JP4131157B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気筒の吸気弁および排気弁の少なくとも一方がアクチュエータによって開閉駆動される形式のエンジンと、該エンジンから出力される動力を駆動輪へ伝達する動力伝達装置とを備えた車両の制御装置に関し、特に、吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動が異常となった時に対処する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
気筒の吸気弁および排気弁の少なくとも一方がアクチュエータによって開閉駆動される形式のエンジンを備えた車両が知られている。このような車両では、エンジンの吸気弁および/または排気弁の作動角度範囲、リフト量、作動時期が調節され得るので、エンジンの燃焼効率を高め得る一方で、作動気筒数を変更可能として燃費を良好としたり、或いはエンジン自体の回転抵抗を変化させて変速時の出力トルクを制御することができるなどの利点がある。
【0003】
ところで、上記気筒の吸気弁および排気弁の少なくとも一方がアクチュエータによって開閉駆動される形式のエンジンを備えた車両では、その吸気弁および排気弁の少なくとも一方の異常作動が発生すると、その異常な弁に対応する気筒の作動を停止させ、且つその異常な弁を閉じてガスの流動を遮断した状態に保ちながら、残りの正常な気筒でエンジンを運転する異常時制御を実行させることが提案されている。たとえば、特許文献1および特許文献2に記載された車両がそれである。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−152881号公報
【特許文献2】
特開2001−152882号公報
【特許文献3】
特開平8−127261号公報
【特許文献4】
特公平2−8927号公報
【特許文献5】
特開2001−254814号公報
【特許文献6】
特開平7−315082号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の車両では、吸気弁および排気弁の少なくとも一方の異常作動が発生したときにはその異常な弁が閉じられて残りの正常な気筒を作動させる異常時制御が実行されるが、そのような異常時制御においては、エンジンの回転抵抗が大きく、アクセルペダルの戻し操作に関連してエンジンブレーキが増加するので、動力伝達装置の耐久性が損なわれたり或いは運転性が損なわれる可能性があった。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、吸気弁および排気弁の少なくとも一方の異常作動時のための異常時制御が行われてエンジンブレーキが増加したとしても動力伝達装置の耐久性或いは運転性などがそこなわれない車両の制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】
かかる目的を達成するための第1発明の要旨とするところは、気筒の吸気弁および排気弁の少なくとも一方がアクチュエータによって開閉駆動される形式のエンジンと、そのエンジンから出力される動力を駆動輪へ伝達するベルト式無段変速機とを備えた車両の制御装置であって、(a) 前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常を判定する弁作動異常判定手段と、(b) その弁作動異常判定手段によって前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常が判定されたときには、前記ベルト式無段変速機のベルト挟圧力を高くする伝達トルク容量変更手段とを、含むことにある。
【0008】
【第1発明の効果】
このようにすれば、弁作動異常判定手段によって前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常が判定されたときには、伝達トルク容量変更手段によって前記ベルト式無段変速機のベルト挟圧力が高くされるので、そのベルト式無段変速機の耐久性が損なわれたり或いは車両の運転性が損なわれたりすることが好適に抑制される。
【0009】
【課題を解決するための第2の手段】
また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、気筒の吸気弁および排気弁の少なくとも一方がアクチュエータによって開閉駆動される形式のエンジンと、そのエンジンから出力される動力を駆動輪へ伝達する変速機とを備えた車両の制御装置であって、(a)前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常を判定する弁作動異常判定手段と、(b) その弁作動異常判定手段によって前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常が判定されたときには、前記変速機内の摩擦係合装置の係合トルクを高くする伝達トルク容量増加手段とを、含むことにある。
【0010】
【第2発明の効果】
このようにすれば、弁作動異常判定手段によって前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常が判定されたときには、伝達トルク容量増加手段によって前記変速機内の摩擦係合装置の係合トルクが高くされるので、エンジンブレーキトルクが増加しても、その変速機の耐久性が損なわれることが好適に抑制される。
【0011】
【課題を解決するための第3の手段】
また、前記目的を達成するための第3発明の要旨とするところは、気筒の吸気弁および排気弁の少なくとも一方がアクチュエータによって開閉駆動される形式のエンジンと、そのエンジンから出力される動力を駆動輪へ伝達するクラッチとを備えた車両の制御装置であって、(a) 前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常を判定する弁作動異常判定手段と、(b) その弁作動異常判定手段によって前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常が判定されたときには、前記クラッチの係合状態を解放若しくはスリップさせる伝達トルク容量減少手段とを、含むことにある。
【0012】
【第3発明の効果】
このようにすれば、弁作動異常判定手段によって前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常が判定されたときには、伝達トルク容量減少手段によって前記クラッチの係合状態が解放若しくはスリップさせられるので、エンジンブレーキトルクが増加しても、そのショックが吸収されて車両の運転性が損なわれることが好適に抑制される。
【0013】
【第1発明、第2発明、第3発明の他の態様】
ここで、好適には、前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方は、電磁アクチュエータによって開閉駆動される電磁駆動弁である。このようにすれば、前記弁作動異常判定手段によってその電磁駆動弁の作動異常が判定される。
【0014】
また、好適には、前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方は、電動モータにより回転駆動されるカムシャフトによって開閉駆動されるモータ駆動弁である。このようにすれば、前記弁作動異常判定手段によってそのモータ駆動弁の作動異常が判定される。
【0015】
また、好適には、前記動力伝達装置は、変速比が連続的に変化させられる無段変速機である。たとえば、有効径が可変な一対の可変プーリに巻き掛けられた伝動ベルトを介して動力を伝達するベルト式無段変速機である。このようにすれば、前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常が判定されたときには、伝動ベルトへの挟圧力が増加されることによりその伝達トルク容量が高められてスリップによる耐久性の低下が防止される。
【0016】
また、好適には、前記動力伝達装置は係合装置を備え、その係合装置の係合圧に基づいて伝達トルク容量が変更されるものである。このようにすれば、前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常が判定されたときには、動力伝達装置内に設けられた係合装置の係合圧に基づいて伝達トルク容量が変更される。
【0017】
また、好適には、前記動力伝達装置は自動変速機であり、前記係合装置はその自動変速機内に設けられたものである。このようにすれば、前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常が判定されたときには、自動変速機の伝達トルク容量が変更される。たとえば、この自動変速機は、複数の油圧式摩擦係合装置の組み合わせによって複数の変速段が択一的に選択されるものであり、それら複数の油圧式摩擦係合装置の係合圧の元圧となるライン圧が変更されることによりその伝達トルク容量が変更される。
【0018】
また、好適には、前記動力伝達装置は自動変速機であり、前記係合装置は、前記エンジンと前記自動変速機との間、或いはその自動変速機と駆動輪との間に設けられたものである。このようにすれば、前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常が判定されたときには、エンジンと前記自動変速機との間、或いはその自動変速機と駆動輪との間に設けられた係合装置の伝達トルク容量が変更される。
【0019】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施例のエンジン制御装置が適用されたハイブリッド車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。図において、動力源としてのエンジン10の出力は、振動減衰装置(ダンパ)12を順次介して、副変速部14および無段変速部16を含む無段変速機17に入力され、差動歯車装置18および車軸19を介して一対の駆動輪(たとえば前輪)21へ伝達されるようになっている。また、第2の動力源および発電機として機能するモータジェネレータMG2が上記副変速部14の第2入力軸52に連結されている。無段変速機17は、エンジン10の後段に連結されて駆動輪21へ動力を伝達するための動力伝達装置として機能している。
【0021】
上記エンジン10は、好適には、燃料消費を減少させるために、燃料が筒内噴射されることにより軽負荷時においては空燃比A/Fが理論空燃比よりも高い燃焼である希薄燃焼が行われるリーンバーンエンジンから構成される。このエンジン10は、たとえば3気筒ずつから構成される左右1対のバンクを備え、その1対のバンクは単独で或いは同時に作動させられるようになっており、作動気筒数の変更が可能とされている。このエンジン10の吸気配管には、図示しないスロットルアクチュエータによって操作されるスロットル弁とが設けられている。このスロットル弁は、基本的には図示しないアクセルペダルの操作量すなわちアクセル開度θACC に対応する大きさのスロットル開度θTHとなるように制御されるが、エンジン10の出力を調節するために変速過渡時などの種々の車両状態に応じた開度となるように制御されるようになっている。
【0022】
上記エンジン10には、エンジン10の起動、補機の駆動、回転エネルギの回収などのために、駆動用電動モータおよび発電機などとして機能するモータジェネレータMG1が直接的に連結されている。
【0023】
また、上記エンジン10は、その運転サイクル数が変更可能となるように構成されている。たとえば図2に示すように、各気筒を開閉する吸気弁20および排気弁22と、それらをそれぞれ開閉駆動する電磁アクチュエータ24および26とを含む可変動弁機構である電磁駆動弁28および29と、クランク軸30の回転角を検出する回転センサ32からの信号に従って上記吸気弁20および排気弁22の作動時期(タイミング)を制御する弁駆動制御装置34とを備えている。この弁駆動制御装置34は、エンジン負荷に応じて作動タイミングを最適時期に変更するだけでなく、加速操作時などの運転サイクル切り換え指令に従って、4サイクル運転を実現する開閉時期および2サイクル運転を実現する開閉時期となるように制御したり、たとえばモータ走行からエンジン走行への切換過渡期間において、エンジン10から出力される動力を駆動輪21へ伝達するためのクラッチC1の入出力回転を同期させるためにエンジン回転速度NE を制御する。上記電磁アクチュエータ24および26は、たとえば図3に示すように、吸気弁20または排気弁22に連結されてその吸気弁20または排気弁22の軸心方向に移動可能に支持された磁性体製の円盤状の可動部材36と、その可動部材36を択一的に吸着するためにそれを挟む位置に設けられた一対の電磁石38、40と、可動部材36をその中立位置に向かって付勢する一対のスプリング42、44とを備えている。
【0024】
前記無段変速機17の副変速部14は、ギヤ比(変速比)γA [=エンジン回転速度(入力軸回転速度)/入力軸56の回転速度(出力軸回転速度)]が1である高速側ギヤ段とギヤ比が1/ρ1 である低速側ギヤ段との前進2段、およびギヤ比が−1/ρ2 である高速側ギヤ段とギヤ比が−1/ρ1 である低速側ギヤ段との後進2段を有するラビニヨ型遊星歯車装置を有する有段変速機である。この副変速部14は、第1クラッチC1、第2クラッチC2、およびブレーキB1と、第1クラッチC1を介してエンジン10と連結される第1入力軸50と、第1クラッチC1および第2クラッチC2を介してエンジン10と連結される第2入力軸52と、それら第1入力軸50および第2入力軸52に設けられた第1サンギヤS1および第2サンギヤS2と、ブレーキB1を介して非回転のハウジング54と選択的に連結されるキャリヤKと、副変速部14の出力軸すなわち無段変速部16の入力軸56に連結されたリングギヤRと、キャリヤKによって回転可能に支持されるとともに第1サンギヤS1およびリングギヤRと噛み合う軸長の大きい第1遊星歯車P1と、同様にキャリヤKによって回転可能に支持されるとともに第2サンギヤS2および第1遊星歯車P1と噛み合う軸長の短い第2遊星歯車P2とを備えている。前記モータジェネレータMG2は、上記第2入力軸52に連結されている。
【0025】
図4は、上記副変速部14における各油圧式摩擦係合装置の係合作動の組み合わせによって得られる変速ギヤ段を,よく知られたP、R、N、D、2、Lなどのシフトレバーの操作位置(シフトポジション)毎に示す係合表である。図4において、○は係合、×は解放、△はスリップ係合を示している。前記副変速部14では、シフトレバーのDレンジ位置において、たとえば第1クラッチC1および第2クラッチC2が係合させられるとともにブレーキB1が解放されることにより変速比γA が「1」である高速側ギヤ段(前進2nd)が成立させられ、たとえば第1クラッチC1および第2クラッチC2が解放されるとともにブレーキB1が係合されることにより変速比γA が「1/ρ1 」である低速側ギヤ段(前進1st)が成立させられる。また、シフトレバーのRレンジ位置においては、たとえばエンジン走行において第1クラッチC1およびブレーキB1が係合させられるとともに第2クラッチC2が解放されることにより変速比γA が「−1/ρ2 」である後進高速側ギヤ段が成立させられ、たとえばモータ走行において第1クラッチC1および第2クラッチC2が解放されるとともにブレーキB1が係合されることにより変速比γA が「−1/ρ1 」である後進低速側ギヤ段が成立させられる。上記クラッチC1、C2およびブレーキB1は何れも油圧アクチュエータによって係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
【0026】
上記車両のモータ走行による後進時には、モータジェネレータMG2の回転が反転させられて第2サンギヤS2へ入力される。車両停止中は、基本的には、前進および後進のいずれにおいても上記モータジェネレータMG2によりクリープ力が確保される。このため、二次電池68の充電残量が不足しても、エンジン10を始動することによりモータジェネレータMG1から発電された電力が充電のために二次電池68に供給されるので、故障時以外は、モータジェネレータMG2によるモータ発進走行が常時可能とされている。また、前進走行においては、モータジェネレータMG2でクリープトルクを確保しつつ、モータ発進走行が行われる。また、モータジェネレータMG1でエンジン10を始動させ、同期回転に到達したらクラッチC1が係合させられて、エンジン10によりセカンド(2nd)走行が行われる。エンジン10でも発進可能とされており、低速ではクラッチC1をスリップさせつつ徐々に車速Vを上昇させる。比較的高速となると、クラッチC1を完全に係合させる。後進走行においては、モータジェネレータMG2が反転駆動されてクリープ力が確保され、トルクが必要なときはさらにエンジン10が始動される。低速では上記と同様にクラッチC1がスリップ係合させられる。このように、上記副変速部14は、少ない回転要素の数ですべての機能が達成される特徴がある。後進走行時のモータジェネレータMG2からエンジン10への駆動源切換時においてブレーキB1がそのままであり、摩擦係合装置の作動を切り換える必要がない。
【0027】
図1に戻って、前記無段変速機17の無段変速部16は、入力軸56に設けられた有効径が可変の入力側可変プーリ60と、出力軸62に設けられた有効径が可変の出力側可変プーリ64と、それら入力側可変プーリ60および出力側可変プーリ64に巻き掛けられた伝動ベルト66とを備えたベルト式無段変速機である。この伝動ベルト66は、一対の入力側可変プーリ60および出力側可変プーリ64にそれぞれ挟圧された状態で摩擦により動力を伝達する動力伝達部材として機能している。上記入力側可変プーリ60は、入力軸56に固定された固定回転体60aとその入力軸56に軸方向に移動可能且つ軸周りに回転不能に設けられた可動回転体60bと、入力側油圧シリンダ60cとを備え、その入力側油圧シリンダ60cにより入力側可変プーリ60の有効径が変更されるようになっている。また、出力側可変プーリ64も、出力軸62に固定された固定回転体64aとその出力軸62に軸方向に移動可能且つ軸周りに回転不能に設けられた可動回転体64bと、出力側油圧シリンダ64cとを備え、その出力側油圧シリンダ64cにより挟圧力が付与されるようになっている。一般に、上記入力側油圧シリンダ60cは、無段変速部16の変速比γCVT (=入力軸56の回転速度NIN/出力軸62の回転速度NOUT )を変化させるために用いられ、上記出力側油圧シリンダ64c内の油圧は伝動ベルト66の張力すなわちトルク伝達容量を最適に制御するために調節される。上記入力側可変プーリ60および出力側可変プーリ64とそれに巻き掛けられた伝動ベルト66とは、摩擦を介して動力を伝達する油圧式摩擦係合装置として機能している。
【0028】
車両には、充電可能な鉛蓄電池などの二次電池68と、水素などの燃料に基づいて発電を行う燃料電池70とが設けられている。これら二次電池68および又は燃料電池70は、切換装置72によってモータジェネレータMG1および/またはモータジェネレータMG2の電源として選択的に利用され得るようになっている。
【0029】
図5は、電子制御装置80に入力される信号およびその電子制御装置80から出力される信号を例示している。たとえば、電子制御装置80には、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度θACC を表すアクセル開度信号、無段変速部16の出力軸62の回転速度NOUT に対応する車速信号、エンジン回転速度NE を表す信号、空燃比A/Fを表す信号、シフトレバーSHの操作位置SH を表す信号などが図示しないセンサから供給されている。また、電子制御装置80からは、燃料噴射弁からエンジン10の気筒内へ噴射される燃料の量を制御するための噴射信号、無段変速部16の変速比γCVT を変更するための図示しない油圧制御回路内のシフト弁を駆動するシフトソレノイドを制御する変速指令信号、無段変速部16の伝動ベルト66の張力を制御するための張力指令信号、エンジン10のサイクル数を指令する信号などが出力される。
【0030】
上記電子制御装置80は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、無段変速部16のギヤ比γCVT を最適値に自動的に切り換える変速制御、無段変速部16の伝動ベルト66の張力を最適値に制御する張力制御、駆動源切換(ハイブリッド駆動)制御などを実行する。たとえば、上記変速制御では、予め記憶されたよく知られた関係(変速線図)からアクセル開度θACC (%)および車速Vに基づいて目標変速比γCVT * を決定し、実際の変速比γCVT がその目標変速比γCVT * と一致するように前記入力側油圧シリンダ60cを作動させる。上記張力制御では、予め記憶された関係から実際のスロットル弁開度θTH、エンジン回転速度NE 、および副変速部14のギヤ比γA に基づいて基本挟圧力を算出し、実際の作動油温度TOIL 、トルク振動幅或いはエンジン10のサイクル数に基づいてその基本挟圧力を補正し、その補正後の挟圧力で伝動ベルト66を挟圧してその張力すなわち挟圧力を制御するために出力側油圧シリンダ64cを作動させる。また、駆動源切換制御では、たとえば図6および図7に示す予め記憶された関係から車速Vおよび出力軸トルクTOUT に基づいて、駆動源および副変速部14のギヤ段の判定を行い、判定された駆動源および副変速部14のギヤ段に切り換えて走行させる。
【0031】
上記の駆動源切換制御により、図4に示されるように、図示しないシフトレバーが前進(ドライブ:D)ポジションへ操作された前進走行では、モータ走行領域であるので、ブレーキB1が係合されて副変速部14が第1速状態(ギヤ比が1/ρ1 の減速状態)とされた状態で、モータジェネレータMG2でクリープトルクを確保しながら、モータ発進が行われる。車速Vが増加してエンジン走行領域となると、エンジン10が起動され且つクラッチC1の入出力回転速度が同期するようにエンジン回転速度NE が制御され、同期が完了するとそのクラッチC1が係合されてエンジン走行が行われる。二次電池68の充電残量が不足でもエンジン10を起動してモータジェネレータMG1で発電させてその二次電池68に充電することが可能であるので、故障時以外は上記のモータ発進が可能とされている。大きな駆動力を必要とするような場合にはエンジンで発進することも可能であり、この場合には、低車速ではクラッチC1をスリップ係合させながら車速を増加させ、比較的高車速となるとクラッチC1を完全係合させる。シフトレバーが後進(リバース:R)ポジションへ操作された後進走行では、モータジェネレータMG2の回転が反転させられてクリープ力が確保されつつ、上記と同様に、ブレーキB1が係合されて副変速部14が第1速状態(ギヤ比が−1/ρ1 の減速状態)とされた状態で、モータ発進が行われる。この後進走行においてモータ走行からエンジン走行への切換時には、ブレーキB1は係合状態のままであり、切換が不要とされている。そして、車速増加などにより更に駆動トルクが必要となると、上記エンジン発進と同様に、エンジン10が起動され且つクラッチC1がスリップ係合される。
【0032】
図8は、上記電子制御装置80の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図8において、電磁駆動弁作動異常判定手段90は、弁作動異常判定手段としても機能するものであり、エンジン10の各気筒に備えられた電磁駆動弁28或いは29の作動が異常となる故障を、たとえば電磁駆動弁28および29のリフト量を検出するリフトセンサからの信号に基づいて判定する。この故障の判定は、たとえば同じタイミングで作動させられる気筒の電磁駆動弁28、29のリフト量を所定のタイミングで相互に比較し、リフト量の差が予め設定された判定値を超えたことに基づいて実行される。
【0033】
電磁駆動弁フェイル処理手段92は、上記電磁駆動弁作動異常判定手段90により、エンジン10の所定の気筒に備えられた電磁駆動弁28或いは29の作動が異常と判定されると、その作動異常と判定された電磁駆動弁28或いは29が備えられている異常気筒への燃料噴射を停止させるとともに、その作動異常と判定された電磁駆動弁28或いは29を閉じてガスの流動を遮断した状態に保持しつつ、吸気弁20および排気弁22とピストンとの干渉を回避しながら継続的に作動するように、他の正常な気筒の電磁駆動弁28および29を作動させてエンジン10を運転させる異常時制御を実行する。
【0034】
油圧制御手段94は、伝達トルク容量変更手段としても機能するものであり、上記電磁駆動弁作動異常判定手段90によりエンジン10の所定の気筒に備えられた電磁駆動弁28或いは29の作動が異常と判定されると、前記クラッチC1、C2の係合圧、ブレーキB1の係合圧、出力側油圧シリンダ64c内の挟圧力制御圧を所定値だけ変化させることにより、動力伝達装置としての無段変速機17の各部の油圧式摩擦係合装置のトルク伝達容量を一時的に変更する。油圧制御手段94は、たとえば上記電磁駆動弁28或いは29の作動が異常となったときに発生するエンジンブレーキ力の増加時にすべりが発生しないように、前記クラッチC1、C2の係合圧、ブレーキB1の係合圧、出力側油圧シリンダ64c内の挟圧力制御圧を所定値だけ一時的に増加させる。これにより、上記クラッチC1、C2の係合圧、ブレーキB1の係合圧、出力側油圧シリンダ64cの伝動ベルトに対する挟圧力が増加させられてそれらのトルク伝達容量が上昇させられて、すべりが防止される。上記油圧制御手段94は、上記電磁駆動弁作動異常判定時における上記油圧式摩擦係合装置に対するトルク伝達容量一時的変更処理の後は、前記電磁駆動弁フェイル処理手段92の異常時処理制御におけるエンジン出力トルクに応じてそれらの油圧式摩擦係合装置に対するトルク伝達容量を制御する。
【0035】
上記油圧制御手段94は、ベルト挟圧力増加手段96、副変速機内係合圧増加手段98、入力クラッチ解放/スリップ手段100を備えている。上記ベルト挟圧力増加手段96は、伝達トルク容量増加手段としても機能するものであり、電磁駆動弁作動異常判定手段90によりエンジン10の所定の気筒に備えられた電磁駆動弁28或いは29の作動が異常と判定されると、出力側油圧シリンダ64c内の挟圧力制御圧を所定値だけ一時的に増加させることにより、無段変速部16のトルク伝達容量を、少なくとも電磁駆動弁28或いは29の作動異常時におけるエンジンブレーキの増加期間内は一時的に増加させ、伝動ベルト66と入力側可変プーリ60または出力側可変プーリ64との間のすべりを防止する。上記出力側油圧シリンダ64c内の挟圧力制御圧の増加すなわち伝達トルク容量の増加値は、すべりが発生しない範囲で可及的に小さい値とされ、不要に運転性が損なわれないようにする。
【0036】
上記副変速機内係合圧増加手段98は、伝達トルク容量増加手段としても機能するものであり、前記電磁駆動弁作動異常判定手段90によりエンジン10の所定の気筒に備えられた電磁駆動弁28或いは29の作動が異常と判定されると、上記と同様に、副変速部14内の油圧式摩擦係合装置すなわちクラッチC1、C2、ブレーキB1の係合圧を所定値だけ一時的に増加させることにより、電磁駆動弁28或いは29の作動異常時におけるエンジンブレーキの増加時においてそれらクラッチC1、C2、ブレーキB1のスリップを防止する。それらクラッチC1、C2、ブレーキB1の係合圧は、個別に上昇させられてもよいが、図示しない前記油圧制御回路において、それらクラッチC1、C2、ブレーキB1の係合圧の元圧がライン圧から供給される場合には、そのライン圧が所定値上昇させられる。上記係合圧或いはライン圧の上昇値も、すべりが発生しない範囲で可及的に小さい値とされ、不要に運転性が損なわれないようにする。
【0037】
前記入力クラッチ解放/スリップ手段100は、伝達トルク容量減少手段としても機能するものであり、前記電磁駆動弁作動異常判定手段90によりエンジン10の所定の気筒に備えられた電磁駆動弁28或いは29の作動が異常と判定されると、無段変速機17の入力側の動力伝達経路において直列的に設けられたクラッチC1或いはC2の係合圧を一時的に減少させてそれを解放或いはスリップさせることにより、無段変速部16のトルク伝達容量を、少なくとも電磁駆動弁28或いは29の作動異常時におけるエンジンブレーキの増加期間内は一時的に低下させ、クラッチC1或いはC2の積極的すべりを発生させて他の油圧式摩擦係合装置を保護するとともに、車両挙動の変化を抑制する。この入力クラッチ解放/スリップ手段100は、主として、上記副変速機内係合圧増加手段98が設けられない場合に採用されるか或いは、その副変速機内係合圧増加手段98との間で所定の条件により選択的に切り換えて採用される。
【0038】
図9は、電子制御装置80による制御作動の要部すなわち電磁駆動弁フェイル時制御ルーチンを説明するフローチャートであり、数msec 乃至数十msec 程度の極めて短い周期で繰り返し実行される。
【0039】
図9において、電磁駆動弁作動異常判定手段90に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1では、エンジン10の各気筒に備えられた電磁駆動弁28或いは29のうちのいずれかの作動が異常であるか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、前記電磁駆動弁フェイル処理手段92に対応するS2において、異常時制御が実行され、その作動異常と判定された電磁駆動弁28或いは29が備えられている異常気筒への燃料噴射が停止させられるとともに、その作動異常と判定された電磁駆動弁28或いは29を閉じてガスの流動が遮断された状態に保持されつつ、吸気弁20および排気弁22とピストンとの干渉を回避しながら継続的に作動するように、他の正常な気筒の電磁駆動弁28および29が作動させられてエンジン10が運転される。次いで、前記ベルト挟圧力増加手段96に対応するS3において、出力側油圧シリンダ64c内の挟圧力制御圧が所定値だけ一時的に増加させられることにより、無段変速部16のトルク伝達容量が、少なくとも電磁駆動弁28或いは29の作動異常時におけるエンジンブレーキの増加期間内は一時的に増加させられ、伝動ベルト66と入力側可変プーリ60または出力側可変プーリ64との間のすべりが防止される。次いで、前記副変速機内係合圧増加手段98に対応するS4では、副変速部14内の油圧式摩擦係合装置すなわちクラッチC1、C2、ブレーキB1の係合圧が所定値だけ一時的に増加させられることにより、電磁駆動弁28或いは29の作動異常時におけるエンジンブレーキの増加時においてそれらクラッチC1、C2、ブレーキB1のスリップが防止される。続くS5は、上記S4が採用されないときにはそれに替えて実行されるものであり、前記入力クラッチ解放/スリップ手段100に対応するものである。すなわち、このS5では、無段変速機17の入力側の動力伝達経路において直列的に設けられたクラッチC1或いはC2の係合圧が一時的に減少させられてそれが解放或いはスリップさせられることにより、無段変速部16のトルク伝達容量が、少なくとも電磁駆動弁28或いは29の作動異常時におけるエンジンブレーキの増加期間内は一時的に低下させられ、クラッチC1或いはC2の積極的すべりを発生させて他の油圧式摩擦係合装置が保護されるとともに、車両挙動の変化が好適に抑制される。
【0040】
上述のように、本実施例によれば、電磁駆動弁作動異常判定手段90(S1)によって前記各気筒の電磁駆動弁28および29のいずれかの作動異常が判定されたときには、伝達トルク容量変更手段として機能する油圧制御手段94(ベルト挟圧力増加手段96)によってその無段変速機(動力伝達装置)17の伝達トルク容量が一時的に変更(増加)させられるので、エンジンブレーキが増加したとしても、その無段変速機17の耐久性が損なわれたりすることが好適に抑制される。
【0041】
また、本実施例によれば、電磁駆動弁作動異常判定手段90(S1)によって前記各気筒の電磁駆動弁28および29のいずれかの作動異常が判定されたときには、伝達トルク容量変更手段として機能する油圧制御手段94(副変速機内係合圧増加手段98)によってその無段変速機(動力伝達装置)17の伝達トルク容量が一時的に変更(増加)させられるので、エンジンブレーキトルクが増加しても、その無段変速機17の耐久性が損なわれることが好適に抑制される。
【0042】
また、本実施例によれば、副変速機内係合圧増加手段98に替えて入力クラッチ解放/スリップ手段100が用いられる場合、電磁駆動弁作動異常判定手段90(S1)によって前記各気筒の電磁駆動弁28および29のいずれかの作動異常が判定されたときには、伝達トルク容量変更手段として機能する油圧制御手段94(入力クラッチ解放/スリップ手段100)によってその無段変速機(動力伝達装置)17の伝達トルク容量が一時的に変更(減少)させられるので、エンジンブレーキトルクが増加しても、そのショックが吸収されて車両の運転性が損なわれることが好適に抑制される。
【0043】
また、本実施例によれば、動力伝達装置として、有効径が可変な一対の可変プーリ60、64に巻き掛けられた伝動ベルト66を介して動力を伝達するベルト式無段変速機17が用いられていることから、電磁駆動弁作動異常判定手段90(S1)によって前記各気筒の電磁駆動弁28および29のいずれかの作動異常が判定されたときには、伝動ベルト66への挟圧力が増加されることによりその伝達トルク容量が高められてスリップによる耐久性の低下が防止される。
【0044】
また、本実施例によれば、記動力伝達装置の一部を構成する副変速部14は、油圧式摩擦係合装置であるクラッチC1、C2、ブレーキB1を備え、それらのクラッチC1、C2、ブレーキB1の係合圧に基づいて伝達トルク容量が変更されるものであることから、電磁駆動弁作動異常判定手段90(S1)によって前記各気筒の電磁駆動弁28および29のいずれかの作動異常が判定されたときには、それらの係合圧が変更されることによって伝達トルク容量が一時的に変更される。
【0045】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
図10は、本発明の他の実施例の動力伝達装置などを示す図であり、図11はその骨子図であり、図12はその油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせにより得られる変速段を示す図である。
【0047】
図10において、エンジン110の出力は、クラッチ112、トルクコンバータ114を有する自動変速機116に入力され、図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝達されるようになっている。上記クラッチ112とトルクコンバータ114との間には、電動モータおよび発電機として機能する第1モータジェネレータMG1が配設されている。図11に示すように、上記トルクコンバータ114は、クラッチ112に連結されたポンプ翼車120と、自動変速機116の入力軸122に連結されたタービン翼車124と、それらポンプ翼車120およびタービン翼車124の間を直結するためのロックアップクラッチ126と、一方向クラッチ128によって一方向の回転が阻止されているステータ翼車130とを備えている。
【0048】
上記自動変速機116は、ハイおよびローの2段の切り換えを行う第1変速機132と、後進変速段および前進4段の切り換えが可能な第2変速機134とを備えている。第1変速機132は、サンギヤS0、リングギヤR0、およびキャリアK0に回転可能に支持されてそれらサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされている遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置136と、サンギヤS0とキャリアK0との間に設けられたクラッチC0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0およびハウジング138間に設けられたブレーキB0とを備えている。第2変速機134は、サンギヤS1、リングギヤR1、およびキャリアK1に回転可能に支持されてそれらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わされている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置140と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリアK2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成る第2遊星歯車装置142と、サンギヤS3、リングギヤR3、およびキャリアK3に回転可能に支持されてそれらサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされている遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置144とを備えている。
【0049】
上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに一体的に連結され、リングギヤR1とキャリアK2とキャリアK3とが一体的に連結され、そのキャリアK3は出力軸146に連結されている。また、リングギヤR2がサンギヤS3および中間軸148に一体的に連結されている。そして、リングギヤR0と中間軸148との間にクラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS2とリングギヤR0との間にクラッチC2が設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング138に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2とハウジング138との間には、一方向クラッチF1およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が入力軸122と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。キャリアK1とハウジング138との間にはブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウジング138との間には、ブレーキB4と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0050】
以上のように構成された自動変速機116では、例えば図12に示す作動表に従って後進1段および変速比が順次異なる前進5段の変速段のいずれかに切り換えられる。図12において「○」は係合状態を表し、空欄は解放状態を表し、「◎」はエンジンブレーキのときの係合状態を表し、「△」は動力伝達に関与しない係合を表している。この図12から明らかなように、第2変速段(2nd)から第3変速段(3rd)へのアップシフトでは、ブレーキB3を解放すると同時にブレーキB2を係合させるクラッチツークラッチ変速が行われ、ブレーキB3の解放過程で係合トルクを持たせる期間とブレーキB2の係合過程で係合トルクを持たせる期間とがオーバラップして設けられる。それ以外の変速は、1つのクラッチまたはブレーキの係合或いは解放作動だけで行われるようになっている。上記クラッチおよびブレーキは何れも油圧アクチュエータによって係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
【0051】
前記エンジン110は、後述する過給機154を備えているとともに、燃料消費を減少させるために、燃料が筒内噴射されることにより軽負荷時においては空燃比A/Fが理論空燃比よりも高い燃焼である希薄燃焼が行われるリーンバーンエンジンである。このエンジン110は、3気筒ずつから構成される左右1対のバンクを備え、その1対のバンクは単独で或いは同時に作動させられるようになっている。すなわち、作動気筒数の変更が可能となっている。
【0052】
たとえば図10に示すように、上記エンジン110の吸気配管150および排気管152には、排気タービン式過給機(以下、過給機という)154が設けられている。この過給機154は、排気管152内において排気の流れにより回転駆動されるタービン翼車156と、エンジン110への吸入空気を圧縮するために吸気配管150内に設けられ且つタービン翼車156に連結されたポンプ翼車158とを備え、そのポンプ翼車158がタービン翼車156によって回転駆動されるようになっている。上記排気管152には、ウエイストゲート弁159を備えてタービン翼車156をバイパスするバイパス管161が並列に設けられており、タービン翼車156を通過する排気ガス量とバイパス管161を通過する排気ガス量との比率が変化させられることにより、吸気配管150内の過給圧Pa が調節されるようになっている。なお、このような排気タービン式過給機に換えて、エンジン或いは電動機によって回転駆動される機械ポンプ式の過給機が設けられていてもよい。
【0053】
上記エンジン110の吸気配管150には、スロットルアクチュエータ160によって操作されるスロットル弁162とが設けられている。このスロットル弁162は、基本的には図示しないアクセルペダルの操作量すなわちアクセル開度θACC に対応する開度θTHとなるように制御されるが、エンジン110の出力を調節するために変速過渡時などの種々の車両状態に応じた開度となるように制御されるようになっている。
【0054】
また、前記第1モータジェネレータMG1はエンジン110と自動変速機116との間に配置され、クラッチ112はエンジン10と第1モータジェネレータMG1との間に配置されている。上記自動変速機116の各油圧式摩擦係合装置およびロックアップクラッチ126は、電動油圧ポンプ164から発生する油圧を元圧とする油圧制御回路166により制御されるようになっている。また、エンジン110には第2モータジェネレータMG2が作動的に連結されている。そして、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の電源として機能する燃料電池170および二次電池171と、それらから第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2へ供給される電流を制御したり或いは充電のために二次電池171へ供給される電流を制御するための切換スイッチ172および173とが設けられている。この切換スイッチ172および173は、スイッチ機能を有する装置を示すものであって、たとえばインバータ機能などを有する半導体スイッチング素子などから構成され得るものである。
【0055】
本実施例によれば、前述の図8に示すものと同様に、電磁駆動弁作動異常判定手段90によって前記各気筒の電磁駆動弁28および29のいずれかの作動異常が判定されたときには、伝達トルク容量変更手段として機能する油圧制御手段94によって上記自動変速機116の伝達トルク容量、すなわち油圧式摩擦係合装置、すなわちクラッチC0、C1、C2、ブレーキB0、B1、B2、B3、B4、およびロックアップクラッチ126の係合圧が一時的に所定値だけ増加させられるので、エンジンブレーキトルクが増加しても、その自動変速機116の耐久性が損なわれることが好適に抑制される。
【0056】
或いは、本実施例によれば、電磁駆動弁作動異常判定手段90によって前記各気筒の電磁駆動弁28および29のいずれかの作動異常が判定されたときには、伝達トルク容量変更手段として機能する油圧制御手段94によって上記自動変速機116の伝達トルク容量、すなわち油圧式摩擦係合装置、すなわちクラッチC0、C1、C2、ブレーキB0、B1、B2、B3、B4、およびロックアップクラッチ126の係合圧が一時的に所定値だけ減少させられるので、エンジンブレーキトルクが増加しても、そのショックが吸収されて自動変速機116や車両の運転性が損なわれることが好適に抑制される。
【0057】
また、本実施例によれば、上記自動変速機116は、図12に示されるように、複数の油圧式摩擦係合装置、すなわちクラッチC0、C1、C2、ブレーキB0、B1、B2、B3、B4の組み合わせによって複数の変速段が択一的に選択されるものであり、それら複数の油圧式摩擦係合装置の係合圧がライン圧から導かれる場合には、その油圧式摩擦係合装置の元圧となるライン圧が変更されることによりその油圧式摩擦係合装置のいずれか或いは全部の伝達トルク容量が変更される。
【0058】
また、本実施例によれば、油圧式摩擦係合装置の1つであるロックアップクラッチ126は、エンジン110と自動変速機116との間に設けられたものであることから、前記各気筒の電磁駆動弁28および29の作動異常時においてそのロックアップクラッチ126の係合圧が変更させられることにより、エンジン110の後段の動力伝達装置の伝達トルク容量が変更される。
【0059】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0060】
たとえば、前述の実施例の図8或いは図9において、副変速機内係合圧増加手段98(S4)および入力クラッチ解放/スリップ手段100(S5)が記載されていたが、いずれか一方が記載されていてもよい。
【0061】
また、前述の実施例において、伝達トルク容量変更手段として機能する油圧制御手段94は、ベルト挟圧力増加手段96(S3)、副変速機内係合圧増加手段98(S4)、および入力クラッチ解放/スリップ手段100(S5)のうちのいずれか1つの機能を備えたものであってもよい。
【0062】
また、前記無段変速部16は、動力伝達部材として機能する伝動ベルト66が有効径が可変である一対の可変プーリ60および64に巻き掛けられた所謂ベルト式無段変速機であったが、共通の軸心まわりに回転させられる一対のコーンと、その軸心と交差する回転中心回転可能な複数個のローラがそれら一対のコーンの間で挟圧され、そのローラの回転中心と軸心との交差角が変化させられることによって変速比が可変とされた所謂トラクション型無段変速機などであってもよい。このトラクション型無段変速機では、一対のコーンの間で挟圧されるローラが動力伝達部材として機能し、その挟圧力にしたがって伝達トルク容量が変化させられる。
【0063】
また、前述の図11の実施例では、ロックアップクラッチ126がエンジン110と自動変速機116との間に設けられていたが、自動変速機116と図示しない駆動輪との間に設けられていてもよい。
【0064】
また、前記電磁駆動弁作動異常判定手段90によって前記各気筒の電磁駆動弁28および29のいずれかの作動異常が判定されたときには、油圧式摩擦係合装置の係合油圧などが上昇させられることによって伝達トルク容量が増加させられていたが、電磁クラッチ、磁粉クラッチなどのように必ずしも油圧式摩擦係合装置でなくてもよい。
【0065】
また、前述の実施例のエンジン10は、その吸気弁20および排気弁22を電磁アクチュエータ24および26を用いて開閉駆動させる電磁駆動弁28および29を備えていたが、それに替えて、その吸気弁20および/または排気弁22を電動モータにより回転駆動されるカムシャフトによって開閉されるモータ駆動弁を備えたものであってもよい。
【0066】
その他、一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の車両の制御装置が適用されたハイブリッド車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。
【図2】図1のエンジンの各気筒に設けられた可変動弁機構を説明する図である。
【図3】図2の可変動弁機構に設けられて吸気弁或いは排気弁を開閉作動させる電磁アクチュエータの構成を説明する図である。
【図4】図1の副変速機におけるシフトレバーの操作位置および摩擦係合装置の作動の組み合わせによって得られる走行モード或いはギヤ段を説明する図である。
【図5】図1の実施例の車両に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。
【図6】図5の電子制御装置による駆動源切換制御において用いられる予め記憶された関係であって、前進走行時に用いられる関係を示す図である。
【図7】図5の電子制御装置による駆動源切換制御において用いられる予め記憶された関係であって、後進走行時に用いられる関係を示す図である。
【図8】図5の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図9】図5の電子制御装置の制御作動の要部すなわち電磁駆動弁フェイル時制御作動を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施例の動力伝達装置を示す図である。
【図11】図10の自動変速機の構成を説明する骨子図である。
【図12】図10の自動変速機において、その油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせにより得られる変速段を示す図である。
【符号の説明】
10:エンジン
17:無段変速機(動力伝達装置)
28、29:電磁駆動弁
80:電子制御装置(制御装置)
90:電磁駆動弁作動異常判定手段(弁作動異常判定手段)
92:電磁駆動弁フェイル処理手段
94:油圧制御手段(伝達トルク容量変更手段)
96:ベルト挟圧力増加手段(伝達トルク容量増加手段)
98:副変速機内係合圧増加手段(伝達トルク容量増加手段)
100:入力クラッチ解放/スリップ手段(伝達トルク容量減少手段)

Claims (5)

  1. 気筒の吸気弁および排気弁の少なくとも一方がアクチュエータによって開閉駆動される形式のエンジンと、該エンジンから出力される動力を駆動輪へ伝達するベルト式無段変速機とを備えた車両の制御装置であって、
    前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常を判定する弁作動異常判定手段と、
    該弁作動異常判定手段によって前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常が判定されたときには、前記ベルト式無段変速機のベルト挟圧力を高くする伝達トルク容量変更手段と
    を、含むことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 気筒の吸気弁および排気弁の少なくとも一方がアクチュエータによって開閉駆動される形式のエンジンと、該エンジンから出力される動力を駆動輪へ伝達する変速機とを備えた車両の制御装置であって、
    前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常を判定する弁作動異常判定手段と、
    該弁作動異常判定手段によって前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常が判定されたときには、前記変速機内の摩擦係合装置の係合トルクを高くする伝達トルク容量増加手段と
    を、含むことを特徴とする車両の制御装置。
  3. 気筒の吸気弁および排気弁の少なくとも一方がアクチュエータによって開閉駆動される形式のエンジンと、該エンジンから出力される動力を駆動輪へ伝達するクラッチとを備えた車両の制御装置であって、
    前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常を判定する弁作動異常判定手段と、
    該弁作動異常判定手段によって前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方の作動異常が判定されたときには、前記クラッチの係合状態を解放若しくはスリップさせる伝達トルク容量減少手段と
    を、含むことを特徴とする車両の制御装置。
  4. 前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方は、電磁アクチュエータによって開閉駆動される電磁駆動弁である請求項1乃至3のいずれかの車両の制御装置。
  5. 前記吸気弁および排気弁の少なくとも一方は、電動モータにより回転駆動されるカムシャフトによって開閉駆動されるモータ駆動弁である請求項1乃至3のいずれかの車両の制御装置。
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