JP4134665B2 - Hc濃度予測方法およびhc吸着触媒の劣化診断装置 - Google Patents

Hc濃度予測方法およびhc吸着触媒の劣化診断装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、HC濃度予測方法およびHC吸着触媒の劣化診断装置に関し、より具体的には、低温でHCを吸着し、昇温されるに伴って吸着したHCを放出するとともに浄化するHC吸着触媒が設けられた排気ガス通路における触媒よりも下流側でのHC濃度変化を予測する方法、および、そのようなHC吸着触媒の劣化診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの排気ガスを浄化するための触媒として、低温でHCを吸着し、昇温に伴って吸着したHCを放出するとともに浄化する、いわゆるHC吸着触媒が知られている。
【0003】
HC吸着触媒の劣化を診断する手法として、特許文献1は、排気通路においてHC吸着触媒の上流側と下流側とにO2センサを設け、その出力値の差に基づいてHC吸着触媒の劣化を判断する手法を開示している。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−121232号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、HC吸着触媒の劣化を診断するためには、エンジン始動後の比較的短い期間内で診断を行う必要があり、実際には、特許文献1に開示されているような手法を用いても、HC吸着触媒の劣化を十分に精度良く診断することはできない。すなわち、HC吸着触媒の劣化を精度良く診断する手法は確立されていないのが現状である。
【0006】
また、HC吸着触媒をエンジンに実際に搭載した場合の浄化性能を精度よく見積もる手法も確立されてはいない。つまり、ある仕様のHC吸着触媒が設けられたときのHC濃度変化を精度よく予測する手法が見出されていない。従って、どの程度のサイズのHC吸着触媒を設けることによって所望の浄化率が得られるかは、試作・検証・改良を繰り返すことによって見積もられている。そのため、開発コストの上昇や開発サイクルの長期化を招いていた。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、精度良くHC濃度変化を予測できる方法およびHC吸着触媒の劣化を精度良く診断できる劣化診断装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によるHC濃度変化予測方法は、所定の温度域でHCを吸着し、昇温されるに伴って吸着したHCを放出するとともに浄化するHC吸着触媒が設けられた排気ガス通路における、前記触媒よりも下流側でのHC濃度変化を予測する方法であって、前記触媒の温度を検出する検出ステップと、排気ガス中のHC濃度[HC(g)]と前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じたHC吸着速度R1と、前記検出された触媒の温度と前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じたHC放出速度R2と、前記触媒によりHCが浄化される浄化モデルとに基づき、前記触媒よりも上流側での排気ガス中のHC濃度を用いて、第1時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]1および前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]1を予測する第1予測ステップと、前記予測された第1時期におけるHC濃度[HC(g)]1およびHC量[HC(a)]1を用いて、前記第1予測ステップと同様にして、前記第1時期よりも後の第2時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]2および前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]2を予測し、その後、同様の処理を順次行うことによって所定の時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]tを予測する第2予測ステップと、を包含し、そのことによって上記目的が達成される。
【0009】
前記浄化モデルは、前記検出された触媒の温度と前記排気ガス中のHC濃度[HC(g)]とに応じたHC浄化速度R3でHCが浄化されるモデルであることが好ましい。
【0010】
前記HC吸着速度R1および前記HC放出速度R2は、所定の係数を含む式により算出され、前記所定の係数は、実際の排気ガス中のHC濃度[HC(g)]rと、前記所定の係数として仮の係数を代入したときに予測されるHC濃度[HC(g)]pとに基づいて予め設定されることが好ましい。
【0011】
本発明によるHC吸着触媒の劣化診断装置は、排気ガス通路に設けられ、所定の温度域でHCを吸着し、昇温されるに伴って吸着したHCを放出するとともに浄化するHC吸着触媒の劣化診断装置であって、前記触媒の温度を検出する触媒温度検出手段と、前記排気ガス通路における前記触媒よりも上流側でのHC濃度を検出するHC濃度検出手段と、前記排気ガス通路における前記触媒よりも下流側でのHC濃度変化を予測する予測手段と、前記触媒の劣化を診断する劣化診断手段と、を備え、前記予測手段は、排気ガス中のHC濃度[HC(g)]と前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じたHC吸着速度R1と、前記触媒温度検出手段によって検出された触媒の温度と前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じたHC放出速度R2と、前記検出された触媒の温度と前記排気ガス中のHC濃度[HC(g)]とに応じたHC浄化速度R3とに基づき、前記HC濃度検出手段によって検出された前記触媒よりも上流側でのHC濃度を用いて、第1時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]1および前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]1を予測し、その後、前記予測された第1時期におけるHC濃度[HC(g)]1およびHC量[HC(a)]1を用いて、同様にして、前記第1時期よりも後の第2時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]2および前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]2を予測し、さらにその後、同様の処理を順次行うことによって所定の時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]tを予測し、前記劣化診断手段は、前記排気ガス通路における前記触媒よりも下流側でのO2濃度と還元剤濃度との関連値と、前記予測手段によって予測される所定の時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]tとに基づいて、前記触媒の劣化を判断する構成を有し、そのことによって上記目的が達成される。
【0012】
以下、本発明の作用を説明する。
【0013】
本発明によるHC濃度変化予測方法は、第1予測ステップと第2予測ステップとを含んでいる。第1予測ステップは、排気ガス中のHC濃度[HC(g)]と触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じたHC吸着速度R1と、検出された触媒の温度と触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じたHC放出速度R2と、触媒によりHCが浄化される浄化モデルとに基づき、触媒よりも上流側での排気ガス中のHC濃度を用いて、第1時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]1および触媒に吸着されたHC量[HC(a)]1を予測するステップである。また、第2予測ステップは、予測された第1時期におけるHC濃度[HC(g)]1およびHC量[HC(a)]1を用いて、第1予測ステップと同様にして、第1時期よりも後の第2時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]2および触媒に吸着されたHC量[HC(a)]2を予測し、その後、同様の処理を順次行うことによって所定の時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]tを予測するステップである。
【0014】
すなわち、第1予測ステップおよび第2予測ステップのいずれにおいても、HC吸着触媒上でのHCの吸着および放出のモデルに加え、HCの浄化モデルにも基づいて予測を行う。従って、HCの吸着および放出についてのみならず、HCが浄化される点についても精度良く考慮した予測が可能になる。また、第2予測ステップにおいて、第1予測ステップで予測されたHC濃度とHC量とを用いてHC濃度とHC量とを時系列で順次予測するので、任意の時期でのHC濃度を精度良く予測することができる。さらに、触媒よりも上流側でのHC濃度と触媒温度とを検出するだけで、触媒よりも下流側でのHC濃度を予測することができるので、HC濃度を簡便に予測することができる。
【0015】
このように、本発明によるHC濃度変化予測方法を用いると、簡便に精度良くHC濃度の変化を予測することができる。
【0016】
浄化モデルとして、検出された触媒の温度と排気ガス中のHC濃度[HC(g)]とに応じたHC浄化速度R3でHCが浄化されるモデルを用いると、HCが浄化される点について精度良く考慮した予測を好適に行うことができる。
【0017】
HC吸着速度R1およびHC放出速度R2は、典型的には、所定の係数を含む式により算出される。このとき、所定の係数を、実際の排気ガス中のHC濃度[HC(g)]rと、所定の係数として仮の係数を代入したときに予測されるHC濃度[HC(g)]pとに基づいて予め設定しておくと、すなわち、実際の触媒とモデルとの合わせ込みを行っておくと、モデルの精度が向上し、予測をより精度良く行うことができる。
【0018】
本発明によるHC吸着触媒の劣化診断装置が有する予測手段は、排気ガス中のHC濃度[HC(g)]と触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じたHC吸着速度R1と、触媒温度検出手段によって検出された触媒の温度と触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じたHC放出速度R2と、検出された触媒の温度と排気ガス中のHC濃度[HC(g)]とに応じたHC浄化速度R3とに基づき、HC濃度検出手段によって検出された触媒よりも上流側でのHC濃度を用いて、第1時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]1および触媒に吸着されたHC量[HC(a)]1を予測し、その後、予測された第1時期におけるHC濃度[HC(g)]1およびHC量[HC(a)]1を用いて、同様にして、第1時期よりも後の第2時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]2および触媒に吸着されたHC量[HC(a)]2を予測し、さらにその後、同様の処理を順次行うことによって所定の時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]tを予測する。
【0019】
すなわち、予測手段は、HC吸着触媒上でのHCの吸着および放出のモデルに加え、HCの浄化モデルにも基づいて予測を行う。従って、HCの吸着および放出についてのみならず、HCが浄化される点についても精度良く考慮した予測が可能になる。また、予測手段は、HC濃度とHC量とを時系列で順次予測するので、任意の時期でのHC濃度を精度良く予測することができる。さらに、触媒よりも上流側でのHC濃度と触媒温度とを検出するだけで、触媒よりも下流側でのHC濃度を予測することができるので、HC濃度を簡便に予測することができる。 このように、本発明による劣化診断装置が備える予測手段は、簡便に精度良くHC濃度を予測することができるので、本発明による劣化診断装置を用いると、HC吸着触媒の劣化を簡便に精度良く検出することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明による実施形態のHC濃度変化予測方法およびHC吸着触媒の劣化診断装置を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
(HC濃度変化予測方法)
本発明によるHC濃度変化の予測方法は、所定の温度域(典型的には低温域)でHCを吸着し、昇温されるに伴って吸着したHCを放出するとともに浄化するHC吸着触媒が設けられた排気ガス通路における、触媒よりも下流側でのHC濃度変化を予測する方法である。
【0022】
まず、本発明によるHC濃度変化の予測方法の原理を説明する。
【0023】
本発明によるHC濃度変化の予測方法においては、HC吸着触媒(以下、単に「触媒」とも表記する。)上でのHCの吸着、放出(脱離)および浄化について、図1に示すようなモデルを設定し、このモデルに基づいてHC濃度の変化を予測する。
【0024】
HCの濃度変化を予測するために、単位時間当たりのHC減少量と、単位時間当たりのHC増加量とを見積もる必要がある。本実施形態の予測方法では、HC減少量については、触媒への吸着と触媒による浄化とを考慮し、HC増加量については、触媒からの放出を考慮する。
【0025】
触媒への吸着と触媒からの放出については、Langmuirモデルに基づいてHC吸着速度R1とHC放出速度R2を設定する。さらに、触媒によってHCが浄化されるモデル(浄化モデル)に基づいて、HC浄化速度R3を設定する。
【0026】
排気ガス中のHC濃度を[HC(g)]、HC吸着触媒に吸着されたHC量を[HC(a)]とすると、HC濃度の単位時間当たりの変化量d[HC(g)]/dtと、触媒に吸着されたHC量の単位時間当たりの変化量d[HC(a)]/dtは、HC吸着速度R1、HC放出速度R2およびHC浄化速度R3を用いて下式(1)、(2)で表される。
【0027】
d[HC(g)]/dt=−R1+R2−R3 ・・・(1)
d[HC(a)]/dt=R1−R2 ・・・(2)
HC吸着速度は排気ガス中のHC濃度[HC(g)]に比例するものとする。また、HC吸着触媒上にHCが吸着できるサイトの数が限定されているものとし、理論最大吸着容量Vを想定して、HC吸着速度がこの理論最大吸着容量Vと既に吸着しているHC量[HC(a)]との差(すなわち空いているサイトの数)にも比例するものとすると、HC吸着速度R1はHC吸着速度定数k1を含む下式(3)で表される。
【0028】
1=k1・[HC(g)]・(V−[HC(a)]) ・・・(3)
1:HC吸着速度定数
また、HC放出速度は触媒に吸着されているHC量[HC(a)]に比例し、HC浄化速度は排気ガス中のHC濃度[HC(g)]に比例するものとすると、HC放出速度R2およびHC浄化速度R3は、HC放出速度定数k2およびHC浄化速度定数k3をそれぞれ含む下式(4)、(5)で表される。
【0029】
2=k2・[HC(a)] ・・・(4)
2:HC放出速度定数
3=k3・[HC(g)] ・・・(5)
3:HC浄化速度定数
式(1)、(2)に式(3)、(4)、(5)を代入すると、下式(6)、(7)が得られる。
【0030】
d[HC(g)]/dt=−k1・[HC(g)]・(V−[HC(a)])
+k2・[HC(a)]−k3・[HC(g)] ・・・(6)
d[HC(a)]/dt=k1・[HC(g)]・(V−[HC(a)])
−k2・[HC(a)] ・・・(7)
HC吸着速度は、温度依存性を持たないとされている。これに対して、HC放出速度は、温度依存性を持ち、Arrheniusの式に従うとされている。さらに、本実施形態では、HC浄化速度が温度依存性を持ち、Arrheniusの式に従うと仮定する。そのため、上記式中の速度定数k1、k2、k3は、下式(8)、(9)、(10)で表される。
【0031】
1=Const. ・・・(8)
2=k20・exp(−E2/RT) ・・・(9)
20:HC放出速度の頻度因子
2:HC放出速度の活性化エネルギー
T:絶対温度
3=k30・exp(−E3/RT) ・・・(10)
30:HC浄化速度の頻度因子
3:HC浄化速度の活性化エネルギー
従って、式(8)、(9)、(10)を式(6)、(7)に代入した方程式を解くことによって、HC濃度の変化を計算することができる。
【0032】
HC濃度の変化の計算は、例えば、差分法を用いて行うことができる。
【0033】
具体的には、まず、初期条件下における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]0と触媒に吸着されているHC量[HC(a)]0とを用いて、式(6)および(7)(式(8)、(9)、(10)が代入されたもの)に基づいて、ある時期(便宜的に「第1時期」と呼ぶ。)における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]1と触媒に吸着されているHC量[HC(a)]1とを予測する(計算する)。ここで、初期条件下の排気ガス中のHC濃度[HC(g)]0は、HC吸着触媒上流のHC濃度であり、また、初期条件下で触媒に吸着されているHC量は、ゼロである。従って、触媒上流のHC濃度がわかれば、第1時期におけるHC濃度[HC(g)]1とHC量[HC(a)]1とを予測することができる。
【0034】
次に、予測された第1時期におけるHC濃度[HC(g)]1およびHC量[HC(a)]1を用いて、同様にして式(6)および(7)に基づいて、第1時期よりも後のある時期(便宜的に「第2時期」と称する。)における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]2と触媒に吸着されているHC量[HC(a)]2とを予測する。
【0035】
その後、同様の処理を順次行うことによって所定の時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]t(さらには触媒に吸着されているHC量[HC(a)]t)を予測することができる。
【0036】
HC濃度変化の計算をさらに具体的な例を挙げて説明する。
【0037】
例えば、エンジン始動後n秒(t=n)後までのHC濃度の変化を予測する場合、まず、エンジン始動時(t=0)におけるHC濃度[HC(g)]t=0(=触媒上流のHC濃度)とHC量[HC(a)]t=0(=0)とを用いて、1秒後(t=1)のHC濃度[HC(g)]t=1とHC量[HC(a)]t=1とを予測する。
【0038】
次に、予測された1秒後のHC濃度[HC(g)]t=1とHC量[HC(a)]t=1とを用いて、2秒後(t=2)のHC濃度[HC(g)]t=2とHC量[HC(a)]t=2を予測する。
【0039】
その後、同様の処理を順次行うことによってt=3、4、・・・、n−1、nにおける排気ガス中のHC濃度と触媒に吸着されているHC量とを予測する。
【0040】
このようにして、n秒後までのHC濃度の変化を予測することができる。なお、ここでは1秒ごとに計算(予測)する場合について説明したが、勿論、これに限定されず、計算(予測)を行う時間間隔は任意に設定することができる。
【0041】
なお、式(6)〜(10)中に含まれる以下の6つの係数は、典型的には、予め設定しておく。
【0042】
V:理論最大吸着容量
1:HC吸着速度定数
20:HC放出速度の頻度因子
2:HC放出速度の活性化エネルギー
30:HC浄化速度の頻度因子
3:HC浄化速度の活性化エネルギー
例えば、実際の排気ガス中のHC濃度[HC(g)]rと、上記係数として仮の係数(値)を代入したときに予測されるHC濃度[HC(g)]pとに基づいて予め設定する。つまり、テストピースを用いて実測したHC濃度[HC(g)]rに対して、各係数の値を変化させながら仮のHC濃度[HC(g)]pの合わせ込み(Curve fitting)を行えばよい。このようにして、実際の触媒とモデルとの合わせ込みを行っておくと、モデルの精度が向上し、予測をより精度良く行うことができる。
【0043】
本発明によるHC濃度変化の予測方法は、上述した原理に基づいてHC濃度の変化を予測する。以下、本発明による実施形態のHC濃度変化の予測方法を、ステップごとに説明する。
【0044】
まず、HC吸着触媒の温度Tを検出する(検出ステップ)。実測によって触媒の温度を検出してもよいし、エンジンの運転状態に基づく推定によって触媒の温度を検出してもよい。なお、この検出ステップは、この後、必要に応じて任意のタイミングで任意の回数実行される。
【0045】
次に、HC吸着速度R1と、HC放出速度R2と、触媒によりHCが浄化される浄化モデルとに基づき、触媒よりも上流側での排気ガス中のHC濃度を用いて、第1時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]1および触媒に吸着されたHC量[HC(a)]1を予測する(第1予測ステップ)。
【0046】
HC吸着速度R1は、式(3)および(8)に示したように、排気ガス中のHC濃度[HC(g)]と触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じて決まる。また、HC放出速度R2は、式(4)および(9)に示したように、検出された触媒の温度Tと触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じて決まる。また、浄化モデルとしては、例えば、式(5)および(10)に示したように、検出された触媒の温度Tと排気ガス中のHC濃度[HC(g)]とに応じたHC浄化速度R3でHCが浄化されるモデルを採用することができる。また、触媒よりも上流側でのHC濃度は、実測または推定によって検出する。触媒よりも上流側でのHC濃度は、例えば、エンジン運転状態マップを用いて推定することができる。
【0047】
なお、HC吸着速度R1およびHC放出速度R2は、典型的には所定の係数(例えば上記V、k1、k20およびE2)を含む式により算出される。これらの式に含まれる所定の係数は、例えば、実際の排気ガス中のHC濃度[HC(g)]rと、所定の係数として仮の係数を代入したときに予測されるHC濃度[HC(g)]pとに基づいて予め設定される。また、HC浄化速度R3を算出する式に含まれる所定の係数(例えば上記k30およびE3)も同様にして予め設定してもよい。
【0048】
続いて、第1予測ステップにおいて予測された第1時期におけるHC濃度[HC(g)]1およびHC量[HC(a)]1を用いて、第1予測ステップと同様にして、第1時期よりも後の第2時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]2と触媒に吸着されたHC量[HC(a)]2とを予測し、その後、同様の処理を順次行うことによって所定の時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]tを予測する(第2予測ステップ)。
【0049】
このようにして、所定の時期までのHC濃度変化を予測することができる。
【0050】
本発明によるHC濃度変化予測方法は、上述したように、第1予測ステップと第2予測ステップとを含んでいる。第1予測ステップは、排気ガス中のHC濃度[HC(g)]と触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じたHC吸着速度R1と、検出された触媒の温度と触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じたHC放出速度R2と、触媒によりHCが浄化される浄化モデルとに基づき、触媒よりも上流側での排気ガス中のHC濃度を用いて、第1時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]1および触媒に吸着されたHC量[HC(a)]1を予測するステップである。また、第2予測ステップは、予測された第1時期におけるHC濃度[HC(g)]1およびHC量[HC(a)]1を用いて、第1予測ステップと同様にして、第1時期よりも後の第2時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]2および触媒に吸着されたHC量[HC(a)]2を予測し、その後、同様の処理を順次行うことによって所定の時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]tを予測するステップである。
【0051】
すなわち、第1予測ステップおよび第2予測ステップのいずれにおいても、HC吸着触媒上でのHCの吸着および放出のモデルに加え、HCの浄化モデルにも基づいて予測を行う。従って、HCの吸着および放出についてのみならず、HCが浄化される点についても精度良く考慮した予測が可能になる。また、第2予測ステップにおいて、第1予測ステップで予測されたHC濃度とHC量とを用いてHC濃度とHC量とを時系列で順次予測するので、任意の時期でのHC濃度を精度良く予測することができる。さらに、触媒よりも上流側でのHC濃度と触媒温度とを検出するだけで、触媒よりも下流側でのHC濃度を予測することができるので、HC濃度を簡便に予測することができる。
【0052】
このように、本発明によるHC濃度変化予測方法を用いると、簡便に精度良くHC濃度の変化を予測することができる。
【0053】
図2(a)〜(c)に、本発明によるHC濃度変化予測方法を用いて予測したHC濃度と、実測したHC濃度との関係を示す。なお、図2は、以下の条件での結果を示しており、図2(a)、(b)、(c)は、テストガス中のHC排出量が500ppm、1000ppm、1500ppmの場合の結果をそれぞれ示している。
【0054】
SV(空間速度):60000/h
HC(C66):500〜1500ppm
NOx:1000ppm
CO:6100ppm
2:2%
2O:10%
CO2:14%
2:Balance
温度:80℃に所定時間保持した後に30℃/分で昇温
図2(a)〜(c)に示したように、予測(計算)したHC濃度は、実測したHC濃度に非常によく一致しており、本発明によるHC濃度変化予測方法を用いると、精度良くHC濃度の変化を予測できることがわかった。
【0055】
上述したように、本発明によるHC濃度変化予測方法を用いると、簡便に、精度良くHC濃度の変化を予測することができる。従って、テストピースを用いた実験値から、実際にエンジンの排気通路に触媒を搭載した場合の浄化性能を精度良く見積もることができる。そのため、HC吸着触媒の試作・検証・改良などを繰り返す必要がなく、製品の開発コストの低減と開発サイクルの短縮を図ることができる。
【0056】
(HC吸着触媒の劣化診断装置)
図3を参照しながら、本発明による実施形態の劣化診断装置100の構成とその機能とを説明する。本実施形態の劣化診断装置100は、排気ガス通路に設けられ、所定の温度域でHCを吸着し、昇温されるに伴って吸着したHCを放出するとともに浄化するHC吸着触媒の劣化を診断する装置である。
【0057】
劣化診断装置100は、図3に示すように、触媒温度検出手段として機能する触媒温度検出部10と、HC濃度検出手段として機能するHC濃度検出部20と、予測手段として機能する予測部30と、劣化診断手段として機能する劣化診断部40とを備えている。
【0058】
触媒温度検出部10は、HC吸着触媒の温度を検出する。触媒温度検出部10は、具体的には、実測あるいは推定によってHC吸着触媒の温度を検出する。
【0059】
HC濃度検出部20は、排気ガス通路における触媒よりも上流側でのHC濃度を検出する。HC濃度検出部20は、具体的には、実測あるいは推定によってHC濃度を検出し、例えば、エンジン運転状態マップなどに基づいてHC濃度を推定する。
【0060】
予測部30は、排気ガス通路における触媒よりも下流側でのHC濃度変化を予測する。この予測部30は、既に説明した本発明によるHC濃度変化の予測方法の原理と同じ原理でHC濃度の予測を行う。具体的には、予測部30は、HC吸着速度R1と、HC放出速度R2と、HC浄化速度R3とに基づき、HC濃度検出部20によって検出された触媒よりも上流側でのHC濃度を用いて、第1時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]1および触媒に吸着されたHC量[HC(a)]1を予測し、その後、予測された第1時期におけるHC濃度[HC(g)]1およびHC量[HC(a)]1を用いて、同様にして、第1時期よりも後の第2時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]2および触媒に吸着されたHC量[HC(a)]2を予測し、さらにその後、同様の処理を順次行うことによって所定の時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]tを予測する。ここで、HC吸着速度R1は、排気ガス中のHC濃度[HC(g)]と触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じて決まり、HC放出速度R2は、触媒温度検出部10によって検出された触媒の温度と触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じて決まり、HC浄化速度R3は、検出された触媒の温度と排気ガス中のHC濃度[HC(g)]とに応じて決まる。
【0061】
劣化診断部40は、HC吸着触媒の劣化を診断する。劣化診断部40は、具体的には、排気ガス通路における触媒よりも下流側でのO2濃度と還元剤濃度との関連値と、予測部30によって予測される所定の時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]tとに基づいて、触媒の劣化を判断する。触媒よりも下流側でのO2濃度と還元剤濃度との関連値は、例えば、触媒よりも下流側に設けられたリニアO2センサによって検出される。この関連値は実際のHC濃度の値に換算され得るので、劣化診断部40は、換算された実際のHC濃度と、予測部30によって予測されるHC濃度とに基づいて、触媒の劣化を判断する。より具体的には、劣化診断部40は、例えば、換算された実際のHC濃度の積算値と、予測部30によって予測されるHC濃度の積算値とを比較し、これらの差が所定の値以上であるときに触媒が劣化していると判断する。
【0062】
次に、劣化診断装置100を用いた劣化診断の手順を図4、図5および図6を参照しながら説明する。図4は、燃料噴射の手順を示すフローチャートであり、図5は劣化診断の手順を示すフローチャートである。また、図6(a)は時間と触媒上流の目標A/F(空燃比)との関係、図6(b)は時間と触媒の温度との関係、図6(c)は時間と触媒下流のA/Fとの関係、図6(d)は時間と触媒下流のHC濃度との関係をそれぞれ示すグラフである。
【0063】
まず、劣化診断の手順の説明に先立ち、図4および図6を参照しながら、排気通路にHC吸着触媒が配置されている場合の燃料噴射の制御手順を説明する。
【0064】
まず、ステップS1において、各種データを入力する。次に、ステップS2において、入力された各種データに基づいて基本噴射量Qbを設定する。続いて、ステップS3において、エンジン始動後の所定期間(典型的には2〜3秒程度)内であるか否かを判断する。
【0065】
始動後の所定期間内である場合には、触媒の早期昇温を促すための制御が行われる。具体的には、ステップS4において、噴射量の増量Qsを設定して始動後増量補正を行い、続いて、ステップS5において、基本噴射量Qbに増量Qsを加えたものを最終噴射量Qt(=Qb+Qs)と設定する。その後、ステップS12において、最終噴射量Qtで噴射が実行される。
【0066】
一方、ステップS3においてエンジン始動後の所定期間内でないと判断された場合には、ステップS6においてHC吸着触媒の温度Tが温度T1と温度T2との間にあるか否か(T1<T<T2であるか否か)を判断する。なお、温度T1はHC吸着触媒が活性を示す温度(正常な触媒がHCの放出を開始する温度)であり、温度T2は、正常なHC吸着触媒がHCの放出を終了して活性を示している温度である。
【0067】
HC吸着触媒の温度Tが温度T1と温度T2との間にある場合には、図6(a)に示すように、HC吸着触媒の上流の空燃比が理論空燃比よりも若干リッチな状態(例えばA/F=14.5程度)になるようにフィードバック制御を行う。具体的には、ステップS7に進んで、HC吸着触媒の上流の目標空燃比をリッチになるように(目標A/F=λ+λMとなるように)設定した後、ステップS8において、設定した目標空燃比に基づいて、HC吸着触媒の上流のフィードバック(F/B)制御補正値Qhcfbを設定する。
【0068】
なお、HC吸着触媒の温度Tが温度T1と温度T2との間にない場合には、このようなフィードバック制御は行わない。そのため、ステップS9において補正値Qhcfb=0と設定する。
【0069】
その後、HC吸着触媒よりも上流側に設けられる触媒(いわゆる直cat:典型的には三元触媒)の上流の空燃比を制御するためのフィードバック制御が行われる。具体的には、ステップS10において直cat上流のフィードバック(F/B)制御補正値Qifbを設定した後、ステップS11において基本噴射量QbにHC吸着触媒の上流のフィードバック制御補正値Qhcfbと直cat上流のフィードバック制御補正値Qifbを加えたものを最終噴射量Qt(=Qb+Qhcfb+Qifb)と設定する。その後、ステップS12において、最終噴射量Qtで噴射が実行される。
【0070】
次に、図5および図6を参照しながら、劣化診断装置100を用いた劣化診断の手順を具体的に説明する。
【0071】
本実施形態では、HC吸着触媒の温度Tが所定の温度T11以下であるときに劣化診断を行う。所定の温度T11は、温度T1よりも高い温度であり、典型的には図6(b)に示すようにT1<T11<T2である。勿論、温度T11は温度T2以上であってもよい。
【0072】
具体的には、まず、ステップS13において各種データを入力し、次に、ステップS14において、HC吸着触媒の温度Tが所定の温度T11以下であるか否かを判断する。HC吸着触媒の温度Tが温度T11を超えている場合には、劣化診断を行わない。
【0073】
また、HC吸着触媒は温間始動時には機能しないので、本実施形態では、冷間始動である場合に劣化診断を行う。
【0074】
具体的には、ステップS14でHC吸着触媒の温度Tが所定の温度T11以下であると判断された場合には、さらに、ステップS15において始動時の水温(エンジン冷却水の温度)Twsが所定の温度Tws0未満であることを判断し、始動時水温Twsが所定の温度Tws0以上であると判断された場合には劣化診断を行わない。
【0075】
一方、始動時水温Twsが所定の温度Tws0未満であると判断された場合には、ステップS16においてHC濃度検出部20がHC吸着触媒の上流のHC濃度を推定(検出)し、その後、ステップS17において触媒温度検出部10がHC吸着触媒の温度を推定(検出)する。触媒上流のHC濃度の推定や触媒の温度の推定は、例えば、エンジン運転状態マップに基づいて行う。
【0076】
続いて、ステップS18において、予測部30がHC吸着触媒の下流のHC濃度を予測する。予測部30は、上述したようなモデルに基づいて予測を行う。
【0077】
その後、劣化診断部40が、予測部30によって予測されたHC濃度と、触媒の下流側でのO2濃度と還元剤濃度との関連値とに基づいて、触媒の劣化を判断する。
【0078】
具体的には、まず、ステップS19において、HC吸着触媒の下流のO2濃度と還元剤濃度との関連値からHC吸着触媒の下流の実際のHC濃度(実HC濃度)の値を換算する。O2濃度と還元剤濃度との関連値は、例えば触媒下流に配置されたリニアO2センサによって検出する。触媒が劣化している場合には、図6(c)に鎖線で示すように、触媒が正常な場合(同図に実線で示す)よりも、リッチ側のA/F値が得られる。
【0079】
次に、ステップS20において、HC吸着触媒の温度Tが温度T11である(T=T11)か否かを判断する。HC吸着触媒の温度Tが温度T11でない場合には、ステップS21において、ステップS18で予測部30によって予測されたHC濃度の値とステップS19で換算された実HC濃度の値とを記憶する。
【0080】
HC吸着触媒の温度Tが温度T11に達するまで上記の処理が繰り返され、温度Tが温度T11に達すると、つまり、ステップS20においてHC吸着触媒の温度Tが温度T11であると判断されると、ステップS22において、エンジン始動後からのHC濃度の予測値と実HC濃度の換算値とを積算処理し、これらの積算値ΣHCesおよびΣHCrを計算する。積算値ΣHCesおよびΣHCrは、例えば、図6(d)中に実線で示す実HC濃度と鎖線で示す予測HC濃度とで囲まれる部分の面積である。
【0081】
その後、ステップS23において積算値ΣHCesとΣHCrとの差が所定の値Dよりも大きい(ΣHCr−ΣHCes>D)か否かが判断され、積算値ΣHCesとΣHCrとの差が所定の値Dよりも大きいと判断された場合、触媒が劣化していると判断してステップS24において異常を警告および/または記憶する。
【0082】
本発明による劣化診断装置100は、予測手段として機能する予測部30を備えており、この予測部30は、HC吸着触媒上でのHCの吸着および放出のモデルに加え、HCの浄化モデルにも基づいて予測を行う。従って、HCの吸着および放出についてのみならず、HCが浄化される点についても精度良く考慮した予測が可能になる。また、予測部30は、HC濃度とHC量とを時系列で順次予測するので、任意の時期でのHC濃度を精度良く予測することができる。さらに、触媒よりも上流側でのHC濃度と触媒温度とを検出するだけで、触媒よりも下流側でのHC濃度を予測することができるので、HC濃度を簡便に予測することができる。
【0083】
このように、本発明による劣化診断装置100が備える予測部30は、簡便に精度良くHC濃度を予測することができるので、本発明による劣化診断装置100を用いると、HC吸着触媒の劣化を簡便に精度良く検出することができる。
【0084】
【発明の効果】
本発明によると、HC吸着触媒上でのHCの吸着、放出および浄化についてのモデルに基づいて予測を行うので、HCの吸着、放出および浄化について精度良く考慮した予測が可能になる。また、HC濃度を時系列で順次予測するので、任意の時期でのHC濃度を精度良く予測することができる。さらに、触媒よりも上流側でのHC濃度とHC吸着触媒の温度とを検出(実測あるいは推定による検出)するだけで触媒よりも下流側でのHC濃度を予測することができるので、HC濃度を簡便に予測することができる。
【0085】
従って、本発明によると、精度良くHC濃度変化を予測できる方法およびHC吸着触媒の劣化を精度良く診断できる劣化診断装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるHC濃度変化の予測方法におけるHCの吸着、放出および浄化についてのモデルを示す図である。
【図2】(a)〜(c)は、本発明によるHC濃度変化予測方法を用いて予測したHC濃度と、実測したHC濃度との関係を示すグラフである。(a)、(b)および(c)は、テストガス中のHC排出量が500ppm、1000ppm、1500ppmの場合の結果をそれぞれ示すグラフである。
【図3】本発明による実施形態のHC吸着触媒の劣化診断装置100を模式的に示すブロック図である。
【図4】燃料噴射の手順を示すフローチャートである。
【図5】劣化診断の手順を示すフローチャートである。
【図6】(a)は時間と触媒上流の目標A/F(空燃比)との関係、(b)は時間と触媒の温度との関係、(c)は時間と触媒下流のA/Fとの関係、(d)は時間と触媒下流のHC濃度との関係をそれぞれ示すグラフである。
【符号の説明】
10 触媒温度検出部
20 HC濃度検出部
30 予測部
40 劣化診断部

Claims (4)

  1. 所定の温度域でHCを吸着し、昇温されるに伴って吸着したHCを放出するとともに浄化するHC吸着触媒が設けられた排気ガス通路における、前記触媒よりも下流側でのHC濃度変化を予測する方法であって、
    前記触媒の温度を検出する検出ステップと、
    排気ガス中のHC濃度[HC(g)]と前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じたHC吸着速度R1と、前記検出された触媒の温度と前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じたHC放出速度R2と、前記触媒によりHCが浄化される浄化モデルとに基づき、前記触媒よりも上流側での排気ガス中のHC濃度を用いて、第1時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]1および前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]1を予測する第1予測ステップと、
    前記予測された第1時期におけるHC濃度[HC(g)]1およびHC量[HC(a)]1を用いて、前記第1予測ステップと同様にして、前記第1時期よりも後の第2時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]2および前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]2を予測し、その後、同様の処理を順次行うことによって所定の時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]tを予測する第2予測ステップと、
    を包含する、HC濃度変化予測方法。
  2. 前記浄化モデルは、前記検出された触媒の温度と前記排気ガス中のHC濃度[HC(g)]とに応じたHC浄化速度R3でHCが浄化されるモデルである、請求項1に記載のHC濃度変化予測方法。
  3. 前記HC吸着速度R1および前記HC放出速度R2は、所定の係数を含む式により算出され、
    前記所定の係数は、実際の排気ガス中のHC濃度[HC(g)]rと、前記所定の係数として仮の係数を代入したときに予測されるHC濃度[HC(g)]pとに基づいて予め設定される、請求項1または2に記載のHC濃度変化予測方法。
  4. 排気ガス通路に設けられ、所定の温度域でHCを吸着し、昇温されるに伴って吸着したHCを放出するとともに浄化するHC吸着触媒の劣化診断装置であって、
    前記触媒の温度を検出する触媒温度検出手段と、
    前記排気ガス通路における前記触媒よりも上流側でのHC濃度を検出するHC濃度検出手段と、
    前記排気ガス通路における前記触媒よりも下流側でのHC濃度変化を予測する予測手段と、
    前記触媒の劣化を診断する劣化診断手段と、を備え、
    前記予測手段は、排気ガス中のHC濃度[HC(g)]と前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じたHC吸着速度R1と、前記触媒温度検出手段によって検出された触媒の温度と前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]とに応じたHC放出速度R2と、前記検出された触媒の温度と前記排気ガス中のHC濃度[HC(g)]とに応じたHC浄化速度R3とに基づき、前記HC濃度検出手段によって検出された前記触媒よりも上流側でのHC濃度を用いて、第1時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]1および前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]1を予測し、その後、前記予測された第1時期におけるHC濃度[HC(g)]1およびHC量[HC(a)]1を用いて、同様にして、前記第1時期よりも後の第2時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]2および前記触媒に吸着されたHC量[HC(a)]2を予測し、さらにその後、同様の処理を順次行うことによって所定の時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]tを予測し、
    前記劣化診断手段は、前記排気ガス通路における前記触媒よりも下流側でのO2濃度と還元剤濃度との関連値と、前記予測手段によって予測される所定の時期における排気ガス中のHC濃度[HC(g)]tとに基づいて、前記触媒の劣化を判断する、HC吸着触媒の劣化診断装置。
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