JP4146078B2 - ニッケル、亜鉛含有排水あるいはスラッジからのニッケル、亜鉛の分離回収方法 - Google Patents

ニッケル、亜鉛含有排水あるいはスラッジからのニッケル、亜鉛の分離回収方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メッキ工場などから発生する金属含有排水を効率的にかつ安定して処理するとともに、排水から有価金属を回収・再利用することにより、スラッジの発生量を削減する、あるいは既存スラッジから有価金属を回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属含有排水には、鉱山排水、化学工場排水、製錬所排水、製鉄所排水、メッキ工場排水などがある。中でも、メッキ工場排水はpHが2〜3と低く、メッキの種類によるが、2価鉄の他に、ニッケル、亜鉛、錫、クロム、銅などの有価金属イオンを含有している場合が多い。これらの重金属イオンは、有害金属として排水規制の適用を受けるため、排水中から規制値まで除去する必要がある。特にニッケルと亜鉛はメッキ洗浄排水中に共に含まれる上に、分離回収が非常に難しい。メッキ洗浄排水から発生するニッケルや亜鉛の水酸化物はメッキスラッジ発生の原因にもなっている。
【0003】
従来から広く用いられている金属含有排水の処理法は、中和凝集沈殿法である。この方法は、排水のpHを水酸化カルシウム等により上昇させ、金属イオンを水酸化物とした後、沈殿池等で金属水酸化物を沈殿させて水中から金属を除去するものである。
【0004】
この他、金属含有排水の処理方法としては、硫化物沈殿法、イオン交換樹脂法、キレート樹脂法、膜分離法、溶媒抽出法、生物濃縮法、電解採取法などがある。以下に簡単にその特徴を述べる。
【0005】
排水に硫化ソーダ(Na2S)を注入し、重金属を硫化物として沈殿させる方法が硫化物沈殿法である。水酸化物と硫化物の溶解度積を比較すると、硫化物の方が非常に低く、より低濃度の金属を得ることができる。
【0006】
イオン交換樹脂法は、純水の製造に広く用いられている。排水処理に適用する場合、陽イオン交換樹脂および/または陰イオン交換樹脂に金属イオンを吸着させることになる。
【0007】
キレート樹脂法は、特定の金属に特に選択性の強い樹脂(架橋構造を有する高分子に金属イオンと錯体を形成するキレート形成基を導入した樹脂)を用いるもので、排水中から特定の重金属イオンを極めて低濃度まで除去できる。ごみ焼却場排水中の水銀の除去などに用いられている。
【0008】
膜分離法は、逆浸透膜(RO:Reverse Osomosis)が海水の淡水化や工場排水の再利用などで広く用いられている。浸透圧を利用し、溶媒のみを膜を介して移動させ、清澄な処理水を得ることができる。
【0009】
溶媒抽出法は、有機溶媒による金属イオンの抽出率の差を利用する方法であり、各種金属の抽出に適した抽出試薬が開発されている。
【0010】
生物濃縮法は、特定の重金属イオンを微生物に摂取させ、微生物の体内に特定の重金属を濃縮させる方法であるが、研究段階であり、実用化は容易ではない。これらの方法以外にも、重金属を含有したスラッジから重金属イオンを回収する方法として、バクテリアリーチングや溶媒抽出法がある。
【0011】
電解採取法は、イオン化傾向により電気化学的に金属イオンを還元して金属として析出させて回収する方法である。有価金属を固体金属として回収でき、再利用できることにメリットがある。
【0012】
しかし、いずれの方法も課題があり、金属含有排水処理には、排水処理の安定性やコストの観点から中和凝集沈殿法が最も広く用いられている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
現在までに知見されている金属含有排水の処理方法は、以下のような課題を有している。
【0014】
まず、中和凝集沈殿法は以下のような課題がある。
【0015】
1)金属水酸化物は、微細であり、沈殿池での沈殿分離が安定しない。これを防ぐために、pH調整に加え、高分子凝集剤を投入し、フロックを大型化し沈降速度を増加させる必要がある。
【0016】
2)金属水酸化物の沈殿し始めるpHは、原則的に金属の溶解度積によって決定される。しかし、実際には、共存するイオンによって影響される。すなわち、溶解度積の大きな金属でも比較的低いpHで共沈することが知られている。例えば3価鉄は、比較的低いpHで水酸化第二鉄として除去されるが、このとき、カドミウム(Cd2+)、ひ素(As)、クロム(Cr3+)が共沈する現象が知見されている。また、金属含有排水中にハロゲン、シアンイオン、アンモニアイオンなどが共存する場合には、水酸化物が形成しにくい課題がある。
【0017】
この結果、中和凝集沈殿法で生成した沈殿物は、各種金属の混合物であるため、再利用が極めて困難であり、大半が埋め立てなどに廃棄処分されている。
【0018】
3)メッキ排水の中和剤としては、通常、消石灰(Ca(OH)2)が用いられている。これは、消石灰は、水酸化ナトリウムよりもかなり安価で、比較的水に対する溶解度も大きく、反応性に富むためである。しかし、沈殿物は含水率が98%前後と高く、脱水機処理をおこなっても70〜80%にしか低下しない。このため、沈殿物の容積が大きく、保管・運搬・廃棄処分費が増加する。
【0019】
次に、硫化物沈殿法は、生成沈殿物の分離の困難性(コロイド化しやすい)や安全性(酸性物質との接触により硫化水素ガスが発生)の観点から実際の使用実績が少ない。また、沈殿物が各種金属の混合物であることは、中和凝集沈殿法と同様であり、再利用が極めて困難であり、埋め立てなどに廃棄処分せざるを得ない。
【0020】
次に、イオン交換樹脂法は、従来から火力発電用のボイラー給水や半導体用の超純水製造等に広く用いられている。処理対象とする原水は、イオン濃度が1000mg/l以下のものである。同法は、排水処理のように排水中のイオン濃度が高い場合、樹脂に金属イオン以外の無機イオンが吸着するため、吸着・再生が繁雑に必要となる課題がある。樹脂の汚染を防ぐ前処理も必要である。このように操作が繁雑であるため、排水処理用に用いる場合コストが高くなる。また、長時間使用すると、イオン交換樹脂が金属水酸化物、有機物、バクテリア等で汚染され、通常の樹脂の再生操作では回復が困難となる。また、原理上、陽イオン、陰イオン以外の金属の選択的分離は困難であるため、イオン交換樹脂の再生液は各種金属イオンの混合物であり、再利用が困難である。したがって、イオン濃度が高い排水処理への適用は困難と考えられる。
【0021】
各種重キレート樹脂法もイオン交換樹脂法と同様の課題を有しており、有価金属の回収を目的とした排水処理への適用は困難である。
【0022】
さらに、膜分離法であるが、逆浸透膜(RO膜)が、海水の淡水化等、塩類濃度が1000〜10000mg/l程度の原水を対象に広く用いられている。また、メッキ排水の再利用に適用された例がある(例えば、逆浸透法によるメッキ排水の再利用、和田洋六、PPM、16−27、1986)。排水処理にROを用いると、重金属ばかりでなく無機イオンも原水から除去できるため、膜透過水を工業用水として再利用できる利点がある。しかし、RO膜法にも以下の課題がある。まず、少量の濃縮液が発生するが、この濃縮液には、重金属イオンばかりでなく、各種の無機イオンも濃縮されているため、濃縮液の再利用が困難である。また、RO膜は膜径が極めて小さく、高圧力(1〜6MPa)が必要であり、排水処理のランニングコストが増大する課題がある。また、メッキ排水処理に関して、RO膜より膜径の大きな限外ろか膜(UF:Ultra Filtration)、精密ろか膜(MF:Micron Filtration)は、ほとんど用いられていない(例えば、排水処理における限外ろか膜・精密ろ過膜の利用 排水処理への適用事例−メッキ排水、光上義道、水質汚濁研究、10、3、153−154、1987)。一般にRO膜の孔径は1Å〜0.01μm程度、UF膜の孔径は0.002μm〜0.2μm程度、MF膜の孔径は0.1μm〜10μm程度である。
【0023】
高分子凝集剤とUF膜を組み合わせた検討報告例が米国であるが、実用化には至っていない(Polymer Filtration,Proc AESF Annu Tech Conf,VOl.82,607-616,1995)。これは、膜径が小さく、UF膜の透過水量が極めて小さいため、膜設備が巨大化することが要因と考えられる。
【0024】
溶媒抽出法は、使用する有機溶媒が高価である。また、一般に粘性が高いためにケロシンやトルエンなどの有機溶剤で希釈して用いる必要がある。このため、使用した有機溶剤の処理コストや環境への負荷を考慮しなければならない。
【0025】
生物濃縮法では、生物による重金属取り込み速度がまだ小さく不安定であり、現段階では実用化は困難である。さらに、生物体内に濃縮された重金属を分離・回収する方法に関する課題がある。
【0026】
電解採取法は、金属を直接回収できるメリットはあるものの、例えば、ニッケルと亜鉛のように電気化学的な性質が似かよった、イオン化傾向の接近した金属の分離は極めて難しい。一般に同時電着してしまう。さらに、メッキ洗浄排水のように金属イオン濃度が希薄な溶液において電解採取では投入するエネルギーに対する金属回収効率が非常に悪い。電解採取は高濃度の金属イオンを含む溶液から金属を回収する場合に効率的となる。
【0027】
このように、現在知見されている方法は、金属含有排水から規制値以下まで金属を水中から除去するか、あるいは、処理水を有効利用するかの視点から構築されており、排水から有価金属資源を安価に回収して再利用することにより、発生スラッジを削減しようとする視点、あるいは、既存のスラッジから有価金属を資源として再利用しようとする視点が全く欠けている。
【0028】
従って、本発明は、金属含有排水を処理するに際し、水を浄化するとともに、排水中の有価金属を回収し、スラッジの発生量を従来と比較して格段に削減するとともに、既存スラッジから有価金属を回収する方法を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、次の(1)〜(11)である。
【0030】
(1)ニッケル、亜鉛の他に鉄、クロムを含有する排水について鉄をあらかじめ酸化処理して、かつ、溶液をpH3〜4に調製して、鉄とクロムを水酸化物沈澱として分離除去した後、ニッケルおよび亜鉛を含有する液をpH8〜10に調製してニッケルと亜鉛を水酸化物沈澱として濃縮分離した後、この水酸化物を酸を用いて溶解してpHを0.5〜4に調製した後、溶液のpHを13以上に再調製することで、ニッケル水酸化物と亜鉛を含有する液それぞれ分離回収することを特徴とする排水処理方法、
)(1)に記載の回収されたニッケル水酸化物を酸を用いて溶解してpHを0.5〜4に調製した後、溶液のpHを13以上に再調製することで、ニッケル水酸化物と亜鉛を含有する液それぞれ分離回収することを繰り返すことにより、ニッケル水酸化物の純度を高めることを特徴とする排水処理および有価金属回収方法、
)(1)又は(2)に記載の方法で分離回収されるニッケル水酸化物をホウ酸および硫酸を用いて溶解してpHを4〜5.5に調製した後、電解採取によって金属ニッケルとして回収することを特徴とする排水処理および有価金属回収方法、
)(1)又は(2)に記載のニッケル水酸化物と亜鉛を含有する液の分離回収過程においてpH13以上に調製することにより生ずるニッケル水酸化物沈澱を分離除去した後、残った亜鉛を含有する液をpH8〜10に調製することにより、亜鉛水酸化物沈澱を生じさせ、亜鉛水酸化物を分離回収することを特徴とする排水処理および有価金属回収方法、
)()の方法で得られる亜鉛水酸化物を酸により再溶解してpH5以下に調製して電解採取によって金属亜鉛として回収することを特徴とする排水処理および有価金属回収方法、
)ニッケル水酸化物と亜鉛を含有する液を分離する際に、1μm〜10μmの孔径を有する膜分離装置を用いる(1)又は(2)に記載の排水処理および有価金属回収方法、
)膜分離装置として、セラミックスを素材とした膜を用いることを特徴とする()の排水処理および有価金属回収方法。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の作用を詳細に説明する。
【0032】
本発明者らは、メッキ工場等から発生するニッケルと亜鉛を共に含有する排水から有価金属であるニッケルと亜鉛をそれぞれ水酸化物沈澱として別々に濃縮して分離回収する排水処理方法の開発に成功した。また、濃縮した水酸化物沈澱を再度溶解してニッケルあるいは亜鉛を電解採取によって別々に回収することで、ニッケルと亜鉛を回収、再利用可能として、かつメッキスラッジ発生量を大幅に削減できる排水処理方法および既存のニッケルと亜鉛の水酸化物からなるスラッジからニッケルと亜鉛をそれぞれ分離回収する方法の開発に成功した。ここでいうスラッジとは、メッキ工場等から発生する排水およびその処理過程で発生するスラッジの他、既に廃棄されているニッケルと亜鉛の水酸化物からなるスラッジ廃棄物を含む。
【0033】
まず、最初にニッケルと亜鉛を共に含むメッキ工場等の排水からニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物をそれぞれ分離回収する方法について説明する。一般に、メッキ洗浄排水中のニッケルあるいは亜鉛の濃度は低く(製鉄所メッキ排水中のNi濃度の例50ミリグラム毎リットル,Zn濃度の例150ミリグラム毎リットル)、かつ、大容量の排水が発生する。このように大量の水に希薄に含まれる金属成分を効率的に回収するためには、回収しようとする金属成分を濃縮分離することが好ましい。ここで、一般的に金属の濃縮分離に使用される中和凝集法でpH8〜10に調整するとニッケルと亜鉛が共に水酸化物となって共沈してしまう。これは、ニッケルと亜鉛の溶解度積が中和凝集法を適用したpH8〜10で極めて近い値を有することに起因する。
【0034】
さらに、ニッケルと亜鉛を共に含有する廃液から電気化学的な電解採取によって有価金属であるニッケルを直接回収することも、溶液のpH制御が非常に難しく、困難である。
【0035】
本発明者らはそこで、ニッケルと亜鉛の水酸化物をそれぞれ分離して生成させることを考えた。
【0036】
すなわち、まず、排水中のニッケルと亜鉛を共にイオンとして溶解させるpH条件として、pH0.5から4の酸性に調製する。pH下限の0.5は、後のアルカリ条件に再調製するために不要なアルカリの使用によるコスト増加を避けるための下限のpH値であり、pH4は、ニッケルと亜鉛を共に溶解できる上限のpH値である。
【0037】
この溶液を水酸化ナトリウムなどの強アルカリ水溶液等と混和することによって、pH13以上に再調製する。このようなアルカリ条件ではニッケルは水酸化物沈澱を形成するが、亜鉛は溶解させることができる。pH13は、亜鉛の溶解する効果がみられる下限のpH値である。このようにしてニッケル水酸化物沈澱を溶解した亜鉛を含む液から、例えば膜分離装置や遠心分離などの固液分離装置により濃縮分離することが可能である。(以下、本発明で記載する液とは、本発明の排水処理過程および有価金属回収過程で生じる液体を指す。)実際には、ニッケル水酸化物沈澱を回収しても98%程度の含水量があるため、このままでは、液中の亜鉛が混入する他、一部亜鉛は水酸化物として混入する可能性がある。そこで、得られたニッケル水酸化物沈澱を、再度、酸を用いて溶解して、pH0.5から4に調製して、上記pH13以上に再調製することによるニッケル水酸化物沈澱と亜鉛を含有する液を分離することを繰り返すことによって、ニッケル純度の高いニッケル水酸化物を分離回収することが可能である。操作を繰り返す回数としては、多いほどニッケルの純度が高くなるが、処理コストを増加させる原因となるため、2回程度がより好ましい。尚、以下、沈澱を溶解する酸の種類としてはどのような酸でも使用可能であるが、ニッケルの電解採取による回収過程を考慮して、硫酸が最も好ましい。
【0038】
また、この固液分離装置を透過した液は亜鉛を含む。この亜鉛溶液のpHを8〜10に調整することにより、今度は、亜鉛水酸化物を沈澱させる。
【0039】
膜分離装置あるいは遠心分離器等の固液分離装置を用いて亜鉛の水酸化物沈澱を、濃縮分離、回収することが可能である。
【0040】
さて、大量に発生するメッキ排水は、一般にpH2〜3であるので、本発明の前処理段階でpH0.5〜4の範囲に調製することは困難ではないが、引き続き、pH13以上に再調製するためには莫大なアルカリ剤の消費を必要とする。しかも大量に発生する強アルカリ性排水は、最終的に中和して排水する必要がある。このように大量のアルカリと酸を必要とするため、コスト面でのロスが大きい。
【0041】
そこで、本発明者らは、大容量のメッキ排水中に希薄に含まれるニッケルおよび亜鉛を中和凝集法により水酸化物として一旦、濃縮分離した後、このニッケルと亜鉛の水酸化物混合沈澱について小容積で上記、ニッケルと亜鉛の分離操作を適用することを考えた。
【0042】
すなわち、ニッケルと亜鉛を含有するメッキ排水(一般にはpH2から3程度)のpHを中和凝集法によりpH8から10の範囲に調製することによって、ニッケルと亜鉛を水酸化物沈澱として膜分離装置、遠心分離等の固液分離装置により沈澱を回収することにより、ニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物の混合物を濃縮分離回収する。このようにコンパクトに小体積化して濃縮分離したニッケルと亜鉛の水酸化物混合沈澱を元に、ニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物のそれぞれ濃縮分離操作を実施する。
【0043】
まず、ニッケルと亜鉛の水酸化物混合沈澱を小容積の酸により溶解後、pH0.5〜4に調製して、上記pH13以上に再調製することによるニッケル水酸化物沈澱と亜鉛を含有する液相を分離し、あるいはこの操作を繰り返すことによって、ニッケル水酸化物沈澱を亜鉛を含む液から膜分離装置、遠心分離等の固液分離装置により分離することができる。このようにしてニッケル水酸化物を濃縮分離回収できる。
【0044】
固液分離装置を透過した処理水は亜鉛を含む。この亜鉛溶液のpHを8〜10に調整することにより、今度は、亜鉛水酸化物を沈澱させる。
【0045】
膜分離装置あるいは遠心分離器等の固液分離装置を用いて亜鉛の水酸化物沈澱を、濃縮分離、回収する。このようにして亜鉛水酸化物を濃縮分離回収できる。また固液分離装置を透過した処理水は金属イオンを殆ど含まないため、中和後、RO膜分離装置をとおして、工業用水として再利用する。
【0046】
次に、濃縮分離回収したニッケル水酸化物からの金属ニッケルの回収について述べる。
【0047】
電解採取によって直接金属ニッケルを効率的に回収するためには、電解採取を実施する溶液のニッケル濃度が十分に高い(10グラム毎リットル〜60グラム毎リットル程度)必要がある。したがって、通常のメッキ排水ではニッケル濃度が数十ppmから数百ppm程度のオーダーと非常に希薄であることから、直接電解採取によって金属ニッケルを回収することは非常に効率が悪い。
【0048】
そこで、本発明者らは、排水中のニッケルをニッケル水酸化物沈澱として亜鉛から分離して回収することを考え出したのである。ニッケル水酸化物沈澱をそのまま再溶解する方法もあるが、沈澱の含水量が98%程度と高く、かつ、含まれる水はアルカリ性が非常に強いため、この沈澱を一旦、ニッケル水酸化物が安定なpH9程度の液で洗浄した後、乾燥機等により沈澱に含まれる水を蒸発させて乾燥させ、水酸化ニッケルの乾燥物とした後、再溶解することにより、ニッケル濃度が高濃度の電解採取のための溶液を作製することが可能となる。
【0049】
電解採取のために濃縮分離したニッケル水酸化物をホウ酸を用いて溶解する。ホウ酸はpHが4程度でありかつpH緩衝能がある。電解採取でニッケルを回収するには溶液をpH4〜5.5に制御することが好ましく、最終的なホウ酸濃度として20グラム毎リットル〜60グラム毎リットルが好ましい。ただし、弱酸であるホウ酸のみでpH4から5.5に調製することは困難で、溶液中のニッケル濃度が希釈されて電解採取の効率が低下するおそれがある。そこで、ホウ酸に加えて硫酸を用いて溶液のpHを4〜5.5に調製する。尚、硫酸の代わりに塩酸を使用すると、電解採取の際、陽極で有害な塩素ガスを発生する可能性があるので使用を避ける。
【0050】
電解採取に用いる溶液に溶解したニッケルの初期濃度は10グラム毎リットル〜60グラム毎リットルの範囲の高濃度のニッケル溶液を用いることが、ニッケルを効率よく回収するために推奨されるが、この範囲以外のニッケル濃度についても適用可能である。
【0051】
電解採取をおこなう反応槽は40℃〜60℃の範囲で行うことがニッケル回収の効率から好ましいが、この温度範囲に限定されるものではなく、加温しなくても電解採取可能である。また、電解効率を高めるため、溶液を撹拌できることが好ましい。
【0052】
通電用の電極として陽極と陰極をそれぞれ浸漬する。
【0053】
陽極の材質としては白金被覆チタン、白金イリジウム被覆チタン、鉛あるいは鉛合金などが好ましい。ニッケルを析出させて回収する陰極の材質としてはニッケル、ステンレス鋼、チタン、白金被覆チタン、白金イリジウム被覆チタンなどが好ましい。
【0054】
電極の形状としては、どのような形状であっても原理的には電解採取によりニッケルを回収することは可能であるが、例えば、陽極では板状あるいは網目状電極、陰極では、電着したニッケルの剥離による回収が容易な板状電極とすることが好ましい。
【0055】
電解採取時の電流条件としては、陰極での電流密度として、0.015〜0.04A/cm2に保たれることが好ましいが、この範囲以外の電流密度であっても実施可能である。
【0056】
尚、過剰の電流は陰極での水素ガスの発生を引き起こすため、ニッケル析出を妨害する可能性がある。
【0057】
また、陽極近傍では液が酸性化するため、溶液のpHが4〜5.5の範囲に保持されていることをpH電極により確認しながら電解採取を実施する。
【0058】
陽極での酸性化により電解溶液全体のpH低下することを予防するため、陽極周囲をイオンを透過できる隔膜を用いることが好ましい。隔膜の材質としてはポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、多孔質セラミックス、ガラス繊維などが挙げられる。
【0059】
電解採取を実施して、陰極に析出したニッケルは陰極ごと一度純水に浸して付着液を除いた後、乾燥させて析出したニッケルを剥離させて容易に回収することができる。
【0060】
以上のように、ニッケル水酸化物から金属ニッケルを回収する。
【0061】
次に、濃縮分離回収した亜鉛水酸化物からの金属亜鉛の回収について述べる。得られた亜鉛水酸化物の沈澱は含水率がやはり98%程度と高いので、そのまま亜鉛の電解採取のために再溶解して用いることも可能であるが、一旦、乾燥機等で水を蒸発させて亜鉛水酸化物を乾燥物とした後、再溶解することにより、亜鉛の電解採取に適した亜鉛が高濃度の溶液を作製することが可能である。
【0062】
電解採取による亜鉛回収のために濃縮分離した亜鉛水酸化物を硫酸を用いて溶解する。硫酸の代わりに塩酸を使用すると、電解採取の際、陽極で有害な塩素ガスを発生する可能性があるので使用を避ける。電解採取で亜鉛を回収するには溶液をpH5以下にすることが好ましい。
【0063】
電解採取に用いる溶液に溶解した亜鉛の初期濃度は10グラム毎リットル〜30グラム毎リットルの範囲の高濃度の亜鉛溶液を用いることが、亜鉛を効率よく回収するために推奨されるが、この範囲以外の亜鉛濃度についても適用可能である。
【0064】
次に、電解採取による金属亜鉛の回収方法について述べる。
【0065】
電解採取をおこなう反応槽は加温する必要はない。また、電解効率を高めるため、溶液を撹拌できることが好ましい。
【0066】
通電用の電極として陽極と陰極をそれぞれ浸漬する。
【0067】
陽極の材質としては白金被覆チタン、白金イリジウム被覆チタン、鉛あるいは鉛合金などが好ましい。亜鉛を析出させて回収する陰極の材質としてはアルミニウム、チタン、白金被覆チタン、白金イリジウム被覆チタンなどが好ましい。
【0068】
電極の形状としては、どのような形状であっても原理的には電解採取により亜鉛を回収することは可能であるが、例えば、陽極では板状あるいは網目状電極、陰極では、電着した亜鉛の剥離による回収が容易な板状電極とすることが好ましい。
【0069】
電解採取時の電流条件としては、陰極での電流密度として、0.04〜0.07A/cm2に保たれることが好ましいが、この範囲以外の電流密度であっても実施可能である。
【0070】
亜鉛の電解採取はpH5以下の酸性条件でおこなうため、過剰の電流は陰極で水素ガス発生を引き起こし、亜鉛析出を妨害する可能性がある。
【0071】
陰極近傍では水素発生に伴いアルカリ化が起こる。陰極近傍のpHが6以上になると金属亜鉛として析出させようとしている亜鉛が再び水酸化物となって不溶化してしまうため、注意を要する。
【0072】
以上のような条件で亜鉛の電解採取を実施して、陰極に析出した亜鉛は陰極ごと一度純水に浸して付着液を除いた後、乾燥させて析出した亜鉛を剥離させて容易に回収することができる。以上のようにして亜鉛水酸化物から金属亜鉛を回収する。
【0073】
次に、実際のメッキ排水にみられるニッケル、亜鉛の他に、鉄とクロムを含有する排水からのニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物を分離回収する方法について説明する。一般にメッキ排水中では鉄は二価鉄イオン、クロムは三価クロムイオンとして存在している。二価鉄イオンを過酸化水素や次亜鉛素酸などの薬剤やオゾンなどを用いて化学的に、あるいは鉄酸化細菌などの作用によって生物学的に三価鉄イオンに酸化する。ただし、2価鉄を過酸化水素や次亜鉛素酸などの薬剤やオゾンなどを用いて酸化する方法は、酸化の制御が難しく、排水中にクロムが含まれる場合、三価クロムを有害な六価クロムに酸化する可能性がある。また、排水中の2価鉄の濃度が高い場合、処理コストが極めて高くなる欠点がある。一方、鉄酸化細菌を用いる2価鉄の生物学的酸化方法は、pHが低い段階で、2価鉄を3価鉄まで、迅速に酸化することができ、コストも化学的酸化方法より安価である。また、排水中にクロムが含まれる場合、有害な六価クロムを発生させる心配がない。ただし、鉄酸化細菌は、有機物を分解するような従属栄養細菌と比較すると、増殖速度が極めて小さく、また、フロックを形成する能力が小さい。したがって、生物反応槽で鉄酸化細菌を高濃度に維持する方策が必要であるものの、鉄酸化細菌を用いて鉄のみを三価に酸化することがより好ましい。
【0074】
三価鉄イオン存在下では、pH3から4の範囲に調製することで、三価鉄イオンは、水酸化第二鉄として沈澱するが、この際、クロムも水酸化第二鉄と共沈する現象が報告されている(特開2000−117270)。この結果、膜分離装置等によって沈澱と液をそれぞれ分離回収することにより、鉄とクロムを含む沈澱とニッケルと亜鉛を含む液がそれぞれ回収される。回収された鉄とクロムを含む沈澱は、乾燥−造粒後、ステンレス原料として再利用可能である。また、排水中にクロムが含まれない場合には、製鉄所の高炉で再利用可能である。
【0075】
また、回収されたニッケルと亜鉛を含む液はpH3から4の範囲にあり、本発明のニッケル水酸化物と亜鉛を含有する液に分離する操作を開始するニッケルと亜鉛を共に含有する溶液のpH条件、すなわちpH0.5から4の範囲をを満たすものである。したがって、直接この溶液のpHを13以上に再調製するか、あるいは、この溶液のpHを一旦、pH8から10に再調製して、ニッケルと亜鉛の水酸化物の混合沈澱として、膜分離装置等を用いて回収して小体積化した後、再溶解してpH0.5から 4に調製して、小容量でpH13以上に再調製して、ニッケル水酸化物と亜鉛を含有する液を分離する。亜鉛を含有する液をpH8〜10に調整して、亜鉛水酸化物を生じさせ、濃縮分離回収して、透過処理水は中和後、RO膜分離装置により、工業用水として再利用、あるいは、公共水域に放流する。回収したニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物の混合物は酸に溶解して、メッキ液に再利用する。あるいは、電解採取により金属ニッケルと金属亜鉛としてそれぞれ回収する。
【0076】
以上のように本発明により、メッキ洗浄排水あるいはスラッジからニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物を分離回収できる。さらに、ニッケル水酸化物からは金属ニッケルを回収し、亜鉛水酸化物からは金属亜鉛を回収することができる。したがって、ニッケルと亜鉛を含む排水に対してスラッジを発生させることなく再利用可能ならしめるクローズドシステム化が可能となる。
【0077】
次に、本発明の実施方法をまず、図1を用いて述べる。
【0078】
本発明を実施する装置の基本構成は、pH調整槽1、ポンプ2、pH調整槽3、固液分離装置4、ポンプ5、pH調整槽6、固液分離装置7、ポンプ8、pH調整槽9、固液分離装置10、ポンプ11から構成されている。
【0079】
ニッケルと亜鉛を含有する排水の処理あるいはニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物の混合スラッジの処理は以下の通り実施する。
【0080】
まず、ニッケルと亜鉛を含有する排水をpH調整槽1の滞留時間(HRT)が30分になるように供給する。pH調整槽1の水位によって制御される。pH調整槽1内でニッケルと亜鉛を含有する排水のpHを0.5から4の範囲に制御することにより、ニッケルと亜鉛を溶解させた状態とする。あるいは、ニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物の混合スラッジをpH調整槽1でpHを0.5から4の範囲で溶解する。続いて、ポンプ2を稼働させる。ポンプ2は、pH調整槽1に設置した液面スイッチと連動しており、pH調整槽1の水位によって制御される。
【0081】
次に、pH調整槽3においてNaOH水溶液等の強アルカリと混和することにより、処理水をpH13以上に調整する。アルカリとの混和は速やかに行われることが望ましい。pH13以上に制御した状態で5分間以上滞留させることにより、ニッケル水酸化物沈澱が生成する。固液分離装置4により生成したニッケル水酸化物沈澱が濃縮される。濃縮したニッケル水酸化物は、乾燥して小体積化して保管される他、再溶解して高濃度のニッケル溶液となり、工場のメッキ浴等で再利用される。あるいは電解採取等によって金属ニッケルに還元して再利用される。また、濃縮分離されるニッケル水酸化物中には、亜鉛が若干量混入する可能性がある。このため、回収したニッケル水酸化物を再び、pH調整槽1で再溶解して同様の操作を繰り返すことで、ニッケル水酸化物の純度を上げることが可能である。
【0082】
また、固液分離装置4の透過液は、ポンプ5によってpH調製槽6に移し、pH8から10として5分間以上滞留させる。この処理により亜鉛水酸化物の沈澱が生成する。固液分離装置7により生成した亜鉛水酸化物沈澱が濃縮される。濃縮した亜鉛水酸化物は、乾燥して小体積化して保管される他、再溶解して高濃度の亜鉛溶液となり、工場のメッキ浴等で再利用される。あるいは電解採取等によって金属亜鉛に還元して再利用される。
【0083】
また、固液分離装置7の透過液は、ポンプ8によってpH調製槽9に移し、pH=7〜8とし、RO膜分離装置10により処理して工業用水として再利用する。この結果、少量のRO膜濃縮液が発生するが、無機イオンが主体であるのでこのまま公共水域に放流できる。
【0084】
尚、固液分離装置4および7として特開2000−117270で報告されている膜分離装置が推奨される。ただし、固液分離装置7では、pH13以上というアルカリ条件で使用するため、膜の材質としてセラミックスを使用することが好ましい。
【0085】
さて、メッキ排水に含まれるニッケルと亜鉛の濃度はせいぜい数ミリグラム毎リットルから数百ミリグラム毎リットル程度であり、希薄溶液である。しかも大容量の排水が発生することから、排水全量に対して、図1で示した処理プロセスによりpH13以上へのpH調整を行い、続いて中和処理をおこなうことは、大量のアルカリと酸を使用する必要があり、ニッケル、亜鉛量の回収量と比較して効率が悪いことが考えられる。
【0086】
そこで前処理として、ニッケルと亜鉛を希薄濃度含む大容量の排水から、あらかじめ中和凝集沈殿法によりニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物を混合物として濃縮分離回収しておき、この水酸化物混合物から小スケールでニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物をそれぞれ分離回収する本発明の実施方法を図2を用いて述べる。ニッケルと亜鉛を希薄濃度含む排水をpH調製槽12においてNaOH等を用いてpH8から10に調整して固液分離装置13により生成した水酸化ニッケル沈澱と水酸化亜鉛沈澱の混合物が濃縮される。濃縮した水酸化ニッケル沈澱と水酸化亜鉛沈澱の混合物は、pH調製槽1において硫酸を用いて再溶解され、図1と同様の方法により、水酸化ニッケルと水酸化亜鉛をそれぞれ分離して回収する。尚、固液分離装置13の透過液は重金属成分を殆ど含まないので、ポンプ14によりpH調製槽9でpH7から8に中和されて、RO膜分離装置10により処理して工業用水として再利用する。この結果、少量のRO膜濃縮液が発生するが、無機イオンが主体であるのでこのまま公共水域に放流できる。
【0087】
尚、固液分離装置13については、1μm〜10μmの孔径を有するMF膜分離装置を用いることが好ましい。
【0088】
次に、ニッケル、亜鉛、2価鉄、クロムなど多くの金属イオンを含有するメッキ排水から、鉄およびクロムを事前に選択的に除去した後、ニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物をそれぞれ分離回収する方法について図3に沿って述べる。通常の中和凝集沈殿法で直接メッキ排水を処理してpHを8から10にすると、ニッケル、亜鉛、2価鉄、クロムの水酸化物が混在する再利用が困難なメッキスラッジが発生する。
【0089】
メッキ工場排水等の金属含有排水は、通常、pHが1〜2と低く、排水に含まれるのは主に2価鉄である。3価鉄はpHがかなり低くても水酸化第二鉄として沈殿するが、2価鉄はpHが低いと溶解している性質を有する。また、クロムも水酸化第二鉄と共沈する性質がある。そこでメッキ排水をpH調整槽15に導入してpH3から4に調整した状態で、2価鉄を3価鉄に酸化して水酸化物として沈澱させる。同時に、クロムも共沈させる。
【0090】
鉄酸化細菌を用いた生物学的酸化方法等により、pH3〜4の領域で、2価鉄イオンは3価鉄イオンとなり、さらに水酸化物となる。このとき、3価クロムも同時に共沈により沈殿する。このようにして生成した鉄−クロム系スラッジは、乾燥−造粒後、ステンレス原料として再利用可能である。なお、排水中にクロムが含まれない場合には、再利用がさらに容易であり、鉄系スラッジとして製鉄所の高炉で再利用が可能となる。
【0091】
このようにして固液分離装置16により生成した鉄とクロムの水酸化物沈澱の混合物が濃縮される。この鉄とクロムの水酸化物の混合物は電気炉原料等として再利用可能である。
【0092】
固液分離装置16の透過液はニッケルと亜鉛を含む液であり、ポンプ17によりpH調製槽12に導入して、pH8から10に調整することで、ニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物の混合物として濃縮、分離回収し、図2と同様の方法で水酸化ニッケルと水酸化亜鉛をそれぞれ分離回収する。
【0093】
尚、固液分離装置16に膜分離装置を用いる場合には、鉄酸化細菌の大きさは1μm程度であるので、膜としては、孔径が1μm以上のMF膜でよい。実際には、鉄酸化細菌は鉄水酸化物に付着・増殖したり、フロックをある程度形成するので、10μm程度の孔径でもかまわない。膜径を大きくできれば、透過水量が大きくなり、設備を小型化できる利点がある。また、逆洗も容易となる。膜の材質は、酸化鉄が膜に付着しやすいので、膜洗浄が容易なセラミックスが望ましい。
【0094】
以上、図1〜図3を用いて述べた本発明の実施方法により回収されたニッケル水酸化物あるいは亜鉛水酸化物について、電解採取により金属ニッケルと金属亜鉛をそれぞれ回収する。
【0095】
ニッケル水酸化物からの金属ニッケルの回収方法を図4に沿って述べる。
回収したニッケル水酸化物をpH調整槽18でホウ酸と硫酸を用いて溶解、pH4〜5.5に調整後、溶液を電解採取槽20に入れ、陽極21と陰極22により、定電流/定電圧源23により電解採取を実施する。陽極近傍で溶液が酸性化するため、電解液全体のpH低下を防ぐため、陽極と周囲溶液を隔膜24で囲む。陽極21の材質としては、白金被覆チタン、白金イリジウム被覆チタン、鉛あるいは鉛合金などが好ましい。陰極22の材質としてはニッケル、ステンレス鋼、チタン、白金被覆チタン、白金イリジウム被覆チタンなどが好ましい。隔膜24の材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、多孔質セラミックス、ガラス繊維などが好ましい。電解採取後、陰極に電着析出したニッケルを剥離回収する。また、電解採取に用いたホウ酸を多量に含む溶液は、ポンプ25によりpH調整槽18においてニッケル水酸化物の再溶解とpH調整に再利用可能である。
【0096】
また、亜鉛水酸化物からの金属亜鉛の回収方法を図5に沿って述べる。
【0097】
回収した亜鉛水酸化物をpH調整槽26で硫酸を用いて溶解、pH5以下に調整後、溶液を電解採取槽28に入れ、陽極29と陰極30により、定電流/定電圧源31により電解採取を実施する。陽極近傍で溶液が酸性化するため、電解液全体のpH低下を防ぐため、陽極と周囲溶液を隔膜32で囲んでもよいが、亜鉛の電着は酸性条件で進むため、隔膜32は無くともよい。陽極29の材質としては白金被覆チタン、白金イリジウム被覆チタン、鉛あるいは鉛合金などが好ましい。陰極30の材質としてはアルミニウム、チタン、白金被覆チタン、白金イリジウム被覆チタンなどを用いる。ただし、チタンは酸性の強い溶液では溶解する可能性があるため、チタン、白金被覆チタン、白金イリジウム被覆チタンを使用することがより好ましい。隔膜32の材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、多孔質セラミックス、ガラス繊維などが好ましい。電解採取後、陰極に電着析出した亜鉛を剥離回収する。また、電解採取に用いた硫酸を含む酸性溶液は、ポンプ33によりpH調整槽26において亜鉛水酸化物の再溶解とpH調整に再利用可能である。
【0098】
【実施例】
参考例
本発明の方法を、製鉄所から発生するメッキ工場洗浄排水へ適用した。適用した排水は、Ni2+を平均50mg/l、また、Zn2+を平均150mg/l含有しており、Fe2+やCr3+はほとんど含まれていなかった。排水の水温は、10℃〜35℃程度であった。従来、中和凝集沈殿法により処理されており、発生するスラッジは廃棄処分されていた。このような製鉄所から発生するメッキ排水の処理に、本法を適用した例を図2に基づいて説明する。
【0099】
まず、pH調整槽12において、1molのNaOH溶液によって、排水のpHを10に調整した。5分間急速攪拌、20分間緩速攪拌し、水酸化物を生成させ、ポンプ14により固液分離装置13に通水した。固液分離装置13としては、MF膜分離装置を用いた。なお、このMF膜分離装置は、pH調整槽12内部の出口付近に沈積させた。MF膜分離装置の膜としては、孔径が1μmのシリカ−アルミナ系セラミックス膜を用いた。膜の逆洗は、逆洗用ブロアにより1時間毎に30秒稼働し、0.1〜0.5MPaの空気によって、セラミックス内部から膜面を連続的に洗浄した。この分離装置の処理水は、表1に示すように、Ni2+が平均0.04mg/l、Zn2+も平均0.33mg/lと良好なニッケルおよび亜鉛の除去性能を示した。
【0100】
【表1】
Figure 0004146078
【0101】
さらに、濃縮分離されたニッケル水酸化物沈澱と亜鉛水酸化物沈澱の混合物をpH調整槽1で10%硫酸を用いて再溶解した後、4%水酸化ナトリウム溶液でpH3.0に調整した。元のメッキ洗浄排水と比較して、ニッケルと亜鉛の濃度を約80倍にまで高めることができた。この溶液をポンプ2によりpH調整槽3へ移した。pH調製槽3で、pH3のニッケルと亜鉛の濃縮溶液1体積あたり9体積の1molのNaOH溶液を加えて、pH13〜14とした。5分間急速撹拌、20分間緩速攪拌し、ニッケル水酸化物を生成させ、ポンプ5により固液分離装置4に通水した。この固液分離装置4については、固液分離装置13と同様のMF膜分離装置を用いた。
【0102】
固液分離装置4の処理水は、表1に示すように、Ni2+が平均0.5mg/l、Zn2+が平均210mg/l含まれていた。したがって、金属成分として亜鉛を99%以上含む液となった。
【0103】
固液分離装置4で濃縮分離されるニッケル水酸化物沈澱は、一旦、0.1molのNaOH溶液で洗浄ろ過して残存する亜鉛を洗い出した後、pH8の液で沈澱を洗い、過剰なNaOH溶液を洗い出して、105℃で乾燥させて、ニッケルの水酸化物を得た。この脱水乾燥させたニッケル水酸化物中の金属元素分析をした結果を表2に示す。このようにニッケル水酸化物が回収されていることを確認できた。
【0104】
【表2】
Figure 0004146078
【0105】
次に、固液分離装置4の処理水をポンプ5によりpH調整槽6に移し、10%硫酸を用いてpH9.5に調整後、固液分離装置7により亜鉛の水酸化物を濃縮分離した。
【0106】
ここでも固液分離装置7には固液分離装置13あるいは4と同様のMF膜分離装置を用いた。
【0107】
固液分離装置7の処理水は、表3に示すように、Ni2+が平均0.03mg/l、Zn2+が平均0.05mg/l含まれていた。したがって、Ni2+とZn2+がほぼ除去された、規制値を遵守する処理水が得られた。
【0108】
【表3】
Figure 0004146078
【0109】
また、固液分離装置7で濃縮分離される亜鉛水酸化物沈澱は、105℃で乾燥させて、亜鉛の水酸化物を得た。この脱水乾燥させた亜鉛水酸化物中の金属元素分析をした結果を表3に示す。亜鉛水酸化物が回収されていることを確認できた。
【0110】
このように本発明は、従来は不可能であった排水中のニッケルと亜鉛の分離回収をそれぞれ水酸化物として分離回収できメッキ液に再利用可能となり、スラッジ廃棄処分費を削減できた。
【0111】
次に、排水から回収されたニッケル水酸化物から金属ニッケルを回収した。図4に沿って説明する。固液分離装置4で濃縮分離したニッケル水酸化物を60g/Lホウ酸に溶解し、硫酸を併用してpH4.6に調整した。電解採取に用いる溶液の初期濃度はホウ酸が30g/L、ニッケルが40g/Lであった。
電解採取槽20は50℃に温度設定した。陽極21には鉛(1%銀含有)合金板、陰極22にはニッケル板を用いた。電流条件としては、陰極22での電流密度として、0.02A/cm2として、10時間電解採取を実施した。陰極に析出したニッケルは陰極ごと一度純水に浸して付着液を除いた後、乾燥させて析出したニッケルを剥離させて回収した。
【0112】
次に、排水から回収された亜鉛水酸化物から金属亜鉛を回収した。図5に沿って説明する。
【0113】
固液分離装置7で濃縮分離した亜鉛水酸化物を10%硫酸を用いて溶解した。電解採取に用いる溶液に溶解した亜鉛の初期濃度は20g/LでpH2であった。
【0114】
電解採取槽28は加温せず、陽極29には鉛(1%銀含有)合金板、陰極30にはアルミニウム板を使用した。電解採取時の電流条件としては、陰極での電流密度として、0.04A/cm2として、6時間電解採取を実施した。陰極に析出した亜鉛は陰極ごと一度純水に浸して付着液を除いた後、乾燥させて析出した亜鉛を剥離させて回収した。表3に回収した金属ニッケルと金属亜鉛の純度をそれぞれ示した。
【0115】
このように、本発明の方法により、メッキ洗浄排水からニッケルと亜鉛をそれぞれ水酸化物として分離回収して、ニッケル水酸化物からは金属ニッケルを、亜鉛水酸化物からは金属亜鉛をそれぞれ回収でき、再利用可能なクローズした排水処理方法が可能となる。
【0116】
(実施例)
本発明の方法を、製鉄所から発生し多くの金属イオンを含有するメッキ工場排水へ適用した。排水は、pHが2.5、Fe2+が平均430mg/l、Ni2+が平均330mg/l、Zn2+が平均380mg/l、Cr3+が平均60mg/lであった。排水の水温は、10℃〜35℃程度であった。このような製鉄所から発生するメッキ排水の処理に、本方法を適用した例を図3を用い説明する。
【0117】
まず、鉄酸化/pH調整槽15に、都市下水の処理を行っている下水処理場の活性汚泥(活性汚泥濃度:1000mg/l)を投入し、沈殿させ、上澄液を投棄した後、排水を投入し、エアレーションを行い、鉄酸化細菌の増殖を図った。エアレーションは、鉄酸化/pH調整槽15のDO(溶存酸素)を3mg/lと設定して、DOによって制御した。鉄酸化/pH調整槽15のpHは、10%硫酸および10%NaOH水溶液によって、3に調整した。窒素、リンは、それぞれ10mg/lずつ鉄酸化/pH調整槽15に添加した。鉄酸化/pH調整槽15に排水を供給してから約2週間後に、鉄酸化/pH調整槽15のORP(酸化還元電位)が+550mV以上となり、処理水のFe2+が10mg/l以下となった。この段階で、鉄酸化/pH調整槽15の汚泥を沈殿させ、上澄液をすて、同じ排水を供給した。この操作を繰り返し、鉄酸化細菌が増殖し、24時間以内に、処理水のFe2+が10mg/l以下となった段階で、バッチ処理から連続運転(HRT=3時間)に移行した。
【0118】
鉄酸化/pH調整槽15の内部に設置した鉄酸化細菌回収用の固液分離装置16にはMF膜分離装置を用いた。膜としては、シリカ−アルミナ系のセラミックスで孔径が10μmのMF膜を用いた。MF膜の逆洗用ブロアは、タイマーにより、1時間毎に1分稼働し、0.5MPaの空気によって、セラミックス膜内部から膜面を連続的に洗浄した。また、連続運転においては、エアレーション量を、鉄酸化/pH調整槽15のORPを+550mV(Ag/AgCl基準)と設定して、ORPによってブロアを制御した。
【0119】
この結果、連続処理の処理水は、Fe2+が0.5mg/l以下と良好であった。MF膜で生成した水酸化鉄、水酸化クロムおよび鉄酸化細菌の濃縮液は、一部が鉄酸化/pH調整槽15に返送され、一部は引き抜き、乾燥・造粒後、再利用した。鉄酸化/pH調整槽15内には、水酸化鉄、水酸化クロムおよび鉄酸化細菌が蓄積し、MLSS(Mixed liquor suspended solids)濃度として、100〜200g/lで管理した。
【0120】
さらに、固液分離装置16の透過水を1molのNaOH溶液によって、pH調整槽12においてpHを10に調整した。5分間急速攪拌、20分間緩速攪拌し、ニッケルと亜鉛の水酸化物を生成させた。この後、ポンプ14により、pH調整槽12外部に設置した固液分離装置13に通水した。この固液分離装置13としては、MF膜分離装置を用いた。膜としては、孔径が1μmのシリカ−アルミナ系セラミックス製MF膜を用いた。MF膜の逆洗は、逆洗用ブロアにより1時間毎に30秒稼働し、0.1〜0.5MPaの空気によって、セラミックス内部から膜面を連続的に洗浄した。
【0121】
連続処理の処理水は、表4に示すように、Ni2+が平均0.03mg/l、Zn2+も平均0.04mg/lと良好であった。この処理水はpH調製槽9で中和処理後、RO膜分離装置10で処理し、工業用水として再利用した。
【0122】
【表4】
Figure 0004146078
【0123】
また、固液分離装置13で濃縮分離回収されるニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物の混合物について、pH調整槽1で10%硫酸を用いて再溶解した後、4%水酸化ナトリウム溶液でpH3.0に調整した。元のメッキ洗浄排水と比較して、ニッケルと亜鉛の濃度を約80倍にまで高めることができた。この溶液をポンプ2によりpH調整槽3へ移した。pH調製槽3で、pH3のニッケルと亜鉛の濃縮溶液1体積あたり9体積の1molのNaOH溶液を加えて、pH13〜14とした。5分間急速撹拌、20分間緩速攪拌し、ニッケル水酸化物を生成させ、ポンプ5により固液分離装置4に通水した。この固液分離装置4については、固液分離装置13と同様のMF膜分離装置を用いた。
【0124】
固液分離装置4の処理水は、表4に示すように、Ni2+が平均0.5mg/l、Zn2+が平均210mg/l含まれていた。したがって、金属成分として亜鉛を99%以上含む液となった。
【0125】
固液分離装置4で濃縮分離されるニッケル水酸化物沈澱は、一旦、0.1molのNaOH溶液で洗浄ろ過して残存する亜鉛を洗い出した後、pH8の液で沈澱を洗い、過剰なNaOH溶液を洗い出して、105℃で乾燥させて、ニッケルの水酸化物を得た。この脱水乾燥させたニッケル水酸化物中の金属元素分析をした結果を表5に示す。
【0126】
次に、固液分離装置4の処理水をポンプ5によりpH調整槽6に移し、10%硫酸を用いてpH9.5に調整後、固液分離装置7により亜鉛の水酸化物を濃縮分離した。
【0127】
ここでも固液分離装置7には固液分離装置13あるいは4と同様のMF膜分離装置を用いた。
【0128】
固液分離装置7の処理水は、表4に示すように、Ni2+が平均0.01mg/l未満、Zn2+が平均0.02mg/l含まれていた。したがって、Ni2+とZn2+がほぼ除去された、規制値を遵守する処理水が得られた。
【0129】
また、固液分離装置7で濃縮分離される亜鉛水酸化物沈澱は、105℃で乾燥させて、亜鉛の水酸化物を得た。この脱水乾燥させた亜鉛水酸化物中の金属元素分析をした結果を表5に示す。
【0130】
【表5】
Figure 0004146078
【0131】
このようにして分離回収されたニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物はそれぞれ、酸に溶解後、ニッケルメッキ浴および亜鉛メッキ浴に再利用した。
【0132】
このように本発明は、従来は不可能であった排水中のニッケルと亜鉛の分離回収をそれぞれ水酸化物として分離回収できメッキ液に再利用可能となり、スラッジ廃棄処分費を削減できた。
【0133】
【発明の効果】
本発明により、メッキ工場などから発生する金属含有排水を効率的にかつ安定して処理するとともに、排水から有価金属を回収・再利用することにより、スラッジの発生量を削減できる。また、本発明により、すでに廃棄されているニッケル水酸化物と亜鉛水酸化物からなるメッキスラッジから、金属ニッケルと金属亜鉛を分離回収することが可能であり、資源有効利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の処理フローの一例を示す図である。
【図2】 本発明の処理フローの一例を示す図である。
【図3】 本発明の処理フローの一例を示す図である。
【図4】 本発明の処理フローの一例を示す図である。
【図5】 本発明の処理フローの一例を示す図である。
【符号の説明】
1…pH調整槽
2…ポンプ
3…pH調整槽
4…固液分離装置
5…ポンプ
6…pH調整槽
7…固液分離装置
8…ポンプ
9…pH調整槽
10…RO膜分離装置
11…ポンプ
12…pH調整槽
13…固液分離装置
14…ポンプ
15…鉄酸化/pH調整槽
16…固液分離装置
17…ポンプ
18…pH調整槽
19…ポンプ
20…電解採取槽
21…陽極
22…陰極
23…定電圧/定電流源
24…隔膜
25…ポンプ
26…pH調整槽
27…ポンプ
28…電解採取槽
29…陽極
30…陰極
31…定電圧/定電流源
32…隔膜
33…ポンプ

Claims (7)

  1. ニッケル、亜鉛の他に鉄、クロムを含有する排水について鉄をあらかじめ酸化処理して、かつ、溶液をpH3〜4に調製して、鉄とクロムを水酸化物沈澱として分離除去した後、ニッケルおよび亜鉛を含有する液をpH8〜10に調製してニッケルと亜鉛を水酸化物沈澱として濃縮分離した後、この水酸化物を酸を用いて溶解してpHを0.5〜4に調製した後、溶液のpHを13以上に再調製することで、ニッケル水酸化物と亜鉛を含有する液それぞれ分離回収することを特徴とする排水処理方法。
  2. 請求項1に記載の回収されたニッケル水酸化物を酸を用いて溶解してpHを0.5〜4に調製した後、溶液のpHを13以上に再調製することで、ニッケル水酸化物と亜鉛を含有する液それぞれ分離回収することを繰り返すことにより、ニッケル水酸化物の純度を高めることを特徴とする排水処理および有価金属回収方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法で分離回収されるニッケル水酸化物をホウ酸および硫酸を用いて溶解してpHを4〜5.5に調製した後、電解採取によって金属ニッケルとして回収することを特徴とする排水処理および有価金属回収方法。
  4. 請求項1又は2に記載のニッケル水酸化物と亜鉛を含有する液の分離回収過程においてpH13以上に調製することにより生ずるニッケル水酸化物沈澱を分離除去した後、残った亜鉛を含有する液をpH8〜10に調製することにより、亜鉛水酸化物沈澱を生じさせ、亜鉛水酸化物を分離回収することを特徴とする排水処理および有価金属回収方法。
  5. 請求項に記載の方法で得られる亜鉛水酸化物を酸により再溶解してpH5以下に調製して電解採取によって金属亜鉛として回収することを特徴とする排水処理および有価金属回収方法。
  6. ニッケル水酸化物と亜鉛を含有する液を分離する際に、1μm〜10μmの孔径を有する膜分離装置を用いる請求項1又は2に記載の排水処理および有価金属回収方法。
  7. 膜分離装置として、セラミックスを素材とした膜を用いることを特徴とする請求項に記載の排水処理および有価金属回収方法。
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