次に、本発明に好適な実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、上記DVDに対して本発明を適用した実施の形態について説明するものである。
なお、以下の実施の形態においては、下記リストの左側に示した特許請求の範囲における各構成要素の一例が、下記リストの右側に示した要素から夫々構成されている。
部分記録情報……:VOBユニットを構成すべき信号処理前のビデオデータ
等の実体部分
処理部分記録情報:VOBユニットのうち、ナビパックパックを除いたビデ
オデータ等の実体部分
多重部分記録情報:VOBユニット
検索情報…………:DSI(Data Search Information )データ
検索再生制御情報:ナビパック
映像情報…………:ビデオデータ
副映像情報………:サブピクチャデータ
音声情報…………:オーディオデータ
(I)情報記録媒体の実施の形態
始めに、本願に対応する情報記録媒体の実施の一形態であるDVDの物理的及び論理的な構成並びにその動作について、図1乃至図8を用いて説明する。
始めに、映像情報及び音声情報(音楽情報を含む。以下同じ)を含む記録情報のDVD上における記録フォーマット(物理的記録フォーマット)について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、実施形態のDVD1は、その最内周部にリードインエリアLIを有すると共にその最外周部にリードアウトエリアLOを有しており、その間に、映像情報及び音声情報が、夫々にID(識別)番号を有する複数のVTS(Video Title Set )3(VTS#1乃至VTS#n)に分割されて記録されている。ここで、VTSとは、関連する(それに含まれる音声情報及び副映像情報の数や、仕様、対応言語等の属性が同じ)タイトル(映画等の、製作者が視聴者に提示しようとする一つの作品)を一まとめにしたセット(まとまり)であり、より具体的には、例えば、一本の同じ映画について、異なる言語のセルフ等を有する複数の映画が夫々にタイトルとして記録されたり、又は、同じ映画であっても劇場版と特別版とが夫々別のタイトルとして記憶されたりするものである。また、VTS3が記録されている領域の先頭には、ビデオマネージャ2が記録される。このビデオマネージャ2として記録される情報は、例えば、各タイトルの名前を示すメニューや、違法コピー防止のための情報、又は夫々のタイトルにアクセスするためのアクセステーブル等、当該DVD1に記録される映像情報及び音声情報の全体に係わる情報が記録される。
次に、一のVTS3は、コントロールデータ11を先頭として、夫々にID番号を有する複数のVOB10に分割されて記録されている。ここで、複数のVOB10により構成されている部分をVOBセット(VOBS)という。このVOBセットは、VTS3を構成する他のデータであるコントロールデータ11と、映像情報及び音声情報の実体である複数のVOB10の部分とを区別するために当該実体部分についてVOBセットとしたものである。
VTS3の先頭に記録されるコントロールデータ11には、複数のセル(セルについては後述する。)を組合わせた論理的区分であるプログラムチェインに関する種々の情報であるPGCI(Program Chain Information )等の情報が記録される。また、各VOB10には、制御情報の他に映像情報及び音声情報の実体部分(制御情報以外の映像又は音声そのもの)が記録される。
更に、一のVOB10は、夫々にID番号を有する複数のセル20により構成されている。ここで、一のVOB10は、複数のセル20により完結するように構成されており、一のセル20が二つのVOB10に跨がることはない。
次に、一のセル20は、夫々にID番号を有する複数のVOBユニット(VOBU)30により構成されている。ここで、VOBユニット30とは、映像情報、音声情報及び副映像情報(映画における字幕等の副映像の情報をいう。)の夫々を含む情報単位である。
そして、一のVOBユニット30は、VOBユニット30に含まれているビデオデータ等を制御対象とする制御情報が格納されているナビパック41と、映像情報としてのビデオデータ42と、音声情報としてのオーディオデータ43と、副映像情報としてのサブピクチャデータ44とにより構成されている。ここで、ビデオデータ42としては映像データのみが記録され、オーディオデータ43としては音声データのみが記録される。また、サブピクチャデータ44としては副映像としての文字や図形等のグラフィックデータのみが記録される。なお、DVD1に記録可能な音声は8種類であり、記録可能な副映像の種類は32種類であることが規格上定められている。
また、一のVOBユニット30に対応する再生時間(一のナビパック41と当該一のナビパック41に隣接するナビパック41との間に記録されているデータに対応する再生時間)は、0.4秒以上1秒以下の長さを有するように記録される。ここで、一のVOBユニット30に対応する再生時間を0.4秒以上とするのは、後述の再生装置におけるPCIバッファの記憶容量を低減させるためであり、1秒以下とするのは、MPEG2方式の規格上定められているビデオデータ42のデコード処理のための許容遅延時間が1秒とされているからである。従って、ナビパック41は、再生時、0.4秒乃至1秒に1回は必ず検出されることとなる。
更に、一のVOBユニット30において、ナビパック41は必ずその先頭に存在するが、ビデオデータ42、オーディオデータ43及びサブピクチャデータ44の夫々は、必ずしもVOBユニット30中に存在する必要はなく、また、存在する場合にもその数や順序は任意に設定することができる。
ここで、図1に示すビデオデータ42、オーディオデータ43及びサブピクチャデータ44の夫々の区分を一般にパックPという。すなわち、一のVOBユニット30においては、ビデオデータ42、オーディオデータ43及びサブピクチャデータ44が、夫々パックPに分割されて記録されていることとなり、ビデオデータ42が記録されているパックPをビデオパック、オーディオデータ43が記録されているパックPをオーディオパック、サブピクチャデータ44が記録されているパックPをサブピクチャパックという。更に、各パックPの先頭に記録されるパックヘッダには、夫々のパックPに含まれているデータを後述の再生装置におけるトラックバッファから読み出して夫々のバッファへの入力を開始すべき再生時間軸上の読み出し開始時刻を示すSCR(System Clock Reference)と呼ばれる読み出し開始時刻情報が記録される。また、上記各パックPについては、通常、当該パックPを更に細分化した記録単位であるパケット毎にビデオデータ42、オーディオデータ43又はサブピクチャデータ44が記録されるが、本実施の形態におけるDVD1では、一般に一のパックPが一のパケットにより構成されている。
最後に、ナビパック41は、再生表示させたい映像又は音声等を検索するための検索情報(具体的には、当該再生表示させたい映像又は音声等が記録されているDVD1上のアドレス等)であるDSIデータ51と、DSIデータ51に基づいて検索してきた映像又は音声を表示する際の再生表示制御に関する情報であるPCIデータ50とにより構成される。このとき、DSIデータ51及びPCIデータ50は、夫々パケットPTとしてのDSIパケット及びPCIパケットを構成して記録されることとなる。
更に、一のVOBユニット30に含まれている全てのビデオデータ42は一又は複数のGOP(Group Of Picture)により構成されている。DSIデータ51及びPCIデータ50については、後ほど詳述する。
また、PCIデータ50には、視聴者によって選択される選択項目に対して、その項目が選択されたときの表示や動作を定義したハイライト情報が含まれている。このハイライト情報によって、例えば、視聴者が選択すべき項目を表示した画像(いわゆるメニュー画面)における、項目選択に対する画面表示の変化や、当該選択に対応して変化すべき表示位置及び選択された項目に対するコマンド(選択された項目に対して実行される動作を示す命令)等の設定が行われる。
ここで、メニュー画面を構成して表示するために必要な、枠、選択ボタン等を表示するための画像情報は、上記の副映像情報であるサブピクチャデータ44として記録される。
更に、上記GOPは、本実施の形態におけるDVD1に映像情報を記録する際に採用されている画像圧縮方式であるMPEG2(Moving Picture Experts Group 2)方式の規格において定められている単独で再生可能な最小の画像単位であり、各GOPの先頭には、当該GOPに含まれるビデオデータ42を表示すべき再生時間軸上の再生時刻を示すPTS(Presentation Time Stamp)と呼ばれる再生表示時刻情報が記録される。
ここで、MPEG2方式についてその概要を説明すると、一般に、連続したフレーム画像において、一枚のフレーム画像の前後にあるフレーム画像は、互いに類似し相互関係を有している場合が多い。MPEG2方式はこの点に着目し、数フレームを隔てて転送される複数のフレーム画像に基づき、当該複数のフレーム画像の間に存在する別のフレーム画像を、原画像の動きベクトル等に基づく補間演算にて生成する方式である。この場合、当該別のフレーム画像を記録する場合には、複数のフレーム画像との間における差分及び動きベクトルに関する情報を記録するだけで、再生時には、それらを参照して上記複数のフレーム画像から予測して当該別のフレーム画像を再生することが可能となる。これにより、画像の圧縮記録が可能となるのである。
更に、上記GOPについて図2を用いてその概要を説明する。なお図2は、一のGOPを構成する複数のフレーム画像の例を示している。図2では、一のGOP52が12枚のフレーム画像から構成されている場合(MPEG2方式では、一のGOP52に含まれるフレーム画像数は一定ではない。)を示しているが、この内、符号「I」で示されるフレーム画像は、Iピクチャ(Intra-coded picture:イントラ符号化画像)と呼ばれ、自らの画像のみで完全なフレーム画像を再生することができるフレーム画像をいう。また、符号「P」で示されるフレーム画像は、Pピクチャ(Predictive-coded picture:前方予測符号化画像)と呼ばれ、既に復号化されたIピクチャ又は他のPピクチャに基づいて補償再生された予測画像との差を復号化する等して生成する予測画像である。また、符号「B」で示されるフレーム画像は、Bピクチャ(Bidirectionally predictive-coded picture:両方向予測符号化画像)といい、既に復号化されたIピクチャ又はPピクチャのみでなく、光ディスク等に記録されている時間的に未来のIピクチャ又はPピクチャをも予測に用いて再生される予測画像をいう。図2においては、各ピクチャ間の予測関係(補間関係)を矢印で示している。なお、本実施形態に係るDVD1で用いられているMPEG2方式においては、夫々のGOP52に含まれるデータ量が一定でない可変レート方式を採用している。すなわち、一のGOP52に含まれる各ピクチャが、動きの速い動画に対応しており、各ピクチャ間の相関関係が小さい場合には、各ピクチャを構成するためのデータ量が多くなり、従って、一のGOP52に含まれるデータ量も多くなる。一方、一のGOP52に含まれる各ピクチャが、あまり動きのない動画に対応しており、各ピクチャ間の相関関係が大きい場合には、各ピクチャを構成するためのデータ量も少なくなり、一のGOP52に含まれるデータ量も少なくなることとなる。
以上説明した図1に示す階層構造の記録フォーマットにおいて、夫々の区分は、製作者がその意図に応じて自在に区分設定をして記録させるものである。これらの区分毎に後述の論理構造に基づいて再生することにより、変化に富んだ種々の再生が可能となるのである。
次に、図1に示す物理的な区分により記録された情報を組合わせた論理的フォーマット(論理構造)について図3を用いて説明する。なお、図3に示す論理構造は、その構造で実際にDVD1上に情報が記録されているのではなく、図3に示す論理構造で図1に示す各データ(特にセル20)を組合わせて再生するための情報(アクセス情報又は時間情報等)がDVD1上の、特にコントロールデータ11の中に記録されているものである。
説明の明確化のために、図3の下位の階層から説明していくと、上記図1において説明した物理構造のうち、複数のセル20を選択して組合わせることにより、一のプログラム60が製作者の意図に基づいて論理上構成される。このプログラム60は、後述の再生装置におけるシステムコントローラが区分を識別してコマンドによってアクセスできる最小の論理的単位でもある。なお、このプログラム60を一又は複数個纏めたものを視聴者が自由に選択して視聴することができる最小単位として製作者が定義することもでき、この単位をPTT(Part of Title)という。
また、一のプログラム60が複数のセル20を選択して論理的に構成されることから、複数のプログラム60で一のセル20を用いる、すなわち、一のセル20を異なった複数のプログラム60において再生させる、いわゆるセル20の使い回しを製作者が行うことも可能となっている。
ここで、一のセル20の番号については、当該セル20を図1に示す物理フォーマットにおいて取り扱う際にはセルID番号として扱われ(図1中、セルID#と示す。)、図3に示す論理フォーマットにおいて取り扱う際には、後述のPGCI中の記述順にセル番号として扱われる。
次に、複数のプログラム60を組合わせて一のPGC(Program Chain)61が製作者の意図に基づいて論理上構成される。このPGC61の単位で、前述したPGCIが定義され、当該PGCIには、夫々のプログラム60を再生する際の各プログラム60毎のセル20の再生順序(この再生順序により、プログラム60毎に固有のプログラム番号が割当てられる。)、夫々のセル20のDVD1上の記録位置であるアドレス、一のプログラム60における再生すべき先頭セル20の番号、各プログラム60の再生方式[(本実施形態のDVD1に情報を記録する際には、再生時において、ランダム再生(乱数によるランダム再生であり、同じプログラム60が複数回再生されることがある。)、シャッフル再生(ランダム再生と同様の乱数によるランダム再生であるが、同じプログラム60は一度しか再生されず、同じプログラム60が複数回再生されることはない。)又はループ再生(一つのPGC61を何度も再生すること。)のうち、いずれか一つ、又はループ再生とランダム再生又はシャッフル再生の組合わせによる再生方法をPGC61毎に製作者が選択して再生させるようにすることができる。]及び各種コマンド(PGC61又はセル20毎に製作者が指定可能なコマンド)が含まれている。なお、PGCIのDVD1上の記録位置は、上述の通りコントロールデータ11(図1参照)内であるが、当該PGCIがビデオマネージャ2内のメニューに関するPGCIである場合には、当該PGCIの記録位置は、ビデオマネージャ2に含まれるコントロールデータ(図示を省略する。)内である。
また、一のPGC61には、上記PGCIの他に、実体的な映像及び音声等のデータがプログラム60の組合わせとして(換言すれば、セル20の組合わせとして)含まれることとなる。
更に、一のPGC61においては、上記のプログラム60における説明において示したセル20の使い回し(すなわち、異なるPGC61により、同一のセル20を用いること。)も可能である。また、使用するセル20については、DVD1に記憶されている順番にセル20を再生する方法(連続配置セルの再生)の他に、DVD1に記憶されている順序に関係なく再生する(例えば、後に記録されているセル20を先に再生する等)方法(非連続配置セルの再生)を製作者が選択することができる。
次に、一又は複数のPGC61により、一のタイトル62が論理上構成される。このタイトル62は、例えば、映画一本に相当する単位であり、製作者がDVD1の視聴者に対して提供したい完結した情報である。
そして、一又は複数のタイトル62により、一のVTS63が論理上構成される。このVTS63に含まれるタイトル62は、夫々に共通の属性を有するものであり、例えば、一本の同じ映画に対して違う言語の映画が夫々のタイトル62に相当することとなる。また、図3に示す一のVTS63に相当する情報は、図1に示す一のVTS3に含まれている情報に対応している。すなわち、DVD1には、図3に示すVTS63内に論理上含まれる全ての情報が一のVTS3として記録されていることとなる。
以上説明した論理フォーマットに基づいて、物理構造において区分された情報を製作者が指定することにより、視聴者が見るべきタイトル(映画等)が形成されるのである。
なお、図1に示す物理構造の説明においては、内容の理解の容易化のため、複数のセル20がID番号の順に記録されているとして説明したが、実施形態のDVD1においては、実際には、一のセル20が図4に示す複数のインターリーブドユニットIUに分割されて記録される場合がある。
すなわち、例えば図4に示すように、製作者が一のPGC61AをID番号1、2及び4を有するセル20により構成し、他のPGC61BをID番号1、3及び4を有するセル20により構成する場合を考えると、当該PGC61Aに基づいてDVD1から情報を再生する際には、ID番号1、2及び4を有するセル20のみを再生し、PGC61Bに基づいてDVD1から情報を再生する際には、ID番号1、3及び4を有するセル20のみを再生することとなる。この場合に、セル20がID番号毎に纏まって相互に分離して記録されていると、例えば、PGC61Aの場合には、ID番号2のセル20のDVD1上の記録位置からID番号4のセル20DVD1上の記録位置まで、再生のためのピックアップをジャンプする時間が必要となり、後述の再生装置におけるトラックバッファの容量によっては、ID番号2のセル20とID番号4のセル20を連続的に再生すること(以下、これをシームレス再生という。)ができなくなる。
そこで、図4に示す場合には、ID番号2のセル20とID番号3のセル20を、上述の再生装置におけるトラックバッファにおける入出力処理の速度に対応して、一時的に入力信号の入力が停止しても、出力信号の連続性が損なわれない長さのインターリーブドユニットIU(すなわち、一のインターリーブドユニットIUの間だけ再生装置におけるピックアップがジャンプすることによりトラックバッファへの入力信号が途絶えても、当該トラックバッファからの出力信号を連続的に出力可能な長さのインターリーブドユニットIU)に夫々分解して記録し、例えば、PGC61Aに基づいて再生する場合には、ID番号2に対応するセル20を構成するインターリーブドユニットIUのみを連続して検出し、再生することが行われる。同様に、PGC61Bに基づいて再生する場合には、ID番号3に対応するセル20を構成するインターリーブドユニットIUのみを連続して検出し、再生するのである。なお、インターリーブドユニットIUの長さは、上述のように、トラックバッファの容量を勘案して決定される他に、トラックジャンプを行うためのスライダモータ等の駆動機構の性能をも加味して決定される場合がある。
このように、製作者の意図によって、一のセル20を複数のインターリーブドユニットIUに分割して記録しておくことにより、飛び飛びのID番号のセル20を含むPGC61を再生する際にも、トラックバッファから出力される信号は途切れることはなく、従って、視聴者は中断することのない再生映像を視聴することができるのである。
なお、上記インターリーブドユニットIUを形成する際には、一のVOB10内で完結するように形成され、一のインターリーブドユニットIUが隣り合う複数のVOB10に跨がることはない。また、インターリーブドユニットIUとVOBユニット30との関係については、一のインターリーブドユニットIU内に一又は複数のVOBユニット30が含まれ、一のインターリーブドユニットIU内においては一のVOBユニット30が完結するように構成されており、一のVOBユニット30が分割されて複数のインターリーブドユニットIUに跨がることはない。
以上説明したような種々の階層の情報を記録する必要があるため、上述の記録フォーマットを有する情報は、上記DVD1のように、一本の映画を記録する他に、当該映画に対応する音声又は字幕等について、複数種類の言語の音声又は字幕をも同一の光ディスクに記録することが可能な大きな記憶容量を有する情報記録媒体に特に適している。
次に、上記の物理構造及び論理構造を有する映像情報及び音声情報のうち、特に本発明に係るナビパック41を構成するPCIデータ50及びDSIデータ51について、図5を用いて説明する。
DSIデータ51には、上述のように、再生表示させたい情報を検索するための検索情報、より具体的には、再生表示させたい映像や音声若しくは副映像を上記VOBユニット30の単位で検索するための情報及び上記シームレス再生を行うための情報並びに映像に同期した音声情報や副映像情報を検索するための情報等が記述される。
これらの情報を分類すると、以下のように分類される。
(1)視聴者から指定されたある動作の開始時点において、予め後述の再生装置における各構成部材のタイミングを設定するための情報
(2)後述の再生装置におけるピックアップの、図3に示す論理構造上のデータ区分に対応するDVD1上の位置を知るための情報
(3)再生表示しようとするデータのみを後述の再生装置におけるトラックバッファに書き込むための情報
(4)アクセス(検出)したいデータのDVD1上の記録位置(目標位置)を示す情報
(5)アクセスのためにデータをサーチした際、所望のデータのアドレスが検出できなかったときに他のデータ等を保護するための保護情報
次に、上記のように分類された情報が記録されるDSIデータ51内に、上記の夫々の情報が具体的にどのように記録されるかについて、図5(a)を用いて説明する。
図5(a)に示すように、DSIデータ51は、具体的には、一のDSIデータ51内で共通に使用される一般情報と、シームレス再生のためのシームレス情報と、後述のアングル切り換え再生を行うためのアングル飛び先情報と、所望のVOBユニット30を検索するためのVOBユニットサーチ情報と、当該DSIデータ51が含まれているVOBユニット30と同期して再生表示すべきサブピクチャデータ44又はオーディオデータ43に関する情報である同期再生情報とにより構成される。
ここで、上記アングル飛び先情報が適用されるアングル切り換え再生について説明すると、本実施形態のDVD1には、例えば、一の映画(タイトル62)について、同じ時間軸上の場面を複数の視点から見た映像情報を記録することが可能である。すなわち、より具体的には、一の映画について、それに出演している男優の視点からある情景を見た映像と、女優の視点から同じ情景を見た映像とを記録することが可能なのである。そして、これらの映像を、例えば視聴中の入力操作によって視聴者の選択により切り換えて再生することが可能であり、これをアングル切り換え再生という。
また、図5(a)に示す各情報について更に詳細に説明すると、一般情報としては、視聴者から指定されたある動作について、予め後述の再生装置における各構成部材の再生開始タイミングを設定するための時間情報(上記SCR)と、図3に示す論理構造を構成するための各データのDVD1上の記録位置(論理アドレス)と、データサーチの際、所望のデータのアドレスが検出できなかったときに他のデータ等を保護するための保護情報と、再生装置におけるタイムサーチ動作のための時間情報(当該VOBユニット30のセル20内の再生時における経過時間情報)とが記録される。
また、シームレス情報としては、シームレス再生に必要な各データのDVD1上の記録位置(論理アドレス)と、シームレス再生において、各再生画面の接続のタイミングを予め設定するための時間情報とが記録される。
更に、アングル飛び先情報としては、アングルを切り換えるときシームレス(連続的)に切り換え再生を行うための再生すべきデータのDVD1上の記録位置を示すアドレス情報が記録されている。
また、VOBユニットサーチ情報としては、当該DSIデータ51の近傍の所定の範囲に存在する他の再生すべきVOBユニット30(すなわち、他のナビパック41)のDVD1上の記録位置を示すアドレス情報が記録されている。
最後に、同期再生情報としては、当該DSIデータ51が含まれているVOBユニット30と同期して再生表示すべきサブピクチャデータ44又はオーディオデータ43のDVD1上の記録位置を示すアドレス情報が記録されている。
以上説明した各情報を含むDSIデータ51を用いることにより、後述の再生装置において、タイムサーチ動作(静止画再生中のタイムサーチ動作を含む。)等の処理が可能となるのである。
次に、本発明に係るPCIデータ50について説明する。PCIデータ50には、上述のように、DSIデータ51に基づいて検索してきた情報を再生表示する際の再生表示制御情報、すなわち、より具体的には、DSIデータ51に基づいて検索してきたVOBユニット30内のビデオデータ42、オーディオデータ43及びサブピクチャデータ44の再生状態に同期して表示内容を変更制御するための情報が記述される。
これらの情報を分類すると、以下のように分類される。
(1)実際に表示中の映像、音声及び副映像(サブピクチャ)についての再生表示制御情報
(2)各データの出力情報
(3)視聴者とのいわゆるユーザインターフェースに関する情報
次に、上記のように分類された情報が記録されるPCIデータ50内に、上記の夫々の情報が具体的にどのように記録されるかについて、図5(b)を用いて説明する。
図5(b)に示すように、PCIデータ50は、具体的には、一のPCIデータ50内で共通に使用される一般情報と、非シームレスにアングル切り換え再生を行うためのアングル飛び先情報と、上述のハイライト情報とにより構成される。
ここで、非シームレスに行われるアングル切り換え再生について説明すると、上記DSIデータ51に含まれるアングル飛び先情報は、アングル切り換え再生において、場面の切り換え時に映像が止ったり途切れたりしないシームレスのアングル切り換え再生に対して適用されるものであるが、上記PCIデータ50内のアングル飛び先情報が適用される非シームレスアングル切り換え再生は、場面と場面の切り換わり時に画像が一時的に静止し、その静止している間にピックアップが次に再生すべき映像が記録されているDVD1上の記録位置にジャンプすることによりアングルを切り換えるアングル切り換え再生である。前述のシームレスアングル切り換え再生ではアングルを連続的に切り換えられる反面、アングル切り換えの連続性を保証するために所定のDVD1上の位置まで再生して後述の再生装置のトラックバッファを満たしてから切り換えるので、アングルの切り換え時に時間遅れが生じることがあるが、非シームレスアングル切り換え再生においては、アングルの切り換え時に一時的に映像が停止するものの、アングルの切り換えにおける時間遅れは生じないという特徴がある。
図5(b)に示す各情報について更に説明すると、一般情報としては、当該PCIデータ50が記録されているVOBユニット30の属性や当該VOBユニット30の表示制御に関する情報、視聴者から指定されたある動作についての表示制御情報、ユーザインターフェースの許可又は禁止に関する情報、当該ナビパック41が含まれているVOBユニット30内のビデオデータ42、オーディオデータ43及びサブピクチャデータ44の再生時間軸上における再生表示開始時間情報及び再生表示終了時間情報、当該VOBユニット30内のビデオデータ42を静止画再生させる場合の再生時間軸上における静止画再生終了時刻情報及び当該VOBユニット30のセル20内の再生時における経過時間情報が記録される。
また、アングル飛び先情報としては、非シームレスにアングルを切り換えてアングル切り換え再生を行うための再生すべきデータのDVD1上の記録位置を示すアドレス情報が記録されている。
また、ハイライト情報としては、視聴者の選択のための各選択枝に対応してメニュー画面等で表示されている選択ボタンが有効に選択動作を行える有効期間(複数のVOBユニット30に渡って有効とされる場合があり、当該有効期間の始まりと終わりの時刻により定義される。)を示す有効期間情報と、視聴者の選択動作に基づいて、選択ボタンの色を変化させて表示するための色情報と、選択ボタンを表示するための位置を示す位置情報と、視聴者の選択動作に基づいて、上記選択ボタンが選択されたことを示すカーソルの移動操作が行われたときの移動先を示す移動情報と、夫々の選択ボタンに対応し、当該選択ボタンが選択されたときに実行されるべき動作を示すコマンド情報とが記録される。
このハイライト情報についてより詳細には、当該ハイライト情報において記述される情報は、サブピクチャデータ44内に記録されているデータを用いて表示される選択ボタンに関するものであり、選択項目に対応する選択枝はビデオデータ42(VOBユニット30内に含まれている。)に基づいて表示されている映像に重ねて表示されることとなる。
従って、映像が更新された場合にも引続き選択ボタンを表示させ、それに対して選択された動作を有効とする期間を定める必要がある場合(すなわち、ハイライト情報に対応するVOBユニット30が表示されている時間と当該ハイライト情報に基づく選択ボタンの選択の有効期間が異なる場合)がある。そこで、本実施形態ではハイライト情報の中に選択ボタンが有効に選択動作を行える有効期間を示す有効期間情報を記憶するように構成し、図6に示すように、複数のVOBユニット30に跨がって一のハイライト情報を有効としているのである。
なお、上記のような映像から独立した情報を有するハイライト情報を活用するために、後述の再生装置においては、PCIデータ50をデコードするデコーダにおいて当該PCIデータ50からハイライト情報を分離し、これを専用のハイライトデコーダでデコードするようにしているのである。
以上説明した各情報を含むPCIデータ50を用いることにより、再生装置において、静止画再生、静止画再生中の記録情報の先頭からの経過時間表示、非シームレスアングル切り換え再生及びハイライト情報に対応するメニュー画面による選択動作等の処理が可能となるのである。
次に、記録情報として記録される上記VOBユニット30(図1参照)の物理構造の種々の態様について、図7を用いて説明する。なお、図7において、「Audio」はオーディオデータ43を示し、「SP」はサブピクチャデータ44を示し、「GOP」はビデオデータ42を示している。
図7に示すように、実施形態のDVD1に記録情報を記録する際には、VOBユニット30の物理構造態様としては、以下の8つの形態が考えられる。
すなわち、始めに、第1態様は、動画としての一のGOP52に相当するビデオデータ42、オーディオデータ43及びサブピクチャデータ44の全てを含む場合(図7(a))であり、この場合には、動画としてビデオデータ42を再生する際に対応する音声及び副映像が再生表示されることとなる。
第2態様は、動画としての複数のGOP52に相当するビデオデータ42、オーディオデータ43及びサブピクチャデータ44を含む場合(図7(b))であり、この場合には、動画として複数のGOP52が再生されると共に、図7(a)の場合と同様にこれらに対応する音声及び副映像が再生表示されることとなる。
第3態様は、動画としての一のGOP52に相当するビデオデータ42を再生した後、そのGOP52の最後のフレーム画像を静止画再生すると共に、これらの動画及びそれに続く静止画に対応するオーディオデータ43及びサブピクチャデータ44を含む場合(図7(c))であり、この場合には、動画として一のGOP52が再生された後、その最終フレーム画像が静止画再生され、これらに対応する音声及び副映像が再生表示されることとなる。このとき、静止画再生に移行すべきビデオデータ42の最後にはシーケンスエンドコードSが記述され、このシーケンスエンドコードSを検出したときには、後述の再生装置におけるビデオデータ42のデコードを停止し、その最終フレーム画像のみを繰返し表示することとなる。
第4態様は、ビデオデータ42を全く含まず、オーディオデータ43及びサブピクチャデータ44のみを含む場合(図7(d))であり、この場合は、図7(d)に示すVOBユニット30より前のVOBユニット30に含まれている静止画再生すべきビデオデータ42に対応するフレーム画像を引続き再生すると共に、図7(d)に示すVOBユニット30に含まれるオーディオデータ43及びサブピクチャデータ44を再生表示することとなる。このとき、ナビパック41に含まれるPCIデータ50には、現在静止画再生されているビデオデータ42の静止画再生を終了すべき静止画再生終了時刻情報が記述されている。
第5態様は、動画としての一のGOP52に相当するビデオデータ42と対応するサブピクチャデータ44のみを含む場合(図7(e))であり、この場合には、動画としてビデオデータ42とサブピクチャデータ44に対応する副映像のみが表示され、音声は出力されないか、又は図7(e)に示すVOBユニット30より前のVOBユニット30に、図7(e)に示すVOBユニット30に含まれるビデオデータ42とサブピクチャデータ44に対応するオーディオデータ43が含まれていることとなる。
第6態様は、動画としての複数のGOP52に相当するビデオデータ42と対応するサブピクチャデータ44のみを含む場合(図7(f))であり、この場合には、動画としてビデオデータ42とサブピクチャデータ44に対応する副映像のみが表示され、図7(e)の場合と同様に、音声は出力されないか、又は図7(f)に示すVOBユニット30より前のVOBユニット30に、図7(f)に示すVOBユニット30に含まれるビデオデータ42とサブピクチャデータ44に対応するオーディオデータ43が含まれていることとなる。
第7態様は、動画としての一のGOP52に相当するビデオデータ42を再生した後、そのGOP52の最後のフレーム画像を静止画再生すると共に、これらの動画及びそれに続く静止画に対応するサブピクチャデータ44を含む場合(図7(g))であり、この場合には、図7(c)の場合と同様に、動画として一のGOP52が再生された後、その最終フレーム画像が静止画再生され、これらに対応する副映像が表示されることとなる。
最後に第8態様は、ナビパック41のみで一のVOBユニット30を構成する場合(図7(h))である。この場合は、例えば、図7(h)に示すVOBユニット30より前のVOBユニット30に音声及び副映像を伴わない静止画として再生すべきビデオデータ42が記録され、その静止画再生時間内に図7(h)に示すVOBユニット30(ナビパック41)が存在する場合である。ここで、当該ナビパック41には、静止画再生している画像の静止画再生終了時刻情報が含まれている。
なお、上記の各態様において、サブピクチャデータ44を含むものについては、当該サブピクチャデータ44を必ず含む必要はなく、サブピクチャデータ44を含ませるか否かは製作者の任意で決定することができる。
以上説明した各態様のVOBユニット30を配置して記録情報の物理構造を構成した例を図8に示す。
先ず、図8(a)に示す場合では、最初のVOBユニット30以外のVOBユニット30には、ビデオデータ42が含まれていない。従って、この場合は、最初のVOBユニット30における最後のビデオデータ42Aに対応する映像を表示した後、その最後のフレーム画像で静止画再生に移行し、その後のVOBユニット30に含まれるオーディオデータ43及びサブピクチャデータ44には、静止画再生しつつ再生表示すべき音声又は副映像が記録されていることとなる。
次に、図8(b)に示す場合では、最初のVOBユニット30以外のVOBユニット30は、ナビパック41のみにより構成されている。従って、この場合は、最初のVOBユニット30における最後のビデオデータ42Aに対応する映像を表示した後、その最後のフレーム画像で静止画再生に移行すると共に、対応するオーディオデータ43Aに含まれる音声情報及びサブピクチャデータ44Aに含まれる副映像をナビパック41のみにより構成されているVOBユニット30が検出される間継続して再生表示することとなる。
なお、この静止画再生する時間の制御は、ナビパック41のみにより構成されているVOBユニット30の個数及び夫々のナビパック41内のDSIデータ51に記述されている上記SCRの値によって制御することができるが、この時間管理動作については、後述(図13)する。
また、静止画再生のみを行って、音声及び副映像の再生表示を行わない場合も、図8(b)に示すようなVOBユニット30の構成となる。次に、図9を用いて、DVD1上に記録されている各データと夫々のデータの再生時間軸上の位置との関係について説明する。なお、図9において、符号(a)、(b)、(c)及び(d)は、夫々、図7(a)、図7(b)、図7(c)及び図7(d)で示されるVOBユニット30の形態に対応している。
図9に示すように、夫々のVOBユニット30に含まれているビデオデータ42、オーディオデータ43及びサブピクチャデータ44は、対応するナビパック41のPCIデータ50に記述されている再生表示開始時間情報及び再生表示終了時間情報並びに静止画再生終了時刻情報に基づいて夫々に対応する再生時間軸上の再生時刻において再生表示される。なお、図9においては、ビデオデータ42Aの最後にシーケンスエンドコードSが記述されているので、当該ビデオデータ42Aに含まれる最後のGOP52の最終フレーム画像から静止画再生が開始され、当該静止画再生が、ビデオデータ42Bを再生するまで継続されることとなる。
ここで、オーディオデータ43においては、ビデオデータ42におけるGOPに対応する再生単位であるオーディオフレーム毎に上述のPTSが記述されており、更に、サブピクチャデータ44においては、上記GOPに対応する再生単位であるSPU(Sub Picture Unit)毎に上述のPTSが記述されている。そして、これらのPTSに基づいて、各データを再生すべき再生時刻が検出されるのである。
(II)記録装置の実施形態
次に、上述の制御情報、映像情報及び音声情報をDVD1に記録するための本願に対応する記録装置の実施形態について、図10を用いて説明する。
図10に示すように、実施形態に係る記録装置S1 は、VTR(Video Tape Recorder )70と、メモリ71と、信号処理手段としての信号処理部72と、ハードディスク装置73及び74と、多重手段としてのコントローラ75と、多重手段としての多重器76と、変調器77と、記録手段としてのマスタリング装置78とにより構成されている。
次に、動作を説明する。
VTR70には、DVD1に記録すべき音楽情報や映像情報等の素材である記録情報Rが一時的に記録されている。そして、VTR70に一時的に記録された記録情報Rは、信号処理部72からの要求により当該信号処理部72に出力される。
信号処理部72は、VTR70から出力された記録情報RをA/D変換した後、MPEG2方式を用いて圧縮処理し、音楽情報と映像情報とを時間軸多重して圧縮多重信号Sr として出力する。その後、出力された圧縮多重信号Sr は、ハードディスク装置73に一時的に記憶される。
これらと並行して、メモリ71は、上記記録情報Rの再生を制御するための制御情報(図1における、ビデオマネージャ2、コントロールデータ11、ナビパック41(PCIデータ50及びDSIデータ51)等)が記載されたキューシートSTに基づき予め入力された当該制御情報を一時的に記憶し、信号処理部72からの要求に基づいて制御情報信号Si として出力する。この制御情報には、記録情報RをVOBユニット30に分割するための情報や、圧縮多重信号Sr のどの位置にナビパック41を挿入するかを示す情報が含まれている。
そして、信号処理部72は、VTR70から出力される上記記録情報Rに対応したタイムコードTt 及びメモリ71から出力される制御情報信号Si に基づき、タイムコードTt を参照して制御情報からPCIデータ50及びDSIデータ51を含むナビパック41を分離し、対応するナビパック情報信号Snav として出力し、当該ナビパック情報信号Snav がハードディスク装置74に一時的に記憶される。このとき、ナビパック41以外の制御情報については、図10においては図示を省略しているが、ナビパック41と同様に信号処理部72において夫々に分離され、ハードディスク装置74に記憶される。
以上の処理が記録情報R全体について実行される。
記録情報Rの全てについて上記の処理が終了すると、コントローラ75は、ハードディスク装置73から圧縮多重信号Sr を読み出すとともにハードディスク装置74からナビパック情報信号Snav 並びにその他の制御情報を読み出し、これらに基づいて当該ナビパック41並びにその他の制御信号を夫々独立に含む付加情報(ナビパック情報信号Snav )を生成し、ハードディスク装置74に一時的に再記録する。これは、各制御情報の中には、圧縮多重信号Sr の生成結果によって、内容が定まるものがあるからである。
一方、コントローラ75は、上記信号処理部72、ハードディスク装置73及び74の夫々の動作の時間管理を行い、ナビパック情報信号Snav を含む付加情報信号Sa をハードディスク装置74から読み出して出力すると共に、圧縮多重信号Sr と付加情報信号Sa を時間軸多重するための情報選択信号Sccを生成して出力する。
その後、圧縮多重信号Sr (ビデオデータ42、サブピクチャデータ44及びオーディオデータ43をストリーム毎に夫々含んでいる。)と付加情報信号Saは、コントローラ75からの情報選択信号Sccに基づき、ハードディスク装置73又は74から読み出され、多重器76により時間軸多重されて情報付加圧縮多重信号Sapとして出力される。このとき、上述の各データ(ビデオデータ42、オーディオデータ43及びサブピクチャデータ44)に対するPTSの記述が並行して行われるとともに、ナビパック41がVOBユニット30毎に挿入される。これにより、上記ナビパック41が、再生時間軸上において0.4秒乃至1秒に必ず1回は検出されることとなる。
そして、この情報付加圧縮多重信号Sapの段階では、記録すべき情報は、コントローラ75の情報選択信号Sccを用いた切り換え動作によって制御情報と映像情報及び音声情報とが合成され、図1に示す物理構造(物理フォーマット)となっている。そして、PCIデータ50及びDSIデータ51については、夫々独立してナビパック41に含まれていることとなる。
なお、記録すべき情報の中に副映像情報が含まれている場合には、図示しない他のハードディスク装置から読み出されて信号処理部72に入力され、映像情報及び音声情報と同様に信号処理され、情報付加圧縮多重信号Sapに含まれることなる。
その後、変調器77は、出力された情報付加圧縮多重信号Sapに対してリードソロモン符号等のエラー訂正コード(ECC)の付加及び8−16変調等の変調を施してディスク記録信号Sm を生成し、マスタリング装置78に出力する。
最後に、マスタリング装置78は、当該ディスク記録信号Sm を光ディスクを製造する際のマスタ(抜き型)となるスタンパディスクに対して記録する。そして、このスタンパディスクを用いて図示しないレプリケーション装置により、一般に市販されるレプリカディスクとしての光ディスクが製造される。
以上説明したように、実施形態の記録装置S1 の動作によれば、時間情報を含むPCIデータ50を備えたナビパック41がVOBユニット30毎に記録されることにより、再生時間軸上で0.4秒乃至1.0秒に必ず1回はナビパック41が検出されることとなるので、記録情報Rの再生時において、VOBユニット30に映像情報が含まれない静止画のみの再生等の場合であっても、正確に時間管理を行いつつ記録情報Rを再生することができる。
また、上記ナビパック41がDVD1上の再生すべきVOBユニット30の記録位置を検索するためDSIデータ51をも含むので、記録情報Rの再生時において、正確に再生すべきVOBユニット30の記録位置を迅速に検索して再生することができ、更に、静止画再生しつつ所望の時間経過後の記録情報を検索することも可能となる。
更に、静止画を含むVOBユニット30に対応するPCIデータ50が当該静止画を再生すべき時間情報(静止画再生終了時刻情報)を含み、更に、静止画再生すべき再生時間内に含まれるVOBユニット30には、静止画のためのフレーム画像を記録する必要がなく、ビデオデータ42を除くサブピクチャデータ44及びオーディオデータ43のうち少なくとも一方により構成したり、若しくはナビパック41のみで一のVOBユニット30を構成することも可能であるので、ナビパック41に含まれるPCIデータ50を用いて正確に静止画再生ができると共に、静止画再生する時間に相当する分のフレーム画像を記録する必要がなく、DVD1上の記録領域を無駄なく有効に活用できる。
(III)再生装置の実施形態
次に、上記の記録装置S1によりDVD1に記録された情報を再生するための本願に対応する再生装置の実施形態を、図11乃至図16を用いて説明する。
始めに、図11を用いて、実施形態の再生装置の構成及び動作について説明する。
図11に示すように、実施形態に係る再生装置S2 は、検出復調手段としてのピックアップ80と、検出復調手段としての復調訂正部81と、ストリームスイッチ82及び84と、トラックバッファ83と、抽出手段としてのシステムバッファ85と、抽出手段としてのデマルチプレクサ86と、VBV(Video Buffer Verifier )バッファ87と、ビデオデコーダ88と、サブピクチャバッファ89と、サブピクチャデコーダ90と、混合器91と、オーディオバッファ92と、オーディオデコーダ93と、PCIバッファ94と、PCIデコーダ95と、ハイライトバッファ96と、ハイライトデコーダ97と、入力部98と、ディスプレイ99と、制御手段としてのシステムコントローラ100と、ドライブコントローラ101と、スピンドルモータ102と、スライダモータ103と、クロック生成部104と、バッファスイッチ105により構成されている。なお、図11に示す構成は、再生装置S2 の構成のうち、映像及び音声の再生に関する部分のみを記載したものであり、ピックアップ80及びスピンドルモータ102並びにスライダモータ103等をサーボ制御するためのサーボ回路等は従来技術と同様であるので、記載及び細部説明を省略する。
次に、全体動作を説明する。
ピックアップ80は、図示しないレーザダイオード、偏向ビームスプリッタ、対物レンズ、光検出器等を含み、DVD1に対して再生光としての光ビームBを照射すると共に、当該光ビームBのDVD1からの反射光を受光し、DVD1上に形成されている情報ピットに対応する検出信号Sp を出力する。このとき、光ビームBがDVD1上の情報トラックに対して正確に照射されると共に、DVD1上の情報記録面で正確に焦点を結ぶように、図示しない対物レンズに対して従来技術と同様の方法によりトラッキングサーボ制御及びフォーカスサーボ制御が施されている。
ピックアップ80から出力された検出信号Sp は、復調訂正部81に入力され、復調処理及び誤り訂正処理が行われて復調信号Sdmが生成され、ストリームスイッチ82及びシステムバッファ85に出力される。
復調信号Sdmが入力されたストリームスイッチ82は、ドライブコントローラ101からのスイッチ信号Ssw1 によりその開閉が制御され、閉のときには、入力された復調信号Sdmをそのままスルーしてトラックバッファ83に出力する。一方、ストリームスイッチ82が開のときには、復調信号Sdmは出力されず、不要な情報(信号)がトラックバッファ83に入力されることがない。
復調信号Sdmが入力されるトラックバッファ83は、FIFO(First In First Out)メモリ等により構成され、入力された復調信号Sdmを一時的に記憶すると共に、ストリームスイッチ84が閉とされているときには、記憶した復調信号Sdmを連続的に出力する。トラックバッファ83は、MPEG2方式における各GOP毎のデータ量の差を補償すると共に、インターリーブドユニットIUに分割されたデータの読み取りの際等に、上記のシームレス再生におけるトラックジャンプに起因して不連続に入力される復調信号Sdmを連続的に出力し、当該不連続による再生の中断を解消するためのものである。
連続的に復調信号Sdmが入力されるストリームスイッチ84は、デマルチプレクサ86における分離処理において、後段の各種バッファがオーバーフローしたり、逆に空になってデコード処理が中断することがないように、システムコントローラ100からのスイッチ信号Ssw2 により開閉が制御される。
一方、トラックバッファ83と並行して復調信号Sdmが入力されるシステムバッファ85は、DVD1をローディングしたときに最初に検出され、DVD1に記録されている情報全体に関する管理情報(ビデオマネージャ2等)又はVTS3毎のコントロールデータ11を蓄積して制御情報Sc としてシステムコントローラ100に出力すると共に、再生中に必要に応じてナビパック41毎のDSIデータ51を一時的に蓄積し、システムコントローラ100に制御情報Sc として出力する。
ストリームスイッチ84を介して復調信号Sdmが連続的に入力されたデマルチプレクサ86においては、当該復調信号Sdmからビデオデータ42、オーディオデータ43、サブピクチャデータ44及びナビパック41毎のPCIデータ50を分離し、ビデオ信号Sv 、副映像信号Ssp、オーディオ信号Sad並びにPCI信号Spcとして、夫々VBVバッファ87、サブピクチャバッファ89、オーディオバッファ92及びPCIバッファ94に出力する。なお、復調信号Sdmには、音声情報又は副映像情報として複数の言語が別々のストリームとして含まれている場合があるが、その場合には、システムコントローラ100からのストリーム選択信号Slcにより所望の言語が夫々選択されてオーディオバッファ92又はサブピクチャバッファ89に出力される。
また、デマルチプレクサ86では、ビデオデータ42、オーディオデータ43、サブピクチャデータ44の夫々のパックP(図1参照)からパックヘッダのみストリームスイッチ84を介して検出し、当該パックヘッダに記述されているSCR(読み出し開始時刻情報)を読み出すと共に各データ毎のPTS(再生表示時刻情報)を読み出し、夫々を含む時間情報信号St をシステムコントローラ100に出力する。
ビデオ信号Sv が入力されるVBVバッファ87は、FIFOメモリ等により構成され、ビデオ信号Sv を一時的に蓄積し、システムコントローラ100からのスイッチ信号Ssw3 によって制御されるバッファスイッチ105を介してビデオデコーダ88に出力する。VBVバッファ87は、MPEG2方式により圧縮されているビデオ信号Sv における各ピクチャ(図2参照)毎のデータ量のばらつきを補償するためのものである。そして、データ量のばらつきが補償されたビデオ信号Sv がビデオデコーダ88に入力され、MPEG2方式により復調が行われて復調ビデオ信号Svdとして混合器91に出力される。VBVバッファ87の動作については、後ほど詳述する。
一方、副映像信号Sspが入力されるサブピクチャバッファ89は、入力された副映像信号Sspを一時的に蓄積し、サブピクチャデコーダ90に出力する。サブピクチャバッファ89は、副映像信号Sspに含まれる副映像情報を、当該副映像情報に対応する映像情報と同期して出力するためのものである。そして、映像情報との同期が取られた副映像信号Sspがサブピクチャデコーダ90に入力され、復調が行われて復調副映像信号Sspd として混合器91に出力される。
なお、副映像信号Sspが、上記メニュー画面を構成して表示するために必要な、枠、選択ボタン等を構成するための映像情報を含んでいる場合には、システムコントローラ100からのハイライト制御信号Schに基づき、表示すべき選択ボタン等の表示状態の変更を行って出力する。
ビデオデコーダ88から出力された復調ビデオ信号Svd及びサブピクチャデコーダ90から出力された復調副映像信号Sspd (対応する復調ビデオ信号Svdとの同期が取れている。)は、混合器91により混合され、最終的な表示すべき映像信号Svpとして図示しないCRT(Cathod Ray Tube )等の表示部に出力される。
次に、オーディオ信号Sadが入力されるオーディオバッファ92は、FIFOメモリ等により構成され、入力されたオーディオ信号Sadを一時的に蓄積し、オーディオデコーダ93に出力する。オーディオバッファ92は、オーディオ信号Sadを対応する映像情報を含むビデオ信号Sv 又は副映像信号Sspに同期して出力させるためのものであり、対応する映像情報の出力状況に応じてオーディオ信号Sadを遅延させる。そして、対応する映像情報と同期するように時間調整されたオーディオ信号Sadは、オーディオデコーダ93に出力され、所定のデコードが施されて復調オーディオ信号Sadd として図示しないスピーカ等に出力される。なお、所望の情報へのアクセス直後の再生で一時的に音声を中断する(ポーズする)必要があることが検出された場合には、システムコントローラ100からポーズ信号Scaがオーディオデコーダ93に出力され、当該オーディオデコーダ93において一時的に復調オーディオ信号Sadd の出力を停止する。
更に、PCI信号Spcが入力されるPCIバッファ94は、FIFOメモリ等により構成され、入力されたPCI信号Spcを一時的に蓄積し、PCIデコーダ95に出力する。PCIバッファ94は、PCI信号Spcに含まれるPCIデータ50と当該PCIデータ50が対応するビデオデータ42、オーディオデータ43又はサブピクチャデータ44等とを同期させ、当該ビデオデータ42、オーディオデータ43又はサブピクチャデータ44等にPCIデータ50を適用させるためのものである。そして、PCIバッファ94により対応するビデオデータ42、オーディオデータ43又はサブピクチャデータ44等と同期したPCI信号Spcは、PCIデコーダ95によりPCIデータ50に含まれるハイライト情報が分離され、ハイライト信号Shiとしてハイライトバッファ96に出力されると共に、PCIデータ50のハイライト情報以外の部分がPCI情報信号Spciとしてシステムコントローラ100に出力される。
ハイライト信号Shiが入力されるハイライトバッファ96は、FIFOメモリ等により構成され、入力されたハイライト信号Shiを一時的に蓄積し、ハイライトデコーダ97に出力する。ハイライトバッファ96は、当該ハイライト情報のための画像情報が含まれている副映像信号Sspに対応して、ハイライト情報に対応する選択項目(選択ボタン)の表示状態の変更が正確に行われるための時間軸補償を行うためのバッファである。そして、時間軸補償が行われたハイライト信号Shiは、ハイライトデコーダ97においてデコードされ、当該ハイライト信号Shiに含まれる情報が復調ハイライト信号Shid としてシステムコントローラ100に出力される。ここで、システムコントローラ100は、当該復調ハイライト信号Shid に基づき、ハイライト情報による表示状態の変更を行うべく、上記ハイライト制御信号Schを出力することとなる。このとき、システムコントローラ100は、復調ハイライト信号Shid に含まれるハイライト情報の有効期間(図6参照)を示す有効期間情報に基づいて当該ハイライト情報に基づくメニュー画面等を用いた選択動作を有効とすべく、入力部98からの入力信号Sinによる選択動作を受け付けると共に、上記ハイライト制御信号Schを出力することとなる。
システムコントローラ100は、システムバッファ85から入力される制御情報Sc 、デマルチプレクサ86から入力される時間情報信号St 、PCIデコーダ95から入力されるPCI情報信号Spci 及びリモコン等の入力部98から入力される入力信号Sinに基づき、それらの信号に対応した正しい再生を行うために上記のスイッチ信号Ssw2 及びSsw3 、ストリーム選択信号Slc、ポーズ信号Sca、ハイライト制御信号Schを出力すると共に、再生装置S2 の動作状況等を表示するために表示信号Sdpを液晶表示装置等のディスプレイ99に出力する。
更に、システムコントローラ100は、上記制御信号Sc 等により、シームレス再生のためにサーチ等のトラックジャンプの処理が必要であることを検出したときには、ドライブコントローラ101に対して、当該トラックジャンプの処理に対応するシームレス制御信号Scsl を出力する。
そして、シームレス制御信号Scsl が入力されたドライブコントローラ101は、スピンドルモータ102又はスライダモータ103に対して駆動信号Sd を出力する。この駆動信号Sd により、スピンドルモータ102又はスライダモータ103は、光ビームBが再生すべきDVD1上の記録位置に照射されるようにピックアップ2を移動させる(図11破線矢印参照)と共に、DVD1の回転数をCLV(Constant Linear Velocity:線速度一定)制御する。これと並行して、ドライブコントローラ101は、ピックアップ2が移動中であり復調訂正部81から復調信号Sdmが出力されないときには、シームレス制御信号Scsl に基づきスイッチ信号Ssw1 を出力し、ストリームスイッチ82を開とすると共に、復調信号Sdmが出力され始めると、ストリームスイッチ82を閉成して復調信号Sdmをトラックバッファ83に出力する。
最後に、クロック生成部104は、上記時間情報信号St に基づきシステムコントローラ100から出力されるクロック初期化信号Sciにより初期化されると共に、再生装置S2 全体を統制するための再生基準クロックTを含む基準クロック信号Sctを生成し、システムコントローラ100に出力する。そして、システムコントローラ100は、基準クロック信号Sctに基づいてスイッチ信号Ssw2及びSsw3 、ストリーム選択信号Slc、ポーズ信号Sca、ハイライト制御信号Sch及びシームレス制御信号Scsl を出力する。
次に、上記再生装置S2 の内、トラックバッファ83の動作(特に、ナビパック41に記述されている時間情報を用いた時間管理動作)について図12及び図13を用いて詳説する。
始めに図12を用いて、トラックバッファ83の一般的な動作について説明する。なお、図12はトラックバッファ83における情報の書き込み及び読み出しの時間変化をトラックバッファ83の使用量(バッファ占有量)との関係で示したものである。また、図12において、符号Wr はトラックバッファ83への書き込みレートであり、符号Rr はトラックバッファ5からの読み出しレートであり、一般に、
Wr >Rr
とされる。
上述のように、トラックバッファ83は、FIFOメモリとして動作し、MPEG2方式における可変のデータレートを補償すると共に、シームレス再生等におけるトラックジャンプに起因して不連続に入力される復調信号Sdmを連続的に出力し、当該不連続による再生の中断を解消するためのものである。
図12において、最初にトラックバッファ83への復調信号Sdmの書き込みを行うと((イ))、トラックバッファ83内のバッファ占有量は上昇していく。この書き込みは、スイッチ信号Ssw1 に基づき、ストリームスイッチ82を閉成することにより行われる。
そして、トラックバッファ83が最大容量まで占有されると((ロ)点)、トラックバッファ83がオーバフローしないようにストリームスイッチ82を開成して書き込みを一時的に中止し、ストリームスイッチ84を閉成して読み出しを開始する。そして、バッファ占有量が、トラックバッファ83におけるアンダーフロー(トラックバッファ83が空になって復調信号Sdmの読み出しができなくなる状態)を防止すべく予め設定された占有量Aまで低下すると、読み出しレートRr での読み出しを継続しつつストリームスイッチ82を閉成し、書き込みレートWr での書き込みを再開する((ハ)点)。これ以降のバッファ占有量の増加レートは、(Wr −Rr )となる。
そして、トラックバッファ83が再び最大容量まで占有されると((ニ)点)書き込みを一時的に中止し、読み出し(読み出しレートRr )のみを行う。以後は、この動作が繰返されることにより、トラックバッファ83への書き込みは間欠的となるが、読み出しは連続して行われる。このとき、読み出しレートRr は書き込みレートWr より小さければ任意の値とすることができ、一定である必要がないので、MPEG2方式により可変レートで検出される復調信号Sdmの単位時間当たりのデータ量に対応して、単位時間当たりのデータ量が多いときには読み出しレートRr を高くし、単位時間当たりのデータ量が少ないときには読み出しレートRr を低くすることができる。
また、データサーチのためにピックアップがトラックジャンプした場合に、トラックバッファ83への書き込みが長時間停止しても((ホ))、その占有量が零になる前に書き込みを開始すれば((ヘ)点)、読み出しが中断することがない。
なお、ここでは、データ読み出しの開始は、トラックバッファ83が最大占有量になった後としたが、これに限らず、占有量が最大になる前に読み出しを開始してもよいし、書き込み開始と同時に読み出しを開始してもよい。
以上のトラックバッファ83の動作により、可変レート方式による記録情報Rに対応して、上記シームレス再生が可能となるのである。すなわち、断続的に書き込まれたデータをトラックバッファ83により連続的に接続して出力することで、シームレス再生や可変レート方式に対応した再生が可能となるのである。
また、以上のトラックバッファ83の説明においては、データの読み出しは連続的で、読み出しレートRr が変化するものとして説明したが、データの読み出しを所定の高レートRh (Rh >(Rr の最大値))で間欠的に行い、実際にデータが読み出される期間の長さを制御することにより、可変レート方式に対応するようにしてもよい。この場合であっても、平均的に見れば、読み出しレートRr を変化させて連続的にデータ読み出しが行われることと等価となる。このとき、間欠的に読み出されるデータの平滑化は、デマルチプレクサ86の後段の各バッファで行われる。
ここで、図12からも明らかなように、トラックバッファ83における一のデータの入力時刻と出力時刻の差、すなわち、トラックバッファ83における遅延時間は、一定ではなく、読み出しレートRr によっても大きく変化する。更に、所定のサーチ動作が行われても連続的にデータを出力するために、トラックバッファ83自体のバッファ容量を大きくする必要がある。従って、遅延時間自体も必然的に長くなることになる。
このとき、PCIデータ50とDSIデータ51を分離せずに一体としてトラックバッファ83への入力前で検出してこれに基づき制御したとすると、表示の制御に関して、実際に表されているデータ(トラックバッファ83から出力されたデータ)とPCIデータ50とのタイミングを整合させることが、トラックバッファ83における遅延時間が一定でないことにより困難となり、正しい表示制御が困難となる。一方、PCIデータ50とDSIデータ51を一体としてトラックバッファ83の出力後に検出し、これに基づき制御したとすると、データの検索に関し、検索のためのピックアップ80の位置(当該ピックアップ80は、トラックバッファ83の遅延時間に相当する時間だけ先に移動してしまっている。)をDSIデータ51と対応づけることが、トラックバッファ83における遅延時間が一定でないことにより困難となり、正しい検索制御ができなくなる。
そこで、本実施形態では、PCIデータ50とDSIデータ51を分離してナビパック41として記録し、再生装置S2 においてトラックバッファ83への復調信号Sdmの入力前にDSIデータ51を抽出して検索制御することによりピックアップ2のDVD1上の位置を把握しつつ検索制御することが可能となり、更に、トラックバッファ83からの復調信号Sdmの出力後にPCIデータ51を抽出して表示制御することにより実際に表示されている映像、音声又は副映像に対応付けて表示制御することが可能となるのである。
次に、図13に示すフローチャートを用いて、トラックバッファ83の読み出しにおけるナビパック41に記述されている時間情報を用いた時間管理動作について、システムコントローラ100における動作を中心として説明する。
再生が開始されると、先ず、復調信号Sdmからナビパック41を検出したか否かが、制御信号Sc に基づき判定される(ステップS1)。そして、検出されていないときには(ステップS1;NO)そのまま検出されるまで待機し、検出された場合には(ステップS1;YES)、次に、制御信号Sc から検出したナビパック41に含まれているDSIデータ51に含まれるSCRを読み出すと共に、当該DSIデータ51に含まれるその他の情報を読み出す(ステップS2)。
そして、クロック生成部104の初期化のために、システムコントローラ100からステップS2において読み出したSCRを含むクロック初期化信号Sciを出力して、クロック生成部104が生成する基準クロック信号Sctに含まれる再生基準クロックTをステップS2において読み出したSCRの値に設定する(ステップS3)。
次に、ステップS1で検出したナビパック41が含まれるVOBユニット30のデータ部(ビデオデータ42、オーディオデータ43又はサブピクチャデータ44)の最初のパックPのパックヘッダを検出したか否かがデマルチプレクサ86からの時間情報信号St に基づいて判定され(ステップS4)、検出されないときは(ステップS4;NO)検出されるまで待機し、検出されたときは(ステップS4;YES)、検出されたパックヘッダに記述されているSCRを時間情報信号St から読み出す(ステップS5)。
次に、クロック生成部104が生成する再生基準クロックTがステップS5で読み出したSCRに等しくなったか否かが判定され(ステップS6)、等しくなっていないときは(ステップS6;NO)、再生基準クロックTがステップS5で読み出したSCRの値になるまで、当該SCRが含まれるパックPのトラックバッファ83からの読み出しを行わないで待機し、再生基準クロックTがステップS5で読み出したSCRに等しくなった場合には(ステップS6;YES)、スイッチ信号Ssw2 によりストリームスイッチ84を閉として当該SCRが含まれるパックPのトラックバッファ83からの読み出しを開始し(ステップS7)、読み出したパックPをデマルチプレクサ86に入力してビデオデータ42、オーディオデータ43及びサブピクチャデータ44に夫々分離する。
そして、分離した各データを夫々のエレメンタリ(ここで、エレメンタリとは、ビデオ、オーディオ、サブピクチャ等の総称である。)のバッファ(VBVバッファ87、サブピクチャバッファ89、オーディオバッファ92及びPCIバッファ94)のうちいずれかのバッファにパックP内のデータを書き込み(ステップS8)、次に再生をストップすべき入力信号Sinが入力部98から入力されたか否かが判定され(ステップS9)、入力されていないときは(ステップS9;NO)、次のパックPの読み出しを行うべくステップS4に戻り、入力されたときは(ステップS9;YES)処理を終了して再生を停止する。
次に、各エレメンタリのバッファの動作(特に、パックヘッダに記述されている時間情報を用いた時間管理動作)を図14に示すフローチャートを用いて説明する。
図14に示すように、各エレメンタリのバッファに対応するデータが入力されると、始めに、入力されたデータのパックPのパックヘッダを読み出し(ステップS10)、次に、当該パックに含まれるパケットのパケットヘッダを読み出す(ステップS11)。
パックヘッダ及びパケットヘッダを取得すると(ステップS10及びS11)、次にバッファに入力されたデータに記述されているPTSを読み出す(ステップS12)。そして、上記クロック生成部104が出力する再生基準クロックTが夫々に読み出したPTSに等しくなったか否かが判定され(ステップS13)、読み出したPTSに等しくないときは(ステップS13;NO)等しくなるまで夫々のエレメンタリのバッファからのデータの読み出しを行わずに待機し、等しくなったら(ステップS13;YES)、夫々のエレメンタリのバッファからのデータの読み出しを開始して夫々のエレメンタリのデコーダ(ビデオデコーダ88、サブピクチャデコーダ90、オーディオデコーダ93及びPCIデコーダ95)でのデコード処理を開始する(ステップS15)。このとき、ビデオ信号Sv については、再生基準クロックTが夫々に読み出したPTSに等しくなったら(ステップS13;YES)、スイッチ信号Ssw3 を出力してバッファスイッチ105を閉としてビデオ信号Sv をビデオデコーダ88に出力することとなる。
そして、夫々のエレメンタリのデコーダでのデコード処理が終了すると(ステップS15)、デコード結果としての復調ビデオ信号Svd、復調副映像信号Sspd 、復調オーディオ信号Sadd 及びPCI情報信号Spci を出力して映像及び副映像の表示並びに音声の再生を行う(ステップS16)。
その後、再生をストップすべき入力信号Sinが入力部98から入力されたか否かが判定され(ステップS17)、入力されていないときは(ステップS17;NO)、次のパックPのパケットヘッダの読み出しを行うべくステップS10に戻り、入力されたときは(ステップS17;YES)処理を終了して再生を停止する。
以上の時間管理動作により、夫々のデータの同期が取られると共に、ビデオデータ42が静止画再生すべきデータを含むときは、VOBユニット30が、例えば図8(a)又は(b)に示すような構成となることから、夫々のナビパック41に記述されているSCRにより正確な時間管理を行いつつ静止画再生を行うことができる。更に、上述(図13参照)のように再生基準クロックTがナビパック41が検出される度にそこに記述されているSCRにより更新されつつ再生されるので、静止画再生中の場合でも、例えば、タイトル62の先頭からの再生経過時間を表示することができるのである。
次に、各エレメンタリのバッファにおける動作を、VBVバッファの動作を代表として図15を用いて説明する。なお、図15においては、図15下段に、ナビパックA41から、夫々のデータがパックPとして記録されているDVD1の状態を示している。ここで、ビデオデータ42に対応するパックPをビデオパック、オーディオデータ43に対応するパックPをオーディオパック、サブピクチャデータ44に対応するパックPをサブピクチャパックと称している。また、ビデオパックA42からビデオパックF42までの範囲内にあるビデオパックに含まれるビデオデータ42により一のGOP52を構成している。従って、ビデオパックA42及びビデオパックG42に夫々のPTSが記述されている。更に、図15上段は、夫々のパックPに記述されているSCR及びPTSに基づいたVBVバッファ87へのビデオ信号Sv の書き込み及びVBVバッファ87からの読み出しについて、それぞれに伴うVBVバッファ87内のデータ量の時間的変化と共に示したものである。
図15に示すように、ナビパックA41が始めに検出されると、当該ナビパックA41に含まれるSCRでクロック生成部104が初期化される(図13ステップS3参照)。そして、ナビパックA41の次のデータであるビデオパックA42のパックヘッダが検出されると(図13ステップS4参照)、そこに記述されているSCR(図15において、SCR=T2 )を読み出し(図13ステップS5参照)、当該SCR(=T2 )となったタイミングでストリームスイッチ84を閉としてトラックバッファ83からのビデオパックA42の読み出しを開始すると共に、デマルチプレクサ86を介してVBVバッファ87にビデオパックA42に含まれるビデオデータの書き込みを行う((イ)、図13ステップS7及びS8参照)。そして、ビデオパックB42の書き込みが終了した時点で、ビデオパックA42に記述されているPTS(PTS=T20(図15では、T3 <T20<T4 である。))になったら、バッファスイッチ105を閉として、一フレーム画像毎にビデオパックA42のデータから読み出しを開始し((ロ)、図14ステップS14参照)、ビデオデコーダ88でのデコード処理を行う(図14ステップS15、S16参照)。そして、タイミングT4 になったら、今度はビデオパックC42のVBVバッファ87への書き込みを開始し((ハ)、図13ステップS7及びS8参照)、1フレーム画像に対応する時間が経過したらバッファスイッチ105を閉として読み出しを開始する((ニ))。以後は、夫々のパックPのパックヘッダに記述されているSCRのタイミングでVBVバッファ87への書き込みを行って一フレーム画像に対応する時間が経過後に読み出しを行うことを繰返す。そして、夫々のパックヘッダに記述されているPTSになったら夫々のGOP52の表示を行うこととなる。
なお、上記VBVバッファ87以外のサブピクチャバッファ89、オーディオバッファ92においても同様の動作、すなわち、対応する夫々のパックPのパックヘッダに記述されているSCRのタイミングでトラックバッファ83から読み出して夫々のバッファへの書き込みを行って一フレームに対応する時間が経過後に読み出しを行うことを繰返すと共に、夫々のパックヘッダに記述されているPTSになったら夫々のデータの再生又は表示を行うこととなる。
次に、一のVOBユニット30の長さを、再生時間軸上において0.4秒以上1秒以下としている理由について、これに対応するPCIバッファ94の動作と共に、図16を用いて詳説する。
上述のように、PCIバッファ94は、PCIデータ50と当該PCIデータ50が対応するビデオデータ42、オーディオデータ43又はサブピクチャデータ44等とを同期させ、当該ビデオデータ42、オーディオデータ43又はサブピクチャデータ44等にPCIデータ50を適用させるためのものである。
従って、PCIバッファ94では、当該PCIバッファ94に入力されたPCI信号Spcに含まれるPCIデータ50に対応するビデオ信号Sv 等のデコードが、図11に示すビデオデコーダ88、サブピクチャデコーダ90及びオーディオデコーダ93の夫々において終了するまでの間、入力されたPCIデータ50を保持し、ビデオ信号Sv 等のデコードが完了した時点で当該PCIデータ50をPCIデコーダ95に出力する必要がある。このことから、PCIバッファ94の記憶容量としては、上記ビデオ信号Sv 等のデコードが終了するまでの間に入力される全てのPCIデータ50を夫々個別に保持するだけの容量が必要となる。
ところで、ビデオ信号Sv 等のデコードのための遅延時間は、上述のように最大でも1秒とされ、全てのデコードを1秒以内とすることが、MPEG2方式の規格上定められている。よって、上記PCIバッファ94の最大容量も、1秒間に入力されるPCIデータ50を全て個別に(より具体的には、当該PCIデータ50を格納しているパケット毎に)記憶できるだけの容量が必要となる。
そこで、再生装置S2 においては、上述のように、一のナビパック41と当該一のナビパック41に隣接するナビパック41との間に記録されているデータに対応する再生時間の下限値を0.4秒として、上記ビデオ信号Sv 等のデコード中にPCIバッファ94に入力されるPCIデータ50の数を最大で3個に制限している。このように設定すれば、図16に示すように、ビデオ信号Sv 等のデコードに最大時間を要し、実際に出力されるデータが1秒遅れて出力されても、その間にPCIバッファ94に入力するPCIデータ50の数は3個(図16において、符号PCI1乃至PCI3で示されるPCIデータ50)以下となり、従って、PCIバッファ94の記憶容量も3個分のPCIデータ50に相当する記憶容量のみでよいこととなり、PCIバッファ94を小型化して低コスト化することができるのである。
以上説明したように、実施形態の再生装置S2 によれば、時間情報を含むPCIデータ50を備えたナビパック41がVOBユニット30毎に再生されることにより、再生時間軸上で0.4秒乃至1.0秒に必ず1回はナビパック41が検出されることとなるので、VOBユニット30に映像情報が含まれない静止画のみの再生等の場合であっても、正確に時間管理を行いつつ記録情報Rを再生することができる。従って、静止画再生中であっても、タイトル62の先頭からの再生経過時間を表示することも可能となる。
また、上記ナビパック41がDVD1上の再生すべきVOBユニット30の記録位置を検索するためDSIデータ51をも含むので、記録情報Rの再生時において、正確に再生すべきVOBユニット30の記録位置を迅速に検索して再生することができ、更に、静止画再生しつつ所望の時間経過後の記録情報を検索するタイムサーチ動作も可能となる。
更に、記録情報Rに静止画を含むVOBユニット30に対応するPCIデータ50が当該静止画を再生すべき時間情報(静止画再生終了時刻情報)を含み、更に、静止画再生すべき再生時間内に含まれるVOBユニット30には、静止画のためのフレーム画像を記録する必要なく、ビデオデータ42を除くサブピクチャデータ44及びオーディオデータ43のうち少なくとも一方により構成したり、若しくはナビパック41のみで一のVOBユニット30を構成することも可能であるので、ナビパック41に含まれるPCIデータ50を用いて正確に静止画再生ができると共に、静止画再生する時間に相当する分の静止画情報を記録する必要がなく、DVD1上の記録領域を無駄なく有効に活用できる。
なお、上記の各実施形態においては、MPEG2方式により可変レートで圧縮された情報をDVD1に記録する場合及びその再生について説明したが、これに限らず、再生時においてトラックバッファを使用するものであれば、情報の圧縮方法は固定レート方式であってもよく、圧縮の方式によらず種々の情報の記録及び再生について適用可能である。また、情報記録媒体の形態も上記DVD1に限られるものではない。