JP4129339B2 - Mri装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、被検体内に存在する原子核スピンの磁気共鳴現象を利用して被検体内の画像を得るMRI(磁気共鳴イメージング)装置に係る。とくに、磁気共鳴現象を発生させるために印加する、1回の励起パルスの印加に対して複数のエコー信号を発生させ、短時間でデータ収集ができるEPI(エコープラナーイメージング)法、FSE(高速スピンエコー)法、又はそれらを基礎とするパルスシーケンスを実行する磁気共鳴イメージングに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気共鳴イメージングは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生するFID(自由誘導減衰)信号やエコー信号から被検体内の画像を得る手法である。
【0003】
この磁気共鳴イメージングは、とくに、被検体の解剖学的な断層像を非侵襲的に得る手法として極めて有効である。このため、例えば、骨に覆われた脳の中枢神経系の診断にも活用されている。
【0004】
このような磁気共鳴イメージングの分野において、臨床的に有効性の高いT2強調イメージングを行う場合、エコー時間TEおよび繰返し時間TRを長く設定したパルスシーケンスを使う必要があった。このため、全体の撮影時間が10分程度と長くなり、患者の負担も大きなものがあった。
【0005】
そこで撮影時間の短縮を図るために、単一の励起パルスに対して複数回のデータ収集を行うEPI法やFSE法(RARE法とも呼ばれる)が提案され、使用されている。
【0006】
EPI法は、“Mansfield"により提案された手法で、読出し方向の傾斜磁場の極性をスイッチングさせながら、フィールドエコーを連続的に生成させるプロセスを用いる(“Mansfild,P.“NMR Imaging in Biomedicine", Advances in Magnetic Resonance, Academic Press, New York, 1982")。このMRI法を用いることにより、シングルショット撮影が可能になった。シングルショット撮影の場合には、しかしながら、磁場不均一性の影響やT2緩和に因る画像ボケなどが顕在化する。これを抑制するため、実用的にはマルチショットタイプのEPI法を用いた撮像が多用されている。
【0007】
一方、FSE法は、“Hennig"による提案された手法であり、単一の励起パルスに対してリフォーカスパルスを連続的に印加することでマルチエコー信号を生成するプロセスを採る(“Hennig,J., “RARE Imaging: Fast Imaging Method Clinical MR", Magn. Reson.Med 3, 823−33(1986)"参照)。このFSE法は、EPI法に比較して、撮影時間は長くなるものの磁場の不均一性の影響を受けない等の利点がある。このFSE法の場合も、マルチショット化して使用することで、実効エコー時間の短縮、画像ボケの低減などに因り臨床的な有効性が上がるので、広く利用されるようになっている。
【0008】
このようにT2強調画像(T2コントラスト像)のイメージングは、EPI法やFSE法による高速化されており、1回の励起パルス印加に対応するエコートレイン数が増えるほど高速化の度合いは高まる。これらの高速撮影における1回の励起に対するデータ収集時間はEPI法の場合で100〜150ms、FSE法の場合で200〜400ms程度である。
【0009】
これに対して、T2強調画像に対比されるT1強調画像のイメージングについては、マルチショットタイプのFSE法を用いてマルチエコー信号を得る場合、RFリフォーカスパルスの印加に伴うMT(magnetization transfer)コントラストの変化が画像に生じるため、T1強調画像としての使用には適していない。また、EPI法は、画像歪のために使用できず、エコートレインによる撮影時間の短縮効果を得ることは困難であった。
【0010】
このため、T1強調画像については、SE法またはFE法を繰返し時間TRを短くして使用する等の手法を用い、これにより撮影時間を短縮させることが行われている。しかし、この場合も、高速化を意図してRFパルスの印加密度が高くなるほど、FSE法のときと同様に、MT効果などの要因で画質が劣化するという問題は不可避であった。また、従来のFE法のままで繰返し時間TRを短くしようとしても、所望のT1コントラストは得ることは難しく、殆どはプロトンコントラストしか得られなかった。
【0011】
この現状を打破するために、マルチショットのFEタイプEPI法を用いるイメージング法が提案されている(例えば、“Slavin S.and Riederer SJ., Magn. Reson. Med.38 368−377;1997", “Epstein FH., et al., 6th Annual meeting ISMRM 801;1998",and “Slavin S. et al., 6th Annual meetingISMRM 320;1998"参照)。このイメージング法に拠るシーケンスは、主に心臓を撮影することを目的として開発されており、その特徴は、シーケンスのETL(Echo Train Length)を短縮して磁場の不均一性の影響を低減させることである。これにより、従来のシングルショットタイプのEPI法では撮影困難であった心臓などのオブリーク像の撮影が可能になっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したT1強調イメージングにおけるマルチショットのFEタイプEPI法を用いる場合、制御しなければならないパラメータ数が増えるため、パルスシーケンスのエコートレイン長(ETL)やショット数など、画質に影響するパラメータの値を決める上での制約もその分、多くなる。
【0013】
例えば、エコートレイン長が長くなるようにパルスシーケンスを設定すれば、撮影そのものの高速化はできるが、その一方で、特にEPI法で顕著に見られるように、データ収集時間が長くなることに因ってケミカルシフトアーチファクトの発生量や磁場不均一性に因る画像歪が増加する。このように、画質に影響するパラメータの制約が多く且つ複雑になるので、従来の操作盤上に設置した個々のパラメータの1次元スライドバーを電卓で計算しながら操作して撮影条件を設定する手法にあっては、撮影条件を最適に設定することは至難の業である。
【0014】
とくに、各パラメータの重み付けが評価関数により異なるため、熟練した操作者が1次元のスライドバーを操作する場合であっても、最適な撮影条件を設定するには相当な困難が伴うことは必至である。
【0015】
撮影条件の設定精度が低い場合、実際の撮影において、パルスシーケンスが実行されなかったり、画質が劣る画像しか得られないということになる。このため再撮影を余儀なくされるなどの事態が頻発することから、操作上の労力が増え、かつ患者スループットが低下するという問題がある。また、かかる事態は患者にとっても体力的、精神的に相当な負担となる。
【0016】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、マルチショットタイプのFSE法、EPI法など、各ショットに対して複数個のエコー信号(エコートレイン)を得る磁気共鳴イメージングを行うときに、撮影目的に応じた最適な撮影条件を満たすパルスシーケンスを迅速に、操作労力少なく、かつ精度良く設定して撮影を行い、高画質のMR画像を提供できるようにすることである。
【0017】
また、本発明の第2の目的は、マルチショットタイプのFSE法、EPI法など、各ショットに対して複数個のエコー信号(エコートレイン)を得る磁気共鳴イメージングを行うときに、撮影目的に応じた最適な撮影条件を満たすパルスシーケンスを迅速に、操作労力少なく、かつ精度良く設定することができるインタフェースを提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述した例えばEPI法における高速化、すなわちデータ収集時間の延長とケミカルシフトアーチファクトや磁場不均一性に拠る画像歪の増加との関係を改善するには、エコートレイン長の制約が有効であることに、着目したものである。さらに脂肪抑制を付加した場合、ケミカルシフトアーチファクトの発生を考慮する必要がないため、磁場不均一性の影響に因る画像歪が発生しない程度までデータ収集時間を長くすることができる。また、エコートレインを長くすれば、繰返し時間TRを延長しても、データ収集効率が低下しないため、単位時間当たりのSNRを向上させることができる。
【0019】
前記目的を達成するために、以下の構成を採用している。
【0020】
第1の発明によれば、一様な静磁場の中に置かれた被検体にパルスシーケンスを印加してエコー信号を収集し、この被検体の内部の画像を生成するMRI装置において、前記パルスシーケンスとして1回のRF励起パルスの印加当たり複数個のエコー信号を発生させるパルスシーケンスを設定するとともに、前記複数個のエコー信号を収集するためのデータ収集時間を所望値に設定し、かつこの所望時間からその複数個のエコー信号のエコー数および前記RF励起パルスのショット数を決めるパルスシーケンス設定手段と、このパルスシーケンス設定手段により設定したパルスシーケンスを実行して前記エコー信号を収集するパルスシーケンス実行手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】
好適には、前記パルスシーケンス設定手段により設定されるパルスシーケンスの種類は、前記複数個のエコー信号を生成するために複数個のリフォーカスRFパルスを印加するパルス列又は読出し方向傾斜磁場パルスの極性を複数回反転させるパルス列を含む。例えば、前記パルスシーケンスは、T1強調画像を得るパルスシーケンスであって、その繰返し時間TRは600ms以下の値である。
【0022】
また例えば、前記パルスシーケンスは、読出し方向傾斜磁場パルスの極性を複数回反転させるパルス列を含み、そのパルス列の印加前に脂肪抑制パルスを印加するパルスシーケンスである。好適には、前記複数個のエコー信号を収集するための前記データ収集時間は30ms以下の値に設定される。
【0023】
また、一例として、前記複数個のエコー信号を収集するための前記データ収集時間を10ms以下の値に設定できる。また、前記パルスシーケンスは脂肪抑制パルスを用いないパルスシーケンスであってもよい。
【0024】
一方、前記パルスシーケンス設定手段は、好適には、前記パルスシーケンスのデータ収集時間を最適値に制約するための平面グラフ表示の対話式ユーザーインターフェースを備える。
【0025】
このユーザーインターフェースは、例えば、2個の変数を用いた平面グラフ表示の対話式ユーザインタフェースである。この2個の変数は、前記RFパルスのショット数と位相エンコード数である。例えば、前記ユーザーインターフェースは、前記2次元グラフ上でエコートレイン長(ETL)とショット数との組み合わせに対して禁止領域を指定し、この禁止領域を除く範囲でパラメータ選択を行わせるインターフェースである。また例えば、前記ユーザーインターフェースは、前記2次元グラフ上に前記2次元グラフ上でエコートレイン長(ETL)とショット数との組み合わせに対して推奨範囲を表示するインタフェースである。一例として、このユーザーインターフェースは、前記無効範囲および推奨範囲の少なくとも一方を模様又はカラーにより区分けして表示される。
【0026】
また、前記ユーザーインターフェースは、操作者が任意の傾きの直線を前記グラフ上に入力する手段と、撮影パラメータをその直線上でのみ選択可能とする手段とを有していてもよい。
【0027】
さらに、前記ユーザーインターフェースは、3個の変数を用いた2次元グラフ表示の対話式ユーザインタフェースであってもよい。この3個の変数は、例えば、前記RFパルスのショット数、位相エンコード数、セグメント数である。
【0028】
また、第1の発明の別の態様として、前記RF励起パルスの印加毎に前記複数個のエコー信号を受信して当該エコー信号をデジタル量のエコーデータに処理する受信処理手段と、このエコーデータを所定マトリクスサイズの周波数空間に配置して当該周波数空間のエコーデータに画像再構成処理を施す再構成手段とを備え、この再構成手段は、前記RF励起パルスの印加が前記周波数空間の配置に必要なデータ数を超える前記エコーデータを発生させるときに、そのエコーデータの一部を破棄して残りのエコーデータを前記周波数空間に配置するように形成していてもよい。
【0029】
好適には、前記再構成手段は、前記RF励起パルスの印加が前記周波数空間の配置に必要なデータ数を超える前記エコーデータを発生させるときに、そのエコーデータの列の内、最初の方に発生するデータの一部及び最後の方に発生するデータの一部を破棄して残りのエコーデータを前記周波数空間に配置するように形成される。
【0030】
このように構成することで、従来、撮影時間の短縮が困難であったT1コントラスト画像をEPI法などのパルスシーケンスを用いて高速化する際、課題となるETLの可変機能とそれらのパラメータ入力のためのグラフィックインタフェースにより、最適な撮影パラメータの決定ができる。所望の画質に応じた撮影パラメータの採り得る値や現在の設定状況を他のパラメータとの関係において直感的に理解しながら、撮影パラメータを設定することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0033】
(第1の実施の形態)
第1の実施形態を図1〜図6を参照して説明する。
【0034】
この実施形態に係るMRI(磁気共鳴イメージング)装置は、1回の励起パルスの印加につき複数のエコー信号を発生させて短時間でデータ収集ができるEPI(エコープラナーイメージング)法、FSE(高速スピンエコー)法、又はそれらに基礎を置いたパルスシーケンスを実行する装置であり、かかるパルスシーケンスによるデータ収集時間を制約することに特徴を有する。この制約はグラフ表示のインタフェースを使って、オペレータとの間で対話的に行う。この制約によって、化学シフトアーチファクト、磁場不均一性に因る画像歪、T2減衰に因る画像ボケなどの画像劣化要因を排除又は抑制して、画質を向上させることができる。
【0035】
このMRI装置の概略構成を図1に示す。このMRI装置は、被検体Pを載せる寝台部と、静磁場を発生させる静磁場発生部と、静磁場に位置情報を付加するための傾斜磁場発生部と、高周波信号を送受信する送受信部と、システム全体のコントロール及び画像再構成を担う制御・演算部とを備えている。
【0036】
静磁場発生部は、例えば超電導方式の磁石1と、この磁石1に電流を供給する静磁場電源2とを備え、被検体Pが遊挿される円筒状の開口部(診断用空間)の軸方向(Z軸方向)に静磁場Hを発生させる。なお、この磁石部にはシムコイル14が設けられている。このシムコイル14には、後述するコントローラの制御下で、シムコイル電源15から静磁場均一化のための電流が供給される。寝台部は、被検体Pを載せた天板を磁石1の開口部に退避可能に挿入できる。
【0037】
傾斜磁場発生部は、磁石1に組み込まれた傾斜磁場コイルユニット3を備える。この傾斜磁場コイルユニット3は、互いに直交するX、Y、Z軸方向の傾斜磁場を発生させるための3組(種類)のx,y,zコイル3x〜3zを備える。傾斜磁場部はさらに、x,y,zコイル3x〜3zに電流を供給する傾斜磁場電源4を備える。この傾斜磁場電源4は、後述するシーケンサ5の制御のもと、x,y,zコイル3x〜3zに傾斜磁場を発生させるためのパルス電流を供給する。
【0038】
傾斜磁場電源4からx,y,zコイル3x〜3zに供給されるパルス電流を制御することにより、物理軸としての3軸であるX,Y,Z方向の傾斜磁場を合成して、論理軸としてのスライス方向傾斜磁場G、位相エンコード方向傾斜磁場G、および読出し方向(周波数エンコード方向)傾斜磁場Gの各方向を任意に設定・変更することができる。スライス方向、位相エンコード方向、および読出し方向の各傾斜磁場は静磁場Hに重畳される。
【0039】
送受信部は、磁石1内の撮影空間にて被検体Pの近傍に配設されるRFコイル7と、このコイル7に接続された送信器8T及び受信器8Rとを備える。この送信器8T及び受信器8Rは、後述するシーケンサ5の制御のもとで、磁気共鳴(MR)現象を起こさせるためのラーモア周波数のRF電流パルスをRFコイル7に供給する一方、RFコイル7が受信した高周波のMR信号を受信し、各種の信号処理を施して、対応するデジタル信号を形成するようになっている。
【0040】
さらに、制御・演算部は、シーケンサ(シーケンスコントローラとも呼ばれる)5、ホスト計算機6、演算ユニット10、記憶ユニット11、表示器12、および入力器13を備える。
【0041】
この内、ホスト計算機6は、シーケンサ5をはじめとして、演算ユニット10、記憶ユニット11、および表示器12を含む装置全体の動作を統括する機能を有するとともに、スキャン計画時のユーザーインタフェースの機能も果たす。つまり、ホスト計算機6は、記憶したソフトウエア手順に基づき、オペレータが指令した情報を受け付け、この情報に基づくスキャンシーケンス情報をシーケンサ5に指令する対話式のユーザーインタフェースを、表示器12及び入力器13と伴に提供するようになっている。このユーザーインタフェースを介して、ユーザは、撮影する画像のマトリクスサイズやショット数(励起数)に応じた可変長のエコートレインに対応した、繰返し時間TRの間に可能なスライス枚数やスキャン時間を任意に設定できるようになっている。
【0042】
シーケンサ5は、CPUおよびメモリを備えており、ホスト計算機6から送られてきたパルスシーケンス情報を記憶し、この情報にしたがって傾斜磁場電源4、送信器8T、受信器8Rの一連の動作を制御する。また、シーケンサ5は、受信器8RからのMR信号のデジタルデータを一旦入力して、再構成処理を行う演算ユニット10にそのデータを転送する。
【0043】
ここで、パルスシーケンス情報とは、一連のパルスシーケンスにしたがって傾斜磁場電源4、送信器8Rおよび受信器8Tを動作させるために必要な全ての情報であり、例えばx,y,zコイル3x〜3zに印加するパルス電流の強度、印加時間、印加タイミングなどに関する情報を含む。
【0044】
本実施形態で採用可能なパルスシーケンスは、FEタイプのEPI法、SEタイプのEPI法、FSE法、FASE(高速Asymmetric SE)法などである。
【0045】
演算ユニット10は、入力する生データの読み込み、画像のフーリエ空間(k空間または周波数空間とも呼ばれる)への生データの配置、データのアベレージング処理、生データを実空間データに再構成する再構成処理(例えば2次元または3次元のフーリエ変換処理)、3次元画像データから2次元画像データを生成するためにMIP(最大値投影)処理等を適宜な順番で行うようになっている。
【0046】
とくに、本実施形態では、実効エコー時間TEeffの設定の自由度を向上させるため、フーリエ空間の位相エンコード方向の中心をずらしてデータ配置可能にしてあるため、演算ユニット10は、上述した再構成処理として、ハーフフーリエ法を適用した再構成処理を行うことができるようになっている。
【0047】
記憶ユニット11は、生データおよび再構成画像データのみならず、演算処理の過程で生成される各種のデータを一時的に保管することができる。表示器12は画像を表示する。また、術者は入力器13を介して所望のスキャン条件、スキャンシーケンス、画像処理法など、撮影条件を指定する上で必要な情報をホスト計算機6に入力できるようになっている。
【0048】
また制御・演算部の要素として、音声発生器16、および、ECGセンサ17、ECGユニット18が設けられている。音声発生器16は、シーケンサ5またはホスト計算機6からの指示に応答して、患者(被検体)に息止めのための音声メッセージを発生する。また、ECGセンサ17およびECGユニット18は患者の心電図信号を検出してシーケンサ5に出力するようになっており、これにより心電同期撮影を行うことができる。
【0049】
本実施形態のMRI装置は、最適な撮影条件を容易に設定できることに特徴を有する。その設定の中核は撮影に用いるパルスシーケンスの容易な選択および設定である。ここで、画質に影響を与えるパルスシーケンスの各種のパラメータ間の関係を、パルスシーケンスの選択方法に関連付けて検討する。
【0050】
いま、EPI法のパルスシーケンスを用いるとして説明する。傾斜磁場の能力、すなわち分解能とサンプリングピッチ(バンド幅)を決定するのはエコー間隔(ETS:Echo Train Spacing)であるから、このエコー間隔を、ユーザが最初に入力する撮影条件(パラメータ)であるとする。既存のMRI装置の1つによれば、、このエコー間隔としては、例えば0.6ms、0.8ms、1.2ms、1.6ms、2.4ms、3.2ms、4.8msなど、7種類程度の値を選択できるようになっている。
【0051】
次にエコー時間TEを決める。FEタイプのEPI法に拠るパルスシーケンスの場合、脂肪抑制の手法を併用しない場合、脂肪の原子核スピンとのIn Phase,Out Phaseが画像コントラストを決定する上で重要である。エコー時間TEのデータを何番目のエコー信号で収集するかを決めると、つまり、ETLcontrast(Echo Train Length)を決めると、k空間の中心部のデータ収集を担うエコー信号は、そのETLcontrastにより内部的に設定される。実際にはETLcontrast>1に決められるため、エコー時間TEはエコー間隔ETSにより制約される。すなわち、
【数1】
Figure 0004129339
の関係になる。
【0052】
次いで、画像再構成のときに発生する画像歪みやケミカルシフトアーチファクトの量が決定されるETLeff、最小の繰返し時間TRを規定するETLtotalについて説明する。一例として、位相エンコード方向マトリクスサイズPE=128、ETLcontrast=4とすると、RFパルスの印加数、すなわちショット数Shに応じて以下の3態様についてETLeff及びETLtotalを計算できる。
【0053】
【数2】
Figure 0004129339
である。
【0054】
また、エコー間隔ETSを考慮するために、データ収集時間Tの観点からEPI法の撮影を以下のように分類する。
【0055】
【数3】
Figure 0004129339
データ収集時間Tをこのように規定すると、前述のショット数Sh=小(図2(a))のときのETLeff=32の条件で、上述の(C)のデータ収集時間Tを満足させるETSは存在しない。このことは、シングルショットEPI法では脂肪抑制が必須であることの根拠でもある。ETLeff=32の条件で、上述の(B)のデータ収集時間Tを満足させるだけでも、ETS<0.8msになる必要がある。さらに、上述の(A)のデータ収集時間Tを満足させるには、ETS<2.4msが限界である。
【0056】
これに対して、ショット数Sh=大(図2(c))のときのETLeff=4の条件のときには、上述の(B)のデータ収集時間TはETS=4.8msでも満足させ得る。(C)のデータ収集時間TはETS=2.4msで十分である。
【0057】
つまり、位相エンコード方向マトリクスサイズPEが与えられたとき、ショット数を変更すれば、ETLeff(すなわち、画像歪みやケミカルシフトアーチファクトの量が決定される、1回のRF励起当たりのエコー数)をコントロールすることができる。
【0058】
ETLeffを短縮させることは、画像歪やケミカルシフトアーチファクトを低減させる上では非常に有効であるものの、EPIとしての性能、すなわち高速撮影の利点は減弱される。反対に、ETLeffを延長させると、RFパルス、位相エンコード量の巻き(wind)/巻き戻し(rewind)に要する時間、エコー時間シフトなどのオーバーヘッド分をカバーしてデータ収集効率を向上させることができる。したがって、画像歪やケミカルシフトアーチファクトの抑制とデータ収集効率とのバランスを考慮したETLeffを設定したいものである。
【0059】
通常、T1コントラストを得るには、繰返し時間TR<500ms程度が望まれる。TR>100ms以上でフリップ角を70°程度まで上げてSNRを稼ぐことができる。さらに、RFパルスの空射ちや位相補正データ収集スキャンなど、本撮影用のパルスシーケンスの外側でオーバーヘッドが発生するが、このオーバーヘッド分は、ショット数を増やし且つTRを短縮させることで、相対的に減らすことができる。
【0060】
すなわち、データ収集時間Tは、
【数4】
Figure 0004129339
で表される。
【0061】
以上、画質を左右する各種の撮影パラメータについて検討したが、パラメータの重み付けが評価関数により夫々異なるため、従来のように、操作卓上の1次元のスライドバーを用いた撮影条件の設定法の場合、最適な撮影条件を設定するには、熟練操作者でも相当に難しい。
【0062】
この困難さを著しく軽減するインタフェースが、本MRI装置の一実施形態によって以下のように提供される。
【0063】
このインタフェースは、オペレータが撮影計画を立てる段階でホスト計算機6、表示器12、及び入力器13が協働して提供する視覚的且つ対話的なグラフィックインタフェースである。
【0064】
ところで、本MRI装置で扱う撮影計画時のハード的、ソフト的な各種のパラメータは300個以上にもなるが、実際には装置のホスト計算機6の処理(図示せず)により、50個程度のパラメータが、ユーザが変更できるパラメータとして、ユーザに開放されている。撮影計画の処理を起動させると、ユーザには見えない装置側パラメータ250個程度が所定の手順によりホスト計算機6で自動的に設定される。このため、撮影計画の処理を起動したときにはそのまま本スキャン実行可能な状態になって、ユーザ開放のパラメータを設定するようオペレータに催促がある。オペレータが設定したユーザ開放のパラメータの値に応じて、ホスト計算機5は装置側に任されている250個程度のパラメータ値の修正を許容範囲において即座に行う。この修正結果は、必要に応じて、ユーザ開放のパラメータの訂正を迫ることにも反映される。つまり、装置側との対話的な撮影計画の処理が進められる。このため、オペレータがユーザ開放のパラメータをどのような値に設定した場合でも、本スキャンの実行可能な状態は常に維持されている。つまり、パラメータの設定如何によっては、実際に撮影を行ったときに初めて本スキャンが開始されないということが判明するという事態が回避される。
【0065】
本実施形態の視覚的且つ対話的なグラフィックインタフェースは上述したユーザ開放のパラメータを設定するために提供されるようになっている。ユーザ開放型のパラメータには、撮影対象の種類、シーケンスの種類、繰返し時間TR、エコー時間TE、ETS、ETL、ショット数、フリップ角、位相エンコード方向マトリクスサイズ、セグメント数、スキャン時間、FOV、ゲートの有無、ゲートの種類、脂肪抑制の有無など、主要なパラメータが含まれる。
【0066】
このグラフィックインタフェースの画像として、表示器12には、図3に示す2次元のグラフが表示される。同図に示すように、変数として横軸にショット数Sh、縦軸に位相エンコード方向マトリクスサイズPEを夫々とった2値とし、評価関数として、EPI法の場合には上述した(A)〜(C)項に示したデータ収集時間Tをとる。
【0067】
2つの変数Sh,PE間の関係は、
【数5】
PE=ETL × Sh
の直線式で表され(図3の直線S参照)、この直線Sの傾きはETLである。この直線Sが入ることが禁止される禁止領域は、図3において、
【数6】
PE>T/ETS×Sh
の領域Rで表される(図3の斜線領域参照)。前述したように、Tはデータ収集時間であり、EPI法の場合には一例として、T=100、30、10msの値を選択的にとる(前記条件項(A)〜(C)参照)。
【0068】
つまり、前記条件(A)に対応したデータ収集時間T=100msで決まる直線T0(A)が仕切る領域:PE>T/ETS×Shが禁止領域Rを形成する。この領域はグラフ上では例えば赤色で描出される。これに対し、前記条件(B),(C)に対応したデータ収集時間T=30ms、10msで決まる直線T0(B)、T0(C)が仕切る領域は例えば黄色、青色で夫々描出される。この黄色及び青色の領域は、本実施形態では、ショット数設定の推奨領域として設定される。
【0069】
この2変数のグラフィックインタフェースにおいて、横軸X及び縦軸Y上に表した矩形バーB0〜B2は、装置側で自動的に演算してショット数Sh及びマトリクスサイズPEのユーザが設定し得る範囲を示す。ショット数Shについては、この矩形バーB0、B1により規定される横軸上の範囲R1が現在とり得る値の範囲である。マトリクスサイズPEについては、矩形バーB0、B2により規定される横軸上の範囲R2が現在とり得る値の範囲である。矩形バーB0〜B2の位置、すなわち変数の取り得る値の範囲R1,R2は、オペレータが操作するユーザ開放のパラメータの値に応じて、装置側の演算により、リアルタイムに変わる。
【0070】
オペレータは、このグラフを見ながら入力器13を操作してショット数ShのハンドルX1、マトリクスサイズPEのハンドルX2、直線S:PE=ETL×ShのハンドルY1を操作しながら最適な撮影条件を決めることになる。このハンドル操作の例として以下のような態様が採り得る。
【0071】
例えば、マトリクスサイズPEのハンドルX2が固定されている場合、ショット数ShのハンドルX1を移動させると(図3中の矢印a参照)、直線S:PE=ETL × Shの傾きが変化する(図3中の矢印a'参照)。このハンドルX1の移動に伴い、データ収集時間Tに前記条件(A)の数値を代入して決まる禁止領域R:PE>T/ETS×Shが連動してリアルタイムに変化する(矢印a"参照)。このとき、直線Sは禁止領域Rに入らないようにその傾きが制御される。ハンドルX1の移動に伴って、データ収集時間Tに前記条件(B)、(C)の数値を夫々代入して決まる各領域も連動してリアルタイムに変化する(a"参照)。
【0072】
さらに、別の態様として、脂肪抑制パルス印加などの他の撮影条件の参酌、変更に伴って禁止領域Rの範囲を変更するようにしてもよい。
【0073】
本実施形態のMRI装置においては、パルスシーケンスが以上の原理にしたがってスキャン計画の一環として設定される。図4にその設定手順の概要を示し、図5にそのように手順を経て設定されたパルスシーケンスの例を示す。
【0074】
オペレータはスキャン計画を立てる処理の中で、ホスト計算機6のソフトウエア処理によって、表示器12及び入力器13の協働を得て実現される対話式のユーザーインタフェースが起動する。
【0075】
このインタフェース起動によって、最初に、パルスシーケンスの種類及びエコー間隔ETSが選択入力される(ステップS1)。いま、パルスシーケンスとしてマルチショットのFEタイプEPI法が選択されたとする。このETS値に応じてエコー時間TEが決定される(ステップS2)。この決定により、k空間の位相エンコード方向中心のデータ収集を行うエコーがETLcontrastにより内部的に設定される(ステップS3)。
【0076】
次いで、オペレータは撮影目的に応じて、選択したEPI法に拠るパルスシーケンスに対するデータ収集時間Tを評価関数として入力する(ステップS4)。これは例えば、前述した条件(A)〜(C)の如く分類された時間値を入力して行う。
【0077】
次いで、ホスト計算機6(ユーザーインタフェースとしても機能する)は、グラフィック表示のためのデータをそれまでに受け付けたデータ及び演算したデータから作成し、これを表示器12上に表示してオペレータ(ユーザ)に提示する(ステップS5)。この提示されたグラフィックインタフェースを参照しつつ、オペレータは入力器13を介してグラフィックインタフェース画面のハンドルを適宜に動かす。これにより、位相エンコード方向マトリクスサイズPEを大きくした場合の画質(画像歪やケミカルシフトアーチファクトの抑制)を維持又は所望の状態にするためのショット数などの撮影パラメータを直感的(視覚的)に捕らえつつ、設定できる。
【0078】
このような対話入力方式のグラフィックユーザーインタフェースを通して確定した撮影パラメータは本スキャンの制御データとして格納される(ステップS7)。
【0079】
この結果、本スキャンは例えば図5に示す如く、マルチショット法に従うFEタイプのEPI法に基づくパルスシーケンスが実行される。図5において、位相エンコード用傾斜磁場Gは各エコー信号に対して位相エンコードが施されることのみを示す。この位相エンコードの印加の態様は様々である。
【0080】
この本スキャンが例えばショット数=小(図2(a)の状態参照)で実行された場合、演算ユニット10により、ハーフフーリエ法により画像再構成が行われる。反対にショット数=大(図2(c)の状態参照)で実行された場合、エコートレインの内の初めの方と終わりの方のエコー全部又は一部は演算ユニット10により破棄され、k空間には配置されずに再構成処理に付される。
【0081】
T1強調イメージングにおけるマルチショットのFEタイプEPI法を用いる場合、制御しなければならないパラメータ数が増え、パルスシーケンスのエコートレイン長(ETL)やショット数など、画質に影響するパラメータの値を決める上での制約もその分、多くなるが、本実施形態のMRI装置によれば、撮影目的に応じた最適な撮影条件を満たすパルスシーケンスを迅速に、操作労力少なく、かつ精度良く設定して撮影を行い、高画質のMR画像を提供できる。
【0082】
とくに、対話入力方式のグラフィックユーザーインタフェースを用いているので、従来の1次元スライドバー方式のインタフェースに比べて、かかるパルスシーケンスを迅速に、操作労力少なく、かつ精度良く設定することができる。加えて、実際の撮影においてパルスシーケンスは常に確実に実行され、高画質の画像を提供することができる。
【0083】
このため、再撮影が少なくなり、操作上の労力が減って、かつ患者スループットも上がる。これは、患者にとっても体力的、精神的な負担が著しく軽減される。
【0084】
なお、上述したEPI法に基づくパルスシーケンスは脂肪抑制パルスを印加しないものとして説明したが、これは、図6に示すように、各ショット前に、脂肪抑制パルスPfatを印加するように設定してもよい。この脂肪抑制パルスとしては、バイノミアルパルス、シンク関数、またはガウシャン関数などをスライス選択的又はスライス非選択的に用いればよい。
【0085】
また、上述した第1の実施形態のグラフィックユーザーインタフェースにおいて、禁止領域及びそれ以外の領域の表示法は必ずしもカラーを着色したものに限定されるものではなく、メッシュを掛けるなど、その領域を視覚的に区分けできればよい。
【0086】
また、禁止領域以外の領域上に、推奨領域を重ねて表示してもよい。また、推奨条件を別途、数値などにより表示してもよい。
【0087】
さらに、このグラフィックユーザーインタフェースにおいて、前述した直線S:PE=ETL×Shの代わりに、オペレータが任意の傾きの直線を入力し、撮影条件をその直線上でのみ選択可能に構成してもよい。
【0088】
さらに、第1の実施形態のグラフィックユーザインタフェースでは評価関数としてEPI法のときのデータ収集時間Tを説明したが、パルスシーケンスとしてFASE法を用いる場合には、一例として、
【数7】
Figure 0004129339
に設定して用いればよい。
【0089】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図7〜図8に基づき説明する。なお、この実施形態のMRI装置のハード的構成は第1の実施形態のものと同一又は同等である。
【0090】
本実施形態では、本発明に係るグラフィックユーザインタフェースを用いたスキャン計画及び本スキャンの実行を、心臓などの同期撮影法で撮影する例に適用している。図7に、マルチショットセグメントEPI法(FEタイプ)のシーケンス構造の模式図を示す。
【0091】
この同期撮影法を実施する場合、上述した第1の実施形態に加え、ECG信号のR−R間隔などの制約が更に加わり、撮影条件(パラメータ)の設定は更に複雑になる。すなわち、EPI法を用いる場合には、前述したデータ収集時間Tの観点からの制約条件(A)〜(C)に、例えば、以下の条件のいずれかが加わる。
【0092】
(D)1心拍撮影:
不整脈、パフュージョンなどの経時変化を観察する撮影法で、心収縮器は除外して200〜300msの時間幅で収集する。セグメント数Se=1であるから、画像歪及びケミカルシフトの発生量の範囲内で、できるだけ繰返し時間TRを長くしてデータ収集の効率を稼ぐ方法となる。
【0093】
(E)動態観察(I):
患者にとって負担の少ない5〜8秒程度の息止めをさせると同時に100ms程度の心時相の分解能で撮影する。
【0094】
(F)動態観察(II):
心臓弁などの動きを精密に観察するため、30秒程度の息止めで、又は、5〜8秒程度の息止めを間欠的に行う撮影であり、データ収集は10〜30ms程度に止めて撮影する。この場合、ショット数Sh=1になることもある。
【0095】
心臓の撮影では、ECG信号のR−R間隔に同期して撮影繰り返される。したがって、撮影条件の設定は更に複雑化するので、これを解消するため、対話入力方式のグラフィックユーザインタフェースが提供されている。
【0096】
図8に、このインタフェースのグラフ表示の状態を示す。変数として、ショット数Sh、位相エンコード数PE(=位相エンコード方向マトリクスサイズ)、セグメント数Seの3値をとる。縦軸に位相エンコード数PEを、第1象限側の横軸にショット数Shを、第2象限側の横軸にセグメント数Seをそれぞれとった2次元グラフを形成している。
【0097】
この3変数のグラフィックインタフェースにおいて、横軸X及び縦軸Y上に表した矩形バーB0〜B3は、装置側で自動的に演算してショット数Sh、マトリクスサイズPE、セグメント数Seのユーザが設定し得る範囲を示す。ショット数Shについては、この矩形バーB0、B1により規定される横軸上の範囲が現在とり得る値の範囲である。マトリクスサイズPEについては、矩形バーB0、B2により規定される横軸上の範囲が現在とり得る値の範囲である。セグメント数Seについては、矩形バーB0、B3により規定される横軸上の範囲が現在とり得る値の範囲である。矩形バーB0〜B3の位置、すなわち変数の取り得る値の範囲は、オペレータが操作するユーザ開放のパラメータの値に応じて、装置側の演算により、リアルタイムに変わる。
【0098】
各変数間の関係は
【数8】
Figure 0004129339
であり、直線S1の傾きは「ETL × Se」、直線S2の傾きは「ETL × Sh」である。直線S1、S2の禁止領域R1、R2は夫々、
【数9】
Figure 0004129339
である。
【0099】
また、このインタフェースのグラフには、第1の実施形態のときと同様に、前記条件(A)〜(C)で表わされるデータ収集時間Tが評価関数として用いられ、直線T0(A)、T0(B)及びT0(C):PE>T/ETS×Se、又は、PE>T/ETS×Shで区分けされる領域が象限毎に、一例として色分け表示されている。この色分け領域は変数の変動と伴に画像上でダイナミックに変動する。
【0100】
このグラフィックユーザーインタフェースの画面を見ながら、オペレータは例えば以下のようにハンドルを操作する。
【0101】
例えば、位相エンコード数PEのハンドルX2が固定されている場合、ショット数ShのハンドルX1を移動させると、直線S1:PE=ETL×Se×Shの傾きが変化する。直線S1傾きはセグメント数Seの関数となっているので、セグメント数SeのハンドX3もリアルタイムに連動する。このハンドルX1、X3の移動に伴い、禁止領域R1、R2もリアルタイムに連動して変化する。このとき、直線S1、S2は禁止領域R1、R2に入らないようにその傾きが制御される。反対に、セグメント数Se側のハンドルX3を移動させる場合も同様である。
【0102】
このインタフェースを対話形式で用いることで、位相エンコード方向マトリクスサイズPEを大きくした場合の画質を維持するためのショット数、セグメント数などを撮影条件を視覚的(直感的)に把握しながら設定することができる。したがって、ECGゲートに拠る心臓撮影であっても、第1の実施形態のときと同等の効果を得ることができる。
【0103】
なお、上記第1、第2の実施形態の撮影は2次元撮影法であるとして説明してきたが、全く同様のインタフェース入力を3次元撮影法についても適用できる。
【0104】
また、パルスシーケンスはEPI法に限られず、FSE法(RARE法)であってもよく、このFSE法の場合には、T2に因る画像歪の代わりに、T2緩和に因る画像ボケを考慮することで同様のインタフェースを適用できる。
【0105】
さらに、本発明に係るグラフィックユーザインタフェースにおいてユーザがグラフ画面を見ながら調整する変数は前述した2変数または3変数のみに限定されるものではなく、画質に影響する撮影パラメータとしてユーザに開放されたパラメータであれば採用することができる。例えば、図8のグラフ画面において、縦軸を成す位相エンコード数PEの代わりに、別の変数としてFOVを設定してもよい。一方、変数の数自体も4変数以上であってもよい。例えば、図8のグラフ画面において、横軸に図示の如くショット数Sh及びセグメント数Seを採り、縦軸の上下に位相エンコード数PE又はFOV及び息止めスキャン時間を採った4象限としてもよい。
【0106】
したがって、本発明を適用したグラフィックユーザインタフェースの特徴を総括すると以下のようになる。第1に、複数の撮影パラメータを同時に設定することができる。第2に、その複数の撮影パラメータの採り得る値を同時に視覚的に表現して、オペレータに設定範囲の直感的イメージを与えることができ、撮影パラメータの設定を容易にする。第3に、複数のパラメータの組み合わせを適宜変更できる。第4に、撮影パラメータのハンドル位置を変えると禁止領域もダイナミックに連動して、オペレータに常に的確な設定範囲の直感的イメージを与える。
【0107】
また、前記ユーザーインターフェースは、操作者が任意の傾きの直線を前記グラフ上に入力する手段と、撮影パラメータをその直線上でのみ選択可能とする手段とを有していてもよい。
【0108】
なお、本発明は、代表的に例示した上述の実施の形態に限定されるものではなく、当業者であれば、特許請求の範囲の記載内容に基づき、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の態様に変形、変更することができ、それらも本発明の権利範囲に属するものである。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るMRI装置によれば、例えば、EPI法のエコー時間TE及び繰返し時間TRを制約してマルチショット化する場合、その撮影準備において使用するグラフィック化したユーザインタフェースによって、撮影対象毎に最適な撮影パラメータを視覚的に理解しながら容易に設定することができ、また位相エンコード方向のマトリクスサイズなどを変更しても画質が大きくは変化しない撮影パラメータを確実に設定でき、この撮影パラメータに基づいた安定したMRイメージングを実行することができる。したがって、患者やオペレータの負担の少ない高精度・高品質なMR画像を確実に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るMRI装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】ショット数の大小、ETL、及びデータ配置の関係を模式的に説明する図。
【図3】第1の実施形態におけるショット数の制約を説明する、グラフィックユーザインタフェースの画面図。
【図4】グラフィックユーザインタフェースに対するオペレータの操作の概略を示すフローチャート。
【図5】第1の実施形態で用いたマルチショットEPI法(FEタイプ)のパルスシーケンスを例示するタイミングチャート。
【図6】変形例としての、脂肪抑制パルスを付加したマルチショットEPI法(FEタイプ)のパルスシーケンスを例示するタイミングチャート。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るマルチショットセグメントEPI法(FEタイプ)のパルスシーケンスを例示するタイミングチャート。
【図8】第2の実施形態におけるショット数及びセグメント数の制約を説明する、グラフィックユーザインタフェースの画面図。
【符号の説明】
1 磁石
2 静磁場電源
3 傾斜磁場コイルユニット
4 傾斜磁場電源
5 シーケンサ
6 ホスト計算機(ユーザインタフェース)
7 RFコイル
8T 送信器
8R 受信器
10 演算ユニット
11 記憶ユニット
12 表示器(ユーザインタフェース)
13 入力器(ユーザインタフェース)
17 ECGセンサ
18 ECGユニット

Claims (18)

  1. 一様な静磁場の中に置かれた被検体にパルスシーケンスを印加してエコー信号を収集し、この被検体の内部の画像を生成するMRI装置において、
    前記パルスシーケンスとして1回のRF励起パルスの印加当たり複数個のエコー信号を発生させるパルスシーケンスを設定するとともに、前記複数個のエコー信号を収集するためのデータ収集時間を所望値に設定し、かつこの所望時間からその複数個のエコー信号のエコー数および前記RF励起パルスのショット数を決めるパルスシーケンス設定手段と、このパルスシーケンス設定手段により設定したパルスシーケンスを実行して前記エコー信号を収集するパルスシーケンス実行手段とを備えたことを特徴とするMRI装置。
  2. 請求項1に記載のMRI装置において、
    前記パルスシーケンス設定手段により設定されるパルスシーケンスの種類は、前記複数個のエコー信号を生成するために複数個のリフォーカスRFパルスを印加するパルス列又は読出し方向傾斜磁場パルスの極性を複数回反転させるパルス列を含むパルスシーケンスであるMRI装置。
  3. 請求項2に記載のMRI装置において、
    前記パルスシーケンスは、T1強調画像を得るパルスシーケンスであって、その繰返し時間TRは600ms以下の値であるMRI装置。
  4. 請求項2又は3に記載のMRI装置において、
    前記パルスシーケンスは、読出し方向傾斜磁場パルスの極性を複数回反転させるパルス列を含み、そのパルス列の印加前に脂肪抑制パルスを印加するパルスシーケンスであるMRI装置。
  5. 請求項4に記載のMRI装置において、
    前記複数個のエコー信号を収集するための前記データ収集時間を30ms以下の値に設定したMRI装置。
  6. 請求項3に記載のMRI装置において、
    前記複数個のエコー信号を収集するための前記データ収集時間を10ms以下の値に設定したMRI装置。
  7. 請求項6に記載のMRI装置において、
    前記パルスシーケンスは脂肪抑制パルスを用いないパルスシーケンスであるMRI装置。
  8. 請求項1に記載のMRI装置において、
    前記パルスシーケンス設定手段は、前記パルスシーケンスのデータ収集時間を最適値に制約するための平面グラフ表示の対話式ユーザーインターフェースを備えたMRI装置。
  9. 請求項8に記載のMRI装置において、
    前記ユーザーインターフェースは、2個の変数を用いた平面グラフ表示の対話式ユーザインタフェースであるMRI装置。
  10. 請求項9に記載のMRI装置において、
    前記2個の変数は、前記RFパルスのショット数と位相エンコード数であるMRI装置。
  11. 請求項10に記載のMRI装置において、
    前記ユーザーインターフェースは、前記2次元グラフ上でエコートレイン長(ETL)とショット数との組み合わせに対して禁止領域を指定し、この禁止領域を除く範囲でパラメータ選択を行わせるインターフェースであるMRI装置。
  12. 請求項11に記載のMRI装置において、
    前記ユーザーインターフェースは、前記2次元グラフ上に前記2次元グラフ上でエコートレイン長(ETL)とショット数との組み合わせに対して推奨範囲を表示するインタフェースであるMRI装置。
  13. 請求項12に記載のMRI装置において、
    前記ユーザーインターフェースは、前記無効範囲および推奨範囲の少なくとも一方を模様又はカラーにより区分けして表示するインターフェースであるMRI装置。
  14. 請求項8に記載のMRI装置において、
    前記ユーザーインターフェースは、操作者が任意の傾きの直線を前記グラフ上に入力する手段と、撮影パラメータをその直線上でのみ選択可能とする手段とを有するMRI装置。
  15. 請求項8に記載のMRI装置において、
    前記ユーザーインターフェースは、3個の変数を用いた2次元グラフ表示の対話式ユーザインタフェースであるMRI装置。
  16. 請求項15に記載のMRI装置において、
    前記3個の変数は、前記RFパルスのショット数、位相エンコード数、セグメント数であるMRI装置。
  17. 請求項1に記載のMRI装置において、
    前記RF励起パルスの印加毎に前記複数個のエコー信号を受信して当該エコー信号をデジタル量のエコーデータに処理する受信処理手段と、このエコーデータを所定マトリクスサイズの周波数空間に配置して当該周波数空間のエコーデータに画像再構成処理を施す再構成手段とを備え、この再構成手段は、前記RF励起パルスの印加が前記周波数空間の配置に必要なデータ数を超える前記エコーデータを発生させるときに、そのエコーデータの一部を破棄して残りのエコーデータを前記周波数空間に配置するように形成したことを特徴とするMRI装置。
  18. 請求項17に記載のMRI装置において、
    前記再構成手段は、前記RF励起パルスの印加が前記周波数空間の配置に必要なデータ数を超える前記エコーデータを発生させるときに、そのエコーデータの列の内、最初の方に発生するデータの一部及び最後の方に発生するデータの一部を破棄して残りのエコーデータを前記周波数空間に配置するように形成したことを特徴とするMRI装置。
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