JP4137074B2 - セルロースアシレート溶液及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セルロースアシレート溶液及びその製造方法に関するものであり、特に偏光板や液晶表示装置等に用いられるフィルムの原料となるセルロースアシレート溶液及びその製造方法に関する。
セルロースアシレートフィルムは、写真フィルム用やアニメーション用フィルム等の用途に用いられるが、その透明性や適度な透湿性、機械的強度、寸法安定性の湿度及び温度に対する低い依存性等の性質を有することにより、広く光学分野等に用いられている。近年では、液晶ディスプレイの需要の伸びと、その高性能化、大画面化により、この用途における偏光板保護膜としての需要の伸びも著しい。液晶ディスプレイは、最近特に高精細化が進んでいることから、これに用いられるセルロースアシレートフィルムには従来にもまして平滑性の向上や、含有される異物の減少が求められてきている。
このようなセルロースアシレートフィルムは、溶液製膜方法によって製造されていることが多く、この製膜方法によると極めて高い平滑性を有するフィルムが得られる。しかし、その高い平滑性ゆえに、製膜後における巻き取り芯による巻き取りでは、フィルム面同士が接着することがある。これを製品として使用する場合には、巻きほぐす際に、接着したフィルム面同士を剥がすことで過度な応力がこの接着面に加わり、フィルムにはブツ状の変形が生じてしまう。この変形は偏光板保護膜等としての機能を著しく減ずることになる。
この接着を防止するためには、フィルムの表面に適度な粗さを持たせることが必要であって、そのためマット剤と呼ばれる微粒子が含有される。マット剤の適量混入により接着を防止し、変形等の故障を抑制することができる。
マット剤としては、各種の金属酸化物、金属塩、有機物、高分子化合物等が用いられており、これらの中には、凝集して形成された粗大粒子が必ず含まれている。微粒子が、粗大粒子を存在させている状態でフィルムに混入されると異物故障となり、また、これを防止するために濾過処理を施した場合にはフィルタ孔が直ちに閉塞してしまい、安定的な連続生産が不可能となる。そこで、これらの微粒子はそのままで使用されることはほとんどなく、何らかの方法により分散処理を施して、さらなる微粒化を図った上で使用されることが一般的となっている。
これらの微粒子の中には、表面に水酸基が多数存在し、親水性を示すものがある。このような微粒子は、疎水性の溶媒を用いているドープ中では凝集を起こしやすく、例えば二酸化ケイ素(SiO2 )の微粒子がこの現象をあらわす代表的なものである。これを防ぐために、微粒子として、表面にメチル基を有するものを用いることにより、ドープ中での凝集を抑制するという提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。これは、メチル化による疎水化処理である。また、炭素数2〜20のアルキル基を表面に有する微粒子を用いることにより、ドープ中での凝集を抑制するという提案もなされている(例えば、特許文献2参照)。これは、アルキル化による疎水化処理である。
ところで、溶液製膜方法とは、セルロースアシレート及び各種添加剤を溶媒によってドープと呼ばれるセルロースアシレート溶液にしたあと、このドープを流延ダイから支持体へ流延し、自己支持性をもったところで剥ぎ取って、乾燥工程を経てフィルムを得るものである。支持体は連続して回転走行するドラムあるいはバンドとされている。
調製されたドープは、セルロースアシレートや添加剤を溶媒に単純に溶解したままの状態では、不純物やゲル状物(以下、異物と称する。)が溶解しないまま多数混在していることが多い。この状態で流延して製膜すると、これらの異物がフィルム中に混入し、フィルムの面状故障等を引き起こし、商品価値が下がったり、あるいは使用に耐えないものになってしまうこともある。そのため、流延前には1回以上濾過を実施することが一般的となっている。
フィルタとしては、ドープの性状やその要求特性に応じて様々なものが用いられており、濾布や濾紙、金属メッシュ、金属繊維、不織布等が一般的となっている。また、液晶ディスプレイ等のように異物の混入に対してきわめて厳しい基準が設けられる用途とされるセルロースアシレートのドープにおいては、複数の濾過装置を直列に設置して、これらを用いた複段濾過により濾液として得られるドープの性状を向上させることが多い。
ところで、濾過の機構は以下のように説明することができる。すなわち、濾過装置のフィルタとは、極めて狭い流路(以下、フィルタ孔と称する)を有する素材あるいは構造物であって、このフィルタ孔をドープが通過する際に、フィルタ孔の径より大きなものは通過することができずにここで除去される。なお、濾過装置の内部において、フィルタを介して濾過される前の濾過対象物が存在する一方を一次側、濾過された後の濾液が存在する他方を二次側と称する。また、フィルタによっては、フィルタ孔の形状が一様ではなく、複雑に折れ曲がったり、分岐したりしているために、異物のうちフィルタ孔の径より小径のものであってもこれらの曲部や分岐箇所に物理的に引っかかりトラップされることもある。以上のようにしてドープは、異物を濾別されて、清浄化された濾液として得られる。
特開平7−11055号公報(第2−4頁、第2図) 特開2001−2799号公報
しかしながら、二酸化ケイ素等の微粒子表面の上記の疎水化処理については、経時的な凝集現象を完全に抑制することはできず、高精細液晶ディスプレイへの使用には適合性が不十分である。
さらに、ドープ中の微粒子は、ドープの流線に従って流れており、一次側からフィルタへ入るときに、その孔の入り口で流線の間隔が狭まるために微粒子同士の間隔も狭まり、これが凝集をより促進させてしまう。この現象については、上記の疎水化処理によっても完全に防止することができないという問題がある。これは、微粒子の表面を完全に疎水化することが困難であったり、または、上記分散処理の際に、微粒子の内部であった部分が表面に現れて溶媒との界面を構成するようになるためである。
このようにフィルタ中で凝集して形成された粒子の一部は、フィルタ中でトラップされ、濾過を継続していくとフィルタ孔の閉塞率が高まり濾圧が上昇する。上昇して高い濾圧になると、トラップされていた粒子の中には、その圧力でフィルタを離脱して下流側(二次側)に流れ出すことがあるため、この流出物が異物として製品中に包含されて製品価値を減じてしまうという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、溶液製膜方法にてセルロースアシレートを製膜する過程で、ドープの濾過装置の濾圧上昇による異物の二次側流出を防ぐことができるセルロースアシレート溶液とその製造方法であって、具体的には、濾過装置のフィルタを通過する際の固形成分の凝集を抑制することができるセルロースアシレート溶液と、その製造方法とを提供することを目的とする。
本発明では、上記課題を解決するために、微粒子を含有するセルロースアシレート溶液において、前記微粒子がその表面に正の荷電を有し、前記微粒子の一次平均粒子径が0.001μm以上20μm以下であることを特徴として構成されている。
前記微粒子は、二酸化ケイ素であることが好ましく、微粒子の見かけ比重が50g/リットル以上200g/リットル以下であることが好ましい。
また、本発明のセルロースアシレート溶液の製造方法は、セルロースアシレートが溶剤に溶解した第1溶液に、表面に正の荷電を有し一次平均粒子径が0.001μm以上20μm以下である微粒子を分散させて微粒子添加液とする分散工程と、前記微粒子添加剤をセルロースアシレートが溶解している第2溶液に混合してセルロースアシレート溶液とする混合工程と、を有することを特徴として構成されている。
本発明のセルロースアシレート溶液及びその製造方法は、溶液製膜方法によりフィルムとする過程で濾過の際に、濾圧上昇による異物の二次側流出を防ぐことができ、濾過装置のフィルタを通過する際の固形成分の凝集を抑制することができる。
本発明を実施した溶液製膜設備を図1に示す。溶液製膜設備11は、ストックタンク12と、ポンプ13と、濾過装置14と、リザーブタンク17と、製膜装置18と、これらを直列に接続する送液路とで構成されている。また、製膜装置18は、ダイ21と、支持体としてのバンド22と、搬送を担う複数のローラ23と、乾燥装置26と、巻き取り装置27とがその基本構成とされている。なお、本実施形態では、支持体として、バックアップローラ28の回転により連続走行するバンド22としているが、他に一般的なものとしてドラム等を使用することもある。ただし、本発明は、以上の溶液製膜設備に依存するものではない。
ストックタンク12のセルロースアシレート溶液31aは、ポンプ13によって送液され、濾過装置14を通過し、リザーブタンク17にて滞留される。リザーブタンク17から送液されるセルロースアシレート溶液31aは、バンド22の上で自己支持性をもったところでフィルム31bとして剥ぎ取られ、ローラ23にて搬送されながら乾燥装置26に送られる。フィルム31bは、乾燥装置26において複数のローラ23により搬送されながら十分な乾燥処理を施された後、巻き取り装置27に巻き取られる。乾燥装置26においては、テンター装置(図示なし)をここに別途設けて、フィルム31bの幅を規制、または延伸して乾燥を施すこともある。なお、本発明のセルロースアシレート溶液31aには、未溶解物が分散された状態である分散液を含むものであって、溶解前におけるその固形主成分がセルロースアシレートであることを意味している。
セルロースアシレート溶液31aは、セルロースアシレートと各種添加剤等を、溶媒によって溶解または分散されたものとなっている。各種添加剤のひとつとしてマット剤を含有しており、このマット剤としては、微粒子を用いている。なお、マット剤とは、ブロッキング防止剤あるいはキシミ防止剤とも一般には称されているものを含んでいる。
本発明において、セルロースアシレート溶液31aに混在させる微粒子は、その表面に正の荷電を有する。表面を正に帯電させる方法は、各種の微粒子表面の帯電処理として公知の方法を用いることができる。例えば、カチオン性単量体等を微粒子の表面分子に付与させる方法等を用いることができる。また、表面に正の荷電を有しているとは、微粒子の表面の各種官能基等に対し、カチオン性官能基、例えばアミノ基やアンモニウム基、ホスホニウム基、ピリジニウム基などを有する状態等が挙げられる。このように表面に正に帯電させることにより、セルロースアシレート溶液31aを調製の際、または濾過装置のフィルタをこれが通過する際にも、微粒子の凝集が抑制されて、セルロースアシレート溶液、及びこの製膜により得られるフィルム31bの性状が向上される。
表面に正の荷電を有する微粒子としては、無機化合物と有機化合物との両方があるが、無機化合物としては、二酸化ケイ素等のケイ素を含む化合物、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロングチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムがさらに好ましいが、セルロースアシレートフィルムの濁度を低減できる点で二酸化ケイ素等のケイ素誘導体が特に好ましい。
また、同様に、表面に正の荷電を有する微粒子としての有機化合物は、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましい。
本発明において、これらの微粒子をセルロースアシレート溶液31aに添加する方法は限定されるものではない。例えば、セルロースアシレートと溶媒を混合する段階で微粒子を含有させてもよいし、セルロースアシレートと溶媒とで混合溶液を作製した後に微粒子を添加してもよい。更には、セルロースアシレート溶液を流延する直前に微粒子を添加混合してもよい。微粒子の混合は、微粒子それ自身を添加してもよいが、予め溶媒や、好ましくはセルロースアシレートをバインダーとして用いて溶解しておいたり、場合により分散させて安定化した溶液または分散液として用いることも好ましい。
より具体的には、例えば以下に示すような3種類が挙げられる。ひとつは、溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で微粒子分散液とし、セルロースアシレートにこれを加えて撹拌する方法であって、ふたつめの方法としては、溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で微粒子分散液とし、別に溶剤に少量のセルロースアシレートを加え、撹拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて撹拌して得られる微粒子添加液をタンクもしくはインラインミキサーで前記セルロースアシレート添加液と十分混合するものである。三つ目の方法は、溶剤に少量のセルロースアシレートを加えて撹拌溶解し、これに微粒子を加えて分散機で分散して微粒子添加液とする。微粒子添加液をタンクもしくはインラインミキサーでセルロースアシレートの溶解液と十分混合する。
微粒子の一次平均粒子径は、得られるフィルム31bのヘイズを低く抑えるという観点から、好ましくは、0. 001〜20μmであり、より好ましくは0.001〜10μmであり、更に好ましくは0. 002〜1μmであり、特に好ましくは0.005〜0. 5μmである。微粒子の一次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡にて平均粒子径として求められる。微粒子の見掛け比重は、30g/リットル以上が好ましく、更に好ましくは50g/リットル以上200g/リットル以下であり、最も好ましくは50g/リットル以上100g/リットル以下である。
微粒子を溶剤などと混合して分散するときの微粒子の濃度は、適宜設定することが可能であるが、微粒子として例えば二酸化ケイ素を用いた場合には、30質量%以下が好ましく、20質量%がさらに好ましく、1質量%以上10質量%以下が最も好ましい。分散に使用される溶剤は、低級アルコール類、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースアシレートの製膜時に用いられる溶媒を溶剤として用いることが好ましい。
セルロースアシレート溶液や溶媒等に対する微粒子の分散処理に用いる分散機は、メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミルなどを例示することができ、メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型等を例示することができる。高圧分散装置は、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.8MPa以上であることが好ましい。またその際、最高到達速度が100m/秒以上に達するものであって、伝熱速度が420kJ/hr以上に達するものが好ましい。なお、高圧分散装置としてはMicrofluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)あるいはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)社製UHN−01等が挙げられる。
本発明において、セルロースアシレート溶液31aの製造方法としては、常温における溶解が一般的であるが、必要に応じ、冷却溶解法や高温溶解法を適用することができる。
冷却溶解法では、まず、−10〜40℃くらいの室温近辺の温度で、溶媒中にセルロースアシレートと微粒子等の添加剤を同時にあるいは逐次的に、撹拌しながら徐々に添加する。各成分の溶液あるいは分散液をそれぞれ調製してからこれらの液を混合する場合もある。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施することができる。このように冷却すると、セルロースアシレート溶液31aの固形成分と溶媒の混合物は固化する。さらに、これを概ね0〜200℃に加温すると、溶媒中に各成分が流動する溶液となる。昇温は、室温中に放置するだけでもよいし、温浴中で加温してもよい。
高温溶解法では、まず、−10〜40℃くらいの室温近辺の温度で、溶媒中にセルロースアシレートと微粒子等の添加剤を同時にあるいは逐次的に、撹拌しながら徐々に添加する。次に溶媒を概ね0.2MPa〜30aの加圧下で70〜240℃に加熱する。この加熱温度は、80〜220℃とすることが好ましい。次に、加熱した溶液あるいは分散液を、使用した溶媒のうち、最も低い沸点のものの沸点以下に冷却する。一般には、これを−10〜50℃に冷却して常圧に戻す。好ましくは、冷却水等の各種冷媒を用いて、装置冷却により冷却する。
本技術によると、濃縮という手段に頼らずとも高濃度でしかも安定性の優れたセルロースアシレート溶液31aが得られるが、更に溶解し易くするために低い濃度で溶解してから、濃縮手段を用いて濃縮してもよい。濃縮方法としては、特に限定するものはないが、例えば、低濃度溶液を筒体とその内部の周方向に回転する回転羽根外周の回転軌跡との間に導くとともに、溶液との間に温度差を与えて溶媒を蒸発させながら高濃度溶液を得る方法や、加熱した低濃度溶液をノズルから容器内に吹き込み、溶液をノズルから容器内壁に当たるまでの間で溶媒をフラッシュ蒸発させるとともに、溶媒蒸気を容器から抜き出し、高濃度溶液を容器底から抜き出す方法等、公知の方法が適用される。
さらに、本実施形態では、セルロースアシレート溶液を調製した後、これを濾過することにより、フィルムとしての好ましい性状及び光学的性能の発現を図っている。濾過処理は、濾紙や濾布、金属メッシュ、金属繊維、不織布等をフィルタとして用いることができる。また、異物の含有に対して厳しい基準が設けられる用途とされるセルロースアシレートにおいては、複数の濾過装置を直列に設置して、複段濾過によりドープの性状を向上させることが好ましい。
本発明においては、微粒子を添加した状態で濾過を実施することが好ましい。微粒子の一部は、前述したように主たる濾別対象のひとつであり、濾過処理の後に添加した場合には、セルロースアシレート溶液31aの性状向上のための濾過の意義が薄れてしまう。
セルロースアシレート溶液31aの濾過を実施する濾過装置14には、絶対濾過精度が0.1〜100μmのフィルタが用いられおり、さらには絶対濾過精度が0.5〜25μmであるフィルタを用いることが好ましい。フィルタの厚みは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。濾過の際の濾圧は2.0MPa以下が好ましく、より好ましくは1.5MPa以下、最も好ましくは1.0MPa以下で濾過を実施する。
セルロースアシレート溶液31aの濾過は、その溶液粘度が1000Pa・s以下で濾過されるこが好ましく、更に好ましくは500Pa・s以下が好ましく、100Pa・s以下であることが更に好ましく、50Pa・s以下であることが更に好ましい。フィルタの主素材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂等の従来公知である材料を好ましく用いることができ、特にセラミックス、金属等が好ましく用いられる。フィルタ形状は、サーフェースタイプでもデプスタイプでも適用されるが、デプスタイプの方が目詰まりしにくいことからより好ましい。
なお、ひとつのセルロースアシレート溶液31aを、前記の各種支持体に単層液として流延してもよいし、少なくともふたつのセルロースアシレート溶液をそれぞれ調製し、複層形成すべく流延してもよい。複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレート溶液をそれぞれ流延させて逐次的に流延させてもよいし、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を同時流延する方法でもよい。流延方法は、上記のものに限られるものではなく、他の公知の流延方法でもよい。
複層形成のための流延では、複数のセルロースアシレート溶液は、同一の溶液でもよいし、異なる溶液でもよい。また、3層以上の層を有するように流延する場合には、微粒子はその機能上少なくとも最外層に添加されればよいので、最外層を形成するための溶液に含有させて流延するとよい。なお、このような3層以上の形成のときには、最外層の他の任意の層に微粒子が添加されてもよく、すべての層に含有されてもよい。複数のセルロースアシレート層に、それぞれ特有の光学特性等の機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらに、得られたセルロースアシレート溶液とともに、他の機能層である例えば接着層や染料層、帯電防止層、紫外線吸収層、偏光膜層などを同時に、あるいは逐次的に流延することもできる。
本発明においては、セルロースアシレート溶液31aの主溶媒として好ましく用いられる溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる有機溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。さらに、エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、例えば、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であるものとすることが好ましい。
また、炭素原子数が3〜12のエステル類としては、例えば、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートを挙げることができる。
主溶媒としての炭素原子数が3〜12のケトン類には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンを例示することができる。
また、主溶媒としての炭素原子数が3〜12のエーテル類には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールを例示することができる。なお、二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。さらに、ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタンやジクロロメチレン等を例示することができる。
さらに、本発明においては、溶媒としてアルコール類を併用することもできる。アルコールとしては、炭素数1以上8以下のモノアルコールやジアルコールが好ましく、より好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノールを例示することができる。これらは単独で主溶媒に混合しても、あるいは2種以上の混合物として主溶媒に混合しても良い。上記のアルコールの全溶媒量に対する重量比率は、2重量%以上40重量%以下とすることが好ましく、3重量%以上30重量%以下とすることがより好ましく、5重量%以上20重量%以下とすることが最も好ましい。
本発明のセルロースアシレート溶液により得られるセルロースアシレートフィルム31bは、テンター装置等を用いて延伸されたものを含む。セルロースアシレートフィルム31bの延伸処理は、主に、フィルムの面内レターデーション値を高くするために行われるものであって、常温または加熱条件下で実施し、一軸延伸と2軸延伸とのどちらであってもよい。延伸の際の加熱温度は、セルロースアシレートのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルム31bは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。例えば、搬送用のローラ23の速度を調節して、フィルム31bの剥ぎ取り速度よりもフィルム31bの巻き取り速度の方を速くするとフィルム31bは延伸される。フィルム31bの巾をテンター装置で保持しながら搬送して、テンター装置によるフィルム31bの保持巾を徐々に広げることによっても延伸することができる。その他に、フィルム31bの乾燥後に、ロング延伸機等の延伸機を用いて延伸することもできる。
本発明により得られるセルロースアシレートフィルム31bの厚みは、使用目的によって異なるものであって限定されるものではない。フィルム31bの厚みの調整は、セルロースアシレート溶液31aに含まれる固形分濃度やダイ21の先端のスリット間隙、ダイ21からの押し出し圧力、バンド22の走行速度、ダイ21からのセルロースアシレート溶液31aの吐出流量等を調節することにより実施することができる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実験1〕
以下の配合からなる分散液を、体積平均粒子径が0.5μmになるようにアトライタにて精密分散を行い、微粒子分散液を得た。体積平均粒子径は、堀場製作所製粒度分布測定装置LA920で測定した。なお以下に記した二酸化ケイ素の微粒子は、その表面に正の荷電を有するものである。
・二酸化ケイ素微粒子 2.00重量%
(アエロジルRA200HS、日本アエロジル(株)製)
・セルローストリアセテート(酢化度61.0%) 2.00重量%
・トリフェニルフォスフェート(TPP) 0.16重量%
・ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.08重量%
・ジクロロメタン 88.10重量%
・メチルアルコール 7.66重量%
下記の配合の固形分に、ジクロロメタンとメチルアルコールの重量比率が92:8の混合溶媒を添加し、攪拌溶解して、固形分濃度が18.5重量%のセルロースアシレート溶液の基材を調製した。この基材100重量部に対して上記微粒子分散液を6.5重量部添加した。これを攪拌混合し、セルロースアシレート溶液31aとし、これを濾紙(#63、東洋濾紙(株)製)にて濾過した。
・セルローストリアセテート(酢化度61.0%) 89.3重量%
・トリフェニルフォスフェート(TPP) 7.1重量%
・ビフェニルジフェニルフォスフェート 3.6重量%
上記の方法で得られたセルロースアシレート溶液31aを、図1に示すようにストックタンク12に詰めて濾過装置14で濾過した後、リザーブタンク17に送った。濾過装置14のフィルタとしては、金属製フィルタ(型番;06N、公称孔径10μm、日本精線製)を用いている。ポンプ13については、濾過装置での濾圧がセルロースアシレート溶液の送液開始時において0.3×106 Paとなるように、流量設定した。
セルロースアシレート溶液31aを、バンド22の上に流延し、乾燥させて剥ぎ取り、さらに乾燥処理を施して、厚みが約80μmのフィルム31bを得た。得られたフィルム31bの0.1m2 をサンプリングし、平坦な台の上に広げ、目視で異物数を数えた。さらに、異物が存在しない部位、及び異物について、これをミクロトームを用いて切片として取り出し、元素分析計(XMA)を用いてそれぞれの元素分析を実施した。異物を元素分析した結果により、異物が存在しない部位に比べて、ケイ素含有量が多い異物と、ケイ素含有量が同量以下である異物とに分類した。この結果については表1に示しているが、前者を異物数Aとし、後者を異物数をBとしている。なお、表1において、濾過装置14での濾圧が0.4×106 Paに上昇したときにサンプリングしたセルロースアシレート溶液31aを溶液Xとし、1.0×106 Paに上昇したときのセルロースアシレート溶液31aを溶液Yとしたときに、表1において、溶液Xを製膜したものをサンプルXとし、溶液Yを製膜したものをサンプルYとしている。
Figure 0004137074
〔比較実験1〕
二酸化ケイ素微粒子をアエロジルR972(日本アエロジル(株)製)とした他は、実験1と同様に実施した。結果は実験1とともに表1に示す。
本実施例1によると、濾圧が0.4×106 Paと低いときのセルロースアシレート溶液31aを製膜したサンプルXでは、微粒子表面の正荷電の有無に関して、ケイ素が多く検出される異物の数に差はほとんどない。しかし、濾圧が上がり1.0×106 Paとなった際のセルロースアシレート溶液31aを製膜したサンプルYでは、微粒子表面に正荷電を有するものに比べ、無いものは、ケイ素含有の異物の数が増加している。サンプルXとサンプルYの変動因子は濾圧のみであるので、表面に正荷電を有するものを用いた場合のほうが、無いものよりも用いたものよりも優れていることがわかる。これは、表面に正の荷電を有する微粒子を用いることにより、微粒子がフィルタ内部では凝集せず、したがって、濾圧が上昇しても2次側へ凝集微粒子が流出するようなことは起こらないためと考えられる。
本発明の実施形態である溶液製膜設備の概略図である。
符号の説明
11 溶液製膜設備
14 濾過装置
31a セルロースアシレート溶液
31b セルロースアシレートフィルム

Claims (4)

  1. 微粒子を含有するセルロースアシレート溶液において、
    前記微粒子がその表面に正の荷電を有し、
    前記微粒子の一次平均粒子径が0.001μm以上20μm以下であることを特徴とするセルロースアシレート溶液。
  2. 前記微粒子が、二酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1記載のセルロースアシレート溶液。
  3. 前記微粒子の見かけ比重が50g/リットル以上200g/リットル以下であることを特徴とする請求項1または2記載のセルロースアシレート溶液。
  4. セルロースアシレートが溶剤に溶解した第1溶液に、表面に正の荷電を有し一次平均粒子径が0.001μm以上20μm以下である微粒子を分散させて微粒子添加液とする分散工程と、
    前記微粒子添加剤をセルロースアシレートが溶解している第2溶液に混合してセルロースアシレート溶液とする混合工程と、
    を有することを特徴とするセルロースアシレート溶液の製造方法。
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