JP4135818B2 - 炭化水素の部分酸化用触媒および炭化水素の部分酸化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素を部分酸化するための部分酸化用触媒、および、上記部分酸化用触媒を用いて炭化水素を酸素および水素の存在下で部分酸化する炭化水素の部分酸化方法に関するものである。さらに詳しくは、オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造するための触媒として好適に用いられるとともに、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを製造するための触媒としても好適に用いられるチタン含有金属酸化物に金を担持した部分酸化用触媒、および、オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造する方法として好適であり、また、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを製造する方法としても好適な上記部分酸化用触媒を用いる部分酸化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、炭化水素の部分酸化方法として、オレフィン系炭化水素を部分酸化して対応するエポキシドを直接的に製造する方法が実施されているが、その多くは、過酸化水素や有機過酸、塩素化合物等の酸化剤を使用している。
【0003】
これに対し、酸素を用いる部分酸化反応によってオレフィン系炭化水素からエポキシドを直接的に製造する方法は、上記の酸化剤と比較して安価な酸素を使用することから、極めて有益であるが、エチレンオキシドの製法以外では、ほとんど実施されていない。特に、プロピレンを酸素酸化してプロピレンオキシドを製造する方法およびそれに用いる触媒については、多くの提案がなされているが、従来の一般的な触媒は、選択性が低い等、性能的に問題があり、実用に供されるに至っていない。
【0004】
そこで、プロピレンを酸素酸化してプロピレンオキシドを製造する方法としては、一般に、クロロヒドリン法やハルコン法、過酢酸法等の直接酸化法等が用いられている。ところが、これらの製造方法は、反応工程が二工程(二段階)になると共に、副生成物(併産物)が生成するという問題点を有している。
【0005】
このため、より簡単かつ効率的な製造方法が求められており、オレフィン系炭化水素であるプロピレンを直接、酸素酸化(部分酸化)してプロピレンオキシドを製造する方法、および、該製造方法に供される触媒が種々提案されている。
【0006】
例えば、本願発明者等は、特開平8−127550号公報において、分子状水素および金−酸化チタン含有触媒の存在下で不飽和炭化水素を酸素酸化してエポキシドを製造する方法を提案している。上記方法によれば、エポキシドを高い選択性で得ることで得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本願発明者等が見い出した上記の金−酸化チタン含有触媒は、選択率が高いものの、活性が低い。このため、該触媒を用いる上記の炭化水素の部分酸化方法は、不飽和炭化水素からエポキシドへの転化率が3%以下と低い。従って、上記従来の方法は、実用化するには更なる改良を要するという課題を有している。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、水素および酸素の存在下で炭化水素を部分酸化することで、オレフィン系炭化水素からエポキシドを、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを、それぞれ製造する反応に対する活性や選択性に優れた炭化水素の部分酸化用触媒を提供することにある。また、本発明の他の目的は、オレフィン系炭化水素からエポキシドを、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを、それぞれ高選択率かつ高転化率で得ることができる炭化水素の部分酸化方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、水素および酸素の存在下で炭化水素を部分酸化することで、オレフィン系炭化水素からエポキシドを、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを、それぞれ製造する反応に供される炭化水素の部分酸化用触媒、並びに、水素および酸素の存在下で炭化水素を部分酸化することで、オレフィン系炭化水素からエポキシドを、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを、それぞれ製造する炭化水素の部分酸化方法について鋭意検討した。その結果、金と、チタン含有金属酸化物と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種とを含み、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の含有量は、触媒全体重量に対して、金属単体として0.01重量%〜2重量%の範囲内である炭化水素の部分酸化用触媒が、水素および酸素の存在下で炭化水素を部分酸化することで、オレフィン系炭化水素からエポキシドを、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを、それぞれ製造する反応に対する活性や選択性に優れていることを確認した。
【0010】
また、上記の部分酸化用触媒を用いて、酸素および水素の存在下で炭化水素を部分酸化することにより、オレフィン系炭化水素からエポキシドを、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを、それぞれ高選択率かつ高転化率で得ることができることを見い出して、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち、請求項1記載の発明の炭化水素の部分酸化用触媒は、上記の課題を解決するために、オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造するための炭化水素の部分酸化用触媒であって、金と、チタン含有金属酸化物と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種とを含み、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の含有量は、触媒全体重量に対して、金属単体として0.01重量%〜2重量%の範囲内であり、金の担持量が0.02重量%〜0.5重量%の範囲内であることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、水素および酸素の存在下でオレフィン系炭化水素を部分酸化することで、オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造する反応に対する活性や選択性に優れた部分酸化用触媒を提供することができる。従って、上記構成の部分酸化用触媒は、オレフィン系炭化水素の部分酸化によってエポキシドを製造するための触媒として、好適に用いることができる。
【0013】
しかも、上記構成によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種によって経時的劣化が抑制されるので、寿命安定性に優れた触媒を提供することができる。
【0014】
また、請求項4記載の発明の炭化水素の部分酸化方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の部分酸化用触媒を用いて、オレフィン系炭化水素を、酸素および水素の存在下で、部分酸化することで、オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造することを特徴としている。
【0015】
上記の方法によれば、オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造する炭化水素の部分酸化反応を高選択率かつ高転化率で行うことができる。
【0016】
しかも、上記方法によれば、寿命安定性に優れた触媒を用いるので、エポキシドや、アルコールおよび/またはケトンを、それぞれ長時間にわたって安定的に、高選択率かつ高転化率で製造することができる。
【0017】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明にかかるオレフィン系炭化水素からエポキシドを、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを、それぞれ製造するための炭化水素の部分酸化用触媒(以下、単に触媒と記す)は、金と、チタン含有金属酸化物と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含んでいる。
【0018】
上記の金は、直径10ナノメートル(nm)以下の粒子径を有する粒子、即ち、いわゆる超微粒子が好適である。また、上記の金は、チタン含有金属酸化物に担持されていることが望ましい。
【0019】
触媒における金の担持量は、0.001重量%以上が好ましく、0.005重量%〜5重量%の範囲内がより好ましく、0.01重量%〜1重量%の範囲内がさらに一層好ましく、0.02重量%〜0.5重量%の範囲内が最も好ましい。金の担持量が0.001重量%より少ないと、触媒の活性が低下するので好ましくない。一方、金の担持量を5重量%より多くしても、金を上記の範囲内で担持させた場合と比較して、触媒の活性の更なる向上が望めず、金が無駄になるので好ましくない。
【0020】
上記のチタン含有金属酸化物は、チタンを含有する金属酸化物であればよく、特に限定されるものではない。即ち、チタン含有金属酸化物は、チタニア(即ち、二酸化チタン:TiO2)、および/または、チタンを含む複合酸化物(以下、チタン含有複合酸化物と称する)を含んでいればよく、必要に応じて、チタンを含まない金属酸化物、例えば、アルミナ、シリカ等を含んでいてもよい。
【0021】
上記のチタニアとしては、特に限定されるものではないが、非晶質またはアナターゼ型の結晶構造を有するチタニアが望ましい。また、上記のチタン含有複合酸化物としては、例えば、チタニア−ジルコニア、チタニア−ジルコニア、FeTiO3 、CaTiO3 、SrTiO3 等のチタンと他の金属との複合酸化物;チタノシリケート等のチタンがゼオライト格子内に組み込まれたゼオライト系化合物等が挙げられる。チタニアやチタン含有複合酸化物の形状は、特に限定されるものではなく、粉体状で用いてもよく、他の各種の形状に成形して用いてもよい。
【0022】
また、上記のチタニアおよび/またはチタン含有複合酸化物は、触媒の活性を向上させるために、担体(支持体)に担持(固定)させた状態で用いることが好ましい。
【0023】
上記担体としては、チタンを含まない金属酸化物や各種金属からなる担体を用いることができる。上記担体としては、具体的には、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、シリカ(二酸化ケイ素:SiO2)、マグネシア(酸化マグネシウム:MgO)、コージエライト、酸化ジルコニウム、および、これらの複合酸化物等からなるセラミックス;ゼオライト等の結晶性メタロシリケート;各種金属からなる発泡体;各種金属からなるハニカム担体;各種金属のペレット等が挙げられる。
【0024】
上記担体は、アルミナおよび/またはシリカを含有することがより好ましく、シリカを含有することが特に好ましい。ここで、「アルミナおよびシリカを含有する」とは、ゼオライト(アルミノシリケート)やシリカアルミナを含有する場合も含むこととする。
【0025】
上記担体の結晶構造、形状、大きさ等は、特に限定されるものではないが、担体の比表面積は、50m2 /g以上であることが好ましく、100m2 /g以上であることがより好ましい。担体の比表面積を50m2 /g以上にすることにより、触媒の性能がより一層向上する。つまり、逐次酸化等の副反応がより一層抑制され、効率的に炭化水素を部分酸化することができる。尚、錯体等のチタン化合物を担体に担持した後、焼成することにより、該担体上にチタンあるいはチタン含有複合酸化物を担持することもできる。
【0026】
触媒におけるチタンの含有量は、TiO2 に換算して、0.1重量%〜20重量%の範囲内が好ましく、0.5重量%〜10重量%の範囲内がより好ましい。チタンの含有量が0.1重量%(TiO2 換算)よりも少ないと、触媒の活性が低下するので好ましくない。一方、チタンの含有量を20重量%(TiO2 換算)より多くしても、チタンを上記の範囲内で含有させた場合と比較して、触媒の活性の更なる向上は殆ど望めない。
【0027】
本発明にかかる触媒は、上記の金およびチタン含有金属酸化物に加えて、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいる。上記のアルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs、Frを用いることができ、上記のアルカリ土類金属としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raを用いることができる。
【0028】
上記元素としては、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも1種、あるいは、Mg、Ca、Sr、およびBaからなる群より選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。これにより、触媒の性能がより一層向上する。つまり、逐次酸化等の副反応がより一層抑制され、効率的に炭化水素を部分酸化することができる。
【0029】
上記の元素は、触媒中において、金属単体として存在していてもよく、他の成分、例えば、チタン含有金属酸化物の結晶構造中に取り込まれていてもよい。また、上記の元素は、前記の担体(支持体)に含まれていてもよいが、その場合は上に示した効果は期待できない。従って、担体(支持体)を別途使用する場合には、担体(支持体)に含まれる上記の元素(例えば、マグネシア担体におけるアルカリ土類金属であるMg)の量は、効果が期待される含有量の規定から除外されるものとする。
【0030】
触媒におけるアルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素(以下、適宜、特定元素と称する)の含有量は、触媒全体重量に対して、金属単体として、0.01重量%〜2重量%の範囲内である。但し、別途使用される前記の担体に含まれるこれら特定元素は、この含有量の規定から除外される。
【0031】
上記の特定元素の担持量が0.001重量%より少ないと、特定元素を添加したことによる効果が認められなくなるので、好ましくない。一方、上記の特定元素の担持量が20重量%より多くなると、上記の範囲内で特定元素を添加した場合と比較して、もはや特定元素を添加したことによる効果が認められず、むしろ触媒性能の低下をきたすので、好ましくない。
【0032】
次に、触媒の調製方法について説明する。
触媒の調製方法は、金と、チタン含有金属酸化物と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含む構成となるように調製する方法であればよく、特に限定されるものではない。
【0033】
触媒の調製方法としては、特に限定されるものではないが、金超微粒子をチタン含有金属酸化物に担持させて金超微粒子とチタン含有金属酸化物とからなる触媒(以下、金超微粒子−チタン含有金属酸化物触媒と称する)を調製した後、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を上記金超微粒子−チタン含有金属酸化物触媒に担持させる方法;チタン含有金属酸化物に上記特定元素を担持させた後に、金超微粒子をチタン含有金属酸化物に担持させる方法;チタン含有金属酸化物に対して、金超微粒子を担持させると同時に上記特定元素を担持させる方法等が挙げられる。
【0034】
触媒の調製方法としては、上記例示のうち、第2、3の方法、即ち、金超微粒子をチタン含有金属酸化物に担持させる前に、あるいは、金超微粒子をチタン含有金属酸化物に担持させると同時に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を上記金超微粒子−チタン含有金属酸化物触媒に担持させる方法がより好ましい。
【0035】
金超微粒子をチタン含有金属酸化物に担持させて金超微粒子−チタン含有金属酸化物触媒を調製した後、上記特定元素を添加する第1の方法において、金超微粒子をチタン含有金属酸化物に担持させる方法としては、例えば、金または金化合物を用いる、析出沈澱法、共沈法、含浸法、化学蒸着法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0036】
金超微粒子をチタン含有金属酸化物に担持させて金超微粒子−チタン含有金属酸化物触媒を調製する方法としては、具体的には、例えば、チタニアおよび/またはチタン含有複合酸化物を担体に担持させた後、上記担体を金化合物を含む水溶液に浸漬し、該担体上に金沈澱物を析出させる方法;チタニアおよび/またはチタン含有複合酸化物からなる担体を金化合物を含む水溶液に浸漬し、該担体上に金沈澱物を析出させる方法等を採用することができる。これらの担持方法により、金超微粒子が、比較的均一な分布でもって、担体上に強固に固定化される。金超微粒子と酸化チタンとを担体に別個に担持させる場合には、酸化チタンを担持させた後、金を担持させる方法が好適である。
【0037】
また、チタニアおよび/またはチタン含有複合酸化物を、シリカやアルミナ等の担体に担持させる方法としては、析出沈澱法、共沈法、含浸法、コーティング、或いは、いわゆる島状構造をなすように分散することにより、担持させることもできる。
【0038】
上記の金化合物は、水溶性であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、塩化金酸を用いることができる。水溶液の温度は、特に限定されるものではないが、30℃〜80℃程度が好適である。また、この場合、必要に応じて、水溶液のpHを6〜10の範囲内に調節してもよく、さらに、触媒における金の担持量を多くするためや、金超微粒子の粒子径を小さくするために、上記水溶液に界面活性剤や、カルボン酸および/またはその塩を添加してもよい。
【0039】
該界面活性剤としては、具体的には、例えば、炭素数が8以上の長鎖アルキル(アリール)スルホン酸およびその塩、長鎖アルキル(アリール)カルボン酸およびその塩等が挙げられる。また、該カルボン酸およびその塩としては、具体的には、例えば、クエン酸およびそのナトリウム塩やマグネシウム塩等が挙げられる。
【0040】
上記の第1の方法において、金超微粒子−チタン含有金属酸化物触媒に上記特定元素を添加する方法としては、含浸法等の従来より一般に用いられている方法が使用できる。含浸法を用いる場合には、具体的には、上記特定元素を含有する水溶液、例えば、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ルビジウム等のアルカリ金属炭酸塩の水溶液に、金超微粒子−チタン含有金属酸化物触媒の粉体または成形体を浸し、水を留去することで特定元素を強制的に金超微粒子−チタン含有金属酸化物触媒に担持させればよい。
【0041】
チタン含有金属酸化物に上記特定元素を添加した後に、金超微粒子をチタン含有金属酸化物に担持させる第2の方法としては、例えば、チタン含有金属酸化物に上記特定元素を含浸させる方法等により得られた特定元素を含むチタン含有金属酸化物に対して、金または金化合物を用いて、析出沈澱法、共沈法、含浸法、化学蒸着法等により金超微粒子を担持させる方法等を用いることができる。
【0042】
尚、チタン含有金属酸化物に上記特定元素を含浸させて特定元素を含むチタン含有金属酸化物を得る方法としては、上記特定元素を含有する水溶液、例えば、アルカリ金属炭酸塩の水溶液に、チタン含有金属酸化物の粉体または成形体を浸して、水を留去する方法等を用いることができる。
【0043】
また、特定元素を含むチタン含有金属酸化物は、シリカ等の担体に対して、チタニアおよび/またはチタン含有複合酸化物と、上記特定元素を含有する酸化物、例えば、酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の酸化物とを同時に担持させる方法によっても得ることができる。
【0044】
チタン含有金属酸化物に金超微粒子を担持させると同時に上記特定元素を添加する第3の方法としては、例えば、金化合物の水溶液のpHを中和剤によって調節した後にチタン含有金属酸化物を投入する析出沈澱法によって金をチタン含有金属酸化物に担持させる際に、pHを調節する中和剤として、上記特定元素を含有する水溶液(例えば、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液)を用いる方法等が挙げられる。
【0045】
以上のように、本発明にかかる炭化水素の部分酸化用触媒は、オレフィン系炭化水素からエポキシドを、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを、それぞれ製造するための炭化水素の部分酸化用触媒であって、金と、チタン含有金属酸化物と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種とを含んでいる。
【0046】
上記の構成によれば、水素および酸素の存在下でオレフィン系炭化水素を部分酸化することで、オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造する反応、水素および酸素の存在下で飽和炭化水素を部分酸化することで、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを、それぞれ製造する反応に対する活性や選択性に優れた部分酸化用触媒を提供することができる。従って、上記構成の部分酸化用触媒は、オレフィン系炭化水素の部分酸化によってエポキシドを製造するための触媒として、あるいは、飽和炭化水素の部分酸化によってアルコールおよび/またはケトンを製造するための触媒として、好適に用いることができる。
【0047】
本発明にかかる炭化水素の部分酸化方法は、上記の触媒を用いて、酸素および水素の存在下でオレフィン系炭化水素を部分酸化することで、オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造する方法、あるいは、上記の触媒を用いて、酸素および水素の存在下で飽和炭化水素を部分酸化することで、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを、それぞれ製造する方法である。
【0048】
これによれば、炭化水素としてオレフィン系炭化水素を用いることにより、オレフィン系炭化水素の二重結合が選択的に酸化されて、エポキシドが選択的に生成される。また、炭化水素として飽和炭化水素を用いることにより、飽和炭化水素の二級炭素−水素結合および三級炭素−水素結合が選択的に酸化される。即ち、上記の部分酸化反応における飽和炭化水素の炭素−水素結合の反応性の順序は、「三級炭素>二級炭素>一級炭素」であり、一級炭素−水素結合は、殆ど酸化されない。そして、二級炭素−水素結合が酸化されることにより、ケトンが主に生成し、三級炭素−水素結合が酸化されることにより、アルコールが主に生成する。
【0049】
上記の飽和炭化水素は、特に限定されるものではないが、炭素数3〜12の化合物がより好ましい。該飽和炭化水素としては、具体的には、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、シクロブタン、n−ペンタン、2−メチルブタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、シクロヘキサン、2−エチルヘキサン、n−オクタン等が挙げられる。
【0050】
上記のオレフィン系炭化水素は、オレフィン二重結合を有する炭化水素であればよく、特に限定されるものではないが、炭素数2〜12の化合物がより好ましい。該オレフィン系炭化水素としては、具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、α−メチルスチレン等の末端オレフィン類;2−ブテン、2−ペンテン、シクロペンテン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、シクロヘキセン、1−メチル−1−シクロペンテン、3−メチル−1−シクロペンテン等の内部オレフィン類;1,3−ブタジエン等のジエン類等が挙げられる。
【0051】
本発明にかかる部分酸化方法では、炭化水素として上記例示のオレフィン系炭化水素を用いることにより、各々、対応するエポキシドとして、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2−メチル−1,2−エポキシプロパン、1,2−エポキシペンタン、2−メチル−1,2−エポキシブタン、3−メチル−1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、2−メチル−1,2−エポキシペンタン、3−メチル−1,2−エポキシペンタン、4−メチル−1,2−エポキシペンタン、(1,2−エポキシエチル)ベンゼン(即ち、スチレンオキシド)、(1−メチル−1,2−エポキシエチル)ベンゼン;2,3−エポキシブタン、2,3−エポキシペンタン、1,2−エポキシシクロペンタン(即ち、シクロペンテンオキシド)、2,3−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘキサン、1,2−エポキシシクロヘキサン(即ち、シクロヘキセンオキシド)、1−メチル−1,2−エポキシシクロペンタン、3−メチル−1,2−エポキシシクロペンタン;1,2−エポキシブテンが得られる。
【0052】
炭化水素を部分酸化する反応は、気相で行うことが望ましいが、液相で行うこともできる。以下の説明においては、上記の反応を気相で行う場合を例に挙げることとする。
【0053】
触媒の使用量は、例えば、金およびチタンの含有量や、炭化水素の種類、反応条件等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、反応時の炭化水素の空間速度(SV)が、触媒1g当たり100hr-1・ml〜10,000hr-1・mlの範囲内となる量が好適である。
【0054】
水素は、還元剤として作用する。水素の使用量は、特に限定されるものではないが、水素と炭化水素との体積比(水素/炭化水素)が1/10〜100/1の範囲内となる量が好適である。そして、水素の割合が多いほど、反応速度が大きくなるので、上記の体積比は、100/1に近い方がより好ましい。尚、水素が存在しない場合には、炭化水素は、完全酸化されて二酸化炭素および水となる。従って、この場合には、アルコールやケトン、エポキシドを得ることができない。
【0055】
炭化水素を部分酸化する反応は、炭化水素、酸素(分子状酸素)、および水素を含む原料ガスと、触媒とを接触させることにより進行する。従って、反応方法としては、例えば、反応装置に触媒を充填し、該反応装置内に上記の原料ガスを流通させる方法が好適である。これにより、アルコールおよび/またはケトン、或いは、エポキシド(以下、これらを目的物と称する)を含む生成ガスを得ることができる。尚、反応方式は、特に限定されるものではないが、上記の反応がいわゆる気相不均一触媒反応であるので、連続方式が好適である。また、原料ガスは、必要に応じて、窒素やヘリウム、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガスを含んでいてもよい。つまり、炭化水素は、必要に応じて、不活性ガスによって希釈されていてもよい。
【0056】
反応温度は、炭化水素の種類等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、該炭化水素や目的物が気体として存在し得る温度、例えば、0℃〜300℃の範囲内が好適であり、100℃〜250℃の範囲内が最適である。反応温度が極端に高い場合には、炭化水素や目的物の燃焼反応、即ち、二酸化炭素および水の生成が起こり易くなると共に、燃焼される水素の量が増加する。従って、目的物を効率的に製造することができなくなる。しかしながら、反応温度を比較的高く維持することにより、部分酸化反応も効率的に進行するため、本発明においては、反応温度を100℃以上とすることが好ましい。本発明においては、反応温度を100℃以上の高温にしても、炭化水素や目的物の燃焼反応を抑制することができる。
【0057】
また、反応圧力は、反応温度等の反応条件に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、炭化水素や目的物が気体として存在し得る圧力が望ましく、0.05MPa〜5MPaの範囲内が好適である。反応時間は、反応温度や反応圧力等の反応条件に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0058】
尚、炭化水素を部分酸化する反応を液相で行う場合には、反応温度は、該炭化水素や目的物が液体として存在し得る温度、例えば、0℃〜100℃の範囲内が好適である。また、反応圧力は、炭化水素や目的物が液体として存在し得る圧力とすればよい。或いは、反応に対して不活性な溶媒を用いて、上記の反応を液相で行うこともできる。溶媒を用いる反応方法としては、例えば、触媒を溶媒に懸濁させてなる懸濁液に前記の原料ガスをバブリングさせる方法が好適である。該溶媒としては、具体的には、例えば、ベンゼン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0059】
以上のように、本発明にかかる炭化水素の部分酸化方法は、金と、チタン含有金属酸化物と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種とを含み、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の含有量は、触媒全体重量に対して、金属単体として0.01重量%〜2重量%の範囲内である触媒を用いて、オレフィン系炭化水素を、酸素および水素の存在下で部分酸化することで、オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造する方法、あるいは、上記の触媒を用いて飽和炭化水素を酸素および水素の存在下で部分酸化することで、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを製造する方法である。
【0060】
上記方法によれば、触媒に含まれる、金、チタン含有金属酸化物、並びに、触媒全体重量に対して金属単体として0.01重量%〜2重量%の範囲内であるアルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の相乗効果により、簡単かつ効率的に、オレフィン系炭化水素を部分酸化することでオレフィン系炭化水素からエポキシドを、飽和炭化水素を部分酸化することで飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを、それぞれ製造することができる。これにより、一工程(一段階)で、オレフィン系炭化水素からエポキシドを、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを、それぞれ、高選択率かつ高転化率で得ることができる。
【0061】
上記触媒におけるアルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の添加効果は、特に、エポキシド生成の活性、およびエポキシドの選択性を向上させるという点にある。
【0062】
その作用原理は、今のところ不明であるが、上記特定元素を添加していない触媒を用いてオレフィン系炭化水素のエポキシ化反応を行うと、エポキシドが異性化して生成したと思われるアルデヒドやケトンといった化合物の生成割合が増加したり、また、水素の転化率が上昇するなどの傾向があるという知見が得られている。このため、上記特定元素の作用原理としては、塩基性を示す上記の特定元素の添加により担体の持つ強酸点が被毒を受けて、エポキシドの異性化反応等の逐次的な副反応が抑制されるということや、また、上記特定元素の存在によって触媒表面の物性が改質されて水素の反応性が向上すること等が考えられる。なお、強酸によってエポキシドの異性化反応が進行することは、一般的にもよく知られていることである。
【0063】
また、上記特定元素の添加効果として、その他にも、触媒の寿命安定性を向上させる効果が挙げられる。即ち、上記特定元素の添加により、副生成物の生成が抑制されることによって、副生成物に起因すると思われる樹脂状物が触媒表面に蓄積することが抑制され、結果的に触媒の経時的劣化が抑制されるという副次的効果がもたらされるのである。
【0064】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0065】
〔実施例1〕
まず、チタニルアセチルアセトナート(同仁化学株式会社製)3.28gを含むメタノール溶液150mlに、担体としてのシリカ(商品名「キャリアクトQ−10」、富士シリシア化学株式会社製;比表面積326m2 /g、直径0.84mm〜1.7mmの球状粒子)100gを浸漬した後、温水浴上で攪拌しながら、シリカ表面が完全に乾燥状態となるまでメタノールを留去した。そして、残渣として得られた固形物を、120℃で12時間乾燥させた後、空気中、600℃で3時間焼成することにより、チタニアを担持したシリカ担体を得た。該シリカ担体におけるチタニアの担持量は、1重量%であった。
【0066】
次に、塩化金酸0.69gを含む水溶液2000mlを70℃に加熱し、水酸化ナトリウム水溶液を用いて該水溶液のpHを9に調節した。その後、この水溶液を攪拌しながら、前記のチタニアを担持したシリカ担体40gを投入し、70℃で1時間攪拌した後、得られた懸濁液を静置して固形物を沈澱させた。
【0067】
そして、この固形物を含む水溶液から上澄みを除去し、得られた固形物を、1000mlの水で3回水洗した後、濾過した。そして、この未乾燥の固形物を4等分し、4つの固形物(以下、固形物(1)と記す)を得た。
【0068】
次に、固形物(1)のうちの1つについて、次の処理を施した。即ち、固形物(1)を炭酸ナトリウム0.115gを含む水溶液に浸し、温浴上にてよく攪拌して固形物表面が完全に乾燥するまで水分を留去した。そして、該固形物をさらに120℃で12時間かけて乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニアを担持したシリカ担体に金超微粒子が担持された触媒(以下、触媒(A)と記す)を得た。
【0069】
触媒(A)に含まれるナトリウムおよび金の含有量を、蛍光X線分析により測定したところ、ナトリウムの含有量は0.585重量%、金の含有量は0.148重量%であった。
【0070】
〔実施例2〕
実施例1で得た固形物(1)の他の1つを、炭酸ナトリウム0.046gを含む水溶液に浸し、温浴上にてよく攪拌して固形物表面が完全に乾燥するまで水分を留去した。そして、該固形物をさらに120℃で12時間かけて乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニアを担持したシリカ担体に金超微粒子が担持された触媒(以下、触媒(B)と記す)を得た。
【0071】
触媒(B)に含まれるナトリウムおよび金の含有量を、蛍光X線分析により測定したところ、ナトリウムの含有量は0.292重量%、金の含有量は0.150重量%であった。
【0072】
〔実施例3〕
実施例1で得た固形物(1)のさらに他の1つを、120℃で12時間かけて乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニアを担持したシリカ担体に金超微粒子が担持された触媒(以下、触媒(C)と記す)を得た。
【0073】
触媒(C)に含まれるナトリウムおよび金の含有量を、蛍光X線分析により測定したところ、ナトリウムの含有量は0.115重量%、金の含有量は0.153重量%であった。
【0074】
〔比較例1〕
実施例1で得た固形物(1)のさらに他の1つを、pH4の炭酸水溶液300mlを用いて3回洗浄し、さらに、300mlの水で1回洗浄した。そして、洗浄後の該固形物を120℃で12時間かけて乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニアを担持したシリカ担体に金超微粒子が担持された触媒(以下、触媒(D)と記す)を得た。
【0075】
触媒(D)に含まれるナトリウムおよび金の含有量を、蛍光X線分析により測定したところ、金の含有量は0.153重量%であったが、ナトリウムは検出されなかった。
【0076】
〔実施例4〕
実施例1で得た触媒(A)を用いて、オレフィン系炭化水素としてのtrans−2−ブテンの部分酸化反応を行った。即ち、まず、上記触媒(A)1gを、内径10mmのガラス製反応器に充填して、触媒層とした。そして、上記触媒層の温度を180℃に加熱(即ち、反応温度は180℃)した状態で、水素、酸素、trans−2−ブテン、およびアルゴンからなる、体積比(水素/酸素/trans−2−ブテン/アルゴン)が20/5/20/55の混合ガスを、該反応器内に流速4000ml/hrで流通させて反応を行った。
【0077】
反応開始30分後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した。その結果、trans−2−ブテンの転化率は4.4%、エポキシドである2,3−エポキシブタンの選択率は96%、水素の転化率は15.8%であり、2,3−エポキシブタンの空時収率は、触媒1kg当たり108.6g/hr、金1g当たり73.4g/hrであった。これらの結果を、触媒におけるナトリウムおよび金の含有量とともに、表1に示す。
【0078】
また、反応開始50時間後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィを用いて、その組成を分析した。その結果、触媒1kg当たりの2,3−エポキシブタンの空時収率は、前述の30分後の空時収率に比べて29%低下している、即ち、30分後の空時収率の71%であることが分かった。
【0079】
〔実施例5〕
実施例2で得た触媒(B)を用いて、実施例4と同様の操作で、trans−2−ブテンの部分酸化反応を行った。得られた結果を、触媒におけるナトリウムおよび金の含有量とともに、表1に示す。
【0080】
〔実施例6〕
実施例3で得た触媒(C)を用いて、実施例4と同様の操作で、trans−2−ブテンの部分酸化反応を行った。得られた結果を、触媒におけるナトリウムおよび金の含有量とともに、表1に示す。
【0081】
〔比較例2〕
比較例1で得た触媒(D)を用いて、実施例4と同様の操作で、trans−2−ブテンの部分酸化反応を行った。得られた結果を、触媒におけるナトリウムおよび金の含有量とともに、表1に示す。
【0082】
また、反応開始20時間後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィを用いて、その組成を分析した。その結果、触媒1kg当たりの2,3−エポキシブタンの空時収率は、前述の30分後の空時収率に比べて52%低下している、即ち、30分後の空時収率の48%であることが分かった。
【0083】
【表1】
【0084】
〔実施例7〕
まず、チタニルアセチルアセトナート(同仁化学株式会社製)3.28gを含むメタノール溶液150mlに、担体としてのシリカ(商品名「キャリアクトQ−15」、富士シリシア化学株式会社製;比表面積196m2 /g、直径0.84mm〜1.7mmの球状粒子)100gを浸漬した後、温水浴上で攪拌しながら、シリカ表面が完全に乾燥状態となるまでメタノールを留去した。そして、残渣として得られた固形物を、120℃で12時間乾燥させた後、空気中、600℃で3時間焼成することにより、チタニアを担持したシリカ担体を得た。該シリカ担体におけるチタニアの担持量は、1重量%であった。
【0085】
次に、塩化金酸0.69gを含む水溶液4000mlを70℃に加熱し、水酸化ナトリウム水溶液を用いて該水溶液のpHを9に調節した。その後、この水溶液を攪拌しながら、前記のチタニアを担持したシリカ担体40gを投入し、70℃で1時間攪拌した後、得られた懸濁液を静置して固形物を沈澱させた。
【0086】
そして、この固形物を含む水溶液から上澄みを除去し、得られた固形物を、2000mlの水で3回水洗した後、濾過した。そして、この未乾燥の固形物を4等分し、4つの固形物(以下、固形物(2)と記す)を得た。
【0087】
次に、固形物(2)のうちの1つについて、次の処理を施した。即ち、固形物(2)を、pH10の水酸化ナトリウム水溶液300mlを用いて3回洗浄し、さらに300mlの水で1回洗浄した。そして、洗浄後の固形物を120℃で12時間かけて乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニアを担持したシリカ担体に金超微粒子が担持された触媒(以下、触媒(E)と記す)を得た。
【0088】
触媒(E)に含まれるナトリウムおよび金の含有量を、蛍光X線分析により測定したところ、ナトリウムの含有量は0.091重量%、金の含有量は0.056重量%であった。
【0089】
〔実施例8〕
実施例7で得た固形物(2)の他の1つを、pH10の水酸化ナトリウム水溶液300mlを用いて1回洗浄し、さらに300mlの水で1回洗浄した。そして、洗浄後の固形物を120℃で12時間かけて乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニアを担持したシリカ担体に金超微粒子が担持された触媒(以下、触媒(F)と記す)を得た。
【0090】
触媒(F)に含まれるナトリウムおよび金の含有量を、蛍光X線分析により測定したところ、ナトリウムの含有量は0.083重量%、金の含有量は0.060重量%であった。
【0091】
〔実施例9〕
実施例7で得た固形物(2)のさらに他の1つを、120℃で12時間かけて乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニアを担持したシリカ担体に金超微粒子が担持された触媒(以下、触媒(G)と記す)を得た。
【0092】
触媒(G)に含まれるナトリウムおよび金の含有量を、蛍光X線分析により測定したところ、ナトリウムの含有量は0.033重量%、金の含有量は0.070重量%であった。
【0093】
〔比較例3〕
実施例7で得た固形物(2)のさらに他の1つを、pH4の炭酸水溶液300mlを用いて3回洗浄し、さらに、300mlの水で1回洗浄した。そして、該固形物をさらに120℃で12時間かけて乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニアを担持したシリカ担体に金超微粒子が担持された触媒(以下、触媒(H)と記す)を得た。
【0094】
触媒(H)に含まれるナトリウムおよび金の含有量を、蛍光X線分析により測定したところ、金の含有量は0.069重量%であったが、ナトリウムは検出されなかった。
【0095】
〔実施例10〕
実施例7で得た触媒(E)を用いて、オレフィン系炭化水素としてのプロピレンの部分酸化反応を行った。即ち、まず、上記触媒(E)1gを、内径10mmのガラス製反応器に充填して、触媒層とした。そして、上記触媒層の温度を180℃に加熱(即ち、反応温度は180℃)した状態で、水素、酸素、プロピレン、およびアルゴンからなる、体積比(水素/酸素/プロピレン/アルゴン)が20/5/20/55の混合ガスを、該反応器内に流速8000ml/hrで流通させて反応を行った。
【0096】
反応開始30分後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した。その結果、プロピレンの転化率は1.5%、エポキシドであるプロピレンオキシドの選択率は96%、水素の転化率は5.1%であり、プロピレンオキシドの空時収率は、触媒1kg当たり59.6g/hr、金1g当たり106.6g/hrであった。これらの結果を、触媒におけるナトリウムおよび金の含有量とともに、表2に示す。
【0097】
〔実施例11〕
実施例8で得た触媒(F)を用いて、実施例10と同様の操作で、プロピレンの部分酸化反応を行った。得られた結果を、触媒におけるナトリウムおよび金の含有量とともに、表2に示す。
【0098】
〔実施例12〕
実施例9で得た触媒(G)を用いて、実施例10と同様の操作で、プロピレンの部分酸化反応を行った。得られた結果を、触媒におけるナトリウムおよび金の含有量とともに、表2に示す。
【0099】
〔比較例4〕
比較例3で得た触媒(H)を用いて、実施例10と同様の操作で、プロピレンの部分酸化反応を行った。得られた結果を、触媒におけるナトリウムおよび金の含有量とともに、表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】
〔実施例13〕
まず、チタニルアセチルアセトナート(同仁化学株式会社製)3.28gを含むメタノール溶液150mlに、担体としてのシリカ(商品名「キャリアクトQ−10」、富士シリシア化学株式会社製;比表面積326m2 /g、直径0.84mm〜1.7mmの球状粒子)100gを浸漬した後、温水浴上で攪拌しながら、シリカ表面が完全に乾燥状態となるまでメタノールを留去した。そして、残渣として得られた固形物を、120℃で12時間乾燥させた後、空気中、600℃で3時間焼成することにより、チタニアを担持したシリカ担体(以下、チタニア担持シリカ担体と称する)を得た。該シリカ担体におけるチタニアの担持量は、1重量%であった。
【0102】
次に、塩化金酸0.69gを含む水溶液2000mlを70℃に加熱し、水酸化セシウム水溶液を用いて該水溶液のpHを9に調節した。その後、この水溶液を攪拌しながら、前記のチタニア担持シリカ担体40gを投入し、70℃で1時間攪拌した後、得られた懸濁液を静置して固形物を沈澱させた。
【0103】
そして、この固形物を含む水溶液から上澄みを除去し、得られた固形物を、1000mlの水で3回水洗した後、濾過した。そして、この未乾燥の固形物を3等分し、3つの固形物(以下、固形物(3)と記す)を得た。
【0104】
次に、固形物(3)のうちの1つについて、次の処理を施した。即ち、固形物(3)を炭酸セシウム0.319gを含む水溶液に浸し、温浴上にてよく攪拌して固形物表面が完全に乾燥するまで水分を留去した。そして、該固形物をさらに120℃で12時間かけて乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニア担持シリカ担体に金超微粒子が担持された触媒(以下、触媒(I)と記す)を得た。
【0105】
触媒(I)に含まれるセシウムおよび金の含有量を、蛍光X線分析により測定したところ、セシウムの含有量は5.032重量%、金の含有量は0.117重量%であった。
【0106】
〔実施例14〕
実施例13で得た固形物(3)の他の1つを、120℃で12時間かけて乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニアを担持したシリカ担体に金超微粒子が担持された触媒(以下、触媒(J)と記す)を得た。
【0107】
触媒(J)に含まれるセシウムおよび金の含有量を、蛍光X線分析により測定したところ、セシウムの含有量は0.715重量%、金の含有量は0.162重量%であった。
【0108】
〔比較例5〕
実施例13で得た固形物(3)のさらに他の1つを、pH4の炭酸水溶液300mlを用いて3回洗浄し、さらに、300mlの水で1回洗浄した。そして、洗浄後の固形物を120℃で12時間かけて乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニアを担持したシリカ担体に金超微粒子が担持された触媒(以下、触媒(K)と記す)を得た。
【0109】
触媒(K)に含まれるセシウムおよび金の含有量を、蛍光X線分析により測定したところ、金の含有量は0.162重量%であったが、セシウムは検出されなかった。
【0110】
〔実施例15〕
実施例13で得た触媒(I)を用いて、オレフィン系炭化水素としてのイソブチレンの部分酸化反応を行った。即ち、まず、上記触媒(I)1gを、内径10mmのガラス製反応器に充填して、触媒層とした。そして、上記触媒層の温度を140℃に加熱(即ち、反応温度は140℃)した状態で、水素、酸素、イソブチレン、およびアルゴンからなる、体積比(水素/酸素/イソブチレン/アルゴン)が20/5/20/55の混合ガスを、該反応器内に流速8000ml/hrで流通させて反応を行った。
【0111】
反応開始30分後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した。その結果、イソブチレンの転化率は1.0%、エポキシドである2−メチル−1,2−エポキシプロパンの選択率は15%、水素の転化率は1.3%であり、2−メチル−1,2−エポキシプロパンの空時収率は、触媒1kg当たり7.7g/hr、金1g当たり6.6g/hrであった。これらの結果を、触媒におけるセシウムおよび金の含有量とともに、表3に示す。
【0112】
〔実施例16〕
実施例14で得た触媒(J)を用いて、実施例15と同様の操作で、イソブチレンの部分酸化反応を行った。得られた結果を、触媒におけるセシウムおよび金の含有量とともに、表3に示す。
【0113】
〔比較例6〕
比較例5で得た触媒(K)を用いて、実施例15と同様の操作で、イソブチレンの部分酸化反応を行った。得られた結果を、触媒におけるセシウムおよび金の含有量とともに、表3に示す。
【0114】
【表3】
【0115】
〔実施例17〕
まず、塩化金酸0.69gを含む水溶液2000mlを70℃に加熱し、水酸化カリウム水溶液を用いて該水溶液のpHを9に調節した。その後、この水溶液を攪拌しながら、実施例13で得られたチタニア担持シリカ担体40gを投入し、70℃で1時間攪拌した後、得られた懸濁液を静置して固形物を沈澱させた。
【0116】
そして、この固形物を含む水溶液から上澄みを除去し、得られた固形物を、500mlの水で3回水洗した後、濾過した。そして、この未乾燥の固形物を2等分し、2つの固形物(以下、固形物(4)と記す)を得た。
【0117】
次に、固形物(4)のうちの1つを、120℃で12時間かけて乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニア担持シリカ担体に金超微粒子が担持された触媒(以下、触媒(L)と記す)を得た。
【0118】
触媒(L)に含まれるカリウムおよび金の含有量を、蛍光X線分析により測定したところ、カリウムの含有量は0.221重量%、金の含有量は0.171重量%であった。
【0119】
〔比較例7〕
実施例17で得た固形物(4)の他の1つを、pH4の炭酸水溶液500mlを用いて3回洗浄し、さらに、500mlの水で1回洗浄した。そして、洗浄後の固形物を120℃で12時間かけて乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニア担持シリカ担体に金超微粒子が担持された触媒(以下、触媒(M)と記す)を得た。
【0120】
触媒(M)に含まれるカリウムおよび金の含有量を、蛍光X線分析により測定したところ、金の含有量は0.170重量%であったが、カリウムは検出されなかった。
【0121】
〔実施例18〕
実施例17で得た触媒(L)を用いて、オレフィン系炭化水素としての1−ヘキセンの部分酸化反応を行った。即ち、まず、上記触媒(L)1gを、内径10mmのガラス製反応器に充填して、触媒層とした。そして、上記触媒層の温度を190℃に加熱(即ち、反応温度は190℃)した状態で、水素、酸素、1−ヘキセン、およびヘリウムからなる、体積比(水素/酸素/1−ヘキセン/ヘリウム)が19/19/7/55の混合ガスを、該反応器内に流速3230ml/hrで流通させて反応を行った。
【0122】
反応開始30分後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した。その結果、1−ヘキセンの転化率は2.8%、エポキシドである1,2−エポキシヘキサンの選択率は82%、水素の転化率は3.9%であった。
【0123】
〔比較例8〕
比較例7で得た触媒(M)を用いて、実施例18と同様の操作で、1−ヘキサンの部分酸化反応を行った。その結果、1−ヘキセンの転化率は1.7%、1,2−エポキシヘキサンの選択率は68%、水素の転化率は2.8%であった。
【0124】
〔実施例19〕
まず、チタニルアセチルアセトナート(同仁化学株式会社製)0.65gとマグネシウムアセチルアセトナート2水和物(キシダ化学株式会社製)0.024gとを含むメタノール溶液100mlに、担体としてのシリカ(商品名「キャリアクトQ−10」、富士シリシア化学株式会社製;比表面積326m2 /g、直径0.84mm〜1.7mmの球状粒子)20gを浸漬した後、温水浴上で攪拌しながら、シリカ表面が完全に乾燥状態となるまでメタノールを留去した。そして、残渣として得られた固形物を120℃で12時間乾燥させた後、空気中、800℃で3時間焼成することにより、チタニアとマグネシアとを担持したシリカ担体を得た。該シリカ担体におけるチタニアの担持量は、1.0重量%であった。また、該シリカ担体におけるマグネシアの担持量は、0.025重量%であった。
【0125】
次に、塩化金酸0.34gを含む水溶液900mlを70℃に加熱し、水酸化ナトリウム水溶液を用いて該水溶液のpHを9に調節した。その後、この水溶液を攪拌しながら、前記のシリカ担体20gを投入し、70℃で1時間攪拌した後、得られた懸濁液を静置して固形物を沈澱させた。
【0126】
そして、この固形物を含む水溶液から上澄みを除去し、得られた固形物を、1000mlの水で3回水洗した後、濾過した。その後、濾過により得られた濾滓を120℃で12時間乾燥させた後、400℃で3時間焼成することにより、チタニア−マグネシアを担持したシリカ担体に金が担持された触媒である金/チタニア−マグネシア/シリカ触媒を得た。
【0127】
〔実施例20〕
実施例19で得た金/チタニア−マグネシア/シリカ触媒を用いて、オレフィン系炭化水素としてのプロピレンの部分酸化反応を行った。即ち、まず、上記金/チタニア−マグネシア/シリカ触媒1gを、内径10mmのガラス管反応器に充填して、触媒層とした。そして、上記触媒層の温度を180℃に加熱(即ち、反応温度は180℃)した状態で、水素、酸素、プロピレン、およびアルゴンからなる、体積比(水素/酸素/プロピレン/アルゴン)が10/10/10/70の混合ガスを、該反応器内に流速4000ml/hrで流通させた。
【0128】
反応開始30分後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した。その結果、プロピレンの転化率は7.3%、エポキシドであるプロピレンオキシドの選択率は92.6%、水素の転化率は16.8%であり、プロピレンオキシドの収率は6.8%、プロピレンオキシドの空時収率は触媒1kg当たり70.4g/hrであった。
【0129】
〔比較例9〕
まず、実施例19におけるチタニルアセチルアセトナート0.65gとマグネシウムアセチルアセトナート2水和物0.024gとを含むメタノール溶液100mlの代わりに、チタニルアセチルアセトナート0.65gを含むメタノール溶液100mlを用いる以外は、実施例19と同様にして、比較用の部分酸化用触媒としての金/チタニア/シリカ触媒を得た。
【0130】
〔比較例10〕
次に、実施例20における金/チタニア−マグネシア/シリカ触媒の代わりに、比較例7で得たマグネシウム未添加の金/チタニア/シリカ触媒を用いる以外は、実施例20と同様にして、プロピレンの部分酸化反応を行った。
【0131】
反応開始30分後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した。その結果、プロピレンの転化率は5.8%、エポキシドであるプロピレンオキシドの選択率は94.4%、水素の転化率は15.9%であり、プロピレンオキシドの収率は5.5%、プロピレンオキシドの空時収率は触媒1kg当たり57.0g/hrであった。
【0132】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の炭化水素の部分酸化用触媒は、以上のように、オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造するための炭化水素の部分酸化用触媒であって、金と、チタン含有金属酸化物と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種とを含み、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の含有量は、触媒全体重量に対して、金属単体として0.01重量%〜2重量%の範囲内であり、金の担持量が0.02重量%〜0.5重量%の範囲内である構成である。
【0133】
これにより、水素および酸素の存在下でオレフィン系炭化水素を部分酸化することで、オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造する反応に対する活性や選択性に優れた炭化水素の部分酸化用触媒を提供することができるという効果を奏する。しかも、上記構成によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種によって経時的劣化が抑制されるので、寿命安定性に優れた触媒を提供することができるという効果も奏する。
【0134】
本発明の請求項4記載の炭化水素の部分酸化方法は、以上のように、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の部分酸化用触媒を用いて、オレフィン系炭化水素を、酸素および水素の存在下で部分酸化することで、オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造する方法である。
【0135】
上記の方法によれば、オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造する炭化水素の部分酸化反応を高選択率かつ高転化率で行うことができる。これにより、オレフィン系炭化水素からエポキシドを簡単かつ効率的に製造することができるという効果を奏する。しかも、上記方法によれば、寿命安定性に優れた触媒を用いるので、オレフィン系炭化水素の部分酸化反応を長時間にわたって安定的に行うことができるという効果も奏する。
Claims (4)
- オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造するための炭化水素の部分酸化用触媒であって、
金と、チタン含有金属酸化物と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種とを含み、
アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の含有量は、触媒全体重量に対して、金属単体として0.01重量%〜2重量%の範囲内であり、金の担持量が0.02重量%〜0.5重量%の範囲内であることを特徴とする炭化水素の部分酸化用触媒。 - 上記オレフィン系炭化水素が、プロピレンまたはイソブチレンであることを特徴とする請求項1記載の炭化水素の部分酸化用触媒。
- チタンの含有量が、TiO2 に換算して、0.1重量%〜20重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化水素の部分酸化用触媒。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の部分酸化用触媒を用いて、オレフィン系炭化水素を、酸素および水素の存在下で部分酸化することで、オレフィン系炭化水素からエポキシドを製造することを特徴とする炭化水素の部分酸化方法。
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