配合することができ、かつ透明な外観であり、さっぱりとした使用感を有するゲル状組成物であった。なお、上記の官能評価の結果は◎であった。
【0035】
[比較例1]
次の操作により粘チョウ基材を調製した。実施例1で調製した粒体の外殻材と同一の寒天A0.1質量部およびカルボキシビニルポリマーを精製水に80℃で加熱溶解して分散した。得られた溶液を45℃に冷却した後、pH調整剤を適量の精製水に溶解した水溶液を添加し、次いで室温に冷却して粘度20000mPa・s(B型粘度計:4型ローター、30rpm)の粘チョウ基材100質量部を得た。
【0036】
このようにして調製した粘チョウ基材中へ、実施例1で調製した粒体を質量比が粘チョウ基材:粒体=9:1となるように添加して攪拌混合することによりゲル組成物を得た。
比較例1のゲル組成物は、セラミドを1質量%と高配合することができ、かつ透明な外観であり、さっぱりとした使用感を有するゲル状組成物であった。なお、上記の官能評価の結果は△であった。
【0037】
[比較例2]
次の操作により粘チョウ基材を調製した。カルボキシビニルポリマーを精製水に80℃で加熱溶解して分散した。得られた溶液を45℃に冷却した後、pH調整剤を適量の精製水に溶解した水溶液を添加し、次いで室温に冷却して粘度20000mPa・s(B型粘度計:4型ローター、30rpm)の粘チョウ基材100質量部を得た。
【0038】
このようにして調製した粘チョウ基材中へ、実施例1で調製した粒体を質量比が粘チョウ基材:粒体=9:1となるように添加して攪拌混合することによりゲル組成物を得た。
比較例2のゲル組成物は、セラミドを1質量%と高配合することができ、かつ透明な外観であり、さっぱりとした使用感を有するゲル状組成物であった。なお、上記の官能評価の結果は△であった。
【0039】
【実施例2、3】
実施例1で寒天Aの代わりに寒天C(ゼリー強度500g/cm2)を用い、寒天Bの代わりに寒天D(ゼリー強度40g/cm2)を用いて、その他は実施例1と同様の操作で実施例2のゲル組成物を得た。また、実施例1で寒天Aの代わりに寒天Cを用い、寒天Bの代わりに寒天E(ゼリー強度60g/cm2)を用いて、その他は実施例1と同様の操作で実施例3のゲル組成物を得た。
【0040】
実施例2、3のゲル組成物は、セラミドを1質量%と高配合することができ、かつ透明な外観であり、さっぱりとした使用感を有するゲル状組成物であった。なお、上記の官能評価の結果は、実施例2のゲル組成物で◎、実施例3のゲル組成物で○であった。なお、外殻を形成する寒天よりも、粘チョウ基材の増粘材として使用した寒天のゼリー強度が少なくとも450g/cm2低い場合に上記の官能評価について良好な結果が得られた。
【0041】
[比較例3]
実施例1で調製した粘チョウ基材へ、N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを全量に対して1質量%となるように加えて加熱、攪拌したが、白色カマボコ状に固化してしまった。
【0042】
以下、本発明のゲル組成物を化粧料として使用した場合の好適な処方例を示す。
実施例4:ジェルローション
配合成分 配合量
<粒体> (質量%)
(1)寒天外殻(濃度1%、寒天のゼリー強度580g/cm2) 5.0
(2)N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル) 1.0
−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドセラミド
(3) オクチルドデカノール 4.0
<基材>
(4)寒天(ゼリー強度3g/cm2) 0.1
(5)カルボキシビニルポリマー 0.4
(6)キサンタンガム 0.1
(7)1,3−ブチレングリコール 3.0
(8)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60.E.O) 0.5
(9)ジグリセリン 0.5
(10)メタリン酸ナトリウム 0.1
(11)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(12)マジョラムエキス 0.1
(13)防腐剤 適量
(14)水酸化ナトリウム 適量
(15)精製水 バランス(to90)
製法:(1)を加熱した皮膜液と、(2)および(3)を熱時混合して得た混合物を加熱した内容液とから、滴下法により平均粒子径3mmの粒体を得る。一方、(4)〜(6)を(15)に80℃で加熱溶解して分散した後、該溶液に(7)〜(13)を適宜の温度下で添加して攪拌混合する。得られた溶液を45℃に冷却した後、(14)を適量の(15)に溶解した水溶液を添加してpHを約5.5に調整し、室温に冷却して粘チョウ基材を得る。該基材中へ、上記の粒体を添加し混合する。
【0043】
実施例4のゲル組成物は、セラミドを1質量%と高配合することができ、かつ透明な外観であり、さっぱりとした使用感を有するゲル状組成物であった。また、該組成物を肌へ塗布した際に寒天外殻のカスが発生せず、違和感のない良好な使用感であった。
Claims (2)
- ガーベットアルコールにセラミドを熱時溶解して得たセラミド芯材と、該芯材の外周を被覆する水溶性外殻とからなる粒体が、B型粘度計で4型ローターで30rpm条件で測定した粘度が5000〜35000mPa・sの範囲内にある粘チョウ基材中に分散されており、
上記粒体の外殻を形成する水溶性外殻材と、該粘チョウ基材を形成する増粘材とが、同じ材質であり、かつ外殻を形成する水溶性外殻材よりも、粘チョウ基材を形成する増粘材のゼリー強度が低いことを特徴とするセラミド含有ゲル組成物。 - 上記粒体の外殻を形成する水溶性外殻材と、該粘チョウ基材を形成する増粘材とが、ともに寒天であり、かつ外殻を形成する水溶性外殻材よりも、粘チョウ基材を形成する増粘材のゼリー強度が少なくとも450g/cm2低いことを特徴とする請求項1に記載のセラミド含有ゲル組成物。
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