JP4145980B2 - オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はオレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、メタロセン系触媒を用いて、ファウリングや塊状重合体の生成が抑制され、効率良くオレフィン重合体を与えるオレフィン重合用触媒およびこれを用いたオレフィン重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
メタロセン化合物とメチルアルミノキサンや非配位性イオン含有化合物などの助触媒からなる触媒によりオレフィン重合体が得られることは公知である。このような触媒は、重合反応器の器壁に重合体が固着するファウリングの抑制や、さらには得られる重合体を扱いの容易な粒子状で得るために、通常微粒子担体に担持した形で使用される。しかしながらこれらの担持触媒を使用した場合においても、ファウリングの抑制は必ずしも十分ではなく、特にプロピレン共重合体の製造においては困難であり、その工業的生産の妨げとなっていた。
【0003】
微粒子上に担持されたメチルアルミノキサン助触媒を使用した場合において、ファウリングを抑制する試みとしては以下のようなものがある。
特開平9-3114号公報には遷移金属化合物、微粒子状担体に担持したアルミノキサンおよび炭素数4以上の直鎖アルキル基を有する有機アルミニウムからなる触媒がファウリングを伴うことなくポリオレフィンを与えることが記載されているが、ファウリングの抑制が十分になされているとは言い難い。さらにはその触媒によりプロピレン共重合体を製造した場合には、ファウリングの抑制が困難である。
【0004】
また、微粒子上に担持されたメチルアルミノキサン助触媒を使用した場合、有機マグネシウムあるいは有機リチウム化合物と組み合わせることでファウリングが抑制されることが知られている。例えば、特開平9-157321号公報には遷移金属化合物、担体に担持された有機アルミニウムオキシ化合物、アルキルリチウム、ジアルキルマグネシウムあるいはジアルキル亜鉛から選ばれる少なくとも1以上の有機金属化合物からなる触媒が重合器壁へのスケールを発生することなくエチレン(共)重合体を与えることが開示されている。さらに特表平9-507093号公報にはトリアルキルアルミニウムで処理された担体、メタロセン錯体、開鎖もしくは環式アルモキサン化合物、およびアルカリ金属アルキルもしくはアルカリ土類金属アルキルまたはこれらの混合物からなるオレフィン重合触媒がポリマーの反応器壁への付着を伴わずにポリオレフィンを与えることが開示されている。しかしながら、これらはいずれもアルキルリチウム等の添加により重合活性が著しく低下してしまう。また具体的にはエチレン系(共)重合体についてのみ記載されているが、これらの触媒をプロピレン重合体、特にプロピレン共重合体の製造に適用した場合には、ファウリングの抑制は困難である。
【0005】
微粒子上に担持された非配位性イオン含有化合物を助触媒として使用した場合に、ファウリングを抑制する試みとしては、非配位性イオン含有化合物を担体に化学結合させることが提案されている。これらは特表平7-501573号公報、WO96/40796号公報、WO96/41808号公報、WO97/19959号公報に記載されているが、ファウリングが十分に抑制されているとは言い難く、工業的生産に適した50℃を超える温度でプロピレン重合体、特にプロピレン共重合体を製造した場合にはファウリングが著しい。一方これらの固体助触媒成分として前記アルキルリチウムのような有機金属を使用してファウリングを抑制しようとする場合にも、有機アルミニウム化合物の種類によっては、著しい重合活性の低下をもたらす。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、メタロセン系触媒を用いて、ファウリングや塊状重合体の生成を伴うことなく、高い重合活性でオレフィン重合体を与える触媒、およびその触媒を用いるオレフィン重合体を製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、有機アルミニウム化合物、メタロセン化合物および非配位性イオン含有化合物が微粒子担体に化学結合した固体助触媒を混合した成分と、有機アルミニウム化合物および有機リチウム、有機亜鉛、有機マグネシウム化合物の中から選ばれる1以上の有機金属化合物を混合した成分からなる触媒が、ファウリングや塊状重合体の生成を伴うことなく、高い重合活性でオレフィン重合体を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、
1)非配位性イオン含有化合物が微粒子担体に化学結合した固体助触媒(A)、メタロセン化合物(B)、および有機アルミニウム化合物(C)を混合した成分(I)、有機アルミニウム化合物(C)および有機リチウム、有機亜鉛、有機マグネシウム化合物の中から選ばれる1以上の有機金属化合物(D)を混合した成分(II)からなるオレフィン重合用触媒、
2)非配位性イオン含有化合物が微粒子担体に化学結合した固体助触媒(A)が下記一般式(1)
【化4】
[M1(R1)a(R2)b(R3)c(R4−L)d]-・[K]+ (1)
(式中、M1はホウ素またはアルミニウム原子であり、
R1、R2およびR3は、互いに同一でも異なってもよく、炭素数1〜20の炭 化水素基、ハロゲン化炭化水素基、アルコキシ基、フェノキシ基またはハロゲン原子であり、
R4は炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
Lはシリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはアミノ基であり、
a、bおよびcは0または1〜3の整数、dは1〜4の整数で、かつa+b+c+d=4であり、
Kは1価のカチオンである。)
で示されるイオン性化合物(a-1)と微粒子状担体(a-2)を接触させて得られるものである前記1記載のオレフィン重合用触媒、
3)有機アルミニウム化合物(C)が下記一般式(2)
【化5】
Al(X)m(R)3-m (2)
(式中、Xは水素原子、ハロゲン原子またはアルコキシ基であり、Rはn−ブチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−オクチル、i−オクチルまたはn−デシル基であり、mは0または1である。)
で示されるものである前記1または2記載のオレフィン重合用触媒、
【0009】
4)メタロセン化合物が一般式(3)
【化6】
(式中、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、互いに同一でも異なってもよ く、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基または炭素数1〜20の炭化水素基であり、
M2、M3およびM4は、互いに同一でも異なってもよく、炭素、ケイ素、ゲル マニウムまたはスズ原子であり、
M5はチタン、ジルコニウム、ハフニウムまたはバナジウム原子であり、
p、qおよびrは0または1〜2の整数で、かつ1≦p+q+r≦4であり、
Q1およびQ2は、互いに同一でも異なってもよく、2位に置換基を有するインデニル基であり、少なくともいずれか一方は2位および4位に置換基を有し、
X1およびX2は、互いに同一でも異なってもよく、ハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基、フェノキシ基、アミド基または炭素数1〜30の炭化水素基である。)
で示されるものである前記1乃至3のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒、および
5)前記1乃至4いずれか一つに記載のオレフィン重合用触媒を用いてオレフィンを重合するにあたって、成分(I)と成分(II)を別々に反応器に添加するオレフィン重合体の製造方法を提供する。
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用する触媒成分(A)は非配位性イオン含有化合物が微粒子担体に化学結合した固体助触媒である。これらはメタロセン触媒において助触媒として有効な非配位性イオン含有化合物が、担体に共有結合やイオン結合等の化学結合により結合したものであれば特に制限はなく、例えば特表平7-501573号公報、WO96/40796号公報、WO96/41808号公報、WO97/19959号公報などに記載されている。
【0011】
本発明で使用する触媒成分(A)は、非配位性イオン含有化合物として、下記一般式(1)で表わされるイオン性化合物(a-1)と微粒子状担体(a-2)を接触させて得られるものが好ましい。
【化7】
[M1(R1)a(R2)b(R3)c(R4−L)d]-・[K]+ (1)
【0012】
式中、M1はホウ素またはアルミニウム原子であり、好ましくはホウ素原子で ある。
R1、R2およびR3は、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基 、アルコキシ基、フェノキシ基またはハロゲン原子であり、これらは互いに同一でも異なってもよい。炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基等のアリール基、ハロゲン化アリール基が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、アルキル基、アリール基およびハロゲン化アリール基であり、特に好ましいのはアリール基およびハロゲン化アリール基である。
【0013】
ハロゲン化アリール基の具体例としては、4−フルオロフェニル基等のフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基等のジフルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基等のトリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基等のテトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基等のビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基等のトリス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,3,5,6−テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル基等のテトラキス(トリフルオロメチル)フェニル基、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル基等およびこれらのフッ素原子を塩素原子、臭素原子等、他のハロゲン原子に置き換えたものなどが挙げられる。
【0014】
これらハロゲン化アリール基の中でも、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などのフルオロフェニル基が好ましく、さらにはテトラフルオロフェニル基およびペンタフルオロフェニル基が好ましく、特にペンタフルオロフェニル基が好ましい。
【0015】
前記イオン性化合物(a-1)において、R4は炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、4−フルオロ−m−フェニレン基、2−フルオロ−p−フェニレン基等のフルオロフェニレン基、4,5−ジフルオロ−m−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−p−フェニレン基等のジフルオロフェニレン基、2,4,5−トリフルオロ−m−フェニレン基、2,4,6−トリフルオロ−m−フェニレン基、4,5,6−トリフルオロ−m−フェニレン基、2,3,5−トリフルオロ−p−フェニレン基、2,3,6−トリフルオロ−p−フェニレン基等のトリフルオロフェニレン基、3,4,5,6−テトラフルオロ−o−フェニレン基、2,4,5,6−テトラフルオロ−m−フェニレン基、2,3,5,6−テトラフルオロ−p−フェニレン基等のテトラフルオロフェニレン基が挙げられる。
【0016】
これらのうち好ましいのは、2,4,5−トリフルオロ−m−フェニレン基、2,4,6−トリフルオロ−m−フェニレン基、4,5,6−トリフルオロ−m−フェニレン基、2,3,5−トリフルオロ−p−フェニレン基、2,3,6−トリフルオロ−p−フェニレン基、3,4,5,6−テトラフルオロ−o−フェニレン基、2,4,5,6−テトラフルオロ−m−フェニレン基、2,3,5,6−テトラフルオロ−p−フェニレン基であり、特に好ましいのは、2,4,5,6−テトラフルオロ−m−フェニレン基、2,3,5,6−テトラフルオロ−p−フェニレン基である。
【0017】
イオン性化合物(a-1)中のLは、シリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル 基、アミノ基のいずれかであり、好ましくはシリル基またはヒドロキシル基である。シリル基としては、下記一般式(4)で表わされるものが挙げられる。
【0018】
【化8】
―〔Si(Z1Z2)−Z6−〕nSiZ3Z4Z5 (4)
【0019】
一般式(4)において、Z1、Z2、Z3、Z4およびZ5はハロゲン原子、アル コキシ基、フェノキシ基、アシルオキシ基、炭素数1〜20の炭化水素基の中から選ばれ、Z3、Z4、Z5のうち少なくとも一つはハロゲン原子、アルコキシ基 、フェノキシ基またはアシルオキシ基である。Z6は酸素原子、イミノ基、炭素 数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアリーレン基、炭素数1〜20のオキサアルキレン基のいずれかである。nは0または1〜10の整数である。
【0020】
上記シリル基の具体例としては、トリクロロシリル基等のトリハロゲノシリル基、メチルジクロロシリル基、エチルジクロロシリル基等のアルキルジハロゲノシリル基、ジメチルクロロシリル基、ジエチルクロロシリル基等のジアルキルハロゲノシリル基、フェニルジクロロシリル基、p−トリルジクロロシリル基等のアリールジハロゲノシリル基、ジフェニルクロロシリル基等のジアリールハロゲノシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基、メチルジメトキシシリル基等のアルキルジアルコキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基等のジアルキルアルコキシシリル基、フェニルジメトキシシリル基、トリルジメトキシシリル基等のアリールジアルコキシシリル基、ジフェニルメトキシシリル基、ジトリルメトキシシリル基、ジフェニルエトキシシリル基等のジアリールアルコキシシリル基などのアルコキシ基含有シリル基、トリアセトキシシリル基等のトリアシルオキシシリル基、メチルジアセトキシシリル基等のアルキルジアシルオキシシリル基、ジメチルアセトキシシリル基等のジアルキルアシルオキシシリル基、フェニルジアセトキシシリル基等のアリールジアシルオキシシリル基、ジフェニルアセトキシシリル基等のジアリールアシルオキシシリル基やジメチルヒドロキシシリル基等のアルキルヒドロキシシリル基等が挙げられる。
【0021】
これらのうち好ましいのは、トリクロロシリル基、メチルジクロロシリル基、ジメチルクロロシリル基、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基、トリアセトキシシリル基、メチルジアセトキシシリル基、ジメチルアセトキシシリル基、トリヒドロキシシリル基、メチルジヒドロキシシリル基、ジメチルヒドロキシシリル基であり、特に好ましいのはトリクロロシリル基、メチルジクロロシリル基、ジメチルクロロシリル基である。
【0022】
また前記イオン性化合物(a-1)において、a、bおよびcは0または1〜3 の整数、dは1〜4の整数であり、かつa+b+c+d=4である。これらのうちでも好ましいのはd=1の化合物である。
【0023】
前記イオン性化合物(a-1)において、Kは1価のカチオンである。具体的に はプロトン、トリフェニルカルベニウムイオン、トリ(p−トリル)カルベニウムイオンなどのトリアリールカルベニウムイオンやトリメチルカルベニウムイオン等のカルベニウムイオン、トロピリウムイオン、フェロセニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、トリ−n−ブチルアンモニウムイオン、N,N−ジメチルアニリニウムイオン等のアンモニウムイオン、トリメチルオキソニウムイオン、トリエチルオキソニウムイオン等のオキソニウムイオン、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオンなどが挙げられる。これらのうち好ましいのは、プロトン、トリフェニルカルベニウムイオン、トリ(p−トリル)カルベニウムイオン等のトリアリールカルベニウムイオン、N,N−ジメチルアニリニウムイオン、N,N−ジエチルアニリニウムイオン等のジアルキルアニリニウムイオン、トリメチルオキソニウムイオンやトリエチルオキソニウムイオン等のトリアルキルオキソニウムイオンである。
【0024】
本発明で好適に使用できる前記イオン性化合物(a-1)の具体例としては、N ,N−ジメチルアニリニウム[4−(クロロジメチルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル]トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、N,N−ジメチルアニリニウム(4−トリクロロシリル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラート等、WO96/41808号に記載されている化合物等が挙げられる。
【0025】
本発明において、触媒成分(A)に使用される微粒子状担体(a-2)としては 、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属水酸化物、金属アルコキシド、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、珪酸塩や有機高分子化合物等が挙げられる。
【0026】
金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、カルシア、酸化亜鉛等が例示でき、金属ハロゲン化物としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ナトリウム等が例示できる。金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、金属アルコキシドとしては、マグネシウムエトキシド、マグネシウムメトキシド等が挙げられる。炭酸塩としては、炭酸カルシウム、塩基性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等が挙げられる。硫酸塩としては、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。酢酸塩としては、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。珪酸塩としては、雲母、タルク等の珪酸マグネシウムや珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、シリカ、アルミナ、雲母やタルク等の珪酸マグネシウムや珪酸カルシウム、珪酸ナトリウムなどの珪酸塩である。
【0027】
有機高分子化合物としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体の部分あるいは完全鹸化物等のポリオレフィンやその変性物、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
これら有機高分子化合物のうちでも好ましいのは、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等の極性基を有するものであり、具体的には水酸基含有不飽和化合物、不飽和カルボン酸等でグラフト変性した変性ポリオレフィン、エチレン−ビニルエステル共重合体の部分あるいは完全鹸化物等が挙げられる。
【0028】
これら微粒子状担体(a-2)の平均粒子径は、特に制限はないが、通常0.1〜2,000μmの範囲であり、好ましくは1〜1,000μm、さらに好ましくは5〜100μmの範囲である。また比表面積は、特に制限はないが通常0.1〜2,000m2/g の範囲であり、好ましくは10〜1,500m2/gであり、さらに好ましくは100〜1,000m2/gの範囲である。
【0029】
本発明で使用する触媒成分(A)の調製は、前記イオン性化合物(a-1)と微 粒子状担体(a-2)を任意の方法で接触させることにより行なうことができる。 有機溶剤の非存在下で直接接触させてもよいが、一般的には有機溶剤中で接触が行なわれる。ここで用いられる有機溶剤としてはペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類やN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0030】
前記イオン性化合物(a-1)と微粒子状担体(a-2)との接触は、使用する有機溶剤やその他の条件を考慮して任意の温度で可能であるが、通常−80℃〜300℃の範囲で行なわれる。好ましい接触温度の範囲は−50℃〜200℃であり、さらに好ましい範囲は0℃〜150℃である。
【0031】
また、前記イオン性化合物(a-1)の微粒子状担体(a-2)に対する使用量は特に制限はないが、通常微粒子状担体(a-2)100重量部に対しイオン性化合物 (a-1)が0.0001〜1,000,000重量部の範囲である。イオン性化合物(a-1)の使 用量を多くすると、触媒の重合活性は向上する傾向にあるが、重合活性と製造コストのバランスを考慮するとイオン性化合物(a-1)の使用量は微粒子担体(a-2)100重量部に対し、好ましくは0.1〜10,000重量部の範囲であり、さらに好 ましくは1〜1,000重量部の範囲である。
このような方法により前記イオン性化合物(a-1)が化学結合により、微粒子 状担体(a-2)に担持され、本発明に使用可能な固体助触媒成分(A)を与える 。
【0032】
本発明で使用するメタロセン化合物(B)に特に制限はなく、例えば、
ビス(η5−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(η5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(η5−1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライ ド、
ビス(η5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(η5−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(η5−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(η5−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(η5−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(η5−i−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(η5−t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(η5−メチル−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロラ イド、
(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(t−ブチルアミド)ジメチルシ ランチタニウムジクロライド等が挙げられる。
【0033】
またプロピレンを重合する場合には、プロピレンを立体規則的に重合するメタロセン化合物を使用することが好ましい。例えば、
ビス(η5−1−インデニル)ジメチルシランジルコニウムジクロライド、
ビス[2−メチル−(η5−1−インデニル)]ジメチルシランジルコニウムジ クロライド、
1,2−ビス(η5−1−インデニル)エタンジルコニウムジクロライド、
1,2−ビス[2−メチル−(η5−1−インデニル)]エタンジルコニウムジ クロライド、
ビス[3−メチル−(η5−シクロペンタジエニル)]ジメチルシランジルコニ ウムジクロライド、
ビス[2,4−ジメチル−(η5−シクロペンタジエニル)]ジメチルシランジ ルコニウムジクロライド、
ビス[2,3,5−トリメチル−(η5−シクロペンタジエニル)]ジメチルシ ランジルコニウムジクロライドやこれらのジルコニウムをハフニウムやチタンに置換したものなどである。
【0034】
中でも高分子量のプロピレン重合体、特にエチレンを共重合した場合にも高分子量の重合体、あるいは高融点の重合体が得られることから、メタロセン化合物(B)として下記一般式(3)で表わされるものを用いることが好ましい。
【0035】
【化9】
【0036】
式中、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、水素原子、ハロゲン原子、ア ルコキシ基、フェノキシ基、炭素数1〜20の炭化水素基のいずれかであり、互いに同一でも異なってもよい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基やフェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアリールアルキル基、ビニル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
【0037】
M2、M3およびM4は、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ原子のいずれかで あり、互いに同一でも異なってもよい。これらの中でも好ましいのは炭素およびケイ素原子である。M5はチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム原子 のいずれかであり、好ましいのはチタン、ジルコニウム、ハフニウム原子であり、さらに好ましいのはジルコニウムまたはハフニウム原子であり、最も好ましいのはジルコニウム原子である。
【0038】
p、qおよびrは0または1〜2の整数であり、かつ1≦p+q+r≦4であり、好ましくは1≦p+q+r≦2である。
【0039】
Q1およびQ2は2位に置換基を有するインデニル基であり、少なくともいずれか一方は2位および4位に置換基を有し、互いに同一でも異なってもよい。好ましいのは、Q1およびQ2が共に2位および4位に置換基を有するインデニル基である。なおQ1およびQ2は2位および4位以外の位置に、付加的に任意の置換基を有していてもよい。また、各置換基は他の置換基と互いに結合し環状構造を形成していてもよい。
【0040】
2位の置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基、ビニル基やプロペニル基などのアルケニル基、フェニル基やトリル基、1−ナフチル基などのアリール基もしくはハロゲン化アリール基、ベンジル基などのアリールアルキル基もしくはハロゲン化アリールアルキル基、メトキシ基やエトキシ基などのアルコキシ基、トリメチルシリルオキシ基などのシリルオキシ基、トリメチルシリル基などのシリル基、アミノ基、フォスフィノ基などが挙げられる。これらの中でも、好ましいのはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基であり、さらに好ましいのはメチル基およびエチル基である。
【0041】
4位の置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基など前記2位の置換基と同様のものが例示される。これらのうち好ましいのはアルキル基およびアリール基であり、特に好ましいのはアリール基である。
【0042】
X1およびX2は、ハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基、フェノキシ基、アミド基および炭素数1〜30の炭化水素基の中から選ばれ、互いに同一でも異なってもよい。炭素数1〜30の炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基やフェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアリールアルキル基、ビニル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
【0043】
本発明で使用するメタロセン化合物(B)をより具体的に示すと、
ビス[2,4,7−トリメチル−(η5−1−インデニル)]ジメチルシランジ ルコニウムジクロライド、
ビス[2,4−ジメチル−(η5−1−インデニル)]ジメチルシランジルコニ ウムジクロライド、
ビス[2−メチル−4,5−ベンゾ(η5−1−インデニル)]ジメチルシラン ジルコニウムジクロライド、
ビス[2−メチル−4−フェニル−(η5−1−インデニル)]ジメチルシラン ジルコニウムジクロライド、
ビス[2−メチル−4−(1−ナフチル)−(η5−1−インデニル)]ジメチ ルシランジルコニウムジクロライド、
ビス[2−メチル−4−(9−アントラセニル)−(η5−1−インデニル)] ジメチルシランジルコニウムジクロライド、
ビス[2−メチル−4−(9−フェナントリル)−(η5−1−インデニル)] ジメチルシランジルコニウムジクロライド、
ビス[2−メチル−4−(2−ナフチル)−(η5−1−インデニル)]ジメチ ルシランジルコニウムジクロライド、
ビス[2−メチル−4−(3,5−ジ−i−プロピルフェニル)−(η5−1− インデニル)]ジメチルシランジルコニウムジクロライド、
ビス[2−メチル−4−フェニル−6−i−プロピル−(η5−1−インデニル )]ジメチルシランジルコニウムジクロライド、
ビス[2−メチル−4−(1−ナフチル)−6−i−プロピル−(η5−1−イ ンデニル)]ジメチルシランジルコニウムジクロライド、
ビス[2−メチル−4−(5′,6′,7′,8′−テトラヒドロ−1−ナフチル)−(η5−1−インデニル)]ジメチルシランジルコニウムジクロライド、
1,2−ビス[2,4−ジメチル−(η5−1−インデニル)]エタンジルコニ ウムジクロライド、
1,2−ビス[2,4,7−トリメチル−(η5−1−インデニル)]エタンジ ルコニウムジクロライドが挙げられる。
さらに上記化合物のジルコニウムをチタンやハフニウム等の他の金属に置換したもの、塩素原子を他のハロゲン原子や水素原子、アミド基、アルコキシ基、メチル基やベンジル基などの炭化水素基に置換したものなどをも使用することができる。
【0044】
本発明で使用する触媒成分(C)は有機アルミニウム化合物であり、好ましくは、下記一般式(2)で表わされる有機アルミニウム化合物である。
【化10】
Al(X)m(R)3-m (2)
式中、mは0または1であり、好ましくは0である。Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基のいずれかであり、互いに同一でも異なってもよい。Rはn−ブチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−オクチル、i−オクチル、n−デシルの中から選ばれるいずれかである。
【0045】
本発明で好ましく使用できる有機アルミニウム化合物成分(C)としては、例えば、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−i−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−i−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムが挙げられる。これらのなかでもメタロセン化合物を溶解させる効果が高く、使用する溶剤量が低減されることから、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−i−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−i−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムが特に好ましい。
本発明において上記の有機アルミニウムを用いた場合に、その効果が顕著である。
【0046】
本発明の触媒成分(D)は有機リチウム、有機亜鉛、有機マグネシウム化合物の中から選ばれる1以上の有機金属化合物である。
有機金属化合物成分(D)として使用可能な有機リチウムとしては、フェニルリチウム等のアリールリチウムや、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、i−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム等のアルキルリチウムなどが挙げられる。有機亜鉛としてはジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛等が挙げられ、有機マグネシウムとしてはジ(n−ブチル)マグネシウム、n−ブチルエチルマグネシウム等のジアルキルマグネシウム、メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムブロマイド、n−プロピルマグネシウムブロマイド、i−プロピルマグネシウムブロマイド、n−ブチルマグネシウムクロライド、i−ブチルマグネシウムクロライドなどのアルキルマグネシウムハライド等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、有機リチウム、有機マグネシウムであり、さらに好ましいのはアルキルリチウム、ジアルキルマグネシウムであり、最も好ましいのはアルキルリチウムである。
【0047】
メタロセン化合物(B)に対する固体助触媒(A)の使用量は特に制限はないが、通常、メタロセン化合物(B)中に含有されるジルコニウム等の遷移金属1モルに対し、固体助触媒(A)中のイオン性化合物が0.05〜100モルであり、好ましくは0.1〜50モル、さらに好ましくは1〜10モル、特に好ましくは2.5〜4.0モルの範囲である。
【0048】
また、メタロセン化合物(B)に対する有機アルミニウム化合物成分(C)の使用量は特に制限はなく、通常、メタロセン化合物(B)中に含有されるジルコニウム等の遷移金属1モルに対し0.01〜100,000モルであり、好ましくは0.1〜10,000モル、さらに好ましくは10〜3,000モル、特に好ましくは20〜1,000モルの範囲である。
【0049】
メタロセン化合物(B)に対する有機金属化合物(D)の使用量には特に制限はなく、通常、メタロセン化合物(B)中に含有されるジルコニウム等の遷移金属1モルに対し0.01〜10,000モルである。有機金属化合物(D)の使用量が増加するにつれファウリングは抑制されるが、過度に添加すると重合活性が低下することがある。ファウリングを抑制しつつ良好な重合活性を得るために、好ましくは0.1〜1,000モル、さらに好ましくは1〜300モル、特に好ましくは5〜100モルの範囲である。
【0050】
本発明で使用される成分(I)は上記の固体助触媒(A)、メタロセン化合物(B)および有機アルミニウム化合物(C)を接触させることにより調製することができる。これらの成分は同時に接触させてもよく、また遂次に接触させてもよい。一般的には有機溶剤中で接触が行なわれる。使用可能な有機溶剤としてはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類やこれらの混合物等が挙げられる。
また接触時の温度は、使用する有機溶剤やその他の条件を考慮して任意に決定されるが、通常、−80〜200℃の範囲で行なわれる。好ましい接触温度の範囲は、−50〜120℃であり、さらに好ましい範囲は0〜100℃である。
【0051】
各成分を上記の有機溶剤中で接触させて成分(I)を調製した後は、そのまま重合を行なう反応器に導入してもよく、また液相を固液分離や減圧留去等により除去してから導入してもよい。さらにはヘキサンやトルエンなどで洗浄を行なった後に投入することも可能である。
【0052】
本発明で使用される成分(II)は、前記有機アルミニウム化合物(C)および有機金属化合物(D)を任意の方法で接触させることにより調製されるが、成分(I)と接触させる前に予めこれらを接触させること以外に特に制限は無い。例えば、これらを予め反応器の外で接触させて調製し、そのまま導入してもよいが、ヘキサン、ヘプタンやトルエンといった炭化水素溶剤やパラフィン系、ナフテン系あるいは芳香族系のオイル、グリースなどに分散させた状態で導入してもよく、溶剤を除去し乾燥を行った後に投入してもよい。
また、前記有機アルミニウム化合物(C)および有機金属化合物(D)を、重合されるオレフィンの存在下で接触させることも可能である。なお成分(II)に使用される有機アルミニウム化合物(C)は、前記成分(II)に使用されるものと同一のものであってもよく、また異なったものであってもよい。
【0053】
本発明のオレフィン重合用触媒は、前記成分(I)および成分(II)を任意の方法で接触させることにより得られる。具体的には、前記成分(I)および成分(II)を別々に重合を行なう反応器に投入し、反応器の中で接触させる方法、あるいは前記成分(I)および成分(II)を重合を行なう反応器の外で接触させた後に重合反応器へ導入する方法などであり、好ましくは前者の方法である。また成分(I)と成分(II)の使用割合に特に制限はないが、成分(I)中のメタロセン化合物(B)と、成分(II)中の有機金属化合物(D)が前記の割合になるように使用することが好ましい。
【0054】
本発明のオレフィン重合用触媒は、任意の重合方法に適用可能である。具体的には液体プロピレン中で行なう塊状重合、不活性溶剤の存在下に液相中で行なう溶液重合やスラリー重合、気相モノマー中で行なう気相重合があるが、これらのうち好ましいのは塊状重合および気相重合である。
【0055】
重合温度は任意であるが、通常は工業的に意義のある50℃を超える温度範囲で使用される。重合温度の好ましい範囲は50℃を超え85℃以下、さらに好ましくは55〜85℃、特に好ましくは55〜80℃の範囲である。
【0056】
重合時の圧力は液相中の重合において常圧〜70kg/cm2、気相中では常 圧〜50kg/cm2の範囲が一般的であり、得ようとするプロピレン重合体の 性質や、生産性などを考慮して適当な範囲を選択できる。また重合を、水素存在下で行なうことにより分子量を調節することが可能である。また、温度、圧力の選定など任意の手段によっても分子量を調節することも可能である。
【0057】
本発明のオレフィン重合用触媒により得られるオレフィン重合体は、エチレン、プロピレンや炭素数4以上のα−オレフィンの重合体もしくは共重合体である。炭素数4以上のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の高級オレフィンが使用可能である。また本発明においてスチレン、ビニルトルエンといったビニル芳香族化合物やブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,4−ヘキサジエンといった共役あるいは非共役ジエンなどの少量を共重合することも可能である。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
実施例および比較例において使用する成分した成分は、以下の通りである。
1)成分(A)の調製:
ジクロロメタン30mlに微粒子状担体(a-2)としてシリカ0.5gを加えたスラリーに対し、イオン性化合物(a-1)としてN,N−ジメチルアニリニウムト リス(ペンタフルオロフェニル)[4−(クロロジメチルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル]ボラート0.3gをジクロロメタン6mlに溶解 させた溶液を添加した。撹拌下2時間還流させた後、上澄みを除去しジクロロメタンで洗浄し、成分(A−1)0.6gを得た。
【0060】
2)成分(B):
(B−1)ビス[2−メチル−4−(1−ナフチル)−(η5−1−インデニ ル)]ジメチルシランジルコニウムジクロライド、
(B−2)ビス[2−メチル−4,5−ベンゾ(η5−1−インデニル)]ジ メチルシランジルコニウムジクロライド
【0061】
実施例1
1)成分(I)の調製:
有機アルミニウム化合物(C)として0.5mol/リットル(以下、Lと略記 する。)のトリ−n−ヘキシルアルミニウム(TNHA)−ヘキサン溶液1mlと成分(B−1)の0.5mmol/L−トルエン溶液4mlを混合した溶液に、 上記成分(A−1)30mgを添加し3分間撹拌し成分(I)を得た。
【0062】
2)成分(II)の調製:
30mlのフラスコに5mlのヘキサンおよび有機アルミニウム化合物(C)として0.5mol/LのTNHA−ヘキサン溶液1mlを採取した。このフラス コに0.1mol/Lのn−ブチルリチウム(NBL)−ヘキサン溶液0.5mlを添加し5分間撹拌し、成分(II)を調製した。
【0063】
3)プロピレンの共重合:
上記2で調製した成分(II)の全量とプロピレン8molを1.5Lのオートク レーブに添加した。撹拌しながらオートクレーブを55℃に昇温後、オートクレーブにエチレンをその分圧が1.0kg/cm2となるまで導入し、全圧を25kg/cm2とした。その後、上記1で得た成分(I)をオートクレーブ中に圧入し 重合を開始した。この時の全圧は26kg/cm2であり、以後全圧が26kg /cm2となるようエチレンを間欠的に導入しながら20分間重合を行なった。 得られたプロピレン共重合体は粒子状であり、オートクレーブ中にファウリングは見られなかった。重合活性は15,900g/g−オレフィン重合用触媒・時間であった。
【0064】
実施例2
上記成分(B−1)の代わりに成分(B−2)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。得られたプロピレン共重合体は粒子状であり、オートクレーブ中にファウリングは見られなかった。重合活性は19,700g/g−オレフィン重合用触媒・時間であった。
【0065】
実施例3
有機アルミニウム化合物(C)としてTNHAの代わりに、トリ−n−ブチルアルミニウム(以下、TNBA)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。得られたプロピレン共重合体は粒子状であり、オートクレーブ中にファウリングは見られなかった。重合活性は16,500g/g−オレフィン重合用触媒・時間であった。
【0066】
実施例4
有機アルミニウム化合物(C)としてTNHAの代わりにトリ−n−オクチルアルミニウム(TNOA)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。得られたプロピレン共重合体は粒子状であり、オートクレーブ中にファウリングは見られなかった。重合活性は17,400g/g−オレフィン重合用触媒・時間であった。
【0067】
実施例5
有機アルミニウム化合物(C)としてTNHAの代わりにトリ−i−オクチルアルミニウム(TIOA)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。得られたプロピレン共重合体は粒子状であり、オートクレーブ中にファウリングは見られなかった。重合活性は16,500g/g−オレフィン重合用触媒・時間であった。
【0068】
実施例6
有機アルミニウム化合物(C)としてTNHAの代わりにトリ−i−ヘキシルアルミニウム(TIHA)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。得られたプロピレン共重合体は粒子状であり、オートクレーブ中にファウリングは見られなかった。重合活性は15,500g/g−オレフィン重合用触媒・時間であった。
【0069】
実施例7
有機アルミニウム化合物(C)としてTNHAの代わりにトリ−n−デシルアルミニウム(TNDA)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。得られたプロピレン共重合体は粒子状であり、オートクレーブ中にファウリングは見られなかった。重合活性は16,200g/g−オレフィン重合用触媒・時間であった。
【0070】
実施例8
有機アルミニウム化合物(C)としてTNHAの代わりにトリ−i−ブチルアルミニウム(TIBA)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。得られたプロピレン共重合体は粒子状であり、オートクレーブ中にファウリングは見られなかった。重合活性は14,400g/g−オレフィン重合用触媒・時間であった。
【0071】
実施例9
1)成分(I)の調製:
成分(B−1)の代わりに成分(B−2)を用いた以外は実施例1と同様に行い、成分(I)を得た。
【0072】
2)成分(II)の調製:
1.5Lのオートクレーブに有機アルミニウム化合物(C)として0.5mol/LのTNHA−ヘキサン溶液1ml、有機金属化合物(D)として0.1mol/L のn−ブチルリチウムヘキサン溶液0.5ml、ヘキサン600mlおよび1−ヘ キセンを15mlを加え、撹拌しながら70℃に昇温し、成分(II)を調製した。
【0073】
3)エチレンの共重合:
上記2の後、前記1で得た固体触媒をオートクレーブ中に添加しエチレンをその全圧が10kg/cm2となるまで導入し、60分間重合を行った。得られた エチレン共重合体は粒子状であり、オートクレーブ中にファウリングは見られなかった。重合活性は11,200g/g−オレフィン重合用触媒・時間であった。
【0074】
比較例1
成分(II)を使用しなかった以外は、実施例1と同様に行った。オートクレーブ中に激しいファウリングが見られ、得られたプロピレン共重合体は互着が激しく塊状であった。重合活性は10,500g/g−オレフィン重合用触媒・時間であった。
【0075】
比較例2
成分(II)の代わりに0.2mol/L−n−ブチルリチウムヘキサン溶液を0.2mlを使用した以外は、実施例1と同様に行なった。オートクレーブ中にファウリングは見られず、得られたプロピレン共重合体は粒子状であった。重合活性は2,700g/g−オレフィン重合用触媒・時間であった。
【0076】
比較例3
1)シリカ担持メチルアルミノキサンの製造:
200mlのフラスコにトルエン50mlと、微粒子担体として乾燥シリカ3.0gを加え、この懸濁液にメチルアルミノキサンのトルエン溶液(0.35mol/ L)74mlを加え、室温で30分撹拌した。減圧下でトルエンを留去した後、ヘプタン100mlを加えて80℃で4時間撹拌した。この懸濁液からヘプタンを除去した後、80℃で50mlのヘプタンで2回洗浄し、さらに室温で30mlのヘキサンで3回洗浄して、シリカ担持メチルアルミノキサンを得た。アルミノキサン含量は32重量%であった。
【0077】
2)プロピレンの共重合:
上記で製造したシリカ担持メチルアルミノキサンを、固体助触媒(A)の代わりに用いた以外は実施例1と同様に行なった。得られたプロピレン共重合体は塊状であり、オートクレーブ中にファウリングが見られた。重合活性は2,500g/ g−オレフィン重合用触媒・時間であった。
【0078】
実施例及び比較例の結果を表1にまとめて示す。
【表1】
【0079】
表から明らかなように、成分(II)を使用しないと、比較例1で示すようにファウリングが発生し、塊状重合体の生成も見られた。n−ブチルリチウムを使用した比較例2では、ファウリングは抑制されるが活性が著しく低下してしまうことがわかる。本発明の固体助触媒(A)と異なるもの、すなわち従来提案されているシリカ担持メチルアルミノキサンを使用した比較例3においては、ファウリングの発生と塊状重合体の生成が見られ、また活性も低いことがわかる。それらに対し、本発明の方法によれば(実施例1〜9)、触媒の重合活性が高く、またファウリングや塊状重合体の生成しないことが分かる。
【0080】
【発明の効果】
本発明は、非配位性イオン含有化合物が微粒子担体に化学結合した固体助触媒(A)、メタロセン化合物(B),および有機アルミニウム化合物(C)を混合した成分(I)、有機アルミニウム化合物(C)および有機金属化合物(D)を混合した成分(II)からなる触媒、およびその触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法を提供するものであり、ファウリングの発生や塊状重合体の生成が抑制されかつ触媒の高活性が維持されるので、効率よくオレフィン重合体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明触媒の調製工程を示すフローチャート図である。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で示される非配位性イオン含有化合物(a−1)が微粒子担体(a−2)に共有結合を介して結合した固体助触媒(A)、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを含むメタロセン化合物(B)、および有機アルミニウム化合物(C)を混合した成分(I)、有機リチウム、有機亜鉛および有機マグネシウム化合物の中から選ばれる1以上の有機金属化合物(D)と有機アルミニウム化合物(C)とを混合した成分(II)からなるオレフィン重合用触媒。
[M1(R1)a(R2)b(R3)c(R4−L)d]-・[K]+ (1)
(式中、M1はホウ素またはアルミニウム原子であり、
R1、R2およびR3は互いに同一でも異なってもよく、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、アルコキシ基、フェノキシ基またはハロゲン原子であり、
R4は炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
Lはシリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはアミノ基であり、
a、bおよびcは0または1〜3の整数、dは1〜4の整数で、かつa+b+c+d=4であり、
Kはプロトン、カルベニウムイオン、トロピリウムイオン、フェロセニウムイオン、アンモニウムイオン、オキソニウムイオン、およびアルカリ金属イオンから選ばれる1価のカチオンである。) - 有機アルミニウム化合物(C)が下記一般式(2)
Al(X)m(R)3-m (2)
(式中、Xは水素原子、ハロゲン原子またはアルコキシ基であり、Rはn−ブチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−オクチル、i−オクチルまたはn−デシル基であり、mは0または1である。)で示されるものである請求項1記載のオレフィン重合用触媒。 - メタロセン化合物が一般式(3)
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒を用いてオレフィンを重合するにあたって、成分(I)と成分(II)を別々に反応器に添加することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
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