JP4127570B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内装材を始めとして各種の装飾に使用される化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の化粧シートとしては、ポリ塩化ビニル系樹脂からなるシートを利用したものが主に用いられてきた。このポリ塩化ビニル系のシートは印刷適正、エンボス加工適正に優れ、化粧シートに加工しやすいだけでなく、Vカット、ラッピング等の後加工性にも優れており、さらに安価であるという利点がある。しかしながら、このタイプの化粧シートは、耐熱性が不足するとか、可塑剤のブリードにより表面の耐汚染性が悪いと言う欠点がある。そこで、最近では、ポリ塩化ビニル系樹脂に代わる素材としてスチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリアミド系、エステル系等の熱可塑性エラストマーやEVA(エチレンビニルアルコール共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、或いはアクリル樹脂を用いた化粧シートが各種提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したいずれの素材を使用した化粧シートも、廃棄処分した際に樹脂がそのままゴミとして永久に残ってしまい、自然環境保護の観点から好ましくないという問題点がある。
【0004】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、化粧シートに必要な耐候性、成形加工適正があり、しかも廃棄処分して放置しても自然に消滅してしまう新規な化粧シートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の化粧シートは、ポリ乳酸系樹脂をハードセグメントとし、これにソフトセグメントとなるポリカプロラクトンの重合体を混合してなる樹脂からなる延伸シート化した基材シートに、装飾処理として絵柄を印刷し、その上に凹凸模様が形成された基材シートと同じ樹脂からなる無延伸の表面保護層が積層された化粧シートであって、前記表面保護層が樹脂をTダイから熔融状態で押し出すことにより積層すると同時にエンボス版を兼用した冷却ロールの作用により凹凸模様が形成されたことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明の化粧シートは、乳酸をハードセグメントとし、これとソフトセグメントとなるカプロラクトンの単量体又はプレポリマーとの共重合体からなる延伸シート化した基材シートに、装飾処理として絵柄を印刷し、その上に凹凸模様が形成された基材シートと同じ樹脂からなる無延伸の表面保護層が積層された化粧シートであって、前記表面保護層が樹脂をTダイから熔融状態で押し出すことにより積層すると同時にエンボス版を兼用した冷却ロールの作用により凹凸模様が形成されたことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
ハードセグメントとしてのポリ乳酸系樹脂はデンプンから製造されるもので、本発明で使用するポリ乳酸系樹脂としてはポリ−L−乳酸を主成分とするものが好適である。一方、ソフトセグメントは可塑性を付与する改質材の役目を果たすものであり、本発明で使用するソフトセグメントとしてはポリカプロラクトンが挙げられ、中でもポリ(ε−カプロラクトン)が好適である。
【0008】
これらハードセグメントとソフトセグメントとの組合せの形態としては、混合体と共重合体の2つの形態がある。すなわち、混合体とは、単独重合体となった乳酸(ポリ乳酸系樹脂)と、単独重合体となったカプロラクトン(ポリカプロラクトン)とを混合してなるものである。また、共重合体とは、未重合の乳酸(以下これを「乳酸単量体」とも呼称)乃至はそのプレポリマーと、未重合のカプロラクトン等(以下これを「カプロラクトン単量体等」とも呼称)乃至はそのプレポリマーを共重合させてなるものである。ソフトセグメントとしては、純粋なポリ乳酸系樹脂と混合又は共重合して、その硬さを低下させ得るもの(すなわち、ヤング率、弾性限度、軟化温度等を下げ、破断時伸度を上げさせ得るもの)であればいずれのものでもよいが、通常好ましく用いられるものは、カプロラクトンの単量体、プレポリマー、又は重合体(ポリカプロラクトン)である。以下、主にこれらを例に挙げて説明する。
【0009】
ポリ乳酸系樹脂とソフトセグメントとなる重合体とを混合してなる樹脂を製造するに際して、ポリ−L−乳酸とポリ(ε−カプロラクトン)を使用する場合、ポリ−L−乳酸は重量平均分子量が10万以上、好ましくは20万以上のものを使用し、ポリ(ε−カプロラクトン)は重量平均分子量が1〜10万のものを使用する。両者の混合比は、ポリ乳酸系樹脂/ソフトセグメントとなる重合体=1/9〜9/1(重合比)である。
【0010】
乳酸単量体又はそのプレポリマーとソフトセグメントとなる単量体又はそのプレポリマーとの共重合体を製造するに際して、L−乳酸単量体とε−カプロラクトンを使用する場合、L−乳酸としては単量体又はプレポリマーを使用し、ε−カプロラクトンもその単量体又はプレポリマーを使用する。両者の共重合比は、乳酸単量体又はプレポリマー/ソフトセグメント単量体又はプレポリマー=1/9〜9/1(投入重合比)である。共重合体の分子量は10万以上、好ましくは20万以上とする。
【0011】
そして必要に応じ、これらの樹脂に紫外線吸収剤、光安定剤、防黴剤、難燃剤等の各種の添加剤を加える。また、紙粉や木粉などの生分解性の充填剤を混ぜるようにしてもよい。
【0012】
紫外線吸収剤と光安定剤はともに基材シート(化粧シート)に耐候(光)性を付与するために添加するものであり、いずれかの単独使用でもよいが、通常は両者を混合して使用する。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系等の有機系のもの、或いは微粒子の二酸化チタン、酸化セリウム等の無機系のものが用いられる。また、光安定剤としては、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等が用いられる。紫外線吸収剤、光安定剤とも0.1〜1重量%程度の添加量である。
【0013】
基材シートは延伸シート化したものを使用する。延伸する場合は1軸延伸でも2軸延伸でも構わないが、通常は2軸延伸とする。また、延伸倍率は2〜4倍程度が好ましい。無延伸の基材シートは塑性変形しやすく成形性が良好であるが、延伸した基材シートは透明度が高く、また弾性が強まり、引張強度や伸度は向上する。さらに、80〜120℃程度で加熱処理(アニーリング)して耐熱性、耐熱収縮性を付与するのが望ましい。また、本発明で使用する基材シートの厚さは25〜200μm程度である。
【0014】
基材シートには所望の装飾処理を施す。この装飾処理としては、顔料又は染料の練込みによる着色、インキ絵柄層や金属層の模様からなる装飾層形成、凹凸模様形成等がある。装飾層或いは凹凸模様は、基材シートが透明な場合は基材シートの表面、裏面或いは表裏両面に形成してもよいが、基材シートが不透明な場合は表面側に形成する必要がある。なお、裏打ちシートのように基材シートのままで被着体の裏面に貼り合わせる化粧シートとして使用する場合には装飾処理の必要はない。
【0015】
顔料或いは染料の練込みにより着色する場合、用途に応じて透明着色又は不透明(隠蔽性)着色とする。顔料としては、チタン白、亜鉛華、群青、コバルトブルー、弁柄、朱、黄鉛、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、キナクリドン、パーマネントレッド4R、イソインドリノン、ハンザイエローA、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料乃至は染料、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛の箔粉等からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。この他、必要に応じて炭酸カルシウム、シリカ(二酸化硅素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、硫酸バリウムのような体質顔料(充填剤)を添加する。
【0016】
インキ絵柄層により模様を形成するには、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷等のような通常の印刷方式を用いることができるが、描画でも差し支えない。絵柄層は樹脂バインダーと顔料又は染料からなるインキを任意の模様状に形成してなる。また、剥離性の支持体シート上にインキ層、さらに必要に応じて接着剤層が形成された転写シートを予め準備しておき、転写シートに形成されたインキ層を加圧、又は加圧と加熱により模様層(インキ絵柄層)を形成する面に転写させる、いわゆる転写印刷法によることもできる。模様の例としては、木目、石目、布目、皮紋、文字、図形、全面ベタ等がある。インキの樹脂バインダーとしては、2液硬化型ウレタン樹脂、アクリル樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等が用いられる。顔料又は染料としては前記と同様のものが用いられる。
【0017】
金属層による模様は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を真空蒸着するなどして形成する。斯かる金属層は全面に形成してもよく、或いは模様状(パターン状)に形成してもよいが、模様状に形成するには金属層不要部分に水溶性インキにより除去層を所望の模様で設けた上から全面に金属を蒸着させ、しかる後に水洗して上記除去層と共にその直上の金属層を除去する等の公知の手法による。また、予め転写シートに形成しておいた金属層を模様層(金属層)を形成する面に転写させる、いわゆる転写印刷法によることもできる。
【0018】
凹凸模様を形成する手法としては、ヘアライン加工、サンドブラスト加工、エンボス加工等があり、これらの方法により基材シートに凹凸形状からなる凹凸模様を形成する。
【0019】
エンボス加工は、熱プレス方式の枚葉又は輪転式エンボス機を使用して、加熱し軟化させた基材シートの表面にエンボス版を押圧し、該エンボス版表面の凹凸形状を賦形することにより凹凸模様を形成する方法である。このエンボス加工により形成する凹凸模様としては、木目導管溝、木目木肌、石材表面凹凸、布帛の表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン等を表現したもの、又はそれらを組み合わせたものが挙げられる。また、該凹凸模様の凹部には必要に応じて公知のワイピング法により着色インキが充填される。該着色インキとしてはウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、その他の常用のビヒクルに顔料又は染料を加えたものを選択使用するが、2液硬化型の密着性、耐溶剤性の良好なものが好ましい。また、ワイピングは、ドクターブレード法、ロールコート法等の従来から使用されているワイピング法のいずれによってもよい。これらの方法により、凹凸模様全面に着色インキを塗工し、しかる後に凸部のインキを掻き取って凹部に着色インキを残留せしめる。
【0020】
化粧シートの形態としては、図1に示すような基材シートのみからなる単層のもの、図2に示すような基材シートと表面保護層からなる2層のもの、さらには3層以上積層したもの(図示略)があり、図2(c),(d)に示すものが本発明の化粧シートである。
【0021】
図1(a)に示す化粧シートSは基材シート1に顔料等の着色剤2を添加して着色したものであり、図1(b)の化粧シートSは基材シート1に易接着層3を設け、その上から印刷で絵柄層4(全面ベタ又は部分的模様)を形成したものである。また、図1(c)の化粧シートSは基材シート1の表面に凹部5からなる凹凸模様を形成したものであり、図1(d)の化粧シートSは表面の凹部に着色剤6をワイピングで充填したものである。
【0022】
図2(a)に示す化粧シートSは、基材シート1に印刷で絵柄層4を形成し、その上に表面保護層7を積層したものである。また図2(b)に示す化粧シートは、顔料等の着色剤2を添加して着色した基材シート1の表面に印刷で絵柄層4を形成し、その上に表面保護層7を積層したものである。表面保護層7としては基材シートと同じポリ乳酸系樹脂を使用するのが生分解性の点では好ましい。ただし、所望の表面物性を出すため、その他の樹脂を使用してもよい。例えば、ポリ弗化ビニリデン等の弗素樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂、電子線又は紫外線硬化型のアクリレート系、エポキシ系等の樹脂が挙げられる。この表面保護層7は予め製膜したシートを貼り合わせるか、或いは樹脂を塗工することで形成する。
【0023】
図2(c)に示す化粧シートSは、顔料等の着色剤2を添加して着色した基材シート1の表面に印刷で絵柄層4を形成し、その上に表面保護層7を積層した後、エンボス加工により凹部5からなる凹凸模様を形成したものである。また図2(d)に示す化粧シートSは、図2(c)の化粧シートに対してさらに表面の凹部に着色剤6をワイピングで充填したものである。これら図2(a)〜(d)で示すような2層積層構成の化粧シートの場合、裏面側の基材シート1には前記の如き条件で延伸したものを用い、表面保護層7にはポリ乳酸系樹脂からなる無延伸のものを用いることが好ましい。
【0024】
図2(c)に示す如き化粧シートSの好ましい製造方法は次のようである。まず、前記の如きポリ乳酸系樹脂を延伸シート化して基材シート1を製造し、この基材シート1に必要に応じて印刷やプライマー塗工を行っておく。そして、図3に示すように、圧力ロール(圧胴)11と冷却ロール(エンボス版胴)12の間に基材シート1を通しながら、表面保護層7として前記の如きポリ乳酸系樹脂をTダイ13から熔融状態で押し出すことにより、基材シート1に表面保護層7を積層すると同時にエンボス版を兼用した冷却ロール12の作用により表面保護層7に凹凸模様を賦形する。このようにして製造された化粧シートは、表面保護層7が未延伸であるので塑性変形によりエンボスが入りやすく、しかも基材シート1が延伸して引張強度や伸度に優れているので、Vカット加工、ラッピング加工等の加工適正が良好である。すなわち、この種のポリ乳酸系樹脂の化粧シートでは元来両立し難かったエンボス加工適正(良好な凹凸の賦形)とVカット加工等の曲げ加工が可能なだけの引張強度及び伸度を両立させることができる。
【0025】
本発明の化粧シートは他の被着体(裏打材)に積層することができる。被着体が最終製品であり、その表面化粧のために化粧シートを積層する場合もあれば、必要に応じ化粧シートの力学的強度の補強、或いは隠蔽性の付与のため化粧シート裏面に被着体を積層する場合もある。被着体への積層に際し、被着体に化粧シート自体が(熱融点等で)接着可能な場合は接着剤層を省いてもよい。また、化粧シート自体では被着体と接着しない場合は適当な接着剤を使用する。
【0026】
図4及び図5は被着体に積層した化粧シートをその被着体とともに示す断面図で、図4に示すものは図2(c)に示した化粧シートSを被着体8である平板に接着剤層9を介して積層したものであり、図5に示すものは基材シート1に印刷で絵柄層4を施してなる化粧シートSを被着体10である凹凸立体物の表面に成形同時ラミネート法(後述)で積層したものである。
【0027】
被着体としては、各種素材の平板(図4)、曲面板等の板材、立体形状物品(図5)、シート(或いはフィルム)等の各種形状の物品が対象となる。板材、立体形状物品、シート(フィルム)のいずれにも用いられる素材としては、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質繊維板等の木質材、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテート、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン樹脂、ABS、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂がある。専ら板材、或いは立体形状物品として用いられる素材としては、硝子、陶磁器、等のセラミックス、ALC(発泡軽量コンクリート)等のセメント、珪酸カルシウム、石膏等の非セメント窯業系材料がある。専らシート(或いはフィルム)として用いられる素材としては、上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、硝子、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布等がある。
【0028】
これら各種被着体への化粧シートの積層方法としては、例えば、▲1▼接着剤層を間に介して板状基材に加圧ローラーで加圧して積層する方法、▲2▼特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載されるように、化粧シートを射出成形の雌雄両金型間に挿入して両金型を閉じ、雄型のゲートから熔融樹脂を射出充填した後、冷却して樹脂成形品の成形と同時にその表面に化粧シートを接着積層する、所謂射出成形同時ラミネート法、▲3▼特公昭56−45768号公報、特公昭60−58014号公報等に記載されるように、接着剤層を間に介して成形品の表面に化粧シートを対向乃至は載置し、成形品側からの真空吸引による圧力差により化粧シートを成形品表面に積層する、所謂真空プレス積層法、▲4▼特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の柱状基材の長軸方向に、接着剤層を間に介して化粧シートを供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、柱状体を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して積層していく、所謂ラッピング加工法、▲5▼実公大15−31122号公報、特開昭48−47972号公報等に記載されるように、先ず化粧シートを板状基材に接着剤層を介して積層し、次いで板状基材の化粧シートとは反対側の面に、化粧シートと板状基材との界面に到達する、断面がV字状又はU字状溝を切削し、次いで該溝内に接着剤を塗布した上で、該溝を折り曲げて箱体又は柱状体を成形する、所謂Vカット又はUカット加工方法等がある。
【0029】
特に、本発明の化粧シートを凹凸立体物に貼り合わせる方法としては、前記方法のうち、射出成形同時ラミネート法、真空プレス積層法、ラッピング加工法、Vカット加工法等が好ましい。
【0030】
本発明の化粧シートは、各種被着体に積層し、所定の成形加工等を施して、各種用途に用いられる。例えば、壁、天井、床等建築物の内装、扉、窓枠、扉枠、手摺等の建具の表面化粧、箪笥等の家具、弱電・OA機器のキャビネット等の表面化粧、自動車、電車等の車両内装、航空機や船舶の内装、窓硝子の化粧などである。
【0031】
【実施例】
(実施例1)
基材シートを次のようにして作製した。すなわち、重量平均分子量20万のポリ−L−乳酸系樹脂70重量%と重量平均分子量3万のポリ(ε−カプロラクトン)30重量%を混合した樹脂を製造し、この樹脂の100重量部に対して、着色顔料であるチタン白を10重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5重量部添加し、この組成物を伸倍率3倍で2軸延伸し、100℃で熱処理して厚さ80μmに製膜した。
【0032】
次に上記の基材シートに絵柄を印刷した。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネートとアクリルポリオールからなる2液硬化型ポリウレタン樹脂をバインダーとし、顔料として弁柄、カーボンブラック、二酸化チタン、ベンジジンイエローを混合してなるインキを用い、グラビア印刷により楢板目の木目絵柄を印刷して絵柄層を形成した。
【0033】
続いて、重量平均分子量20万のポリ−L−乳酸系樹脂70重量%と重量平均分子量3万のポリ(ε−カプロラクトン)30重量%を混合してなる上記と同じ樹脂の100重量部に対して、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5重量部、及びヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を0.5重量部添加した組成物を使用し、図3に示す如くこの組成物をTダイから熔融状態で押し出して、基材シートの印刷面に厚さ60μmに積層すると同時にエンボス版を兼用した冷却ロールにより楢材表面の導管溝凹凸をエンボスした。次いで、導管溝内にセピア色の着色インキ(バインダーはアクリル樹脂、顔料は弁柄)をワイピング法で充填した。そして最後に上塗り層を3μmの厚さで塗装して化粧シートを製造した。この上塗り層は、ヘキサメチレンジイソシアネートとアクリルポリオールからなる2液硬化型ウレタン樹脂をバインダーとし、これの100重量部に対し艶消剤としてシリカ顔料を3重量部添加した組成物を使用して形成した。
【0034】
(実施例2)
ラクチドの開環重合時にε−カプロラクトンを共重合させて、共重合比がL−乳酸/ε−カプロラクトン=70/30(投入重量比)の共重合体を製造した。共重合体の重量平均分子量は20万とした。ポリ−L−乳酸系樹脂とポリ(ε−カプロラクトン)の混合樹脂の代わりにこの樹脂を使用した以外は実施例と同様にして化粧シートを製造した。
【0035】
(評価)
▲1▼加工適性
実施例1,2で製造したそれぞれの化粧シートを厚さ2.5mmのラワン合板に接着剤で貼り合わせて化粧板とした。使用した接着剤は、酢酸ビニル系の2液硬化型のエマルジョン(イソシアネートを硬化剤とする)である。そして、得られた各化粧板の裏面に断面V字型の溝を合板と化粧シートとの境界面まで刻み、その溝に酢酸ビニル系接着剤を塗布して合板をシートごと90度に折り曲げて所謂Vカット加工を行った。加工時の雰囲気温度は20℃であった。折曲げ部には、化粧シートの破れ、亀裂、白化等は見られなかった。
【0036】
▲2▼耐候性
カーボンアーク燈型サンシャインウェザオメータにて1000時間照射する曝露試験を行った。条件はブラックパネル温度63℃、降雨サイクル18分/120分とした。そして、曝露後における引張強度の保持率を測定し、また目視にて変褪色を観察したところ、実施例1,2の化粧シートは引張強度の保持率が70%であり、外観に目立った変化は見られなかった。
【0037】
▲3▼分解性
実施例1,2の各化粧シートを埼玉県入間郡三芳町の土壌中に埋設し、4月〜9月の6箇月間放置してから発掘した。そして、目視にて外観を観察したところ、分解が進行しており、原形を保持しておらずシートが断片状になっていた。また、回収した化粧シートの断片について参考までに分子量保持率を測定したところ40%であった。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の化粧シートは、化粧シートに必要な耐候性、成形加工適正を備えており、建築物の内装材等に用いられている間は空気中の水分や細菌で生分解変質せず、しかも一旦廃棄処分して土壌に接して或いは土壌中に放置した際にその基材シートが土中の微生物の働きにより水と炭酸ガスに完全に分解して消滅するので、地球環境にとって好ましいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る化粧シートの例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る化粧シート他の例を示す断面図である。
【図3】表面保護層に凹凸模様を施した化粧シートの製造方法の説明図である。
【図4】被着体に積層した化粧シートをその被着体とともに示す断面図である。
【図5】被着体に積層した化粧シートをその被着体とともに示す断面図である。
【符号の説明】
S 化粧シート
1 基材シート
2 着色剤
3 易接着層
4 絵柄層
5 凹部
6 着色剤
7 表面保護層
8 被着体
9 接着剤
10 被着体
11 圧力ロール
12 冷却ロール
13 Tダイ
Claims (2)
- ポリ乳酸系樹脂をハードセグメントとし、これにソフトセグメントとなるポリカプロラクトンの重合体を混合してなる樹脂からなる延伸シート化した基材シートに、装飾処理として絵柄を印刷し、その上に凹凸模様が形成された基材シートと同じ樹脂からなる無延伸の表面保護層が積層された化粧シートであって、前記表面保護層が樹脂をTダイから熔融状態で押し出すことにより積層すると同時にエンボス版を兼用した冷却ロールの作用により凹凸模様が形成されたことを特徴とする化粧シート。
- 乳酸をハードセグメントとし、これとソフトセグメントとなるカプロラクトンの単量体又はプレポリマーとの共重合体からなる延伸シート化した基材シートに、装飾処理として絵柄を印刷し、その上に凹凸模様が形成された基材シートと同じ樹脂からなる無延伸の表面保護層が積層された化粧シートであって、前記表面保護層が樹脂をTダイから熔融状態で押し出すことにより積層すると同時にエンボス版を兼用した冷却ロールの作用により凹凸模様が形成されたことを特徴とする化粧シート。
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