JP4146743B2 - アレイアンテナ装置、これを用いた携帯端末および相互結合補償方法 - Google Patents

アレイアンテナ装置、これを用いた携帯端末および相互結合補償方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アレイアンテナ装置、これを用いた携帯端末および相互結合補償方法に関し、とくにアンテナ素子間の相互結合による影響をなくして所望のアンテナ指向性合成や到来波分別を行うことができ、かつ小型化を促進することができるアレイアンテナ装置、これを用いた携帯端末および相互結合補償方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、携帯電話機などの携帯端末では、複数のアンテナを設け、これらを切り替えて受信するダイバーシチ方式などが採用されていた。たとえば、図21は、従来の携帯端末の概要構成を示す図である。図21において、この携帯端末100は、モノポールあるいはダイポールアンテナであるアンテナ101とループアンテナであるアンテナ102とを有し、切替制御部113aによるスイッチSW1の切り替えによって、受信状態が良好なアンテナ1またはアンテナ2を選択するダイバーシチ受信を行う。この場合、アンテナ1とアンテナ2とはそれぞれ異なるアンテナ指向性あるいは偏波感度を有しているため、それぞれのアンテナ1,2がカバーしきれない領域を補っている。
【0003】
一方、基地局などのアンテナ装置では、シングルモード動作するアンテナ群をアレイ化してアンテナ指向性合成などを行っていた。さらに、基地局などでは、アンテナ群のアンテナ素子間結合による指向性誤差を補償するアンテナ装置がある(非特許文献1,2参照)。ここで、シングルモード動作するアンテナ群とは、アンテナが電波を受信する場合、アンテナに誘導する電流分布の形状(モード)が入射する電波の方向によらず一定であり、その振幅のみが変化する。このようなアンテナは、受信する電波の波長に対して比較的大きいダイポールアンテナやモノポールアンテナである。
【0004】
【非特許文献1】
「Effect of Mutual Coupling on the Performance of Adaptive arrays」 INDER J.GUPTAら、IEEE TRANSACTION ON ANTENNA AND PROPAGATION,VOL.AP-31,NO.5,SEPTEMBER 1983
【非特許文献2】
「アレーアンテナの初期校正に関する検討」 稲葉ら、電子情報通信学会論文誌B Vol.J85B No.10 pp1757-1769 2002年10月
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、携帯端末においても、アンテナの指向性を能動的に変化させながら、高感度・高品質に効率的な無線通信を実現できることが望まれる。しかしながら、携帯端末では、携帯端末自体を小型化することが要望されており、アンテナ群をアレイ化すると、アンテナ素子間隔が電気長に関して極端に短く設置され、アンテナ素子間の相互結合を無視できなくなり、この相互結合の影響によって振幅差や位相差誤差が発生し、大きなアンテナ指向性合成誤差が生ずるという問題点があった。
【0006】
特に、携帯端末の場合には、アンテナをアレイ化する場合に、そのスペースが限られているため、電気長に関して素子間隔は極端に短く配置できることが要望されている。
【0007】
さらに、携帯端末において、小型化のためにマルチモード動作するアンテナ群が用いられた場合、簡易な相互結合補償法が要望されており、携帯端末自体にかかる負荷や容量を軽減させる必要がある。ここで、マルチモード動作するアンテナ群とは、アンテナが電波を受信する場合に、アンテナに誘導する電流分布の形状(モード)が入射する電波の方向によって変化する。このようなアンテナは、受信する波長に対して比較的小さいループアンテナや逆Fアンテナである。
【0008】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、簡易な構成で、アンテナ素子間の相互結合による影響をなくして所望のアンテナ指向性合成や到来波分別を行うことができ、さらに小型化を促進することができるアレイアンテナ装置、これを用いた携帯端末および相互結合補償方法を提供することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1にかかるアレイアンテナ装置は、シングルモードアンテナ(アンテナ1)とマルチモードアンテナ(アンテナ2)とを電波の波長λに対して近接配置したアレイアンテナ装置において、アンテナ素子間の相互結合による影響をなくして所望のアンテナ指向性を得ることができるアレイアンテナ装置であって、アンテナ1,2が受信した信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を合成することで、アンテナ1,2間の相互結合を除去する手段と、アンテナ1,2へ送信する信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を分配することで、アンテナ1,2間の相互結合を除去する手段とを有する複素重み付け合成/分配部と、アンテナ1,2の各指向性を合成し指向性合成ベクトル v として相互結合補償部へ出力する指向性合成部と、アンテナ1,2が受信した受信振幅データおよび周波数データを基に希望波と干渉波との到来方向を分別する到来波分別部と、入射角依存性のないパラメータによって表された各アンテナ間の素子間結合を示す行列としてアンテナ1,2間の相互結合の補償に用いるアドミッタンス行列(相互結合補償行列 Y )を格納する行列テーブルと、前記指向性合成ベクトル v と前記行列テーブルに格納されている相互結合補償行列 Y とから複素重み係数ベクトル K ( K = Y -1 v ) を算出して前記複素重み付け合成/分配部へ出力する相互結合補償部とを備え、
前記相互結合補償行列 Y は、アレイアンテナに対する電波の入射角θとし、アンテナ1,2の自己アドミッタンスをそれぞれ Y S1 ( θ ), Y S2 ( θ ) とし、アンテナ1,2間の距離 L と配置した時の相互アドミッタンスを Y m ( θ ) とし、アンテナ1,2の給電点における電流をそれぞれ I 1 ( θ ), I 2 ( θ ) とし、アレーアンテナに対する電波の入射角θによって与えられるアンテナ間の受信信号位相差をα ( θ ) とし、電界強度で決定される定数を a として式 (1) により定義されるとともに、アンテナ1,2間の距離間隔 L よりも短い見かけ上の間隔を L' とし、素子間隔短縮率 L' L a Y m ( θ ) の変化量が最小となるように L' を探査選択し、α ( θ )=exp(j2 πL’ sin θ/λ ) を用いて、式 (1) により算出することで、アレイアンテナに対する電波の入射角に依存しない補償を行う相互結合補償手段を有し、アンテナ1,2が受信した信号(受信ベクトル)に対して、相互結合補償行列 Y の逆行列を掛けてアンテナ間の相互結合を補償した受信ベクトルを求めた後に、該受信ベクトルに対して見かけ上のアンテナ間隔 L' を用いてアンテナ間相互結合を考慮しない重み付け加算による受信指向性合成や到来波推定を行うとともに、アンテナ1,2に送信する信号に対して、見かけ上のアンテナ間隔 L' を用いてアンテナ間相互結合を考慮しない各アンテナ素子に対する指向性合成重み付けベクトルを求めた後に、該重み付けベクトルに相互結合補償行列 Y の逆行列を掛けてアンテナ間の相互結合を補償した重み付けベクトルを得て各アンテナ素子へ印加する信号の振幅と位相を操作することによって所望の放射指向性を得ることを特徴とする。
【数1】
Figure 0004146743
【0010】
この請求項1の発明によれば、予め行列テーブルに、入射角依存性のないパラメータによって表された各アンテナ間の素子間結合を示す行列を格納しておき、補償手段が、アンテナ群のアンテナ指向性合成処理を行う指向性合成手段が出力する指向性合成ベクトルデータに対して前記行列テーブルに格納された行列の逆行列を乗算し、この乗算結果を各アンテナに対する重み付け係数として出力し、これによってアンテナ間の相互結合による信号成分を除去するようにしている。
【0011】
また、請求項2にかかるアレイアンテナ装置は、マルチモードアンテナを電波の波長λに対して2個以上近接配置したアレイアンテナ装置において、アンテナ素子間の相互結合による影響をなくして所望のアンテナ指向性を得ることができるアレイアンテナ装置であって、各アンテナが受信した信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を合成することで、各アンテナ間の相互結合を除去する手段と、各アンテナへ送信する信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を分配することで、各アンテナ間の相互結合を除去する手段とを有する複素重み付け合成/分配部と、各アンテナが受信した受信振幅データおよび周波数データを基に希望波と干渉波との到来方向を分別する到来波分別部と、各アンテナの各指向性を合成し指向性合成ベクトル v として相互結合補償部へ出力する指向性合成部と、入射角依存性のないパラメータによって表された各アンテナ間の素子間結合を示す行列として各アンテナ間の相互結合の補償に用いるアドミッタンス行列(相互結合補償行列 Y )を格納する行列テーブルと、前記指向性合成ベクトル v と前記行列テーブルに格納されている相互結合補償行列 Y とから複素重み係数ベクトル K ( K = Y -1 v ) を算出して前記複素重み付け合成/分配部へ出力する相互結合補償部とを備え、
前記相互結合補償行列 Y は、アレイアンテナに対する電波の入射角θとし、各アンテナの自己アドミッタンスを Y S ( θ ) とし、各アンテナ間の距離 L と配置した時の相互アドミッタンスを Y m ( θ ) とし、各アンテナの給電点における電流をそれぞれ I n ( θ ) n=1, ・・・ ,N N :アンテナ数)とし、アレーアンテナに対する電波の入射角θによって与えられるアンテナ間の受信信号位相差をα ( θ )=exp(j2 πL sin θ/λ ) とし、電界強度で決定される定数を a として、 N=3 の場合に式 (2) により定義されるとともに、相互アドミッタンス Y m ( θ ) Y 12 ( θ ), Y 13 ( θ ) )を自己アドミッタンス Y S ( θ ) で正規化した後に、式 (2) により算出することで、アレイアンテナに対する電波の入射角に依存しない補償を行う相互結合補償手段を有し、各アンテナが受信した信号(受信ベクトル)に対して、相互結合補償行列 Y の逆行列を掛けてアンテナ間の相互結合を補償した受信ベクトルを求めた後に、該受信ベクトルに対して実際のアンテナ間隔 L を用いてアンテナ間相互結合を考慮しない重み付け加算による受信指向性合成や到来波推定を行うとともに、各アンテナに送信する信号に対して、実際のアンテナ間隔 L を用いてアンテナ間相互結合を考慮しない各アンテナ素子に対する指向性合成重み付けベクトルを求めた後に、該重み付けベクトルに相互結合補償行列 Y の逆行列を掛けてアンテナ間の相互結合を補償した重み付けベクトルを得て各アンテナ素子へ印加する信号の振幅と位相を操作することによって所望の放射指向性を得ることを特徴とする。
【数2】
Figure 0004146743
【0012】
また、請求項3にかかるアレイアンテナ装置は、シングルモードアンテナとマルチモードアンテナとを電波の波長λに対して近接配置したアレイアンテナ A と、マルチモードアンテナを電波の波長λに対して2個以上近接配置したアレイアンテナ B とが電波の波長λに比較して十分離れて配置されたアレイアンテナ装置であって、アレイアンテナ A については請求項1に記載の相互結合補償手段により各アンテナ間の相互結合を除去しするとともに、アレイアンテナ B については請求項2に記載の相互結合補償手段により各アンテナ間の相互結合を除去することで、アレイアンテナ A とアレイアンテナ B との両方を用いた指向性合成や到来波推定およびダイバシティ操作を行うことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4にかかるアンテナ素子間の相互結合補償方法は、シングルモードアンテナ(アンテナ1)とマルチモードアンテナ(アンテナ2)とを電波の波長λに対して近接配置したアレイアンテナ装置において、アンテナ素子間の相互結合による影響をなくして所望のアンテナ指向性を得るためにアレイアンテナに対する電波の入射角に依存しない補償を行う方法であって、
(a) アンテナ1,2が受信した信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を合成することで、アンテナ1,2間の相互結合を除去するプロセスと、
(b) アンテナ1,2へ送信する信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を分配することで、アンテナ1,2間の相互結合を除去するプロセスと、
(c) アンテナ1,2の各指向性を合成し指向性合成ベクトル v として出力するプロセスと、
(d) 入射角依存性のないパラメータによって表された各アンテナ間の素子間結合を示す行列としてアンテナ1,2間の相互結合の補償に用いるアドミッタンス行列(相互結合補償行列 Y )を格納する行列テーブルと、
(e) 前記指向性合成ベクトル v と前記行列テーブルに格納されている相互結合補償行列 Y とから複素重み係数ベクトル K ( K = Y -1 v ) を算出して出力するプロセスと、
を有し、アンテナ1,2が受信した信号に対してはプロセス (a),(c),(d),(e) を実行し、アンテナ1,2へ送信する信号に対してはプロセス (b),(c),(d),(e) を実行することに加え、前記相互結合補償行列 Y は、アレイアンテナに対する電波の入射角θとし、アンテナ1,2の自己アドミッタンスをそれぞれ Y S1 ( θ ), Y S2 ( θ ) とし、アンテナ1,2間の距離 L と配置した時の相互アドミッタンスを Y m ( θ ) とし、アンテナ1,2の給電点における電流をそれぞれ I 1 ( θ ), I 2 ( θ ) とし、アレーアンテナに対する電波の入射角θによって与えられるアンテナ間の受信信号位相差をα ( θ ) とし、電界強度で決定される定数を a として式 (1) により定義されるとともに、アンテナ1,2間の距離間隔 L よりも短い見かけ上の間隔を L' とし、素子間隔短縮率 L' L a Y m ( θ ) の変化量が最小となるように L' を探査選択し、α ( θ )=exp(j2 πL’ sin θ/λ ) を用いて、式 (1) により算出することで、アレイアンテナに対する電波の入射角に依存しない補償を行うことを特徴とする。
【0014】
また、請求項5にかかるアンテナ素子間の相互結合補償方法は、マルチモードアンテナを電波の波長λに対して2個以上近接配置したアレイアンテナ装置において、アンテナ素子間の相互結合による影響をなくして所望のアンテナ指向性を得るためにアレイアンテナに対する電波の入射角に依存しない補償を行う方法であって、
(a) 各アンテナが受信した信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を合成することで、各アンテナ間の相互結合を除去するプロセスと、
(b) 各アンテナへ送信する信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を分配することで、各アンテナ間の相互結合を除去するプロセスと、
(c) 各アンテナの各指向性を合成し指向性合成ベクトル v として出力するプロセスと、
(d) 入射角依存性のないパラメータによって表された各アンテナ間の素子間結合を示す行列として各アンテナ間の相互結合の補償に用いるアドミッタンス行列(相互結合補償行列 Y )を格納する行列テーブルと、
(e) 前記指向性合成ベクトル v と前記行列テーブルに格納されている相互結合補償行列 Y とから複素重み係数ベクトル K ( K = Y -1 v ) を算出して出力するプロセスと、
を有し、各アンテナが受信した信号に対してはプロセス (a),(c),(d),(e) を実行し、各アンテナへ送信する信号に対してはプロセス (b),(c),(d),(e) を実行することに加え、前記相互結合補償行列 Y は、アレイアンテナに対する電波の入射角θとし、各アンテナの自己アドミッタンスを Y S ( θ ) とし、各アンテナ間の距離 L と配置した時の相互アドミッタンスを Y m ( θ ) とし、各アンテナの給電点における電流をそれぞれ I n ( θ ) n=1, ・・・ ,N N :アンテナ数)とし、アレーアンテナに対する電波の入射角θによって与えられるアンテナ間の受信信号位相差をα ( θ )=exp(j2 πL sin θ/λ ) とし、電界強度で決定される定数を a として、 N=3 の場合に式 (2) により定義されるとともに、相互アドミッタンス Y m ( θ ) Y 12 ( θ ), Y 13 ( θ ) )を自己アドミッタンス Y S ( θ ) で正規化した後に、式 (2) により算出することで、アレイアンテナに対する電波の入射角に依存しない補償を行うことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるアレイアンテナ装置、これを用いた携帯端末および相互結合補償方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1であるアレイアンテナ装置を有した携帯端末の構成を示すブロック図である。図1において、この携帯端末10は、モノポールアンテナやダイポールアンテナによって実現されるアンテナ1とループアンテナであるアンテナ2とを有し、これら2つの異なるアンテナはそれぞれシングルモード動作とマルチモード動作とを行う。
【0024】
アンテナ1とアンテナ2とは複素重み付け合成/分配部11に接続される。複素重み付け合成/分配部11は、各アンテナ1,2が受信した信号に、振幅と位相との複素重み付けを行った信号を生成して合成し、また入力された送信信号に、振幅と位相との複素重み付けを行ってそれぞれのアンテナ1,2に送信信号を出力する。
【0025】
送受信処理部12は、複素重み付け合成/分配部11を介して受信した信号を処理するとともに、送信信号を複素重み付け合成/分配部11を介して送信させる。具体的にはダウンコンバートおよびアップコンバートの処理を行う。制御部13は、携帯端末10全体の制御を行う。入出力部14は、制御部10に接続され、各種データの入力および出力を行う。
【0026】
処理部15は、指向性合成部15aと到来波分別部15bとを有する。指向性合成部15aは、アンテナ1,2間に相互結合がないものとして、アンテナ1,2の各指向性を合成し、指向性合成ベクトルvとして相互結合補償部17に出力する。一方、到来波分別部15bは、送受信処理部12から出力される受信振幅データおよび制御部13から出力される周波数データをもとに、到来波の分別、すなわち希望波と干渉波との到来方向を調べる。この到来波の分別結果は、指向性合成部15aによる指向性合成得ベクトルvの生成時に用いられる。指向性合成部15aによる指向性合成処理は、所望の方向に希望波があれば、その方向に主ビームを形成し、干渉波があれば、ヌルを形成する。この実施の形態1では、アンテナの本数が2本であるため、1つの主ビームあるいはヌルを形成することができる。なお、線形なシステムにおけるアンテナは、送受信の可逆性が成立するため、送信時と受信時とのアンテナ指向性は同じになる。また、到来波分別部15bは、希望波と干渉波とを分別する際、受信復調信号内において予め設定された固定コード部分の信号のS/Nを指標として分別することができる。さらに、到来波分別部15bは、複数同時到来波の効率的な分別方法としてMUSICアルゴリズムや、ESPRITアルゴリズムを用いることができる。
【0027】
行列テーブル16は、アンテナ1,2間の相互結合の補償に用いられるアドミッタンス行列である相互結合補償行列Yを格納している。この相互結合補償行列Yの各パラメータは、少なくとも一部の入射角範囲内において入射角依存性がないように設定される。この相互結合補償行列Yの求め方については後述する。相互結合補償部17は、処理部15から入力された指向性合成ベクトルvと行列テーブル16に格納されている相互結合補償行列Yとからアンテナ1,2に対して指向性合成部15aが求めたアンテナ指向性となる複素重み係数ベクトルKを算出して複素重み付け合成/分配部11に出力する。すなわち、相互結合補償部17は、式(1)に示すように、行列テーブル16に格納されている相互結合補償行列Yの逆行列Y-1を求め、これを指向性合成ベクトルvに乗算することによって、相互結合のアドミッタンス成分を相殺した複素重み係数ベクトルKを算出する。なお、行列テーブル16内に逆行列Y-1を直接格納しておいてもよい。
K=Y-1・v ・・・(1)
【0028】
複素重み付け合成/分配部11は、入力された複素重み係数ベクトルKによって各アンテナ1,2に対する複素重み付けを行い、これによってアンテナ1,2間の相互結合を除去する補償が行われる。
【0029】
ここで、図2を参照して、複素重み付け合成/分配部11の詳細構成について説明する。複素重み付け合成/分配部11は、アンテナ1からの受信信号の振幅成分と位相成分とをそれぞれ減衰器21aと移相器21bとで変化させる複素係数乗算器21と、アンテナ2からの受信信号の振幅成分と位相成分とをそれぞれ減衰器22aと移相器22bとで変化させる複素係数乗算器22とを有する。複素係数乗算器21,22から出力された信号は、ウィルキンソン電力合成器などによって実現される電力分配/合成器23に入力された合成され、送受切替/合成器24の一端から送受信処理部12に出力される。一方、送信すべき信号は、送受切替/合成器を介して電力分配/合成器23に入力されて各アンテナ1,2方向に分配される。複素係数乗算器21,22は、電力分配/合成器23から出力された信号のそれぞれに対して重み付けを行い、この重み付けされた信号を各アンテナ1,2方向に出力する。なお、送受切替/合成器24は、デュプレクサやサーキュレータ、あるいは時分割に機械的に切り替えるスイッチなどによって実現される。
【0030】
複素重み係数調整部25は、相互結合補償部17から出力された複素重み係数ベクトルKの各要素に対応したアンテナ1,2と複素係数乗算器21,22との間の振幅および位相のばらつきを補正するため、複素重み係数ベクトルKの各要素の値を調整し、調整された値を各複素係数乗算器21,22に出力する。
【0031】
たとえば、複素重み係数ベクトルKが
K=[K1,K2,・・・,Kn]
で表されるとき、各アンテナ入力端から電力分配/合成器23までの伝達関数βを
β=[β1,β2,・・・,βn]
とする。この場合、
km=(Km/βm)/max(|Ki/βi|)i=1n
を求め、この値を各複素係数乗算器に設定する複素重み係数とする。これによって、アンテナ1,2間の相互結合による振幅差および位相差の補償のみならず、各アンテナ1,2と電力分配/合成器23との間を接続するケーブルなどによる実装上の振幅差および位相差を補償することができる。
【0032】
なお、図2では、RF帯での複素重み付けを行うようにしているが、これに限らず、各アンテナの受信信号毎に、ダウンコンバートしたIF帯やベースバンド帯において複素重み付けを行い、その後各受信信号を合成した受信信号を得るようにしてもよい。また、アップコンバート時も同様である。
【0033】
つぎに、上述した相互結合補償行列Yの求め方について説明する。図3は、アンテナ1をダイポールアンテナとし、アンテナ2をループアンテナとした場合における各アンテナ1,2の配置関係を示す図である。アンテナ1はy軸上に配置され、アンテナ2は、ループの中心をx軸が直交し、ループ面がy−z面に平行に配置される。間隔Lは、アンテナ1,2間の離隔距離である。また、入射角θは、z−x面上におけるz軸と波源SGとの角度である。ここで、波源SGは、ダイポールアンテナであり、y軸に平行に配置され、アンテナ1と波源SGとの距離rは、100λ(λは波長)である。
【0034】
このようなアンテナ1,2の配置関係を持たせた場合、各アンテナ1,2に誘起される電流I1(θ),I2(θ)は、次式(2)で表せる。
【数1】
Figure 0004146743
ここで、α(θ)=exp(j2πLsinθ/λ)であり、「a」は、感度係数であり、電界強度で決定される定数である。Ys1(θ),Ym(θ),Ys2(θ)を有した行列は、アドミッタンス行列であり、上述した相互結合補償行列Yである。また、Ys1(θ)およびYs2(θ)は、それぞれアンテナ1,2の自己アドミッタンスであり、Ym(θ)は、相互アドミッタンスである。
【0035】
ここで、Ys1(θ)は、ダイポールアンテナであるアンテナ1のH面指向性をも意味し、値は一定となる。したがって、
a・Ym(θ)=(I1(θ)−a・Ys1)/α(θ) ・・・(3)
a・Ys2(θ)=(I2(θ)−a・Ym(θ))/α(θ) ・・・(4)
として表すことができる。この一定値であるYs1は、図4に示すように、複素受信電流I1をθ方向に沿ってベクトル軌跡を観測し、その円中心を最小2乗法で推定することによって複素値を求めることができる。なお、図4に示したアンテナ1,2の配置関係は、間隔L=λ/4であり、アンテナ1は半波長ダイポール、アンテナ2は、1波長ループのアンテナである。これによって相互結合補償行列Yの全てのパラメータを求めることができるが、α(θ)は、±90度変化するが、複素受信電流I1の変化量は±90度未満となっている。したがって、入射角θに依存しないYmを定義するために、間隔Lを短縮し、見かけ上の間隔L’を導入することによってこの不整合を解消することができる。これによって、図5に示すように、式(3)のYmは、±90度の範囲内において入射角θに依存しない一定値となる。この結果、このアンテナ1,2の条件に入射角θの範囲の条件を付加することによって、相互結合補償行列Yの全てのパラメータを求めることができる。なお、図5に示したアンテナ1,2の間隔Lは、0.3λである。
【0036】
図6は、入射角θの範囲をパラメータとし、波長を単位とした間隔Lに対する間隔短縮率を示す図である。また、図7は、図6に示した間隔短縮率に設定した場合に、入射角θの範囲をパラメータとし、波長を単位とした間隔Lに対する平均位相差誤差(度)を示す図である。なお、図5および図6において、入射角θの範囲は、−90〜+90度、−45〜+45度、―60〜0度、0〜+60度の4つの範囲について求めている。図6に示すような間隔短縮率に設定することによって、相互結合による平均位相差誤差は、間隔L=0.15λ以上において約6度以下の小さな値に抑えることができる。さらに、間隔L=0.2λ近傍を除いて、平均位相差誤差を3度以下に抑えることができ、間隔L=0.3以上では、ほぼ2度以下の平均位相差誤差に抑えている。
【0037】
この実施の形態1では、異なる種類のアンテナを動作させ、この際、アンテナ1,2間の相互結合による影響を除去するようにしているので、アンテナ1,2間の間隔を小さくすることができ、携帯端末などの小型化を一層促進し、携帯端末などに配置されるアレイアンテナ数を多くとることができるため、所望のアンテナ指向性合成を確実に得ることができる。
【0038】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、異なる種類のアンテナ群を配置して動作を行うものであったが、この実施の形態2では、同じ種類のアンテナ群を配置して動作を行うようにしている。
【0039】
図8は、この発明の実施の形態2であるアレイアンテナ装置を有した携帯端末の構成を示すブロック図である。図8に示した携帯端末30では、3つのループアンテナであるアンテナ31〜33はマルチモード動作する。このため、行列テーブル6に相当する行列テーブル36に格納される相互結合補償行列Yが異なる。その他の構成は、実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0040】
ここで、任意同一形状のアンテナ群を配列したときの入射角θ方向に誘起される複素電流I1(θ),I2(θ),I3(θ)は、次式(5)で表すことができる。
【数2】
Figure 0004146743
この式(5)に示した相互結合補償行列Yには、3つのアドミッタンスのパラメータYs,Y12,Y13によって表現することができる。Ysは、各アンテナの自己アドミッタンスである。一方、Y12,Y13は、相互アドミッタンスであり、まとめてYmとして示す。
【0041】
式(5)からY13,Y12,Ysは、次式(6),(7),(8)によって順次決定される。すなわち、
a・Y13(θ)=(−α(θ)I1(θ)−(α(θ)−α3(θ))I2(θ)+I3(θ))/(1−α6(θ)) ・・・(6)
a・Y12(θ)=I2(θ)−α(θ)I1(θ)+α3(θ)a・Y13(θ) ・・・(7)
a・Ys=I1(θ)−α(θ)a・Y12(θ)−α2(θ)a・Y13(θ) ・・・(8)
である。そして、これらYm(Y12,Y13)の入射角θの依存性は、Ysで正規化することによってほぼなくなる。このことについて、2つのループアンテナについて検討する。
【0042】
図9は、2つのループアンテナの配置関係を示す図である。ループアンテナ31は、その中心がx軸に直交し、ループ面がy−z面に平行に配置され、ループアンテナ32は、その中心がx軸に直交し、ループ面がy−z面に平行に配置され、ループアンテナ31,32間は、平行配置されて間隔L分、離隔されている。また、入射角θは、z−x面上におけるz軸と波源SGとの角度である。ここで、実施の形態1と同様に、波源SGは、ダイポールアンテナであり、y軸に平行に配置され、ループアンテナ31と波源SGとの距離rは、100λである。
【0043】
図10は、このようなループアンテナ31,32の各ループ長がλであり、間隔L=0.2λ離隔しているときのYsおよびYmの入射角依存性を示す図である。図10に示すように、Ysで正規化したYm/Ysの実数成分および虚数成分は、ともにほぼ一定の値を示し、入射角依存性がなくなっている。したがって、YmをYsで正規化することによって、入射角依存性のない相互結合補償行列Yを生成することが可能になる。
【0044】
図11は、この間隔L=0.2λ離隔しているループアンテナ31,32に対して上述した相互結合補償行列Yによって補償した場合と補償しない場合とにおける振幅比の入射角依存性を示す図である。また、図12は、この間隔L=0.2λ離隔しているループアンテナ31,32に対して上述した相互結合補償行列Yによって補償した場合と補償しない場合とにおける位相差誤差の入射角依存性を示す図である。図11および図12に示すように、補償した場合には、振幅比および位相差誤差のいずれも入射角依存性がなくなっている。
【0045】
さらに、図13は、この2つのループアンテナ31,32の間隔Lを、0.1λ,0.2λ,0.3λ,0.5λとしたときの平均位相差誤差のループ長依存性を示す図である。図13に示すように、いずれの間隔Lをもつ場合であっても、ループ長が1.5λ以下の場合に、ほとんど平均位相差誤差がなく、良好な相互結合補償がなされている。
【0046】
そこで、図8に示した3つのループアンテナであるアンテナ31〜33間における振幅比および位相差誤差の入射角依存性について検討する。図14は、アンテナ31〜33の間隔L=0.2λと近接配置し、各ループ長=0.9λとし、相互結合の補償を行う補償平均化範囲を−45〜+45度とした条件下で相互結合補償を行った場合と行わなかった場合の振幅比の入射角依存性を示す図である。また、図15は、図14と同様の条件下で相互結合補償を行った場合と行わなかった場合の位相差誤差の入射角依存性を示す図である。図14および図15から明らかなように、補償平均化範囲において振幅比および位相差誤差のいずれも相互結合による影響がほぼ解消され、振幅比はほぼ1を維持し、位相差誤差はほぼ0を維持している。さらに、補償平均化範囲外であっても、相互結合補償を行うことによって、相互結合による振幅比および位相差誤差への影響を大幅を改善している。
【0047】
さらに、図16は、図14および図15の条件化で、間隔Lを0.1λ,0.2λ,0.3λ,0.5λとしたときの補償平均化範囲における平均位相差誤差のループ長依存性を示す図である。図16に示すように、ループ長が1λ未満のときに、平均位相差誤差はほぼ0であり、相互結合補償によって位相差誤差をなくす補償がなされていることがわかる。
【0048】
この実施の形態2では、任意の同一形状のアンテナ群を近接配置してマルチモード動作させる場合であっても、相互結合補償行列Yを用いて相互結合による影響を有効になくすことができるため、アンテナ指向性合成を精度高く行うことができる。
【0049】
また、上述した実施の形態1,2では、相互結合補償部17が相互結合補償行列Yの逆行列を乗算するという簡易な処理のみによって相互結合補償を行っているので、迅速な相互結合補償を行うことができる。
【0050】
なお、上述した実施の形態1,2では、いずれもアレイアンテナ数が2または3であったが、形成できる主ビームあるいはヌルの数は、アレイアンテナ数−1の数であり、アレイアンテナ数が多いほど、形成できる主ビームあるいはヌルの数を多くすることができ、所望の電磁波の選択性を一層向上することができる。
【0051】
図17は、間隔Lをλ/8とした11アンテナ素子をリニアに配列したときに、MUSICアルゴリズムを用いてアンテナ指向性合成を行ったアンテナパターンを示している。相互結合の補償を行わない場合、相互結合の影響によって所望の利得を有したヌルを形成することができないが、この発明の実施の形態1,2に示した相互結合補償を行うことによって、ほぼ理想のアンテナ指向性と同じアンテナ指向性を得ることができる。
【0052】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1,2ではいずれも、近接配置されたアンテナ1,2あるいはアンテナ31〜33が携帯端末10,30に一カ所設けられるものであったが、この実施の形態3では、近接配置されたアンテナ群を2以上持たせた構成としている。
【0053】
図18は、この発明の実施の形態3であるアレイアンテナ装置を有した携帯端末の構成を示すブロック図である。図18において、この携帯端末40のアレイアンテナ装置は、6つのアンテナ1,41〜45を動作させている。その他の構成は実施の形態1,2と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。このうち、携帯端末40の上部に設けられた3つのアンテナ1,41,42(アンテナ群G1)は、電気長に関して近接配置され、携帯端末の下部に設けられた3つのアンテナ43〜45(アンテナ群G2)は、電気長に関して近接配置され、それぞれ相互結合による影響が大きいが、アンテナ群G1とアンテナ群G2とは電気長に関して離隔配置されているため、相互結合による影響はほとんど無視できる。なお、アンテナ群G1は、実施の形態1と同様に、異種のアンテナを配列したものであり、アンテナ群G2は、実施の形態2と同様に、同種のアンテナを配列したものである。
【0054】
したがって、6つのアンテナ1,41〜45に対しては異なるモードで動作をさせるが、相互結合補償は、各アンテナ群G1,G2毎の相互結合補償行列Yを用いて補償することができ、この場合、上述した実施の形態1,2にそれぞれ示した相互結合補償行列Yを用いることができる。
【0055】
この実施の形態3では、電気長に関して離隔したアンテナ群毎に、相互結合補償を行うようにしているので、簡易な相互結合補償行列Yを用いることができるとともに、迅速な相互結合補償を行うことができる。
【0056】
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態1〜3では、いずれも全てのアンテナを同じ指向性合成させていたが、この実施の形態4では、搭載されるアンテナに対してシングルモード動作アンテナとマルチモード動作アンテナ群とを設け、それぞれの切替動作を可能としている。
【0057】
図19は、この発明の実施の形態4であるアレイアンテナ装置を有した携帯端末の構成を示すブロック図である。図19において、この携帯端末50は、実施の形態2に示した構成に、シングルモード動作するモノポールあるいはダイポールアンテナであるアンテナ1を設けるとともに、アンテナ51〜53(アンテナ群G3)のマルチモード動作のアンテナ群とアンテナ1によるシングルモード動作のアンテナとを切り替えるスイッチSWと、このスイッチSWの切替制御を行う切替制御部13aとを有する。その他の構成は、実施の形態2と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。なお、アンテナ51〜53は、アンテナ31〜33と同じ構成である。
【0058】
このような切替構成をとることによって、マルチモード動作アンテナ群G3ではカバーすることができない3次元方向への良好な利得を得ることができる。したがって、マルチモード動作のアンテナ群G3がカバーする3次元方向とシングルモード動作のアンテナ1がカバーする3次元方向とが異なることが望ましい。さらに、マルチモード動作のアンテナ群G3がほとんどの3次元方向をカバーし、通常は指向性合成動作させ、極端に利得が得られないときに、切替制御部13aがスイッチSWを切り替えて無指向性動作させることが好ましい。
【0059】
(実施の形態5)
上述した実施の形態1〜4ではいずれも、アンテナ指向性合成処理を行う携帯端末について説明したが、この実施の形態5では、到来波分別処理が主機能である方向探知装置に上述した相互結合補償を適用している。
【0060】
図20は、この発明の実施の形態5であるアレイアンテナ装置を有した方向探知装置の構成を示すブロック図である。図20において、この方向探知装置60は、電気長に関して近接配置された複数のアンテナ61−1〜61−nを有し、それぞれのアンテナ61−1〜61−nに到来した電磁波は、複数の受信器62−1〜62−nによって受信される。各受信器62−1〜62−nから出力された信号(到来波ベクトルa)は、相互結合補償部63に入力される。ここで、この方向探知装置60は、実施の形態1〜4で示した相互結合補償行列Yが格納された行列テーブル64を有し、この相互結合補償行列Yの逆行列Y-1は、到来波ベクトルaに乗算される。これによって、到来波ベクトルaに含まれる相互結合による成分が除去され、補償済み到来波ベクトルeが生成され、この補償済み到来波ベクトルeは、到来波分別部65に入力される。到来波分別部65は、相互結合が補償された補償済み到来波ベクトルeを用いて到来波の分別を行うので、精度の高い方向探知装置を実現でき、この場合、アンテナ61−1〜61−nは、電気長に関して近接配置されるので、方向探知装置60の小型化を一層促進することができる。
【0061】
なお、上述した実施の形態1〜4では、携帯端末が送信アンテナ群と受信アンテナ群とを一つのアンテナ群で共用するようにしているが、これに限らず、たとえば、送信アンテナ群を有した送信系と受信アンテナ群を有した受信系との構成を各別に設けるようにしてもよい。この場合、相互結合補償は別個に行われる。特に送受信周波数が異なる場合に有用である。
【0062】
また、上述した実施の形態1〜5では、モノポールあるいはダイポールアンテナ、さらにはループアンテナをアンテナの一例として示したが、これに限らず、各種の形状や偏波特性をもったアンテナを用いることができる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、予め行列テーブルに、入射角依存性のないパラメータによって表された各アンテナ間の素子間結合を示す行列を格納しておき、補償手段が、アンテナ群のアンテナ指向性合成処理を行う指向性合成手段が出力する指向性合成ベクトルデータに対して前記行列テーブルに格納された行列の逆行列を乗算し、この乗算結果を各アンテナに対する重み付け係数として出力し、これによってアンテナ間の相互結合による信号成分を除去するようにしているので、アンテナ間の相互結合による影響をなくすことができ、所望のアンテナ指向性合成や到来波分別を簡易かつ精度高く行うことができ、アンテナの近接配置が可能なことから、小型化を促進することができるという効果を奏する。
【0064】
また、この発明によれば、到来波分別手段が、前記アンテナ群が受信した信号をもとに到来波の分別処理を行うようにしているので、希望波や干渉波の分別が可能になり、この結果を用いてアンテナ指向性合成を行うことができるという効果を奏する。
【0065】
また、この発明によれば、調整手段が、前記補償手段から出力された重み付け係数に対して、各アンテナと該重み付け係数の重み付け位置との間における実装上の振幅差および位相差を補正する調整を行って各アンテナに対する重み付け係数として再出力するようにしているので、実装上で生じた振幅差や位相差を加味した複素重み付けを行うことができ、一層精度の高いアンテナ指向性合成や到来波分別を行うことができるという効果を奏する。
【0066】
また、この発明によれば、前記アンテナ群は、アンテナ間の相互結合が無視できる電気長分、離隔した複数の部分アンテナ群によって構成され、各部分アンテナ群ごとに前記行列テーブルおよび前記補償手段を設け、アンテナ指向性合成や到来波分別は、アンテナ群を単位として行い、相互結合補償は、各部分アンテナ群毎に行うようにしているので、演算処理および行列構成が容易になるという効果を奏する。
【0067】
また、この発明によれば、切替制御手段のもとに、切替手段が、シングルモード動作する1以上のシングルモードアンテナと、1以上の前記アンテナ群とを切替接続するようにしているので、電波の到来方向あるいは輻射方向に対して3次元的にカバーすることが可能になるという効果を奏する。
【0068】
また、この発明によれば、前記行列テーブルに格納された行列を、アンテナ間の間隔を短縮する素子間隔短縮率を用いて入射角依存性をなくすようにし、または自己結合係数によって正規化されて入射角依存性をなくすようにしているので、相互結合による影響を簡易に除去することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1であるアレイアンテナ装置を有した携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した複素重み付け合成/分配部11の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示したアンテナ配置関係を示す図である。
【図4】相互結合補償行列のパラメータYs1の求め方を説明する説明図である。
【図5】相互結合補償行列のパラメータYs1,Ymの入射角度依存性を示す図である。
【図6】補償する入射角範囲をパラメータとした場合における間隔短縮率の素子間隔依存性を示す図である。
【図7】補償する入射角範囲をパラメータとした場合における平均位相差誤差の素子間隔依存性を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態2であるアレイアンテナ装置を有した携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図9】2つのループアンテナの配置関係を示す図である。
【図10】2つのループアンテナ構成の場合における相互結合補償行列のパラメータYs,Ymの入射角度依存性を示す図である。
【図11】2つのループアンテナ構成の場合であって相互結合補償を行った場合と行わない場合とにおける振幅比の入射角依存性を示す図である。
【図12】2つのループアンテナ構成の場合であって相互結合補償を行った場合と行わない場合とにおける位相差誤差の入射角依存性を示す図である。
【図13】素子間隔をパラメータとした場合における平均位相差誤差のループ長依存性を示す図である。
【図14】図8に示したアンテナ構成に対し、補償する入射角範囲を−45〜+45度とした場合であって相互結合補償を行った場合と行わない場合とにおける振幅比の入射角依存性を示す図である。
【図15】図8に示したアンテナ構成に対し、補償する入射角範囲を−45〜+45度とした場合であって相互結合補償を行った場合と行わない場合とにおける位相差誤差の入射角依存性を示す図である。
【図16】図8に示したアンテナ構成に対し、素子間隔をパラメータとした場合における平均位相差誤差のループ長依存性を示す図である。
【図17】間隔がλ/8のアンテナ素子数が11個配列された場合であって、相互結合補償を行った場合と行わない場合とにおける合成アンテナ指向性を示す図である。
【図18】この発明の実施の形態3であるアレイアンテナ装置を有した携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図19】この発明の実施の形態4であるアレイアンテナ装置を有した携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図20】この発明の実施の形態5であるアレイアンテナ装置を有した到来波分別装置の構成を示すブロック図である。
【図21】従来のアンテナ装置を有した携帯端末の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,2,31〜33,41〜45,51〜53,61−1〜61−n アンテナ
10,30 携帯端末
11 複素重み付け合成/分配部
12 送受信処理部
13 制御部
13a 切替制御部
14 入出力部
15 処理部
15a,65 指向性合成部
15b 到来波分別部
16,36,64 行列テーブル
17 相互結合補償部
21,22 複素係数乗算器
21a,22a 減衰器
21b,22b 移相器
23 電力分配/合成器
24 送受切替/合成部
62−1〜62−n 受信器
63 相互結合補償部
G1〜G3 アンテナ群
SW スイッチ

Claims (5)

  1. シングルモードアンテナ(アンテナ1)とマルチモードアンテナ(アンテナ2)とを電波の波長λに対して近接配置したアレイアンテナ装置において、アンテナ素子間の相互結合による影響をなくして所望のアンテナ指向性を得ることができるアレイアンテナ装置であって、アンテナ1,2が受信した信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を合成することで、アンテナ1,2間の相互結合を除去する手段と、アンテナ1,2へ送信する信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を分配することで、アンテナ1,2間の相互結合を除去する手段とを有する複素重み付け合成/分配部と、アンテナ1,2の各指向性を合成し指向性合成ベクトル v として相互結合補償部へ出力する指向性合成部と、アンテナ1,2が受信した受信振幅データおよび周波数データを基に希望波と干渉波との到来方向を分別する到来波分別部と、入射角依存性のないパラメータによって表された各アンテナ間の素子間結合を示す行列としてアンテナ1,2間の相互結合の補償に用いるアドミッタンス行列(相互結合補償行列 Y )を格納する行列テーブルと、前記指向性合成ベクトル v と前記行列テーブルに格納されている相互結合補償行列 Y とから複素重み係数ベクトル K ( K = Y -1 v ) を算出して前記複素重み付け合成/分配部へ出力する相互結合補償部とを備え、
    前記相互結合補償行列 Y は、アレイアンテナに対する電波の入射角θとし、アンテナ1,2の自己アドミッタンスをそれぞれ Y S1 ( θ ), Y S2 ( θ ) とし、アンテナ1,2間の距離 L と配置した時の相互アドミッタンスを Y m ( θ ) とし、アンテナ1,2の給電点における電流をそれぞれ I 1 ( θ ), I 2 ( θ ) とし、アレーアンテナに対する電波の入射角θによって与えられるアンテナ間の受信信号位相差をα ( θ ) とし、電界強度で決定される定数を a として式 (1) により定義されるとともに、アンテナ1,2間の距離間隔 L よりも短い見かけ上の間隔を L' とし、素子間隔短縮率 L' L a Y m ( θ ) の変化量が最小となるように L' を探査選択し、α ( θ )=exp(j2 πL’ sin θ/λ ) を用いて、式 (1) により算出することで、アレイアンテナに対する電波の入射角に依存しない補償を行う相互結合補償手段を有し、アンテナ1,2が受信した信号(受信ベクトル)に対して、相互結合補償行列 Y の逆行列を掛けてアンテナ間の相互結合を補償した受信ベクトルを求めた後に、該受信ベクトルに対して見かけ上のアンテナ間隔 L' を用いてアンテナ間相互結合を考慮しない重み付け加算による受信指向性合成や到来波推定を行うとともに、アンテナ1,2に送信する信号に対して、見かけ上のアンテナ間隔 L' を用いてアンテナ間相互結合を考慮しない各アンテナ素子に対する指向性合成重み付けベクトルを求めた後に、該重み付けベクトルに相互結合補償行列 Y の逆行列を掛けてアンテナ間の相互結合を補償した重み付けベクトルを得て各アンテナ素子へ印加する信号の振幅と位相を操作することによって所望の放射指向性を得ることを特徴とするアレイアンテナ装置。
    Figure 0004146743
  2. マルチモードアンテナを電波の波長λに対して2個以上近接配置したアレイアンテナ装置において、アンテナ素子間の相互結合による影響をなくして所望のアンテナ指向性を得ることができるアレイアンテナ装置であって、各アンテナが受信した信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を合成することで、各アンテナ間の相互結合を除去する手段と、各アンテナへ送信する信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を分配することで、各アンテナ間の相互結合を除去する手段とを有する複素重み付け合成/分配部と、各アンテナが受信した受信振幅データおよび周波数データを基に希望波と干渉波との到来方向を分別する到来波分別部と、各アンテナの各指向性を合成し指向性合成ベクトル v として相互結合補償部へ出力する指向性合成部と、入射角依存性のないパラメータによって表された各アンテナ間 の素子間結合を示す行列として各アンテナ間の相互結合の補償に用いるアドミッタンス行列(相互結合補償行列 Y )を格納する行列テーブルと、前記指向性合成ベクトル v と前記行列テーブルに格納されている相互結合補償行列 Y とから複素重み係数ベクトル K ( K = Y -1 v ) を算出して前記複素重み付け合成/分配部へ出力する相互結合補償部とを備え、
    前記相互結合補償行列 Y は、アレイアンテナに対する電波の入射角θとし、各アンテナの自己アドミッタンスを Y S ( θ ) とし、各アンテナ間の距離 L と配置した時の相互アドミッタンスを Y m ( θ ) とし、各アンテナの給電点における電流をそれぞれ I n ( θ ) n=1, ・・・ ,N N :アンテナ数)とし、アレーアンテナに対する電波の入射角θによって与えられるアンテナ間の受信信号位相差をα ( θ )=exp(j2 πL sin θ/λ ) とし、電界強度で決定される定数を a として、 N=3 の場合に式 (2) により定義されるとともに、相互アドミッタンス Y m ( θ ) Y 12 ( θ ), Y 13 ( θ ) )を自己アドミッタンス Y S ( θ ) で正規化した後に、式 (2) により算出することで、アレイアンテナに対する電波の入射角に依存しない補償を行う相互結合補償手段を有し、各アンテナが受信した信号(受信ベクトル)に対して、相互結合補償行列 Y の逆行列を掛けてアンテナ間の相互結合を補償した受信ベクトルを求めた後に、該受信ベクトルに対して実際のアンテナ間隔 L を用いてアンテナ間相互結合を考慮しない重み付け加算による受信指向性合成や到来波推定を行うとともに、各アンテナに送信する信号に対して、実際のアンテナ間隔 L を用いてアンテナ間相互結合を考慮しない各アンテナ素子に対する指向性合成重み付けベクトルを求めた後に、該重み付けベクトルに相互結合補償行列 Y の逆行列を掛けてアンテナ間の相互結合を補償した重み付けベクトルを得て各アンテナ素子へ印加する信号の振幅と位相を操作することによって所望の放射指向性を得ることを特徴とするアレイアンテナ装置。
    Figure 0004146743
  3. シングルモードアンテナとマルチモードアンテナとを電波の波長λに対して近接配置したアレイアンテナ A と、マルチモードアンテナを電波の波長λに対して2個以上近接配置したアレイアンテナ B とが電波の波長λに比較して十分離れて配置されたアレイアンテナ装置であって、アレイアンテナ A については請求項1に記載の相互結合補償手段により各アンテナ間の相互結合を除去しするとともに、アレイアンテナ B については請求項2に記載の相互結合補償手段により各アンテナ間の相互結合を除去することで、アレイアンテナ A とアレイアンテナ B との両方を用いた指向性合成や到来波推定およびダイバシティ操作を行うことを特徴とするアレイアンテナ装置。
  4. シングルモードアンテナ(アンテナ1)とマルチモードアンテナ(アンテナ2)とを電波の波長λに対して近接配置したアレイアンテナ装置において、アンテナ素子間の相互結合による影響をなくして所望のアンテナ指向性を得るためにアレイアンテナに対する電波の入射角に依存しない補償を行う方法であって、
    (a) アンテナ1,2が受信した信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を合成することで、アンテナ1,2間の相互結合を除去するプロセスと、
    (b) アンテナ1,2へ送信する信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を分配することで、アンテナ1,2間の相互結合を除去するプロセスと、
    (c) アンテナ1,2の各指向性を合成し指向性合成ベクトル v として出力するプロセスと、
    (d) 入射角依存性のないパラメータによって表された各アンテナ間の素子間結合を示す行列としてアンテナ1,2間の相互結合の補償に用いるアドミッタンス行列(相互結合補償 行列 Y )を格納する行列テーブルと、
    (e) 前記指向性合成ベクトル v と前記行列テーブルに格納されている相互結合補償行列 Y とから複素重み係数ベクトル K ( K = Y -1 v ) を算出して出力するプロセスと、
    を有し、アンテナ1,2が受信した信号に対してはプロセス (a),(c),(d),(e) を実行し、アンテナ1,2へ送信する信号に対してはプロセス (b),(c),(d),(e) を実行することに加え、前記相互結合補償行列 Y は、アレイアンテナに対する電波の入射角θとし、アンテナ1,2の自己アドミッタンスをそれぞれ Y S1 ( θ ), Y S2 ( θ ) とし、アンテナ1,2間の距離 L と配置した時の相互アドミッタンスを Y m ( θ ) とし、アンテナ1,2の給電点における電流をそれぞれ I 1 ( θ ), I 2 ( θ ) とし、アレーアンテナに対する電波の入射角θによって与えられるアンテナ間の受信信号位相差をα ( θ ) とし、電界強度で決定される定数を a として式 (1) により定義されるとともに、アンテナ1,2間の距離間隔 L よりも短い見かけ上の間隔を L' とし、素子間隔短縮率 L' L a Y m ( θ ) の変化量が最小となるように L' を探査選択し、α ( θ )=exp(j2 πL’ sin θ/λ ) を用いて、式 (1) により算出することで、アレイアンテナに対する電波の入射角に依存しない補償を行うことを特徴とするアンテナ素子間の相互結合補償方法。
  5. マルチモードアンテナを電波の波長λに対して2個以上近接配置したアレイアンテナ装置において、アンテナ素子間の相互結合による影響をなくして所望のアンテナ指向性を得るためにアレイアンテナに対する電波の入射角に依存しない補償を行う方法であって、
    (a) 各アンテナが受信した信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を合成することで、各アンテナ間の相互結合を除去するプロセスと、
    (b) 各アンテナへ送信する信号に複素重み係数ベクトル K を用いて振幅と位相との複素重み付けを行った信号を分配することで、各アンテナ間の相互結合を除去するプロセスと、
    (c) 各アンテナの各指向性を合成し指向性合成ベクトル v として出力するプロセスと、
    (d) 入射角依存性のないパラメータによって表された各アンテナ間の素子間結合を示す行列として各アンテナ間の相互結合の補償に用いるアドミッタンス行列(相互結合補償行列 Y )を格納する行列テーブルと、
    (e) 前記指向性合成ベクトル v と前記行列テーブルに格納されている相互結合補償行列 Y とから複素重み係数ベクトル K ( K = Y -1 v ) を算出して出力するプロセスと、
    を有し、各アンテナが受信した信号に対してはプロセス (a),(c),(d),(e) を実行し、各アンテナへ送信する信号に対してはプロセス (b),(c),(d),(e) を実行することに加え、前記相互結合補償行列 Y は、アレイアンテナに対する電波の入射角θとし、各アンテナの自己アドミッタンスを Y S ( θ ) とし、各アンテナ間の距離 L と配置した時の相互アドミッタンスを Y m ( θ ) とし、各アンテナの給電点における電流をそれぞれ I n ( θ ) n=1, ・・・ ,N N :アンテナ数)とし、アレーアンテナに対する電波の入射角θによって与えられるアンテナ間の受信信号位相差をα ( θ )=exp(j2 πL sin θ/λ ) とし、電界強度で決定される定数を a として、 N=3 の場合に式 (2) により定義されるとともに、相互アドミッタンス Y m ( θ ) Y 12 ( θ ), Y 13 ( θ ) )を自己アドミッタンス Y S ( θ ) で正規化した後に、式 (2) により算出することで、アレイアンテナに対する電波の入射角に依存しない補償を行うことを特徴とするアンテナ素子間の相互結合補償方法。
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