JP4127002B2 - 高分子電解質膜、固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体および固体高分子型燃料電池 - Google Patents

高分子電解質膜、固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体および固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は固体高分子型燃料電池に好適な新規な高分子電解質膜、該高分子電解質膜を用いて構成された固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題を背景にエネルギー効率の高い新エネルギー技術として燃料電池が脚光を浴びている。なかでも電解質に高分子を用いた固体高分子型燃料電池は、最大電流密度が高く、しかも低温で作動することから、自動車等の移動用動力源や携帯電子機器等の小容量電源に適しており、特に注目されている。
【0003】
ここで、固体高分子型燃料電池とは、構造として高分子電解質膜の表面の一方にアノード電極、他方にカソード電極を配置した膜−電極接合体を有し、該アノード電極とカソード電極のそれぞれの電極の外側にセパレーターを持ったものであり、発電機構としてアノード電極に水素等の燃料ガスが接触することにより水素は電極中に含まれる触媒によりプロトン(H+)と電子(e-)に変換され、プロトンは高分子電解質膜中を移動(プロトン伝導)してカソード電極に達し、電子は外部回路を通って電気として取り出された後、カソード電極に達する。さらにカソード電極ではプロトン及び電子は酸素を含むガスと接触し電極に含まれる触媒により酸素と反応して水が生成するものを言う。
【0004】
なお、水素等の燃料ガスの代わりに、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジメチルエーテルおよび水素化ホウ素カリウムのアルカリ水溶液等の化合物を燃料とする燃料電池も広義の固体高分子型燃料電池に含まれる。例えば、メタノールを燃料とする燃料電池はダイレクトメタノール型燃料電池と呼ばれ、その電池はメタノールがプロトン(H+)、電子(e-)および二酸化炭素に変換され、プロトンは高分子電解質膜中を移動(プロトン伝導)してカソード電極に達し、電子は外部回路を通って電気として取り出された後、カソード電極に達し、二酸化炭素はそのまま放出される。さらにカソード電極ではプロトン及び電子は酸素を含むガスと接触し電極に含まれる触媒により酸素と反応して水が生成するものである。
【0005】
固体高分子型燃料電池の高分子電解質膜としては、ナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボン系高分子電解質膜が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、フッ素を含まない炭化水素系高分子電解質膜も知られており、スルホ基が主鎖芳香環に直接結合したポリアリーレンエーテルスルホン(例えば、特許文献2参照)やスルホ基が主鎖芳香環に直接結合したポリフェニレン(例えば、特許文献3参照)が開示されている。さらに、スルホアルキル基が主鎖芳香環に直接結合したポリベンズイミダゾール(例えば、特許文献4参照)が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−204119号公報(第4頁)
【特許文献2】
特開平11−116679号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開平11−515040号公報(第2頁)
【特許文献4】
特開平9−073908号公報(第4頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の高分子電解質膜は、耐熱性が十分でなく、80℃を超える温度では使用できないという問題があった。また、フッ素を多量に用いるため合成時や廃棄時の環境への負荷が大きいという問題もあった。
【0009】
また、特許文献2および特許文献3に記載の高分子電解質膜は固体高分子型燃料電池としての性能が十分でなく、またスルホ基が主鎖芳香環に直接結合しているため、特定の高温条件下ではスルホ基が脱離する問題があった。さらに、特許文献4に記載の高分子電解質膜は、主鎖に塩基性の高い窒素原子を含むため、スルホ基が窒素原子と塩を作り、固体高分子型燃料電池としての性能が十分に発揮できない懸念があった。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的はフッ素を含まず合成時や廃棄時の環境への負荷が小さく、しかも高性能な固体高分子型燃料電池として用いるに好適な、耐熱性と導電性を併せ持つ、高分子電解質膜を提供することである。さらには、該高分子電解質膜を用いてなる固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体および固体高分子型燃料電池を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定の構造単位を有する新規な高分子電解質膜を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記一般式(1)
【0013】
【化2】
Figure 0004127002
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1の整数を示し、nは0又は1の整数を示し、かつa+b+c+d>0である。)で表される構造単位を有するスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンよりなる高分子電解質膜、及び該高分子電解質膜を用いてなる固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体、さらに該高分子電解質膜を用いてなる固体高分子型燃料電池に関するものである。
【0014】
本発明の高分子電解質膜は、その構造単位において、上記一般式(1)で示される構造単位を有するスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンよりなることを特徴とする。
【0015】
一般式(1)において、R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。炭素数1〜6のアルキル基としては特に限定されるものではなく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。また、R1とR2が連結したテトラメチレン基、ペンタメチレン基も挙げられる。
【0016】
本発明において、R3は炭素数1〜10のアルキレン基を示す。炭素数1〜10のアルキレン基としては特に限定されるものではなく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノネン基等が挙げられる。これらのうち、高い機械特性が得られることから、プロピレン基又はブチレン基が好ましい。
【0017】
本発明の一般式(1)で表される構造単位を有するスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンのうち、下記一般式(2)
【0018】
【化3】
Figure 0004127002
(式中、R4は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、かつo+p+q+r>0である。)で表される構造単位を有するスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホン、また下記一般式(3)
【0019】
【化4】
Figure 0004127002
(式中、R5は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、かつs+t+u+v>0である。)で表される構造単位を有するスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホン、さらに下記一般式(4)
【0020】
【化5】
Figure 0004127002
(式中、R6は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、かつx+y+z>0である。)で表される構造単位を有するスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンが入手し易さや取り扱い易さの面から好ましい。これらのうち、一般式(2)で示されるポリアリーレンエーテルスルホンが特に好ましい。
【0021】
なお、一般式(2)、(3)および(4)において、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキレン基を示す。炭素数1〜10のアルキレン基としては特に限定されるものではなく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノネン基等が挙げられる。これらのうち、高い機械特性が得られることから、プロピレン基又はブチレン基が好ましい。
【0022】
本発明において、スルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンは、耐熱性に優れることから、プルラン換算の重量平均分子量が1,000〜500,000であることが好ましく、特に5,000〜300,000であることが好ましい。
【0023】
ここでいう重量平均分子量とは、例えば本発明に用いるスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンをジメチルスルホキシドに溶解し、この溶液を室温下でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(以下、GPCと記す。)に注入して測定することができる。また、本発明のスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンは、上記一般式(1)で示される構造単位を有していれば、単独重合体又は共重合体であってもよい。
【0024】
本発明に用いるスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンにおいて、一般式(1)におけるa+b+c+d、一般式(2)におけるo+p+q+r、一般式(3)におけるs+t+u+vおよび一般式(4)におけるx+y+zの値はポリアリーレンエーテルスルホンの構造単位当りに含有されるスルホアルコキシ基の数を表す。係るスルホアルコキシ基の数は固体高分子型燃料電池の出力性能を高めたり、高分子電解質膜が高い機械強度を有することから、0.1〜4.0の範囲内が好ましく、特に0.2〜3.5が好ましく、さらに0.5〜3.0の範囲内が好ましい。
【0025】
本発明で使用されるスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンの製造方法としては、特に制限されるものではなく、例えば市販されているポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のポリアリーレンエーテルスルホンをJournal of Polymer Science:Part A;Polymer Chemistry,2001,Vol.39,675〜682で報告されている方法等によりホルミル基を持つポリアリーレンエーテルスルホンを調製した後、該ホルミル基を持つポリアリーレンエーテルスルホンを酸化剤と反応させることによりホルミルオキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンを調製する。その後該ホルミルオキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンを金属水素錯化合物と反応させることによりヒドロキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンを調製した後、該ヒドロキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンをアルキル金属化合物、スルホン化剤、次いで酸と反応させることによりスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンを調製することが可能である。
【0026】
本発明の高分子電解質膜を成形する方法は、特に制限はなく、例えば、溶液キャスト法、溶融プレス法、溶融押し出し法等の製膜法が挙げられる。
【0027】
溶液キャスト法による製膜法としては効率的に製膜することが可能であれば、特に制限はなく、例えばスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンを溶媒に溶解し、基材上に流延塗布した後、溶媒を除去し、次いで基材から膜を剥離することにより製膜することができる。
【0028】
溶液キャスト法で使用される溶媒としては、スルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンが均一に溶解すれば、特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、トリグライム等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリルトリアミド等の含窒素炭化水素類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含イオウ炭化水素類;水等が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用し得るのみならず、二種以上を混合して用いることも可能である。
【0029】
溶液キャスト法による製膜時のスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンの溶液濃度は、スルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンを基材上に均一に流延塗布することが可能であることから、好ましくは0.001〜10kg/lであり、さらに好ましくは0.01〜2kg/lである。
【0030】
また、基材としてはスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホン溶液が均一に流延塗布することができ、しかも基材から膜が効率的に剥離することができれば、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス、ポリテトラフルオロエチレン製フィルム、ポリエチレンテレフタレート製フィルム等が挙げられる。
【0031】
溶液キャスト法における温度は特に制限はなく、例えば0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。製膜時の雰囲気は特に限定はなく、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等が雰囲気ガスとして好ましく用いられる。
【0032】
溶液キャスト法においては、フィルムブレード、フィルムキャスティングナイフを用いてもよい。これらは膜厚調整が容易になる等の効果がある。
【0033】
溶融プレス法による製膜としては、効率的に製膜することが可能であれば、特に制限はなく、例えばスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンを溶融し、プレス機により熱プレスを行ない製膜することができる。
【0034】
溶融プレス法による製膜時の温度は特に制限はなく、例えば−20〜300℃、好ましくは0〜200℃である。圧力は特に制限はなく、通常、絶対圧で0.001〜50MPaであり、好ましくは0.2〜30MPaである。溶融プレス時の雰囲気は特に限定はなく、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等が雰囲気ガスとして好ましく用いられる。
【0035】
溶融押し出し法による製膜としては、効率的に製膜することが可能であれば、特に限定はなく、例えばスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンを溶融し、押し出し機により押し出して製膜することができる。
【0036】
これらの製膜法(溶液キャスト法、溶融プレス法、溶融押し出し法)のうち、均一且つ薄い高分子電解質膜を製膜することが可能であることから、溶液キャスト法が好ましく用いられる。
【0037】
本発明において、高分子電解質膜の厚みは、高い機械強度が得られることから、好ましくは0.1〜100,000μmで、さらに好ましくは1〜1,000μmである。
【0038】
本発明において、高分子電解質膜を固体高分子型燃料電池用として使用する際には通常、固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体にして使用される。
【0039】
固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体における、本発明の高分子電解質膜の厚みは、高いプロトン伝導性が得られることから、好ましくは1〜300μm、さらに好ましくは5〜150μmである。
【0040】
固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体は、本発明の高分子電解質膜の表面の一方にアノード電極、他方にカソード電極を配置した構造を有する。
【0041】
本発明において使用されるアノード電極としては、例えば、触媒金属の微粒子を担持した導電材により構成されるもの等が挙げられる。触媒金属としては、水素等の燃料の酸化反応を促進する金属であれば特に限定されるものではなく、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム、あるいはそれらの合金等が挙げられる。これらのうち、触媒活性が高いことから、好ましくは白金、または白金を含む合金が用いられる。ここで、触媒となる金属の粒径は、触媒活性があれば特に限定はなく、通常は10〜300オングストロームである。このうち、触媒性能が高くなることから、好ましくは15〜100オングストロームである。触媒の担持量は、特に限定はなく、電極が成形された状態で例えば0.01〜10mg/cm2である。このうち、触媒性能が高くなることから、好ましくは0.05〜5.0mg/cm2、さらに好ましくは0.1〜3.0mg/cm2である。
【0042】
本発明において使用されるカソード電極としては、例えば、触媒金属単独や触媒金属の微粒子を担持した導電材により構成されるもの等が挙げられる。触媒金属としては、酸素の還元反応を促進する金属であれば特に限定されるものではないが、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム、あるいはそれらの合金等が挙げられる。これらのうち、触媒活性が高いことから、好ましくは白金、または白金を含む合金が用いられる。ここで、触媒となる金属の粒径は、触媒活性があれば特に限定されないが、通常は10〜300オングストロームである。このうち、触媒性能が高くなることから、好ましくは15〜100オングストロームである。触媒の担持量は、特に限定はなく、電極が成形された状態で例えば0.01〜10mg/cm2である。このうち、触媒性能が高くなることから、好ましくは0.05〜5.0mg/cm2、さらに好ましくは0.1〜3.0mg/cm2である。
【0043】
本発明において、電極を構成する導電材としては、電子伝導性物質であれば特に限定されなく、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、およびアセチレンブラック等のカーボンブラック類;活性炭、黒鉛等が挙げられ。これらの導電材は単独で使用し得るのみならず、二種以上を混合して用いることも可能である。
【0044】
本発明における固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体のアノード電極および/またはカソード電極には、さらに撥水剤及び/または結着剤が含まれていてもよい。撥水剤としては、特に限定はなく、例えばフッ素化カーボン等が挙げられる。また、結着剤としては、特に限定はなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロスルホエトキシビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等の含フッ素樹脂;スルホ基を有する炭化水素系樹脂が挙げられる。これらの撥水剤及び/または結着剤の添加は、触媒活性が高くなったり、電極と高分子電解質膜の密着性が高まったりする等の効果がある。
【0045】
本発明の固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体を作製する方法としては、触媒性能が得られれば特に限定はなく、例えば、粉末状の導電材に触媒金属となる金属粒子を担持させたものを溶媒に懸濁し、この懸濁液を高分子電解質膜の表面に塗布し、次いで乾燥して作製する方法、また粉末状の導電材に触媒金属となる金属粒子を担持させたものをシート状に固め、このシートと高分子電解質膜をホットプレス機等の加圧、加温できる装置を用いて貼り合せて作製する方法、さらにシート上の導電材に触媒金属となる金属粒子の溶液又は懸濁液を含浸させた後、このシートと高分子電解質膜をホットプレス機等の加圧、加温できる装置を用いて貼り合せて作製する方法等が挙げられる。
【0046】
プレス温度は、使用する高分子電解質膜のガラス転移温度に左右され、一概に決めることはできなく、通常、120℃〜250℃で行なう。プレス圧力は、使用する電極の固さに依存するため、一概に決めることはできないが、通常、0.001〜20MPaである。
【0047】
本発明の固体高分子型燃料電池は、本発明の高分子電解質膜を用いることを特徴とする。具体的には、本発明の高分子電解質膜から作製した固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体のアノード電極とカソード電極のそれぞれの電極の外側にセパレーターを配置することにより、単一の固体高分子型燃料電池(以下、セルと称す。)が組み立てられ、アノード電極に燃料を、カソード電極に酸素又は酸素を含むガスを供給することにより作動する。
【0048】
ここで、セパレータはセルを複数枚積み重ねて所要の電圧を得る際の各セル間のつなぎ(積層化機能)、水素等の燃料や酸素をセルに供給する供給通路、および電子を集めて取り出す役割を果たすものである。
【0049】
また、燃料としては、アノード電極中に含まれる触媒によりプロトン(H+)が発生し得るものであれば特に制限はされず、例えば、水素、水素を含むガス、プロパン、ブタン、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジメチルエーテル及び水素化ホウ素カリウムのアルカリ溶液等が挙げられる。
【0050】
なお、水素の供給源は特に制限されず、例えば、高圧水素ガスボンベ、液体水素タンク等から供給する方法、アルミニウムやリチウムの水素化物の分解による方法、LaNi56等の水素吸蔵合金からの取り出しによる方法、あるいは天然ガス、ガソリンおよびメタノール等の有機化合物の改質による方法等が挙げられる。
【0051】
本発明の固体高分子型燃料電池の作動温度は特に制限されなく、電気が効率よく得られることから、好ましくは0〜200℃、さらに好ましくは30〜150℃である。また、固体高分子型燃料電池に本発明の高分子電解質膜を用いる場合、固体高分子型燃料電池として高い出力性能が得られることから、高分子電解質膜は好ましくは1wt%以上、さらに好ましくは5wt%の水を含有することが良い。
【0052】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0053】
以下に実施例に用いた測定方法を示す。
【0054】
1H−NMRおよび13C−NMR測定>
核磁気共鳴装置(日本電子製、商品名JNMGX400)を用い測定を行った。
【0055】
<分子量測定>
GPC測定として高速GPC装置(東ソー(株)製、商品名HLC8220GPC)を用い、下記条件で測定した。即ち、ポリマーを塩化リチウム/N,N−ジメチルホルムアミド溶液又は塩化リチウム/ジメチルスルホキシド溶液(共に10mmol/l)に溶解し、ポリマー溶液の濃度を1g/lに調整後、上記GPC装置にポリマー溶液を20μl注入し、標準試料としてプルランを用いプルラン換算値として重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。
【0056】
なお、分子量分布(Mw/Mn)は重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値で表した。
【0057】
但し標準試料としてプルランを用いることが適さない場合は、ポリスチレンを標準試料として用いポリスチレン換算値として重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。
【0058】
<プロトン伝導度測定>
プロトン伝導度の測定は、試料膜を一定の温度と湿度を保った雰囲気に24時間置いて膜の含水量が平衡に達した後、膜を4端子セルにセットし、次いで所定の恒温恒湿下(50℃、相対湿度90%または130℃、相対湿度90%)で、インピーダンスアナライザー(横河ヒューレットパッカード製、商品名インピーダンスアナライザー4194A)を用いて高分子電解質膜の電気抵抗を測定した。高分子電解質膜の抵抗値、膜の断面積および電位電極間距離から、プロトン伝導度(S/cm)を算出した。
【0059】
なお、50℃、相対湿度90%雰囲気での測定はヤマト科学製恒温恒湿器IG400に4端子セルをセットして行った。また、130℃、相対湿度90%の雰囲気での測定は耐圧硝子工業製圧力容器に4端子セルをセットし、130℃に昇温後、相対湿度が90%になるように加圧下(0.3MPa)で水蒸気を圧力容器に流通させて温度及び湿度をコントロールして行った。
【0060】
<燃料電池の発電評価>
0.1MPaの水素ガスを水の入ったバブラーの中を通した後、70℃に加熱して、アノード電極に供給した。また0.1MPaの酸素ガスをカソード電極に供給し、燃料電池本体を70℃に保持した。燃料電池の発電評価は電子負荷装置(菊水電子製、商品名PLZ152WA)を使用して、燃料電池に一定の負荷電流(700mA/cm2)をかけて、その時の出力電圧を測定した。
【0061】
合成例1(臭素基を持つポリアリーレンエーテルスルホンの合成)
下式(5)
【0062】
【化6】
Figure 0004127002
で表されるポリアリーレンエーテルスルホン(Mn;ca.26,000、Tg;190℃、Aldrich社製、商品名ポリスルホン)110gを1000mlのセパラブルフラスコに入れ、これを600mlのクロロホルムに溶解させた。次いで、臭素110gを滴下した後、24時間攪拌させた。この溶液を大量のメタノール中に加えてポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾別し、メタノールで十分に洗浄した後、真空下、40℃で1日かけて乾燥させて、臭素基を持つポリアリーレンエーテルスルホンを137g得た。
【0063】
得られた臭素基を持つポリアリーレンエーテルスルホンの1H−NMR測定(クロロホルム−d溶媒)を行った結果、ポリアリーレンエーテルスルホンの構造繰返し単位当たり1.9個の臭素基を有するものであった。
【0064】
合成例2(ホルミル基を持つポリアリーレンエーテルスルホンの合成)
合成例1で得られた臭素基を持つポリアリーレンエーテルスルホン36gを10lのセパラブルフラスコに入れ、これを6lのテトラヒドロフランに溶解させた。−78℃に冷却後、2.66mol/lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液50mlをゆっくりと滴下して−78℃で30分攪拌した。この溶液にN,N−ジメチルホルムアミド38mlをゆっくり滴下し、−78℃で1時間、さらに室温で1時間攪拌させた。反応終了後、この反応溶液を大量の塩酸/メタノール混合溶液に注ぎ、ポリマーを析出させた。このポリマーを濾別後、メタノールで十分に洗浄し、次いで、窒素気流下に一晩おき、さらに室温真空下で6時間かけて乾燥させて、ホルミル基を持つポリアリーレンエーテルスルホンを22g得た。
【0065】
1H−NMR(クロロホルム−d溶媒)の測定の結果、δ1.7ppm(s)にイソプロピリデン基に基づくピーク、δ6.9〜8.0ppm(m)に芳香環に基づくピーク、δ10.2〜10.8ppm(m)にホルミル基に基づくピークが見られ、1H−NMR測定結果から求めたホルミル基数は、ポリアリーレンエーテルスルホンの構造繰返し単位当たり1.4個であった。
【0066】
合成例3(ホルミルオキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンの合成)
合成例2により得られたホルミル基を持つポリアリーレンエーテルスルホン22gを2lの三口フラスコに入れ、これを塩化メチレン820mlに溶解させた。この溶液にm−クロロ過安息香酸28gを加え、室温下で一晩攪拌させた。反応終了後、4%の二亜硫酸ナトリウム水溶液1lを加えてよく攪拌させて未反応のm−クロロ過安息香酸を分解させた。塩化メチレン相をn−ヘキサン4l中に注いで沈殿物を生成させた。この沈殿物を濾別し、メタノールで十分に洗浄させた後、90℃で2時間真空乾燥させることによって20gのポリマーを得た(収率90%)。
【0067】
1H−NMR(ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略する)−d6溶媒)測定の結果、δ1.7ppm(s)にイソプロピリデン基に基づくピーク、δ6.8〜8.0ppm(m)に芳香環に基づくピーク、δ8.4ppm(s)にホルミルオキシ基に基づくピークが観測された。
【0068】
なお、1H−NMR測定の結果、ポリアリーレンエーテルスルホンの構造繰返し単位当たりのホルミルオキシ基数は1.4個であった。また、GPC測定(N,N−ジメチルホルムアミド溶媒)から求めた重量平均分子量は64,000(ポリスチレン換算)、分子量分布は4.8であった。
【0069】
合成例4(ヒドロキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンの合成)
合成例3により得られたホルミルオキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホン16gを6lのセパラブルフラスコに入れ、これをテトラヒドロフラン1.44lに溶解させた。次いで、メタノール144mlを加えた後、氷浴で溶液を0℃に冷却した。この溶液に水素化ホウ素ナトリウム30gを加え、0℃で攪拌させた。15分後、氷浴をはずし、室温で3時間攪拌した。反応終了後、メタノール800mlを加え、次いで0.5mol/lの塩酸2lを加えて沈殿物を生成させた。この沈殿物を濾別し、水、次いでメタノールで十分に洗浄させた後、90℃で2時間真空乾燥させることによって14.8gのポリマーを得た(収率100%)。
【0070】
1H−NMR(DMSO−d6溶媒)測定の結果、δ1.7ppm(s)にイソプロピリデン基に基づくピーク、δ6.8〜8.1ppm(m)に芳香環に基づくピーク、δ9.6〜9.8ppm(s)にヒドロキシ基に基づくピークが観察された。
【0071】
13C−NMR(DMSO−d6溶媒)測定の結果、δ30.4ppmにイソプロピリデン基に基づくピーク、41.9ppmにイソプロピリデン基に基づくピーク、芳香環上の炭素に基づくピークが115.9ppm、116.1ppm、117.8ppm、121.8ppm、129.3ppm、134.3ppm、138.7ppm、148.4ppm、148.6ppm、161.8ppmに観察された。
【0072】
なお、1H−NMR測定から求めた、ポリアリーレンエーテルスルホンの構造繰返し単位当りのヒドロキシ基数は1.4個であった。また、GPC測定(N,N−ジメチルホルムアミド)から求めた重量平均分子量は55,000(ポリスチレン換算)、分子量分布は5.3であった。
【0073】
合成例5(スルホプロポキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンの合成)
2000mlのセパラブルフラスコに合成例4により合成されたヒドロキシ基を有するポリアリーレンエーテルスルホン2.0gを入れ、これをテトラヒドロフラン400mlに溶解させた。次いで、0.23mol/lのナトリウムメトキシド/メタノール溶液40mlを加えた後、室温で1時間攪拌した。この懸濁液に1,3−プロパンサルトン14mlを加え、室温で96時間攪拌させた。攪拌後、沈殿物を濾別し、アセトンで十分洗浄した。次いで、70℃で1時間真空乾燥した。この固体を1mol/lの塩酸水溶液100mlに分散させて、室温で1時間攪拌した。この分散物を濾別後、40℃で6時間真空乾燥させることによって2.2gのポリマーを得た(収率81%)。
【0074】
1H−NMR(DMSO−d6溶媒)測定の結果、δ1.7ppm(s)にイソプロピリデン基に基づくピーク、δ1.8ppm(s)にプロピレン基の中央のメチレン基に基づくピーク、δ2.4ppm(s)にスルホ基の隣のメチレン基に基づくピーク、δ4.0ppm(s)にエーテル基の隣のメチレン基に基づくピーク、δ6.8〜8.1ppm(m)に芳香環に基づくピークが観察された。
【0075】
13C−NMR(DMSO−d6溶媒)測定の結果、δ25.4ppmにプロピレン基の中央のメチレン基に基づくピーク、δ31.0ppmにイソプロピリデン基に基づくピーク、43.1ppmにイソプロピリデン基に基づくピーク、δ48.0ppmにスルホ基の隣のメチレン基に基づくピーク、δ67.9ppmにエーテル基の隣のメチレン基に基づくピーク、芳香環上の炭素に基づくピークが、113.8ppm、116.9ppm、120.1ppm、122.2ppm、130.0ppm、135.0ppm、140.9ppm、149.1ppm、150.3ppm、162.3ppmに観察された。
【0076】
なお、1H−NMR測定(DMSO−d6溶媒)から求めた、ポリアリーレンエーテルスルホンの構造繰返し単位当りのスルホプロポキシ基数は1.4個であった。また、GPC測定(DMSO溶媒)から求めた重量平均分子量は73,000(プルラン換算)、分子量分布は2.7であった。
【0077】
合成例6(スルホプロポキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンの合成)
1,3−プロパンサルトンの使用量を12mlに変えたこと以外は合成例5と同様の条件で反応及び後処理を行った。真空乾燥後、2.2gのポリマーを得た(収率90%)。1H−NMR測定(DMSO−d6溶媒)から求めた、ポリアリーレンエーテルスルホンの構造繰返し単位当りのスルホプロポキシ基数は1.0個であった。
【0078】
実施例1
合成例5により合成されたスルホプロポキシ基を有するポリアリーレンエーテルスルホン2.0gをN,N−ジメチルホルムアミド4mlに溶解した。この溶液をポリエチレンテレフタレートシート(東レ製、商品名「ルミラー」T60)に流延塗布した後、フィルムブレードで液膜の高さを一定にし、次いで室温下で12時間放置した。さらに80℃で8時間乾燥後、真空下で80℃で16時間、次いで120℃で22時間乾燥して膜を生成した。この膜を、0.1Nの塩酸水溶液で洗浄し、次いで十分に水洗した後、真空下で100℃で8時間乾燥して、スルホプロポキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホン膜を得た。この膜は淡褐色透明の柔軟な膜であり、厚みは95μmであった。
【0079】
50℃、相対湿度90%においてプロトン伝導率を測定した結果、6.0×10-2S/cmを示し、高分子電解質膜として機能した。
【0080】
実施例2
合成例6で得られたスルホプロポキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンを用いたこと以外、実施例1と同じ方法で製膜した。
【0081】
50℃、相対湿度90%においてこの膜のプロトン伝導率を測定した結果、2.6×10-2S/cmを示し、高分子電解質膜として機能した。
【0082】
実施例3
実施例1で得られたフィルムを130℃、相対湿度90%においてプロトン伝導率を測定した結果、4.8×10-1S/cmを示し、高分子電解質膜として機能した。
【0083】
実施例4
アノード電極として、ガス拡散電極(E−TEK製、Pt担持量0.38mg/cm2、大きさ2cm×2cm)に結着剤としてナフィオン(登録商標名)の低級脂肪族アルコールと水の混合物溶液(アルドリッチ製、5wt%)0.1mlを均一に含浸させ、室温下で2時間放置後、真空下で80℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去した。また、カソード電極として、前記アノード電極と同じものを調製した。該アノード電極およびカソード電極は純水中に浸漬させることにより吸水させた後、水中より取り出され、表面の水分を拭き取った。実施例1で製膜されたスルホプロポキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホン膜を3cm×3cmの正方形に切り出し、純水中に浸漬して吸水させた後、水中より取り出され、表面の水分を拭き取った。この膜の表面の一方にアノード電極を、また他方にカソード電極を配置して、80℃、8MPaで90秒間プレスし固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体を得た。
【0084】
このようにして形成された固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体を、単セル(エレクトロケム製、商品名EFC05−01SP)に組み込み、固体高分子型燃料電池を組み立てた。この固体高分子型燃料電池の発電評価を行なった結果、700mA/cm2での出力電圧は680mVであり、固体高分子型燃料電池として動作した。
【0085】
実施例5
実施例2で得られたスルホプロポキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホン膜を用いた以外、実施例4と同じ方法で固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体を作製し、固体高分子型燃料電池の発電評価を行なった。
【0086】
その結果、700mA/cm2での出力電圧は630mVであった。
【0087】
比較例1
下式(6)
【0088】
【化7】
Figure 0004127002
で表されるポリエーテルスルホン(ICI製、商品名4100D)25gを300mlのセパラブルフラスコに入れ、125mlの濃硫酸に溶解させた。この溶液に48mlのクロロ硫酸をゆっくり滴下した後、25℃で5時間攪拌させた。この溶液を大量の脱イオン水中に加えてポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾別し、水で十分に洗浄した後、真空下、80℃で1日かけて乾燥させて、スルホ基を持つポリエーテルスルホンを18g得た。
【0089】
得られたスルホ基を持つポリエーテルスルホンの1H−NMR測定(DMSO−d6溶媒)を行った結果、ポリエーテルスルホンの構造繰返し単位当たり0.15個のスルホ基を有するものであった。
【0090】
このスルホ基を持つポリエーテルスルホンを実施例1と同様な方法で製膜し、さらに実施例4と同様な方法で固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体を作製し、固体高分子型燃料電池の発電評価を行なった。この固体高分子型燃料電池の発電評価を行なった結果、700mA/cm2での出力電圧は250mVであった。
【0091】
【発明の効果】
本発明は、固体高分子型燃料電池に好適な耐熱性と導電性を併せ持つ、高分子電解質膜、さらにはこれらの膜を用いて構成された固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体および固体高分子型燃料電池を提供するものである。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0004127002
    (式中、R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1の整数を示し、nは0又は1の整数を示し、かつa+b+c+d>0である。)で表される構造単位を有するスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンよりなることを特徴とする高分子電解質膜。
  2. 一般式(1)において、mが1、nが1、R1及びR2がメチル基、R3がプロピレン基又はブチレン基、a+b+c+d=0.1〜4.0であるスルホアルコキシ基を持つポリアリーレンエーテルスルホンよりなることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質膜。
  3. 固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体において、高分子電解質膜として請求項1又は請求項2のいずれかに記載の高分子電解質膜を用いることを特徴とする固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体。
  4. 固体高分子型燃料電池において、高分子電解質膜として請求項1又は請求項2のいずれかに記載の高分子電解質膜を用いることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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