JP4132800B2 - 光情報記録媒体用の半透明反射層および光情報記録媒体 - Google Patents

光情報記録媒体用の半透明反射層および光情報記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性に優れた光情報記録媒体用の半透明反射層、光情報記録媒体、及び光情報記録媒体の半透明反射層用スパッタリングターゲットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクには幾つかの種類があるが、記録再生原理の観点からすれば、▲1▼読み出し専用ディスク、▲2▼書き換え型(相変化型)ディスク、及び▲3▼追記型ディスクの三種類に大別される。
【0003】
このうち▲1▼の読み出し専用ディスクは、基本的に、ポリカーボネート基体等の透明基体上に、Ag,Al,Au等を母材とする反射層、および紫外線硬化樹脂等の保護層が積層してなるものである。上記読み出し専用ディスクは、透明プラスチック基体上に設けられた凹凸のピットにより記録データを形成し、ディスクに照射されたレーザー光の位相差や反射差を検出することによりデータの再生を行うものである。
【0004】
次に、上記▲2▼の書き換え型(相変化型)の光ディスクは、レーザー光のパワーと照射時間をコントロールし、記録層に結晶相と非晶質相の2相状態を形成することによりデータを記録し、両相の反射率変化をレーザーで検出することによりデータの検出(再生)を行うものである。この記録再生方式では繰返し記録・再生が可能であり、通常、数千回から数十万回程度、繰返し記録することができる。上記書き換え型の光ディスクの基本構造は図2に例示される様に、透明プラスチック基体1に、誘電体層7、記録層8、誘電体層7、反射層4、及び紫外線硬化樹脂保護層5の各種薄膜層が積層してなるものであり、かかる方式を採用する光ディスクとしては、CD−RW、DVD−RAM、DVD−RW、DVD−RW等が挙げられる。
【0005】
また、上記▲3▼の追記型光ディスクは、レーザー光のパワーにより記録層(有機色素層)の色素を発熱・変質させ、グルーブ(基板に予め刻まれている溝)を変形させることによりデータを記録し、変質箇所の反射率と未変質箇所の反射率との差を検出することによりデータの検出(再生)を行うものである。図3に、追記型光ディスクの基本構造を例示する。図中、1は透明プラスチック基体、6は有機色素層、4は反射層、5は紫外線硬化樹脂保護層である。この記録再生方式では、一度記録されたデーターが書換えられないこと(一回限りの記録と繰返し再生)が特徴であり、かかる方式を採用する光ディスクとしては、CD−R、DVD−R等が挙げられる。
【0006】
以下、代表例として上記▲1▼の読み出し専用ディスクを用いて従来技術を説明する。図1に示す如く光ディスクが単板で構成されている場合、機械的強度が十分得られず、変形し易いという欠点がある。また近年、光ディスクに積載するデータ量は動画に代表される大容量のデジタルデータの使用に伴って増大する傾向にあり、ディスク記録容量の増大が求められている。係る問題を解決する手段として張り合せ型ディスクが提案されている。張り合せ型ディスクとしては、例えば図4(図中、41,46は透明基体、42,47はピットによって形成された情報面、43,48は反射層、44,49は保護層、45は接着層)に示されるが、この様な構成とすることによって、ディスクの機械的強度を向上させることができ、しかもディスク記録容量も倍増させることができる。しかしながら情報面42,47に記録されている情報を再生するには夫々透明基体41,46を介してレーザ光を入射させなければならず、光ヘッド(レーザ発射手段及び反射レーザ検出手段)が片側にしか備えられていない装置では、情報面42から情報面47へ連続して情報を再生することができず、ディスクを必要に応じて裏返さなければならず、ディスク容量倍増のメリットが活かし切れず、再生連続性が問題となる。
【0007】
そこで片側からのレーザ入射によって情報面42,47の情報を読み出すことができるディスクとして、図5(図中41は透明基体、42,47は情報面、48は反射層、49は保護層、50は半透明反射層,45は接着層)に示す様な構成を有する積層型ディスクが提案されている。この様な構成にすることによって図4に示すディスクと同等の機械的強度とディスク容量を有しつつ、しかも片側面(透明基体41側)からのレーザ入射によって異なる情報面42,47に記録された情報を連続再生できる。尚、この様な積層型ディスクにおいて透明基体41側からレーザを入射して情報面47の情報を再生する場合、情報面47に入射レーザが絞られている(レーザ径が小さいということである)。この際、入射レーザの一部は半透明反射層50によって反射されるが、この半透明反射層50で反射されたレーザの線径は大きいため、情報面42の情報が誤再生されることがなく、また反射層48による反射レーザと混同することもないので、情報面47の情報が正確に再生される。また情報面42の情報を再生する場合、情報面42に入射レーザが絞られている。この際、入射レーザの一部は半透明反射層50を透過して反射層48によって反射されるが、この反射層48で反射されたレーザの線径は大きいため、情報面47の情報が誤再生されることがなく、情報面42の情報が正確に再生される。
【0008】
ところで上記の様に情報面47の情報を再生するには半透明反射層50は入射レーザに対して十分な透過性を有していなければならないが、情報面42の情報を再生するには、半透明反射層50が入射レーザに対して十分な反射性を有していなければならない。この様な条件を満たす半透明反射層としては従来から純AuあるいはAu基合金が用いられている。これらAu系半透明反射層は耐食性,耐凝集性等の化学的安定性に優れ、しかも反射率と透過率のバランスもよいという特性を有しているため常用されているが、Auは高価であるため製造コストが高く、実用性に欠ける。またAu系半透明反射層は次世代規格として研究開発が進められている青色レーザ(波長405nm程度)に対する反射率、透過率が大幅に低下するという問題があるため、青色レーザでは使用できないという制限がある。したがって低コストで、しかも青色レーザに対しても半透明反射層として機能する材料が求められている。
【0009】
本発明者らは上記問題を解決すべく種々の材料を用いて半透明反射層を形成して夫々の特性を調べた結果以下のことがわかった。純Agをスパッタリングして形成した半透明反射層は、原子空孔等の多くの欠陥を含み、Agが拡散して容易に凝集する為、環境試験の条件下ではAg結晶粒径の増大が起り易くなる。また基体との密着性も十分でないため、時間の経過と共に膜が劣化し、記録保持性が十分でなく長期安定性という観点からは好ましくない。また純Ag半透明反射層は、熱伝導や変化、応力状態、膜強度、界面性状の変化を伴うので望ましくない。更にAgを主成分とする合金では、実用波長域の400〜480nmでは充分優れた高反射率を示すものの、耐食性及び記録特性の経時変化では、Au系反射層よりも劣るという欠点がある。
【0010】
純CuまたはCuを主成分とする合金は安価であるが、耐食性(特に耐酸化性)に劣る他、Au系と同様、青色レーザーに対する反射率が低いという欠点を抱えている。その結果、ディスクの信頼性低下を招く恐れがある。
【0011】
純Al半透明反射層は、化学的安定性に劣る他、熱伝導率が低いという欠点も抱え、ディスクの構造や設計に制約が生じるという不具合があった。従って半透明反射層に要求される諸特性を具備させることは困難である。以上の様にこれら材料は何れも半透明反射層として要求される諸特性を満たすことは困難であった。
【0012】
半透明反射層がレーザーに対する透過性が十分でないと、入射したレーザは基体61から半透明反射層50を通過する際に入射レーザーの強度が減衰してしまい、十分な強度で情報面47にレーザーを照射することができず、その結果、反射層48からの反射レーザーを十分な強度で受光することができず、情報面47から得られる情報信号振幅が不足する。このように積層型ディスクの場合、情報面47の再生には半透明反射層の透過性に依存する。また透過性を上げると逆に情報面42の再生に必要な反射光強度が得られなくなることがある。しかも半透明反射層には反射性,透過性に加えて、光情報記録媒体に要求される長期保存性を考慮すると、半透明反射層が耐食性などの化学的安定性にも優れていなければ情報再生することができなくなり、ディスクの信頼性は維持できない。
【0013】
この様に光ディスク用半透明反射層には、信頼性の高い媒体を得るべく、反射率と透過性を有し、化学的安定性(特に耐酸化性)、基板等に対する密着性、構造安定性、記録特性の安定性、低コスト等の諸特性を満たすことが要求されているにもかかわらず、これらの要求特性全てを満足する半透明反射層は未だ提供されていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、半透明反射層として要求される透過率と反射率を有すると共に、耐食性及び耐凝集性等の化学的安定性も良好な光情報記録媒体用半透明反射層、光情報記録媒体、及び光情報記録媒体に用いる半透明反射層用スパッタリングターゲットを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し得た本発明とは、Ti,Ta,及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を合計で0.2〜3.0%(原子%の意味、以下同じ)含有するAl基合金で構成されていることに要旨を有する耐久性に優れた光情報記録媒体用の半透明反射層である。
【0016】
また上記光情報記録媒体用の半透明反射層を備えた光情報記録媒体、及び上記Ag基合金で構成された光情報記録媒体の半透明反射層用スパッタリングターゲットも本発明の範囲内に包含される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、光情報記録媒体用の半透明反射層に要求される諸特性のうち、特に耐食性,耐凝集性に優れ、且つ入射レーザーに対する透過性,反射性に優れた材料を提供するという観点から鋭意検討してきた。本発明における耐久性向上の指標としては、具体的に、▲1▼ディスク基板(ポリカーボネート基板等)及びディスクを構成する他の材料に対する密着性(以下、「基板等に対する密着性」で代表させる場合がある)を向上させることにより半透明反射層の耐久性が高められる場合と、▲2▼半透明反射層の拡散が抑制される結果、構造安定性に優れ、最終的に耐久性が高められる場合の両方を掲げ、かかる観点から実験を行った。
【0018】
尚、本発明における「耐久性」とは、半透明反射層が長時間に渡って耐食性,耐凝集性に優れた特性を示すことをいう。
【0019】
本発明者らは、種々の元素を用いて作製した合金スパッタリングターゲットを用い、スパッタリング法により種々の成分組成からなる合金層を基体に形成し、半透明反射層としての特性を評価した。その結果、所定量のTi,Ta及びCrよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有するAl基合金層は極めて優れた耐凝集性,耐食性を有すると共に、反射性及び透過性にも優れていることを見出した。また青色レーザに対する実用性の観点(反射性など)から検討した結果、Cu−Al合金層はAg基合金層と同じく青色レーザに対する吸収が大きく実用性がないことを見出すとともに、上記元素(Ti,Ta,Cr)を含有するAl基合金膜は優れていることを見出した。
【0020】
以下、本発明の光情報記録媒体用の半透明反射層を図5に例示される積層型再生専用光情報記録媒体を参照にしながら説明する。もちろん、本発明の半透明反射層が適用可能な積層型光情報記録媒体は図示例に限定される趣旨ではない。
【0021】
本発明に係る積層型光情報記録媒体(以下、光ディスクということがある)とは、図5に例示される様に基板41の一方の表面に情報信号が形成された情報面42を有し、該情報面42上に半透明反射層50,接着層45,情報面47,反射層48,保護層47が順次形成されてなるものである。本発明の光ディスクに記録された情報(例えば情報面42)を再生する場合、基板41側から再生する情報面(情報面42)にレーザの焦点を合わせて入射すれば、他の情報面(情報面47)の情報が誤再生されることなく、正確に情報信号を再生することができる。また積層型ディスクとすることで単層型ディスクよりも機械的強度が高く、且つ情報容量も増大させることができる。
【0022】
基板41としては任意の材料を用いることができ、入射レーザに対する透過性を有し、且つレーザに対して影響(屈折,遮断など)を与えない材料であれば特に限定されない。この様な特性を有する材料としては、アクリル系樹脂(例えばポリカーボネート等)などのプラスチック基板やガラス基板等の透明性を有する材料が例示される。基板の厚みは機械的強度,入射レーザ,反射レーザ等に影響を与えない程度であれば特に限定されない。例えば通常、400〜800mmとすることが望ましい。基板41の表面(積層面側)には情報信号を記録したピットと呼ばれる微細な凹凸が形成されている(情報面42)が、トラッキング用のグルーブ等が形成されていてもよく、また情報面42に形成されるピットは入射するレーザ波長に応じたサイズにするなど必要な情報信号が再生できる様に形成すればよく、具体的な形状等については特に限定されない。
【0023】
情報面42上には半透明反射層50が形成されている。本発明の半透明反射層50はTi,Ta,及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を合計で0.2〜3.0%含有するAl基合金で構成されている。Ti,Ta,及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.2%以上含有させてなるAl基合金を用いた本発明の半透明反射層50は、耐凝集性,耐久性に優れ、しかもレーザに対する反射率及び透過率に優れた特性を有する。また上記添加元素(即ちTi,Ta,Cr)が0.5%以上含有されていれば、基体41と半透明反射層50との密着性がより高まり、また耐食性,耐凝集性も高まるので望ましい。但し、上記元素の合計添加量が3.0%を超えると、逆に反射率、耐食性、耐凝集性等が劣化してしまい本発明で要求される耐久性や諸機能を発揮できない。また青色レーザに対する反射率,透過率のバランスを考慮すると上限を好ましくは2.0%とすることが望ましい。尚、上記含有量が0.2%未満の場合(純Al含む)、十分な耐食性が得られず、腐食による白斑が生じ、半透明反射層として要求される耐久性や反射率,透過率を満足し得ない。尚、これらの元素は単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても構わない。
【0024】
本発明に係る半透明反射層に望まれる効率は、一般的なDVDで使用される波長650nmにおいて、入射レーザ強度を100%とした場合に、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であることが推奨される。また波長405nm(青色レーザ)の場合の効率は好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であることが推奨される。
【0025】
半透明反射層の厚みは要求される特性に応じて適宜決定すればよいが、5nm未満であると反射率が劣化するだけでなく、凝集し易くなり、半透明反射層自体が劣化することがあるので好ましくない。逆に20nm以上であると透過率が減少するだけでなく、光吸収率が上昇して反射率も減少することがあるので、5nm〜20nmの範囲内とすることが望ましい。
【0026】
本発明の半透明反射層は、上記成分を含有し、残部Alであるが、更に上記光学特性(反射率,透過率)や化学的安定性を損なわない範囲で、上記成分以外の他の成分を添加しても良い。例えば硬度向上等の特性付与を目的として、Pd,Pt等の貴金属や遷移元素(前述したものを除く)を積極的に添加しても良い。また、O2,N2等のガス成分や、溶解原料である上記Al基合金に予め含まれている不純物が含まれていても構わない。またレーザに対する吸収を増大させる元素、例えばAg,Cuなどは青色レーザに対する吸収が大きく、反射率などの点で実用性がないので好ましくない。
【0027】
半透明反射層50の上には接着層45が形成されている。接着層としては、レーザを透過でき、且つレーザに屈折など影響を与えない材料であれば特に限定されない。この様な材料としては例えば、紫外線硬化樹脂,アクリル系樹脂などの透明性を有する材料が挙げられるが、これらの中でも、紫外線硬化樹脂を半透明反射層50上にスピンコート法等によって塗布した後、紫外線照射したものが推奨される。
【0028】
この接着剤層45の一方の表面(半透明反射層50と逆側)には情報面47が形成されている。更に情報面47の上には反射層48が形成されている。この反射層48の材料としては、Al,Au,Ag及びこれらの元素の単独あるいは他の元素と複合させたものが例示され、複合系としてはAl−Ti,Ag−Ti,Ag−Cu系合金などが挙げられるが、合金の成分組成や添加量を適切に調整して反射率の減少を許容可能範囲内に制御し、且つ密着性、構造安定性などの耐久性を始めとする諸特性を高水準で達成し得る材料を用いればよい。これらの中でも高い反射特性及び耐食性を維持しつつ、更に優れた密着効果及びコストの観点からAg基合金が好ましい。また、この反射層は、反射率の観点からは厚さ50〜150nmの薄膜とすることが望まれるが、要求される条件に応じて任意の厚さとすることができる。
【0029】
尚、レーザー波長が405nm程度の所謂青色レーザーである場合、反射層がAu等のレーザー反射率が悪い材料で形成されているとディスクとしての機能が低下するのでAu系合金は望ましくないことがある。
【0030】
また反射層48上には保護層49が形成されている。この保護層49は、反射層48や情報面47等を保護するとともに、湿気等による腐食,劣化等を防止する機能を有する。保護層49の材料としては特に限定されず、上記目的を達するものであれば特に限定されないが、紫外線硬化樹脂などが望ましく、例えば反射層48に紫外線硬化樹脂を塗布した後に紫外線を照射して硬化さたものでもよい。また帯電防止剤など目的に応じて添加してもよく、例えば公知の帯電防止剤を混入させて保護層を形成することによってディスクへの埃等の吸着を防ぐことができる。
【0031】
尚、本発明の積層型ディスクは基板41側からレーザを入射して積層した情報面の情報を再生するので、保護層49はレーザに対する透過性を有していなくてもよい。したがって保護層49には色素等の着色原料を混入することもでき、或いは保護層上に他の層を積層させてもよい。
【0032】
本発明の半透明反射層50はスパッタリング法により形成されたものであることが推奨される。スパッタリング法により形成された半透明反射層では、スパッタリング法固有の気相急冷によって非平衡固溶が可能になる為、その他の薄膜形成法でAl基合金層を形成した場合に比べ、合金元素(Ti,Ta,Cr)がAlマトリックス中に均一に存在し、その結果、耐食性や密着性が著しく向上するからである。
【0033】
また、スパッタリングの際には、スパッタリングターゲット材として、溶解・鋳造法で作製したAl基合金(以下、「溶製Al基合金ターゲット材」という)を使用することが好ましい。かかる溶製Al基合金ターゲット材は組織的に均一であり、また、スパッタ率及び出射角度が均一な為、成分組成が均一なAl基合金層(半透明反射層)が安定して得られる結果、より高性能の光ディスクが製作されるからである。尚、上記溶製Al基合金ターゲット材の酸素含有量を100ppm以下に制御すれば、半透明反射層形成速度を一定に保持し易くなり、該半透明反射層の酸素量も低くなる為、当該半透明反射層の反射率及び耐食性(特に耐硫化性)を著しく高めることが可能になる。上記スパッタリング法としてはイオンビームスパッタ法、DCスパッタ法、RFスパッタ法等が例示されるが、特に限定されない。
【0034】
以上、光ディスクが再生専用である場合を例示して本発明の半透明反射層及び該半透明反射層を用いた光ディスクについて説明したが、本発明に係る半透明反射層は耐久性,耐凝集性などの化学的特性に優れ、しかも反射率,透過率にも優れているので耐久性に優れた特性を発揮する。したがって本発明の半透明反射層を用いた積層型ディスクであれば、他層の構造,性質等については特に限定されず、用途に応じて適宜組合せて用いることができる。例えば情報面47側に相変化材料や光時期材料などの公知の記録材料を用いて記録層,誘電体層,有機色素層などを設けて、積層された書き換え型(相変化型)ディスク、及び追記型ディスクとすることもできる。
【0035】
以下実施例に基づいて本発明を詳述する。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
【0036】
【実施例】
実施例1
以下に示す方法によって製造された積層型光ディスク(尚、図5と類似の構造を有する。)を用いて各種試験を行なった。情報信号が記録されたスタンパを用いて射出成形法により、片面に該情報信号の設けられた厚み0.6mmを有する基板41を作成した。基板41の材料はポリカーボネートを用いた。基板41を射出成形した後、この基板41上に半透明反射層50形成した。半透明反射層50には表1に示す合金を用いて情報信号面上にDCマグネトロンスパッタ装置により層厚8nmとなるように成膜した。また基板41と同様に作成した基板49上の情報面(尚、情報面47は基板49片面に形成されている)にJIS Al6061合金を合金ターゲットとして該情報面47上にDCマグネトロンスパッタ装置を用いて反射層48を形成した後、半透明反射相50と反射層48がUV硬化樹脂45を介して対向する様に張り合せ、積層型光ディスクを得た。
【0037】
得られた各光ディスクに環境試験を行ない、環境試験前後の腐食状態とレーザ効率(反射率,透過率,吸光率)の変化について検討を行なった。環境試験は温度80、湿度90%を有する環境下に48Hr静置し、半透明反射層50の耐食性(耐酸化性)を以下の基準にて判断した。
○:肉眼及び光学顕微鏡(×200)で濁点が認められない。
△:肉眼では濁点が認められないが、光学顕微鏡では濁点が認められる。
×:肉眼で濁点が認められる。
【0038】
また各光ディスクの上記環境試験前後のレーザ効率を調べるために、レーザ照射手段と集光手段を備えた光ヘッドと基板41とが対向するように載置した。
【0039】
表1に波長650nm及び405nmのレーザを用いた場合の夫々のレーザ効率を示す。尚、反射率(分光反射率)、光吸収率、透過率は、情報面50に入射したレーザ強度を100%としたときの値である。反射率,光吸収率,透過率の測定方法は以下に示す通りである。
【0040】
入射レーザの反射率及び透過率は、スペクトロスコピックエリプソメーター(SenTech社製:SE850)によって測定した。
【0041】
光吸収率は入射レーザ強度100%から[反射率と透過率]を除した値である。
【0042】
【表1】
Figure 0004132800
【0043】
表1に示されている様にTi,Ta,Crを適量含むAl基合金(No.5、7、9)を用いた半透明反射層50は反射率の減少量が少なく、また耐食性に優れていることが分かる。しかも半透明反射層が高透過率を有しているので情報面47に十分な強度のレーザを入射させることができ、情報面42,47の情報を正確に再生でき、優れた再生特性を有すると共に、耐久性にも優れている。
【0044】
純Al,純Ag,純Au(No.1〜3)を用いた半透明反射層は腐食による白斑が生じ、また反射率の減少が著しい。また半透明反射膜層の透過率が低すぎるため、情報面47に十分な強度のレーザを入射できない。また反射率も小さいため、十分な反射光が得られず、情報面42,47の情報の再生ができず、耐久性に劣る。
【0045】
実施例2
各元素添加量と反射率との相関関係を調べた。実施例1と同様の方法により種々のAl基合金層(半透明反射層)を形成した試料を作成した後、波長650nmの範囲におけるレーザ効率を測定した。その結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
Figure 0004132800
【0047】
【発明の効果】
以上説明したとおり本発明に係る半透明反射層は高透過率を有しているため情報面47に十分な強度のレーザを入射させることができ、しかも反射率も高いので十分な強度の反射光が得られる。したがって情報面42,47の再生特性にも優れている。また耐食性や耐凝集性にも優れており、極めて高い耐久性を有している。更に半透明反射層を上記の様に構成することでAu系半透明反射層に比べて低コストである。
【0048】
本発明のスパッタリングターゲットは、上記半透明反射層をスパッタリングにより形成するときに好適に使用され、形成される半透明反射層の成分組成が安定しやすくなるというメリットの他、密着性,構造安定性,反射特性,耐食性などの諸特性にも優れた半透明反射層が効率よく得られる。
【0049】
本発明の半透明反射層は優れた反射率と透過率とを有し、且つ優れた耐食性と耐凝集性を有しているので、CD−ROM、DVD−ROM等の光情報記録媒体に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 読込み専用光ディスクの基本構造を示す模式図である。
【図2】 追記型光ディスクの基本構造を示す模式図である。
【図3】 書換え型光ディスクの基本構造を示す模式図である。
【図4】 張合せ型光ディスクの基本構造を示す模式図である。
【図5】 積層型光ディスク(読込み専用)の基本構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1 透明プラスチック基体
2 半透明反射層
3 接着層
4 反射層
5 紫外線硬化樹脂保護層
6 有機色素層
7 誘電体層
8 記録層
41,46 透明基体
42,47 情報面
43,48 反射層
44,49 保護層
45 接着層
50 半透明反射層

Claims (2)

  1. Ti,Ta,及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を合計で0.2〜3.0%(原子%の意味、以下同じ)含有するAl基合金で構成されており、青色レーザ光を用いる光情報記録媒体に適用されるものであることを特徴とする耐久性に優れた光情報記録媒体用の半透明反射層。
  2. 請求項1に記載のAl基合金で構成されている半透明反射層を備えた、青色レーザ光を用いる光情報記録媒体。
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